JP3953430B2 - 筒内噴射式内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼室がペントルーフ型の筒内噴射式内燃機関に関し、詳細には、その燃焼室の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関において、燃焼室内に供給された燃料または混合気が燃焼室およびシリンダ孔を形成する壁面のうちで比較的低温の壁面、例えばシリンダヘッドの壁面やシリンダの壁面に接触すると、燃料の温度が低下して、未燃焼の燃料または燃料が不完全燃焼することで生成されるすすや一酸化炭素などの中間生成物が、排気ガスと一緒に排出されて、排気エミッション性能が低下し、また機関出力が低下する。
【0003】
そこで、シリンダ壁面との接触による燃料の温度低下を防止して、未燃焼の燃料および中間生成物の排出を減少させるために、例えば特許文献1に開示された内燃機関が知られている。この内燃機関は、圧縮熱により混合気に自着火を生じさせる圧縮自着火内燃機関であり、ガスインジェクタからピストンの頂面に形成された燃焼室に向け噴射された空気とガス燃料との混合気がシリンダ壁面近傍領域など低温領域に拡散しないように、混合気の流れを案内する形状に燃焼室が形成される。
【0004】
一方、内燃機関の高出力化を図るために、吸気弁により開閉される吸気口の面積を大きくして、吸気効率を増加させることができるように、シリンダヘッドに形成される燃焼室の形状をペントルーフ型とする内燃機関も知られている。例えば特許文献2に開示された内燃機関では、ピストンの頂面の隆起部に、凹部から構成されるボウルが設けられ、該ボウルに向けて燃料噴射弁から燃料が噴射される。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−65350号公報
【特許文献2】
特開2000−8863号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1記載の内燃機関では、燃焼室はピストンの平坦な頂面に形成された凹部で構成されるものであり、このような燃焼室を特許文献2のペントルーフ型燃焼室を有する内燃機関の隆起部を有するピストンに適用しようとすると、隆起部の高さが低い部分では、凹部の周壁面の高さも低くなるため、燃料が前記低温領域に拡散しやすくなる。そこで、燃料が前記低温領域に拡散して低温の壁面に接触しないようにするために、ピストンの隆起部に形成される凹部の容積を大きくすると、燃料の拡散は抑制されるものの、圧縮比の低下を招来して混合気の自着火が困難になる。一方、圧縮比を高めるために、凹部の容積を小さくすると、燃料が前記低温領域に拡散することを抑制することが困難になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜記載の発明は、燃焼室がペントルーフ型の筒内噴射式内燃機関において、圧縮比の低下および燃料の拡散を抑制すると共に燃料と空気との混合または燃料の霧化を促進して、排気エミッション性能および機関出力の向上を図ることを目的とする。そして、請求項4記載の発明は、さらに、高圧縮比の確保を容易にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、ペントルーフ型の燃焼室を形成するシリンダヘッドと、シリンダに往復動可能に嵌合されて前記燃焼室の天井壁面に向かって隆起する隆起部が形成された頂面を有するピストンと、前記燃焼室に臨んで設けられ前記隆起部に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁とを備える筒内噴射式内燃機関において、前記隆起部には、凹部と、突出部と、前記凹部および前記突出部を含むと共に前記燃料噴射弁からの燃料噴流を受ける受け部と、吸気弁または排気弁との接触を回避するバルブリセスと、前記凹部内の燃料を前記バルブリセスに案内する案内部とが形成され、前記突出部は、前記凹部内に位置して前記燃料噴流に対向するように前記凹部の底壁面から上方に突出しており、前記突出部の側面は、前記バルブリセスの底壁面の一部分および前記案内部の最低部よりも上方に位置する上部を有し、前記燃料噴流は、前記受け部において、前記凹部および前記突出部により構成される凹凸構造に当たると共に、前記上部を含む前記側面に上方から当たって反射した後、平面視で前記案内部に向かう燃料流に偏向され、前記側面で反射した前記燃料流は、前記案内部を流れて前記バルブリセスに流入する筒内噴射式内燃機関である。
【0009】
これによれば、燃料噴流は受け部の凹部に向けられるので、凹部で反射した燃料が燃焼室において比較的低温の低温領域である天井壁面近傍領域に拡散することが抑制されて、その燃料が比較的低温の天井壁面に接触する割合が減少する。また、燃料噴流が受け部の凹部および突出部からなる凹凸構造に当たるため、燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。さらに、受け部の突出部により燃焼室の容積が減少するので、圧縮比の低下が抑制される。そして、受け部の容積が突出部の分だけ小さくなるにも拘わらず、案内部により凹部内の燃料がバルブリセスに流入するように案内されるので、燃料が前記低温領域に拡散することが抑制されるうえ、凹部内の燃料が案内部を流れてバルブリセスに流入することにより、燃料と空気との混合または燃料の霧化が行われる。
【0010】
この結果、請求項1記載の発明は、次の効果を奏する。すなわち、高圧縮比が確保されて、自着火による燃焼を可能としたうえで、燃料噴射弁から噴射された燃料が、前記低温領域である天井壁面近傍領域に拡散することが抑制されて、比較的低温の天井壁面に接触する割合が減少し、しかも燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進されて燃焼性が向上するので、自着火が容易になるうえ、未燃焼の燃料や不完全燃焼により生じる中間生成物が排気ガス中に排出される割合が減少して、排気エミッション性能および機関出力が向上する。
また、突出部の側面により燃料噴流が案内部に向かうように偏向され、さらに燃料流が突出部の側面よりも下方に位置するバルブリセスに流入しやすくなるので、燃料が前記低温領域に拡散することが一層抑制されるうえ、凹部内の燃料が案内部を流れてバルブリセスに流入することによる燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。
さらに、側面の上部に当たった後の燃料が、該上部よりも下方に位置する最低部および各バルブリセスに流入する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の筒内噴射式内燃機関において、前記突出部の前記側面は前記案内部に向くように傾斜した平面からなるものである。
【0012】
これによれば、側面で反射した燃料の多くが、効率よく案内部に向かって流れ、さらにバルブリセスに流入するので、凹部内の燃料が前記低温領域に拡散することが一層抑制され、また案内部を流れてバルブリセスに流入することによる燃料と空気との混合または燃料の霧化が一層促進される。さらに、バルブリセス内に旋回流が形成される場合は、その旋回流が強められて、燃料と空気との混合または燃料の霧化がさらに促進される。
これらの点に基づいて、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果がさらに高められた効果を奏する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の筒内噴射式内燃機関において、前記案内部は、前記凹部から前記バルブリセスに流入する燃料が前記バルブリセス内で旋回流を生成するように形成されているものである。
【0014】
これによれば、バルブリセス内に生成される旋回流により、燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。
この点に基づいて、請求項3記載の発明は、引用された請求項記載の発明の効果がさらに高められた効果を奏する。
【0017】
請求項4記載の発明は、ペントルーフ型の燃焼室を形成するシリンダヘッドと、シリンダに往復動可能に嵌合されて前記燃焼室の天井壁面に向かって隆起する隆起部が形成された頂面を有するピストンと、前記燃焼室に臨んで設けられ前記隆起部に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁とを備える筒内噴射式内燃機関において、前記隆起部には、凹部と、突出部と、前記凹部および前記突出部を含むと共に前記燃料噴射弁からの燃料噴流を受ける受け部と、吸気弁または排気弁との接触を回避するバルブリセスと、前記凹部内の燃料を前記バルブリセスに案内する案内部とが形成され、前記凹部は、前記バルブリセスに連通すると共に前記案内部を兼ねる溝からなり、前記突出部は、前記溝の底壁面から燃料噴流に対向するように上方に突出して前記溝の側壁を構成し、前記燃料噴流は、前記受け部において、前記凹部および前記突出部により構成される凹凸構造に当たると共に、前記バルブリセスの底壁面の一部分よりも上方に位置する前記溝の前記底壁面に上方から当たって反射した後、平面視で前記バルブリセスに向かう燃料流に偏向され、前記溝の前記底壁面で反射した前記燃料流は、前記案内部を流れて前記バルブリセスに流入し、前記バルブリセスの底壁面には窪みが形成され、前記溝は前記バルブリセスの前記底壁面に形成されて前記バルブリセス内で延びており、前記溝の端部が、前記溝よりも深く形成された前記窪みに開放する筒内噴射式内燃機関である。
【0018】
これによれば、燃料噴流は受け部の凹部に向けられるので、凹部で反射した燃料が燃焼室において比較的低温の低温領域である天井壁面近傍領域に拡散することが抑制されて、その燃料が比較的低温の天井壁面に接触する割合が減少する。また、燃料噴流が受け部の凹部および突出部からなる凹凸構造に当たるため、燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。さらに、受け部の突出部により燃焼室の容積が減少するので、圧縮比の低下が抑制される。そして、受け部の容積が突出部の分だけ小さくなるにも拘わらず、案内部により凹部内の燃料がバルブリセスに流入するように案内されるので、燃料が前記低温領域に拡散することが抑制されるうえ、凹部内の燃料が案内部を流れてバルブリセスに流入することにより、燃料と空気との混合または燃料の霧化が行われる。
この結果、請求項4記載の発明は、次の効果を奏する。すなわち、高圧縮比が確保されて、自着火による燃焼を可能としたうえで、燃料噴射弁から噴射された燃料が、前記低温領域である天井壁面近傍領域に拡散することが抑制されて、比較的低温の天井壁面に接触する割合が減少し、しかも燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進されて燃焼性が向上するので、自着火が容易になるうえ、未燃焼の燃料や不完全燃焼により生じる中間生成物が排気ガス中に排出される割合が減少して、排気エミッション性能および機関出力が向上する。
また、凹部の底壁面により燃料噴流が案内部に向かうように偏向され、さらに燃料流が凹部の底壁面よりも下方に位置するバルブリセスに流入しやすくなるので、燃料が前記低温領域に拡散することが一層抑制されるうえ、凹部内の燃料が案内部を流れてバルブリセスに流入することによる燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。
さらに、凹部は溝から構成され、該溝が案内部を兼ね、突出部が溝の側壁であるので、隆起部に形成されて燃焼室の容積拡大につながる凹みを減少させることができる。また、凹部を構成する溝内の燃料が該溝を流れて円滑にバルブリセスに流入するので、隆起部で反射した燃料が天井壁面近傍領域に拡散することが抑制されて、その燃料が比較的低温の天井壁面に接触する割合が減少する。
【0020】
さらに、バルブリセスに流入した燃料が窪みに流入して、バルブリセス内での燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。また、凹部を構成する溝の容積を小さくして高圧縮比を維持する場合にも、該溝のより多く燃料を、該溝を通じて円滑に、窪みにより容積が拡大されたバルブリセス内に導くことができるので、燃料が前記低温領域に拡散することが抑制される。
また、凹部を構成する溝の燃料が、該溝を流れて窪み内に直接流入するので、その直接流入する燃料によりバルブリセス内での燃料と空気との混合または燃料の霧化が一層促進される。
【0021】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項記載の筒内噴射式内燃機関において、前記バルブリセスは、前記吸気弁との接触を回避する吸気側バルブリセスおよび前記排気弁との接触を回避する排気側バルブリセスであり、前記案内部は、前記凹部内の燃料を前記吸気側バルブリセスに案内する吸気側案内部および前記排気側バルブリセスに案内する排気側案内部であるものである。
【0023】
なお、この明細書において、特に断らない限り、上方向は、シリンダ軸線の方向において、ピストンの下死点に対してその上死点が位置する方向であるとする。また、径方向とは、シリンダ軸線を中心とする放射方向を意味し、周方向とは、シリンダ軸線を中心とする円周方向を意味する。また、平面視とは、シリンダ軸線方向から見ることを意味する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1から図9を参照して説明する。
図1〜図5は、本発明の第1実施例を説明するための図である。図1〜図3を参照すると、本発明が適用された筒内噴射式内燃機関は、圧縮熱により自着火が可能な4ストローク内燃機関である。前記内燃機関は、コンロッドを介してクランク軸を回転駆動するピストン3が往復動可能に嵌合するシリンダ孔1a1がそれぞれ形成された複数のシリンダ1aを有するシリンダブロック1と、シリンダブロック1の上端部に結合されるシリンダヘッド2とを備える。シリンダブロック1およびシリンダヘッド2には、それぞれ冷却水が流通するウォータジャケット1b,2bが形成されている。
【0025】
シリンダヘッド2と各ピストン3との間には燃焼室4が形成され、燃焼室4に臨む燃料噴射弁5および点火栓(不図示)が、シリンダヘッド2に取り付けられる。さらに、シリンダヘッド2には、燃焼室4毎に、吸気装置の吸気通路に接続されて吸入空気を燃焼室4に導く吸気ポートと、排気装置の排気通路に接続されて燃焼ガスを排気ガスとして前記内燃機関の外部に排出する排気ポートとが形成される。
【0026】
前記吸気ポートは燃焼室4に開放する1対の吸気口を有し、前記排気ポートは燃焼室4に開放する1対の排気口を有する。前記両吸気口および前記両排気口は、シリンダヘッド2に往復動可能に支持されたポペット弁からなる1対の吸気弁および1対の排気弁によりそれぞれ開閉される。
【0027】
前記各吸気弁および前記各排気弁を開閉作動させる動弁装置は、タイミングベルトなどを備える伝動機構を介して前記クランク軸に駆動連結されると共に該クランク軸の1/2の回転速度で回転駆動されるカム軸を備える。そして、該カム軸に形成されたカムが、カムフォロアを介して前記各吸気弁および前記各排気弁を、前記クランク軸の回転に同期した所定のタイミングで開閉する。
【0028】
また、図示されない制御装置により機関運転状態に応じて噴射燃料量および噴射時期が制御される燃料噴射弁5は、シリンダヘッド2に装着された状態で、燃焼室4の中心である中心線L2と一致する中心軸線を有する。中心線L2は、シリンダ軸線L1に平行であり、かつシリンダ軸線L1の近傍範囲に位置する。そして、燃料噴射弁5は、後述する隆起部の受け部を指向する噴流中心線を有する円錐状の噴流の形態で、液体燃料と空気とが予め混合された状態の混合気を燃焼室4に噴射する。ここで、前記噴流中心線は中心線L2にほぼ一致する。また、前記液体燃料としては、例えばガソリンやメタノールが使用される。
【0029】
各燃焼室4は、シリンダ孔1a1にシリンダ軸線方向A1(上下方向)で対向する範囲内でのシリンダヘッド2の下面2aとピストン3の頂面3aとの間に形成される。下面2aには凹部6が形成されており、該凹部6の壁面を構成する下面2aの一部がペントルーフ型の燃焼室4を形成する天井壁面7を構成する。
【0030】
天井壁面7は、前記クランク軸の回転中心線に平行で、かつ中心線L2を含む平面である中心面P1に直交する方向A2(この直交方向A2は平面視で前記クランク軸の回転中心線に直交する方向である。)において、燃焼室4の周縁部から該中心面P1に向かうにつれて上方に傾斜する1対の傾斜面である吸気側傾斜面7iと排気側傾斜面7eとを有する。そして、吸気側傾斜面7iに前記1対の吸気口が開口し、排気側傾斜面7eに前記1対の排気口が開口し、燃料噴射弁5は、両傾斜面7i,7eが交差する位置で燃焼室4に臨んでいる。さらに、天井壁面7において、前記1対の吸気弁、前記1対の排気弁および前記点火栓は、燃料噴射弁5の周囲に周方向に間隔をおいて配置される。
【0031】
併せて図4,図5を参照すると、ピストン3の頂面3aには、シリンダ軸線L1に直交する平面上にほぼ位置すると共に頂面3aの外周縁部寄りに位置する平坦部10と、平坦部10から天井壁面7に向かって上方に隆起する隆起部11とが形成される。隆起部11には、中心線L2を中心とした凹部12と、凹部12内の中心に位置して前記噴流中心線とほぼ一致する軸線を有する円錐台状の突出部13と、凹部12の少なくとも一部および突出部13の全体を含むと共に燃料噴射弁5から噴射された燃料噴流を受けるように燃料噴流の噴流範囲R内(図4には、隆起部11における噴流範囲Rの外周にほぼ相当する部分が二点鎖線で示されている。)に位置する部分である受け部14と、前記1対の吸気弁のバルブヘッドとの接触をそれぞれ回避する第1,第2吸気側バルブリセス15,16と、前記1対の排気弁のバルブヘッドとの接触をそれぞれ回避する第1,第2排気側バルブリセス17,18とが形成される。ここで、燃料噴流とは、燃料噴射弁5から噴射されて頂面3aに達するまでの混合気または燃料の流れである。
【0032】
突出部13の存在により環状の空間、ここではほぼ円環状の空間が大部分を占める凹部12は、平坦部10よりもやや低い位置にあるほぼ円環状の平面からなる底壁面12aと、底壁面12aから上方に延びると共に中心線L2の周方向に高さが異なる外側の周壁面12bと、突出部13の側面13aおよび最上面13bにより規定される。周壁面12bの上端部により規定される凹部12の開口12aは、平面視で概ね円形(図4参照)であり、ほぼ全体が噴流範囲R内に位置する。したがって、凹部12および突出部13よりも上方に位置する燃料噴射弁5から受け部14に向けられた燃料噴流のうち、噴流範囲R内に全体がほぼ収まる底壁面12aで反射する燃料は、平坦部10よりもやや低い位置にある底壁面12aと周壁面12bとにより、燃焼室4において比較的低温の低温領域である天井壁面7近傍領域に拡散することが抑制される。
【0033】
突出部13は、底壁面12aから燃料噴流に対向するように燃料噴射弁5に向かって上方に突出すると共に、噴流範囲R内に収まる位置に形成される。突出部13の外周面である側面13aは、下方に向かうにつれて径方向外方に広がる円錐面により構成される。それゆえ、側面13aは、受け部14の中心部、具体的には中心線L2から頂面3aの外周縁部に向かうにつれて下方に傾斜することにより、後述する各食い込み部21,22に向くように傾斜した傾斜面である。また、突出部13の高さは、その平坦な最上面13bが、各食い込み部21,22の後述する最高部21a,22aよりも低く、最低部21b,22bよりも高い位置を占めるような高さに設定されている。
【0034】
凹部12は、各バルブリセス15〜18において燃焼室4の中心寄りの部分で、各バルブリセス15〜18に食い込んで形成される吸気側食い込み部21および排気側食い込み部22を有する。そして、各食い込み部21,22では、周壁面12bの高さが周方向で異なることにより、凹部12で受けた燃料噴流のうち、より多くの燃料が、該周壁面12bの高さがより低い低壁部分21d,22d寄りから各バルブリセス15〜18内に流入する。そのため、該低壁部分21d,22dから各バルブリセス15〜18に流入するより多くの燃料の流れにより、各バルブリセス15〜18内にシリンダ軸線L1にほぼ平行な軸線回りの旋回流S1(図4参照)が生成される。
【0035】
具体的には、第1,第2吸気側バルブリセス15,16の底壁面15a,16aが吸気側傾斜面7iにほぼ平行に傾斜していること、および第1,第2排気側バルブリセス17,18の底壁面17a,18aが排気側傾斜面7eにほぼ平行に傾斜していることにより、各食い込み部21,22では、前記中心面P1から直交方向A2に離れるにつれて次第に周壁面12bの高さが低くなる。それゆえ、平面視で周方向に延びる各食い込み部21,22において、直交方向A2で中心面P1に最も近い一方の端部が最も高い周壁面12bを有する最高部21a,22aとなり、直交方向A2で中心面P1から最も離れている他方の端部が最も低い周壁面12bを有する最低部21b,22bとなる。そして、凹部12内の燃料は、最低部21b,22bを有する低壁部分21d,22dから各バルブリセス15〜18内に流入しやすくなる。それゆえ、各食い込み部21,22は、凹部12と各バルブリセス15〜18とを連通させると共に、凹部12からの燃料を各バルブリセス15〜18に案内して、凹部12から各バルブリセス15〜18に流入する燃料が各バルブリセス15〜18内で旋回流を生成するように形成された案内部を構成する。
【0036】
さらに、周壁面12bの高さがより高い高壁部分21c,22cは、最上面13bを含む平面P2に対して上方側に位置する一方、低壁部分21d,22dは、平面P2に対して下方側に位置するため、突出部13の側面13aの一部分である上部は、各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aの一部分、すなわち平面P2よりも下方に位置する底壁面15a〜18aの部分および最低部 21b 22bよりも上方に位置する。
【0037】
そして、第1吸気側バルブリセス15と第2吸気側バルブリセス16では、互いに反対方向の旋回流が生成され、同様に、第1排気側バルブリセス17と第2排気側バルブリセス18では、互いに反対方向の旋回流が生成される。また、前記各吸気弁のバルブ径が、各排気弁のバルブ径よりも大きいことにより、各バルブリセス15〜18の容積に比例して、周方向での各吸気側食い込み部21の幅は、各排気側食い込み部22の幅よりも大きい。
【0038】
さらに、各食い込み部21,22における高壁部分21c,22cでは、周壁面12bがその立上がり部に比べて上端部が径方向内方に向かって突出するオーバハング形状になっており(図2参照)、しかも周壁面12bの高さが低くなるほど径方向内方への突出量(オーバハング量)が小さくなり、低壁部分21d,22dでは、ほぼオーバハングしていない(図1,図5参照)。そのため、高壁部分21c,22cでは、周壁面12bの高さが低壁部分21d,22dに比べて高くなっているうえ、オーバハング形状になっているため、凹部12内の燃料が凹部12から流出しにくくなっている。そのため、高壁部分21c,22cは、凹部12内の燃料の径方向への拡散を抑制すると共に、凹部12内の燃料が低壁部分21d,22dから各バルブリセス15〜18に流入することを促進して、各バルブリセス15〜18内での旋回流を強めるように燃料流を案内する部分となっている。
【0039】
また、各バルブリセス15〜18の周壁面のうち、最低部21b,22b付近の部分15b〜18bは、突出部13の最上面13bよりもやや高い壁面となっているため、低壁部分21d,22dから流入する燃料が各バルブリセス15〜18から流出することを抑制すると共に、旋回流S1の生成を促進する壁面に形成されている。
【0040】
そして、前記内燃機関は、例えば以下のように運転可能である。
前記内燃機関のアイドリング運転域や低負荷運転域など、圧縮行程の上死点近傍での圧縮熱による燃焼室4内の温度が低くて、混合気を自着火により燃焼させることが困難な機関運転域では、燃焼室4内の混合気は、前記制御装置により制御される点火時期に、前記点火栓により点火されて燃焼する。
【0041】
また、前記内燃機関の中・高負荷運転域など、圧縮熱による燃焼室4内の温度が、混合気を自着火により燃焼させることできる機関運転域では、前記点火栓の作動は停止されて、燃焼室4内の混合気は自着火して燃焼する。
【0042】
そして、いずれの機関運転域においても、前記制御装置により制御された燃料噴射弁5から、液体状態の燃料を含んだ混合気が、圧縮行程の上死点近傍での噴射時期に隆起部11の受け部14に向けて噴射される。
【0043】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
ピストン3の頂面3aに形成されて、ペントルーフ型の燃焼室4の天井壁面7に向かって隆起する隆起部11には、凹部12および凹部12内に位置する突出部13を含むと共に燃料噴射弁5からの燃料噴流を受ける受け部14と、前記吸気弁および前記排気弁との接触を回避する各バルブリセス15〜18と、凹部12内の燃料を各バルブリセス15〜18に案内する各食い込み部21,22とが形成される。これにより、突出部13により燃焼室4の容積が減少するため、圧縮比の低下が抑制されるので、高圧縮比が確保されて、自着火による燃焼が可能となる。また、燃料噴流は受け部14の凹部12に向けられるので、凹部12で反射した燃料が前記低温領域である天井壁面7近傍領域に拡散することが抑制されて、燃料が比較的低温の天井壁面7に接触する割合が減少する。さらに、燃料噴流が凹部12および突出部13に当たるため、受け部14のこの凹凸構造により燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。そして、凹部12の容積が突出部13の分だけ小さくなるにも拘わらず、各食い込み部21,22により凹部12内の燃料が各バルブリセス15〜18に流入するように案内されるので、燃料が前記低温領域に拡散することが抑制されるうえ、凹部12内の燃料が各食い込み部21,22を流れて各バルブリセス15〜18に流入することにより、燃料と空気との混合または燃料の霧化が行われる。この結果、燃料噴射弁5から噴射された燃料が、天井壁面7に接触する割合が減少し、しかも燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進されて燃焼性が向上するので、自着火が容易になるうえ、未燃焼の燃料や不完全燃焼により生じる中間生成物が排気ガス中に排出される割合が減少して、排気エミッション性能および機関出力が向上する。
【0044】
ピストン3には、4つのバルブリセス15〜18が形成され、各バルブリセス15〜18に対して食い込み部21,22が形成されることにより、燃焼室4全体での燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。
【0045】
突出部13の側面13aは各食い込み部21,22に向くように傾斜した傾斜面であり、燃料噴流は、上方から側面13aに当たって反射した後、平面視で各食い込み部21,22に向かう燃料流に偏向され、側面13aの前記上部は、各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aの前記一部分よりも上方に位置することにより、燃料噴流が側面13aに当たった後の燃料が、低壁部分21d,22dから各バルブリセス15〜18に流入しやすくなり、また燃料流が側面13aの前記上部よりも下方に位置する各バルブリセス15〜18に流入しやすくなるので、燃料が前記低温領域に拡散することが一層抑制されるうえ、凹部12内の燃料が各食い込み部21,22を流れて各バルブリセス15〜18に流入することによる燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進されて、燃焼性が向上する。
【0046】
凹部12と各バルブリセス15〜18とを連通させる各食い込み部21,22では、凹部12で受けた燃料噴流のうち、より多くの燃料が、最低壁部21b,22bを有する低壁部分21d,22dから各バルブリセス15〜18内に流入するため、各食い込み部21,22は、凹部12から各バルブリセス15〜18に流入する燃料が各バルブリセス15〜18内で旋回流S1を生成するように形成されている。そのため、各バルブリセス15〜18内に生成される旋回流S1により、各バルブリセス15〜18内で燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進されるほか、凹部12内でも、各食い込み部21,22から部分的に流出する旋回流S1により、燃料と空気との混合または燃料の霧化が行われるので、燃焼性が向上する。
【0047】
さらに、各食い込み部21,22における高壁部分21c,22cは、周壁面12bの高さが低壁部分21d,22dに比べて高くなっているうえ、オーバハング形状であることにより、高壁部分21c,22cは、凹部12内の燃料の径方向への拡散を抑制すると共に、凹部12内の燃料が低壁部分21d,22dから各バルブリセス15〜18に流入することを促進するので、各バルブリセス15〜18内での旋回流が強められて、燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。
【0048】
次に、図6を参照して、本発明の第2実施例を説明する。この第2実施例は、第1実施例とは突出部の形状のみが相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、必要に応じて同一の符号を使用した。
【0049】
第2実施例において、四角錐台状に形成された突出部23は、第1実施例と同様の凹部12の底壁面12aからの高さが第1実施例の突出部13の高さにほぼ等しく、燃料噴流に対向するように燃料噴射弁5(図1参照)に向かって上方に突出すると共に、噴流範囲R内に収まる位置に形成される。下方に向かうにつれて径方向外方に広がる突出部23の外周面は、平面視で4つの食い込み部21,22に径方向で対向する位置に、いずれも平面からなる4つの側面である1対の吸気側側面23cおよび1対の排気側側面23dにより構成される。それゆえ、各側面23c,23dは、受け部14の中心部から頂面3aの外周縁部に向かうにつれて下方に傾斜することにより、各食い込み部21,22に向くように傾斜した傾斜面である。
【0050】
また、突出部23の平坦な最上面23bの、各食い込み部21,22に対する上下方向での位置は、第1実施例の最上面13bと同様である。したがって、各側面23c,23dの一部分である上部は、各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aの一部分、すなわち最上部23bを含む平面よりも下方に位置する底壁面15a〜18aの部分よりも上方に位置する。
【0051】
4つの側面23c,23dは、それぞれ、4つのバルブリセス15〜18に対する食い込み部21,22に、平面視で、その全面が食い込み部21,22の幅内において径方向で対向しており、しかも食い込み部21,22の幅に比例して、1対の吸気側バルブリセス15,16での食い込み部21に対向する1対の側面23cの周方向での幅は、1対の排気側バルブリセス17,18での食い込み部22に対向する1対の側面23dの周方向での幅よりも大きい。
【0052】
そして、各食い込み部21,22に向くように傾斜した傾斜面である突出部13の側面23c,23dに、燃料噴流が上方から当たって反射した後、平面視で各食い込み部21,22に向かう燃料流に偏向され、側面23c,23dの前記上部に当たった後の燃料が、前記上部よりも下方に位置する低壁部分21d,22dおよび各バルブリセス15〜18に流入することは、第1実施例と同様であるが、側面23c,23dが平面であることにより、第1実施例に比べてより多くの燃料が、効率よく各食い込み部21,22から各バルブリセス15〜18に流入する。
【0053】
したがって、この第2実施例によれば、第1実施例と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。すなわち、凹部12内に位置する突出部23は、燃料噴流に対向するように突出しており、突出部23の各側面23c,23dは、対応する食い込み部21,22に向くように傾斜した平面からなることにより、各側面23c,23dで反射した燃料の多くが、効率よく各食い込み部21,22に向かって流れ、さらに各バルブリセス15〜18に流入するので、凹部12内の燃料が前記低温領域に拡散することが一層抑制され、また各食い込み部21,22を流れて各バルブリセス15〜18に流入することによる燃料と空気との混合または燃料の霧化が一層促進される。さらに、各バルブリセス15〜18内での旋回流が強められて、燃料と空気との混合または燃料の霧化がさらに促進される。
【0054】
次に、図7〜図9を参照して、本発明の第3実施例を説明する。なお、第1実施例と同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。また、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、必要に応じて同一の符号を使用した。
【0055】
第3実施例において、ピストン3の頂面3aには、第1実施例と同様の平坦部10と隆起部11とが形成される。隆起部11には、燃焼室4(図1参照)の中心から径方向に直線状に延びる4条の溝である1対の吸気側溝31 よび1対の排気側 32からなる凹部30と、周方向で隣接する溝31,32の間にあって各溝31,32の側壁を構成する4つの突出部33〜36と、凹部30の全体および突出部33〜36の全体を含むと共に噴流範囲R内に位置する部分である受け部14と、各バルブリセス15〜18とが形成される。
【0056】
噴流範囲R内に位置する4つの溝31,32は、中心線L2を含む燃焼室4(図1参照)の中心部分で交差して交差部Cを構成すると共に、交差部Cから各バルブリセス15〜18に延びている。また、各突出部33〜36は、溝31,32の底壁面31a,32aから燃料噴流に対向するように燃料噴射弁5に向かって上方に突出すると共に、噴流範囲R内に収まる位置に形成される。
【0057】
吸気側バルブリセス15,16の底壁面15a,16aには、各バルブリセス15,16の中心をほぼ中心とする球面からなる壁面37aを有する半球状の窪み37が形成され、排気側バルブリセス17,18の底壁面17a,18aには、各バルブリセス17,18の中心をほぼ中心とする球面からなる壁面38aを有する半球状の窪み38が形成される。そして、各溝31,32は、各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aにも形成されて、溝31,32よりも深く形成された窪み37,38の壁面37a,38aに開口することにより、各溝31,32の端部31b,32bが窪み37,38に開放している。
【0058】
各溝31,32の底壁面31a,32aは、交差部Cから径方向外方または窪み37,38に向かうにつれて下方に傾斜する平面からなる傾斜面である。そのため、受け部14に向けられた燃料噴流のうち、各溝31,32の底壁面31a,32aで反射する燃料は、隆起部11よりも低い底壁面31a,32aと各溝31,32の側壁面31c,32cとにより、前記低温領域である天井壁面7近傍領域に拡散することが抑制されると共に、4条の溝31,32および4つの突出部33〜36で構成される凹凸構造により燃料と空気との混合または燃料の霧化が行われる。
【0059】
さらに、各溝31,32は、平坦部10がほぼ位置する平面よりも上方に位置し、交差部Cは最も上方に位置する。そして、各溝31,32の底壁面31a,32aは、各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aの一部分、すなわち各溝31,32の端部31b,32bよりも下方に位置する底壁面15a〜18aの部分よりも上方に位置する。それゆえ、燃料噴流が、上方から各溝31,32の底壁面31a,32aに当たって反射した後、平面視で溝31,32の各バルブリセス15〜18寄りに向かう燃料流に偏向されることにより、燃料噴流が底壁面31a,32aに当たった後の燃料が、溝31,32を通じて各バルブリセス15〜18に流入しやすくなり、また各溝31,32の底壁面31a,32aが各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aよりも上方に位置することで、底壁面31a,32aに当たった後の燃料が各バルブリセス15〜18に流入しやすくなる。
【0060】
このように、各溝31,32は、各バルブリセス15〜18に連通して、各溝31,32内の燃料を各バルブリセス15〜18に案内する案内部を兼ねている。そして、各溝31,32に案内されて、端部31b,32bから各バルブリセス15〜18の窪み37,38内に流入した燃料は、各窪み37,38内で壁面37a,38aに沿って上方に向かうことで、シリンダ軸線方向A1にほぼ直交する方向の軸線回りの渦流S2(図9参照)を生成する。それゆえ、各窪み37,38は渦流生成部を構成し、その渦流S2により、各バルブリセス15〜18内での燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。
【0061】
また、両吸気側バルブリセス15,16にそれぞれ連通する両溝31の溝幅は、その容積に比例して、両排気側バルブリセス17,18にそれぞれ連通する両溝32の溝幅より大きい。
【0062】
したがって、第3実施例によれば、隆起部11に、4条の溝31,32からなる凹部30および突出部33〜36を含む受け部14と、各バルブリセス15〜18と、凹部30内の燃料を各バルブリセス15〜18に案内する各溝31,32からなる案内部とが形成される点で、第1実施例と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。
【0063】
すなわち、凹部30は4つのバルブリセス15〜18にそれぞれ延びる4条の溝31,32からなり、各溝31,32が凹部30と各バルブリセス15〜18を連通させ、突出部33〜36は溝31,32の側壁であることにより、隆起部11に形成されて燃焼室4の容積拡大につながる凹みを減少させることができるので、高圧縮比の確保が容易になる。また、凹部30を構成する溝31,32内の燃料が該溝31,32を流れて円滑に各バルブリセス15〜18に流入するので、各溝31,32内で反射した燃料が天井壁面7近傍領域に拡散することが抑制されて、燃料噴射弁5から噴射された燃料が比較的低温の天井壁面7に接触する割合が減少する。さらに、燃料噴流が受け部14の4条の溝31,32および突出部33〜36からなる凹凸構造に当たるため、燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進されて、燃焼性が向上する。
【0064】
各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aには窪み37,38が形成されることにより、各溝31,32を流れて各バルブリセス15〜18に流入した燃料が窪み37,38に流入して、各バルブリセス15〜18内での燃料と空気との混合または燃料の霧化が促進される。また、凹部30を構成する溝31,32の容積を小さくして高圧縮比を維持する場合にも、該溝31,32のより多く燃料を、該溝31,32を通じて円滑に、窪み37,38により容積が拡大された各バルブリセス15〜18内に導くことができるので、燃料が前記低温領域に拡散することが抑制される。
【0065】
各溝31,32は各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aに形成されて各バルブリセス15〜18内で延びており、各溝31,32の端部31b,32bが、溝31,32よりも深く形成された窪み37,38に開放することにより、凹部30を構成する溝31,32の燃料が、該溝31,32を流れて窪み37,38内に直接流入するので、その直接流入する燃料により各バルブリセス15〜18内での燃料と空気との混合または燃料の霧化が一層促進される。
【0066】
しかも、半球形の壁面37a,38aを有する窪み37,38内では、シリンダ軸線方向A1にほぼ直交する方向の軸線回りの渦流S2が生成されるので、この渦流S2により、燃料と空気との混合または燃料の霧化が一層促進される。
【0067】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
燃料噴流の噴流範囲R内には、各食い込み部21,22の全体が形成されてよく、また噴流範囲R内に溝31,32の一部分のみが形成されてもよい。また、第1,第2実施例において、噴流範囲Rが凹部12の開口12a内に収まるように燃料が噴射されてもよい。
【0068】
第3実施例では、各バルブリセス15〜18の底壁面15a〜18aに窪み37,38が形成されたが、窪み37,38の代わりに上方に突出する1つまたは複数の突部が形成されてもよく、その突部により燃料と空気との混合または燃料の霧化を促進させることができる。さらに、各溝31,32から流入する燃料が、第1実施例と同様に、各バルブリセス15〜18内にシリンダ軸線L1にほぼ平行な軸線回りの旋回流を生成するように、各溝31,32が、図8に二点鎖線で部分的に示されるように各バルブリセス15〜18の中心から偏心した位置を指向するように形成されてもよい。
【0069】
バルブリセスは、吸気弁のみまたは排気弁のみに対応して形成されてもよく、またその数は、燃焼室毎の吸気弁の数または排気弁の数に対応して適宜決定される。
【0070】
燃料噴流は、液体燃料と空気との混合気の噴流であったが、液体燃料のみの噴流であってもよく、さらに燃料は、液体燃料でなくガス燃料であってもよい。
【0071】
内燃機関は、前記各実施例では車両に使用されるものであったが、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、筒内噴射式内燃機関の要部断面図であり、図4のI−I矢視での断面図である。
【図2】図1の内燃機関の、図4のII−II矢視での断面図である。
【図3】図1の内燃機関のピストンの要部斜視図である。
【図4】図3のピストンの平面図である。
【図5】図4のV−V矢視での断面図である。
【図6】本発明の第2実施例を示し、第1実施例の図4に相当するピストンの平面図である。
【図7】本発明の第3実施例を示し、第1実施例の図3に相当するピストンの斜視図である。
【図8】図7のピストンの平面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視での断面図である。
【符号の説明】
1…シリンダブロック、2…シリンダヘッド、3…ピストン、3a…頂面、4…燃焼室、5…燃料噴射弁、6…凹部、7…天井壁面、10…平坦部、11…隆起部、12…凹部、13,23…突出部、13a,23c,23d…側面、14…受け部、15〜18…バルブリセス、15a〜18a…底壁面、21,22…食い込み部、 30…凹部、31,32…溝、31a,32a…底壁面、31b,32b…端部、33〜36…突出部、37,38…窪み、 L1…シリンダ軸線、L2…中心線、A1…シリンダ軸線方向、A2…直交方向、P1…中心面、P2…平面、R…噴流範囲、S1…旋回流、S2…渦流、C…交差部。

Claims (5)

  1. ペントルーフ型の燃焼室を形成するシリンダヘッドと、シリンダに往復動可能に嵌合されて前記燃焼室の天井壁面に向かって隆起する隆起部が形成された頂面を有するピストンと、前記燃焼室に臨んで設けられ前記隆起部に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁とを備える筒内噴射式内燃機関において、
    前記隆起部には、凹部と、突出部と、前記凹部および前記突出部を含むと共に前記燃料噴射弁からの燃料噴流を受ける受け部と、吸気弁または排気弁との接触を回避するバルブリセスと、前記凹部内の燃料を前記バルブリセスに案内する案内部とが形成され、
    前記突出部は、前記凹部内に位置して前記燃料噴流に対向するように前記凹部の底壁面から上方に突出しており、
    前記突出部の側面は、前記バルブリセスの底壁面の一部分および案内部の最低部よりも上方に位置する上部を有し、
    前記燃料噴流は、前記受け部において、前記凹部および前記突出部により構成される凹凸構造に当たると共に、前記上部を含む前記側面に上方から当たって反射した後、平面視で前記案内部に向かう燃料流に偏向され、
    前記側面で反射した前記燃料流は、前記案内部を流れて前記バルブリセスに流入することを特徴とする筒内噴射式内燃機関。
  2. 前記上部を含む前記側面は前記案内部に向くように傾斜した平面からなることを特徴とする請求項1記載の筒内噴射式内燃機関。
  3. 前記案内部は、前記凹部から前記バルブリセスに流入する燃料が前記バルブリセス内で旋回流を生成するように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の筒内噴射式内燃機関。
  4. ペントルーフ型の燃焼室を形成するシリンダヘッドと、シリンダに往復動可能に嵌合されて前記燃焼室の天井壁面に向かって隆起する隆起部が形成された頂面を有するピストンと、前記燃焼室に臨んで設けられ前記隆起部に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁とを備える筒内噴射式内燃機関において、
    前記隆起部には、凹部と、突出部と、前記凹部および前記突出部を含むと共に前記燃料噴射弁からの燃料噴流を受ける受け部と、吸気弁または排気弁との接触を回避するバルブリセスと、前記凹部内の燃料を前記バルブリセスに案内する案内部とが形成され、
    前記凹部は、前記バルブリセスに連通すると共に前記案内部を兼ねる溝からなり、
    前記突出部は、前記溝の底壁面から燃料噴流に対向するように上方に突出して前記溝の側壁を構成し、
    前記燃料噴流は、前記受け部において、前記凹部および前記突出部により構成される凹凸構造に当たると共に、前記バルブリセスの底壁面の一部分よりも上方に位置する前記溝の前記底壁面に上方から当たって反射した後、平面視で前記バルブリセスに向かう燃料流に偏向され、
    前記溝の前記底壁面で反射した前記燃料流は、前記案内部を流れて前記バルブリセスに流入し、
    前記バルブリセスの底壁面には窪みが形成され、
    前記溝は前記バルブリセスの前記底壁面に形成されて前記バルブリセス内で延びており、前記溝の端部が、前記溝よりも深く形成された前記窪みに開放することを特徴とする筒内噴射式内燃機関。
  5. 前記バルブリセスは、前記吸気弁との接触を回避する吸気側バルブリセスおよび前記排気弁との接触を回避する排気側バルブリセスであり、前記案内部は、前記凹部内の燃料を前記吸気側バルブリセスに案内する吸気側案内部および前記排気側バルブリセスに案内する排気側案内部であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項記載の筒内噴射式内燃機関。
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