JP3911009B2 - セルラーゼによる綿非含有布の処理方法 - Google Patents

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Description

発明の背景
1.発明の分野
本発明は、セルラーゼによる綿含有布(cotton-containing fabrics)及び綿非含有セルロース系布(non-cotton containing cellulosic fabrics)の改良処理方法並びにこれらの方法により製造された織物に関する。特に、本発明に係る改良された方法は、1以上のEG型成分を含んで成り、かつ、低濃度のCBH I型成分を含む真菌セルラーゼ組成物を含む水性溶液と綿含有布及び綿非含有布を接触させることに向けられる。綿含有布及び綿非含有セルロース系布がこのような溶液により処理されるとき、得られる布は、例えば処理前の布と比較して、感触、外観、及び/又は柔らかさ、等について期待される強化を有し、そして綿含有布も、高濃度のCBH I型成分を含むセルラーゼ成分により処理された布と比較して、減少された強度の損失を有する。
2.技術水準
それらの製造の間又は直後、綿含有布は、その布に所望の特性を付与するためにセルラーゼにより処理されることができる。例えば、繊維産業においては、セルラーゼは、綿含有布の感触及び/又は外観を改善するために、綿含有編物からの表面繊維を除去するために、綿含有デニムにストーン・ウォッシュ外観を付与する等のために使用されている。
特に、日本国特許出願第58-36217号及び第58-54032号並びにOhishi et al.,“Reformation of Cotton Fabric by Cellulase”及びJTN December 1988 journal article“What's New -- Weight Loss Treatment to Soften the Touch of Cotton Fabric”は、それぞれ、セルラーゼによる綿含有布の処理がその布について改善された感触をもたらすことについて開示している。このセルラーゼ処理が綿の毛羽立ち(fuzzing)及び/又は表面繊維を除去して、それがその布の重量を減少させるということが一般的に信じられている。これらの効果の組み合せは、その布に改善された感触(feel)を付与する、すなわちその布がより絹に似た感触になる。
さらに、本分野においてはこれまで、例えばジェットの使用により、これらの編布に一般的な折れた繊維及び糸を除去する目的をもって、撹拌及びカスケード条件下で、セルロース溶液により綿含有織布を処理することが知られている。そのように処理されるとき、バッファーは一般的には使用されない。なぜなら、それらは、選ばれた染料による染料落ちに有害な影響を与えると信じられているからである。
さらに本分野においてはこれまで、撹拌及びカスケード条件下でセルラーゼ溶液により綿含有織布を処理することも知られている。そのように処理されるとき、その綿含有織布をは、処理前の布と比較して改良された感触及び外観を有している。
最後に、これまで、撹拌及びカスケード条件下、すなわち回転ドラム洗濯機内で、セルラーゼ溶液による綿含有の染色されたデニムの処理が、そのデニムに“ストーン・ウォッシュ(stone washed)”外観を付与することも知られている。
セルラーゼ溶液によるこのような綿含有布の処理に関連する共通の問題は、処理された布が、非処理布に比較してかなりの強度損失を示すということである。そのセルラーゼがセルロース(β−1,4−グルカン結合)を加水分解し、これが次にその綿ポリマーの一部の破壊をもたらすことができるために、強度損失が生じる。綿ポリマーが破壊されればされる程、その布の繊維強度は減少される。
綿織布に上でのセルロース溶液の撹拌及びカスケード(agitation and cascading)を含む方法がより短かい反応時間を必要とするために、これらの方法は、撹拌及びカスケードを含まないセルラーゼ処理方法に比較して減少された強度損失の綿含有織布を提供すると信じられている。しかしながら、いずれの事案においても、このような方法は、かなりの強度損失をもたらす。
従って、処理前の布に比較してセルラーゼによる処理から生じる処理された綿含有布における所望の強化を未だ達成しながら、減少された強度損失を提供するようにこのようなセルラーゼ処理を修飾することが特に望ましいであろう。
さらに、セルラーゼの真菌源がひじょうに多量のセルラーゼを分泌することが知られており、そしてさらにこのような真菌源についての発酵手順並びにそのセルラーゼを単離するための単離及び精製手順が本分野においてよく知られているために、感触及び/又は外観を付与するための方法においてこのような真菌セルラーゼを使用することが特に有利であろう。
発明の要約
本発明は、真菌セルラーゼにより綿含有布及び綿非含有セルロース系布を処理するためのこれまでに知られている方法が、1以上のEG型成分を含んで成り、かつ、有意に低い濃度のCBH Iを含む真菌セルラーゼ組成物を使用することにより改善されることができるという発見に関する。驚ろくべきことに、EG型成分が、このようなセルラーゼ組成物による処理前の布に比較して、感触(feel)、外観(appearance)、柔らかさ(softuess)、着色強化(color enhancement)、及び/又はストーン・ウォッシュ外観(stone washed appearance)に関してその処理された布に強化を付与することができるということが発見された。さらに、EG型成分との組合せにおけるCBH I型成分がその処理された布内の強度損失のかなりの大きさの部分についての原因であるということが発見された。従って、本発明においては、綿含有布及び綿非含有セルロース系布を処理するために使用されるセルラーゼ組成物が、強度損失抵抗性であるように有意に低い濃度のCBH I型成分を含むようにあつらえられる。
上記視点においては、その方法の態様の中の1においては、本発明は、真菌セルラーゼ組成物による綿含有布及び綿非含有布の改良処理方法であって、その改良方法が1以上のEG型成分及び1以上のCBH I型成分を含んで成る真菌セルラーゼ組成物を使用することを含んで成り、そのセルラーゼ組成物が、5:1を上廻る、全EG型成分対全CBH I型成分のタンパク質重量比をもつ、ような方法に関する。
好ましい態様においては、本発明において使用される真菌セルラーゼ組成物は、1以上のEG型成分及び1以上のCBH型成分を含んで成り、そのセルラーゼ組成物が5:1を上廻る全EG型成分:全CBH型成分のタンパク質重量比をもつ。さらに好ましい態様においては、本真菌セルラーゼ組成物は、そのセルラーゼ組成物中のタンパク質の全重量に基づき、少なくとも約10重量パーセント、そして好ましくは少なくとも約20重量パーセントを含んで成る。
その方法の態様の中の他のものにおいては、本発明は、水性真菌セルラーゼ溶液による綿含有布及び綿非含有セルロース系布の改良処理方法であって、その方法がその布に対するそのセルラーゼ溶液のカスケード効果を作り出すような条件下でそのセルラーゼ溶液の撹拌により行われ、その改良が1以上のEG型成分及び1以上のCBH I型成分を含んで成る真菌セルラーゼ組成物の使用を含んで成り、そのセルラーゼ組成物が5:1を上廻る全EG型成分対全CBH I型成分のタンパク質重量比をもつ、ような方法に関する。好ましい態様においては、本発明において使用される真菌セルラーゼ組成物は、1以上のEG型成分及び1以上のCBH型成分を含んで成り、そのセルラーゼ組成物は、5:1を上廻る全EG型成分対全CBH型成分のタンパク質重量比をもつ。さらに他の好ましい態様においては、真菌セルラーゼ組成物は、そのセルラーゼ組成物中のタンパク質の全重量に基づき少なくとも約10重量パーセント、そして好ましくは少なくとも約20重量パーセントを含んで成る。
本発明に係る方法により処理された綿含有布は、より多量のCBH I型成分を含む真菌セルラーゼ組成物により処理された布と比較して、減少された強度損失を示しながら処理前の布に比較して予期された強化をもつ。この減少された強度損失は、本発明に係る方法が強度損失抵抗性であることを立証する。本発明に係る方法により処理された綿非含有セルロース系布は、非処理綿非含有セルロース系布に比較して感触、外観、柔らかさ、着色強化及び/又はストーン・ウォッシュ外観に関して付与された強化を示すことが発見された。
その組成物の態様においては、本発明は、先に定義した本発明に係る方法において処理された綿含有布及び綿非含有セルロース系布に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、pΔCBH I pyr4の構築の概要である。
図2は、トリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)染色体の中のI上のcbh1座におけるpΔCBH I pyr4からの大きい方のEcoRI断片の組み込みによるトリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)cbh1遺伝子の欠失について示す。
図3は、プローブとして32PラベルされたpΔCBH I pyr4を用いたサザン・ブロット分析後のEcoRI消化pΔCBH I pyr4により形質転換されたトリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)株GC69からのDNAのオートラジオグラフである。
図4は、プローブとして32PラベルされたpInt CBH Iを用いたサザン・ブロット分析後のEcoRI消化されたpΔCBH I pyr4により形質転換されたトリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)株GC69からのDNAのオートラジオグラフである。
図5は、トリコデルマ・ロンジブラチアタムの野生型により及び形質転換株により分泌されたタンパク質を示す等電点フォーカシング・ゲルである。特に図5中、この等電点フォーカシング・ゲルのレーンAはトリコデルマ・ロンジブラチアタムの部分的に精製されたCBH Iを使用し;レーンBは、野生型トリコデルマ・ロンジブラチアタムからのタンパク質を使用し;レーンCは、cbh1遺伝子が欠失されたトリコデルマ・ロンジブラチアタム株からのタンパク質を使用し;そしてレーンDは、cbh1cbh2遺伝子が欠失されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムからのタンパク質を使用する。
図5中、図の右手側の数字は、1以上の分泌タンパク質中に見つかった単一タンパク質の位置を示すためにマークされている。特にBGはβ−グルコシダーゼをいい;E1はエンドグルカナーゼIをいい;E2はエンドグルカナーゼIIをいい;E3はエンググルカナーゼIIIをいい;C1はエクソ−セロビオヒドロラーゼIをいい;そしてC2はエクソ−セロビオヒドロラーゼIIをいう。
図6Aは、ゲノムDNAの4.1KB EcoRI断片としてクローン化されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムcbh2座を表したものであり、そして図6Bは、そのcbh2遺伝子欠失ベクター、pPΔCBH IIを表したものである。
図7は、プローブとして32PラベルされたpPΔCBH IIを用いたサザン・ブロット分析の後のEcoRI消化されたpPΔCBH IIにより形質転換されたトリコデルマ・ロンジブラチアタム株P37 pΔCBH IからのDNAのオートラジオグラフである。
図8は、プラスミドpEG I pyr4のダイアグラムである。
図9は、40℃におけるpHレンジについてのトリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導された酸性EG強化真菌セルラーゼ組成物(CBH I及びCBH II欠失)のRBB-CMC活性特性;並びに40℃におけるpHレンジについてのトリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導された強化EG IIIセルラーゼ組成物の活性特性を示す。
図10は、さまざまな量のCBH成分をもつセルラーゼ組成物により処理された綿含有布についての洗濯メーター(launderometer)内での3回の洗浄サイクル後の強度損失結果を示す。
図11は、さまざまなpHにおける野生型トリコデルマ・ロンジブラチアタムにより分泌されたセルラーゼ(全セルラーゼ)により処理された綿含有布についての(パネル・テスト等級に基づく)繊維除去結果を示す。
図12は、野生型トリコデルマ・ロンジブラチアタムにより分泌されたセルラーゼのさまざまな濃度(ppm)により処理された綿含有布についての及びCBH IとCBH IIを分泌することができないように遺伝子操作されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムの株により分泌されたセルラーゼにより処理された綿布についての(パネル・テスト等級に基づく)繊維除去結果を示す。
図13は、CBH I&IIを生産することができないように遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムの株から誘導されたEG強化セルラーゼ組成物のさまざまな濃度(ppm)についての柔らかさパネル・テスト結果を示す。
図14は、CBH I&IIを生産することができないように遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムの株から誘導されたEG強化セルラーゼ組成物により処理された綿非含有セルロース系布についての柔らかさパネル・テスト結果を示す。
図15は、CBH I&IIを生産することができないように遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムの株から誘導されたEG強化セルラーゼ組成物により処理された綿非含有セルロース系布についての外観パネル・テスト結果を示す。
好ましい態様の詳細な説明
上述のように、本発明に係る方法は、セルラーゼによる綿含有布及び綿非含有セルロース系布の従来技術の処理方法における改良である。本改良は、その布における強度損失を最小化しながらその布に所望の強化を付与する特異的なセルラーゼ組成物を使用することを含んで成る。しかしながら詳細に本発明を討議するに先立って、以下の用語を最初に定義する。
用語“綿含有布(cotton-containing fabric)”とは、棒織布、綿編物、綿デニム、綿ヤーン、等を含む純綿又は綿ブレンドから作られた縫布又は非縫布をいう。綿ブレンドが使用されるとき、その布中の綿の量は、少なくとも約40重量パーセントの綿;好ましくは約60重量パーセントを上廻る綿;そして最も好ましくは約75重量パーセントを上廻る綿でなければならない。ブレンドとして使用されるとき、その布中で使用される相手の材料は、1以上の非綿繊維であって合成繊維、例えばポリアミド繊維(例えばナイロン6及びナイロン66)、アクリル繊維(例えばポリマクリロニトリル繊維)、及びポリエステル繊維(例えばポリエチレン・テレフタレート)、ポリビニル・アルコール繊維(例えばビニロン)、ポリビニル・クロライド繊維、ポリビニリデン・クロライド繊維、ポリウレタン繊維、ポリウレア繊維及びマラミド繊維を含むものを含むことができる。再生セルロース、例えばレーヨンが本発明に係る方法において綿のための代替物として使用されることができるであろうことが企図される。
用語“セルロース非含有布(non-cellulosic-containing fabric)”とは、天然セルロース(例えばジュート、フラックス、ラミー、等)及び人造セルロース誘導体を含む綿非含有セルロース布又は綿非綿含有セルロース誘導体ブレンドのいずれかをいう。人造セルロースのブレンドの標題の下に含まれるのは、本分野においてよく知られた再生セルロース、例えばレーヨンがある。他の人造セルロースは、セルロース繊維の化学修飾物(例えばアセテート等により誘導体化されたセルロース)及び溶媒紡糸セルロース繊維(例えばリオセル(lyocell))を含む。
上記の綿非含有セルロースは、リオセル−レーヨン、リオセル−リネン、ビスコース・レーヨン・アセテート、レーヨン・ウール、シルク−アセテート、等を含むブレンドとして使用されることもできる。
用語“仕上げ(finishing)”は、本明細書中に使用するとき、布に対するセルラーゼのセルロース分解活性を実質的に防止するのに十分な量の仕上げ剤を綿含有布又は綿非含有セルロース布に適用することを意味する。仕上げ剤は一般的に、その布の特性、例えば柔らかさ、ドラパビリティー(drapability)等を強化する目的をもってその布の製造工程の終りに又は終了付近に適用され、それは、セルラーゼとの反応からその布をさらに保護する。綿含有布の仕上げに有用な仕上げ剤は、本分野においてよく知られており、そして樹脂状材料、例えばメラミン、グリオキサル、又はウレアホルムアルデヒド、並びにワックス、シリコーン、フルオロケミカル類及び第4類を含む。そのように仕上げられるとき、その綿含有布は、セルラーゼに対して実質的ほとんど反応性でない。
用語“真菌セルラーゼ(fungal cellulase)”とは、真菌源から得られたセルラーゼ遺伝子の全部又は一部を取り込み、かつ、発現するように遺伝子修飾された真菌源又は微生物から誘導された酵素組成物をいう。真菌セルラーゼは、セルロース及びその誘導体に対して働いて、セルロースを加水分解し、そして主生成物、グルコース及びセロビオースを与える。真菌セルラーゼは、微生物、例えば放線菌類、粘菌バクラリア(ミクソバクテリア)及び真のバクテリアを含む非真菌源から生産されたセルラーゼからは区別される。本明細書中に記載するセルラーゼ組成物の製造に有用なセルラーゼを生産することができる真菌は、英国特許第2 094 826A号(この開示を引用により本明細書中に取り込む。)中に開示されている。
ほとんどの真菌セルラーゼは一般的に、酸性又は中性pHレンジ内にそれらの最適活性をもつ。但し、いくつかの真菌セルラーゼは、中性及び僅かにアルカリ性の条件下でかなりの活性を有していることが知られている。すなわち、例えばフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から誘導されるセルラーゼは、中性〜僅かにアルカリ性の条件下で活性を有することが知られている。
真菌セルラーゼは、異なる基質特異性、酵素作用パターン、等をもついくつかの酵素分類を占めることが知られている。さらに、それぞれの分類内の酵素成分は、異なる分子量、異なる程度の糖添加、異なる等電点、異なる基質特異性、等を示すことができる。例えば、真菌セルラーゼは、エンドグルカナーゼ(endoglucanases)(EGS))、エクソセロビオヒドロラーゼ(exocellobiohydrolases(CBHS))、β−グルコシダーゼ(β−glucosidases(BGS))、等を含むセルラーゼ分離を含むことができる。他方において、バクテリアのセルラーゼはCBH成分をほとんど又は全く含まないものとして上記分献中に報告されているけれども、バクテリアのセルラーゼから誘導されたCBH-様成分がエクソセロビオヒドロラーゼ活性を有していることが報告されたいくつかのケースが存在する。
天然真菌源により生産され、かつ、1以上のCBH及びEG成分を含んで成り、それらの成分のそれぞれがその真菌源により生産された比において見られる真菌セルラーゼ組成物を、ときどき本明細書中に、“完全真菌セルラーゼ系(complete fungal cellulase system)”又は“完全真菌セルラーゼ組成物(complete fungal cellulase composition)”といって、それらを、それから単離されたセルラーゼの分類及び成分から、バクテリア及びいくつかの真菌により生産された不完全セルラーゼ組成物から、又は、セルラーゼの1以上のCBH及び/又はEG成分を過剰生産し、過小生産し、又は生産しないように遺伝子修飾された微生物から得られたセルラーゼ組成物から区別する。
セルラーゼの生産のために真菌を培養するための発酵手順は、本分野においてそれ自体公知である。例えば、セルラーゼ系は、バッチ、供給−バッチ及び連続フロー工程を含む固体又は浸漬培養のいずれかにより生産されることができる。発酵ブロスからのセルラーゼ系の採取及び精製も、本分野においてそれ自体知られた手順により行われることができる。
“エンドグルカナーゼ(“EG”)型成分”とは、トリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma Longibrachiatum)のエンドグルカナーゼ成分と同様の繊維活性特性を示すような真菌セルラーゼ成分の全て又はそれらの成分の組合せをいう。これに関して、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのエンドグルカナーゼ成分(特に、単独又は組合せのいずれかにむけるEG I,EG II,EG III等、)は、それらの成分が繊維処理媒質中に取り込まれ、そしてその布がこの媒質により処理されるとき(処理前の布に比較して)綿含有布に、改善された感触、改善された外観、柔らかさ、着色強化、及び/又はストーン・ウォッシュ外観を付与する。さらに、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのエンドグルカナーゼ成分による綿含有布の処理は、類似の組成物であるがさらにCBH I型成分を含むによる処理から生じる強度損失に比較してより小さな強度損失をもたらす。
従って、エンドグルカナーゼ型成分は、これらの成分がその布を処理するために使用される媒質に取り込まれるとき(処理前の布と比較して)綿含有布に改善された感触、改善された外観、柔らかさ、着色強化、及び/又はストーン・ウォッシュ外観を付与し、そして類似のセルラーゼ組成物であるがさらにCBH I型成分を含むものによる処理から生じる強度損失に比較して綿含有布に減少された強度損失を付与するような真菌セルラーゼ成分である。
このようなエンドグルカナーゼ型成分は、活性テスト、例えば、それらの成分が(a)可溶性セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)を加水分解し、それによりCMC含有溶液の粘度を減少される能力、それらの成分が(b)セルロースの水和形態例えばリン酸膨潤セルロース(例えばWalsethセルロース)を容易に加水分解し、そしてセルロースのより高い結晶形態(例えばAvicel,Solkafloc、等)をほとんど容易に加水分解しない能力、を使用してエンドグルカナーゼとして伝統的に分類される成分を含むことができない。他方において、このような活性テストにより定義されるようなすべてのエンドグルカナーゼ成分が、綿含有布に1以上の強化並びに綿含有布に減少された強度損失を付与しないであろうと信じられている。従って、本発明における目的にとって、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのエンドグルカナーゼ成分により所有されるものと同様な繊維活性特性を有するような真菌セルラーゼの成分としてエンドグルカナーゼ型成分を定義することが、より正確である。
真菌セルラーゼは、1以上のEG型成分を含むことができる。異なる成分は一般的に異なる等電点、異なる分子量、異なる程度の糖添加、異なる基質特異性異なる酵素作用パターン、等をもつ。異なる等電点の成分は、イオン交換クロマトグラフィー等を介してそれらを分離することができる。実際に、異なる真菌源からの成分の単離が本分野において公知である。例えばBjork et al.,米国逐次番号第07/422,814号、Schulein et al.,国際出願WO89/09259,Wood et al., Biochemistry and Genetics of Cellulose Degradation, pp. 31 to 52(1988);Wood et al., Carbohydrate Research, Vol. 190, pp. 279 to 297(1989);Schulein, Uethods in Enzymology, Vol. 160, pp-234 to 242(1988);等を参照のこと。これらの文献のそれぞれの開示全体を引用により本明細書中に取り込む。
一般的に、EG型成分の組合せが単一EG成分に比較して綿含有布及び綿非含有布への強化の付与並びに減少された強度損失の付与において協力的応答を与えることができることが企図される。
他方において、単一EG型成分は、より安定であり、又はpHSのレンジについてより広い活性スペクトルをもつことができる。従って、本発明において使用されるEG型成分は、単一EG型成分又は2以上のEG型成分の組合せのいずれかであることができる。成分の組合せが使用されるとき、そのEG型成分は、同一又は異なる真菌源から誘導されることができる。
EG型成分がバクテリアにより誘導されたセルラーゼから誘導されることができることも企図される。
“エクソ−セロビオヒドロラーゼ型(“CBH型”)成分(Exo-cellobiohydrolase type(“CBH type”)components)”とは、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのCBH I及び/又はCBH IIセルラーゼ成分と同様の繊維活性特性を示すような真菌セルラーゼ成分をいう。これに関して、(先に定めたような)EG型セルラーゼ成分の非存在中で使用されるとき、トリコデルマ・ロンジブラチアタム単独のCBH I及びCBH II成分は、そのように処理された綿含有布に、感触、外観、着色強化、及び/又はストーン・ウォッシュ外観における有意な強化のいずれをもを付与しない。従って、EG型成分との組合せにおいて使用されるとき、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのCBH I成分は、綿含有布に強化された強度損失を付与する。
従って、CBH I型成分とCBH II型成分とは、それぞれ、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのCBH IとCBH II成分と同様の繊維活性特性を示すような真菌セルラーゼ成分をいう。
上述のように、CBH I型成分については、これは、EG型成分の存在中で使用されるとき、綿含有布の強度損失を強化する特性を含む。好ましい態様においては、そしてEG型成分との組合せにおいて使用されるとき、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのCBH I型成分は、増分のクリーニング利益を付与することができる。さらに、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのCBH I成分は、単独において又はEG型成分との組合せにおいて使用されるとき、増分の柔らかさ利益を付与することができる。
このようなエクソ−セロビオヒドロラーゼ型成分は、活性テスト、例えばトリコデルマ・ロンジブラチアタムからのCBH IとCBH IIを特徴付けるために使用されるようなものを使用して、エクソセロビオヒドロラーゼとして伝統的に分離される成分を、たぶん含むことができないであろう。例えば、このような成分(a)は、セロビオースにより競合的に阻害され(Ki約1mM);(b)は、いずれかの有意な程度まで置換セルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、等を加水分解することができず;そして(c)は、リン酸膨潤セルロースを加水分解し、そしてより小さな程度に高結晶性セルロースを加水分解する。他方において、このような活性テストによるCBH成分として特徴付けられるいくつかの真菌セルラーゼ成分が、そのセルラーゼ組成物単独で使用されるとき最小の強度損失をもつ綿含有布に、改善された感触、外観、柔らかさ、着色強化、及び/又はストーン・ウォッシュ外観を付与するであろうと信じられている。従って、本発明における目的をのために、EG型成分としてこのようなエクソ−セロビオヒドロラーゼを定義することがより正確であると信じられる。なぜなら、これらの成分が、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのエンドヌクレアーゼ成分により所有されるように繊維用途において同様の機能的特性を有するからである。
1以上のEG型成分及び1以上のCBH I型成分をもつ真菌セルラーゼ組成物であって、そのセルラーゼ組合物が5:1を上廻る全EG型成分対全CBH I型成分のタンパク質重量比をもつものを、精製技術により得ることができる。特に、その完全セルラーゼ系を、好適なpHにおけるイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティー・クロマトグラフィー、サイズ排除、等を含む上記文献においてよく頒布されたよく認識された分離技術により実質的に純粋な成分に精製することができる。例えば、イオン交換クロマトグラフィー(普通にはアニオン交換クロマトグラフィー)においては、pHグラジエント、又は塩グラジエント、又はpHと塩の両方のグラジエントによる溶出により上記セルラーゼ成分を分離することができる。精製後、所望の成分の必要量が組換えられることができる。
EG型成分対CBH I型セルラーゼ成分の必要比をもつセルラーゼ成分の混合物はそれらの成分の単離及び組換え以外の手段により製造されることができることも企図される。これに関して、EG対CBH成分の比較的高い比を与えるために天然の微生物についての発酵条件を修飾することができる。同様に、組換え技術は、EG型成分対CBH型成分の比較的高い比をもつセルラーゼ成分の混合物を作り出すためにEG型成分対CBH型成分の相対比を交換することができる。
上記に関して、本明細書中に記載するセルラーゼ組成物の好ましい製造方法は、1以上の酸性EG型成分を過剰生産するように微生物を遺伝子修飾することによる。同様に、1以上のCBH型成分を生産することができないように微生物を遺伝子修飾することもでき、その方法はいずれの外因性タンパク質も生産しない。このような場合においては、このように修飾された微生物により生産されたセルラーゼの必要量は、1以上のEG型成分及び1以上のCBH I型成分を含むセルラーゼ組成物であってそのセルラーゼ組成物が5:1を上廻る全EG型成分対全CBH I型成分のタンパク質重量比をもつものを提供するために天然の微生物により生産されるセルラーゼ(すなわち、CBH I型成分を含むもの)と併合されることができるであろう。
上記に関して、1990年10年5日に出願された米国逐次番号第07/593,919号であって全体として引用により本明細書に取り込むものは、1以上のCBH成分を生産することができず、そして/又は1以上のEG成分を過剰生産することができないようにトリコデルマ・ロンジブラチアタムを遺伝子操作する方法について開示している。その上、その出願の方法は、外因性タンパク質のいずれをも生産しないトリコデルマ・ロンジブラチアタムを作り出した。同様に、Miller et al.,“Direct and Indirect Gene Replacement in Aspergillus nidulans”, Molecular and Cellular Biology, p. 1714-1721(1985)は、相同DNAの線状断片を用いたDNA仲介形質転換によりアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)内での遺伝子の欠失方法について開示している。Miller et al.,の方法は、外因性タンパク質のいずれをも生産せずに遺伝子欠失を達成するであろう。
上記の視点において、CBH I型及び/又はCBH II型セルラーゼ成分の生産に責任を負う遺伝子の欠失は、そのセルラーゼ組成物中に存在するEG成分の量を強化する効果をもつであろう。
真菌セルラーゼ組成物が低濃度のCBH I型成分を生産する真菌源から本発明において使用されることができることもさらに企図される。
さらに、慣用手順により精製された1以上のCBH I型成分の必要量が、EG型成分対CBH I型成分の特定化を達成するようにCBH I型成分を生産することができないように遺伝子操作された微生物から生産されたセルラーゼ組成物に添加されることができる。すなわち、EG型成分に富むように全CBH型成分を含まないセルラーゼ組成物が、精製されたCBH I型成分(又はCBH II型成分)の上記量を上記セルラーゼ組成物に単に添加することにより2重量パーセントのCBH I型成分(又はCBH II型成分)を含むように配合されることができる。
“β−グルコシダーゼ(BG)成分”とは、BG活性を示すようなセルラーゼの成分をいい;すなわちこのような成分がセロビオース及び他の可溶性セロオリゴ糖(“セロビオース(cellobiose)”)の非還元末端から作用し、そして唯一の生成物としてグルコースを与えるであろうということをいう。BG成分は、セルロースポリマー上に吸着せず又はそれと反応しない。さらに、このようなBG成分は、グルコースにより競合的に阻害される(Ki約1mM)。厳密に言えば、BG成分は文言上セルラーゼではない。なぜなら、それらがセルロースを分解することができないからである。しかしながら、このようなBG成分は上記セルラーゼ系の定義内に含まれる。なぜならこれら酵素が、CBH成分とEG成分の併合作用により作り出される阻害性セルロース分解生成物(特にセロビオース)をさらに分解することによりセルロースの全体としての分解を容易にするからである。BG成分の存在を伴わずに、結晶性セルロースの中程度又は僅かな加水分解が生じるであろう。BG成分は、アリール基質、例えばp−ニトロフェノールβ−D−グルコシド(PNPG)についてしばしば特徴付けられ、そしてこれ故、しばしばアリール−グルコシダーゼといわれる。
すべてのグルコシダーゼがBG成分ではなく、その中のいくつかはセロビオースを加水分解しないということに注意しなければならない。
本セルラーゼ組成物中のBG成分の存在又は非存在がその組成物中のいずれかのCBH成分の活性を調節するために使用されることができることが企図される。特に、セロビオースはCBH成分によりセルラーゼ分解の間に作られるので、そして高濃度のセロビオースがCBH活性を阻害することが知られているので、そしてさらにこのようなセロビオースがBG成分によりグルコースに加水分解されるので、セルラーゼ組成物中のBG成分の非存在は、セロビオースの濃度が阻害レベルに達するときにCBH活性を“停止(Turn-off)される”であろう。1以上の添加物(例えばセロビオース、グルコース、等)をそのセルラーゼ組成物に添加して、CBH I型活性全て並びに他のCBH活性のいくつか又は全てを、直接的又は間接的に、有効に“停止させる”ことができることも企図される。このような添加物が使用されるとき、得られる組成物は、使用される添加物の量が、本明細書中に記載するセルラーゼ組成物を用いて達成されるCBH I型活性レベルに等しいか又はそれ未満のレベルにそのCBH I型活性を低下させるのに十分である場合に、本発明における使用に好適な組成物であると考えられる。
他方において、BG成分の添加量を含むセルラーゼ組成物は、そのCBH成分により生成されたセロビオースのレベルが添加されたBG成分の非存在中上記のような全体的な加水分解を制限するようになる場合に、セルロースの全体的な加水分解を増加させることができる。
セルラーゼ組成物中のBG成分の量を増加させるか又は減少させるかのいずれかの方法は、アトーニ−書類番号第010055-056号として1990年12月10日に出願され、“SACCHARIFICATION OF CELLULOSE BY CLONING AND AMPLIFICATION OF THE β−GLUCOSIDASE GENE OF TRICHODERMA REESEI”と名称を付けられた米国逐次番号第07/625,140号中に開示されている(この出願を全体として引用により本明細書中に取り込む)。
真菌セルラーゼは1を上廻るBG成分を含むことができる。異なる成分は一般的に、イオン交換クロマトグラフィー等を介してそれらの分離を許容する異なる等電点をもつ。単一BG成分又はEG成分の組合せのいずれかを使用することができる。
繊維処理溶液中で使用されるとき、BG成分は、一般的に、そのセルラーゼ組成物中にあるいずれかのCBH及びEG成分のセロビオースによる阻害を妨ぐのに十分な量において添加される。添加されるBG成分の量は、当業者により容易に測定されることができる繊維組成物中で生産されたセロビオースの量に依存する。しかしながら、使用されるとき、セルラーゼ組成物中に存在するいずれかのCBH型成分に対するBG成分の重量パーセントは、好ましくは約0.2〜約10重量パーセント、そしてより好ましくは約0.5〜約5重量パーセントである。
本発明において使用される真菌セルラーゼ組成物を製造するための使用に好ましい真菌セルラーゼは、トリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・コニンジ(Trichoderma koningii)、ペンシラム種(Pencillum sp.)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、等から得られるものである。特定の真菌セルラーゼは商業的に入手可能であり、すなわち、CELLUCAST(Novo Industry, Copenhagen, Denmarkから入手可能)、PAPIDASE(Gist Brocades, N. V., Delft, Hollandから入手可能)、CYTOLASE 123(Genencor International, South San Framcisco, Californiaから入手可能)、等である。他の真菌セルラーゼ本分野において認知された発酵及び単離手順により容易に単離されることができる。
用語“バッファー”とは、綿含有布のセルラーゼ処理の間の不所望のpHシフトに付してそのセルラーゼ溶液を安定化させる本分野において認知された酸/塩基試薬をいう。これに関して、セルラーゼ活性がpH依存性であることは本分野において認識されている。すなわち、特定のセルラーゼ組成物は所定のpHレンジ内にセルロース分解活性を示すであろうし、最適セルロース分解活性はこの定められたレンジの小部分内に一般的に見られる。セルロース分解活性について特定のpHレンジはそれぞれのセルラーゼ組成物に従って変化するであろう。上述のように、ほとんどのセルラーゼは、酸性〜中性pH特性内にセルロース分解活性を示すであろうけれども、アルカリ性pH特性内でセルロース分解活性を示すいくつかのセルラーゼ組成物がある。
綿含有布と綿非含有セルロース系布のセルラーゼ処理の間、最初のセルラーゼ溶液のpHは、セルラーゼ活性に必要なレンジの外側にあることができる。さらに、そのpHが、例えばその溶液のpHを変化させる反応生成物の生成により、その綿含有又は綿非含有セルロース系布の処理の間に変化することもできる。いずれの事件においても、非緩衝化セルラーゼ溶液のpHは、セルロース分解活性に必要なレンジの外側にあることができるであろう。例えば、酸性活性特定をもつセルラーゼが中性の非緩衝化水性溶液中で使用される場合、その溶液のpHは、より低いセルロース分解活性をもたらすであろうし、そしてたぶんセルロース分解活性の中止をもたらすであろう。他方において、中性非緩衝化水性溶液中の中性又はアルカリ性pH特定をもつセルラーゼの使用は、最初に有意なセルロース分解活性を提供しなければならない。
上記の視点においては、セルラーゼ溶液のpHは、セルロース分解活性に必要なレンジ内で維持されなければならない。これを達成する1の手段は、その系のpHを単に維持し、そして酸又は塩基のいずれかの添加により適宜そのpHを調整することによる。しかしながら、好ましい態様においては、その系のpHは好ましくは、そのセルラーゼ溶液中のバッファーの使用により所望のpHレンジ内に維持される。一般的に、その中で使用されるセルラーゼが活性を示すレンジ内にその溶液のpHを維持するのに十分な量のバッファーが使用される。異なるセルラーゼ組成物がセルラーゼ活性を示すための異なるpHレンジをもつ限り、使用される特定のバッファーは、その使用される特定のセルラーゼ組成物との関係において選定される。使用されるセルラーゼ組成物との使用のために選ばれたバッファーは、使用されるセルラーゼ組成物のためのpHレンジ及び最適pH並びにそのセルラーゼ溶液のpHを考慮して当業者により容易に決定されることができる。好ましくは、使用されるバッファーは、セルラーゼ組成物と相溶性であり、かつ、最適活性のために必要なpHレンジ内でそのセルラーゼ溶液のpHを維持するであろうものである。好適なバッファーは、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、リン酸2ナトリウム、及びいずれかの他の本分野において認知されたバッファーを含む。
綿含有布の引っ張り強さは、互いに直角にあるたて糸とよこ糸の方向において計測されることができる。従って、用語“たて糸引っ張り強さ(warp tensile strength)”とは、本明細書中に使用するとき、綿含有布の長さに沿って計測されるときの綿含有布の引っ張り強さをいい、一方、用語“よこ糸引っ張り強さ(fill tensile strength)”とは、綿含有布の幅を横切って計測されるときの綿含有布の引っ張り強さをいう。得られるセルラーゼ溶液により処理された綿含有布の引っ張り強さは、その処理の強度減少効果を測定するためにセルラーゼ溶液による処理に先立つその引っ張り強さと比較される。引っ張り強さがかなり減少される場合、得られる綿含有布は容易に裂け、そして/又は穴を形成するであろう。従って、処理前の引っ張り強さの少なくとも約50%である処理後の(たて糸とよこ糸の両方の)引っ張り強さを維持することが望ましい。
綿含有布の引っ張り強さは、ASTM D1682テスト方法論に従って容易に行われる。このような布の引っ張り強さをテストするのに好適な装置は、Scottテスター又はInstronテスターを含み、この両方が商業的に入手可能である。セルラーゼ溶液により処理された綿含有布の引っ張り強さのテストにおいては、処理後及びテスト前の布の縮みを妨ぐことに注意しなければならない。このような縮みは、誤った引っ張り強さのデータをもたらすであろう。
綿含有布及び綿非含有セルロース系布に対する強化は、これまでに使用されたような方法により達成される。例えば、改善された感触をもつ綿含有布は、日本国特許出願第58-36217号及び第58-54032号並びにOhishi et al.,“Reformation of Cotton Fabric by Cellulase”及びJTN 1988年12月ジャーナル記事“What's New -- Weight Loss Treatment to Soften the Touch of Cotton Fabric”に従って達成されることができる。これらの文献のそれぞれの技術を引用により本明細書中に取り込む。
同様に、綿含有布と綿非含有セルロース系布の感触と外観の両方を改善するための方法は、その溶液が撹拌され、そして綿含有又は綿非含有セルロース系布に対するセルラーゼ溶液のカスケード効果が達成されるような条件下でセルラーゼを含む水性溶液とその布を接触させることを含む。このような方法は、そのように処理された綿含有布と綿非含有セルロース系布の改善された感触と外観をもたらし、そして1990年10月16日に出願された米国逐次番号第07/598,506号中に記載されており、そしてこれを全体として引用により本明細書中に取り込む。
綿含有編物の強化方法は、International Textile Bulletin, Dyeing/Printing/Finishing, page 5 et seq., 2ndQuarter, 1990(これを引用により本明細書中に取り込む。)中に記載されている。
同様に、綿含有デニムにストーン・ウォッシュ外観を付与する方法は、米国特許第4,832,864号(これを全体として引用により本明細書中に取り込む。)中に記載されている。
セルラーゼ組成物による処理により綿含有布を強化する他の方法は本分野に公知である。好ましくは、このような方法においては、セルラーゼによる綿含有布の処理は、その綿含有布を仕上げする前に行われる。
上述のように、本発明は、本発明が、その処理された布において強度損失を最小化する特定のセルラーゼ組成物を使用する限り、従事技術を上廻る、綿含有布の改良方法である。本発明において使用されるセルラーゼ組成物は、1以上のEG型成分及び1以上のCBH型成分を含んで成る真菌セルラーゼ組成物であって、その組成物が5:1を上廻る全EG型成分対全CBH型成分の重量比をもつものである。
さらに、本明細書中に記載するセルラーゼ組成物の使用は、応力を加えられた綿含有布と綿非含有セルロース系布の布/色の強化をももたらす。特に、綿含有布と綿非含有布の製造の間、その布は、応力を加えられるようになることができ、そしてそのように応力が加えられるとき、それは破壊され、かつ、無秩序な繊維を含むであろう。このような繊維は、その布にすりきれた、かつ、曇った外観を有害に付与する。しかしながら、本発明に係る方法において処理されるとき、そのように応力の加えられた布は布/色の強化を受ける。これは、応力を加えられるようになる前の布の外観を回復させる効果をもつ破壊され、かつ、無秩序な繊維のいくつかを除去することにより生じると信じられている。
さらに、顔料型染色布(例えば、デニム)と共に本明細書中に記載するセルラーゼ組成物を使用することにより、これらのセルラーゼ組成物は、綿含有と綿非含有セルロース系布上への染料のより少ない再付着を引き起こすであろうということが企図される。これらの再付着特定が他の成分に比較して1以上の特定のEG型成分について強化されることができることも企図される。
先に記載された真菌セルラーゼ組成物は、セルラーゼ及び、例えばバッファー、界面活性剤、精練剤(scouring agent)、等を含む他の任意的成分を含む水性溶液中で使用される。本溶液中で使用されるセルラーゼ組成物の濃度は、一般的にその意図された目的に十分な濃度である。すなわち、セルラーゼ組成物の量は、綿含有布に所望の強化を提供するために使用される。使用されるセルラーゼ組成物の量は、使用される装置、使用される工程パラメーター(そのセルラーゼ溶液の温度、そのセルラーゼ溶液への暴露時間)、セルラーゼ活性(例えば、セルラーゼ溶液はより小さな活性のセルラーゼ組成物に比較してより大きい活性のセルラーゼ組成物のより低濃度を必要とするであろう。)、等にも依存する。セルラーゼ組成物の正確な濃度は、上記の要因並びに所望の効果に基づいて当業者により容易に決定されることができる。好ましくは、本発明において使用されるセルラーゼ溶液中のセルラーゼ組成物の濃度は、約0.01グラム/セルラーゼ溶液1リッター〜約10.0グラム/セルラーゼ溶液1リッター;そしてより好ましくは、約0.05グラム/セルラーゼ溶液1リッター〜約2グラム/セルラーゼ溶液1リッターである(先に掲げたセルラーゼ濃度は、全タンパク質の重量についてのものである。)
バッファーをセルラーゼ溶液中に使用するとき、水性セルラーゼ溶液中のバッファーの濃度は、その中で使用されるセルラーゼが活性を示すレンジ内の溶液のpHを維持するのに十分なものであり、それは、次に、使用されるセルラーゼの性質に依存する。使用されるバッファーの正確な濃度は、当業者が容易に考慮に入れることができるいくつかの要因に依存するであろう。例えば、好ましい態様においては、そのバッファー並びにバッファー濃度は、最適なセルラーゼ活性に必要なpHレンジ内にそのセルラーゼ溶液のpHを維持するように選ばれる。一般的に、セルラーゼ溶液中のバッファー濃度は、約0.005N以上である。好ましくはセルラーゼ溶液中のバッファーの濃度は、約0.01〜約0.5N、そしてより好ましくは、約0.05〜約0.15Nである。セルラーゼ溶液中の増加したバッファー濃度が処理された布の引っ張り強さの損失の割合を強化することができることが可能である。
セルラーゼとバッファーに加えて、セルラーゼ溶液は場合により、少量の界面活性剤、すなわち、約2重量パーセント未満、そして好ましくは約0.01〜約2重量パーセントの界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤は、例えば、アニオン性、非イオン性及び両性界面活性剤を含む、セルラーゼとその布と適合性のいずれかの界面活性剤を含む。
本発明における使用に好適にアニオン性界面活性剤は、線状又は分枝アルキルベンゼンスルホネート;線状又は分枝アルキル基又はアルケニル基をもつアルキル又はアルケニル・エーテル界面活性剤;アルキル又はアルケニル・スルフェート;オレフィンスルホネート;アルカンスルホネート、等を含む。アニオン界面活性剤に好適な相手イオンは、アルカリ金属イオン、例えばナトリウムとカリウム;アルカリ土類金属イオン、例えばカルシウムとマグネシウム;アンモニウム・イオン;及び炭素数2又は3の、1〜3のアルカノール基をもつアルカノールアミンを含む。
両性界面活性剤(Ampholytic surtactants)は、スルホン酸第4アンモニウム塩、ベタイン型(betaine-type)両性界面活性剤、等を含む。このような両性界面活性剤は、同一分子内に正と負の両方の電荷をもつ。
非イオン界面活性剤は、一般的に、ポリオキシアルキレン・エーテル、並びにその高級脂肪酸アルカノールアミド又はアルキレン・オキシド付加物、脂肪酸グリセリン・モノエステル、等を含んで成る。界面活性剤の混合物を使用することもできる。
本発明において使用する、液化、すなわち、セルラーゼ溶液の重量対の重量の比は、一般的に、綿含有又は綿非含有セルロース系布において所望の強化を達成するのに十分な量であり、そして使用される方法及び達成されるべき強化に依存する。好ましくは、この液化は一般的に約0.1:1以上、そしてより好ましくは約1:1以上、そしてさらにより好ましくは約10:1以上である。約50:1以上の液化の使用は経済的な視点から通常好ましくない。
セルラーゼ処理のための反応温度は、2つの競合要因に支配される。第一に、より高い温度は、一般的に強化された反応速度に対応し、すなわちより速い反応は、低温において必要とされる反応時間に比較して減少された反応時間を許容する。従って、反応温度は一般的に少なくとも約30℃以上である。第二に、セルラーゼは、使用されるセルラーゼの性質に依存する所定の反応温度を超えて活性を失うタンパク質である。従って、その反応温度があまりに高くされる場合、そのセルロース分解活性は、そのセルラーゼの変性の結果として失われる。結果として、本発明において使用される最大反応温度は一般的に約65℃である。上記の視点において、反応温度は一般的に約30℃〜約65℃;好ましくは約35℃〜約60℃;そしてより好ましくは約35℃〜約50℃である。
反応時間は一般的に、約0.1時間〜約24時間、そして好ましくは約0.25時間〜約5時間である。
このようなセルラーゼ組成物を用いて先に記載した方法において処理された綿含有布は、完全真菌セルラーゼ組成物により同一のやり方で処理された同一の綿含有布に比較して減少された強度損失を有する。このようなセルラーゼ組成物を用いて上記の方法により処理された綿非含有セルロース系布も、完全真菌セルラーゼ組成物により同一のやり方で同一の綿非含有セルロース系布に比較して減少された強度損失を有するであろうことが企図される。
好ましい態様においては、濃縮物を、本明細書中に記載する方法において使用のために製造することができる。このような濃縮物は、好ましくは、水性溶液中、先に記載したセルラーゼ組成物、バッファー及び界面活性剤の濃縮量を含むであろう。そのように配合されるとき、濃縮物は、これらの添加物の必要な濃度をもつセルラーゼ溶液を迅速且つ正確に製造するように容易に水により希釈されることができる。好ましくは、このような濃縮物は、約0.1〜約20重量パーセントの先に記載したセルラーゼ組成物(タンパク質);約10〜約50重量パーセントのバッファー;約10〜約50重量パーセントの界面活性剤;及び約0〜80重量パーセントの水を含んで成るであろう。水性濃縮物が配合されるとき、これらの濃縮物は、そのセルラーゼ溶液中その成分の必要な濃度に達するように約2〜約200の係数により希釈されることができる。自明であろうが、このような濃縮物は、そのセルラーゼ溶液の容易な配合を許容し、並びにそれが使用されるであろう位置へのその濃縮物の実行可能な移送を許容する。上記のセルラーゼ組成物は、液体希釈物、粒状物、エマルジョン、ゲル、ペースト、等のいずれかにおける濃縮物に添加されることができる。このような形態は当業者によく知られている。
固体セルラーゼ濃縮物が使用されるとき、このセルラーゼ組成物は一般的に粒状物、粉末、凝集物、等である。粒状物が使用されるとき、これらの粒状物は好ましくは、セルラーゼ保護剤を含むように配合される。例えば、アトーニ−書類番号第010055-073号として、“GRANULES CONTAINING BOTH AN ENZYME AND AN ENZYME PROTECTING AGENT AND DETERGENT COMPOSITIONS CONTAINING SUCH GRANULES”と名称付けされた、1991年1月17日に出願された米国逐次番号第07/642,669号(この出願を全体として引用により本明細書中に取り込まれた。)を参照のこと。同様に、粒状物は、洗浄媒質中への粒状物の溶解速度を減少させるための材料を含むように配合されることができる。このような材料と粒状物は、アトーニ−書類番号GCS-171-US1として、そして“GRANULAR COMPOSITIONS”と名称付けされた1991年1月17日に出願された米国逐次番号第07/642,596号(この出願を引用により全体として本明細書中に取り込む。)中に開示されている。
本明細書中に記載するセルラーゼ組成物が、液体又はスプレーのいずれかとして前洗浄において、そして前浸漬においてさらに使用されることができることが企図される。さらに、本明細書中に記載するセルラーゼ組成物が、布の色及び外観の強化に好適な独立組成物として家庭において使用されることもできることが企図される。例えば米国特許第4,738,682号(これを全体として引用により本明細書中に取り込む。)を参照のこと。
以下の実施例は、本発明を説明するために提供され、そしていずれの方法によるかを問わず本発明の範囲を限定するものと解されるべきではない。
実施例
実施例1〜12は、1以上のセルラーゼ成分を生産することができないように又は特定のセルラーゼ成分を過剰生産するように遺伝子操作されたトリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)の作出について実証する。
実施例1
トリコデルマ・ロンジブラチアタムのpyr4突然変異体についての選択
上記pyr4遺伝子は、オロチジン−5′−モノホスフェート・デカルボキシラーゼ、ウリジンの生合成に必要な酵素をコードする。毒性阻害剤5−フルオロオロチン酸(FOA)は、野生型細胞によりウリジンに取り込まれ、そしてそれ故それらの細胞に毒性である。しかしながら、pyr4遺伝子内に欠陥がある細胞は、この阻害剤に抵抗性であるが、成長のためにウリジンが必要である。それ故、FOAを用いてpyr4突然変異体株について選択することができる。実際に、トリコデルマ・ロンジブラチアタム株RL-P37(Sheir-Neiss G-and Montenecourt, B. S., 1984, Appl. Microbiol. Biotechnol. 20:46-53)の胞子を、2mg/mlのウリジンと1.2mg/mlのFOAを含む固化培地の表面上に拡げた。自生FOA-耐性コロニーが3〜4日以内に現れ、そしてその後に、成長のためにウリジンを必要とするようなFOA-耐性突然変異体を同定することができた。欠陥pyr4遺伝子を特別にもっていた突然変異体を同定するために、プロトプラストを作り、そして野生型pyr4遺伝子を含むプラスミドにより形質転換させた(実施例3と4を参照のこと。)。形質転換後、プロトプラストをウリジンを欠いた培地上にプレートした。形質転換されたコロニーのその後の成長は、プラスミド担持pyr4遺伝子による欠陥pyr4遺伝子の相補を立証した。
実施例2
CBH I欠失ベクターの調製
CBH Iタンパク質をコードするcbh1遺伝子を、公知のプローブ合成法(Shoemaker et al., “Molecular Cloning of Exo-cellobiohydrolase I Derived from Trichoderma longibrachitatum strain L27”, Bio/Technology , p. 691(1983))を用いてこの遺伝子のための公開された配列に基づいてデザインされたオリゴヌクレオチド・プローブによるハイブリダイゼーションにより株RL-P37を使用してゲノムDNAからクローン化した。このcbh1遺伝子は6.5kb Pst I断片上にあり、そして(Pharmacia Inc., Piscataway, NJから購入した)Pst I切断pUC4K内に挿入してこのベクターのKanr遺伝子を置換した。得られたプラスミド、pUC4K::cbh Iを次にHind IIIにより切断し、そして約6kbのより大きな断片を単離し、そしてライゲートしてpUC4K::cbh IΔH/Hを得た。この手順は、cbh1コード配列の全体及びその元のPst I断片のいずれかの側からのフランキングDNAの約1.2kb上流及び1.5kb下流を除去する。
トリコデルマ・ロンジブラチアタムpyr4遺伝子を、Sambrook et al., 1989,“Molecular Cloning, A Laboratory Manual”, 2ndEd., Cold Spring Harbor Laboratory Pressの方法に従ってpUC18内のゲノムDNAの6.5kb断片としてクローン化した。プラスミドpUC4K::cbh IΔH/HをHind IIIにより切断し、そしてその両端をウシ腸アルカリ性ホスファターゼにより脱リン酸化した。この末端が脱リン酸化されたDNAをトリコデルマ・ロンジブラチアタムpyr4遺伝子を含む6.5kbのHind III断片とライゲートしてpΔCBH I pyr4を得た。図1を参照のこと。
実施例3
プロトプラストの単離
菌糸体を、500mlフラスコ内の100mlのYEG(0.5%酵母エキス、2%グルコース)を約5×107のトリコデルマ・ロンジブラチアタムGC胞子(pyr4突然変異体株)により接種することにより得た。次にこのフラスコを37℃において振とうしながら約16時間インキュベートした。菌糸体を2,750xgにおける遠心分離により収穫した。収穫された菌糸体をさらに1.2Mソルビトール溶液中で洗浄し、そして5mg/ml NovozymR234;5mg/ml MgSO4・7H2O;0.5mg/mlウシ血清アルブミン;1.2Mソルビトールを含む40mlのNovozymR234溶液(これは、Novo Biolabs, Danbury ct.からの、1,3−アルファーグルカナーゼ、1,3−ベーターグルカナーゼ、ラミナリナーゼ、キシラナーゼ、キチナーゼ及びプロテアーゼを含む多成分酵素系のための商品名である。)中に再懸濁させた。プロトプラストを、Miracloth(Calbiochem. Corp)を通しての濾過により細胞死骸から取り出し、そして2,000xgにおける遠心分離により採取した。このプロトプラストを1.2Mソルビトール中で3回、そして1.2Mソルビトール、50mM CaCl2中で1回洗浄し、遠心分離し、そして再懸濁させた。プロトプラストを最終的に、1.2Mソルビトール、50mM CaCl2の1ml当り2×108プロトプラストの密度において再懸濁させた。
実施例4
真菌プロトプラストの形質転換
実施例3において調製した200μlのプロトプラスト懸濁液を、TEバッファー(10mM Tris, pH7.4;1mM EDTA)中の(実施例2において調製した)EcoRI消化pΔCBH I pyr4の20μl、及び25%PEG 4000, 0.6M KCl及び50mM CaCl2を含むポリエチレン・グリコール(PEG)溶液50μlに添加した。この混合物を氷上で20分間インキュベートした。このインキュベーション期間の後、20mlの上記同定PEG溶液をそれに添加し、その溶液をさらに混合し、そして室温において5分間インキュベートした。この第二のインキュベーションの後、1.2Mソルビトールと50mM CaCl2を含む4.0mlの溶液をそれに添加し、そしてこの溶液をさらに混合した。このプロトプラスト溶液を次に追加の1%グルコース、1.2Mソルビトール及び1%アガロースを含むVogel's Medium N(リッター当り、3グラムのクエン酸ナトリウム、5グラムのKH2PO4、2グラムのNH4NO3,0.2グラムのMgSO4・7H2O,0.1グラムのCaCl2・2H2O,5μgのα−ビオチン、5mgのクエン酸、5mgのZnSO4・7H2O,1mgのFe(NH4)2・6H2O,0.25mgのCnSO4・5H2O,50μgのMnSO4・4H2O)の溶けたアリコートに直ちに添加した。プロトプラスト/培地混合物を次に上記と同一のVogel's培地を含む固体培地上に注いだ。ウリジンはその培地中に全く存在せず、そしてそれ故、形質転換されたコロニーだけが、pΔCBH I pyr4中に存在する野生型pyr4遺伝子による株GC69のpyr4突然変異体の相補の結果として成長することができた。これらのコロニーはその後、添加物として1%グルコースを含む固体Vogel's培地N上に、移され、そして安定した形質転換体が精製された。
実施例5
形質転換体の分析
DNAを、実施例3において得られた形質転換体からそれらが1%グルコースを含む液体Vogel's培地N中で増殖された後に単離した。これらの形質転換体DNAサンプルをさらにPst I制限酵素により切断し、そしてアガロース・ゲル電気泳動に供した。このゲルを次にさらにNytran膜フィルター上にブロットし、そして32PラベルされたpΔCBH I pyr4プローブとハイブリダイズさせた。このプローブは、6.5kb Pst I断片としての生来のcbh1遺伝子、生来のpyr4遺伝子、及び形質転換性DNA断片から誘導されたいずれかのDNA配列を同定するように選ばれた。図2は、トリコデルマ・ロンジブラチアタム染色体の中の1上のcbh1座におけるpΔCBH I pyr4からのより大きなEcoRI断片の組み込みによるトリコデルマ・ロンジブラチアタムcbh1遺伝子の欠失を概説する。
上記ハイブリダイゼーションからのバンドをオートラジオグラフィーを介して可視化した。オートラジオグラフの結果を図3中に示す。5つのサンプルを上記のように走らせた、よってサンプルA,B,C,D、及びE。レーンEは、非形質転換株GC69であり、そして本分析において対照として使用した。レーンA−Dは、上記の方法から得られた形質転換体を表す。オートラジオグラフの側上の数は、分子量マーカーのサイズを表す。このオートラジオグラフから分かるように、レーンDは6.5kb CBH Iバンドを含まず、このことは、この遺伝子がその形質転換体内で完全に欠失していたことを示している。このcbh1欠失株を、p37PΔCBH Iという。分析された他の形質転換体は、非形質転換対照株と同じようである。pΔCBH I pyr4からの線状断片が生来のpyr4座における2重交差により組み込まれて遺伝子置換事件を与えたために、これが生じたと推定される。
実施例6
実施例5におけるものと同一の手順を本実施例において使用した。但し、使用したプローブを、32PラベルされたpInt CBH Iプローブに変更した。このプローブは、pUC4::cbh1ΔH/H内で欠失された領域内にcbh1座からの2kb Bgl II断片を含むpUC-型プラスミドである。対照サンプルAであって非形質転換株GC69であるもの及び形質転換体P37PΔCBH I、サンプルBを含む2つのサンプルを本実施例において走らせた。図4から分かるように、6.5kbにおけるバンドにより示されるように、サンプルAはcbh1遺伝子を含むが;形質転換体、サンプルBはこの6.5kbバンドを含まず、そしてそれ故cbh1遺伝子を含まない。
実施例7
株P37PΔCBH Iによるタンパク質分泌
作出されたP37PΔCBH I株からの胞子を、1%グルコース、0.14%(NH4)2SO4,0.2%KH2PO4,0.03%MgSO4,0.03%尿素、0.75%バクトトリプトン、0.05%Tween 80,0.000016%CuSO4・5H2O,0.001%FeSO4・7H2O,0.000128%ZnSO4・7H2O,0.0000054%Na2MoO4・2H2O,0.0000007%MnCl・4H2Oを含むトリコデルマ(Trichoderma)基本培地50mlに接種した。この培地を振とうしながら37℃において48時間250mlフラスコ内でインキュベートした。得られた菌糸体をMiracloth(Calbio chem Corp.)を通しての濾過により採取し、そして17mMリン酸カリウムにより2又は3回洗浄した。この菌糸体を、1mMソフォロースを含む17mMリン酸カリウム中に最終的に懸濁させ、そしてさらに振とうしながら30℃において24時間インキュベートした。次にこの上清をこれらの培養物から集め、そしてその菌糸体を廃棄した。この培養上清のサンプルを、製造者の指示に従って、Pharmacia Phastgelシステム及びpH3〜9プレキャスト・ゲルを使用して等電点フォーカシングにより分析した。このゲルを銀ステインにより着色して、そのタンパク質バンドを可視化した。cbh1タンパク質に対応するバンドは図5に示されるように、株P37PΔCBH Iから誘導されたサンプルからは非存在であった。この等電点フォーカシング・ゲルは、トリコデルマ・ロンジブラチアタムの異なる上清カルチャー中にさまざまなタンパク質を示している。レーンAは、部分的に精製されたCBH Iであり;レーンBは非形質転換トリコデルマ・ロンジブラチアタムからの上清であり;レーンCは本本発に係る方法に従って作出されたcbh1遺伝子について欠失された株からの上清である。さまざまなセルラーゼ成分の位置が標識付けされている。CBH Iは全細胞外タンパク質の約50%を構成するので、それは主要な分泌タンパク質であり、そしてそれ故そのゲル上の最も暗いバンドである。この等電点フォーカシング・ゲルは、cbh1について欠失された株内のCBH Iタンパク質の消失をはっきりと示している。
実施例8
pPΔCBH IIの調製
CBH IIタンパク質をコードするT. longibrachiatumcbh2遺伝子はゲノムDNAの4.1kb EcoRIとしてクローン化されており、これを図6中にダイアグラムとして示す(Chen et al., 1987 Biotechnology,5:274-278)。本分野において公知の方法を使用して、プラスミド、pPΔCBH II(図6B)が構築されており、この内で、(CBH II翻訳開始部位の74bp3′における)Hind III部位と(CBH IIの最終コドンの265bp3′における)Cla I部位との間のこのクローンの3.2kbの中央領域がトリコデルマ・ロンジブラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)pyr4遺伝子により除去され、そして置換されている。
EcoRIによるこのプラスミドの消化は、1端におけるcbh2座から0.7kbのフランキングDNAをもつ断片、その他端においてcbh2座から1.7kbのフランキングDNA、そしてその中央においてトリコデルマ・ロンジブラチアタムpyr4遺伝子を解放するであろう。
実施例9
P37PΔCBH Iのpyr4 - 突然変異体の生成
cbh1遺伝子について欠失された形質転換体(P37PΔCBH I)の胞子をFOAを含む培地上に拡げた。この形質転換体のpyr4 -誘導体をその後実施例1の方法を使用して得た。このpyr4 -株をP37PΔCBH I Pyr-26と命名した。
実施例10
cbh1について先に欠失された株内のcbh2遺伝子の欠失
株P37PΔCBH I Pyr-26のプロトプラストを、実施例3と4に概説した方法に従って生成し、そしてEcoRI消化pPΔCBH IIにより形質転換した。
精製され安定した形質転換体を実施例7におけるように振とうフラスコ内で培養し、そしてその培養上清中のタンパク質を等電点フォーカシングにより検査した。1の形質転換体(P37PΔΔCBH67と命名されたもの)であっていずれのCBH IIタンパク質を生産しなかったものを同定した。図5のレーンDは、本発明に係る方法に従って作出されたcbh1cbh2遺伝子の両方について欠失された株からの上清を示す。
DNAを、株P37PΔΔCBH67から抽出し、EcoRIとAsp718により消化し、そしてアガロース・ゲル電気泳動に供した。このゲルからのDNAを、膜フィルターにブロットし、そして32PラベルされたpPΔCBH IIとハイブリダイズした(図7)。図7のレーンAは、非形質転換トリコデルマ・ロンジブラチアタム株からのDNAについて観察されたハイブリダイゼーション・パターンを示す。野生型cbh2遺伝子を含む4.1kbのEcoRI断片を観察した。レーンBは、株P37PΔΔCBH67について観察されたハイブリダイゼーション・パターンを示す。単一の4.1kbバンドが取り除かれ、そして約0.9と3.1kbの2つのバンドにより置換された。これは、pPΔCBH IIからのEcoRI断片の単一コピーがcbh2座に正確に組み込まれている場合に予想されるパターンである。
同一DNAサンプルをEcoRIによっても消化し、そしてサザン分析を上述のように行った。本実施例においては、プローブは32PラベルされたpInt CBH IIであった。このプラスミドは、プラスミドpPΔCBH II内で欠失されたcbh2 DNAのセグメント内からのcbh2遺伝子コード配列の一部を含む。株P37PΔΔCBH67からのDNAとのハイブリダイゼーションは全く見られず、これは、このcbh2遺伝子が欠失されており、そして上記pUCプラスミドから誘導された配列はこの株内に全く存在しなかったことを示している。
実施例11
pEG I pyr4の構築
EG Iをコードするトリコデルマ・ロンジブラチアタムegl I遺伝子は、公開された配列に従って合成されたオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより株RL-P37からのゲノムDNAの4.2kb Hind III断片としてクローン化されている(Penttila et al., 1986, Gene 45:253-263)。3.6kbのHind III−BamHI断片をこのクローンから取り出し、そしてトリコデルマ・ロンジブラチアタムpyr4遺伝子を含む1.6kbのHind III−BamHIとHind IIIにより切断されたpUC-ベースのプラスミドとライゲートしてプラスミドpEG I pyr4を得た(図8)。Hind IIIによるpEG I pyr4の消化は、トリコデルマ・ロンジブラチアタムのゲノムDNA(egl1pyr4遺伝子)だけを含むDNAの断片を解放するであろう。但し、これらの2つの遺伝子間の24塩基対の配列決定された合成DNA及び1端における6塩基対の配列決定された合成DNAを除く(図8参照)。
実施例12
pEG I pyr4を含むトリコデルマ・ロンジブラチアタムの形質転換体
トリコデルマ・ロンジブラチアタム株RutC30(Sheir-Neiss and Montenecourt, 1984, Appl. Microbiol. Biotechnol. 20:46-53)のpyr4欠陥突然変異体を実施例1に概説した方法により得た。この株のプロトプラストを非消化pEG I pyr4により形質転換し、そして安定した形質転換体を精製した。(EP2,EP4,EP5,EP6,EP11と命名された)これらの形質転換体の中の5、ならびに非形質転換RutC30を、250ml振とうフラスコ内の50mlとのEG培地(酵母エキス、5g/l;グルコース、20g/l)中に接種し、そして振とうしながら28℃において2日間培養した。得られた菌糸体を滅菌水により洗浄し、そして50mlのTSF培地(0.05Mクエン酸塩−リン酸塩バッファー、pH5.0;Avicel微晶性セルロース、10g/l;KH2PO4,2.0g/l;(NH4)2SO4,1.4g/l;プロテロース・ペプトン、1.0g/l;尿素、0.3g/l;MgSO4・7H2O,0.3g/l;CaCl2,0.3g/l;FeSO4・7H2O,5.0mg/l;MnSO4・H2O,1.6mg/l;ZnSO4,1.4mg/l;CoCl2,2.0mg/l;0.1%Tween 80)に添加した。これらのカルチャーを28℃においてさらに4日間振とうしながらインキュベートした。上清のサンプルをこれらのカルチャーから採取し、そしてタンパク質の全量及びエンドグルカナーゼの全量を計測するためにデザインされた検定を以下に記載するように行った。
このエンドグルカナーゼ検定は、Remazol Brilliant Blue−カルボキシメチルセルラーゼ(Mega Zyme, North Rocks, NSW, Australiaから得られたRBB-CMC)からの可溶性の、染色されたオリゴ糖の放出に依るものであった。基質を、激しく撹拌しながら2gの乾燥RBB-CMCを80mlの沸騰したての脱イオン水に添加することにより調製した。室温まで冷却したとき、5mlの2M酢酸ナトリウム・バッファー(pH4.8)を添加し、そしてそのpHを4.5に調整した。その容量を最終的に脱イオン水により100mlに調整し、そしてアジ化ナトリウムを0.02%の最終濃度に添加した。トリコデルマ・ロンジブラチアタムの培養上清のアリコート又はブランクとしての0.1M酢酸ナトリウム(10〜20μl)を管内に入れ、250μlの基質を添加し、そしてそれらの管を37℃において30分間インキュベートした。これらの管を氷上に10分間置き、そして1mlの冷沈澱剤(3.3%酢酸ナトリウム、0.4%酢酸亜鉛、HClによるpH5,76%エタノール)を次に添加した。これらの管を撹拌し、そして約13,000xgにおいて3分間の遠心分離前5分間静置さした。吸光度を590-600nmの波長において分光光度計により測定した。
使用したタンパク質検定はPierce, Rockford, Illinois, USAから得た試薬を用いたBCA(ビシンコニン酸)検定であった。標準はウシ血清アルブミン(BSA)であった。BCA試薬を、1部の試薬Bと50部の試薬Aとを混合することにより調製した。1mlのBCA試薬を、50μlの、適当に希釈されたBSA又はトリコデルマ・ロンジブラチアタム培養上清と混合した。インキュベーションは37℃30分間であり、そして吸光度を最終的に、562nmの波長において分光光度計により測定した。
上記の検定の結果を表1中に示す。形質転換体のいくつかは、非形質転換株RutC30に比べて増加量のエンドグルカナーゼ活性を作り出したことは明らかである。非形質転換トリコデルマ・ロンジブラチアタムにより生産されたエンドグルカナーゼ又はエクソ−セロビオヒドロラーゼは、分泌されたタンパク質の全量のそれぞれ約20%と70%を占める。それ故、形質転換体、例えばEP5であって、株RutC30よりも約4倍多くのエンドグルカナーゼを生産するものは、ほとんど等量のエンドグルカナーゼ型とエクソ−セロビオヒドロラーゼ型タンパク質を分泌すると予想されるであろう。
本実施例中に記載する形質転換体は、悪傷のpEG I pyr4を使用して得られ、そしてpUCプラスミドから誘導されたゲノム内に組み込まれたDNA配列を含むであろう。形質転換に先立って、Hind IIIによりpEG I pyr4を消化し、そしてトリコデルマ・ロンジブラチアタムDNAだけを含むより大きなDNA断片を単離することができるであろう。この単離されたDNA断片によるトリコデルマ・ロンジブラチアタムの形質転換は、図8中に示す合成DNAの2つの短い片を除き外因性DNA配列を全く含まず、そしてEG Iを過剰生産する形質転換体の単離を許容するであろう。cbh1遺伝子又はcbh2遺伝子のいずれか、あるいは両方の遺伝子について欠失された株を形質転換するためにpEG I pyr4を使用することもできるであろう。この方法で、EG Iを過剰生産し、そしてエクソ−セロビオヒドロラーゼの限定されたレンジを生産するか又は全く生産するかのいずれかであろう株を構築することができた。
実施例12の方法は、トリコデルマ・ロンジブラチアタム(T. longibrachiatum)により正常に生産される他のエンドグルカナーゼのいずれかを過剰生産するであろうトリコデルマ・ロンジブラチアタムを作出するために使用されることができた。
Figure 0003911009
上記結果は、EG I成分の過剰生産を立証する目的をもって、そして過剰生産の程度の目的をもたずに、提示される。これに関して、過剰生産の程度は、各実験により変動すると予想される。
実施例13は、精製手順を介してのCytolase 123セルラーゼ(リコデルマ・ロンジブラチアタム(richoderma longibrachiatum)から得られ、そしてGenencor International, Inc., South San Francisco, CAから入手可能な完全真菌セルラーゼ組成物)の成分の単離について立証する。
実施例13
Cytolase 123 Cellulaseの、セルラーゼ成分への精製
CYTOLASE 123セルラーゼを以下のやり方で分画した。このセルラーゼ系におけるセルラーゼ成分の正常分布は以下のようなものである:
Figure 0003911009
分画を以下の樹脂を含むカラムを使用して行った:Sigma Chemical Company Cst. Louis, Mo)からのSephadex G-25ゲル濾過樹脂、IBF Bio technics(Savage, Md)からのQA Trisacryl Mアニオン交換樹脂及びSP Triacryl Mカチオン交換樹脂。CYTOLASE 123セルラーゼ、0.5gを、pH6.8における10mMリン酸ナトリウム・バッファーにより3リッターのSephadex G-25ゲル濾過樹脂のカラムを使用して脱塩した。この脱塩溶液を次に20mlのQA Trisacryl Mアニオン交換樹脂のカラム上にロードした。このカラムに結合された画分はCBH IとEG Iを含んでいた。これらの成分を0〜約500mMの塩化ナトリウムを含む水性グラジエントを用いたグラジエント溶出により分離した。このカラムに結合されなかった画分はCBH IIとEG IIを含んでいた。これらの画分を、10mMクエン酸ナトリウム、pH3.3により平衡化したSephadex G-25ゲル濾過樹脂のカラムを用いて脱塩した。この溶液200mlを次に20mlのSP Trisacryl Mカチオン交換樹脂上にロードした。CBH IIとEG IIを、0〜約200mM塩化ナトリウムを含む水性グラジエントを用いて別々に溶出した。
先の実施例13の手順と同様の手順に従えば、それらの成分に分離されることができる他のセルラーゼ系は、(Novo Industry, Copenhagen, Demmarkから入手可能な)CELLVCAST,(Gist Brocades, N. V., Delft, Hollandから入手可能な)PAPIDASE、及びトリコデルマ・コニンジ(Trichoderma koningii)、ペニシラム・エスピー(Penicillum sp.)、等から誘導されたセルラーゼ系を含む。
実施例14
Cytolase 123 CellulaseからのEG IIIの精製
上記実施例13は、Cytolase 123 Cellulaseからのいくつかの成分の単離について立証する。しかしながら、EG IIIは、Cytolase 123 Cellulase中、ひじょうに少量で存在するので、以下の手順を、この成分を単離するために使用した。
A.EG IIIセルラーゼ酵素の大規模抽出
100lの無細胞セルラーゼ濾液を約30℃に加熱した。加熱材料を約4wt/vol%のPEG 8000(ポリエチレン・グリコール、約8000の分子量)と約10wt/vol%の無水硫酸ナトリウムにより調製した。この混合物は2相液体混合物を形成した。これらの相を銀染等電点フォーカシング・ゲルを用いて分析した。分離物を、EG IIIとキシラナーゼについて得た。回収された組成物は、約20〜50重量パーセントのEG IIIを含んでいた。
上記手順に関して、約8000末端の分子量をもつポリエチレン・グリコールの使用は適当な分離を与える;一方、約8000を超える分子量をもつポリエチレン・グリコールの使用は、その回収された組成物中の所望の酵素の排除をもたらした。硫酸ナトリウムの量に関しては、約10wt/vol%を超える硫酸ナトリウムのレベルは沈澱問題を引き起こし;一方、約10wt/vol%未満の硫酸ナトリウム・レベルは貧弱な分離又は単一相において残る溶液を与えた。
B.分画を介してのEG IIIの精製
EG IIIの精製を、野生型トリコデルマ・ロンジブラチアタムにより生産された完全真菌セルラーゼ組成物(Genencor Internatponal, South San Francisco, CAから商業的に入手可能なCYTOLASE 123セルラーゼ)からの分画により行った。特に、この分画を、以下の樹脂を含むカラムを使用して行う:Sigma Chemical Company(St. Louis, Mo)からのSephadex G-25ゲル濾過樹脂、IBF Biotechnics(Savage, Md)からのQA Trisacryl Mアニオン交換樹脂及びSP Trisacryl Mカチオン交換樹脂。CYTOLASE 123セルラーゼ、0.5gを、pH6.8における10mMリン酸ナトリウム・バッファーにより3リッターのSephadex G-25ゲル濾過樹脂のカラムを使用して脱塩した。この脱塩溶液を次に20mlのQA Trisacryl Mアニオン交換樹脂のカラム上にロードした。このカラムに結合された画分はCBH IとEG Iを含んでいた。このカラムに結合されなかった画分はCBH II,EG II及びEG IIIを含む。これらの画分を、10mMクエン酸ナトリウム、pH4.5により平衡化したSephadex G-25ゲル濾過樹脂のカラムを用いて脱塩した。この溶液200mlを次に20mlのSP Trisacryl Mカチオン交換樹脂上にロードした。EG IIIを、200mM塩化ナトリウムの水性溶液100mLにより溶出した。
EG IIIの単離の効率を強化するために、1以上のEG I,EG II,CBH I及び/又はCBH IIを生産することができないように遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムを使用することが望ましくあることができる。1以上のこのような成分の非存在は、EG IIIのより効率的な単離を必ず導くであろう。
同様に、上記のEG III組成物がさらに精製されて実質的に純粋なEG III組成物、すなわち約80重量パーセントのタンパク質を上廻るEG IIIを含む組成物、を提供することが望ましくあることができる。例えば、このように実質的に純粋なEG IIIタンパク質は、手順Bにおいて手順Aから得られた材料を使用して、又はこれと逆の操作により、得られることができる。EG IIIをさらに精製するためのIの特定の方法は、本実施例14のパートb)において得られたEG IIIサンプルのさらなる分画による。このさらなる分画は、(Phamacia LKB Biotechnology, Piscataway, NJから入手可能な)Mono-S-HR 5/5カラムを用いてFPLCシステム上で行われた。このFPLCシステムは、液体クロマトグラフィー・コントローラー、2つのポンプ、2経路モニター、分画コレクター、及びチャート・レコーダー(これらの全ては、Pharmacia LKB Biotechnology, Piscataway, NJから入手可能である。)から成る。この分画を、10mMクエン酸ナトリウムpH4により先に平衡化された20ml Sephadex G-25カラムによる本実施例14のパートb)において調製された5mlのEG IIIを脱塩することにより行った。このカラムを、次に、0.5ml/分の速度でNaClの0〜200mMの水性グラジエントにより溶出し、サンプルを1ml画分において集めた。EG IIIは画分10と11内に回収され、そしてSDSゲル電気泳動により90%よりも高い純度であると測定された。この純度のEG IIIは、公知技術によるN−末端アミノ酸配列の決定に好適である。
実質的に純粋なEG III並びに先の実施例13において精製されたEG IとEG II成分を、本発明に係る方法において単独で又は混合において使用することができる。これらのEG成分は、以下の特徴をもつ:
Figure 0003911009
1.以下の実施例15に従ってRBB-CMC活性により測定された最適pH
本発明の実施におけるこれらの成分の混合物の使用は、単一成分に比較して、柔らかさ、感触、外観等の改善において協力的な応答を与えることができる。他方において、本発明の実施における単一成分の使用は、pHSのレンジにわたるより広い活性スペクトルをもち又はより安定であることができる。例えば、以下の実施例15は、EG IIIはアルカリ性条件下でRBB-CMCに対してかなりの活性をもつことを示している。
実施例15
pHレンジにわたるセルラーゼ組成物の活性
以下の手順を2つの異なるセルラーゼ組成物のpH特性を測定するために使用した。第一のセルラーゼ組成物は、CBH IとCBH II成分を生産することができないように先に記載したものと同様のやり方で遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから調製されたCBH IとII欠失セルラーゼ組成物であった。このセルラーゼ組成物が、トリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導されたセルラーゼ組成物の約58〜70パーセントを一般的に占めるCBH IとCBH IIを含まない限り、このセルラーゼ組成物は、必ずCBH I型とCBH II型セルラーゼ成分を実質的に含まず、そしてそれ故EG成分、すなわちEG I,EG II,EG III、等に富む。
第二セルラーゼ組成物は、実施例14のパートb)と同様の精製方法を介してトリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導されたセルラーゼ組成物から単離されたEG IIIの約20〜40%純度の画分であった。
これらのセルラーゼ組成物の活性を40℃において測定し、そしてそれらの測定を以下の手順を使用して行った。
最終溶液中の必要量の酵素を提供するのに十分な濃度において5〜20μlの適当な酵素溶液を添加する。pH4,5,5.5,6,6.5,7,7.5及び8において0.05Mクエン酸塩/リン酸塩バッファー中2重量パーセントのRBB-CMC(Mega Zyme, 6 Altona Place, North Rocks, N. S. W. 2151, Australiaから商業的に入手可能なRemazol Brilliant Blue R-Carboxymethyl cellulose)250μlを添加する。
撹拌し、そして40℃において30分間インキュベートする。0.3M酢酸ナトリウムと0.02M酢酸亜鉛を含むメチル・セロソルブ1000μlを添加する。遠心分離し、そしてキュベットに上清を注ぐ。590nmにおいて各キュベット内の溶液の吸光度(OD)を測定する。より高いレベルの吸光度はより高いレベルの酵素活性に対応する。
この分析の結果を図9中に記す。図9は、EG IIIセルラーゼ組成物に比較したCBH IとII欠失セルラーゼ組成物の比活性を示している。この図から、CBH IとCBH IIにおいて欠失されたセルラーゼ組成物がpH5.5付近にRBB-CMCに対する最適セルロース分解活性を有し、そしてアルカリ性pH、すなわち7超〜8のpHにおいていくらかの活性をもつことが分かる。他方において、EG IIIに富んだセルラーゼ組成物は、pH5.5〜6において最適セルロース分解活性を有し、そしてアルカリ性pHにおいてかなりの活性を有している。
上記の例から、当業者は、そのセルラーゼ組成物が活性であり、そして好ましくは最適活性を有するように、その水性繊維組成物のpHを調節し、そして維持するであろう。上述のように、このような調節及び維持は、好適なバッファーの使用を含むことができる。
実施例16
セルラーゼ組成物の洗濯計強度損失検定
本実施例は、綿含有布の強度を減少させる、さまざまなセルラーゼ組成物の能力について検査する。本実施例は、pH5に維持された水性セルラーゼ溶液を使用する。なぜならトリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導されたセルラーゼ成分のほとんどの活性がpH5において又はその付近で最大であり、そしてそれ故強度損失結果が、本検定がこのpH付近で行われるときに、最も明確であるであろうからである。
特に、本実施例においては、分析された第一セルラーゼ組成物は、野生型トリコデルマ・ロンジブラチアタムにより生産された完全真菌セルラーゼ系(Genencor Iuternational, South San Francisco, CAから商業的に入手可能なCYTOLASE 123セルラーゼ)であり、そしてGC 010と同定される。
分析された第二セルラーゼ組成物は、CBH IIを発現することができないように先の実施例1〜12と同様のやり方で遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから生産されたCBH II欠失セルラーゼ組成物であり、そしてCBH II dと同定される。CBH IIがそのセルラーゼ組成物の約15パーセントまでを占める限り、この成分の欠失は、CBH I、及びEG成分の全てのの強化されたレベルをもたらす。
分析された第三のセルラーゼ組成物は、CBH IとCBH IIを発現することができないように先に記載したものと同様のやり方で遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから生産されたCBH IとCBH II欠失セルラーゼ組成物であり、CBH I/II dと同定される。CBH IとCBH IIがこの修飾された微生物により生産されない限り、セルラーゼは、必ず、CBH I型成分の全て並びにCBH成分の全てを含まない。
分析された最後のセルラーゼ組成物は、CBH Iを発現することができないように先に記載したものと同様のやり方で遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから生産されたCBH I欠失セルラーゼ組成物であり、そしてCBH I dと同定される。この修飾された微生物がCBH Iを発現することができない限り、このセルラーゼ組成物は、必然的にCBH I型セルラーゼ成分の全てを含まない。
上記のセルラーゼ組成物を洗濯計(launderometer)内で綿含有布強度損失に対するそれらの効果についてテストした。これらの組成物を、最初に、等量のEG成分が使用されるように規定した。各セルラーゼ組成物を次に、pH5に滴定された20mMクエン酸塩/リン酸塩バッファーの400mlの別々の溶液に添加し、そしてこれは0.5mlの非イオン界面活性剤を含んでいる。得られた溶液のそれぞれを、次に別個の洗濯計キャニスターに添加した。これらのキャニスター内に、強度損失を容易にするための多量の小石(narbles)並びに16インチ×20インチの綿布(Test Fabrics, Inc., 200 Blackford Ave., Middlesex, NJ 08846からStyle No. 467として入手可能な、100%識綿)を添加した。このキャニスターに次に蓋をし、そしてこのキャニスターを、43℃において維持された洗濯計浴内に降下させた。次にこのキャニスターを、約1時間、少なくとも約40の1分間当りの回転数(rpms)の速度においてその浴内で回転させた。その後、布を取り出し、十分に濯ぎ、そして標準的なドライヤー内で乾燥させた。
強度損失結果を最大化するために、上記の手順を2回以上繰り返し、そして3回目の処理後、その綿布を取り出し、そして強度損失について分析した。強度損失を、Instron Testerを使用してよこ糸方向における引っ張り強さ(“FTS”)を測定することにより計測し、そしてその結果を、セルラーゼが添加されていないことを除き同一溶液により処理された布のFTSと比較した。この分析の結果を以下のように決定されるパーセント強度損失として報告する:
Figure 0003911009
この分析の結果を図10に記す、この図は、CBH Iを含む組成物、すなわち全セルラーゼ(GC 010)とCBH II欠失セルラーゼは最高の強度損失を有し、一方、CBH Iを全く含まない組成物は、全セルラーゼとCBH II欠失セルラーゼと比べて有意に減少された強度損失を有していたことを示している。これらの結果から、セルラーゼ組成物中のCBH I型成分の存在が、CBH I型成分を含まない類似組成物に比較してその組成物に増加された強度損失を付与することが分かる。
同様に、これらの結果は、CBH IIが強度損失においていくらかの役割を演じていることを示している。
従って、これらの結果の視点において、強度損失抵抗性セルラーゼ組成物は、CBH I型セルラーゼ成分の全て、そして好ましくは、CBH型セルラーゼ成分の全てを含まないような組成物である。これに関して、このようなセルラーゼ組成物は、図10中に示すpH5において観察されるような結果よりもpH≧7においてより低い強度損失をもたらすであろうことが企図される。
綿含有布の製造の間、布は応力を加えられることができ、そしてそのように応力が加えられたとき、それは破壊され、が、無秩序な繊維を含むであろう。このような繊維は、その布に、すりきれて曇った外観(worn and dull appearance)を劇的に付与する。しかしながら、本発明に係る方法は、布/色 強化をもたらすであろうことが発見されている。これは、応力を加えられるようになる前の布の外観を回復する効果をもつ破壊され無秩序な繊維のいくつかの除去により生じると信じられている。
以下の実施例17と18は、本発明のこの利点について説明する。これらの実施例はすりきれた綿T−シャツ(編物)並びに新たな綿編物を使用したことに注意のこと。このすりきれた綿含有布の色あせた外観は、一定時間にわたる、ゆるみ、そして壊れた表面繊維の布の蓄積から生じる。これらの繊維は、その布についての色あせ、そしてつやの消された(matted)外観を生じさせ、そしてそれ故、これらの繊維の除去は、その布に元のきれいな色を回復させるのに必要な先行条件である。従って、新たな綿編物上の破壊された表面繊維の蓄積はこのような布に曇った外観を付与する。従って、これらの実験は、必然的に、応力の加わった綿含有布の色強化に利用可能である。なぜなら、両方が布からの表面繊維の除去に関係するからである。
実施例17
色強化
綿含有布において色を強化する、EG成分の能力を、以下の実験において分析した。特に第一の実験は、さまざまなpHにわたり綿含有布から表面繊維を除去するために野生型トリコデルマ・ロンジブラチアタムにより生産された完全セルラーゼ系(Genencor Iuternational, South San Francisco, CAから商業的に入手可能なCYTOLASE 123セルラーゼ)の能力を測定する。このセルラーゼを、洗濯計内で表面繊維を除去するその能力についてテストした。最終組成物中25ppm又は100ppmのいずれかのセルラーゼを提供するのに適当な量のセルラーゼを、0.5mlの非イオン界面活性剤を含む20mMのクエン酸塩/リン酸塩バッファー400mlの別々の溶液に添加した。pH5,pH6,pH7及びpH7.5においてサンプルを提供するようにサンプルを調製し、そして滴定した。得られた溶液のそれぞれを次に別々の洗濯計キャニスターに添加した。これらのキャニスター内に、繊維除去を容易にするための多量の小石並びに7インチ×5インチの綿布(Test Fabrics, Inc., 200 Blackford Ave, Middlesex, NJ 08846からStyle No. 439 Wとして入手可能な100%織綿)を添加した。次にこのキャニスターに蓋をし、そしてこのキャニスターを43℃に維持された洗濯計内に降下させた。次に、このキャニスターを、約1時間少なくとも約40回転/分(rpms)の速度においてその浴内で回転させた。その後、布を取り出し、十分に濯ぎ、そして標準的なドライヤー内で乾燥させた。
そのように処理された布を次に、パネル・テストにおける評価により繊維除去(fiber removal)について分析した。特に、これらの布(マークせず)を、6人の個体により繊維のレベルについて等級付けした。これらの布を、表面繊維について肉眼観察により評価し、そして0〜6等級に等級付けした。等級は、意義のある比較を可能にするために6つの標準をもつ。これらの標準は以下のようなものである。
Figure 0003911009
これらの分析の結果を図11中に記す。特に、図11は、同一のpHにおいて、投与量依存性応答が除去された繊維の量において見られたことを示す。すなわち、同一のpHにおいては、より多くのセルラーゼにより処理された布は、より少ないセルラーゼにより処理された布に比べてより高いレベルの繊維除去を提供した。その上、この図の結果は、より高いpHにおいて、繊維除去が、未だ、より高濃度のセルラーゼを単に使用することにより行われることができるということを立証している。
第二の実験において、2つの異なるセルラーゼ組成物を、繊維を除去する能力について比較した。特に、分析された第一セルラーゼ組成物は、野生型トリコデルマ・ロンジブラチアタムにより生産された完全セルラーゼ系(Genencor Iuternational, South San Francisco, CAから商業的に入手可能な、CYTOLASE 123セルラーゼ)であり、そしてGC 010と同定された。
分析された第二のセルラーゼ組成物は、CBH IとCBH IIを発現することができないように先に記載されたものと同様なやり方で遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから生産され、(CBH I型成分を含む)CBH型成分のすべてを実質的に含まないセルラーゼ組成物であり、そしてCBH I/II欠失として同定される。CBH IとCBH IIがそのセルラーゼ組成物の約70パーセントまでを占める限り、この成分の欠失は、EG成分のすべての強化されたレベルをもたらす。この組成物を、洗濯計内で表面繊維を除去するそれらの能力についてテストした。最終組成物中必要濃度のEG成分を提供するのに適当な量のセルラーゼを、0.5mlの非イオン界面活性剤を含む20mMのクエン酸塩/リン酸塩バッファー400mlの別々の溶液に添加した。サンプルを調製し、そして滴定pH5にした。得られた溶液のそれぞれを次に別々の洗濯計キャニスターに添加した。これらのキャニスター内に、繊維除去を容易にするための多量の小石並びに7インチ×5インチの綿布(Test Fabrics, Inc., 200 Blackford Ave, Middlesex, NJ 08846からStyle No. 439 Wとして入手可能な100%織綿)を添加した。次にこのキャニスターに蓋をし、そしてこのキャニスターを43℃に維持された洗濯計内に降下させた。次に、このキャニスターを、約1時間少なくとも約40回転/分(rpms)の速度においてその浴内で回転させた。その後、布を取り出し、十分に濯ぎ、そして標準的なドライヤー内で乾燥させた。
そのように処理された布を次に、先に記載したパネル・テストにおける評価により繊維除去(fiber removal)について分析した。この分析の結果を、推定EG濃度上にプロットされる図12中に記載する。特に、図12は、GC 010とCBH I/II欠失セルラーゼ組成物の両方が、実質的に等しいエンドグルカナーゼ濃度において、実質的に同一の繊維除去結果を与えたことを示している。この図の結果は、繊維除去を提供するのがEG成分であることを示唆している。図11の結果と併せてこれらの結果は、EG成分が表面繊維を除去することを立証する。
実施例18
Tergotometer色強化
本実施例は実施例17に後続し、そしてCBH型成分が色強化に必要ではないことを実証し、そして本実施例の目的が、綿含有布に対して色を強化する、CBH型成分に欠陥のあるセルラーゼ組成物の能力を検査することである。
特に、本実施例において使用されるセルラーゼ組成物は、CBH IとCBH IIを発現することができないように先に記載したものと同様のやり方で遺伝子修飾されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムからこの組成物が生産される限り、(CBH I型成分を含む)CBH型成分のすべてを実質的に含まない。CBH IとCBH IIがこのセルラーゼ組成物の約70パーセントまでを占める限り、この成分の欠失は、EG成分のすべての強化されたレベルをもたらす。
検定を、500ppmのセルラーゼを提供するのに十分な濃度のこのセルラーゼ組成物を50mMクエン酸塩/リン酸塩バッファーに添加することにより行った。この溶液はpH5に滴定され、そして0.1重量パーセントの非イオン界面活性剤(Gresco Mfg., Thomasville, N. C. 27360から商業的に入手可能な、Grescoterg GL 100)を含んでいた。10インチ×10インチの色あせた綿含有布並びに10インチ×10インチの新たな編布であってゆるんで破壊された表面繊維をもつものを次に1lの上記バッファー中に入れ、そして30分間110°Fにおいて静置し、そして次に30分間100rpmsにおいて撹拌した。これらの布を次にそのバッファーから取り出し、洗浄し、そして乾燥させた。次に得られた布を処理前の布と比較した。この分析の結果は以下のようである:
Figure 0003911009
用語“利益が見られる(benefit seen)”は、処理された布が、tergotometerを用いた結果として生じた表面繊維を含む破壊された表面繊維の除去を含む非処理布と比べて色回復を示す(すなわち、より色あせしない)ということを意味する。これらの結果は、CBH型成分の存在が色あせた綿含有布の色回復を行うために必要でないという実施例17の結果を実証する。
このような組成物がその布に対して有害な強度損失を伴わずに加工の間に生じた破壊/ゆるみ繊維を除去するであろうので、このようなセルラーゼ組成物が布加工の間に有益であるであろうことが企図される。
実施例19
柔らかさ
本実施例は、CBH型成分の存在が綿含有布への改善された柔らかさの付与に不可欠ではないということを立証する。特に、本実施例は、CBH IとII成分を生産することができないように先に記載したやり方で遺伝子操作されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導される、CBH型成分のすべてを含まないセルラーゼ組成物を使用する。
このセルラーゼ組成物を、テリー・ウォッシュ・クロス(terry wash cloth)を柔らかくするその能力についてテストした。特に、(Test Fabrics, Inc., 200 Blackford Ave, Middlesex, NJ 08846からStyle No. 420 NSとして入手可能な)14インチ×15インチの非柔軟化8.5オンスの綿テリー・クロスを7インチ×7.5インチの布きれに切断した。
上記のセルラーゼ組成物を、洗濯計内でこれらの布きれを柔らかくするその能力についてテストした。特に、最終セルラーゼ溶液中、500ppm,250ppm,100ppm,50ppm、及び10ppmのセルラーゼを提供するのに適当な量のCBH IとII欠失セルラーゼを、0.025重量パーセントの非イオン界面活性剤(Triton×114)を含む20mMクエン酸塩/リン酸塩バッファー400mlの別々の溶液に添加した。さらに、同一溶液を含むがセルラーゼが全く添加されていないブランクを走らせた。サンプルをpH5に滴定した。得られた溶液のそれぞれを次に、別々の洗濯計キャニスターに添加した。これらのキャニスター内に、柔らかさを容易にするための多量の小石並びに先に記載した綿の布きれを添加した。すべての条件は、キャニスター当り2つの布きれ(swatches)をもって3連で走らせた。次に、各キャニスターに蓋をし、そしてそのキャニスターを、37℃において維持させた洗濯計内に降下させた。次に、このキャニスターを約1時間、少なくとも40rpmsの速度でその浴内で回転させた。その後、上記布きれを取り出し、十分に濯ぎ、そして標準的なドライナー内で乾燥させた。
次に、布きれを嗜好テストにおける評価により柔らかさについて分析した。特に、6人のパネリストに彼ら自身のセットの布を与え、そして柔らかさの基準、例えば布全体の柔軟性に基づく柔らかさに関してそれらを等級付けするように依頼した。5つの異なる酵素濃度による処理から得られた布きれとブランクをスクリーンの裏ろに置き、そして上記パネリストに、最も柔らかくないものから最も柔らかいものまでそれらを順序付けるように依頼した。等級を、他の布きれに対してのその順番に基づき各布きれに指定した;5が最も柔らかく、そして0が最も柔らかくない。各パネリストからの等級を加算し、そして平均した。
この平均の結果を図13中に記す。特に、これらの結果は、より高い濃度において、改善された柔らかさが得られるということを立証する。この改善された柔らかさは、セルラーゼ組成物中CBH I又はIIのいずれの存在をも伴わずに達成されることに注目のこと。
実施例20
感触と外観
本実施例は、CBH型成分の存在が、綿含有布に改善された感触と外観を付与するのに不可欠でないということを立証する。特に、本実施例は、CBH型成分のいずれをも生産することができないように(すなわち、CBH IとII成分を生産することができないように)先に記載したようなやり方で遺伝子操作されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから得られたセルラーゼ組成物を使用する。
このセルラーゼ組成物を、綿含有布の外観を改善するその能力についてテストした。特に(Test Fabrics, Inc., 200 Blackford Ave, Middlesex, NJ 08846からStyle No. 439 Wとして入手可能)適当なサイズの100%綿シート材料を、本実施例の外観面において使用した。
先に記載したセルラーゼ組成物を、洗濯計内でこれらのサンプルの外観を改善するその能力についてテストした。特に、最終セルラーゼ溶液中25ppm,50ppm、及び100ppmのセルラーゼを提供するのに適当な量のCBH IとII欠失セルラーゼを、0.25重量パーセントの非イオン界面活性剤(Triton×114)を含む20mMクエン酸塩/リン酸塩バッファー400mlの別々の溶液に添加した。さらに、同一溶液を含むがセルラーゼが全く添加されていないブランクを走らせた。そのように調製されたサンプルをpH5に滴定した。得られた溶液のそれぞれを次に、別々の洗濯計キャニスターに添加した。これらのキャニスター内に、外観における改善を容易にするための多量の小石並びに先に記載した綿サンプルを添加した。各キャニスターに次に蓋をし、そしてこのキャニスターを、約40℃において維持された洗濯計浴内に降下させた。次にこのキャニスターを約1時間少なくとも約40rpmsの速度においてその浴内で回転させた。その後、サンプルを取り出し、十分に濯ぎ、そして標準乾燥機内で乾燥させた。
次にサンプルを、嗜好テストにおける評価にり改善された外観について分析した。特に6人のパネリストに(同定されていない)4つのサンプルを与え、そして、外観に関してそれらを等級付けるように依頼した。これらのパネリストは、用語“外観(appearance)”とは、眼に対する綿含有布の物理的外観をいい、そして部分的に、その布の表面上の、けば、表面繊維、等の存在又は非存在により、並びにその布の構造(ウェーブ)を見分けることができるか又はできないかにより、決定されるということを、指示された。
それが存在する場合であってもけば及び表面繊維をほとんどもたず、そしてその構造(ウェーブ)が明らかに見分けられることができる布は、けば及び/又はゆるんだ繊維及び/又は見分けることができないウェーブをもつ布に比べて改善された外観を有する。
その後パネリストは、他のサンプルに対するその順序に基づき各サンプルに、指定された等級を指定した;4は最良の外観をもち、そして1は最悪の外観をもつ。各パネリストからの等級を加算し、そして次に平均した。このテストの結果は以下のようなものである:
Figure 0003911009
CBH IとII欠失セルラーゼ組成物を次に、綿含有布の感触を改善するその能力についてテストした。特に、(Test Fabrics, Inc., 200 Blackford Ave., Middlesex, NJ 08846からStyle No. 439 Wから入手可能な)適当なサイズの100%綿シート材料を本実施例の感触面において使用した。
先に記載したセルラーゼ組成物を洗濯計内でこれらのサンプルの感触を改善する能力についてテストした。特に、最終セルラーゼ溶液中500ppm,1000ppm、及び2000ppmセルラーゼを提供するのに適当な量のセルラーゼを20mMクエン酸塩/リン酸塩バッファーの24Lの別々の溶液に添加した。さらに、同一溶液を含むがセルラーゼを全く添加されていないブランクを走らせた。すべてのテストをpH5.8において行い、そして工業的洗濯機内で走らせた。この洗濯機を50℃、全容量24L,50:1の液対布比(重量対重量)において操作し、そしてこの洗濯機を30分間走らせた。その後、サンプルを取り出し、そして工業的ドライヤー内で乾燥させた。
次に、サンプルを、嗜好テストにおける評価により改善された感触について分析した。特に、5人のパネリストに4つの(同定されていない)サンプルを与え、そして感触に関してそれらを等級付けするように依頼した。パネリストは、改善された感触をもつ布が他の布よりも接触に対してよりなめらか、かつ、絹のようであること、そして感触が品質、例えば柔らかさ(その感触よりもむしろ布の柔軟性をいう)、厚さ、色、又はその布のなめらかさに関係しない他の物理的特徴から区別されるということを指示された。
次にパネリストは、他のサンプルに対するその順番に基づいて各サンプルに等級を指定した;4は最良の感触であり、そして1は最悪の感触をもつ。各パネリストからの等級を加算し、そして次に平均した。このテストの結果は以下のようなものである:
Figure 0003911009
上記の結果は、感触と外観における改善が、全CBH型成分を含まないセルラーゼ組成物により達成されることができるということを立証する。
実施例21
ストーン・ウォッシュ外観
本実施例は、CBH型成分の存在が綿含有布にストーン・ウォッシュ外観を付与するために不可欠でないということを立証する。特に、この実施例は、CBH型成分のいずれをも生産することができないように(すなわち、CBH IとII成分を生産することができないように)先に記載したやり方で遺伝子操作されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから得られた組成物並びにトリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導された完全セルラーゼ組成物がGenencor Iuternational, South San Francisco, CAからCytolase 123セルラーゼとして入手可能なものを使用する。
これらのセルラーゼ組成物を、染色された綿含有デニム・パンツにストーン・ウォッシュ外観を付与するそれらの能力についてテストした。特に、サンプルを、以下の条件下工業的洗濯機とドライヤーを使用して調製した:
10mM クエン酸塩/リン酸塩 バッファー pH5
40L 全容量
110°F
デニム・パンツ4つ
1時間の操作時間
50ppmのCBH IとII欠失セルラーゼ又は
100ppmの全セルラーゼ(すなわち、EG濃度にほぼ等しい)
サンプルを、8人のパネリストによりそれらのストーン・ウォッシュ外観について評価した。8人のパネリストの全てが、より良好なストーン・ウォッシュの見た目をもつものとして非酵素処理のパンツよりも100ppmの全セルラーゼを選んだ。8人のパネリストの中の4人が、より良好なストーン・ウォッシュの見た目をもつものとして全セルラーゼよりもCBH IとII欠失セルラーゼ処理パンツを選び;一方、他の4人のパネリストが、より良好なストーン・ウォッシュの見た目をもつものとして全セルラーゼ処理パンツを選んだ。これらの結果は、CBH IとII欠失セルラーゼ処理パンツが全セルラーゼ処理パンツから区別されることができず、そしてCBH I及び/又はCBH IIが綿含有布にストーン・ウォッシュ外観を付与するのに不可欠でないということを示している。
実施例16〜21に関して、CBH I型成分を含まず、そしてトリコデルマ・ロンジブラチアタム以外の微生物から誘導されるセルラーゼ組成物が、これらの実施例中に記載したセルラーゼ組成物の代わりに使用されることができるであろう。特に、EG型成分を含むセルラーゼ組成物の源は、本発明にとって重量ではなく、そして1以上のEG型成分を含み、そして実質的にCBH I型成分のすべてを含まないいずれかの真菌セルラーゼ組成物を本発明において使用することができる。例えば、本発明において使用される真菌セルラーゼ組成物の調製における使用のための真菌セルラーゼは、トリコデルマ・コニンジ(Trichoderma koningii)、ペンシラム・エスピー(Pencillum sp.)、等から得られることができ、又は商業的に入手可能なセルラーゼ、すなわち(Novo Industry, Copenhagen, Deumarから入手可能な)CELLUCAST,(Gist Brocades, N. V., Delft, Hollandから入手可能な)RAPIDASE、等を使用することができる。
実施例22
綿非含有セルロース系布の強化特性
本実施例は、綿非含有セルロース系布の外観、柔らかさ及び表面光沢を強化するEGセルラーゼ組成物の能力を立証する。200kgのJet Dyer機を、綿非含有セルロース系布TENCELTMの強化特性を評価するために使用した。約10kgの100%TENCELTM中−重量織布をロープ形態において上記機械内に装填し、そして端から端まで縫った。この方法は未漂白未染色の(greige)又は染色された布について行うことができる。上記ジェット・マシンを150〜200リッターの水(これは、約15〜20:1の液対布比を表す)で満たし、そして120〜140°F(50〜60℃)に加熱した。pHを3.6g/l(56%)酢酸と1.9g/l(50%)水酸化ナトリウムにより4.5〜5.0に調整した。水酸化ナトリウムを、上記マシンに入れる前にゆっくりと希釈酢酸溶液に添加した。次に、0.25〜0.5ml/lの非イオン性水和剤(Triton X-100)をこの液に添加した。このpHを温度を、そのpHが4.5と5.0の間にあり、そしてその温度が50℃と60℃の間にあることを確保するためにチェックした。次に、3〜4g/lの強化EGセルラーゼ組成物を添加した。この強化EGセルラーゼ組成物は、CBH型成分のすべてを含まないセルラーゼ組成物であって、CBH IとII成分を生産することができず、そしてEG Iを過剰生産するように先に記載したやり方で遺伝子操作されたトリコデルマ・ロンジブラチアタムから誘導されるものを含んで成る。
この強化EGセルラーゼ組成物を添加した後に、このジェットを30〜60分間走らせた。そのサイクルの終りに、0.25g/lのソーダ灰をその液に添加し、そして10分間走らせた。液をそのジェットから滴下し、次にそのジェットを再び水で満たし、そしてその布をさらに1回濯いだ。この布をそのジェットから取り出し、そして乾燥させた。最後に、シリコーン・ベース仕上げ剤をその布上に使い尽くした。
布きれを、嗜好テストにおける評価により柔らかさと表面外観について分析した。特に、4人のパネリストに彼ら自身の布セットを与え、そして柔らかさと表面外観に関してそれらを等級付けするように依頼した。柔らかさは、柔らかさの基準、例えば布全体の柔軟さに基づいた。表面外観は、その布上に存在するゆるんだ繊維又はけばの量に基づいた。布きれを非酵素処理布対照と比較し、そして柔らかさの測定においては、追加の対象すなわち、完全真菌セルラーゼ組成物により処理された布が含まれた。等級を各布きれに指定し、そして平均等級を4人のパネリストから作表した。柔らかさと表面外観についての最高の等級に5.0の値を指定した。最小の柔らかさと最も多いけばについての最小の等級に0の値を指定した。この平均化の結果を図14と15に記す。特に、これらの結果は、柔らかさと表面外観がEGセルラーゼ処理後に両方改善されたことを立証する。さらにTENCELTM布の表面外観は10回の家庭での洗濯後維持され、一方、対照布の表面外観は実質的に低下した。
EG強化セルラーゼ組成物処理されたTENCELTM布のさらなる比較を、全セルラーゼ処理されたTENCELTM布と比較した(図14)。本実施例においては、布きれを、嗜好テストにおける評価により柔らかさについて分析した。4人のパネリストに彼ら自身の布セットを与え、そして柔らかさに関してそれらを等級付けるように依頼した。柔らかさは、上述の基準及びパネル等級に基づいた。布きれを全セルラーゼ処理布対照と比較した。等級を各布きれに指定し、そして平均等級を4人のパネリストから作表した。この平均の結果を図14中に記す。特に、これらの結果は、EG強化セルラーゼ処理TENCELTM布が全セルラーゼ処理布対照よりも平均してより柔らかかったことを立証する。

Claims (11)

  1. エクソ−セロビオヒドロラーゼI型成分とエンドグルカナーゼ型成分を含む完全真菌セルラーゼ組成物を含む組成物による布帛の処理によるその布帛の製造の間に綿非含有セルロース系布帛に対して感触及び/又は外観を強化し、そして/又は色強化及び/又はストーン・ウォッシュ外観を提供するための方法であって、
    その方法が、1以上のEG型成分及び1以上のCBHI型成分を含む真菌セルラーゼ組成物であって5:1より大きな全EG型成分対全CBHI型成分のタンパク質重量比をもつものを含む組成物を使用することを含み、
    前記綿非含有セルロース系布帛が、ジュート、フラックス、ラミー、セルロース繊維の化学修飾物、あるいは溶媒紡糸セルロース繊維を含むことを特徴とする前記方法。
  2. 前記真菌セルラーゼ組成物が1以上のEG型成分と1以上のCBHI型成分を含み、そして5:1より大きな全EG型成分対全CBH型成分のタンパク質重量比をもつ、請求項1に記載の方法。
  3. 前記真菌セルラーゼ組成物が10:1より大きな全EG型成分対全CBH型成分のタンパク質重量比をもつ、請求項2に記載の方法。
  4. 前記真菌セルラーゼ組成物が、そのセルラーゼ組成物中のタンパク質の全重量に基づき少なくとも20重量パーセントのEG型成分を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記方法が、上記布帛に対する上記セルラーゼ溶液のカスケード効果を作り出す条件下で上記セルラーゼ溶液の撹拌と共に行われる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に定めた方法により製造される綿非含有セルロース系布帛。
  7. 1以上のHG型成分及び1以上のCBHI型成分を含む真菌セルラーゼ組成物を含む組成物の使用であって、
    布帛の製造の間に綿非含有セルロース系布帛に対して感触及び/又は外観を強化し、そして/又は色強化及び/又はストーン・ウォッシュ外観を提供するために、前記セルラーゼ組成物が5:1より大きな全EG型成分対全CBHI型成分のタンパク質重量比をもつものであって、
    前記綿非含有セルロース系布帛が、ジュート、フラックス、ラミー、セルロース繊維の化学修飾物、あるいは溶媒紡糸セルロース繊維を含むことを特徴とする前記使用。
  8. 前記真菌セルラーゼ組成物が1以上のEG型成分と1以上のCBHI型成分を含み、そして5:1より大きな全EG型成分対全CBH型成分のタンパク質重量比をもつ、請求項7に記載の使用。
  9. 前記真菌セルラーゼ組成物が10:1より大きな全EG型成分対全CBH型成分のタンパク質重量比をもつ、請求項8に記載の使用。
  10. 前記真菌セルラーゼ組成物が、そのセルラーゼ組成物中のタンパク質の全重量に基づき少なくとも20重量パーセントのEG型成分を含む、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の使用。
  11. 前記布帛が、上記布帛に対する上記セルラーゼ組成物溶液のカスケード効果を作り出す条件下で上記セルラーゼ組成物溶液と接触させられる、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の使用。
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