JP3905358B2 - 電導度測定用電極とこの電極を用いた体脂肪測定装置 - Google Patents

電導度測定用電極とこの電極を用いた体脂肪測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動物(特に長毛種などの動物)の体水分量、体脂肪量及び体脂肪率を簡便かつ正確に測定する上で有用な電導度測定用電極、及びこの電極を用いて生体電気抵抗(Bioelectrical Impedance(BI)以下、単にインピーダンスと称する)を測定するためのユニット並びに体水分又は体脂肪測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人体の体水分量、体脂肪量及び体脂肪率は美容処理、健康及び体力管理に利用されている。人体の体水分量、体脂肪量及び体脂肪率の測定法には、重水液を投与し、投与前後における尿中あるいは血液中の重水濃度を測定し水分量を求める重水稀釈法;ソレノイドコイル内に身体を挿入し、身体の挿入に伴なうコンダクダンスの変化に基づき体水分量を算出するTOBEC法;体内ガスを排出した状態で全身を水中に沈め、水中での体重から身体密度を算出し、この値に基づいて身体中の脂肪組織量を求める水中体重秤量法;皮下脂肪をキャリパーで挟み、皮下脂肪厚から脂肪組織量を求める皮脂厚法;超音波を照射し、反射エコーにより皮下脂肪厚を算出し、脂肪組織量を求める超音波法;X線や磁気共鳴断層装置により皮下や内臓脂肪厚を測定し、脂肪組織量を求めるDXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry、二重エネルギーX線吸収法)法やMRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴映像)法等が知られている。
【0003】
これらの測定法のうち、重水稀釈法、超音波法、DXA法やMRI法などは、測定の精度は高いものの、高価な装置や複雑な手順を必要とし、皮脂厚法は、測定方法は簡便であるが、測定値の再現性、測定精度が低い。
【0004】
これに対して、除脂肪組織の電気伝導度が脂肪組織より大きいことを利用して水分量や脂肪組織量を算出するインピーダンス法は、特別な技術や装置を要せず短時間にかつ簡便に測定でき、測定精度も高いという利点があり、健康者のみならず非健康者も含めた老若男女に幅広く利用されている。
【0005】
例えば、実開平2−69753号公報には、被測定体の測定部位、例えば手や足などに電導度測定用電極を接触させ通電させることにより、インピーダンス値を検出し、その検出値から体脂肪を測定するインピーダンス測定法が開示されている。
【0006】
一方、ペット用の食品などの動物用食品の品質の向上や動物をとりまく環境の変化に伴なう運動不足やストレスなどによって、動物、特に犬や猫などのペット類の肥満が急増し、管理が必要とされている。しかしながら、これらのインピーダンス法を動物(例えば、長毛種の犬や猫など)に適用すると、皮膚と電極とを確実に接触できず、動物の被測定部位に導電性クリームを塗布しても、測定精度が低下し、体水分又は体脂肪(以下、単に体脂肪と称する)を正確に測定できない。そのため、体毛を剃除する前処理工程が必要となる。さらに、体脂肪を算出するためのパラメーターである体重、体長の測定において、犬や猫などの動物を静的な状態に保持することが困難であり、無理やり押さえつけると、激しく抵抗する場合が多く、動物に対して不安感や圧迫感を与えてしまう。そのため、簡便かつ精度よく動物の体脂肪を測定することが困難である。また、乳幼児や、手足などが麻痺している者に適用しようとすると、測定において手や足を曲げたりして、静的な状態でインピーダンスを測定することができず、測定誤差が生じ、精度よくインピーダンスを測定することが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、非ヒト動物(例えば、長毛種などの体毛の濃い動物)であっても、体毛の剃除を必要とせず、皮膚に対して確実に接触させることができ、高い精度でインピーダンスの測定が可能である電導度測定用電極及びその電極を用い、体脂肪を測定するための装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記動物に対して圧迫感、不安感を与えず、動物などの被測定体を静的状態に保持でき、動物のインピーダンスや体脂肪を簡便かつ効率よく測定するために有用な装置(保定装置、体脂肪測定装置)、およびこの装置を用いた体脂肪の測定方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、インピーダンスの測定において静的な状態を維持できない被測定体(例えば、乳幼児や、手足などが麻痺している者など)を、静的な状態に保持し、インピーダンスを簡便かつ正確に測定できるインピーダンス測定ユニットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、電極を複数の針状凸起部で構成することにより、長毛種などの体毛の濃い動物などに対しても、凸起部が体毛の間に侵入し、測定部位である体毛の深部の皮膚に対して高い接触性を確保でき、体毛の剃除が必要なく、高い精度のインピーダンス測定が可能となること、前記動物などを懸吊状態にすることにより、静的な状態に保持することができ、圧迫感や不安感も少なく、体脂肪を簡便かつ正確に測定できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の電導度測定用電極は、電極(特に一対の電極)が複数の凸起部で構成されている。前記電導度測定用電極は、凸起部が針状又は柱状であってもよく、凸起部の先端は平滑であってもよい。前記電導度測定用電極は、動物、例えば、体毛が濃い動物(長毛種などの動物)の生体電気抵抗(インピーダンス)を測定するために用いることができる。
【0012】
本発明は、電極が複数の凸起部で構成されている一対の前記電導度測定用電極と、これらの電極を互いに一体化する絶縁性部材(軟質又は硬質部材)とで構成されているインピーダンス測定ユニットを含む。前記インピーダンス測定ユニットにおいて、絶縁性部材は、被測定体の所定部位を把持可能な軟質部材で構成してもよく、軟質部材により手袋状に形成してもよい。
【0013】
本発明は、動物を保定してインピーダンスを測定するための保定装置であって、支柱部と、この支柱部から前方に延出するフック部と、このフック部に係止可能であり、かつ被測定体を懸吊状態で保定するための懸吊部材とを備えている保定装置を含む。この保定装置において、懸吊部材は、被測定体の四肢が挿入可能な孔部と、腹部及び各両肢間を支持するための支持部とで構成してもよい。例えば、懸吊部材は、フック部に係止可能であり、かつ被測定体の四肢が挿入可能な絶縁性ネット部材や絶縁性ハーネスとで構成してもよい。前記フック部と絶縁性ネット部材や絶縁性ハーネスとの間には、前記フック部に掛止可能であり、かつ絶縁性ネット部材や絶縁性ハーネスと連結可能なロープが介在していてもよい。前記保定装置において、支柱部を伸縮自在とし、フック部の高さを調整してもよい。フック部は、幅方向にスライド可能なフック部材で構成してもよい。
【0014】
本発明は、前記保定装置と、この装置により懸吊状態で保定された被測定体の生体電気抵抗(インピーダンス)を測定するための前記生体電気抵抗測定ユニットと、このユニットにより検出された被測定体の生体電気抵抗(インピーダンス)に関する検出データと被測定体の身体データとに基づいて被測定体の体水分又は体脂肪を算出するための演算処理ユニットとで構成された測定装置も含む。この装置を用いることにより、懸吊状態で保定された被測定体の体水分又は体脂肪を簡便かつ効率よく測定できる。そのため、本発明は、前記体脂肪測定装置を用いて、懸吊状態に保定された被測定体の体水分又は体脂肪を測定する方法も開示する。
【0015】
さらに、本発明は、動物の足裏と電導度測定用電極とを接触させ、動物の生体電気抵抗に関する検出データと動物の身体データとに基づいて、動物の体水分又は体脂肪を測定する方法も開示する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、必要に応じて添付図面を参照にしつつ、本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の電導度測定用電極とこの電極を備えたインピーダンス測定ユニットとの一例を示す概略斜視図である。
【0018】
一対の電導度測定用電極2,3は、互いに離間した一対の円盤状電極基板2a,3aと、これらの電極基板2a,3aから突出し、かつ先端部が平滑な複数の針状電極部2b,3bとで構成されている。
【0019】
インピーダンス測定ユニット1は、前記一対の電導度測定用電極2,3と、電極基板2a,3aから延出するリード4a,4bと、前記電極基板2a,3a及びリード4a,4bとの接続部を、針状電極部2b,3bが突出した状態で、一体化する絶縁性軟質部材5とで構成されている。すなわち、一対の電極基板2a,3aがリード4a,4bとの接続部とともに、シート状軟質部材5にモールドされている。また、上記リード4a,4bの自由端のうち、一方には、正弦波等を与えるファンクションジェネレータが接続されており、他方には、インピーダンスに関する信号を検出するための検出部(図示せず)が接続されている。
【0020】
前記インピーダンス測定ユニット1によれば、電極が複数の針状電極部2b,3bで構成されているため、長毛種などの動物(例えば、体毛の濃い犬や猫など)であっても、押圧に伴って、針状電極部2b,3bが体毛の間に侵入し、測定部位である体毛の深部の皮膚に対して電極を確実かつ効率よく接触させることができる。そのため、体毛の剃除が必要なく、高い精度でインピーダンスが測定可能である。また、針状電極部2b,3bの先端部が平滑であるため、測定部位である皮膚に電極を刺すことなく、しっかりと接触させても、被測定体に苦痛を与えることなく円滑なインピーダンスの測定が可能となる。さらに、一対の円盤状電極基板2a,3aが離間して、リード4a,4bとの接続部とともに、シート状軟質部材5でモールドされているため、電極基板2a,3aの間隔を一定距離に保つことができ、インピーダンスの測定誤差を小さくすることができる。
【0021】
なお、電導度測定用電極において、少なくとも一方の電極が複数の凸起部で構成されていればよいが、通常、一対の電極(双方の電極)が複数の凸起部で構成されている。凸起部は、針状に限らず、被測定体の体毛の侵入に伴ない、体毛を凸起部間の空隙に案内し、かつ少なくとも一つの凸起部が被測定体の皮膚に接触可能であればよく、柱状(円柱状、角柱状など)、剣山状などの凸起部の集合体で構成することができる。
【0022】
凸起部の先端部の形状は、平滑に限定されず、例えば、平坦、球状、膨出状などのように、測定部位である皮膚に対して非侵入型であってもよい。なお、通常、凸起部の先端部の形状は、皮膚に対して非侵入型である。
【0023】
凸起部の間隔、平均直径及び高さは、動物の種類や体毛の密度などに応じて、測定部位である皮膚に対する接触性を損なわない範囲で適宜設定することができる。凸起部の間隔は、体毛が侵入又は挿通可能な範囲で選択でき、例えば、1〜10mm、好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2〜3mm程度である。凸起部の平均直径は、皮膚に対する接触性を損なわない範囲で選択でき、例えば、0.5〜5mm、好ましくは1〜5mm、さらに好ましくは1〜3mm程度である。凸起部の高さは、皮膚に対する接触性を確保できればよく、例えば、2〜50mm、好ましくは5〜30mm、さらに好ましくは10〜30mm程度である。
【0024】
電極基板は必ずしも必要ではないが、使用する場合、電極基板の間隔及び平均直径は、測定部位、例えば、動物の肢の大きさや太さに応じて、測定部位である皮膚に対する接触性を損なわない範囲で適宜設定することができる。一対の電極基板の間隔は、例えば、10〜50mm、好ましくは15〜35mm、さらに好ましくは20〜30mm程度である。電極基板の平均直径は、例えば、5〜30mm、好ましくは5〜20mm、さらに好ましくは5〜15mm程度である。また、電極基板の形状は、円盤状に限定されず、多角形などであってもよい。針状電極部及び電極基板は、導電性材料、例えば、金、銀、銅、アルミニウムなどで形成できる。
【0025】
軟質部材は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ゴム(例えば、天然ゴム、合成ゴムなど)、シリコーン樹脂、ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、織布、不織布、皮または、エラストマーなどの絶縁性軟質材料で形成することができ、形状についても、四角形に限定されず多角形状、シート状、袋状などであってもよい。
【0026】
前記インピーダンス測定ユニット1は、被測定体、特に長毛種などの体毛の濃い動物の被測定部位に接触させてインピーダンスを測定するのに有用である。針状電極部2b,3bは、押圧により被測定部位に接触させてもよいが、例えば、被測定体が動物などの場合、把持することにより、被測定部位に針状電極部2b,3bを接触させるのが有効である。
【0027】
図2は、インピーダンス測定ユニットの他の例を示す概略斜視図であり、図2では一方の測定ユニットが示されている。このインピーダンス測定ユニット6は、被測定体の所定部位を把持可能な手袋状の絶縁性軟質部材7と、この絶縁性軟質部材7の把持部位に固着されたシート状軟質部材5とで構成されている。このシート状軟質部材5には、一対の電極基板2a,3aが、針状電極部2b,3bを突出した状態でモールドされている。
【0028】
前記インピ-ダンス測定ユニット6によれば、被測定部位、例えば、動物の肢の太さや形が異なっていても、手袋状の絶縁性軟質部材7の中に手を挿入し被測定部位を把持することにより、針状電極部2b,3bを被測定部位である皮膚に容易かつ確実に接触させることができ、高い精度でインピーダンスを測定することが可能である。また、インピーダンス測定おいて静的な状態を維持できない被測定体(例えば、乳幼児や、手足などが麻痺している者など)に対しても、前記インピーダンス測定ユニット6を用いて、被測定部位を把持することにより、高い精度でインピーダンスを測定できる。
【0029】
なお、インピ-ダンス測定ユニットにおいては、シート状軟質部材は必ずしも必要でなく、被測定体の所定部位を把持可能な手袋状の絶縁性軟質部材と、この絶縁性軟質部材の把持部位に、シート状軟質部材を介することなく、針状電極部を突出した状態で一対の電極基板を固着してもよい。
【0030】
前記の例において、インピーダンス測定ユニットは、針状電極部などの凸起部が突出した状態で、絶縁性軟質部材に一対の電極が固着により一体化していればよく、電極と軟質部材とは、接着や融着、両面テープなどの方法により固着することができる。
【0031】
なお、インピーダンス法は、被測定部位間のインピーダンスを測定するため、二端子型よりも四端子型の方が被測定体との接触抵抗や測定電極と皮膚との相互作用によるインピーダンスの変動が少なく信頼性が高いとされている。そのため、インピーダンス測定ユニットについても、一対のインピーダンス測定ユニットを用いる四端子型でインピーダンスの測定をする方が有効である。
【0032】
また、一対の電極の配列方向は、インピーダンスの測定に支障のない範囲で適宜設定することができ、被測定部位の周方向または周方向に対して直交する方向であるのが好ましい。
【0033】
絶縁性軟質部材の形状は、特に手袋状に限定されず、被測定部位を把持可能であればよく、例えば、帯状、シート状、袋状、布状などであってもよい。例えば、軟質部材は、指や手のひらなどの把持手段が、挿入可能な挿入部を有する布状体であってもよく、布状体は、手首部を仮固定するための仮固定手段(例えば、面ファスナーや紐など)を有してもよい。また、測定部位を容易かつ確実に把持するためには手袋状の軟質部材が有用である。
【0034】
さらに、生体電気抵抗測定ユニット(インピーダンス測定ユニット)において、絶縁性部材は、一対の電導度測定用電極を互いに一体化し、かつ前記電極が被測定部位の皮膚に対して接触可能である限り、必ずしも軟質部材である必要はない。例えば、バネなどの付勢部材により軸部を中心として互いに閉じ方向に付勢され、かつ互いに離反可能な一対のクリッピング部材(又はクリップ部材、挟圧部材)において、各クリッピング部材を構成する電気絶縁性硬質部材(プラスチック、セラミックスなどの硬質部材)と、各クリッピング部材の互いに対向する内面に取り付けられた前記電極と測定ユニットを構成してもよい。なお、クリッピング部材は直線状であってもよく湾曲していてもよい。
【0035】
インピーダンスの測定においては、被測定体が動物(例えば犬や猫など)の場合は、静的な状態に保持することが困難である。そのため、体脂肪を正確に測定するためには、インピーダンス測定ユニットは、静的な状態に保持するための保定装置と組み合わせて用いるのが有効である。
【0036】
図3は、保定装置の一例を示す概略斜視図であり、図4は、体水分量、体脂肪量及び体脂肪率の測定装置の一例を示すブロック図である。体脂肪測定装置は、被測定体を保定するための保定装置8と、この装置により懸吊状態で保定された被測定体の生体電気抵抗(インピーダンス)を測定するためのインピーダンス測定ユニット6a,6bと、このユニットにより検出された被測定体のインピーダンスに関する検出値と被測定体の身体データとを用いて被測定体の体脂肪を算出するための演算処理ユニット(図示せず)とを備えている。
【0037】
図3に示すように、保定装置8は、基台9の端部から垂直方向に立設し、かつ進退動可能なシリンダ機構により伸縮自在な支柱部10と、この支柱部の上部から前方に進退動可能に延出する延出部に形成されたフック部11と、枠体13bのコーナー部に連結され、かつ前記フック部11に係止可能なロープ12と、前記枠体13b内に設けられた絶縁性ネット部13aと、前記支柱部10に設けられた体長測定用巻尺が収納可能なポケット14とを備えている。なお、前記枠体13bと絶縁性ネット部13aとで被測定体を懸吊状態で保持するための絶縁性ネット部材13を構成している。前記基台9には、後述する演算処理ユニットによるデータを表示するための表示部15を備えた表示ユニットが設けられている。なお、前記基台の適所や表示部15には体重測定ユニットを配設し、被測定体の体重を自動的に測定してもよい。
【0038】
前記絶縁性ネット部材13において、絶縁性ネット部13aのネットは、動物などの前肢部及び後肢部が挿入可能な孔部を構成し、ネットの紐状体は、動物の腹部及び各両肢間を安定に支持するための支持部を構成している。
【0039】
前記保定装置により保定された被測定体の被測定部位を、前記インピーダンス測定ユニット6a,6bを用いて把持することにより、インピーダンスに関するデータを測定する。この例では、被測定体の体長を、前記ポケット14に収納されている巻尺を用いて測定し、体重を体重測定装置(図示せず)で測定する。インピーダンスの測定データ及び被測定体の身体データ(例えば、体長、体重データなど)に基づき、後述する演算処理ユニットにより体水分量、体脂肪量及び体脂肪率が算出され、表示部15に表示される。
【0040】
図4に示すように、演算処理ユニットは、インピーダンス測定ユニットによって測定されたデータを検出するための検出部17と、身体データを入力するためのデータ入力部18と、メモリ19と、演算処理部20と、表示部15とから構成されている。前記検出部17は、被測定体(例えば、動物など)の一方の端部(例えば、後肢)に接続される一対の電極部2,3から延出する一方のリードと、他方の端部(例えば、前肢)に接続される他方の一対の電極部2,3から延出する一方のリードとに接続されている。電極から延出する他方のリードは、正弦波等を発生させるファンクションジェネレータ16と接続されている。
【0041】
検出部17で検出された出力信号はA/DコンバータでA/D変換され、メモリ19の所定のアドレスに格納される。また、被測定体の身体データ(例えば、体長、体重など)は、データ入力部18から入力され、入力されたデータは、前記メモリ19の所定のアドレスに格納される。前記メモリ19に格納された検出データに基づいてインピーダンス値が算出され、その算出データとメモリ19に格納された身体データを用いて、演算処理部20は下記式(1),(2),(3)に基づいて演算処理を行ない、体水分量、体脂肪量及び体脂肪率を算出する。
【0042】
TBW=0.948×H2/Z+3.891 (1)
Fat=0.017×TBW-4.7×W5.9+0.977 (2)
Fat(%)=Fat×100/W (3)
(式中、Hは体長(cm)、Wは体重(kg)、TBWは体水分量(L)、Fatは体脂肪量(kg)、Fat(%)は体脂肪率(%)、Zはインピーダンス値(Ω)を示す)例えば、算出されたインピーダンス値と体長の値とを用いて、式(1)より体水分量を算出することができ、その体水分量と体重とを用いて、式(2)より体脂肪量を算出することができ、体脂肪量と体重とを用いて、式(3)より体脂肪率を算出することができる。算出された体脂肪率は、表示部15に表示され、必要に応じてプリントアウト、または送信してもよい。
【0043】
このような体脂肪測定装置によれば、支柱部10が、ジャッキ、ハンドル及び油圧などの進退動可能なシリンダ機構により伸縮自在であるため、支柱部10から延出するフック部11の高さが調整可能である。また、絶縁性ネット部材13は、隣接する複数のネットの孔部を有しており、被測定体(例えば、動物など)の四肢(例えば、前肢部、後肢部など)を体長に応じて前記ネットの孔部に挿入できる。そのため、様々な体高、体長の動物でも、フック部11の高さを調整し、前後肢部をネットの孔部に挿入することにより、動物を懸吊状態で安定に保定することができ、圧迫感や不安感も少なく、ほぼ静止させることができる。また、被測定体を懸吊して静的状態を維持できるので、簡便に体長を測定できる。そのため、前記保定装置により被測定体を懸吊状態で静的状態に保持又は保定することができ、被測定体の体水分量及び体脂肪量を簡便かつ効率よく正確に測定することができる。
【0044】
なお、絶縁性ネット部材の形状は、四角形に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形などでもよい。また、絶縁性ネット部材を構成するネット部材及び枠体の大きさは、被測定体に応じて調整することができる。また、絶縁性ネット部の孔部の平均内径は、被測定体の挿入部位(例えば、四肢など)の太さに応じて選択でき、例えば、2〜10cm、好ましくは2〜8cm、さらに好ましくは3〜6cm程度である。
【0045】
前記式(1)において、体長や体重に限らず、他のパラメータ(例えば、体幅、体高、年齢、性別、種別など)とインピーダンスとの関係に基づいて、式(1)と実質的に等価な又は関連する新たな修正式が作成可能である。また、体水分量、体脂肪量及び体脂肪率を算出するための式(1),(2),(3)において、式の係数は、動物の種類などに応じて調整することができる。
【0046】
さらに、図4に示す例では、動物の前肢と後肢との間でインピーダンスを測定しているが、インピーダンスは、前記測定部位に限らず、適用可能な種々の部位、例えば、左前肢、右前肢、左後肢、右後肢、右耳、左耳、尻尾などの適当な2つの測定部位間(例えば、左前肢と右前肢との間、右前肢と左後肢との間など)で測定できる。なお、測定精度を向上させるため、インピーダンス測定に先だって、動物の前記測定部位に導電性物質(例えば、導電性クリームなど)を塗布するなどの前処理を施してもよい。
【0047】
さらに、前記例では、支柱部が伸縮自在とすることによりフック部の高さを調整し、かつ前記フック部を幅方向にスライド可能なフック部材で構成しているが、支柱部が伸縮自在であっても、フック部をスライド可能とする必要はなく、フック部がスライド可能であっても、支柱部を伸縮自在とする必要はない。
【0048】
懸吊部材において、前記絶縁性ネット部材に代えて、絶縁性ハーネスを使用してもよく、また、フック部は固定式に限らず、スライド式などであってもよい。
【0049】
図5は、本発明の保定装置の他の例を示す概略斜視図であり、フック部としてスライド式、懸吊部材としてロープと一体化した絶縁性ハーネスを用いている。
【0050】
図5に示すように、保定装置は、支柱部10の上部から前方に延出し、かつ基台9に対して幅方向にスライド可能なフック部材21a,21bで構成されたフック部21と、このフック部21に係止可能なロープ22と、このロープ22の両端部と一体化し、かつ被測定体を懸吊状態で保定するための絶縁性ハーネス22a,22bとを備えている。
【0051】
前記フック部21は、突出ピンが形成された一方のフック部材21aと、長手方向に延び、かつ前記ピンが摺動可能な案内スリットが形成されたフック部材21bとで構成できる。このようなフック部21において、フック部材21aは、フック部材21bの案内スリットに沿って往復動可能な移動部材として機能する。そのため、フック部材21bの基準長さL0に加えて、フック部材21aにスケール21cを形成すると、フック部21の幅が被測定体の体長に対応するため、前記スケール21cを利用してフック部材21aの移動距離L1(換言すれば、基準長さL0からの伸長度L1)を読みとることにより、懸吊状態の被測定体の体長の指標とし、近似的に被測定体の体長とすることができる。
【0052】
さらに、前記ハーネス22a,22bは、動物などの前肢部及び後肢部がそれぞれ挿入可能なループ部と、腹部及び/又は各両肢間を支持可能な支持ループ部とを備えている。なお、基台9には、前記と同様に表示部15が設けられているとともに、被測定体の体重を自動的に測定するため体重測定ユニットを配設してもよい。
【0053】
前記保定装置によれば、フック部がスライド式で、かつ懸吊部材がロープ及び一対の絶縁性ハーネスで構成されているので、前記と同様に、被測定体を静的状態に保定して、高い精度でインピーダンスを測定できるとともに、フック部の幅を被測定体の体長の指標とし、近似的に被測定体の体長とすることができる。
【0054】
前記保定装置では、被測定体が揺動すると、動物などの被測定体に不安感を与える場合がある。そのような場合、保定装置は、絶縁性ネット部材や絶縁性ハーネスなどの懸吊部材は、揺れが少ない状態でフック部に対して保持するのが好ましい。
【0055】
図6は、本発明の保定装置のさらに他の例を示す概略斜視図である。この例では、フック部において二点支持により絶縁性ネット部材を支持しているとともに、絶縁性ネット部材を、ケーシング状(又は篭状)のフレーム部材と、絶縁性ネットとで構成している。
【0056】
図6に示すように、保定装置は、T字状の延出部材のうち横方向に延出する横設部材31の離れた部位に形成された2つのフック部31a,31bと、懸吊状態の被測定体の体長を目視で測定するため、前記横設部材の長手方向に沿って形成されたスケール(又は目盛り)31cと、これらのフック部にそれぞれ係止可能であり、かつ被測定体を懸吊状態に保定するための懸吊部材とを備えている。この懸吊部材33は、絶縁性ネット部33aを所定の緊張度で張設するための下部フレーム枠33bと、この下部フレーム枠のコーナー部から立設する支持枠33cと、この支持枠に連結された上部フレーム枠33dと、この上部フレーム枠のうち互いに対向するフレームの両端部に接続され、かつ前記フック部31a,31bにそれぞれ係止可能なロープ32a,32bとを備えている。下部フレーム枠33bと絶縁性ネット部33aとで被測定体を懸吊状態で保持するための絶縁性ネット部材33を構成している。また、前記と同様に、絶縁性ネット部材33において、絶縁性ネット部33aは、動物などの前肢部及び後肢部が挿入可能な孔部を構成し、ネットの紐状体は、動物の腹部及び各両肢間を安定に支持するための支持部を構成している。
【0057】
前記保定装置によれば3次元的構造のフレーム枠で構成された枠体を二つのフック部で支持できるため、フック、ロープ及び絶縁性ネット部材で構成された懸吊ユニットの傾倒や離脱(例えば、懸吊状態にある動物の遊動などによる)が起こりにくく、被測定体を懸吊状態で安定に保持できる。
【0058】
なお、懸吊部材は、フック部に係止可能で、かつ被測定体を懸吊状態で安定に保定できればよく、フック部に係止可能な懸吊ユニット(例えば、絶縁性ネット部材、絶縁性ハーネスなど)である限り、ロープは必ずしも必要ではない。懸吊部材は、前記のように、通常、懸吊ユニット(例えば、絶縁性ネット部材、絶縁性ハーネスなど)とロープとで構成することができる。前記懸吊ユニットとロープとを連結する方法は、例えば、ロープに形成したフック部と懸吊ユニットとを着脱可能又は脱離不能に係止することにより連結してもよく、また、ロープを懸吊ユニットに締結などにより接続し連結してもよい。なお、前記ロープは、懸吊ユニットに連結又は接続できればよく、ロープの数は特に限定されない。さらに、ロープには、支柱から延出するフック部に対して係止可能な係止部材(又はフック部材)を固定又は移動可能に取付けてもよい。
【0059】
懸吊ユニットは、絶縁性ネット部材及び絶縁性ハーネスに限定されず、例えば、四肢が挿入可能な孔部を有する絶縁性シート(例えば、布、皮など)などであってもよい。また、懸吊部材は、必ずしもロープは必要ではなく、例えば、前記ネットや布などをフック部に直接係止してもよい。
【0060】
フック部は、支柱部に限らず壁から直接前方へ延出していてもよく、スライド式の場合は、フック部の幅方向への調整が可能であればよく、スライド機構は特に制限されない。例えば、フック部の幅は、スティッピングモーターなどの回転駆動源と、この回転駆動源の回転運動をスライド可能な一対のフック部材の往復動に変換する機構(例えば、歯車機構、ラック・ピニオン機構など)とで調整してもよい。また、このような変換機構を利用し、回転駆動源の回転方向と回転数を、フック部の幅(ひいては被測定体の体長)の指標として、体長を自動測定し、表示部で表示させてもよい。
【0061】
懸吊状態の被測定体の体長は、前記スライド可能なフック部材や横設部材に限らず、適所に設けたスケールを利用して測定してもよい。例えば、絶縁性ネット部材の枠体又はフレーム枠にスケール(目盛り)を形成し、被測定体の体長を測定してもよい。特に、絶縁性ネット部を所定の間隔(例えば、10mm間隔などの一定間隔)の紐状体で格子状に形成し、隣接する紐状体間に対応する枠体やフレーム枠の領域に、必要により前記所定間隔のスケールとともに、細かな間隔(例えば、1mm及び5mm間隔)のスケールを形成することにより、被測定体の体長を比較的精度よく測定することができる。さらに、懸吊状態の被測定体の身体サイズに関するデータ(体長、体高など)は、センサ(例えば、光センサ)などを利用して自動測定してもよい。また、センサにより自動測定された身体サイズに関するデータは、データ入力部へマニュアルで入力することなく自動的に送信して入力してもよい。
【0062】
被測定体の体長は、前記被測定部位間の距離を指標としてもよく、例えば、犬の場合は、肩甲棘から大腿骨大転子の距離を体長とみなすこともできる。
【0063】
保定装置や体脂肪測定装置は、体重計を具備してもよい。例えば、基台の測定部に体重測定部を内蔵し、被測定体を基台の測定部に位置させることにより体重を測定してもよく、体重計(例えば、バネ式体重計)の一端を支柱上部からの延出部材(例えば、フック部など)に係止し、バネ式体重計の他端部を、懸吊部材(例えば、絶縁性ネット部材又は絶縁性ハーネスに接続されたロープなど)に係止し、被測定体の体重を懸吊状態で測定してもよい。
【0064】
なお、馬や牛などの体高、体長の大きな動物のインピーダンスを測定する場合、複数の測定者によって測定を行なってもよく、例えば、被測定体の被測定部位である前肢を1又は複数の測定者、後肢を1又は複数の測定者がインピーダンス測定ユニットで把持することにより、インピーダンス測定ユニットで測定されたデータに基づき、体水分量、体脂肪量及び体脂肪率を算出してもよい。また、前記保定装置を利用できない動物では、体重及び体長データを別途測定し、それぞれデータ入力部に入力することができる。
【0065】
体脂肪測定装置において、演算処理ユニットは、内蔵することなく、前記インピーダンス測定ユニットの電極から延びるリードを検出部に接続することにより外部ユニットとして利用してもよい。
【0066】
前記体脂肪測定装置は、犬だけではなく、例えば、猫、馬、牛、豚、鳥類などの他の非ヒト動物や人(例えば、乳幼児及び手足などが麻痺している者など)の体脂肪を測定することができる。なお、動物、特に長毛種などの体毛の濃い動物に対して有用である。
【0067】
本発明は、動物の足裏と電導度測定用電極とを接触させ、動物の生体電気抵抗に関する検出データと動物の身体データとに基づいて、動物の体水分又は体脂肪を測定する方法も含む。この方法において、電導度測定用電極は、前記のように、複数の凸起部で構成する必要はなく、動物の足裏と接触可能な種々の電極が利用できる。例えば、電極の形状は、平坦状、湾曲状(丘状又は隆起状など)、柱状(円柱状、角柱状など)などであってもよく、前記電極の先端部の形状は、凹凸状や平坦状であってもよい。さらに、動物の足裏と接触可能な一対の電極は、前記のように、絶縁性部材により所定間隔だけ離れて一体化して、インピーダンス測定ユニットを構成してもよい。
【0068】
このような一対の電極や測定ユニットを用いると、懸吊状態にすることなく、動物の足裏を利用してインピーダンス測定が可能である。インピーダンスの測定において、測定部位は、動物の四肢のうち適当な二肢の足裏を利用できる。なお、前記電極部の間隔、奥行き、幅及び高さは、動物の種類、足裏の大きさや足裏間の間隔などに応じて、測定部位である足裏に対する接触性を損なわない範囲で適宜設定することができる。
【0069】
電極を足裏に適用する場合、電極は基台や前記絶縁性部材に固定してもよい。さらに、インピーダンス測定ユニットは、動物の四肢のうちいずれか1つの肢が収容又は装着可能な足袋状又は靴状絶縁性部材と、この足袋状又は靴状絶縁性部材の底部に取り付けた一対の電極部とで構成してもよい。すなわち、絶縁部材を前記足袋状又は靴状に形成してもよい。このような足袋型インピーダンス測定ユニットは、動物の四肢のうちいずれか二肢(例えば、前肢/後肢)を収容又は装着するだけで、電極部を足裏に接触させることができ、静的状態を持続できない動物であっても、インピーダンス測定が可能である。また、小形の動物(例えば、犬、猫など)だけでなく、足裏間の間隔が大きな大形動物(例えば、馬や牛など)などであってもインピーダンスを有効に測定できる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の電導度測定用電極は、電極が複数の凸起部で構成されているため、動物、特に長毛種などの体毛の濃い動物などに対して、体毛の剃除を必要とせず、高い精度でインピーダンスを測定できる。また、保定装置や体脂肪測定装置を用いることにより、動物に対して圧迫感、不安感を与えず、静的な状態に保持して、インピーダンスを測定することができ、被測定体の体水分及び/又は体脂肪を簡便かつ正確に測定することができる。さらに、インピーダンスの測定において、静的な状態を維持できない被測定体(例えば、乳幼児や、手足などが麻痺している者など)に対して、被測定部位をインピーダンス測定ユニットで把持することにより、被測定体のインピーダンスを簡便かつ正確に測定することができる。
【0071】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0072】
実施例では、インピーダンス法(BI法)と重水稀釈法とを用いて、体水分及び体脂肪を測定した。
【0073】
実験に使用した犬の種類としては、ラブラドール、S・プードル、ビーグルの3種類であり、合計14匹(ラブラドール1匹、S・プードル1匹、ビーグル12匹)である。
【0074】
重水稀釈法は、犬に重水液を投与し、投与前後における尿中あるいは血液中の重水を測定し、体水分量、体脂肪量及び体脂肪率を算出した。なお、重水稀釈法では、体水分及び体脂肪の測定精度が高いため、インピーダンス法(BI法)による測定値との相関性を調べた。
【0075】
インピーダンス法(BI法)により、前記体脂肪測定装置を用いて、下記手順1〜5に従い、食前(午前8時)に体水分及び体脂肪の測定を行った。
【0076】
本実験に使用されるインピーダンス測定ユニットは、被測定体の所定部位を把持可能なゴム性の手袋状絶縁性軟質部材と、この絶縁性軟質部材の把持部に固着されたポリエチレン性軟質シートと、この軟質シートにモールドされた一対の電極基板(間隔20mm、平均直径10mmφ)と、この電極基板から突出し、かつ先端部が平滑な複数の針状電極部(間隔2mm、平均直径が2mmφ、高さ15mm)とで構成されている。
【0077】
測定の手順は次の通りである。
【0078】
1.犬の体長、肩甲棘から大腿骨大転子の直線距離と、体重とを測定し、データ入力部より入力する
2.犬の大きさに応じて、フック部の高さを調整し、犬の前肢部と後肢部を絶縁性ネット部の孔部に挿入し、懸吊状態で保定することにより、犬を静的な状態に保持する
3.静的な状態に保持した犬の被測定部位(前肢の肘頭突起下2cmほどの橈側手根伸筋表面、後肢の膝関節部位下1cmほどの腓腹筋表面)にケラチンクリームを塗布する
4.上記インピーダンス測定ユニットを用いて犬の被測定部位を把持し、被測定部位に電導度測定用電極を接触させ、通電することによりインピーダンス値を測定する
5.インピーダンスの測定データと、入力部より入力された体長、体重のデータとを用いて、演算処理ユニットで演算処理が行われ、体水分量、体脂肪量及び体脂肪率が計算される
インピーダンス法(BI法)と重水稀釈法とを用いて測定した体水分量、体脂肪量及び体脂肪率の測定結果を、表1及び図7〜図9に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0003905358
【0080】
表1及び図7〜図9より明らかなように、実施例では、重水稀釈法とインピーダンス法による体水分量、体脂肪量及び体脂肪率の測定値を比較すると、非常に高い相関性を示しており、有意差p<0.001で、体水分量に関しては、相関係数r=0.996であり、体脂肪量に関しては、相関係数r=0.931であり、体脂肪率に関しては、相関係数r=0.810である。上記結果より、前記体脂肪測定装置を用いたインピーダンス法によれば、高価な装置及び複雑な手順(例えば、体毛の剃除など)などの前処理工程を必要とすることもなく、高い再現性で精度よく、体水分及び体脂肪を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は電導度測定用電極及びインピーダンス測定ユニットの一例を示す概略斜視図である。
【図2】図2はインピーダンス測定ユニットの他の例を示す概略斜視図である。
【図3】図3は保定装置の一例を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、体水分量、体脂肪量及び体脂肪率の測定装置の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は保定装置の他の例を示す概略斜視図である。
【図6】図6は保定装置のさらに他の例を示す部分概略斜視図である。
【図7】図7は、重水稀釈法による体水分量とインピーダンス(BI)法による体水分量との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、重水稀釈法による体脂肪量とインピーダンス(BI)法による体脂肪量との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、重水稀釈法による体脂肪率とインピーダンス(BI)法による体脂肪率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,6…インピーダンス測定ユニット
2,3…電極
2a,3a…電極基板
2b,3b…針状電極部
4a,4b…リード
5…シート状軟質部材
7…絶縁性軟質部材
8…保定装置
9…基台
10…支柱部
11,21,31a,31b…フック部
12,22,32a,32b…ロープ
13,33…絶縁性ネット部材
13a,33a…絶縁性ネット部
13b…絶縁性枠部
14…巻尺収納用ポケット
15…表示部
16…ファンクションジェネレータ
17…検出部
18…データ入力部
19…メモリ
20…演算処理部
21a,21b…フック部材
21c,31c…スケール
22a,22b…ハーネス

Claims (8)

  1. 一対の電導度測定用電極と、これら電極を互いに一体化する絶縁性部材とで構成されている生体電気抵抗測定ユニットであって、(i)前記電極が複数の凸起部で構成されており、(ii)絶縁性部材が被測定体の所定部位を把持可能な軟質部材で手袋状に形成されている生体電気抵抗測定ユニット。
  2. 凸起部が針状又は柱状である請求項1記載の生体電気抵抗測定ユニット。
  3. 凸起部の先端が平滑である請求項1記載の生体電気抵抗測定ユニット。
  4. 押圧に伴なって、複数の凸起部が被測定体の体毛間に侵入可能であるとともに、少なくとも一つの凸起部が被測定体の皮膚に対して接触可能である請求項1記載の生体電気抵抗測定ユニット。
  5. (1)支柱部と、この支柱部から前方に延出するフック部と、このフック部に係止可能であり、かつ被測定体を懸吊状態で保定するための懸吊部材とを備え、かつ被測定体としての動物を保定して、動物の生体電気抵抗を測定するための保定装置と、(2)この装置により懸吊状態で保定された被測定体の生体電気抵抗を測定するための請求項1記載の生体電気抵抗測定ユニットと、(3)このユニットにより検出された被測定体の生体電気抵抗に関する検出データと被測定体の身体データとに基づいて被測定体の体水分又は体脂肪を算出するための演算処理ユニットとを備えている測定装置。
  6. 懸吊部材が、被測定体の四肢が挿入可能な孔部と、腹部又は各両肢間を支持するための支持部とで構成されている請求項5記載の測定装置。
  7. 懸吊部材が、フック部に係止可能であり、かつ被測定体の四肢が挿入可能な絶縁性ネット部材又は絶縁性ハーネスで構成されている請求項5記載の測定装置。
  8. 支柱部が伸縮自在であるとともに、フック部の高さが調整可能であり、前記フック部が前方にスライド可能なフック部材で構成されている請求項5記載の測定装置。
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