JP3905302B2 - 鋼管杭溶接部のフルスケール式検査方法 - Google Patents

鋼管杭溶接部のフルスケール式検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端に羽根を固定した回転圧入式鋼管杭における鋼管相互の溶接接合部のフルスケール式検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、回転圧入鋼管杭を施工する場合は、1節当たり約12m前後の鋼管を溶接接合しながら、数十メートルの鋼管杭を地盤に回転圧入させて完成させている。この場合、上下方向に直列に隣り合う鋼管相互の溶接部には、溶接欠陥を生じることがあるため、溶接検査として、目視検査、カラーチェック、UT検査(超音波探傷検査)、X線検査などが実施される。
【0003】
前記の各検査の中で、目視検査やカラーチェックは、溶接部の表面欠陥に対する検査であり、UT検査やX線検査は、溶接部の内部欠陥に対する検査である。
【0004】
しかしこれらの検査は溶接部の耐力(強度)を直接確認するわけではなく、例えばUT検査では、溶接内部の不連続面(割れ、ブローホール等)を検知できるだけで、このUT検査結果は、鋼管杭の引張り耐力およびせん断耐力の低下の可能性の指標にすぎず、溶接部又は、溶接による熱影響部の耐力の直接的な確認はできない。この点は目視検査、カラーチェック、X線検査においても同様である。
【0005】
溶接欠陥が溶接部の耐力(イ:引張り・せん断耐力と、ロ:圧縮耐力)に及ぼす影響および現状の検査の限界について、次のように考えることができる。すなわち、まず前記(イ)の引張り・せん断耐力に影響のある溶接部の問題点として、(A)溶接部の目違い、開先形状、(B)溶接部及び熱影響部の耐力(溶剤、余熱、電流、溶接工の技量などによって影響される)、(C)溶接部の形状(アンダーカット、割れ、ブローホールなど)等がある。前記(A)〜(C)に関する現状の検査の限界については、前記(A)については充分な検査が可能であるが、(B)については、耐力そのものがどうなっているかは判断できない。(C)については、欠陥の存在は検知できるが、それによって耐力にどれだけの影響が発生するかは不明であり、つまり換言すると、耐力低下の可能性を示す指標にすぎない。
【0006】
また前記(ロ)の圧縮耐力に影響のある溶接部の問題点も上記と同様であるが、溶接部の形状(アンダーカット、割れ、ブローホールなど)については、引張・せん断耐力に対してよりも影響が小さいと考えられる。
圧縮耐力に対する、現在の検査方法の限界についても上記と同様であり、欠陥の存在は検知できるが、耐力がどの程度低下するかということを検査によって明確に示すことはできない。
【0007】
また一般に、溶接部の耐力を直接検査する方法としては、当該溶接部の一部を切り出して、これを試験片とし、その試験片に対して引張試験を実施することが考えられる。しかし、この方法は、構造実験などには適用できるものの、本願発明が対象としている鋼管杭(実際の構造物)では、試験片を切り出すことができない(構造物の一部を破壊することになる)ため、その代用試験として、前記のような試験(検査)を実施するのである。
【0008】
通常、鋼管の先端に螺旋状の羽根を固着した鋼管杭(例えば、商品名:NSエコパイル)では、その施工時に、杭軸部鋼管に非常に大きなねじりトルクを作用させている。作用するねじりトルクは、鋼管の許容ねじり耐力の50〜100%程度であり、支持層根入れ時には、鋼管の許容ねじり耐力の80〜90%以上作用することが多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記ねじりトルクを作用させて鋼管杭を施工している点、および回転圧入式の鋼管杭に関して、前記(ロ)の圧縮耐力に前記の溶接部の形状(アンダーカット、割れ、ブロ−ホ−ルなど)の影響が小さい点に着目すると共に、これを上下に直列に溶接により連結される鋼管相互の溶接部の品質管理に適用可能であるとの知見に基づき、種々検討熟考して本発明を完成させた。
【0010】
前記のように、鋼管杭の施工時に作用させるねじりトルクによって、実際に施工する回転圧入式の鋼管杭(フルスケールの鋼管杭)に設計上必要となるせん断耐力及び引張耐力があることを実際に確認するようにし、これを鋼管杭における鋼管相互の溶接部の品質管理に用いることが本願発明の狙いである。このことによって、最大ねじりトルクの範囲内ではあるが、溶接部の耐力を直接確認できるため、検査の信頼性が高まる。
【0011】
また本発明の場合には、前記の検査は、施工と同時に実施していることになるので、UT検査などに要していた時間が不要になり、施工の効率を向上させることができる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の従来の問題点を有利に解決するために、本発明の請求項1の鋼管杭の溶接部のフルスケール式検査方法においては、次のように構成する。
【0013】
先端に羽根を固定した回転圧入式の鋼管杭における鋼管杭溶接部のフルスケール式検査方法であって、施工地盤の地質調査結果から得られた標準貫入試験から得られるN値および鋼管杭の杭径の施工条件から、予め下記(1)式によって鋼管杭に作用する施工時トルクを予測し、鋼管杭施工時の打ち止めトルクを規定することで、杭のフルスケールテストを計画し、前記トルクと軸力から鋼管杭に作用するせん断力と引張力を計算して、それらのせん断力と引張力が、設計せん断力と設計引張力を越えることを施工により確認することによって、鋼管杭における鋼管相互の溶接接合部の耐力検査を実施することを特徴とする鋼管杭溶接部のフルスケール式検査方法。
Tt=a・N・Dp −b・Lt・Dp (1)
ここに、Tt:トルク(kN・m)
Dp:杭径(m)
Lt上載荷重(kN)
N:標準貫入試験から得られるN値
a,b,m:係数及び指数(但しmは2〜3)
【0014】
本発明によると、鋼管杭の施工中に、鋼管杭に負荷しているトルクと軸力を単に計測するだけで、鋼管相互の溶接接合部の品質管理をすることができ、しかも負荷した荷重の範囲内ではあるが、鋼管相互の溶接接合部の耐力を直接確認することができるため、検査の信頼性を高めることができ、しかも特に本発明による検査方法は、鋼管杭の溶接部のフルスケール式検査方法であり、鋼管杭の圧入施工と同時に施工しているので、UT検査などに要していた時間が不要になり、鋼管杭の施工効率を向上させることができ、また鋼管相互の溶接接合部の耐力検査を定量的に確実に確認することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次にこの発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のフルスケール式検査方法に用いる杭の一例を図5に示し、簡単に構造説明すると、先端が開端の回転圧入鋼管杭であり、この鋼管杭1の螺旋状先端面18には、鋼管の内径よりも小さな内径を有すると供に、鋼管の外径よりも大きな外径を有する円盤状(リング状)の鋼板が半径方向に一部切欠されて螺旋状に形成されて、溶接により同心状に固着されて螺旋状羽根2が構成され、螺旋状羽根2の切欠された一端側に掘削刃19が溶接により固着されており、また鋼管杭先端部の螺旋状切断部の始端部21と終端部20とは円弧状の段差部分22を介して接続されている。前記螺旋状羽根2の外径(Dw)は、鋼管杭外径(Dp)の略1.5〜2倍の外径で、螺旋状羽根2の内径は、鋼管杭内径の略0.3〜0.9倍の内径とされている。
【0016】
図1(a)および(b)は、本発明において使用する回転圧入式鋼管杭3の正面および縦断側面図を示すものであって、鋼管1の先端に螺旋状の羽根2を固定した回転圧入式鋼管杭3の上部に、新たな鋼管4の下端部を完全溶け込み溶接(フルぺネ溶接)5により、直列に一体化した状態を示すものであって、このように鋼管4を継ぎ足した状態で、図2(a)に示すような三点式杭打ち機7を用いて鋼管杭3の回転圧入施工をする。さらに杭長が長い場合には、現場において施工された鋼管杭3の上部に順次新たな鋼管4を完全溶け込み溶接5により溶接接合した後施工を継続する。またより大きな回転トルクが必要な場合には、図2(b)に示すように、新たな鋼管4部分に係合する全旋回油圧式回転駆動装置10により、前記鋼管杭3を回転させながら地盤に圧入する。
【0017】
この時、鋼管杭3の施工中に杭に作用するトルクと軸力を、三点式杭打ち機7による施工の場合には、電流値やロードセルにより算出することができ、油圧式全旋回回転駆動装置10による場合には、油圧値により鋼管杭3に負荷するトルクと軸力を知ることができる。このように鋼管杭3に負荷する回転トルクを計測することによって、鋼管杭の溶接部の検査を実施する。これにより、鋼管端部相互の溶接部の耐力検査をフルスケール(実物大)で行なうことができる。
【0018】
この場合、施工地盤の地質調査結果や杭径などの施工条件から、予め杭に作用するトルクを計算し、そのトルクから鋼管杭3に作用するせん断力と引張力を計算して、それらのせん断力と引張力が設計せん断力と設計引張力を越えることを確認するようにするとよい。以下、さらに具体的に説明する。
【0019】
前記のように、回転トルクを測定しているため、鋼管杭3を支持層根入れ時に作用するトルクが既知であり、その大きさが、例えば鋼管杭3における鋼管耐力のX%とすると、せん断耐力に対しては、許容耐力のX%までの耐力検査が実施できることになる。便宜上、前記の回転圧入装置により、鋼管杭3に純ねじりを作用させている状態で考えると、鋼管4を円形に切った断面に対して、45°方向に同じ応力で引張り試験を実施しているのと同様の力が作用していることになる。
【0020】
また鋼材の許容引張耐力は、許容せん断耐力のほぼ√3倍であるから、引張りに対しては、ほぼX×0.6%までの耐力試験を実施できることになる。また軸力(上載荷重等による)が作用している場合においても、主応力(主応力度)を計算することで、引張耐力の実施可能応力を計算できる。
【0021】
一方、図4に示すような外径寸法の鋼管杭3を使用した場合、支持層根入れ時に、鋼管杭における鋼管に作用するトルクTtは、鋼管杭の杭径・地盤状況によって決まる値である。このトルクTt値を施工に先立って予測し、施工計画を立案する方法については、本発明者らがすでに発明し、「特願2000−272639」にて、本出願人によって出願している。その出願明細書中には、下記の式が記載されている。つまり、
Tt=a・N・Dp−b・Lt・Dp (1)
ここに、Tt:トルク(kN・m)
Dp:杭径(m)
Lt上載荷重(kN)
N:標準貫入試験から得られるN値
a,b,m:係数及び指数
【0022】
指数 mについて
鋼管杭径が小径(609.6φ 以下)の場合 2.5〜3
鋼管杭径が大径(609.6φ 以上)の場合 2〜2.5
【0023】
係数 aについて
杭の形状や施工パラメータによって、係数aは影響を受けるが、
支持層到達時 30〜40
支持層へ1Dp 貫入 40〜50
支持層へ2Dp 貫入 60〜80
支持層へ2Dp 貫入以上 80〜100
a は根入れ深さが増加するに従い閉塞効果が発揮され、底板部より下部の地盤を締め固める効果や、羽根上面の地盤硬さが相対的に増加する現象が反映される、即ち根入れ深さに依存する係数である。
【0024】
係数bについて
b=Y1/X1
X1、Y1は下式によって与えられる値である。
X1=2π・atr/{(2/3+i)α・π+g}
Y1=atr(i・α・π+g)/{(2/3+i)α・π+g}
ここで、i、h、gは下式で与えられる。
i={2(h3―1)}/{3(h2−1)}
h=Dw/Dp
g=P/Dp
atr:杭頭部に作用させるトルク及び上載荷重(軸力に相当する)の、杭先端への伝達率で、地盤状況や杭長さによって決まる。
α:地盤と羽根(鋼板)の摩擦係数
Dp:杭径(m)
Dw:羽根径(m)
P:羽根ピッチ
【0025】
このような関係を用いて、予め施工時に作用するトルクを予測することができる。この値を用いてフルスケールテスト時に作用するせん断力と引張力を計算することができる。
【0026】
建築物完成後に杭に作用する圧縮・せん断・引張力については、杭の設計時に明らかにされている。従って、フルスケールテストで作用するせん断力・引張力が設計せん断力・引張力より大きければ、UT検査などは不要ということになる。杭は構造物重量を支持しているために、基本的には圧縮材であり、この程度の引張耐力を確認できていれば、設計的には問題のないことが多い。
【0027】
一方圧縮耐力については、本試験方法では十分に確認できない場合も多いが、圧縮力の伝達に関しては、溶接部に多少の欠陥が存在しても、充分伝達でき、実用上は問題にならないことが多い。例えば、圧縮力のみを伝達するのであれば、面と面が重なっただけの状態でも目違いが無ければ、十分に力を上部鋼管から下部鋼管に伝えることができる。フルスケールテストによって、せん断耐力や引張耐力を確認できていれば、圧縮力の伝達に対しては、問題がないことを実験によっても確認している。また、上記の範囲であっても直接的に耐力を確認しているので、従来行われてきた間接的な検査方法よりも信頼性は高いと考えられる。
【0028】
また、実際の回転圧入式鋼管杭3の施工では、鋼管杭3の試験杭を先に実施し、施工前に予測したトルクと、実際の現場で作用するトルクを比較しておくことで、本発明の鋼管杭溶接部のフルスケール式検査のより高い検査の確実性を増すことができる。
【0029】
次に本発明に係る数式計算例を図1,3,4,5を参照しながら説明する。
ここでは単純化して、杭にトルクのみを作用させた場合(軸力=0)について説明する。
対象とする杭の条件は次のようにする。(図3a参照)
杭径:Dp
板厚:t
鋼管中心から板厚中心までの距離:r
(板厚中心までの半径)
鋼管断面積:As
作用させるトルク:Tr
とすると、
溶接部に作用する力は次のようになる。
せん断力 Q=Tr/r
せん断応力 τ=Q/As
溶接線Zから45度方向には、図3b,cに示すような引張及び圧縮応力が作用し、
作用する引張応力をσt、圧縮応力をσcとすると、それぞれの応力の値は、
σt=σc=τ となる。
そして、杭鋼管の降伏点(短期許容応力)をσyとすると、
許容せん断応力は、τy=σy/√3 となる。
【0030】
ところで、先にも説明したように、施工中に杭に作用するトルクは鋼管の許容ねじり耐力(許容せん断応力)の80〜90%以上作用することが多い。許容ねじり耐力の90%のトルクが作用したとすると、杭に作用するせん断応力は、
τ=τy×0.9である。
従って、トルクによって杭に作用する引張・圧縮応力は、
σt=σc=τy×0.9
=0.9×σy/√3
=0.52σy
つまり、施工中に杭体の許容ねじり耐力(許容せん断応力)の90%のトルクを作用させると、溶接部に0.52σyまでの引張・圧縮応力を作用させることになり、その範囲で直接的に溶接部耐力を検査(フルスケールテスト)できることになる。
【0031】
例えば、Dp=80cm、t=12mmの杭を施工する場合に、施工中に作用した最大トルクが2100kN・mであった場合には、
Tr=2,100kN・m
r =39.4cm
As=297cm
従って、
杭に作用するせん断力は、Q=Tr/r
=2,100/0.394
=5,330kN
杭に作用するせん断応力は、τ=Q/As
=5,330/297
=17.9kN/cm
=179N/mm
つまり、溶接部線から45度方向には
σ=τ=179N/mm
の引張・圧縮応力が作用している。
【0032】
杭の材質がSTK490の場合、杭体の短期許容応力度は、
σy=325N/mm
τy=σy/√3
=187N/mm
であり、せん断応力としては、τ/τy=179/187=0.95
つまり、せん断耐力の95%のせん断力が作用していることになる。
【0033】
設計上構造物の完成後に、この杭に作用する引き抜き力が5000kNであるとすると、この引き抜き力によって杭体に生ずる引張応力は、
σt=5000/As
=5000/297
=16.8kN/cm
=168N/mm
従って、σ>σtであり、施工中に杭体に作用するトルクによって杭体に生ずる引張応力の方が、建物完成後地震などによって杭に生ずる引張応力よりも大きくなる。つまり、施工中のトルクによって設計上必要な溶接部の耐力を十分に確認できることになる。施工中に杭に作用するトルクは、全数の杭について計測するので、全数の杭に対してフルスケールテストを行い、溶接部の耐力を確認できるのである。
【0034】
次に、施工地盤の調査結果と杭の諸元より、予め施工トルクを予測し、打ち止めトルクを規定して施工を行う場合について説明する。
杭径、Dp=80cm
杭の板厚、t=12mm
とすると、
r =39.4cm
As=297cm
となり、また
地盤条件より、N値=60
支持層への根入れを1Dpで打ち止めるものとして、a=60
杭径と地盤条件より、m=2.5
とすると、
施工中(打ち止め時)に作用するトルクは、
Tr=a・N・Dp
=60×60×0.82.5
=2,060kN・m
これより、トルクが2,060kN・m以上作用した場合に打ち止めるものと規定する。
従って、
杭に作用するせん断力は、Q=Tr/r
=2,060/0.394
=5,228kN
杭に作用するせん断応力は、τ=Q/As
=5,228/297
=17.6kN/cm
=176N/mm
つまり、溶接部線から45度方向には
σ=τ=176N/mm
の引張・圧縮応力が作用することになる。
【0035】
杭の材質がSTK490の場合、杭体の短期許容応力度は、
σy=325N/mm
τy=σy/√3
=187N/mm
であり、せん断応力としては、τ/τy=176/187=0.94
つまり、せん断耐力の94%のせん断力が作用する。
【0036】
設計上構造物の完成後に、この杭に作用する引き抜き力が5000kNであるとすると、この引き抜き力によって杭体に生ずる引張応力は、
σt=5000/As
=5000/297
=16.8kN/cm
=168N/mm
【0037】
従って、σ>σtであり、施工中(打ち止め時)に杭体に作用するトルクによって杭体に生ずる引張応力の方が、建物完成後地震などによって杭に生ずる引張応力よりも大きくなる。つまり、施工中のトルクによって設計上必要な溶接部の耐力を十分に確認できることになる。施工中に杭に作用するトルクは、全数の杭について計測するので、全数の杭に対してフルスケールテストを行い、溶接部の耐力を確認できるのである。しかも、杭施工前の計画段階において、打ち止めトルクを規定することで、予めフルスケールテストの計画をすることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるので次のような効果を有している。
請求項1の発明によると、先端に羽根を固定した回転圧入式の鋼管杭における鋼管杭溶接部のフルスケール式検査方法であって、施工地盤の地質調査結果から得られた標準貫入試験から得られるN値および鋼管杭の杭径の施工条件から、予め前記(1)式によって鋼管杭に作用する施工時トルクを予測し、鋼管杭施工時の打ち止めトルクを規定することで、杭のフルスケールテストを計画し、前記トルクと軸力から鋼管杭に作用するせん断力と引張力を計算して、それらのせん断力と引張力が、設計せん断力と設計引張力を越えるこ とを施工により確認することによって、鋼管杭における鋼管相互の溶接接合部の耐力検査を実施するので、鋼管杭の施工中に、鋼管杭に作用するトルクを単に計測するだけで、鋼管相互の溶接接合部の品質管理をすることができ、しかも鋼管相互の溶接接合部の耐力を直接確認することができるため、回転圧入式鋼管杭の検査の信頼性を高めることができ、しかも特に本発明による検査方法は、鋼管杭の溶接部のフルスケール式検査方法であり、鋼管杭の圧入施工と同時に施工しているので、UT検査などに要していた時間が不要になり、鋼管杭の施工効率を著しく向上させることができる等の効果がある。
【0039】
しかも、施工地盤の地質調査結果や前記鋼管杭の杭径などの施工条件から、予め鋼管杭に作用させるトルクを計算し、そのトルクから鋼管杭に作用するせん断力と引張力を計算して、それらのせん断力と引張力が、設計せん断力と設計引張力を越えることを確認することによって、鋼管相互の溶接接合部の耐力検査を実施するので、さらに、施工地盤の地質調査結果(N値)や前記鋼管杭の杭径などの施工条件から鋼管杭に作用させるトルクから、鋼管杭に作用するせん断力と引張り力を計算し、設計せん断力と設計引張り力を超えることを施工により確認するだけで、鋼管相互の溶接接合部の耐力検査を定量的に確実に確認することができ、検査の信頼性を定量的に確認することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明において使用される回転圧入式鋼管杭の一形態を示す正面図であり、(b)はその縦断側面図である。
【図2】 (a)は本発明において使用される回転圧入式鋼管杭を油圧ジャッキ押圧式オーガー施工機械により地盤に圧入している状態を示す縦断正面図であり、(b)は全旋回式ケーシング回転駆動装置により回転圧入式鋼管杭を地盤に圧入している状態を示す一部縦断正面図である。
【図3】 (a)は回転トルクを回転圧入式鋼管杭に付与した場合における溶接部に作用する力を説明するための説明図であり、(b)はせん断応力τが溶接部に作用している時に引張応力σtが生じている状態を示す説明図、(c)はせん断応力τが溶接部に作用している時に圧縮応力σcが生じている状態を示す説明図、(d)は(b)の引張応力σtが溶接部に所定の角度で作用している状態に置き換えて考えることができることを示す説明図である。
【図4】 下端が開端または閉塞している回転圧入式の鋼管杭の主要部の寸法およびその杭における杭頭部および底板部に入力または開放されるエネルギー状態を示す説明図である。
【図5】 本発明の検査方法に用いる杭の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼管
2 螺旋状の羽根
3 回転圧入式鋼管杭
4 新たな鋼管
5 完全溶け込み溶接(フルペネ溶接)
6 三点式杭打ち機
7 全旋回式回転駆動装置
8 地盤
18 螺旋状先端面
19 掘削刃
20 始端部
21 終端部
22 段差部分

Claims (1)

  1. 先端に羽根を固定した回転圧入式の鋼管杭における鋼管杭溶接部のフルスケール式検査方法であって、施工地盤の地質調査結果から得られた標準貫入試験から得られるN値および鋼管杭の杭径の施工条件から、予め下記(1)式によって鋼管杭に作用する施工時トルクを予測し、鋼管杭施工時の打ち止めトルクを規定することで、杭のフルスケールテストを計画し、前記トルクと軸力から鋼管杭に作用するせん断力と引張力を計算して、それらのせん断力と引張力が、設計せん断力と設計引張力を越えることを施工により確認することによって、鋼管杭における鋼管相互の溶接接合部の耐力検査を実施することを特徴とする鋼管杭溶接部のフルスケール式検査方法。
    Tt=a・N・Dp −b・Lt・Dp (1)
    ここに、Tt:トルク(kN・m)
    Dp:杭径(m)
    Lt上載荷重(kN)
    N:標準貫入試験から得られるN値
    a,b,m:係数及び指数(但しmは2〜3)
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