JP3945407B2 - Method for producing continuous fiber coated with inorganic material - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維束を構成する単繊維間の接着のない無機質材料被覆連続繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス系材料は、耐熱性、耐酸化性を有するためエネルギー産業、航空宇宙、原子力分野等の著しく使用環境の厳しい利用分野への用途展開が期待されている。しかしながら、セラミックスは、材料固有の性質に基づく脆性、強度的な信頼性の低さが問題となる。このため、無機系繊維をセラミックスマトリックス中に複合化することにより靱性を高めた繊維強化型セラミックスの開発が行われている。その中でも特に、強化繊維として炭化ケイ素繊維(以下SiC繊維という)を用い、マトリックスとして炭化ケイ素を用いたSiC/SiC複合材料はその高い耐熱性から上記の分野への利用が期待されている。
【0003】
また、セラミックス基複合材において、マトリックスや繊維の耐熱性の向上に向けた研究は多く行われており、特に強化材である繊維の耐熱性は飛躍的に向上している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、SiC/SiC複合材料では、マトリックスと繊維の界面に炭素Cや窒化ホウ素BNに代表されるような、適度な滑り効果を発現する層を設けることで、進展するクラックの偏向を起こさせ、脆性的な破壊をするセラミックスに高い靱性を付与している。
これらの界面材料は、通常高温の不活性ガス雰囲気中で原料となるガスを分解することで、繊維表面に堆積させる。炭素の場合は、メタンやプロパン等に代表される炭化水素系のガスを高温で熱分解させることで繊維表面に堆積させる。一方、窒化ホウ素は、窒素源として、アンモニアNH3、ホウ素源として三塩化ホウ素BCl3、三フッ化ホウ素BF3、ジボランB2H6のようなホウ素を含むガスを1000℃以上の高温で反応させることで層状構造を有する六方晶窒化ホウ素(h-BN)を得ている。
【0005】
また、酸化物界面材料も複合材料の界面材料として利用されており、カリウムやカルシウムを含むβ−アルミナを界面に用いた酸化物系複合材料の開発が行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
一方、上述の界面材料を形成する方法としては、炭素やh-BN界面層の場合は、気相化学堆積法(CVD法)が最も一般的に用いられる。これらの方法は、繊維束を構成する繊維1本1本の表面に均一な界面層を形成する方法としては優れている。しかしながら、原料としてして使用するガスが高価であり、真空容器を使用するため装置が高コストであり、コーティング速度も比較的遅いため工業的には不利な方法である。
【0007】
また、酸化物界面層を形成する方法としては、金属アルコキシドなどを原料として液相でコーティングをする技術が利用されている。この技術に因れば、真空容器などを使用せず、低コストで酸化物界面層が形成される。しかしながら、液相で界面層を形成する場合は、繊維束を形成している単繊維同士が界面層を介して接着してしまう問題があった。そのため、繊維間の接着をなくす方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
前記方法により溶液で繊維にコーティングをする場合、一度繊維束をコーティング液に浸せきするとコーティング液と繊維表面間の表面エネルギーが大きいほど繊維間が集束する。この集束した状態で単繊維間を分離するのはきわめて難しく、単繊維間がコーティング層で接着しない連続繊維を得るのは困難であった。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−36142号公報
【特許文献2】
特開平6−92744号公報
【特許文献3】
米国特許第5,164,229号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するために、繊維束を構成する単繊維間の接着がないコーティング層を形成する技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)連続繊維表面に無機質材料からなる被覆層を形成させるためのコーティング液(第一層)を塗布する工程、
(2)第一層が塗布された連続繊維の繊維束をコーティング液に不溶な溶媒中で開繊することにより、繊維束を構成する単繊維の表面を第一層で被覆し、かつ単繊維の間をコーティング液に不溶な溶媒(第二層)でコーティングする工程、
(3)第一層を不融化させる工程、
(4)第二層を蒸発・乾燥させる工程、
(5)不融化した第一層を無機化する工程
からなることを特徴とする繊維束を構成する単繊維間が接着していない無機質材料被覆連続繊維の製造方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるコーティング装置の一例を図1に示す。
3は、コーティング液5を連続繊維2にコーティングするためのコーティング浴である。9は、コーティング液をコーティングした繊維束を開繊する開繊浴である。6は、繊維束を開繊するための開繊用ノズルで、7は、開繊用の溶媒10を循環させるための循環ポンプである。6の開繊用ノズルは、開繊に最適な形状および線速度の液流を発生させるようなオリフィスを有している。11は、コーティング液を不融化するための炉である。12は、溶媒10を乾燥させるための乾燥炉である。13は、不融化炉11で不融化したコーティング層を無機化して有機分を除去するための無機化炉である。
コーティング浴を通った繊維2は、図2(a)に示すように、コーティング液2の表面張力によって、繊維間が集束した状態にある。この状態のまま、不融化・無機化工程を通すと、図2(b)に示すように、繊維間がコーティング層で接着してしまう。コーティング浴を通った繊維を、開繊浴を通すことで、図2(c)に示すように、繊維間にコーティング液に不溶な溶媒を繊維間に満たすことが出来、無機化後に図2(d)に示すように、繊維間の接着がない連続繊維が得られる。
【0012】
コーティング液としては、金属アルコキシドを溶解したアルコール系溶媒を用いたゾル−ゲル溶液やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の高級アルコールと酢酸、酪酸、乳酸、クエン酸等の有機酸を溶解した溶液に、これらの高級アルコールに可溶な塩化物、硝酸塩、硫酸塩、オキシ塩化物等の金属を含む塩類を溶解し、溶媒となるアルコールと有機酸をエステル化反応で重合することで、金属元素を均一に含んだ錯体ポリマー、有機ケイ素ポリマーの前駆体をキシレンやトルエンなどの有機溶媒で希釈したポリマー溶液などが考えられるが、繊維表面にコーティング層を形成させる目的であれば、溶液の種類を限定するものではない。
【0013】
開繊浴で用いる溶媒は、前述したコーティング液に不溶な有機溶媒であり、しかも、乾燥除去後の残滓物がないことが必要となる。また、場合によっては、コーティング液の不融化温度より高い沸点を有している必要がある。
例えば、錯体ポリマーをコーティング液に用いた場合は、不融化処理を必要とするので、ドデカン(CH3(CH2)10CH3)、トリデカン(CH3(CH2)11CH3)、テトラデカン(CH3(CH2)12CH3)等の高沸点炭化水素などが利用できる。ゾル−ゲル溶液の場合は、錯体ポリマーほど高温ではないが、加水分解温度より高い沸点が必要であるので、ヘキサン(CH3(CH2)4CH3)、ヘプタン(CH3(CH2)5CH3)、パーフルオロヘキサン(C6F14)、ジクロロヘキサン(Cl(CH2)Cl)、ドデカン(CH3(CH2)10CH3)、トリデカン(CH3(CH2)11CH3)、テトラデカン(CH3(CH2)12CH3)などを用いることが出来る。
開繊のための液流は、開繊性に大きく影響する。液流を所定の形状の液流で繊維束に吹き付けるので、液流の形状とその広がり角度、開繊ノズル先端での線速度を適切に制御することで目的とする連続コーティング繊維が得られる。
開繊ノズルの噴射角は150°以下から10°以上であれば、どのような噴射角でも使用できる。開繊ノズル先端での線速度は、200m/秒以下であることが望ましい。液流先端の形状も特に制限するものではなく、形状としては、円形、またはアスペクト比が1以上、1000以下の矩形、または長径/短径比が1以上から1000以下の楕円なら使用できる。例えば、図3に示すように、円形、正方形、長方形、楕円形等が考えられる。圧力分布も、図4に示すように全面が均一なものや中央部分が高く周辺部分になるほど低くなる圧力分布を示すものが利用できるが、特に圧力分布を制限するものではない。開繊ノズル先端での線速度も、コーティング液および開繊用溶媒の種類によって広範囲に選択できる。
【0014】
繊維表面に、二重の液層をコーティングするためには、表面張力が重要となる。固体に対する液体のぬれやすさの程度は接触角で示すことができる。コーティング液−繊維間、コーティング液−不溶溶媒間、および繊維−不溶溶媒間の表面張力をそれぞれγCF、γCI、γIFとすると、それらがつりあうと、液滴は繊維表面で安定し、下記の関係が成り立つ。
γIF=γCIcosθ+γCF(θ:接触角)
θは、溶液に対する繊維表面のぬれやすさの目安になる。例えば、γCF、γCI、γIFとの間に、式(1)の関係で表せるような、繊維表面と相互作用が強い、すなわち、γCIとγCFの和よりγIFが大きな溶液とを組み合わせた場合は、繊維表面にコーティング液が広がり、結果的に上記の式のθは0に近づく。
γIF>γCI+γCF (1)
【0015】
以上のことより、式(1)の関係で表せるような、γCIとγCFの和よりγIFが大きなコーティング液を選択した場合は、コーティング液は、優先的に繊維表面を覆うことになる。しかしながら、コーティング液が繊維表面を覆うと、コーティング液−不溶溶媒間の表面張力が大きいので繊維間はコーティング液で満たされる。この状態で無機化すると、繊維間が界面層で接着してしまう。コーティング液で満たされた繊維間に不溶溶液を満たすには、繊維束を開いてやる必要がある。
本発明の方法は、固定したローラーと不溶溶媒の液流の間をコーティング液がコーティングされた繊維を通過させることで、繊維束を開繊しながらコーティング液とコーティング液に不溶な溶媒とが二層にコーティングされた連続繊維が得られる。γCF、γCI、γIFとの間に、式(1)の関係が成り立っていれば、開繊により、コーティング液が繊維表面から除去されることはない。これにより、無機化後に繊維間の接着がない連続繊維を得ることができる。
【0016】
【実施例】
実施例1
金属カルシウム(Ca)0.23g、アルミニウムイソプロポキシド(Al(O・C3H7)3)28.14g、水2.33g、酢酸124.11g、アセチルアセトン1.68gを2−プロパノールに溶解し、300gのコーティング用ゾル−ゲル液を調製した。
図1に示すコーティング浴4に調製したゾル−ゲル液を充填する。開繊浴9には、ゾル−ゲル液に不溶な溶媒として、ヘキサンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導かれる。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、引き続き開繊浴9で開繊用溶媒10にて開繊した。開繊用ノズルの液流先端形状は、楕円形、ノズル先端の圧力分布は全面で均一にして行った。液流の噴射角は、90°、開繊する繊維束とノズル先端との間隔は、10mmで行った。引き続き、不融化炉11で110℃でゾル−ゲル液を加水分解し不融化させた。開繊用溶媒乾燥炉で開繊用溶媒であるヘキサンを除去した後、無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(d)に示すような、繊維間がコーティング層で接着のない連続繊維であった。
【0017】
実施例2
硝酸アルミニウム9水和物(Al(NO3)3・9H2O)37.36g、塩化カルシウム(CaCl2)、クエン酸159.47gをエチレングリコール(HOCH2CH2OH)206.07gに溶解し、300gのコーティング用錯体ポリマー液を調製した。
図1に示すコーティング浴4に調製した錯体ポリマー液を充填する。開繊浴9には、錯体ポリマー液に不溶な溶媒として、テトラデカンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導かれる。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、引き続き開繊浴9で開繊用溶媒10にて開繊した。開繊用ノズルの液流先端形状は、楕円形、ノズル先端の圧力分布は全面で均一にして行った。液流の噴射角は、90°、開繊する繊維束とノズル先端との間隔は、10mmで行った。引き続き、不融化炉11で200℃でコーティング液を不融化させた。開繊用溶媒乾燥炉で開繊用溶媒であるテトラデカンを除去した後、無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(d)に示すような、繊維間がコーティング層で接着のない連続繊維であった。
【0018】
実施例3
実施例1と同じ方法で、300gのコーティング用ゾル−ゲル液を調製した。図1に示すコーティング浴4に調製したゾル−ゲル液を充填する。開繊浴9には、ゾル−ゲル液に不溶な溶媒として、ヘキサンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導かれる。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、引き続き開繊浴9で開繊用溶媒10にて開繊した。開繊用ノズルの液流先端形状は、正方形、ノズル先端の圧力分布は全面で均一にして行った。液流の噴射角は、90°、開繊する繊維束とノズル先端との間隔は、10mmで行った。引き続き、不融化炉11で110℃でゾル−ゲル液を加水分解し不融化させた。開繊用溶媒乾燥炉で開繊用溶媒であるヘキサンを除去した後、無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(d)に示すような、繊維間がコーティング層で接着のない連続繊維であった。
【0019】
実施例4
実施例2と同じ方法で、300gのコーティング用錯体ポリマー液を調製した。図1に示すコーティング浴4に調製した錯体ポリマー液を充填する。開繊浴9には、錯体ポリマー液に不溶な溶媒として、テトラデカンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導かれる。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、引き続き開繊浴9で開繊用溶媒10にて開繊した。開繊用ノズルの液流先端形状は、正方形、ノズル先端の圧力分布は全面で均一にして行った。液流の噴射角は、90°、開繊する繊維束とノズル先端との間隔は、10mmで行った。引き続き、不融化炉11で200℃でコーティング液を不融化させた。開繊用溶媒乾燥炉で開繊用溶媒であるテトラデカンを除去した後、無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(d)に示すような、繊維間がコーティング層で接着のない連続繊維であった。
【0020】
比較例1
実施例1と同じ方法で、300gのコーティング用ゾル−ゲル液を調製した。図1に示すコーティング浴4に調製したゾル−ゲル液を充填する。開繊浴9には、ゾル−ゲル液に不溶な溶媒として、ヘキサンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導いた。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、開繊浴を通さずに、不融化炉11で110℃でゾル−ゲル液を加水分解し不融化させた。無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(b)に示すような、繊維間がコーティング層で接着した連続繊維であった。
【0021】
比較例2
実施例2と同じ方法で、300gのコーティング用錯体ポリマー液を調製した。図1に示すコーティング浴4に調製した錯体ポリマー液を充填する。開繊浴9には、錯体ポリマー液に不溶な溶媒として、テトラデカンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導かれる。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、開繊浴を通さずに、不融化炉11で200℃でコーティング液を不融化させた。無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(b)に示すような、繊維間がコーティング層で接着した連続繊維であった。
【0022】
比較例3
実施例1と同じ方法で、300gのコーティング用ゾル−ゲル液を調製した。図1に示すコーティング浴4に調製したゾル−ゲル液を充填する。開繊浴9には、ゾル−ゲル液に不溶な溶媒として、ヘキサンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導かれる。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、引き続き開繊浴9で開繊用溶媒10をコーティングし、開繊ノズルによる開繊は行わなかった。不融化炉11で110℃でゾル−ゲル液を加水分解し不融化させた。開繊用溶媒乾燥炉で開繊用溶媒であるヘキサンを除去した後、無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(b)に示すような、繊維間がコーティング層で接着した連続繊維であった。
【0023】
比較例4
実施例2と同じ方法で、300gのコーティング用錯体ポリマー液を調製した。図1に示すコーティング浴4に調製した錯体ポリマー液を充填する。開繊浴9には、錯体ポリマー液に不溶な溶媒として、テトラデカンを充填する。炭化ケイ素繊維を、送り出しボビン1から繊維表面の不純物を除去するためのデサイズ炉3を通した。デサイズ炉温度は、500℃であった。デサイズされた繊維は、滑車を介して、各工程に導かれる。コーティング浴4でコーティング液を塗布し、引き続き開繊浴9で開繊用溶媒10をコーティングし、開繊ノズルによる開繊は行わなかった。不融化炉11で200℃でコーティング液を不融化させた。開繊用溶媒乾燥炉で開繊用溶媒であるテトラデカンを除去した後、無機化炉13で550℃で無機化した。得られた繊維は、図2(b)に示すような、繊維間がコーティング層で接着した連続繊維であった。
以上の実施例及び比較例の結果を表1にまとめて示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、繊維束を構成する単繊維間の接着のない無機質材料被覆連続繊維の製造技術に関するものであり、連続繊維表面にコーティング液を塗布した後、繊維束をコーティング液に不溶な溶媒中で開繊することにより、繊維間にコーティング液に不溶な溶媒を繊維間に満たすことで、繊維束を構成する単繊維間の接着のない連続繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に用いる二層コーティング装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、二層コーティングの概念を示す図である。
【図3】図3は、開繊用ノズルの液流先端の形状の一例を示す図である。
【図4】図4は、開繊用ノズルの液流先端の圧力分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:送り出しボビン
2:繊維
3:デサイズ炉
4:コーティング浴
5:コーティング液
6:開繊用ノズル
7:循環ポンプ
8:開繊ローラー
9:開繊浴
10:開繊用溶媒
11:不融化炉
12:開繊用溶媒乾燥炉
13:無機化炉
14:サイジング浴
15:サイジング剤
16:乾燥炉
17:巻き取りボビン
21:繊維
22:第一層
23:第二層
24:第一層の無機化層
25:接着を起こした部分[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing an inorganic material-coated continuous fiber having no adhesion between single fibers constituting a fiber bundle.
[0002]
[Prior art]
Since ceramic materials have heat resistance and oxidation resistance, they are expected to be used in fields such as the energy industry, aerospace, and nuclear power fields where usage environments are extremely severe. However, ceramics are problematic in that they are brittle and have low strength reliability based on the properties unique to the material. For this reason, fiber reinforced ceramics with improved toughness by compounding inorganic fibers in a ceramic matrix have been developed. Among these, in particular, SiC / SiC composite materials using silicon carbide fibers (hereinafter referred to as SiC fibers) as reinforcing fibers and silicon carbide as a matrix are expected to be used in the above fields due to their high heat resistance.
[0003]
In addition, in ceramic-based composite materials, much research has been conducted to improve the heat resistance of matrices and fibers, and in particular, the heat resistance of fibers that are reinforcing materials has been dramatically improved (for example, Patent Document 1). reference.).
[0004]
On the other hand, in the SiC / SiC composite material, by providing a layer that exhibits an appropriate sliding effect, such as carbon C and boron nitride BN, at the interface between the matrix and the fiber, it causes deflection of the developing crack, High toughness is imparted to ceramics that undergo brittle fracture.
These interface materials are usually deposited on the fiber surface by decomposing the raw material gas in a high-temperature inert gas atmosphere. In the case of carbon, it is deposited on the fiber surface by thermally decomposing a hydrocarbon gas typified by methane or propane at a high temperature. On the other hand, boron nitride reacts with a gas containing boron such as ammonia NH 3 as a nitrogen source, boron trichloride BCl 3 , boron trifluoride BF 3 , diborane B 2 H 6 as a boron source at a high temperature of 1000 ° C. or more. Thus, hexagonal boron nitride (h-BN) having a layered structure is obtained.
[0005]
An oxide interface material is also used as an interface material of a composite material, and an oxide-based composite material using β-alumina containing potassium or calcium at the interface has been developed (for example, see Patent Document 2). .).
[0006]
On the other hand, as a method for forming the above-mentioned interface material, in the case of a carbon or h-BN interface layer, a vapor phase chemical deposition method (CVD method) is most commonly used. These methods are excellent as a method for forming a uniform interface layer on the surface of each fiber constituting the fiber bundle. However, this is an industrially disadvantageous method because the gas used as a raw material is expensive, the apparatus is expensive because a vacuum vessel is used, and the coating speed is relatively slow.
[0007]
As a method for forming the oxide interface layer, a technique of coating in a liquid phase using a metal alkoxide or the like as a raw material is used. According to this technique, an oxide interface layer is formed at low cost without using a vacuum vessel or the like. However, when the interface layer is formed in the liquid phase, there has been a problem that the single fibers forming the fiber bundle are bonded to each other through the interface layer. Therefore, a method for eliminating the adhesion between fibers has been proposed (see, for example, Patent Document 3).
When the fiber is coated with the solution by the above method, once the fiber bundle is immersed in the coating liquid, the larger the surface energy between the coating liquid and the fiber surface, the more the fibers are focused. It was very difficult to separate the single fibers in this concentrated state, and it was difficult to obtain continuous fibers in which the single fibers were not bonded by the coating layer.
[0008]
[Patent Document 1]
JP-A-11-36142 [Patent Document 2]
JP-A-6-92744 [Patent Document 3]
US Pat. No. 5,164,229
[Problems to be solved by the invention]
In order to solve the above-described problems, an object of the present invention is to provide a technique for forming a coating layer in which there is no adhesion between single fibers constituting a fiber bundle.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The present invention
(1) A step of applying a coating liquid (first layer) for forming a coating layer made of an inorganic material on the continuous fiber surface;
(2) The fiber bundle of the continuous fiber coated with the first layer is opened in a solvent insoluble in the coating solution to cover the surface of the single fiber constituting the fiber bundle with the first layer, and the single fiber Coating with a solvent (second layer) insoluble in the coating liquid between,
(3) making the first layer infusible;
(4) a step of evaporating and drying the second layer;
(5) The present invention relates to a method for producing an inorganic material-coated continuous fiber in which the single fibers constituting the fiber bundle are not bonded, comprising the step of mineralizing the infusible first layer.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
An example of the coating apparatus used in the present invention is shown in FIG.
3 is a coating bath for coating the coating liquid 5 on the
As shown in FIG. 2A, the
[0012]
As a coating solution, a sol-gel solution using an alcohol solvent in which a metal alkoxide is dissolved, or a solution in which a higher alcohol such as ethylene glycol, diethylene glycol or triethylene glycol and an organic acid such as acetic acid, butyric acid, lactic acid or citric acid are dissolved. In addition, by dissolving salts containing metals such as chlorides, nitrates, sulfates, oxychlorides, etc. soluble in these higher alcohols, and polymerizing alcohol and organic acid as a solvent by esterification reaction, metal elements A polymer solution that uniformly contains a complex polymer or an organosilicon polymer precursor diluted with an organic solvent such as xylene or toluene can be considered, but for the purpose of forming a coating layer on the fiber surface, the type of solution can be selected. It is not limited.
[0013]
The solvent used in the opening bath is an organic solvent that is insoluble in the coating liquid described above, and it is necessary that there is no residue after drying and removal. In some cases, it is necessary to have a boiling point higher than the infusibilization temperature of the coating liquid.
For example, when a complex polymer is used for the coating solution, it requires infusibilization, so dodecane (CH 3 (CH 2 ) 10 CH 3 ), tridecane (CH 3 (CH 2 ) 11 CH 3 ), tetradecane ( High boiling point hydrocarbons such as CH 3 (CH 2 ) 12 CH 3 ) can be used. In the case of a sol-gel solution, the boiling point is higher than the hydrolysis temperature, although it is not as high as the complex polymer. Therefore, hexane (CH 3 (CH 2 ) 4 CH 3 ), heptane (CH 3 (CH 2 ) 5 CH 3 ), perfluorohexane (C 6 F 14 ), dichlorohexane (Cl (CH 2 ) Cl), dodecane (CH 3 (CH 2 ) 10 CH 3 ), tridecane (CH 3 (CH 2 ) 11 CH 3 ) Tetradecane (CH 3 (CH 2 ) 12 CH 3 ) or the like can be used.
The liquid flow for opening greatly affects the opening property. Since the liquid flow is sprayed onto the fiber bundle with a liquid flow of a predetermined shape, the desired continuous coated fiber can be obtained by appropriately controlling the shape of the liquid flow, its spreading angle, and the linear velocity at the tip of the opening nozzle.
Any spray angle can be used as long as the spray angle of the opening nozzle is 150 ° or less to 10 ° or more. The linear velocity at the tip of the opening nozzle is desirably 200 m / second or less. The shape of the liquid flow tip is not particularly limited, and any shape can be used as long as it is a circle, a rectangle having an aspect ratio of 1 or more and 1000 or less, or an ellipse having a major axis / minor axis ratio of 1 or more and 1000 or less. For example, as shown in FIG. 3, a circle, a square, a rectangle, an ellipse, and the like are conceivable. As the pressure distribution, as shown in FIG. 4, there can be used one having a uniform surface as a whole, or a pressure distribution which becomes lower as the central portion becomes higher and becomes a peripheral portion, but the pressure distribution is not particularly limited. The linear velocity at the tip of the opening nozzle can also be selected over a wide range depending on the type of coating liquid and opening solvent.
[0014]
In order to coat a double liquid layer on the fiber surface, surface tension is important. The degree of wettability of the liquid to the solid can be indicated by the contact angle. Assuming that the surface tension between the coating liquid and the fiber, between the coating liquid and the insoluble solvent, and between the fiber and the insoluble solvent is γ CF , γ CI , and γ IF , respectively, the droplets are stabilized on the fiber surface. The relationship holds.
γ IF = γ CI cos θ + γ CF (θ: contact angle)
θ is a measure of the wettability of the fiber surface to the solution. For example, between γ CF , γ CI , and γ IF , a solution having a strong interaction with the fiber surface that can be expressed by the relationship of formula (1), that is, a solution having a larger γ IF than the sum of γ CI and γ CF Is combined, the coating liquid spreads on the fiber surface, and as a result, θ in the above formula approaches 0.
γ IF > γ CI + γ CF (1)
[0015]
From the above, when a coating solution having a larger γ IF than the sum of γ CI and γ CF , which can be expressed by the relationship of equation (1), is selected, the coating solution preferentially covers the fiber surface. . However, when the coating liquid covers the fiber surface, the surface tension between the coating liquid and the insoluble solvent is large, so that the space between the fibers is filled with the coating liquid. If it mineralizes in this state, between fibers will adhere in an interface layer. In order to fill the insoluble solution between the fibers filled with the coating solution, it is necessary to open the fiber bundle.
In the method of the present invention, a fiber coated with a coating solution is passed between a fixed roller and a liquid flow of an insoluble solvent, so that a coating solution and a solvent insoluble in the coating solution are removed while the fiber bundle is opened. A continuous fiber coated in layers is obtained. If the relationship of the formula (1) is established among γ CF , γ CI , and γ IF , the coating liquid is not removed from the fiber surface by fiber opening. Thereby, the continuous fiber without adhesion between fibers after mineralization can be obtained.
[0016]
【Example】
Example 1
Dissolve 0.23 g of calcium metal (Ca), 28.14 g of aluminum isopropoxide (Al (O.C 3 H 7 ) 3 ), 2.33 g of water, 124.11 g of acetic acid, and 1.68 g of acetylacetone in 2-propanol. 300 g of a sol-gel solution for coating was prepared.
The prepared sol-gel solution is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with hexane as a solvent insoluble in the sol-gel solution. The silicon carbide fiber was passed through a
[0017]
Example 2
37.36 g of aluminum nitrate nonahydrate (Al (NO 3 ) 3 · 9H 2 O), calcium chloride (CaCl 2 ), and 159.47 g of citric acid were dissolved in 206.07 g of ethylene glycol (HOCH 2 CH 2 OH). 300 g of a complex polymer solution for coating was prepared.
The prepared complex polymer liquid is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with tetradecane as a solvent insoluble in the complex polymer solution. The silicon carbide fiber was passed through a
[0018]
Example 3
In the same manner as in Example 1, 300 g of a sol-gel solution for coating was prepared. The prepared sol-gel solution is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with hexane as a solvent insoluble in the sol-gel solution. The silicon carbide fiber was passed through a
[0019]
Example 4
In the same manner as in Example 2, 300 g of the complex polymer solution for coating was prepared. The prepared complex polymer liquid is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with tetradecane as a solvent insoluble in the complex polymer solution. The silicon carbide fiber was passed through a
[0020]
Comparative Example 1
In the same manner as in Example 1, 300 g of a sol-gel solution for coating was prepared. The prepared sol-gel solution is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with hexane as a solvent insoluble in the sol-gel solution. The silicon carbide fiber was passed through a
[0021]
Comparative Example 2
In the same manner as in Example 2, 300 g of the complex polymer solution for coating was prepared. The prepared complex polymer liquid is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with tetradecane as a solvent insoluble in the complex polymer solution. The silicon carbide fiber was passed through a
[0022]
Comparative Example 3
In the same manner as in Example 1, 300 g of a sol-gel solution for coating was prepared. The prepared sol-gel solution is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with hexane as a solvent insoluble in the sol-gel solution. The silicon carbide fiber was passed through a
[0023]
Comparative Example 4
In the same manner as in Example 2, 300 g of the complex polymer solution for coating was prepared. The prepared complex polymer liquid is filled in the coating bath 4 shown in FIG. The opening bath 9 is filled with tetradecane as a solvent insoluble in the complex polymer solution. The silicon carbide fiber was passed through a
The results of the above examples and comparative examples are summarized in Table 1.
[0024]
[Table 1]
[0025]
【The invention's effect】
As described above, the present invention relates to a technique for producing an inorganic material-coated continuous fiber having no adhesion between single fibers constituting the fiber bundle, and coating the fiber bundle after applying the coating liquid on the surface of the continuous fiber. By performing fiber opening in a solvent insoluble in the liquid, a fiber insoluble in the coating liquid between the fibers is filled between the fibers, so that continuous fibers without adhesion between single fibers constituting the fiber bundle can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view showing an example of a two-layer coating apparatus used in the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing the concept of two-layer coating.
FIG. 3 is a diagram illustrating an example of a shape of a liquid flow front end of the opening nozzle.
FIG. 4 is a diagram illustrating an example of a pressure distribution at a liquid flow tip of a fiber-spreading nozzle.
[Explanation of symbols]
1: Sending bobbin 2: Fiber 3: Desizing furnace 4: Coating bath 5: Coating liquid 6: Opening nozzle 7: Circulation pump 8: Opening roller 9: Opening bath 10: Opening solvent 11: Infusible furnace 12: Solvent drying furnace 13: Mineralization furnace 14: Sizing bath 15: Sizing agent 16: Drying furnace 17: Winding bobbin 21: Fiber 22: First layer 23: Second layer 24: First layer inorganic Layer 25: the part where adhesion occurred
Claims (10)
(2)第一層が塗布された連続繊維の繊維束をコーティング液に不溶な溶媒中で開繊することにより、繊維束を構成する単繊維の表面を第一層で被覆し、かつ単繊維の間をコーティング液に不溶な溶媒(第二層)でコーティングする工程、
(3)第一層を不融化させる工程、
(4)第二層を蒸発・乾燥させる工程、
(5)不融化した第一層を無機化する工程
からなることを特徴とする繊維束を構成する単繊維間が接着していない無機質材料被覆連続繊維の製造方法。(1) A step of applying a coating liquid (first layer) for forming a coating layer made of an inorganic material on the continuous fiber surface;
(2) The fiber bundle of the continuous fiber coated with the first layer is opened in a solvent insoluble in the coating solution to cover the surface of the single fiber constituting the fiber bundle with the first layer, and the single fiber Coating with a solvent (second layer) insoluble in the coating liquid between,
(3) making the first layer infusible;
(4) a step of evaporating and drying the second layer;
(5) A method for producing a continuous fiber coated with an inorganic material in which the single fibers constituting the fiber bundle are not bonded, the method comprising the step of mineralizing the infusible first layer.
γIF>γCI+γCF (1)With respect to the surface tension between the coating liquid according to claim 1, the solvent insoluble in the coating liquid (second layer) and the fiber surface, between the coating liquid and the fiber, the coating liquid and the second layer, and the fiber and the second layer. 2. The first layer, the second layer, and the fiber that satisfy the relationship of the formula (1) are used between the surface tensions of γ CF , γ CI , and γ IF , respectively. The manufacturing method of the inorganic material covering continuous fiber as described in 1 ..
γ IF > γ CI + γ CF (1)
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