JP3950893B2 - 多区間水質連続モニタリング装置 - Google Patents

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本発明は、トンネルや地下坑道などから任意の角度で掘削したボーリング孔に複数の採水区間を設定し、各採水区間から溶存ガスの脱ガスを抑制しつつ地下水を採水し、その地下水のpHや酸化還元電位等の物理化学的状態を連続的にモニタリングする装置に関するものである。
地下水のpHや酸化還元電位等の物理化学的状態は、地下における物質の化学反応や移動に関わる重要な因子である。しかしながら、通常、地下水は地上に比べて還元的な環境にあり、かつ被圧していることが多く、地上に汲み上げた時点で、大気と地下水の化学反応や圧力解放に伴う溶存ガスの脱ガスにより、物理化学的状態が変化するため、正確な値が把握し難い問題がある。また、総溶存成分濃度が低く、化学的緩衝能力が小さい地下水に対しては、酸化還元電位の測定値が一定に達するまでに、数日から数十日かかり、正確な測定値を得るためには、長時間連続して測定を行う必要がある。
ところで、地下水の物理化学的状態を測定する代表的な従来技術としては、地表から掘削したボーリング孔に、採水カプセル等を降ろしてバッチ式採水した地下水、またはポンプアップにより連続採水した地下水を、大気に触れないようにしてpH電極、酸化還元電位測定電極などで測定する方法がある。あるいはトンネルや地下坑道から掘削したボーリング孔を利用し、トンネルや地下坑道と岩盤中の間隙水圧の差圧により湧水する地下水を採水し、各種電極を用いて測定する方法がある。しかし、このような方法では、測定時に圧力解放に起因する溶存ガスの脱ガスにより物理化学的状態が変化し正確な値が得られない問題がある。
近年、ボーリング孔内に直接、地下水採水区間を特定するための遮水用パッカーを備えた採水装置と測定システムを挿入して測定する技術が提案された(特許文献1参照)。しかし、この技術は、直接、重量のある採水装置や物理化学的状態測定器をボーリング孔に挿入するために、ボーリング孔が鉛直に近い角度で、且つ装置を挿入できる十分大きな孔径を有している必要があり、適用可能なボーリング孔が限定される問題がある。
つまり、従来技術で克服できていない課題は次のように整理できる。鉛直でない角度で掘削された比較的小さな孔径のボーリング孔について、溶存ガスの脱ガスを抑制した環境で、正確な地下水の物理化学的状態を測定する技術がない点、また、複数の地下水採水区間を対象とし、それら複数の採水区間で同時に物理化学的状態を測定する技術がない点、などである。
特開平9−25783号公報
本発明が解決しようとする課題は、ボーリング孔内に設定した複数の地下水採水区間を対象として、溶存ガスの脱ガスを抑制しながら地下水の採水及び物理化学的状態の測定を連続して行えるようにすることである。
本発明は、筒状ケーシングの外周に複数の遮水用パッカーを間隔をおいて配設すると共に該筒状ケーシング内に前記遮水用パッカーで仕切られる各採水区間と連通して引き出される採水配管が組み込まれてボーリング孔内に挿入される孔内多区間採水部と、前記各採水配管に接続されて水回路を選択切り替える坑道配管切替部と、該坑道配管切替部を介して任意の一採水区間の地下水を導き物理化学的状態を測定する物理化学的状態測定部とを具備し、該物理化学的状態測定部には定圧制御装置が組み込まれていると共に、該定圧制御装置と並列に、バイパス用電磁弁を備えたバイパス流路が設けられており、前記定圧制御装置は、電磁弁と設定圧力可変の定圧制御弁との直列接続を、複数、並列に配設した構造であり、各定圧制御弁の設定圧力を予め対象採水区間の水圧に合わせてガスの溶存状態を保持しうる圧力に設定し、外部からの電気信号により電磁弁で水路を選択することによって地下水中の溶存ガスの脱ガスを抑制しながら複数の採水区間からの採水の物理化学的状態を連続測定可能としたことを特徴とする多区間水質連続モニタリング装置である。
ここで孔内多区間採水部の筒状ケーシングは、例えばパッカーマンドレルとケーシングパイプの組み合わせからなり、前記パッカーマンドレルは、その外周に遮水用パッカーが装着され、各遮水用パッカーとパッカーマンドレルとの隙間に連通するようにパッカー配管が溶接されると共に、遮水用パッカーから外れた位置にフィルタを介して採水配管が溶接された構造をなし、前記パッカーマンドレルとケーシングパイプとは、ねじ部の締め込みにより連結・分離可能になっていて、長さの異なるケーシングパイプの使用により地下水採水区間の区間数及び区間間隔を任意に設定可能とするのが好ましい。
また、坑道配管切替部は、各採水配管に接続されている水回路にアキュムレータタンクが組み込まれ、該アキュムレータタンクの下部と上部を耐圧透明チューブによる水回路で連通させることにより地下水採水時に地下水中の溶存ガスの脱ガスの有無を確認可能とするのがよい。


本発明に係る多区間水質連続モニタリング装置は、物理化学的状態測定部に組み込んだ定圧制御弁によって地下水中の溶存ガスの脱ガスを抑制し、地下水採水区間の間隙水圧を維持しながら物理化学的状態を長期間連続的に測定できるため、地下水採水区間の水理学的、化学的擾乱を最小限に抑えることができる。また、筒状ケーシングの外周に複数の遮水用パッカーを間隔をおいて配設すると共に遮水用パッカーで仕切られる各採水区間と連通して引き出される採水配管を組み込んだ孔内多区間採水部をボーリング孔内に挿入するので、多区間での採水ができ、トンネルや地下坑道等から鉛直でない角度で掘削されたボーリング孔にも適用できるし、物理化学的状態測定部などをボーリング孔に挿入しないため、孔径が比較的小さなボーリング孔にも適用できる。
更に本発明では、定圧制御弁を閉じることで、全く溶存ガスの脱ガスがない状態で、複数の地下水採水区間の地下水の物理化学的状態を長期的に連続測定することができ、そのため安定した信頼性の高い測定値(例えば酸化還元電位)を得ることができる。
本発明では、筒状ケーシングの外周に複数の遮水用パッカーを間隔をおいて配設すると共に該筒状ケーシング内に前記遮水用パッカーで仕切られる各地下水採水区間と連通して引き出される採水配管が組み込まれている孔内多区間採水部を用いる。この孔内多区間採水部をトンネルや地下坑道などから任意の角度で掘削されたボーリング孔内に挿入する。各採水配管には、その水回路を選択切り替える坑道配管切替部が接続され、該坑道配管切替部を介して任意の一採水区間の地下水を導き物理化学的状態を測定する物理化学的状態測定部を設ける。これら坑道配管切替部と物理化学的状態測定部は、ボーリング孔の孔口付近に設ける。
ボーリング孔内で隣接する一対の遮水用パッカーによって地下水採水区間を設定し、採水区間とボーリング孔口の間の水圧差を利用して、採水配管により、ボーリング孔口に設置する坑道配管切替部および物理化学的状態測定部まで地下水を導く。地下水採水区間の間隙水圧がボーリング孔口の大気圧力まで減少しないように、物理化学的状態測定部に定圧制御弁を設ける。該定圧制御弁によって地下水採水区間との差圧を最小とすることで、溶存ガスの脱ガスを抑制しながら、物理化学的状態を連続測定すること、及び定圧制御弁を閉じることで、全く溶存ガスの脱ガスがない状態で物理化学的状態を連続測定することができる。
以上の方法は、深度1,000m程度まで適用可能であり、より耐圧性能の高い配管、弁を用いることにより、更に大深度の地下水を対象に物理化学的状態の連続測定を行うことも可能である。また、各々の地下水採水区間に接続された採水配管と物理化学的状態測定部の間に各々電磁弁を設け、コンピュータ制御により開閉状態を制御し、複数の採水区間の地下水を順番に物理化学的状態測定部に流すことで、複数の区間で長期にわたって無人で物理化学的状態測定値を取得することができる。
図1は、本発明に係る多区間水質連続モニタリング装置の全体概要図である。この装置は、主にボーリング孔10内に挿入される孔内多区間採水部12と、ボーリング孔口において水路の切り替えや圧力の制御を行う坑道配管切替部14、及び採水した地下水の物理化学的状態を測定する物理化学的状態測定部16、検出した水質データなどの記録および坑道配管切替部14を制御するデータ収録・制御部18から構成される。坑道配管切替部14は、各採水区間と連通している採水配管に接続される。物理化学的状態測定部16は、坑道配管切替部14で選択され導かれる任意の一採水区間の地下水の物理化学的状態を測定する。なお、後述するように、物理化学的状態測定部16には定圧制御弁が組み込まれ、該定圧制御弁によって地下水中の溶存ガスの脱ガスを抑制しながら物理化学的状態を連続測定できるようになっている。
孔内多区間採水部12は、円筒状ケーシング20の外周に複数の遮水用パッカー22を間隔をおいて配設すると共に該円筒状ケーシング20内に前記遮水用パッカー22で仕切られる各地下水採水区間aと連通して孔口まで引き出される採水配管24及び注水配管26が組み込まれている。遮水用パッカー22はゴムチューブであり、内側の円筒状ケーシングとの空隙に、パッカー配管28を通して孔口から高圧水を供給することで膨張し、全周にわたって孔壁に圧接することによってボーリング孔内での孔軸方向の地下水の流れを阻止可能とする。この孔内多区間採水部は、トンネルや地下坑道などから任意の角度で掘削されたボーリング孔内に挿入される。
ここで孔内多区間採水部の円筒状ケーシング20は、ステンレス鋼製のパッカーマンドレルとケーシングパイプの組み合わせからなり、パッカーマンドレルは、その外周に遮水用パッカーが装着され、長さの異なるケーシングパイプの使用により地下水採水区間の区間数及び区間長を任意に設定可能とする。
図2に、パッカーマンドレルにおける遮水用パッカーの取付構造、並びに各配管の接続構造の一例を示す。円筒状のパッカーマンドレル30の雄ネジ部に、遮水用パッカー22の両端に固着したパッカー固定部材32の雌ネジ部を螺合し締め付け固定する。遮水用パッカー22の拡張圧が維持できるように、遮水材としてOリング34を用いている。各遮水用パッカー22とパッカーマンドレル30との隙間に連通するようにパッカー配管28を接続する。また、遮水用パッカー22から外れた位置にフィルタ36を介して採水配管24及び注水配管26を接続する。これらの配管にはステンレス鋼製のパイプを用いており、それぞれパッカーマンドレル30に溶接により接続することで、接続箇所からパッカーマンドレル30内に水が入らない構造になっている。
パッカーマンドレルとケーシングパイプとの接続構造の例を図3に示す。パッカーマンドレル30とケーシングパイプ38は、両端部にそれぞれ雌ネジ部と雄ネジ部を形成した構造とし、それらを螺合し締め込むことにより連結可能になっている。ケーシング外部の水が連結部から内部に入り込まないように、Oリングにより遮水する。なお、ケーシングパイプ内の配管としては、低圧用はステンレス鋼製パイプからナイロンチューブに切り替えて配管し、高圧用はステンレス鋼製パイプから金属チューブに切り替えて配管する。
各採水区間の位置は、各パッカーマンドレル30を、長さの異なるケーシングパイプ38で連結することにより、数十cm以上の任意の間隔で自由に設定できる。例えば、長さ100mのボーリング孔について調査するために、20mの等間隔で5箇所の採水区間を設定するというような構成が可能である。勿論、間隔は自由に変更できるし、採水区間数も任意に設定できる。但し、採水区間数に応じてケーシング内を通る各種配管の数も増えるため、配管の径とケーシングの内径によって採水区間数には一定の限界がある。
ボーリング孔口において、ボーリング孔に挿入する孔内多区間採水部の各種配管の水路選択や圧力制御を行う坑道配管切替部の構成例を図4に示す。Aは注水配管系、Bはパッカー配管系、Cは採水配管系を示しており、それぞれ採水区間の数に応じて並設される。
各注水配管系(図4のA)では、手動弁40a,40bを操作し、個々の採水区間にポンプから清水を送り込むことにより、孔内の洗浄などが行える。注水圧力は、歪ゲージ式圧力変換器42で監視・測定できる。
各パッカー配管系(図4のB)では、手動弁40c,40dを操作し、個々の遮水用パッカーに高圧ポンプから高圧水を送り込むことにより、各遮水用パッカーを膨張させる。所定の水圧(例えばブルドン管型圧力計44で測定できる)で遮水用パッカーを拡張させた後、手動弁40cを閉じることにより、該遮水用パッカーを拡張させたまま維持することができる。収縮時は、手動弁40cを操作し、遮水用パッカー内の水を排水することで収縮させる。
各採水配管系(図4のC)では、地下水採水区間に連結した採水配管からの採水は、手動弁40e、フィルター46、流量制御弁48を経て、溶存ガス確認用のアキュムレータータンク50に入る。アキュムレータータンク50からの水は、2つのルートに分かれ、一方は電磁弁52a、流量計54を経て排水配管56から排水され、他方は電磁弁52bを経て物理化学的状態測定用配管58から物理化学的状態測定部へ導かれる。ボーリング孔に孔内多区間採水部を設置後、地下水採水区間とボーリング孔口の間の水圧差を利用して、地下水採水区間から採水配管を通して排水配管56まで地下水を流し、配管内の空気を地下水と入れ替える。その後、物理化学的状態測定用配管58へ地下水の流路を切り替え、物理化学的状態測定部へ地下水を導く。
坑道配管切替部において、手動弁40eは、装置のメンテナンス時に地下水の採水を止めるなどのために設けている。電磁弁52a,52bは、水回路を「開閉」するだけの機能を有するもので、流量を制御する機能は有していない。なお、フィルタ46は、地下水中に浮遊している粘土粒子などを除去するためのもので、目の粗いステンレス鋼製のメッシュで作製されている。
採水した地下水の物理化学的状態を測定する物理化学的状態測定部の構成例を図5に示す。採水は、手動弁60を通して水質分析計62に送られ、該水質分析計62の後段には定圧制御装置64が位置し、更にイオン分析計66、流量計68を経て排水される。定圧制御装置64は、電磁弁70と定圧制御弁72の直列接続を、複数(ここでは4組)、並列に配設した構成であり、各定圧制御弁72の圧力設定を予め異ならせておいて電磁弁70で水路を選択することにより、外部からの電気信号で定圧制御が行えるようにしたものである。また、定圧制御装置64と並列に、バイパス用電磁弁74を設けてバイパス流路75を形成している。
なお、定圧制御弁72は、内部に組み込んだスプリングの弾撥力により弁の開度を調整して下流側の設定圧力を一定に保つ機能を果たすものであり、通常、スプリングキャップのねじ込み量を可変してスプリングの弾撥力を調整することで設定圧力を可変できるようになっている。定圧制御弁72は、地下水採水区間との差圧を予め設定するために使用しており、差圧の程度は、対象とする採水区間の地下水圧に依存して脱ガスの起こらない程度に調整する。定圧制御装置64では、この調整を電磁弁70で水路を選択することで行っているのである。
坑道配管切替部から送られてきた地下水は、定圧制御弁72で水質分析計62と地下水採水区間の水圧差が最小となるように圧力を制御しながら、採水の物理化学的状態(pHや酸化還元電位など)を連続測定する。この水質分析計62は、複数の電極76と、それらからの信号を検出する電気回路などを含む水質分析計本体78で構成される市販の装置であり、電極間の電位差を測定することでpHや酸化還元電位などの値を求める。イオン分析計66は、電極によって溶存イオン濃度を測定するものであり、それによってナトリウムやカルシウムなど一般的な地下水水質を測定することができる。
図6にガスアキュムレータの構造例を示す。ガスアキュムレータ50は、脱ガスの有無を判定する装置であり、入口配管80が下方からアキュムレータタンク82の内部上方まで達するように挿入され、該アキュムレータタンク82の下部の2重管部分を通して出口配管84が引き出されており、更にアキュムレータタンク82の下部と上部が耐圧透明チューブ86による水回路で連通している構造である。アキュムレータタンク82の上部にはガス抜きのため手動弁88が設置されている。地下水は、入口配管80を通って上端開口からアキュムレータタンク82内へ流れ込み、出口配管84から流れ出る。地下水中の溶存ガスの脱ガスが無ければ、アキュムレータタンク82及び耐圧透明チューブ86は地下水で満たされている。脱ガスが生じた場合は、ガスがアキュムレータタンク82内に蓄積される。ガスが溜まりはじめると、アキュムレータタンク82内の地下水面が下がり、耐圧透明チューブ86内の水面も同じレベルまで下がることから、それによって脱ガスの有無を判定することができる。
次に、本装置の操作手順について、その概略を述べる。ボーリング孔内に孔内多区間採水部を設置した後、複数ある採水区間の中で、任意の一採水区間の地下水を水質分析計に導いて、物理化学的状態を測定する。その間、他の採水区間からの地下水は排水する。任意に設定した一定時間経過後(例えば12時間毎)に、その採水区間からの地下水を排水し、次の採水区間の地下水が水質分析計に入るように水回路を切り替える。このような手順にする理由は、本装置設置当初は、混合によりボーリング孔内の地下水が採水区間の岩盤中に元々存在していた地下水と異なる水質の地下水になっている可能性があるためである。ある程度の期間、上記手順で各採水区間から出てくる地下水の物理化学的状態をモニタリングし、一定の測定値を示すようになれば、採水区間の地下水が岩盤からしみ出してくる地下水と入れ替わったことが確認できる。全ての採水区間の地下水が元々岩盤中にあった地下水と置換されたと判断できた時点で、定圧制御弁を閉じ、地下水採水区間と完全に同等の圧力条件にして長期モニタリングを行うか、水回路を切り替え別の地下水採水区間の地下水に対して同様の測定を行う。このようにして真の地下水の物理化学的状態の測定値を脱ガスのない状態で測定することができる。また、溶存ガスの脱ガスにより影響を受けない物理化学パラメータについては、イオン分析計により測定を行うことが可能である。
以下、本装置による測定の手順について、詳細に述べる。
(1)本装置の設置
孔内多区間採水部を組み立て、ボーリング孔に挿入する。孔口付近には、坑道配管切替部、物理化学的状態測定部、及びデータ収録・制御部などを設置し、必要な配管接続及び電気ケーブルの接続などを行う。そして、パッカー配管に高圧水を供給して遮水用パッカーを拡張させ、地下水採水区間を設定する。
(2)準備
採水配管系の各手動弁を開放し、各配管内に各試験区間地下水を満たす。次いで、全手動弁を閉鎖して、各採水区間の間隙水圧を測定する。そして、各採水区間の圧力および排水量にあわせて、各採水区間の定圧制御弁を調整する。最初の間は、ボーリング掘削水などを採水区間から排除するため、物理化学的状態をモニタリングしながらの排水となる。この間は、排水量を稼ぐために、定圧制御弁を介さずにバイパス配管でモニタリングしていない採水区間のボーリング掘削水も排水配管から排水する。例えば、採水区間をA〜Eの5区間とすると下記のような動作となる。
(2−a)いずれの採水区間も真の地下水に置き換わっていない場合
Figure 0003950893
まず、採水区間Aはバイパス配管を使用してモニタリング(BPモニタリング)し、他の採水区間B〜Eは排水配管を使用して排水する。次に、採水区間Bはバイパス配管を使用してモニタリングし、他の採水区間A,C〜Eは排水配管を使用して排水する。以下、時間経過に応じて採水区間を順次変えて同様の操作を繰り返す。バイパス配管用電磁バルブの開放時間はコントロール用コンピュータの画面上で設定する。
(2−b)採水区間Bと採水区間Dのみ元々の地下水に置き換わった場合
Figure 0003950893
採水区間Bと採水区間Dのモニタリングのタイミングでは、定圧制御弁を通る配管を使用して行う(CPモニタリング)。その他の採水区間A,C,Eのモニタリングのタイミングではバイパス配管を使用して行う(BPモニタリング)。モニタリングしていない採水区間については排水配管を使用して排水する。
(3)測定
全採水区間が元々の地下水と置き換わった場合
Figure 0003950893
まず、採水区間AをCPモニタリングし、他の採水区間B〜Eは排水配管を使用して排水する。次に、採水区間BをCPモニタリングし、他の採水区間A,C〜Eは排水配管を使用して排水する。以下、時間経過に応じて採水区間を順次変えて同様の操作を繰り返す。
各採水区間の測定値が一定に達したなら、物理化学的状態測定部の下流側に設けた定圧制御弁を閉じ、採水区間との圧力差が全くない状態で長期測定を行う。
(4)後処理
各採水区間の測定値が得られたら、測定を終了する。遮水用パッカー内の水を排水することで該遮水用パッカーを収縮し、孔内多区間採水部を回収する。
本発明装置により、トンネルや地下坑道建設に伴う人為的な自然環境の擾乱を正確に把握することが可能となる。また、地下の圧力条件、化学条件を維持した状態を確認しながら地下水を採取できるため、地下深部の地下水を対象とした水理学的、地球化学的、生物化学的調査研究など、様々な産業分野において利用可能である。
本発明に係る多区間水質モニタリング装置の一実施例を示す全体概要図。 遮水用パッカーの取付構造及び各配管の接続構造の一例を示す説明図。 パッカーマンドレルとケーシングパイプの接続構造例を示す説明図。 坑道配管切替部の構成例を示す説明図。 物理化学的状態測定部の構成例を示す説明図。 ガスアキュムレータの構造例を示す説明図。
符号の説明
10 ボーリング孔
12 孔内多区間採水部
14 坑道配管切替部
16 物理化学的状態測定部
18 データ収録・制御部
20 円筒状ケーシング
22 遮水用パッカー
24 注水配管
26 採水配管
28 パッカー配管

Claims (3)

  1. 筒状ケーシングの外周に複数の遮水用パッカーを間隔をおいて配設すると共に該筒状ケーシング内に前記遮水用パッカーで仕切られる各採水区間と連通して引き出される採水配管が組み込まれてボーリング孔内に挿入される孔内多区間採水部と、前記各採水配管に接続されて水回路を選択切り替える坑道配管切替部と、該坑道配管切替部を介して任意の一採水区間の地下水を導き物理化学的状態を測定する物理化学的状態測定部とを具備し、該物理化学的状態測定部には定圧制御装置が組み込まれていると共に、該定圧制御装置と並列に、バイパス用電磁弁を備えたバイパス流路が設けられており、前記定圧制御装置は、電磁弁と設定圧力可変の定圧制御弁との直列接続を、複数、並列に配設した構造であり、各定圧制御弁の設定圧力を予め対象採水区間の水圧に合わせてガスの溶存状態を保持しうる圧力に設定し、外部からの電気信号により電磁弁で水路を選択することによって地下水中の溶存ガスの脱ガスを抑制しながら複数の採水区間からの採水の物理化学的状態を連続測定可能としたことを特徴とする多区間水質連続モニタリング装置。
  2. 孔内多区間採水部の筒状ケーシングは、パッカーマンドレルとケーシングパイプの組み合わせからなり、前記パッカーマンドレルは、その外周に遮水用パッカーが装着され、各遮水用パッカーとパッカーマンドレルとの隙間に連通するようにパッカー配管が溶接されると共に、遮水用パッカーから外れた位置にフィルタを介して採水配管が溶接された構造をなし、前記パッカーマンドレルとケーシングパイプとは、ねじ部の締め込みにより連結・分離可能になっていて、長さの異なるケーシングパイプの使用により地下水採水区間の区間数及び区間間隔を任意に設定可能とした請求項1記載の多区間水質連続モニタリング装置。
  3. 坑道配管切替部は、各採水配管に接続されている水回路にアキュムレータタンクが組み込まれ、該アキュムレータタンクの下部と上部を耐圧透明チューブによる水回路で連通させることにより地下水採水時に地下水中の溶存ガスの脱ガスの有無を確認可能とした請求項1又は2記載の多区間水質連続モニタリング装置。
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