JP3918043B2 - 貯水・取水ダムの排砂、排泥システム工法及び貯水・取水ダムの排砂、排泥方法 - Google Patents

貯水・取水ダムの排砂、排泥システム工法及び貯水・取水ダムの排砂、排泥方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯水池・溜池における堆砂防徐対策として、その上流側に設けた流入土砂の防止・調節・分級・細粒化のための多段式透過性砂防ダム(スリットダムや立体格子ダム)群と、下流側の貯水・取水ダム部の縦断方向に設けた線排砂方式の渦動排砂管工法との併用により、必要な貯水・取水目的を中断せずに、環境保全も考慮して主として洪水時に高能率の自然排砂が同時に実現でき、且つ貯水・取水ダムのシステム化を目的とした、貯水池・溜池の排砂・排泥システム工法及び排砂・排泥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、貯水・取水ダムの堆砂問題は、貯水・取水機能の低下・喪失、背砂によるダム上流側の洪水位上昇、ダム下流側における河床低下、又海岸侵食の助長など、多くの治水・利水機能上の諸障害を誘起するものであり、古く且つ新しい問題として、ダム建設の歴史と共に、国の内外においてクローズアップされてきている特にわが国は、国際的に見ても有数のダム保有国で、大規模のいわゆる大ダムは、二千数百個あり、中国・米国に次いで世界第三位、中小規模の貯水ダム(灌漑用の溜池)では二十数万個に及んでいる。更に地形地質は急峻で地殻変動が激しく、しかも危険降雨としての局地降水量が大きいため、山地の侵食速度が世界平均の約4倍以上大きい。
【0003】
このような水文・地形則との相対的な関係でダムの貯水能も一般に小さく、堆砂による埋没速度が他国に比して比較的高いもとされており、近年堆砂防除対策の技術革新が要求されてきている。
【0004】
貯水・取水ダムに堆積した土砂を流水と共にダム下流に排砂する方法は堆砂防除対策の一つであり、利水や利用エネルギの供給を始めとして下流側河床や海岸の安定のための給砂などの諸点からみると、自然力を利用して洪水ごと下流側へ排砂するという自然排砂方式(開水路法や排砂管法)がダムの堆砂制御で最も望ましい方法と考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、従来からこの種ダムの排砂門や排砂管を設置した例も少なくないが、この方法で貯水池内全域の完全排砂効果を期待する場合には、主目的である貯水・取水効果が挙がらず、又掃流排砂効果を継続させるには貯水位を低下させ引っ込み操作をする必要があり、且つ粗大砂礫や流木・沈木などの詰まり現象により、稼働していない場合も多く、他方、排砂可能な場合でも排砂による濁りの問題で下流側の河川や海域の漁業権と関連した排砂時期の決定が困難となってきているのが実状であり、従来から”開かずの扉”といわれてきたわけである。
【0006】
又、近年国の内外において、砂防ダム築造の目的が従来の”溜める砂防”という単一な考え方のみでなく、堆積した砂礫を掘削し骨材として活用するという”掘る砂防”、更には一旦溜めた砂礫の細粒部分を透過性の砂防ダムを通じて流下させ、下流側の河床や海岸の安定化に役立てるという”流す砂防”を指向する傾向にある。この点、後述のように貯水・取水ダム部における排砂管法として排砂効率の極めて高い渦動排砂管工法を採用する場合、スリット幅b以上の巨礫や流木・沈木などがあるとスリットの閉塞が問題となってくる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、此の閉塞対策を兼ねて、第1図に示すように、多段の透過性砂防ダム(スリット砂防ダムや立体格子砂防ダムが最適)を貯水池・溜池の上流側に設けて、その防止・調節・分級の各種作用を活用して貯水・取水ダムへの流入土砂の粒度構成を均一・細粒化させて、貯水・取水ダム部に設けた渦動排砂管の負荷を軽減し、その排砂機能を向上させるという堆砂防除のシステム化を指向したシステム工法並びに方法である。
【0008】
排砂管方式による貯水・取水ダムの堆砂防除には、第2図(a,b,c,d)に示すように、従来から採用されてきた点排砂法と線排砂法に大別できる。前者の点排砂法は、土砂吐ゲートや排砂管から構成されており、自然の流水を用いて排砂するわけであるが、この場合の排砂断面は、第2図(a)の場合のように排砂管呑口から上流側に僅か離れただけでも掃流力が著しく低下して、ダム付近の堆砂が一部カットされる程度で小範囲に止まるので、しばしば水位を低下させて、上流側堆砂の引込み操作を繰り返さなくては実質的に排砂効果が挙がらないのが実状である。
【0009】
このような点排砂法に対して、本発明においては、国の内外で取水工や水路工などのような流水条件下で、斜方向に施工して成功している渦動排砂管(Vortex tube sand trap)を、初めて池底縦断方向にダム堤体内の排砂管と同一勾配で連通・延長させたり、又は有効渦動排砂管長(又は有効スリット長)Le以内のゲートスパンLgを持った多連のスリット調節ゲートを設け、その交互操作による連続排砂法を適用した約30年に及ぶ多くの実験的立証により、極めて効果的な線排砂が可能であることを特徴とした排砂・排泥システム工法並びに排砂・排泥方法を提案したわけである。
【0010】
貯水・取水ダムの排砂に渦動排砂管を適用する場合、その成否を決めるものは適正な開閉・調節ゲートの選択である。この点、原型貯水ダムの場合には、共に点排砂法ではあるが、国の内外において成功しているスイスのゲビデムダムやわが国の出し平ダム等の排砂管部に採用した複式排砂ゲートの施工例、又は 原型取水ダムの場合、その取付水路中にわが国で初めて適用した渦動排砂管部のスリット幅を可変自在とした調節ゲート施工例(間接流域から満濃池への取水の場合)が参考となる。
【0011】
この点、本発明では貯水ダム適用を前提とした排砂管部の複式調節ゲートとして、予備ゲートを兼ねたリングホロワーゲート及び主ゲートとしてのジエットフローゲートを採用し、他方排砂管の上流側に同一勾配で連通させた渦動排砂管部では、第4図(a,b,c)のように初めて貯水圧を活用した水圧駆動の同調装置付多連スリット調節ゲートを提案した。
【0012】
すなわち、貯水池や溜池の下流端ダム直上流部に設ける渦動排砂管は、堆砂・池泥中に埋め込みとなるため一般に修理不可能であること、その為構造が最も単純なものが要求されること、更に一枚のゲートリーフを両端2本のシリンダーで作動する場合に問題となるのは、ゲートスパンに比してゲート高が極めて小さい為、左右の同調装置(Synchronizer)であり、更にシリンダーに液圧として排砂管部の各複式ゲートのように油圧を使用することは、オイルシールを要することになるため修理が必要となり、この点不合理といえるわけである。
【0013】
以上の観点から、シール欠の水圧シリンダーを使用して、現地池水圧も活用し、加圧ポンプ(例えばトロコポンプ)により2(kg/cm)程度の水圧で作動しようとするものである。以下シリンダーの同調装置の概要について示すと、陸上のポンプから同調装置を経て2本の左右シリンダーに水を圧送し、シリンダーのピストンの片方に水が入ると他の片側は、第3図(c)でシリンダーから排出される。此の水は圧力バルブを押し開いて排出パイプより外部に排除される。この時左右シリンダーのうち片方が仮にストップすると他方の圧力が勝ってフリーピストンを押し、動いている方のシリンダーへの送水口を閉じることになるわけである。
【0014】
なお、この水圧駆動の同調装置付多連(この場合は2連)スリット調節ゲートで特徴とするところは、第3図又は第4図(a)に示すように、渦動排砂管本体は、螺旋流強化の為上流端は閉塞し、コリオリの定理を考慮して左巻き螺旋流発生の為、管の左側(下流に向かって)に一定幅bの連通スリットを設け、1枚のゲートリーフには、多連(この場合は2連)の同一幅bを持った、有効スリット長L以内のスリットを図のように交互に設け、1式の左右シリンダー同調装置の作動によって、渦動排砂管本体の連通スリット部を交互に開閉、またはスリット幅も可変自在として、多連(この場合は2連)の渦動排砂管操作が、水圧活用として出来るようになっているということである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明実施の一例を説明する。貯水・取水ダムの総合的な堆砂防徐システムの一環として、スリット砂防ダムによる流送土砂の分級機能を期待する場合には、河川縦断方向に多段のスリット砂防ダムを設け、スリット幅bをそれぞれ閉塞条件付近になるように順次縮小することが必要になってくる。
【0016】
この場合、先ず貯水池・溜池に流入する土砂の防止・調節・分級・細化を目的とした透過性の多段スリット砂防ダム(この場合は2基)の設置であるが、第1図に示すように、上流側スリット砂防ダム1(1)に対して下流側スリット砂防ダム1(2)のスリット幅をbs1>bs2のように漸次縮小させ、最終的に貯水・取水ダムに流入堆積する粒径dを、池底ダム部2の真上流側に設けた渦動排砂管3のスリット幅bv以下、すなわちb>d(又はd<b<bs2<d<bs1<d)となるように制御する方法を採用する。
【0017】
ここに、d,d,dはそれぞれスリットダム1(1),1(2)及び貯水ダム2の堆砂平均粒径、bs1,bs2はそれぞれスリットダム1(1),1(2)のスリット幅、及びbは貯水ダム部渦動排砂管3のスリット幅である。なお第1図の渦動排砂管断面は、上流に向かったものである。
【0018】
又、構造的には、土石流にも耐えうるものとしてスリットダムの場合には鉄筋コンクリート製か鋼製(立体格子ダムの場合には鋼管製)とするが、土石流などによる巨礫流下がある場合には、スリットの閉塞が起こりやすくなる。この場合、スリットからの細粒子通過が困難となりその後の分級・細流化が不可能となるので、”流す砂防”目的のみでなく、貯水ダムの堆砂防徐目的で施工されつつある”貯砂ダム”のように、堆積砂礫を掘削して骨材として活用するという”掘る砂防”行為も実施する必要がある。
【0019】
このようなスリット砂防ダム1で、スリット閉塞を起こさない条件は、第5図に示すような不規則砂礫粒子の場合その中軸径dを対象とすると、無次元スリット幅は、b/d>2.0〜2.5が妥当な値であり、流砂中の最大粒径dmaxの面から、その値がb/d>5.0程度になると分級機能が果たせなくなってくる。
【0020】
次に、第2図は貯水・取水ダムにおける点排砂法と線排砂法の比較をしたものであるが、そのダム部2に付設した排砂管4は、池底末端からダム堤体下流側まで貫通埋設したもので、その勾配・管形・方向などは、ダム堤体上流側池底に連通設置した渦動排砂管3の形状(円形)や流心方向と同一とする。
【0021】
この際の勾配は排砂管4の流出口がもぐり流出とならない範囲で、i=1/30〜1/70(標準i=1/50)を採用、この鉄筋コンクリート製排砂管4の内壁に耐磨耗処理としてスキンプレート(図示しない)を施して掃流による磨耗欠損を防止している。
【0022】
問題なのは管径であるが、一様渦動排砂管(スリット幅b及び管径Dが同一な場合)を採用する場合には、第3図に示すようには、排砂管4の内径Dは渦動排砂管の内径Dと同一とするか、又は排砂管部に調節用の複式ゲートとしてリングホロワーゲート20及びジェットフローゲート21を採用する場合には、21の下流側排砂管径は、D=1.2D〜1.4Dとする。
【0023】
このような渦動排砂管工法を貯水池・溜池などの貯水域に初めて採用する場合、特に問題となるのは、排砂管4への調節ゲート21,22の選定であり、一般に流砂・流塵によって戸溝などの閉塞が起こらないこと、キャビテーションや振動を起こさないこと、水密部の損傷が起こらないことなどの諸条件が要求されることである。
【0024】
この点から、排砂管4に併設する調節ゲートとしては、予備ゲートとして排砂管の上流部の内径D1と同一径のリングホロワーゲート20及び主ゲートとしては、当初米国開拓局が開発したジエットフローゲート21などを採用すれば目的が達せられる。この場合21には給気管22が必要となり、その下流側排砂管の流れは固・液・気三相流となるが、渦動排砂管部で生じた螺旋流は、ジェットフローゲート部の漸拡・急縮・急拡などの断面変化により多少変化するが、かえって空気添加によって掃砂能力は持続する。
【0025】
複式ゲートのうち鋼製リングホロワーゲート20は、鋼製ジェットフローゲート21の上流側に、補修兼排砂調節用の予備ゲートとして設置するが、両ゲートとも、開閉操作時における堆砂・池泥の閉塞防止用として、その上流側に池水を活用した噴流パイプ23(a),23(b)を設ける。この際、20のリングホロワーゲートでは、ゲート孔形が排砂管断面形と同一であるため戸溝閉塞の心配が無く、又21のジェットフローゲートでは、ジェット噴流によって戸溝閉塞は皆無といえるが、安全の為この噴流パイプも活用する。
【0026】
次に、第4図(a,b,c)は2連のスリット調節に、水圧駆動のシリンダー同調装置付スライドゲートを用いた渦動管排砂工法を示したものであるが、第3・4図の渦動排砂管3は、排砂管4の流心勾配延長上に連続接続したもので、管内壁上部(上流に向かって右側)に、この種一様渦動排砂管の場合には一定幅bのスリット幅(同一管径の変化渦動管の場合には、下流側から上流側に向かって直線的に拡大変化する)を持った連通スリット24が切設されると共に、有効渦動管長Le以内のスパン長(Lg=2〜7m)25を持った多連(この場合は2連)のスリット調節ゲート(渦動排砂管本体のスリット幅bを可変自在とした水圧駆動シリンダー同調装置付の交互スリットを有したスライドゲート)が設置されており、その交互操作により、極めて効率のよい線排砂が可能となっている。
【0027】
又管内壁には耐磨耗処理用のスキンプレート7が施されており、渦動排砂管3のスリット両端上部には、堆砂9の水中安息角以上の傾斜角(¢=30〜45゜)で導流壁が併設されている。
【0028】
以上のような構成からなる一連の排砂・排泥装置により、貯水池・溜池池底に堆積した堆砂・池泥9を排徐するには、液圧(油圧又は水圧)操作により、先ず開操作としては、最下流側のジェットフローゲート21全開の後、中間のリングホロワーゲート20を全開、続いて第4図(a,b,c)に示す最上流側の多連(この場合は2連)スリット調節ゲートの交互開閉操作により、排砂断面18(a),18(b)の順序で排砂・排泥する。この際、先ず交互スリット25(a)を全開して排砂断面18(a)を排出させる。このような交互開閉操作により連続的にしかも短時間で渦動排砂間埋設範囲の線排砂が可能となる。
【0029】
又更に線排砂効果を期待する場合には、第2図(c)に示すように、先ず洪水前に渦動排砂管上部の堆砂断面を一旦排徐して、低水位付近14まで貯水位を下げておき、洪水時に渦動排砂管終端より上流側の露出デルタ部分16を侵食掃砂させ、死水容量内まで引き込むような操作を行い、更に次回の放水の際にこれを排除するという貯水池操作を繰り返すと、上流側の堆砂排徐も相当可能となってくる。
【0030】
多連スリット調節ゲートのスリット25(a,b)を交互に開放すると、その堆砂深に関係なく、順次スリット5に高速吸入され、渦動排砂管3内で高濃度含砂水流が、高速螺旋流8となって排砂管4内に詰まり現象を生じさせないで、短時間で排砂作業が行われる。
【0031】
この際、渦動排砂管に用いられる抽出流量Qは、貯水池への流入水量Q,貯水深H,取水量Q,スリット幅b,又は、渦動排砂管スリット部の多連用調節ゲートの交互操作の如何にかかわらず、比較的低値でほぼ一定値を示すものである。この点は、水位変化の顕著な渓流取水にこのようなスリット管を活用している理由であり、この場合、従来の点排砂法の場合よりも、同一水深にて抽出流量Qが少なくてすむという特色があることになる。このことは、取水・排砂が同時に行える理由の一つを示すもので、含砂濃度の極めて高い洪水時には、余水の放流を兼ねて自然排砂作業を行えば、より効果的となってくる。実際の設計施工に際しては、螺旋流発生により排砂・排泥が可能な有効渦動排砂管長(又は有効スリット長)L,渦動排砂管径D,スリット幅b勾配iなどの適正値の決定が重要な問題となる。
【0032】
これらの指標は、貯水池・溜池の規模、流入水量、水深、流入土砂の粒度構成などのよって決定されるが、先ず、直上流側に設ける透過性スリット砂防ダムのスリット幅bを通過して貯水池・溜池に流入堆積する流径dと渦動排砂管スリット幅bとの関係が、d3max<bvmax(d3max:貯水池・溜池内堆砂の最大粒径,bvmax:渦動排砂管の全開時最大スリット幅)を満足するスリット幅bvの決定が先決条件となる。
【0033】
以下、本発明の主眼である設計の基準となる指標を、2基の多段スリット砂防ダムと貯水ダム(流路勾配i=1/50)、渦動排砂管(2連のスリット調節ゲート含む)及び排砂管(リングホロワーゲート並びにジェットフローゲートの複式調節ゲート含む)、渦動排砂管スリット調節ゲート、又は変化渦動排砂管(2連のスリット調節ゲート含む)と排砂管(リングホロワーゲート並びにジェットフローゲートの複式調節ゲート含む)等用いた場合(i=0,水平)における各種の模型実験結果や解析結果から示してみる。
【0034】
一般に渦動排砂管の水理設計に関しては、荒木によるスリット管の上流端を閉じた場合に関する特解としての第一近似解が適用できることを実証し、その際の流量Q,スリットからの流入水量q(又は流入速度v0)及び圧力pを求める式を示した。又この際用いる無次元関数Φは管断面形のみによって決まるものであるが、原型の場合の各種損失係数を考慮して、ジェットフローゲートを排砂管部に設けた場合の一様渦動排砂管(管径及びスリット幅一定の場合)工法に関する無次元関数Φを誘導して、その妥当性も確認した。又このような渦動排砂管を適用する場合の問題点の一つに、螺旋流によって排砂官下流側から発生するエアートンネルの問題があり、この点、エアートンネルの流況と無次元スリット面積及びΦ 関数との関係式としてΦ=0.420(cos hb/A)−0.617を示し、エアートンネルの発生限界は、無次元スリット面積bvL/A=3.5,関数Φ=0.074となることを明らかにした。
【0035】
ここに、bvはスリット幅、Aは管断面積、lは渦動排砂管長(又はスリット長)である。渦動排砂管工法でその排砂効果を示す排砂濃度Cv(容積%)と無次元排砂時間T/Tの関係は、無次元スリット幅b/Dの相違(0.15及び0.20)によって、それぞれCv=0.292(T/Ts)−1.299,Cv=0.024(T/Ts)−1.298となった。ここに、Tは排砂時間、Tsは排砂完了までの時間、bvはスリット幅及びDvは渦動排砂管の管径である。貯水池・溜池に沈殿堆積した土砂が渦動排砂管スリット部への流入開始限界の目安となるスリット流入部の支配フルード数は
Fr=V/(gH)1/2≧0.2
であり、このスリット流入領域では、無次元表示した流下距離と渦動排砂管内平均流速との関係は、Vx/Vmax≒(X/Li)となり、Vx≒Vmax(X/Li)から任意点の渦動排砂管内平均流速Vx(m/sec)が概算できる。
【0036】
ここで、Vmaxは渦動排砂管下流端の管内平均流速(m/sec)、Xはスリット流入速度が無視できる点を始端とした下流方向任意点までの距離(m)、Liはスリット流入領域(m)である。
【0037】
又上式におけるLi(m)はLi=4.1(A/bv)、更に螺旋流発生領域Ls(m)はLs=2.8(A/bv)からそれぞれ概算できる。
ここにAは渦動排砂管断面積(m),bvはスリット幅(m)である。
【0038】
他方、排砂効果のある有効渦動排砂管長Le(m)又は有効スリットスパン長Lg(m)は、渦動排砂管の断面形(A/bv比)によりLe=0.5Li〜0.6Li、又Le=0.7Ls〜0.8Lsの範囲となり、多連スリット調節ゲートの各ゲートスパン長Lg(m)はLg=0.8Le〜0.9Leなどからみて、一般にLg=2〜7mが適正である。
【0039】
又渦動排砂管のスリット幅bも、前述スリット砂防ダムの場合と同様に、不規則砂礫粒子の中軸径d(例えば、篩分析の際の網目を規定するものはこのdである)を対象にすると、無次元スリット幅はb/b=2.0〜2.5が妥当な値となる。なお、貯水・取水ダムの堆砂機構には掃流形式によるものと浮流形式によるものがあり、既存ダムでは、両形式が混在するが、浮流形式が占める割合は60〜80%と推定されており、大規模貯水ダムでは、ダム付近の常時湛水領域(死水域)には、密度流堆積層としてのシルト、粘土、コロイド等から成っているwash loadが含まれる場合が多い。
【0040】
流域表土が主として火山灰土から成っている場合のように、堆砂が浮流土砂で占められている場合には、水圧や自重による圧密現象が進んで、経過年数に応じて池泥密度が大きくなり、効果的な排泥が困難となってくる。このような場合を対象に行った、理想的な変化渦動排砂管(管径D1一定でスリット幅bを上流側bv1>下流側bv2として直線変化させた場合)の実験では、スリット部のフルード数が一様渦動排砂管の場合とは逆に上流側ほど大きくなり、しかも全域で支配フルード数(発生螺旋流による池泥輸送を可能にするスリット流入部のフルード数限界値)Fr≧0.2以上となり、時間的濃度変化(SS値)から単独沈殿よりむしろ凝集沈殿や層沈殿、進んで圧密などの沈殿現象、更に明瞭な池泥界面を示し、螺旋流発生の限界濃度(SS値)は約35〜38×10ppm(mg/l)と予想以上に高濃度と判断できた。又この値は、沈殿した池泥層が水圧や自重による圧密状態に移行する時間帯に等しくなることを明らかにした。
【0041】
この点、原型池泥の場合には、排泥操作を可能な範囲で圧密移行前に頻繁に行う必要があり、場合によってはジェット噴流や圧搾空気等によりウオッシュ・ロード(Wash load)を攪乱させながら排泥作業を行えばよい。その他、流木・流塵などが多い場合には、一般に網場が用いられ船で採集焼却処理が行われているが、沈木となる場合も多々あるので、渦動排砂管の導流壁部に防塵スクリーン40を設ける必要がある。
【0042】
以上のように、本発明は貯水池・溜池における堆砂防除対策の一つとして、その上流側に流入土砂の調節・細粒化の為の多段式透過性砂防ダム群と、貯水・取水ダム部の池底縦断方向に設けた線排砂方式の渦動排砂管工法を併用したもので、従来の点排砂方式に比べて排砂性能が極めて大きく、渦動排砂管により螺旋流で高濃度含砂水流を短時間に排砂出来るので、排砂管内で詰まり現象を生ずることなく、円滑な排砂作業が行える。又、治水・利水目来るので、排砂管内で的と排砂目的が同時に達せられ、特に流送土砂が多い洪水時に、洪水吐放流分を用いて操作すれば環境保全面からも問題が起こらず、更に渇水時における操作でも、排砂作業に要する抽出流量が比較的少なくて済み、しかも排砂時間も短縮される等、その実用的、経済的効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【第1図】多段スリット砂防ダム(2基)と貯水ダム部渦動排砂管工法を併用した場合の縦断面図
【第2図】貯水ダムにおける点排砂法と線排砂法の比較図(a:点排砂法,b:線排砂法,c:低水時引き込み操作による線排砂法,d:上硫側に向かった場合の導流壁付渦動排砂管工横断面図)
【第3図】ダム部排砂管の複式調節ゲート縦断面図(リングホロワーゲート,ジェットフローゲート及び給水管)
【第4図】渦動排砂管部の多連(2連)スリット調節用としての水圧駆動のシリンダー同調装置付スライドゲート概要図(a:2連スリットの交互操作概要,b:シール欠のシリンダー図,c:シリンダーの同調装置図)
【第5図】不規則砂礫粒子の三軸径とスリット閉塞の様相(a:三軸径da,db,dc,b:スリット閉塞の様相)
【符号の説明】
1 スリット砂防ダム
2 貯水ダム
3 渦排砂管
4 排砂管
5 スリット
6 導流壁
7 スキンプレート
8 螺旋流
9 堆砂
11 貯水面
10,16,17 堆砂面,初期堆砂面,低水時侵食掃砂後の堆砂面
12 傾斜角
13 満水位
14 低水位
15排砂勾配
18 排砂断面
19 スリット調節ゲート
20 リングホロワーゲート
21 ジェットフローゲート
22 給気管
23 給水管(噴流)
24 連通スリット
25(a),25(b) 交互スリット(a,b)
26(a),26(b) ゲートリーフの交互スリットスパン長Lg(a,b)
27(a),27(b) シリンダー(左),シリンダー(右)
28 ゲートリーフ
29 リーフ・カバー
30 ピストン
31 ピストン・ロツド
32 シリンダーの同調装置
33 スプリング
34 圧力バルブ
35 ストッパー
36 フリーピストン
37 ポンプ
38 排出(左右)
39a,39b,39c 不規則砂礫粒子の長軸径da,中軸径db,短軸径dc
40 防塵スクリーン

Claims (2)

  1. 貯水・取水ダムの上流側に、下流側の透過性砂防ダムのスリット幅が漸次縮小するようにスリット幅の異なる多段の透過性砂防ダムを設けて、その調節・分級作用を活用し、貯水・取水ダムへの流入土砂の粒度構成を均一細粒化させて、下流側の貯水・取水ダム部に設けた渦動排砂管の負荷を軽減、他方、貯水・取水ダムに流入・堆積した堆砂は、環境保全上主として自然排砂が可能な洪水時において、貯水・取水ダム底縦断方向の円形排砂管と同径で同一勾配上に、排砂効率の極めて高い導流壁並びに貯水・取水ダムに流入・堆積した堆砂の粒径より大きい幅のスリット付の円形渦動排砂管を有効渦動管長範囲内に連通させ、スリット部から渦動排砂管部に流入した高濃度の含砂水流に高速螺旋流を発生させながら、貯水・取水ダム部の排砂管へ流動可能とすると共に、渦動排砂管部に付設された同調装置付の多連のスリット調節ゲート及び貯水・取水ダム内の排砂管部に付設した複式調節ゲートを、液圧・遠隔操作により開閉自在とした線排砂法を採用し、前記複式調節ゲートを下流側から全開した後、前記スリット調整ゲートを上流側から全開して交互に開閉することにより排砂・排泥が出来ることを特徴とする貯水・取水ダムの排砂・排泥システム工法。
  2. 貯水・取水ダム底下流部に埋設固定された導流壁並びに貯水・取水ダムに流入・堆積した堆砂の粒径より大きい幅のスリット付の渦動排砂管部、及び該渦動排砂管と同径同一勾配で池底下流端から下流側河川部まで貯水・取水ダム部を貫通埋設した円形排砂管部に、それぞれ液圧・遠隔操作により開閉する渦動排砂管スリット部の同調装置付の多連のスリット調節ゲート並びに排砂管部の複式調節ゲートを併設し、前記複式調節ゲートを下流側から全開した後、前記スリット調整ゲートを上流側から全開して交互に開閉することにより排砂・排泥することを特徴とする貯水・取水ダムの排砂・排泥方法
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