JP3930349B2 - キラルビシナルジオールの合成で有益な多機能触媒及びその調製方法、並びにこの多機能触媒を使用したキラルビシナルジオールの調製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多機能再使用可能触媒、及び単一ポットでの多成分反応を行う支持体の単一マトリックス上でのその調製方法に関する。より特に本発明は、そのままのもの及びマトリックス支持体に固定されたものの両方として、キナアルカロイド化合物の存在下でのオレフィンのAD反応、N−酸化及びヘックカップリングを含む逐次及び/又は同時反応によるキラルビシナルジオールの合成に有益な、活性なパラジウム、タングステン及びオスミウム種からなる多機能触媒の調製に関する。
【0002】
また本発明は、キナアルカロイド化合物の存在下でのオレフィンの非対称ジヒドロキシル化によってビシナルジオールを調製する方法に関する。ここでは、可溶性オスミウム触媒の代わりに、不均一系触媒としての再使用可能多機能触媒を使用する。
【0003】
【従来の技術】
キナアルカロイド化合物の存在下でのオレフィンのジヒドロキシル化によって得られる生成物は、薬品及び医薬の調製のための重要な中間体である。例えばキナ酸エステルの生成物は、タキソール側鎖の中間体である。抗ガン剤、ジルチアゼム、カルシウム拮抗剤及びクロラムフェニコールも、この方法によって得られるジオールから誘導することができる。
【0004】
生成物中にオスミウムの毒性残留物が存在し、また四酸化オスミウム又は二水和オスミウム酸カリウムの費用が高いので、ビシナルジオールの製造において均一系で触媒AD反応を行うことは非常に不利である。
【0005】
米国特許第4,871,855号及び同第5,260,421号明細書は、四酸化オスミウム及びキナアルカロイドによるオレフィンの均一系非対称ジヒドロキシル化を開示している。この方法における固有の欠点は、反応混合物からのオスミウム触媒の回収のための面倒な方法、毒性廃棄物の生成、及び生成物中における微量の毒性オスミウムの存在の可能性である。
【0006】
米国特許第5,516,929号明細書は、四酸化オスミウムとポリマー結合キナアルカロイドによるオレフィンの不均一系非対称ジヒドロキシル化を開示している。この方法の欠点は、毒性オスミウム触媒の量的な回収での困難性、比較的低い立体選択性、並びにそれぞれ及び全ての再利用実験での活性及び立体選択性の低下である。
【0007】
米国特許第5,968,867号明細書は、四酸化オスミウムとシリカゲルに支持されたビスキナアルカロイド誘導体によるオレフィンの不均一系非対称ジヒドロキシル化を開示している。この方法の欠点は、毒性オスミウム触媒の量的な回収の困難性、並びにそれぞれ及び全ての再利用実験での活性及び立体選択性の低下である。
【0008】
ヨーロッパ特許第940,170A2号明細書は、ポリマーで支持されたオスミウム触媒を使用するアルケンの触媒非対称ジヒドロキシル化を開示している。この方法の欠点は、触媒量が比較的多いこと(5mol%)、反応時間が比較的長いこと、及び支持体として比較的高価なポリマーの使用が必要とされることである。
【0009】
文献J.Am.Chem.Soc.2001年、123、1365を参照することができる。ここでは、均一条件の酸化剤としてH2O2を使用して、キナアルカロイドの存在下における四酸化オスミウム及びバイオミメティクスフラビンによってオレフィンの非対称ジヒドロキシル化を行う。固有の欠点は、四酸化オスミウムの回収の困難性及び不安定なフラビンの使用である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主要な目的は、キラルビシナルジオールの合成に有益な再使用可能多機能触媒を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩又はか焼物質のようなアニオンを有する支持体に堆積したパラジウム、オスミウム及びタングステンのような遷移金属元素を有する再使用可能多機能触媒を調製することである。
【0012】
本発明の他の目的は、単一のポットにおいて多成分反応を行うための、単一の支持体マトリックス上の再使用可能多機能触媒を調製することである。
【0013】
本発明の他の目的は、単一ポットにおいてハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールの合成を行う新しい経済的な方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、可溶性で毒性の四酸化オスミウム又は二水和オスミウム酸カリウムを使用しないキラルビシナルジオールの合成方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、多機能触媒を調製し、キラルビシナルジオールを合成するために、生成物中の微量のオスミウムの存在を防ぐ不均一系触媒として使用することである。
【0016】
本発明の他の目的は、立体選択性及び収率が良好で且つ作業が単純な、キラルビシナルジオールの合成方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、廃棄の問題をもたらさない経済的で環境的に安全な、キラルビシナルジオールの合成方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
不均一触媒系を使用すると、均一系と比較して、触媒の回収が容易であり且つ四酸化オスミウムの損失があまり有意ではなくなるので、当然にコストが低くなる。またジヒドロキシル化生成物中の微量不純物におけるオスミウムの存在を防ぐことができるので、不均一触媒系を使用してそのように得た生成物は害がない。
【0019】
本発明は、薬品及び医薬の重要な中間体であるビシナルジオールの調製のために、イオン交換又は結合によって均一系又は不均一系の形で組成物中にパラジウム、オスミウム及びタングステン種を含有する多機能触媒を提供する。
【0020】
従って本発明は、キラルビシナルジオールの調製に有益な再使用可能多機能触媒に関する。この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びパラジウム」、「オスミウム及びタングステンもしくはオスミウム及びチタン」又は「オスミウム、パラジウム及びタングステン」を含む活性種である。
【0021】
本発明の1つの態様では、触媒に含有されている活性種は、支持体の5〜30%である。
【0022】
本発明の他の態様では、合成したままの支持体は、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物及びそれらの混合からなる群より選択されるアニオンを有する。
【0023】
本発明の他の態様では、調製した再使用可能多機能触媒は、ハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−PdOs、樹脂−PdOs及びSiO2−PdOs、並びにハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するSGS−(QN)2PHAL−PdOsを含む。
【0024】
本発明の他の態様では、調製した再使用可能多機能触媒は、H2O2を使用してオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−OsW、樹脂−OsW、SiO2−OsW、SGS−(QN)2PHAL−OsW及びSGS−(QN)2PHAL−OsTiを含む。
【0025】
本発明の他の態様では、調製した再使用可能多機能触媒は、H2O2を使用してハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するLDH−PdOsW、樹脂−PdOsW、SiO2−PdOsW及びSGS−(QN)2PHAL−PdOsWを含む。
【0026】
また本発明は、キラルビシナルジオールの調製に有益な再使用可能多機能触媒の調製方法に関する。この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びパラジウム」、「オスミウム及びタングステンもしくはオスミウム及びチタン」又は「オスミウム、パラジウム及びタングステン」を含む活性種である。この方法は、その活性種の塩を、窒素雰囲気で5〜24時間にわたって20〜100℃の温度で水性溶媒中において前記支持体と反応させること、その後で洗浄して所望の再使用可能多機能触媒を得ることを含む。
【0027】
本発明の1つの態様では、触媒に含有されている活性種は、支持体の5〜30%の範囲である。
【0028】
本発明の他の態様では、合成したままの支持体は、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物及びそれらの混合からなる群より選択されるアニオンを有する。
【0029】
本発明の他の態様では、調製した再使用可能多機能触媒は、ハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−PdOs、樹脂−PdOs及びSiO2−PdOs、並びにハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するSGS−(QN)2PHAL−PdOsからなる群より選択される。
【0030】
本発明の他の態様では、調製した再使用可能多機能触媒は、H2O2を使用してオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−OsW、樹脂−OsW、SiO2−OsW、SGS−(QN)2PHAL−OsW及びSGS−(QN)2PHAL−OsTiからなる群より選択される。
【0031】
本発明の他の態様では、調製した再使用可能多機能触媒は、H2O2を使用してハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するLDH−PdOsW、樹脂−PdOsW、SiO2−PdOsW及びSGS−(QN)2PHAL−PdOsWからなる群より選択される。
【0032】
また本発明は、再使用可能多機能触媒を使用するハロゲン化アリール及びオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法に関する。この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びパラジウム」を含む活性種である。この方法は、前記触媒を使用して、0.5〜48時間にわたって−20〜200℃の温度において、水、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールからなる群より選択される溶媒中で、酸化剤とキナアルカロイドの存在下におけるヘック(Heck)カップリング及び非対称ジヒドロキシル化によって、ハロゲン化アリール及びオレフィンを反応させること、並びに所望のキラルビシナルジオールを得ることを含む。
【0033】
本発明の1つの態様では、反応で使用する多機能触媒の量は、基質に対して活性種が0.01〜10mol%になる量である。
【0034】
本発明の1つの態様では、使用する多機能触媒はろ過によって回収し、一貫した活性で複数のサイクルにわたって再使用する。
【0035】
本発明の1つの態様では、使用する酸化剤は、N−メチルモルフォリンN−オキシド(NMO)、トリメチルアミンN−オキシド、過酸化水素、t−ブチル過酸化水素、フェロシアン化カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム及び分子状酸素からなる群より選択される。
【0036】
本発明の1つの態様では、使用するキナアルカロイド化合物は、(DHQD)2PHAL、(DHQD)2PYR、(DHQD)2AQN、DHQD−OAc、DHQD−CLB、DHQD−PHN、DHQD−MEQ、DHQD−IND及びこのような配位子の他の疑似鏡像異性体型からなる群より選択される。
【0037】
また本発明は、再使用可能多機能触媒を使用するハロゲン化アリール及びオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法に関する。この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム、パラジウム及びタングステン」を含む活性種である。この方法は、前記触媒を使用して、0.5〜48時間にわたって−20〜200℃の温度において、水、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールからなる群より選択される溶媒中で、酸化剤とキナアルカロイド化合物の存在下におけるヘック(Heck)カップリング、N−酸化及び非対称ジヒドロキシル化によって、ハロゲン化アリール及びオレフィンを反応させること、並びに所望のキラルビシナルジオールを得ることを含む。
【0038】
本発明の1つの態様では、反応で使用する多機能触媒の量は、基質に対して活性種が0.01〜10mol%になる量である。
【0039】
本発明の1つの態様では、使用する多機能触媒はろ過によって回収し、一貫した活性で複数のサイクルにわたって再使用する。
【0040】
本発明の1つの態様では、使用する酸化剤は、N−メチルモルフォリンN−オキシド(NMO)、トリメチルアミンN−オキシド、過酸化水素、t−ブチル過酸化水素、フェロシアン化カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム及び分子状酸素からなる群より選択される。
【0041】
本発明の1つの態様では、使用するキナアルカロイド化合物は、(DHQD)2PHAL、(DHQD)2PYR、(DHQD)2AQN、DHQD−OAc、DHQD−CLB、DHQD−PHN、DHQD−MEQ、DHQD−IND及びこのような配位子の他の疑似鏡像異性体型からなる群より選択される。
【0042】
本発明の更に他の態様では、ジヒドロキシル化キラルビシナルジオールは、薬品及び医薬、タキソール側鎖、抗ガン剤、ジルチアゼム、カルシウム拮抗剤及びクロラムフェニコールから選択される生成物、並びに抗生物質の調製のための重要な中間体である。
【0043】
また本発明は、再使用可能多機能触媒を使用するオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法に関する。この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びタングステン又はオスミウム及びチタン」を含む活性種である。この方法は、前記触媒を使用して、0.5〜48時間にわたって−20〜200℃の温度において、水、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールからなる群より選択される溶媒中で、酸化剤とキナアルカロイド化合物の存在下におけるN−酸化によって、オレフィンをジヒドロキシル化させること、並びに所望のキラルビシナルジオールを得ることを含む。
【0044】
本発明の1つの態様では、反応で使用する多機能触媒の量は、基質に対して活性種が0.01〜10mol%になる量である。
【0045】
本発明の1つの態様では、使用する多機能触媒はろ過によって回収し、一貫した活性で複数のサイクルにわたって再使用する。
【0046】
本発明の1つの態様では、使用する酸化剤は、N−メチルモルフォリンN−オキシド(NMO)、トリメチルアミンN−オキシド、過酸化水素、t−ブチル過酸化水素、フェロシアン化カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム及び分子状酸素からなる群より選択される。
【0047】
本発明の1つの態様では、使用するキナアルカロイド化合物は、(DHQD)2PHAL、(DHQD)2PYR、(DHQD)2AQN、DHQD−OAc、DHQD−CLB、DHQD−PHN、DHQD−MEQ、DHQD−IND及びこのような配位子の他の疑似鏡像異性体型からなる群より選択される。
【0048】
本発明の更に他の態様では、ジヒドロキシル化キラルビシナルジオールは、薬品及び医薬、タキソール側鎖、抗ガン剤、ジルチアゼム、カルシウム拮抗剤及びクロラムフェニコールから選択される生成物、並びに抗生物質の調製のための重要な中間体である。
【0049】
【発明の実施の形態】
本発明の新規性は、第一に単純な交換プロセスによる多機能触媒の調製、並びにキナアルカロイド化合物の存在下で、酸化剤を使用するオレフィンのヘックカップリング、N−酸化及び非対称ジヒドロキシル化を含む逐次及び/又は同時反応によって、ビシナルジオールを調製する触媒量でのその使用である。ジオールの合成において多機能触媒を使用すると、比較的大きい収率及び立体選択率が得られる。ジヒドロキシル化した生成物は、薬剤及び医薬品の調製のための重要な中間体であるので、これらの生成物中の毒性オスミウム金属含有率の低下を実現する本発明は、折りがよく且つ適当である。多成分反応において複数のサイクルで得られる一貫した活性及び立体選択性は、プロセスを経済的にし、商業的な実施を可能にする。従って多機能触媒は、ビシナルジオールの合成に関して比較的良好な選択肢である。多機能触媒の調製で使用される様々な成分及び他の支持体の使用は、活性及び立体選択性に関して、触媒の最終的な形に影響を与えない。従って本発明は、医薬及び薬品の調製のための中間体であるキラルビシナルジオールの合成のための最も技術的−経済的に優れた経路を提供する。
【0050】
科学的説明
本発明では、初めに多機能触媒を合成し、不均一系でキナアルカロイド化合物の存在下において、酸化剤を使用するオレフィンのヘックカップリング、N−酸化及び非対称ジヒドロキシル化を含む逐次及び/又は同時反応によってビシナルジオールを調製する触媒量で使用する。多機能触媒は、有機物質又は無機物質に起因する様々な支持体での共有結合形成による固定又は活性種のアニオン交換によって調製する。支持体に固定された金属は、触媒に多機能活性を与える。不均一系多機能触媒の活性は、対応する均一系の活性と同様又はそれよりも大きい。比較的大きい収率及び立体選択性は、水性有機溶媒中での多成分反応で使用される多機能触媒で得られる。ジヒドロキシル化生成物は医薬及び薬剤の調製のための重要な中間体であるので、本発明は折りがよく且つ適当である。従って多機能触媒は、ビシナルジオールの合成に関して比較的良好な選択肢である。多機能触媒の調製で使用される固定方法又は支持体と関係なく、調製された多機能触媒は、キナアルカロイドの存在下で良好な収率及び立体選択性を提供する。
【0051】
多機能触媒の調製、並びに不均一な様式でキナアルカロイド化合物の存在下における酸化剤を使用する多成分反応によってビシナルジオールを調製する触媒量での使用を、以下の例で説明する。これらの例は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0052】
多機能触媒の調製
例1
LDH−PdOs(1)の調製
1gのLDHを、Na2PdCl4及びK2OsO4・2H2O(それぞれ0.4mmol)を含有する100mLの水溶液に懸濁させ、窒素雰囲気において12時間にわたって25℃で撹拌した。固体触媒をろ過し、500mLの水で完全に洗浄し、そして減圧乾燥して、1.158gのLDH−PdOs(それぞれ0.34mmol/gのPd及びOs)を得た。
【0053】
例2
LDH−OsW(2)の調製
1gのLDHを、K2OsO4・2H2O及びNa2WO4・2H2O(それぞれ0.4mmol)を含有する100mLの水溶液に懸濁させ、窒素雰囲気において12時間にわたって25℃で撹拌した。固体触媒をろ過し、500mLの水で完全に洗浄し、そして減圧乾燥して、1.172gのLDH−OsW(それぞれ0.34mmol/gのOs及びW)を得た。
【0054】
例3
LDH−PdOsW(3)の調製
1gのLDHを、Na2PdCl4、K2OsO4・2H2O及びNa2WO4・2H2O(それぞれ0.3mmol)を含有する100mLの水溶液に懸濁させ、窒素雰囲気において12時間にわたって25℃で撹拌した。固体触媒をろ過し、500mLの水で完全に洗浄し、そして減圧乾燥して、1.181gのLDH−PdOsW(それぞれ0.25mmol/gのPd、Os及びW)を得た。
【0055】
例4
樹脂−PdOsW(4)の調製
24時間にわたって、還流されているクロロホルム(20mL)中で1gの塩化メチル化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー(改質樹脂、キャパシティー約2.1ミリ当量/g)によってトリメチルアミン(2.1mL、21mmol)を第4級化して、樹脂を得た。1gの第4級アンモニウム樹脂を、Na2PdCl4、K2OsO4・2H2O及びNa2WO4・2H2O(それぞれ0.25mmol)を含有する100mLの水溶液に懸濁させ、窒素雰囲気において12時間にわたって25℃で撹拌した。固体触媒をろ過し、500mLの水で完全に洗浄し、そして減圧乾燥して、樹脂−PdOsW(それぞれ0.2mmol/gのPd、Os及びW)を得た。
【0056】
例5
SiO2−PdOsW(5)の調製
24時間にわたって、還流されているクロロホルム(20mL)中で臭素化プロピルシリカ(キャパシティー0.7ミリ当量/g)によってトリエチルアミン(0.7mL、7mmol)を第4級化して改質シリカを得た。1gの第4級アンモニウムシリカを、Na2PdCl4、K2OsO4・2H2O及びNa2WO4・2H2O(それぞれ0.11mmol)を含有する100mLの水溶液に懸濁させ、窒素雰囲気において12時間にわたって25℃で撹拌した。固体触媒をろ過し、500mLの水で完全に洗浄し、そして減圧乾燥して、SiO2−PdOsW(それぞれ0.1mmol/gのPd、Os及びW)を得た。
【0057】
例6
SGS−(QN)2PHAL−OsTi(6)の調製
シリカゲル(200メッシュ)(4g)を、無水の1:1ピリジン/トルエン22mL中の18mLの3−メルカプトプロピルトリメトキシシランで処理した。スラリーを、90℃で24時間にわたって加熱した。ろ過の後で、固体をトルエンで洗浄し、そしてトルエンでソックスレー抽出し、1時間にわたって減圧条件で乾燥して、3.38%のSを含有する3−メルカプトプロピルシリカゲルを得た。これは1グラム当たり1.05mmolのSに対応する。この誘導シリカゲル(2g)をクロロホルム中に懸濁させ、ラジカル開始剤としてのAIBN(55mg)及び4−(9−O−ジヒドロキニニル)−1−(9−O−キニニル)フタラジン(0.781g)で48時間にわたって還流した。固体をろ過し、その後でメタノールで洗浄し、トルエンでソックスレー抽出し、そして減圧下で1時間にわたって乾燥して、SGS−(QN)2PHAL(15wt%のN、1g当たり0.2mmolのアルカロイドに対応)を得た。これに、アセトニトリル中のそれぞれ1当量のOsO4及びTS−1(0.038mmol/g、Si/Ti:32)を加え、30分間にわたって撹拌し、溶媒を蒸発させてSGS−(QN)2PHAL−OsTiを得た。
【0058】
例7
SGS−(QN)2PHAL−PdOs(7)の調製
2gのSGS−(QN)2PHALを、24時間にわたって、還流しているアセトン(10mL)中のPdCl2(2mmol)で処理した。暗い黄色の粉末をろ過し、アセトンで洗浄し、そして室温において4時間にわたって、水和ヒドラジン(1.5mL)及びエタノール(10mL)と撹拌した。得られた固体をろ過し、エタノールで洗浄し、そして1時間にわたって減圧乾燥して、明るい緑色の固体SGS−(QN)2PHAL−Pd(1g当たりパラジウムが0.2mmol)を得た。これをOsO4(1g当たり0.2mmol)で錯化して、SGS−(QN)2PHAL−PdOsを得た。
【0059】
例8
SGS−(QN)2PHAL−PdOsW(8)の調製
例7でのように合成したSGS−(QN)2PHAL−PdOsを、1当量のタングステン酸塩交換第4アンモニウム型のシリカと混合して、SGS−(QN)2PHAL−PdOsWを得た。
【0060】
キラルビシナルジオールの合成
キラルビシナルジオールの合成を以下の方法を使用して行って、本発明の多機能触媒を評価した。
【0061】
例9
LDH−PdOsを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOs、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1,1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。この段階で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び1.3mMのNMOを加え、室温で撹拌した。ジオール形成が完了した後(4〜6時間、TLCによって監視)で、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗生成物に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0062】
例10
LDH−OsWを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
LDH−OsW(0.01mmol)、NMM(0.5mmol)、(DHQD)2PHAL(0.03mmol、23mg)及び1/5のH2O2(1/5×1.5mmol)を、tBuOH−水(3:1、5mL)を保持する丸底フラスコに取り、室温で20分間にわたって撹拌した。この混合物に、オレフィン(1mmol)及びH2O2の残部を、10時間にわたってそれぞれ別のシリンジポンプを使用して加えた。添加が完了した後で、反応混合物を更に2時間にわたって撹拌し、ろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わせたろ液は、1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0063】
例11
LDH−PdOsWを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を、一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わせたろ液を、1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を回収した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。回収した触媒は、4回の実験にわたって一貫した活性で再使用された(例28〜3’)。
【0064】
例12
樹脂−PdOsWを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
1mol%の樹脂−PdOsW、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を、一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わせたろ液を、1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を回収した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0065】
例13
SiO2−PdOsWを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
1mol%のSiO2−PdOsW、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を、一度に反応フラスコに加えた。1.5mMのH2O2を12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わせたろ液を、1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0066】
例14
H2O2酸化剤によるSGS−(QN)2PHAL−OsTi系を使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
SGS−(QN)2PHAL−OsTi(0.01mmol)、NMM(0.25mmol)、TEAA(2mmol)及び1/5のH2O2(1/5×1.5mmol)を、tBuOH−水(3:1、5mL)を保持する丸底フラスコに取り、室温で20分間にわたって撹拌した。この混合物に、オレフィン(1mmol)及びH2O2の残部を、12時間かけてそれぞれ別のシリンジポンプを使用して加えた。加え終わった後で、反応混合物を更に2時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を除去し、粗材料に、シリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0067】
例15
NMO酸化剤によるSGS−(QN)2PHAL−PdOsを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
アセトニトリル(5mL)中の触媒7(100mg、0.02mmol)、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。この段階で加熱を停止し、減圧条件で溶媒を除去した。5mLのtブタノール−水(3:1)中の1.3mMのNMOを加え、12時間にわたって室温で撹拌した。反応が完了した後で、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を除去した後で、粗材料に、シリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0068】
例16
K3Fe(CN)6酸化剤によるSGS−(QN)2PHAL−PdOsを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
アセトニトリル(5mL)中の触媒(100mg、0.02mmol)、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び4mMのK2CO3を、8時間にわたって70℃で撹拌した。この段階の後で、加熱を停止し、減圧条件で溶媒を除去した。10mLのtブタノール−水(1:1)中の3mMのK3Fe(CN)6を加え、12時間にわたって室温で撹拌した。反応が完了した後で、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を除去した後で、粗材料に、シリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0069】
例17(参考例)
NMO酸化剤によるNa2PdCl4/K2OsO4・2H2Oを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
Na2PdCl4(1mol%)、K2OsO4・2H2O(1mol%)、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。この段階の後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び1.3mMのNMOを加え、室温で撹拌した。ジオール形成が完了した後(4〜6時間、TLCで測定)で、反応混合物にトルエンを加えて相分離させ、水性相をトルエン(2×5mL)で抽出した。有機相は1NのHClで洗浄し、キラル配位子を回収した。有機溶媒を除去し、粗材料に、シリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0070】
例18(参考例)
K2OsO4・2H2O/Na2WO4・2H2Oを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
K2OsO4・2H2O(3.68mg、0.01mmol)、Na2WO4・2H2O(3.29mg、0.01mmol)、NMM(0.5mmol)、(DHQD)2PHAL(0.03mmol、23mg)及び1/5のH2O2(1/5×1.5mmol)を、tBuOH−水(3:1、5mL)を保持する丸底フラスコに取り、室温で20分間にわたって撹拌した。この混合物に、オレフィン(1mmol)及びH2O2の残部を、10時間かけてそれぞれ別のシリンジポンプを使用して加えた。加え終わった後で、反応混合物を更に2時間にわたって撹拌した。反応混合物にトルエンを加えて相分離させ、水性相をトルエン(2×5mL)で抽出した。有機相は1NのHClで洗浄し、キラル配位子を回収した。有機溶媒を除去し、粗材料に、シリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0071】
例19(参考例)
Na2PdCl4/K2OsO4・2H2O/Na2WO4・2H2Oを使用する(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
Na2PdCl4(2.94mg、0.01mmol)、K2OsO4・2H2O(3.68mg、0.01mmol)、Na2WO4・2H2O(3.29mg、0.01mmol)、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(3mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。1.5mMのH2O2を、12時間にわたってゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌した。反応混合物にトルエンを加えて相分離させ、水性相をトルエン(2×5mL)で抽出した。有機相は1NのHClで洗浄し、キラル配位子を回収した。有機溶媒を除去し、粗材料に、シリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。金属塩は回収すること、及び水性相の蒸発によって次の反応で再使用することができる。
【0072】
キラルビシナルジオールのLDH−PdOsW触媒合成
例20
(R,R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMのブロモベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、16時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0073】
例21
(R,R)−(+)−1−(4−メトキシフェニル),2−フェニルエタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMの4−ヨードアニソール、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0074】
例22
(R,R)−(+)−1−(4−メチルフェニル),2−フェニルエタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMの4−ヨードトルエン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0075】
例23
(R,R)−(+)−1−(4−クロロフェニル),2−フェニルエタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMの4−クロロヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0076】
例24
(R,R)−(+)−4,4’−ジメチルジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMの4−ヨードトルエン、1mMの4−メチルスチレン及び1.1mMのEt3Nを、16時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0077】
例25
(R,R)−(+)−4,4’−ジメトキシジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMの4−ヨードアニソール、1mMの4−メトキシスチレン及び1.1mMのEt3Nを、16時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0078】
例26
(2S,3R)−(−)−メチル−2,3−ジヒドロキシ−3−フェニルプロピオネートの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMの4−ヨードベンゼン、1mMのメチルアクリレート及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0079】
例27
(2S,3R)−(−)−エチル−2,3−ジヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオネートの合成
1mol%のLDH−PdOsW、1mMのヨードアニソール、1mMのエチルアクリレート及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。TLCで監視したときにヘックカップリングが完了した後で、加熱を停止し、5mLのtブタノール−水(5:1)中の(DHQD)2PHAL(1mol%)及び0.5mMのNMMの混合物を一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。組み合わされたろ液を1NのHCl(2×5mL)で抽出して、水性層からキラル配位子を回収した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0080】
例28
SGS−(QN)2PHAL−PdOsWを使用する(R.R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
アセトニトリル(5mL)中の1mol%のSGS−(QN)2PHAL−PdOsW、1mMのヨードベンゼン、1mMのスチレン及び1.1mMのEt3Nを、8時間にわたって70℃で撹拌した。この段階で、加熱を停止し、減圧下で溶媒を除去した。5mLのtブタノール−水(5:1)中の0.5mMのNMMを一度に反応フラスコに加えた。その後、1.5mMのH2O2を、12時間かけてゆっくりと加えた。加え終わった後で、得られた溶液を更に1時間にわたって撹拌し、触媒をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を除去した後で、粗材料に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルでクロマトグラフ処理を行って、対応するcis−ジオールを得た。
【0081】
(R.R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成でのLDH−PdOsWの再使用
例29
例11で回収したLDH−PdOsWを使用する(R.R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
この反応は、例5と同様な方法を使用して行った(収率84%、鏡像体過剰率(ee)99%)。
【0082】
例30
例29で回収したLDH−PdOsWを使用する(R.R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
この反応は、例10と同様な方法を使用して行った(収率86%、鏡像体過剰率99%)。
【0083】
例31
例30で回収したLDH−PdOsWを使用する(R.R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
この反応は、例10と同様な方法を使用して行った(収率84%、鏡像体過剰率99%)。
【0084】
例32
例31で回収したLDH−PdOsWを使用する(R.R)−(+)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオールの合成
この反応は、例10と同様な方法を使用して行った(収率85%、鏡像体過剰率99%)。
【0085】
例9〜32の実験結果は表1〜3に示している。
【表1】
【0086】
【表2】
a:カラムクロマトグラフ処理を使用して分離した後の収率(%)
b:ee(%)(鏡像体過剰率)は、キラルHPLC解析によって決定
【0087】
【表3】
【0088】
本発明の主要な利点
1.単一のポットにおけるハロゲン化アリール及びオレフィンからのキラルビシナルジオールの合成のための方法は、新しく且つ環境に優しい。本発明の方法は、可溶性で毒性の四酸化オスミウム又は二水和オスミウム酸カリウム二無水物を使用せずに、代わりに新しい不均一系再使用可能多機能触媒を使用する。本発明の触媒は、スチレン及びハロゲン化アリールのような容易に入手可能な比較的安価な開始物質からその場で、AD反応のためのNMO、前(pro)キラルオレフィン及び先駆物質を発生させることによって3つの異なる反応を触媒し、それによって比較的良好且つ経済的な方法にとって重要なエネルギー及び時間の節約を達成するので重要である。使用する触媒は経済的であり、廃棄の問題をもたらさない。
2.多機能再使用可能触媒をキラルビシナルジオールの合成のための不均一系触媒として使用すると、製品中の微量のオスミウムの存在が防がれる。
3.立体選択性及び収率が良好であり、且つ使用方法が単純である。
Claims (27)
- キラルビシナルジオールの調製用再使用可能多機能触媒であって、式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びパラジウム」、「オスミウム及びタングステンもしくはオスミウム及びチタン」又は「オスミウム、パラジウム及びタングステン」を含む活性種である、キラルビシナルジオールの調製用再使用可能多機能触媒。
- 含有されている前記活性種が支持体の5〜30%である、請求項1に記載の触媒。
- 合成したままの前記支持体が、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物及びそれらの混合からなる群より選択されるアニオンを有する、請求項1に記載の触媒。
- ハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−PdOs、樹脂−PdOs及びSiO2−PdOs、並びにハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するSGS−(QN)2PHAL−PdOsからなる群より選択される、請求項1に記載の触媒。
- H2O2を使用してオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−OsW、樹脂−OsW、SiO2−OsW、SGS−(QN)2PHAL−OsW及びSGS−(QN)2PHAL−OsTiからなる群より選択される、請求項1に記載の触媒。
- H2O2を使用してハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するLDH−PdOsW、樹脂−PdOsW、SiO2−PdOsW及びSGS−(QN)2PHAL−PdOsWからなる群より選択される、請求項1に記載の触媒。
- キラルビシナルジオールの調製用再使用可能多機能触媒の調製方法であって、この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びパラジウム」、「オスミウム及びタングステンもしくはオスミウム及びチタン」又は「オスミウム、パラジウム及びタングステン」を含む活性種であり、この方法が、前記活性種の塩を、窒素雰囲気で5〜24時間にわたって20〜100℃の温度で水性溶媒中において前記支持体と反応させること、及びその後で洗浄して所望の再使用可能多機能触媒を得ることを含む、キラルビシナルジオールの調製用再使用可能多機能触媒の調製方法。
- 前記触媒に含有されている前記活性種が、支持体の5〜30%の範囲である、請求項7に記載の方法。
- 合成したままの前記支持体が、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物及びそれらの混合からなる群より選択されるアニオンを有する、請求項7に記載の方法。
- 調製した前記再使用可能多機能触媒が、ハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−PdOs、樹脂−PdOs及びSiO2−PdOs、並びにハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するSGS−(QN)2PHAL−PdOsを含む、請求項7に記載の方法。
- 調製した前記再使用可能多機能触媒が、H2O2を使用してオレフィンからキラルビシナルジオールを合成するLDH−OsW、樹脂−OsW、SiO2−OsW、SGS−(QN)2PHAL−OsW及びSGS−(QN)2PHAL−OsTiを含む、請求項7に記載の方法。
- 調製した前記再使用可能多機能触媒が、H2O2を使用してハロゲン化アリール及びオレフィンからキラルビシナルジオールを調製するLDH−PdOsW、樹脂−PdOsW、SiO2−PdOsW及びSGS−(QN)2PHAL−PdOsWを含む、請求項7に記載の方法。
- 再使用可能多機能触媒を使用するハロゲン化アリール及びオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法であって、この触媒が式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びパラジウム」を含む活性種であり、この方法が、前記触媒を使用して、0.5〜48時間にわたって−20〜200℃の温度において、水、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールからなる群より選択される溶媒中で、酸化剤とキナアルカロイドの存在下におけるヘックカップリング及び非対称ジヒドロキシル化によって、ハロゲン化アリール及びオレフィンを反応させること、並びに所望のキラルビシナルジオールを得ることを含む、再使用可能多機能触媒を使用するハロゲン化アリール及びオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法。
- 反応で使用する前記多機能触媒の量が、基質に対して活性種が0.01〜10mol%になる量である、請求項13に記載の方法。
- 使用した前記多機能触媒をろ過によって回収し、一貫した活性で複数のサイクルにわたって再使用する、請求項13に記載の方法。
- 使用する前記酸化剤が、N−メチルモルフォリンN−オキシド(NMO)、トリメチルアミンN−オキシド、過酸化水素、t−ブチル過酸化水素、フェロシアン化カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム及び分子状酸素からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
- 使用する前記キナアルカロイド化合物が、(DHQD)2PHAL、(DHQD)2PYR、(DHQD)2AQN、DHQD−OAc、DHQD−CLB、DHQD−PHN、DHQD−MEQ、DHQD−IND及びこのような配位子の他の疑似鏡像異性体型からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
- 再使用可能多機能触媒を使用するハロゲン化アリール及びオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法であって、この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム、パラジウム及びタングステン」を含む活性種であり、この方法は、前記触媒を使用して、0.5〜48時間にわたって−20〜200℃の温度において、水、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールからなる群より選択される溶媒中で、酸化剤とキナアルカロイド化合物の存在下におけるヘックカップリング、N−酸化及び非対称ジヒドロキシル化によって、ハロゲン化アリール及びオレフィンを反応させること、並びに所望のキラルビシナルジオールを得ることを含む、再使用可能多機能触媒を使用するハロゲン化アリール及びオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法。
- 反応で使用される前記多機能触媒の量が、基質に対して活性種が0.01〜10mol%になる量である、請求項18に記載の方法。
- 使用した前記多機能触媒をろ過によって回収し、一貫した活性で複数のサイクルにわたって再使用する、請求項18に記載の方法。
- 使用する前記酸化剤が、N−メチルモルフォリンN−オキシド(NMO)、トリメチルアミンN−オキシド、過酸化水素、t−ブチル過酸化水素、フェロシアン化カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム及び分子状酸素からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
- 使用する前記キナアルカロイド化合物が、(DHQD)2PHAL、(DHQD)2PYR、(DHQD)2AQN、DHQD−OAc、DHQD−CLB、DHQD−PHN、DHQD−MEQ、DHQD−IND及びこのような配位子の他の疑似鏡像異性体型からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
- 再使用可能多機能触媒を使用するオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法であって、この触媒は式S−Mで表され、ここでSは、LDH、樹脂、シリカ、クレイ、アルミナ及びS’−NR3Xからなる群より選択される支持体であり(S’は樹脂及びシリカから選択される非改質支持体であり、Rは、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群より選択されるアルキル基であり、Xは、Cl、Br、I、F、OH及びOAcからなる群より選択される)、またMは、「オスミウム及びタングステン又はオスミウム及びチタン」を含む活性種であり、この方法は、前記触媒を使用して、0.5〜48時間にわたって−20〜200℃の温度において、水、アセトン、アセトニトリル及びt−ブタノールからなる群より選択される溶媒中で、酸化剤とキナアルカロイド化合物の存在下におけるN−酸化によって、オレフィンをジヒドロキシル化させること、並びに所望のキラルビシナルジオールを得ることを含む、再使用可能多機能触媒を使用するオレフィンからのキラルビシナルジオールの調製方法。
- 反応で使用する前記多機能触媒の量が、基質に対して活性種が0.01〜10mol%になる量である、請求項23に記載の方法。
- 使用した前記多機能触媒をろ過によって回収し、一貫した活性で複数のサイクルにわたって再使用する、請求項23に記載の方法。
- 使用する前記酸化剤が、N−メチルモルフォリンN−オキシド(NMO)、トリメチルアミンN−オキシド、過酸化水素、t−ブチル過酸化水素、フェロシアン化カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム及び分子状酸素からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
- 使用する前記キナアルカロイド化合物が、(DHQD)2PHAL、(DHQD)2PYR、(DHQD)2AQN、DHQD−OAc、DHQD−CLB、DHQD−PHN、DHQD−MEQ、DHQD−IND及びこのような配位子の他の疑似鏡像異性体型からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
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