例えば、本発明の画像動き補正装置は、一例として、撮像装置の動きを検出する動き検出手段と、1枚または複数枚のレンズ群から構成され、被写体像を撮像面に結像する撮像光学系と、前記撮像光学系により撮像面に結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子と、撮像装置の動きに起因して発生する撮影画像の動きを補正する動き補正手段と、動画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードと、静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードの切り替えを行う切り替え手段と、前記動き検出手段の出力からパンニング又はチルティングを判別するパンチルト判別手段と、前記動き検出手段の出力に基づき前記動き補正手段を制御するための信号を発生する制御信号発生手段と、前記パンチルト判別手段による判別結果に基づき前記制御信号発生手段の応答特性を変更する特性変更手段と、を有し、前記切り替え手段により静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードが選択されている場合には、前記特性変更手段による前記制御信号発生手段の応答特性の変更を実施しないことを特徴とするものであり、これによりパンニングもしくはチルティングを行った場合のような特定の条件下では動き補正性能を制限する機器において、これとは別の条件下、例えば静止画を撮影する場合などで、補正性能の制限を解除することで、補正性能が制限されずに被写体の撮影が可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、撮像装置の動きを検出する動き検出手段と、1枚または複数枚のレンズ群から構成され、被写体像を撮像面に結像する撮像光学系と、前記撮像光学系により撮像面に結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子と、撮像装置の動きに起因して発生する撮影画像の動きを補正する動き補正手段と、動画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードと、静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードの切り替えを行う切り替え手段と、前記動き検出手段の出力に基づき前記動き補正手段を制御するための信号を発生する制御信号発生手段と、前記切り替え手段により静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードが選択されている場合には、前記制御信号発生手段の応答特性を変更する特性変更手段と、を有することを特徴とするものであり、ある条件下、例えば静止画を撮影する場合に、手振れ補正の性能をより強化することで、その効果をより一層高めることが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き検出手段の出力の微小信号成分を除去するコアリング処理が実行可能であり、特性変更手段は前記コアリング処理において除去する信号のレベルを変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き検出手段の出力を積分する積分手段を有し、特性変更手段は前記積分手段における積分処理の時定数を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き補正手段を制御するための信号を減衰する減衰手段を有し、特性変更手段は前記減衰手段における減衰量を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き検出手段の出力を積分する手段、及び、動き補正手段を制御するための信号の信号幅を制限するクリップ手段を有し、特性変更手段は前記積分手段における積分処理の時定数、及び、前記クリップ手段において制限する信号幅を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き補正手段を制御するための信号を減衰する減衰手段、及び、動き補正手段を制御するための信号の信号幅を制限するクリップ手段を有し、特性変更手段は前記減衰手段における減衰量、及び、前記クリップ手段において制限する信号幅を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、撮像装置の動きを検出する動き検出手段と、1枚または複数枚のレンズ群から構成され、被写体像を撮像面に結像する撮像光学系と、前記撮像光学系により撮像面に結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子と、撮像装置の動きに起因して発生する撮影画像の動きを補正する動き補正手段と、動画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードと、静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードの切り替えを行う切り替え手段と、前記動き検出手段の出力からパンニング又はチルティングを判別するパンチルト判別手段と、前記動き検出手段の出力に基づき前記動き補正手段を制御するための信号を発生する制御信号発生手段と、前記パンチルト判別手段による判別結果に基づき前記制御信号発生手段の応答特性を変更する第1の特性変更手段と、前記切り替え手段により静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードが選択されている場合には、前記制御信号発生手段の応答特性を変更する第2の特性変更手段と、を有し、前記切り替え手段により静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードが選択されている場合には、前記第1の特性変更手段による前記制御信号発生手段の応答特性の変更を実施せずに前記第2の特性変更手段による前記制御信号発生手段の応答特性の変更を実施することを特徴とするものであり、これによりパンニングもしくはチルティングを行った場合のような特定の条件下では動き補正性能を制限する機器において、これとは別の条件下、例えば静止画を撮影する場合などで、補正性能の制限を解除することで、補正性能が制限されずに被写体の撮影が可能であるという作用、および、ある条件下において、例えば静止画を撮影する場合に、手振れ補正の性能をより強化することで、その効果をより一層高めることが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き補正手段を制御するための信号の信号幅を制限するクリップ手段を有し、第2の特性変更手段は前記クリップ手段において制限する信号幅を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き検出手段の出力の微小信号成分を除去するコアリング処理が実行可能であり、第2の特性変更手段は前記コアリング処理において除去する信号のレベルを変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き検出手段の出力を積分する積分手段を有し、第2の特性変更手段は前記積分手段における積分処理の時定数を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き補正手段を制御するための信号を減衰する減衰手段を有し、第2の特性変更手段は前記減衰手段における減衰量を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き検出手段の出力を積分する手段、及び、動き補正手段を制御するための信号の信号幅を制限するクリップ手段を有し、第2の特性変更手段は前記積分手段における積分処理の時定数、及び、前記クリップ手段において制限する信号幅を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、少なくとも、動き補正手段を制御するための信号を減衰する減衰手段、及び、動き補正手段を制御するための信号の信号幅を制限するクリップ手段を有し、第2の特性変更手段は前記減衰手段における減衰量、及び、前記クリップ手段において制限する信号幅を変更することを特徴とするものであり、これにより制御信号発生手段の応答特性を変更することが可能であるという作用を有する。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、制御信号発生手段は、動き検出手段の出力の低周波成分を除去するための高域通過フィルタ、前記動き検出手段の出力を積分する積分手段、信号のゲイン調整を行うゲイン調整手段、動き補正手段を制御するための信号の信号幅を制限するクリップ手段の少なくともいづれかを有し、特性変更手段もしくは第1の特性変更手段は前記高域通過フィルタのカットオフ周波数、前記積分手段による積分処理の時定数、前記ゲイン調整手段でのゲイン値、前記クリップ手段において制限する信号幅の少なくともいづれかを変更することで前記制御信号発生手段の応答特性を変更することを特徴とするものである。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、動き補正手段は、可変頂角プリズムであることを特徴とするものである。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、一例として、動き補正手段は、撮像光学系に対し相対的に駆動されることにより撮像光学系の光軸を偏心させることを特徴とするものである。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、動き補正手段は、光軸に対し直交する方向に個々に駆動されることで撮像光学系の光軸を偏心させる1枚以上のレンズからなることを特徴とするものである。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、動き補正手段は、撮像光学系を光軸に直交する2軸を中心に回転駆動する構成とされることを特徴とするものである。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、動き検出手段は、撮像装置自体の動きの角速度を検出する角速度センサであることを特徴とするものである。
また、例えば本発明の画像動き補正装置は、一例として、上記発明の画像動き補正装置において、動き検出手段は、撮影画像から画像の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段であることを特徴とするものである。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における画像動き補正装置のブロック図を示すものである。同図において、撮像光学系1は、L1、L2、L3、L4の4つのレンズ群からなる撮像レンズであり、レンズ群L2が光軸方向に移動することでズーミングを行い、レンズ群L4が光軸方向に移動することで合焦を行う。またレンズ群L3はレンズ群L2よりも像面側に配置されたL31、L32の2つのレンズ群からなり、レンズ群L3の一部であるレンズ群L32が光軸に直交する方向に、物理的に決められた範囲内で移動することで、その移動量に応じて光軸が偏心し画像の動きを補正する。よって、レンズ群L32の移動範囲は手振れの補正範囲に相当する。
L32レンズ群駆動制御手段2は振れ補正用レンズであるレンズ群L32を駆動及び制御するための手段であり、撮像光学系1の光軸に直交する平面内でレンズ群L32を上下左右に移動せしめる手段である。移動量検出手段3はレンズ群L32の実際の移動量を検出し出力する手段で、L32レンズ群駆動制御手段2と共にレンズ群L32を駆動制御するための帰還制御ル−プを形成する。
撮像光学系駆動制御手段4は、撮像光学系1中のレンズ群L2、L4を駆動制御し、ズーミング及び合焦動作を行い、且つ撮像光学系1の焦点距離情報を出力する手段である。A/D変換手段5は撮像光学系駆動制御手段4から出力される撮像光学系1の焦点距離情報をデジタル信号に変換するための手段である。
固体撮像素子6は撮像光学系1を介して入射する映像を電気信号に変換する撮像素子であり、本発明の実施の形態1においては、通常のテレビジョン方式で必要とされる以上の画素数を有し、静止画像の撮影時には通常のテレビジョン方式で必要とされる以上の画素から得られた信号から静止画を撮影し、動画の撮影時には通常のテレビジョン方式で必要とされる画素数の画素から得られた信号から動画像を得るものとする。アナログ信号処理手段7は固体撮像素子6により得られた画像信号に対しガンマ処理等のアナログ信号処理を施すための手段である。A/D変換手段8はアナログ信号をデジタル信号に変換するための手段である。デジタル信号処理手段9は、A/D変換手段8によりデジタル信号に変換された画像信号に対して、ノイズ除去、輪郭強調等のデジタル信号処理を施す手段である。
角速度センサ10は、撮像光学系1及び固体撮像素子6から構成される撮像装置自体の動きを検出するための角速度センサであり、撮像装置が静止している状態での出力を基準に、撮像装置の動きの方向により正負両方向の角速度信号を出力する。角速度センサ10は、ヨ−イング、ピッチング2方向の動きを検出するため2個必要となるが、図1には1方向分のみ図示す。HPF11は角速度センサ10の出力に含まれる不要帯域成分中の例えば直流ドリフト成分を除去するための高域通過フィルタである。LPF12は角速度センサ10の出力に含まれる不要帯域成分中の例えばセンサの共振周波数成分やノイズ成分を除去するための低域通過フィルタである。アンプ13は、角速度センサ10の出力の信号レベルの調整を行うアンプ回路である。A/D変換手段14はアンプ13の出力をデジタル信号に変換するための手段である。
マイクロコンピュ−タ(以下、マイコンと略記する)15はA/D変換手段14を介して取り込んだ角速度センサ10の出力に対し、フィルタリング、積分処理、位相補償、ゲイン調整、出力信号のクリップ処理等を施し、動き補正に必要なレンズ群L32の駆動制御量(以下、これを制御信号と称す)を求め、これをD/A変換手段16を介してL32レンズ群駆動制御手段2に送る。D/A変換手段16はマイコン15から制御信号を受け取るのと実質上同時にこれをアナログ信号に変換しL32レンズ群駆動制御手段2に送るものとする。なお、制御信号が0の場合は、レンズ群L32はその移動範囲の実質上中心に保持され、このときは光軸偏心がなされず、また、制御信号が正もしくは負の値をとる場合に、その値に比例して移動範囲の実質上中心から制御信号の符号に応じてそれぞれ逆方向に駆動されるものとする。
L32レンズ群駆動制御手段2は制御信号に基づきレンズ群L32を駆動することで画像の動きを補正する手段である。固体撮像素子駆動制御手段17は固体撮像素子6を駆動及び制御するための手段である。
切り替えスイッチ18は、撮影者が手振れ補正モードの切り替えを設定する為のスイッチ手段であり、本発明の実施の形態1においては動画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードと静止画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモードの両者を選択可能であるとし、動画像の撮影に好適な手振れ補正を行うモード(以下、動画補正モードと称す)と静止画の撮影に好適な手振れ補正を行うモード(以下、静止画補正モードと称す)の2つの手振れ補正モードの切り替えを切り替えスイッチ18で行うものとする。
図2は、レンズ群L32を撮像光学系1内で光軸に直交する方向に駆動制御するための振れ補正光学機構の一例を示したものである。図2において、2001は、振れ補正用レンズであるレンズ群L32であり、2002、2003は可動部分をピッチ方向、ヨー方向に移動させるための主軸(スライド軸)であり、2004は回り止めであり、2005、2006はマグネットであり、2007、2008はヨークであり、2009、2010はコイルであり、マグネット2005とヨーク2007とコイル2009とによりピッチ方向に可動部を駆動する電磁アクチエータを構成する。同様に2006、2008、2010によりヨー方向の電磁アクチエータが構成される。2011、2012は半導体位置検出素子(PSD)であり、2013、2014は赤外発光ダイオード(LED)であり、2011と2013によりピッチ方向の可動部の位置検出の役割を果たし、これが図1に示した移動量検出手段3に相当する。同様に2012と2014によりヨー方向の移動量検出手段3を構成する。
以上のように構成された本発明の実施の形態1の画像動き補正装置に関し、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。なお、角速度センサ10による角速度検出、レンズ群L32の駆動制御等の一連の動作は、水平、垂直両方向に対してなされるが、水平、垂直両方向ともその内容は同一であるため、説明を簡略化するため、水平、垂直方向の別は区別せず、一方向分のみ図示及び説明する。
図3は、マイコン15に格納された処理プログラムのフロ−チャ−トの一例である。撮像装置の操作者の指示等により手振れ補正が動作の状態にされると図3に示した一連の処理が開始される。なお、図3には記載しないが、角速度取り込み(ステップ101)から始まる一連の処理ループは例えばマイコン15に内蔵されたタイマーにより一定周期で割り込みがかけられ、その割り込み毎(例えば1msec毎)にループ処理が実行されるものとする。
タイマーによる割り込みがかけられると、まずステップ101により角速度センサ10の出力、つまり撮像装置の動きの角速度がマイコン15に取り込まれる。
次にステップ102においては後述する低周波成分除去フィルタリング(HPF)、積分処理、ゲイン調整、クリップ処理で用いる設定値(カットオフ周波数、積分定数K、ゲインG、クリップ値C)を初期値に設定する。この初期値は動画撮影時の手振れ補正に最適な値に調整済みであり、動画撮影時には本ステップで設定した設定値を用いて後の各ステップでの処理を実行すれば、本来ならば最適な振れ補正が実行出来る。なお、カットオフ周波数、積分定数K、ゲインG、クリップ値Cの初期値をそれぞれFc、Ki、Gi、Cとする。
ステップ103において、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ104へ、「静止画補正モード」の場合はステップ106へ進む。
ステップ104では角速度からパンニング又はチルティングの判定が行われる。ステップ104による判定方法は、パンニング又はチルティング時、角速度は符号が同一方向で且つある一定レベル以上である状態が連続する傾向があることを利用して、例えば角速度センサ10で得られた角速度が一定時間連続してある閾値以上であればパンニング又はチルティングであると判定する。
ステップ104でパンニング又はチルティングと判定されなかった場合、つまり通常の手振れ状態ではステップ106以降の処理が実行される。この場合、ステップ102で設定された設定値でもって以下の4ステップの処理が実行される。
具体的には、ステップ106は、マイコン15に取り込んだ角速度センサ10の出力に対し、高域通過フィルタ(HPF)により帯域制限を行うステップである。本ステップのHPFは角速度センサ10の出力に含まれる温度ドリフトのような低周波の不要信号成分を除去ためのものであり、例えば伝達関数が、(1−Z-1)/(1−a・Z-1)のフィルタ特性を有しており、この係数aを変更することで、フィルタの通過帯域(カットオフ周波数)を変更出来る。
ステップ107は、ステップ106によるフィルタリング後の角速度センサ10の出力に対し、積分処理を行い角速度から角度を求めるステップである。本ステップでの処理は、例えば伝達関数が、1/(1−K・Z-1)のフィルタ特性を有するものとする。なお、Kは積分定数であり、0<K<1とする。また、この積分定数を変更することで積分処理の時定数を操作することができる。
ステップ108は、ステップ107で角速度センサ10の出力から求められた撮像装置の動きの角度情報に対するゲイン調整を行うステップであり、ゲインGをステップ107の出力(角度情報)に乗算する。
ステップ109は、マイコン15からD/A変換手段16を介してL32群レンズ駆動制御手段2に送られる制御信号がレンズ群L32の補正範囲を超える補正量を指示することがないように、制御信号を上限値もしくは下限値で制限する処理(クリップ処理)を行うステップであり、クリップ値Cに基づき制御信号にクリップ処理を施し、クリップ後のデータはD/A変換手段16によりアナログ信号に変換されL32群レンズ駆動制御手段2に送られる。
以上はステップ104においてパンニング又はチルティングと判定されなかった場合であり、逆に、ステップ104でパンニング又はチルティングと判定された場合は、手振れ補正の働きを制限するための処理が追加される。
パンニング又はチルティングと判定された場合に追加される処理は、パンニング又はチルティングによる撮像装置の動きが通常の手振れに対して周波数成分の低い動きであるため、パンニング又はチルティング時にはマイコン15にて実行される一連の処理系の低周波数帯に対する応答特性を低下させる、等によりパンニング又はチルティングによる撮像装置の動きにレンズ群L32が追従しないように、つまり不必要な手振れ補正を行わないようにすることが目的であり、その結果パンニング又はチルティング時に誤って画像の動きを補正することを防止出来る。
具体的には、ステップ104でパンニング又はチルティングと判定された場合、ステップ105において、ステップ106、107、108、109で使用されるカットオフ周波数、積分定数K、ゲインG、クリップ値Cの設定値を変更する。例えば、カットオフ周波数をステップ102で設定された初期値より高くし、ステップ106で除去される低周波成分の帯域を広くして手振れ補正の働きを制限する。もしくは、積分定数Kをステップ102で設定された初期値より小さく設定することでステップ107の積分処理の時定数を短くすることができ、これによって積分処理の低周波成分に対するゲインを小さくして手振れ補正の働きを制限する。もしくは、ゲインGをステップ102で設定された初期値より小さくし、これによってL32レンズ群駆動制御手段2に送られる制御信号を小さくし、手振れ補正の働きを制限する。もしくは、クリップ値Cをステップ102で設定された初期値より小さくし、これによりL32レンズ群駆動制御手段2に送られる制御信号幅を狭め、結果として補正可能な手振れの範囲を狭めることで手振れ補正の働きを制限する。
なお、ステップ108をステップ106より先に実行し、角速度センサ10で検出された信号を小さくし、結果的に制御信号を小さくしてもよい。
このようなステップ105の処理により、ステップ104でパンニング又はチルティングと判定された場合には手振れ補正の働きを制限することが可能である。
以上のように、撮影者が手振れ補正モードとして「動画補正モード」を選択した場合は、撮影時にパンニング又はチルティングのような意図的な撮像装置の移動を行う機会の多い動画撮影時に好適な手振れ補正が実現できる。
しかし、例えば、風景や人物等の静止画を撮影する場合には、パンニング又はチルティングのように意図的に撮像装置を移動しながら撮影を行う機会はほとんどないのが一般的である。
また、パンニング又はチルティングの検出の際に、どのような動きをパンニング又はチルティングと判定するかは、機器の設計事項に属するが、手振れ自体には撮影者個人の個人差も存在するため、その判定基準の設け方によっては手振れをパンニング又はチルティングと誤判断する場合も考えられる。このような場合、手振れ補正の性能が制限されるため、撮影者は十分な手振れ補正の効果を得ることができない。
そこで、本発明の実施の形態1においては、ステップ103において、手振れ補正モードが「静止画補正モード」と判定された場合は、ステップ104及びステップ105は実行せず、ステップ106、107、108、109で使用されるカットオフ周波数、積分定数K、ゲインG、クリップ値Cの設定値はステップ102で設定された初期値のままとする。このことにより、撮影者が「静止画補正モード」を選択した場合には、手振れ補正の働きが制限されることがなく、好適に手振れ補正がなされた状態で画像撮影を行うことができる。すなわち、手振れ補正モードが「静止画補正モード」と判定された際に、もしも仮にステップ104及びステップ105を実行するとした場合には、ステップ104でのパンニング又はチルティングの判定が正しくなされず、手振れであるのにパンニング又はチルティングと判定され、ステップ105が実行され、手ぶれ補正の働きが制限されてしまうという問題が起こり得る。ところが、上述したように、ステップ103で手振れ補正モードが「静止画補正モード」と判定された際に、ステップ104及びステップ105を実行せずに、ステップ103の次にステップ106を実行するので、このような問題が発生することはない。
以上のように、本発明の実施の形態1では、切り替えスイッチ18によるモード設定により「静止画補正モード」が選択された状態では、パンニング又はチルティングの判定及びその結果に基づく手振れ補正性能の制限が行われず、例えばパンニング又はチルティングが行われる可能性の低い静止画撮影では、パンニング又はチルティングの誤判定による手振れ補正性能の低下が起こることがなく、適切な手振れ補正状態で撮影を行うことができる。
なお、ステップ104においてパンニング又はチルティングであることを判定するとして説明したが、ステップ104においては、撮像装置を水平方向に動かしながら撮影している場合にパンニングまたはチルティングであると判定し、また撮像装置を垂直方向に動かしながら撮影している場合にパンニングまたはチルティングとして判定するのみならず、パンニング及びチルティングを同時に行っている場合、すなわち撮像装置を斜め方向など任意の方向に動かしながら撮影している場合にもパンニングまたはチルティングであるとして判定するものとする。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における画像動き補正装置は、本発明の実施の形態1に対し、マイコン15内での処理内容のみが異なるため、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。なお、本発明の実施の形態1と同様の処理内容部分に関しては図3と同一の符号を付して説明は省略する。
図4は、マイコン15に格納された処理プログラムのフロ−チャ−トの一例である。図4に示した処理もマイコン15内蔵のタイマーによる割り込み毎にループ処理が実行されるものとする。
タイマーによる割り込みがかけられると、ステップ101により角速度がマイコン15に取り込まれ、ステップ202で後段の処理で用いられる設定値が初期値に設定される。
ステップ203においては、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ204へ進む。
ステップ204は、後述するステップ205で使用するコアリング値を再設定するステップである。
ステップ205は、角速度センサ10の出力に含まれる微小なノイズ成分を除去する為のコアリング処理を行うステップである。ここでは図5に示すように、A/D変換手段14でデジタル信号に変換された角速度センサ10の出力に対し、あるコアリング値を設け、角速度センサ出力の絶対値がコアリング値以下の場合には「0」を出力し、コアリング値以上の場合には、角速度センサ出力のからコアリング値を減算(角速度センサ出力が正の場合)もしくは加算(角速度センサ出力が負の場合)した値を出力する。このことで、A/D変換手段14でデジタル信号に変換された角速度センサ10の出力に含まれる微小なノイズ成分を除去することができる。
ステップ210は、ステップ109においてクリップ処理が施された制御信号に対し更に減衰処理を施すステップである。本処理はレンズ群L32を絶えず光軸中心の方向に引き戻す力を加えるものであり、これによりレンズ群L32が補正範囲の端付近に停留し続けることを回避する。具体的には、例えば図6は制御信号の値(横軸)とセンタリング値(縦軸)の関係を示した図であるが、本図に示すように制御信号の値に応じて1以下のセンタリング値を求め、これを制御信号に乗算することで減衰処理を施す。なお、制御信号の値とセンタリング値の関係は図6に示したαの値により変更可能であるとする。一例をあげると、光軸中心位置に相当する制御信号値でのセンタリング値を1.0、制御信号の最大値(補正範囲の最大値)でのセンタリング値をαとし、光軸中心位置に相当する制御信号値と制御信号の最大値の差、及び1.0とαの差から、制御信号値に対するセンタリング値を1次関数の形で求め、制御信号値からセンタリング値を求めればよい。この場合、αの値を変えれば、制御信号値とセンタリング値の関係を容易に変更することができる。
以上のように構成された本発明の実施の形態2において、その動作を以下に説明する。
本発明の実施の形態1と同様に、まずステップ101により角速度センサ10の出力、つまり撮像装置の動きの角速度がマイコン15に取り込まれる。次にステップ202においてはコアリング処理、低周波成分除去フィルタリング(HPF)、積分処理、ゲイン調整、クリップ処理、センタリング処理で用いる設定値(コアリング値、カットオフ周波数、積分定数K、ゲインG、クリップ値C、α値)を初期値に設定する。この初期値は動画撮影時の手振れ補正に最適な値に調整済みであり、動画撮影においては本ステップで設定した設定値を用いて後の各ステップでの処理を実行すれば、本来ならば最適な振れ補正が実行出来る。
ステップ203において、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ204へ進む。
ステップ203において「動画補正モード」と判別された場合は、ステップ202で設定された各設定値でステップ205、106〜109、210でそれぞれ処理が実施されるが、「静止画補正モード」と判定された場合には、ステップ204にてコアリング値の再設定が実施される。これは、例えば、ステップ202で設定されるコアリング値はA/D変換手段14でデジタル信号に変換された角速度センサ10の出力に含まれるノイズの信号レベルの2倍程度の値であったとする。ここで「2倍程度」としたのはノイズによる誤動作が無いように余裕をみての措置である。この場合、ノイズの信号レベルよりも大きく且つコアリング値よりも小さな信号はコアリング処理により全て除去されてしまい、細かな手振れに対しては補正が効きにくくなる。そこで「静止画補正モード」ではこのコアリング値をノイズの信号レベルの1〜1.5倍程度に下げれば、ノイズにより誤動作が発生する可能性は増えるが、細かな手振れに対する補正度合いは改善する。つまり、ステップ204においてはコアリング値をその初期値より小さな値で再設定することで、微小な手振れに対する補正度合いを改善し、例えば動画以上に画素数の多い細密な静止画を撮影する場合に、手振れによる画質劣化が低減可能である。
以上のように、本発明の実施の形態2では、切り替えスイッチ18によるモード設定に応じて、コアリング値を変更し、「動画補正モード」に比べ「静止画補正モード」におけるコアリング値を小さく設定することで、微小な手振れに対する補正度合いを改善し、動画撮影以上に手振れ補正の精度が必要となる静止画撮影に好適な精度の高い手振れ補正を実現することができる。
なお、本発明の実施の形態2において、「静止画補正モード」でのコアリング値をノイズの信号レベルの1〜1.5倍程度に下げるとしたが、これはあくまでも一例でありこれに限るものではない。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における画像動き補正装置は、本発明の実施の形態2に対し、マイコン15内での処理内容のみが異なるため、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。なお、本発明の実施の形態1及び実施の形態2と同様の処理内容部分に関しては図3及び図4と同一の符号を付して説明は省略する。
図7は、マイコン15に格納された処理プログラムのフロ−チャ−トの一例である。図7に示した処理もマイコン15内蔵のタイマーによる割り込み毎にループ処理が実行されるものとする。
タイマーによる割り込みがかけられると、ステップ101により角速度がマイコン15に取り込まれ、ステップ202で後段の処理で用いられる設定値が初期値に設定される。
ステップ203においては、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ304へ進む。
ステップ304は、ステップ107で使用する積分定数を再設定するステップである。
以上のように構成された本発明の実施の形態3において、その動作を以下に説明する。
本発明の実施の形態2と同様に、まずステップ101により角速度センサ10の出力、つまり撮像装置の動きの角速度がマイコン15に取り込まれる。次にステップ202においてはコアリング処理、低周波成分除去フィルタリング(HPF)、積分処理、ゲイン調整、クリップ処理、センタリング処理で用いる設定値(コアリング値、カットオフ周波数、積分定数K、ゲインG、クリップ値C、α値)を初期値に設定する。この初期値は動画撮影時の手振れ補正に最適な値に調整済みであり、動画撮影においては本ステップで設定した設定値を用いて後の各ステップでの処理を実行すれば、本来ならば最適な振れ補正が実行出来る。
ステップ203において、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ304へ進む。
ステップ203において「動画補正モード」と判別された場合は、ステップ202で設定された各設定値でステップ205、106〜109、210でそれぞれ処理が実施されるが、「静止画補正モード」と判定された場合には、ステップ304にて積分定数の再設定が実施される。この理由を以下に説明する。
ステップ107において、角速度センサ10で得られた機器の動きの角速度を積分して角度に変換する際に、積分定数を1未満で且つ1に近い大きな数とした場合、積分処理の時定数が長くなり、よって積分処理の低周波成分に対するゲインも大きくなる。そこで、例えば撮影者が撮影中に撮影方向を少しずらすことを意図して機器をゆっくり移動させるなどした場合やパンニング、チルティングの場合、積分処理の低周波成分に対するゲインが大きすぎると、その動きに対しても鋭敏に応答し手振れ補正をかけることになり、撮影者にとってはかえって違和感が感じられる。そのため、動画を撮影する場合など、上記のように撮影者が意図的に機器を移動させる機会が多い場合には、積分定数はある程度低めの値に設定しておくほうが操作性が良い。そこで動画の撮影に好適な「動画補正モード」では積分定数を例えば0.9程度に設定すれば操作性の良い手振れ補正が実現できる。しかし、上記のような撮影者が意図的に機器を移動させる機会が少ない静止画撮影においては、逆に積分定数を「動画補正モード」以上に大きな値、例えば0.95に設定すると、機器の動きに対する応答性が高まり、更に手振れ補正の度合い(精度)を高めることが可能である。つまり、ステップ304において積分定数をその初期値より大きな値に再設定することで、手振れに対する補正度合いを向上させ、例えば動画以上に画素数の多い細密な静止画を撮影する場合に、手振れによる画質劣化をさらに低減可能な手振れ補正が実現できる。
以上のように、本発明の実施の形態3では、切り替えスイッチ18によるモード設定に応じて、積分定数を変更し、「動画補正モード」に比べ「静止画補正モード」における積分定数を大きく設定することで、手振れに対する補正度合いを向上し、動画撮影以上に手振れ補正の精度が必要となる静止画撮影に好適な精度の高い手振れ補正を実現することができる。
なお、本発明の実施の形態3において、「動画補正モード」での積分定数を0.9、「静止画補正モード」での積分定数を0.95に設定する例を説明したが、これはあくまでも一例でありこれに限るものではない。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ202、203及び304の動作は本発明の第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における画像動き補正装置は、本発明の実施の形態2に対し、マイコン15内での処理内容のみが異なるため、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。なお、本発明の実施の形態1及び実施の形態2と同様の処理内容部分に関しては図3及び図4と同一の符号を付して説明は省略する。
図8は、マイコン15に格納された処理プログラムのフロ−チャ−トの一例である。図8に示した処理もマイコン15内蔵のタイマーによる割り込み毎にループ処理が実行されるものとする。
タイマーによる割り込みがかけられると、ステップ101により角速度がマイコン15に取り込まれ、ステップ202で後段の処理で用いられる設定値が初期値に設定される。
ステップ203においては、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ404へ進む。
ステップ404は、ステップ210で使用するα値を再設定するステップである。
以上のように構成された本発明の実施の形態4において、その動作を以下に説明する。
本発明の実施の形態2と同様に、まずステップ101により角速度センサ10の出力、つまり撮像装置の動きの角速度がマイコン15に取り込まれる。次にステップ202においてはコアリング処理、低周波成分除去フィルタリング(HPF)、積分処理、ゲイン調整、クリップ処理、センタリング処理で用いる設定値(コアリング値、カットオフ周波数、積分定数K、ゲインG、クリップ値C、α値)を初期値に設定する。この初期値は動画撮影時の手振れ補正に最適な値に調整済みであり、動画撮影においては本ステップで設定した設定値を用いて後の各ステップでの処理を実行すれば、本来ならば最適な振れ補正が実行出来る。
ステップ203において、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ404へ進む。
ステップ203において「動画補正モード」と判別された場合は、ステップ202で設定された各設定値でステップ205、106〜109、210でそれぞれ処理が実施されるが、「静止画補正モード」と判定された場合には、ステップ404にてα値の再設定が実施される。この理由を以下に説明する。
ステップ210でのセンタリング処理は本発明の実施の形態2で説明したように、ステップ109においてクリップ処理が施された制御信号に対し更に減衰処理を施すステップであり、これによりレンズ群L32を絶えず光軸中心に引き戻す力を加えるものである。これによりレンズ群L32が補正範囲の端付近に停留し続けることを回避することが可能であるが、その反面、手振れ補正を弱める効果もある。つまり、α値を小さな値に設定すればするほど図6に示したセンタリング値は全体に小さくなり、制御信号に対する減衰が強くなる。ここで、動画を撮影する場合など、機器の移動が多く、手振れが発生する方向、大きさとも多様な場合は、ある程度、α値を小さく設定し適度にレンズ群L32を光軸中心に引き戻す力をかけるほうが、レンズ群L32が補正範囲の端近辺に停留する機会も減少し、絶えず十分な補正範囲を確保でき都合が良い。しかし、例えば動画以上に画素数の多い細密な静止画を撮影する場合には、α値を小さく設定しセンタリング値を小さくすると手振れ補正の効きが弱まり、手振れによる画質劣化をより目立たせることになりかねない。そこで、本発明の実施の形態4においては、ステップ404にてα値を「動画補正モード」の場合より大きな値に設定することで、「静止画補正モード」でのセンタリング値を大きくし、制御信号に対する減衰を弱めることで手振れ補正の効き(精度)を高め、動画以上に画素数の多い細密な静止画を撮影する場合に手振れによる画質劣化を低減可能な手振れ補正が実現できる。
以上のように、本発明の実施の形態4では、切り替えスイッチ18によるモード設定に応じて、α値を変更し、「動画補正モード」に比べ「静止画補正モード」におけるセンタリング値が大きくなるようにすることで、手振れに対する補正度合いを向上し、動画撮影以上に手振れ補正の精度が必要となる静止画撮影に好適な精度の高い手振れ補正を実現することができる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ202,203及び404の動作は本発明の第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態1において、切り替えスイッチ18によるモード設定に応じて、パンニング又はチルティングの判定結果に基づく手振れ補正性能の制限を行うか否かを切り替える構成を示したが、この場合、「静止画補正モード」で撮影中にもしも撮影者がパンニングまたはチルティングを行った場合、機器はパンニングまたはチルティングを手振れと同様に補正してしまうため、撮影者は思い通りの撮影ができず違和感を感じてしまう。
そこで、この問題を軽減するために本発明の実施の形態5においては、以下のような構成を提案する。なお、本発明の実施の形態5における画像動き補正装置は、本発明の実施の形態1に対し、マイコン15内での処理内容のみが異なるため、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。また、本発明の実施の形態1と同様の処理内容部分に関しては図3と同一の符号を付して説明は省略する。
図9は、マイコン15に格納された処理プログラムのフロ−チャ−トの一例である。図9に示した処理もマイコン15内蔵のタイマーによる割り込み毎にループ処理が実行されるものとする。
タイマーによる割り込みがかけられると、ステップ101により角速度がマイコン15に取り込まれ、ステップ102で後段の処理で用いられる設定値が初期値に設定される。
ステップ103においては、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ104へ、「静止画補正モード」の場合はステップ501へ進む。
ステップ501は、ステップ109で使用するクリップ値を再設定するステップである。
以上のように構成された本発明の実施の形態5において、本発明の実施の形態1と異なる部分のみ、その動作を以下に説明する。
ステップ103において手振れ補正モードが「静止画補正モード」と判定された場合、ステップ501においてクリップ値が再設定される。ここで、ステップ102で設定される値をCiとすると、ステップ501ではCi'<Ciの関係にあるCi'がクリップ値として設定される(Ci、Ci'共に正の数とする)。この理由を以下に説明する。
図10は、クリップ値と手振れの補正範囲(レンズ群L32の移動範囲)を説明するための図である。図10において、Ciなるクリップ値で制限される補正範囲は、同図中の「補正範囲(A)」で示される範囲であり、これを「動画補正モード」での手振れ補正範囲とする。また、ステップ501で再設定されるCi'なるクリップ値で制限される補正範囲は、同図中の「補正範囲(B)」で示される範囲であり、これを「静止画補正モード」での手振れ補正範囲とする。このように「静止画補正モード」においてクリップ値を変更すると、「静止画補正モード」での補正範囲を狭めることができる。そのため、「静止画補正モード」で撮影者がパンニングまたはチルティングを行ったとしても、パンニングまたはチルティングによる機器の動きを補正できる範囲が「動画補正モード」に比べ狭められているため、パンニングまたはチルティングを手振れと同様に補正してしまったとしてもその補正量は小さく抑えられ、撮影者が感じる違和感は低減される。また、「静止画補正モード」で風景や人物の静止画を撮影する場合には、概ね撮影者は機器を静止させて撮影するため、手振れもそれほど大きくならないため、図10に示すように補正範囲を狭めても実用上は問題がない。
以上のように、本発明の実施の形態5では、切り替えスイッチ18によるモード設定に応じて手振れの補正範囲も変更することで、パンニングまたはチルティングを手振れと同様に補正してしまうことに伴う撮影者の違和感を低減させることが可能で、且つ静止画撮影に好適な手振れ補正を実現できる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ104は本発明のパンチルト判別手段の例であり、ステップ102、103、501、105の動作は本発明の第1の特性変更手段及び第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態3において、切り替えスイッチ18によるモード設定に応じて、積分定数を再設定する構成を示したが、この場合、例えば撮影者が撮影方向を少しずらすことを意図して機器をゆっくり移動させた場合やパンニング、チルティングの場合、積分処理の低周波成分に対するゲインが大きいため、このような機器の低周波数の動きに対して鋭敏に応答する、つまり強く手振れ補正がかかり、撮影者にとってはかえって違和感が感じられることがある。
そこで、この問題を軽減するために本発明の実施の形態6においては、本発明の実施の形態3に対し、本発明の実施の形態5で説明したステップ501を付加した以下のような構成を提案する。なお、本発明の実施の形態6における画像動き補正装置は、本発明の実施の形態3に対し、マイコン15内での処理内容のみが異なるため、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。また、本発明の実施の形態3と同様の処理内容部分に関しては図7と同一の符号を付して説明は省略する。
図11は、マイコン15に格納された処理プログラムのフロ−チャ−トの一例である。図11に示した処理もマイコン15内蔵のタイマーによる割り込み毎にループ処理が実行されるものとする。
タイマーによる割り込みがかけられると、ステップ101により角速度がマイコン15に取り込まれ、ステップ202で後段の処理で用いられる設定値が初期値に設定される。
ステップ203においては、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ304へ進む。
ステップ304は本発明の実施の形態3で説明したものと同様である。
ステップ601は、ステップ109で使用するクリップ値を再設定するステップであり、本発明の実施の形態5で説明したステップ501と同様の動作を行う。
以上のように構成された本発明の実施の形態6において、本発明の実施の形態3と異なる部分のみ、その動作を以下に説明する。
ステップ203において手振れ補正モードが「静止画補正モード」の場合、本発明の実施の形態5のステップ501と同様に、ステップ601においてクリップ値が再設定される。ここで、ステップ202で設定される値をCiとすると、ステップ601ではCi'<Ciの関係にあるCi'がクリップ値として設定される(Ci、Ci'共に正の数とする)。
このように、ステップ601において、Ci'<Ciの関係にあるCi'をクリップ値として再設定すると、本発明の実施の形態5で説明した場合と同様に、ステップ109におけるクリップ処理により「静止画補正モード」での補正範囲を狭めることができる。そのため、「静止画補正モード」で撮影者がパンニングまたはチルティングを行ったとしても、パンニングまたはチルティングによる機器の動きを補正できる範囲が「動画補正モード」に比べ狭められているため、パンニングまたはチルティングを手振れと同様に補正してしまったとしてもその補正量は小さく抑えられ、撮影者が感じる違和感は低減される。
以上のように、本発明の実施の形態6では、「静止画補正モード」で積分定数を再設定する場合にクリップ値も再設定して手振れの補正範囲も変更することで、例えば撮影者が撮影方向を少しずらすことを意図して機器をゆっくり移動させた場合やパンニング、チルティングの場合に発生する撮影時の違和感を低減可能で、且つ静止画撮影に好適な手振れ補正を実現できる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ202、203、304、601は本発明の第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態4において、切り替えスイッチ18によるモード設定に応じて、α値を再設定する構成を示したが、この場合、「静止画補正モード」では手振れ補正の精度は向上するが、センタリング値が大きいことによりレンズ群L32が補正範囲の端近辺に停留する機会も増加する。一般にレンズ群L32のような光軸偏心を行う光学系を有する撮像光学系1では、レンズ群L32を空間的に移動し光軸偏心を行った場合と、光軸偏心を行わない場合で、撮像光学系1の光学性能を一定とすることは設計上、極めて困難である。そのため、光軸偏心した場合には、偏心しない場合に比べ光学性能が多少なりとも劣化するのが普通である。そこで、本発明の実施の形態4のようにセンタリング値を大きく設定し、レンズ群L32が補正範囲の端近辺に停留する機会が多いということは、それだけ光学性能面で劣った状態で撮影がなされる機会が多いことにつながる。
そこで、この問題を軽減するために本発明の実施の形態7においては、本発明の実施の形態4に対し、本発明の実施の形態5で説明したステップ501を付加した以下のような構成を提案する。なお、本発明の実施の形態7における画像動き補正装置は、本発明の実施の形態4に対し、マイコン15内での処理内容のみが異なるため、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。また、本発明の実施の形態4と同様の処理内容部分に関しては図8と同一の符号を付して説明は省略する。
図12は、マイコン15に格納された処理プログラムのフロ−チャ−トの一例である。図12に示した処理もマイコン15内蔵のタイマーによる割り込み毎にループ処理が実行されるものとする。
タイマーによる割り込みがかけられると、ステップ101により角速度がマイコン15に取り込まれ、ステップ202で後段の処理で用いられる設定値が初期値に設定される。
ステップ203においては、切り替えスイッチ18を介して、撮影者が「動画補正モード」及び「静止画補正モード」のうち、どちらのモードを選択しているかを検出する。そして「動画補正モード」の場合はステップ205へ、「静止画補正モード」の場合はステップ404へ進む。
ステップ404は本発明の実施の形態4で説明したものと同様である。
ステップ601は、ステップ109で使用するクリップ値を再設定するステップであり、本発明の実施の形態5で説明したステップ501と同様の動作を行う。
以上のように構成された本発明の実施の形態7において、本発明の実施の形態4と異なる部分のみ、その動作を以下に説明する。
ステップ203において手振れ補正モードが「静止画補正モード」の場合、本発明の実施の形態5のステップ501と同様に、ステップ601においてクリップ値が再設定される。ここで、ステップ202で設定される値をCiとすると、ステップ601ではCi'<Ciの関係にあるCi'がクリップ値として設定される(Ci、Ci'共に正の数とする)。
このように、ステップ601において、Ci'<Ciの関係にあるCi'をクリップ値として再設定すると、本発明の実施の形態5で説明した場合と同様に、ステップ109におけるクリップ処理により「静止画補正モード」での補正範囲を狭めることができる。そのため、「静止画補正モード」では機器の動きを補正できる範囲が「動画補正モード」に比べ狭められているため、ステップ404においてα値を「動画補正モード」より大きな値に設定して、センタリング処理による減衰を弱めてもレンズ群L32はより光軸中心に近い位置で、つまり光学性能面で劣化の少ない状態での撮影を行うことが可能となる。
以上のように、本発明の実施の形態7では、「静止画補正モード」でα値を再設定する場合にクリップ値も再設定して手振れの補正範囲を狭めることで、光学性能面で劣る補正範囲の端近辺で静止画撮影が行われる機会を低減することが可能で、且つ静止画撮影に好適な手振れ補正を実現できる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ202、203、404、601は本発明の第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態8)
これまでに説明した各実施の形態を、それぞれを組み合わせた構成も考えられる。以下、その組み合わせの例を説明する。なお、組み合わせの例は全てマイコン15内の処理内容のみが異なるため、以下その動作を、マイコン15に格納された処理プログラムをもとに説明する。また、これまで説明した実施の形態と同様の処理内容部分に関しては、同一の符号を付して説明は省略する。
まず、本発明の実施の形態1と実施の形態2を組み合わせた例を図13をもとに説明する。図13は図3に示した本発明の実施の形態1及び図4に示した本発明の実施の形態2を組み合わせた構成である。図13における各ステップは、同一の符号を有する図3及び図4のステップと同様の働きをするものであるため各ステップの説明は省略する。
図13に示した構成では、ステップ103におけるモード判別の結果が「静止画補正モード」の場合にはステップ104、ステップ105の処理は行われず、代わりにステップ204のコアリング値の再設定が実施される。このことで、続くステップ205においては、ステップ204で再設定されたコアリング値によりコアリング処理が実行されることになる。このような構成においては、本発明の実施の形態1及び実施の形態2において説明した通り、「静止画補正モード」ではパンニング又はチルティングの判定及びその結果に基づく手振れ補正性能の制限を行わないことで、パンニング又はチルティングの誤判定による手振れ補正性能の低下が起こることがなく、適切な手振れ補正状態で撮影を行うことができ、且つ、コアリング値を変更し、「動画補正モード」に比べ「静止画補正モード」におけるコアリング値を小さく設定することで、微小な手振れに対する補正度合いも改善することができる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ104の動作は本発明のパンチルト判別手段の例であり、ステップ102、103、204、105は本発明の第1の特性変更手段と第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態8と同様に、本発明の実施の形態1と実施の形態3を組み合わせた例も考えられる。この場合は図14に示すように、図13のステップ204をステップ304に変更した構成となる。ここでは、ステップ103におけるモード判別の結果が「静止画補正モード」の場合にはステップ104、ステップ105の処理は行われず、代わりにステップ304の積分定数の再設定が実施される。このことで、続くステップ107においては、ステップ304で再設定された積分定数により積分処理が実行されることになる。このような構成においては、本発明の実施の形態1及び実施の形態3において説明した通り、「静止画補正モード」ではパンニング又はチルティングの判定及びその結果に基づく手振れ補正性能の制限を行わないことで、パンニング又はチルティングの誤判定による手振れ補正性能の低下が起こることがなく、適切な手振れ補正状態で撮影を行うことができ、且つ、積分定数を変更し、「動画補正モード」に比べ「静止画補正モード」における積分定数を大きく設定することで、手振れに対する補正度合いを向上することができる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ104の動作は本発明のパンチルト判別手段の例であり、ステップ102、103、304、105の動作は本発明の第1の特性変更手段及び第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態8と同様に、本発明の実施の形態1と実施の形態4を組み合わせた例も考えられる。この場合は図15に示すように、図13のステップ204をステップ404に変更した構成となる。ここでは、ステップ103におけるモード判別の結果が「静止画補正モード」の場合にはステップ104、ステップ105の処理は行われず、代わりにステップ404のα値の再設定が実施される。このことで、続くステップ210においては、ステップ404で再設定されたα値によりセンタリング値が求められ、このセンタリング値により制御信号に対する減衰処理が実行されることになる。このような構成においては、本発明の実施の形態1及び実施の形態4において説明した通り、「静止画補正モード」ではパンニング又はチルティングの判定及びその結果に基づく手振れ補正性能の制限を行わないことで、パンニング又はチルティングの誤判定による手振れ補正性能の低下が起こることがなく、適切な手振れ補正状態で撮影を行うことができ、且つ、α値を変更し、「動画補正モード」に比べ「静止画補正モード」におけるセンタリング値が大きくなるようにすることで、手振れに対する補正度合いを向上することができる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ104の動作は本発明のパンチルト判別手段の例であり、ステップ102、103、404、105の動作は本発明の第1の特性変更手段及び第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態11)
また、本発明の実施の形態6と実施の形態9を組み合わせる例も考えられる。この場合は図16に示すように、図14の構成に対し図11に示したステップ601を追加した構成となる。ここではステップ103におけるモード判別の結果が「静止画補正モード」の場合にはステップ104、ステップ105の処理は行われず、代わりにステップ304の積分定数の再設定が実施される。このことで、続くステップ107においては、ステップ304で再設定された積分定数により積分処理が実行されることになる。また、ステップ601においてはクリップ値の再設定も行われ、これにより本発明の実施の形態9で説明した効果の他に、クリップ値を再設定して手振れの補正範囲を狭めることで、例えば撮影者が撮影方向を少しずらすことを意図して機器をゆっくり移動させた場合やパンニング、チルティングの場合に発生する撮影時の違和感を低減することが可能となる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ104の動作は本発明のパンチルト判別手段の例であり、ステップ102、103、304、601、105の動作は本発明の第1の特性変更手段及び第2の特性変更手段の例である。
(実施の形態12)
本発明の実施の形態11と同様に、本発明の実施の形態7と実施の形態10を組み合わせる例も考えられる。この場合は図17に示すように、図15の構成に対し図12に示したステップ601を追加した構成となる。ここではステップ103におけるモード判別の結果が「静止画補正モード」の場合にはステップ104、ステップ105の処理は行われず、代わりにステップ404のα値の再設定が実施される。このことで、続くステップ210においては、ステップ404で再設定されたα値によりセンタリング値が求められ、このセンタリング値により制御信号に対する減衰処理が実行されることになる。また、ステップ601においてはクリップ値の再設定も行われ、これにより本発明の実施の形態10で説明した効果の他に、クリップ値を再設定して手振れの補正範囲を変更することで、光学性能面で劣る補正範囲の端近辺で静止画撮影が行われる機会を低減することが可能となる。
なお、本実施の形態のマイコン15に格納されマイコン15によって実行されるプログラムのうちステップ104の動作は本発明のパンチルト判別手段の例であり、ステップ102、103、404、601、105の動作は本発明の第1の特性変更手段及び第2の特性変更手段の例である。 本発明の各実施の形態を組み合わせた例は以上に説明したものに限るものではなく、例えば、本発明の実施の形態2〜4を組み合わせ、「静止画補正モード」でのコアリング値の再設定、積分定数の再設定、α値の再設定の内、少なくともいづれか2つ以上を備えた構成も考えられる。同様に、本発明の実施の形態6、7を組み合わせ、「静止画補正モード」での積分定数の再設定、α値の再設定の両者を備えた構成も考えられる。同様に、本発明の実施の形態8〜10を組み合わせ、「静止画補正モード」でのコアリング値の再設定、積分定数の再設定、α値の再設定の内、少なくともいづれか2つ以上を備えた構成も考えられる。同様に、本発明の実施の形態11〜12を組み合わせ、「静止画補正モード」での積分定数の再設定、α値の再設定の両者を備えた構成も考えられる。そして、以上のような本発明の各実施の形態を組み合わせた例においては、それぞれ個別の実施の形態において実現される効果を合わせた効果を得ることができる。
なお、本発明の実施の形態1において、ステップ104による判定方法は、例えば角速度センサ11で得られた角速度が一定時間連続してある閾値以上であればパンニング又はチルティングであると判定する、としたがこれに限るものではなく、例えば角速度センサ11で得られた角速度の振動周波数成分を分析してパンニング又はチルティングであると判定する方法等も考えうる。また、いかなる方法によりパンニング又はチルティングを判別しても、本願発明が有効であることは言うまでもない。これは他の実施の形態においても、パンニング又はチルティングの判定を行う場合は同様である。
また、本発明の実施の形態1において、動画の撮影時には標準のテレビジョン方式に必要とされる画素数分の画素から得られた信号から画像を得ると説明したがこれに限るものではなく、例えば、標準のテレビジョン方式に必要とされる画素数以上の画素から得られた信号に補間処理などを施し、標準のテレビジョン方式に合致した動画像を得るような構成も考えられ、この場合でも本願発明が有効であることは言うまでもない。また、ここでの動画像はインタレース方式およびノンインタレース方式のどちらでも構わない。さらに1秒間のコマ数もNTSC方式では60コマ、PAL方式では50コマであるが、これに限るものではなく、例えば、デジタルスチルカメラの動画撮影機能で撮影される1秒あたり10コマ程度の動画撮影でも本願出願が有効であることは明らかである。
また、本発明の実施の形態1において、レンズ群L32を駆動制御するための制御信号は、正負の値を取るものとして説明したがこれに限るものではなく、例えば0を下限とした正の数側のみの値を取るようにしても何ら問題はない。
また、本発明の実施の形態2において、コアリング処理の方法として図5に示した方法を説明したがこれに限るものではなく、例えば、図18に示すように加速度センサ出力の絶対値がコアリング値以下の場合は「0」を出力し、コアリング値以上の場合には加速度センサ出力をそのまま出力する方法も考えられる。これは他の実施の形態においても、コアリング処理を行う場合は同様である。
また、本発明の実施の形態2において、制御信号に減衰処理を施すためのセンタリング値を求める方法として、図6に示した方法を説明したがこれに限るものではなく、例えば、図19に示すように制御信号値とセンタリング値を非線形な関数で求める方法も考えられる。これは他の実施の形態においても、減衰処理を行う場合は同様である。
また、本発明の実施の形態2において、ステップ109のクリップ処理とステップ210のセンタリング処理(減衰処理)を行う順序は特にどちらが先であっても本願発明が有効であることは明らかである。これは他の実施の形態においても、ステップ109のクリップ処理とステップ210のセンタリング処理(減衰処理)を行う場合は同様である。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、固体撮像素子6は標準のテレビジョン方式に必要とされる以上の画素数を有するものとして説明したがこれに限るものではなく、例えば、標準のテレビジョン方式に必要とされる画素数分の画素を有する固体撮像素子を用い、動画撮影時も静止画撮影時も同程度の画素数の画素から画像を得る構成でも本願発明が有効であることは明らかである。また、固体撮像素子6の画素数および動画撮影時の必要画素数は標準のテレビジョン方式に必ず拘束されるものではない。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、切り替えスイッチ18は、例えば押しボタン式のスイッチや、スライドスイッチや、タッチパネル式のスイッチ等が考えられるがこれに限るものではない。また、物理的なスイッチ手段ではなく、例えば撮像装置が液晶表示装置のような表示手段を有し、この表示手段に表示されるメニューの中から手振れ補正のモードを選択するような例も考えられる。このようにいずれの手段を用いても、本願発明が有効であることは言うまでもない。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、切り替えスイッチ18は、撮影者が手振れ補正モードを切り替えるものとして説明したが、これに限るものではなく、例えば撮像装置が動画像を撮影するモード(以下、動画撮影モードと称す)と静止画像を撮影するモード(以下、静止画撮影モードと称す)を切り替える別のスイッチ手段を有し、この別のスイッチ手段により「動画撮影モード」と「静止画撮影モード」を切り替える際に連動して、切り替えスイッチ18も「動画補正モード」と「静止画補正モード」が切り替わる構成も考えられる。
また他に、例えば「動画撮影モード」と「静止画撮影モード」を切り替えるために2段の押圧式スイッチを備え、この2段の押圧式スイッチに連動して「動画補正モード」と「静止画補正モード」が切り替わる構成も考えられる。このとき、例えば、2段の押圧式スイッチが押されていない状態を「動画撮影モード」とし、このとき切り替えスイッチ18は「動画補正モード」に設定され、2段の押圧式スイッチが1段階押し下げられた状態で「動画撮影モード」のまま切り替えスイッチ18が「静止画補正モード」に設定され、更に2段の押圧式スイッチがもう1段階押し下げられた状態で手振れ補正は「静止画補正モード」のまま「静止画撮影モード」に移行し静止画の撮影が行われるというような構成も考えられる。同様に、2段の押圧式スイッチが押されていない状態では手振れ補正を行わず、2段の押圧式スイッチが1段階押し下げられた状態で「動画補正モード」に切り替えスイッチ18が設定され、更に2段の押圧式スイッチがもう1段階押し下げられた状態で「静止画補正モード」に切り替えスイッチ18が設定され、静止画が撮影されるような構成も考えられる。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、切り替えスイッチ18の他に、手振れ補正自体をオン、オフするスイッチ手段を設けても構わない。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、ステップ102もしくはステップ202にて設定される各初期値は動画撮影時の手振れ補正に最適な値に設定されるとしたがこれに限るものではなく、例えば、ステップ102及びステップ202において初期値は静止画撮影に最適な値に設定し、「動画補正モード」及び「静止画補正モード」の判別結果に基づいて、「動画補正モード」の場合にこれら設定値を動画撮影に最適な値に変更する構成としても結果的には本願発明と何ら変わりはない。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、振れ補正手段として、撮像光学系1中の一部のレンズを光軸に対して垂直方向に移動させることで光軸を偏心させる構成を例に説明を行なったがこれに限るものではなく、例えば、2枚のガラス板を蛇腹で繋ぎ、その中を高屈折率の液体で満たし、このガラス板の角度を変えることで光軸偏心が可能な可変頂角プリズムを用いた光学系においても本願発明が有効であることは言うまでもない。
また別の例としては、振れ補正手段として、撮像光学系1及び固体撮像素子6等を撮像装置のきょう体に対し回動自在に支持及び駆動することで動きを補正する構成(例えば、"ビデオカメラの画振れ防止技術の開発"テレビジョン学会技術報告Vol.11,No.28,pp19〜24(1987)に開示されている)も考えられる。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、撮像装置の動きを検出する手段は角速度センサを例に説明したがこれに限るものではなく、例えば、加速度センサなどの他のセンサ、または撮影画像のフィールド間もしくはフレーム間のパターンマッチングにより画像の動きベクトルを検出する方式を角速度センサの代わりに用いても何ら差し支えはない。またこの場合、例えば動きベクトルが一定時間連続してある閾値以上であればパンニング又はチルティングであると判定する、等の方法でパンニング又はチルティングを判別することが考えられる。
また、本発明の実施の形態の全てにおいて、マイコンによるプログラム処理による例を示したがこれに限るものではなく、マイコンによるプログラム処理を電子回路等のハードウエアにより実現することが可能であることは言うまでもない。
また、本発明の実施の形態の全てにおいては、撮像装置の固体撮像素子数に関しては特に言及しなかったが、単板式撮像装置、2板式撮像装置、3板式撮像装置のいずれの撮像装置においても本発明が有効であることは明かである。また、固体撮像素子ではなく撮像管を用いた撮像装置においても同様に本願発明が有効であることは明かである。
なお、本発明は、上述した本発明の撮像装置全部または一部の手段(または、装置、素子、回路、部等)の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
なお、本発明の一部の手段(または、装置、素子、回路、部等)、本発明の一部のステップ(または、工程、動作、作用等)とは、それらの複数の手段またはステップの内の、幾つかの手段またはステップを意味し、あるいは、一つの手段またはステップの内の、一部の機能または一部の動作を意味するものである。
また、本発明のプログラムを記録した、コンピュータに読みとり可能な記録媒体も本発明に含まれる。
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
また、本発明のプログラムの一利用形態は、伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
また、記録媒体としては、ROM等が含まれ、伝送媒体としては、インターネット等の伝送媒体、光・電波・音波等が含まれる。
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。