JP3905843B2 - 組立式発泡スチロール家屋および組立式発泡スチロール家屋用分割片の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡スチロールを構成材とする複数の分割片を組み立てて建造する組立式発泡スチロール家屋および組立式発泡スチロール家屋用分割片の製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来の屋外型宿泊施設としては木材を利用したバンガローが知られている。しかしながら、木材を利用したバンガローは建設費が高い上に、工期も数日必要である。テント型の宿泊施設もあるが、耐久性に劣り、見栄えの点でも高級感がなく、設置場所が限定される。
【0003】
かかる背景のもと、本発明者らは先に発泡スチロールを構成材とする複数のドーム片を集合し、内部に半球状の空間を形成する組立式ドームを提案した(特許文献1参照)。これにより、短い期間で、かつ低コストで施工できる屋外宿泊施設、住居などを実現している。
【0004】
【特許文献1】
国際公開番号WO01/44593
【0005】
上記特許文献1記載の組立式家屋はドーム状であるため、それ自体で十分な強度を有する。しかし、多量の積雪や落下物等の外部からの圧力や不足の事態を考慮すると、より強固なものとすることが望ましい。
【0006】
本発明は、より高強度の組立式発泡スチロール家屋を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明による組立式発泡スチロール家屋用分割片の製造方法は、骨格形状の補強部材を金型に組み込む工程と、金型内に発泡スチロールの原料を封入し、金型および補強材を貫通して設けた加熱孔から高圧蒸気を吹き込んで加熱し、成形体を得る工程と、成型体の表面に塗料を吹き付ける工程とを有することを特徴とする。
(2)請求項2の発明による組立式発泡スチロール家屋は、骨格形状の補強部材を金型に組み込む工程と、金型内に発泡スチロールの原料を封入し、金型および前記補強材を貫通して設けた加熱孔から高圧蒸気を吹き込んで加熱し、成形体を得る工程と、成型体の表面に塗料を吹き付ける工程とを含む製造方法により製造された分割片同士を組み合わせ、内部に居住空間を形成したことを特徴とする。
(3)請求項3の発明による組立式発泡スチロール家屋は、骨格形状の補強部材が収容された金型の貫通孔と前記補強部材の貫通孔とから金型内に吹き込んだ高圧蒸気により前記金型内の発泡スチロールの原料を発泡させて補強部材が一体化された分割片を有し、分割片同士を家屋組立用基礎上で互いに組み合わせて接着接合し、内部空間を形成したことを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項2または3に記載の組立式発泡スチロール家屋において、分割片に、紫外線カット塗料が塗布され、その分割片を組み合わせて家屋の躯体を形成し、紫外線カット塗料の上にモルタルを塗布したことを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の組立式発泡スチロール家屋において、分割片の補強部材とこの分割片に隣接する分割片の補強部材を締結することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれか1項の組立式発泡スチロール家屋において、分割片が、家屋の頂部から基部にかけて曲面形状をなすドーム片であり、これらドーム片の側縁を互いに接着してドーム状の居住空間を形成するとともに、各ドーム片の外表面に凹凸を設け、この凹凸面をモルタルで被覆したことを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載の組立式発泡スチロール家屋において、補強部材が、ドーム片の頂部から基部にかけて延在する縦部材と、この縦部材に直交する横部材とを有することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項7に記載の組立式発泡スチロール家屋において、補強部材が、内側に発泡スチロールを囲むような断面形状を有することを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組立式発泡スチロール家屋において、ドーム片の基部をドーム組立用基礎に係合し、補強部材を基礎用締結部材を介して基礎に締結したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
<全体形状>
まず、本発明による組立式発泡スチロール家屋を半球ドーム式家屋に適用した一実施の形態の全体構成および施工方法について説明する。
図1は本発明による組立式発泡スチロール家屋である発泡スチロールドームの全体を示す立面図、図2は平面図である。組立式発泡スチロールドーム100は、発泡スチロールを構成材とする複数のドーム片10〜19を集合して、内部に半球状の居住空間を形成したものである。図1において、WDは所定のドーム片にあらかじめ設けられた窓部、PTは所定のドーム片にあらかじめ設けられた玄関部である。組立式発泡スチロールドーム100は、基礎30上に組み立てられる。
【0009】
複数のドーム片10〜19は、それぞれ図3に示すような形状をし、発泡倍率が10〜50倍で厚さ10〜50cmの発泡スチロールから形成される。たとえば、積雪が最大で80cm程度の場合には、発泡倍率20倍、厚さ20cmの発泡スチロールからなるドーム片とすることができる。なお、同じ強度を得るためには、発泡倍率を大きくすれば厚みが厚くなる。また、積雪を考慮する必要がない地域では、発泡倍率を20倍より大きくし、あるいは厚みを20cm以下に薄くできる。反対に、積雪量が1m以上の地域では、発泡倍率を20倍以下に小さくして強度を担保するか、厚みを厚くする。これらのドーム片10〜19には強度を高めるために後述の鉄骨40が組み込まれている。
【0010】
各ドーム片10〜19にはL字状の基部DBと、基部DBから立ち上がる接合縁DE,DDと、接合縁DE,DDの先端の頂部DRとを有する。ドーム100の頂部においてドーム片10〜19の先端上部DRをトップライト22に互いに結合するとともに、複数のドーム片10〜19の各々の接合縁DEとDDとを、隣接するドーム片と締結具21で締結した上で接着することにより、ドーム100が組立てられる。L字状のドーム基部DBは、基礎30に係合して固定される。
【0011】
<第1の実施の形態>
図4〜図13に基づいて第1の実施の形態による発泡スチロールドーム100を説明する。
図4はドーム片の内部構成を示す立面図である。なお、窓部WDや玄関部PTの有無等の違いはあっても、基本的な形状は各ドーム片10〜19とも同一であり、以下ではドーム片10について説明する。ドーム片10には図4に斜線で示す鉄骨40が組み込まれている。鉄骨40はドーム片10の頂部から基部にかけて放射状に延在する縦部材41と縦部材41に直交する横部材42を有し、全体としてドーム100の骨格を形成している。
【0012】
ここで、ドーム片10の施工手順について説明する。
(1)まず、図5(a)に示すようにドーム片10に組み込むための鉄骨40を組み立てる。鉄骨40は断面コ型の鋼材であり、断面の開口部をドーム内側に向けて縦部材41と横部材42を例えば図5(b)→(c)に示すようにボルトBTで締結する。なお、溶接などで接合してもよい。鉄骨40はドーム100の強度を担保するためのものであり、ドーム片10の縁部に縦部材41aと横部材42aを配置し、その内側にドーム片10の大きさに応じて、適宜、縦部材41bと横部材42bを配置する。
【0013】
(2)次に、図6に示すように鉄骨40を金型G1,G2にセットする。この場合、図6(a)に示すように鉄骨40をメス型G1にセットした後、オス型G2をセットする。メス型G1は鉄骨40の外周面とほぼ同形状であり、鉄骨40はメス型G1に当接した状態でセットされ、鉄骨40と金型G2の間には隙間ができる。
【0014】
(3)次に、メス型G1とオス型G2の間に原料であるビーズ(予備発泡したもの)を封入し、メス型G1に設けた加熱孔G1a(c−c断面図参照)を介して高圧蒸気を吹き込み、ビーズを加熱する。金型G1,G2内の高圧蒸気は、オス型G2に設けた図示しない小孔を介して外部に抜ける。これにより金型G1,G2内でビーズが破裂し、金型G1,G2の表面形状に沿って発泡成形する。この場合、図6(b)のc−c断面図に示すように発泡スチロール43は鉄骨40の裏側に周り込み、鉄骨40の周囲を覆うため、鉄骨40に発泡スチロール43が密着状態でからみつき、接着性が高い。この場合、鉄骨40を貫通して加熱孔40aを設け、鉄骨40の裏側、すなわちオス型G2側に直接蒸気を吹き込むようにすれば、初期段階で鉄骨40の裏側で発泡し、発泡スチロールと鉄骨40の密着性が一層高まる。
【0015】
(4)その後、蒸気を止めて十分に冷やしてから金型G1,G2を取り外し、成型体MPを取り出す。このようにして形成された成型体MPを図7に示す。鉄骨40は成型体MPの外側に位置し、鉄骨40の外周面と発泡スチロール43の外周面は段差なく形成されている。すなわち、鉄骨40の一の面はドーム子午線に沿って露出する。
【0016】
(5)この成型体MPの外表面に、図8に示すように紫外線カットおよび耐水性を目的とした塗料44を吹き付ける。最後に、成型体MPの外側から所定の鉄骨40の部位にドーム片組立用のねじ孔BHを加工し、ドーム片10が完成する。
【0017】
以上の工程を工場内で行い、複数のドーム片10〜19を製造した後、ドーム片10〜19を現場まで搬送し、ドーム100を組み立てる。図9はドーム100の縦断面図である。
【0018】
ドーム100の頂部のトップライト22は略リング状の枠体22Aと枠体22Aの内側にはめ込まれた明かり取り用のガラス22Bとを有する。枠体22Aの外周面は凹状に形成され、この凹部22aにドーム片10の上端DRを係合して固定する。
【0019】
隣接するドーム片同士(図4のドーム片10と11,19)はプレート状の鉄製締結具21により締結する。すなわち図10に示すように締結具21をドーム片10,11の外側から当て、縦部材41aと横部材42bを締結するボルトBTを貫通孔21aに挿通し、ボルトBTにより締結具21とドーム片10,11を共締めする。これにより各ドーム片10〜19の鉄骨40が相互に接続され、ドーム100は連続した鋼材により全周を覆われる。したがって、ドーム片接合部の強度低下が抑制され、ドーム全体の強度を高めることができる。締結具21はドーム片10,11を高さ方向複数箇所(図4では5箇所)で締結する。
【0020】
ここで、組立ドーム100の基礎30について説明する。図9に示すように、基礎30は、ドーム100の基部よりも大径で円板形状の鉄筋入りコンクリート板BBと、コンクリート板BB上に固定される全体形状が円環状のコンクリート製基体31と、基体31上に家屋の床面をなす平面を形成する床体32とを備えている。
【0021】
図11は基体31の全体形状を示す平面図であり、図12はその一部の斜視図である。基体31は、図12に示すコンクリート製の複数の分割基体310〜319を互いに結合してなる。個々の分割基体310〜319は、それぞれ円弧形を有し、これらを長手方向(周方向)に相互に結合することにより、基体31の全体形状がほぼ円環形状となる。
【0022】
図12において、分割基体310〜319の内周側には、床体32を収容する段部330が全周にわたって形成されている。分割基体310〜319の外周側には、基体外方に向かって突出する上下突出部340A,340Bが全周にわたって形成され、上下突出部340A,340Bの間に係合部として利用される窪み350が形成されている。したがって、分割基体310〜319を集合してなる基体31上部の内周側には段部33(図11)が基体31の全周にわたって形成され、上部の外周側には係止凹部35(図9)が全周に形成される。
【0023】
個々の分割基体310〜319の長手方向の一端面には位置決めのためのカップルガイドピン360が植設され、他端面にはカップルガイドピン孔(不図示)があけられている。隣接する分割基体同士を、カップルガイドピン360をカップルガイドピン孔に挿入することにより接合し、全体として円環状の基体31が組み立てられる。なお、分割基体の上面2箇所にはインサート370が埋め込まれ、吊下・施工用に用いられる。
【0024】
図13(a),(b)に示すように、コンクリート板BBにはドーム片10の外周に沿ってアンカープレート36が埋め込まれている。アンカープレート36はそれぞれ鉄骨40の縦部材41a,41bの位置に対応して設けられている。アンカープレート36には、図13(b)のa部詳細図に示すように、ボルト孔36aが開口され、このボルト孔36aにボルトBTを挿通し、ドーム片10のねじ孔BH(図8参照)に螺合することで、図9に示すようにアンカープレート36と鉄骨40を締結する。分割基体310〜319の外周面にもねじ孔が設けられ、アンカープレート36と分割基体310〜319を同様にボルトBTによって締結する。
【0025】
床体32は次のようにして設ける。まず、分割基体310〜319を地面の上で相互に固定して円環状の基体31を形成し、その基体31の内側に図9に示すように砕石371を所定深さまで充填する。その上にポリエチレンその他の樹脂フィルム372を敷く。更にその上にコンクリート373を基体31の高さまで充填する。コンクリート373の表面を平面仕上げして床体32を形成する。以上の工程により基礎30が完成する。
【0026】
この組立基礎30上に、上記のドーム片10〜19を組み立てることにより、組立式家屋である発泡スチロールドームを設置する。すなわち、図9に示すように、ドーム片10〜19のL字状の基部DBを基体31の凹部35に嵌合して係合し、ドーム片10〜19の先端の頂部DRをトップライト22の凹部22aに嵌合して係合する。そして、ドーム片10〜19同士を連結具21により連結固定するとともに、アンカープレート36によりドーム片10〜19を基礎30に連結固定してドーム状組立式家屋を組み立てる。
【0027】
その後、図9に示すように、ドーム100の外周面全体に耐水性、防火性、耐候性等を目的としてモルタルや樹脂などの外装材45を被覆する。ドーム100の内周面には内装材46を被覆する。
【0028】
以上の第1の実施の形態によれば以下のような作用効果を奏する。
(1) 発泡スチロールを構成材としたドーム片10〜19を成型する際に、鉄骨40を組み込んで一体に成形するようにしたので、発泡スチロールのみの場合に比べドーム片10〜19の強度が高まる。これにより多量の積雪や落下物等の圧力に対しても十分に耐え得ることができる。また、万が一の火災の際にも建物全体の崩壊を免れることができる。鉄骨40を利用することで、ドーム100への備品(例えば屋内外の照明器具)や間仕切りの設置、ドーム形状にバリエーションを付ける等、様々な施工を簡易かつ高強度にて行うことができる。
【0029】
(2) 鉄骨入りのドーム片10〜19を一体成型により製造するので、現場において鉄骨を加工・組み立てる必要がなく、ドーム片10〜19の組み立てのみでドーム家屋を建造することができる。その結果、現場での作業時間と労力を大幅に節約できる。
【0030】
(3) 成型型G1,G2に鉄骨40を組み込んで発泡成型するので、発泡スチロール43が隙間なく鉄骨40に密着する。これにより発泡スチロール43に作用する荷重が鉄骨40の全面に伝わり、局所的な応力集中の発生を避けることができる。
【0031】
(4) ドーム片10〜19を容易に保管できる。すなわち発泡スチロールは、成型直後は素材的に不安定であり変形しやすい特性をもつため、発泡スチロールのみで成型した場合、安定した形で全てのドーム片を保管するためには膨大なスペースが必要となる。これに対し、本実施の形態のように鉄骨40と一体に成型した場合、発泡スチロール43は鉄骨40により拘束されるため変形しにくく、省スペースの下で安定した保管が可能となる。
【0032】
(5) ドーム片10〜19に組み込む鉄骨40をコ型断面としたので、発泡成型の際に発泡スチロール43が鉄骨40に絡み付きやすく、発泡スチロール43と鉄骨40の接着性が向上する。また、コ型断面なので鉄骨40の内側の発泡スチロールを取り除いて鉄骨40の内側に配線を通すことも可能であり、意匠を損なうことなくドーム100内に多様な設備を設置することができる。
【0033】
(6) 組立家屋を力学的に安定形状であるドーム状としたので、補強材としての鉄骨40を最小限に節約できる。その結果、ドーム片10〜19を軽量化することができ、輸送面や組立面で扱いやすい。
【0034】
(7) ドームの頂部から基部にかけて、すなわちドーム子午線に沿って鉄骨(縦部材41)を組み込むとともにこれと直交するように鉄骨(横部材42)を組み込むので、鉄骨40が放射状に張り巡らされ、ドーム100の安定性が高まる。
【0035】
(8) 隣接するドーム片10〜19の鉄骨40同士を締結具21を介して締結するので、ドーム片同士が強固に連結され、接合部の強度低下を抑えることができる。
【0036】
(9) ドーム天井体として設けたトップライト22の枠体22Aの凹部22aにドーム片10〜19の頂部DRを嵌合して係合するので、ドーム片頂部の固定が容易である。また、頂部に作用した荷重を各ドーム片0〜19に均等に分散することができる。
【0037】
(10) ドーム片10〜19の基部DBを基体31の外周側の凹部35に嵌合して係合するので、ドーム片10〜19の基体31への固定が容易である。また、ドーム片10〜19の鉄骨40の基部をアンカープレート36を介してコンクリート板BBに締結するので、ドーム片10〜19はコンクリート板BBに強固に固定され、ドーム100の安定性が一層高まる。
【0038】
(11) コンクリート製の分割基体310〜319を基体31として組み立て、基体31に床体32を設置するようにしたので、アンカープレート36によるボルト締結を解くことにより基体31を簡単に分解することができ、基礎30の移設が可能となる。
【0039】
<変形例>
上記では鉄骨40と発泡スチロール43を一体成型するようにしたが、別体で成型してもよい。この場合、図14に示すように発泡スチロール43の外表面に鉄骨40を挿入するための凹部43aが形成されるように金型G1に鉄骨40と同形状の凸部を設けて成型する。そして、この成型体MPを組み立てて図15に示すようなドーム100を形成する。その後、凹部43aに鉄骨40を挿入し、成形体MPと鉄骨40を接着するとともに、締結具21およびアンカープレート36を介して鉄骨40同士および鉄骨40と基礎30をそれぞれ連結固定すればよい。これにより鉄骨40がない軽量の成型体MPによりドーム100を組み立てるため、ドーム100の組立が容易となる。また、凹部43aは金型G1により精度よく施工できるため、現場で何ら加工をすることなく凹部43aに鉄骨40を挿入することができる。すなわち、現場で鉄骨40に併せて凹部43aを削るなどの手間が不要である。
【0040】
成型体MPに凹部43aを設けずに、図16に示すようにピン47などにより成型体MPの外側に鉄骨40を取り付けるようにしてもよい。この場合、まず、発泡スチロールからなる複数の成形体MPを組み合わせ、ドーム100を組み立てる。次に、成型体MPの外側に、ドーム100全体を覆うように骨格形状の鉄骨40を取り付ける。この際、ピン47により鉄骨40を1本ずつ取り付けた後、各鉄骨40を連結具などで連結する、あるいは予め複数の鉄骨40を一体に組み付け立てた後、それをピン47により成形体MPに取り付け、連結具などで連結する。なお、ピン47は鉄骨40に一体に設けてもよい。次に、成形体MPの表面に鉄骨40とほぼ同じ厚さにモルタル48などを吹き付けて鉄骨全体を覆い、鉄骨40が外から見えないようにする。最後に、モルタル48の表面を外装材45で被覆して仕上げる。このような組立方法によれば、成型体MPに凹部43aを加工する必要がないので、ドーム100の施行が容易となる。また、成形体MPとモルタル48の接合性が高まるとともに、モルタル48を厚く吹き付けるので、建物の耐火性、耐候性、耐久性および強度がそれぞれ高まる。
【0041】
上記では、周方向に分割したドーム片10〜19を組み立ててドーム100を形成するようにしたが、図17に一部を示すように周方向および上下方向に分割した複数のドーム片101〜112(一部のみ図示)を組み立ててドーム100を形成してもよい。この場合、玄関部PT(101〜104)および窓部WD(109〜112)を例えば図18(a),(b)に示すように4分割して枠体を形成する。そして、その内側に図18(c)の断面図に示すように扉49a,窓49bを収容固定する。これによりドーム100に玄関部PTや窓部WDを形成する場合であってもドーム片101〜104,109〜112の形状が複雑とならず、各ドーム片101〜112の成型が容易となる。また、ドーム片101〜104,109〜112がそれぞれ上下左右の枠体を形成するので、ドーム100に玄関49aや窓49bを容易に取り付けることができる。
【0042】
ドーム片の接合部の形状は図3に示したものに限らない。例えば、図17の(a),(b)に示すようにドーム片101〜114の接合面にそれぞれ凹部DFと凸部DGを設け、この凹部DFと凸部DGを嵌合してドーム片101〜114を接合するようにしてもよい。
【0043】
上記実施の形態では、鉄骨40をコ型断面としたが、これに限らず、C型断面やH型断面としてもよい。すなわち内側に発泡スチロールを囲むような断面形状であればよい。この場合も、発泡スチロール43が鉄骨40に絡みつきやすいため、接着性が高まる。なお、断面形状をパイプ状としてもよい。
【0044】
また、上記ではメス型G1側に鉄骨40を配置たが、オス側G2に配置しても、メス型G1とオス型G2の中間に配置してもよい。中間に配置した場合、鉄骨40の全面が発泡スチロール43で覆われるため、成型品MPの見栄えもよい。鉄骨40と発泡スチロール43の線膨張係数の差に起因する外装材45との間の歪みによる剥離も最小限に抑制できる。鉄骨40の形状は適宜変更可能であり、上記実施の形態のものに限定されない。
【0045】
外装材(モルタル)45と発泡スチロールの接合性を向上させる目的で、金型G1に凹凸を設け、ドーム片10〜19の外表面に凹凸を形成するのが好ましい。凹断面形状、凸断面形状は円形、四角形、五角以上の多角形、星形など、モルタルと発泡スチロールの接合性を向上させるのに最適なものを選択する。
【0046】
ドーム100の組立後に外装材45を被覆するのではなく、ドーム片10〜19の段階で予め外装材45を被覆するようにしてもよい。これにより現場での作業工程を一段階省略することができ、作業効率が向上する。上記ドーム片10〜19は、ここでは10個のパーツからなるものとして説明したが、これに限らず、数個から数十個のパーツからなるものとしてもよい。また、全体として半球状になるものとして説明したが、完全な半球の場合(平面形状が円の場合)に限らず、平面形状が多角形となっても良い。また、多角形の個々の辺に丸みを持たせる等により幾何学上の厳密な意味では「円」でも「多角形」でもないという場合でも、ここで言う「半球状」に該当する。ドーム片10〜19により組立家屋を形成したが、ドーム片以外の分割片により組立家屋を形成してもよい。
【0047】
ドームの基礎30をなす基体31をコンクリート板BBとは別体に設け、分割可能としたが、基体31とコンクリート板BBを一体化してもよい。コンクリート基礎30を用いたが、鋼材等による鉄製の基礎を用いてもよい。この鉄製の基礎も運搬性等を考慮して分解可能に設けることが好ましい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、発泡スチロールを構成材とする分割片に骨格形状の補強部材を組み込むので、これら分割片の集合により形成した家屋は、多量の積雪や落下物等にも十分に耐え得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組立式発泡スチロール家屋である発泡スチロールドームの立面図。
【図2】図1の発泡スチロールドームの平面図。
【図3】図1の発泡スチロールドームをなすドーム片を示す斜視図。
【図4】第1の実施の形態による発泡スチロールドームの内部構成を示す立面図。
【図5】第1の実施の形態による発泡スチロールドームに組み込まれる鉄骨の斜視図。
【図6】第1の実施の形態による発泡スチロールドームの成型金型を示す図。
【図7】第1の実施の形態による発泡スチロールドームをなすドーム片の成型体を示す斜視図。
【図8】図7のドーム片の完成品を示す斜視図。
【図9】第1の実施の形態による発泡スチロールドームの縦断面図。
【図10】図8のドーム片同士の締結を示す斜視図。
【図11】発泡スチロールドームが固定される基体の平面図。
【図12】図11の分割基体の斜視図。
【図13】発泡スチロールドームの基礎の形状を示す斜視図。
【図14】図7の変形例を示す図。
【図15】図14の成型品を用いたドームの組立を示す図。
【図16】図7のさらに別の変形例を示す図。
【図17】図1〜3の変形例を示す図。
【図18】図17の要部を示す図。
【符号の説明】
10〜19,101〜112 ドーム片
21 連結具 22 トップライト
30 基礎 36 アンカープレート
40 鉄骨 41 縦部材
42 横部材 43 発泡スチロール
45 外装材 48 モルタル
100 組立式ドーム MP 成形体
Claims (9)
- 骨格形状の補強部材を金型に組み込む工程と、
前記金型内に発泡スチロールの原料を封入し、前記金型および前記補強材を貫通して設けた加熱孔から高圧蒸気を吹き込んで加熱し、成形体を得る工程と、
前記成型体の表面に塗料を吹き付ける工程とを有することを特徴とする組立式発泡スチロール家屋用分割片の製造方法。 - 骨格形状の補強部材を金型に組み込む工程と、
前記金型内に発泡スチロールの原料を封入し、前記金型および前記補強材を貫通して設けた加熱孔から高圧蒸気を吹き込んで加熱し、成形体を得る工程と、
前記成型体の表面に塗料を吹き付ける工程とを含む製造方法により製造された分割片同士を組み合わせ、内部に居住空間を形成したことを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。 - 骨格形状の補強部材が収容された金型の貫通孔と前記補強部材の貫通孔とから前記金型内に吹き込んだ高圧蒸気により前記金型内の発泡スチロールの原料を発泡させて前記補強部材が一体化された分割片を有し、
前記分割片同士を家屋組立用基礎上で互いに組み合わせて接着接合し、内部空間を形成したことを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。 - 請求項2または3に記載の組立式発泡スチロール家屋において、
前記分割片には、紫外線カット塗料が塗布され、その分割片を組み合わせて家屋の躯体を形成し、前記紫外線カット塗料の上にモルタルを塗布したことを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。 - 請求項2〜4のいずれか1項に記載の組立式発泡スチロール家屋において、
前記分割片の補強部材とこの分割片に隣接する分割片の補強部材を締結することを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。 - 請求項2〜5のいずれか1項の組立式発泡スチロール家屋において、
前記分割片は、家屋の頂部から基部にかけて曲面形状をなすドーム片であり、これらドーム片の側縁を互いに接着してドーム状の居住空間を形成するとともに、各ドーム片の外表面に凹凸を設け、この凹凸面をモルタルで被覆したことを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。 - 請求項6に記載の組立式発泡スチロール家屋において、
前記補強部材は、前記ドーム片の頂部から基部にかけて延在する縦部材と、この縦部材に直交する横部材とを有することを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。 - 請求項7に記載の組立式発泡スチロール家屋において、
前記補強部材は、内側に発泡スチロールを囲むような断面形状を有することを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。 - 請求項6〜8のいずれか1項に記載の組立式発泡スチロール家屋において、
前記ドーム片の基部をドーム組立用基礎に係合し、前記補強部材を基礎用締結部材を介して基礎に締結したことを特徴とする組立式発泡スチロール家屋。
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