JP3942967B2 - 電気的に結合されたメカニカルバンドパスフィルタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はバンドパスフィルタの分野に関する。より詳細には、本発明は、メモリアレイ内の多重化されたアドレスシステムにおいて用いるための、電気的に結合されたメカニカル(機械式)バンドパスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
持ち運び可能なコンシューマ装置は、益々精巧になってきており、益々大量のデジタルデータをよりコンパクトなサイズで生成し、及び/または利用するための構造を必要としつつある。デジタルカメラのようなデジタル装置では、少なくとも数百MB(メガバイト)のデータ記憶装置をカメラに内蔵するか、あるいは取り付け可能にすることが必要になる場合がある。このタイプのデータ記憶の応用形態の要件を満足するために、将来の記憶メモリは、比較的低コストで、非常にコンパクトで、約100MB〜1GB(ギガバイト)の十分な容量を持たなければならない。また、記憶メモリは低電力消費、すなわち消費電力が1W未満であり、比較的強固な物理的特性を有し、持ち運び可能なバッテリで駆動される動作環境に対応できる必要がある。
【0003】
永久記憶装置の場合、データを一度だけメモリに書き込みさえすればよい。メモリは、短いアクセス時間、すなわちミリ秒オーダーのアクセス時間と、2MB/秒のような適度な転送速度を有することが好ましい。記憶メモリは、様々な業界標準のプラットフォームおよびモジュールとインターフェースできることが好ましい。
【0004】
この要求を満足するための1つの適用形態は、ライトワンス交点メモリ素子を利用することである。交点メモリアレイでは、メモリ素子のマトリクスが形成され、各素子は直列に接続されるヒューズあるいはアンチヒューズおよびダイオードを含む。メモリ素子は、直交する導線間または電極間に配置される複数の半導体および絶縁層によって形成される。
【0005】
ライトワンス交点メモリアレイを用いて、持ち運び可能な装置において高密度の永久記憶用記憶装置を提供するための1つの適用形態が、2001年6月5日に出願された「Write-Once Memory」というタイトルの同時係属中の米国特許出願第09/875,356号に記載されている。尚、この出願の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。その出願で開示されているメモリシステムは、持ち運び可能で廉価で堅牢なメモリ(portable inexpensive rugged memry:PIRM)と呼ばれ、永久記憶用記憶装置のために、大容量のライトワンスメモリを低コストで提供する。これは、部分的には、シリコン基板を用いずに、プロセスの複雑性を最小限に抑え、面密度を小さくすることにより達成される。このメモリシステムは、薄膜プラスチック基板上に構成された積層化された集積回路層から形成されるメモリモジュールを含む。各層は、交点ダイオードメモリアレイを含む。アレイに格納されたデータの読取りは、メモリモジュールから離れた個別の集積回路から実行される。
【0006】
PIRMメモリは比較的廉価であるので、ユーザは多数のPIRMモジュールを購入して、それに様々なコンテンツを記録するであろう。精度に関する要件を最小限に抑えるとともに、情報の記憶密度を最大にし、かつアドレス指定、読出しおよび書込み機能を簡略化する、簡単で、かつ比較的低コストのプロセスによって、メモリモジュールを製造し、アセンブルできることが重要である。
【0007】
PIRMメモリシステムを実装するためのおそらく最も低コストの方法は、コントローラおよび他の再利用可能な電子装置が、コンシューマ製品に内蔵されるか、あるいはメモリカードスロット内に挿入されるアダプタ内に備えられるかのいずれかの形態のシステムである。PIRMメモリモジュールは、所有権で保護されたインターフェースを介してコントローラに接続されるであろう。そのようなシステムにおける主な問題点は、コントローラとメモリモジュールとを接続するための装置が、多数、すなわち、約120個以上の接続を含み、従って、コンパクトで高密度のメモリ素子を形成するには極めて困難な課題を伴うことである。したがって、メモリアレイへの外部接続の数を低減するために、時分割あるいは周波数分割多重化のようなアドレス多重化が必要とされる。
【0008】
周波数分割多重化を用いて、メモリ素子との相互接続を大幅に少なくするためのシステムが、2001年6月29日に出願された「Method For Reducing the Number of Interconnections to PIRM Memory Module」というタイトルの同時係属中の米国特許出願第09/894,143号に記載されている。そのシステムでは、メモリ素子のアドレスは、1つの入力/出力線上で多数のメモリアドレスを表すために、所定の周波数スペクトル上に拡散される。そのようなシステムを使用するためには、割り当てられた周波数に従ってアドレスを分離するための手段によって、複数のアドレスをアクセスしなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、PIRMメモリ素子の種々のアドレスの各々に固有の周波数に従ってそれらのアドレスにアクセスできるようにするためのバンドパスフィルタシステムを提供することである。このバンドパスフィルタは、比較的狭い周波数スペクトル内に多数のアドレスを保持するために、周波数の小さな変動を検知するのに十分に高い感度を持たなければならない。さらに、そのようなバンドパスフィルタは非常に小さく(μmの範囲)、薄膜のロールツーロールプラスチック基板上に容易に構成され、及び、その基板上の他の小さなPIRMタイプの素子と相互作用することができるものでなければならない。
【0010】
PIRM環境では、高い電力消費が許容されないので、RCバンドパスフィルタは適さない。また、そのようなフィルタは、20dB/decade(ディケード)の減衰率を有しているが、これではあまりに減衰が小さすぎて、PIRMメモリアレイをアドレス指定するために必要とされる所与の周波数スペクトル上に必要な数の信号を提供することができない。トランジスタ素子を用いるアクティブフィルタではおそらくコストがかかりすぎるであろう。PIRMのためにLCRフィルタを設計することはできるが、廉価でコンパクトなインダクタの製造は困難であり、実際には実現不可能であると思われる。
【0011】
上記の問題に対する解決法は、機械作動式のバンドパスフィルタを利用することである。電気機械式バンドパスフィルタの一例が、米国特許第3,803,521号(Hetzel)に示されている。この例では、所望の周波数をフィルタリングするために、電気磁気変換器を用いて、電気エネルギーを機械エネルギーに、あるいはその逆に変換する。静電式電気機械共振器を用いる別の応用形態が米国特許第3,686,593号(Zakaria)に示されており。この例では、振動するリードが、そのリードと出力電極との間の静電気力によって駆動され、その出力が、リードと出力電極との間のキャパシタンスの変化によって表される。HetzelおよびZakariaのシステムはいずれも1970年代に設計されたものであり、PIRMのような現在の技術からすれば、明らかに時代遅れになっている。さらに、Zakariaの回路は、出力信号を生成するために、コンデンサ間の空隙の変化を利用する。このアプローチでは結果として、力と変位との間の関係が非線形になり、安定して動作させるのが難しくなる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、PIRMメモリアレイに用いるための電気機械式バンドパスフィルタを提供する。本発明のシステムは、超小型電気機械システム(MEMS)技術を用いて、電気的に結合されたマイクロ共振器をフィルタとして利用する。この場合、多数の超小型原動機が1枚の基板上に形成される。本発明のシステムは、先鋭な周波数ロールオフ、典型的には40dB/decadeと、非常に高いインピーダンスとを有し、集積回路を含まない、簡単で、低温で、低コストのプロセスにおいて実装することができる狭帯域バンドパスフィルタを提供する。本発明は、非常に小さな電力消費と、帯域外において高い減衰率とを有し、さらにプラスチック基板に適した簡単な製造技術を利用することにより、PIRM技術の基本的な要求を満たすものである。
【0013】
本発明の一実施形態では、基板上に形成された、電気的に結合されたメカニカルバンドパスフィルタは、第1および第2の質量体を含み、各質量体は、基板および他方の質量体に対して好ましくは少なくとも一方向に独立して移動可能である。第1のばね要素は、その一端が基板に取り付けられ、他端が第1の質量体に取り付けられる。
【0014】
第2のばね要素は、一端が第1の質量体に取り付けられ、他端が第2の質量体に取り付けられる。入力周波数を受信し、入力される力を第1の質量体に加えるための入力変換器が設けられる。この入力される力は第1の質量体が動く方向に力の成分を有し、またこの入力される力は入力周波数によって影響を受ける(または、入力される力は入力周波数によって決定される)。第1の質量体と第2の質量体との間の相対的な動きによって影響を受ける出力周波数を与えるための出力変換器が、第1および第2の質量体に関連付けられる。
【0015】
本発明の別の実施形態は、それぞれ少なくとも一方向に独立して移動可能な第1および第2の質量体と、第1および第2のばね要素とともに共通の基板上にある発振器の周波数をバンドパスフィルタでフィルタリングする方法を含む。第1のばね要素の一端は第1の質量体に接続され、第1のばね要素の他端は基板に接続される。第2のばね要素の一端は第1の質量体に接続され、第2のばね要素の他端は第2の質量体に接続される。入力された力は第1の質量体に加えられ、その入力された力は第1の質量体が動く方向に成分を有する。入力された力は、入力変換器によって与えられる入力周波数によって影響を受ける。第1の質量体と第2の質量体との間の相対的な動きによって影響を受ける出力周波数は、第1および第2の質量体に関連付けられる出力変換器を用いて生成される。
【0016】
本発明の他の態様および利点は、添付の図面を参照して本発明の原理を例示的に説明する、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の好ましい実施形態の電気機械式バンドパスフィルタ10の構成要素の関係を示す概略図である。
【0018】
バンドパスフィルタによるフィルタリングは、図示のように、第1のばね要素16によって基板12に接続された第1の質量体14から構成される、二次の機械(メカニカル)システムによって実行される。第2の質量体18は、第2のばね要素20によって第1の質量体14に接続される。質量体14および18は、基板12に対して少なくとも1つの共通の方向21に自在に移動する。
【0019】
メカニカル(機械式)フィルタシステム10への入力は、共通方向21において第1の質量体14に加えられる周期的な力22である。力22は、可変の入力周波数を受信して、それを入力周波数に対応する可変の出力される力22に変換する従来の静電変換器(図示せず)によって加えられるのが好ましい。
【0020】
メカニカルフィルタシステム10からの出力は、質量体14と質量体18との間の距離26の変化に基づく。この出力は、距離xの変化を電気的な出力信号に変換する従来の静電変換器(図示せず)によって検出される。
【0021】
動作時、非常に低い周波数では、質量体14はx方向(例えば、紙面右方向)にゆっくりと移動する。質量体18が質量体14に呼応して移動する結果、質量体間の距離26は変化せず、出力信号は0である。非常に高い周波数におけるスペクトルの他端では、質量体14の慣性が力22に勝り、質量体14、それゆえ質量体18も移動しない。したがって、高い周波数でも出力信号は0である。中間の周波数では、質量体18は質量体14に対して遅れる傾向があり、このため質量体間に相対的な動きが生じ、距離26が変化する。したがって出力信号が生成される。その内部で有意の出力信号が生成されるような境界部が通過帯域を画定し、出力信号が通過帯域のいずれかの側に入る度合いは、本明細書に記載する種々の要因によって制御され、通過帯域周波数窓の形状を画定する。
【0022】
1つの好ましい実施形態では、電気信号が静電的にバンドパスシステムに結合される。必要な結合を提供する多くの実現可能な電極構造が存在する。第1の質量体が移動し、それが、メカニカルバンドパスフィルタシステムの他の動きにより変化を受けないとき、入力は、導体および誘電体からなる任意の構成によってシステムに結合され、それによりキャパシタンスが変化する。同様に、出力信号は誘電体および導体からなる構成によって与えられ、2つの質量体間の相対的な動きに応答してのみキャパシタンス(静電容量)が変化する。
【0023】
代替的には、本発明の範囲内で、静電結合の他に、他の電子的結合機構を実施することもできる。たとえば、入力あるいは出力、もしくはその両方において圧電変換器を用いることができ、結果として、圧電変換器にかかる歪に比例する信号が、入力に加えられ、及び/または出力において生成される。別の代替の実施形態は、変換器としてエレクトレットを使用し、それにより、エレクトレットに電界がかけられると、入力あるいは出力信号に影響を与える電荷が材料上に捕捉される。
【0024】
図2に、本発明に従うバンドパスフィルタ30の構成要素の実施形態を概略的に示す。前述したように、質量体32は、ばね33を介して基板36に結合され、少なくともx方向に動きの範囲を有する。質量体38は、ばね39によって質量体32に結合され、この場合も、少なくともx方向に動きの範囲を有する。質量体32および38は、特定の透磁率(ε)(または誘電率)を有する誘電体材料から形成される。入力信号Viは、固有のキャパシタンスを有する質量体32に電気板(電気プレート)42によって結合される発振器40(電気板42と発振器40とで入力変換器を構成する)によって生成され、それにより質量体32およびばね33の慣性にうち勝つことができる力を加え、結果として、質量体32がx方向に移動する。ユニット44(C1)は、質量体32に対するシステムの減衰要素を表す。
【0025】
質量体32の動きは、ばね39を介して質量体38に伝達され、結果として、質量体38がx方向に移動する。出力装置47は、質量体38のキャパシタンスと相互作用する電気板48を含む。出力装置47に対して質量体38が動くことにより、バッテリー49によって生成されるバッテリー電圧VBが変化し、それにより、電気板48間に周期的な出力電圧VOが生成される(電気板48とバッテリー49とで出力変換器を構成する)。質量体32は、機械式リンク34を介して出力装置47にしっかりと結合されており、その結果、出力装置47は、質量体32と同等の動きを行う。ユニット44(C2)は、質量体38に対するシステムの減衰要素を表す。
【0026】
したがって、質量体38が質量体32に対して、ひいては出力装置47に対して動くと、出力信号VBの変化のみが生成される。
【0027】
図2に示すシステムの場合の、メカニカル(機械式)システムの動きを表す式は以下の通りである。
【0028】
【数1】
【0029】
この場合、質量体32(M1)に作用する力F1は、以下のように、簡単な静電場理論から導出することができる。
【0030】
【数2】
【0031】
ここで、εは隙間内の材料の透磁率(または誘電率)であり、ε0は自由空間の誘電率であり、wは紙面内に向かう方向の幅であり、dは板42間あるいは板48間の空隙である。
【0032】
F2およびVOの計算は、板48のキャパシタンスを介して結合される。保存系の場合は、
dU=Vdq−fdξ
(4)ξ=X2−X1(質量体の相対変位)
である。
【0033】
Vの変化が小さいものと仮定し、上式を時間の関数として表すと、以下のようになる。
【数3】
【0034】
ここで、V=VO−VBであり、VO=iRであるので、
【数4】
と表すことができる。
【0035】
式(1)、(2)、(3)および(6)で表される電気機械式システムの動きは、それらの式を積分することにより、加えられる入力電圧Viおよび一定のバッテリー電圧VBに対する時間の関数として与えられる。この場合、出力電圧VOは、式(5)にξ=X2−X1(式(4))を代入することにより計算することができる。
【0036】
式(3)に示すように、質量体32に加えられる力F1は、入力コンデンサ44に印加される電圧Viの二乗に相当する。したがって、質量体38は、発振入力周波数の2倍の周波数で駆動される。上記のように、電圧出力VOは、質量体32と38との間の相対速度に比例するので、出力VOも入力周波数の2倍で応答する。これは、以下で説明するように、通過帯域プロファイルに影響を及ぼす、バンドパスフィルタに対する逓倍因子を与える。
【0037】
フィルタの通過帯域は、システムの機械的な共振によって決定される。質量体32と38とが等しいシステムの場合、ばね要素33および39の剛性は同じであり、減衰の効果は小さく、通過帯域は以下の式によって決定される。
【0038】
【数5】
【0039】
ここで、F0は、サイクル/秒単位での出力周波数であり、kは、ニュートン/メートル(N/m)単位での第1および第2のばね要素それぞれの剛性であり、mは、kg単位での第1および第2の質量体それぞれの質量である。
【0040】
質量およびばねの剛性は変更される場合があり、フィルタの仕様に応じて、2つの質量体は所与の異なる重さである場合があり、2つのばねは異なる剛性特性を有する場合があることを理解されたい。さらに、バンドパスフィルタは、印加される電圧に応じて構成要素の剛性または質量を変化させる他の静電要素を追加することにより電気的にプログラム可能にすることもできる。当業者であれば、質量およびばね剛性が同じでない場合には、出力周波数を決定するためにさらに一般的な式を導出することができる。
【0041】
1つの代替形態は、剛性が引張荷重の3乗で増加するように、引張力をビームばね(beam spring、ビームスプリング)に加えることである。別の変形形態は、静電的なクランプを加えることにより変更される有効長を有する片持ちばねを設けることである。この場合、その剛性は有効長の3乗に比例する。通過帯域の平坦性は、システムの固有周波数(固有振動数)の間隔と、機械系の減衰とによって決定される。典型的には、面内振動に対する静電共振器のQを30のオーダーにすることができる。
【0042】
図2に示すシステムでは、質量体32および38は誘電体材料から形成されるものと想定されていた。その場合、式(3)は、生成される力が、質量体の透磁率(ε)(または誘電率)、自由空間(空気)の透磁率(ε0)(または誘電率)、コンデンサ板の幅(w)およびコンデンサ板間の距離(d)の関数であることを示している。すなわち、係数(Vi 2/2)を無視すれば、
【0043】
(8)Fx=(ε−ε0)w/d
が成り立つ。
【0044】
代替形態として、質量体が導体である場合には、重要な空隙は板42または48の間の空間(d)になり、自由空間の透磁率(または誘電率)のみが考慮される。したがって、生成される力の式は以下のようになる。
【0045】
(9)Fx=ε0w/d
【0046】
図3に、本発明のバンドパスフィルタの別の好ましい実施形態のシステム50を示す。システム50は、入力段52と、出力段54とを有する。入力段では、質量体56(M1)が、ばね要素60(K1)によって基板58に固定される。表面駆動発振器(surface drive oscillator)62は、質量体56のいずれか一方の側のコンデンサ板53(図には一方の側のみのものが示されている)を介して、入力段52に入力周波数を供給する。出力段54は、質量体56および質量体66(M2)から交互に差し込まれた歯状部から形成される櫛形駆動部64を含む。質量体66は、ばね要素68(K2)によって質量体56に接続される。ばね要素60および68は、1つの製造プロセスにおいて質量体56および66とともに形成される板ばね可撓体であることが好ましい。
【0047】
このシステムでは、質量体56および66は導体であるものと想定されており、結果として式(9)が当てはまる。ここで、入力される力に対する重要な空隙(d)は入力電極間の空間である。式(9)を用いて出力される力を計算するための重要な空隙(d)は、櫛形駆動部64の歯の間または(インターディジタル構造の)組み合わされた指状部の間の隙間にその組み合わされた指状部の数を掛け合わせた値であり、wは紙面内に向かう方向のその指状部の幅である。
【0048】
出力電圧VOは、バッテリー電圧VBと直列に、質量体56と66との間に接続された抵抗72間で得られる。櫛形駆動部64は、質量体56と66との間の可変コンデンサとして機能し、質量体が互いに対して方向70に移動する際にキャパシタンスを変化させる。この櫛形駆動部64のキャパシタンスの変化によって、抵抗72にかかる出力電圧VOが変化する。したがって、所望の周波数帯内の周波数を有する出力電圧が生成される。
【0049】
前述したように、出力電圧VOの周波数は、入力周波数の2倍に比例する。したがって、入力周波数は、入力周波数の2倍の周波数が所望の出力周波数になるように選択される。
【0050】
図4を参照すると、通過帯域の外側の減衰は、2つの質量体の相対的な位置に対して、40dB/decadeに漸近的に近づく。システムの電気的な出力は、2つの質量体の相対速度に比例する。それゆえ、入力電圧から出力電圧への伝達関数は、グラフに示されるように、60dB/decadeの傾斜で通過帯域内に入り(80)、20dB/decadeで通過帯域を出る(82)。同様に、入力電流から出力電流への伝達関数は、20dB/decadeで通過帯域に入り、60dB/decadeで出る。したがって、通過帯域プロファイルは対称ではないが、これは、いくつかの用途においては望まれるものである。
【0051】
伝達関数の対称性を改善するためにいくつかの解決法がある。1つの解決法は、フィルタの前面において、通過帯域内の中央にカットオフを有する受動RCローパスフィルタまたは受動RCハイパスフィルタを追加することである。機械式共振器に入力される際に入力電圧は二乗されるので、この解決法を用いて、図5に示すように、通過帯域の入力側84および出力側86の両側において、フィルタに対称な60dB/decadeのロールオフを与えることができる。この通過帯域プロファイルは理想的であるが、RCフィルタを追加することにより、システムに許容できない電力消費が加わる。
【0052】
この応用形態では、フィルタを用いて、信号が統合されている共通ラインからそれらの信号を抽出する。信号は既知の制御可能な入力であるため、それらの振幅をスケーリングして所望の出力信号を形成することができる。入力振幅が周波数の平方根でスケーリングされる場合には、そのライン上に他の雑音源がないものと仮定すると、信号は対称的に弁別されることになり、結果として、そのフィルタは、通過帯域外の入力90におけるロールアップと、出力92におけるロールオフがいずれも40dB/decadeの対称的な傾斜を有する。白色雑音がある場合には、それは、非対称にフィルタリングされるであろう。しかしながら、電力消費は、受動フィルタを追加する場合よりはるかに小さくなるであろう。
【0053】
ここで、入力周波数の平方根
【数6】
によって入力を予めスケーリングすることにより、なぜ有効バンドパス周波数応答が対称になるかについて説明する。フィルタの伝達関数が変更されない場合、通過帯域内に向かって+60dB/decで傾斜し、−20dB/decの傾斜で通過帯域を出る。この伝達関数に、
【数7】
を掛けると、周波数スペクトル全体にわたって20dB/decだけ振幅が減少することになり、これにより、バンドパスフィルタ応答は、+40dB/decの傾斜で通過帯域に入り、−40dB/decの傾斜で通過帯域を出るようになる。これは、通過帯域プロファイルを対称にするための所望の対称な周波数応答である。入力信号はわかっており、制御可能であるため、この効果を達成するために、それらの振幅を、
【数8】
に比例する係数で予めスケーリングすることができる。前述したように、出力電圧の振幅は、入力電圧振幅の二乗に依存する。すなわち、
【数9】
である。ただし、VOは出力振幅であり、Viは入力振幅であり、F(ω)は伝達関数の周波数依存部分である。入力を、
【数10】
だけ予めスケーリングすることにより、伝達関数をωの係数で除算するという次式で表される所望の効果が生じる。
【0054】
【数11】
【0055】
図6は、上記のシステムについてシミュレートした周波数応答を示す。入力前置フィルタを形成するために、受動部品は追加されていないものと仮定すると、入力インピーダンスは、メカニカルシステムを作動させるために用いられる櫛形あるいは表面駆動構造のキャパシタンスによるものがほとんどを占めることになる。これらの構造はおそらく、pF(ピコファラド)以下のキャパシタンスを有することになるであろう。
【0056】
本発明のバンドパスフィルタの別の有用な特徴は、入力回路と出力回路とを電気的に完全に絶縁できることである。入力と出力の電気回路は完全に分離される。フィルタの実際の実施形態は、図3に示すように、共通の導電性基板を用いて、入力および出力コンデンサの両方の一部を形成する場合には、入力と出力を電気的に結合することができる。しかしながら、これは設計上の選択事項であり、本発明の概念を制限するものではない。
【0057】
上記の実施形態は本発明の典型的なものであるが、当業者には、本明細書および特許請求の範囲を検討することにより、あるいは開示した本発明の実施形態を実施することにより、他の実施形態も明らかになろう。本明細書で開示した仕様及び実施形態は例にすぎず、本発明は特許請求の範囲およびその等価物によって画定されるべきものである。
【0058】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施態様を示す。
1.基板上に製作される、電気的に結合したメカニカルバンドパスフィルタであって、
第1及び第2の質量体(32、38)であって、前記各質量体は、前記基板(36)及び、他方の質量体に対して、ある移動方向に独立して移動することが可能であることからなる、第1及び第2の質量体と、
一端が前記基板(36)に取り付けられ、他端が前記第1の質量体(32)に取り付けられる第1のばね要素(33)と、
一端が前記第1の質量体(32)に取り付けられ、他端が前記第2の質量体(38)に取り付けられる第2のばね要素(39)と、
入力周波数を受信し、かつ前記第1の質量体(32)に入力される力を加えるための入力変換器(40、42)であって、前記入力される力は、前記第1の質量体(32)の移動方向に力の成分を有しており、前記入力される力は、前記入力周波数により影響を受ける(または支配される)ことからなる、入力変換器と、
前記第1の質量体(32)と前記第2の質量体(38)との相対的な動きにより影響を受ける(または支配される)出力周波数を提供するために、前記第1および前記第2の質量体(32、38)に関連付けられる出力変換器(48、49)
とを備える、メカニカルバンドパスフィルタ。
2.前記第1および前記第2の質量体(56、66)は、交互に配置された歯状部を有する櫛形駆動部(64)を備え、前記第1の質量体(56)と前記第2の質量体(66)との間の動きが、前記櫛形駆動部(64)のキャパシタンスの変化によって決定されることからなる、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
3.前記入力変換器(40、42)は、前記入力周波数を生成するための発振器(40)を備え、前記発振器(40)は、前記入力周波数に対して前記第1の質量体(32)を移動させるために、前記第1の質量体(32)に容量的に結合されることからなる、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
4.前記出力変換器(48、49)は、前記出力周波数を生成するために、前記第1の質量体(32)に機械的に連結され、かつ、前記第2の質量体(38)に容量的に結合される電気的な出力要素(42)を備えることからなる、上項3に記載のバンドパスフィルタ。
5.前記入力変換器(40、42)は、前記出力変換器(48、49)から電気的に分離される、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
6.前記入力周波数の振幅が、前記入力周波数の平方根でスケーリングされる、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
7.第1および第2の質量体(32、38)、及び、第1および第2のばね要素(33、39)と共通の基板(36)上にある発振器(40)の周波数をフィルタリングする方法であって、前記各質量体は少なくとも一方向に独立して移動可能であり、
前記第1のばね要素(33)の一端を前記第1の質量体(32)に接続し、前記第1のばね要素(33)の他端を前記基板(36)に接続するステップと、
前記第2のばね要素(39)の一端を前記第1の質量体(32)に接続し、前記第2のばね要素(39)の他端を前記第2の質量体(38)に接続するステップと、
入力変換器(40、42)によって与えられる入力周波数によって影響される(支配される)、入力される力を前記第1の質量体(32)に加えるステップであって、前記入力される力は前記第1の質量体(32)の動きの方向に成分を有することからなる、ステップと、
前記第1および前記第2の質量体(32、38)に関連付けられた出力変換器(48、49)を用いて、前記第1の質量体(32)と前記第2の質量体(38)との相対的な動きによって影響される(支配される)出力周波数を生成するステップ
を含む、方法。
8.前記入力周波数が、入力発振器(40)によって生成される上項7に記載の方法であって、前記入力周波数に対して前記第1の質量体(32)を移動させるために、前記第1の質量体(32)に前記発振器(40)を容量的に結合するステップをさらに含む、方法。
9.前記出力周波数を生成するために、前記第1の質量体(32)に前記出力変換器(48、49)を機械的に連結するステップと、前記第2の質量体(38)に前記出力変換器(48、49)を容量的に結合するステップをさらに含む、上項7に記載の方法。
10.前記入力周波数の平方根で前記入力周波数の振幅をスケーリングするステップをさらに含む、上項7に記載の方法。
【0059】
本発明の概要は次のようである。本発明は、PIRMメモリアレイに用いる電気機械式バンドパスフィルタを提供する。本発明のシステムは、静電気的に結合されたマイクロ共振器をフィルタとして使用するが、この場合、単一の基板に多数のマイクロ原動機を製作するマイクロ電気機械式システム(MEMS)技術を用いる。本発明のシステムによれば、典型的には40dB/ディケードの急峻な周波数ロールオフ、及び非常に高いインピーダンスを有する狭帯域バンドパスフィルタが提供される。このフィルタは、集積回路を必要としない、単純で、低温かつ廉価なプロセスによって製作することができる。基板(36)上に製作された、電子的に結合した機械式バンドパスフィルタは、第1及び第2の質量体(32,38)を備えており、その各々の質量体は、基板(36)及び他方の質量体に対して同じ方向に独立して移動可能になっている。第1のばね要素(33)の一端は基板(36)に、他端は第1の質量体(32)に取り付けられている。第2のばね要素(39)の一端は第1の質量体(32)に、他端は第2の質量体(38)に取り付けられている。入力変換器(40,42)が、入力周波数を受信し、第1の質量体(32)に対してその移動方向に力を加えるために設けられる。この力は、入力周波数を表している。出力変換器(48,49)は、第1及び第2の質量体(32,38)に関連付けられて、第1の質量体(32)と第2の質量体(38)の間の相対運動を表す出力周波数を提供する。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、PIRMメモリ素子の種々のアドレスの各々に固有の周波数に従って、それらのアドレスにアクセスできるようにするためのバンドパスフィルタシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態による電気機械式バンドパスフィルタの構成要素の関係を示す概略図である。
【図2】図1に概略的に示した本発明の好ましい実施形態を示す簡略化した回路図である。
【図3】図1に概略的に示した本発明の別の好ましい実施形態を示す概略図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によるバンドパスフィルタ応答のグラフである。
【図5】本発明の好ましい実施形態によるバンドパスフィルタ応答のグラフである。
【図6】本発明の好ましい実施形態によるバンドパスフィルタ応答のグラフである。
【符号の説明】
32、38 質量体
33、39 ばね
36 基板
40 発振器
42、48 電気プレート
49 バッテリー
【発明の属する技術分野】
本発明はバンドパスフィルタの分野に関する。より詳細には、本発明は、メモリアレイ内の多重化されたアドレスシステムにおいて用いるための、電気的に結合されたメカニカル(機械式)バンドパスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
持ち運び可能なコンシューマ装置は、益々精巧になってきており、益々大量のデジタルデータをよりコンパクトなサイズで生成し、及び/または利用するための構造を必要としつつある。デジタルカメラのようなデジタル装置では、少なくとも数百MB(メガバイト)のデータ記憶装置をカメラに内蔵するか、あるいは取り付け可能にすることが必要になる場合がある。このタイプのデータ記憶の応用形態の要件を満足するために、将来の記憶メモリは、比較的低コストで、非常にコンパクトで、約100MB〜1GB(ギガバイト)の十分な容量を持たなければならない。また、記憶メモリは低電力消費、すなわち消費電力が1W未満であり、比較的強固な物理的特性を有し、持ち運び可能なバッテリで駆動される動作環境に対応できる必要がある。
【0003】
永久記憶装置の場合、データを一度だけメモリに書き込みさえすればよい。メモリは、短いアクセス時間、すなわちミリ秒オーダーのアクセス時間と、2MB/秒のような適度な転送速度を有することが好ましい。記憶メモリは、様々な業界標準のプラットフォームおよびモジュールとインターフェースできることが好ましい。
【0004】
この要求を満足するための1つの適用形態は、ライトワンス交点メモリ素子を利用することである。交点メモリアレイでは、メモリ素子のマトリクスが形成され、各素子は直列に接続されるヒューズあるいはアンチヒューズおよびダイオードを含む。メモリ素子は、直交する導線間または電極間に配置される複数の半導体および絶縁層によって形成される。
【0005】
ライトワンス交点メモリアレイを用いて、持ち運び可能な装置において高密度の永久記憶用記憶装置を提供するための1つの適用形態が、2001年6月5日に出願された「Write-Once Memory」というタイトルの同時係属中の米国特許出願第09/875,356号に記載されている。尚、この出願の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。その出願で開示されているメモリシステムは、持ち運び可能で廉価で堅牢なメモリ(portable inexpensive rugged memry:PIRM)と呼ばれ、永久記憶用記憶装置のために、大容量のライトワンスメモリを低コストで提供する。これは、部分的には、シリコン基板を用いずに、プロセスの複雑性を最小限に抑え、面密度を小さくすることにより達成される。このメモリシステムは、薄膜プラスチック基板上に構成された積層化された集積回路層から形成されるメモリモジュールを含む。各層は、交点ダイオードメモリアレイを含む。アレイに格納されたデータの読取りは、メモリモジュールから離れた個別の集積回路から実行される。
【0006】
PIRMメモリは比較的廉価であるので、ユーザは多数のPIRMモジュールを購入して、それに様々なコンテンツを記録するであろう。精度に関する要件を最小限に抑えるとともに、情報の記憶密度を最大にし、かつアドレス指定、読出しおよび書込み機能を簡略化する、簡単で、かつ比較的低コストのプロセスによって、メモリモジュールを製造し、アセンブルできることが重要である。
【0007】
PIRMメモリシステムを実装するためのおそらく最も低コストの方法は、コントローラおよび他の再利用可能な電子装置が、コンシューマ製品に内蔵されるか、あるいはメモリカードスロット内に挿入されるアダプタ内に備えられるかのいずれかの形態のシステムである。PIRMメモリモジュールは、所有権で保護されたインターフェースを介してコントローラに接続されるであろう。そのようなシステムにおける主な問題点は、コントローラとメモリモジュールとを接続するための装置が、多数、すなわち、約120個以上の接続を含み、従って、コンパクトで高密度のメモリ素子を形成するには極めて困難な課題を伴うことである。したがって、メモリアレイへの外部接続の数を低減するために、時分割あるいは周波数分割多重化のようなアドレス多重化が必要とされる。
【0008】
周波数分割多重化を用いて、メモリ素子との相互接続を大幅に少なくするためのシステムが、2001年6月29日に出願された「Method For Reducing the Number of Interconnections to PIRM Memory Module」というタイトルの同時係属中の米国特許出願第09/894,143号に記載されている。そのシステムでは、メモリ素子のアドレスは、1つの入力/出力線上で多数のメモリアドレスを表すために、所定の周波数スペクトル上に拡散される。そのようなシステムを使用するためには、割り当てられた周波数に従ってアドレスを分離するための手段によって、複数のアドレスをアクセスしなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、PIRMメモリ素子の種々のアドレスの各々に固有の周波数に従ってそれらのアドレスにアクセスできるようにするためのバンドパスフィルタシステムを提供することである。このバンドパスフィルタは、比較的狭い周波数スペクトル内に多数のアドレスを保持するために、周波数の小さな変動を検知するのに十分に高い感度を持たなければならない。さらに、そのようなバンドパスフィルタは非常に小さく(μmの範囲)、薄膜のロールツーロールプラスチック基板上に容易に構成され、及び、その基板上の他の小さなPIRMタイプの素子と相互作用することができるものでなければならない。
【0010】
PIRM環境では、高い電力消費が許容されないので、RCバンドパスフィルタは適さない。また、そのようなフィルタは、20dB/decade(ディケード)の減衰率を有しているが、これではあまりに減衰が小さすぎて、PIRMメモリアレイをアドレス指定するために必要とされる所与の周波数スペクトル上に必要な数の信号を提供することができない。トランジスタ素子を用いるアクティブフィルタではおそらくコストがかかりすぎるであろう。PIRMのためにLCRフィルタを設計することはできるが、廉価でコンパクトなインダクタの製造は困難であり、実際には実現不可能であると思われる。
【0011】
上記の問題に対する解決法は、機械作動式のバンドパスフィルタを利用することである。電気機械式バンドパスフィルタの一例が、米国特許第3,803,521号(Hetzel)に示されている。この例では、所望の周波数をフィルタリングするために、電気磁気変換器を用いて、電気エネルギーを機械エネルギーに、あるいはその逆に変換する。静電式電気機械共振器を用いる別の応用形態が米国特許第3,686,593号(Zakaria)に示されており。この例では、振動するリードが、そのリードと出力電極との間の静電気力によって駆動され、その出力が、リードと出力電極との間のキャパシタンスの変化によって表される。HetzelおよびZakariaのシステムはいずれも1970年代に設計されたものであり、PIRMのような現在の技術からすれば、明らかに時代遅れになっている。さらに、Zakariaの回路は、出力信号を生成するために、コンデンサ間の空隙の変化を利用する。このアプローチでは結果として、力と変位との間の関係が非線形になり、安定して動作させるのが難しくなる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、PIRMメモリアレイに用いるための電気機械式バンドパスフィルタを提供する。本発明のシステムは、超小型電気機械システム(MEMS)技術を用いて、電気的に結合されたマイクロ共振器をフィルタとして利用する。この場合、多数の超小型原動機が1枚の基板上に形成される。本発明のシステムは、先鋭な周波数ロールオフ、典型的には40dB/decadeと、非常に高いインピーダンスとを有し、集積回路を含まない、簡単で、低温で、低コストのプロセスにおいて実装することができる狭帯域バンドパスフィルタを提供する。本発明は、非常に小さな電力消費と、帯域外において高い減衰率とを有し、さらにプラスチック基板に適した簡単な製造技術を利用することにより、PIRM技術の基本的な要求を満たすものである。
【0013】
本発明の一実施形態では、基板上に形成された、電気的に結合されたメカニカルバンドパスフィルタは、第1および第2の質量体を含み、各質量体は、基板および他方の質量体に対して好ましくは少なくとも一方向に独立して移動可能である。第1のばね要素は、その一端が基板に取り付けられ、他端が第1の質量体に取り付けられる。
【0014】
第2のばね要素は、一端が第1の質量体に取り付けられ、他端が第2の質量体に取り付けられる。入力周波数を受信し、入力される力を第1の質量体に加えるための入力変換器が設けられる。この入力される力は第1の質量体が動く方向に力の成分を有し、またこの入力される力は入力周波数によって影響を受ける(または、入力される力は入力周波数によって決定される)。第1の質量体と第2の質量体との間の相対的な動きによって影響を受ける出力周波数を与えるための出力変換器が、第1および第2の質量体に関連付けられる。
【0015】
本発明の別の実施形態は、それぞれ少なくとも一方向に独立して移動可能な第1および第2の質量体と、第1および第2のばね要素とともに共通の基板上にある発振器の周波数をバンドパスフィルタでフィルタリングする方法を含む。第1のばね要素の一端は第1の質量体に接続され、第1のばね要素の他端は基板に接続される。第2のばね要素の一端は第1の質量体に接続され、第2のばね要素の他端は第2の質量体に接続される。入力された力は第1の質量体に加えられ、その入力された力は第1の質量体が動く方向に成分を有する。入力された力は、入力変換器によって与えられる入力周波数によって影響を受ける。第1の質量体と第2の質量体との間の相対的な動きによって影響を受ける出力周波数は、第1および第2の質量体に関連付けられる出力変換器を用いて生成される。
【0016】
本発明の他の態様および利点は、添付の図面を参照して本発明の原理を例示的に説明する、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の好ましい実施形態の電気機械式バンドパスフィルタ10の構成要素の関係を示す概略図である。
【0018】
バンドパスフィルタによるフィルタリングは、図示のように、第1のばね要素16によって基板12に接続された第1の質量体14から構成される、二次の機械(メカニカル)システムによって実行される。第2の質量体18は、第2のばね要素20によって第1の質量体14に接続される。質量体14および18は、基板12に対して少なくとも1つの共通の方向21に自在に移動する。
【0019】
メカニカル(機械式)フィルタシステム10への入力は、共通方向21において第1の質量体14に加えられる周期的な力22である。力22は、可変の入力周波数を受信して、それを入力周波数に対応する可変の出力される力22に変換する従来の静電変換器(図示せず)によって加えられるのが好ましい。
【0020】
メカニカルフィルタシステム10からの出力は、質量体14と質量体18との間の距離26の変化に基づく。この出力は、距離xの変化を電気的な出力信号に変換する従来の静電変換器(図示せず)によって検出される。
【0021】
動作時、非常に低い周波数では、質量体14はx方向(例えば、紙面右方向)にゆっくりと移動する。質量体18が質量体14に呼応して移動する結果、質量体間の距離26は変化せず、出力信号は0である。非常に高い周波数におけるスペクトルの他端では、質量体14の慣性が力22に勝り、質量体14、それゆえ質量体18も移動しない。したがって、高い周波数でも出力信号は0である。中間の周波数では、質量体18は質量体14に対して遅れる傾向があり、このため質量体間に相対的な動きが生じ、距離26が変化する。したがって出力信号が生成される。その内部で有意の出力信号が生成されるような境界部が通過帯域を画定し、出力信号が通過帯域のいずれかの側に入る度合いは、本明細書に記載する種々の要因によって制御され、通過帯域周波数窓の形状を画定する。
【0022】
1つの好ましい実施形態では、電気信号が静電的にバンドパスシステムに結合される。必要な結合を提供する多くの実現可能な電極構造が存在する。第1の質量体が移動し、それが、メカニカルバンドパスフィルタシステムの他の動きにより変化を受けないとき、入力は、導体および誘電体からなる任意の構成によってシステムに結合され、それによりキャパシタンスが変化する。同様に、出力信号は誘電体および導体からなる構成によって与えられ、2つの質量体間の相対的な動きに応答してのみキャパシタンス(静電容量)が変化する。
【0023】
代替的には、本発明の範囲内で、静電結合の他に、他の電子的結合機構を実施することもできる。たとえば、入力あるいは出力、もしくはその両方において圧電変換器を用いることができ、結果として、圧電変換器にかかる歪に比例する信号が、入力に加えられ、及び/または出力において生成される。別の代替の実施形態は、変換器としてエレクトレットを使用し、それにより、エレクトレットに電界がかけられると、入力あるいは出力信号に影響を与える電荷が材料上に捕捉される。
【0024】
図2に、本発明に従うバンドパスフィルタ30の構成要素の実施形態を概略的に示す。前述したように、質量体32は、ばね33を介して基板36に結合され、少なくともx方向に動きの範囲を有する。質量体38は、ばね39によって質量体32に結合され、この場合も、少なくともx方向に動きの範囲を有する。質量体32および38は、特定の透磁率(ε)(または誘電率)を有する誘電体材料から形成される。入力信号Viは、固有のキャパシタンスを有する質量体32に電気板(電気プレート)42によって結合される発振器40(電気板42と発振器40とで入力変換器を構成する)によって生成され、それにより質量体32およびばね33の慣性にうち勝つことができる力を加え、結果として、質量体32がx方向に移動する。ユニット44(C1)は、質量体32に対するシステムの減衰要素を表す。
【0025】
質量体32の動きは、ばね39を介して質量体38に伝達され、結果として、質量体38がx方向に移動する。出力装置47は、質量体38のキャパシタンスと相互作用する電気板48を含む。出力装置47に対して質量体38が動くことにより、バッテリー49によって生成されるバッテリー電圧VBが変化し、それにより、電気板48間に周期的な出力電圧VOが生成される(電気板48とバッテリー49とで出力変換器を構成する)。質量体32は、機械式リンク34を介して出力装置47にしっかりと結合されており、その結果、出力装置47は、質量体32と同等の動きを行う。ユニット44(C2)は、質量体38に対するシステムの減衰要素を表す。
【0026】
したがって、質量体38が質量体32に対して、ひいては出力装置47に対して動くと、出力信号VBの変化のみが生成される。
【0027】
図2に示すシステムの場合の、メカニカル(機械式)システムの動きを表す式は以下の通りである。
【0028】
【数1】
【0029】
この場合、質量体32(M1)に作用する力F1は、以下のように、簡単な静電場理論から導出することができる。
【0030】
【数2】
【0031】
ここで、εは隙間内の材料の透磁率(または誘電率)であり、ε0は自由空間の誘電率であり、wは紙面内に向かう方向の幅であり、dは板42間あるいは板48間の空隙である。
【0032】
F2およびVOの計算は、板48のキャパシタンスを介して結合される。保存系の場合は、
dU=Vdq−fdξ
(4)ξ=X2−X1(質量体の相対変位)
である。
【0033】
Vの変化が小さいものと仮定し、上式を時間の関数として表すと、以下のようになる。
【数3】
【0034】
ここで、V=VO−VBであり、VO=iRであるので、
【数4】
と表すことができる。
【0035】
式(1)、(2)、(3)および(6)で表される電気機械式システムの動きは、それらの式を積分することにより、加えられる入力電圧Viおよび一定のバッテリー電圧VBに対する時間の関数として与えられる。この場合、出力電圧VOは、式(5)にξ=X2−X1(式(4))を代入することにより計算することができる。
【0036】
式(3)に示すように、質量体32に加えられる力F1は、入力コンデンサ44に印加される電圧Viの二乗に相当する。したがって、質量体38は、発振入力周波数の2倍の周波数で駆動される。上記のように、電圧出力VOは、質量体32と38との間の相対速度に比例するので、出力VOも入力周波数の2倍で応答する。これは、以下で説明するように、通過帯域プロファイルに影響を及ぼす、バンドパスフィルタに対する逓倍因子を与える。
【0037】
フィルタの通過帯域は、システムの機械的な共振によって決定される。質量体32と38とが等しいシステムの場合、ばね要素33および39の剛性は同じであり、減衰の効果は小さく、通過帯域は以下の式によって決定される。
【0038】
【数5】
【0039】
ここで、F0は、サイクル/秒単位での出力周波数であり、kは、ニュートン/メートル(N/m)単位での第1および第2のばね要素それぞれの剛性であり、mは、kg単位での第1および第2の質量体それぞれの質量である。
【0040】
質量およびばねの剛性は変更される場合があり、フィルタの仕様に応じて、2つの質量体は所与の異なる重さである場合があり、2つのばねは異なる剛性特性を有する場合があることを理解されたい。さらに、バンドパスフィルタは、印加される電圧に応じて構成要素の剛性または質量を変化させる他の静電要素を追加することにより電気的にプログラム可能にすることもできる。当業者であれば、質量およびばね剛性が同じでない場合には、出力周波数を決定するためにさらに一般的な式を導出することができる。
【0041】
1つの代替形態は、剛性が引張荷重の3乗で増加するように、引張力をビームばね(beam spring、ビームスプリング)に加えることである。別の変形形態は、静電的なクランプを加えることにより変更される有効長を有する片持ちばねを設けることである。この場合、その剛性は有効長の3乗に比例する。通過帯域の平坦性は、システムの固有周波数(固有振動数)の間隔と、機械系の減衰とによって決定される。典型的には、面内振動に対する静電共振器のQを30のオーダーにすることができる。
【0042】
図2に示すシステムでは、質量体32および38は誘電体材料から形成されるものと想定されていた。その場合、式(3)は、生成される力が、質量体の透磁率(ε)(または誘電率)、自由空間(空気)の透磁率(ε0)(または誘電率)、コンデンサ板の幅(w)およびコンデンサ板間の距離(d)の関数であることを示している。すなわち、係数(Vi 2/2)を無視すれば、
【0043】
(8)Fx=(ε−ε0)w/d
が成り立つ。
【0044】
代替形態として、質量体が導体である場合には、重要な空隙は板42または48の間の空間(d)になり、自由空間の透磁率(または誘電率)のみが考慮される。したがって、生成される力の式は以下のようになる。
【0045】
(9)Fx=ε0w/d
【0046】
図3に、本発明のバンドパスフィルタの別の好ましい実施形態のシステム50を示す。システム50は、入力段52と、出力段54とを有する。入力段では、質量体56(M1)が、ばね要素60(K1)によって基板58に固定される。表面駆動発振器(surface drive oscillator)62は、質量体56のいずれか一方の側のコンデンサ板53(図には一方の側のみのものが示されている)を介して、入力段52に入力周波数を供給する。出力段54は、質量体56および質量体66(M2)から交互に差し込まれた歯状部から形成される櫛形駆動部64を含む。質量体66は、ばね要素68(K2)によって質量体56に接続される。ばね要素60および68は、1つの製造プロセスにおいて質量体56および66とともに形成される板ばね可撓体であることが好ましい。
【0047】
このシステムでは、質量体56および66は導体であるものと想定されており、結果として式(9)が当てはまる。ここで、入力される力に対する重要な空隙(d)は入力電極間の空間である。式(9)を用いて出力される力を計算するための重要な空隙(d)は、櫛形駆動部64の歯の間または(インターディジタル構造の)組み合わされた指状部の間の隙間にその組み合わされた指状部の数を掛け合わせた値であり、wは紙面内に向かう方向のその指状部の幅である。
【0048】
出力電圧VOは、バッテリー電圧VBと直列に、質量体56と66との間に接続された抵抗72間で得られる。櫛形駆動部64は、質量体56と66との間の可変コンデンサとして機能し、質量体が互いに対して方向70に移動する際にキャパシタンスを変化させる。この櫛形駆動部64のキャパシタンスの変化によって、抵抗72にかかる出力電圧VOが変化する。したがって、所望の周波数帯内の周波数を有する出力電圧が生成される。
【0049】
前述したように、出力電圧VOの周波数は、入力周波数の2倍に比例する。したがって、入力周波数は、入力周波数の2倍の周波数が所望の出力周波数になるように選択される。
【0050】
図4を参照すると、通過帯域の外側の減衰は、2つの質量体の相対的な位置に対して、40dB/decadeに漸近的に近づく。システムの電気的な出力は、2つの質量体の相対速度に比例する。それゆえ、入力電圧から出力電圧への伝達関数は、グラフに示されるように、60dB/decadeの傾斜で通過帯域内に入り(80)、20dB/decadeで通過帯域を出る(82)。同様に、入力電流から出力電流への伝達関数は、20dB/decadeで通過帯域に入り、60dB/decadeで出る。したがって、通過帯域プロファイルは対称ではないが、これは、いくつかの用途においては望まれるものである。
【0051】
伝達関数の対称性を改善するためにいくつかの解決法がある。1つの解決法は、フィルタの前面において、通過帯域内の中央にカットオフを有する受動RCローパスフィルタまたは受動RCハイパスフィルタを追加することである。機械式共振器に入力される際に入力電圧は二乗されるので、この解決法を用いて、図5に示すように、通過帯域の入力側84および出力側86の両側において、フィルタに対称な60dB/decadeのロールオフを与えることができる。この通過帯域プロファイルは理想的であるが、RCフィルタを追加することにより、システムに許容できない電力消費が加わる。
【0052】
この応用形態では、フィルタを用いて、信号が統合されている共通ラインからそれらの信号を抽出する。信号は既知の制御可能な入力であるため、それらの振幅をスケーリングして所望の出力信号を形成することができる。入力振幅が周波数の平方根でスケーリングされる場合には、そのライン上に他の雑音源がないものと仮定すると、信号は対称的に弁別されることになり、結果として、そのフィルタは、通過帯域外の入力90におけるロールアップと、出力92におけるロールオフがいずれも40dB/decadeの対称的な傾斜を有する。白色雑音がある場合には、それは、非対称にフィルタリングされるであろう。しかしながら、電力消費は、受動フィルタを追加する場合よりはるかに小さくなるであろう。
【0053】
ここで、入力周波数の平方根
【数6】
によって入力を予めスケーリングすることにより、なぜ有効バンドパス周波数応答が対称になるかについて説明する。フィルタの伝達関数が変更されない場合、通過帯域内に向かって+60dB/decで傾斜し、−20dB/decの傾斜で通過帯域を出る。この伝達関数に、
【数7】
を掛けると、周波数スペクトル全体にわたって20dB/decだけ振幅が減少することになり、これにより、バンドパスフィルタ応答は、+40dB/decの傾斜で通過帯域に入り、−40dB/decの傾斜で通過帯域を出るようになる。これは、通過帯域プロファイルを対称にするための所望の対称な周波数応答である。入力信号はわかっており、制御可能であるため、この効果を達成するために、それらの振幅を、
【数8】
に比例する係数で予めスケーリングすることができる。前述したように、出力電圧の振幅は、入力電圧振幅の二乗に依存する。すなわち、
【数9】
である。ただし、VOは出力振幅であり、Viは入力振幅であり、F(ω)は伝達関数の周波数依存部分である。入力を、
【数10】
だけ予めスケーリングすることにより、伝達関数をωの係数で除算するという次式で表される所望の効果が生じる。
【0054】
【数11】
【0055】
図6は、上記のシステムについてシミュレートした周波数応答を示す。入力前置フィルタを形成するために、受動部品は追加されていないものと仮定すると、入力インピーダンスは、メカニカルシステムを作動させるために用いられる櫛形あるいは表面駆動構造のキャパシタンスによるものがほとんどを占めることになる。これらの構造はおそらく、pF(ピコファラド)以下のキャパシタンスを有することになるであろう。
【0056】
本発明のバンドパスフィルタの別の有用な特徴は、入力回路と出力回路とを電気的に完全に絶縁できることである。入力と出力の電気回路は完全に分離される。フィルタの実際の実施形態は、図3に示すように、共通の導電性基板を用いて、入力および出力コンデンサの両方の一部を形成する場合には、入力と出力を電気的に結合することができる。しかしながら、これは設計上の選択事項であり、本発明の概念を制限するものではない。
【0057】
上記の実施形態は本発明の典型的なものであるが、当業者には、本明細書および特許請求の範囲を検討することにより、あるいは開示した本発明の実施形態を実施することにより、他の実施形態も明らかになろう。本明細書で開示した仕様及び実施形態は例にすぎず、本発明は特許請求の範囲およびその等価物によって画定されるべきものである。
【0058】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施態様を示す。
1.基板上に製作される、電気的に結合したメカニカルバンドパスフィルタであって、
第1及び第2の質量体(32、38)であって、前記各質量体は、前記基板(36)及び、他方の質量体に対して、ある移動方向に独立して移動することが可能であることからなる、第1及び第2の質量体と、
一端が前記基板(36)に取り付けられ、他端が前記第1の質量体(32)に取り付けられる第1のばね要素(33)と、
一端が前記第1の質量体(32)に取り付けられ、他端が前記第2の質量体(38)に取り付けられる第2のばね要素(39)と、
入力周波数を受信し、かつ前記第1の質量体(32)に入力される力を加えるための入力変換器(40、42)であって、前記入力される力は、前記第1の質量体(32)の移動方向に力の成分を有しており、前記入力される力は、前記入力周波数により影響を受ける(または支配される)ことからなる、入力変換器と、
前記第1の質量体(32)と前記第2の質量体(38)との相対的な動きにより影響を受ける(または支配される)出力周波数を提供するために、前記第1および前記第2の質量体(32、38)に関連付けられる出力変換器(48、49)
とを備える、メカニカルバンドパスフィルタ。
2.前記第1および前記第2の質量体(56、66)は、交互に配置された歯状部を有する櫛形駆動部(64)を備え、前記第1の質量体(56)と前記第2の質量体(66)との間の動きが、前記櫛形駆動部(64)のキャパシタンスの変化によって決定されることからなる、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
3.前記入力変換器(40、42)は、前記入力周波数を生成するための発振器(40)を備え、前記発振器(40)は、前記入力周波数に対して前記第1の質量体(32)を移動させるために、前記第1の質量体(32)に容量的に結合されることからなる、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
4.前記出力変換器(48、49)は、前記出力周波数を生成するために、前記第1の質量体(32)に機械的に連結され、かつ、前記第2の質量体(38)に容量的に結合される電気的な出力要素(42)を備えることからなる、上項3に記載のバンドパスフィルタ。
5.前記入力変換器(40、42)は、前記出力変換器(48、49)から電気的に分離される、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
6.前記入力周波数の振幅が、前記入力周波数の平方根でスケーリングされる、上項1に記載のバンドパスフィルタ。
7.第1および第2の質量体(32、38)、及び、第1および第2のばね要素(33、39)と共通の基板(36)上にある発振器(40)の周波数をフィルタリングする方法であって、前記各質量体は少なくとも一方向に独立して移動可能であり、
前記第1のばね要素(33)の一端を前記第1の質量体(32)に接続し、前記第1のばね要素(33)の他端を前記基板(36)に接続するステップと、
前記第2のばね要素(39)の一端を前記第1の質量体(32)に接続し、前記第2のばね要素(39)の他端を前記第2の質量体(38)に接続するステップと、
入力変換器(40、42)によって与えられる入力周波数によって影響される(支配される)、入力される力を前記第1の質量体(32)に加えるステップであって、前記入力される力は前記第1の質量体(32)の動きの方向に成分を有することからなる、ステップと、
前記第1および前記第2の質量体(32、38)に関連付けられた出力変換器(48、49)を用いて、前記第1の質量体(32)と前記第2の質量体(38)との相対的な動きによって影響される(支配される)出力周波数を生成するステップ
を含む、方法。
8.前記入力周波数が、入力発振器(40)によって生成される上項7に記載の方法であって、前記入力周波数に対して前記第1の質量体(32)を移動させるために、前記第1の質量体(32)に前記発振器(40)を容量的に結合するステップをさらに含む、方法。
9.前記出力周波数を生成するために、前記第1の質量体(32)に前記出力変換器(48、49)を機械的に連結するステップと、前記第2の質量体(38)に前記出力変換器(48、49)を容量的に結合するステップをさらに含む、上項7に記載の方法。
10.前記入力周波数の平方根で前記入力周波数の振幅をスケーリングするステップをさらに含む、上項7に記載の方法。
【0059】
本発明の概要は次のようである。本発明は、PIRMメモリアレイに用いる電気機械式バンドパスフィルタを提供する。本発明のシステムは、静電気的に結合されたマイクロ共振器をフィルタとして使用するが、この場合、単一の基板に多数のマイクロ原動機を製作するマイクロ電気機械式システム(MEMS)技術を用いる。本発明のシステムによれば、典型的には40dB/ディケードの急峻な周波数ロールオフ、及び非常に高いインピーダンスを有する狭帯域バンドパスフィルタが提供される。このフィルタは、集積回路を必要としない、単純で、低温かつ廉価なプロセスによって製作することができる。基板(36)上に製作された、電子的に結合した機械式バンドパスフィルタは、第1及び第2の質量体(32,38)を備えており、その各々の質量体は、基板(36)及び他方の質量体に対して同じ方向に独立して移動可能になっている。第1のばね要素(33)の一端は基板(36)に、他端は第1の質量体(32)に取り付けられている。第2のばね要素(39)の一端は第1の質量体(32)に、他端は第2の質量体(38)に取り付けられている。入力変換器(40,42)が、入力周波数を受信し、第1の質量体(32)に対してその移動方向に力を加えるために設けられる。この力は、入力周波数を表している。出力変換器(48,49)は、第1及び第2の質量体(32,38)に関連付けられて、第1の質量体(32)と第2の質量体(38)の間の相対運動を表す出力周波数を提供する。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、PIRMメモリ素子の種々のアドレスの各々に固有の周波数に従って、それらのアドレスにアクセスできるようにするためのバンドパスフィルタシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態による電気機械式バンドパスフィルタの構成要素の関係を示す概略図である。
【図2】図1に概略的に示した本発明の好ましい実施形態を示す簡略化した回路図である。
【図3】図1に概略的に示した本発明の別の好ましい実施形態を示す概略図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によるバンドパスフィルタ応答のグラフである。
【図5】本発明の好ましい実施形態によるバンドパスフィルタ応答のグラフである。
【図6】本発明の好ましい実施形態によるバンドパスフィルタ応答のグラフである。
【符号の説明】
32、38 質量体
33、39 ばね
36 基板
40 発振器
42、48 電気プレート
49 バッテリー
Claims (22)
- 基板上に製作される、電気的に結合したメカニカルバンドパスフィルタであって、
第1の質量体及び第2の質量体であって、前記各質量体は、前記基板及び、他方の質量体に対して、ある移動方向に独立して移動することが可能であることからなる、第1の質量体及び第2の質量体と、
一端が前記基板に取り付けられ、他端が前記第1の質量体に取り付けられる第1のばね要素と、
一端が前記第1の質量体に取り付けられ、他端が前記第2の質量体に取り付けられる第2のばね要素と、
入力周波数を受け取り、かつ前記第1の質量体に入力される力を加えるための入力変換器であって、前記入力される力は、前記第1の質量体の移動方向に力の成分を有しており、前記入力される力は、前記入力周波数により影響を受けることからなる、入力変換器と、
前記第1の質量体と前記第2の質量体との相対的な動きにより影響を受ける出力周波数を提供するために、前記第1および前記第2の質量体に関連付けられる出力変換器
とを備える、メカニカルバンドパスフィルタ。 - 前記第1の質量体及び前記第2の質量体は、該第1の質量体と第2の質量体間の動きにより前記出力周波数を決定する駆動ユニットを備える、請求項1のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記駆動ユニットは、前記第1の質量体と第2の質量体間の動きに関連付けられたコンデンサであって、該コンデンサのキャパシンタンスの変化によって前記出力周波数を決定するためのコンデンサを備える、請求項2のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記第1の質量体及び前記第2の質量体は、交互に配置された歯状部を有する櫛形駆動部を備え、前記第1の質量体と前記第2の質量体間の動きが、前記櫛形駆動部のキャパシタンスの変化によって決定されることからなる、請求項1のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記入力変換器は、前記入力周波数を生成するための発振器を備え、前記発振器は、前記入力周波数に対して前記第1の質量体を移動させるために、前記第1の質量体に容量的に結合されることからなる、請求項1のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記出力変換器は、前記出力周波数を生成するために、前記第1の質量体に機械的に連結され、かつ、前記第2の質量体に容量的に結合される電気的な出力要素を備えることからなる、請求項5のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記基板は、前記第1の質量体及び第2の質量体に容量的に結合するための共通のキャパシタンスを提供する、請求項6のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記入力変換器は、前記出力変換器から電気的に分離される、請求項6のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記出力周波数は、前記入力周波数の2倍である、請求項1のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記入力周波数の振幅が、前記入力周波数の平方根でスケーリングされる、請求項1のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記出力周波数が、前記第1の質量体及び第2の質量体の各々の質量と、前記第1のばね要素及び第2のばね要素の剛性の数学的関数である、請求項1のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記第1の質量体の質量が、前記第2の質量体の質量に等しい、請求項11のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 前記第1の質量体と前記第2の質量体が同じ方向に動き、前記入力される力が、前記同じ方向に加えられる、請求項1のメカニカルバンドパスフィルタ。
- 第1の質量体及び第2の質量体と、第1のばね要素及び第2のばね要素と共通の基板上にある発振器の周波数をフィルタリングする方法であって、前記各質量体は少なくとも一方向に独立して移動可能であり、
前記第1のばね要素の一端を前記第1の質量体に接続し、前記第1のばね要素の他端を前記基板に接続するステップと、
前記第2のばね要素の一端を前記第1の質量体に接続し、前記第2のばね要素の他端を前記第2の質量体に接続するステップと、
入力変換器によって与えられる入力周波数によって影響される、入力される力を前記第1の質量体に加えるステップであって、前記入力される力は前記第1の質量体の動きの方向に成分を有することからなる、ステップと、
前記第1の質量体及び前記第2の質量体に関連付けられた出力変換器を用いて、前記第1の質量体と前記第2の質量体との相対的な動きによって影響される出力周波数を生成するステップ
を含む、方法。 - 可変コンデンサが、前記第1の質量体と第2の質量体の間の動きに関連付けられて、該コンデンサのキャパシタンスの変化によって前記出力周波数を決定する、請求項15の方法。
- 前記第1の質量体と前記第2の質量体が、前記可変コンデンサを設けるために、互いに対して配置される、請求項16の方法。
- 前記入力周波数が、入力発振器によって生成される請求項15の方法であって、前記入力周波数に関して前記第1の質量体を移動させるために、前記第1の質量体に前記発振器を容量的に結合するステップをさらに含む、方法。
- 前記第1の質量体に前記出力変換器を機械的に連結するステップと、前記第2の質量体に前記出力変換器を容量的に結合するステップをさらに含み、これにより、前記出力周波数を生成する、請求項15の方法。
- 前記入力変換器を前記出力変換器から電気的に分離するステップをさらに含む、請求項15の方法。
- 前記入力周波数の平方根で前記入力周波数の振幅をスケーリングするステップをさらに含む、請求項15の方法。
- 前記第1の質量体と前記第2の質量体が同じ方向に動き、前記入力される力が、前記同じ方向に加えられる、請求項15の方法。
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