JP3952791B2 - 通信装置、および通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、デジタル信号を無線方式で送受信する通信装置および通信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通信技術および情報処理技術の発達により、たとえば、通信ネットワークを介して、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置間で、データ通信が行われている。
近年では、近距離においては、無線方式によるデータ通信が行われている。
【0003】
上述の無線方式によるデータ通信においては、様々な通信方式が知られている。
たとえば、米国電気電子技術者協会IEEE(Institute of electrical and electronics engineers inc.)により無線LAN(local area network)の通信プロトコルの標準規格が定められたIEEE802.11a や、IEEE802.11b 等が知られている。
【0004】
上述の通信プロトコルでは、用いられる周波数帯、転送レート(以後、通信レートとも言う)、伝送距離等の通信特性が異なる。
たとえば、IEEE802.11a は、周波数5GHz帯の電磁波を用い、最大転送レート54Mbpsでデータ通信が可能である。IEEE802.11b は、周波数2.4GHz帯の電磁波を用い、最大転送レート11Mbpsでデータ通信が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した無線方式による通信においては、通信状態、たとえば伝送距離や周囲の環境等により転送レートが変化するという特性がある。
【0006】
無線通信プロトコルにおいて、たとえば、上述したIEEE802.11a とIEEE802.11b を用いたデータ通信では、同じ転送レートに固定して伝送距離を比較した場合に、IEEE802.11b の方が伝送距離が長いという特性がある。また、通信状態が良好な所定の距離範囲内における無線通信では、転送レートはIEEE802.11b と比べてIEEE802.11a の方が遥かに高いという特性がある。
【0007】
たとえば、上述したIEEE802.11a の通信プロトコルを用いて、高転送レートにより通信を行う際に、通信状態が良好な所定の伝送距離よりも離れて通信を行うと、データの再送信によるオーバーヘッドが増え、実効速度であるスループットが極端に低下するという特性がある。
【0008】
このため、上述のように所定の伝送距離よりも離れて通信を行う場合に、たとえば、動画データのようなストリーミングデータの転送時には、スループットが低下しているために、受信表示された動画像の動きがぎくしゃくしたものになったり、止まった画像になってしまう等の通信品質が極端に低下するという問題点があった。
【0009】
たとえば、高品位HD(High definition )動画像のストリーミングデータを、上述した通信プロトコルIEEE802.11b を用いて通信したとすると、この通信プロトコルの最大転送レートは11Mbpsなので、上述のストリーミングデータの通信を行うには転送レートが低く、上述したように正常に受信表示を行うことができないという問題点がある。
【0010】
このため、上述のようにそれぞれの通信特性のよい点のみを用いて通信を行いたいという要望がある。
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線方式を用いたデジタル通信において、通信状態が変化した場合であっても、安定して高品質な通信を行える通信装置、および通信方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、第1の発明の通信装置は、他の通信装置とデジタル信号を無線方式で送受信する通信装置であって、第1の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から第1の距離範囲にある場合に、第1の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、第2の距離範囲にある場合に、第2の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第1の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第1の送受信部と、前記第1の通信プロトコルの周波数帯域より低い周波数帯域の第2の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から前記第1の距離範囲にある場合に、前記第1の通信レートよりも低い第3の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の距離範囲にある場合に、前記第2の通信レートよりも高い第4の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第2の送受信部と、前記第1の送受信部と前記第2の送受信部から出力された前記通信状態データに応じて、前記第1の通信レートで前記送受信処理を行う前記第1の送受信部或いは前記第4の通信レートで前記送受信処理を行う前記第2の送受信部のうちのいずれか1つを選択する選択部と、前記選択部で選択された前記第1の送受信部或いは前記第2の送受信部に、HD(高精細)動画像データ又は該HD動画像データをダウンコンバートした所定のSD(標準画質)動画像データのストリーミングデータを含むデジタル信号を送信させる制御部とを有し、前記制御部は、前記選択部が前記第1の通信レートを出力した前記第1の送受信部を選択した場合は前記第1の送受信部に前記HD動画像データのストリーミングデータを、前記選択部が前記第4の通信レートを出力した前記第2の送受信部を選択した場合は前記第2の送受信部に前記SD動画像データのストリーミングデータをそれぞれ送信させる。
【0013】
第2の発明の通信装置は、他の通信装置とデジタル信号を無線方式で送受信する通信装置であって、第1の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から第1の距離範囲にある場合に、第1の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、第2の距離範囲にある場合に、第2の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第1の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第1の送受信部と、前記第1の通信プロトコルの周波数帯域より低い周波数帯域の第2の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から前記第1の距離範囲にある場合に、前記第1の通信レートよりも低い第3の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の距離範囲にある場合に、前記第2の通信レートよりも高い第4の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第2の送受信部と、前記第1の送受信部と前記第2の送受信部から出力された前記通信状態データに応じて、前記第1の通信レートで前記送受信処理を行う前記第1の送受信部或いは前記第4の通信レートで前記送受信処理を行う前記第2の送受信部のうちのいずれか1つを選択する選択部と、前記選択部で選択された前記第1の送受信部或いは前記第2の送受信部に、HD(高精細)動画像データ又は該HD動画像データをダウンコンバートした所定のSD(標準画質)動画像データのストリーミングデータを含むデジタル信号を受信させる制御部とを有し、前記制御部は、前記選択部が前記第1の通信レートを出力した前記第1の送受信部を選択した場合は前記第1の送受信部に前記HD動画像データのストリーミングデータを、前記選択部が前記第4の通信レートを出力した前記第2の送受信部を選択した場合は前記第2の送受信部に前記SD動画像データのストリーミングデータをそれぞれ受信させる。
【0014】
第3の発明の通信方法は、第1の通信装置と第2の通信装置との間でデジタル信号を無線方式で送受信する通信方法であって、第1の通信装置と第2の通信装置とが、第1の通信プロトコルに応じて、第1の距離範囲にある場合に、第1の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、第2の距離範囲にある場合に、第2の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とが、前記第1の通信プロトコルの周波数帯域より低い周波数帯域の第2の通信プロトコルに応じて、前記第1の距離範囲にある場合に、前記第1の通信レートよりも低い第3の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の距離範囲にある場合に、前記第2の通信レートよりも高い第4の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置が、前記第1の通信レートまたは前記第4の通信レートを特定し、前記第1および前記第2の通信装置が、前記特定された通信レートに応じた通信プロトコルを選択し、前記第1の通信装置が、前記選択された通信プロトコルに応じて、前記第1の通信レート及び前記第1の通信プロトコルではHD(高精細)動画像データのストリーミングデータを、前記第4の通信レート及び前記第2の通信プロトコルでは該HD動画像データをダウンコンバートしたSD(標準画質)動画像データのストリーミングデータを含むデジタル信号を送信し、前記第2の通信装置が、前記選択された通信プロトコルに応じて前記第1の通信装置から送信された前記デジタル信号の受信処理を行う。
【0024】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
図1は、本発明に係る通信装置を用いた通信システムの第1の実施の形態を説明するための全体構成図である。
【0025】
本実施の形態に係る通信装置を用いた通信システム1は、図1に示すように、通信装置2および通信装置3を有する。
通信装置2および通信装置3は、複数の通信プロトコルの無線方式でデジタル信号の通信を行う。
通信装置2は、親機であり、たとえば、所定の動画像データをストリーミングデータとして通信装置3に送信する。
通信装置3は、子機であり、たとえば、通信装置2から動画像データをストリーミングデータとして受信し、所定の処理を行う。
【0026】
図2は、図1に示した通信装置の機能ブロックの一例を示す図である。
通信装置2は、図2に示すように、アンテナ10、送受信部20、送受信部30、選択部である切り替え制御部40、および制御部であるCPU50を有する。送受信部20により第1の送受信部が構成され、送受信部30により第2の送受信部が構成される。
【0027】
アンテナ10は、所定の周波数の電磁波を受信し、送受信部20および送受信部30に電気信号として出力する。また、アンテナ10は、送受信部20および送受信部30により入力された電気信号を所定の周波数の電磁波として送信する。
【0028】
送受信部20は、所定の通信プロトコルに応じてデジタル信号の送受信処理を行う。たとえば、送受信部20は、アンテナ10から入力された電気信号を、所定の通信プロトコルに応じて所定の受信処理を行い、また、CPU50からデータが入力されると所定の通信プロトコルに応じて所定の送信処理を行う。
送受信部20は、上述の送受信処理結果に応じて通信状態を示す通信状態データを生成し、切り替え制御部40に出力する。
【0029】
具体的には、送受信部20は、パワーアンプ21、RF(Radio frequency )−IF(Intermediate frequency)コンバータ22、IFモデム23、BBP(Base band processor )/MAC(Media access control)24を有する。
【0030】
パワーアンプ21は、RF帯の送信終段の高周波パワーアンプであり、RF−IFコンバータ22により入力されたIF信号を増幅し、アンテナ10に出力する。
【0031】
RF−IFコンバータ22は、RF信号およびIF信号を相互に変換する。たとえば、RF−IFコンバータ22は、アンテナ10により入力されたRF信号に応じてIF信号に変換しIFモデム23に出力する。
また、RF−IFコンバータ22は、IFモデム23により入力されたIF信号に応じてRF信号に変換しパワーアンプ21に出力する。
【0032】
IFモデム23は、変調および復調を行う。たとえば、具体的には、IFモデム23は、不図示のAGC(Automatic level compensation)アンプ、ベースバンド復調部、変調部、およびIF帯のプリアンプを有する。
【0033】
AGCアンプは、RF−IFコンバータ22により入力されたIF信号を所定のレベルになるように増幅し、ベースバンド復調部に出力する。
ベースバンド復調部では、AGCアンプにより入力されたIF信号を変調しBBP/MAC24に出力する。
【0034】
変調部は、BBP/MAC24により入力された信号を変調しIF信号としてプリアンプに出力する。
プリアンプは、変調部により入力されたIF信号を増幅しRF−IFコンバータ22に出力する。
【0035】
BBP/MAC24は、IFモデム23と信号の入出力処理を行い、通信状態を示す通信状態データを切り替え制御部40に出力する。また、BBP/MAC24は、CPU50とデータの送受信を行う。
たとえば、BBP/MAC24は、ベースバンドプロセッサ(BBP)およびメディアアクセスコントローラ(MAC)部を有する。
【0036】
MACは、CPU50とBBPをインターフェースし、CPU50により入力されたシリアルデータをBBPに出力する。また、MACは、BBPにより入力された信号をシリアルデータとしてCPU50に出力する。
【0037】
BBPは、たとえば、MACから入力されたシリアルデータに基づいてスクランブル処理を行い、スペクトラム拡散処理で符号化しIFモデム23に出力する。また、BBPは、たとえば、IFモデム23から入力された信号に基づいて同期処理を行い逆スペクトラム拡散処理しMACに出力する。
また、BBPは、通信状態を示す通信状態データを生成し、生成した通信状態データを切り替え制御部40に出力する。
【0038】
送受信部30は、送受信部20と同様の機能を有する。
送受信部30は、パワーアンプ31、RF−IFコンバータ32、IFモデム33、BBP/MAC34を有する。同様の機能を有する要素は説明を省略する。
【0039】
送受信部30と、送受信部20との相違点としては、送受信部20で用いられる通信プロトコルとは異なる通信プロトコルに応じて所定の送受信処理を行う点にある。
【0040】
切り替え制御部40は、少なくとも1つの送受信部の送受信処理結果に応じて生成した通信状態を示す通信状態データに基づいて、複数の送受信部のいずれか1つを選択させる選択信号を生成し、生成された選択信号をCPU50に出力する。
【0041】
たとえば、切り替え制御部40は、送受信部20および送受信部30の生成した通信状態を示す通信状態データの、少なくとも1つの通信状態データに基づいて、送受信部20または送受信部30を選択させる選択信号を生成し、生成された選択信号をCPU50に出力する。
【0042】
図3は、図2の通信装置の切り替え制御部の動作の第1の具体例を説明するためのフローチャートである。
切り替え制御部40の動作の第1の具体例を、図3を用いて説明する。
【0043】
第1の具体例では、送受信部20は周波数2.4GHz帯の電磁波を使用する通信プロトコル、送受信部30は周波数5GHz帯の電磁波を使用する通信プロトコルを用いるように設定されている。
初期状態においては、通信装置2では、周波数5GHz帯の電磁波で通信を行う送受信部30が選択されている。
【0044】
ステップST1では、図3に示すように、送受信部30から、周波数5GHz帯の通信状態を示す通信状態データが入力される。
ステップST2では、送受信部30から入力された、周波数5GHz帯の通信状態、たとえば具体的には受信状態を示す通信状態データが、所定のレベル以上か否かが判別される。
【0045】
ステップST2の判別において、周波数5GHzの通信状態が所定のレベル以上でないと判別された場合には、送受信部20を選択させる選択信号がCPU50に出力され(ST3)、ステップST1の処理に戻る。
【0046】
一方、ステップST2の判別において、周波数5GHzの通信状態が所定のレベル以上であると判別された場合には、送受信部30を選択させる選択信号がCPU50に出力され(ST4)、ステップST1の処理に戻る。
【0047】
上述したように第1の具体例では、切り替え制御部40は、いずれか1つの送受信部、たとえば、周波数5GHz帯を用いる送受信部30の通信状態に応じて、他方の送受信部、たとえば周波数2.4GHz帯を用いる送受信部20に切り替えるか否かを判別し、判別結果に応じて選択信号を生成しCPU50に出力する。こうすることで、比較判別の処理を簡略化することができる。
【0048】
図4は、図2の通信装置の切り替え制御部の動作の第2の具体例を説明するためのフローチャートである。
切り替え制御部40の動作の第2の具体例を、図4を用いて説明する。
【0049】
ステップST11では、送受信部30から、周波数5GHz帯の通信状態を示す通信状態データが入力される。
ステップST12では、送受信部20から、周波数2.4GHz帯の通信状態を示す通信状態データが入力される。
ここで、ステップST11およびステップST12の順番は、上述の形態に限られるものではない。たとえば、ステップST11およびステップST12の順番は、同時でもよいし、逆でもよい。つまり、送受信部20および送受信部30から入力される通信状態データの順番は、どちらが先でもよいし、同時でもよい。
【0050】
ステップST13では、送受信部20および送受信部30から入力された通信状態を示す通信状態データのレベルの比較および判別が行われる。
ステップST13の比較において、たとえば、周波数2.4GHz帯を用いる送受信部20の通信状態がよいと判別されると、送受信部20を選択させる選択信号がCPU50に出力され(ST14)、ステップST1の処理に戻る。
【0051】
一方、ステップST13の比較において、たとえば、周波数5GHz帯を用いる送受信部30の通信状態がよいと判別されると、送受信部30を選択させる選択信号がCPU50に出力され(ST15)、ステップST1の処理に戻る。
【0052】
上述したように第2の具体例では、切り替え制御部40では、複数の送受信部、たとえば、周波数2.4GHz帯を用いる送受信部20、および周波数5GHz帯を用いる送受信部30の通信状態が比較され、比較結果に応じて、たとえば、通信状態の良好な方の送受信部を選択させる選択信号が生成され、生成された選択信号がCPU50に出力される。こうすることで、複数の送受信部において通信状態の良好な方の送受信部を選択することができる。
【0053】
図5は、図2の通信装置の切り替え制御部の動作の第3の具体例を説明するための図である。
第3の具体例では、送受信部20は通信プロトコルIEEE802.11b を用いて無線方式で通信を行い、送受信部30は通信プロトコルIEEE802.11a を用いて無線方式で通信を行うように設定されている。
【0054】
通信プロトコルIEEE802.11a は、上述したように、5GHz帯の電磁波を用い、最大54Mbpsの転送レート(通信レートとも言う)でデータ通信を行うことが可能である。
通信プロトコルIEEE802.11b は、2.4GHz帯の電磁波を用い、最大11Mbpsの転送レートでデータ通信を行うことが可能である。
【0055】
上述した通信プロトコルIEEE802.11a およびIEEE802.11b は、通信装置間の距離範囲や、周囲の環境により転送レートが変化する。
たとえば、転送レートは、図5に示すように、通信装置間の距離範囲に応じて変化する。
【0056】
通信プロトコルIEEE802.11a を用いた通信では、通信装置間の距離が所定の距離範囲までは、約54Mbpsの転送レートで通信可能であり、所定の距離範囲を超えると、転送レートが急激に低下する。
通信プロトコルIEEE802.11b を用いた通信では、通信装置間の距離が所定の距離範囲までは、約11Mbpsの転送レートで通信可能であり、所定の距離範囲を超えると、転送レートが緩やかに低下する。
【0057】
また、図5に示すように、通信プロトコルIEEE802.11a は、距離Laよりも近距離の範囲では、通信プロトコルIEEE802.11b の転送レートよりも高く、距離Laよりも遠距離の範囲では、転送レートが低い。
【0058】
切り替え制御部40は、たとえば、送受信部20の周波数2.4GHz帯と、送受信部30の周波数5GHz帯の転送レートを比較して高い転送レートの通信を行う送受信部を選択させる選択信号を生成し、CPU50に出力する。
【0059】
また、第1の具体例のように、送受信部30の周波数5GHz帯の通信状態が所定のレベルより高いか、たとえば、上述したように転送レートが11Mbpsよりも高いかを判別し、判別結果に応じた選択信号をCPU50に出力してもよい。
【0060】
CPU50は、複数の送受信部から、切り替え制御部40により選択された送受信部に、所定のデジタル信号を送受信させる。
たとえば、CPU50は、切り替え制御部40から出力された選択信号に応じて、送受信部20または送受信部30を選択し、選択した送受信部に、所定のデジタル信号を出力させる。
【0061】
上述した構成の通信装置2の動作を簡単に説明する。
アンテナ10では所定の周波数の電磁波と電気信号が変換され、送受信部20および送受信部30では、アンテナ10を介して、相互に異なる通信プロトコルに応じてデジタル信号の送受信処理が行われ、切り替え制御部40では、少なくとも1つの送受信部が送受信部の送受信処理結果に応じて生成した通信状態を示す通信状態データに基づいて、送受信部20または送受信部30のいずれか1つを選択させる選択信号が出力され、CPU50では、切り替え制御部40により入力された選択信号に基づいて、送受信部20または送受信部30が選択され、選択された送受信部に所定のデジタル信号を送信させる。
【0062】
上述したように、本実施の形態の通信装置2によれば、相互に異なる通信プロトコルに応じてデジタル信号の送受信処理を行う送受信部20および送受信部30と、少なくとも1つの送受信部が、送受信部の送受信処理結果に応じて生成した通信状態を示す通信状態データに基づいて、送受信部20または送受信部30のいずれか1つを選択させる選択信号を出力する切り替え制御部40と、切り替え制御部40により入力された選択信号に応じて送受信部20または送受信部30を選択し、選択された送受信部に、所定のデジタル信号を送信させるCPU50とを設けたので、通信状態が変化した場合であっても、通信状態が良好な方を目印的に選択でき安定して高い通信品質を保てる通信装置、および通信方法を提供することができる。
【0063】
また、たとえば、無線通信における画像データなどのストリーミングデータ転送を行った場合には、所定の転送レートを満足することができる。
【0064】
また、たとえば、画像データ転送においてIEEE802.11a の通信状態が良好な所定の距離範囲を超えた場合においても、IEEE802.11b に切り替えることで高い通信品質を保つことができる。
【0065】
通信装置3は、通信装置2と同様な構成であり、不図示のアンテナ10、送受信部20、送受信部30、選択部である切り替え制御部40、および制御部であるCPU50を有する。同様な機能を有する構成要素については説明を省略し、相違点のみ説明する。
CPU50は、切り替え制御部40で選択された送受信部の送受信処理結果を用いて所定の処理を行う。
【0066】
たとえば、CPU50は、切り替え制御部40により入力された選択信号に応じて、送受信部20または送受信部30を選択し、選択した送受信部で受信処理されたデジタル信号に基づいて所定の処理、たとえば、不図示の表示部に、受信処理されたデジタル信号に基づいた画像表示を行わせる。
【0067】
上述した構成の通信装置3の動作は、通信装置2とほぼ同様な動作であり、簡単に説明する。
アンテナ10では所定の周波数の電磁波と電気信号が変換され、送受信部20および送受信部30では、アンテナ10を介して、相互に異なる通信プロトコルに応じてデジタル信号の送受信処理が行われ、切り替え制御部40では、少なくとも1つの送受信部が送受信部の送受信処理結果に応じて生成した通信状態を示す通信状態データに基づいて、送受信部20または送受信部30のいずれか1つを選択させる選択信号が出力され、CPU50では、切り替え制御部40により入力された選択信号に基づいて、送受信部20または送受信部30が選択され、選択された送受信部で受信処理された処理結果を用いて所定の処理が行われる。
【0068】
上述説明したように、本実施の形態の通信装置3によれば、相互に異なる通信プロトコルに応じてデジタル信号の送受信処理を行う送受信部20および送受信部30と、少なくとも1つの送受信部が、送受信部の送受信処理結果に応じて生成した通信状態を示す通信状態データに基づいて、送受信部20または送受信部30のいずれか1つを選択させる選択信号を出力する切り替え制御部40と、切り替え制御部40により入力された選択信号に応じて送受信部20または送受信部30を選択し、選択された送受信部で受信処理された処理結果を用いて、所定の処理を行うCPU50とを設けたので、通信状態が変化した場合であっても、通信状態が良好な方を目印的に選択でき安定して高い通信品質を保てる通信装置、および通信方法を提供することができる。
【0069】
また、たとえば、画像データ転送においてIEEE802.11a の通信状態が良好な所定の距離範囲を超えた場合においても、IEEE802.11b に切り替えることで高通信品質を保つことができる。
【0070】
図6は、図1に示した通信装置2および通信装置3を有する通信システムの一具体例を説明するための図である。
たとえば、通信装置2は、動画像データ等のストリームデータを送信し、通信装置3では、ストリームデータを受信し所定の処理を行う。
動画像データとしては、BSデジタル放送に代表されるHD画質のストリームデータを想定する。BSデジタルのHD画質の転送レートは約24Mbps程度である。数式1は、上述のHD画像が必要とする転送レートを示す。
【0071】
【数1】
1.08M/slot × 22slot = 23.8Mbps
【0072】
この転送レートを扱える無線通信プロトコルとしては、たとえば、IEEE802.11a があり、上述したようにこの通信プロトコルは、最大54Mbpsまで規定されている。
【0073】
通信プロトコルIEEE802.11a を用いて通信を行う際に、通信状態が良好な場合には、この通信プロトコルでHD画像を送り続けることが可能である。しかし、通信距離が長くなると、所定のデータ転送のスループットが減少していく。これは、通信品質の低下により、データ受信に抜けが増え、データの再送信によるオーバーヘッドが増えることに起因する。
【0074】
ここで、たとえば、24Mbpsを割り込むようなスループットになってくると画像データは正常に送信できなくなり、画像の動きがコマ送りのようになっていき、最終的にはフリーズしてしまう場合がある。IEEE802.11b では最大11Mbpsまで規定されており、11Mbpsまでのデータ転送であればIEEE802.11a よりも通信距離を長くとれるという実測結果がある。
【0075】
本具体例では、通信装置2は、不図示の記憶部にBSデジタルのHD画質をSD(Standard)画質程度にダウンコンバートして記憶しておく。
通信装置2および通信装置3では、たとえば、切り替え制御部40を、上述のように所定の通信状態、具体的には、転送レートが24Mbpsよりも低下すると、送受信部20を選択させる選択信号をCPU50に出力し、転送レートが24Mbpsよりも高い場合には、送受信部30を選択させる選択信号をCPU50に出力するように設定されている。
【0076】
まず、近距離範囲では、通信装置2のCPU50では、送受信部30に通信プロトコルIEEE802.11a を用いて、HD画質の動画像データをストリームデータとして送信させる。通信装置3では、送受信部30により通信プロトコルIEEE802.11a に基づいて、動画像データが受信処理され、CPUにより、たとえば、不図示の表示部にHD画質の画面表示を行わせる処理が行われる。
【0077】
たとえば、通信装置2と通信装置3とが所定の距離範囲よりも離れ、通信状態が悪化して転送レートが24Mbpsよりも低下した場合には、通信装置2では、切り替え制御部40により送受信部20を選択させる選択信号がCPU50に出力される。通信装置2のCPU50では、送受信部20を選択させる選択信号が入力されると、不図示の記憶部に記憶されているSD画像のデータを、送受信部20に送信させる。
【0078】
通信装置3では、切り替え制御部40により送受信部20を選択させる選択信号が出力される。通信装置3のCPU50では、その選択信号が入力されると選択信号に応じて、送受信部20で受信処理されたSD画像データに応じて、不図示の表示部にSD画質の画面表示を行わせる処理が行われる。
【0079】
また、通信状態が良くなった場合、つまり、転送レートが24Mbpsよりも高くなった場合には、上述の逆の処理が行われ、HD画像データが送受信され、表示部にHD画質の画面表示が行われる。
【0080】
上述したように、通信状態に応じて、たとえば、通信プロトコルIEEE802.11a を用いたデータ通信による画像品質が劣化してきた時に、通信プロトコルIEEE802.11b に切り替えて、動画像データを送受信することにより、HD画質からSD画質という変化はあるが、通信による画像品質の劣化を防ぐことが可能となる。つまり、通信品質を保つことができる。
【0103】
なお、本発明は本実施の形態に限られるものではなく、任意好適な種々の改変が可能である。たとえば、第1および第2の実施の形態では、アンテナ10は1つで、複数の送受信部に共通に使用可能な形態であったが、この形態に限られるものではない。たとえば、アンテナを送受信部それぞれに設けてもよい。
【0104】
たとえば、通信プロトコルとしてIEEE802.11a や、IEEE802.11b 等を用いた場合には、送受信部は、通信状態を示す通信状態データとして送受信処理結果により無線フレームのヘッダに含まれる受信状態を示すデータを出力し、切り替え制御部は、その無線フレームのヘッダに含まれる受信状態を示すデータに基づいて受信状態を判別し、判別結果に応じた選択信号を生成しCPUに出力してもよい。
【0105】
本実施の形態では、相互に異なる通信プロトコルに応じて送受信を行う複数の送受信部を有し、通信状態に応じていずれか1つの送受信部が送受信、または複数の送受信部が同時に送受信を行う形態を示したが、この形態に限られるものではない。たとえば、通信状態に応じて選択的および同時に送受信を行う形態であってもよい。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、無線方式を用いたデジタル通信において、通信状態が変化した場合であっても、安定して高品質な通信を行える通信装置、および通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る通信装置を用いた通信システムの第1の実施の形態を説明するための全体構成図である。
【図2】 図1に示した通信装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【図3】 図2の通信装置の切り替え制御部の動作の第1の具体例を説明するためのフローチャートである。
【図4】 図2の通信装置の切り替え制御部の動作の第2の具体例を説明するためのフローチャートである。
【図5】 図2の通信装置の切り替え制御部の動作の第3の具体例を説明するための図である。
【図6】 図1に示した通信システムの一具体例を説明するための図である。
【符号の説明】
1,1a…通信システム、2,2a…通信装置、3,3a…通信装置、10…アンテナ、20,20a…送受信部、21…パワーアンプ、22…RF−IFコンバータ、23…IFモデム、24,24a…BBP/MAC、30,30a…送受信部、31…パワーアンプ、32…RF−IFコンバータ、33…IFモデム、34,34a…BBP/MAC、40…切り替え制御部、50,50a…CPU。
Claims (6)
- 他の通信装置とデジタル信号を無線方式で送受信する通信装置であって、
第1の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から第1の距離範囲にある場合に、第1の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、第2の距離範囲にある場合に、第2の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第1の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第1の送受信部と、
前記第1の通信プロトコルの周波数帯域より低い周波数帯域の第2の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から前記第1の距離範囲にある場合に、前記第1の通信レートよりも低い第3の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の距離範囲にある場合に、前記第2の通信レートよりも高い第4の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第2の送受信部と、
前記第1の送受信部と前記第2の送受信部から出力された前記通信状態データに応じて、前記第1の通信レートで前記送受信処理を行う前記第1の送受信部或いは前記第4の通信レートで前記送受信処理を行う前記第2の送受信部のうちのいずれか1つを選択する選択部と、
前記選択部で選択された前記第1の送受信部或いは前記第2の送受信部に、HD(高精細)動画像データ又は該HD動画像データをダウンコンバートした所定のSD(標準画質)動画像データのストリーミングデータを含むデジタル信号を送信させる制御部と
を有し、
前記制御部は、前記選択部が前記第1の通信レートを出力した前記第1の送受信部を選択した場合は前記第1の送受信部に前記HD動画像データのストリーミングデータを、前記選択部が前記第4の通信レートを出力した前記第2の送受信部を選択した場合は前記第2の送受信部に前記SD動画像データのストリーミングデータをそれぞれ送信させる
通信装置。 - 前記第1の通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルは、少なくともIEEE802.11a規格及びIEEE802.11b規格に規定される通信プロトコルを含む
請求項1に記載の通信装置。 - 他の通信装置とデジタル信号を無線方式で送受信する通信装置であって、
第1の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から第1の距離範囲にある場合に、第1の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、第2の距離範囲にある場合に、第2の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第1の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第1の送受信部と、
前記第1の通信プロトコルの周波数帯域より低い周波数帯域の第2の通信プロトコルに応じて、前記他の通信装置から前記第1の距離範囲にある場合に、前記第1の通信レートよりも低い第3の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の距離範囲にある場合に、前記第2の通信レートよりも高い第4の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の通信プロトコルによる通信の通信状態データを出力する第2の送受信部と、
前記第1の送受信部と前記第2の送受信部から出力された前記通信状態データに応じて、前記第1の通信レートで前記送受信処理を行う前記第1の送受信部或いは前記第4の通信レートで前記送受信処理を行う前記第2の送受信部のうちのいずれか1つを選択する選択部と、
前記選択部で選択された前記第1の送受信部或いは前記第2の送受信部に、HD(高精細)動画像データ又は該HD動画像データをダウンコンバートした所定のSD(標準画質)動画像データのストリーミングデータを含むデジタル信号を受信させる制御部と
を有し、
前記制御部は、前記選択部が前記第1の通信レートを出力した前記第1の送受信部を選択した場合は前記第1の送受信部に前記HD動画像データのストリーミングデータを、前記選択部が前記第4の通信レートを出力した前記第2の送受信部を選択した場合は前記第2の送受信部に前記SD動画像データのストリーミングデータをそれぞれ受信させる
通信装置。 - 前記第1の通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルは、少なくともIEEE802.11a規格及びIEEE802.11b規格に規定される通信プロトコルを含む
請求項3に記載の通信装置。 - 第1の通信装置と第2の通信装置との間でデジタル信号を無線方式で送受信する通信方法であって、
第1の通信装置と第2の通信装置とが、第1の通信プロトコルに応じて、第1の距離範囲にある場合に、第1の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、第2の距離範囲にある場合に、第2の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とが、前記第1の通信プロトコルの周波数帯域より低い周波数帯域の第2の通信プロトコルに応じて、前記第1の距離範囲にある場合に、前記第1の通信レートよりも低い第3の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、前記第2の距離範囲にある場合に、前記第2の通信レートよりも高い第4の通信レートで前記デジタル信号の送受信処理を行い、
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置が、前記第1の通信レートまたは前記第4の通信レートを特定し、
前記第1および前記第2の通信装置が、前記特定された通信レートに応じた通信プロトコルを選択し、
前記第1の通信装置が、前記選択された通信プロトコルに応じて、前記第1の通信レート及び前記第1の通信プロトコルではHD(高精細)動画像データのストリーミングデータを、前記第4の通信レート及び前記第2の通信プロトコルでは該HD動画像データをダウンコンバートしたSD(標準画質)動画像データのストリーミングデータを含むデジタル信号を送信し、
前記第2の通信装置が、前記選択された通信プロトコルに応じて前記第1の通信装置から送信された前記デジタル信号の受信処理を行う
通信方法。 - 前記第1の通信プロトコルと前記第2の通信プロトコルは、少なくともIEEE802.11a規格及びIEEE802.11b規格に規定される通信プロトコルを含む
請求項5に記載の通信方法。
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