JP3928881B2 - 単球由来多能性細胞momc - Google Patents
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[方法と材料]
実施例1(MOMCの培養)
成人健常ドナーから得たヘパリン添加静脈血を、Lymphoprep(Nycomed Pharma AS社製)を用いた密度勾配遠心分離にかけてPBMCを単離した。血液検体は全て、倫理委員会が定める書面によるインフォームドコンセントを被験者が提出した後に採血したものである。単離した細胞をリン酸緩衝液(PBS)で2回洗浄し、10%熱不活化FBS(JRH Biosciences社製)添加低グルコースDMEMに懸濁した。PBMCを、外因性成長因子不在下、37℃、5%CO2、湿気下の諸条件のもと、フィブロネクチンでコートしたプラスチックプレート上にて密度2×106/mlで培養し、培養3日目に非接着細胞を除去した。3日毎に新鮮培地に交換しながら、4週間まで細胞を培養した。培養7〜10日目に接着細胞をMOMCとして回収し、以下のアッセイに用いたり、或いはフィブロネクチンでコートしたプレートに新たに移し替えて同一培養条件下で10世代まで維持した。
プラスチックプレート上、20%FBS及び4ng/mlのM−CSF(R&D Systems社製)を添加したM199培地において接着PBMCを7日間培養し、マクロファージを調製した(Differentiation, 65, 287-300, 2000)。プラスチックに接着したPBMCを連続培養条件下において成熟させることにより、成熟単球由来樹状細胞を得た(J Immunol Methods, 196, 121-135, 1996)。その概要は、50ng/mlのGM−CSF及び50ng/mlのIL−4を含む10%FBSを添加したRPMI1640培地上で接着細胞を7日間培養した(材料は全てPeproTech社製)。次に幼若樹状細胞を、50ng/mlのTNF−α(PeproTech社製)共存下で3日間インキュベートした。フローサイトメトリー分析の結果、マクロファージ画分には、CD14+CD80+細胞が98%以上含まれており、樹状細胞画分には、CD83+HLA−DR+細胞が95%以上、CD14+細胞が1%未満の割合で含まれていた。
健常ドナーに皮膚生検を行ってヒト皮膚線維芽細胞を得て、その初代培養を樹立し、10%FBS添加低グルコースDMEM中で維持した。初代ヒト筋芽細胞は、臨床的に筋炎が疑われるが組織学上は正常な患者の筋肉生検を培養することにより作製した(J Cell Biol., 144, 631-643, 1999)。ヒト骨肉腫細胞株MG−63、横紋筋肉腫細胞株RD、及び軟骨肉腫細胞株OUMS−27は、日本ヒューマンサイエンス研究資源バンク(日本、大阪府)から入手し、10%FBS添加低グルコースDMEMで維持した。
PBMCから新たに作製したMOMC、数代にわたり継代培養されたMOMC、又は低温保存されていたMOMCのいずれかを、新たにフィブロネクチンをコートしたプラスチックプレート、又はチャンバースライドに移して10%FBS添加高グルコースDMEM(Hyclone Laboratories社製)中でセミコンフルエントになるまで生育させた。次に、下記の種々の間葉系細胞型にMSCを分化させることが知られている誘導条件下(Science,284, 143-147, 1999, J Cell Biol., 144, 631-643, 1999, J Cell Biochem., 64, 295-312, 1997, Muscle Nerve,18, 1417-1426, 1995, Tissue Eng., 4, 415-428, 1998, Arthritis Rheum., 44, 85-95, 2001, J Biol Chem., 275, 9645-9652, 2000)で、上記細胞を培養した。コントロールとして、PBMCから新たに単離した単球、マクロファージ及び皮膚線維芽細胞も同一条件下で処理した。
MOMCを8日間ウィスターラット胎児由来の培養心筋細胞とともに共培養を行った。
培養細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した後、ヒト特異的抗ネスチン(nestin)抗体(Chemicon社)により免疫染色(DAB発色)を行った。
MOMCを8日間ウィスターラット培養神経細胞とともに共培養を行った。培養細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した後、ヒト特異的抗ネスチン抗体により免疫染色(DAB発色)を行った。
MOMCを付着細胞として血管内皮細胞維持培地EBM−2(Clonetics社)中で7〜10日間培養した。培養細胞を10%中性緩衝ホルマリンで固定した後、抗CD34抗体(Calbiochem-Novabiochem社)、抗vWF抗体(Dako社)、抗eNOS抗体(Bechton-Dickinson社)、抗VEGFR2/KDR/Flk−1抗体(Sigma社)により免疫染色(DAB発色)を行った。
蛍光細胞染色は以下の手順で行った。2mMのEDTA共存下における氷上インキュベーションにより、接着細胞をプラスチックプレートから脱離させ、正常マウス又はラットの血清を用い、4℃下で10分間ブロックした。抗HLA−DR抗体、抗CD11c抗体(BD Pharmingen社製)、抗CD11b/Mac−1抗体、抗CD14抗体、抗CD29抗体、抗CD34抗体、抗CD44抗体、抗CD83抗体、抗CD105/エンドグリン/SH2抗体、抗CD117/c−kit抗体(Immunotech社製)、抗CD34抗体、抗CD133抗体(MiltenyiBiotech社製)、抗HLAクラスI抗体、抗HLA−DR抗体、抗CD31/PECAM−1抗体、抗Flt−1/VEGFR1抗体、抗Flk−1/VEGFR2抗体(Sigma社製)、抗CD40抗体、抗CD54抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体(Ancell社製)、抗CD144/VE−カドヘリン抗体、抗I型コラーゲン抗体(Chemicon International社製)を含むマウスモノクローナル抗体、又はラット抗Sca−1モノクローナル抗体(Cedarlane Laboratories社製)に、FITC、フィコエリトリン(PE)若しくはPC5を結合させて、又は結合させないで、上記細胞を染色した。非結合モノクローナル抗体を用いた場合には、FITC若しくはPEを結合したヤギ抗マウス抗体若しくはラットIgG F(ab’)2抗体(Immunotech社製)を2次抗体として使用した。IntraPrepTM浸透処理試薬(Immunotech社製)により細胞の浸透処理及び固定化を行い、細胞内染色を行った。細胞の分析は、CellQuestソフトウエアを使用したFACSRCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson社製)により行った。フォワード及びサイドスキャッターでのゲーティングにより可視化細胞を同定し、データは対数ヒストグラム又はドットプロットとして示した。
サイトスピン法により単球及びマクロファージ、樹状細胞をスライド上に塗抹し、これら細胞以外の細胞型は、フィブロネクチンでコートしたチャンバースライド上で培養したが、フィブロネクチン染色用には、コラーゲンI型をコートしたチャンバースライドを用いた。これらの細胞を10%ホルマリンで固定し、3%過酸化物を用い、外因性ペルオキシダーゼ活性を5分間抑制した。抗CD45抗体、抗ビメンチン抗体、抗骨格筋特異的アクチン抗体(SkM−アクチン)(Dako社製)、抗CD34抗体(Calbiochem-Novabiochem社製)、抗I型コラーゲン抗体(Chemicon社製)、抗III型コラーゲン抗体、抗フィブロネクチン抗体(Sigma社製)、抗II型コラーゲン抗体(ICN Biomedicals社製)、抗骨格筋特異的ミオシン重鎖抗体(SkM−MHC)(Zymed Laboratories社製)を含むマウスモノクローナル抗体又はラット抗Sca−1モノクローナル抗体共存下にて30分間スライドをインキュベートし、さらにビオチン標識抗マウス抗体若しくは抗ラットIgG抗体共存下でのインキュベーションを行った。3,3’−ジアミノベンジジンを基質として用い、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合物(ニチレイ社製)を室温で10分間反応させることにより、抗体−ビオチン結合体を検出した。核をヘマトキシリンで対比染色した。上記1次抗体の代りに正常マウス若しくはラットのIgG抗体(Dako社製)共存下でインキュベートした細胞を負のコントロールとした。
2.5μg/mlのDil−Ac−LDL(Molecular Probes社製)共存化で接着細胞を1時間培養し、Ac−LDL摂取量をフローサイトメトリーで調べた。
10%ホルマリンに細胞を固定し、0.2mg/mlのナフトールAS−TRホスフェート及び0.5mg/mlのFast Red RC(全てSigma社製)を含む溶液中で10分間インキュベートした。
細胞内におけるカルシウム沈着を調べるため、細胞を10%ホルマリンに固定し、2%アリザリンレッドS(Sigma社製)で3分間染色し、蒸留水で入念に洗浄した。市販のキット(Sigma社製)を使い、細胞内カルシウム濃度を測定した(J Biol Chem., 275, 9645-9652, 2000)。ウシ血清アルブミンを標準とするブラッドフォード・プロテイン・アッセイキット(Bio-Rad Laboratories社製)を使用し、細胞抽出物におけるタンパク質含量も測定した。カルシウム濃度は、タンパク質含量1μgあたりのμg数として表示した。
0.2%グルタルアルデヒドに細胞を5分間固定し、60%イソプロパノールで洗浄し、0.1%オイル-レッドO(Sigma社製)で10分間覆った。60%イソプロパノール、次いで蒸留水による洗浄後、細胞のヘマトキシリン対比染色を行った。
培養後のMOMCを直ちに2.5%グルタルアルデヒドに固定し、2%四酸化オスミウムで2次固定し、エタノール及び酸化プロピレンの一連使用により脱水してエポキシ樹脂に包埋した。LKBウルトラトーム上で、細胞をダイアモンドナイフで薄切片化した。灰色から銀色の範囲の切片を150−メッシュグリッド上に回収し、酢酸ウラニル及び酢酸鉛で二重染色を施し、JEOL-1200EXII電子顕微鏡下で観察した(Jeol社製)。
MOMCの増殖は、文献(Blood, 71, 1201-1210, 1988)記載の方法に従い、BrdUで標識することにより検出した。以下簡潔に説明する。10μMのBrdU(Sigma社製)存在下で、染色するまでの2時間MOMCを培養した。Carnoyの固定剤(メタノール/酢酸)で−20℃で30分間固定した後、細胞を風乾し、2N−HClで1時間処理してDNAを変性させ、さらに10分間0.1Mのホウ酸塩(pH8.5)で中和した。これらの細胞をマウス抗BrdUモノクローナル抗体(Chemicon International社製)共存下でインキュベートし、ビオチン−ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体で染色した。核はヘマトキシリンで対比染色した。上記の1次抗体の代りに、アイソタイプが一致するマウスのコントロールモノクローナル抗体共存下でインキュベートした細胞を負のコントロールとした。非固定細胞を、ヨウ化プロピジウム(Sigma社製)共存下で30分間インキュベートして、蛍光顕微鏡観察を行い、アポトーシスを起こした細胞を検出した。
RNeasyキット(Qiagen社製)を用いて分化誘導処理を行った場合と行わなかった場合の双方において、MOMCから全RNAを抽出した。末梢血CD14+単球、並びにマクロファージ、樹状細胞、皮膚線維芽細胞、筋芽細胞、骨肉腫、横紋筋肉腫及び軟骨肉腫を含む種々の培養細胞からも全RNAを抽出した。ヒト筋肉及び脂肪組織由来の全RNAサンプルは、Clonetech Laboratories社から購入した。Molonyマウス白血病ウイルス・リバーストランスクリプターゼ(Takara社製)を用い、オリゴ−dTをプライマーとして、全RNAから一本鎖cDNAを合成した。次にこのcDNA(50ngの全RNAに相当)を、配列番号3〜34に示される表1記載の各種特異的プライマーを用いたPCR増幅法にかけた。このPCR産物を2%アガロースゲル電気泳動分析にかけ、臭化エチジウム染色により可視化した。
全ての比較における統計有意は、Mann−WhitneyのU検定により試験した。
実施例18(MOMCの作製)
フィブロネクチンでコートしたプレート上にて、10%FBSを単独添加したDMEM中でPBMCを培養すると、一部の細胞が直ちにプレートに付着した。円形細胞の小クラスターが24時間以内に発生し、そこから細胞突起が伸張した。培養5日目に線維芽細胞様形態を呈する接着細胞が出現した。さらに3日間培養すると、この線維芽細胞様細胞は、培養中の優勢細胞となった(図1a)。かかる線維芽細胞はクラスター周辺部に高頻度で観察された(図1b)。線維芽細胞様細胞は、培養14日目頃までは徐々にその数を増やした。それ以降、増殖能は次第に消失していったが、細胞は4週間まで生存していた。ドナー50名から得たPBMC108個を培養したところ、7日目に0.3〜1×107個の接着細胞が得られた。フローサイトメトリー分析の結果、培養7日目に回収した細胞は単一のフェノタイプを示し(95%以上がホモジニアス)、CD14、CD45、CD34、及びI型コラーゲンに対して陽性だった(図2)。このフェノタイプは独特であり、単球/マクロファージ(CD14+、CD45+、CD34-及びI型コラーゲン-)、血管内皮前駆細胞(CD14-、CD45-、CD34+及びI型コラーゲン-)(Science, 275, 964-967, 1997)、及び間葉系前駆細胞(CD14-、CD45-、CD34-、及びI型コラーゲン+)(Arthritis Res., 2, 477-488, 2000)を含む既知の末梢血由来接着細胞のフェノタイプとは異なっている。少なくとも50名のドナーから得た細胞は、同じフェノタイプを有していた。7日目に、新たにフィブロネクチンでコートしたプレートに細胞を移し替え、同一条件下で培養したところ、殆ど全ての細胞が、細長い線維芽細胞様の形態を現した(図1c)。これらの細胞は、5世代まで増殖することができ、細胞増殖は継代直後に最も盛んになるようだった。しかし5世代継代以降は、細胞増殖速度が徐々に遅くなり、8世代継代を超えると、その増殖能は消失した。特別な処理を施さない限りは、培養期間中に細胞が成熟間葉系細胞へ自然に分化することはなかったが、高いコンフルエンシーとなるように細胞を播種すると、複数の核をもつ細胞の出現が僅かに認められた。インビトロ培養でPBMCから得られたこれらの線維芽細胞様細胞を、以下の知見に基づき、MOMCと名付けた。
フィブロネクチンでコートしたプレート上でPBMCを培養して得られた接着細胞を、フローサイトメトリーにかけ、その表面におけるCD14及びCD34の発現を連続的に調べた(図3a)。1時間後にプレートに付着した細胞の大多数はCD14+及びCD34-だったが、接着CD14+細胞上におけるCD34の発現は次第にアップレギュレートされていった。培養7日後には、殆ど全ての接着細胞がCD14及びCD34に対して陽性を示した。末梢血には、CD34+血管内皮細胞前駆細胞(Science, 275, 964-967, 1997)及びCD105/エンドグリン/SH2+間葉系前駆細胞(Science, 284, 143-147, 1999, Arthritis Res., 2, 477-488, 2000, Biochem Biophys Res Commun., 265, 134-139, 1999)が含まれているため、本発明者らは、PBMCからCD14、CD34又はCD105に対する陽性細胞を除去することによりもたらされるMOMCのインビトロ誘導における効果を考察した。図3bに示したとおり、CD14+単球の除去によりMOMCの出現は、ほぼ完全に阻害されたが、CD34+又はCD105+細胞を除去しても何の効果も生じなかった。MOMCが循環単球由来であることをさらに確認すべく、PBMCからCD14+単球を分離し、PKH67で標識し、非標識CD14-細胞共存下においてフィブロネクチンでコートしたプレート上で培養した。図3cに示すように、培養一週間後にPKH67標識単球はCD34を発現した。以上の知見を総合すると、MOMCが循環CD14+単球由来であることが示唆される。しかし、培養3日目に回収された非接着細胞にもCD14+細胞が有意比率で含まれており、CD14+単球の一部のサブセットがフィブロネクチンへの付着能を有し、MOMCに分化することが示唆される。
MOMCにおける種々の細胞表面分子及び細胞内分子の発現を、フローサイトメトリー及び免疫組織化学法により調べ(図2及び図4)、そのタンパク質発現プロフィールを、単球、マクロファージ及び樹状細胞のものと比較した(表2)。MOMCは、造血及び単球系統マーカー遺伝子(CD45、CD14、CD13、CD11b、CD11c及びCD64)を発現したが、樹状細胞マーカー遺伝子(CD1a及びCD83)は発現しなかった。MOMC上においてHLAクラスI、HLA−DR、及び共刺激分子(CD40及びCD86)が発現されることから、MOMCは抗原提示細胞として、抗原特異的T細胞活性の誘導能を有していることが強く示唆される。MOMCは、造血幹/血管内皮細胞マーカー遺伝子CD34、及び間葉系幹/血管内皮細胞マーカー遺伝子CD105/エンドグリン/SH2を発現した(Biochem Biophys Res Commun., 265, 134-139, 1999)。またMOMCは、幹細胞マーカー遺伝子Sca−1を発現したが、別の幹細胞マーカー遺伝子であるCD117/c−kit及びCD133は発現しなかった。またMOMCは、血管内皮細胞マーカー遺伝子であるCD144/VE−カドヘリン及びFlt−1/VEGFR1陽性だったが、Flk−1/VEGFR2及びvWFの発現は認められなかった。MOMCは、一般に間葉系由来細胞によって産生される細胞外マトリックスタンパク質であるI型及びIII型コラーゲン、フィブロネクチン及びビメンチン陽性だった。これらのタンパク質発現プロフィールは、5世代継代まで変化しなかった。MOMCは単球及び単球由来食細胞とは異なるフェノタイプを示した。特に、幹細胞マーカー遺伝子(CD34、Sca−1及びCD105)、血管内皮マーカー遺伝子(CD144/VE−カドヘリン及びFlt−1/VEGFR1)、及び間葉系マーカー遺伝子(I及びIII型コラーゲン及びフィブロネクチン)の発現は、MOMC独特の特徴だった。従って、MOMCは、食細胞、血管内皮細胞、間葉系細胞及び幹細胞のフェノタイプを併せもつ細胞であるとの認識が成立する。
培養中にMOMCが増加する様子が認められた。この観察結果が細胞分裂に基づくものかを考察すべく、MOMCにおける分裂細胞の比率をBrdU染色によって連続的に調べた(図5a)。半数近くの接着細胞が、継代1日後にBrdUによって染色されたが、BrdU+細胞は培養5日目に著減した。1、3、5、7及び10日目に、全接着細胞におけるBrdU+細胞の割合を計算したところ、BrdU+細胞の比率は、培養1日目に最大を示し、以後経時的に減少した。ヨウ化プロピジウム染色陽性細胞は、どの時点においても1%未満だった。CFSE標識を行って調べた結果、MOMCが継代後に活発かつ同調的に分裂している様子が認められ、優勢的に増殖している細胞部分はなかった(図5c)。以上の知見は、MOMCが培養中における増殖能を有し、また、主に継代直後に増殖することを示唆するものである。
MOMCは、間葉系細胞にみられるいくつかの形態及びフェノタイプ上の特徴を備えていたことから、MOMCは、いくつかの間葉系統へと分化誘導していく能力を有しているとの仮説をたてた。この仮説を確かめるため、MSCを骨、骨格筋、軟骨及び脂肪へと分化誘導することが知られている各種条件下でMOMCを培養した。
神経、心筋前駆細胞に発現するマーカーであるネスチン(Brown)が、共培養8日目のMOMCに発現し、周囲ラット培養心筋細胞との結合が観察された(図8A)。
神経、心筋前駆細胞に発現するマーカーであるネスチン(Brown)が、共培養8日目のMOMCに発現し、周囲ラット培養神経細胞へ向かう神経突起の伸長が観察された(図9A)。
EBM−2培地で7日間分化誘導したMOMCは紡錘形から多数の突起を有する形態に変化し、もともと発現していなかった血管内皮細胞に特異的なvWF、eNOS、VEGFR2/KDR/Flk−1を発現した。
Claims (8)
- 末梢血単核細胞(PBMC)をフィブロネクチン上でインビトロ培養し、CD14とCD34とを発現する線維芽細胞様細胞を採取することにより得られ、CD14とCD34とCD45とI型コラーゲンとを発現し、間葉系組織へと分化誘導する条件下での培養により間葉系細胞に、培養心筋細胞との共培養等の心筋へと分化誘導する条件下での培養により心筋細胞に、培養神経細胞との共培養等の神経へと分化誘導する条件下での培養により神経細胞に、血管内皮細胞を維持する条件下での培養等の血管内皮へと分化誘導する条件下での培養により血管内皮細胞に、それぞれ分化しうる単球由来多能性細胞。
- 間葉系細胞が、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、軟骨細胞又は脂肪細胞であることを特徴とする請求項1記載の単球由来多能性細胞。
- 中胚葉系細胞に分化しうることを特徴とする請求項1又は2記載の単球由来多能性細胞。
- 請求項1〜3のいずれか記載の単球由来多能性細胞を間葉系組織へと分化誘導する条件下で培養することを特徴とする間葉系細胞の誘導方法。
- 間葉系細胞が、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、軟骨細胞又は脂肪細胞であることを特徴とする請求項4記載の間葉系細胞の誘導方法。
- 請求項1〜3のいずれか記載の単球由来多能性細胞を培養心筋細胞との共培養等の心筋へと分化誘導する条件下での培養することを特徴とする心筋細胞の誘導方法。
- 請求項1〜3のいずれか記載の単球由来多能性細胞を培養神経細胞との共培養等の神経へと分化誘導する条件下での培養することを特徴とする神経細胞の誘導方法。
- 請求項1〜3のいずれか記載の単球由来多能性細胞を血管内皮細胞を維持する条件下での培養等の血管内皮へと分化誘導する条件下での培養することを特徴とする血管内皮細胞の誘導方法。
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