JP3921530B2 - Dna分子識別機能材料 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な塩基配列と形状を有するDNA混合液より、所望の塩基配列と形状を有する二本鎖DNAを認識・識別し得る新規なDNA分子識別機能材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、ゲノムDNA の塩基配列が解明されるに従い、これら塩基配列情報を利用した測定技術、応用に関する開発が盛んに行われるようになった。Polymerase chain reaction (PCR)やハイブリダイゼーションは、古くから遺伝子研究に多用され、ハイブリダイゼーションを応用したDNA検出チップは、遺伝子診断の用に供するため、医療の分野に進出しつつある(非特許文献1〜3参照)。
これらの技術は、一本鎖DNA(プローブ鎖)と、プローブ鎖と相補的配列を持つDNAが結合し、二本鎖を形成することを原理とする。例えばDNA検出チップは、検出目的の塩基配列を有するプローブDNAを基板上に固定し、あらかじめ蛍光標識を行った検体DNAと接触させた後、洗浄し、プローブDNA に対して相補的配列を持つDNAが検体中に含まれていた場合にのみ、プローブ鎖との二本鎖が形成され蛍光検出される方法である。
【0003】
しかしながら、PCRは、目的とする塩基配列のDNAを識別するために有用な方法であるが、反応後、反応副産物を除くため、電気泳動を行う必要があり、また目的とするDNAを分取するためにはさらに泳動後のゲルを切り出し、カラム等を用いてゲルよりDNAを抽出しなければならない。
【0004】
また、ハイブリダイゼーションは、電気泳動後、泳動パターンをメンブレンフィルターに電気的に写し取った後、検出目的のDNA配列と相補的配列を持つプローブDNAと接触させ、洗浄し、さらにプローブDNA と二本鎖が形成された検出部分を視覚化する必要がある。
【0005】
更に、DNA検出チップは、ハイブリダイゼーションの手間を大幅に短縮するものの、プローブDNAを基板に固定化する技術が難しく、また基板の価格が高いうえ、検出には、蛍光分光光度計など高価な装置が必要である。
【0006】
そのため、目的とする塩基配列と形状の二本鎖のDNA を簡単に検出、分取することができ、しかも高価な分離精製器具や測定装置を必要としない方法が強く求められているのが現状である。
【0007】
【非特許文献1】
加藤郁之進、「PCR法の原理と応用」蛋白質核酸酵素35 (1990) 2957-2976.
【非特許文献2】
山下健一、竹中繁織、高木 誠、「DNA検出チップ」ぶんせき,5,(2002) 227-232.
【非特許文献3】
松永 是、「DNAチップ応用技術」、シーエムシー
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、煩雑な操作や工程が省かれると共に高価な精製・分離器具や測定装置を必要とすることなく簡便かつ廉価に目的とする塩基配列と形状を有する二本鎖のDNA を簡単に検出、分取することが可能な新規なDNA識別機能材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、所定形状の二本鎖DNAを補足する大きさの空孔を持ち、かつ該空孔の表面に特定の塩基配列を有するDNAを認識する機能性物質を設けたDNA分子形状鋳型が、DNA分子の識別材料として有効であることを知見した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) DNA分子形状鋳型を有するポリマーからなり、該DNA分子形状鋳型は、所定形状の二本鎖DNAを捕捉する大きさの空孔を持ち、かつ該空孔の表面には特定の塩基配列を有するDNAを認識し、当該該二本鎖DNAの融解温度を上昇させる機能性物質が設けられていることを特徴とするDNA分子識別機能材料。
(2)空孔が、ポリマー中にあらかじめ含有させたDNAの溶出除去跡に形成されたものであることを特徴とする上記(1)に記載のDNA分子識別機能材料。
(3)支持体上にDNA分子形状鋳型を有するポリマーが形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のDNA分子識別機能材料。
(4)支持体が表面処理されていることを特徴とする上記(3)に記載のDNA分子識別機能材料。
(5)支持体が金又はガラスであることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載のDNA分子識別機能材料。
【0011】
【発明実施の形態】
本発明のDNA分子識別機能材料は、たとえば、所望とする二本鎖DNAと該DNAの特定の塩基配列を認識する機能性物質とから自己集合体を形成する工程(第1工程)、該自己集合体と原料モノマーを重合させて二本鎖DNAと機能性物質を含有するポリマーを形成する工程(第2工程)、該ポリマーから鋳型二本鎖DNAを除去し、その溶出除去跡に所望とするDNA分子形状鋳型となる空孔を形成する工程(第3工程)を経て作成される。
【0012】
第1工程では、所望とする二本鎖DNA(鋳型二本鎖DNA) 溶液に機能性物質を混合し、二本鎖DNA表面に機能性物質を自己集合させる操作を行う。 この工程で用いられる機能性物質とは、二本鎖DNAの特定の塩基配列を認識し、該塩基配列の表面に非共有的に結合すると共に原料モノマーと重合し得る物質を意味する。
【0013】
このような機能性物質としては、たとえば、ビニル基を1つ以上有する低分子の機能性モノマーを挙げられる。機能性モノマーの具体例としては、たとえば、ビニル基を1つ以上含むピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアゾール誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、インドール誘導体、プリン誘導体、それらのポリアミド誘導体、ポリアミン誘導体等を挙げることができる。
更に具体的には、2-vinyl-4,6-diamino-1,3,5-triazine(VDAT), 7-allyl-7,8,-dihydro-8-oxo-guanosine などが挙げられる。
【0014】
特に、2-vinyl-4,6-diamino-1,3,5-triazine(VDAT), 7-allyl-7,8,-dihydro-8-oxo-guanosineは、二本鎖DNA分子を分解させることなくDNAに結合し、その融解温度を上昇させる特性を有すること、また二本鎖DNAの特定の塩基配列と簡便かつ安定に自己集合することから最も好ましく使用される。
これらの機能性モノマーは、識別対象となる鋳型二本鎖DNA 溶液に単独又は2種以上混合させて用いられる。
【0015】
鋳型二本鎖DNA や機能性物質を溶解する溶媒としては、蒸留水、精製水、超純水等の水の他、各種塩溶液、リン酸等から成るpH緩衝液が用いられる。各種塩溶液、pH緩衝液を用いる場合は、二本鎖DNAの変性を起こさない濃度、pHでなければならない。二本鎖DNA と機能性物質の混合比は、用いるDNA 配列や形状により異なる。二本鎖DNAと機能性モノマーは混合後、たとえば室温あるいは冷蔵庫で2時間以上放置することにより、二本鎖DNA の特定の塩基配列の表面に機能性モノマーが結合した自己集合体が得られる。
【0016】
第2工程では、第1工程で作成した二本鎖DNAと機能性モノマーの自己集合体溶液と原料モノマーを混合し、重合させる操作を行う。ここで用いられる原料モノマーとしては、ビニルモノマーが好ましく、またこれらの重合を促進させると共に、安定な形状を持つ空孔の形成を図るために架橋剤を用いることが好ましい。
【0017】
ビニルモノマーとしては、通常ビニル基を有する水溶性有機化合物が用いられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、これら酸のアルカリ金属塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミド等である。これらのビニルモノマーは単独又は2種以上の混合物の形で用いられる。
【0018】
架橋剤としては、分子中にビニル基を少なくとも2個有する水溶性有機化合物が用いられる。例えばN, N´-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N, N´-メチレンビスアクリルアミド等である。
【0019】
ビニルモノマーと架橋剤の混合割合は、好ましくは、ビニルモノマー100重量部当たり架橋剤30重量部以上であるが、架橋剤の混合割合はできるだけ多い方がよい。これらのモノマーと架橋剤は、第1工程で作成したDNAと機能性モノマーの自己集合体溶液に加えられる。ビニルモノマーと架橋剤混合物の溶媒中の濃度は、溶媒1リットル当たり20g以上であるがDNAの変性を生じない範囲でできるだけ多い方が好ましい。
【0020】
DNAと機能性モノマーの自己集合体溶液にビニルモノマーと架橋剤混合液を加えた後、窒素ガスをバブリングして溶液中の酸素を追い出し、重合開始剤(例えば、過硫酸アンモニウム等)および重合促進剤(例えば、N,N,N´, N´-テトラメチレンジアミン等)を加え、放置し重合させて材料を得る。得られるポリマーは、重合させる際に用いられる容器の形に応じて整形されるので、使用目的に応じて材料の形状を決めることが可能である。例えば、DNA認識部位を多くする目的ならば、薄い板状あるいは、細かい粒状にし、材料の表面積を大きくするのが好ましい。
【0021】
第3工程では、第2工程で得たポリマーから、鋳型二本鎖DNAを除去し、その溶出除去跡に所望とするDNA分子形状鋳型となる空孔を形成する。
具体的には、第2工程で得たポリマーを洗浄し、鋳型DNAの除去を行う。材料の洗浄は、6〜8M尿素溶液、塩酸グアニジン、各種界面活性剤の溶液等を用い、上澄みに鋳型DNAが溶出されなくなるまで溶液を入れ替えて繰り返し行う。
【0022】
本発明のDNA分子識別機能材料は、そのままで使用してもよいが、あらかじめ支持体上にDNA分子形状鋳型を有するポリマーを設けた形態で使用することも可能である。
【0023】
この場合、支持体としては、無機系又は有機系の固体物質が用いられ、これらのものは多孔質であっても非多孔質であってもよい。無機系支持体としては、シリカゲル、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、ゼオライト、ガラス、金等が挙げられるが、ガラスや金の使用が好ましい。有機系支持体としては、メラミン樹脂ビーズの如き硬化樹脂ビーズが好ましく使用される。支持体の形状は、粉末状、粒状、プレート状等の各種の形状であることができる。支持体としては、ポリマーとの結合強度を高めるために、表面処理したものを用いることが好ましい。
【0024】
たとえば支持体として、ガラスを用いた場合には、表面処理剤としては、ビニル基を結合させたものの使用が好ましい。このようなビニル基を表面に有する支持体は、ビニル基を有するシランカップリング剤を用いて支持体を表面処理することにより得ることができる他、アミノ基等の活性水素を有する官能基を表面に有する支持体に塩化アクリロイル等の反応性ビニル化合物を反応させることによって得ることができる。このようなビニル基を有する支持体を用いるときには、支持体上に形成される重合体膜は、このビニル基と反応結合しているため、支持体に強固に結合したものとなる。
【0025】
また、支持体として、金を用いた場合には、ビニル基を有し、かつ金表面と共有結合させるための-SH基や-S-S-結合を持つ有機化合物(例えばN,N´-ビス(アクロイル)-シスタミンなど)を接触させることで、金表面にビニル基を導入することができる。
【0026】
機能性モノマーとしてVADTを、支持体として金を用いた本発明のDNA分子識別機能材料の作成フローチャートを図1に示す。
【0027】
本発明のDNA分子識別機能材料は、DNA分子形状鋳型を有するポリマーからなり、該DNA分子形状鋳型は、所定形状の二本鎖DNAを補足する大きさの空孔を持ち、かつ該空孔の表面には特定の塩基配列を認識する機能性物質が設けられている、いわゆる人工の受容体である。
【0028】
したがって、本発明のDNA分子識別機能材料は、様々な塩基配列、様々な形状のDNA混合液に接触させるだけで、所望とするDNAを検出、分取でき、上述した従来のような手間のかかる操作を省略することが可能である。
【0029】
さらに二本鎖DNAを鋳型分子として使用すれば、二本鎖のみを認識することが可能である。例えば、PCRに関しては、反応溶液に接触させるだけで、目的とする塩基配列と形状を有する二本鎖DNAを識別・認識し、検出、分取することが可能である。
【0030】
また、水晶振動子(QCM)検出部表面に当材料を被覆し、PCR反応液に接触させれば、検出試薬など加えることなしに、リアルタイムで反応の進行度合いを確認することが可能である。
【0031】
ハイブリダイゼ-ションの応用に関しては、反応後の溶液をこの材料と接触させるだけで、目的とする塩基配列と形状を持つ二本鎖DNAを検出、分取することが可能である。PCRの場合と同様、QCMとの組み合わせで、リアルタイムに反応の様子が観察できる。
したがって、本発明の分子インプリンティング法によるDNA分子識別機能材料は、DNA検出チップの基板とは異なり、特別な装置などを必要とせずに通常の実験室規模で簡単に安価に操作でき、その作成が簡便なものである。
【0032】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明を限定することを意図するものではない。
【0033】
実施例1
[ガラス表面上に重合させたDNA識別機能を持つ材料の調製]
あらかじめメタノール:塩酸混合溶液に浸漬、洗浄したスライドガラスを、50mMの3-(trimethoxysilyl)propylmethacrylateエタノール溶液で処理し、ガラス表面にシランコーテイングを施した。このスライドガラス表面に、表1の処方にしたがって処方1〜6のDNA識別機能材料を調製した。
このDNA識別機能材料の作成方法を処方6を例に取り以下に説明する。
鋳型分子の二本鎖DNAは、病原性大腸菌ベロ毒素由来二本鎖DNAの一部(34塩基対)を用い、50mM HEPES(2-[4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid) 緩衝液(pH7.3) 1.7mM濃度となるよう溶解した。ここにVDAT (機能性モノマー) を17mM濃度となるよう溶解し、二本鎖DNAと機能性モノマーの自己集合体溶液を作成した。放置後、さらにアクリルアミド(AAm)を0.13M、N,N´-メチレンビス(アクリルアミド)(Bis)を0.13M濃度となるように加え、窒素ガスをバブリングして、溶液中の空気を除いた。0.2g/mlの過硫酸アンモニウム溶液(重合開始剤)0.2v/v%およびN,N,N´, N´-テトラメチレンジアミン(重合促進剤)0.05v/v%を加え混合した後、この溶液20μlをシランコーテイングしたスライドガラスの上に滴下し、カバーグラスをかけて室温で1時間以上放置して重合させた。重合後、カバーグラスを剥がし、0.1Mの塩酸グアニジンを含む50mM HEPES緩衝液(pH7.3)で洗浄した。上澄みにDNAが検出されなくなるまで繰り返し液を入れ替えて洗浄した後、50mM HEPES緩衝液(pH7.3)ですすぎ、使用するまで、同緩衝液中に保存し、処方6のDNA識別機能材料を作成した。
なお処方1のDNA識別機能材料は、鋳型DNA、AAm、Bisを添加しない以外は、処方6と同様に操作することにより得たものである。処方2のDNA識別機能材料は、AAm、Bisを添加しない以外は、処方6と同様に操作することにより、処方3のDNA識別機能材料は、鋳型DNA、AAmを添加しない以外は、処方6と同様に操作することにより、処方4のDNA識別機能材料は、AAmを添加しない以外は、処方6と同様に操作することにより、処方5のDNA識別機能材料は、鋳型DNAを添加しない以外は、処方6と同様に操作することによりそれぞれ得たものである。
【0034】
【表1】
【0035】
[DNA識別機能の確認]
前記鋳型作成時に使用したものと同じベロ毒素由来日本鎖DNAの末端をFITC(fluorescein isothiocyanate)で蛍光標識したものを50mM HEPES緩衝液(pH7.3)に20μM濃度となるように溶解した溶液を調製した。またネガティブコントロールとしてFITCで末端を標識したpoly dC-poly dG(34塩基対)を用い、 20μM濃度となるように50mM HEPES緩衝液(pH7.3)に溶解した溶液を調製した。
ついで、前記処方1〜6で得た材料を、上記の各々の溶液に2時間浸漬し、50mM HEPES 緩衝液(pH7.3)ですすいだ後、材料表面に残った蛍光強度をイメージアナライザーで測定した。その結果を図2に示す。
図2の結果から、鋳型DNA、VDAT、AAm、Bisを加えた処方6の材料、すなわち鋳型DNAによって材料表面に空孔が作成され、目的のDNAを認識するためのVDATが配置された材料の蛍光強度が最も高く、ネガティブコントロールDNAとの差も大きいことから、ベロ毒素由来二本鎖DNAの認識能力が高いことがわかった。また、処方5と処方6を比較すると、処方5の蛍光強度は低く、鋳型DNAを含まない処方5の材料、すなわち空孔がなく、VDATが目的のDNA と関係なくランダムに配置された材料は、ベロ毒素由来二本鎖DNAの認識能力が低いことがわかった。
【0036】
実施例2
[金表面上に重合させたDNA識別機能を持つ材料の調製]
金表面に20mM N,N´-ビス(アクロイル)-シスタミンを含む50mM HEPES緩衝液( pH7.3)を1時間以上接触させて、金表面にDNA識別機能材料を重合させるためのビニル基が導入された支持体を作成した。
この支持体を実施例1の処方5及び6のシランコーテイングしたスライドガラスの代わりに用いた以外は同様に操作して、DNA識別機能材料を作成した。
【0037】
[表面プラズモン共鳴(SPR)への応用]
実施例2で作成した金表面上に重合させたDNA識別機能を持つ材料をSPRの検出部分に設置し、測定が可能であるか否かを検討した。処方5の材料で被覆した金表面と処方6の材料で被覆した金表面の各々に、ベロ毒素由来二本鎖DNAを100nM濃度となるよう50mM HEPES緩衝液(pH7.3)に溶解したものを適用し、SPRの反応をタイムコースで記録した。結果を図3に示した。モニター開始より約80秒の所で、ベロ毒素由来の二本鎖DNA溶液を適用し、約650秒のところで50mM HEPES緩衝液(pH7.3)に切り替え材料表面を洗浄した。約80 秒付近のDNA溶液を適用した時の反応の立ち上がり方、約650秒のところのHEPES緩衝液を適用した時の反応の減少の仕方に差がみられた。これら反応の立ち上がりと減少の部分は、DNA認識機能を持つ材料とベロ毒素由来の二本鎖DNAとの会合定数と解離定数に影響を受ける部分であるので、処方5と処方6の材料はベロ毒素由来の二本鎖DNAに対して異なる会合定数と解離定数を有することが確認された。異なった処方材料に対し異なった反応プロファイルが見られたことから、SPRやこれと同じく金表面を検出部分とするQCMへの応用可能であることがわかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明のDNA分子識別機能材料は、従来のような、煩雑で手間のかかる操作や高価な分離装置や測定装置を必要とすることなく、様々な塩基配列と形状を有するDNA混合液に単に接触させるだけで、所望とする塩基配列と形状を有する二本鎖のDNA を簡単に検出、分取することができる。
したがって、工業的に極めて有利なDNA分子識別機能材料ということができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金を支持体とする本発明のDNA分子識別機能材料の作成フローチャート。
【図2】DNA識別機能材料に、FITC標識したベロ毒素由来二本鎖DNA溶液およびFITC標識ネガティブコントロールDNA溶液を接触させた時の材料表面の蛍光強度を示すグラフ。
【図3】実施例2で得た、処方5と処方6の材料をSPR検出部分(金表面)に重合しベロ毒素由来二本鎖DNA溶液に接触させた時のSPRの特性を表すグラフ
Claims (5)
- DNA分子形状鋳型を有するポリマーからなり、該DNA分子形状鋳型は、所定形状の二本鎖DNAを捕捉する大きさの空孔を持ち、かつ該空孔の表面には特定の塩基配列を有するDNAを認識し、当該該二本鎖DNAの融解温度を上昇させる機能性物質が設けられていることを特徴とするDNA分子識別機能材料。
- 空孔が、ポリマー中にあらかじめ含有させたDNAの溶出除去跡に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のDNA分子識別機能材料。
- 支持体上にDNA分子形状鋳型を有するポリマーが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のDNA分子識別機能材料。
- 支持体が表面処理されていることを特徴とする請求項3記載のDNA分子識別機能材料。
- 支持体が金又はガラスであることを特徴とする請求項3又は4に記載のDNA分子識別機能材料。
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Cited By (2)
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WO2009122679A1 (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-08 | 十勝テレホンネットワーク株式会社 | 透析膜 |
WO2012004862A1 (ja) * | 2010-07-07 | 2012-01-12 | 株式会社センシングネットワーク | 分子認識高分子を用いた選択性透過膜 |
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WO2012004862A1 (ja) * | 2010-07-07 | 2012-01-12 | 株式会社センシングネットワーク | 分子認識高分子を用いた選択性透過膜 |
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