JP3917473B2 - パワーモジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、バスバーや半導体素子を含む電力回路部が絶縁層を介して放熱部材上に配設されたパワーモジュールに関し、例えば共通の車載電源から複数の電子ユニットに配電を行うための車両用パワーディストリビュータとして用いられるパワーモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、共通の車載電源から各電子ユニットに電力を分配する手段として、複数枚のバスバー基板を積層することにより電力回路部を構成し、これにヒューズやリレースイッチが組み込まれた電気接続箱が知られている。
【0003】
このような電気接続箱は、上記電力回路部をロアケースとアッパーケースとにより構成されるケース内部に収納し、短絡等防止の観点からロアケースとアッパーケースとを水密状に嵌合してケース内部の防水が図られているのが一般的である。
【0004】
ところで、近年、かかる電気接続箱の小型化や高速スイッチング制御を実現すべく、前記リレーに代えてFET等の半導体スイッチング素子を入力端子と出力端子との間に介在させたパワーモジュールが開発されるに至っており、かかるパワーモジュールにおいては半導体素子から発せられる熱を冷却する観点から放熱部材の回路配設面上に絶縁層を介して電力回路部が配設されて構成されているものも提案されている(例えば、特開平11−204700号公報)。
【0005】
このようなパワーモジュールにおいても、短絡等を防止する必要があるのは上記従来の電気接続箱と同様であり、従ってその回路部の防水性が要請されるところ、いまだこのような防水の具体的手段についての開示がなされていない。
【0006】
ここで、上記従来の電気接続箱と同様に、ロアケースとアッパーケースとから構成されるケース内部にパワーモジュールを収納し、このケースによりパワーモジュールの防水を図ることもできるが、上記放熱部材が設けられているパワーモジュールを全体的にケース内部に収納した場合には、十分に放熱することができず、半導体素子の性能および信頼性を高水準のまま維持することができない虞がある。
【0007】
しかも、パワーモジュールを上記ケース内に収納した場合には、パワーモジュールの小型化という要請に反することにもなる。
【0008】
本発明は、簡単な構造で有効な防水を図ることができ、しかもその性能を維持させつつ、小型化の要請を満足させることができるパワーモジュールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、バスバーを含む電力回路部が放熱部材の回路配設面上に絶縁層を介して配設されたパワーモジュールにおいて、上記電力回路部を覆う防水ケースを備え、上記防水ケースと放熱部材とが、上記電力回路部を取り囲む形状のシール部材を挟み込んだ状態で連結されており、上記回路配設面から上記バスバーの端部が折り起こされて外部接続端子を構成し、この外部接続端子が上記防水ケースを貫通してその外部に突出すると共に、この防水ケースの外面側に上記外部端子の突出部分を取り囲むフードが設けられ、上記フード内には、上記防水ケースの放熱部材側で、かつ上記シール部材の外側に連通する水抜き孔が設けられているものである。
また、回路配設面から上記バスバーの端部が折り起こされて外部接続端子を構成し、この外部接続端子が上記防水ケースを貫通してその外部に突出すると共に、この防水ケースの外面側に上記外部端子の突出部分を取り囲むフードが設けられているので、このフードと上記端子とにより別のコネクタと結合可能な外部接続コネクタを形成することができ、コネクタを結合するだけでこのパワーモジュールを他のユニット等に電気的に接続することが可能になる。しかもバスバーの端子が折り起こされた外部端子をフードにより囲んで外部接続コネクタが構成されているので、上記別のコネクタをこの外部接続コネクタに容易に差し込むことができるので、パワーモジュールの設置にあたっての作業性が向上する。
さらに、上記フード内は結露等の水が溜まりやすく、フード内に溜まった水が端子に接触することにより端子間の短絡の虞があるが、上記フード内には、上記防水ケースの放熱部材側で、かつ上記シール部材の外側に連通する水抜き孔が設けられているので、端子間の短絡を防止することができる。しかも上記水抜き孔は、防水ケースの放熱部材側に連通するものとなされているので、フード内に浸入した水を水抜き孔から効率よく排出することができる。また、水抜き孔は、シール部材により取り囲まれた領域の外側に連通するものとなされているので、上記防水ケースにより覆われた電力回路部の防水性を阻害することもない。
【0010】
上記構成によれば、放熱部材の回路配設面上に配設された電力回路部を覆う防水ケースが、この電力回路部を取り囲む形状のシール部材を介して放熱部材に連結されているので、パワーモジュールの構成部材である放熱部材を有効に利用して簡単な構造で有効な防水を図ることができる。しかも、防水ケースが放熱部材に連結されて防水が図られるので、放熱部材を含めた全体がケース内部の密閉空間内に収納されることもなく、従って放熱部材が十分にその機能を発揮して電力回路部からの発熱を放出し、電力回路部の性能、ひいてはパワーモジュールの性能を高水準のまま維持することができる。また、電力回路部からの発熱を放出する放熱部材を有効に利用して防水が図られるので、従来の電気接続箱と比較してコンパクトに構成することができる。
【0011】
本発明において、シール部材は、その素材等の具体的構成は問わないが、熱硬化性樹脂を含む接着剤が加熱硬化されたものを用いるのが好ましい。このようにすれば、シール部材の接着作用により防水ケースと放熱部材とをより確実に連結することができると共に、電力回路部の発熱により比較的高温の雰囲気となった場合でも、そのシール機能を維持することができる。このため、簡単な構成でより有効な防水を図ることができる。
【0014】
ところで、このパワーモジュールを縦置き、すなわち上記フードを側方に開口させた姿勢で設置する場合には、その姿勢で下側となるフードに切欠や孔を設けても水抜きは可能であるが、この場合には、例えば上記フードが高さ方向に複数個列設された時に上位のフードからの排水がコードやコネクタを伝って再び下位のフード内に浸入するという不都合が生じる。これに対して、上記フードを側方に開口させた状態でパワーモジュールを設置した場合におけるフードの少なくとも下端部が、シール部材により取り囲まれた平面領域より局所的に外方に膨出して形成され、この膨出部内の下端部に上記水抜き孔が設けられるように構成すれば、この水抜き孔からフードの下端部に溜まる水を防水ケースの放熱部材側に確実に排出することができ、このため排水がフード内に再び浸入するという不都合やフード内に溜まった水による端子間の短絡といった不都合を確実に防止することができる。
【0015】
しかも、シール部材によって囲まれた平面領域から外れた位置にまでフードを膨出させて該膨出部内に水抜き孔が設けられているので、例えばフード内に開口する水抜き孔を、屈曲等させてシール部材により取り囲まれた領域からはずれた位置に開口させるように形成する必要が無く、この膨出部内から略直線的に簡単に形成することができる。また、膨出部は、フードの下端部を局所的に膨出させて形成されるので、この膨出部の存在により対応する他のコネクタとの結合力が低下することもない。このため、上記他のコネクタの形状を変更する必要が無く、水抜き孔を形成するに当たってのコストを低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係るパワーモジュールの好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、ここでは、車両等に搭載される共通の電源から供給される電力を複数の電気的負荷に分配するパワーモジュールを示すが、本発明に係るパワーモジュールの用途はこれに限らず、放熱部材を有し防水性が要請されるパワーモジュールに広く適用可能である。
【0017】
図1は、本実施形態に係るパワーモジュールを示す斜視図である。また、図2はこのパワーモジュールを分解した状態で示す斜視図である。
【0018】
このパワーモジュールは、図2に示すように、複数枚のバスバー6を含む電力回路部1と、この電力回路部1が絶縁層22を介して配設される放熱部材2と、上記電力回路部1を覆う防水ケース3とを備え、図4に示すように上記防水ケース3と放熱部材2とが上記電力回路部1を取り囲む形状のシール部材4を挟み込んだ状態で連結されている。
【0019】
上記電力回路部1は、図2に示すように、外部接続端子5用等の複数の種類、枚数のバスバー6により構成されるバスバー構成板10と、このバスバー構成板10の片面(図2では上面)に接着される制御回路基板11と、上記外部接続端子5のうちの入力端子5aと出力端子5bとの間に介在される半導体スイッチング素子である複数個のFET12とを含む。
【0020】
バスバー構成板10は、略矩形状の領域内に、入力端子5aを構成する複数枚の入力端子用バスバー6aと、出力端子5bを構成する複数枚の出力端子用バスバー6bと、複数本の信号入力端子用バスバー6cとを具備し、これらのバスバー6a,6b,6cが所定のパターンで配列されている。具体的には、本実施形態では、バスバー構成板10の上記矩形状領域の一側縁側(図例では左側)に全ての入力端子用バスバー6a及び信号入力端子用のバスバー6cが列設され、他側縁側(図例では右側)に全ての出力端子用バスバー6bが列設されている。このバスバー6の入出力端子用バスバー6a及び信号入力端子用バスバー6cは、それらの一端部がバスバー構成板10に対して垂直に折り起こされて、外部端子と接続される外部接続端子5、すなわち入力端子5a、出力端子5b及び信号入力端子5cが形成されている。
【0021】
また、上記バスバー構成板10は、例えば一枚の金属板を打ち抜くことにより形成され、上記各バスバー6の形状や配列等は、パワーモジュールの用途等を考慮して適宜設定可能であることはいうまでもない。
【0022】
制御回路基板11は、半導体スイッチング素子であるFET12のスイッチング動作を制御する制御回路を含むもので、例えば絶縁基板上に所定の導体がプリント配線されて構成されている。本実施形態では、薄型のシート状制御回路基板11がバスバー構成板10の片面に重ね合わされるように接着されている一方、制御回路基板11の適所に貫通孔11aが設けられ、これらの貫通孔11aを通して上記バスバー構成板10にFET12を実装し得るものとなされている。
【0023】
各FET12は、略直方体形状を呈し、バスバー構成板10の入力端子用バスバー6a上面に電気的に接続されるドレイン端子を裏面に有する一方、バスバー構成板10の出力端子用バスバー6上面に電気的に接続されるソース端子、及び制御回路基板11上の適当な導体パターンに電気的に接続されるゲート端子がともに一側面に突設されている(これらの端子は図示せず)。
【0024】
一方、放熱部材2は、例えば全体がアルミニウム系金属等の熱伝導性に優れた材料で形成され、図2に示すように、上面が平坦に形成されて回路配設面2aとして構成されている一方、下面からは左右方向に並ぶ複数枚の放熱フィン20が下向きに突出して設けられている。この放熱部材2はその左右方向両端部における角部が長手方向に面取りされて切欠き部21が形成されている。
【0025】
また、放熱部材2には、その回路配設面2aの中央部における上記電力回路部1に対応する領域に絶縁層22が設けられている。この絶縁層22は、放熱部材2に熱的に接続され、例えば絶縁性の高い接着剤(例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤、シリコーン系接着剤等)を塗布して乾燥させることにより形成され、あるいは回路配設面上に絶縁シートを貼着することにより形成される。
【0026】
なお、放熱部材2は、その左右側壁に防水ケース3の後述する抱持部32の係止爪32aが係止される係止溝24が形成されている。
【0027】
而して、この放熱部材2の回路配設面2a上には、電力回路部1が絶縁層22を介して配設されている。すなわち、例えば熱伝導性の高い接着剤により接着し、あるいはバスバー6の中に接地されるべきものが含まれる場合には、このバスバー6を放熱部材2にネジ止めすることにより、電力回路部1が回路配設面2a上に絶縁層22を介して配設されている。
【0028】
防水ケース3は、絶縁材からなり、下方に開口して放熱部材2の回路配設面2a側(図例では上側)から前記電力回路部1全体を覆う箱型形状を有し、図4に示すように、周側壁を構成するケース本体30と、このケース本体30の上端開口部を閉塞するケース天蓋体31とを備える。
【0029】
この防水ケース3のケース本体30は、図2ないし図4に示すように、上記放熱部材2を抱持する抱持部32と、放熱部材2の回路配設面2a上にシール部材4を介して配設される段部33と、上記電力回路部1の各外部接続端子5に対応して形成されるコネクタ形成用のフード8とを有する。
【0030】
抱持部32は、ケース本体30の左右側壁の下端縁から下方に延出され、左右各々の抱持部32が対向するように設けられており、それらの下端部における適所に放熱部材2の係止溝24に係止される係止爪32aが内側に突出して設けられている。
【0031】
段部33は、ケース本体30の周側壁の下端面を構成する略矩形環状形状を呈し、その内周面は電力回路部1における外周縁上面に当接されるものとなされている。この段部33には、電力回路部1に当接される部分を取り囲むようにシール溝33aが形成され、この溝に沿ってシール部材4が配置されるものとなされている。すなわち、このシール部材4は、上記電力回路部1を取り囲む形状を有し、上記シール溝33a内に充填された熱硬化性樹脂を含む接着剤(例えばシリコーン系接着剤)が加熱硬化されて形成されている。なお、このシール部材4は、上記のような熱硬化性樹脂を含む接着剤に限定されず、この接着剤により構成されるものに代えてウレタンやゴム等のパッキンなどを用いることも可能である。
【0032】
上記フード8は、上述のように電力回路部1の各外部接続端子5に対応して形成され、すなわちケース本体30の左右両縁部に上方突出状に複数個形成されている。これらのフード8は、上下に開口し下端開口部から突出された外部接続端子5を取り囲む筒状形状を呈し、この各フード8とこれに対応する外部接続端子5とにより別のコネクタと結合可能な外部接続コネクタ34を構成している。従って、このフード8の断面形状は、接続される別のコネクタの形状を考慮して適宜設定されるものである。
【0033】
なお、フード8の下端部における外部接続端子5周囲には、エポキシ樹脂が充填されて防水処理部35が形成され、外部接続端子5を伝って防水ケース3内部に水が浸入するのを防止するものとなされている。
【0034】
各フード8は、ケース本体30の左右各縁部においてケース本体30の長手方向に沿って配置されている。従って、本実施形態のように、このパワーモジュールが縦置き、すなわち図1におけるケース本体30の手前側の一側縁を軸に立設され、フード8の上端開口部が側方に開口するように設置された場合には、各フード8は左右各縁部において上下方向に列設されるものとなされている。
【0035】
これらのフード8は、図3に示すように、平面視において、シール部材4によって取り囲まれる領域9(以下単に「平面囲繞領域」という)内に下端部を含む主要部が形成されている第1フード8aと、この平面囲繞領域9の境界を跨ぐように下端部を含む主要部が形成されている第2フード8bとに大別される。これらのフード8a,8bのうち、前者の第1フード8aは、このパワーモジュールがフード8の列設方向が高さ方向となるように上述のような縦置きされた場合に、フード8の下端部を構成する部分が平面囲繞領域9から外れて外方に膨出して形成されている。
【0036】
ここで、平面囲繞領域9は、シール部材4が放熱部材2の回路配設面2aに投影された投影部により囲まれた領域をいい、上記フード8の主要部がこの領域9の内外に形成されているか否かは、フード8主要部の回路配設面2aへの投影部が平面囲繞領域9のどの位置にあるかで判断される。
【0037】
また、この防水ケース3のケース本体30には、一端が上記各フード8内に開口し、他端がケース本体30の上記放熱部材2側で、かつ上記シール溝33aの外側、すなわちシール部材4の外側に開口する水抜き孔7が各フード8に対応して設けられている。より具体的には、第1フード8aについては、ケース本体30における膨出部80の内側に、ケース本体30の周側壁高さ方向に貫通されて、他端が上記平面囲繞領域9から外れた位置に開口される水抜き孔7が設けられている一方、第2フード8bについては、フード8bの内側における上記平面囲繞領域9から外れた位置にケース本体30の周側壁高さ方向に貫通する水抜き孔7が設けられている。フード8内に溜まった水は、これらの水抜き孔7を通して、防水ケース3の放熱部材2側に導出され、放熱部材2と防水ケース3との隙間を通して外部に排出される。この際、一部の排水は、放熱部材2の切欠き部21により形成された通路を伝って外部に排出される。
【0038】
ケース本体30の長手方向(フード8の列設方向)両端縁には、左右方向に並ぶ複数枚のフィンカバー36が下向きに突設され、放熱部材2の放熱フィン20を保護するものとなされている。このフィンカバー36が形成されているケース本体30の周側壁には、放熱部材2と防水ケース3との間の隙間に対応して排水導出部37が該周側壁を切り欠いて設けられている。すなわち、この排水導出部37は、放熱部材2と防水ケース3との隙間及び放熱部材2の切欠き部21により形成された通路を伝ってきた排水を外部に排出するためのものであり、本実施形態のように周側壁を切り欠いて設けられるもののほか、上記隙間等に対応して貫通孔を設けるものであっても良い。
【0039】
次にこのパワーモジュールの組み立て方法について説明すると、上記構成の防水ケース3を、電力回路部1を覆った状態で、この電力回路部1を取り囲むシール部材4を介して放熱部材2に連結することにより行う。より具体的には、まず、防水ケース3のシール溝33aにシール部材4を構成することとなる熱硬化性樹脂を含む接着剤を全長に亘って充填する。そして、電力回路部1が配設された放熱部材2を、その電力回路部1側から、防水ケース3の抱持部32およびフィンカバー36により囲まれる空間内に嵌合し、抱持部32の係止爪32aを放熱部材2の係止溝24に係止する。続いて、この状態で加熱すると接着剤が硬化されてシール部材が形成され、このシール部材4(接着剤)の接着作用と、係止爪32aおよび係止溝24からなる係止手段とにより放熱部材2と防水ケース3が水密状態に連結される。
【0040】
このように、本実施形態に係るパワーモジュールは、放熱部材2の回路配設面2a上に配設された電力回路部1を覆う防水ケース3が、この電力回路部1を取り囲む形状のシール部材4を介して放熱部材2に連結されているので、放熱部材2を有効に利用して簡単な構造で有効な防水を図ることができる。しかも、放熱部材2の放熱フィン20が防水ケース3外部に露出して設けられているので、電力回路部1から発生した熱が放熱フィン20により十分に放熱され、電力回路部1の性能、ひいてはパワーモジュールの性能を高水準のまま維持することができる。また、電力回路部1から発生する熱を放熱する放熱部材2に下方開口型の防水ケース3が連結されているので、従来の電気接続箱のようにロアケースを必要とせず、この電気接続箱と比較してコンパクトに構成することができる。また、シール部材4として熱硬化性樹脂を含む接着剤が加熱硬化されたものを用いているので、シール部材4(接着剤)の接着作用により防水ケース3と放熱部材2とをより確実に連結することができると共に、電力回路部1の発熱により比較的高温の雰囲気となった場合でも、そのシール機能を十分に維持することができる。
【0041】
上記パワーモジュールは、各フード8を側方に開口させ、かつ第1フード8の膨出部80がこの第1フード8の下端部となるように、車両に設置される。そして、電力回路部1の入力端子5aに車載電源を、出力端子5bに電気的負荷を電気的に接続することにより、前記電源から適当な電気的負荷に電力を分配するパワーディストリビュータが構築されると共に、制御回路基板11に組み込まれた制御回路によってFET12の動作が制御されることにより、電力回路部1の通電のオンオフ制御が実行されることになる。
【0042】
上記パワーモジュールの設置にあたって、このパワーモジュールは、回路配設面2aから上記バスバー6の端部が折り起こされて入出力端子等5a,5bの外部接続端子5を構成し、この外部接続端子5が上記防水ケース3を貫通してその外部に突出されると共に、この防水ケース3より突出された外部接続端子5を取り囲むフード8が設けられ、このフード8と上記端子5とにより別のコネクタと結合可能な外部接続コネクタを構成しているので、コネクタを結合するだけでこのパワーモジュールを電源や電気的負荷等に電気的に接続することができ、しかもパワーモジュールが縦置きされた状態で外部接続コネクタは側方に突出して設けられているので、別のコネクタを容易に差し込むことができる。このため、このパワーモジュールによれば、その設置にあたっての作業性が向上する。
【0043】
また、各フード8内には、その下端部または膨出部80内の下端部に防水ケース3の放熱部材2側で、かつ上記シール部材4の外側に連通する水抜き孔7が設けられているので、使用に伴い結露等によって発生した水がフード8内に浸入した場合でも、これらの水抜き孔7を通して防水ケース3の放熱部材2側に確実に排水され、外部接続端子5間の短絡を確実に防止することができる。しかも、フード8内に浸入した水が水抜き孔7により防水ケース3の放熱部材2側に排出されるので、排水が再び他のフード8内に浸入するという事態を回避することができ、フード8内に溜まった水を水抜き孔7から効率よく排出することができる。さらに、第1フード8について、膨出部80内に水抜き孔7が設けられているので、水抜き孔7を容易に形成することができる。
【0044】
なお、水抜き孔7は、平面囲繞領域9の外側に連通するものとなされているので、上記防水ケース3により覆われた電力回路部1の防水性を阻害することもない。
【0045】
また、水抜き孔7からの排水が、放熱部材2と防水ケース3との間の隙間、あるいは放熱部材2の切欠き部21により形成された通路を伝い、防水ケース3の排水導出部37を介して外部に排出されるので、水抜き孔7からの排水を効率良く排出することができる。
【0046】
なお、以上に本実施形態に係るパワーモジュールについて説明したが、この発明に係るパワーモジュールは、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば以下のような変更が可能である。
【0047】
上記実施形態では、縦置きされるパワーモジュールについて説明し、フード8内の水抜き孔7がフード8またはその膨出部80の下端部に設けられたものについて説明したが、例えばパワーモジュールが横置き、すなわちそのフードを上方に開口させた状態に設置される場合には、水抜き孔が設けられる位置はフード内における下端部等である必要はなく、放熱部材側の開口がシール部材により取り囲まれた平面領域から外れるように設けられれば良い。
【0048】
また、上記実施形態のようにパワーモジュールが縦置きされた場合には、水抜き孔は、放熱部材側に向かって下側に傾斜して形成してもよく、この場合にはより効率的に排水される。
【0049】
さらに、防水ケースと放熱部材との連結構造は、上記実施形態のものに限定されず、例えば両部材をネジ止めするものであっても良い。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、放熱部材の回路配設面上に配設された電力回路部を覆う防水ケースを備え、上記防水ケースと放熱部材とが、上記電力回路部を取り囲む形状のシール部材を挟み込んだ状態で、連結されているので、簡単な構造で有効な防水を図ることができ、しかも電力回路部から発生した熱が放熱部材により十分に放熱され、電力回路部の性能、ひいてはパワーモジュールの性能を高水準のまま維持することができ、かつロアケース等を必要とせず、従って従来の電気接続箱と比較してコンパクトに構成することができる。特に、バスバーの端部が折り起こされて防水ケースの外部に突出する外部接続端子が構成されるとともに、この外部端子の突出部分を取り囲むフードが設けられているので、このフードと端子とにより別のコネクタとの結合が可能な外部接続コネクタを形成することができ、コネクタを結合するだけでパワーモジュールを他のユニット等に容易に接続することが可能になる。さらに、このフード内にはシール部材の外側に連通する水抜き孔が設けられているので、フード内に進入した水を効率よく排出することができ、端子間の短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るパワーモジュールを示す斜視図である。
【図2】同パワーモジュールを分解した状態で示す斜視図である。
【図3】同パワーモジュールの防水ケースのケース本体を示す平面説明図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
1 電力回路部
2 放熱部材
2a 回路配設面
3 防水ケース
4 シール部材
5 外部接続端子
6 バスバー
7 水抜き孔
8 フード
9 平面囲繞領域
34 外部接続コネクタ
80 膨出部

Claims (3)

  1. バスバーを含む電力回路部が放熱部材の回路配設面上に絶縁層を介して配設されたパワーモジュールにおいて、上記電力回路部を覆う防水ケースを備え、上記防水ケースと放熱部材とが、上記電力回路部を取り囲む形状のシール部材を挟み込んだ状態で連結されており、
    上記回路配設面から上記バスバーの端部が折り起こされて外部接続端子を構成し、この外部接続端子が上記防水ケースを貫通してその外部に突出すると共に、この防水ケースの外面側に上記外部端子の突出部分を取り囲むフードが設けられ、
    上記フード内には、上記防水ケースの放熱部材側で、かつ上記シール部材の外側に連通する水抜き孔が設けられていることを特徴とするパワーモジュール。
  2. 請求項1に記載のパワーモジュールにおいて、上記フードを側方に開口させた状態でパワーモジュールを設置した場合におけるフードの少なくとも下端部が、シール部材により取り囲まれた平面領域より局所的に外方に膨出して形成され、この膨出部内の下端部に上記水抜き孔が設けられていることを特徴とするパワーモジュール。
  3. 請求項1または2に記載のパワーモジュールにおいて、上記シール部材は、熱硬化性樹脂を含む接着剤が加熱硬化されたものであることを特徴とするパワーモジュール。
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