JP3933451B2 - Electron beam irradiation apparatus and sterilization method - Google Patents
Electron beam irradiation apparatus and sterilization method Download PDFInfo
- Publication number
- JP3933451B2 JP3933451B2 JP2001359208A JP2001359208A JP3933451B2 JP 3933451 B2 JP3933451 B2 JP 3933451B2 JP 2001359208 A JP2001359208 A JP 2001359208A JP 2001359208 A JP2001359208 A JP 2001359208A JP 3933451 B2 JP3933451 B2 JP 3933451B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electron
- irradiated
- transmission window
- passage
- electron beam
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)
- Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
- Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
- Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、穀物粒や種子のような粒状物体の内部に侵入することなく、これらの粒状物体の全表面に万遍無く低エネルギーの電子線を照射して殺菌できる装置であって、特に、これらの粒状物体を回動させることなく全表面に均一に電子線を照射できるとともに、電子線照射能力を高めたことを特徴とする電子線照射装置、及びこれを使った粒状物体の殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒状物体の内で粒径が小さなものは所謂粉体として扱われているが、粒状物体であることには変わりなく、粒径が電子の飛程よりも大きなものは所謂粒状物体として扱うことができる。低エネルギーの電子線は、これらの粒状物体の内部に進入しないので、これらの粒状物体の品質を低下させないで有効に殺菌できることが、特許公報第2899690号、公開特許公報、特開平11−164651号、公開特許公報、特開平10−229818号等に開示されている。しかしながら、低エネルギーの電子線を粒状物体の全表面に均一に、しかも十分な処理速度で照射処理することが困難であり、これを解決しようとする努力が以下のようになされてきた。
【0003】
公開特許公報、特開平1−192362号には粉体としての粒状物体を気体によって浮遊状態に保持して電子線などの放射線を照射して小麦粉、香辛料など食品の滅菌、殺菌を行う装置が開示されている。更に、公開特許公報、特開平8−52201号には粉体としての粒状物体を粉体搬送室内において下方から流入した気体によって浮上させ、流動化させた状態で電子線を粒子全体に照射して殺菌する装置が開示されている。この装置では透過力が弱い電子線による殺菌効果ムラを防止する旨の記述があり、浮上させられ、流動化させられた粒子が回転しながら移動していることを示唆している。これらいずれの場合も、殺菌処理速度が小さいことは明らかである。
【0004】
又、公開特許公報、特開平10−215765号には、穀物である粒状物体を縦方向及び横方向に同時に振動させることによって回動させながら、穀物である粒状物体の表面に低エネルギーの電子線を特定方向から照射することによって殺菌する方法が開示されている。照射する電子線のエネルギーが、玄米や小麦などに対しては160〜250keVであり、籾や殻付蕎麦豆類などに対しては200〜250keVの電子線を照射することで、これらの穀物の表面に付着している微生物を効率良く殺菌することが出来、穀物の内部には電子線が到達せず、穀物の品質を低下させない旨が開示されている。この方法も、殺菌処理速度が小さいだけでなく装置が大型になることは明らかである。
【0005】
公開特許公報、特開平10−229818号には、米粒、小麦粒等の穀物粒に水を添加し、表面がべとつかない程度に調質した後に、エネルギーが500keV未満の電子線を特定方向から照射して殺菌する方法が開示されている。この方法においても穀物粒を転動させながら電子線を照射することが好ましいとされている。また、水分を添加しないで電子線を照射すると、穀物粒どうしが付着して表面全体を均一に殺菌することが困難であることが記述されている。しかしながら、このように水を添加する工程を追加するのは面倒であり、その後の乾燥工程が必要であるなどで処理速度が小さいがけでなく、処理コストが高いという欠点がある。
【0006】
特許公報、第2899690号には、アブラナ科又はマメ科植物の種子を回動させながら、これらの種子の表面にエネルギーが160〜210keVの電子線を特定方向から照射する種子の殺菌方法が開示されている。特に、種子を回動させる方法として、種子を横方向と縦方向に振動させる事が必要であることが開示されている。この方法では、種子を縦方向と横方向の振動を独立に制御できる装置が必要であり、高価であるばかりでなく、処理速度が小さいと言う欠点がある。
【0007】
公開特許公報、特開平11−52100号には、多数の顆粒状物としての粒状物体を薄膜状に広げて落下させながら、その両側から200keV以下のエネルギーの平面状に分布する電子線を照射することによって顆粒状物を殺菌する装置が開示されている。この装置では、多数の顆粒状物を薄膜状に広げて落下させることによって、電子線が照射されない陰の部分が生じるのを防止して、多数の顆粒状物の全体に万遍無く電子線を照射することができる旨の記述がある。また、顆粒状物を単層(換言すれば一列)又はそれに近い状態で落下させるものが好ましい旨の記述もある。これは、粒状の被照射体の処理能力を増そうとすると装置の幅が大きくなり、装置全体が大きくなることを意味している。
【0008】
公開特許公報、特開平11−101900号には、粉体又は粒体をケーシング内のスクリューコンベヤによって攪拌しつつ連続的に移送しながら平面状に分布する低エネルギーの電子線を照射することによって処理能力を増した電子線照射装置が提案されている。この方法では、殺菌処理速度は増加することが考えられるが、粒状の被照射体が重なる部分も生じるので低エネルギーの電子線によって各粒状被照射体の全表面を完全に殺菌するのは極めて困難である。
【0009】
公開特許公報、特開平11−109100号には脱穀前後の麦、小麦、そば、その他、香辛料などの、球よりも細長い粒状の被照射体を、上下2段に構成された2台のコンベアによって移動させながら、平面状に分布する低エネルギーの電子線を上方から照射することによって殺菌する装置が提案されている。この提案では、2台のコンベアを反対方向に作動させて、同一の電子線照射装置によって粒状の被照射体に往復2回の電子線照射をしようとしている。これは、電子線が一方向から照射されるために被照射体の全表面を均一に照射するのが困難であることを解決しようとした苦肉の策であり、装置が複雑で大きくなることを避けられない。
【0010】
公開特許公報、特開平11−164651号には、飲用もしくは食用の葉原料またはその切断物もしくは破砕物に、振動、超音波、風力、撹拌等の物理的作用を与えることにより、前記葉原料又はその切断物もしくは破砕物を回動させながら、1MeV未満のエネルギーの電子線を特定方向から照射することによって前記葉原料又はその切断物もしくは破砕物の生菌数を低減する方法が開示されている。この方法においても被照射体を回動させることが特徴となっており、処理装置が大型になることと処理速度が小さいと言う欠点がある。
【0011】
公開特許公報、特開2000−254486号には、茶葉、米、麦、大豆、小豆などの食品、その他の粒状の被照射体を、搬送路において上方向と下方向と横方向の3方向から気体を吹き込むことによって浮上させて運搬しながら、この粒状の被照射体に低エネルギーの平面状に分布する電子線を照射する方法が提案されている。この方法では、粒状の被照射体を浮上させて運搬する為に、3方向の気体の流量や流速を絶えず独立に調節する必要があり、装置が複雑になるだけでなく、安定な動作が困難で、均一な殺菌を続けることが困難である。また、処理速度を増すことが難しい。
【0012】
公開特許公報、特開2000−304900号には、麦、米、豆、そば、胡椒といった穀物や、香辛料などの粒状体を、振動板表面に凹凸を有し水平に又は傾斜して設けられた振動コンベアで搬送することによってこれらの粒状の被照射体を回転させながら搬送した状態で、低エネルギーの平面状に分布する電子線を照射する方法が提案されている。この装置も複雑であるだけでなく、これら粒状の被照射体の表面を完全に均一に照射しようとすると処理速度を高めることが困難となる。
【0013】
上記の従来例は、いずれの場合も粒状の被照射体の全表面にわたって完全に且つ均一に低エネルギーの電子線を照射しようとすると処理速度を大きくすることが出来ず、反対に処理速度を増した場合には照射ムラができるという相反する問題があった。この原因は、従来使われてきた電子線照射装置が一方向から平面状に分布した電子線を放出するものしか存在しなかったことに原因している。
【0014】
次に、従来使用されてきた電子線照射装置について述べる。従来の電子線照射装置には、スキャン型電子線照射装置とエリアビーム型電子線照射装置とがあるが、一般的に前者は高エネルギー電子線の照射に、後者は低エネルギー電子線の照射に使用される。後者の電子線照射装置は、例えば、特開平11−19190号に記載されているように、固定されたドラム管状の真空容器の中に直線状の金属フィラメントを取付け、これを通電加熱することによって放出される熱電子を500kV以下の電圧で加速し、薄い金属箔で出来た平板状の電子透過窓を透過させて、大気中にある被照射体に電子線を照射するようになっている。従来の電子線照射装置の概略の横断面図を図16に示している。図16において、1001は真空容器であり、1003は電子銃構造体であり、1002は電子銃構造体1003等を支持するターミナルであり、1004は陰極フィラメントであり、1005はグリッドであり、1006は電子を透過させる電子透過窓である。陰極フィラメント1004から放出された電子がグリッド1005に印加された電位差で加速され、更に電子透過窓1006との間に印加された500kV以下の電位差で加速されて電子透過窓1006を透過する。透過した電子線は照射室内において矢印1009の方向から矢印1010の方向に移動する被照射体1011に照射される。この装置は大型であり、電子線の照射方向が一定となっているのでシート状の被照射体に電子線を照射する場合には適するが、上述したように、粒状の形状をした物体に電子線を照射するのには適さない。この電子線照射装置を用いた粒状物体の殺菌装置では、上述した二律相反の問題が生じることを避けることが出来なかった。また、電子透過窓は粒状の被照射体通路の表面と対面しており、被照射体の衝突や被照射体に含まれる異物の飛来等によって電子透過窓が破損して信頼性が無いと言う問題があった。また、電子透過窓の輻射熱やX線によって被照射体が変質すると言う問題もあった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする課題は、上記の問題を解決して、粒状の被照射体の全表面にわたって均一に低エネルギー電子線を照射でき、粒状の被照射体の内部を変質させることなく、粒状の被照射体の全表面を完全に殺菌でき、且つ、処理速度が大きくて、信頼性が高く、広い設置場所を要しない電子線照射装置、及びそれを用いた粒状物体の殺菌方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では、陰極から放出された電子を加速した後に円錐状に分布した状態で走行させ、電子透過窓を透過させた後、この電子透過窓を取り囲む様に設けた被照射体通路内で前記の電子線の一部を個々の粒状被照射体の背面又は側面に回りこませることにより、粒状の被照射体を回転することなく全表面に渡って均一に電子線を照射できる電子線照射装置を提供することによって上記の二律相反する問題を解決している。更に詳細に説明すると、筒状の被照射体通路に取り囲まれて設けられており高真空状態に維持された真空容器内に設けられた環状の陰極から放出された電子を、前記の筒状の被照射体通路に取り囲まれて同軸的に設けられた電子通過孔を有する環状の陽極との間で加速し、円錐状の軌道集合を成して電子の分布半径を大きくしながら走行させた後に、前記の筒状の被照射体通路に取り囲まれて同軸的に設けられた環状の電子透過窓を透過させ、透過した電子を前記の筒状被照射体通路の内側全周方向位置から前記の筒状の被照射体通路内に入射させた後、前記の筒状の被照射体通路内において、電子の一部を周回運動させることにより個々の粒状被照射体の全表面に万遍無く電子を衝突させて、被照射体を回転させることなく全表面を完全に能率よく殺菌できる電子線照射装置と、これを用いた粒状物体の殺菌方法を提案している。
【0017】
上記の筒状の被照射体通路内において電子を周回運動させる為に、前記の筒状の被照射体通路と同軸的に配設した磁石を用いることにより、筒状の被照射体通路に平行な磁束密度成分と筒状の被照射体通路の壁面に向かう磁束密度成分とを有する空間を形成し、この空間に電子を走行させて、これらの磁束密度成分と電子との相互作用により、電子が、走行するに従って筒状に形成された被照射体通路の中心軸の回りに強い回転力を受けるとともに筒状の被照射体通路内で軌道半径を変化させるようになっている。
【0018】
電子線のエネルギーが低い場合には、電子の吸収が大きいので、前記の電子透過窓が高温度になりやすい。従って、電子線照射能力を増すためには、入射する電子の密度を減らした状態で、電子透過窓を透過する電子の総線量率を増す必要がある。本発明の電子線照射装置では、前記の電子透過窓を、大きな直径の環状断面を有する被照射体通路に取り囲まれた状態で設ける事により、大きな直径を有するように構成されており、電子透過窓における電子密度を小さく保った状態で全体として照射線量率を大きくできるようになっている。一方、陰極は高密度の電子を放出できるので、小型に保った状態で大電流を得ることができる。このようにして、事実上際限なく照射線量率を大きくできる構成になっている。
【0019】
本発明の特許請求項1に係わる電子線照射装置は、真空領域を構成する真空容器と、この真空容器の外周部位において被照射体を通過させる環状の被照射体通路と、前記の真空容器の内部で電子を放出する陰極と、この陰極から放出された電子を加速する電子加速手段と、この電子加速手段によって加速された電子を前記の真空容器の外部に透過させる電子透過窓とが実質的に同軸的に設けられており、且つこの電子透過窓はこれを含む面が前記の被照射体通路と角度を有して交叉するように、好適には直交するように、構成されており、前記の電子はこの電子透過窓の略全面に略均一に広がって分布して入射するようになっており、この電子透過窓の任意の点を透過して前記の被照射体通路に進入した低エネルギーの一部の電子の軌道を前記被照射体通路内においてその周方向に沿って伸びるように磁界又は電界を利用して屈曲させると同時に、前記電子透過窓の前記一部の電子と同一の点を透過した低エネルギーの他の電子の軌道を前記被照射体通路内で前記周方向と異なる方向に伸びるように屈曲させることにより、前記被照射体通路内の特定の軸方向範囲での任意の点において、主として周方向に向かう電子軌道を成して動く電子と主として径方向に向かう電子軌道を成して動く電子とを寄せ集めた状態として、これらの電子軌道を実質的に交叉させる軌道交叉手段を有していることを特徴とするものである。前記の電子透過窓を透過した一部の電子の軌道を前記の被照射体通路内において屈曲させて、同一の電子透過窓を透過した他の電子の軌道と交叉させているので、前記被照射体通路内の任意の点における電子の走行方向は多様化されており、粒状の被照射体を回転させなくても、電子が被照射体の周囲の多様な方向から飛来するので均一な電子線照射を行う事ができる。又、前記の被照射体を回転させなくてもよいので処理速度が大きくなっている。
【0020】
本発明の特許請求項2に係わる電子線照射装置は、真空領域を構成する真空容器と、この真空容器の外周部位において被照射体を通過させる環状の被照射体通路と、前記の真空容器の内部で電子を放出する陰極と、この陰極から放出された電子を加速する電子加速手段と、この電子加速手段によって加速された電子を前記の真空容器の外部に透過させる電子透過窓とが実質的に同軸的に設けられており、前記の電子はこの電子透過窓の略全面に略均一に広がって分布して入射するようになっており、この電子透過窓を透過した低エネルギーの電子の一部を前記の被照射体通路内の特定の軸方向範囲での実質的に全ての周方向位置において時間差を生じずに一斉に主として周回運動させると同時に、当該一部電子の場合と同一の前記電子透過窓内位置を透過した低エネルギーの電子の他の一部を前記被照射体通路内の特定の軸方向範囲での実質的に全ての周方向位置において時間差を生じずに一斉に主として径方向に横断運動させる電子周回手段を有していることを特徴とするものである。前記被照射体通路内の任意の点における電子には、主として被照射体通路内を周回移動する電子と、主として被照射体通路を横断移動する電子とが含まれることになり、結果として電子が被照射体の周囲で異なる方向から衝突するので、粒状の被照射体を回転させなくても、被照射体に均一な電子線照射を行う事ができるようになっている。更に、被照射体が気体である場合には、前記の被照射体通路内での電子の周方向の走行距離が大きいので、被照射体と電子の相互作用が強くなる。例えば、ダイオキシンなどの有害物質の分解に有効となる。
【0021】
本発明の特許請求項3に係わる電子線照射装置は、特許請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載した装置において、前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回手段は、前記の被照射体通路内における特定の軸方向範囲での実質的に全ての周方向位置に於いて、粒状の被照射体が環状に分布して回動せずに又は回転せずに軸方向に移動する場合において、それらそれぞれの被照射体の背面又は側面に低エネルギーの電子を、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、回り込ませる効果を有することを特徴とするものである。本発明の装置を採用すると、粒状の被照射体が回転しない場合でも横方向又は後方向から電子が飛来して粒状の被照射体の表面がより均一に照射される。被照射体を回転させなくても良いので照射処理速度を大きくできる。
【0022】
本発明の特許請求項4に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した装置において、前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回手段は前記の被照射体通路と同軸的に設けられ、前記被照射体通路内の特定の軸方向範囲での実質的に全ての周方向位置において軸方向磁束密度成分及び径方向磁束密度成分を生じさせ、それら両方の磁束密度成分の大きさが周方向位置において実質的に一様に分布し軸方向位置においてその位置を変数とする非一様な別々の関数を成して分布する磁石を用いて構成されていることを特徴とするものである。本発明の装置を採用すると、簡単な構造で安価に前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回手段を実現することができる。磁石の構造と寸法を工夫することによって、前記の軌道交叉手段を実現することも、前記の電子周回手段を実現することもできる。例えば、環状の短い磁石を直列に並べること等によって前記の被照射体通路に沿った方向の磁束を形成することによって電子の周回距離を長くすることができ、電子周回手段として作動させられる。逆に磁界の方向を多様化すると、電子の進行方向も多様化して軌道交叉手段として作動させられる。本発明に於いては、前記の被照射体通路内で電子が90度以上の中心角で周回させる手段を電子周回手段と呼んでいる。
【0023】
本発明の特許請求項5に係わる電子線照射装置は、特許請求項4に記載した装置において、前記の軌道交叉手段又は前記の電子周回手段は前記の被照射体の位置における電子の進行方向を、前記被照射体通路内での磁束密度の軸方向分布を時間的又は空間的に変化させることによって、前記被照射体通路内の特定の軸方向範囲での実質的に全ての周方向位置において一斉に、時間的又は空間的に変化させることを特徴とするものである。電子の進行方向を時間的に変化させる場合には、前記被照射体の移動の有無に係わらず被照射体に衝突する電子の方向が変化するので積算した照射量は被照射体の表面で均一化される。電子の進行方向を空間的に変化させる場合には、前記の被照射体が移動した場合に被照射体に衝突する電子の方向が変化するので積算した照射量は被照射体の表面で均一化される。
【0024】
本発明の特許請求項6に係わる電子線照射装置は、真空領域を構成する真空容器と、この真空容器の内部で電子を放出する陰極と、この陰極から放出された電子を加速する電子加速手段と、この電子加速手段によって加速された低エネルギーの電子を前記の真空容器の外部に透過させる電子透過窓と、前記の真空容器の外周部位において被照射体を通過させる環状の被照射体通路とを有して構成されており、且つ前記の電子透過窓はこれを含む面がこの被照射体通路と角度を有して交叉するように、好適には直交するように、構成されており、前記の電子は前記の電子透過窓の略全面に略均一に広がって分布しており、前記の被照射体通路は内壁を有しており、この内壁が前記の電子透過窓を実質的に取り囲んでいることを特徴とするものである。前記の被照射体通路の内壁及び外壁は、前記の真空容器と前記の電子透過窓を取り囲んで同軸的に設けられた筒状構造となっているので、その外壁の径と内壁の径の差(以後、通路幅Wと言う)を大きくすることなく内壁の径を大きくすることができ、その通路断面積Sをいくらでも大きくできる。従って、前記の粒状物体が重ならない状態を保って多量の粒状物体を被照射体通路内で移動させることができる。又、この場合に、前記の電子透過窓はその外径を前記した筒状の被照射体通路の内壁と同程度に大きくできるので、前記の電子透過窓を構成する箔の表面積を大きくでき、単位面積あたりの入射電子パワーを大きくすることなく入射電子パワーの総量を大きくすることができる。従って、前記の電子透過窓を構成する箔の温度を低く抑えた状態で多量の電子線を前記の被照射体通路内に送り込むことができ、電子線照射装置の処理能力をいくらでも増やすことができる。この場合、前記の陰極から前記の電子透過窓に至る電子軌道集合は真空中で電子の分布が円錐状に広がるようになっているので、陰極の直径は小さくすることが出来、構造が簡単で安価な装置となる。本発明で言う内壁とは、被照射体通路を実質的に規定する径が小さい側の境界を意味しており、例えば真空容器の一部と兼ねている場合や、実質的に被照射体が存在しない空間を含む場合などで、特別の構造体を持たない場合もこれに含まれるのは当然である。前記の被照射体通路の内壁が、円弧状に構成される場合などで、前記の電子透過窓を部分的に取り囲んでいない場合も本発明に含まれるのは勿論である。
【0025】
本発明の特許請求項7に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載した装置において、前記の陰極及び前記の電子透過窓及び前記の被照射体通路は実質的に環状で同軸的に構成されており、前記の被照射体通路は前記の陰極及び前記の電子透過窓を取り囲んで設けられており、前記の電子透過窓の直径は前記の陰極の直径よりも大きく、前記電子透過窓表面に於ける電子はその密度が前記の陰極表面に於ける電子密度より小さく且つ実質的に全ての周方向位置にわたって空間的に広がって分布していることを特徴とするものである。本発明に係わる装置では、前記の電子透過窓における電子密度は前記の陰極の表面における電子密度よりも小さく出来、電子透過窓の温度を低く抑えることができるので電子透過窓の信頼性が向上する。また、陰極を小型にできるので構造か単純で安価な装置を実現できる。更に、被照射体通路を前記の電子透過窓を取り囲んで設けると、被照射体通路の径に制限がなくなるので、幾らでも大きな処理能力を得ることができる。この場合、被照射体の量の割には被写体通路の断面積Sを大きくできるので、被照射体間の隙間を電子が通過できてより均一な照射が行える。
【0026】
本発明の特許請求項8に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載した装置において、前記の真空容器は前記の被照射体通路に実質的に取り囲まれていて前記の被照射体通路の径方向寸法は前記の真空容器の径方向寸法に制限されずに大きくでき、前記の陰極の径方向寸法と前記の被照射体通路の通路幅とを小さく保った状態で前記の被照射体通路の径方向寸法を増すことによって前記電子線照射装置の照射処理能力を大きくできるように構成されていることを特徴とするものである。電子線照射装置をこのように構成することによって、真空容器をコンパクトに構成した状態で被照射体通路の断面積を無制限に大きくすることが出来、電子線処理能力が極めて大きい電子線照射装置を実現することができる。また、前記の被照射体通路を実質的にパイプ状に構成すると、被照射体通路の断面積Sの割には直径が大きくならず、全体としてコンパクトで処理能力の大きい電子線照射装置を提供することができる。
【0027】
本発明の特許請求項9に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載した装置において、前記の被照射体通路は鉛直方向を向いており、粒状の被照射体が前記の電子透過窓の近傍で前記の電子透過窓を取り囲んで環状に分布して非回転で軸方向に自由落下したときに、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、それぞれの被照射体の実質的全表面に低エネルギーの電子線が照射されるように構成されていることを特徴とするものである。この電子線照射装置を採用すると、被照射体の取扱い方が単純になり、全体がコンパクトになって、設置面積が狭くて済むというメリットが生じる。また、設置面積の割には処理速度を高めることができる。
【0028】
本発明の特許請求項10に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載した装置において、前記の被照射体通路内又はこれに連通する部分に、環状に配列して軸方向に移動する粒状の被照射体の通過量又は通過速度又は通過タイミングを、前記の被照射体が前記の被照射体通路内の特定の軸方向範囲での実質的に如何なる周方向位置においても密集することがないように、制御する機構を設けたことを特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記の被照射体通路の断面積Sと前記の電子透過窓を通過した電子の量に応じて前記の電子透過窓の近傍を通過する被照射体の量又はその速度又はタイミングを制御できるので、より均一な電子線照射を行う事ができる。
【0029】
本発明の特許請求項11に係わる電子線照射装置は、請求項2に記載した装置において、前記の電子透過窓を含む面は、前記の被照射体通路と角度を有して交叉するように、好適には直交するように構成されていることを特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記の被照射体通路内を移動する被照射体の進行方向を含む面が前記の電子透過窓を含む面と平行にならず、好適には直交しているので、前記の被照射体が粒状物体である場合にはこれが飛び跳ねるなどして前記の電子透過窓に近づくのが防止される。又、前記の電子透過窓に電子が吸収されることによって発熱する熱が被照射体に到達する割合を小さくできる。更に、電子が前記の電子透過窓等に入射する事によって極僅かではあるが発生するX線が被照射体に到達する量を小さくできる。
【0030】
本発明の特許請求項12に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載した装置において、前記の電子透過窓は、これを含む面が前記の被照射体通路と角度を有して交叉するように、好適には直交するように、構成されており、且つ前記の被照射体通路に取り囲まれて設けられており、前記の被照射体の進行方向を延長した直線が前記の電子透過窓の外表面と交わるのを妨げるように前記の真空容器又は前記の被照射体通路の一部分等の遮蔽物によって遮蔽されて、前記の被照射体からその進行方向に見えないように構成されていることを特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記の電子透過窓は前記の被照射体、又は被照射体に混入した異物が前記の電子透過窓に異常に接近しないように出来、装置の信頼性が高くなる。特に、粒状の被照射体を自由落下させる場合には顕著な効果がある。
【0031】
本発明の特許請求項13に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載した装置において、前記の電子透過窓を構成する箔は前記の電子透過窓を構成する環状の電子透過窓構体の放射状に伸びた隔壁に貼り付けられた複数の薄片に分割されており、それぞれの薄片が前記の被照射体通路から実質的に同一の距離に位置しており前記の被照射体通路に直角に交叉する同一平面内に実質的に含まれる様に環状に配列されていることを特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記の電子透過窓を構成する個々の薄片は小さくても、全体として大きな直径の環状構造の電子透過窓を形成できるので、電子透過窓における電子の入射パワー密度を低い状態に保った状態で前記の被照射体通路に多量の電子を送り込むことが出来て、処理速度が際限なく大きくできる。前記の電子透過窓の各薄片は同一の構造体に電子ビーム溶接などによって接合して真空リークが無いようにして全体として環状の電子透過窓が構成される。各薄片が、部分的に薄くした単結晶シリコンなどの構造体であっても本発明に含まれるのは当然である。
【0032】
本発明の特許請求項14に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載した装置において、前記の被照射体通路内に、又は前記の被照射体通路と前記の電子透過窓との間に、細長いスリットを有する籠型の回転体を前記の被照射体通路と同軸に回転させて前記の被照射体が電子透過窓に接触するのを防止する接触防止手段を設けたことを特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記の被照射体が前記の電子透過窓に接触できないようになっているので、粒状の被照射体が飛び跳ねるなどして異常な運動をした場合でも前記の電子透過窓が破れるなどの不都合が生じないので、信頼性が格段に向上する。
【0033】
本発明の特許請求項15に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載した装置において、前記の電子透過窓から前記の被照射体通路の方向に、前記の電子透過窓の冷却に使用した不活性ガス等の冷却用流体を、前記被照射体通路と同軸的に分布した圧力を加えて、移送する手段を設けたことを特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記の被照射体に微細な異物が混入していた場合や、被照射体の一部が分離されて異物になった場合や有害な気体を含む場合などに於いても、これらの異物が前記の流体によって前記の電子透過窓に近づけないようになっているので、信頼性が格段に向上する。
【0034】
本発明の特許請求項16に係わる電子線照射装置は、特許請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載した装置において、前記の電子透過窓より小さな径の陰極から環状に分布した状態で放出された電子群が、前記の電子加速手段と前記の電子透過窓との間に設けられた軸方向に末広がり形状を成す電子通路内をその分布径を拡大しながら軸方向に進行して、この電子通路を支持する支柱部分を除いた周方向部分において実質的に均一に広がった状態で、前記の電子透過窓に入射するように構成されていることを特徴とするものである。この電子線照射装置では、前記の電子透過窓の直径を大きく保った状態で前記の陰極を直径が小さな環状構造にできるので、装置全体の構造が単純になるとともに、前記の被照射体通路及び前記の電子透過窓の直径を際限なく大きくすることが出来、処理速度を大きくできる。又、前記の電子透過窓を透過した電子が中心軸に平行な速度成分と、これに直交する速度成分とを有するので、前記の軌道交叉手段や前記の電子周回手段を容易に実現できる。
【0035】
本発明の特許請求項17に係わる殺菌方法は、特許請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載した電子線照射装置を使用して低エネルギーの電子線を、前記環状の被照射体通路内において周方向に環状に分布して軸方向に非回転で移動する多数の粒状の被照射体のそれぞれの実質的全周囲に、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、照射することを特徴とする方法である。エネルギーが500keV以下、特に300keV以下の電子線は「ソフトエレクトロン」と称されて粒状物体の表面を殺菌するのに有効であることは良く知られている。本発明に於いて低エネルギー電子線とは500keV以下のエネルギーを有する電子線を言う。又、本発明では、滅菌や殺虫などの有害生物を死滅させることを含めて殺菌と言っている。この殺菌方法では、電子線はエネルギーが低いので被照射体の内部に侵入せず、被照射体の内部を変質することは無い。又、多量の電子線が被照射体の周囲に回り込むので、被照射体を回転させなくても電子線が被照射体の全表面に均一に照射され、しかも殺菌処理速度を大きくすることができる。
【0036】
本発明の特許請求項18に係わる殺菌方法は、面状に広がって電子透過窓を透過した低エネルギーの電子線の一部を、中心軸を有し前記電子透過窓を取り囲んで設けられた環状の被照射体通路内の特定の軸方向範囲内での実質的に全ての周方向位置において、環状に配列して軸方向に非回転で移動する多数の粒状の被照射体のそれぞれの背面又は側面に、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、回り込ませながら照射すると同時に、同一の前記電子透過窓を透過した低エネルギーの電子の他の一部を当該それぞれの被照射体に他の方向から、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、照射することによって前記の被照射体を殺菌することを特徴とする方法である。この殺菌方法では、電子線のエネルギーが低いので粒状の被照射体の内部に侵入せず、被照射体の内部を変質することは無い。また、被照射体通路内において電子線の一部が粒状被照射体の前方から、電子線の他の一部が同一の粒状被照射体の側方から、電子線の他の一部が同一の粒状被照射体の後方から飛来するので、粒状被照射体を回転させなくても電子線が粒状被照射体の全表面に均一に照射される。粒状被照射体を回転させる必要が無いので、殺菌処理速度を大きくすることができるだけでなく装置全体がコンパクトになって設置場所を狭くできる。
【0037】
本発明の特許請求項19に係わる殺菌方法は、特許請求項18に記載した殺菌方法において、前記の電子線が前記の被照射体の背面又は側面に回り込む程度又はその方向を、前記被照射体通路内において環状に分布する磁束密度の軸方向分布を時間的又は空間的に変化させることによって、前記被照射体通路内の特定の軸方向範囲での実質的に全ての周方向位置において一斉に、時間的又は空間的に変化させたことを特徴とする方法である。この殺菌方法では、被照射体通路内において電子線が飛来する方向が極めて不規則的になるので、回転しないで直線的に移動する粒状被照射体の全表面に、電子線がより均一に照射され、均一な殺菌処理が出来るだけでなく、粒状被照射体の移動速度を大きくできるので殺菌処理速度を大きくすることができる。
【0038】
本発明の特許請求項20に係わる殺菌方法は、特許請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載した殺菌方法において、前記の被照射体が玄米、籾、小麦、そば、茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその加工品、又はアブラナ科やマメ科等の植物の種子であり、前記環状の被照射体通路内の特定の軸方向範囲内での実質的に全ての周方向位置において、ここに進入してきた電子の一部を、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、主として周方向に偏向して走行させると同時に、同一位置に進入してきた電子の他の一部を、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、主として径方向に偏向して走行させることによって、前記被照射体を前記被照射体通路内に環状に配列した状態で軸方向に非回転で移動させた場合に、前記被照射体通路の周方向位置によって時間差を生じずに一斉に、前記被照射体のそれぞれの実質的全表面に低エネルギーの電子線が照射されることを特徴とする方法である。玄米、籾、小麦、そば、茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその加工品、又はアブラナ科やマメ科を含む植物種子等の殺菌の為に低エネルギーの電子線の照射が有効であることは良く知られているが、従来は、これら粒状物体の回転が必須であり、回転の程度によって殺菌ムラが出来て、良好な殺菌が出来ないばかりか処理速度が極めて小さかった。これは、従来の電子線照射装置では電子線を一方向から平面状に照射していた為で、この改善が熱望されていた。本発明の殺菌方法では、玄米、籾、小麦、そば、茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその加工品、又はアブラナ科やマメ科を含む植物種子等の粒状被照射体を回転させなくても、電子線自体が実質的に回り込んで照射されるので、これら粒状の被照射体の内部を変質することなく全表面を均一に殺菌できて、安全性と処理速度が格段に向上し、産業的効果が極めて大きい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1(a)は本発明に係わる電子線照射装置の簡略化した縦断面図、図1(b)は本発明に係わる電子線照射装置の簡略化した横断面図であり、図1(a)のZ軸方向から電子軌道を見た図に相当する。図2は本発明の一実施形態である電子線照射装置の縦断面図であり、図3は図2のAA’の矢印方向から見た横断面図であり、図4は図2のBB’の矢印方向から見た横断面図であり、図5は本発明の電子線照射装置の主要構成要素である電子透過窓の構造を表す図であり、図6は本発明の電子線照射装置の主要構成要素である軌道交叉手段としての電磁石の構造と磁束の分布の例を表す断面図であり、図7から図10までは本発明の電子線照射装置の原理を説明する原理図であり、図11から図14までは本発明の作用及び効果を説明する為の電子軌道を計算した結果を表す図面であり、図15は他の変形した実施形態を示す縦断面図であり、図16は従来の電子線照射装置を示す横断面図である。同じ部分は同じ番号を付与している。これらの図に於いて、簡略化の為に断面のハッチングは部分的に省略している。
【0040】
図1及び図2に示すように、円筒状に構成された被照射体通路10の内壁18の内側に真空容器1があり、図2に示す排気管16を通して図示しない真空ポンプによって排気されて常時10−6〜10−8Torr程度の真空度に保たれた真空空間101を形成している。真空空間101内に環状の陰極2が、絶縁体で出来た陰極支持機構17を介して被照射体通路10と同軸的に取り付けられている。陰極2の電子放出面の前方に電子引出し電極3が同軸的に設けられている。電子引出し電極3と同軸的に陽極デイスク4と陽極リング5が設けられており、これらは電子加速手段を形成している。陽極デイスク4と陽極リング5の間は環状の電子通過孔401を形成している。
【0041】
環状の陰極2はバリウム含浸型カソードであり、内部に取り付けられた図示しないヒーターによって加熱されて熱電子を放出する。環状の陰極2及びヒーターには高電圧ケーブル15から陰極支持機構17を通じて−500kV〜−50kVの間の高電圧が印加される。高電圧ケーブル15は外部の図示しない高電圧電源に接続されている。電子引出し電極3は陰極2に対して0〜1000V程度のバイアス電圧が印加され、このバイアス電圧は前記の高電圧電源によって可変でき、陰極から引き出される電子の量を制御できるるようになっている。真空容器1、電子透過窓7、陽極デイスク4、陽極リング5は接地電位、0Vに設定されている。
【0042】
陽極デイスク4を取り付けた平板部402は真空容器1の一部を形成している。図2に示した平板部402のAA’の矢印方向から見た横断面図を図3に示している。図3に示すように、平板部402には放射状に設けられた多数の穴405があり、その一部は前記の電子通過孔401と繋がっており電子通路406を形成している。前記の穴405の間には隔壁407があり、機械的強度を保つとともに、隔壁407の内部にある図示しない水路を通る水によって冷却されている。穴405の近傍には冷却水路403、404が設けられており、外部から導入された水によって強制冷却されるようになっている。
【0043】
図2に示すように、前記の平板部402の表面に電子透過窓構体6が取り付けられている。前記の平板部402と電子透過窓構体6との間はO―リング等によって気密に接続されており、脱着できるようになっている。電子透過窓構体6のBB’の矢印方向から見た横断面図を図4に示している。図2及び図4に示すように、電子透過窓構体6には多数の穴601が設けられており、電子通路406の一部を構成している。これらの近傍に環状の冷却水路603,604が設けられており、電子透過窓構体6が強制冷却されるようになっている。多数の穴601の間には隔壁605があり、機械的強度を保つとともに、隔壁605の内部にある図示しない水路を通る水によって冷却されている。図2に示すように、電子透過窓構体6の端部には環状に構成された電子透過窓7が、前記の被照射体通路10と直交するようにつまり、電子透過窓7を含む面の法線と被照射体通路10の断面の法線が平行になるように、電子ビーム溶接等により気密に取り付けられており、真空容器1の一部を形成して真空空間101を高真空状態に保っている。環状に構成された電子透過窓7の直径が大きい場合には、1枚のチタン箔で構成するのは極めて困難である。このような場合に使用される電子透過窓7は、図5に示すように、多数の穴721とその境界の隔壁722とを有した構造体のそれぞれの穴721に多数の薄片710が電子ビーム溶接等により気密に取り付けられた構造になっており、真空容器1の一部を形成して真空空間101を高真空状態に保てるようになっている。電子透過窓7の各薄片710は厚みが10μm程度のチタン箔で出来ており、例えば、110keVのエネルギーを持って入射した電子のおよそ50%を透過することができる。各薄片が部分的に薄くした単結晶シリコンなどの構造体であっても本発明に含まれるのは当然である。
【0044】
隔壁722内には、図示しない水路があり、水冷されて温度上昇が防止されている。又、電子透過窓7の各薄片710の内面又は外面には格子状又は放射状に配設された図示しない多数のフィンが設けられており、各薄片710の温度上昇を防止するとともに機械的強度を増すようになっている。フィンは0.5mm程度に薄くし、それらの間隔は2mm程度に狭くすると各薄片710内の温度がより均一になって好ましい。電子通路406は長い距離があり、内部が同電位になっているので、前記の電子加速手段で放電などの不具合が発生しても電子透過窓7に悪影響を与え難くなっている。又、各薄片710の内面に設けられたフィンは避雷効果があり、電子透過窓7の信頼性を増すことができる。
【0045】
前記の電子透過窓7の近傍で円筒状の被照射体通路10の外側位置において、電磁石8が被照射体通路10と同軸的に取り付けられている。電磁石8は、被照射体通路10と同軸的に設けられた環状の第1磁極801、第2磁極802と、これと同軸的に設けられており、第1磁極801及び第2磁極802に接続されており、より大きな径の部分を持った環状のヨーク803と、この間に巻かれたコイル804とを有しており、軌道交叉手段を構成している。
【0046】
電磁石8によって生じる磁力線805の例を図6に示している。図6に示すように、前記の第1磁極801、第2磁極802の形状により、電子透過窓7に近い側で内側に屈曲した磁力線を呈している。図2に示す様に、前記円錐環状に末広がりに構成された電子通路406の平均半径を結んでできるコーン状の面と前記の被照射体通路10の外壁19との交線9の近傍に最小の径を持つ曲面に沿って磁束は分布している。
【0047】
図1及び図2に示すように、被照射体通路10は、実質的に装置全体を覆った内壁18と外壁19を有しており、断面が円環状になっている。図2に示すように、被照射体通路10の鉛直上方部分には被照射体投入部102が取り付けられている。被照射体通路10内、又は被照射体投入部102内には被照射体100の通過量と通過タイミングとを制御する図示しない被照射体制御機構が設けられており、図1に示すように、多数の被照射体100は被照射体通路10内で環状に分布した状態で間欠的に自由落下するようになっている。円筒状の被照射体通路10の通路幅Wは小さい値に保った状態で通路断面積Sは十分に大きくなっており、粒状の被照射体100は密集することがない様に被照射体制御機構によって制御された状態で落下している。
【0048】
図2に示すように、電子透過窓7の外側には前記被照射体通路10の内壁18の径よりも小さな径を有する照射室空間111を形成している。照射室空間111と被照射体通路10との境界部分には被照射体通路10に平行な方向に細長いスリットを有する籠型の回転体121が被照射体通路10と同軸的に取り付けられている。回転体121は被照射体通路10と同軸的に取り付けられた誘導モータのロータ122に取り付けられており、ステータ123に通電されて回転するようになっている。回転体121の内側には多数のフィン124が前記のスリットと大略平行に設けられており、回転体121が回転することによって照射室空間111内にある気体を被照射体通路10内に送り込むようになっている。
【0049】
電子透過窓7の外側には図示しない多数のノズルがあり、このノズルから窒素のような不活性ガスが電子透過窓7に向かって高速度で吹き付けられており、電子透過窓7は冷却されるとともに、照射室空間111は不活性ガスが充満している。この不活性ガスは前記のように回転体121の回転によって被照射体通路10内に押し込まれるので、粒状の被照射体100が回転体121に接触しない様になっている。これらは、被照射体100が電子透過窓7に接触するのを防止する接触防止手段を形成している。回転体121にはスリットがあるので、電子透過窓7を透過した電子は、照射室空間111を通過した後に、このスリットを通って被照射体通路10に進入して粒状の被照射体100に衝突するようになっている。回転体121自体に衝突する電子による過熱は適度な冷却によって防止されている。
【0050】
図示しないフィラメントで加熱された陰極2から熱電子が放出され、電子引出し電極3との間の電界で空間電荷制限電流として引き出される。引き出される電子の量は電子引出し電極3の電圧で制御されるようになっている。引き出された電子は陰極2と陽極デイスク4、陽極リング5との間の電界で110keVのエネルギーに加速されるとともに、分布をラッパ状に広げられて電子通過孔401を経由して電子通路406に進入する。電子通路406内では電界が無いので加速されることなく等速運動を行う。電子通路406内の電子密度は小さいので空間電荷の影響も無視でき、電子通路406が長くても電子はこの中を直線運動し、軌道集合の半径を拡大しつつ電子の分布を円錐環状に広げられて電子通路406の端部に取り付けられた十分に大きな直径の電子透過窓7に到達する。以下において、電子透過窓7を透過した電子の進行方向を被照射体通路10内に於いて多様化する軌道交叉手段の作用について図7から図10を参照して述べる。
【0051】
被照射体通路10の中心軸と同軸的に配設された環状の電子透過窓7を模式的に図7に示している。ここで、Z軸は被照射体通路10の中心軸と一致しており、図1及び図2の下方が正の座標になっている。ここで、R軸は半径方向を表している。図7に示すように任意の点の位置を円柱座標(r、θ、z)で表す。電子透過窓7上の代表の点P1(r1、θ1、z1)において、Z軸に対して角度φ0だけ傾斜して、電子通路406から電子が入射した場合を考える。入射した電子は、電子透過窓7内でエネルギーを減少するとともに散乱されて、図7に実線の矢印711で示すように点P1(r1、θ1、z1)とZ軸を含む平面内の方向、及び図7に破線の矢印712で示すようにこれと直交する平面の方向とを含んだ立体的に広がった指向性を有する速度分布を呈して電子透過窓7の外側の大気圧領域に進入する。
【0052】
図7の点P1(r1、θ1、z1)とZ軸を含む平面における断面図を図8(a)に、これと直角な方向の断面図を図8(b)に模式的に示している。図8(a)の角度φ1はRZ平面内における電子の散乱角度を示しており、半径方向散乱角と呼ぶ。図8(b)における角度θwは、電子の入射方向を含みRZ平面に垂直な面内における電子の散乱角度を示しており、横方向散乱角と呼ぶ。110keVの運動エネルギーを持って初速度viでZ軸と角度φ0だけ傾斜して電子透過窓7に入射した電子は、10〜20keV程度のエネルギーを減少させて電子透過窓7を透過する。
【0053】
環状の電子透過窓7の外側には軌道交叉手段としての電磁石8が、その中心軸がZ軸に一致するように設けられており、電子透過窓7の外側では、図6に示すように、半径方向の磁束密度成分Br,Z軸方向の磁束密度成分Bzをもった磁束密度805が存在するので、この領域に入った電子は概略e(vzBr−vrBz)の回転力を与えられることになる。ここで、vzとvrは電子のZ方向速度成分とR方向速度成分を、eは電子の電荷をそれぞれ表している。電子が電磁石8に近づくに従って強い回転力を与えるように磁束密度の各成分Br,Bzの空間分布を与えておくと、電子は電磁石8に近づくにつれて図9(a)に示す様に強い正方向回転力を受けてZ軸の周りで正方向に回転しようとする。図10(a)には、正方向回転している電子が磁束密度成分、Br,Bzによって受ける力Fz,Frの方向を模式的に示している。この場合には電子は正方向に回転しながらZ軸方向に減速され、半径が縮小する方向に力を受けることになる。電子透過窓7を透過した直後の電子のθ方向速度vθが図8(b)における正方向である場合には、図9(a)に示すように、電子は正方向回転が強調されて周回運動をしつつ、図10(a)に示すように、Z軸方向に減速されながらZ軸に近づいたり離れたりする軌道となる。逆に、電子透過窓7を透過した直後の電子のθ方向速度vθが図8(b)における負方向である場合には、図9(b)に示すように、速度成分vr、vz、及び磁束密度成分、Br,Bzの大きさで正方向回転力又は負方向回転力を受ける。図10(b)には、負方向に回転している電子が磁束密度成分、Br,Bzによって受ける力を示している。この場合には電子は負方向に回転しながらZ軸方向に加速され、R軸の方向に加速されることになる。これらの電子軌道を計算して、結果を図11、図12、図13、図14に示している。次に、これらの図を使って本発明の作用と効果について更に説明する。
【0054】
図2の交線9における磁束密度が0.0031Teslaで、電子透過窓7を透過した点における半径方向散乱角φ1が−10度の場合について計算した電子軌道を図11から図14に示している。これらの電子軌道では、電子透過窓7を透過後の大気圧空間における散乱の影響は省略している。図11は、電子透過窓7を透過した点における横方向散乱角θwが+30度の場合における電子軌道の断面を示している。同様に、図12は、電子透過窓7を透過した点における横方向散乱角θwが−30度の場合における電子軌道の断面を示している。図11、図12において、各電子軌道のR値はZ軸との距離を表している。
【0055】
図13は、図7のZ軸の方向から電子透過窓7を見た図であり、図11、図12の電子軌道をZ軸の方向から見てR−θ平面で表している。環状の陰極2上の点701から走行して電子通路406を通過して電子透過窓7上の代表の点P1(r1、θ1、z1)に至る電子軌道を702に、点P1(r1、θ1、z1)において半径方向散乱角φ1が−10度で横方向散乱角θwが0度を有して散乱された電子の軌道を703に、点P1(r1、θ1、z1)において半径方向散乱角φ1が−10度で横方向散乱角θwが+30度を有して散乱された電子の軌道を704に、点P1(r1、θ1、z1)において半径方向散乱角φ1が−10度で横方向散乱角θwが−30度を有して散乱された電子の軌道を705に示している。電子軌道704は図11に、電子軌道705は図12に対応している。
【0056】
図11と図12において、陽極デイスク4及び陽極リング5の形状の内で特性に影響しない部分は計算の都合上図2の電極構造と異なっているが、電子の軌道には影響を与えていない。従って、これらは図2の構造における電子軌道の例を表している。これらの図において、電極間の等電位曲線を破線30で示している。図11は、−110kVの電圧が印加された環状の陰極2から放出されて、−109kVの電圧が印加された電子引出し電極3によって均一な電子密度をもって引き出されて、環状の電子通過孔401を形成して接地電位に設定された陽極デイスク4、陽極リング5から成る電子加速手段によって加速された電子ビーム20が、環状の電子透過窓7を透過して90keVの運動エネルギーをもって横方向散乱角θwが+30度、半径方向散乱角φ1が−10度で散乱された電子の軌道の例を示している。電子透過窓7を透過した直後に電子の進行方向が変えられており、電子透過窓7を透過して大気圧空間を通過するが、大気による電子の散乱は比較的小さいことを考慮して省略しているので磁束密度Bが大きい場所に至るまではほぼ直進している。
【0057】
この間の電子軌道をR−θ平面で見ると、電子透過窓7上の代表の点P1(r1、θ1、z1)において横方向散乱角θwで散乱された後に少しθ方向に加速されるものの、被照射体通路10に入射するまではほぼ直線的に進行していることがわかる。これらの電子が被照射体通路10に入射した位置で電磁石8の磁束密度Bが大きくなり、前記の相互作用により、図10(a)に示すようにZ軸及びR軸方向に減速されて、図11に示すように被照射体通路10に平行な方向に電子軌道が変えられている。更に、図9(a)に示すように、θ方向の加速度を受けるので、図13の704で示すように、被照射体通路10内で大きく周回運動をする。この場合、しばらくの間軌道半径Rを減ずるが、その後Rの正方向に向かっている。この部分での電子軌道は、磁束密度Bの大きさと空間分布、及び電子の進行速度の大きさと方向に大きく依存しており、被照射体通路10内でR方向に大きく屈曲する電子軌道を呈する場合もある。
【0058】
図12は、電子透過窓7上の代表の点P1(r1、θ1、z1)における横方向散乱角θwが−30度であること以外は図11と同じ条件での電子軌道を示している。図11の場合と同様に、電子透過窓7を透過した直後に電子の進行方向が変えられており、その後電子透過窓7を透過して大気圧空間を通過するが、大気による電子の散乱は比較的小さいことを考慮して省略しているので、磁束密度Bが大きい場所に至るまではほぼ直進している。被照射体通路10内で磁束密度Bが大きくなった位置において、図10(b)に示すように電子はZ軸方向及びR方向に加速されるとともに、図9(b)に示す様に−θ方向に減速された状態で被照射体通路10の外壁19に至る。これは、この領域でBzがBrよりも大きくなっているからである。これらの様子は図12、及び図13の電子軌道705で表されている。図11〜13の電子軌道の1つを斜視図で図14に示している。
【0059】
以上において代表的な動作条件での電子軌道の説明を行ったが、横方向散乱角θwや半径方向散乱角φ1が異なった場合や、半径r 1 が異なった場合や、角度θ 1 が異なった場合や、透過電子のエネルギーが異なった場合などについても同様な軌道となる。図1に模式的に示す様に、被照射体通路10内の任意の点には、種々の電子軌道を持つ多くの電子を寄せ集めた状態となるので、ほぼ全ての方向を向いた電子が飛来する。換言すると、被照射体通路10内にある粒状の被照射体100は自ら回転しなくても全ての方向から電子が入射することになり、全表面に電子が照射される。被照射体通路10内で粒状の被照射体100が自由落下などのように直線運動している場合には、この効果はより顕著になる。更に、磁束密度Bの空間分布を適正化することによって、粒状被照射体100の表面における入射電子の分布をより均一化できる。
【0060】
上記は、単一の電磁石8を用いた場合であり、磁束密度Bの分布がZ軸方向に単純に変化しているが、起磁力の異なる多数の環状の電磁石又は永久磁石を被照射体通路10に沿って並べることによってZ軸方向の位置によって磁束密度分布を複雑に変化させると、より多様化された電子軌道となり、直線移動する粒状被照射体100の電子照射の均一性を向上することができる。逆に、起磁力が同じである多数の環状の電磁石又は永久磁石を被照射体通路10に沿って並べること等によって磁束密度BのZ軸方向における分布を適正にすると、被照射体通路10内で壁に衝突するまでの電子の周回距離を増すことができる。この場合には、これらの磁石は電子周回手段として作用する。このようにした電子線照射装置は、被照射体が気体である場合等に電子との相互作用が改善されるので好ましい。
【0061】
上記は、磁束密度Bが時間的に一定の場合について記しているが、電磁石8の励磁電流の方向を時間的に変化させた場合には、被照射体通路10内における上述した周回運動の方向が時間的に逆転させられるので、被照射体100の電子線照射をより均一にできる。以上において説明したように、軌道交叉手段又は電子周回手段として作用する電磁石8を設けることによって、電子透過窓7を透過した電子が粒状被照射体100の全表面により均一に照射できる電子線照射装置を実現できる。
【実施例】
次に本発明の電子線照射装置の作用及び効果について実施例を用いて更に説明する。 電子透過窓7は、厚みが10μmのチタン薄膜を、外径が31cmで内径が20cmの環状体になるように張り合わせて構成されており、表面積はおよそ420cm2であり、電子がこの表面に均一に広がって入射するの場合について述べる。このような薄膜に信頼性を保って許容される入射電子のパワー密度は20W/cm2程度であるので、本実施例で許容される入力は8400Wである。入射電子のエネルギーが110keVである場合には、76mAの電流に相当する。入射した電子のおよそ50%が電子透過窓7で吸収され、残りのおよそ50%程度が平均の運動エネルギー90keVをもって透過するとすると、電子透過窓7を透過して被照射体通路10に侵入する電子のパワーはおよそ3400Wであり、十分に大きな照射能力を有する電子線照射装置となる。一方、環状陰極の平均直径は5cmであり、幅は4mmであるので、必要な電子密度は13mA/cm2と小さな値でよく、容易に実現できる。また、図2に示す電子線照射装置の最大外径は60cmであり、コンパクトになっている。更に照射能力を増したい場合には、陰極の直径を変えることなく、電子通路406の長さを増すとともに、電子透過窓7と被照射体通路10の直径を大きくすることによって実質的に無制限に大きくできる。例えば、電子透過窓7の直径が100cm、内径が80cmであるように構成すると、56kWの電子線を電子透過窓7に入射することができる。この場合でも、電子線照射装置全体の外径は1.4m程度であり、コンパクトで処理能力の大きな低エネルギー電子線照射装置を提供できる。このようにコンパクトで処理能力の大きい電子線照射装置は、例えばダイオキシンの分解などの環境対策にも有効である。
【0062】
前記の被照射体が玄米、籾、小麦、そば、茶葉、香辛料、乾燥野菜等の食品原材料、又はその加工品、又はアブラナ科やマメ科等の植物の種子であり、これらの被照射体の内部を変質せずに、表面を汚染した生菌を殺菌する場合には、500keV以下、好適には300keV以下のエネルギーの電子線を表面に万遍無く照射できることが求められてきた。従来は、この目的の為に被照射体自体を回転させていたが、このために、十分な殺菌効果を得ようとすると処理能力を高めることが出来なかった。本発明の電子線照射装置では、これらの被照射体を回転せずに自由落下等の直線移動させるだけで全表面に500keV以下、好適には300keV以下のエネルギーの電子線を満遍なく照射できて、殺菌処理能力が十分に改善され、産業的メリットが大きい。
【0063】
次に、変形された実施形態について図15を用いて説明する。図15に示す実施形態の例では、軌道交叉手段又は電子周回手段としての電磁石8を被照射体通路10の内壁18の内側に取り付けている。この場合には、電子の走行を妨げないように電子透過窓7に近い磁極801の直径を電子透過窓7の内径よりも小さくし、他の磁極802の直径を被照射体通路10の内壁18の径と同じ程度に大きくしている。ヨーク803はこれらの磁極よりも径が小さくなっている。この場合にも、電子軌道計算の結果、上述と類似の効果を得ることが判っている。
【0064】
本発明を実施形態及び実施例に関連して説明したが、本発明は、ここに例示した実施形態及び実施例の構造及び形態に限定されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いろいろな実施形態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えることができることを理解されたい。例えば、好ましくはないが、電子透過窓7の外側を真空にした状態で被照射体100に電子線を照射できることは勿論である。また、電磁石8は永久磁石に替えても良いことは勿論である。図1、図2に示す本実施形態では電子透過窓7を円形の平板状に構成して作りやすくしているが、これをコーン状又は円筒状に構成しても良いことは当然である。軌道交叉手段又は電子周回手段は、複雑な構造になるが、複数個の磁石を組み合わせて構成しても、高電界を発生する電極と磁石とを組み合わせて構成しても実現できる。陰極や真空容器等を複数に分割して構成したものも、真空容器を封止切りにした場合も本発明に含まれるのは当然である。陰極は、タングステン線で出来たコイルでも良いし、電子引出し電極3を省略しても良いのは当然である。被照射体の接触防止手段は、好ましくはないが、スリットを有する静止した構造体に変えても良いことは当然である。被照射体通路10の中心線と電子通路406の中心線が本発明の精神から逸脱しない程度にずれている場合も、傾斜している場合も本発明に含まれるのは当然である。被照射体を移動又は落下する場合に、その速度を制御したものも本発明に含まれるのは当然である。本発明の電子線照射装置及び殺菌方法では、被照射体を回転する必要がないが、被照射体を回転した場合も、逆に、静止した場合も含まれるのは当然である。前記の被照射体100が絶縁物のみで出来ている場合も導電性の材質を含む場合も気体である場合も本発明に含まれる。
【発明の効果】
以上説明したように本発明を採用すると、コンパクトで処理能力の大きい低エネルギー電子線照射装置を提供できる。小型の陰極と、大きな直径の電子透過窓と、更に大きな直径の被照射体通路を有して構成されているので、電子密度の適正化が図られており、適正な冷却ができるので、処理能力を事実上無制限に大きくできる。被照射体が例えば食品原料や植物種子のように粒状物体である場合には、被照射体を回転させることなく、電子線を回り込ませることによって被照射体の全表面に低エネルギーの電子線を照射することができる。従って、これらの被照射体の殺菌に使用する場合には、内部を変質させること無く、大きな処理速度で表面を殺菌出来る。又、被照射体が気体である場合には、被照射体通路内で電子を周回運動させることによって、コンパクトな構造でありながら気体との相互作用の距離を増して効率を高めることができる。更に、電子透過窓が被照射体と角度を有して取り付けられているので、被照射体の飛散などによって電子透過窓が汚染され難く、信頼性が高いだけでなく、被照射体への熱等の影響の少ない電子線照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である電子線照射装置の簡略化した縦断面図と横断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である電子線照射装置の縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態の縦断面図である図2のAA’の矢印方向から見た横断面図である。
【図4】本発明の実施形態の縦断面図である図2のBB’の矢印方向から見た横断面図である。
【図5】本発明の電子線照射装置の主要構成要素である電子透過窓の構造を表す図である。
【図6】本発明の主要構成要素である軌道交叉手段としての電磁石の構造と磁束の分布の例を表す断面図である。
【図7】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透過窓における電子の散乱を模式的に示している。
【図8】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透過窓における電子の散乱の角度関係を示している。
【図9】本発明の原理を説明する原理図であり、電子の速度と磁束密度が電子を周回させる効果を示している。
【図10】本発明の原理を説明する原理図であり、周回運動する電子に磁束密度が及ぼす効果を示している。
【図11】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道を計算した結果を表す図面であり、横方向散乱角が+30度の場合の例を表している。
【図12】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道を計算した結果を表す図面であり、横方向散乱角が−30度の場合の例を表している。
【図13】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道を計算した結果を中心軸の方向から見た図面である。
【図14】本発明の作用と効果を説明する為の電子軌道を計算した結果の一つを立体的に表した図面である。
【図15】本発明の変形した実施形態を表す縦断面図である。
【図16】従来の電子線照射装置の概略横断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器
2 陰極
3 電子引き出し電極
4 陽極デイスク
5 陽極リング
6 電子透過窓構体
7 電子透過窓
8 電磁石
9 電子通路の平均半径でできるコーン状の面と被照射体通路との交線
10 被照射体通路
15 高電圧ケーブル
16 排気管
17 陰極支持機構
18 被照射体通路の内壁
19 被照射体通路の外壁
20 電子ビーム
30 等電位曲線
100 被照射体
101 真空空間
111 照射室空間
121 籠型の回転体
122 ロータ
123 ステータ
124 フィン
401 電子通過孔
402 平板部
403 冷却水路
404 冷却水路
405 多数の穴
406 電子通路
407 隔壁
601 多数の穴
603 冷却水路
604 冷却水路
605 隔壁
701 陰極2上の点
702 電子通路内の電子軌道
703 電子透過窓の外の電子軌道(横方向散乱角が0度の場合)
704 電子透過窓の外の電子軌道(横方向散乱角が+30度の場合)
705 電子透過窓の外の電子軌道(横方向散乱角が−30度の場合)
710 電子透過窓を構成する薄片
711 透過電子の速度分布(入射点とZ軸を含む平面内)
712 透過電子の速度分布(入射方向を含み、RZ平面と直交する平面内)
721 多数の穴
722 隔壁
801 環状の磁極
802 環状の磁極
803 ヨーク
804 コイル
805 磁力線[0001]
[Technical field to which the invention belongs]
The present invention is an apparatus that can uniformly sterilize by irradiating the entire surface of these granular objects uniformly with a low energy electron beam without entering the interior of the granular objects such as grains and seeds, The present invention relates to an electron beam irradiation apparatus capable of uniformly irradiating an electron beam on the entire surface without rotating these granular objects and having enhanced electron beam irradiation capability, and a method for sterilizing granular objects using the same. .
[0002]
[Prior art]
A granular object having a small particle size is treated as a so-called powder, but it is still a granular object, and a particle having a particle diameter larger than the electron range can be treated as a so-called granular object. it can. Since low energy electron beams do not enter the interior of these granular objects, it is possible to effectively sterilize them without degrading the quality of these granular objects. Japanese Patent Publication No. 2899690, Japanese Patent Laid-Open No. 11-164651 , Published patent publication, JP-A-10-229818, and the like. However, it is difficult to irradiate the entire surface of a granular object with a low energy electron beam uniformly and at a sufficient processing speed, and efforts have been made to solve this problem as follows.
[0003]
JP-A-1-192362 discloses a device for sterilizing and sterilizing foods such as flour and spices by holding a granular object as a powder in a suspended state with a gas and irradiating with radiation such as an electron beam. Has been. Further, in Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-52201, a granular object as a powder is levitated by a gas flowing in from below in a powder conveyance chamber, and the whole particle is irradiated with an electron beam in a fluidized state. An apparatus for sterilization is disclosed. In this apparatus, there is a description that the uneven sterilization effect due to the electron beam having weak penetrating power is prevented, which suggests that the particles that are floated and fluidized are moving while rotating. In any of these cases, it is clear that the sterilization rate is small.
[0004]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-215765 discloses a low-energy electron beam on the surface of a granular object, which is a grain, while rotating the granular object, which is a grain, by simultaneously vibrating in the vertical and horizontal directions. A method of sterilizing by irradiating from a specific direction is disclosed. The energy of the irradiated electron beam is 160 to 250 keV for brown rice, wheat, etc., and the surface of these grains is irradiated with 200 to 250 keV electron beam for straw and shelled buckwheat beans. It is disclosed that the microorganisms adhering to the rice cake can be sterilized efficiently, the electron beam does not reach the inside of the grain, and the quality of the grain is not deteriorated. Obviously, this method not only has a low sterilization speed, but also increases the size of the apparatus.
[0005]
In Japanese Patent Laid-Open No. 10-229818, water is added to grains such as rice grains and wheat grains, and the surface is tempered to a non-sticky surface, and then irradiated with an electron beam having an energy of less than 500 keV from a specific direction. And a method for sterilization is disclosed. Also in this method, it is preferable to irradiate the electron beam while rolling the grain. Further, it is described that when the electron beam is irradiated without adding water, it is difficult to uniformly sterilize the entire surface due to adhesion of grain grains. However, it is troublesome to add the step of adding water in this way, and there is a disadvantage that the processing speed is high and the processing cost is high because a subsequent drying step is necessary.
[0006]
Japanese Patent Publication No. 2899690 discloses a seed sterilization method in which the seeds of Brassicaceae or Legumes are rotated, and the surface of these seeds is irradiated with an electron beam having an energy of 160 to 210 keV from a specific direction. ing. In particular, it is disclosed that as a method of rotating the seed, it is necessary to vibrate the seed in the horizontal direction and the vertical direction. This method requires a device that can independently control the vibration of the seeds in the vertical and horizontal directions, and is not only expensive, but also has the disadvantage of a low processing speed.
[0007]
In Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-52100, an electron beam distributed in a planar shape with energy of 200 keV or less is irradiated from both sides of a granular object as a large number of granular substances spread and dropped into a thin film. An apparatus for sterilizing granules is disclosed. In this device, a large number of granular materials are spread in a thin film and dropped to prevent the formation of a shadow part that is not irradiated with an electron beam. There is a description that it can be irradiated. There is also a description that it is preferable to drop the granular material in a single layer (in other words, one row) or in a state close thereto. This means that if the processing capability of the granular irradiated object is increased, the width of the apparatus becomes large and the entire apparatus becomes large.
[0008]
In Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-101900, processing is performed by irradiating a low-energy electron beam distributed in a planar shape while continuously transferring powder or granules while being stirred by a screw conveyor in a casing. Electron beam irradiation apparatuses with increased capabilities have been proposed. Although this method may increase the sterilization speed, there are also areas where the granular irradiated objects overlap, so it is extremely difficult to completely sterilize the entire surface of each granular irradiated object with a low-energy electron beam. It is.
[0009]
In the published patent publication, JP-A-11-109100, an irradiated object that is longer than a sphere, such as wheat, wheat, buckwheat, and other spices before and after threshing, is provided by two conveyors configured in two upper and lower stages. There has been proposed an apparatus for sterilization by irradiating a low-energy electron beam distributed in a planar shape from above while being moved. In this proposal, two conveyors are operated in opposite directions, and the same electron beam irradiation device is used to irradiate the granular irradiated object twice back and forth. This is a painful measure to solve the problem that it is difficult to uniformly irradiate the entire surface of the irradiated object because the electron beam is irradiated from one direction, and the apparatus can be avoided from becoming complicated and large. Absent.
[0010]
In JP-A-11-164651, a leaf or raw material for drinking or edible or a cut or crushed product thereof is subjected to physical action such as vibration, ultrasonic wave, wind force, stirring, etc. A method for reducing the viable count of the leaf raw material or the cut or crushed material by irradiating an electron beam with energy less than 1 MeV from a specific direction while rotating the cut or crushed material is disclosed. . This method is also characterized by rotating the irradiated object, and has the disadvantages that the processing apparatus becomes large and the processing speed is low.
[0011]
JP-A-2000-254486 discloses foods such as tea leaves, rice, wheat, soybeans, and red beans, and other granular irradiated objects from three directions in an upward direction, a downward direction, and a lateral direction in a conveyance path. There has been proposed a method of irradiating an electron beam distributed in a planar shape with a low energy onto the granular irradiated object while floating and conveying by blowing a gas. In this method, it is necessary to constantly and independently adjust the flow rate and flow velocity of the gas in three directions in order to float and transport the granular irradiated object, which not only complicates the apparatus but also makes it difficult to operate stably. Therefore, it is difficult to continue uniform sterilization. Moreover, it is difficult to increase the processing speed.
[0012]
In JP-A-2000-304900, grains such as wheat, rice, beans, buckwheat, and pepper, and granular materials such as spices are provided with irregularities on the surface of the diaphragm and provided horizontally or inclined. There has been proposed a method of irradiating an electron beam distributed in a low energy plane in a state where these granular irradiated objects are conveyed while being rotated by a vibrating conveyor. This apparatus is not only complicated, but it is difficult to increase the processing speed if it is intended to irradiate the surfaces of these granular irradiated objects completely uniformly.
[0013]
In any of the above conventional examples, if it is attempted to irradiate a low energy electron beam completely and uniformly over the entire surface of the granular irradiated object, the processing speed cannot be increased. In such a case, there is a conflicting problem that uneven irradiation occurs. This is due to the fact that only the electron beam irradiation devices that have been used conventionally emit electron beams distributed in a plane from one direction.
[0014]
Next, a conventionally used electron beam irradiation apparatus will be described. Conventional electron beam irradiation apparatuses include a scanning electron beam irradiation apparatus and an area beam type electron beam irradiation apparatus. Generally, the former is used for irradiation with a high energy electron beam, and the latter is used for irradiation with a low energy electron beam. used. The latter electron beam irradiation apparatus is, for example, as described in JP-A-11-19190, in which a linear metal filament is mounted in a fixed drum tubular vacuum container, and this is energized and heated. The emitted thermoelectrons are accelerated at a voltage of 500 kV or less, transmitted through a flat electron transmission window made of a thin metal foil, and irradiated with an electron beam on an irradiated object in the atmosphere. A schematic cross-sectional view of a conventional electron beam irradiation apparatus is shown in FIG. In FIG. 16, 1001 is a vacuum vessel, 1003 is an electron gun structure, 1002 is a terminal for supporting the
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
The problem to be solved is to solve the above-mentioned problem, so that a low-energy electron beam can be irradiated uniformly over the entire surface of the granular irradiated object, and the granular irradiated object is not changed without altering the inside of the granular irradiated object. By providing an electron beam irradiation apparatus that can completely sterilize the entire surface of an irradiated body, has a high processing speed, is highly reliable, and does not require a wide installation place, and a method for sterilizing granular objects using the same. is there.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
In the present invention, the electrons emitted from the cathode are accelerated and conical.In a distributed stateAfter traveling and passing through the electron transmission window, a part of the electron beam wraps around the back or side surface of each granular irradiation object in an irradiation object passage provided so as to surround the electron transmission window. Thus, the above-mentioned two contradictory problems are solved by providing an electron beam irradiation apparatus that can uniformly irradiate an electron beam over the entire surface without rotating the granular object. More specifically, electrons emitted from an annular cathode provided in a vacuum vessel that is surrounded by a cylindrical irradiation object passage and is maintained in a high vacuum state are A conical orbit that accelerates between an annular anode that has an electron passage hole coaxially surrounded by the irradiated body passagesetMadeElectron distributionAfter traveling while increasing the radius, the cylindrical irradiated body passage is surrounded by the cylindrical irradiated body passage and is transmitted through the annular electron transmission window provided coaxially. Inside all around directionpositionIs incident on the entire surface of each granular irradiated object by rotating a part of the electrons in the cylindrical irradiated object path. We propose an electron beam irradiation apparatus that can sterilize the entire surface completely and efficiently without colliding electrons uniformly and rotating the irradiated object, and a method for sterilizing granular objects using the same.
[0017]
In order to circulate the electrons in the cylindrical irradiated body passage, a magnet arranged coaxially with the cylindrical irradiated body path is used, thereby being parallel to the cylindrical irradiated body path. A space having a magnetic flux density component and a magnetic flux density component toward the wall surface of the cylindrical irradiated body passage, and electrons are caused to travel in this space, and the interaction between these magnetic flux density components and the electrons However, as the vehicle travels, it receives a strong rotational force around the central axis of the irradiated body passage formed in a cylindrical shape and changes the orbit radius within the tubular irradiated body passage.
[0018]
When the energy of the electron beam is low, the absorption of electrons is large, so that the electron transmission window is likely to be at a high temperature. Therefore, in order to increase the electron beam irradiation capability, it is necessary to increase the total dose rate of electrons transmitted through the electron transmission window while reducing the density of incident electrons. In the electron beam irradiation apparatus of the present invention, the electron transmission window is configured so as to have a large diameter by being provided in a state of being surrounded by an irradiated body passage having an annular cross section having a large diameter. The irradiation dose rate can be increased as a whole while the electron density in the window is kept small. On the other hand, since the cathode can emit high-density electrons, a large current can be obtained while keeping the size small. In this way, the irradiation dose rate can be increased virtually without limit.
[0019]
An electron beam irradiation apparatus according to
[0020]
An electron beam irradiation apparatus according to
[0021]
An electron beam irradiation apparatus according to
[0022]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 4 of the present invention comprises:Claim3. Any one of 3didIn the apparatus, the trajectory crossing means or the electron circulating means is provided coaxially with the irradiated body passage.Generating an axial magnetic flux density component and a radial magnetic flux density component at substantially all circumferential positions in a specific axial range within the irradiated body passage, the magnitude of both of these magnetic flux density components being circumferential Distributed substantially uniformly in the directional position and in a non-uniform separate function with the position as a variable in the axial positionIt is characterized by using a magnet. When the apparatus of the present invention is employed, the trajectory crossing means or the electronic circuit means can be realized with a simple structure at low cost. By devising the structure and dimensions of the magnet, the trajectory crossing means can be realized, or the electronic circulation means can be realized. For example, by forming a magnetic flux in a direction along the irradiated body path by arranging annular short magnets in series or the like, the electron circulation distance can be increased, and the electron circulation means is operated. Conversely, if the direction of the magnetic field is diversified, the traveling direction of the electrons is also diversified and can be operated as a trajectory crossing means. In the present invention, the means for causing electrons to circulate at a central angle of 90 degrees or more in the irradiated body passage is referred to as electron circulator means.
[0023]
An electron beam irradiation apparatus according to
[0024]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 6 of the present invention includes a vacuum vessel constituting a vacuum region, a cathode for emitting electrons inside the vacuum vessel, and an electron acceleration means for accelerating the electrons emitted from the cathode. And accelerated by this electron acceleration meansLow energyAn electron transmission window for transmitting electrons to the outside of the vacuum vessel, and an outside of the vacuum vessel.ZhouPartPlaceLet the irradiated object pass throughAnnularAnd an irradiated body passage,In addition, the electron transmission window is configured so as to be preferably orthogonal so that a plane including the electron transmission window intersects the irradiated object passage at an angle, and the electrons are transmitted through the electron transmission window. Distributed substantially uniformly over the entire surface of theThe irradiated body passage has an inner wall, and this inner wall substantially surrounds the electron transmission window. The inner wall and the outer wall of the irradiated body passage have a cylindrical structure that is coaxially provided so as to surround the vacuum vessel and the electron transmission window, and therefore, the difference between the outer wall diameter and the inner wall diameter. The diameter of the inner wall can be increased without increasing the passage width W (hereinafter referred to as the passage width W), and the passage sectional area S can be increased as much as possible. Therefore, it is possible to move a large amount of granular objects in the irradiated body passage while maintaining the state where the granular objects do not overlap. In this case, the electron transmission window can have the outer diameter as large as the inner wall of the cylindrical irradiated body passage, so that the surface area of the foil constituting the electron transmission window can be increased. The total amount of incident electron power can be increased without increasing the incident electron power per unit area. Therefore, a large amount of electron beams can be sent into the irradiated body passage while keeping the temperature of the foil constituting the electron transmission window low, and the processing capability of the electron beam irradiation apparatus can be increased as much as possible. . In this case, the electron trajectory from the cathode to the electron transmission windowsetIn a vacuumElectron distributionSince it spreads in a conical shape, the diameter of the cathode can be reduced, and the structure is simple and inexpensive. The inner wall referred to in the present invention means a boundary on the side having a small diameter that substantially defines the irradiated body passage. For example, the inner wall substantially serves as a part of the vacuum container, It is a matter of course that a case where a non-existent space is included and a special structure is not included is also included. Of course, the present invention includes a case where the inner wall of the irradiated body passage is formed in an arc shape and does not partially surround the electron transmission window.
[0025]
An electron beam irradiation apparatus according to
[0026]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 8 of the present invention comprises:Claim7. Any one of 7didIn the apparatus, the vacuum vessel is substantially surrounded by the irradiated body passage.The radial dimension of the irradiated body passage can be increased without being restricted by the radial dimension of the vacuum vessel, and the radial dimension of the cathode and the passage width of the irradiated body passage are kept small. The irradiation processing capacity of the electron beam irradiation apparatus can be increased by increasing the radial dimension of the irradiated body passage in the state.It is characterized by being comprised. By configuring the electron beam irradiation apparatus in this way, the cross-sectional area of the irradiated body passage can be increased without limitation in a state where the vacuum vessel is configured in a compact manner, and an electron beam irradiation apparatus with extremely large electron beam processing capability can be obtained. Can be realized. In addition, the irradiated object passageTheWhen configured substantially in the form of a pipe, the diameter does not increase relative to the cross-sectional area S of the irradiation target passage, and an electron beam irradiation apparatus that is compact and has high processing capacity as a whole can be provided.
[0027]
An electron beam irradiation apparatus according to
[0028]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 10 of the present invention comprises
[0029]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 11 of the present invention comprises:2Described indidIn the apparatus, the surface including the electron transmission window is connected to the irradiated body passage.With an angleIn order to cross, it is preferably configured to be orthogonal. In this electron beam irradiation apparatus, the surface including the traveling direction of the irradiation object moving in the irradiation object passage is not parallel to the surface including the electron transmission window, and is preferably orthogonal. When the irradiated object is a granular object, the object is prevented from jumping and approaching the electron transmission window. In addition, the rate at which heat generated by absorbing electrons in the electron transmission window reaches the irradiated body can be reduced. Furthermore, it is possible to reduce the amount of X-rays that are generated, though very little, when the electrons enter the electron transmission window or the like reach the irradiated body.
[0030]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 12 of the present invention comprises:Claim 10Described in any one ofdidIn the apparatus, the electron transmission window isThe surface including this is configured so as to be orthogonal to the irradiated body passage at an angle, and is preferably provided so as to be surrounded by the irradiated body passage. In addition, the straight line extending in the traveling direction of the irradiated object is shielded by a shielding object such as the vacuum container or a part of the irradiated object passage so as to prevent the straight line from crossing the outer surface of the electron transmission window. AndIt is configured such that the traveling object cannot be seen from the traveling direction. In this electron beam irradiation apparatus, the electron transmission window can prevent the object to be irradiated or foreign matters mixed in the object to be irradiated from abnormally approaching the electron transmission window, thereby improving the reliability of the apparatus. In particular, there is a remarkable effect when the granular irradiated body is dropped freely.
[0031]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 13 of the present invention comprises:ClaimAny one of 12didIn the apparatus, the foil constituting the electron transmission window isAttached to the radially extending partition wall of the annular electron transmission window structure constituting the electron transmission windowIt is divided into multiple slices, and each slice isIt is located at substantially the same distance from the irradiated body passage and is substantially included in the same plane that intersects the irradiated body passage at a right angle.It is characterized by being arranged in a ring shape. In this electron beam irradiation apparatus, an electron transmission window having an annular structure with a large diameter as a whole can be formed even if the individual thin pieces constituting the electron transmission window are small, so that the incident power density of electrons in the electron transmission window is low. A large amount of electrons can be sent into the irradiated body passage while maintaining the state, and the processing speed can be increased without limit. Each thin piece of the electron transmission window is joined to the same structure by electron beam welding or the like to form a vacuum electron transmission window as a whole so that there is no vacuum leak. Of course, each thin piece is a structure such as single crystal silicon that is partially thinned.
[0032]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 14 of the present invention comprises:Claim13. Any one of 13didIn the apparatus, in the irradiated body passage or between the irradiated body passage and the electron transmission window,Rotating a bowl-shaped rotating body having an elongated slit coaxially with the irradiated body passageThe irradiated object contacts the electron transmission window.TheIt is characterized by providing a contact preventing means for preventing. In this electron beam irradiation apparatus, the irradiated object cannot be brought into contact with the electron transmitting window. Therefore, even when the granular irradiated object jumps and moves abnormally, the electron transmitting window As a result, there is no inconvenience such as tearing, and the reliability is greatly improved.
[0033]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 15 of the present invention comprises:Claim14. Any one of 14didIn the apparatus, from the electron transmission window toward the irradiated body passageFor cooling the inert gas used to cool the electron transmission windowFluidApplying pressure distributed coaxially with the irradiated body passage,A means for transferring is provided. In this electron beam irradiation apparatus, when a fine foreign matter is mixed in the irradiated object, when a part of the irradiated object is separated and becomes a foreign object, or when it contains harmful gas, etc. However, since these foreign substances are prevented from approaching the electron transmission window by the fluid, the reliability is remarkably improved.
[0034]
An electron beam irradiation apparatus according to claim 16 of the present invention comprises:Claim15. Any one of 15didIn the deviceA group of electrons emitted in a ring-shaped distribution from a cathode having a smaller diameter than the electron transmission window has an axially diverging shape provided between the electron acceleration means and the electron transmission window. In the state where it progresses in the axial direction while expanding the distribution diameter in the passage, and substantially uniformly spreads in the circumferential portion excluding the column portion supporting this electron passage,Incident into the electron transmission windowConfigured asIt is characterized by being. In this electron beam irradiation apparatus, the cathode can be formed into an annular structure with a small diameter while keeping the diameter of the electron transmission window large, so that the structure of the entire apparatus is simplified, and the irradiation object passage and The diameter of the electron transmission window can be increased without limit, and the processing speed can be increased. Further, since the electrons transmitted through the electron transmission window have a velocity component parallel to the central axis and a velocity component orthogonal to the velocity component, the trajectory crossing means and the electron circulating means can be easily realized.
[0035]
The sterilization method according to claim 17 of the present invention comprises
[0036]
The sterilization method according to claim 18 of the present invention includes:Spread in a plane and transmitted through the electron transmission windowA part of the low-energy electron beamSubstantially circularly at all circumferential positions within a specific axial range within an annular irradiated body passage having a central axis and surrounding the electron transmission window. Numerous granular moving in non-rotatingOf the irradiated objecteachOn the back or side, Without causing a time difference depending on the circumferential position of the irradiated body passage,Wrap aroundAt the same time as irradiation, another part of the low-energy electrons transmitted through the same electron transmission window is directed to the respective irradiated bodies from other directions without causing a time difference depending on the circumferential position of the irradiated body passage. All at onceThe method is characterized in that the irradiated object is sterilized by irradiation. In this sterilization method, the energy of the electron beam is low, so that it does not enter the granular irradiated body and the inside of the irradiated body is not altered. Also, in the irradiated body passage, part of the electron beam is from the front of the granular irradiated body, the other part of the electron beam is from the side of the same granular irradiated body, and the other part of the electron beam is the same. Therefore, the electron beam is uniformly irradiated on the entire surface of the granular irradiated object without rotating the granular irradiated object. Since there is no need to rotate the granular irradiated body, not only can the sterilization processing speed be increased, but the entire apparatus can be made compact and the installation location can be narrowed.
[0037]
The sterilization method according to claim 19 of the present invention is described in claim 18.didIn the sterilization method, the degree or direction in which the electron beam wraps around the back surface or side surface of the irradiated body.By changing the axial distribution of the magnetic flux density distributed annularly in the irradiated passage in terms of time or space, substantially all the circumferences in a specific axial range in the irradiated passage All at the same time,It is a method characterized by changing temporally or spatially. In this sterilization method, the direction in which the electron beam flies in the irradiation object passage becomes extremely irregular, so that the entire surface of the granular irradiation object that moves linearly without rotating is irradiated more uniformly with the electron beam. Thus, not only uniform sterilization can be performed, but also the moving speed of the granular irradiated body can be increased, so that the sterilization speed can be increased.
[0038]
The sterilization method according to claim 20 of the present invention comprises
[0039]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings. 1A is a simplified longitudinal sectional view of an electron beam irradiation apparatus according to the present invention, and FIG. 1B is a simplified transverse sectional view of an electron beam irradiation apparatus according to the present invention. ) Corresponds to a view of the electron orbit viewed from the Z-axis direction. 2 is a vertical cross-sectional view of an electron beam irradiation apparatus according to an embodiment of the present invention, FIG. 3 is a cross-sectional view seen from the direction of the arrow AA ′ in FIG. 2, and FIG. 4 is BB ′ in FIG. FIG. 5 is a diagram showing a structure of an electron transmission window which is a main component of the electron beam irradiation apparatus of the present invention, and FIG. 6 is a diagram of the electron beam irradiation apparatus of the present invention. FIG. 7 is a cross-sectional view showing an example of the structure of an electromagnet as a trajectory crossing means that is a main component and distribution of magnetic flux, and FIGS. 7 to 10 are principle diagrams for explaining the principle of the electron beam irradiation apparatus of the present invention; 11 to 14 are drawings showing the result of calculating the electron trajectory for explaining the operation and effect of the present invention, FIG. 15 is a longitudinal sectional view showing another modified embodiment, and FIG. It is a cross-sectional view showing a conventional electron beam irradiation apparatus. The same parts are given the same numbers. In these drawings, cross-sectional hatching is partially omitted for simplification.
[0040]
As shown in FIGS. 1 and 2, the
[0041]
The
[0042]
The
[0043]
As shown in FIG. 2, the electron transmission window structure 6 is attached to the surface of the
[0044]
There is a water channel (not shown) in the
[0045]
An electromagnet 8 is coaxially attached to the
[0046]
An example of magnetic lines of
[0047]
As shown in FIGS. 1 and 2, the
[0048]
As shown in FIG. 2, an
[0049]
There are a large number of nozzles (not shown) outside the
[0050]
Thermoelectrons are emitted from the
[0051]
An annular
[0052]
Point P in FIG.1(R1, Θ1, Z1) And a cross-sectional view in a plane including the Z-axis are schematically shown in FIG. 8A and a cross-sectional view perpendicular to this is shown in FIG. 8B. Angle φ in FIG.1Indicates the electron scattering angle in the RZ plane, and is called the radial scattering angle. Angle θ in FIG. 8BwIndicates the scattering angle of electrons in a plane perpendicular to the RZ plane including the incident direction of electrons, and is called a lateral scattering angle. Initial velocity v with 110 keV kinetic energyiAt Z axis and angle φ0The electrons incident on the
[0053]
An electromagnet 8 as a trajectory crossing means is provided outside the annular
[0054]
The radial scattering angle φ at the point where the magnetic flux density at the
[0055]
FIG. 13 is a view of the
[0056]
11 and 12, the portion of the shape of the anode disk 4 and the
[0057]
When the electron trajectory during this time is viewed on the R-θ plane, the
[0058]
FIG. 12 shows the electron transmission window 7RepresentativePoint P1(R1, Θ1, Z1) Lateral scattering angle θwThe electron orbit under the same conditions as in FIG. 11 except that is −30 degrees. As in the case of FIG. 11, the traveling direction of the electrons is changed immediately after passing through the
[0059]
In the above, the electron trajectory was explained under typical operating conditions.wAnd radial scattering angle φ1Or if, Radius r 1 Are different or the angle θ 1 Is different, orThe same trajectory occurs when the energy of transmitted electrons is different. As schematically shown in FIG. 1, since many electrons having various electron trajectories are gathered at an arbitrary point in the
[0060]
The above is a case where a single electromagnet 8 is used, and the distribution of the magnetic flux density B is simply changed in the Z-axis direction, but a large number of annular electromagnets or permanent magnets having different magnetomotive forces are passed through the irradiated body passage. When the magnetic flux density distribution is changed in a complex manner depending on the position in the Z-axis direction by arranging the
[0061]
The above describes the case where the magnetic flux density B is constant over time. However, when the direction of the excitation current of the electromagnet 8 is changed over time, the direction of the above-mentioned circular motion in the
【Example】
Next, the operation and effect of the electron beam irradiation apparatus of the present invention will be further described using examples. The
[0062]
The irradiated body is a raw material of food such as brown rice, rice bran, wheat, buckwheat, tea leaves, spices, dried vegetables, or a processed product thereof, or seeds of plants such as cruciferous or legumes. In the case of sterilizing viable bacteria that contaminated the surface without altering the inside, it has been required to irradiate the surface uniformly with an electron beam having an energy of 500 keV or less, preferably 300 keV or less. Conventionally, the irradiated body itself has been rotated for this purpose, but for this reason, it was not possible to increase the processing capacity if an attempt was made to obtain a sufficient sterilizing effect. In the electron beam irradiation apparatus of the present invention, the entire surface can be uniformly irradiated with an electron beam having an energy of 500 keV or less, preferably 300 keV or less simply by moving these irradiated objects linearly such as free fall without rotating, The sterilization capacity is sufficiently improved, and the industrial merit is great.
[0063]
Next, a modified embodiment will be described with reference to FIG. In the example of the embodiment shown in FIG. 15, an electromagnet 8 as a trajectory crossing means or an electronic circuit means is attached to the inside of the
[0064]
Although the invention has been described with reference to embodiments and examples, the invention is not limited to the structures and forms of embodiments and examples illustrated herein, and departs from the spirit and scope of the invention. It should be understood that various embodiments are possible and that various changes and modifications can be made. For example, although not preferred, it is a matter of course that the
【The invention's effect】
As described above, when the present invention is adopted, it is possible to provide a low-energy electron beam irradiation apparatus that is compact and has a large processing capacity. Since it has a small cathode, a large-diameter electron transmission window, and a larger-diameter irradiated body passage, the electron density is optimized and proper cooling is possible. The ability can be increased virtually without limit. When the irradiated object is a granular object such as a food raw material or a plant seed, a low energy electron beam is applied to the entire surface of the irradiated object by rotating the electron beam without rotating the irradiated object. Can be irradiated. Therefore, when used for sterilization of these irradiated objects, the surface can be sterilized at a high processing speed without altering the inside. In addition, when the irradiated object is a gas, by rotating the electrons in the irradiated object passage, the distance of interaction with the gas can be increased and the efficiency can be improved while having a compact structure. Furthermore, since the electron transmission window is attached at an angle to the irradiated object, the electron transmitting window is not easily contaminated by scattering of the irradiated object, and the reliability is high. Thus, it is possible to provide an electron beam irradiation apparatus with less influence.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a simplified longitudinal sectional view and transverse sectional view of an electron beam irradiation apparatus according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a longitudinal sectional view of an electron beam irradiation apparatus according to an embodiment of the present invention.
3 is a cross-sectional view seen from the direction of the arrow AA ′ in FIG. 2 which is a vertical cross-sectional view of the embodiment of the present invention.
4 is a cross-sectional view seen from the direction of the arrow BB ′ in FIG. 2, which is a vertical cross-sectional view of an embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a diagram showing the structure of an electron transmission window which is a main component of the electron beam irradiation apparatus of the present invention.
FIG. 6 is a cross-sectional view showing an example of the structure of an electromagnet as a trajectory crossing means, which is a main component of the present invention, and the distribution of magnetic flux.
FIG. 7 is a principle diagram for explaining the principle of the present invention, and schematically shows electron scattering in an electron transmission window.
FIG. 8 is a principle diagram illustrating the principle of the present invention, and shows an angular relationship of electron scattering in an electron transmission window.
FIG. 9 is a principle diagram for explaining the principle of the present invention, and shows the effect that the velocity of the electrons and the magnetic flux density circulate the electrons.
FIG. 10 is a principle diagram illustrating the principle of the present invention, and shows the effect of magnetic flux density on revolving electrons.
FIG. 11 is a diagram showing the result of calculating an electron trajectory for explaining the operation and effect of the present invention, and shows an example in which the lateral scattering angle is +30 degrees.
FIG. 12 is a diagram showing the result of calculating an electron trajectory for explaining the operation and effect of the present invention, and shows an example in which the lateral scattering angle is −30 degrees.
FIG. 13 is a view of the result of calculating an electron trajectory for explaining the operation and effect of the present invention as seen from the direction of the central axis.
FIG. 14 is a three-dimensional representation of one of the results of electron trajectory calculation for explaining the operation and effect of the present invention.
FIG. 15 is a longitudinal sectional view showing a modified embodiment of the present invention.
FIG. 16 is a schematic cross-sectional view of a conventional electron beam irradiation apparatus.
[Explanation of symbols]
1 Vacuum container
2 Cathode
3 Electron extraction electrode
4 Anode disk
5 Anode ring
6 Electronic transmission window structure
7 Electronic transmission window
8 Electromagnet
9 Intersecting line between cone-shaped surface formed by average radius of electron path and irradiated body path
10 Irradiator passage
15 High voltage cable
16 Exhaust pipe
17 Cathode support mechanism
18 Inner wall of irradiated body passage
19 Exterior wall of irradiated body passage
20 Electron beam
30 equipotential curve
100 Subject to be irradiated
101 Vacuum space
111 Irradiation room space
121 A bowl-shaped rotating body
122 rotor
123 Stator
124 fins
401 electron passage hole
402 Flat part
403 Cooling channel
404 Cooling channel
405 many holes
406 Electronic passage
407 Bulkhead
601 many holes
603 Cooling channel
604 Cooling channel
605 Bulkhead
701 Point on
702 Electron orbit in electron path
703 Electron trajectory outside the electron transmission window (when the lateral scattering angle is 0 degree)
704 Electron orbit outside electron transmission window (when lateral scattering angle is +30 degrees)
705 Electron orbit outside electron transmission window (when lateral scattering angle is −30 degrees)
710 Thin section constituting electron transmission window
711 Transmission electron velocity distribution (in the plane including the incident point and Z axis)
712 Velocity distribution of transmitted electrons (in the plane perpendicular to the RZ plane, including the incident direction)
721 multiple holes
722 Bulkhead
801 Annular magnetic pole
802 Annular magnetic pole
803 York
804 coil
805 Magnetic field lines
Claims (20)
前記の電子加速手段と前記の電子透過窓との間に設けられた軸方向に末広がり形状を成す電子通路内をその分布径を拡大しながら軸方向に進行して、この電子通路を支持する支柱部分を除いた周方向部分において実質的に均一に広がった状態で、前記の電子透過窓に入射するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載した電子線照射装置。 A group of electrons emitted in a state of being distributed in an annular shape from a cathode having a smaller diameter than the electron transmission window,
A column that is provided between the electron accelerating means and the electron transmission window and that advances in the axial direction while expanding the distribution diameter in an axially extending electron passage and supports the electron passage. The structure according to any one of claims 1 to 15 , wherein the electron transmission window is configured to be substantially uniformly spread in a circumferential portion excluding the portion. the described electron beam irradiation apparatus.
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001359208A JP3933451B2 (en) | 2001-11-26 | 2001-11-26 | Electron beam irradiation apparatus and sterilization method |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001359208A JP3933451B2 (en) | 2001-11-26 | 2001-11-26 | Electron beam irradiation apparatus and sterilization method |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003156599A JP2003156599A (en) | 2003-05-30 |
JP3933451B2 true JP3933451B2 (en) | 2007-06-20 |
Family
ID=19170257
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001359208A Expired - Fee Related JP3933451B2 (en) | 2001-11-26 | 2001-11-26 | Electron beam irradiation apparatus and sterilization method |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3933451B2 (en) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2722054T3 (en) * | 2016-08-20 | 2019-08-07 | Buehler Ag | Method to pasteurize and / or sterilize particulate product |
WO2018036899A1 (en) * | 2016-08-20 | 2018-03-01 | Bühler AG | Devices and methods for pasteurizing and/or sterilizing particulate material, and cartridge |
DE102017104509A1 (en) * | 2017-03-03 | 2018-09-06 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Apparatus for generating accelerated electrons |
EP3528273B1 (en) | 2018-02-20 | 2023-08-23 | Bühler AG | Device and method for pasteurising and/or sterilising particulate material |
-
2001
- 2001-11-26 JP JP2001359208A patent/JP3933451B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003156599A (en) | 2003-05-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4293772A (en) | Wobbling device for a charged particle accelerator | |
JP5571751B2 (en) | Decontamination and sterilization system using large area X-ray source | |
US5323442A (en) | Microwave X-ray source and methods of use | |
CN101310773B (en) | Device, system and method for sterilising containers | |
CN106029215B (en) | For the device using the electronics loading bulk goods accelerated | |
JP2000500103A (en) | Method for sterilizing packaging of flowable products | |
JP2007095689A (en) | X-ray generator by cold electron source | |
JP3933451B2 (en) | Electron beam irradiation apparatus and sterilization method | |
US6868136B2 (en) | Irradiation apparatus and method | |
US8222614B2 (en) | Electron beam irradiation apparatus for open-mouthed containers | |
US8054943B2 (en) | Magnetic coupler drive for x-ray tube anode rotation | |
JP2000304900A (en) | Electron beam irradiation device and particle sterilizing method | |
JP4777545B2 (en) | Method for sterilizing granular object and apparatus for sterilizing granular object used therefor | |
US20120099708A1 (en) | Apparatus and method for improved transient response in an electromagnetically controlled x-ray tube | |
WO2016114108A1 (en) | Electron beam sterilization system having non-stationary external sterilization emitters moving relative to sterilization objects | |
US6707049B1 (en) | Irradiation system with compact shield | |
JPH07318698A (en) | Electron beam emitter | |
JP2003307599A (en) | Electron beam irradiation device | |
JP3730850B2 (en) | Particle transport mechanism in electron beam irradiation equipment | |
JP2001321139A (en) | Device and method for sterilizing grain | |
JP2001321136A (en) | Device and method for sterilizing grain | |
JP2000254486A (en) | Device and method for electron beam irradiation and material to be treated | |
JP2001321138A (en) | Device and method for sterilizing grain | |
JP3822426B2 (en) | Electron beam irradiation device | |
JP2003161800A (en) | Electron beam or x-ray irradiation system |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041028 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060929 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061031 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061212 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061212 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070306 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070313 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110330 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |