JP3932823B2 - Lubricated steel sheet with excellent chemical conversion and adhesion - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑処理鋼板、特に化成処理性、接着性に優れた潤滑処理鋼板に関する。さらに詳述すれば、本発明は、熱延板または冷延鋼板を母材鋼板とした際に、化成処理性、接着性が確保でき、かつ、良好なプレス成形性、耐型カジリ性が発現される潤滑処理鋼板に関する。
【０００２】
【従来の技術】
熱延鋼板、冷延鋼板を問わず、最近では、各種材料について高張力鋼が広く採用されるようになって来ている。
【０００３】
しかし、高張力鋼は本来成形性が十分でないことから、材料自体の成形性を高める手段を講じたり、あるいはそのような加工の難しい材料を成形する場合には金型の焼付が見られることからそのような金型の焼付防止を図る必要がある。
【０００４】
また、成形性を改善するために、従来、ミルボンドを代表とする有機系の潤滑皮膜を表面に塗布する方法、あるいは、ボンデ＋ボンダリューベ処理という無機潤滑系の潤滑処理を表面に施す方法があるが、いずれも、潤滑処理皮膜厚が多く、プレス加工時に皮膜が剥離し、プレスカスの発生が不可避であり、プレスカスが発生すると加工後の表面の汚染、表面欠陥の原因になるという問題がある。特に、自動車用のトルクコンバータ部品を代表とする精密機器では加工後のプレスかす、汚れ等の発生は、内部の機械動作不良の原因になるという問題があり、プレスかすが低減でき、良好な可能性が確保できる潤滑処理が求められる。
【０００５】
さらに、自動車車体パネル用の鋼板は、その成形程度にあわせて、成形性グレード別に各種の鋼種が存在しているが、車体コスト低減から、安価で低グレードな材料を適用したいという要望がある。材料のもつ成形性を補填するためには、表面潤滑性を向上させることが必須であり、このような際にも、表面に潤滑皮膜を形成した鋼板が求められる。しかしながら、車体パネル用鋼板として潤滑皮膜を適用するには、良好なプレス成形性を確保するともに、成形後、塗装下地処理をして施されるリン酸亜鉛処理で、健全なリン酸亜鉛結晶が析出すること、また、車体パネルを組み立てる際に、良好な接合性、特に、接着性が要求される。
【０００６】
上記のような背景から、熱延鋼板または冷延鋼板を母材とした際にも、耐型カジリ性、プレス成形性が良好で、かつ、化成処理性、接着性という車体パネル鋼板として必要な性能が、従来の熱延鋼板または冷延鋼板と同様に発揮できる自動車用鋼板として適用できる後処理方法が求められてきた。
【０００７】
ところで、めっき鋼板は、プレス成形性が低下する場合が多く、その対策として、各種潤滑処理が求められ、検討がなされている。しかし、裸の熱延鋼板または冷延鋼板上に施す潤滑処理としては、主として下記の３種の処理が行われているが、それぞれ問題がある。
【０００８】
・ボンデ＋ボンダリユーべ処理：
これは、鋼板上に数g/m2のリン酸亜鉛皮膜を形成するボンデ処理と、その上層に金属石鹸を数g/m2の厚さで塗布したボンダリユーべ処理を組合わせた処理方法である。
【０００９】
この処理方法は、もともと車体パネルを考慮したものではないので、成形性は極めてよいが、化成処理はできない。接着性も確保できない。また、付着量が多いので、プレスかすの発生が大となる。
【００１０】
・有機潤滑皮膜処理
この処理方法は、ミルボンドを代表とするアルカリ脱脂により脱膜可能な潤滑性を持つた有機樹脂を鋼板表面に、数g/m2の厚さに塗布する方法である。
【００１１】
これにより形成された皮膜は、成形性は良好で、化成処理の前アルカリ脱脂で溶解するため、化成処理性も確保できるが、接着性が低下することと、付着量が多いので、プレスかすの発生が大となるという問題がある。
【００１２】
・高潤滑性防錆油塗布法
この方法は、極圧時の潤滑性を確保するための極圧添加剤を添加した防錆油を鋼板表面に塗布する方法である。
【００１３】
この方法は、化成処理性、接着性は良好であるが、プレス成形性はやや向上するだけで、改善効果が少ない。また、塗油量への依存性が大きく、安定した潤滑性が得られないときがあることと、面圧が高い状況での金型焼付を防止できないという欠点がある。
【００１４】
特に、高張力鋼板のプレス成形においては、変形部で面圧が高くなり、金型焼付が発生しやすくなるが、高潤滑防錆油では、金型焼付による型カジリを全く防止することができない。
【００１５】
【発明が解決しようとする課題】
ここに、本発明の課題は、自動車用鋼材として要求される化成処理性、接着性を確保した上で、良好な成形性が得られることを目的とする潤滑皮膜を形成することで、例えば車体パネルにも適用可能な、従来とは異なる潤滑処理鋼板を提供することである。
【００１６】
本発明の具体的な課題は、精密機器にも適用できるような、少ない処理量で良好なプレス成形性、プレスかす抑制効果のある新しい熱延鋼板・冷延鋼板用の潤滑処理潤滑処理鋼板を提供することである。
【００１７】
さらに、具体的には、めっき鋼板の場合と異なり、熱延鋼板・冷延鋼板用の潤滑処理は、プレス成形性も重要であるが、むしろ、プレス加工時のカジリの抑制が問題になり、今後、自動車用構造部材として、高張力鋼の適用拡大でより問題になり、このような問題にも対処できる潤滑処理鋼板を提供することである。
【００１８】
したがって、本発明の更なる課題は、車体パネル用鋼板として要求される化成処理性、接着性を確保した上で、特に厳しい成形性が要求され、高張力鋼板の適用が進行していく車体構造部品にも耐えうるプレス成形性、耐型カジリ性を確保するとともに、精密部品にも適用できるようにプレスカスを抑制することにより、自動車用鋼材として、幅広く適用できる好適な潤滑処理を施した熱延鋼板・冷延鋼板用の潤滑処理鋼板を提供することである。
【００１９】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するために種々検討を重ねた。
まず、車体パネル鋼板として要求される性能として、成形性以外に、化成処理性、接着性が重要である。また、車体パネルとしては、溶接性、塗装密着性、耐食性等も要求されるが、塗装密着性、耐食性は、化成処理性が良好であれば、処理無しの従来の熱延鋼板および冷延鋼板と同等と考えられる。
【００２０】
溶接性は、もともと、Zn系めっき等を施していない熱延鋼板・冷延鋼板では良好であり、問題が少ないし、プレスかす発生の問題を解決するために付着量を下げるので問題とはならないと判断した。
【００２１】
ここに本発明者らは、次のような知見を得た。
・接着性の良好なケイ酸を含んだリチウムシリケートをベースとした構成からなる皮膜構造を採用した。その場合に、リチウム量を増大することにより、化成処理性が向上する。しかし、リチウム量が過剰では、液安定性が劣化する。
【００２２】
・成形性向上のために、潤滑剤を大量添加し、これを保持するためにもベース皮膜構造としてシリケートを採用することが有効である。しかも、潤滑剤の添加量増大は、化成処理性に対しても好適である。
【００２３】
・耐カジリ性の向上のためには、皮膜の硬質化が重要であり、ベース組成物として、主としてリチウムシリケートから成る組成、特に好ましくはそれ単独の組成を採用した。また、耐カジリ性の向上には、高温時の潤滑性も重要であり、金属石鹸の使用により、高温潤滑性が向上する。また、金属石鹸は、化成処理性の向上効果もあり、化成結晶密度が上昇するという新知見も見いだした。
【００２４】
・潤滑処理皮膜量としては、少ないと加工性が不十分となり、多いと化成処理性、接着性が劣化する。
ところで、従来にあっても、シリケートを適用した処理皮膜に関する提案はいくつかなされているが、それらは次のように十分とは言えない。
【００２５】
例えば、特許第2998790 号および第2953654 号公報に開示された潤滑皮膜は、有機樹脂と固形潤滑剤を添加したリチウムシリケート皮膜であって、皮膜の造膜性と耐食性の向上を目的として、有機樹脂の添加を前提にしているが、低付着量でプレス時の金型焼付およびプレスカスを防止するためには、有機樹脂添加は好ましくない。
【００２６】
また、特許2857989 号公報には、有機樹脂と固形潤滑剤を添加したリチウムシリケート皮膜が開示されており、これも前述のように皮膜の造膜性と耐食性向上を目的として、有機樹脂の添加を前提にしているが、低付着量でプレス時の金型焼付およびプレスカスを防止するためには、有機樹脂添加は好ましくない。
【００２７】
また、これらの発明は、もともと、造膜性を上げ、耐食性の確保を目的としているものであり、化成処理時に前アルカリ脱脂での皮膜溶解を考慮したものではないため、化成結晶が生成せず、化成処理性が劣化するという問題がある。
【００２８】
また、特許2857989 号公報では、成形性の向上を目的とし、高軟化点のワックスと、低軟化点のワックス併用の考え方が開示されているが、ワックス添加により、良好な成形性が発現するが、化成処理性の改善効果はない。特に本発明での化成処理性の改善をも加味して、金属石鹸を併用するというものではなく、広い温度域での成形性の向上を目的とし、融点の異なるワックスを併用したものである。
【００２９】
よって、本発明は次の通りである。
（１）リチウムシリケートを皮膜成分としてこれにワックス類と金属石鹸とからなる潤滑剤が配合される潤滑皮膜を備えた潤滑処理鋼板であって、前記リチウムシリケート量中のＬｉ分が、Ｌｉ／Ｓｉ（原子比）＝０.４〜０.７であり、かつ、潤滑剤が質量比で、潤滑剤総質量／リチウムシリケート質量＝０ . ２５〜２.０であり、金属石鹸／ワックスの質量比＝０.３〜５.０であり、さらにリチウムシリケートと潤滑剤との総量が１０〜１０００ｍｇ／ｍ2である、潤滑処理鋼板。
【００３０】
（２）リチウムシリケートを皮膜成分としてこれにワックス類と金属石鹸とからなる潤滑剤が配合される潤滑皮膜を備えた潤滑処理鋼板の皮膜形成処理液であって、前記リチウムシリケート量中のＬｉ分が、Ｌｉ／Ｓｉ（原子比）＝０.４〜０.７であり、かつ、潤滑剤が質量比で、潤滑剤総質量／リチウムシリケート質量＝０ . ２５〜２.０であり、金属石鹸／ワックスの質量比＝０.３〜５.０である、上記（１）記載の潤滑処理鋼板の皮膜形成処理液。
【００３２】
【発明の実施の形態】
次に、本発明において上述のように潤滑処理鋼板の潤滑皮膜の構成を規定した理由を説明する。
【００３３】
まず、本発明を適用できる鋼材としては、金型かじりなどが問題となる限り、高張力鋼はもちろん、一般の低炭、極低炭軟鋼等にも広く適用できることは理解されよう。そして、熱延鋼板であっても、冷延鋼板であってもよい。好ましくは、高張力鋼の冷延もしくは熱延鋼板、特に高張力鋼冷延鋼板である。
【００３４】
用途として、化成処理性、プレス成形性、接着性を要求され、結果としてそれらを満足できるものであれば特に制限はされない。具体的には、自動車用の車体外板、構造用部材などに適用可能である。
【００３５】
本発明にかかる潤滑処理鋼板の潤滑皮膜は、リチウムシリケートから成る基体皮膜に潤滑剤を配合してなるものであるが、その製造に当たっては、通常添加されるアクリル樹脂、メタクリル酸樹脂、ウレタン樹脂などの有機樹脂の添加は実質上行わず、潤滑剤を分散させたリチウムシリケートを用い、必要により水酸化リチウムを添加してLi/Si 比を調整し、このようにして調整された塗布液を鋼板表面に塗布し、乾燥させるものであり、好ましくは、リチウムシリケート単独で皮膜骨格を構成するのである。
【００３６】
本発明において鋼板表面にリチウムシリケート皮膜を形成するには、例えばケイ酸リチウム水溶液または、ケイ酸リチウム水溶液とケイ酸コロイドの混合物からなる塗布液を調製し、これを鋼板表面に塗布する。乾燥後に、微細なシリカ粒子の強固な乾燥ゲルからなるガラス質の皮膜が鋼板表面に形成される。なお、鋼板表面に設けたリチウムシリケート皮膜それ自体はすでに公知であって、本発明においても、それを利用すればよい。
【００３７】
本発明においてリチウムシリケートを皮膜構造の構成要素として用いた理由はすでに述べたところであるが、そのときのリチウムの添加量を規定した理由は次の通りである。
【００３８】
なお、リチウム量は、市販のモル比の異なるリチウムシリケートを適用した場合でも、必要に応じ、リチウムシリケートやナトリウムシリケートに水酸化リチウム添加で、リチウム、シリカ量を調整すればよい。
すなわち、本発明においてリチウムシリケート中のリチリウム分は、Li/Si(原子比) で0.4 〜0.7 、好ましくは0.5 〜0.6 であり、これにより接着性、化成処理性（脱アルカリ脱脂除去性）を確保できる。同比が0.7 を越えると液安定性が劣化し、一方、同比が0.4 未満であると、アルカリ脱膜が困難となり、化成処理性が劣化する。
【００３９】
また、プレス成形性の確保には、潤滑剤の添加が効果的であるが、その際に、潤滑剤としてワックスを添加することにより、成形性は向上する。ワックスは、比較的融点の低いもの（融点≦１３０℃）が多く、特に室温からワックス融点の温度域での成形性改善効果は大である。しかし、強加工時の金型焼付を起こしやすい高温時（≧１３０℃）の潤滑性は不充分である。
【００４０】
本発明において使用できるワックスとしては、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、テフロンワックス等があげられるが、シリケートが水溶性であるため、分散性の良好な水溶性のワックスが好適であり、具体的には、水分散性ポリエチレンワックス、あるいは、水溶性のテフロンワックスもしくは、その混合液があげられる。
【００４１】
このような高温時の潤滑性を補うためには、金属石鹸を添加することが効果的であり、金属石鹸をワックス類と併用することにより、より広い温度域で良好な潤滑性の確保が可能となる。
【００４２】
本発明において使用できる金属石鹸としては、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、ラウリル酸塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸塩等があげられるが、そのなかでもステアリン酸亜鉛が好適である。
【００４３】
また、潤滑剤は、成形性以外に、化成処理性、接着性に影響を及ぼす。
したがって、本発明にあっては、潤滑剤総質量／リチウムシリケート質量＝0.25〜2.0、好ましくは0.5〜1.5である。これらの範囲に規定することで、得られる潤滑処理鋼板の加工性、化成処理性が改善された上で、接着性の確保も可能となる。上記質量比が2.0を越えると、成形性改善効果が飽和してしまうか、むしろ、皮膜の脆弱化に伴い、成形性が劣化傾向となるとともに、接着性が劣化する。一方、上記質量比が0.25を下回ると、成形性が十分でなくなる。
【００４４】
本発明の好適態様にあっては、潤滑剤として金属石鹸類およびワックス類を併用するが、その場合、金属石鹸／ワックスの質量比は、0.3 〜5.0 、好ましくは、0.5 〜3.0 である。この範囲内に規定することで、耐カジリ性重視の際に高温時の潤滑性を確保することができる。
【００４５】
接着性に関しては、前述のように、シリケート皮膜の採用により、接着性の確保が可能となる。シリケート皮膜の接着性向上機構は、皮膜表面に多量のシラノール基（Ｓｉ−ＯＨ基）を有するために、接着剤とシラノール基とが反応して接着剤との密着力が向上するためと考えられる。一方、潤滑剤として適用されるワックスは、非常に不活性であるため、基本的に接着剤とは反応しない。従って、シリケート皮膜中にワックスを多量に添加すると、潤滑皮膜表面に存在するシラノール基が減少するために、接着性が劣化してくるという問題がある。本発明においてワックスと併用する金属石鹸は、ワックスほど接着剤の相性が悪くないので、接着性の劣化抑制の点でも、金属石鹸の添加は効果的である。
【００４６】
また、潤滑剤を保持する役割のシリケートに対して、相対的に潤滑剤量が多くなるため、皮膜が脆弱になり、潤滑皮膜にて接着剤の界面剥離が生じやすくなるという点からも、潤滑剤の添加量としては、好適範囲が存在する。
【００４７】
従って、本発明において、接着性の観点からも、潤滑剤の総質量とシリケート質量との比において、2.0 以下に抑制する。また、潤滑剤の配合比率としても、金属石鹸とワックスの比で0.3 以上に高める。
【００４８】
さらに、本発明においては、化成処理性の改善を意図するものであるが、シリケート皮膜として、リチウムシリケートが好適であり、その際のLi量として、Li／Si＝0.4 〜0.7 が良好であることは、前述の通りであるが、潤滑剤も化成処理性に大きな影響を及ぼすことが、今回新たに判明した。
【００４９】
潤滑剤の添加量が多くなると、化成処理性は向上する。つまり、潤滑剤の添加量が多くなると、潤滑皮膜中のシリケ―ト量が相対的に減少し、鋼板上の接触するシリケート量が減少するため、アルカリ脱脂時の除去性が向上するからである。その際に、潤滑剤として用いる金属石鹸添加量を多くすると、化成結晶が緻密になり、更に化成処理性が向上する。
【００５０】
その機構は必ずしも明確ではないが、金属石鹸が鋼板上に吸着したサイトを起点に化成結晶が成長しやすくなるために、均一な化成結晶が成長しやすいと推定される。したがって、化成処理性の確保の観点からも、本発明における潤滑剤の総質量は、シリケートとの比で0.25以上であり、また、金属石鹸の量も、ワックスとの質量比に対して、0.3以上添加する。
【００５１】
本発明における潤滑処理皮膜の処理量としては、１０〜１０００mg/m2 であり、より好適な範囲としては、１００〜５００mg/m2 である。潤滑皮膜処理量が１０mg/m2 未満であれば、高潤滑性防錆油なみの成形性確保が困難であり、１０００mg/m2 超では、潤滑皮膜処理量が大きすぎるために、接着性評価において、皮膜内での凝集破壊が生じることと、化成処理性において、その前処理であるアルカリ脱脂において、皮膜が充分に除去ができず、問題が生じるためである。また、成形性において、１００mg/m2 以上あれば、成形性に優れるミルボンド以上の成形性が確保でき、５００mg/m2 以下であれば、冷延鋼板と同等の化成処理性が確保できるために、より好適である。
【００５２】
本発明における潤滑処理材については、所定量の潤滑皮膜を形成できれば、その塗布方法は特に問わない。具体的な塗布方法としては、処理液をスプレーし、所定量にロールで絞るシャワーリンガー法、ロールにてコーティングするロールコート法等があげられる。また、処理液後の乾燥については、皮膜が乾燥すれば充分であり、温風乾燥で対応可能である。
【００５３】
【実施例】
以下、実験データを用い、本発明の骨子となる皮膜構成について説明する。いずれの例においても、リチウムシリケート皮膜は、市販のリチウムシリケート液を使用し、Li/Si 比率の調整はケイ酸コロイドおよび／または水酸化リチウムを配合することで行った。
【００５４】
(脱脂性)
ここに、上述のようなLi/Si モル比の臨界性を示すアルカリ脱脂性評価の試験要領は次の通りである。
【００５５】
日本鉄鋼連盟規格における自動車用冷延鋼板JSC270D(板厚=0.8mm）を使用し、リチウムシリケート中のLi／Si配合比率を変化させたシリケート皮膜（シリケート皮膜質量＝200mg/m2）を準備し、アルカリ脱脂を行うことで、Li／Siの臨界性を示すアルカリ脱脂性評価の試験を行った。
【００５６】
その際のアルカリ脱脂条件は、下記の通りであった。
脱脂剤：FC−4420（日本パーカパーカライジング社製）
濃度＝１８ｇ／ｌ
これは、自動車鋼板向けの化成処理PB−L3020 の前アルカリ脱脂剤である。
【００５７】
脱脂温度：４０℃
脱脂時間：３min 浸漬
これを使って所定の濃度、液温、時間にて浸漬脱脂を行い、脱脂前後のSi量（ (蛍光Ｘ線でのSiの強度）の減衰からアルカリ脱脂除去率を測定した。
【００５８】
脱除去率＝ (脱脂前Si強度−脱脂後Si強度) ／ (脱脂前Si強度)
その結果を図１に示す。図１から、リチウムシリケート中のLi量が多くなければ、アルカリ脱脂での充分な脱膜性を確保することができず、リチウムシリケート皮膜中のLi量としては、Li／Siのモル比で、０．４以上で、約３／４が脱膜可能となり、良好な脱膜性を確保することが可能となる。また、Li量の上限としては、そのモル比で、０．７以下であれば、液安定性が確保でき、好ましい。
【００５９】
なお、図１は、潤滑剤を添加しない状態での各種シリケートのアルカリ脱脂溶解性を示すグラフであるが、実際に潤滑剤を添加しても同様の傾向を示す。
(成形性)
次に、潤滑剤の配合量を検討する。前述の脱脂性評価と同じJSC270D （板厚=0.8mm）を用い、Li／Si＝0.57のものをシリケート皮膜形成のベース組成として潤滑剤の添加量を変化させることにより、潤滑剤の量の臨界性を示す円筒深絞り試験を次の要領で実施した。
【００６０】
リチウムシリケート皮膜量：150mg/m2
潤滑剤：ステアリン酸亜鉛／ポリエチレンワックス＝１
潤滑 ：一般防錆油2g/m2(Nox-Rust 550HN：パーカ興産社製）
その際の円筒深絞り試験条件は、図２に示す条件にて実施した。なお、比較例として、下記の要領で潤滑皮膜を設け、同じ円筒深絞り試験を実施した。
【００６１】
同一冷延鋼板上に、高潤滑性防錆油として、プレトンR860（塗油量＝2g/m2 杉村化学社製）、ミルボンドとして、MC560J（塗布量＝1.2g/m2 、日本油脂社製）、ボンデ＋ボンダリューベ処理として、ボンデ処理をPB-181X(付着量＝６g/m2、日本パーカライジング社製）、ボンダリューべ処理をLUB-235(付着量＝６g/m2、日本パーカライジング社製）を実施した。
【００６２】
合否判定：
潤滑性は成形限界しわ抑え圧をもって判定した。
高潤滑性防錆油（プレトンR860）と同等以上で合格とし、ミルボンド（MC560J）と同等以上が好適である。
【００６３】
図３より、潤滑剤総質量／シリケート質量で0.1 以上であれば、高潤滑性防錆油以上、0.5 以上であれば、ミルボンドと同等以上の円筒深絞り成形性が確保できることが判る。また、質量比が1.5 以上から成形性の劣化がおこり始め、2.0 超では、ミルボンドよりも成形性が劣る傾向が確認できた。
【００６４】
次に、金属石鹸とワックスの配合比率の影響について検討した。前述の脱脂性評価と同じJSC270D(板厚=0.8mm）を用い、Li／Si＝0.57のものをシリケート皮膜形成のベース組成として、下記の内容の潤滑処理を施し、潤滑剤のステアリン酸亜鉛と水溶性ワックスの配合比率を変化させることにより、耐カジリ試験を次の要領で実施した。
【００６５】
リチウムシリケート皮膜量：200mg/m2
潤滑剤総質量 ：200mg/m2
潤滑 ：―般防錆油2g/m2(Nox-Rust 550HN：パーカ興産社製）
本試験では、極めて面圧の高い状態で、カジリが発現しやすいバウデン試験（付着滑り試験器）にて評価を実施した。より過酷なプレス条件下では、加工に伴う発熱で、金型、材温の上昇がおこり、型カジリがより発現しやすい状況をシミュレートするために、バウデン試験において、室温とともに、１５０℃に板温を設定し、試験を行った。その際の詳細な試験条件は、図４に記載する。
【００６６】
また、比較材として、前述のように高潤滑性防錆油（プレトンＲ８６０）、ミルボンド（MC560J）、ボンデ＋ボンダリューベ処理（PB-18X＋LUB-235 ）も同時に評価を行った。
【００６７】
合否判定：
３０往復させた際の摩擦係数をもって、合否判定を行った。その際の判定基準としては、室温時の高潤滑性防錆油の摩擦係数（＝0.19）以下を合格とし、最も耐カジリ性に優れるボンデ＋ボンダリューベと同等の摩擦係数（＝0.05）であれば好適とした。
【００６８】
その結果を図５および図６に示す。図５から、ワックス量比率が高いほど、室温時の潤滑性に優れ、ステアリン酸亜鉛量比率が増大すると潤滑性が低下し、カジリが生じやすいことが判り、ステアリン酸亜鉛／ワックス比率≦５．０でなければ、高潤滑性防錆油と同等以下の潤滑性が確保できない。また、最も耐カジリ性に優れるボンデ＋ボンダリューベと同等の潤滑性を確保するためには、潤滑剤比率≦３．０が必要であることが判る。また、図６から、高温時（＝150 ℃）では、ステアリン酸亜鉛比率が高いほど潤滑性に優れ、ワックス比率が増大すると、潤滑性が著しく低下することが判り、室温時の高潤滑性防錆油と同等の摩擦係数≦0.19を確保するには、潤滑剤比率≧０．３であり、ボンデ＋ボンダリューベと同等の潤滑性を確保するには、潤滑剤比率≧０．５であることが判る。
【００６９】
また、今回の調査からも、防錆油とともに、ミルボンドでも、高温時の潤滑性が著しく低下するが、ボンデ＋ボンダリューベは、高温時での潤滑性がほとんど低下しせず、極めて耐カジリ性が優れていることが判る。さらに、本発明における好適潤滑剤配合比率では、高温時でのボンデ＋ボンダリューベ処理と同等の潤滑性を有していることからも、本発明の潤滑処理により、極めて優れた耐カジリ性が確保できていることが判る。
【００７０】
(接着性）
接着性に及ぼす潤滑剤の影響について、本発明の有効性を説明する。
前述の成形性評価と同じJSC270D （板厚=0.8mm）を用い、Li／Si＝0.57のものをシリケート皮膜形成のベース組成として潤滑剤の添加量を変化させることにより、接着性に関する潤滑剤の量の臨界性を示す接着性試験を次の要領で実施した。
【００７１】
リチウムシリケート皮膜量：150mg/m2
潤滑剤： ステアリン酸亜鉛／ポリエチレンワックス＝１
潤滑 ：―般防錆油2g/m2(Nox-Rust 550HN：パーカ興産社製）
その際の接着性試験条件は、図７に示す条件にて、構造用接着剤であるエポキシ系接着剤であるＰＶ５３０６（ヘンケル白水社製）にて、接着を行った後のせん断引張り強度にて接着性試験を実施した。その際、防錆油とのなじみの問題が生じる可能性もあるため、防錆油を塗油し、室温でスタック状態にして７日間養生期間を取った後、接着を行ったものを試験に供した。
【００７２】
また、比較例として、高潤滑性防錆油として、プレトンR860（塗油量＝2g/m2 杉村化学社製）、ミルボンドとして、MC560J（塗布量＝1.2g/m2 、日本油脂社製）、ボンデ＋ボンダリューベ処理として、ボンデ処理をPB-181X （付着量＝６g/m2、日本パーカライジング社製）、ボンダリューべ処理をLUB-235 （付着量＝６g/m2、日本パーカライジング社製) を実施したものも併せて接着試験に供した。
【００７３】
合否判定：
せん断引張り試験による接着強度にて、合否判定を行った。その際の判定基準としては、構造用接着剤にて接着強度の低下問題が生じることのあるミルボンド以上の接着強度が確保できる領域を合格とした。また、高潤滑性防錆油を塗油したものと同等以上の接着性が確保できる領域を好適と判断した。
【００７４】
その結果を図８に示す。成形性評価結果である図３では、潤滑剤の添加総量が多くても、高潤滑性防錆油以上の良好な円筒深絞り成形性は確保できていたが、図８から、潤滑剤総量が多くなると、接着強度が低下し、良好な接着性の確保が困難になってくることが判る。すなわち、潤滑剤総量とシリケート皮膜量との比が2.0 超になると、接着性に問題が生じるミルボンドよりも接着強度が低下し、接着性に問題が生じることが判る。また、成形性評価（図３）において、ミルボンドと同等以上の成形性が確保できた配合比率＝０．５〜１．５の範囲内においては、図８から、接着強度においても、高潤滑防錆油と同等以上の接着強度が確保でき、好適範囲であることが判る。
【００７５】
なお、本接着試験においては、冷延鋼板に一般防錆油のみを塗油した無処理材が最も接着性が良好であり、高潤滑性防錆油はやや劣るが、ミルボンド、ボンデ＋ボンダリューベ処理は、防錆油を塗油したものに比較し、接着強度が低下しており、本試験における接着性評価が現状の接着問題をよくシミュレートできていることが判る。
【００７６】
なお、自動車車体パネルを想定すると、本実施例に使用したようなエポキシ系の構造用接着剤以外にも、高防錆スポットシーラー等の接着強度の低いマスチック型接着剤もあるが、本発明の潤滑処理鋼板では、これらのマスチック型接着剤でも良好な接着性は確保可能である。
【００７７】
(実施例１）
次に、実施例によって本発明の作用効果を明確にするために、前述の試験結果をもとに、各種処理液での製品総合性能評価をもって、具体的に説明する。
【００７８】
表１に示すように、Ｌｉ含有比率の異なる各種リチウムシリケート液を準備し、ワックスとして、水溶性ポリエチレンワックス、および、水溶性テフロンワックスを、金属石鹸として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダという金属石鹸を分散させ、所定量の潤滑処理量になるように、ロールコートし、熱風乾燥（板温＝５０℃）を行った。
【００７９】
また、その比較材として、ミルボンドとして、MC560J（塗布量＝1.2g/m2)、および、シリケートとして、リチウムシリケート（Li／Si＝0.4 ）に有機樹脂として水溶性アクリル樹脂をシリケート固形分に対して、５％添加した樹脂含有シリケートを準備し、これに所定量の潤滑剤を添加した潤滑処理鋼板も併せて評価に供した。
【００８０】
その際の各種処理試験片の評価方法としては、化成処理性、成形性、耐カジリ性、耐プレスかす性、接着性評価を実施した。その評価方法、および、その判定基準は以下の通りである。
【００８１】
(化成処理条件）
日本鉄鋼連盟規格の590MPa級の高降伏比型冷延鋼板であるJSC590R （板厚=1.0mm）を処理原板として用い、各種潤滑処理を行ったのちに、化成処理性試験に供した。本試験において、高張力鋼を採用した理由は、高張力鋼板はもともと化成処理性が、一般軟鋼に比較し劣化するためである。
【００８２】
PB-L3020 (日本パーカ製) にて、化成処理を行い、その際の外観観察、および、その化成結晶成長状態をSEM 観察 (倍率：×500 倍) し、結晶のミクロ的なスケ状態を観察した。
【００８３】
(プレス成形性）
日本鉄鋼連盟規格の軟鋼板であるJSC270D(板厚＝0.8mm)を処理原板として用い、各種潤滑処理（処理後、一般防錆油を２g/m2塗油）を行ったのちに、前述と同じ円筒深絞り試験（図２参照）を実施した。その評価基準は、前述同様、以下の通りである。
【００８５】
(判定基準）
◎成形限界しわ抑え圧 ≧375kN ←ミルポンド以上
○ 150 〜375kN ←高潤滑性防錆油以上
× ＜150kN
(耐カジリ性）
日本鉄鋼連盟規格の４９０MPa 級の汎用型熱延鋼板であるJSH440W （板厚＝3.2mm)を処理原板として用い、各種潤滑処理（処理後、一般防錆油を２g/m2塗油）を行ったのちに、クランクプレス曲げによる型カジリ性評価を実施した。その際の加工条件、および、評価方法は図９に示す通りで、しごき率＝１５％で連続１０枚成形後の１０枚目のサンプルでの正常部残存率を評価した。
【００８６】
その際の判定基準として、耐型かじり性が良好なミルボンド（MC560J、塗布量＝1.2g/m2)が同条件での正常部残存率＝７５％であることから、それ以上を合格とし、全く型カジリが発生しないものを最良とした。
【００８７】
(加工条件）
サンプルサイズ：２５×１５０mm
クリアランス ：２．７２mm（しごき率＝１５％）
成形回数 ：連続１０枚
(判定基準）
◎正常部残存率 １００％
○ ７５〜１００％ ←ミルボンド
× ＜75％
(接着性）
日本鉄鋼連盟規格の軟鋼板であるJSC270D(板厚＝0.8mm)を処理原板として用い、各種潤滑処理（処理後、一般防錆油を２g/m2塗油）を行ったのちに、前述と同じ接着性試験（図７参照）を実施した。その評価基準は、前述同様、以下の通りである。
【００８８】
(判断基準）
◎接着強度 ≧4.0Kn ←高潤滑性防錆油以上
○ 3.5 〜4.0kN ←ミルポンド以上
× ＜3.5kN
これらの結果を表１にまとめて示す。
【００８９】
表１の結果からも分かるように、例No.13 、および、No.6、７より、潤滑剤を添加しない場合、あるいは、ワックス単独、金属石鹸単独では、化成処理性、成形性を両立できず、潤滑剤併用系が良好であることが分かる。
【００９０】
例No.20 〜29より、潤滑皮膜質量としては、10〜1000mg/m2 が好ましい。
例No.1より、潤滑剤を添加した系でも、Li量の少ないシリケートは化成処理が確保できないことが判る。
【００９１】
例No.8、30、37、40より、金属石鹸添加量が少ないと、プレスカスが発生し、問題があることが判る。また、例No.30 では、耐型カジリ性が確保できないし、例No.8、37では、化成処理性が確保できず、金属石鹸の添加が、プレスカス、耐型カジリ性、化成処理性の確保に有効である。
【００９２】
例No.12 、39、41より、金属石鹸が多いと、成形性が確保できないことが判る。
例No.19 、26、37より、潤滑剤総量が多いと、接着性が確保できなず、例14より、潤滑剤総量が少ないと、成形性が確保できないと共にプレスカス、化成処理性も劣化することが判る。
【００９３】
さらに、例No.42 、43より、有機樹脂をシリケートに添加した場合、化成処理性が確保できず、また、例No.44 より、ミルボンドでは、接着性、プレスカスで問題があり、本発明の請求範囲での化成処理性、耐カジリ性、プレスカス抑制、接着性の改善効果は明白である。
【００９４】
【表１】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような優れた作用効果が得られる。
・自動車用鋼材として広く適用するために必要な化成処理性、接着性が確保できた上で、良好な成形性が確保できる。
・接着性、脱脂時の脱膜性に優れたリチウムシリケートをベースに、成型性の向上のために、潤滑剤を添加する際に、金属石鹸を適用することにより、広い温度域で良好な潤滑性が確保できるために、金型焼き付きも防止でき、さらには、化成処理性、接着性が一層向上することから、より好適な潤滑処理鋼板が適用可能になる。
【００９６】
特に、将来的に自動車用鋼材として、適用の拡大が見込める高張力鋼において、より過酷な成形性に耐えうるとともに、従来の処理では適用が困難であった自動車用鋼材、例えば、車体外板あるいは構造用部材用の鋼板としての必須性能である化成処理性、接着性が、簡単な後処理を施すことにより確保できる点において、本発明の工業的貢献度は極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】アルカリ脱脂による脱膜性とリチウムシリケートのリチウム量の影響を示したグラフである。
【図２】円筒深絞り成形による生成性評価方法の模式図である。
【図３】限界しわ抑え圧に及ぼす潤滑剤総量の影響を示すグラフである。
【図４】バウデン試験による耐カジリ性評価方法の模式図である。
【図５】室温時のバウデン試験による耐カジリ性評価で、摩擦係数におよぼす金属石鹸、ワックス配合比率の影響を示すグラフである。
【図６】１５０℃時のバウデン試験による耐カジリ性評価で、摩擦係数におよぼす金属石鹸、ワックス配合比率の影響を示すグラフである。
【図７】接着性（構造用接着剤）評価試験方法の模式図である。
【図８】接着強度に及ぼす潤滑剤総量の影響を示すグラフである。
【図９】耐型カジリ性の評価試験方法およびその測定方法を示す模式図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a lubricated steel sheet, and more particularly to a lubricated steel sheet having excellent chemical conversion properties and adhesiveness. More specifically, in the present invention, when a hot-rolled sheet or a cold-rolled steel sheet is used as a base steel sheet, chemical conversion processability and adhesiveness can be ensured, and good press formability and mold resistance are exhibited. The present invention relates to a lubricated steel sheet.
[0002]
[Prior art]
Regardless of hot-rolled steel sheets and cold-rolled steel sheets, recently, high-strength steel has been widely adopted for various materials.
[0003]
However, because high-strength steel is inherently inadequate in formability, measures are taken to improve the formability of the material itself, or when such difficult-to-process materials are formed, mold seizure is observed. It is necessary to prevent seizure of such a mold.
[0004]
Further, in order to improve moldability, conventionally, there is a method of applying an organic lubricating film typified by mill bond to the surface, or a method of applying an inorganic lubricating system lubrication treatment such as bonder + bonderube treatment to the surface. However, in any case, there is a problem that the thickness of the lubricating treatment film is large, the film peels off during press processing, and the generation of press residue is unavoidable, and when the press residue is generated, it causes contamination of the surface after processing and surface defects. In particular, precision machinery such as torque converter parts for automobiles has the problem that the occurrence of press debris and stains after processing can cause internal machine malfunction, which can reduce press debris and has good potential. Therefore, a lubrication treatment that can ensure the above is required.
[0005]
Furthermore, steel sheets for automobile body panels have various steel types according to formability grades in accordance with the degree of forming. However, there is a desire to apply inexpensive and low-grade materials to reduce body cost. In order to compensate for the formability of the material, it is essential to improve the surface lubricity, and even in such a case, a steel sheet having a lubricating film formed on the surface is required. However, in order to apply a lubricating film as a steel sheet for a vehicle body panel, while ensuring good press formability, the zinc phosphate treatment is performed by applying a paint ground treatment after forming, so that a healthy zinc phosphate crystal is formed. Precipitation and good assemblability, especially adhesion, are required when assembling the vehicle body panel.
[0006]
From the above background, even when hot-rolled steel sheets or cold-rolled steel sheets are used as the base material, it is necessary for car body panel steel sheets that have good mold resistance and press formability, and have chemical conversion properties and adhesiveness. There has been a demand for a post-treatment method that can be applied as an automotive steel plate that can exhibit the same performance as a conventional hot-rolled steel plate or cold-rolled steel plate.
[0007]
By the way, in many cases, the plated steel sheet is deteriorated in press formability, and various lubrication treatments are required and studied as countermeasures thereof. However, as the lubrication treatment to be performed on the bare hot-rolled steel plate or cold-rolled steel plate, the following three types of treatment are mainly performed, but each has a problem.
[0008]
・ Bonde + Bondueyube processing:
This is a few g / m on a steel plate2Bonding process to form a zinc phosphate coating and several g / m of metal soap on the upper layer2It is a processing method that combines the bondage processing applied at a thickness of 5 mm.
[0009]
Since this processing method does not originally consider the vehicle body panel, the formability is very good, but chemical conversion treatment is not possible. Adhesiveness cannot be secured. Moreover, since there is much adhesion amount, generation | occurrence | production of press dregs becomes large.
[0010]
・ Organic lubricating film treatment
This treatment method is a method in which an organic resin having lubricity that can be removed by alkali degreasing represented by mill bond is applied to the surface of the steel sheet to a thickness of several g / m 2.
[0011]
The film thus formed has good moldability and dissolves by alkaline degreasing prior to chemical conversion treatment, so that chemical conversion treatment performance can be ensured, but since the adhesiveness is reduced and the amount of adhesion is large, press scum There is a problem that the occurrence is large.
[0012]
・ High lubricity anti-rust oil coating method
In this method, a rust preventive oil to which an extreme pressure additive for ensuring lubricity at the extreme pressure is added is applied to the steel sheet surface.
[0013]
This method has good chemical conversion properties and adhesiveness, but only slightly improves the press formability and has little improvement effect. In addition, there are disadvantages that the dependence on the amount of oil applied is large and that stable lubricity cannot be obtained, and that mold seizure cannot be prevented in situations where the surface pressure is high.
[0014]
In particular, in the press forming of high-strength steel sheets, the surface pressure is increased at the deformed portion, and die seizure is likely to occur. .
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
Here, an object of the present invention is to form a lubricating film intended to obtain good formability after securing chemical conversion treatment properties and adhesiveness required as a steel material for automobiles. An object of the present invention is to provide a non-conventional lubricated steel sheet that can be applied to panels.
[0016]
A specific problem of the present invention is to provide a lubricated and lubricated steel sheet for new hot-rolled and cold-rolled steel sheets that has good press formability with a small amount of processing and has a press-restraining effect that can be applied to precision equipment. Is to provide.
[0017]
Furthermore, specifically, unlike the case of plated steel sheets, the lubrication treatment for hot-rolled steel sheets and cold-rolled steel sheets is also important for press formability, but rather, suppression of galling during press processing becomes a problem, In the future, as a structural member for automobiles, there will be more problems due to the expansion of application of high-strength steel, and it is to provide a lubricated steel sheet that can cope with such problems.
[0018]
Accordingly, a further object of the present invention is to provide a vehicle body structure in which the application of high-strength steel sheets is required, with particularly demanding formability after securing the chemical conversion processability and adhesion required as steel sheets for vehicle body panels. Hot rolling with suitable lubrication treatment that can be widely applied as a steel material for automobiles by ensuring press formability and mold caulking resistance that can withstand parts as well as suppressing press residue so that it can also be applied to precision parts. It is to provide a lubricated steel sheet for steel sheets and cold-rolled steel sheets.
[0019]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have made various studies in order to solve such problems.
First, in addition to formability, chemical conversion property and adhesiveness are important as performance required for a vehicle body panel steel plate. In addition, as a vehicle body panel, weldability, paint adhesion, corrosion resistance, and the like are also required. However, if the coating adhesion and corrosion resistance are excellent in chemical conversion treatment, conventional hot-rolled steel sheets and cold-rolled steel sheets without treatment are used. Is considered equivalent.
[0020]
Weldability is good for hot-rolled steel sheets and cold-rolled steel sheets that have not been subjected to Zn plating, etc., and there are few problems, and the amount of adhesion is reduced to solve the problem of press debris generation. It was judged.
[0021]
Here, the present inventors obtained the following knowledge.
・ A film structure consisting of lithium silicate containing silicic acid with good adhesion was adopted. In that case, chemical conversion processability improves by increasing the amount of lithium. However, when the amount of lithium is excessive, the liquid stability deteriorates.
[0022]
In order to improve moldability, it is effective to add a large amount of lubricant and to use silicate as the base film structure in order to maintain this. Moreover, an increase in the amount of lubricant added is also suitable for chemical conversion processability.
[0023]
-Hardening of the film is important for improving galling resistance, and a composition mainly composed of lithium silicate, particularly preferably a single composition, was adopted as the base composition. In addition, lubricity at high temperatures is important for improving galling resistance, and the use of metal soap improves the high temperature lubricity. In addition, the metal soap has an effect of improving the chemical conversion treatment property, and a new finding has been found that the chemical crystal density increases.
[0024]
-If the amount of the lubricating treatment film is small, the workability becomes insufficient, and if it is large, the chemical conversion property and the adhesiveness deteriorate.
By the way, even in the past, there have been some proposals regarding treatment films to which silicate is applied, but these are not sufficient as follows.
[0025]
For example, the lubricating film disclosed in Japanese Patent Nos. 2998790 and 2936554 is a lithium silicate film to which an organic resin and a solid lubricant are added. However, the addition of an organic resin is not preferable in order to prevent die seizure and press residue during pressing with a low adhesion amount.
[0026]
Japanese Patent No. 2857989 discloses a lithium silicate film to which an organic resin and a solid lubricant are added. As described above, an organic resin is added for the purpose of improving the film forming property and corrosion resistance of the film. As a premise, addition of an organic resin is not preferable in order to prevent die seizure and press residue during pressing with a low adhesion amount.
[0027]
These inventions are originally intended to improve the film-forming property and ensure corrosion resistance, and do not take into account the dissolution of the film by pre-alkaline degreasing during the chemical conversion treatment. There is a problem that chemical conversion processability deteriorates.
[0028]
Japanese Patent No. 2857989 discloses the concept of using a combination of a high softening point wax and a low softening point wax for the purpose of improving moldability. However, the addition of wax exhibits good moldability. There is no improvement effect of chemical conversion treatment. In particular, in consideration of the improvement of chemical conversion treatment in the present invention, metal soap is not used together, but waxes having different melting points are used together for the purpose of improving moldability in a wide temperature range.
[0029]
Therefore, the present invention is as follows.
(1) Lubricated steel sheet provided with a lubricating film in which lithium silicate is used as a film component and a lubricant composed of waxes and metal soaps is blended therein, and the Li content in the lithium silicate amount is Li / Si (Atomic ratio) = 0.4 to 0.7, and the lubricant is in a mass ratio, and the total mass of the lubricant / the mass of the lithium silicate =0 . 25˜2.0, metal soap / wax mass ratio = 0.3˜5.0, and the total amount of lithium silicate and lubricant is 10˜1000 mg / m2A lubricated steel sheet.
[0030]
(2) A film forming treatment liquid for a lubricated steel sheet having a lubricating film in which lithium silicate is used as a film component and a lubricant composed of a wax and a metal soap is blended therein, and the Li content in the lithium silicate amount Li / Si (atomic ratio) = 0.4 to 0.7, and the lubricant is in a mass ratio, and the total lubricant mass / lithium silicate mass =0 . 25The film forming treatment liquid for a lubricated steel sheet according to the above (1), which is ˜2.0 and the mass ratio of metal soap / wax = 0.3 to 5.0.
[0032]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the reason why the structure of the lubricating film of the lubricated steel sheet is specified as described above in the present invention will be described.
[0033]
First, it will be understood that the steel material to which the present invention can be applied is widely applicable not only to high-strength steel, but also to general low-carbon, extremely low-carbon mild steel, etc., as long as die galling becomes a problem. And it may be a hot-rolled steel sheet or a cold-rolled steel sheet. Preferably, it is a cold-rolled or hot-rolled steel plate of high-strength steel, particularly a high-strength steel cold-rolled steel plate.
[0034]
The application is not particularly limited as long as chemical conversion treatment property, press moldability, and adhesiveness are required and can satisfy them as a result. Specifically, the present invention can be applied to a vehicle body outer plate for automobiles, structural members, and the like.
[0035]
The lubricating coating of the lubricated steel sheet according to the present invention is formed by blending a lubricant with a base coating made of lithium silicate, and in the production thereof, an acrylic resin, a methacrylic acid resin, a urethane resin and the like that are usually added The organic resin is not substantially added, and a lithium silicate in which a lubricant is dispersed is used. If necessary, lithium hydroxide is added to adjust the Li / Si ratio, and the coating solution thus adjusted is applied to the steel plate. It is applied to the surface and dried. Preferably, the film skeleton is composed of lithium silicate alone.
[0036]
In the present invention, in order to form a lithium silicate film on the steel sheet surface, for example, a coating solution composed of a lithium silicate aqueous solution or a mixture of a lithium silicate aqueous solution and a silicate colloid is prepared and applied to the steel plate surface. After drying, a glassy film composed of a strong dry gel of fine silica particles is formed on the steel sheet surface. In addition, the lithium silicate film itself provided on the surface of the steel plate is already known and may be used in the present invention.
[0037]
The reason why lithium silicate is used as a component of the film structure in the present invention has already been described, and the reason why the amount of lithium added at that time is specified is as follows.
[0038]
The amount of lithium may be adjusted by adding lithium hydroxide to lithium silicate or sodium silicate as required, even when commercially available lithium silicates having different molar ratios are applied.
That is, in the present invention, the lithium content in the lithium silicate is 0.4 to 0.7, preferably 0.5 to 0.6 in terms of Li / Si (atomic ratio), thereby ensuring adhesion and chemical conversion treatment (dealkali degreasing and removing properties). it can. If the ratio exceeds 0.7, the liquid stability deteriorates. On the other hand, if the ratio is less than 0.4, alkali film removal becomes difficult, and the chemical conversion treatment performance deteriorates.
[0039]
In addition, the addition of a lubricant is effective for securing the press formability. At that time, the moldability is improved by adding a wax as a lubricant. Many waxes have a relatively low melting point (melting point ≦ 130 ° C.), and the effect of improving moldability is particularly great in the temperature range from room temperature to the melting point of the wax. However, the lubricity at high temperatures (≧ 130 ° C.) at which die seizure during strong processing is likely to occur is insufficient.
[0040]
Examples of the wax that can be used in the present invention include polyethylene wax, carnauba wax, paraffin wax, and Teflon wax. Since the silicate is water-soluble, a water-soluble wax having good dispersibility is preferable. Examples thereof include water-dispersible polyethylene wax, water-soluble Teflon wax, or a mixed solution thereof.
[0041]
To make up for such high temperature lubricity,Metal soapIt is effective to addMetal soap with waxesCombined useTo doMakes it possible to ensure good lubricity in a wider temperature range.Ru.
[0042]
Examples of the metal soap that can be used in the present invention include stearates, oleates, laurates, dodecylbenzenesulfonates, etc. Among them, zinc stearate is preferable.
[0043]
In addition to the formability, the lubricant affects the chemical conversion property and the adhesiveness.
Therefore, in the present invention, the total mass of the lubricant / the mass of the lithium silicate =0.25-2.0, preferably 0.5-1.5. By prescribing within these ranges, the workability and chemical conversion property of the resulting lubricated steel sheet are improved, and adhesion can be ensured. If the mass ratio exceeds 2.0, the moldability improving effect is saturated, or rather, the moldability tends to deteriorate and the adhesiveness deteriorates as the film becomes weaker. On the other hand, the mass ratio is0.25If it is less than 5, the moldability becomes insufficient.
[0044]
In a preferred embodiment of the present invention, as a lubricantMetal soapsandWaxesIn that case,Metal soap / waxThe mass ratio is from 0.3 to 5.0, preferably from 0.5 to 3.0. By defining within this range, lubricity at high temperatures can be secured when emphasis is placed on galling resistance.
[0045]
As described above, the adhesiveness can be ensured by adopting the silicate film as described above. The adhesive improvement mechanism of the silicate film is considered to be because the adhesive force and the silanol group react with each other to improve the adhesion force with the adhesive because the film surface has a large amount of silanol groups (Si-OH groups). . On the other hand, the wax applied as a lubricant is very inert and therefore basically does not react with the adhesive. Therefore, when a large amount of wax is added to the silicate film, silanol groups present on the surface of the lubricating film are reduced, and there is a problem that adhesiveness is deteriorated. In the present inventionUse with waxMetal soap,Since the compatibility of the adhesive is not so bad as that of the wax, the addition of the metal soap is also effective in suppressing the deterioration of the adhesiveness.
[0046]
In addition, since the amount of lubricant is relatively large compared to the silicate that holds the lubricant, the film becomes brittle, and the lubricant film tends to cause interface peeling of the adhesive. There is a preferred range for the addition amount of the agent.
[0047]
Therefore, in the present invention, from the viewpoint of adhesiveness, the ratio of the total mass of the lubricant to the silicate mass is suppressed to 2.0 or less. Also, as a blending ratio of lubricant,Metal soap and waxThe ratio is increased to 0.3 or more.
[0048]
Furthermore, in the present invention, although it is intended to improve the chemical conversion treatment property, lithium silicate is suitable as the silicate film, and Li / Si = 0.4 to 0.7 is good as the amount of Li at that time. As described above, it has been newly found that the lubricant has a great influence on the chemical conversion treatment property.
[0049]
As the amount of the lubricant added increases, the chemical conversion processability improves. In other words, if the amount of lubricant added is increased, the amount of silicate in the lubricating film is relatively reduced, and the amount of silicate in contact with the steel sheet is reduced, which improves the removability during alkaline degreasing. . At that time, if the amount of the metal soap used as the lubricant is increased, the chemical conversion crystals become dense and the chemical conversion treatment property is further improved.
[0050]
Although the mechanism is not necessarily clear, it is presumed that uniform chemical crystals are likely to grow because chemical crystals are likely to grow starting from sites where metal soap is adsorbed on the steel plate. Therefore, also from the viewpoint of ensuring chemical conversion properties, the total mass of the lubricant in the present invention is the ratio with the silicate.0.25In addition, the amount of the metal soap is also added in an amount of 0.3 or more with respect to the mass ratio with the wax.
[0051]
As a processing amount of the lubricating film in the present invention, 10 to 1000 mg / m2In a more preferred range, 100 to 500 mg / m2It is. Lubricating film throughput is 10mg / m2If it is less than 1000 mg / m, it is difficult to ensure the moldability as high as the lubricity and rust preventive oil.2If it is too high, the amount of lubrication film treatment is too large, and in adhesion evaluation, cohesive failure occurs in the film, and in chemical conversion treatment, the film can be sufficiently removed by alkaline degreasing, which is the pretreatment. This is because a problem occurs. In terms of moldability, 100 mg / m2If it is more than the above, it is possible to secure moldability more than mill bond, which is excellent in moldability, 500 mg / m2If it is below, since chemical conversion processability equivalent to a cold-rolled steel sheet can be ensured, it is more suitable.
[0052]
About the lubrication processing material in this invention, the coating method will not be ask | required especially if a predetermined amount of lubricating film can be formed. Specific application methods include a shower ringer method in which a treatment liquid is sprayed and squeezed to a predetermined amount with a roll, a roll coating method in which coating is performed with a roll, and the like. In addition, as for drying after the treatment liquid, it is sufficient that the film is dried, and it can be handled by hot air drying.
[0053]
【Example】
Hereinafter, the structure of the coating film which is the gist of the present invention will be described using experimental data. In any of the examples, a commercially available lithium silicate solution was used for the lithium silicate film, and the Li / Si ratio was adjusted by blending silicate colloid and / or lithium hydroxide.
[0054]
(Degreasing)
Here, the test procedure for the alkaline degreasing evaluation showing the criticality of the Li / Si molar ratio as described above is as follows.
[0055]
A silicate film (silicate film mass = 200 mg / m) using a cold rolled steel sheet for automobiles JSC270D (thickness = 0.8 mm) according to the Japan Iron and Steel Federation standard and changing the Li / Si compounding ratio in lithium silicate.2) Was prepared, and alkaline degreasing was performed to perform an alkaline degreasing evaluation test showing the criticality of Li / Si.
[0056]
The alkaline degreasing conditions at that time were as follows.
Degreasing agent: FC-4420 (manufactured by Japan Parker Parkerizing)
Concentration = 18 g / l
This is a pre-alkali degreasing agent for chemical conversion treatment PB-L3020 for automobile steel plates.
[0057]
Degreasing temperature: 40 ° C
Degreasing time: 3 minutes immersion
Using this, immersion degreasing was performed at a predetermined concentration, liquid temperature, and time, and the alkali degreasing removal rate was measured from the decay of the Si amount before and after degreasing ((strength of Si by fluorescent X-ray)).
[0058]
Degreasing rate = (Si strength before degreasing-Si strength after degreasing) / (Si strength before degreasing)
The result is shown in FIG. From FIG. 1, if the amount of Li in the lithium silicate is not large, sufficient film removal by alkaline degreasing cannot be ensured, and the amount of Li in the lithium silicate film is the molar ratio of Li / Si, When it is 0.4 or more, about 3/4 can be removed, and good film-removability can be secured. In addition, the upper limit of the Li amount is preferably 0.7 or less in terms of the molar ratio because liquid stability can be secured.
[0059]
FIG. 1 is a graph showing the alkaline degreasing solubility of various silicates in a state where no lubricant is added, but the same tendency is shown even when a lubricant is actually added.
(Formability)
Next, the blending amount of the lubricant is examined. Using the same JSC270D (plate thickness = 0.8 mm) as in the previous degreasing evaluation, and using Li / Si = 0.57 as the base composition for silicate film formation, the amount of lubricant added was changed to make the amount of lubricant critical. A cylindrical deep drawing test showing the properties was carried out as follows.
[0060]
Lithium silicate coating amount: 150mg / m2
Lubricant: Zinc stearate / polyethylene wax = 1
Lubrication: General anti-rust oil 2g / m2(Nox-Rust 550HN: Parka Kosan Co., Ltd.)
The cylindrical deep drawing test conditions at that time were carried out under the conditions shown in FIG. As a comparative example, a lubricating film was provided in the following manner, and the same cylindrical deep drawing test was performed.
[0061]
On the same cold-rolled steel sheet, Preton R860 (oil quantity = 2 g / m)2MC560J (application amount = 1.2 g / m)2, Manufactured by Nippon Oil & Fats Co., Ltd.) Bonding with PB-181X (attachment amount = 6 g / m)2, Manufactured by Nihon Parkerizing Co., Ltd.), Bonderube treatment LUB-235 (Amount of deposit = 6 g / m)2, Manufactured by Nippon Parkerizing Co., Ltd.).
[0062]
Admission decision:
The lubricity was judged by the molding limit wrinkle suppression pressure.
It is acceptable if it is equivalent to or better than high-lubricating rust-preventive oil (Preton R860), and is better than mill-bond (MC560J).
[0063]
From FIG. 3, it can be seen that if the lubricant total mass / silicate mass is 0.1 or more, high-lubricating rust preventive oil or more can be secured, and if it is 0.5 or more, cylindrical deep drawability equal to or greater than that of mill bond can be secured. In addition, the moldability started to deteriorate when the mass ratio was 1.5 or more, and when the ratio was more than 2.0, it was confirmed that the moldability was inferior to that of the mill bond.
[0064]
next,Metal soapWhenwaxThe effect of the blending ratio was examined. Using the same JSC270D (plate thickness = 0.8 mm) as the previous degreasing evaluation, using Li / Si = 0.57 as the base composition for silicate film formation, the following lubrication treatment was applied, and the lubricant zinc stearate and The galling resistance test was carried out as follows by changing the blending ratio of the water-soluble wax.
[0065]
Lithium silicate coating amount: 200mg / m2
Lubricant total mass: 200mg / m2
Lubrication: General antirust oil 2g / m2(Nox-Rust 550HN: Parka Kosan Co., Ltd.)
In this test, the evaluation was carried out by a Bowden test (adhesion slip tester) in which galling is likely to occur in an extremely high surface pressure state. Under more severe press conditions, the heat generated by the processing causes the mold and material temperature to rise, and in order to simulate the situation in which mold galling is more likely to occur, the board temperature is set to 150 ° C along with room temperature in the Bowden test. The temperature was set and tested. Detailed test conditions at that time are shown in FIG.
[0066]
Further, as described above, as described above, high-lubricating rust preventive oil (Preton R860), mill bond (MC560J), bonder + bonderube treatment (PB-18X + LUB-235) were simultaneously evaluated.
[0067]
Admission decision:
The acceptance / rejection determination was made with the coefficient of friction when reciprocating 30 times. The criterion for this is that the coefficient of friction (= 0.19) or less of the highly lubricious rust preventive oil at room temperature is acceptable, and the coefficient of friction (= 0.05) is the same as that of the bonde + bonderube with the highest galling resistance. Preferred.
[0068]
The results are shown in FIG. 5 and FIG. FIG. 5 shows that the higher the wax amount ratio, the better the lubricity at room temperature. When the zinc stearate amount ratio increases, the lubricity decreases and galling is likely to occur, and the zinc stearate / wax ratio ≦ 5. If it is not 0, the lubricity equal to or less than that of the highly lubricating antirust oil cannot be secured. It can also be seen that a lubricant ratio of ≦ 3.0 is necessary to ensure lubricity equivalent to that of the bonder + bonderube having the most excellent galling resistance. In addition, it can be seen from FIG. 6 that at high temperatures (= 150 ° C.), the higher the zinc stearate ratio, the better the lubricity, and the greater the wax ratio, the lower the lubricity. To ensure the same coefficient of friction as rust oil ≤ 0.19, the lubricant ratio ≥ 0.3, and to ensure the same lubricity as the bonder + bonderube, the lubricant ratio ≥ 0.5 I understand.
[0069]
In addition, from this survey, lubricity at high temperature is significantly reduced even with rust preventive oil and mill bond, but Bonde + Bonderube has almost no decrease in lubricity at high temperature and is extremely galling resistant. It turns out that is excellent. Furthermore, since the preferred lubricant blending ratio in the present invention has a lubricity equivalent to that of the bonder + bonderube process at high temperatures, the lubrication process of the present invention ensures extremely excellent galling resistance. You can see that it is made.
[0070]
(Adhesiveness)
The effectiveness of the present invention will be described with respect to the influence of the lubricant on the adhesiveness.
By using the same JSC270D (plate thickness = 0.8 mm) as the above-mentioned moldability evaluation, and changing the amount of lubricant added using Li / Si = 0.57 as the base composition for silicate film formation, An adhesion test showing the criticality of the quantity was carried out as follows.
[0071]
Lithium silicate coating amount: 150mg / m2
Lubricant: Zinc stearate / polyethylene wax = 1
Lubrication: General antirust oil 2g / m2(Nox-Rust 550HN: Parka Kosan Co., Ltd.)
The adhesion test conditions at that time are the shear tensile strength after bonding with PV5306 (manufactured by Henkel Hakusui), which is an epoxy adhesive that is a structural adhesive, under the conditions shown in FIG. An adhesion test was performed. At that time, there may be a problem of familiarity with rust preventive oil, so apply rust preventive oil, put it in a stack at room temperature, take a curing period of 7 days, and then test the one that has been bonded. Provided.
[0072]
In addition, as a comparative example, Preton R860 (oil coating amount = 2 g / m) as a highly lubricating antirust oil2MC560J (Coating amount = 1.2 g / m)2, Manufactured by Nippon Oil & Fats Co., Ltd.) Bonding with PB-181X (attachment amount = 6 g / m)2, Manufactured by Nihon Parkerizing Co., Ltd.), Bondebe treatment LUB-235 (Amount of deposit = 6 g / m)2, Manufactured by Nippon Parkerizing Co., Ltd.) were also subjected to an adhesion test.
[0073]
Admission decision:
A pass / fail judgment was made based on the adhesive strength by a shear tensile test. As a criterion for the determination, an area in which the adhesive strength higher than the mill bond, which may cause a problem of lowering the adhesive strength with the structural adhesive, can be secured. Moreover, the area | region which can ensure the adhesiveness equivalent to or more than what apply | coated the high-lubricity rust preventive oil was judged to be suitable.
[0074]
The result is shown in FIG. In FIG. 3, which is the moldability evaluation result, even if the total amount of lubricant added is large, good cylindrical deep drawing moldability higher than that of the high-lubricating rust preventive oil can be secured, but from FIG. It can be seen that as the amount increases, the adhesive strength decreases and it becomes difficult to ensure good adhesion. That is, it can be seen that when the ratio of the total amount of lubricant to the amount of silicate film exceeds 2.0, the adhesive strength is lower than that of mill bond, which causes problems in adhesion, and problems in adhesion occur. Further, in the moldability evaluation (FIG. 3), within the range of the blending ratio = 0.5 to 1.5 where the moldability equal to or higher than that of the mill bond could be secured, from FIG. It can be seen that an adhesive strength equal to or higher than that of rust oil can be ensured and is in a suitable range.
[0075]
In this adhesion test, the untreated material in which only the general rust preventive oil is applied to the cold-rolled steel sheet has the best adhesion, and the high lubricity rust preventive oil is slightly inferior, but the mill bond, bonder + bonder beve The treatment has a lower adhesion strength than that applied with rust preventive oil, and it can be seen that the adhesion evaluation in this test can simulate the current adhesion problem well.
[0076]
Assuming an automobile body panel, in addition to the epoxy-based structural adhesive used in this example, there are mastic type adhesives with low adhesive strength such as a high rust preventive spot sealer. With a lubricated steel plate, good adhesion can be secured even with these mastic type adhesives.
[0077]
Example 1
Next, in order to clarify the effects of the present invention by way of examples, a specific description will be given by evaluating the overall product performance with various treatment liquids based on the above test results.
[0078]
As shown in Table 1, various lithium silicate liquids with different Li content ratios were prepared,waxAs a water-soluble polyethylene wax and a water-soluble Teflon wax,Metal soapAs metal stearate such as calcium stearate, zinc stearate, sodium oleate, sodium dodecylbenzene sulfonate, roll coat to a predetermined amount of lubrication treatment, and dry with hot air (plate temperature = 50 ° C) went.
[0079]
In addition, as a comparative material, MC560J (coating amount = 1.2 g / m as mill bond)2), And a resin-containing silicate in which a water-soluble acrylic resin as an organic resin is added to lithium silicate (Li / Si = 0.4) in an amount of 5% based on the silicate solid content, and a predetermined amount of lubricant is prepared. Lubricated steel sheets with added were also evaluated.
[0080]
As an evaluation method of various treatment test pieces at that time, chemical conversion treatment property, moldability, galling resistance, press-fogging resistance, and adhesion evaluation were performed. The evaluation method and the determination criteria are as follows.
[0081]
(Chemical conversion treatment conditions)
JSC590R (sheet thickness = 1.0mm), a 590MPa class high yield ratio cold rolled steel sheet of the Japan Iron and Steel Federation standard, was used as a processing base plate, and after various lubrication treatments, it was subjected to a chemical conversion treatment test. The reason why high-strength steel is used in this test is that high-strength steel sheets originally deteriorate in chemical conversion properties compared to general mild steel.
[0082]
With PB-L3020 (manufactured by Nihon Parka), chemical conversion treatment was performed, and the appearance and the growth state of the conversion crystal were observed by SEM (magnification: × 500), and the microscopic state of the crystal was observed. did.
[0083]
(Press formability)
JSC270D (plate thickness = 0.8mm), a mild steel plate of the Japan Iron and Steel Federation standard, is used as a treatment plate, and various lubrication treatments (after treatment, 2 g / m of general anti-rust oil)2After performing (oiling), the same cylindrical deep drawing test (see FIG. 2) as described above was performed. The evaluation criteria are as follows, as described above.
[0085]
(Criteria)
◎ Mold limit wrinkle suppression pressure ≧ 375kN ← Milpond or more
○ 150 to 375kN ← More than high lubricity rust preventive oil
× <150kN
(Scratch resistance)
JSH440W (sheet thickness = 3.2mm), a 490MPa class general-purpose hot-rolled steel sheet of the Japan Iron and Steel Federation standard, is used as a processing base plate, and various lubrication treatments (after processing, general anti-rust oil is 2g / m2After the oiling, the mold caulking evaluation by crank press bending was performed. The processing conditions and the evaluation method at that time are as shown in FIG. 9, and the normal part remaining rate in the 10th sample after the continuous 10 sheet forming was evaluated at the ironing rate = 15%.
[0086]
As a judgment criterion at that time, mill bond with good mold galling resistance (MC560J, coating amount = 1.2 g / m2) Is a normal part remaining ratio under the same condition = 75%, and therefore, the above was regarded as acceptable, and the one with no mold galling was determined as the best.
[0087]
(Processing conditions)
Sample size: 25 x 150mm
Clearance: 2.72mm (Steeling rate = 15%)
Number of moldings: 10 continuous
(Criteria)
◎ Normal
○ 75-100% ← Millbond
× <75%
(Adhesiveness)
JSC270D (plate thickness = 0.8mm), a mild steel plate of the Japan Iron and Steel Federation standard, is used as a treatment plate, and various lubrication treatments (after treatment, 2 g / m of general anti-rust oil)2The same adhesion test as described above (see FIG. 7) was conducted. The evaluation criteria are as follows, as described above.
[0088]
(Judgment criteria)
◎ Adhesive strength ≧ 4.0Kn ← High lubricity rust preventive oil or more
○ 3.5 to 4.0kN ← Milpond or more
× <3.5kN
These results are summarized in Table 1.
[0089]
As can be seen from the results in Table 1, from Examples No. 13 and Nos. 6 and 7, when no lubricant is added, or when wax alone or metal soap alone is used, both chemical conversion properties and moldability can be achieved. It can be seen that the lubricant combination system is good.
[0090]
From Example Nos. 20 to 29, the lubricant film mass is 10 to 1000 mg / m.2Is preferred.
From Example No. 1, it can be seen that even in a system to which a lubricant is added, a silicate with a small amount of Li cannot secure a chemical conversion treatment.
[0091]
From Examples Nos. 8, 30, 37, and 40, it can be seen that when the amount of metal soap added is small, press residue is generated and there is a problem. In addition, in Example No. 30, mold resistance cannot be ensured, and in Examples No. 8 and 37, chemical conversion treatment cannot be ensured, and the addition of metal soap can prevent press scum, mold resistance, and chemical conversion treatment. It is effective for securing.
[0092]
From Examples No.12, 39, and 41, it can be seen that if the amount of metal soap is large, the moldability cannot be secured.
From Examples No. 19, 26, and 37, if the total amount of lubricant is large, adhesiveness cannot be secured, and from Example 14, if the total amount of lubricant is small, moldability cannot be secured and press casks and chemical conversion treatment properties are also deteriorated. I understand that.
[0093]
Furthermore, from Examples No. 42 and 43, when an organic resin was added to the silicate, chemical conversion treatment performance could not be secured, and from Example No. 44, the mill bond had problems in adhesion and press scum. The effects of chemical conversion treatment, galling resistance, press residue suppression, and adhesiveness improvement in the claims are obvious.
[0094]
[Table 1]
【The invention's effect】
According to the present invention, the following excellent effects can be obtained.
-Good formability can be ensured after ensuring chemical conversion and adhesion necessary for wide application as steel for automobiles.
・ When adding a lubricant to improve moldability, based on lithium silicate, which has excellent adhesion and film removal during degreasing,MoneyBy applying the genus soap, good lubricity can be secured in a wide temperature range, so that seizure of the mold can be prevented, and further, chemical conversion treatment property and adhesiveness are further improved. Steel plate becomes applicable.
[0096]
In particular, high-strength steels that are expected to expand in the future as steel materials for automobiles can withstand severer formability and are difficult to apply by conventional processing, such as automotive steel plates or The industrial contribution of the present invention is extremely high in that the chemical conversion processability and adhesiveness, which are essential performances as steel sheets for structural members, can be ensured by performing simple post-treatment.
[Brief description of the drawings]
BRIEF DESCRIPTION OF DRAWINGS FIG. 1 is a graph showing the influence of the film removal property by alkali degreasing and the lithium amount of lithium silicate.
FIG. 2 is a schematic diagram of a productivity evaluation method by cylindrical deep drawing.
FIG. 3 is a graph showing the influence of the total amount of lubricant on the limit wrinkle suppression pressure.
FIG. 4 is a schematic diagram of a galling resistance evaluation method by a Bowden test.
FIG. 5 is a graph showing the influence of the blending ratio of metal soap and wax on the friction coefficient in the galling resistance evaluation by the Bowden test at room temperature.
FIG. 6 is a graph showing the influence of the blending ratio of metal soap and wax on the friction coefficient in the galling resistance evaluation by the Bowden test at 150 ° C.
FIG. 7 is a schematic diagram of an adhesiveness (structural adhesive) evaluation test method.
FIG. 8 is a graph showing the influence of the total amount of lubricant on the adhesive strength.
FIG. 9 is a schematic diagram showing an evaluation test method for mold galling resistance and a measurement method thereof.
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