JP3926753B2 - コネクタ基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコネクタ基板の製造方法に係り、より詳しくは、高誘電体キャパシタを内蔵するインターポーザの製造に適用できるコネクタ基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器のより一層の小型化及び高性能化に伴って、メモリ、CPU及び論理回路などの機能を1つの半導体チップに集積したシステムLSIが広く使用されている。しかし、システムLSIにはコストや開発期間などの面で課題が残されている。
【0003】
そこで、個別に製造された部品を1つのパッケージに収納してシステムLSIに近い性能を実現するシステムインパーケージ(SIP)が開発されている。システムインパッケージでは、インターポーザと呼ばれるコネクタ基板が使用されている。インターポーザの一方の面に設けられた電極には半導体チップなどの電子部品が接合され、他方の面に設けられた電極にはマザーボードの接続端子が接合される。そして、インターポーザには、一方の面から他方の面に貫通する貫通孔が設けられており、一方の面の接続端子と他方の面の接続端子とは貫通孔内に埋め込まれた導電体を介して電気的に接続されている。
【0004】
ところで、インターポーザには、電源電圧のノイズなどを除去するためにチップコンデンサを搭載したものがある。しかし、この場合、チップコンデンサと半導体チップとの間で配線の引き回しが必要であることから、これらのリード間では比較的大きなインダクタンスが存在する。このため、クロック周波数の高い半導体チップにおいては、このようなチップコンデンサを設けても電源電圧の変動の抑制及び高周波ノイズの低減の効果は小さい。
【0005】
そこで、コンデンサ(キャパシタ)を内蔵したインターポーザを作成し、そのコンデンサの上に半導体チップを実装することにより、半導体チップとコンデンサとの配線距離を最短にしてインダクタンスを低減させることが提案されている。
【0006】
近年、キャパシタを構成する誘電体膜としてBSTなどの高誘電体材料が使用されるようになってきている。BST膜をキャパシタの高誘電体膜として使用する場合は、成膜されたBST膜を結晶化するために700〜800℃の高温で熱処理する必要がある。このため、従来、インターポーザの基板としては耐熱性の高いセラミック基板などが使用される。このようなセラミック基板は、例えば、粘度板に貫通孔を形成した後に、それを焼成することにより得られる。そして、貫通孔に導電体が形成される。
【0007】
しかしながら、上記したようなセラミック基板は、その表面(研磨面)の平坦性が悪く、また表面から貫通孔に充填された導電体上面にかけて凹凸が存在するため、セラミック基板上に薄膜のBST膜を形成するとBST膜にクラックなどが発生し、所要のBST膜を得ることが困難になる。このように、セラミック基板上に高性能なキャパシタ回路を歩留りよく形成することは困難である。
【0008】
また、セラミック基板は、上記したように貫通孔を有する粘度板が焼成されて作成されるため、焼成されるときに収縮が生じる。しかも、粘度板に含まれるバインダの局在などがあると収縮も不均一となることから、基板全体にわたって焼成収縮率を一定に制御することは困難を極める。
【0009】
このため、微細ピッチの貫通孔を有するセラミック基板を作成する場合、セラミック基板内で貫通孔のピッチがばらついて設計許容値から外れてしまう場合がある。特に、大型のセラミック基板を用いて多数個のインターポーザを製造する際には、製造歩留りが低下して製造コストの上昇を招く恐れがある。
【0010】
そこで、表面の平坦性がよいと共に、微細加工しやすく、かつ大型基板を使用する際にも高い製造歩留りを得やすいシリコン基板をインターポーザの基板として使用することが提案されている。
【0011】
特許文献1〜4には、半導体装置の素子分離領域を形成するために半導体基板にトレンチホールを形成することについて記載されている。しかしながら、特許文献1〜4は、高誘電体キャパシタなどの受動素子を備えたインターポーザ用の半導体基板に導電体を充填するためのトレンチホールを形成するものでなく、本発明を示唆するものでない。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−8118号公報
【特許文献2】
特開平11−74340号公報
【特許文献3】
特開平11−145273号公報
【特許文献4】
特開2001−44273号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
シリコン基板をインターポーザの基板として使用する場合、予めトレンチホール内に導電体が充填されたシリコン基板上に高誘電体キャパシタを形成する方法では、高誘電体膜を形成する際にトレンチホールに係る凹凸に起因して高誘電体膜にクラックが発生して製造歩留りが低下する恐れがある。
【0014】
この問題を回避するためには、トレンチホールに導電体が充填されたシリコン基板を研磨するなどしてその表面を鏡面仕上げする必要があるので、製造コストの上昇を招く。
【0015】
また、上記した方法では、シリコン基板のトレンチホールに導電体が充填された状態で高誘電体膜を高温で熱処理することになる。このため、導電体の酸化膨張や焼結収縮、及びシリコン基板と導電体との熱膨脹係数の差による熱応力により導電体にクラックが生じるなどの不具合が発生しやく、キャパシタを含む回路を歩留りよく形成することが困難になる。
【0016】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、高誘電体キャパシタなどの受動素子を内蔵し、かつ貫通孔に導電体が充填された半導体基板から構成されるコネクタ基板を何ら不具合が発生することなく製造することができるコネクタ基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明はコネクタ基板の製造方法に係り、第1絶縁膜を備えた半導体基板の該第1絶縁膜の上に、薄膜により構成される受動素子を形成する工程と、前記第1絶縁膜上の孔形成部に開口部を備えたレジスト膜を、前記受動素子及び第1絶縁膜上に形成する工程と、前記レジスト膜の開口部を通して前記第1絶縁膜及び前記半導体基板をエッチングすることにより、前記第1絶縁膜の開口部が前記半導体基板のトレンチホールの内側に配置されて形成されるひさし部を備える孔を形成する工程と、前記レジスト膜を熱処理することにより、前記レジスト膜の開口部の側面を外側に傾ける工程と、前記レジスト膜の膜厚方向の一部をエッチングすることにより、前記レジスト膜の開口部を前記ひさし部の上面が露出する位置まで外側に後退させる工程と、前記レジスト膜をマスクにして、前記第1絶縁膜のひさし部を除去する工程と、前記レジスト膜を除去する工程と、前記孔の内面に第2絶縁膜を選択的に形成する工程と、前記受動素子に接続される導電体を前記孔の中に充填する工程と、前記半導体基板を背面側から削ることにより、前記導電体の一部を露出させる工程とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明では、まず、平坦な半導体基板の上に第1絶縁膜を介して受動素子(高誘電体キャパシタなど)が形成された後に、第1絶縁膜上の孔形成部に開口部をもつレジスト膜が形成される。その後、レジスト膜の開口部を通して第1絶縁膜及び半導体基板がエッチングされて孔が形成される。このとき、孔は、第1絶縁膜の開口部が半導体基板のトレンチホールの内側に配置されて形成されるひさし部を備えた状態で形成される。
【0019】
次いで、レジスト膜をそのままマスクとして使用し、上記した孔のひさし部をウェット又はドライエッチングなどにより除去する。その後にレジスト膜が除去される。
【0020】
続いて、受動素子に接続される導電体が孔の中に埋め込まれて形成された後に、半導体基板が背面側から削られて導電体の一部が半導体基板の背面に露出して接続端子となる。
【0021】
本発明では、半導体基板に孔及びその中に充填される導電体を形成する前に、平坦な状態の半導体基板上に第1絶縁膜を介して薄膜により構成される受動素子(高誘電体キャパシタなど)が形成される。すなわち、受動素子は半導体基板の孔による表面の凹凸の影響を受けないで形成されるため、受動素子の薄膜にクラックなどが発生することが回避され、受動素子の製造歩留りが向上する。
【0022】
また、第1絶縁膜のひさし部を除去する工程で、孔を形成する際に使用したレジスト膜をそのままマスクとして兼用するようにしたことから、特別にレジスト膜をパターニングする工程を追加する必要がないので製造コストが上昇するといった問題が解消される。
【0023】
また、半導体基板に形成される孔及び導電体は、半導体基板上に受動素子が形成された後に形成されるようにしたので、高誘電体キャパシタなどの受動素子を形成する場合、導電体は高誘電体膜を高温で熱処理する際の熱の影響を受けなくなる。従って、導電体が高温で熱処理されることに起因して欠陥が発生するといった問題が解消されるので、コネクタ基板の製造歩留りを向上させることができる。
【0024】
本発明の一つの好適な態様では、孔を形成する工程において、レジスト膜の開口部をひさし部の上面が露出する位置まで外側に後退させるようにしてもよい。
【0025】
上記した発明において、半導体基板のトレンチホールはレジスト膜の開口部から外側にサイドエッチングされて形成されることから、第1絶縁膜のひさし部を除去した後(レジスト除去前)には、結果的にレジスト膜はトレンチホールの内壁近傍部を塞いでしまうことになる。
【0026】
このため、第1絶縁膜のひさし部をエッチングした後(レジスト除去前)に孔の内面をウェット洗浄する場合、特に孔のアスペクト比が大きくなると、レジスト膜の影響で洗浄液の循環不良が起こって、孔の内面に付着した反応生成物などに起因するエッチング残渣を除去できなくなる場合が想定される。
【0027】
しかしながら、本発明では、第1絶縁膜のひさし部の上面が露出する位置までレジスト膜を後退させた後に,該ひさし部を除去するようにしたので、レジスト膜が孔(トレンチホール)を塞がなくなる。
【0028】
従って、第1絶縁膜のひさし部を除去した後(レジスト除去前)にウェット洗浄が行われる場合、洗浄液が孔内全体にわたって循環・供給されるようになるので、孔の内面に付着するエッチング残渣を容易に除去することができるようになる。
【0029】
さらには、レジスト膜を後退させて第1絶縁膜のひさし部の上面が露出するようにしたので、異方性ドライエッチングなどにより第1絶縁膜のひさし部を半導体基板に対して選択的に除去できるようになる。この場合、第1絶縁膜のひさし部を除去する際に、半導体基板の孔内のエッチング残渣が同時にドライクリーニングされるので、さらにエッチング残渣が減少し、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0031】
本発明の実施形態を説明する前に、インターポーザとなるシリコン基板上にキャパシタを含む回路を形成した後に、シリコン基板に孔を形成する方法における不具合な点について説明する。図9はシリコン基板にトレンチホールを形成する際の不具合な点を示す断面図である。
【0032】
図9(a)に示すように、まず、シリコン基板100上に絶縁膜102が形成され、この絶縁膜102上に孔を形成するための開口部104aを有するレジスト膜104が形成されたものが用意される。なお、特に明記されていないが、シリコン基板100上の所定部には、既に上部電極と下部電極との間にBST膜などの高誘電体膜が挟まれた構造の高誘電体キャパシタ(不図示)が形成されている。
【0033】
その後、図9(b)に示すように、レジスト膜104をマスクにしてその開口部104aに露出する絶縁膜102とシリコン基板100とをRIEにより順次エッチングすることによりトレンチホール100aを形成する。このとき、絶縁膜102のエッチングが終了してシリコン基板100のエッチングに進む際に急激にエッチングレートが上昇することに起因して、トレンチホール100aは絶縁膜104の開口部の外側にサイドエッチングされた状態で形成される。
【0034】
続いて、図9(c)に示すように、レジスト膜104が除去される。このとき、絶縁膜102は、トレンチホール100aの内側に向ってひさし部102aが突出した状態となっている。
【0035】
次いで、トレンチホール100aの内面に絶縁膜及びシード金属膜が順次形成され、シード金属膜をめっき給電層に利用した電解めっきにより、導電体がトレンチホール内に埋め込まれて形成される。このとき、図9(c)のように絶縁膜102のひさし部102aがトレンチホール100a内に突出していると、シード金属膜をスパッタ法により形成する際に、ひさし部102aが陰になってその直下のトレンチホール100aの側面部にシード金属膜が成膜されず、トレンチホール100a内でシード金属膜が断線した状態となる。
【0036】
トレンチホール100a内に電解めっきにより導電体を埋め込む際には、シード金属膜がめっき給電像として利用されるので、シード金属膜が断線している部分が存在するとトレンチホール100a内にボイドなどが発生することとなり、トレンチホール100a内に導電体を信頼性よく埋め込むことが困難になる。
【0037】
しかも、トレンチホール100aの内面に形成される絶縁膜もステップカバレジが悪くなるため、導電体とシリコン基板との電気的な絶縁の信頼性が悪いという問題も残る。
【0038】
絶縁膜102のひさし部102aが残存しないようにする第1の方法としては、絶縁膜102をエッチングした後にレジスト膜104を除去し、再度、絶縁膜102の開口部より小さい開口部を有するレジスト膜をシリコン基板100上に形成し、次いでシリコン基板100をエッチングする方法がある。シリコン基板100をエッチングする際に使用されるレジスト膜は、シリコン基板100がサイドエッチングする分だけ絶縁膜102の開口部の内側に配置されるため、トレンチホールの側面は絶縁膜102の開口部に対応するようになり、絶縁膜102のひさし部102aは残存しなくなる。
【0039】
また、第2の方法としては、レジスト膜104をマスクにして絶縁膜102とシリコン基板100とを順次エッチングし、レジスト膜104を除去した後に、再度、ひさし部102aを露出させる開口部を有するレジスト膜を形成し、ひさし部102aを選択的に除去する方法がある。
【0040】
しかしながら、上記した第1又は第2の方法では、トレンチホール100aを形成する工程でレジスト膜を2回パターニングする必要があるので、製造コストの上昇を招いてしまう。
【0041】
以下に説明する本発明の実施形態は、上記したような問題を解消することができる。
【0042】
(第1の実施の形態)
図1〜図5は本発明の第1実施形態に係るコネクタ基板の製造方法を順に示す断面図である。図1(a)に示すように、第1実施形態のコネクタ基板の製造方法は、まず、厚みが例えば625μm程度のシリコン基板10(半導体基板)を用意し、シリコン基板10上に膜厚が500nm程度の第1絶縁膜12を形成する。第1絶縁膜12としては、シリコン酸化膜、PSG(Phospho-Silicate Glass)膜、シリコン窒化膜又は窒化チタン(TiN)膜などが使用される。
【0043】
その後、シリコン基板10上に所望の受動素子を形成する。本実施形態では、受動素子として高誘電体キャパシタを形成する。詳しく説明すると、図1(b)に示すように、まず、第1絶縁膜12上にPt(白金)膜をスパッタにより成膜して第1導電膜14aとする。次いで、第1導電膜14a上にBST系のゾル−ゲルを塗布してBST膜を形成した後、800℃の温度の酸素雰囲気でBST膜を熱処理することにより高誘電体膜16aとする。続いて、高誘電体膜16a上にPt膜をスパッタにより成膜して第2導電膜18aとする。
【0044】
次いで、図1(c)に示すように、第2導電膜18a、高誘電体膜16a及び第1導電膜14aを所定の形状になるように順次パターニングすることにより、下部電極14、キャパシタ用高誘電体膜16及び上部電極18により構成されるキャパシタQを形成する。
【0045】
本実施形態では、シリコン基板10に孔を形成する前にキャパシタQを形成するようにしたことから、全体にわたって平坦性の高いシリコン基板10上に所要の膜特性を有する高誘電体膜が何ら不具合が発生することなく形成される。これにより、高性能なキャパシタQを容易に得ることができる。
【0046】
しかも、本実施形態では、後述するように、キャパシタQを作成した後に、シリコン基板10の孔に導電体を充填するようにしている。このため、上記したBST膜を高温で熱処理して高誘電体膜16aを形成する際に、シリコン基板10の孔に充填された導電体の収縮、膨張に起因する欠陥などが発生する恐れがない。
【0047】
その後、図2(a)に示すように、キャパシタQ及び第1絶縁膜12上に感光性ポリイミド膜などをパターニングすることにより、キャパシタQの下部電極14及び上部電極18に通じるコンタクトホール20aを有する層間絶縁膜20を形成する。このとき同時に、層間絶縁膜20はシリコン基板10上方の孔形成部にも開口部20bが形成されるようにパターニングされる。
【0048】
次いで、シリコン基板10の上側全面にスパッタによりCr(クロム)膜とCu(銅)膜とを順次成膜してシード膜(不図示)を形成する。続いて、シード膜をめっき給電層に利用した電解めっきにより、シード膜上にCu膜などの金属膜(不図示)を形成する。
【0049】
その後に、金属膜をフォトリソグラフィ法でパターニングすることにより配線22a,22b,22cを形成する。配線22aはコンタクトホール20aを介してキャパシタQの上部電極18に接続され、また配線22bはコンタクトホール20aを介してキャパシタQの下部電極14に接続される。このとき、その他の配線22cなどが同時に形成される。なお、配線22a,22b,22cをサブトラクティブ法により形成する形態を例示したが、セミアディティブ法又はフルアディティブ法により形成するようにしてもよい。
【0050】
次いで、図2(b)に示すように、層間絶縁膜20の開口部20b内の第1絶縁膜12上に径が例えば50μm程度の開口部23aを有するレジスト膜23を図2(a)の構造体の上に形成する。その後、図2(c)に示すように、レジスト膜23の開口部23aを通して、第1絶縁膜(シリコン酸化膜)12を例えばC4F8とSF6との混合ガスを用いたRIEなどでエッチングすることにより、第1絶縁膜12に開口部12aを形成する。
【0051】
続いて、同じくレジスト膜23をマスクにして、シリコン基板10を例えばSF6を用いたRIEなどでエッチングすることにより、深さが例えば150μm程度のトレンチホール10aを形成する。これにより、第1絶縁膜12の開口部12aとシリコン基板10のトレンチホール10aとにより構成される孔11が得られる。
【0052】
第1絶縁膜12及びシリコン基板10は、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子を含むガス、水素ガス、酸素ガス及び不活性ガスなどの群から選択されるガスの組み合わせによる様々なエッチング条件でエッチングすることができる。
【0053】
このとき、前述したように、第1絶縁膜12からシリコン基板10にエッチングが移行する際に急激なエッチングレートの上昇が起こることに起因して、図2(c)に示すように、シリコン基板10のトレンチホール10aは第1絶縁膜12の開口部12aから外側にサイドエッチングされた状態で形成される。
【0054】
つまり、第1絶縁膜12の開口部12aの近傍部分は、シリコン基板10のトレンチホール10aの内側に突出するひさし部12xとなる。このように、孔11は、第1絶縁膜12の開口部12aがシリコン基板10のトレンチホール10aより内側に配置されることにより形成されるひさし部12xをもった状態で形成される。
【0055】
なお、第1絶縁膜12及びシリコン基板10をエッチングする方法としては、RIEなどのドライエッチングの他に、ウェットエッチング、イオンミリング、又はサンドブラストなどの方法がある。さらには、これらの方法を組み合わせてエッチングを行ってもよい。
【0056】
次いで、図3(a)に示すように、レジスト膜23をそのままマスクに利用して、バッファードフッ化水素酸(BHF(HF:7%))により、第1絶縁膜(シリコン酸化膜)12をその開口部12aに露出する側面部から横方向にサイドエッチングすることにより、第1絶縁膜12のひさし部12xを除去する。
【0057】
第1絶縁膜12としてPSG膜を用いる場合、同様にBHFによりサイドエッチングすることができる。また、第1絶縁膜12としてシリコン窒化膜又はTiN膜を用いる場合は、アルゴン(Ar)を用いたイオンミリングによりひさし部12xが除去される。すなわち、シリコン基板10に孔11が形成される際に、レジスト膜23の一部がRIEでエッチングされてその開口部23がテーパー形状(図2(c))となるため、イオンミリングによりレジスト膜23の開口部23aの下側縁部と第1絶縁膜12のひさし部12xとが選択的にエッチングされる。
【0058】
このとき、シリコン基板10の底部も同時にエッチングされるが、イオンミリングは孔11の下側になるにつれてエッチングレートが低下する特性を有するので、シリコン基板10の底部が多量にエッチングされるといった不具合は発生しない。
【0059】
以上のように、本実施形態では、トレンチホール10aを形成する際に使用されたレジスト膜23は、第1絶縁膜12のひさし部12xを除去するためのマスクとして兼用される。このため、第1絶縁膜12のひさし部12xを除去するために、レジスト膜を形成する工程を特別に追加する必要がないので、製造コストが上昇するといた問題が解消される。
【0060】
なお、図3(a)では、第1絶縁膜12の開口部12aがトレンチホール10aの外側に配置される形態を例示しているが、第1絶縁膜12の開口部12aがトレンチホール10aに対応する位置に配置されるようにしてよい。つまり、第1絶縁膜12のサイドエッチング量は特に限定されるものではなく、第1絶縁膜12のひさし部12xが後工程で不具合が発生しない程度に除去されるようにすればよい。
【0061】
続いて、レジスト膜23を除去した後に、図3(b)に示すように、シリコン基板10の上側全面にCVDによりシリコン酸化膜などの第2絶縁膜24を形成する。第2絶縁膜24は、後にトレンチホール10a内に充填される導電体とシリコン基板10とを電気的に絶縁するために設けられる。このとき、孔11には第1絶縁膜12のひさし部12xが存在しないので、第2絶縁膜24は孔11の内面にステップカバレジがよい状態で成膜される。
【0062】
次いで、同じく図3(b)に示すように、孔11が形成された部分及びその周囲を被覆するドライフィルムレジスト膜26を第2絶縁膜24上にパターニングする。続いて、ドライフィルムレジスト膜26をマスクして第2絶縁膜24をウェットエッチングする。これにより、図3(c)に示すように、孔11の内面及びその周囲に第2絶縁膜24が選択的に残されると共に、配線22a,22b,22cが露出する。
【0063】
その後に、ドライフィルムレジスト膜26除去する。このとき、孔11内に剥離残渣が発生しないようにドライフィルムレジスト膜26を膨潤させて除去する方法を採用することが好ましい。
【0064】
次いで、図4(a)に示すように、図3(c)の構造体の上にスパッタによりCr膜とCu膜とを順次成膜してシード膜28とする。このとき、孔11内には第1絶縁膜12のひさし部12xが存在しないので、シード膜28は断線することなく連続膜として形成される。続いて、図4(b)に示すように、孔11及びその周囲が露出する開口部30aを有するレジスト膜30を形成する。
【0065】
その後、図4(c)に示すように、シード膜28をめっき給電層に利用した電解めっきにより、孔11内及びレジスト膜30の開口部30aにCu膜パターン32を充填する。このとき、シード膜28はトレンチホール10a内に断線することなく連続膜として形成されているため、Cu膜パターン32はボイドが発生することなく安定して孔11内に埋め込まれて形成される。
【0066】
次いで、図5(a)に示すように、レジスト膜30を除去した後、Cu膜パターン32をマスクにしてシード膜28を層間絶縁膜20が露出するまでエッチングする。これにより、図5(b)に示すように、シード膜28及びCu膜パターン32から構成される導電体34が得られる。また、このとき、各配線22a,22b,22cは電気的に分離される。
【0067】
本実施形態では、高温での熱処理工程を伴って形成されるキャパシタQは導電体34が形成される前に既に作成されている。従って、導電体34は後工程で高温の熱処理を施されることはないので、熱処理に起因する導電体34の収縮、膨張に起因する欠陥などが発生する恐れがなくなる。これにより、コネクタ基板の製造における欠陥率が低くなることから、製造歩留りが向上して製造コストが低減される。
【0068】
続いて、シリコン基板10の背面(キャパシタQが形成されていない面)を機械研磨し、孔11の底部から20〜30μm手前の位置で研磨を終了する。その後、シリコン基板10の背面をウェットエッチングして孔11の底部の第2絶縁膜24を露出させる。さらに、シリコン基板10の背面に露出する第2絶縁膜24をプラズマエッチングすることにより孔11内の導電体34を露出させる。
【0069】
これにより、図5(c)に示すように、孔11はシリコン基板10の素子形成面から背面に貫通する貫通孔11aとなる。
【0070】
このようにして、シリコン基板10の背面に露出する導電体34の面が接続端子34aとなり、配線基板(マザーボード)の接続パッドに接続される。また、導電体34の接続端子34aは貫通孔11a内に充填された導電体34及び配線22bを介してキャパシタQの下部電極14に電気的に接続される。
【0071】
その後に、シリコン基板10の背面に導電体34を露出させる開口部36aを有するポリイミドなどからなるカバー絶縁膜36を印刷などにより形成する。又は、開口部が設けられた絶縁性シートをシリコン基板10の背面に貼着することによりカバー絶縁膜36としてもよい。あるいは、コネクタ基板が実装される配線基板にソルダレジスト膜が形成される場合は、カバー絶縁膜36を省略してもよい。
【0072】
以上により、本発明の第1実施形態に係るコネクタ基板の製造方法により製造されたコネクタ基板1が得られる。
【0073】
本実施形態のコネクタ基板の製造方法では、まず、シリコン基板10の孔11に導電体34を充填する前に、シリコン基板10上に第1絶縁膜12を介して高誘電体膜16を有するキャパシタQが形成される。このように、平坦性の高いシリコン基板10上にキャパシタQが形成されるようにしたので、所要の膜特性の高誘電体膜16を有するキャパシタQが形成される。しかも、シリコン基板10を研磨して平坦化する必要もないので、従来技術に比べて製造工程が簡易なものとなる。
【0074】
その後、第1絶縁膜12上の孔形成部に開口部23aを有するレジスト膜23が形成される。次いで、このレジスト膜23をマスクにして第1絶縁膜12とシリコン基板10とが順次エッチングされて孔11が形成される。このとき、孔11内の第1絶縁膜12にはひさし部12xが形成される。続いて、このレジスト膜23を残した状態で第1絶縁膜12のひさし部12xをサイドエッチングさせて除去する。
【0075】
このように、本実施形態では、孔11を形成するためのレジスト膜23をそのまま第1絶縁膜12のひさし部12xを除去するマスクとして兼用するようにしている。このため、ひさし部12xを除去するために特別にレジスト膜をパターニングする工程を追加としないので、製造コストが上昇するといった問題が解消される。
【0076】
続いて、孔11の内面及びその周囲に第2絶縁膜24が選択的に形成された後、孔11内にキャパシタQに電気的に接続される導電体34が充填される。次いで、シリコン基板10の背面が削られて導電体34の下面の接続端子34aがシリコン基板10の背面に露出する。その後に、導電体34の接続端子34aが露出する開口部36aを有するカバー絶縁膜36が形成される。
【0077】
これにより、シリコン基板10の背面に露出する導電体部34の接続端子34aは、貫通孔11aを介してシリコン基板10の素子形成面のキャパシタQに電気的に接続される。
【0078】
このように、本実施形態では、シリコン基板10上方にキャパシタQが形成された後に、シリコン基板10に孔11aとそれに充填される導電体34とが形成されるようにしたので、導電体34はキャパシタQを形成する際の高温の熱処理の影響を受けない。このため、導電体34が高温で熱処理されることに起因して欠陥が発生するといった問題が解消されるので、コネクタ基板の製造歩留りを向上させることができる。
【0079】
また、シリコン基板10に孔10aなどを形成する工程はフォトリソグラフィ及び薄膜プロセスにより行われるため、セラミック基板を使用する場合と違って、大面積のシリコン基板を使用する場合であっても孔10のウェハ内でのピッチのばらつきが小さくなって孔10aが精度よく形成されるようになる。
【0080】
以上のことから、受動素子を内蔵したインターポーザを代表とするSIP基板に適用されるコネクタ基板が低コストで、かつ高歩留りで容易に製造されるようになる。
【0081】
(第2の実施の形態)
図6及び図7は本発明の第2実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図である。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、レジスト膜23をマスクにしてシリコン基板10にトレンチホール10aを形成した後に、レジスト膜23の開口部23aを外側に後退させて第1絶縁膜12のひさし部12xの上面を露出させた状態でひさし部12xを除去することにある。第2実施形態では第1実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。
【0082】
前述した第1実施形態では、図2(c)及び図3(a)に示すように、シリコン基板10のトレンチホール10aはレジスト膜23の開口部23aから外側にサイドエッチングされて形成されることから、結果的にレジスト膜23はトレンチホール10aの外周近傍部を塞いでしまうことになる。このため、特にトレンチホール10aのアスペクト比が大きくなると、ひさし部12xをエッチングした後(レジスト除去前)に行われる洗浄工程において、洗浄液の循環不良が起こってトレンチホール10aの内面を十分に洗浄できなくなる場合がある。その結果、トレンチホールの内面に付着した反応生成物などに起因するエッチング残渣を除去できなくなり、パーティクルの発生原因になる場合が想定される。第2実施形態は、このような不具合が発生することを回避することができる。
【0083】
第2実施形態のコネクタ基板の製造方法は、図6(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様な方法により、図2(c)と同様にレジスト膜23をマスクにして第1絶縁膜12及びシリコン基板10をエッチングして孔11を形成し、レジスト膜23を残した状態にしておく。
【0084】
その後、図6(b)に示すように、図6(a)の構造体をクリーンオーブンで130℃の温度で20分間加熱してレジスト膜23を軟化させることにより、開口部23aの側面をその外側にさらに傾斜させてテーパー形状にする。そのような特性を有するレジスト膜23としては熱可塑性のレジスト材料などが使用される。
【0085】
次いで、酸素(O2)又はO2を含むガスを用いたドライエッチング(RIEなど)によりレジスト膜23全面をエッチングすることにより、レジスト膜23の開口部23aの下部を外側に例えば5μm程度後退させる。これにより、図6(c)に示すように、レジスト膜23の開口部23aはトレンチホール10aの外周より外側に配置されると共に、第1絶縁膜12のひさし部12xの上面が露出した状態となる。
【0086】
なお、レジスト膜23をドライエッチングして開口部23aを後退させる方法としては、異方性エッチングを使用してもよいし、あるいは等方性エッチングを使用してもよい。また、ドライエッチングの代わりに、イオンミリングを用いてもよい。
【0087】
続いて、開口部23aを後退させたレジスト膜23をマスクにしてバッファードフッ化水素酸により第1絶縁膜12(シリコン酸化膜又はPSG膜)のひさし部12xをウェットエッチングして除去する。
【0088】
このようにすることにより、図7(a)に示すように、レジスト膜23はトレンチホール10aの外周近傍部を塞がなくなるため、ひさし部12xを除去した後の洗浄時に、孔11a内に洗浄液が十分に循環・供給されるようになる。従って、孔11a内にエッチング残渣が残るといった不具合が解消される。
【0089】
その後に、レジスト膜23を除去することにより、図7(b)の構造体が得られる。
【0090】
続いて、第1実施形態と同様に、第2絶縁膜24をトレンチホール内に形成する工程(図3(b))からシリコン基板10の背面にカバー絶縁膜36を形成する工程(図5(c))までを遂行することにより、図5(c)と同様な構造のコネクタ基板1が得られる。
【0091】
第2実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。これに加えて、孔11形成用のレジスト膜23がトレンチホール10aの外周近傍部を塞がないようにしたので、孔11内の内面に付着するエッチング残渣を洗浄液で容易に除去できるようになり、製造歩留りを向上させることができる。
【0092】
(第3の実施の形態)
図8は本発明の第3実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図である。第3実施形態が第2実施形態と異なる点は、第1絶縁膜12のひさし部12xをウェットエッチングではなくドライエッチングなどにより除去することにある。第3実施形態では、第1及び第2実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。
【0093】
第3実施形態のコネクタ基板の製造方法は、図8(a)に示すように、第2実施形態と同様な方法により、図6(c)と同様な構造体を形成する。すなわち、シリコン基板10に孔11を形成した後に、レジスト膜23の開口部23aを外側に後退させて第1絶縁膜12のひさし部12xの上面を露出させる。
【0094】
その後、図8(b)に示すように、C4F8とO2とを用いたドライエッチングにより、レジスト膜23をマスクにして第1絶縁膜(シリコン酸化膜やPSG膜)12のひさし部12xを異方性エッチングする。これにより、図8(b)に示すように、第1絶縁膜12はレジスト膜23の開口部23aからサイドエッチングされることなくレジスト膜23に忠実にエッチングされてひさし部12xが除去される。
【0095】
このようなエッチング条件では、エッチング選択比(シリコン酸化膜(PSG膜)のエッチレート/シリコン基板のエッチレート)が高いため、ひさし部12xがシリコン基板10に対して選択的にエッチングされる。エッチングガスは上記した例に限定されるものではなく、同様な選択比が得られるガス種であれば適用することができる。
【0096】
ドライエッチング装置としては、ICP(Inductive Coupled Plasma)型、TCP(Transfer Coupled Plasma)型、平行平板型などの各種ドライエッチング装置を使用することができる。
【0097】
前述した第1又は第2実施形態では、シリコン基板10の孔11のアスペクト比(深さ/径)が比較的高い場合(例えば1以上)、孔11の内面に付着する反応生成物などに起因するエッチング残渣を除去しきれなくなる場合が想定される。
【0098】
しかしながら、第3実施形態では、ドライエッチングを用いて第1絶縁膜12のひさし部12xをエッチングするようにしたので、トレンチホール10a内に付着したエッチング残渣がドライエッチングのプラズマでクリーニングされて除去される。このため、トレンチホール10aのアスペクト比が高い場合であっても、エッチング残渣によるパーティクルの発生を抑制することできるので、製造歩留りを向上させることができる。
【0099】
なお、第1絶縁膜12としてシリコン酸化膜又はPSG膜を用いる場合のひさし部12xの好適なエッチング方法を説明したが、ドライエッチングの代わりに、イオンミリングやサンドブラストを用いてもよく、又はこれらの方法を組み合わせてもよい。
【0100】
また、第1絶縁膜12として、シリコン酸化膜及びPSG膜の他に、シリコン窒化膜又はTiN膜などを使用することができる。第1絶縁膜12としてシリコン窒化膜又はTiN膜を使用する場合、ひさし部12xはArを用いたイオンミリングによりエッチングされる。このとき、第1実施形態で説明したように、イオンミリングは孔11の下側になるにつれてエッチングレートが低下する特性を有するので、シリコン基板10の底部が多量にエッチングされてしまうといった不具合は発生しない。
【0101】
また、第1絶縁膜12のひさし部12xの上面を露出させた状態でイオンミリングを行うようにしたので、第1実施形態よりもひさし部12xを確実に安定して除去することができる。
【0102】
以上にようにして第1絶縁膜12のひさし部12xをエッチングした後に、レジスト膜20を除去することにより、図8(c)の構造体が得られる。
【0103】
次いで、第1実施形態と同様に、第2絶縁膜24を孔11の内面に形成する工程(図3(b))からシリコン基板10の背面にカバー絶縁膜36を形成する工程(図5(c))までを遂行することにより、図5(c)と同様な構造のコネクタ基板1が得られる。
【0104】
第3実施形態は、第1及び第2実施形態と同様な効果を奏する。これに加えて、第3実施形態では、第1絶縁膜12のひさし部12xをドライエッチングにより除去するようにしたので、トレンチホール10aのアスペクト比が高い場合であっても、エッチング残渣が同時に除去されてパーティクルの発生を抑制することができる。
【0105】
(付記1) 第1絶縁膜を備えた半導体基板の該第1絶縁膜の上に、薄膜により構成される受動素子を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上の孔形成部に開口部を備えたレジスト膜を、前記受動素子及び第1絶縁膜上に形成する工程と、
前記レジスト膜の開口部を通して前記第1絶縁膜及び前記半導体基板をエッチングすることにより、前記第1絶縁膜の開口部が前記半導体基板のトレンチホールの内側に配置されて形成されるひさし部を備える孔を形成する工程と、
前記レジスト膜をマスクにして、前記第1絶縁膜のひさし部を除去する工程と、
前記レジスト膜を除去する工程と、
前記孔の内面に第2絶縁膜を選択的に形成する工程と、
前記受動素子に接続される導電体を前記孔の中に充填する工程と、
前記半導体基板を背面側から削ることにより、前記導電体の一部を露出させる工程とを有することを特徴とするコネクタ基板の製造方法。
【0106】
(付記2) 前記第1絶縁膜のひさし部を除去する工程において、前記ひさし部をウェットエッチングによりサイドエッチングさせることを特徴とする付記1に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0107】
(付記3) 前記孔を形成する工程の後であって、前記第1絶縁膜のひさし部を除去する工程の前に、前記レジスト膜の開口部を前記ひさし部の上面が露出する位置まで外側に後退させる工程を有することを特徴とする付記1に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0108】
(付記4) 前記レジスト膜の開口部を前記ひさし部の上面が露出する位置まで外側に後退させる工程は、
前記レジスト膜を熱処理することにより、前記レジスト膜の開口部の側面を外側に傾ける工程と、
前記レジスト膜の膜厚方向の一部をエッチングすることにより、前記レジスト膜の開口部を前記ひさし部の上面が露出する位置まで外側に後退させる工程とを含むことを特徴とする付記3に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0109】
(付記5) 前記ひさし部を除去する工程において、前記ひさし部をウェットエッチング、ドライエッチング、イオンミリング、又はサンドブラストにより除去することを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0110】
(付記6) 前記第1絶縁膜は、シリコン酸化膜、PSG膜、シリコン窒化膜及び窒化チタンの群から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0111】
(付記7) レジスト膜は、熱可塑性材料からなることを特徴とする付記4に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0112】
(付記8) 前記レジスト膜をエッチングして前記開口部を後退させる工程において、酸素原子を含むガスを用いたドライエッチング、又はイオンミリングを使用することを特徴とする付記4に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0113】
(付記9) 前記孔を形成する工程において、前記第1絶縁膜及び前記半導体基板は、ドライエッチング、ウェットエッチング、イオンミリング及びサンドブラストのいずれか、又はこれらを組み合わせた方法によりエッチングされることを特徴とする付記1乃至8のいずれか一項に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0114】
(付記10) 前記第1絶縁膜のひさし部を除去する工程において、前記孔のアスペクト比が1以上のときは、前記ドライエッチング又は前記イオンミリングを使用することを特徴とする付記3又は4に記載のコネクタ基板の製造方法。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、平坦な半導体基板上に第1絶縁膜を介して薄膜により構成される受動素子が形成されるようにしたので、薄膜のクラックなどの発生が回避されて受動素子の製造歩留りが向上する。
【0116】
また、半導体基板に孔を形成するためのレジスト膜をそのまま第1絶縁膜のひさし部を除去するマスクとして兼用するようにしたことから、特別にレジスト膜をパターニングする工程を追加する必要がないので製造コストが上昇するといった問題が解決される。
【0117】
また、半導体基板の孔に充填される導電体は、半導体基板上に受動素子が形成された後に形成されるようにしたので、高誘電体キャパシタなどの受動素子を形成する場合、導電体は高誘電体膜を高温で熱処理する際の熱の影響を受けなくなる。これにより、導電体が高温で熱処理されることに起因して欠陥が発生するといった問題が解消されるので、コネクタ基板の製造歩留りを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2は本発明の第1実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3は本発明の第1実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は本発明の第1実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【図6】図6は本発明の第2実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図7】図7は本発明の第2実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図8】図8は本発明の第3実施形態のコネクタ基板の製造方法を示す断面図である。
【図9】図9はシリコン基板にトレンチホールを形成する際の不具合な点を示す断面図である。
【符号の説明】
10…シリコン基板(半導体基板)、10a…トレンチホール、11…孔、11a…貫通孔、12…第1絶縁膜、12x…ひさし部、14a…第1導電膜、14…下部電極、16a…高誘電体膜、16…キャパシタ用高誘電体膜、18a…第2導電膜、18…上部電極、20…層間絶縁膜、20a…コンタクトホール、12a,20b,23a,30a,36a…開口部、22a,22b,22c…配線、23,30…レジスト膜、24…第2絶縁膜、26…ドライフィルムレジスト膜、28…シード膜、32…Cu膜パターン、34…導電体部、34a…接続端子、36…カバー絶縁膜。
Claims (3)
- 第1絶縁膜を備えた半導体基板の該第1絶縁膜の上に、薄膜により構成される受動素子を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上の孔形成部に開口部を備えたレジスト膜を、前記受動素子及び第1絶縁膜上に形成する工程と、
前記レジスト膜の開口部を通して前記第1絶縁膜及び前記半導体基板をエッチングすることにより、前記第1絶縁膜の開口部が前記半導体基板のトレンチホールの内側に配置されて形成されるひさし部を備える孔を形成する工程と、
前記レジスト膜を熱処理することにより、前記レジスト膜の開口部の側面を外側に傾ける工程と、
前記レジスト膜の膜厚方向の一部をエッチングすることにより、前記レジスト膜の開口部を前記ひさし部の上面が露出する位置まで外側に後退させる工程と、
前記レジスト膜をマスクにして、前記第1絶縁膜のひさし部を除去する工程と、
前記レジスト膜を除去する工程と、
前記孔の内面に第2絶縁膜を選択的に形成する工程と、
前記受動素子に接続される導電体を前記孔の中に充填する工程と、
前記半導体基板を背面側から削ることにより、前記導電体の一部を露出させる工程と
を有することを特徴とするコネクタ基板の製造方法。 - 前記ひさし部を除去する工程において、前記ひさし部をウェットエッチング、ドライエッチング、イオンミリング、又はサンドブラストにより除去することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ基板の製造方法。
- 前記第1絶縁膜は、シリコン酸化膜、PSG膜、シリコン窒化膜及び窒化チタンの群から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ基板の製造方法。
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