JP3945752B2 - guide bush - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋削加工中の棒材をその被加工部位近傍で支持するガイドブッシュに関する。さらに本発明は、そのようなガイドブッシュを備えた自動旋盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
NC旋盤等の、種々の自動旋削加工を実施できる工作機械(本明細書で自動旋盤と総称する)において、工具による加工作業位置の近傍で旋盤機台上に設置され、主軸に把持された棒状の被加工素材(以下、棒材と称する)を、その先端の加工部位の近傍で支持する補助支持装置としてのガイドブッシュを備えたものが知られている。ガイドブッシュは、径方向へ弾性変形可能な中空筒状の棒材支持部を有し、この棒材支持部に、旋削加工中の棒材をその加工部位に振れが生じないように支持して、製品を高精度に加工成形することを可能にする。従来、自動旋盤では、旋削加工中に高速回転する棒材に対して固定的に配置される固定型のガイドブッシュと、棒材と共に高速回転する回転型のガイドブッシュとが、適宜選択して使用されている。
【0003】
また、従来の自動旋盤において、製品となる棒材先端の加工長さ部分を加工作業位置に供給するため、及び加工途上でそのような加工長さ部分の長手方向所望位置に工具刃先を配置するために、棒材を把持した主軸が軸線方向へ移動する構成を有したものは周知である。この自動旋盤では、ガイドブッシュは、固定型及び回転型のいずれの形式においても、棒材支持部に棒材を心出し支持(すなわち棒材軸線を回転軸線に合致させるように支持)した状態で、主軸の軸線方向移動により送り出される棒材を、軸線方向へ正確に案内しつつ支持できることが要求される。そこで従来、加工作業開始前にガイドブッシュに加工対象棒材(丸棒、角棒)を挿入し、棒材支持部を弾性変形させてその内径寸法を棒材外径寸法に合わせて微調整することにより、棒材の心出し支持と軸線方向案内支持との双方を達成できるようにしている。
【0004】
この種のガイドブッシュにおいて、棒材支持部を外筒と内筒との二層構造にして、加工対象棒材の外径寸法の変更や、棒材支持部の内周面(すなわち棒材支持面)の損耗程度に応じて適宜、内筒を交換できるようにしたガイドブッシュが提案されている(特開2001−138102号公報参照)。このガイドブッシュは、自動旋盤に搭載した状態で、必要に応じて内筒のみを交換することにより、多様な外径寸法を有する異種棒材(丸棒、角棒)を支持することができ、また棒材支持面の損耗に起因する加工精度の低下に迅速に対処することができる。さらに、内筒を自己潤滑性に優れた材料から作製すれば、内筒の棒材支持面と加工対象棒材の外周面との隙間を実質的に排除するとともに、棒材の軸線方向送り時に内筒との摩擦によって生じ得る棒材外周面の傷を可及的に削減して、高品質の製品を製造することが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した二層構造の棒材支持部を有する従来のガイドブッシュでは、棒材支持部の内径寸法を加工対象棒材の外径寸法に合わせて微調整できるように、一般的なすり割り構造を外筒に形成する一方で、内筒にはそれ自体の径寸法を拡縮可能とする所望の弾性を付与していた。このような弾性を有する内筒は、特にその材料自体を比較的柔軟な物質で構成した場合に、棒材の軸線方向送り時に棒材との摩擦により棒材支持面に損耗を生じる危惧がある。特に、加工対象棒材として、所定径に引抜き加工された引抜き材をそのまま使用する場合には、引抜き材の外形寸法精度の低さや面粗さに起因して内筒の損耗が生じ易くなり、結果として内筒の交換頻度が増加することが懸念される。
【0006】
本発明の目的は、自動旋盤に設置されるガイドブッシュにおいて、加工対象棒材の外径寸法の変更や棒材支持面の摩耗に迅速に対処できる複層構造の棒材支持部を有し、しかも棒材支持面の耐摩耗性を著しく向上させることができるガイドブッシュを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、そのようなガイドブッシュを備えた高性能の自動旋盤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、中空筒状の基部と、基部の軸線方向一端に隣接して設けられる中空筒状の棒材支持部とを具備するガイドブッシュにおいて、棒材支持部は、基部に一体的に連結される外筒部分と、外筒部分の内側に設置され、各々が硬質材料から形成されるとともに互いに協働して筒状の棒材支持面を形成する複数の内筒片部材と、複数の内筒片部材を、外筒部分の内側で棒材支持面を形成する位置に、外筒部分から独立して変位可能に、弾性的に保持する弾性部材とを具備すること、を特徴とするガイドブッシュを提供する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガイドブッシュにおいて、弾性部材は、隣り合う内筒片部材の間に介在してそれら内筒片部材を相互に弾性的に連結する弾性連結要素を備えるガイドブッシュを提供する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のガイドブッシュにおいて、弾性連結要素が液状ガスケットから形成されるガイドブッシュを提供する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガイドブッシュにおいて、弾性部材は、外筒部分と複数の内筒片部材の各々との間に介在してそれら内筒片部材を外側から弾性的に支持する弾性中間筒を備えるガイドブッシュを提供する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のガイドブッシュにおいて、弾性中間筒が、外筒部分と複数の内筒片部材との間で圧縮されて弾性変形可能な軟質材料から形成されるガイドブッシュを提供する。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガイドブッシュにおいて、弾性部材は、複数の内筒片部材に係合してそれら内筒片部材を内側から弾性的に支持する弾性支持要素を備えるガイドブッシュを提供する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のガイドブッシュにおいて、弾性支持要素が、複数の内筒片部材を径方向外方へ弾性的に付勢するばねから形成されるガイドブッシュを提供する。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガイドブッシュにおいて、複数の内筒片部材の各々は、少なくとも棒材支持面を形成する部分がセラミックスから作製されるガイドブッシュを提供する。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガイドブッシュにおいて、棒材支持部の外筒部分が径方向へ弾性変形でき、外筒部分の弾性変形に伴って、複数の内筒片部材が形成する棒材支持面の内径寸法が変化するガイドブッシュを提供する。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガイドブッシュを、棒材の加工作業位置近傍に設置してなる自動旋盤を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は、本発明の第1の実施形態によるガイドブッシュ10を示す。ガイドブッシュ10は、自動旋盤において、主軸に把持された棒材をその先端の被加工部位の近傍で支持する中空筒状の補助支持装置として、工具による加工作業位置の近傍で旋盤機台上に設置されるものであり、回転型ガイドブッシュ及び固定型ガイドブッシュのいずれにも適用できる。
【0013】
ガイドブッシュ10は、中空筒状の基部12と、基部12の軸線方向一端に隣接して設けられ、自動旋盤で加工される棒材を軸線方向送り可能に心出し支持する中空筒状の棒材支持部14とを備える。基部12は、棒材支持部14から離れた軸線方向後端側に、自動旋盤の旋盤機台上で主軸から送出された棒材を導入する開口端面12aを有し、開口端面12aに隣接して、棒材を非接触に受容する円筒状の内周面12bと、外周面の雄ねじ部12cとが形成される。
【0014】
棒材支持部14は、基部12に一体的に連結される径方向へ弾性変形可能な外筒部分16と、外筒部分16の内側に設置され、各々が硬質材料から形成されるとともに互いに協働して実質的筒状の棒材支持面18を形成する複数の内筒片部材20と、それら内筒片部材20を、外筒部分16の内側で棒材支持面18を形成する位置に弾性的に保持する弾性部材22とを備えて構成される。棒材支持部14は、支持対象の棒材の中心軸線に合致する中心軸線14aを有して、棒材を心出し支持(すなわち棒材軸線を旋削中の回転軸線に合致させるように支持)する。
【0015】
図1及び図2に示すように、外筒部分16は、各々の基端24aで基部12に一体的に連結される複数(図示実施形態では3個)の縦割片24を有する。それら縦割片24は、外筒部分16の周方向へ等間隔に設けられる複数(図示実施形態では3個)のスリット26を介して、互いに周方向へ隣接して配置される。それらスリット26は、基部12から離れた軸線方向前端側の外筒部分16の開口端面16aから基部12に至る範囲で、棒材支持部14の中心軸線14aに平行に、かつ中心軸線14aに関して放射状に形成される。それにより各縦割片24は、基端24aを支点として、外筒部分16の径方向へ板ばね状に弾性変形できるようになっている。
【0016】
外筒部分16を構成する3個の縦割片24は、弓形に湾曲する内面24bをそれぞれに有し、それら内面24bが互いに協働して、外筒部分16の実質的円筒状の内周面を構成する。この内周面は、各縦割片24が弾性変形していない状態で、棒材支持部14の中心軸線14aに合致する中心軸線を規定する。また、各縦割片24には、その自由端すなわち外筒部分16の開口端面16aに隣接して、径方向外方へ膨出するフランジ部分28が形成される。各縦割片24のフランジ部分28の外周面には、基端24aに向けてテーパ状に延びる圧力受け面28aが形成される。
【0017】
さらに、外筒部分16の各縦割片24には、開口端面16aに沿って内面24bから径方向内方へ突出する爪30が形成される。それら爪30は、開口端面16aに向かってテーパ状に延びる係止面30aをそれぞれに有し、互いに協働して実質的環状の係止構造を形成する。
【0018】
図1及び図3に示すように、ガイドブッシュ10では、外筒部分16の3個の縦割片24に対応して、3個の内筒片部材20が棒材支持部14に組み込まれている。各内筒片部材20は、外筒部分16の対応の縦割片24の内面24bに隙間を介して対向する円弧面状の外面20aと、外面20aの反対側の円弧面状の内面20bと、それら外面20aと内面20bとの間に延びる一対の側面20cとを有する。3個の内筒片部材20は、それぞれの内面20bが共通の円筒面上に実質的に位置するとともに、それぞれの一側面20cが互いに隙間を介して対向する相対配置で、円筒形状に組み合わされる。この状態で、それら内筒片部材20の内面20bが互いに協働して、棒材を軸線方向送り可能に心出し支持する実質的円筒状の棒材支持面18(中心軸線18aを有する)を形成する。
【0019】
各内筒片部材20は、その軸線方向一端面20dに隣接して、径方向外方へ突出するフランジ部分32を有する。各内筒片部材20のフランジ部分32には、軸線方向一端面20dに向けてテーパ状に延びる係合面32aが形成される。また、1つの内筒片部材20のフランジ部分32には、その径方向外端面に沿って軸線方向へ延びる溝32bが刻設される。
【0020】
各内筒片部材20に好適に使用できる硬質材料としては、セラミックスを挙げることができる。この場合、少なくとも棒材支持面18を形成する内面20bを含む部分を、アルミナ(Al2 O3 )、ジルコニア(ZrO2 )、窒化珪素(Si3 N4 )、炭化珪素(SiC)等の、耐摩耗性に優れたエンジニアリングセラミックスから作製することができる。特に、棒材支持面18に要求される耐摩耗性、表面平滑性に加えて、棒材の挿入、送出を繰り返すことによる内筒片部材20の破損を可及的に防止する観点で、衝撃強度や靭性に優れたジルコニアセラミックスから作製することが有利である。このような構成によれば、特に各内筒片部材20の耐久性を著しく向上させることができる。
【0021】
弾性部材22は、周方向へ隣り合う内筒片部材20の対向する側面20cの間に介在して、それら内筒片部材20を相互に弾性的に連結する複数(図では3個)の弾性連結要素34を備える。ガイドブッシュ10においては、それら弾性連結要素34の各々は、隣り合う内筒片部材20の対向側面20c間の空所に実質的全体に渡って充填される液状ガスケットから形成される。液状ガスケットは、各種機械部品の接合面間の封止用シール剤として知られており、それ自体、硬化後に接合面に対して所要の接着性を発揮するとともに、硬化状態でも所望の弾性を維持できるものである。弾性連結要素34に好適に使用できる液状ガスケットとしては、例えばスリーボンド社から入手可能な「#1215液状ガスケット」が挙げられる。
【0022】
弾性連結要素34は、周方向へ隣り合う内筒片部材20を相対変位可能に相互連結して、棒材支持部14の外筒部分16の内側で3個の内筒片部材20が互いに離散することを防止するとともに、それら内筒片部材20を、円筒状の棒材支持面18を形成する位置に弾性的に保持する。また、弾性連結要素34は、3個の内筒片部材20の外面20aにそれぞれ径方向内方への押圧力が負荷されたときに、隣り合う内筒片部材20の対向側面20c間でそれぞれ多様に弾性変形する。それに伴い、3個の内筒片部材20は、対向側面20c同士が弾性連結要素34を介して互いに押し付けられるまでの範囲で径方向内方へ変位し、結果として、それら内筒片部材20の内面20bが形成する棒材支持面18の内径寸法が減少する。各内筒片部材20の外面20aへの押圧力が解除されると、弾性連結要素34の弾性復元力下で、各内筒片部材20が初期位置に復帰して、棒材支持面18の内径寸法が復元する。
【0023】
液状ガスケットからなる弾性連結要素34は、図示のように内筒片部材20の対向側面20c間の空所を全体に渡って封止するように設置されることにより、例えば後述する自動旋盤での棒材旋削加工中に切粉が内筒片部材20間の空所に侵入することを防止できる。しかし、弾性連結要素34の配置はこれに限定されず、例えば内筒片部材20間の空所内の所望部位に局所的に設置されることにより、両内筒片部材20を相互連結する構成とすることもできる。また、液状ガスケットに限らず、例えばゴム板等の弾性体と接着剤との組み合わせによって、弾性連結要素34を構成することもできる。
【0024】
弾性部材22はさらに、外筒部分16と3個の内筒片部材20の各々との間に介在して、それら内筒片部材20を外側から弾性的に支持する弾性中間筒36を備える。図1及び図4に示すように、弾性中間筒36は、外筒部分16の3個の縦割片24の内面24bに当接される実質的円筒状の外面36aと、外面36aの反対側で、3個の内筒片部材20の外面20aに当接される円筒状の内面36bとを有する円筒状部材である。弾性中間筒36には、その外面36aに沿って軸線方向へ直線状に延びる複数(図示実施形態では3個)のスリット38が、周方向等間隔配置で形成される。それらスリット38は、弾性中間筒36の軸線方向全長に渡って外面36aに開口するとともに、内面36bから離れて(すなわち内面36bに開口することなく)放射状に形成される。その結果、弾性中間筒36には、3個の弧状壁部分40と、それら弧状壁部分40をそれぞれの内面に沿って周方向へ一体的に相互連結する3個の肉薄の連結部分42とが形成される。なお、1つの弧状壁部分40には、その外面に沿って軸線方向へ延びる溝44が刻設される。
【0025】
弾性中間筒36は、その外面36aに径方向内方への押圧力が負荷されたときに、3個の連結部分42に応力が集中して、それら連結部分42がそれぞれ多様に弾性変形する。それに伴い、3個の弧状壁部分40は、隣り合う弧状壁部分40が互いに接触するまでの範囲で、径方向内方へ変位する。それにより、弾性中間筒36の内面36bは本来の円筒形状から歪みを生じ、結果として弾性中間筒36の実質的内径寸法が減少する。弾性中間筒36の外面36aへの押圧力が解除されると、各連結部分42の弾性復元力下で、各弧状壁部分40が初期位置に復帰して、弾性中間筒36の内径寸法が復元する。
【0026】
弾性中間筒36は、外筒部分16の各縦割片24に負荷される径方向内方への押圧力を、各縦割片24の径方向内側に位置する対応の内筒片部材20に確実に伝達するように作用する。また弾性中間筒36は、複数の内筒片部材20を径方向外側から支持することにより、それら内筒片部材20を、円筒状の棒材支持面18を形成する位置に弾性的に保持する。さらに、弾性中間筒36は、外筒部分16の3個の縦割片24と3個の内筒片部材20との間で両者からの圧力を受けて、隣り合う弧状壁部分40が互いに接触するまでの範囲で、各弧状壁部分40自体が圧縮されて弾性変形し得る程度の柔軟性を有する。このような特性を発揮し得る弾性中間筒36の好適な軟質材料としては、例えば軸受材料等で「ターカイトB」の商品名で知られているフッ素樹脂系エンジニアリングプラスチック等の樹脂材料を挙げることができる。
【0027】
ガイドブッシュ10は、上記した各種構成要素を別々に作製した後に、以下のようにして組み立てることにより製造される。基部12と棒材支持部14の外筒部分16とを一体に有するブッシュ本体は、所望の金属材料から切削工程等を経て作製される。そこで、「ターカイトB」等の樹脂材料から射出成形工程等を経て一体成形した弾性中間筒36を、その外面36aが外筒部分16の各縦割片24の内面24bに密着するように、各縦割片24及び弾性中間筒36の少なくとも一方を弾性変形させながら、外筒部分16の内側に嵌入する。このとき、外筒部分16の各縦割片24と弾性中間筒36の各弧状壁部分40とを互いに位置合せし、1つの縦割片24の内面24bに突設した回り止め46(図1)を、弾性中間筒36の溝44に挿入する。その結果、弾性中間筒36は、外筒部分16に対する回転が阻止された状態で、外筒部分16の内側の所定位置に、弾性中間筒36及び外筒部分16の少なくとも一方が生じる弾性復元力下で保持される。
【0028】
他方、ジルコニアセラミックス等の硬質材料からそれぞれに成形した3個の内筒片部材20を、前述したように弾性連結要素34により円筒形状に接合して内筒構造を作製する。この内筒構造を、外筒部分16に嵌入した弾性中間筒36の内面36bに各内筒片部材20の外面20aが密着するように、外筒部分16及び弾性中間筒36と内筒構造(弾性連結要素34)との少なくとも一方を弾性変形させながら、外筒部分16及び弾性中間筒36の内側に嵌入する。このとき、外筒部分16の各縦割片24及び弾性中間筒36の各弧状壁部分40と、内筒構造の各内筒片部材20とを互いに位置合せし、1つの縦割片24の内面24bに突設した第2の回り止め48(図1)を、1つの内筒片部材20のフランジ部分32に形成した溝32bに挿入する。その結果、内筒構造は、外筒部分16に対する全ての内筒片部材20の回転が阻止された状態で、外筒部分16及び弾性中間筒36の内側の所定位置に、内筒構造及び外筒部分16の少なくとも一方が生じる弾性復元力下で保持される。
【0029】
このようにしてガイドブッシュ10を適正に組み立てると、内筒構造の3個の内筒片部材20は、それらが形成する棒材支持面18の中心軸線18aが、棒材支持部14の中心軸線14aに合致する状態に保持される。また、内筒構造の各内筒片部材20に形成したフランジ部分32の係合面32aは、外筒部分16の各縦割片24に形成した爪30の係止面30aに密に当接され、各内筒片部材20の軸線方向端面20dが外筒部分16の開口端面16aに隣接して略同一平面上に配置される。この状態で内筒構造は、外筒部分16の内側の所定位置から、外筒部分16の外方へ意図せず突き出ることが阻止される。また、弾性中間筒36は、各内筒片部材20のフランジ部分32によって、外筒部分16の開口端面16aから離れた位置に実質的に遮蔽して配置される。その結果、比較的柔軟な材料からなる弾性中間筒36は、旋削工程中に飛散する切り粉から隔離されるので、その損傷が防止される。
【0030】
なおガイドブッシュ10では、外筒部分16の各縦割片24、内筒構造の各内筒片部材20、及び弾性中間筒36の各弧状壁部分40は、周方向へ互いにずれて配置されてもよい。また、外筒部分16、内筒構造及び弾性中間筒36が所期の弾性変形を生じ得ることを前提条件として、外筒部分16の縦割片24、内筒構造の内筒片部材20、及び弾性中間筒36の弧状壁部分40の個数が互いに異なっていてもよく、また3個以外の様々な個数とすることもできる。
【0031】
上記構成を有するガイドブッシュ10において、外筒部分16の3個の縦割片24に径方向内方への外力を加えると、各縦割片24が弾性変形すると同時に、各縦割片24の内面24bに接触する弾性中間筒36の外面36aに各縦割片24から径方向内方への外力が負荷され、それにより前述したように、弾性中間筒36が弾性変形してその実質的内径寸法が減少する。それに伴い、弾性中間筒36の内面36bに接触する3個の内筒片部材20の外面20aに、弾性中間筒36から径方向内方への外力が負荷され、その結果、前述したように、弾性連結要素34の弾性変形下で、それら内筒片部材20の内面20bが形成する棒材支持面18の内径寸法が減少する。このとき同時に、外筒部分16の各縦割片24に形成した爪30の係止面30aから、各内筒片部材20に形成したフランジ部分32の係合面32aに直接に押圧力が負荷され、この押圧力によっても棒材支持面18の内径寸法が減少する。
【0032】
この状態から、外筒部分16の各縦割片24への径方向外力を弱めると、各縦割片24が弾性復元し、それに伴い弾性中間筒36及び弾性連結要素34が弾性復元して、棒材支持面18の内径寸法が増加(復元)する。なお、棒材支持面18の内径寸法が減少及び増加する間、3個の内筒片部材20は、棒材支持面18の中心軸線18aを棒材支持部14の中心軸線14aに合致させた状態を維持しつつ、径方向へ変位する。このようにガイドブッシュ10では、棒材支持部14に径方向内方へ負荷される外力すなわち押圧力を調節することによって、3個の内筒片部材20によって形成される棒材支持面18の内径寸法を調節することができる。
【0033】
ガイドブッシュ10においては、3個の内筒片部材20によって形成される棒材支持面18の内径寸法は、ガイドブッシュ10が非作用状態にある間、支持(加工)対象棒材の外径寸法よりも大きくなるように設定される。そして、ガイドブッシュ10が作用状態に置かれる実際の加工作業の開始前に、棒材支持部14に対象棒材を挿入し、上記したように棒材支持面18の内径寸法を棒材の外径寸法に合わせて微調整することにより、棒材支持面18と棒材外周面との間にμmオーダの所望の微細隙間を得る。ガイドブッシュ10は、作用状態においてこのような微細隙間を確保することにより、棒材を軸線方向送り可能に心出し支持することができる。
【0034】
ここで、支持(加工)対象棒材として、所定径に引抜き加工された外形寸法精度の低い引抜き材をそのまま使用する場合には、棒材の最小外径部分に対して上記した微細隙間が形成されるように、棒材支持面18の内径寸法を微調整する。この作用状態で、ガイドブッシュ10に支持した棒材を軸線方向へ送る間に、棒材の外径寸法の増加により棒材支持面18と棒材外周面との摩擦が増大すると、外筒部分16の各縦割片24は径方向外方へ変位できない状態にあるので、弾性中間筒36の各弧状壁部分40が、外筒部分16と内筒構造との間で圧力を受けて前述したように弾性変形する。その結果、内筒構造の弾性連結要素34の弾性変形下で、各内筒片部材20が径方向外方へ変位し、棒材支持面18の内径寸法が棒材の外径寸法に合わせて受動的に拡大する。このようにしてガイドブッシュ10は、引抜き材からなる棒材をも、軸線方向送り可能に心出し支持することができる。しかもこのとき、各内筒片部材20が硬質材料から形成されるので、棒材支持面18の耐摩耗性を著しく向上させて、棒材との摩擦に起因する各内筒片部材20の損耗の進行を可及的に抑制することができる。
【0035】
上記構成を有するガイドブッシュ10では、前述した組立手順とは逆の手順で、内筒構造及び弾性中間筒36を外筒部分16から必要に応じて取り外すことができるので、支持対象棒材の外径寸法の変更に対応して棒材支持部14の内径寸法を変更するときには、棒材支持面18の内径寸法が異なる他の内筒構造に交換すればよい。したがって、ガイドブッシュ10を搭載した自動旋盤で多様な外径寸法を有する異種棒材(丸棒、角棒)を加工する際には、それら異種棒材に対応した内径寸法をそれぞれに有する多種類の内筒構造を用意し、基部12と外筒部分16とからなるブッシュ本体を自動旋盤に搭載したままで内筒構造のみを適宜交換することにより、異種棒材の高精度加工を順次実施できる。また、長時間の加工作業により各内筒片部材20の内面20bが摩耗したときにも、ブッシュ本体は交換せずに、内筒構造のみを適宜交換すればよい。ここでガイドブッシュ10によれば、棒材支持面18の耐摩耗性の向上により、内筒片部材20を含む内筒構造の交換頻度を削減することができる。
【0036】
次に図5を参照して、上記構成を有するガイドブッシュ10を組み込んで備えた自動旋盤50の主要部分の構成を説明する。ガイドブッシュ10は、スリーブ部材52、軸受装置54及びフランジ部材56を介して、旋盤機台上に設定された工具58による加工作業位置の近傍で、機台上のコラム60に回転可能に設置される。
【0037】
ガイドブッシュ10は、スリーブ部材52の前端(図で左端)領域に軸線方向へ摺動可能にかつ相対回転不能に収納される。スリーブ部材52の内周面前端には、ガイドブッシュ10の棒材支持部14の外周面に設けた複数の圧力受け面28aに接触可能な圧力負荷面62が形成される。スリーブ部材52の後端(図で右端)領域には、ガイドブッシュ10の基部12に設けた雄ねじ部12c(図1)に螺合する雌ねじ部を有した調節ナット64が、軸線方向へ固定して回転可能に収納される。それにより、調節ナット64が回転すると、ガイドブッシュ10がスリーブ部材52内で軸線方向へ移動する。
【0038】
スリーブ部材52の外周面の後端領域には、キー66を介して被動歯車68が取付けられる。被動歯車68は、図示しない動力伝達機構を介して図示しないガイドブッシュ駆動源に連結され、ガイドブッシュ駆動源により、コラム60の後方に設置される主軸70の回転速度と同一の回転速度で回転駆動される。その結果、被動歯車68、調節ナット64、スリーブ部材52及びガイドブッシュ10が、フランジ部材56の内部で一体的に、主軸70の回転速度と同一の回転速度で回転する。
【0039】
フランジ部材56は、例えばボルト72によりコラム60に固定される。このように、ガイドブッシュ10、スリーブ部材52、フランジ部材56、調節ナット64及び被動歯車68は、予め組み立てた回転型ガイドブッシュ装置として、自動旋盤50のコラム60の所定位置に取付けることができる。なお、ガイドブッシュ10を固定型ガイドブッシュ装置として使用する場合は、軸受装置54、被動歯車68、ガイドブッシュ駆動源等が省略される。
【0040】
主軸70は、旋削加工すべき棒材Wを把持して、図示しない主軸駆動源により回転駆動される。主軸70は、コラム60の後方で、ガイドブッシュ10の回転軸線と主軸70の回転軸線とが互いに一致するようにして、軸線方向移動可能に設置される。主軸70の前端領域には、棒材Wを把持可能な開閉式のチャック74が収容される。チャック74は、先端にすり割り部を有したいわゆるコレットチャックであり、すり割り部に径方向内方への外力すなわち押圧力が加わることにより、先端の棒材把持孔76が縮径してチャック74が閉じ、棒材Wを強固に固定的に把持するようになっている。すり割り部への径方向外力が解除されると、すり割り部が復元して棒材把持孔76が拡径し、チャック74が開いて棒材Wを解放する。
【0041】
主軸70にはさらに、中空筒状の作動部材78が軸線方向へ移動可能に収容される。作動部材78は、その前端領域にチャック74を収容し、図示しないチャック駆動源により軸線方向前方(図で左方)へ移動することによって、チャック74のすり割り部に径方向内方への押圧力を負荷してチャック74を閉じる。この状態から、作動部材78を軸線方向後方(図で右方)へ移動すれば、チャック74が開かれる。なお、主軸70の構成は上記に限定されるものではない。例えばチャックの開閉作動機構として、チャック後端に連結した作動部材をチャックとともに軸線方向後方へ移動することにより、チャックのすり割り部に径方向内方への押圧力を加える構成を採用することもできる。
【0042】
上記構成を有する自動旋盤50において、棒材Wの加工作業を実施する際には、まず、ガイドブッシュ10の外筒部分16に、加工対象の棒材Wの外径寸法に対応する名目内径寸法を有した内筒構造と、適当な弾性中間筒36とを選択して取付け、コラム60に搭載されたスリーブ部材52に装着する。次いで、外筒部分16に径方向内方への外力を加えない状態で、主軸70に把持した棒材Wを主軸70の軸線方向移動により、ガイドブッシュ10の後方から棒材支持部16に挿入する。その状態から、調節ナット64を回してガイドブッシュ10を軸線方向後方へ移動し、外筒部分16の圧力受け面28aをスリーブ部材52の圧力負荷面62に押付ける。それにより、外筒部分16の3個の縦割片24(図1)を弾性変形させるとともに、弾性中間筒36及び弾性連結要素34の弾性変形下で3個の内筒片部材20を径方向内方へ変位させて、棒材支持面18と棒材Wの外周面との間にμmオーダの所望の微小隙間を形成する。このようにして、ガイドブッシュ10の棒材支持面18の内径寸法を調節した後、ガイドブッシュ10により棒材Wの被加工部位近傍を心出し支持しつつ、例えば工具58により旋削加工を実施する。
【0043】
ところで、上記したガイドブッシュ10においては、棒材を軸線方向へ送る間に棒材の外径寸法が局所的に増加したときに、弾性中間筒36の各弧状壁部分40が外筒部分16と各内筒片部材20との間で圧縮されて弾性変形することにより、複数の内筒片部材20が径方向外方へ変位して、棒材支持面18の内径寸法が棒材の外径寸法に合わせて受動的に拡大するようになっている。このような弾性中間筒36の作用を利用すれば、前述した棒材支持面18の内径寸法調節に際し、棒材支持面18と棒材外周面との間にμmオーダの微小隙間を敢えて形成せずとも、棒材支持面18を棒材外周面に当接させておくだけで、棒材を軸線方向送り可能に心出し支持することができる。
【0044】
このような観点では、ガイドブッシュの棒材支持面の内径寸法調節機構を省略することもできる。図6は、そのような簡略化した構成を有する本発明の第2の実施形態によるガイドブッシュ80を示す。ガイドブッシュ80は、棒材支持部の外筒部分の構成以外は、前述したガイドブッシュ10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0045】
ガイドブッシュ80の棒材支持部82は、基部12に一体的に連結される外筒部分84と、外筒部分84の内側に設置される複数(3個)の内筒片部材20と、それら内筒片部材20を、外筒部分84の内側で棒材支持面18を形成する位置に弾性的に保持する弾性部材22とを備える。棒材支持部82は、支持対象の棒材の中心軸線に合致する中心軸線82aを有して、棒材を心出し支持する。外筒部分84は、前述したガイドブッシュ10の外筒部分16におけるスリット26を省略した構成を有するものであり、棒材支持部82の中心軸線82aに合致する中心軸線を規定する円筒状の内周面84aを備える(図7)。したがって外筒部分84は、径方向へ実質的に弾性変形できず、その内周面84aの内径寸法を変更できない。
【0046】
弾性部材22を構成する弾性中間筒36は、その外面36a(図4)が外筒部分84の内周面84aに当接されるとともに、その内面36b(図4)が3個の内筒片部材20の外面20aに当接されて、外筒部分84とそれら内筒片部材20との間に配置され、その状態で各内筒片部材20を外側から支持する。このような構成を有する棒材支持部82は、3個の内筒片部材20が形成する棒材支持面18の内径寸法を積極的には調節できないものである。その一方で棒材支持部82は、棒材支持面18に径方向外方への外力が負荷されたときに、弾性中間筒36の各弧状壁部分40(図4)が外筒部分84と各内筒片部材20との間で圧縮されて弾性変形することにより、それら内筒片部材20を径方向外方へ変位させて、棒材支持面18の内径寸法を受動的に拡大させることができる。
【0047】
したがって、上記構成を有するガイドブッシュ80は、前述した自動旋盤50に搭載したときに、棒材支持面18の内径寸法に対応する外径寸法を有した棒材を、棒材支持面18を棒材外周面に当接させた状態で、軸線方向送り可能に心出し支持できる。ここで、棒材として外形寸法精度の低い引抜き材をそのまま使用した場合にも、弾性中間筒36の各弧状壁部分40の弾性変形可能範囲内で、棒材支持面18の内径寸法を受動的に拡大/縮小させて、棒材を軸線方向送り可能に心出し支持することができる。
【0048】
前述したガイドブッシュ10、80では、棒材支持部14、82に設置される複数の内筒片部材20が、弾性連結要素34を介して互いに相対変位可能に連結される構成を有していた。しかし本発明に係るガイドブッシュは、複数の内筒片部材が互いに分離した状態で外筒部分の内側に配置されてなる棒材支持部を有することもできる。図8は、そのような構成を有する本発明の第3の実施形態によるガイドブッシュ90を示す。ガイドブッシュ90は、棒材支持部の内筒片部材及び弾性部材の構成以外は、前述したガイドブッシュ10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0049】
ガイドブッシュ90の棒材支持部92は、基部12に一体的に連結される径方向へ弾性変形可能な外筒部分16と、外筒部分16の内側に設置され、各々が硬質材料から形成されるとともに互いに協働して実質的筒状の棒材支持面94を形成する複数(3個)の内筒片部材96と、それら内筒片部材96を、外筒部分16の内側で棒材支持面94を形成する位置に弾性的に保持する弾性部材98とを備えて構成される。棒材支持部92は、支持対象の棒材の中心軸線に合致する中心軸線92aを有して、棒材を心出し支持する。
【0050】
図9に示すように、ガイドブッシュ90の各内筒片部材96は、外筒部分16の対応の縦割片24の内面24b(図2)に隙間を介して対向する円弧面状の外面96aと、外面96aの反対側の円弧面状の内面96bと、それら外面96aと内面96bとの間に延びる一対の側面96cとを有する。3個の内筒片部材96は、それぞれの内面96bが共通の円筒面上に実質的に位置するとともに、それぞれの一側面96cが互いに隙間を介して対向する相対配置で、外筒部分16の内側に収容される。この状態で、それら内筒片部材96の内面96bが互いに協働して、棒材を軸線方向送り可能に心出し支持する実質的円筒状の棒材支持面94(中心軸線94aを有する)を形成する。
【0051】
各内筒片部材96は、その軸線方向一端面96dに隣接して、径方向外方へ突出するフランジ部分100を有する。各内筒片部材96のフランジ部分100には、軸線方向一端面96dに向けてテーパ状に延びる係合面100aが形成されるとともに、その径方向外端面に沿って軸線方向へ延びる溝100bが刻設される。さらに各内筒片部材96には、その内面96bと軸線方向一端面96d及び軸線方向他端面96eとの境界領域に、鋭角断面の縁溝102がそれぞれ形成される。
【0052】
各内筒片部材96に好適に使用できる硬質材料としては、エンジニアリングセラミックスを挙げることができる。この場合、少なくとも棒材支持面94を形成する内面96bを含む部分を、耐摩耗性、衝撃強度、表面平滑性に優れたジルコニアセラミックスから作製することが有利である。このような構成によれば、特に棒材支持面94の耐久性を著しく向上させることができる。
【0053】
弾性部材98は、外筒部分16と3個の内筒片部材96の各々との間に介在して、それら内筒片部材96を外側から弾性的に支持する弾性中間筒36と、3個の内筒片部材96に係合してそれら内筒片部材96を内側から弾性的に支持する一対の弾性支持要素104とを備える。弾性中間筒36は、その外面36a(図4)で、外筒部分16の3個の縦割片24の内面24bに当接されるとともに、その内面36b(図4)で、3個の内筒片部材96の外面96aに当接される。弾性中間筒36は、外筒部分16の各縦割片24に負荷される径方向内方への押圧力を、各縦割片24の径方向内側に位置する対応の内筒片部材96に確実に伝達するように作用する。また弾性中間筒36は、複数の内筒片部材96を径方向外側から支持することにより、それら内筒片部材96を、円筒状の棒材支持面94を形成する位置に弾性的に保持する。さらに、弾性中間筒36は、外筒部分16の3個の縦割片24と3個の内筒片部材96との間で両者からの圧力を受けて、隣り合う弧状壁部分40(図4)が互いに接触するまでの範囲で、各弧状壁部分40自体が圧縮されて弾性変形し得る程度の柔軟性を有する。
【0054】
図10に示すように、一対の弾性支持要素104の各々は、ばね線材をCリング状に曲成してなる環状のばねから形成される。それら弾性支持要素104は、それぞれの全長を略3等分した長さ領域で、各内筒片部材96の一対の縁溝102にそれぞれ受容されて、3個の内筒片部材96を径方向外方へ弾性的に付勢する。それにより、それら弾性支持要素104が互いに協働して、3個の内筒片部材96を、円筒状の棒材支持面94を形成する位置に弾性的に保持する。各弾性支持要素104は、内筒片部材96同士の機械的相互連結機能を有さないが、3個の内筒片部材96の外面96aにそれぞれ径方向内方への押圧力が負荷されたときには、弾性支持要素104自体の径寸法を縮小するように弾性変形する。それに伴い、3個の内筒片部材96は、対向側面96c同士が互いに接触するまでの範囲で径方向内方へ変位し、結果として、それら内筒片部材96の内面96bが形成する棒材支持面94の内径寸法が減少する。各内筒片部材96の外面96aへの押圧力が解除されると、両弾性支持要素104の弾性復元力下で、各内筒片部材96が初期位置に復帰して、棒材支持面94の内径寸法が復元する。
【0055】
ガイドブッシュ90は、上記した各種構成要素を別々に作製した後に、以下のようにして組み立てることにより製造される。まず、前述したガイドブッシュ10の組立工程と同様に、基部12と棒材支持部92の外筒部分16とを一体に有するブッシュ本体に、弾性中間筒36を組み付ける。このとき、外筒部分16の1つの縦割片24に設置した回り止め46を、弾性中間筒36の溝44(図4)に挿入ことにより、外筒部分16に対する弾性中間筒36の回転を阻止する。なお、図11に示すように、外筒部分16の全ての縦割片24には、その内面24bから突出する第2の回り止め48が設置される。
【0056】
他方、ジルコニアセラミックス等の硬質材料からそれぞれに成形した3個の内筒片部材96に、一対の弾性支持要素104を前述したように組み付けて、実質的円筒形状の内筒構造を作製する。この内筒構造を、外筒部分16に嵌入した弾性中間筒36の内面36bに各内筒片部材96の外面96aが密着するように、外筒部分16及び弾性中間筒36と内筒構造(弾性支持要素104)との少なくとも一方を弾性変形させながら、外筒部分16及び弾性中間筒36の内側に嵌入する。このとき、各縦割片24及び弾性中間筒36の各弧状壁部分40と、内筒構造の各内筒片部材96とを互いに位置合せし、各縦割片24の内面24bに突設した第2の回り止め48を、対応の内筒片部材96のフランジ部分100に形成した溝100bに挿入する。その結果、内筒構造は、外筒部分16に対する全ての内筒片部材96の回転が阻止された状態で、外筒部分16及び弾性中間筒36の内側の所定位置に、外筒部分16及び弾性中間筒36と内筒構造(弾性支持要素104)との少なくとも一方が生じる弾性復元力下で保持される。なお、好ましくはこの状態で、各弾性支持要素104はそれ自体の弾性復元力により、3個の内筒片部材96の縁溝102内に固定的に受容保持される。
【0057】
このようにしてガイドブッシュ90を適正に組み立てると、内筒構造の3個の内筒片部材96は、それらが形成する棒材支持面94の中心軸線94aが、棒材支持部92の中心軸線92aに合致する状態に保持される。また、内筒構造の各内筒片部材96に形成したフランジ部分100の係合面100aは、外筒部分16の各縦割片24に形成した爪30の係止面30a(図11)に密に当接され、各内筒片部材96の軸線方向端面96dが外筒部分16の開口端面16a(図11)に隣接して略同一平面上に配置される。この状態で内筒構造は、外筒部分16の内側の所定位置から、外筒部分16の外方へ意図せず突き出ることが阻止される。また、弾性中間筒36は、各内筒片部材96のフランジ部分100によって、外筒部分16の開口端面16aから離れた位置に実質的に遮蔽して配置される。その結果、比較的柔軟な材料からなる弾性中間筒36は、旋削工程中に飛散する切り粉から隔離されるので、その損傷が防止される。
【0058】
なおガイドブッシュ90では、外筒部分16の各縦割片24、内筒構造の各内筒片部材96、及び弾性中間筒36の各弧状壁部分40は、周方向へ互いにずれて配置されてもよい。また、外筒部分16、内筒構造及び弾性中間筒36が所期の弾性変形を生じ得ることを前提条件として、外筒部分16の縦割片24、内筒構造の内筒片部材96、及び弾性中間筒36の弧状壁部分40の個数が互いに異なっていてもよく、また3個以外の様々な個数とすることもできる。
【0059】
上記構成を有するガイドブッシュ90は、前述したガイドブッシュ10と同様に作用する。すなわち、外筒部分16の3個の縦割片24に径方向内方への外力を加えると、各縦割片24が弾性変形すると同時に、各縦割片24の内面24bに接触する弾性中間筒36の外面36aに各縦割片24から径方向内方への外力が負荷され、それにより前述したように、弾性中間筒36が弾性変形してその実質的内径寸法が減少する。それに伴い、弾性中間筒36の内面36bに接触する3個の内筒片部材96の外面96aに、弾性中間筒36から径方向内方への外力が負荷され、その結果、前述したように、一対の弾性支持要素104の弾性変形下で、それら内筒片部材96の内面96bが形成する棒材支持面94の内径寸法が減少する。
【0060】
この状態から、外筒部分16の各縦割片24への径方向外力を弱めると、各縦割片24が弾性復元し、それに伴い弾性中間筒36及び両弾性支持要素104が弾性復元して、棒材支持面94の内径寸法が増加(復元)する。なお、棒材支持面94の内径寸法が減少及び増加する間、3個の内筒片部材96は、棒材支持面94の中心軸線94aを棒材支持部92の中心軸線92aに合致させた状態を維持しつつ、径方向へ変位する。このようにガイドブッシュ90では、棒材支持部92に径方向内方へ負荷される外力すなわち押圧力を調節することによって、3個の内筒片部材96によって形成される棒材支持面94の内径寸法を調節することができる。
【0061】
ガイドブッシュ90においては、3個の内筒片部材96によって形成される棒材支持面94の内径寸法は、ガイドブッシュ90が非作用状態にある間、支持(加工)対象棒材の外径寸法よりも大きくなるように設定される。そして、ガイドブッシュ90が作用状態に置かれる実際の加工作業の開始前に、棒材支持部92に対象棒材を挿入し、上記したように棒材支持面94の内径寸法を棒材の外径寸法に合わせて微調整することにより、棒材支持面94と棒材外周面との間にμmオーダの所望の微細隙間を得る。ガイドブッシュ90は、作用状態においてこのような微細隙間を確保することにより、棒材を軸線方向送り可能に心出し支持することができる。
【0062】
ここで、支持(加工)対象棒材として、所定径に引抜き加工された外形寸法精度の低い引抜き材をそのまま使用する場合には、棒材の最小外径部分に対して上記した微細隙間が形成されるように、棒材支持面94の内径寸法を微調整する。この作用状態で、ガイドブッシュ90に支持した棒材を軸線方向へ送る間に、棒材の外径寸法の増加により棒材支持面94と棒材外周面との摩擦が増大すると、外筒部分16の各縦割片24は径方向外方へ変位できない状態にあるので、弾性中間筒36の各弧状壁部分40が、外筒部分16と内筒構造との間で圧力を受けて前述したように弾性変形する。その結果、各内筒片部材96が径方向外方へ変位し、棒材支持面94の内径寸法が棒材の外径寸法に合わせて受動的に拡大する。このようにしてガイドブッシュ90は、引抜き材からなる棒材をも、軸線方向送り可能に心出し支持することができる。しかもこのとき、各内筒片部材96が硬質材料から形成されるので、棒材支持面94の耐摩耗性を著しく向上させて、棒材との摩擦に起因する各内筒片部材96の損耗の進行を可及的に抑制することができる。
【0063】
なお、上記ガイドブッシュ90に組み込んだ弾性支持要素104は、弾性連結要素34を有する前述したガイドブッシュ10に組み込むこともできる。このような構成によれば、ガイドブッシュ10における弾性部材22の弾性作用を強化できるので、内筒片部材20の径方向変位動作の応答性を向上させて、棒材支持部14による一層高精度の心出し支持特性を獲得できる。また、液状ガスケットからなる弾性連結要素34を用いて複数の内筒片部材20を円筒状に組み合わせる際に、各内筒片部材20の位置精度が多少低く組み合わされていても、弾性支持要素104の支持作用によって、結果的に各内筒片部材20の位置精度を獲得することができる。それにより、ガイドブッシュ10の製造工程が簡略化され、内筒片部材20を交換する際にもその作業コストが削減される。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、自動旋盤に設置されるガイドブッシュにおいて、複層構造の棒材支持部を備えたことにより加工対象棒材の外径寸法の変更や棒材支持面の摩耗に迅速に対処できるだけでなく、棒材支持面の耐摩耗性を著しく向上させることができる。したがって本発明によれば、ガイドブッシュの特に棒材支持面の損耗が、自動旋盤における製品の加工精度及び製造コストに及ぼす影響を可及的に低減でき、引抜き材からなる棒材を用いる場合にも高品質の製品を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるガイドブッシュの、(a)線I−Iに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図2】図1のガイドブッシュにおける基部及び外筒部分の、(a)線II−IIに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図3】図1のガイドブッシュにおける内筒構造の、(a)線III−IIIに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図4】図1のガイドブッシュにおける弾性中間筒の、(a)線IV−IVに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図5】図1のガイドブッシュを搭載した自動旋盤の主要部を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるガイドブッシュの、(a)線VI−VIに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図7】図6のガイドブッシュにおける基部及び外筒部分の、(a)線VII−VIIに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図8】本発明の第3実施形態によるガイドブッシュの、(a)線VIII−VIIIに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図9】図8のガイドブッシュにおける複数の内筒片部材の、(a)線IX−IXに沿った断面図、及び(b)軸線方向端面図である。
【図10】図8のガイドブッシュにおける弾性支持要素の正面図である。
【図11】図8のガイドブッシュにおける基部及び外筒部分の、(a)線XI−XIに沿った断面図、及び(b)線B−Bに沿った断面図である。
【符号の説明】
10、80、90…ガイドブッシュ
12…基部
14、82、92…棒材支持部
16、84…外筒部分
18、94…棒材支持面
20、96…内筒片部材
22、98…弾性部材
24…縦割片
30…爪
34…弾性連結要素
36…弾性中間筒
50…自動旋盤
70…主軸
104…弾性支持要素[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a guide bush for supporting a bar during turning in the vicinity of a portion to be processed. Furthermore, the present invention relates to an automatic lathe provided with such a guide bush.
[0002]
[Prior art]
In a machine tool (generally referred to as an automatic lathe in this specification) such as an NC lathe that can perform various automatic turning operations, a rod-like shape that is installed on a lathe machine stand in the vicinity of a machining work position by a tool and gripped by a spindle A material having a guide bush as an auxiliary support device for supporting a workpiece material (hereinafter referred to as a bar) in the vicinity of the processing portion at the tip thereof is known. The guide bush has a hollow cylindrical bar support part that can be elastically deformed in the radial direction. The bar support part supports the bar being turned so that there is no wobbling in the processed part. The product can be processed and molded with high accuracy. Conventional automatic lathes use a fixed guide bush that is fixedly mounted on a bar that rotates at high speed during turning and a rotary guide bush that rotates at a high speed together with the bar. Has been.
[0003]
Further, in a conventional automatic lathe, a tool cutting edge is arranged at a desired position in the longitudinal direction of such a processing length portion in order to supply the processing length portion of the tip of a bar material to be a product to a processing work position. For this reason, it is well known that the main shaft holding the bar moves in the axial direction. In this automatic lathe, the guide bush is in a state in which the bar is centered and supported (that is, supported so that the bar axis is aligned with the rotation axis) in the bar support part in both the fixed type and the rotary type. It is required that the bar fed by the movement of the main shaft in the axial direction can be supported while being accurately guided in the axial direction. Therefore, conventionally, before starting the machining operation, the bar to be machined (round bar, square bar) is inserted into the guide bush, the bar support part is elastically deformed, and the inner diameter is finely adjusted to match the bar outer diameter. This makes it possible to achieve both the centering support and the axial guide support of the bar.
[0004]
In this type of guide bush, the bar support part has a two-layer structure of an outer cylinder and an inner cylinder, and the outer diameter of the bar to be processed is changed, or the inner peripheral surface of the bar support part (ie, the bar support) A guide bush has been proposed in which the inner cylinder can be appropriately replaced according to the degree of wear of the surface (see Japanese Patent Laid-Open No. 2001-138102). This guide bush can support dissimilar bar materials (round bar, square bar) with various outer diameters by replacing only the inner cylinder as necessary while mounted on an automatic lathe. Further, it is possible to quickly cope with a decrease in processing accuracy due to wear of the bar support surface. Furthermore, if the inner cylinder is made of a material having excellent self-lubricating properties, the gap between the bar support surface of the inner cylinder and the outer peripheral surface of the bar to be processed is substantially eliminated, and at the time of axial feeding of the bar High-quality products can be manufactured by reducing as much as possible scratches on the outer peripheral surface of the bar material that may be caused by friction with the inner cylinder.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
In the conventional guide bush having the above-mentioned two-layered bar support part, a general slot structure is used so that the inner diameter dimension of the bar support part can be finely adjusted according to the outer diameter dimension of the bar to be processed. While the outer cylinder is formed, the inner cylinder is provided with a desired elasticity that allows the diameter of the inner cylinder to be enlarged or reduced. The inner cylinder having such elasticity may cause wear on the bar support surface due to friction with the bar when the bar is fed in the axial direction, particularly when the material itself is made of a relatively soft material. . In particular, when using a drawn material that has been drawn to a predetermined diameter as a processing target bar, the inner cylinder is likely to be worn due to the low external dimensional accuracy and surface roughness of the drawn material, As a result, there is a concern that the replacement frequency of the inner cylinder will increase.
[0006]
The object of the present invention is a guide bush installed in an automatic lathe, having a multi-layered bar support that can quickly cope with changes in the outer diameter of the bar to be processed and wear of the bar support surface, Moreover, it is an object of the present invention to provide a guide bush that can remarkably improve the wear resistance of the bar support surface.
Still another object of the present invention is to provide a high-performance automatic lathe equipped with such a guide bush.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the invention according to
[0008]
According to a second aspect of the present invention, in the guide bush according to the first aspect, the elastic member is interposed between adjacent inner cylindrical piece members and elastically connects the inner cylindrical piece members to each other. A guide bush comprising the element is provided.
The invention according to claim 3 provides the guide bush according to claim 2, wherein the elastic connecting element is formed of a liquid gasket.
[0009]
The invention according to
According to a fifth aspect of the present invention, in the guide bush according to the fourth aspect, the elastic intermediate cylinder is formed of a soft material that is elastically deformable by being compressed between the outer cylinder portion and the plurality of inner cylinder piece members. Provide a guide bush.
[0010]
According to a sixth aspect of the present invention, in the guide bush according to any one of the first to fifth aspects, the elastic member engages with the plurality of inner cylindrical piece members and elastically causes the inner cylindrical piece members to be elastic from the inside. A guide bushing is provided with a resiliently supporting elastic support element.
The invention according to claim 7 is the guide bush according to claim 6, wherein the elastic support element is formed of a spring that elastically biases the plurality of inner cylindrical piece members radially outward. provide.
[0011]
The invention according to an eighth aspect is the guide bush according to any one of the first to seventh aspects, wherein each of the plurality of inner cylindrical piece members is made of ceramics at least at a portion forming the bar support surface. Provide a guide bush.
According to a ninth aspect of the present invention, in the guide bush according to any one of the first to eighth aspects, the outer cylindrical portion of the bar support portion can be elastically deformed in the radial direction, and the elastic deformation of the outer cylindrical portion is accompanied. Thus, a guide bush is provided in which the inner diameter dimension of the bar support surface formed by the plurality of inner cylinder piece members is changed.
A tenth aspect of the present invention provides an automatic lathe in which the guide bush according to any one of the first to ninth aspects is installed in the vicinity of a machining work position of a bar.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below in detail with reference to the accompanying drawings. Corresponding components are denoted by common reference symbols throughout the drawings.
Referring to the drawings, FIG. 1 shows a
[0013]
The
[0014]
The bar
[0015]
As shown in FIGS. 1 and 2, the
[0016]
The three vertically divided
[0017]
Further, each
[0018]
As shown in FIGS. 1 and 3, in the
[0019]
Each inner
[0020]
Examples of the hard material that can be suitably used for each inner
[0021]
The
[0022]
The elastic connecting
[0023]
The elastic connecting
[0024]
The
[0025]
In the elastic
[0026]
The elastic
[0027]
The
[0028]
On the other hand, the three inner
[0029]
When the
[0030]
In the
[0031]
In the
[0032]
From this state, when the radial external force to the
[0033]
In the
[0034]
Here, when a drawn material with a low outer dimensional accuracy that has been drawn to a predetermined diameter is used as it is as a support (machining) target bar, the above-mentioned fine gap is formed in the minimum outer diameter portion of the bar. As described above, the inner diameter dimension of the
[0035]
In the
[0036]
Next, with reference to FIG. 5, the structure of the main part of the
[0037]
The
[0038]
A driven
[0039]
The
[0040]
The
[0041]
Further, a hollow cylindrical actuating
[0042]
In the
[0043]
By the way, in the above-described
[0044]
From such a viewpoint, the inner diameter dimension adjusting mechanism of the bar support surface of the guide bush can be omitted. FIG. 6 shows a
[0045]
The
[0046]
The elastic
[0047]
Therefore, when the
[0048]
The
[0049]
The
[0050]
As shown in FIG. 9, each inner
[0051]
Each inner
[0052]
Examples of the hard material that can be suitably used for each inner
[0053]
The
[0054]
As shown in FIG. 10, each of the pair of
[0055]
The
[0056]
On the other hand, a pair of
[0057]
When the
[0058]
In the
[0059]
The
[0060]
From this state, when the radial external force applied to each
[0061]
In the
[0062]
Here, when a drawn material with a low outer dimensional accuracy that has been drawn to a predetermined diameter is used as it is as a support (machining) target bar, the above-mentioned fine gap is formed in the minimum outer diameter portion of the bar. As described above, the inner diameter dimension of the
[0063]
The
[0064]
【The invention's effect】
As is apparent from the above description, according to the present invention, the guide bush installed in the automatic lathe is provided with a multi-layered bar support portion, thereby changing the outer diameter of the bar to be processed and the bar. Not only can the wear of the material support surface be dealt with quickly, but also the wear resistance of the bar support surface can be significantly improved. Therefore, according to the present invention, it is possible to reduce as much as possible the influence of the wear of the guide bush, particularly the bar support surface, on the processing accuracy and manufacturing cost of the product in the automatic lathe, and when using a bar made of a drawn material. It will also be possible to produce high quality products.
[Brief description of the drawings]
FIGS. 1A and 1B are a cross-sectional view taken along line II of a guide bush according to a first embodiment of the present invention, and FIG.
2A is a cross-sectional view taken along line II-II, and FIG. 2B is an end view in the axial direction, of the base and the outer cylinder portion of the guide bush in FIG. 1;
3A is a cross-sectional view taken along line III-III, and FIG. 3B is an end view in the axial direction of the inner cylinder structure of the guide bush in FIG. 1;
4A is a cross-sectional view taken along line IV-IV of the elastic intermediate cylinder in the guide bush of FIG. 1, and FIG. 4B is an end view in the axial direction.
FIG. 5 is a cross-sectional view showing a main part of an automatic lathe equipped with the guide bush of FIG. 1;
6A is a cross-sectional view taken along line VI-VI and FIG. 6B is an end view in the axial direction of a guide bush according to a second embodiment of the present invention.
7A is a cross-sectional view taken along line VII-VII and FIG. 7B is an end view in the axial direction of the base portion and the outer cylinder portion of the guide bush shown in FIG. 6;
8A is a cross-sectional view taken along line VIII-VIII, and FIG. 8B is an axial end view of a guide bush according to a third embodiment of the present invention.
9A is a cross-sectional view taken along line IX-IX, and FIG. 9B is an end view in the axial direction, of a plurality of inner cylinder piece members in the guide bush in FIG. 8;
10 is a front view of an elastic support element in the guide bush of FIG. 8;
11A is a cross-sectional view taken along line XI-XI, and FIG. 11B is a cross-sectional view taken along line BB, of the base portion and the outer cylinder portion of the guide bush in FIG. 8;
[Explanation of symbols]
10, 80, 90 ... guide bush
12 ... Base
14, 82, 92 ... bar support
16, 84 ... outer cylinder part
18, 94 ... Bar support surface
20, 96 ... inner cylinder piece member
22, 98 ... elastic member
24 ... Vertical pieces
30 ... nail
34. Elastic connecting element
36 ... Elastic intermediate tube
50 ... Automatic lathe
70 ... Spindle
104. Elastic support element
Claims (10)
前記棒材支持部は、
前記基部に一体的に連結される外筒部分と、
前記外筒部分の内側に設置され、各々が硬質材料から形成されるとともに互いに協働して筒状の棒材支持面を形成する複数の内筒片部材と、
前記複数の内筒片部材を、前記外筒部分の内側で前記棒材支持面を形成する位置に、該外筒部分から独立して変位可能に、弾性的に保持する弾性部材とを具備すること、
を特徴とするガイドブッシュ。In a guide bush comprising a hollow cylindrical base and a hollow cylindrical bar support provided adjacent to one axial end of the base,
The bar support part is
An outer cylinder part integrally connected to the base part;
A plurality of inner cylinder piece members that are installed inside the outer cylinder portion and are each formed of a hard material and cooperate with each other to form a cylindrical bar support surface;
An elastic member that elastically holds the plurality of inner cylinder piece members at a position where the bar support surface is formed inside the outer cylinder part so as to be independently displaceable from the outer cylinder part ; thing,
Guide bush characterized by
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