JP3958467B2 - 柱状物直立保持スタンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柱状物を形状、直径等に関わらず簡単に直立保持することができる柱状物直立保持スタンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
秤量を実験室で実施する場合、秤量用計量物を直接秤量台に載せて秤量する方法と、直接秤量台に載せずに、秤量台に置いた容器に入れて秤量する方法が知られているが、計量物の揮発等により重量変化を起こすもの又は微量の計量物の場合は気密性の高いガラス製シリンジ等の容器に入れて秤量する方法がよく用いられている。容器に入れて秤量する場合の秤量容器としては、秤量台上に安定した状態で載置することができるものが好ましいが、実際には秤量後の使用目的に応じて、丸底フラスコ、試験管、注入シリンジ等の不安定な容器に入れて秤量せざるを得ない場合も少なくはない。
【0003】
例えば、計量物をシリンジ等の不安定な容器に入れて秤量する場合、従来、容器を直立させて保持する直立保持具がないため、計量物を入れたシリンジ等を秤量台上のビーカー内に斜めに立てかけて秤量することが一般的であるが、ビーカーを秤量台の中央に置いても、シリンジ等自体を斜めに立てかけざるを得ないことから、重心が秤量台の中心から外れてしまい、秤量誤差を生じるという問題があった。ビーカーを用いない場合は、シリンジ等を直接秤量台の中心部に立てて秤量すれば、四隅誤差に起因する秤量誤差を避けることができるが、安定性に問題があるため、横にねかせて載置して秤量せざるを得ず、この場合もシリンジの重心が秤量台上の中央にないため、少なからず秤量誤差を生じるという問題があった。
【0004】
上記問題を解決する例として、ドイツ実用新案G8801055.4号には、秤皿の付属装置としての丸底フラスコ用の支台が記載されているが、この秤皿付属装置は、高くなった個所を少なくとも3個所備えた金属薄板の環状片から構成されるものであり、丸底フラスコをこの三つの高くなった部分でしっかり支持することができることから、丸底フラスコを支持するには申し分なく適したものであるが、それ以外のさまざまな容器を支持するのには適していなかった。
【0005】
また、実開平2−79430号公報には、互いにある角度で配された少なくとも三つの側壁部材を備え、これらの側壁部材に容器受け手段を設けてなる精密秤用容器保持装置が記載されているが、側壁部に設けられた凹凸や孔により容器の支持を行っているため、円柱体の容器例えば試験管や注射器の様々な直径に対応することができず、また円柱体の容器の場合、孔に差し込むことにより保持を行うため特定の一定方向からでしか載置することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、径の異なる柱状物の保持を可能にすると共に、それら径の異なる柱状物を簡単な装着操作で確実に直立保持できる柱状物直立保持スタンド、例えば、揮発性試料を再現性良く定量分析する際に使用される様々な柱形状の容器をしっかりと直立保持し、かつ秤量に際し秤量誤差を極力無くし、簡単に秤量操作を行うことのできる柱状物直立保持スタンドを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、等間隔で配設された3本のアームの下端部が柱状物底面の載置部を構成し、該載置部にシリンジが載置されたときに、シリンジの自重によりアームを回動させて、アーム上端の当接部をシリンジの周面に当接させるとシリンジを直立状態に保持することができることを見い出し、またかかる直立保持スタンドを上皿式精密天秤の上皿に載置することにより、数十mg単位の試料が収納されたシリンジをしっかりと直立に保持することができ、秤量に際しての秤量誤差が極めて少なく、再現性良く簡単に秤量操作を行うことができることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、各アームの下端部に柱状物載置部が、上端部に柱状物当接部が設けられた、前後方向に回動可能な複数のアームと、該アームを保持するアーム保持部とを備え、前記載置部に柱状物が載置されたとき、柱状物の自重によりアームを回動させて、アーム上端の当接部を柱状物の周面に当接させることにより柱状物を直立状態に保持することを特徴とする柱状物保持スタンド(請求項1)や、複数のアームが、同心円上に等間隔に配設された3本のアームからなることを特徴とする請求項1記載の柱状物保持スタンド(請求項2)や、柱状物直立保持スタンドが、アームの回動規制手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の柱状物直立保持スタンド(請求項3)や、柱状物が、上皿式精密天秤の上皿中央部分に直立保持する秤量用シリンジであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の柱状物直立保持スタンド(請求項4)に関する。
【0009】
【作用】
本発明の柱状物直立保持スタンドの作用を、3本のアームを備えた柱状物直立保持スタンドを例にとって以下説明する。3本のアーム(10),(10),(10)は、その重心位置がアームの軸支点より外方にあるので、通常は図1に示すように外方に開いる。この状態で、試料を充填した柱状物を隣接するアーム(10),(10)間から載置部(12)上方に持っていき、そのまま下部アーム部材(11),(11),(11)の下端部に形成された載置部(12),(12),(12)で構成する載置面上に載置すると、下部アーム部材(11),(11),(11)の先端部は、柱状物の自重により下方に回動し、下部アーム部材(11),(11),(11)の後端部は上方内方に移動し、さらに、連結部材(14),(14),(14)を介して上部アーム部材(15),(15),(15)は内方に回動し、先端部に設けられた当接部(16),(16),(16)が図2に示すように柱状物の外周面に当接し、柱状物を把持する。また、作業終了後柱状物を持ち上げて、載置面から取り去ると、アーム(10),(10),(10)は、重心位置が上記のとおりであるから自然に広がり、直ちに柱状物の載置が可能な状態になるので、引き続き同様にして秤量作業を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の柱状物保持スタンドは、各アームの下端部に柱状物載置部が、上端部に柱状物当接部が設けられ、前後方向に回動可能な複数のアームと、該アームを保持するアーム保持部とを備え、前記載置部に柱状物が載置されたとき、柱状物の自重によりアームを回動させて、アーム上端の当接部を柱状物の周面に当接させることにより柱状物を直立状態に保持することを特徴とする。
【0011】
本発明における柱状物としては、円柱や角柱の他、傾斜の緩やかな円錐台や角錐台形状のものであればどのような形状のものでもよく、試験管やシリンジを具体的に例示することができる。そして、柱状物が上皿式精密天秤の上皿中央部分に直立保持するための、数十mg単位の試料が収納された秤量用シリンジである場合が特に好ましい。
【0012】
本発明の柱状物保持スタンドにおける複数のアームは、各アームが前後方向に回動可能であり、その下端部に柱状物載置部を、上端部に柱状物当接部を備え、前記載置部に柱状物が載置されたとき、柱状物の自重により各アームを回動させて、アーム上端の当接部を柱状物の周面に当接させることにより、柱状物を直立に保持することができるものであればどのような形状のものでもよく、その場合、アームは一体成型でもよく、また、2部材1間接を有するものや、図1に示すように3部材(上部アーム部材、連結部材及び下部アーム部材)2間接を有するものなど複数の部材から構成されていてもよい。
【0013】
また、アームの数は複数あればよく、同心円上に等間隔に配設された3本のアームからなるものを具体的に挙げることができるが、例えば、4本以上のアームからなる場合は、柱状物の周面をより多くの点で均等に支持することにより正確に垂直に保持することができ、また、2本のアームからなる場合は、当接部を円弧状の当接部材で構成しておくことにより柱状物を垂直に保持することができる。また、アーム上端部の柱状物当接部には、尖端形状や柱状物の形状に合わせた円弧状の当接部材を設けることが好ましいが、かかる当接部材は必ずしも必要とするものでなく、上部アーム部の先端を柱状物の外周に直接接触するようにしてもよい。
【0014】
各アームが前後方向に回動するための軸支点は、アームが外方に開いた状態で柱状物をアーム下端の載置部に載置することができるように、すなわちアームの重心位置がアームの軸支点より外方にあるように、通常アームの下部に設定することが好ましい。そして、かかる軸支点は、通常、アーム下部に穿設された軸孔と、スタンド台上に配設されアームを保持するアーム保持部材に設けられた、アームを前後方向に回動可能に軸支することができる軸とにより構成される。
【0015】
本発明における複数のアームを保持するアーム保持部は、アームが前後方向に回動可能となるように保持しうるものであればどのようなものでもよく、通常スタンド台上にアームの数だけ配設されたアーム保持部材から構成されるが、このアーム保持部をスタンド台と一体に成型することもできる。各アーム保持部材には、各アームが必要以上に外方及び/又は内方に回動しないように、アームの回動規制手段を設けておくこともできる。
【0016】
本発明におけるスタンド台は、通常平板から構成されており、このスタンド台上面には前記アーム保持部材がねじ等により固着されている。また、スタンド台上面中央には、各アームが必要以上に内方に回動しないように、ストッパー部材を設けることができる。一方、スタンド台下面には、本発明の柱状物保持スタンドを例えば上皿式精密天秤の上皿中央部分に水平に載置するための少なくとも3個以上の支持部材を設けることが好ましい。
【0017】
本発明の柱状物保持スタンドは、どのような材質の部材から構成してもよいが、アーム本体やアーム保持部本体やスタンド台本体には、アルミ等の軽量で防錆性かつ薬品耐性に優れた材質を用いることが好ましい。またアーム先端に設けられる当接部材や、スタンド台上面の中央に設けられるストッパー部材やスタンド台下面に設けられる支持部材には、薬品耐性に優れた硬質ゴムを用いることができるが、ストッパー部材にはアームの回動運動による衝撃が天秤本体に伝わらないような衝撃吸収部材、特に中空部材を用いることが好ましく、支持部材としてはアームの回動運動による衝撃が天秤本体にできるだけ伝わらないような、例えば天秤上皿との面接触が小さい逆三角形形状のものが好ましい。
【0018】
【実施例】
以下図面にもとづいて、3本のアームからなる把持部をそなえた、本発明の柱状物保持スタンドの一実施例を説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施例により限定されるものではない。なお、図1は本発明の柱状物直立保持スタンドの柱状物を載置していない状態を示す斜視図、図2は本発明の柱状物直立保持スタンドの柱状物を載置した使用状態を示す斜視図、図3は本発明の柱状物直立保持スタンドの要部をなすアーム部の正面図、図4は本発明の柱状物直立保持スタンドの要部をなすアーム部の側面図である。
【0019】
本発明の柱状物直立保持スタンドは、精密天秤の秤量台等の載置面に安定して載置することができるスタンド台(1)と、3本のアーム(10),(10),(10)と、該アームを前記スタンド台上に前後方向に回動可能に保持するアーム保持部(20),(20),(20)とで構成されており、それら各部は以下のとおりに構成されている。
【0020】
スタンド台(1)は、本発明の柱状物直立保持スタンドを精密天秤の秤量台の平坦な上皿の中央部に安定した状態で水平に載置することができるように、その下面に等間隔で固着されている6個の逆円錐台形状の硬質ゴム製支持部材(2)と、各アームが必要以上に内方に回動しないように、その上面中央に固着されている中空硬質ゴム製ストッパー部材(3)とを備えている。
【0021】
各アーム(10)は、下部アーム部材(11)と上部アーム部材(15)と該両アーム部材を連結する連結部材(14)とで構成されており、アルミニウム板で形成された下部アーム部材(11)は、その中途部に軸孔(13)が穿設されており、アーム保持部(20)に設けた軸(21)に前後方向に回動可能に軸支されている。また、下部アーム部材(11)の先端には柱状物を載置するための載置部(12)が形成されており、柱状物を載置することにより下部アーム部材(11)が回動して載置部(12)の下面が前記スタンド台(1)の上面中央に設けられたストッパー部材(3)の上面と当接したとき、すなわち下部アーム部材(11)が最下点まで回動したとき、上方から見ると凹部を設けたようなほぼ水平な柱状物載置面を構成するようになっており、またその際、載置部の先端を結ぶ仮想円の直径が、載置予定の中で最小径の柱状物の直径より小さくなるように構成されている。また、後述するように、アームの外方への回動範囲は規制されているので、載置面は常に載置可能な状態になっており、何らの操作をすることなく柱状物を載置することができる。
【0022】
上部アーム部材(15)は、アルミニウム板で形成され、その先端部には、柱状物と当接することにより把持する硬質ゴム製の当接部材(16)が上部アーム部材にねじ(30)止めされた取付部材(17)によって取り付けられている。また、連結部(14)は、2枚の同形のアルミニウム板で形成され、下端部で下部アーム部材(11)の後端部を挟持した状態でねじ(31)止めし、上端部で上部アーム部材(15)の後端部を挟持した状態でねじ(32)止めしてアーム(10)を構成するようになっている。
【0023】
これらアーム(10)を構成する上記3部材は、柱状物を載置していない状態のときには、それら部材の自重によりアーム(10),(10),(10)が外方に回動するようにその重心位置を下部アーム部材(11),(11),(11)の軸支点より外方に位置させてアーム(10),(10),(10)が外方に回動するように、また、柱状物を載置したときには、柱状物の重量によりアーム(10),(10),(10)が外方へ回動しようとする力に抗してアーム(10),(10),(10)が内方に回動するように、その寸法及び重量が決定されている。
【0024】
アーム保持部材(20)は、アーム(10)を回転可能に保持する軸(21)を備えた垂直保持部(22)と、該保持部材をスタンド台(1)上に取り付ける水平取付部(23)とからなる一対のアングル材をアームストッパー部(24)を挟持した状態で、かつ下部アーム部材(11)が軸(21)で軸支された状態でねじ(33)止めし、個々のアーム保持部材(20)を構成するようになっている。そして、このようにして構成したアーム保持部材(20)を3個、スタンド台部(1)上に同心円上に等間隔に配置しねじ(34)により固定してアーム保持部(20),(20),(20)を構成している。また、アーム保持部材(20)の垂直保持部(22)間に挟持されたアームストッパー部(24)は、その一端に下部アーム部材(11)が当接することによりアーム(10)の外方への回動を規制して、下部アーム部材(11)の先端部に形成される載置部(12),(12),(12)からなる載置面を、常時柱状物の載置可能な状態にしておくためのものであるが、例えば、スタンド台上面にアームの回動量を規制する手段を設けられている場合は必ずしも必要とするものではない。
【0025】
【発明の効果】
上記の構成を備える本発明の柱状物直立保持スタンドは、隣接するアーム間から柱状物を挿入載置できるので、保持孔に上方から挿入する従来のものに比べ柱状物の載置が容易であり、また、柱状物の同一高さ部分を均等に把持することにより柱状物を垂直に保持することができる。その際の把持力は、柱状物の自重に基づくので、柱状物に過大な締付け力を加えることがなく、柱状物を損傷させる畏れがない。そしてまた、アーム部材を外方から内方へ回動させ、当接部を柱状物の外周に当接して把持するものであるから、径の異なる柱状物への適用が可能である。また、シリンジ等を秤量台の中心部に柱状物直立保持スタンドを介して直立状態に保持して秤量することができるので、四隅誤差に起因する秤量誤差を避けることができる。さらに、ストッパー部材やスタンド台の支持部材がアームの回動運動による衝撃を天秤本体に伝えないような構造となっているため、秤量精度を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の柱状物直立保持スタンドの柱状物を載置していない状態を示す斜視図である。
【図2】 本発明の柱状物直立保持スタンドの、柱状物を載置した使用状態を示す斜視図である。
【図3】 本発明の柱状物直立保持スタンドの要部をなすアーム部の正面図である。
【図4】 本発明の柱状物直立保持スタンドの要部をなすアーム部の側面図である。
【符号の説明】
1:スタンド台 2:支持部材
3:ストッパー部材 10:アーム
11:下部アーム部材 12:載置部
13:軸孔 14:連結部材
15:上部アーム部材 16:当接部材
17:取付部材 20:アーム保持部材
21:軸 22:アーム保持部材の垂直保持部
23:アーム保持部材の水平取付部 24:アームストッパー部
30〜34:ねじ
Claims (4)
- 各アームの下端部に柱状物載置部が、上端部に柱状物当接部が設けられた、前後方向に回動可能な複数のアームと、該アームを保持するアーム保持部とを備え、前記載置部に柱状物が載置されたとき、柱状物の自重によりアームを回動させて、アーム上端の当接部を柱状物の周面に当接させることにより柱状物を直立状態に保持することを特徴とする柱状物保持スタンド。
- 複数のアームが、同心円上に等間隔に配設された3本のアームからなることを特徴とする請求項1記載の柱状物保持スタンド。
- 柱状物直立保持スタンドが、アームの回動規制手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の柱状物直立保持スタンド。
- 柱状物が、上皿式精密天秤の上皿中央部分に直立保持する秤量用シリンジであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の柱状物直立保持スタンド。
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