JP3957497B2 - 円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は円筒状繊維補強ゴム成形体の製造技術に関し、詳しくは、ゴムホース、高圧ホース等のホース類や、可とう管継手、空気バネ、防舷材などに用いられる円筒状繊維補強ゴム成形体の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム、補強コードを円筒状に積層して、繊維補強層を有するホース類や可とう管などの円筒状ゴム成形体は、補強コードを長手方向軸に対して40〜60°傾斜したバイアスコードとして、互いに相対する2方向あるいは4方向に形成して構成されている。このような繊維補強ゴム成形体を連続的に製造する方法としては、複数の補強コードを巻き付けるブレーディング法、予めゴム被覆した簾状の幅広コードを所定幅に切断して夫々を交互に巻き付ける方法などが採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブレーディング法は、連続的に成形体を製造する方法ではあるが、ゴムを被覆しない補強コードを巻き付けるようにしているため、その後の工程でゴムを刷り込む必要があって、作業工程が増えたり、又、コード間にゴムを埋入させる必要があるため、コード間を所定間隔にしなければならず、高密度にコードを配置することができないという問題がある。しかも、コードにゴムを被覆していないため、コードを一方向の角度に先行して巻き付けることはできず、2方向同時に巻き付ける必要があるため、コード間摩擦が生じる場合があり、変位が繰り返される空気ばね等には使用できないという問題があった。
【0004】
簾状の幅広コードを夫々を交互に巻き付ける方法は、冷間で貼り付けるようにしているので積層時の接着力が弱く、しかも簾状の幅広コードを複数枚用意して交互に貼り付けるようにしているので、少なくない材料ロスが発生することから歩留りが低く、かつ工数が多くなり、それだけ生産コストの上昇を招くという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、コード間摩擦を生じさせることなく、かつ工程の増加をもたらすことなく高密度に補強コードを巻き付けることが可能な円筒状繊維補強ゴム成形体を、高い生産性で生産可能にする円筒状繊維補強ゴム成形体の製造技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法の特徴構成は、押出装置を用いた、内側ゴム層と繊維補強層と外側ゴム層とを有する円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法において、円筒状マンドレルの外周面に70〜100℃に加熱した未加硫ゴムを積層して前記内側ゴム層を形成し、この内側ゴム層を形成後、前記押出装置のダイス内を往復動可能な前記マンドレルを前進させつつ一方向に回転させ、前記マンドレルの進行方向に対して所定角度を有する多数の補強コードを、前記ダイスの内側に装着され前記補強コードの1本を挿通可能なコード排出口を多数有する円筒口金を介して、前記マンドレルの外周面に形成した前記内側ゴム層の外周面に70〜100℃に加熱した未加硫ゴムと共に所定断面を有するトッピングコードとして積層させて前記繊維補強層を形成し、形成された前記繊維補強層上に前記外側ゴム層を積層後、前記マンドレルを取り外すことによって得られることにある。
【0007】
この構成によれば、円筒状マンドレルの外周面に連続的に供給される未加硫ゴムと補強コードとが一体化され、マンドレルの進行速度と回転速度を適宜調整することにより、円筒状マンドレルの長手方向に所定角度傾斜して装着することができ、しかも、供給される補強コードを多数本にすることによって容易に高密度にできるので、高強度な繊維補強ゴム成形体を製造することができる。更に、マンドレルの回転動作により補強コードの角度が変わり、巻き付けた補強コードが縮径作用して、未加硫ゴムに対する締付力が働いて接合力が高まる。しかも、未加硫ゴムの押出は加温状態で行われるので、未加硫ゴムに対する補強コードの積層は強固な接合状態が達成され、接着不良が生じるのを確実に低減できる。
【0008】
その結果、コード間摩擦を生じさせることなく、かつ殊更工程の増加をもたらすことなく高密度に補強コードを巻き付けることが可能な円筒状繊維補強ゴム成形体を、高い生産性で生産可能にする円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法を提供することができた。
【0009】
前記マンドレルを前進させつつ回転させてその外周面に補強コードを装着した後、更に、前記マンドレルを回転させつつ後退させて、装着した前記補強コード上に新たに補強コードを装着することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、形成されたバイアスコード上に更にこれに交差する方向に、マンドレルの往復動作のみで、もう一層のバイアスコードを積層できて、容易に2プライのバイアスコードを積層できることになり、一層高い強度の円筒状繊維補強ゴム成形体を、歩留りを低下させることなく製造できることになる。
【0011】
前記コード排出口は、前記円筒口金の円周方向に互いに僅かにずらされた2段に形成されており、前記補強コードは、ナイロン6、ナイロン6,6、レーヨン、ポリエステル、ビニロン、アラミド繊維から選ばれた繊維コードを芯材とすることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、繊維コードとしての強度が高く、これら繊維と未加硫ゴムとの接合性が良いので、強固な補強コードが得られ、各種ホース類、可とう管継手、空気ばね等の成形体、あるいは中間体として好適に使用される。繊維コードとしては、235〜2100dtex/2程度のものが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る円筒状繊維補強ゴム成形体を製造する押出装置の概略構造を示す。この押出装置は、芯材となるマンドレル1に直交する位置に押出装置本体2が配置されていて(クロスヘッドタイプ)、前進するマンドレル1の外周にダイス5を介して均一に未加硫ゴムを被覆するようになっていると共に、被覆された未加硫ゴム上に、未加硫ゴムと共に多数本の補強コード3を高密度に積層可能な円筒口金4がダイス5の内側に装着されている。
【0022】
補強コード3は所定サイズの繊維コードを芯材として備え、この繊維コード上に未加硫ゴムが一体化されてトッピングコード(被覆コード)となる。繊維コードとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、レーヨン、ポリエステル、ビニロン、アラミド繊維などを使用できる。被覆ゴムとしては、合成ゴム、天然ゴムなど種々のものを使用可能である。繊維コードは、図示はしないが、多数のリール等により個別に巻き付けられており、リールから多数本の繊維コードが順次円筒口金4に繰り出されて、円筒口金4の出側から未加硫ゴム6に被覆・一体化されて、被覆されたトッピング(モノ)コード3となる。
【0023】
トッピングコード3の断面形状は、用途などに応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。具体例を図4に示す。図4(a)は菱形ないし平行四辺形に近い断面を有する例であり、図4(b)は正方形、図4(c)は円形、図4(d)は台形である。いずれも繊維コード3aは未加硫ゴム6により被覆されている。未加硫ゴム組成物の層の厚さは、設定コード間隔に応じて適宜設定される。
【0024】
円筒口金4は、図5,6に示すように、押出装置本体2から供給される未加硫ゴム6で被覆されるマンドレル1を通す中心孔4aと、この中心孔4aの外周近傍に中心孔4aの周囲を同心円状に取り囲むように穿たれている多数のコード排出口4bと、押出装置本体2に装着するためのボルト挿通孔4eを備えたフランジ部4c等からなる。コード排出口4bは、高密度に繊維コードを繰り出し可能に、円周方向に互いに僅かにずらされた2段に形成されていて、夫々が1本の繊維コードを挿通するようになっている。そして、出側のダイス5と円筒口金4の先端部4dとの間の供給流路7に供給される未加硫ゴムが、コード排出口4bより排出される繊維コード表面を被覆する。つまり、円筒口金4から排出される補強コード3は被覆コードになり、この被覆コードがマンドレル上に対して円筒状に高密度にトッピングされるようになる。
【0025】
次に、上記押出装置を用いて円筒状繊維補強ゴム成形体を製造する方法を、図1〜3を参照して説明する。
【0026】
(1)マンドレル1を円筒口金4の出側に向けて前進させつつ、押出装置本体2から円筒口金4とダイス5の間に、マンドレル1の進行速度に合わせて未加硫ゴムを供給して、マンドレル1の進行に応じてマンドレル1の円周表面上に未加硫ゴムを被覆する(内側ゴム層の形成)。
【0027】
(2)内側ゴム層を形成した後、再度、マンドレル1をダイス5内を通して、内側ゴム層上に未加硫ゴムと共に繊維コードとを供給・被覆していく。この場合は、マンドレル1の進行に合わせて、マンドレル1を緩速度で一方向に回転させていくと、図2に示すように、マンドレル1の円周上にマンドレル1の進行方向とは所定角度傾斜して補強コードが装着される(1プライのバイアスコードの形成。繊維補強層の形成)。
【0028】
(3)マンドレル1をその終端近傍まで進行させると停止させ、次いで、同方向の回転を維持したままマンドレル1を後退させていくと、図3に示すように、先に被覆された補強ゴムを圧着しつつ、装着された補強コードとは逆方向に補強コードが装着されていく(2プライのバイアスコードの形成。繊維補強層の形成)。
【0029】
このようにして、マンドレル1の進行方向を変えるだけだけで、容易に2プライのバイアスコードが形成された補強ゴム層を形成することができ、従来技術に比べて極めて短時間に形成できることになる。この場合、押出装置本体2から供給される未加硫ゴムは、流動性を高めるために予め70〜100℃程度に加熱されているので、マンドレル1上に被覆されて時間経過するに伴い、冷却固化してマンドレル上で強く接圧されて、被覆強度を高くする。従って、補強コードと被覆ゴムとを、別にステッチャーロール等を用意して圧着させる必要はない。
【0030】
(4)マンドレル1上への補強コードの装着が終了すると、切断機(図示略)により円筒口金4の出口付近から補強コードを切断し、必要に応じて、もう一層未加硫ゴムを外側ゴム層として積層して冷却・固化させる(外側ゴム層の形成)。
【0031】
その後、マンドレルを引き抜いて円筒状繊維補強ゴム成形体が得られることになる。この成形体の一端部または両端部にフランジ、ネジ口金その他の接続器具を取り付けると、各種ホース類や可とう管継手などが形成される。
【0032】
〔別実施の形態〕
(1) マンドレルを先進させつつ回転させてその外周面に補強コードを装着した後、更に、マンドレルを後退させつつ緩速度で回転させて、装着した前記補強コード上に新たに補強コードを被覆・装着するのを、往復のみならず、更に複数回繰り返してもよい。このようにすると、マンドレルを往復回数を増やすだけで、容易に角度の異なる補強コードを多重に装着することができる。
【0033】
(2) 補強コードを装着した後、金属製リングを装着し、更に、その上に未加硫ゴムを被着して耐外圧強度を高める用途に用いてもよい。
【0034】
(3) 本発明に係る円筒状繊維補強ゴム成形体は、コード間摩擦を生じることがないため、繰り返し応力がかかる空気ばね等に対しても好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法に用いる押出装置の概略構成斜視図
【図2】円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法を説明する斜視図
【図3】円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法を説明する斜視図
【図4】トッピングコードの断面形状例を示す図
【図5】図1の押出装置に装着される円筒口金の正断面図
【図6】図5の円筒口金の側面図
Claims (3)
- 押出装置を用いた、内側ゴム層と繊維補強層と外側ゴム層とを有する円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法において、
円筒状マンドレルの外周面に70〜100℃に加熱した未加硫ゴムを積層して前記内側ゴム層を形成し、この内側ゴム層を形成後、前記押出装置のダイス内を往復動可能な前記マンドレルを前進させつつ一方向に回転させ、前記マンドレルの進行方向に対して所定角度を有する多数の補強コードを、前記ダイスの内側に装着され前記補強コードの1本を挿通可能なコード排出口を多数有する円筒口金を介して、前記マンドレルの外周面に形成した前記内側ゴム層の外周面に70〜100℃に加熱した未加硫ゴムと共に所定断面を有するトッピングコードとして積層させて前記繊維補強層を形成し、形成された前記繊維補強層上に前記外側ゴム層を積層後、前記マンドレルを取り外すことによって得られる円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法。 - 前記マンドレルを前進させつつ回転させてその外周面に補強コードを装着した後、更に、前記マンドレルを回転させつつ後退させて、装着した前記補強コード上に新たに補強コードを装着する請求項1の円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法。
- 前記コード排出口は、前記円筒口金の円周方向に互いに僅かにずらされた2段に形成されており、前記補強コードは、ナイロン6、ナイロン6,6、レーヨン、ポリエステル、ビニロン、アラミド繊維から選ばれた繊維コードを芯材とする請求項1又は2の円筒状繊維補強ゴム成形体の製造方法。
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