JP3943668B2 - 干渉装置、位置検出装置、位置決め装置およびそれを用いた情報記録装置 - Google Patents

干渉装置、位置検出装置、位置決め装置およびそれを用いた情報記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、干渉装置、装置と位置決め装置及びそれを用いた情報記録装置に関する。本発明は特に、ハードディスクトライブの磁気ヘッドの様な物体用の干渉測長装置等の非接触にて物体の位置変動を検出する位置検出装置、位置決め装置やそれを利用したコンピュータに使用されるハードディスクドライブ装置(以下HDD)の製造装置、そのなかでもHDD内部のハードディスクにサーボトラック信号を高精度に書き込むための装置に良好に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のHDD内部のハードディスクにサーボトラック信号を書き込むための装置の説明図を図4に示す。
【0003】
図4において、HDDはハードディスクドライブ装置、HDはハードディスク、SLIDはスライダー、ARM1は磁気ヘッドアーム、VCMはボイスコイルモータ、OHDはハードディスクのHDのスピンドル、Oは磁気ヘッドアームARM1の回転軸である。
【0004】
各ハードディスクの表面には磁気記録媒体が蒸着されている。ハードディスクHDはスピンドルOHDを中心に一体で常時高速で回転しており、各ハードディスクHDの表面に近接して磁気ヘッドが配置されている。磁気ヘッドは、ハードディスクHDの外側に回転中心O を持つ磁気ヘッドアームARM1の各アーム部分先端に取り付けられたスライダーSLIDと呼ばれる略直方体の部分に組み込まれていて、ボイスコイルモータVCMでアームARM1を回転駆動することによりハードディスクHD上を略半径方向に相対移動できるようになっている。
【0005】
よって、回転するハードディスクHDと円弧移動する磁気ヘッドによって、円盤状のハードディスク表面上に任意の位置(トラック)に磁気情報を書き込んだり読み取ったりすることができる。
【0006】
さて、ハードディスクHD表面への磁気記録方式は、まず、ハードディスク回転中心OHDに対して、同心円の半径の異なる複数の円環状トラックに分割し、さらにそれぞれの円環状のトラックも複数個の円弧に分割され、最終的に複数個の円弧状領域に、周方向に沿って時系列に記録再生されるようになっている。
【0007】
ところで、最近の動向として、ハードディスクの記録容量アップが求められ、ハードディスクへの記録情報を高密度化する要望がある。ハードディスクへの記録情報を高密度化する手段としては、同心円状に分割したトラック幅を狭くして、半径方向の記録密度を向上されることが有効である。
【0008】
半径方向への記録密度は1インチ長あたりのトラック密度TPI(track/inch)で表現され、現在10000TPI程度である。これはトラック間隔が約3ミクロンであることを意味している。こうした微細なトラックピッチを割り出すためには、磁気ヘッドをハードディスクHDの半径方向にトラック幅の1/50程度の分解能(0.05ミクロン)で位置決めをして、あらかじめサーボトラック信号を書き込んでおく必要がある。ここで重要な技術は、短時間に高分解能な位置決めをしながら、順次サーボトラック信号を書き込むことである。
【0009】
PRODはプッシュロッド、ARM2はプッシュロッドPROD用のアーム、MOは位置決め用制御モータ、REはモータMOの回転軸の回転量検出用のロータリーエンコーダ、SPはロータリーエンコーダREからの検出出力を解析し、磁気ヘッドのサーボトラック信号書き込み位置への位置決め指令信号を発するシグナルプロセッサー、MDはシグナルプロセッサーSPの指令信号によりモータMOをドライブするモータドライバーである。これらで、ロータリーポジショナーRTPを形成する。
【0010】
従来は、図4に示すように磁気ヘッドアームARM1(最下層のハードディスクの下側面用磁気ヘッド用のアーム部分)側面にプッシュロッドPRODの円筒面を押当てて、ロータリーエンコーダRE、シグナルプロセッサSP、モータドライバーMDの系でフィードバック制御を取りながらモータMOでアームARM2を回転させてプッシュロッドPRODを介して磁気ヘッドアームを順次微小送りしながら位置決めをし、順次シグナルジェネレータSGからのサーボトラック信号を磁気ヘッドから書き込んでいた。このとき接触を確実にするために通常はボイスコイルモータVCMに若干電流を流して、ヘッドアームARM1側からもプッシュロッドPROD を押し付けていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
最近では更に高精度な位置決めを想定して、ハードディスク回転等による振動がモータMOに伝わる可能性のある機械的に磁気ヘッドアームを押当てる方式をとらないで、光学的な手段によって磁気ヘッドアームの移動を高精度に測定する非接触方法も考案されている。図5にそのような装置の一例を示す。
【0012】
図5において、HeNeはレーザ光源、M1、M2はミラー、BSはビームスプリッタ、CCは磁気ヘッドアームARM1上に設けられたコーナーキューブの様なレトロリフレクター、PDは受光素子である。
【0013】
本装置においては、レーザ光源HeNe、ミラーM1、M2、ビームスプリッタBS、レトロリフレクタCCで、マイケルソン型干渉計を構成し、レトロリフレクターCC〜ミラーM1とミラーM2をそれぞれ経由した光束L1とL2との干渉光を受光素子PDで検出して、磁気ヘッドアームARM1の位置情報を得ている。そして得られた検出信号に基づいて、シグナルプロセッサSPが指令を発し、ボイスコイルモータドライバーVCMDからボイスコイルモータVCMに流す電流を制御することで直接磁気ヘッドアームを動かして、適切な制御を加えるものである。
【0014】
しかし、このような装置では、コーナーキューブのようなレトロリフレクターCCを磁気ヘッドアーム上に乗せる必要があり、スペース確保や取り付け取り外しの手間、重量増加による制御特性の悪化が問題になりやすい。
【0015】
本発明は、上述従来例に鑑みて、物体側に大げさな部材や特殊な加工を設けることを必要とせずに、物体の位置を非接触で高い信頼度で高精度、高分解能に位置検出、位置決めすることが可能な位置検出装置、位置決め装置とこれを実現可能にする干渉装置及びそれを用いた情報記録装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達する為の本発明は、反射面を有する移動物体の位置を検出する干渉装置であって、前記反射面に対して集光光束となるように入射する入射光束を互いに偏光面が直交する第1、第2の光束に分離し、前記第一の光束を前記反射面に向け偏向し、前記第2の光束を基準反射面に向け偏向させるための偏光分離素子と、前記反射面と前記基準反射面で反射した第1及び第2の光束が前記偏光分離素子まで戻って再合成された合成光束前記入射光束とは異なる方向に偏向するための光偏向手段と、前記光偏向手段にて偏向された合成光束を透過させる1/4波長板と、前記1/4波長板を透過した光束を複数の光束に分割する振幅分割手段と、前記分割された光束に対し、互いに方位をずらして配置した複数の偏光板と、前記偏光板を透過し、互いに位相のずれた干渉光束を受光する複数の受光手段と、を有することを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施例に係るサーボトラック信号書き込み装置の概略構成である。以下、前出と同様の部材には同じ符番を冠してある。
【0038】
ハードディスクドライブ装置HDDは、ハードディスクHDの外側に回転軸Oをもつ磁気ヘッドアームARM1 が取り付けられていて、その先端に取り付けられたスライダーSLIDが、ハードディスク面に対向して、0.5μm(以下)のギャップで配置されていて、磁気ヘッドアームARM1 の回転によって、円弧状に移動する。回転はボイスコイルモータVCMに電流を流すことで行われる。
【0039】
このような装置が、ハードディスクHD、スライダーSLID、磁気ヘッドアームARM1、ボイスコイルモータVCM等からなるハードディスクドライブ装置HDDに対して、図1に示すように空間的に適正位置に配置されている。
【0040】
SGはハードディスクに書き込むサーボトラック信号を発生させるシグナルジェネレータで、このサーボトラック信号がスライダーSLID の磁気ヘッドを介してハードディスクHDに書き込まれる。
【0041】
位置検出ユニットNCPUは、支持アームARM2に設けられ、光学プローブNCPの先端部分が、ハードディスクドライブ装置HDDのベースプレートの長穴状開口(図不示)に挿入され、磁気ヘッドアームARM1側面近傍に配置される形になっている。支持アームARM2は磁気ヘッドアームARM1の回転中心Oと同軸の回転軸にて回転移動できるように配置してある。そして位置検出ユニットNCPUの回転位置は、支持アームARM2の回転軸に取り付けられた高分解能ロータリーエンコーダREによって検出され、この検出データをもとに、シグナルプロセッサSP1がモータドライバーMDを介してモーターMOを回転駆動する。この形態のフィードバック制御によって位置検出センサユニットNCPUが回転位置決めされることになる。
【0042】
ここで、位置検出ユニットNCPUは、以下の述べるような光学式センサユニットで構成される。
【0043】
図2は光学式センサユニットを説明するための光学系の構成説明図である。光学式センサユニットは、マルチモードレーザダイオードLD、非偏光ビームスプリッタNBS、プローブ状偏光プリズムPBS、基準反射面M、1/4波長板QWP、光束径制限用開口AP、光束振幅分割用回折格子GBS、偏光板PP1〜PP4、光電素子PD1〜PD4等から構成されている。
【0044】
マルチモードレーザダイオードLD からの発散光をコリメータレンズCOLによって緩い集光光束BEAMにし、非偏光ビームスプリッタNBSを透過してから光学プローブNCPの光透過性物質で構成されるプローブ状偏光プリズムPBSに入射し、プローブ状偏光プリズムPBSの光分割面で偏光成分毎に分割される。反射されたS偏光光束は、プローブ状偏光プリズムPBS端面から300μm程度離れた空間に配置されたヘッドアームARM1(ここではこの内の最下層のハードディスクの下側面用磁気ヘッド用のアーム部分)側面にビームウエスト付近にて集光照明され、反射光は、発散球面波となって元の光路を戻り、プローブ状偏光プリズムPBSの光分割面まで戻される。プローブ状偏光プリズムPBSで透過したP偏光光束は、端面の反射蒸着膜にビームウエストからずれた位置(ビームウエストより手前の状態)にて集光照明され、反射光は元の光路を戻り、プローブ状偏光プリズムPBSの光分割面まで戻される。なお、両光路の夫々の波動光学的光路長は、互いの光路長差が光源の可干渉距離内で、即ち互いに略等光路長になるように設定してある。
【0045】
具体的には例えば以下のように形状が与えられている。ガラスで構成されるプローブ状偏光プリズムPBSの幅を2mm程度とし、偏光プリズムPBSにて反射された光束は、1mmをガラス中を進行し、0.3mmを空気中を進行し、ヘッドアーム側面ARM1に照明される。よって偏光プリズムから反射面までの往復の波動光学的光路長L1=(1×1.5+0.3)×2=3.6である。一方偏光プリズムPBSにて透過された光束は、1.2mmをガラス中を進行し、ガラス端面に照明される。よって往復の波動光学的光路長L2=(1.2×1.5)×2=3.6である。ここでガラスの屈折率を1.5とした。
【0046】
次に、光束の集光位置(ビームウエスト)は、偏光プリズムから出射して0.3mmの位置に設定する。すると、ヘッドアーム側面および基準反射面より反射された発散球面波の波源の位置は、光軸方向にずれて見える。光源側からプローブ状偏光プリズムの内部を覗いたとして、ヘッドアーム側面の集光点(波源)は、偏光プリズム分割面から、L1'=(1+0.3×1.5)=1.45 の位置に見える。基準反射面よりの発散球面波源の位置は、偏光プリズム分割面から、L2'=1.2×2−1.45=0.95 の位置に見える。但し両者ともガラス中に見える位置である。よって、両者の発散球面波源はガラス中にて0.5mmずれている(結像光学的光路長差が生じている)ことになり、両者の光束を重ね合せると、波面が完全に一致せず、仮に両者の偏光を合わせた場合には、同心円状の干渉縞が得られる。その場合には両者の波面の位相がヘッドアームの相対移動によって変動すると、同心円状の干渉縞が中心から湧き出したり吸い込んだりして見えることになる。しかしこの同心円干渉縞は、2つの発散球面波の光軸方向のずれ量が0.5mm程度と小さいので、中心部では略ワンカラー(同一位相)の干渉縞部が広く得られる。よって略ワンカラー部のみを取り出すように適切な開口APを設けて一部の光束を取り出す。これ以降は略平面波として扱うことができる。
【0047】
さて、プローブ状偏光プリズムPBSにて合成された2光束は、互いに直行した直線偏光であるので実際にはこのままでは干渉せず、検出しても明暗信号にならない。非偏光ビームスプリッタNBSにて反射された両光束は、1/4波長板QWPを透過すると、互いに直交した直線偏光は互いに逆回りの円偏光に変換され、両者の振動面をベクトル合成すると、両者の位相差の変動で回転する1つの直線偏光に変換される。
【0048】
この回転する直線偏光は、前述した開口APを介した後、千鳥状格子構造を有する位相回折格子(即ち直交する2方向夫々に回折作用を有する位相回折格子)にて4つの光束(ここでは直交する2方向夫々に発生する±1次回折光)に振幅分割される。同一領域からの振幅分割によって、いずれの光束も形状や強度ムラ、欠陥等性質が全く等しく分割されるので、何らかの原因で干渉縞がワンカラーでなくなったりコントラストが低下したりしても被る影響はみな等しくなる。とくにヘッドアーム側面からの反射光は、微小な凹凸構造によって波面が乱れ、強度ムラが強く発生しているが、4つの光束の波面の乱れ方、強度ムラの状態は等しくなっている。尚、位相回折格子は同時に0次光の発生を極力避けるよう設計されている。
【0049】
4つに分割された光束は、互いに偏光方位を45度ずつずらして配置した偏光板(アナライザー)を透過することで、明暗のタイミングが位相で90度ずつずれた干渉光に変換される。波面の乱れや強度ムラの影響によるコントラストの低下はみな等しく影響されている。各明暗光束は、各々の受光素子PD1,PD2,PD3,PD4にて受光される。
【0050】
互いに180度の位相差を有する受光素子PD1と受光素子PD2の信号が差動検出され、これによってDC成分(これは波面の乱れ等によるコントラスト低下分等が含まれる)がほぼ除去される。これをA相信号とする。同様に互いに180度の位相差を有する受光素子PD3と受光素子PD4の信号が差動検出され、DC成分がほぼ除去される。これをB相信号とする。A,B相信号は互いに90度位相差であり、オシロスコープで観測されるリサージュ波形は円形になる。リサージュの波形の振幅(円の大きさ)は、ヘッドアーム側面の微小凹凸によって変動するが中心位置は変動しない。よって、位相検出(相対距離の測定)には本質的に誤差が発生しない。具体的には、このA,B相信号は不図示の二値化回路によってDC成分0の値をスレッショルドレベルとして二値化されることになるが、元のA,B相信号に振幅変動が起こっても、DC成分が0のまま変動しないので、二値化された信号の位相に変動は生じず、よってこの位相の安定した二値化信号を用いてシグナルプロセッサSP2で高精度な位置検出が実行できることになる。
【0051】
また、ヘッドアーム側面に集光照明することでヘッドアーム側面の相対角度ずれ(アライメントずれ)による干渉状態の変動(ワンカラーずれ)の影響を回避している。すなわち、集光照明することで、アライメントずれがあっても発散球面波の主射出方位が若干ずれるだけで球面波自体がケラレることが回避され、また、2つの発散球面波の波面の重なり状態も変化しないので、干渉状態が安定して得られる。よって、ヘッドアーム側面と照明光束との調整が不要で非常に扱いやすい干渉型位置検出センサとして動作する。
【0052】
また、照明位置ずれ(平行ずれ)は、発散球面波の位相ずれには関与しないものの照明位置に応じたヘッドアームの微小な凹凸状態の変化によって干渉信号振幅の変動になる。しかし、リサージュ波形の中心位置は変動しないので、位相検出には本質的に誤差が発生しない。
【0053】
ヘッドアームと位置検出センサの位置関係は、共に同軸の回転軸を中心に回転移動させ、両者の距離を一定に保つ限りずれることはない。しかし現実的に完全な同軸はありえないので軸ずれ誤差によって、両者が回動中に相対位置関係が(角度ずれ、平行ずれ)が発生してしまう。しかし上記説明の通り、アライメントずれや平行ずれが生じても本質的には問題が発生しない。
【0054】
なお、最終的に検出される信号は、往復光路による干渉測長を原理としているので、光源の波長の半分を周期とする正弦波状信号である。波長0.78μmのレーザダイオードを使用した場合には、周期が0.39μmの正弦波信号(即ちヘッドアームARM1側面と光学プローブNCPとの間隔が0.39μm変化する毎に1つの正弦波)が得られ、波数を計数することで相対距離変動を検出できる。またさらに、前述のようにして90度位相差の正弦波信号が2相(A,B相)得られているので、良く知られている電気的な位相分割装置にて電気的に信号を分割した上で計数することにより、更に細かい分解能の相対位置ずれを検出できる。電気的に4096分割すれば相対位置ずれが最小0.095nmまで検出できる。
【0055】
シグナルプロセッサSP2は、この様にして検出された相対位置ずれがゼロになるように、モータドライバーVCMDを介してヘッドアーム駆動モータ(ボイスコイル)VCMに制御電流を流す。この様にすることで、例えば上述の波長では磁気ヘッドアームARM1の光学プローブNCPに対する相対位置を±0.095nm の数倍程度で安定に保持すること(サーボをかけること)ができる。
【0056】
一方、具体的数値として81000正弦波/回転の信号を発生するロータリーエンコーダREを内蔵し、2048分割して位置決めできる高精度ロータリーポジショナーRTPを用いれば、半径30mmのヘッドアーム側面付近に取り付けられた位置検出センサとしての光学プローブNCPを±1.4nmの数倍の分解能で位置決めできる。
【0057】
位置検出センサ自体の相対位置安定化が上記のように±0.095nm の数倍程度であるから、両者を合わせた位置決め分解能は、高精度ロータリーポジショナー自体の性能程度になる。
【0058】
以上の説明の様に、位置検出センサを介して、ヘッドアーム端面の相対位置を一定に保つサーボを高精度ロータリーポジショナーに追加することで、高精度ポジショナーにハードディスク回転等による振動がヘッドアームARM1を介して伝達する等の外乱が加わらないで安定した位置決め精度を出すことができる。信号の書き込みは、ロータリーエンコーダRE、シグナルプロセッサSP、モータドライバーMDの系でフィードバック制御を取りながらモータMOでアームARM2を回転させて光学プローブNCPを移動させ、この際の変位を打ち消すようにシグナルプロセッサSP2、モータドライバーVCMD、ヘッドアーム駆動モータVCMの系で磁気ヘッドアームARM1を変位させることで磁気ヘッドアームを順次微小送りしながら位置決めをし、順次シグナルジェネレータSGからのサーボトラック信号を磁気ヘッドより書き込む。
【0059】
なお、ヘッドアーム側面からの反射光束と基準反射面からの反射光束との干渉は、光源の可干渉距離以内で得られる。シングルモードレザダイオードは、可干渉距離が長いがモードホップを引き起こし、干渉位相が飛び移る現象が発生する場合があるので、本実施形態ではマルチモードレーザを用いて、略等光路長にして、可干渉距離以下の光路長差で用いる。具体的数値例として、光源の中心波長λ0=780nm、マルチモードスペクトル包絡線半値全幅をΔλ=6nmとして、一般的に可干渉距離全幅はλ0の二乗をΔλで除算したもので与えられるので、等光路長を中心に約±50μmである。
【0060】
また、レーザダイオードは、一般的に周囲温度の変動によって、波長が変動する。中心波長780nm、温度係数0.06nm/℃のレーザダイオードを例にすると、光路長差ΔL=50μmの場合、1℃の温度変動による測定値のずれは、±5nm程度である。
【0061】
可干渉性のピーク近くで距離を一定に保つことをすれば、光路長差が±10μmが実現でき、その場合の測定誤差は±1nmである。この値は、サーボトラックライタとして十分な精度である。
【0062】
また、レーザ干渉測長装置は、一般的に光路が分離して空気中に暴露されて構成されていると、ゆらぎ等により信号出力が安定しない。しかし本実施例では、干渉光路の大部分が、共通光路であり、プローブ状偏光プリズムの先端付近で2光路に分離するものの微小かつガラス媒質内であり、ゆらぎ等の影響が非常に少なくなるように構成されている。
【0063】
以上の実施形態1の主な効果を以下に記述する。
1、ヘッドアーム側面を完全に非接触で位置測定できるので、サーボライティングの分解能、精度、安定性が向上する。
2、レーザ干渉測長を原理とするので、分解能、精度が非常に高い。
3、ヘッドアーム側面の微小な凹凸面を直接測定するので、汎用性が高く、また特別な光学素子等をハードディスク側に追加しなくてよい。
4、ヘッドアーム側面と照明光束とのアライメントずれによる測定系への悪影響が少ないので、取り付け、取り外し、交換に伴う位置だし調整が容易で、ハードディスクへのサーボライティング作業が効率良く行える。
5、等光路長干渉系を利用しているので、温度変動下でも比較的高精度である。6、干渉光路の大部分は、共通光路であり、また、分割後の光路の大部分もガラス内であるので環境変動による精度低下が少ない。
【0064】
図3はヘッドアーム側面がハードディスク表面に接近している場合に対応するための、プローブ状偏光プリズムを形状変更した実施形態2の光学系の構成説明図である。他の構成は前述実施形態1と同様であるため、説明、図面は省略する。
【0065】
本実施形態においては、プローブ状偏光プリズムPBSの分割面の直後は反射膜付の平行ガラス板Gが接合されていて、プローブ状偏光プリズムPBSの分割面を透過したP偏光光束は、反射膜M1で反射され、偏光膜を再度透過して、光学プローブNCP側面に設けられた部分反射膜M2に入射し、もとの光路を戻る。プローブ状偏光プリズムPBSの分割面で反射されたS偏光光束は、前記実施例と同様に光学プローブNCPの外部に出て、ヘッドアームARM1側面に集光照明されて反射光が元の光路を戻る。
【0066】
この構成を採用することで、光学プローブNCPの先端と最下層のハードディスクHD下側表面との間隔(図1参照)を広くすることができ、ハードディスク表面に磁気ヘッドアームが接近しているタイプの磁気ヘッドアーム側面でも測定が可能になる。図3のように平行硝子板Gの端部を45度に加工すれば最も効果がある。
【0067】
【発明の効果】
以上、第1発明によれば、互いに位相の異なる3つ以上の干渉光束を、例えば反射面の微小な凹凸構造によって波面が乱れて強度ムラが強く発生しても、これらの影響を互いに等しくした状態で得ることができ、反射面によらず各干渉光束で個別の誤差要因が発生しにくい様にした干渉装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のサーボトラック信号書き込み装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示すサーボトラック信号書き込み装置の光学式非接触距離センサユニットの説明図である。
【図3】実施形態2のサーボトラック信号書き込み装置の光学式非接触距離センサユニットの説明図である。
【図4】ハードディスクドライブ装置およびプッシュロッドを用いた従来のサーボトラック信号書き込み装置の説明図である。
【図5】ハードディスクドライブ装置およびレトロリフレクター干渉測長機を用いた従来のサーボトラック信号書き込み装置の説明図である。
【符号の説明】
NCPU 光学式非接触センサユニット
NCP 光学プローブ(導光部材)
NBS 非偏光ビームスプリッタ
PBS 偏光プリズム膜
M 反射膜
LGT 光源
LD レーザダイオード
COL コリメータレンズ
PD 受光素子
PP 偏光板
G 透明基板
QWP 1/4波長板
SLID 磁気ヘッドスライダー
ARM1 磁気ヘッドアーム(回動部材)
ARM2 ロータリーポジショナーアーム(回動部材)
RTP ロータリーポジショナー
RE ロータリーエンコーダ
MO モータ
MOD モータドライバー
VCM 磁気ヘッドアーム回動用モータ(ボイスコイル)
VCMD ボイスコイルモータドライバー
HD ハードディスク(被記録媒体)

Claims (6)

  1. 反射面を有する移動物体の位置を検出する干渉装置であって、
    前記反射面に対して集光光束となるように入射する入射光束を互いに偏光面が直交する第1、第2の光束に分離し、前記第一の光束を前記反射面に向け偏向し、前記第2の光束を基準反射面に向け偏向させるための偏光分離素子と、
    前記反射面と前記基準反射面で反射した第1及び第2の光束が前記偏光分離素子まで戻って再合成された合成光束前記入射光束とは異なる方向に偏向するための光偏向手段と、
    前記光偏向手段にて偏向された合成光束を透過させる1/4波長板と、
    前記1/4波長板を透過した光束を複数の光束に分割する振幅分割手段と、
    前記分割された光束に対し、互いに方位をずらして配置した複数の偏光板と、
    前記偏光板を透過し、互いに位相のずれた干渉光束を受光する複数の受光手段と、を有することを特徴とする干渉装置。
  2. 前記干渉装置は、前記入射光束を集光光束とするためのコリメータレンズを有することを特徴とする請求項1に記載の干渉装置。
  3. 前記振幅分割手段は回折格子を有する請求項1に記載の干渉装置。
  4. 前記基準反射手段は前記偏光分離素子を構成する光透過部材上に設けられる請求項1に記載の干渉装置。
  5. 前記基準反射面を基準として前記反射面の位置を検出する請求項1に記載の干渉装置を用いた位置検出装置。
  6. 前記反射面はハードディスクドライブ装置内の記録読み取りヘッド用アームの側面に形成されていることを特徴とする請求項5の位置検出装置を有する情報記録装置。
JP25678897A 1997-09-22 1997-09-22 干渉装置、位置検出装置、位置決め装置およびそれを用いた情報記録装置 Expired - Fee Related JP3943668B2 (ja)

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