JP3962575B2 - Freeze-resistant baker's yeast - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍耐性を付与または強化したパン酵母、その選択方法、並びに該冷凍耐性パン酵母を用いてなる冷凍用パン生地および冷凍生地製パン法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍生地製パン法とは、製パン工程の途中でパン生地を一時冷凍し、必要に応じて解凍して焼成する方法である。冷凍生地製パン法は、製パン時の省力化や製造スケジュールの円滑化が可能なうえ、近年の「焼きたてパン」ブームに代表される少量多品種ニーズの高まりにも対応できることから、大変有用な製パン方法であり、近年広く採用されている。しかしながら、冷凍生地製パン法では、パン酵母は生地の冷凍保存によって強く冷凍傷害を受けるため、製品価値のあるパンを得るためには、冷凍耐性のあるパン酵母を使用する必要がある。そこで、イースト業界においては、多様な条件下で利用可能な「冷凍耐性パン酵母」の開発に凌ぎを削るとともに、より高品質な冷凍耐性パン酵母を創製すべく、冷凍耐性のメカニズムに関する研究などが色々行われている。
【0003】
冷凍耐性パン酵母に関する従来技術としては、現在までに、トレハロースの分解系酵素であるトレハラーゼ遺伝子(NTH1,ATH1)の破壊により細胞内トレハロースの蓄積を高めた酵母(特開平10−117771号公報、特開平11−169180号公報)、植物由来の脂肪酸不飽和化酵素遺伝子(FAD2)を導入して細胞膜の流動性を高めた酵母(特開平11−75824号公報)、アルギニン分解酵素遺伝子(CAR1)の破壊によってアルギニンなどの特定アミノ酸を高蓄積させた酵母(特開2001−238665号公報)などの遺伝子工学的な手法を用いた冷凍耐性パン酵母が知られている。
【0004】
しかしながら、上記した従来の冷凍耐性パン酵母は、実験室酵母から得られた知見を基にしているため、実用パン酵母とは特性面で異なることも多く、必ずしも実用パン酵母として利用できるものではない。現に、市販されている冷凍耐性酵母の全てがトレハロース蓄積量を高めているとは限らないという指摘もある(日本食品科学工学会第42回大会講演集、p136、演題番号2Gp4、1995年)。
【0005】
そこで、未だ未知の機構の存在が予想される実用パン酵母の冷凍耐性形質について、遺伝学的な手法による検討がさらに進められており、冷凍感受性変異を相補する遺伝子として、脂肪酸不飽和化酵素遺伝子OLE1がクローニングされている(特開2000−37185号公報)が、市販の冷凍耐性パン酵母のさらなる冷凍耐性強化や、冷凍耐性のない汎用株への冷凍耐性の付与などの、育種への応用が可能な技術の開発が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、実用パン酵母の持つ冷凍耐性形質に関わる遺伝子を、遺伝学的な手法を用いて明らかにすることによって、冷凍耐性能を付与あるいは強化したパン酵母を創製することである。
さらに、本発明の目的は、冷凍耐性酵母の新規な選択(スクリーニング)方法および育種方法を提供することである。
そして、本発明は、上記により得られる冷凍耐性パン酵母を用いてなる冷凍用パン生地の提供および冷凍生地製パン法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、遺伝学的手法を用いて鋭意研究を重ねた結果、実用冷凍耐性酵母の冷凍耐性を決定づけている遺伝子を新たに見出すことができた。そして、その遺伝子を用いることによって新たな冷凍耐性株を創製することができ、さらに冷凍耐性株の新たな選択方法の開発に成功し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明者らは、実用パン酵母への冷凍耐性付与に用いられる冷凍耐性を有する1倍体パン酵母に遺伝子などによるマーカーを付与した株[そのうちウラシル要求性とロイシン要求性マーカーを付与してなる1倍体パン酵母UH41Bは独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM P−18557の受託番号で寄託されている(以下同センターに寄託したものを受託番号のみで表示することがある)]を、冷凍耐性遺伝子の解析対象株として使用し、該マーカーを付与した1倍体パン酵母(UH41B株)を変異処理して冷凍感受性変異株を生成させ、それにより得られた2種類の冷凍感受性変異株[dUS301B株(受託番号:FERM P−18586)とdUS404B株(受託番号:FERM P−18587)]に対して、冷凍耐性株(例えば上記1倍体パン酵母)のゲノムライブラリーを導入する形質転換を行い、形質転換によって冷凍耐性を復帰させた株について遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、パン酵母における遺伝子のうち、YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子が冷凍耐性の付与または強化に寄与しているとの新たな知見を得た。そこで、パン酵母に対して、YLR023C遺伝子またはYMR126C遺伝子の発現量を上昇させる処理を行ったところ、冷凍耐性の付与または強化を行うことができた。特に、元々冷凍耐性を有するマーカを付与した上記した1倍体パン酵母(UH41B)に対してYLR023C遺伝子またはYMR126C遺伝子の発現量を上昇させる操作を行ったところ、YLR023C遺伝子の発現量を上昇させた株では、その冷凍耐性度が約50%も向上することが判明した。また、本発明者らは、前記したYLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子の少なくとも一方を用いることにより、冷凍耐性を有する新しいパン酵母の創製が可能であること、さらにパン酵母における前記YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子の少なくとも一方の遺伝子の発現量を指標として、冷凍耐性を有するパン酵母を選択できることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1) サッカロミセス・セレビシエ第12染色体右腕に存在するYLR023C遺伝子およびサッカロミセス・セレビシエ第13染色体右腕に存在するYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子を用いて形質転換してなる、冷凍耐性を付与または強化したパン酵母である。
【0010】
そして、本発明は、
(2) 前記(1)のパン酵母と他のパン酵母を交雑してなる、冷凍耐性を付与または強化したパン酵母;
(3) サッカロミセス・セレビシエ第12染色体右腕に存在するYLR023C遺伝子を用いて形質転換してなる、パン酵母UH41BTF株(受託番号FERM P−18558);および、
(4) サッカロミセス・セレビシエ第13染色体右腕に存在するYMR126C遺伝子を用いて形質転換してなる、パン酵母dUS301BMR株(受託番号FERM P−18585);
である。
【0011】
さらに、本発明は、
(5) パン酵母にサッカロミセス・セレビシエ第12染色体右腕に存在するYLR023C遺伝子およびサッカロミセス・セレビシエ第13染色体右腕に存在するYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子を導入した、溶液法で0.4以上の冷凍耐性度を示す冷凍耐性パン酵母である。
また、本発明は、
(6) パン酵母にサッカロミセス・セレビシエ第12染色体右腕に存在するYLR023C遺伝子およびサッカロミセス・セレビシエ第13染色体右腕に存在するYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子を導入した後、冷凍耐性度を指標として、冷凍耐性パン酵母を選択する方法である。
【0012】
そして、本発明は、
(7) 前記(1)〜(5)のいずれかのパン酵母を用いて育種してなる、冷凍耐性を付与または強化したパン酵母である。
【0013】
さらに、本発明は、
(8) 前記(1)〜(5)および7のいずれかのパン酵母を用いてなる冷凍用パン生地;および、
(9) 前記(1)〜(5)および7のいずれかのパン酵母を使用して冷凍生地製パン法によりパンを製造する方法;
である。
YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子の発現量を上昇させてなる、冷凍耐性を付与または強化したパン酵母である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
冷凍耐性パン酵母とは、一般に冷凍によって傷害を受けにくいパン酵母のことをいうが、本発明における「冷凍耐性」とは、冷凍―解凍後のグルコース消費量維持の程度(冷凍耐性度)が溶液法で0.4以上を示すことをいう。冷凍耐性パン酵母では、前記グルコース消費量維持の程度が0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
前記溶液法とは、後述の実施例で示すように、酵母を溶液中に懸濁した状態で凍結させ、凍結前後のグルコース消費量の比を求める方法である。この溶液法は、パン生地をつくって炭酸ガス発生量を測る従来の生地法とは指標が異なるが、冷凍前後での生菌活性の変化を測定している点では共通している。溶液法による冷凍耐性(冷凍耐性度)の評価結果は、生地法による評価結果と良好な相関を有する。溶液法は、簡便で大量処理が可能であり、栄養要求性を持たせた株など、生地法での測定が困難な場合にも冷凍耐性度を高感度に測定できる利点があるため、遺伝解析には大変有用である。
【0015】
親株、すなわちYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子を取得するためのパン酵母、前記遺伝子の発現量を上昇させる際にベースとして用いるパン酵母としては、例えばサッカロミセス属、トルラスポラ属、クルベロマイセス属などのパン酵母を挙げることができる。そのうちでも、親株としてサッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・シュバリエ、サッカロミセス・ロゼイなどのサッカロミセス属のパン酵母、特にサッカロミセス・セレビシエに属するパン酵母が好ましく用いられる。
【0016】
酵母サッカロミセス・セレビシエの全ゲノムDNAの配列は、全て解読されており、データベース、例えば「Saccharomyces Genome Database(http://genome-www.stanford.edu)」などで公開されている。
本発明において、パン酵母における冷凍耐性の付与または強化に関与する上記「YLR023C遺伝子」は、サッカロミセス・セレビシエ第12染色体右腕(テロメアから約186kb)に存在する全長約1.6kbの遺伝子である。
また、上記「YMR126C遺伝子」は、サッカロミセス・セレビシエ第13染色体右腕(テロメアから約520kb)に存在する全長約1.0kbの遺伝子として、上記データベースでナンバリングされている。
そのため、前記YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子は、いずれも、例えば上記データベースの塩基配列情報を用いて、常法により、酵母染色体遺伝子から切り出すことで、容易に取得可能である。
どちらの遺伝子も、膜タンパクをコードするものと推定されてはいたが、その機能については従来明らかにされておらず、YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子が、パン酵母における冷凍耐性の付与または強化に関与することは、本発明者らが初めて見出したものである。
(以下、サッカロミセス・セレビシエ第12染色体右腕に存在するYLR023C遺伝子を単に「YLR023C遺伝子」といい、サッカロミセス・セレビシエ第13染色体右腕に存在するYMR126C遺伝子を単に「YMR126C遺伝子」という。)
【0017】
YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子が、パン酵母への冷凍耐性の付与および/またはパン酵母の冷凍耐性の強化に関与する遺伝子であることは、本発明者らの行った実験にしたがって以下のように確認され得る。
すなわち、実用パン酵母への冷凍耐性の付与に用いられる、本発明者ら保有のパン酵母の1倍体冷凍耐性株にura3変異やleu2変異などの遺伝子マーカーを常法により付与して遺伝解析可能なマーカー付1倍体冷凍耐性株[例えばUH41B(受託番号:FERM P−18557)など]をつくる。
次いで、該マーカー付1倍体冷凍耐性株(例えばUH41B)に対して、メタンスルホン酸エチルなどの変異発生剤による変異導入を行い、変異処理後の生存株から冷凍感受性株(冷凍耐性の無い株)を選ぶ[本発明者らの実験では1倍体冷凍感受性株dUS301B株(受託番号:FERM P−18586)および1倍体冷凍感受性株dUS404B株(受託番号:FERM P−18587)の2種類の株が得られた]。
一般に、変異が劣性の場合には、野生型遺伝子を用いた形質転換によって、変異後の株の表現型が、野生型に復帰することが知られているので、この手法を上記で得られた冷凍感受性変異株(例えばdUS301B株およびdUS404B株)に適用し、冷凍耐性株(例えばパン酵母の1倍体冷凍耐性株;UH41B株)のゲノムライブラリーのそれぞれを冷凍感受性変異株(例えばdUS301B株およびdUS404B株)に個別に導入し、冷凍感受性変異株(例えばdUS301B株およびdUS404B株)から冷凍耐性株へと復帰した株のプラスミドを調べることにより、冷凍耐性の付与または強化に関与する遺伝子を選択(スクリーニング)することができる。
【0018】
本発明者らの実験では、ゲノムライブラリーの作製は、YCp50をベクターとして、Maniatisらの方法(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Maniatisら、 Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従い作製した。YCp50は、選択マーカーとしてURA3遺伝子(ウラジル酸合成酵素マーカー遺伝子)を持っているため、形質転換株の選択培地には、ウラシルを含まないカザミノ酸寒天培地(下記の実施例の項に記載)を用いた。その結果、冷凍感受性変異株dUS404B株では冷凍耐性が復帰した株が1株、冷凍感受性変異株dUS301B株では冷凍耐性が復帰した株が2株得られたので、各復帰株からプラスミドを回収して冷凍耐性関与遺伝子を絞り込んだ結果、冷凍感受性変異株dUS404B株ではYLR023C遺伝子が、また冷凍感受性変異株dUS301B株ではYMR126C遺伝子が、それぞれ冷凍耐性の復帰に関与していることが判明した。
【0019】
本発明のパン酵母は、上記YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子の発現量を上昇させたものである。YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量が上昇している本発明のパン酵母では、冷凍耐性の付与または冷凍耐性の強化がなされている。
本発明のパン酵母は、YLR023C遺伝子の発現量のみが上昇していても、YMR126C遺伝子の発現量のみが上昇していても、またはYLR023C遺伝子とYMR126C遺伝子の両方の遺伝子の発現量が上昇していてもよい。
【0020】
ここで、本発明における「YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子の発現量の上昇」とは、YLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子の発現量が冷凍耐性のないパン酵母におけるYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量に比べて増加するか、冷凍耐性を有するパン酵母においてはそのYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量がベースをなす該冷凍耐性パン酵母におけるYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量よりも一層増加しているか、何らかの要因によってYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量が低下するか又は全く発現しないような変異が生じていたパン酵母においてYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量が変異前の正常なものに復帰する場合などをいう。
【0021】
パン酵母におけるYLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子の量の比較、並びにYLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子における変異の有無は、例えば、転写されたmRNAまたは翻訳されたタンパクを比較解析することにより行うことができる。mRNAの特異的検出を行うには、一般にノザンブロット法、ドットブロット法、ヌクレアーゼプロテクション法、in situハイブリダイゼーション法等が用いられるが、発現量の違いを比較定量する際に有用な方法の一つとして、RT−PCR法が挙げられる。
RT−PCR法とは、逆転写酵素とポリメラーゼ鎖反応とを組み合わせて、mRNAを鋭敏に検出する手法であり、その存在、長さ、発現量に関する定量的な情報が比較的簡便に得られるため、高発現株のスクリーニング等の大量処理を伴う場合にも都合が良い。同様に、タンパク量を比較定量する際には、ウエスタン解析の応用を考えれば良く、発現するタンパクに対する抗体を取得し、RIもしくは蛍光ラベルを大量に比較解析できる系の構築が望ましい。
【0022】
また、本発明における「パン酵母への冷凍耐性の付与」とは、冷凍感受性を示すパン酵母(冷凍耐性のないパン酵母)に冷凍耐性を持たせることをいう。本発明による冷凍耐性の付与は、例えば、優れた形質を持つが冷凍耐性のない汎用のパン酵母(冷凍感受性株)に冷凍耐性を持たせたいときに有用となる。
また、「パン酵母の冷凍耐性の強化」とは、冷凍耐性を示すパン酵母の冷凍耐性度をさらに高めること、またはより広範な条件下で冷凍耐性を示すように改良することをいう。例えば、中糖生地用冷凍耐性酵母を低糖冷凍生地でも利用可能にするときに有用である。
【0023】
YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量を上昇させてなるパン酵母を得るための方法としては、例えば(A)形質転換、(B)変異導入、(C)交雑などが挙げられる。
そのうち、(A)形質転換は、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子を人為的にパン酵母の細胞内に導入する方法である。形質転換によってYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量を上昇させる方法としては、例えば、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子を含むベクターにより該遺伝子をパン酵母細胞内に導入する方法、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子を含む多コピー型ベクターでパン酵母を形質転換し該遺伝子のコピー数を増幅させる方法、プラスミド上あるいは染色体上のYLR023C遺伝子のプロモーターおよび/またはYMR126C遺伝子のプロモーター配列をパン酵母で効率良く機能する他のプロモーター配列に改変する方法、YLR023C遺伝子のターミネーターおよび/またはYMR126C遺伝子のターミネーターを置換する方法などが挙げられる。
【0024】
遺伝子の運び屋として、さまざまなベクターが開発されており、本発明では、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子のベクターとしてパン酵母の形質転換に従来から用いられているベクターのいずれもが使用できる。本発明において、形質転換によってYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の細胞内に導入するのに用い得るベクターとしては、例えば、酵母内で自律複製可能なYCp型ベクター、染色体組込み可能なYIp型ベクターなどが挙げられる[Lundblad,V.(1989) Yeast vectors,”Carrent Protocols in Molecular Biology” vol.2,New York,N.Y]。また、多コピー型ベクターとしては、YEp13、YEp24等のYEp型ベクターが挙げられる。
また、パン酵母で効率良く機能するプロモーターとしては、GAL7、TPI、PHO5等があり、ターミネーターとしてはGAL10、TPI、GAPDH等が存在する(酵母分子遺伝学実験法、大嶋泰治著、学会出版センター)。
【0025】
YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子を組み込んだベクターによるパン酵母の形質転換に当たっては、プロトプラスト法[例えばS.Harashimaら、Mol.Cell.Biol.,vol.4,771−778(1984)]、酢酸リチウム法[例えばH.Itoら、J.Bacteriol.,vol.153,163−168(1983)]、エレクトロポレーション法(例えば「酵母による遺伝子実験法」、バイオマニュアルシリーズ、山本正幸編、羊土社)などを採用することができる。また、ALKALI CATION YEAST TRANSFORMATION KIT(BIO101社製)等の市販キットを用いて行ってもよい。
【0026】
形質転換体の選択には、マーカー遺伝子を持ったベクターを用いて形質転換を行い、そのマーカー形質を獲得できた株のみが生育可能な選択培地を用いると簡便である。マーカー遺伝子としては、例えば、URA3、LEU2、TRP1、HIS3(Methods in Enzymology,vol.101,202−211,R.Wu編Academic Press)等の代謝系遺伝子、セルレニン耐性[N.Nakazawaら、J.Ferment.Bioeng.,vol.76.60−63(1993)]、G418耐性[T.D.Webster,Gene,vol.26,243−252(1983)]等の薬剤耐性遺伝子が利用され得る。その他、外来プラスミドの形質転換が確認できるマーカーであればどのようなものでも利用し得る。
【0027】
(B)変異導入とは、遺伝子に人為的に突然変異を起こさせることをいい、部位特異的変異導入とランダム変異導入の2種類がある。
変異導入のうち、部位特異的変異導入法としては、例えば、変異部位のカセット置換法、PCR反応を用いる方法などが挙げられる。
変異部位のカセット置換法は、変異させたい部位を含む制限酵素断片を、変異を含む合成DNAでそっくり置換することによって行うことができ、また、PCR反応を用いる変異導入は、イトウらの方法[W.Ito et al.Gene,vol.102,67−70(1991)]などに従って行うことができる。これらの部位特異的変異導入法をYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量の上昇してなる本発明のパン酵母を得るために使用する場合は、遺伝子の転写効率を高めるために、該遺伝子のプロモーター配列などの発現調節配列やその発現調節配列に作用する転写因子の遺伝子配列を変異導入部位として選択すればよく、また、該遺伝子から転写されるmRNAの安定性を高めるために、非翻訳領域配列を変異導入部位として選択すればよい。さらには、翻訳されたタンパクの比活性を高めるためにタンパクコード配列を変異導入部位として選択してもよい。
【0028】
また、変異導入のうち、ランダム変異導入法としては、紫外線を照射する方法、あるいは、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)やメタンスルホン酸エチル(EMS)などの変異剤で処理する方法が一般的である。
何ら限定されるものではないが、EMSによる変異法の例について説明すると、まず、パン酵母の親株のスラントから、1白金耳、YPD培地(別途記載)5mlに植菌し、30℃で16時間培養する。培養菌体は、3000rpm、10分で遠心分離して集菌し、0.1M pH7.0のリン酸バッファーで1回洗浄する。菌体を同じリン酸バッファー5mlに懸濁し、EMSを0.15ml添加し、30℃で2時間、時々攪拌しながら処理し、3000rpm、10分で遠心分離して集菌し、リン酸バッファーで洗浄後、20%チオ硫酸ナトリウムを5ml加えて、30℃、10分間静置してEMSを不活性化する。20%チオ硫酸ナトリウム処理を2回行い、生理食塩水5mlで3回洗浄し、YPD寒天プレートに適宜希釈して菌を塗布する。YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量の上昇したパン酵母を、このEMSによる変異法によって得るには、EMSで変異された変異株のうちから、変異処理前よりもYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子のプロモーター活性が増加した株を選ぶ方法、転写されたmRNAの量が増加した株を選ぶ方法、翻訳されたタンパクの量が増加した株を選ぶ方法などが採用される。
【0029】
(C)交雑とは、接合または細胞融合によって雑種株を作製する、望ましくは胞子株を取得することで、所望の性質を併せ持つ株を育成する過程をいう。
接合とは、aとαの両接合型1倍体栄養細胞間の混合培養により、接合子の形成を経てa/α2倍体栄養細胞が生じ、その胞子形成により再び接合能を持つ一倍体細胞を取得する手法であり、集団接合法、直接接合法、平板培地上でのクロスストリークによる接合(酵母分子遺伝学実験法、大嶋泰治著、学会出版センター)などが広く行われている。
細胞融合とは、細胞壁を取り除いてプロトプラスト化させた細胞同士を直接融合させる手法のことで、接合型株の得られない工業用実用酵母などの育種、あるいは高次倍数体株の育成などで重用されている。
YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量の高い冷凍耐性パン酵母と所望の性質を有する汎用酵母との交雑により、冷凍耐性と該所望の性質を併せ持つ本発明の冷凍耐性パン酵母を造成することができる。或いは、所望の性質を有する冷凍耐性パン酵母と、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量の高い酵母を交雑することで、所望の性質を有し且つ冷凍耐性がさらに強化したパン酵母を取得することも可能である。
【0030】
その他、培養条件の調整などによっても、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量を上昇させた本発明のパン酵母を得ることができる。例えば、熱や塩などのストレス負荷、特定の培地成分の添加または枯渇など、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の高発現の引き金となる環境要因または代謝物質の利用が効果を有する場合がある。
【0031】
YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量を上昇させた本発明のパン酵母のうちで、「UH41BTF株」(受託番号:FERM P−18558)は、YLR023C遺伝子をクローニングしたYEp型プラスミドp566を用いて、1倍体冷凍耐性パン酵母UH41B株(受託番号:FERM P−18557)の形質転換を行って、YLR023C遺伝子を多コピー導入したパン酵母である。「UH41BTF株」の冷凍耐性度は、形質転換前の1倍体冷凍耐性パン酵母UH41B株の約1.5倍にも向上しており、冷凍耐性が一層強化されたパン酵母である。
【0032】
また、「dUS301BMR株」(受託番号:FERM P−18585)は、1倍体冷凍耐性パン酵母UH41B株の変異処理により得られた1倍体冷凍感受性株dUS301B(受託番号:FERM P−18586)を、YMR126C遺伝子をクローニングしたプラスミドpC317を用いて形質転換することによって、YMR126C遺伝子を導入し、YMR126C遺伝子の発現量を上昇させたパン酵母である。「dUS301BMR株」の冷凍耐性度は、冷凍感受性株dUS301Bの冷凍耐性度の約2.2倍になっており、また1倍体冷凍耐性パン酵母UH41B株の冷凍耐性度の約0.88倍にまで冷凍耐性が復帰しており、冷凍耐性が付与されたパン酵母である。
【0033】
さらに、パン酵母におけるYLR023C遺伝子およびYMR126C遺伝子のうちの少なくとも一方の遺伝子の発現量を指標として、形質転換、突然変異処理または交雑などにより得られたパン酵母、或いは自然界から採取した酵母群の中から、冷凍耐性を獲得した株を選択(スクリーニング)することができる。
「YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量を指標にする」ためには、パン酵母におけるYLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の量を調べることが必要であり、両遺伝子量の調査は、上記したように、転写されたmRNAまたは翻訳されたタンパクの比較解析などにより行うことができる。mRNAの特異的検出を行うには、一般にノザンブロット法、ドットブロット法、ヌクレアーゼプロテクション法、in situハイブリダイゼーション法等が用いられるが、発現量の違いを比較定量する際に有用な方法の一つとして、RT−PCR法が挙げられる。
RT−PCR法の内容は上記したとおりであり、高発現株のスクリーニング等の大量処理を伴う場合にも都合が良い。同様に、タンパク量を比較定量する際には、ウエスタン解析の応用を考えれば良く、発現するタンパクに対する抗体を取得し、RIもしくは蛍光ラベルを大量に比較解析できる系の構築が望ましい。
【0034】
スクリーニングによって得られた、YLR023C遺伝子および/またはYMR126C遺伝子の発現量の上昇した冷凍耐性酵母に対して、更に形質転換、突然変異処理、交雑などによるに改良、すなわち「育種」を行うことにより、冷凍耐性に一層優れたパン酵母を得ることができる。
【0035】
上記のようにして得られたパン酵母を用いてパン生地を製造することにより、冷凍―解凍処理を挟んでも、通常の製パン法によって作られた生地に近い品質を安定的に維持することができ、製品価値の高いパン類を製造することが可能となる。本発明のパン生地は、本発明の冷凍耐性パン酵母を用いる以外は、通常の冷凍用パン生地と同様にして製造することができる。
本発明における冷凍用パン生地は、食パン、菓子パン、デニッシュペストリーの他、中華まんじゅう、イーストドーナツなど、膨張剤としてパン酵母を使用する全ての冷凍用パン生地を含む。
そして、本発明のパン生地を用いて、従来の冷凍生地製パン法と同様にして、品質の高い、上記したような各種のパン製品類を、冷凍障害を生ずることなく、円滑に製造することができる。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例などにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例により何ら制限されない。下記において、「%」は特に断らない限りは、質量%を意味する。
以下の例において使用した主な培地の内容は次のとおりである。
・YPD培地:
イーストエキス1%、バクトペプトン2%およびグルコース2%を含む水よりなる培地。
・カザミノ酸培地:
イーストニトロゲンベース0.67%、カザミノ酸0.4%およびグルコース2%を含む水よりなる培地。
・カザミノ酸寒天培地:
上記カザミノ酸培地に、寒天を2%の割合で添加した培地。
・YNB’培地:
イーストニトロゲンベース0.67%、カザミノ酸0.4%、ウラシル20ppmおよびアデニン40ppmを含む水よりなる培地。
【0037】
また、本発明で用いたプラスミド、DNA、種々の酵素、大腸菌、酵母などの扱いに関する常法は、以下の雑誌、成書に詳しく記載されており、本発明では以下の文献の記載に準じて行った。
(1) 「蛋白質・核酸・酵素」26(4),(1981)臨時増刊「遺伝子操作」(共立出版);
(2) 「蛋白質・核酸・酵素」35(14),(1990)臨時増刊「遺伝子操作1990」(共立出版);
(3) 「バイオマニュアルシリーズ10;酵母による遺伝子実験法」山本正幸編、羊土社;
(4) Method in Yeast Genetics,A Laboratory Course Manual,M.D.Roseら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York;
(5) Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Maniatisら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York;
(6) Methods in Enzymology,L.Grossmanら編,29巻 Academic Press;
(7) Methods in Enzymology,R.Wuら編,65巻 Academic Press;
(8) Methods in Enzymology,R.Wuら編,101巻 Academic Press;
(9) Methods in Enzymology,B.Kimmelら編,152巻 Academic Press;
(10) Methods in Enzymology,G.Finkら編,194巻 Academic Press。
【0038】
《冷凍耐性の評価方法》
以下の実施例では、パン酵母の冷凍耐性度の評価は、以下の溶液法により行った。
(1) マイクロプレートに、上記したYPD培地300μlを分注し、適量の菌体を植菌して30℃で約20時間静置培養した後、上清150μlを取り除いた菌体懸濁液に対して、グルコースおよびエタノールを終濃度がそれぞれ4%および5%になるよう添加し、それを冷凍用と非冷凍用の2つのマイクロプレートに80μlずつ分注した。
(2) 非冷凍用プレートには、2×YNB’培地(上記したYNB’培地の2倍の濃度のもの)80μlを加えて、38℃で2時間振とう培養を行った後、上清中のグルコース濃度を測定した。
また、冷凍用プレートは、−20℃フリーザーで凍結(発泡ポリスチレン容器中で徐冷2時間後に発泡ポリスチレン容器から取り出して−20℃のフリーザー中で直接急冷を1時間)し、次いで水浴中に8分間浸漬して解凍した後、2×YNB’培地80μlを加えて、38℃で2時間振とう培養を行い、上清中のグルコース濃度を測定した。
グルコース濃度の測定には、「グルコースBテストワコー」(和光純薬社製キット)を用い、添付のプロトコールに従った。
(3) 冷凍プレートでのグルコース減少量をA、非冷凍プレートでのグルコース減少量をBとし、A/Bの値を「冷凍耐性度」として、冷凍耐性の評価を行った。
【0039】
《試験例1》[冷凍耐性遺伝子の取得]
(1)クローニング対象株:
冷凍耐性遺伝子のクローニング対象株として、1倍体冷凍耐性株UH41B株(受託番号:FERM P−18557)を用いた。UH41B株は、実用パン酵母に冷凍耐性を付与するのに用いられる、本発明者ら保有の1倍体冷凍耐性パン酵母に対して、ura3、leu2、trp1の栄養要求性マーカーを持つSH2675株を交雑して得た雑種2倍体株より胞子株をつくり、その中からura3とleu2の栄養要求性マーカーを持ち且つ元株の1倍体冷凍耐性パン酵母と同等の冷凍耐性を持つ胞子株を選び、1倍体冷凍耐性パン酵母との戻し交雑を2回繰り返すことによってura3とleu2の栄養要求性マーカーを付与したものであり、遺伝解析可能な株として造成したものである。
(2)冷凍感受性変異株の取得:
UH41B株に、メタンスルホン酸エチルによる変異処理を行い、約10%の生残率を示す条件下で得られた約4,000コロニーから冷凍感受性を示す株を6株得た。常法により変異の単一性と優性・劣性検査、相補性検定を行い、変異表現型が劣性でそれぞれ異なった遺伝子上に変異を持つdUS301B株(受託番号:FERM P−18586)とdUS404B株(受託番号:FERM P−18587を得た。
【0040】
(3)冷凍耐性復帰株のスクリーニングおよび冷凍耐性遺伝子の取得:
(i) 一般に、変異が劣性の場合には、変異型親株の表現型が、野生型遺伝子を用いた形質転換により野生型に復帰することが知られており、これをスクリーニング時の指標とした。すなわち、上記で得られた2種類の感受性変異株dUS301B株およびdUS404B株のそれぞれに、親株の1倍体冷凍耐性株(UH41B株)のゲノムライブラリーを導入し、耐性が復帰した株のスクリーニングを行った。その際に、ゲノムライブラリーの作製は、YCp50をベクターとして、Maniatisらの方法(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Maniatisら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従って作製した。YCp50は、選択マーカーとしてURA3遺伝子を持っているため、形質転換株の選択培地には、ウラシルを含まない上記したカザミノ酸寒天培地を用いた。具体的には、UH41Bから調製した染色体DNAを制限酵素Sau3AIで部分切断し、アガロースゲル電気泳動によって8kbpから20kbpのDNA断片を分画回収し、プラスミドYCp50のBamHI部位に挿入した。得られたUH41Bのゲノムライブラリーで2種類の冷凍感受性変異株dUS301B株およびdUS404B株のそれぞれを形質転換してdUS301B株について約6万株、dUS404B株について約3万株の形質転換株を得た。
【0041】
(ii) 上記(i)で得られたdUS301B株の形質転換株6万株とdUS404B株の形質転換株3万株のそれぞれについてその冷凍耐性の有無を溶液法を用いて調査した結果、冷凍感受性のdUS404B株を用いたものでは冷凍耐性が復帰した株が1株、冷凍感受性のdUS301B株を用いたものでは冷凍耐性が復帰した株が2株得られた。
(iii) 冷凍感受性のdUS404B株から得られた冷凍耐性復帰株からプラスミドを回収し、プラスミドに挿入された染色体遺伝子断片の塩基配列を決定してサッカロミセス・セレビシエのゲノムデータベースと照合したところ、複数の遺伝子を含むことが判明した。そこで、回収プラスミドに挿入された染色体遺伝子断片を各種制限酵素で分断して再びプラスミドYCp50に組み込み、dUS404B株を形質転換した株の冷凍耐性を調べる方法により冷凍耐性に関与した遺伝子を絞り込んだ結果、冷凍耐性を復帰したプラスミドにはいずれもYLR023C遺伝子が含まれていたことから、YLR023C遺伝子が冷凍耐性を復帰させる遺伝子であることが判明した。
(iv) 冷凍感受性のdUS301B株から得られた2株の冷凍耐性復帰株からプラスミドを回収し、プラスミドに挿入された染色体遺伝子断片の塩基配列を決定してサッカロミセス・セレビシエのゲノムデータベースと照合したところ、YMR126C遺伝子を共通に含んでいたことから、YMR126C遺伝子が冷凍耐性を復帰させる遺伝子であることが判明した。
【0042】
《実施例1》[YLR023C遺伝子の発現量を上昇させたパン酵母の調製]
(1) YLR023C遺伝子のORFから約2160base上流のSphIサイトおよび約260base下流のBamHIサイトで挟まれる領域をプラスミドYCp50に導入して、YLR023C遺伝子をクローニングしたプラスミドpFT414を作製した。
(2) 上記(1)で得られたYLR023C遺伝子をクローニングしたプラスミドpFT414を用いて、冷凍感受性株dUS404Bを該プラスミドpFT414で形質転換して、形質転換株dUS404BLRを得た。その際の形質転換は、ALKALI CATION YEAST TRANSFORMATION KIT(BIO101社製)を用い、添付のプロトコールに従った。形質転換株の選択には、上記したカザミノ酸寒天培地を用い、37℃で2日間インキュベートしてコロニーを形成させた。得られた形質転換株dUS404BLRの冷凍耐性度を上記した方法で調べたところ、その冷凍耐性度は0.44であった。
(3) また、1倍体冷凍耐性株UH41B(親株)および冷凍感受性株dUS404Bについてもその冷凍耐性度を上記した方法で調べた。
それぞれの株の冷凍耐性度、並びに親株UH41Bの冷凍耐性度に対する冷凍感受性株dUS404Bおよび上記(2)で得られた形質転換株dUS404BLRの冷凍耐性度の比(相対値)を下記の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
上記の表1にみるように、冷凍耐性のない株(冷凍感受性株dUS404B)に対してYLR023C遺伝子を有するプラスミドを用いて形質転換を行うことによってYLR023C遺伝子の発現量を上昇させた上記(2)で得られた形質転換株dUS404BLRは、その冷凍耐性度が冷凍感受性株dUS404Bの約2倍であって、冷凍耐性親株UH41Bに近い冷凍耐性を有している。
かかる結果から、YLR023C遺伝子は、冷凍耐性に関与し、YLR023C遺伝子の発現量を上昇させてなるパン酵母では冷凍耐性が付与または強化されることが理解される。
【0045】
《実施例2》[YMR126C遺伝子の発現量を上昇させたパン酵母の調製]
(1) dUS301B株の冷凍耐性復帰株から回収したプラスミドpC317(YMR126C遺伝子を含む)を用いて、冷凍感受性株dUS301Bを該プラスミドpC317で形質転換して形質転換株dUS301BMR(受託番号:FERM P−18585)を得た。その際の形質転換は、ALKALI CATION YEAST TRANSFORMATION KIT(BIO101社製)を用い、添付のプロトコールに従った。形質転換株の選択には、上記したカザミノ酸寒天培地を用い、37℃で2日間インキュベートしてコロニーを形成させた。得られた形質転換株dUS301BMRの冷凍耐性度を上記した方法で調べたところ、その冷凍耐性度は0.46であった。
(2) また、冷凍感受性株dUS301Bについてもその冷凍耐性度を上記した方法で調べた。
上記した1倍体冷凍耐性株UH41B(親株)、冷凍感受性株dUS301Bおよび上記で得られた形質転換株dUS301BMRの冷凍耐性度並びに親株UH41Bの冷凍耐性度に対する冷凍感受性株dUS301Bおよび上記(2)で得られた形質転換株dUS301BMRの冷凍耐性度の比(相対値)を下記の表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
上記の表2にみるように、冷凍耐性のない株(冷凍感受性株dUS301B)に対してYMR126C遺伝子を有するプラスミドを用いて形質転換を行うことによってYMR126C遺伝子の発現量を上昇させた上記(2)で得られた形質転換株dUS301BMRは、その冷凍耐性度が冷凍感受性株dUS301Bの約2.2倍であり、冷凍耐性親株UH41Bに近い冷凍耐性を有している。
かかる結果から、YMR126C遺伝子は冷凍耐性に関与し、YMR126C遺伝子の発現量を上昇させてなるパン酵母では、冷凍耐性が付与または強化されることが理解される。
【0048】
《実施例3》[YLR023C遺伝子を多コピー導入したパン酵母の調製]
(1) YLR023C遺伝子のORFから約1790base上流のSacIサイトおよび約260base下流のBamHIサイトで挟まれる領域を、p566[pRS306(Sikorskiら、Genetics 122,19−27(1989))に2μDNAを組み込んだ多コピーYEp型プラスミド]に導入してプラスミドpFT415を作製した。
(2) 上記(1)で得られたプラスミドpFT415を用いて、冷凍感受性株dUS404BをALKALI CATION YEAST TRANSFORMATION KITにより形質転換して、YLR023C遺伝子を多コピー導入した形質転換株dUS404BTFを得た。その際の形質転換および形質転換株の選択は、実施例1の方法に準じて行った。得られた形質転換株dUS404BTFの冷凍耐性度を上記した方法で調べたところ、0.60であった。
(3) 上記(1)で得られたプラスミドpFT415を用いて、1倍体冷凍耐性株UH41B(親株)を形質転換して、YLR023C遺伝子を多コピー導入した形質転換株UH41BTF(受託番号:FERM P−18558)を得た。その際の形質転換および形質転換株の選択は、実施例1の方法に準じて行った。得られた形質転換株UH41BTFの冷凍耐性度を上記した方法で調べたところ、0.76であった。
(4) 親株UH41B、冷凍感受性株dUS404B、形質転換株dUS404BTFおよび形質転換株UH41BTFの冷凍耐性度、並びに親株UH41Bの冷凍耐性度に対するそれぞれの株の冷凍耐性度の比(相対値)を下記の表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
上記の表3の結果より、YLR023C遺伝子の多コピー導入により、冷凍感受性株dUS404Bの冷凍耐性の復帰度を高度に高め得ること、更に冷凍耐性株UH41Bの冷凍耐性度をさらに約50%も向上させ得ることが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明により、パン酵母の冷凍耐性を決定付けている新たな遺伝形質が明らかとなり、新たな実用冷凍耐性パン酵母およびその新規な育種法が提供される。
さらに、本発明による場合は、実用冷凍耐性パン酵母の冷凍耐性能の一層の強化、または冷凍耐性のない汎用パン酵母への冷凍耐性能の付与などの、パン酵母の冷凍耐性の改良が期待できる。
冷凍耐性が付与または強化された本発明のパン酵母を用いてなるパン生地は、冷凍―解凍処理を行っても、通常の製パン法によって作られた生地に限りなく近い品質を安定的に維持することが可能となる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to baker's yeast imparted with or enhanced freezing tolerance, a selection method thereof, a frozen dough using the frozen tolerant baker's yeast, and a frozen dough-making method.
[0002]
[Prior art]
The frozen dough baking method is a method in which bread dough is temporarily frozen during the bread making process and then thawed and baked as necessary. The frozen dough baking method can save labor and smooth production schedules, and can meet the growing needs for small and wide variety typified by the recent “baked bread” boom. It is a useful bread making method and has been widely adopted in recent years. However, in the frozen dough baking method, baker's yeast is strongly damaged by freezing due to the freezing of the dough, so that it is necessary to use baker's yeast having freezing resistance in order to obtain bread having product value. Therefore, in the yeast industry, research on the mechanism of freezing tolerance has been conducted to overcome the development of “frozen-resistant baker's yeast” that can be used under a variety of conditions, and to create higher-quality freezing-resistant baker's yeast. Various things are done.
[0003]
As a conventional technique related to freeze-tolerant baker's yeast, to date, yeast that has enhanced the accumulation of intracellular trehalose by disrupting the trehalase gene (NTH1, ATH1), which is a trehalose degradation enzyme (Japanese Patent Laid-Open No. 10-117771), (Kaihei 11-169180), a plant-derived fatty acid desaturase gene (FAD2) introduced to enhance cell membrane fluidity (JP-A-11-75824), arginine degrading enzyme gene (CAR1) A freeze-tolerant baker's yeast using a genetic engineering technique such as a yeast in which a specific amino acid such as arginine is highly accumulated by destruction (Japanese Patent Laid-Open No. 2001-238665) is known.
[0004]
However, since the above-mentioned conventional freeze-tolerant baker's yeast is based on the knowledge obtained from laboratory yeast, it is often different in characteristics from practical baker's yeast and is not necessarily usable as practical baker's yeast. . In fact, it is pointed out that not all commercially available freeze-tolerant yeasts have increased trehalose accumulation (The 42nd Annual Meeting of the Japanese Society for Food Science and Technology, p136, presentation number 2Gp4, 1995).
[0005]
Therefore, studies on the freezing tolerance traits of commercial baker's yeast, for which the existence of an unknown mechanism is expected, have been further studied by genetic methods, and the fatty acid desaturase gene is used as a gene that complements freezing-sensitive mutations. OLE1 has been cloned (Japanese Patent Laid-Open No. 2000-37185), but it can be applied to breeding such as further strengthening of freezing tolerance of commercially available freeze-tolerant baker's yeast and imparting freezing tolerance to general-purpose strains without freezing tolerance. There is a need to develop possible technologies.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to create a baker's yeast imparted with or enhanced freezing resistance by clarifying a gene related to the freezing tolerance trait of a practical baker's yeast using a genetic technique.
Furthermore, an object of the present invention is to provide a novel selection (screening) method and breeding method of freeze-tolerant yeast.
And this invention aims at provision of the bread dough for freezing which uses the freezing tolerance baker's yeast obtained by the above, and provision of the frozen dough manufacturing method.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies using genetic techniques to achieve the above object, the present inventors were able to find a new gene that determines the freezing resistance of practical freezing-resistant yeast. Then, by using the gene, a new freezing-resistant strain can be created, and a new method for selecting a freezing-resistant strain has been successfully developed, thereby completing the present invention.
[0008]
That is, the inventors of the present invention have provided a strain in which a marker such as a gene is added to a haploid baker's yeast having freezing resistance used for imparting freezing tolerance to a practical baker's yeast [of which uracil requirement marker and leucine requirement marker are imparted The haploid baker's yeast UH41B is deposited at the Patent Organism Depositary of the National Institute of Advanced Industrial Science and Technology under the deposit number of FERM P-18557 (hereinafter, the deposit deposited at the same center shall be indicated only by the deposit number) 2) obtained as a result of the mutation treatment of the haploid baker's yeast (UH41B strain) to which the marker has been added to produce a freezing-sensitive mutant strain. Freeze-sensitive mutant strains [dUS301B strain (Accession number: FERM P-18586) and dUS404B strain (Accession number: FERM P) Against 18587)], and the cells for introducing the genomic library of refrigeration-resistant strains (e.g. the haploid baker's yeast), were screened genes for strain to return the freezing tolerance by transformation. As a result, a new finding was obtained that among the genes in baker's yeast, the YLR023C gene and the YMR126C gene contribute to the provision or enhancement of freezing tolerance. Then, when the processing which raises the expression level of a YLR023C gene or a YMR126C gene was performed with respect to baker's yeast, the freezing tolerance could be provided or strengthened. In particular, when the above-described haploid baker's yeast (UH41B) provided with a marker having freezing tolerance was subjected to an operation for increasing the expression level of the YLR023C gene or the YMR126C gene, the expression level of the YLR023C gene was increased. It was found that the freezing tolerance of the strain was improved by about 50%. In addition, the present inventors can create a new baker's yeast having freezing resistance by using at least one of the above-described YLR023C gene and YMR126C gene, and further, at least of the YLR023C gene and the YMR126C gene in baker's yeast The inventors found that baker's yeast having freezing tolerance can be selected using the expression level of one gene as an indicator, and completed the present invention based on these various findings.
[0009]
That is, the present invention
(1)Transformed with at least one of the YLR023C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 12 and the YMR126C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 13;This is a baker's yeast imparted with or enhanced freezing tolerance.
[0010]
And this invention,
(2)Freezing tolerance is imparted or strengthened by crossing the baker's yeast of (1) with other baker's yeast.Baker's yeast;
(3)Saccharomyces cerevisiae exists in the right arm of chromosome 12.YLR023C geneTransformed withBaker's yeast UH41BTF strain (Accession No. FERM P-18558); and
(4)Saccharomyces cerevisiae exists in the right arm of chromosome 13.YMR126C geneTransformed withBaker's yeast dUS301BMR strain (Accession No. FERM P-18585);
It is.
[0011]
Furthermore, the present invention provides
(5)Freezing tolerance of 0.4 or more by a solution method in which at least one of the YLR023C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 12 and the YMR126C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 13 was introduced into baker's yeast This is a freeze-tolerant baker's yeast.
The present invention also provides:
(6)After introducing at least one of the YLR023C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 12 and the YMR126C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 13 into baker's yeast, the degree of freezing resistanceTo select freeze-tolerant baker's yeast using as an indexIs.
[0012]
And this invention,
(7) (1) to (5)ofIt is a baker's yeast that has been bred using any baker's yeast and imparted or enhanced freezing tolerance.
[0013]
Furthermore, the present invention provides
(8) (1) to (5)and7ofFrozen dough using any of the baker's yeast; and
(9) (1) to (5)and7ofA method for producing bread by a frozen dough baking method using any baker's yeast;
It is.
A baker's yeast imparted with or enhanced freezing tolerance, wherein the expression level of at least one of the YLR023C gene and the YMR126C gene is increased.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
Frozen-tolerant baker's yeast generally refers to baker's yeast that is not easily damaged by freezing. In the present invention, “frozen-tolerant” means that the degree of maintenance of glucose consumption (freezing tolerance) after freezing and thawing is a solution. It means to show 0.4 or more by the law. In the freeze-tolerant baker's yeast, the degree of glucose consumption maintenance is preferably 0.5 or more, and more preferably 0.7 or more.
The solution method is a method of obtaining a ratio of glucose consumption before and after freezing by freezing yeast in a suspended state in a solution, as shown in the examples described later. This solution method differs from the conventional dough method in which bread dough is made and the amount of carbon dioxide generation is measured, but is common in that it measures the change in viable cell activity before and after freezing. The evaluation result of the freezing tolerance (freezing tolerance) by the solution method has a good correlation with the evaluation result by the dough method. The solution method has the advantage of being able to measure the freezing tolerance with high sensitivity even when it is difficult to measure by the dough method, such as strains that are simple and capable of mass processing, and that are difficult to measure by the dough method. Is very useful.
[0015]
Parent stock,IeBaker's yeast for obtaining YLR023C gene and / or YMR126C gene, Baker's yeast used as a base when increasing the expression level of said geneWhenThen,For example, baker's yeasts such as Saccharomyces, Torlaspola, and Kluberomyces can be exemplified.Among them, as parent stockBaker's yeast of the genus Saccharomyces such as Saccharomyces cerevisiae, Saccharomyces ubalum, Saccharomyces chevalier, Saccharomyces rosei,Especially belonging to Saccharomyces cerevisiaeBaker's yeastIs preferredOften used.
[0016]
The entire genomic DNA sequence of the yeast Saccharomyces cerevisiae has been decoded and published in a database such as “Saccharomyces Genome Database (http://genome-www.stanford.edu)”.
In the present invention, the “YLR023C gene” involved in conferring or strengthening freezing tolerance in baker's yeast is a gene having a total length of about 1.6 kb that is present on the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 12 (about 186 kb from telomere).
The “YMR126C gene” is numbered in the above database as a gene having a total length of about 1.0 kb present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 13 (about 520 kb from telomere).
for that reason,SaidBoth the YLR023C gene and the YMR126C gene can be easily obtained by excising from the yeast chromosomal gene by a conventional method using, for example, the base sequence information of the above database.
Although both genes were presumed to encode membrane proteins, their function has not been elucidated so far, and the YLR023C gene andYMR126The present inventors have found for the first time that the C gene is involved in imparting or enhancing freezing tolerance in baker's yeast.
(Hereinafter, the YLR023C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 12 is simply referred to as “YLR023C gene”, and the YMR126C gene present in the right arm of Saccharomyces cerevisiae chromosome 13 is simply referred to as “YMR126C gene”.)
[0017]
It has been confirmed that the YLR023C gene and the YMR126C gene are genes involved in imparting freezing tolerance to baker's yeast and / or enhancing the freezing tolerance of baker's yeast as follows according to experiments conducted by the present inventors. obtain.
That is, genetic analysis can be performed by assigning genetic markers such as ura3 mutation and leu2 mutation to haploid freezing-resistant strains of baker's yeast used by the present inventors, which are used to confer freezing tolerance to practical baker's yeast. A haploid freezing-resistant strain with a marker [for example, UH41B (accession number: FERM P-18557), etc.] is prepared.
Subsequently, the haploid freezing-resistant strain with marker (for example, UH41B) is introduced with a mutagen such as ethyl methanesulfonate, and the freezing-sensitive strain (freezing-resistant strain) is transformed from the surviving strain after the mutation treatment. [In our experiment, there are two types of strains: a haploid freezing sensitive strain dUS301B (accession number: FERM P-18586) and a haploid freezing sensitive strain dUS404B (accession number: FERM P-18585). Strains were obtained].
In general, when the mutation is recessive, the phenotype of the strain after mutation is known to revert to the wild type by transformation with the wild type gene. Applying to freezing-sensitive mutant strains (for example, dUS301B strain and dUS404B strain), each of the genomic libraries of freezing-resistant strains (for example, haploid freezing-resistant strain of baker's yeast; UH41B strain) is used for freezing-sensitive mutant strains (for example, dUS301B strain and The genes involved in conferring or strengthening freezing tolerance are selected by examining plasmids of strains that have been individually introduced into dUS404B strain) and returned from freezing-sensitive mutant strains (for example, dUS301B and dUS404B strains) to freezing-resistant strains ( Screening).
[0018]
In the experiments of the present inventors, the genomic library was prepared according to the method of Maniatis et al. (Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Maniatis et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press) using YCp50 as a vector. Since YCp50 has the URA3 gene (uradylate synthase marker gene) as a selectable marker, a casamino acid agar medium that does not contain uracil (described in the Examples section below) is used as the selective medium for transformants. Using. As a result, one freeze-resistant mutant strain dUS404B strain was recovered from the freezing tolerance, and two freezing-sensitive mutant strain dUS301B strains were recovered from the freezing tolerance. As a result of narrowing down the genes involved in freezing tolerance, it was found that the YLR023C gene in the freezing-sensitive mutant dUS404B strain and the YMR126C gene in the freezing-sensitive mutant dUS301B strain were involved in reversion of freezing tolerance.
[0019]
The baker's yeast of the present invention has an increased expression level of at least one of the YLR023C gene and the YMR126C gene. In the baker's yeast of the present invention in which the expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene is increased, freezing tolerance is imparted or freezing tolerance is enhanced.
In the baker's yeast of the present invention, only the expression level of the YLR023C gene is increased, only the expression level of the YMR126C gene is increased, or the expression levels of both the YLR023C gene and the YMR126C gene are increased. May be.
[0020]
Here, “an increase in the expression level of at least one of the YLR023C gene and the YMR126C gene” in the present invention refers to baker's yeast in which the expression level of at least one of the YLR023C gene and the YMR126C gene has no freezing tolerance. The YLR023C gene and / or the YMR126C gene in Yr023C gene and / or the YLR023C gene in the freeze-tolerant baker's yeast based on the expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene The expression level of the YLR126C gene is increased more than the expression level of the YMR126C gene, or the expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene is decreased or not expressed at all Refers to a case where the expression level of YLR023C genes and / or YMR126C gene in baker's yeast different has occurred is restored to normal ones prior to mutation.
[0021]
Comparison of the amounts of YLR023C gene and YMR126C gene in baker's yeast and the presence or absence of mutations in YLR023C gene and YMR126C gene can be performed, for example, by comparative analysis of transcribed mRNA or translated protein. Northern blotting, dot blotting, nuclease protection, in situ hybridization, etc. are generally used for specific detection of mRNA, but as one of the useful methods for comparative quantification of expression levels RT-PCR method.
The RT-PCR method is a technique for detecting mRNA sensitively by combining reverse transcriptase and polymerase chain reaction, and quantitative information on its presence, length and expression level can be obtained relatively easily. Also, it is convenient when a large amount of processing such as screening of a high expression strain is involved. Similarly, when the amount of protein is comparatively quantified, application of Western analysis may be considered, and it is desirable to construct a system capable of obtaining antibodies against expressed proteins and comparatively analyzing RI or fluorescent labels in large quantities.
[0022]
In the present invention, “providing freezing tolerance to baker's yeast” refers to imparting freezing tolerance to baker's yeast exhibiting freezing sensitivity (bread yeast without freezing tolerance). The provision of freezing tolerance according to the present invention is useful when, for example, general purpose baker's yeast (freezing sensitive strain) having excellent characteristics but no freezing tolerance is desired to have freezing tolerance.
Further, “enhanced freezing tolerance of baker's yeast” means to further increase the degree of freezing tolerance of baker's yeast exhibiting freezing tolerance, or to improve the freezing tolerance under a wider range of conditions. For example, it is useful when freezing-resistant yeast for medium sugar dough can be used even with low sugar frozen dough.
[0023]
Increasing the expression level of YLR023C gene and / or YMR126C geneBread yeastExamples of the method for obtaining (A) include (A) transformation, (B) mutation introduction, and (C) hybridization.
Among them, (A) transformation is a method of artificially introducing the YLR023C gene and / or the YMR126C gene into baker's yeast cells. Examples of a method for increasing the expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene by transformation include, for example, a method of introducing the gene into a baker's yeast cell using a vector containing the YLR023C gene and / or the YMR126C gene, the YLR023C gene, and / or A method for transforming baker's yeast with a multi-copy vector containing the YMR126C gene and amplifying the copy number of the gene, the YLR023C gene promoter on the plasmid or chromosome and / or the promoter sequence of the YMR126C gene functioning efficiently in baker's yeast And a method of replacing the terminator of the YLR023C gene and / or the terminator of the YMR126C gene.
[0024]
Various vectors have been developed as gene carriers. In the present invention, any vector conventionally used for transformation of baker's yeast can be used as a vector for the YLR023C gene and / or the YMR126C gene. In the present invention, examples of vectors that can be used to introduce the YLR023C gene and / or YMR126C gene into cells by transformation include a YCp type vector capable of autonomous replication in yeast and a YIp type vector capable of chromosome integration. [Lundblad, V. (1989) Yeast vectors, “Carrent Protocols in Molecular Biology” vol. 2, New York, N .; Y]. Examples of the multicopy vector include YEp type vectors such as YEp13 and YEp24.
Further, promoters that function efficiently in baker's yeast include GAL7, TPI, PHO5, etc., and terminators include GAL10, TPI, GAPDH, etc. (Yeast Molecular Genetics Experimental Method, written by Taiji Oshima, Academic Publishing Center) .
[0025]
In transforming baker's yeast with a vector incorporating the YLR023C gene and / or the YMR126C gene, a protoplast method [for example, S. Harashima et al., Mol. Cell. Biol. , vol. 4, 771-778 (1984)], lithium acetate method [e.g. Ito et al. Bacteriol. , Vol. 153, 163-168 (1983)], electroporation methods (for example, “gene experiment method using yeast”, biomanual series, edited by Masayuki Yamamoto, Yodosha) and the like can be employed. Moreover, you may perform using commercially available kits, such as ALKALI CAYATION YAST TRANSFORMATION KIT (made by BIO101 company).
[0026]
For the selection of transformants, it is convenient to use a selection medium in which transformation is performed using a vector having a marker gene and only a strain capable of acquiring the marker trait can grow. Examples of the marker gene include metabolic genes such as URA3, LEU2, TRP1, and HIS3 (Methods in Enzymology, vol. 101, 202-211, edited by R. Wu, Academic Press), cerulenin resistance [N. Nakazawa et al. Ferment. Bioeng., Vol. 76.60-63 (1993)], G418 resistance [T. D. Drug resistance genes such as Webster, Gene, vol. 26, 243-252 (1983)] can be used. In addition, any marker that can confirm the transformation of a foreign plasmid can be used.
[0027]
(B) Mutagenesis refers to artificially mutating a gene, and there are two types, site-specific mutagenesis and random mutagenesis.
Among the mutagenesis methods, site-specific mutagenesis methods include, for example, a cassette substitution method at the mutation site, a method using a PCR reaction, and the like.
The cassette replacement method for the mutation site can be performed by completely replacing the restriction enzyme fragment containing the site to be mutated with the synthetic DNA containing the mutation, and the mutation introduction using the PCR reaction is the method of Ito et al. W. Ito et al. Gene, vol. 102, 67-70 (1991)]. When these site-directed mutagenesis methods are used to obtain the baker's yeast of the present invention having an increased expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene, in order to increase the transcription efficiency of the gene, An expression regulatory sequence such as a promoter sequence or a gene sequence of a transcription factor that acts on the expression regulatory sequence may be selected as a site for introducing a mutation, and in order to increase the stability of mRNA transcribed from the gene, an untranslated region A sequence may be selected as a mutation introduction site. Furthermore, a protein coding sequence may be selected as a mutation introduction site in order to increase the specific activity of the translated protein.
[0028]
Among the mutagenesis methods, the random mutagenesis method includes a method of irradiating ultraviolet rays, or a mutagen such as N-methyl-N′-nitro-N-nitrosoguanidine (NTG) or ethyl methanesulfonate (EMS). The method of processing with is common.
Although not limited in any way, an example of a mutation method using EMS will be described. First, from a slant of a parent strain of baker's yeast, 1 platinum ear and 5 ml of YPD medium (described separately) are inoculated, and then at 30 ° C. for 16 hours. Incubate. The cultured cells are collected by centrifugation at 3000 rpm for 10 minutes, and washed once with a phosphate buffer of 0.1 M pH 7.0. The cells are suspended in 5 ml of the same phosphate buffer, 0.15 ml of EMS is added, treated with stirring at 30 ° C. for 2 hours, and centrifuged at 3000 rpm for 10 minutes to collect the cells. After washing, 5 ml of 20% sodium thiosulfate is added and left to stand at 30 ° C. for 10 minutes to inactivate EMS. Treat with 20% sodium thiosulfate twice, wash with 5 ml of physiological saline three times, and dilute appropriately on a YPD agar plate to apply the bacteria. Increased expression level of YLR023C gene and / or YMR126C geneTapaIn order to obtain the yeast by the EMS mutation method, a strain in which the promoter activity of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene is increased from the mutant strains mutated by EMS than before the mutation treatment is transcribed. A method of selecting a strain having an increased amount of mRNA, a method of selecting a strain having an increased amount of translated protein, and the like are employed.
[0029]
(C) Crossing refers to the process of producing a hybrid strain by conjugation or cell fusion, preferably obtaining a spore strain to grow a strain having desired properties.
Conjugation refers to a haploid that is a / α diploid vegetative cell through the formation of a zygote by mixed culture between both a and α conjugated haploid cells. It is a technique for obtaining cells, and is widely used for mass joining method, direct joining method, joining by cross streak on flat plate medium (Yeast Molecular Genetics Experimental Method, written by Taiji Oshima, Society Publishing Center).
Cell fusion is a method of directly fusing cells that have been protoplasted by removing the cell wall, and is important for breeding industrial industrial yeasts that cannot obtain mating type strains, or for growing higher polyploid strains. Has been.
It is possible to construct the freezing resistant baker's yeast of the present invention having both freezing resistance and the desired properties by crossing freezing resistant baker's yeast having a high expression level of the YLR023C gene and / or YMR126C gene with a general purpose yeast having the desired properties. it can. Alternatively, by crossing a freeze-resistant baker's yeast having the desired properties with a yeast having a high expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene, the freeze-resistant baker's yeast has the desired properties and the freezing tolerance is further enhanced.BreadIt is also possible to obtain yeast.
[0030]
In addition, the baker's yeast of the present invention in which the expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene is increased can also be obtained by adjusting the culture conditions. For example, the use of environmental factors or metabolites that trigger high expression of the YLR023C gene and / or YMR126C gene, such as stress load such as heat and salt, addition or depletion of specific medium components, may be effective.
[0031]
Among the baker's yeast of the present invention in which the expression level of the YLR023C gene and / or the YMR126C gene is increased, the “UH41BTF strain” (Accession No .: FERM P-18558) uses the YEp type plasmid p566 in which the YLR023C gene is cloned. A haploid freeze-resistant baker's yeast strain UH41B (accession number: FERM P-18557) is transformed into a baker's yeast in which multiple copies of the YLR023C gene are introduced. The degree of freezing tolerance of the “UH41BTF strain” is about 1.5 times that of the haploid freezing-resistant baker's yeast UH41B strain before transformation, and is a baker's yeast with further enhanced freezing tolerance.
[0032]
In addition, “dUS301BMR strain” (accession number: FERM P-18585) is a haploid freezing-sensitive strain dUS301B (accession number: FERM P-18586) obtained by mutation treatment of haploid freezing-resistant baker's yeast UH41B strain. , Baker's yeast in which the expression level of the YMR126C gene is increased by introducing the YMR126C gene by transformation with the plasmid pC317 into which the YMR126C gene has been cloned. The degree of freezing tolerance of the “dUS301BMR strain” is about 2.2 times that of the freezing-sensitive strain dUS301B, and about 0.88 times that of the haploid freezing-resistant baker's yeast UH41B. It is a baker's yeast to which the freezing tolerance has been recovered until the freezing tolerance is given.
[0033]
further, PaUsing the expression level of at least one of the YLR023C gene and the YMR126C gene in yeast as an index, freezing is performed from a baker's yeast obtained by transformation, mutation treatment or hybridization, or from a group of yeast collected from nature. Strains that have acquired resistance can be selected (screened).
In order to “use the expression level of YLR023C gene and / or YMR126C gene as an index”, it is necessary to examine the amount of YLR023C gene and / or YMR126C gene in baker's yeast. Furthermore, it can be performed by comparative analysis of transcribed mRNA or translated protein. Northern blotting, dot blotting, nuclease protection, in situ hybridization, etc. are generally used for specific detection of mRNA, but as one of the useful methods for comparative quantification of expression levels RT-PCR method.
The contents of the RT-PCR method are as described above, and it is convenient when it involves a large amount of processing such as screening of a high expression strain. Similarly, when the amount of protein is comparatively quantified, application of Western analysis may be considered, and it is desirable to construct a system capable of obtaining antibodies against expressed proteins and comparatively analyzing RI or fluorescent labels in large quantities.
[0034]
TheThe freeze-tolerant yeast having an increased expression level of the YLR023C gene and / or YMR126C gene obtained by cleaning is further improved by transformation, mutation treatment, crossing, etc., that is, by performing “breeding”. To obtain baker's yeast with even better resistanceit can.
[0035]
By producing bread dough using the baker's yeast obtained as described above, it is possible to stably maintain the quality close to the dough made by the usual bread making method even if it is frozen and thawed. It becomes possible to produce bread with high product value. The bread dough of the present invention can be produced in the same manner as a normal freezing bread dough, except that the freeze-tolerant baker's yeast of the present invention is used.
The frozen bread dough in the present invention includes all frozen bread doughs that use baker's yeast as a swelling agent, such as bread, sweet bread, and Danish pastry, as well as Chinese bun and yeast donut.
Then, using the bread dough of the present invention, it is possible to smoothly produce various types of bread products as described above without causing freezing trouble, in the same manner as in the conventional frozen dough baking method. it can.
[0036]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples, but the present invention is not limited to the following examples. In the following, “%” means mass% unless otherwise specified.
The contents of the main medium used in the following examples are as follows.
・YPD medium:
A medium comprising water containing 1% yeast extract, 2% bactopeptone and 2% glucose.
・Casamino acid medium:
A medium consisting of water containing 0.67% yeast nitrogen base, 0.4% casamino acid and 2% glucose.
・Casamino acid agar medium:
A medium obtained by adding agar at a ratio of 2% to the casamino acid medium.
・YNB 'medium:
A medium comprising water containing 0.67% yeast nitrogen base, 0.4% casamino acid, 20 ppm uracil and 40 ppm adenine.
[0037]
Further, conventional methods relating to the handling of plasmids, DNA, various enzymes, E. coli, yeast, etc. used in the present invention are described in detail in the following magazines and books. In the present invention, according to the descriptions in the following documents: went.
(1) “Proteins / Nucleic Acids / Enzymes” 26 (4), (1981) Special issue “Gene manipulation” (Kyoritsu Shuppan);
(2) "Proteins / Nucleic acids / Enzymes" 35 (14), (1990) Special issue "Gene manipulation 1990" (Kyoritsu Publishing);
(3) “Biomanual Series 10; Genetic Experiments with Yeast”, edited by Masayuki Yamamoto, Yodosha;
(4) Method in Yeast Genetics, A Laboratory Course Manual, M.M. D. Rose et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York;
(5) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Maniatis et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York;
(6) Methods in Enzymology, L.M. Grossman et al., Volume 29 Academic Press;
(7) Methods in Enzymology, R.M. Wu et al., Volume 65 Academic Press;
(8) Methods in Enzymology, R.M. Wu et al., Volume 101 Academic Press;
(9) Methods in Enzymology, B.E. Edited by Kimmel et al., Volume 152 Academic Press;
(10) Methods in Enzymology, G. Fink et al., 194, Academic Press.
[0038]
<Evaluation method of freezing resistance>
In the following examples, evaluation of the degree of freezing tolerance of baker's yeast was performed by the following solution method.
(1) Dispense 300 μl of the above-mentioned YPD medium onto a microplate, inoculate an appropriate amount of cells and incubate at 30 ° C. for about 20 hours, and then remove 150 μl of the supernatant into a cell suspension. On the other hand, glucose and ethanol were added so that the final concentrations were 4% and 5%, respectively, and dispensed into two microplates for freezing and non-freezing each at 80 μl.
(2) Add 80 μl of 2 × YNB ′ medium (concentration twice that of YNB ′ medium described above) to the non-freezing plate, and after shaking culture at 38 ° C. for 2 hours, The glucose concentration was measured.
The freezing plate is frozen in a −20 ° C. freezer (taken out of the expanded polystyrene container after 2 hours of slow cooling in the expanded polystyrene container and then directly cooled in the −20 ° C. freezer for 1 hour), and then placed in a water bath for 8 hours. After immersing for 30 minutes and thawing, 80 μl of 2 × YNB ′ medium was added, and cultured with shaking at 38 ° C. for 2 hours, and the glucose concentration in the supernatant was measured.
For measurement of the glucose concentration, “Glucose B Test Wako” (Wako Pure Chemical Industries, Ltd. kit) was used and the attached protocol was followed.
(3) The amount of glucose decrease on the frozen plate was A, the amount of glucose decrease on the non-frozen plate was B, and the value of A / B was “freezing tolerance” to evaluate the freezing tolerance.
[0039]
<< Test Example 1 >> [Acquisition of Freezing Resistance Gene]
(1) Cloning target strain:
A haploid freezing resistant strain UH41B strain (accession number: FERM P-18557) was used as a target strain for cloning of the freezing resistant gene. The UH41B strain is used to confer freezing tolerance to practical baker's yeast, and the SH2675 strain having an auxotrophic marker of ura3, leu2, and trp1 is compared to the haploid freezing resistant baker's yeast possessed by the present inventors. A spore strain is produced from a hybrid diploid strain obtained by crossing, and a spore strain having ura3 and leu2 auxotrophic markers and having a freezing tolerance equivalent to that of the original haploid freezing resistant baker's yeast is obtained. Selected, ura3 and leu2 auxotrophic markers were added by repeating backcrossing with haploid freeze-resistant baker's yeast twice, and it was constructed as a strain capable of genetic analysis.
(2) Acquisition of frozen sensitive mutants:
The UH41B strain was subjected to a mutation treatment with ethyl methanesulfonate, and 6 strains showing freezing sensitivity were obtained from about 4,000 colonies obtained under the condition of about 10% survival rate. Mutation singleness and dominant / inferiority tests and complementation tests are performed by conventional methods, and the mutant phenotypes are recessive and have mutations on different genes, respectively, strains dUS301B (accession number: FERM P-18586) and dUS404B ( Accession number: FERM P-18857 was obtained.
[0040]
(3) Screening of freeze-resistant strains and acquisition of freeze-resistant genes:
(I) In general, when the mutation is recessive, the phenotype of the mutant parent strain is known to revert to the wild type by transformation with the wild type gene, and this was used as an index for screening. . That is, the genomic library of the haploid freezing-resistant strain (UH41B strain) of the parent strain was introduced into each of the two types of sensitive mutant strains dUS301B and dUS404B obtained above, and screening for strains in which resistance was restored went. At that time, a genomic library was prepared according to the method of Maniatis et al. (Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Maniatis et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press) using YCp50 as a vector. Since YCp50 has the URA3 gene as a selection marker, the above-mentioned casamino acid agar medium containing no uracil was used as the selection medium for the transformant. Specifically, the chromosomal DNA prepared from UH41B was partially cleaved with the restriction enzyme Sau3AI, and a DNA fragment of 8 kbp to 20 kbp was fractionated and collected by agarose gel electrophoresis and inserted into the BamHI site of plasmid YCp50. The obtained UH41B genomic library was transformed into each of two types of freezing-sensitive mutant strains dUS301B and dUS404B to obtain about 60,000 transformants for dUS301B and about 30,000 transformants for dUS404B. .
[0041]
(Ii) As a result of investigating the presence or absence of freezing tolerance of each of the 60,000 transformed strains of dUS301B and 30,000 transformed strains of dUS404B obtained in (i) above using the solution method, In the case of using the dUS404B strain, 1 strain was recovered from freezing tolerance, and in the case of using the freezing sensitive dUS301B strain, 2 strains were recovered.
(Iii) A plasmid was recovered from the freeze-resistant reversion strain obtained from the freeze-sensitive dUS404B strain, and the base sequence of the chromosomal gene fragment inserted into the plasmid was determined and compared with the genome database of Saccharomyces cerevisiae. It was found to contain a gene. Therefore, the chromosomal gene fragment inserted into the recovered plasmid was cleaved with various restriction enzymes and incorporated into the plasmid YCp50 again. As a result of narrowing down the genes involved in freezing tolerance by the method of examining the freezing resistance of the strain transformed with dUS404B, Since all the plasmids that returned to freezing tolerance contained the YLR023C gene, it was revealed that the YLR023C gene was a gene that restored freezing tolerance.
(Iv) Plasmids were recovered from two freeze-resistant strains obtained from the freeze-sensitive dUS301B strain, the nucleotide sequence of the chromosomal gene fragment inserted into the plasmid was determined, and compared with the genome database of Saccharomyces cerevisiae Therefore, it was found that the YMR126C gene is a gene that restores freezing tolerance.
[0042]
<< Example 1 >> [Preparation of Baker's Yeast with Increased Expression Level of YLR023C Gene]
(1) From the ORF of the YLR023C gene, a region flanked by about 2160 base upstream SphI site and about 260 base downstream BamHI site was introduced into the plasmid YCp50 to prepare a plasmid pFT414 in which the YLR023C gene was cloned.
(2) Using the plasmid pFT414 obtained by cloning the YLR023C gene obtained in (1) above, the frozen sensitive strain dUS404B was transformed with the plasmid pFT414 to obtain a transformed strain dUS404BLR. In this case, transformation was performed using ALKALI CATION YAST TRANSFORMATION KIT (manufactured by BIO101) according to the attached protocol. For selection of transformants, the above-mentioned casamino acid agar medium was used and incubated at 37 ° C. for 2 days to form colonies. When the freezing tolerance degree of the obtained transformed strain dUS404BLR was examined by the method described above, the freezing tolerance degree was 0.44.
(3) Further, the degree of freezing tolerance of the haploid freezing resistant strain UH41B (parent strain) and the freezing sensitive strain dUS404B was also examined by the method described above.
Table 1 below shows the freezing tolerance of each strain and the ratio (relative value) of the freezing tolerance of the freezing-sensitive strain dUS404B and the transformant dUS404BLR obtained in (2) above with respect to the freezing tolerance of the parent strain UH41B. .
[0043]
[Table 1]
[0044]
As shown in Table 1 above, the expression level of the YLR023C gene was increased by performing transformation using a plasmid having the YLR023C gene on a strain having no freezing tolerance (freezing-sensitive strain dUS404B) (2) The transformant dUS404BLR obtained in (1) has a degree of freezing tolerance approximately twice that of the freezing-sensitive strain dUS404B, and has a freezing tolerance close to that of the freezing-resistant parent strain UH41B.
From these results, it is understood that the YLR023C gene is involved in freezing tolerance, and that freeze tolerance is imparted or enhanced in baker's yeast in which the expression level of the YLR023C gene is increased.
[0045]
Example 2 [Preparation of Baker's Yeast with Increased YMR126C Gene Expression Level]
(1) Using the plasmid pC317 (including the YMR126C gene) recovered from the freeze-resistant strain of dUS301B, the frozen sensitive strain dUS301B was transformed with the plasmid pC317, and transformed strain dUS301BMR (Accession number: FERM P-18585) ) In this case, transformation was performed using ALKALI CATION YAST TRANSFORMATION KIT (manufactured by BIO101) according to the attached protocol. For selection of transformants, the above-mentioned casamino acid agar medium was used and incubated at 37 ° C. for 2 days to form colonies. When the freezing tolerance degree of obtained transformant dUS301BMR was investigated by the above-mentioned method, the freezing tolerance degree was 0.46.
(2) In addition, the freezing tolerance degree of the freezing sensitive strain dUS301B was also examined by the method described above.
Obtained with the above-mentioned haploid freezing-resistant strain UH41B (parent strain), freezing-sensitive strain dUS301B, and the freezing-resistant strain dUS301BMR obtained above and the freezing-sensitive strain dUS301B with respect to the freezing tolerance of the parent strain UH41B and (2) above Table 2 below shows the ratio (relative value) of the freezing tolerance of the resulting transformant dUS301BMR.
[0046]
[Table 2]
[0047]
As shown in Table 2 above, the expression level of the YMR126C gene was increased by performing transformation using a plasmid having the YMR126C gene on a strain having no freezing tolerance (freezing sensitive strain dUS301B) (2) The transformant dUS301BMR obtained in (1) has a freezing tolerance close to that of the freezing-resistant parent strain UH41B, which is approximately 2.2 times that of the freezing-sensitive strain dUS301B.
From these results, it is understood that the YMR126C gene is involved in freezing tolerance, and that the baker's yeast in which the expression level of the YMR126C gene is increased imparts or enhances freezing tolerance.
[0048]
<< Example 3 >> [Preparation of baker's yeast introduced with multiple copies of YLR023C gene]
(1) A region flanked by a SacI site approximately 1790 base upstream and a BamHI site approximately 260 base downstream from the ORF of the YLR023C gene was incorporated into p566 [pRS306 (Sikorski et al., Genetics 122, 19-27 (1989)). The plasmid pFT415 was prepared by introducing it into a copy YEp type plasmid].
(2) Using the plasmid pFT415 obtained in (1) above, the frozen sensitive strain dUS404B was transformed with ALKALI CATION Yeast TRANSFORMATION KIT to obtain a transformed strain dUS404BTF into which multiple copies of the YLR023C gene were introduced. At that time, transformation and selection of transformant were performed according to the method of Example 1. It was 0.60 when the freezing tolerance degree of obtained transformant dUS404BTF was investigated by the above-mentioned method.
(3) Using the plasmid pFT415 obtained in (1) above, a haploid freezing resistant strain UH41B (parent strain) was transformed, and a transformed strain UH41BTF (accession number: FERM P) into which multiple copies of the YLR023C gene were introduced. -18558). At that time, transformation and selection of transformant were performed according to the method of Example 1. When the freezing tolerance degree of the obtained transformed strain UH41BTF was examined by the method described above, it was 0.76.
(4) Freezing tolerance of parent strain UH41B, freezing sensitive strain dUS404B, transformed strain dUS404BTF and transformed strain UH41BTF, and ratio (relative value) of freezing tolerance of each strain to freezing tolerance of parent strain UH41B 3 shows.
[0049]
[Table 3]
[0050]
From the results of Table 3 above, it is possible to highly enhance the freezing tolerance of the freezing-resistant strain dUS404B by introducing multiple copies of the YLR023C gene, and further improve the freezing tolerance of the freezing-resistant strain UH41B by about 50%. I know you get.
[0051]
【The invention's effect】
According to the present invention, a new genetic trait that determines the freezing tolerance of baker's yeast is clarified, and a new practical freezing-resistant baker's yeast and a novel breeding method thereof are provided.
Furthermore, in the case of the present invention, improvement of the freezing resistance of baker's yeast, such as further enhancement of the freezing resistance of practical freezing-resistant baker's yeast, or the provision of freezing resistance to general-purpose baker's yeast without freezing resistance can be expected. .
Bread dough using the baker's yeast of the present invention to which freeze resistance has been imparted or strengthened stably maintains a quality close to that of a dough made by a normal bread-making method even after freezing-thawing treatment. It becomes possible.
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