JP3927638B2 - Aprotic electrolyte thin film and method for producing the same - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非プロトン性電解質薄膜及びその製造方法に関し、特にポリオレフィン多孔薄膜に、非プロトン性電解質溶液を固定化した非プロトン性電解質薄膜及びその製造方法に関する。
【従来の技術】
電解質薄膜は、燃料電池、食塩電解、一次電池、二次電池、促進輸送用分離膜、エレクトロクロミックデバイス、センサーなど低膜抵抗で、かつ優れた機械的強度の要求される分野に広く利用できる。なかでも、リチウム系二次電池などの高分子固体電解質として利用できる。
【0002】
高分子固体電解質系のリチウム二次電池は、リチウム金属のデンドライトの生成を阻止して電池の短絡損傷や発火問題を解決し、溶液系の二次電池に比べ液洩れがなく、特に薄膜化、大面積化を可能にするということで、開発が望まれてきている。
【0003】
LiClO4などのリチウム塩をポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテル誘導体に溶解させた高分子電解質が開発されているが、イオン導電率10-5〜10-3S/cmは室温より十分高温でないと発揮されない。
また、実効抵抗を下げるためには薄膜化の例として、50μm以下の固体高分子多孔薄膜の0.1μm以下の微細な空孔中に毛管凝縮を利用して液体状イオン導電体を固定化する方法(特開平1−158051)があるが、動作温度の問題は根本的には解決されていなかった。
【0004】
さらに、ポリマーマトリックスに従来の液体タイプのリチウム電池と同じような塩と溶媒の溶液を含浸させるゲル状ポリマーとして、架橋したポリアルキレンオキシドを電解質に用いる技術(USP4,303,748)、ポリアリレートをゲル化して電解質に用いる技術(USP4,830,939)が提案されている。また、最近では、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体にリチウム塩を溶解したカーボネート系溶液を含浸させたポリマーゲルを電解質に用いる技術(USP5,296,318)が提案され、有望視されているが、高温におけるゲル収縮による電解液の滲みだしの問題があり、溶媒保持性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解消し、薄膜化、大面積化などが容易で広い温度範囲で非プロトン性電解質溶媒の保持性に優れ、長期安定性と機械的強度の向上した非プロトン性電解質薄膜及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、主骨格は耐溶剤性に優れたポリオレフィンから構成され、末端鎖に使用する電解液溶媒と親和性を有する官能基を有するポリマーを含有するポリオレフィン組成物からなる多孔薄膜に電解質溶液を含浸させることにより、非プロトン性電解質溶液を膜に固定化し、溶媒保持性に優れた非プロトン性電解質薄膜が得られることを発見し本発明に想到した。すなわち、本発明の非プロトン性電解質薄膜は、末端変性ポリプロピレンと、これとは異なるポリオレフィンとを含有するポリオレフィン組成物からなるポリオレフィン多孔薄膜に非プロトン性電解質溶液を固定化させるものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
また、本発明の非プロトン性電解質薄膜の製造方法は、末端変性ポリプロピレンと、これとは異なるポリオレフィンとを含有するポリオレフィン組成物からなるポリオレフィン多孔薄膜に、非プロトン性電解質溶液を含浸し、固定化させるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の非プロトン性電解質薄膜は、主骨格は耐溶剤性に優れたポリオレフィン多孔薄膜から構成されている。このポリオレフィン多孔薄膜は、使用する電解液溶媒に親和性を有する官能基を末端鎖に有する末端変性ポリマーを含有するポリオレフィン樹脂組成物からなり、その多孔薄膜の空孔中に電解質を溶媒に溶解した電解質溶液が充填され、安定的に保持された薄膜である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
(1)ポリオレフィン多孔薄膜
本発明において使用されるポリオレフィン多孔薄膜は、末端変性ポリプロピレンと、これとは異なるポリオレフィンとを含有するポリオレフィン組成物からなる多孔薄膜である。
【0010】
1.ポリオレフィン組成物
a.ポリオレフィン
主骨格である耐溶剤性を有するポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−ペンテン−1、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体又は共重合体が挙げられるが、多孔構造の設計や薄膜化を考慮すると、これらのうちではポリプロピレン、ポリエチレン(特に高密度ポリエチレン)及びこれらの組成物等が好ましい。
また、該ポリオレフィンは、重量平均分子量が5×105以上、好ましくは1×106〜1×107の超高分子量成分を1重量%以上含有し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜300であるのが好ましい。超高分子量ポリオレフィン成分の含有量が1重量%未満では、膜の延伸性の向上に寄与するところが不十分である。一方、上限は特に限定的ではない。また、分子量分布が300をこえると、低分子量成分による破断が起こり薄膜全体の強度が低下するため好ましくない。
【0011】
該ポリオレフィンは上記分子量及び分子量分布を有していれば、多段重合によるものであっても、2種以上のポリオレフィンによる組成物であっても、いずれでもよい。
【0012】
なお、上述したような超高分子量成分を含有するポリオレフィンには、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填材などの各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0013】
b.末端変性ポリプロピレン
末端変性ポリプロピレンは末端に官能基構造を有するポリプロピレンである。ここでポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体に限らず、プロピレンと他のα−オレフィン(例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との1種または2種以上のブロック共重合体ゴムを包含する。
【0014】
末端に官能基構造を有するポリプロピレンは、次のようにして製造できる。
すなわち、特定のバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下でプロピレンをリビング重合して得られるリビングポリプロピレンを官能基含有モノマーと反応させることにより製造する。
【0015】
バナジウム化合物としてはV(アセチルアセトナト)3、V(2−メチル−1、3−ブタンジオナト)3、V(1、3−ブタンジオナト)3が好ましい。有機アルミニウム化合物としては、炭素数1〜18個、好ましくは炭素数2〜6個を有する有機アルミニウム化合物またはその混合物または錯化合物であり、例えばジアルキルアルミニウムモノハライド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライドなどが挙げられる。
【0016】
重合反応は、重合反応に対して不活性で、かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが好ましい。そのような溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられる。
【0017】
プロピレンの重合時の重合触媒の使用量はプロピレン1モル当たりバナジウム化合物が1×10-4〜0.1モル、好ましくは5×10-4〜5×10-2モルで、有機アルミニウム化合物が1×10-4〜0.5モル、好ましくは1×10-3〜0.1モルである。なお、バナジウム化合物1モル当たり、有機アルミニウム化合物は4〜100モル用いられるのが望ましい。
【0018】
リビング重合は、通常−100℃〜100℃で、0.5〜50時間行われる。得られるリビングポリプロピレンの分子量は反応温度および反応時間を変えることにより調節できる。重合温度を低温、特に−30℃以下にすることにより、単分散に近い分子量分布を持つポリマーとすることができる。−50℃以下ではMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.05〜1.40のリビング重合体とすることができる。
【0019】
上記のようにして、約800〜400,000の数平均分子量を持ち、単分散に近いリビングポリプロピレンを製造できる。
【0020】
次に、末端に官能基構造を導入するために、リビングポリプロピレンと官能基含有モノマーと反応させる。導入するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、スチレンおよびその誘導体等が用いられる。具体的には、例えばアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチルデシルアクリレート、エチルヘキサデシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1、4ブタンジオールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリル系モノマーが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、ジメタクリル酸エチレングリコール等のメタクリル系モノマーが挙げられる。これらの1種類又は複数種類を選択して用いることができる。また、必要に応じてビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ビニルアクリル酸ブチル等の架橋性モノマーも用いることができる。
上記したモノマーのうちではアクリル酸、メタクリル酸またはこれらのエステルからなるモノマー、アクリルアミドまたはその誘導体からなるアクリル系モノマーを用いるのが好ましい。
【0021】
これらのモノマーは電解質薄膜の製造で用いる電解溶液の溶媒により適宜選択する。具体的には、溶解性を表す溶解度パラメーターの一つであるハンセンパラメーターを考慮に入れて選択する。ハンセンパラメーターとは、溶解度パラメーターを無極性相互作用による効果δd、分極による効果δp、水素結合による効果δh、の3成分に分けて三次元的に表したパラメーターで、多くの溶剤についてその値が調べられている(C.M.Hansen,et al.,Encyclopedia of Chemical Technology,N.Y.,p.889,1971)。また、ある特定のポリマーに対して溶解性の高い溶媒(良溶媒)および貧溶媒のハンセンパラメーターをδd、δp、δhのなす三次元空間座標にプロットすると、良溶媒のハンセンパラメーターは、ある大きさの球内に位置することが経験的に判っている。すなわち、ある溶媒とポリマーの三次元空間座標(δd、δp、δh)距離が近い場合、そのポリマーに対して良溶媒とみなすことができる。
【0022】
本発明では、リビング重合体を形成する単一モノマーあるいは複数モノマーの配合量を、電解溶液の溶媒のハンセンパラメーターに合わせて調節する。こうすることにより、電解溶液に効果的に膨潤ゲル化し、それを強固に固定化することができるようになる。ここで、末端変性リビング重合体を含有する樹脂組成物からなる多孔性薄膜は、その表面および細孔表面を覆っているリビング重合官能基に親和性のある電解液溶媒を選択的に取り込むが、主骨格が耐溶剤性に優れたポリエチレンから構成されているので、全体としてその膨潤は適度に抑えられ、大きな変形、強度の低下を防止できる。
【0023】
リビングポリプロピレンと官能基含有モノマーとの反応は、リビングポリプロピレンが存在する反応系にモノマーを供給し、反応させる。反応は通常−100℃〜150℃の温度で5分間〜50時間行う。反応温度を高くするか、反応時間を長くすることにより、モノマーユニットによるポリプロピレン末端の変性率を増大することができる。リビングポリプロピレン1モルに対して、通常モノマーを1〜1,000モル使用する。
【0024】
上記のようにして得られた末端変性ポリプロピレンは約800〜500,000の数平均分子量(Mn)を有し、かつ前記のリビングポリプロピレンそのものを踏襲した非常に狭い分子量分布(Mw/Mn=1.05〜1.40)を有する。しかも、その末端に、平均して0.1〜500個、好ましくは0.5〜100個の前記モノマーの末端構造を有する。またこのようにして製造した末端変性ポリプロピレンは、シンジオタクチックダイアッド分率が0.6以上であることが1つの特徴である。
【0025】
c.ポリオレフィンと末端変性ポリプロピレンの組成比
ポリオレフィンと末端変性リビング重合ポリプロピレンの組成比はリビング重合体が1〜50重量%で、好ましくは3〜30重量%である。1重量%未満では電解溶液の溶媒の含浸、固定化の効果が期待出来ない。一方、50重量%を超えると機械的強度の低下が著しくなる。
【0026】
2.ポリオレフィン多孔薄膜の製造法
本発明のポリオレフィン多孔薄膜の製造方法は、上述のポリオレフィン組成物を溶媒に加熱溶解することにより、溶液を調製する。この溶媒としては、ノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィンなどの脂肪族または環式の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分などを用いることができる。
【0027】
加熱溶解は、ポリオレフィン組成物を溶媒中で完全に溶解する温度で撹拌しながら行うか、又は押出機中で均一混合して溶解する方法で行う。溶媒中で撹拌しながら溶解する場合は、温度は使用する重合体及び溶媒により異なるが、例えばポリエチレン組成物の場合には140〜250℃の範囲である。ポリオレフィン組成物の高濃度溶液から多孔薄膜を製造する場合は、押出機中で溶解するのが好ましい。
【0028】
ポリオレフィン組成物と溶媒との配合割合は、ポリオレフィン組成物と溶媒の合計を100重量%として、ポリオレフィン組成物が10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、溶媒が90〜50重量%、好ましくは90〜60重量%である。ポリオレフィン組成物が10重量%未満では(溶媒が90重量%を超えると)、シート状に成形する際に、ダイス出口で、スウエルやネックインが大きくシートの成形性、自己支持性が困難となる。一方、ポリオレフィン組成物が50重量%を超えると(溶媒が50重量%未満では)、成形加工性が低下する。
【0029】
次に、このようにして溶融混練したポリオレフィン組成物の加熱溶液を押出機を介して、ダイス等から押し出して成形する。
ダイスは、通常長方形の口金形状をしたシートダイスが用いられるが、2重円筒状の中空糸ダイス、インフレーションダイス等も用いることができる。シートダイスを用いた場合のダイスギャップは通常0.1〜5mmであり、押し出し成形時には140〜250℃に加熱する。この際押し出し速度は、通常20〜30cm/分ないし5〜10m/分である。
このようにしてダイスから押し出された溶液は、急冷することによりゲル状成形物に形成される。冷却は少なくとも50℃/分の速度で行うのが好ましい。
【0030】
次に、このゲル状成形物に延伸を行う。延伸はゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法もしくはこれらの方法の組み合わせによって所定の倍率で行う。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。また、二軸延伸の場合は、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれでもよい。
【0031】
延伸温度はポリオレフィンの融点+10℃以下、好ましくはポリオレフィンの結晶分散温度から結晶融点未満の範囲で行う。例えば、ポリエチレン場合は、90〜140℃、好ましくは100〜130℃の範囲である。
【0032】
また延伸倍率は原反の厚さによって異なるが、一軸延伸では2倍以上が好ましく、より好ましくは3〜30倍である。二軸延伸では面倍率で10倍以上が好ましく、より好ましくは15〜400倍である。面倍率が10倍未満では延伸が不十分で高弾性、高強度の微多孔膜が得られない。一方、面倍率が400倍を超えると、延伸操作などで制約が生じる。
【0033】
延伸された成形物は、溶剤で洗浄し残留する溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの易揮発性のものを用いることができる。
【0034】
抽出後洗浄溶剤を乾燥し、結晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが望ましい。
以上のようにして製造したポリオレフィン多孔薄膜は破断強度が200kg/cm2以上とするのがよい。200kg/cm2以上とすることで、リビング重合官能基に電解溶液の溶媒が溶解した際の膨潤に対する耐変形性が十分となる。また厚さは好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.2〜50μmである。厚さが0.1μm未満では膜の機械的強度が小さく、実用に供することが難しい。一方100μmを超える場合は、厚すぎて小型の電池、コンデンサー製造の上では好ましくはない。なお、空孔率、孔径については特に限定はないが、電解質溶液を導入した状態でのイオン伝導を損なわない範囲の空孔率、孔径が好ましい。また、同状態で内部短絡を生じない範囲の空孔率、孔径が好ましい。
なお、得られたポリオレフィン多孔薄膜は、必要に応じてさらに、プラズマ照射、界面活性剤含浸、表面グラフト等の親水化処理などの表面修飾を施すことができる。
【0035】
(2)電解質溶液
1)電解質
本発明で用いる電解質としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が用いられ、例えばLiF、NaI、LiI、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiPF6、NaSCN等が挙げられる。
【0036】
2)電解液溶媒
本発明の電解質を溶解する非プロトン性溶媒としては、アルカリ金属に対して安定な溶媒で、具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、フォルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の非プロトン性の高誘電率溶媒が使用される。また、前述のように、本発明で用いる溶媒に親和性を有するように末端変性ポリプロピレンの官能基は選択される。
【0037】
(3)電解質薄膜の製法
ポリオレフィン多孔膜に電解質を電解液溶媒に溶解した電解質溶液を導入し非プロトン性電解質薄膜とする方法は、ポリオレフィン薄膜に電解質溶液を含浸、塗布またはスプレーなどの方法を単独あるいは組み合わせて使用することができ、末端変性ポリプロピレンの末端官能基が非プロトン溶液に親和性があるため、ポリオレフィン多孔薄膜に容易に含浸、固定される。また電解質溶液を導入するのは、電池に組み込む前でもよいし、電池組み立て途中でもよいし、電池組み立て最終工程でもよい。中でも、電池組み立て時の取扱い性、皺などの発生防止、正負極板表面との密着性などの観点と従来の電池組み立て工程をそのまま適用できることから、電池組み立て途中工程あるいは電池組み立て最終工程で電解質溶液を導入する方法が好ましい。
【0038】
こうして得られる電池は、従来の非プロトン系液体電解液と同じ電解液を使用しているが、ポリオレフィン薄膜に導入することにより毛管凝縮による固定化に加え、電解液が溶解、膨潤することにより固定化し、その結果液洩れの心配がなくなるとともに、蒸気圧が著しく下がり、燃えにくくなる。また、固定化された電解液は、イオン導電性においては液体状態とほぼ同様に働くので、動作温度も回避できる。
【0039】
【実施例】
以下に本発明について実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例における試験方法は次の通りである。
(1)膜厚:断面を走査型電子顕微鏡により測定。
(2)空孔率:重量法により測定。
(3)引張り破断強度:ASTM D882に準拠して測定。
【0040】
実施例1
重量平均分子量が2×106の超高分子量ポリエチレンを5重量%、重量平均分子量が4×105の高密度ポリエチレン20重量%、重量平均分子量が5万の末端にメチルアクリレート基を有するリビング重合ポリプロピレン5重量%、流動パラフィン(64cst/40℃)70重量%の混合物に、酸化防止剤をポリオレフィン組成物100重量部当たり0.375重量部を加え、2軸押出機で加熱混練した。
【0041】
これを長方形の口金を有するダイスから吐出し、30℃に調温したチルロールで引き取り0.5mm厚のシートとした。このシートをバッチ式2軸延伸機を用いて115℃で5×5倍に同時2軸延伸し、残留する流動パラフィンをn−ヘキサンで洗浄後、金枠に固定した状態で120℃で乾燥、熱セットしてポリエチレン多孔薄膜を得た。
【0042】
得られたポリエチレン多孔薄膜(膜厚25μm、空孔率38.5%、引張り破断強度875kg/cm2)10×10mm角を25℃のLiBF4を1mol%含むγ−ブチロラクトン溶液に1時間浸漬し、非プロトン性電解質薄膜とした。この非プロトン性電解質薄膜の表面の付着液を除いた後、直ちに膜重量の経時変化を測定し、0秒後に外挿することにより求めた重量増加率は65%であった。また、25℃で大気放置した状態で0秒後に外挿した重量を起点とする重量の経時変化を測定した結果、1時間後の重量減少率は0.5%以下であった。
【0043】
さらに、この非プロトン性電解質薄膜を直径10mmに打ち抜き、これを白金黒電極で挾み、周波数1KHzの交流で薄膜の電気抵抗値を測定し、薄膜の厚み及び面積より薄膜のイオン導電率を算出すると、7×10-3s/cmであった。
【0044】
比較例1
実施例1において、末端変性ポリプロピレンを用いない以外は実施例1と同様にして得られたポリエチレン微多孔膜(膜厚25μm、空孔率43.5%、引張り破断強度1049kg/cm2)10×10mm角を25℃のLiBF4を1mol%含むγ−ブチロラクトン溶液に1時間浸漬し、非プロトン性電解質薄膜とした。この非プロトン性電解質薄膜の表面の付着液を除いた後、直ちに膜重量の経時変化を測定し、0秒後に外挿することにより求めた重量増加率は49%であった。また、25℃で大気放置した状態で0秒後に外挿した重量を起点とする重量の経時変化を測定した結果、1時間後の重量減少率は2.5%であった。
【0045】
さらに、この非プロトン性電解質薄膜を直径10mmに打ち抜き、これを白金黒電極で挾み、周波数1KHzの交流で薄膜の電気抵抗値を測定し、薄膜の厚み及び面積より薄膜のイオン導電率を算出すると、7×10-3s/cmであった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の非プロトン性電解質薄膜は、基材として末端に官能基を有するリビングポリプロピレンを含有するポリオレフィン多孔薄膜を用いており、末端鎖の官能基により電解質溶液を固定化し、ポリオレフィン多孔薄膜主鎖骨格によりその過度な膨潤を抑えることにより、広い温度範囲で安定的に電解質溶液を保持することが出来るとともに、電解液溶媒の蒸発速度を極めて低く保つことができる。また、官能基の種類と長さを制御することにより、使用目的に併せてイオン伝導度を容易に制御することができる。すなわち、イオン導電性を著しく低下させることなく、過充電での安全性を向上することが出来る。
【0047】
特にポリオレフィンとして超高分子量ポリエチレン成分を用いた場合、非プロトン性電解質薄膜は機械的強度および耐久性に優れ、非プロトン系電解液を用いる一次電池、二次電池、コンデンサー、中でもリチウム一次電池、リチウム二次電池に好適に用いられる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an aprotic electrolyte thin film and a method for producing the same, and more particularly to an aprotic electrolyte thin film in which an aprotic electrolyte solution is immobilized on a polyolefin porous thin film and a method for producing the same.
[Prior art]
The electrolyte thin film can be widely used in fields requiring low mechanical resistance and excellent mechanical strength, such as fuel cells, salt electrolysis, primary batteries, secondary batteries, facilitated transport separation membranes, electrochromic devices, and sensors. Especially, it can utilize as polymer solid electrolytes, such as a lithium-type secondary battery.
[0002]
The solid polymer electrolyte lithium secondary battery solves the short-circuit damage and ignition problem of the battery by preventing the formation of lithium metal dendrite, and there is no liquid leakage compared to the solution type secondary battery. Development has been desired because it enables a large area.
[0003]
A polymer electrolyte in which a lithium salt such as LiClO 4 is dissolved in a polyether such as polyethylene oxide or polypropylene oxide, polyester, polyimide, or a polyether derivative has been developed, and the ionic conductivity is 10 −5 to 10 −3 S /. cm cannot be exhibited unless the temperature is sufficiently higher than room temperature.
In order to reduce the effective resistance, as an example of thinning, a liquid ionic conductor is immobilized using capillary condensation in a fine pore of 0.1 μm or less of a solid polymer porous thin film of 50 μm or less. Although there is a method (Japanese Patent Laid-Open No. 1-158051), the problem of the operating temperature has not been fundamentally solved.
[0004]
Furthermore, as a gel polymer in which a polymer matrix is impregnated with a solution of a salt and a solvent similar to a conventional liquid type lithium battery, a technique using a cross-linked polyalkylene oxide as an electrolyte (USP 4,303,748), polyarylate The technique (USP4,830,939) which gels and uses for electrolyte is proposed. Recently, a technique (USP 5,296,318) using a polymer gel impregnated with a carbonate-based solution in which a lithium salt is dissolved in a copolymer of polyvinylidene fluoride and hexafluoropropylene as an electrolyte has been proposed and considered promising. However, there is a problem of bleeding of the electrolyte due to gel contraction at a high temperature, and there is a problem in solvent retention.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention eliminates the above-mentioned problems, is easy to reduce the film thickness, increase the area, etc., has excellent aprotic electrolyte solvent retention in a wide temperature range, and has improved long-term stability and mechanical strength. It is to provide a protic electrolyte thin film and a method for producing the same.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies in view of the above problems, the present inventors have a polymer having a functional group having a main skeleton composed of a polyolefin excellent in solvent resistance and having an affinity for an electrolyte solvent used for a terminal chain. It was discovered that by impregnating a porous thin film made of a polyolefin composition with an electrolyte solution, the aprotic electrolyte solution was fixed to the film, and an aprotic electrolyte thin film having excellent solvent retention was obtained, and the present invention was conceived. . That is, the aprotic electrolyte thin film of the present invention is one in which an aprotic electrolyte solution is immobilized on a polyolefin porous thin film comprising a polyolefin composition containing terminal-modified polypropylene and a different polyolefin .
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In addition, the method for producing an aprotic electrolyte thin film of the present invention comprises the step of impregnating an immobilized aprotic electrolyte solution into a polyolefin porous thin film comprising a polyolefin composition containing terminal-modified polypropylene and a different polyolefin. It is something to be made.
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the aprotic electrolyte thin film of the present invention, the main skeleton is composed of a polyolefin porous thin film excellent in solvent resistance. This polyolefin porous thin film is composed of a polyolefin resin composition containing a terminal-modified polymer having a functional group having an end chain on the electrolyte solution used, and the electrolyte is dissolved in the pores of the porous thin film. It is a thin film filled with an electrolyte solution and stably held. Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0009]
(1) Polyolefin porous thin film The polyolefin porous thin film used in the present invention is a porous thin film composed of a polyolefin composition containing terminal-modified polypropylene and a different polyolefin .
[0010]
1. Polyolefin composition a. Examples of the solvent-resistant polyolefin which is a polyolefin main skeleton include crystalline homopolymers or copolymers obtained by polymerizing ethylene, propylene, 1-butene, 4-methyl-pentene-1, 1-hexene and the like. However, considering the design of porous structure and thinning, among these, polypropylene, polyethylene (particularly high density polyethylene), and compositions thereof are preferable.
Further, the polyolefin contains 1% by weight or more of an ultrahigh molecular weight component having a weight average molecular weight of 5 × 10 5 or more, preferably 1 × 10 6 to 1 × 10 7 , and has a molecular weight distribution (weight average molecular weight / number average molecular weight). ) Is preferably 10 to 300. When the content of the ultrahigh molecular weight polyolefin component is less than 1% by weight, the portion contributing to the improvement of the stretchability of the film is insufficient. On the other hand, the upper limit is not particularly limited. On the other hand, if the molecular weight distribution exceeds 300, breakage due to low molecular weight components occurs and the strength of the entire thin film is lowered, which is not preferable.
[0011]
As long as the polyolefin has the above molecular weight and molecular weight distribution, it may be either multistage polymerization or a composition of two or more polyolefins.
[0012]
The polyolefin containing the ultra-high molecular weight component as described above may contain various additives such as an antioxidant, an ultraviolet absorber, an anti-blocking agent, a pigment, a dye, and an inorganic filler as necessary. It can be added as long as the purpose is not impaired.
[0013]
b. End-modified polypropylene End-modified polypropylene is a polypropylene having a functional group structure at the end. Here, the polypropylene is not limited to a propylene homopolymer, but one or more of propylene and another α-olefin (for example, ethylene, 1-butene, 1-hexene, 4-methyl-1-pentene, etc.). Of the block copolymer rubber.
[0014]
Polypropylene having a functional group structure at the terminal can be produced as follows.
That is, it is produced by reacting a living polypropylene obtained by living polymerization of propylene with a functional group-containing monomer in the presence of a catalyst composed of a specific vanadium compound and an organoaluminum compound.
[0015]
As the vanadium compound, V (acetylacetonato) 3 , V (2-methyl-1,3-butanedionato) 3 , and V (1,3-butanedionato) 3 are preferable. The organoaluminum compound is an organoaluminum compound having 1 to 18 carbon atoms, preferably 2 to 6 carbon atoms, or a mixture or complex thereof, such as dialkylaluminum monohalide, monoalkylaluminum dihalide, alkylaluminum sesquioxide. Halide etc. are mentioned.
[0016]
The polymerization reaction is preferably performed in a solvent that is inert to the polymerization reaction and that is liquid during polymerization. Such solvents include saturated aliphatic hydrocarbons, saturated alicyclic hydrocarbons, and aromatic hydrocarbons.
[0017]
The amount of the polymerization catalyst used for the polymerization of propylene is 1 × 10 −4 to 0.1 mol, preferably 5 × 10 −4 to 5 × 10 −2 mol of vanadium compound per mol of propylene, and 1 organoaluminum compound. × 10 −4 to 0.5 mol, preferably 1 × 10 −3 to 0.1 mol. In addition, it is desirable that 4 to 100 moles of the organoaluminum compound is used per mole of the vanadium compound.
[0018]
Living polymerization is normally performed at −100 ° C. to 100 ° C. for 0.5 to 50 hours. The molecular weight of the resulting living polypropylene can be adjusted by changing the reaction temperature and reaction time. By setting the polymerization temperature to a low temperature, particularly −30 ° C. or less, a polymer having a molecular weight distribution close to monodispersion can be obtained. At −50 ° C. or lower, a living polymer having Mw (weight average molecular weight) / Mn (number average molecular weight) of 1.05 to 1.40 can be obtained.
[0019]
As described above, living polypropylene having a number average molecular weight of about 800 to 400,000 and close to monodispersion can be produced.
[0020]
Next, in order to introduce a functional group structure at the terminal, living polypropylene is reacted with a functional group-containing monomer. As the monomer to be introduced, acrylic acid, methacrylic acid, acrylic acid ester, methacrylic acid ester, acrylamide, acrylonitrile, styrene and derivatives thereof are used. Specifically, for example, acrylic acid esters include methyl acrylate, ethyl acrylate, butyl acrylate, isobutyl acrylate, 2-ethylhexyl acrylate, lauryl acrylate, stearyl acrylate, ethyl decyl acrylate, ethyl hexadecyl acrylate, 2 -Acrylic monomers such as ethoxyethyl acrylate, tetrahydrofurfuryl acrylate, trimethylolpropane triacrylate, 2-hydroxyethyl acrylate, 2-hydroxypropyl acrylate, 1,4 butanediol diacrylate, 1,6-hexanediol diacrylate Examples of methacrylic acid esters include methyl methacrylate, ethyl methacrylate, butyl methacrylate, 2-ethylhexyl methacrylate, Tridecyl acrylic acid, methacrylic acid stearyl, cyclohexyl methacrylate, benzyl methacrylate, 2-hydroxyethyl methacrylate, 2-hydroxypropyl methacrylate, glycidyl methacrylate, methacrylic monomers such as ethylene glycol dimethacrylate. One or more of these types can be selected and used. Moreover, crosslinkable monomers, such as vinyl acrylate, vinyl methacrylate, divinylbenzene, vinyl butyl acrylate, can also be used as needed.
Among the above-mentioned monomers, it is preferable to use a monomer composed of acrylic acid, methacrylic acid or an ester thereof, or an acrylic monomer composed of acrylamide or a derivative thereof.
[0021]
These monomers are appropriately selected depending on the solvent of the electrolytic solution used in the production of the electrolyte thin film. Specifically, the Hansen parameter, which is one of the solubility parameters representing the solubility, is selected in consideration. The Hansen parameter is a parameter that is a three-dimensional representation of the solubility parameter divided into three components: an effect δ d due to nonpolar interaction, an effect δ p due to polarization, and an effect δ h due to hydrogen bonding. Values have been investigated (CM Hansen, et al., Encyclopedia of Chemical Technology, NY, p. 889, 1971). In addition, when Hansen parameters of highly soluble solvent (good solvent) and poor solvent for a specific polymer are plotted on the three-dimensional spatial coordinates formed by δ d , δ p , and δ h , the Hansen parameter of the good solvent is Experience has shown that it is located within a certain size sphere. That is, when a three-dimensional spatial coordinate (δ d , δ p , δ h ) distance between a certain solvent and the polymer is short, it can be regarded as a good solvent for the polymer.
[0022]
In the present invention, the blending amount of a single monomer or a plurality of monomers forming the living polymer is adjusted according to the Hansen parameter of the solvent of the electrolytic solution. By doing so, it is effectively swollen and gelled in the electrolytic solution and can be firmly fixed. Here, the porous thin film made of the resin composition containing the terminal-modified living polymer selectively takes in the electrolyte solution solvent having affinity for the living polymerization functional group covering the surface and the pore surface, Since the main skeleton is made of polyethylene having excellent solvent resistance, the swelling as a whole is moderately suppressed, and large deformation and strength reduction can be prevented.
[0023]
In the reaction between the living polypropylene and the functional group-containing monomer, the monomer is supplied to the reaction system in which the living polypropylene is present and reacted. The reaction is usually performed at a temperature of −100 ° C. to 150 ° C. for 5 minutes to 50 hours. By increasing the reaction temperature or lengthening the reaction time, the degree of modification of the polypropylene terminal by the monomer unit can be increased. Usually, 1 to 1,000 mol of monomer is used per 1 mol of living polypropylene.
[0024]
The terminal-modified polypropylene obtained as described above has a number average molecular weight (Mn) of about 800 to 500,000, and a very narrow molecular weight distribution (Mw / Mn = 1. 05 to 1.40). Moreover, it has an average terminal structure of 0.1 to 500, preferably 0.5 to 100, of the monomer at its terminal. One feature of the terminal-modified polypropylene produced in this way is that the syndiotactic dyad fraction is 0.6 or more.
[0025]
c. Composition ratio of polyolefin and terminal-modified polypropylene The composition ratio of polyolefin and terminal-modified living-polymerized polypropylene is 1 to 50% by weight, preferably 3 to 30% by weight of the living polymer. If it is less than 1% by weight, the effect of impregnation and immobilization of the electrolytic solution with the solvent cannot be expected. On the other hand, when it exceeds 50% by weight, the mechanical strength is remarkably lowered.
[0026]
2. Method for Producing Polyolefin Porous Thin Film In the method for producing a polyolefin porous thin film of the present invention, a solution is prepared by heating and dissolving the above-described polyolefin composition in a solvent. Examples of the solvent include aliphatic or cyclic hydrocarbons such as nonane, decane, decalin, p-xylene, undecane, dodecane, and liquid paraffin, or mineral oil fractions having boiling points corresponding to these.
[0027]
The dissolution by heating is carried out by stirring at a temperature at which the polyolefin composition is completely dissolved in the solvent, or by uniformly mixing and dissolving in an extruder. When dissolving with stirring in a solvent, the temperature varies depending on the polymer and solvent used, but in the case of a polyethylene composition, for example, it is in the range of 140 to 250 ° C. When producing a porous thin film from a high-concentration solution of a polyolefin composition, it is preferably dissolved in an extruder.
[0028]
The blending ratio of the polyolefin composition and the solvent is 10 to 50% by weight, preferably 10 to 40% by weight, and 90 to 50% by weight of the solvent, with the total of the polyolefin composition and the solvent being 100% by weight. %, Preferably 90 to 60% by weight. When the polyolefin composition is less than 10% by weight (when the solvent exceeds 90% by weight), when forming into a sheet, swell and neck-in are large at the die outlet, making it difficult to form and self-support the sheet. . On the other hand, when the polyolefin composition exceeds 50% by weight (when the solvent is less than 50% by weight), the moldability is lowered.
[0029]
Next, the heated solution of the polyolefin composition thus melt-kneaded is extruded from a die or the like through an extruder and molded.
As the die, a sheet die having a rectangular base shape is usually used, but a double cylindrical hollow fiber die, an inflation die, or the like can also be used. When a sheet die is used, the die gap is usually 0.1 to 5 mm, and it is heated to 140 to 250 ° C. during extrusion molding. In this case, the extrusion speed is usually 20-30 cm / min to 5-10 m / min.
The solution extruded from the die in this way is formed into a gel-like molded article by rapid cooling. Cooling is preferably performed at a rate of at least 50 ° C./min.
[0030]
Next, the gel-like molded product is stretched. Stretching is performed at a predetermined magnification by heating the gel-like molded article and using a normal tenter method, roll method, inflation method, rolling method, or a combination of these methods. The stretching may be uniaxial stretching or biaxial stretching, but biaxial stretching is preferred. In the case of biaxial stretching, either longitudinal or transverse simultaneous stretching or sequential stretching may be used.
[0031]
The stretching temperature is the melting point of the polyolefin + 10 ° C. or less, preferably in the range from the crystal dispersion temperature of the polyolefin to less than the crystal melting point. For example, in the case of polyethylene, it is in the range of 90 to 140 ° C, preferably 100 to 130 ° C.
[0032]
Moreover, although a draw ratio changes with thickness of an original fabric, in uniaxial stretching, 2 times or more are preferable, More preferably, it is 3 to 30 times. In biaxial stretching, the surface magnification is preferably 10 times or more, more preferably 15 to 400 times. If the surface magnification is less than 10 times, stretching is insufficient and a highly elastic, high-strength microporous film cannot be obtained. On the other hand, when the surface magnification exceeds 400 times, a restriction occurs in a stretching operation or the like.
[0033]
The stretched molded product is washed with a solvent to remove the remaining solvent. Cleaning solvents include hydrocarbons such as pentane, hexane and heptane, chlorinated hydrocarbons such as methylene chloride and tetrasalt carbon, fluorinated hydrocarbons such as ethane trifluoride, and ethers such as diethyl ether and dioxane. Volatile ones can be used.
[0034]
It is desirable to dry the washing solvent after extraction and heat-set in the temperature range of the crystal dispersion temperature to the melting point.
The polyolefin porous thin film produced as described above preferably has a breaking strength of 200 kg / cm 2 or more. By setting it to 200 kg / cm 2 or more, the deformation resistance against swelling when the solvent of the electrolytic solution is dissolved in the living polymerization functional group is sufficient. The thickness is preferably 0.1 to 100 μm, more preferably 0.2 to 50 μm. When the thickness is less than 0.1 μm, the mechanical strength of the film is small and it is difficult to put it to practical use. On the other hand, if it exceeds 100 μm, it is too thick and is not preferable in terms of manufacturing small batteries and capacitors. The porosity and the hole diameter are not particularly limited, but the porosity and the hole diameter are preferably within a range that does not impair the ionic conduction in the state where the electrolyte solution is introduced. Moreover, the porosity and the hole diameter of the range which does not produce an internal short circuit in the same state are preferable.
The obtained polyolefin porous thin film can be further subjected to surface modification such as plasma irradiation, surfactant impregnation, and hydrophilic treatment such as surface grafting as necessary.
[0035]
(2) Electrolyte solution 1) Electrolyte As the electrolyte used in the present invention, an alkali metal salt or an alkaline earth metal salt is used, for example, LiF, NaI, LiI, LiClO 4 , LiAsF 6, LiPF 6 , LiBF 4 , LiCF 3. SO 3 , LiPF 6 , NaSCN and the like can be mentioned.
[0036]
2) Electrolytic Solution Solvent The aprotic solvent for dissolving the electrolyte of the present invention is a solvent that is stable against alkali metals, specifically, propylene carbonate, ethylene carbonate, γ-butyrolactone, dimethoxyethane, acetonitrile, form. Aprotic high dielectric constant solvents such as amide, tetrahydrofuran and diethyl ether are used. Further, as described above, the functional group of the terminal-modified polypropylene is selected so as to have an affinity for the solvent used in the present invention.
[0037]
(3) Manufacturing method of electrolyte thin film A method of introducing an electrolyte solution in which an electrolyte is dissolved in an electrolyte solvent into a polyolefin porous film to form an aprotic electrolyte thin film is a method of impregnating, coating or spraying a polyolefin thin film with an electrolyte solution. Alternatively, they can be used in combination, and since the terminal functional group of the terminal-modified polypropylene has affinity for the aprotic solution, the polyolefin porous thin film is easily impregnated and fixed. The electrolyte solution may be introduced before being incorporated into the battery, during the battery assembly, or during the final battery assembly process. Above all, from the viewpoints of handling at the time of battery assembly, prevention of wrinkles, adhesion to the surface of the positive and negative electrode plates and the conventional battery assembly process can be applied as they are, the electrolyte solution can be used during the battery assembly process or the final battery assembly process. The method of introducing is preferred.
[0038]
The battery obtained in this way uses the same electrolyte as the conventional aprotic liquid electrolyte, but in addition to fixing by capillary condensation by introducing it into the polyolefin thin film, it is fixed by dissolving and swelling the electrolyte. As a result, there is no risk of liquid leakage, and the vapor pressure is significantly reduced, making it difficult to burn. Further, since the immobilized electrolytic solution works in the same manner as the liquid state in ionic conductivity, the operating temperature can be avoided.
[0039]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples, but the present invention is not particularly limited to the examples. In addition, the test method in an Example is as follows.
(1) Film thickness: The cross section was measured with a scanning electron microscope.
(2) Porosity: measured by gravimetric method.
(3) Tensile strength at break: Measured according to ASTM D882.
[0040]
Example 1
Living polymerization having 5% by weight of ultrahigh molecular weight polyethylene having a weight average molecular weight of 2 × 10 6 , 20% by weight of high density polyethylene having a weight average molecular weight of 4 × 10 5 , and a methyl acrylate group at the terminal having a weight average molecular weight of 50,000 To a mixture of 5% by weight of polypropylene and 70% by weight of liquid paraffin (64 cst / 40 ° C.), 0.375 parts by weight of an antioxidant was added per 100 parts by weight of the polyolefin composition, and kneaded by heating with a twin screw extruder.
[0041]
This was discharged from a die having a rectangular base and taken up with a chill roll adjusted to 30 ° C. to obtain a 0.5 mm thick sheet. This sheet was simultaneously biaxially stretched 5 × 5 times at 115 ° C. using a batch type biaxial stretching machine, the remaining liquid paraffin was washed with n-hexane, and then dried at 120 ° C. while fixed to a metal frame. Heat setting was performed to obtain a polyethylene porous thin film.
[0042]
The obtained polyethylene porous thin film (film thickness 25 μm, porosity 38.5%, tensile breaking strength 875 kg / cm 2 ) was immersed in a γ-butyrolactone solution containing 1 mol% of LiBF 4 at 25 ° C. for 10 hours. An aprotic electrolyte thin film was obtained. After removing the adhering liquid on the surface of the aprotic electrolyte thin film, the change in the weight of the membrane with time was measured immediately, and the weight increase rate obtained by extrapolation after 0 seconds was 65%. Further, as a result of measuring the change with time of the weight starting from the weight extrapolated after 0 seconds in the state of being left in the air at 25 ° C., the weight reduction rate after 1 hour was 0.5% or less.
[0043]
Furthermore, this aprotic electrolyte thin film is punched out to a diameter of 10 mm, and this is sandwiched with a platinum black electrode. The electrical resistance value of the thin film is measured with an alternating current of 1 KHz, and the ionic conductivity of the thin film is calculated from the thickness and area of the thin film. Then, it was 7 × 10 −3 s / cm.
[0044]
Comparative Example 1
In Example 1, a polyethylene microporous membrane (film thickness 25 μm, porosity 43.5%, tensile breaking strength 1049 kg / cm 2 ) 10 × obtained in the same manner as in Example 1 except that terminal-modified polypropylene is not used. A 10 mm square was immersed in a γ-butyrolactone solution containing 1 mol% of LiBF 4 at 25 ° C. for 1 hour to obtain an aprotic electrolyte thin film. After removing the adhering liquid on the surface of the aprotic electrolyte thin film, the change in the membrane weight with time was measured immediately, and the weight increase rate obtained by extrapolation after 0 seconds was 49%. In addition, as a result of measuring the change with time of the weight starting from the weight extrapolated after 0 seconds in the state left at 25 ° C. in the atmosphere, the weight reduction rate after 1 hour was 2.5%.
[0045]
Furthermore, this aprotic electrolyte thin film is punched out to a diameter of 10 mm, and this is sandwiched with a platinum black electrode. The electrical resistance value of the thin film is measured with an alternating current of 1 KHz, and the ionic conductivity of the thin film is calculated from the thickness and area of the thin film. Then, it was 7 × 10 −3 s / cm.
[0046]
【The invention's effect】
The aprotic electrolyte thin film of the present invention uses a polyolefin porous thin film containing living polypropylene having a functional group at its terminal as a base material, and immobilizes the electrolyte solution with the functional group of the terminal chain, and the polyolefin porous thin film main chain skeleton By suppressing the excessive swelling, the electrolyte solution can be stably held in a wide temperature range, and the evaporation rate of the electrolyte solvent can be kept extremely low. Further, by controlling the type and length of the functional group, the ionic conductivity can be easily controlled according to the purpose of use. That is, the safety in overcharging can be improved without significantly reducing the ionic conductivity.
[0047]
In particular, when an ultra-high molecular weight polyethylene component is used as the polyolefin, the aprotic electrolyte thin film has excellent mechanical strength and durability, and primary batteries, secondary batteries, capacitors using aprotic electrolytes, lithium primary batteries, lithium It is suitably used for a secondary battery.
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