JP3904898B2 - 耕耘爪の配列方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、稲刈跡圃場で耕耘作業を行う場合に、各稲株に耕耘爪の縦刃か横刃のいずれかが接触し、稲株を裁断して土中に埋め込み、また、所要動力及び機体振動を少なくする耕耘爪の配列方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
稲刈跡圃場で耕耘作業を行う場合、圃場に残っている稲株(通常は30cm×20cmの間隔にφ7cmの大きさ)を土中に埋め込む必要がある。稲株を土中に埋め込むことにより、腐植を促進し、よりよい土壌が作られる。その有効な手段として、耕耘する耕耘爪の縦刃、横刃のいずれかの部分で稲株と接触し、これを裁断し、土中に埋め込む確率を高くすることが考えられる。
【0003】
従来のロータリで、トラクタのPTO軸の回転数が1速(540rpm)時のロータリ爪軸回転数は160〜190rpmであり、この回転数で稲収穫後の水田において秋耕し(粗耕し)が行われる。よって、この条件下で稲株の反転率を向上させなければならないが、現状は、一般のナタ爪で50%前後、高性能ナタ爪でも70%前後の反転率である。耕耘作業後に反転していない稲株を観察してみると、耕耘爪と接触した形跡が見られず、稲株の下方の土が切り取られて放擲されたものがほとんどである。
【0004】
図6ないし図9により、従来のフランジタイプのロータリについて説明する。このロータリは、機体の進行方向と直交して水平方向に延びるロータリ爪軸Aを軸支し、該ロータリ爪軸Aの長さ方向に所定間隔をおいた複数箇所に、同じ軸周面から放射方向にフランジタイプの爪取付け部Bを突設し、該爪取付け部Bに、縦刃Ca及び横刃Cbを有する耕耘爪Cを、横刃Cbの突出方向が外側と内側に向くものをそれぞれ180°の取付け角度(位相差)で1組ずつ、計4本装着すると共に、隣接する爪取付け部Bに装着された耕耘爪(図6において仮想線で示す)とロータリ爪軸Aの軸周方向に位相差(リード角)34°を設けて配設している。このときの、耕耘爪Cの横刃Cbの突出方向が異なる爪間の取付け角度は73.6°と106.4°であり、このロータリが1回転するときの各耕耘爪Cの打ち込み展開図は、図7に示す通りである。
【0005】
図7においてハッチングで示す耕耘爪Cの耕耘展開図を代表して見てみると、横刃Cbの突出方向が対向する耕耘爪Cの耕耘ピッチは、図6に示すように、108°、72°、108°と不規則であり、耕耘土塊が不均一になっている。これを、耕耘土塊が均一になるようするには、横刃Cbが向い合う耕耘爪Cの位相差(リード角)を全て90°にする必要がある。このためには、上記73.6°と示した部分の角度を、90°−34°=56°としなければならない。しかしながら、フランジタイプの爪取付け部Bに4本の耕耘爪Cを取り付ける関係上、56°に取り付けることは不可能である。また、耕耘動力を均一にするために、耕耘爪Cをロータリ爪軸Aの長さ方向に螺旋状に配列すると、耕耘土がロータリの一側に偏ってしまうことになる。このため、耕耘爪Cをロータリ爪軸Aの長さ方向に対し若干内盛傾向となる山形配列にする必要があり、ロータリ全体の所要動力の軽減及び機体振動の軽減を図ることができなかった。
【0006】
一方、上記フランジタイプのロ−タリを、機体の前進速度0.42m/s(1.5km/hr)、ロータリ爪軸Aの回転数157rpm、耕耘ピッチ159mmの条件下で、稲刈跡圃場で耕耘作業を行った場合の耕耘ピッチ及び稲株Dへの作用を図8に示す。この図で明らかにように、耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔が、稲株Dの大きさφ7cmより大きくなっているところがある。このため、稲株Dが耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔をすり抜けるようにして耕耘爪Cに接触せず、稲株Dを反転しない確率が大きくなっている(約50%)。
【0007】
上記従来のフランジタイプのロ−タリは、フランジタイプの爪取付け部Bに耕耘爪Cを4本装着したものであるが、図10及び図11に示すように、前記爪取付け部Bに代えて単数の爪ホルダEをロータリ爪軸Aに取り付け、耕耘爪Cを装着したロータリが知られている。この爪ホルダタイプのロータリにおいて、機体の前進速度0.42m/s(1.5km/hr)、ロータリ爪軸Aの回転数181rpm、耕耘ピッチ138mmの条件下で、稲刈跡圃場で耕耘作業を行った場合の耕耘ピッチ及び稲株Dへの作用を図10に示す。この図で明らかにように、耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔が、稲株Dの大きさφ7cmより大きくなっているところがある。このため、稲株Dが耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔をすり抜けるようにして耕耘爪Cに接触せず、稲株Dを反転しない確率が大きくなっている(約50%)。また、ロータリ全体の所要動力の軽減及び機体振動の軽減を図ることが難しかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のフランジタイプのロータリにおいては、耕耘爪Cの打ち込みが不規則になるため、ロータリ全体の所要動力の軽減及び機体振動の軽減を図ることができなかった。また、耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔が、稲株Dの大きさφ7cmより大きくなっているところがあるので、稲株Dが耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔をすり抜けるようにして耕耘爪Cに接触せず、稲株Dを反転しない確率が約50%と大きくなっている。
上記従来の爪ホルダタイプのロータリにおいては、フランジタイプのロータリと同様に、耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔が、稲株Dの大きさφ7cmより大きくなっているところがあるので、稲株Dが耕耘爪Cと耕耘爪Cの間隔をすり抜けるようにして耕耘爪Cに接触せず、稲株Dを反転しない確率が約50%と大きくなっている。また、ロータリ全体の所要動力の軽減及び機体振動の軽減が図れなかった。
【0009】
本発明は上記の問題点を解決することを目的になされたもので、爪ホルダタイプのロータリにおいて、ロータリ爪軸に対する爪ホルダの突設方法、及び耕耘爪の装着、配列方法を改良することにより、上記の各種問題点を同時に解消しようするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の手段を有することを特徴としている。
一つには、機体の進行方向と直交して水平方向に延びるロータリ爪軸を軸支し、縦刃及び横刃を有する耕耘爪を装着するための爪ホルダを放射方向に突設する軸周面を前記ロータリ爪軸の長さ方向に所定間隔をおいて複数箇所に設定し、隣接する二つの前記軸周面間で横刃が同一方向に向く耕耘爪が装着される二つの爪ホルダ間に所定の位相差を設けて配設する耕耘爪の配列方法であって、隣接する二つの前記軸周面間で、横刃が互いに向き合う耕耘爪が装着される二つの爪ホルダ間に設定される位相差角度が全て90°になり、且つ、前記ロータリ爪軸の長さ方向に対して、横刃が同一方向に向く耕耘爪が螺旋状に配列され、一つの前記軸周面上では横刃の方向が異なる二つの耕耘爪がそれぞれ装着される1組の前記爪ホルダが前記ロータリ爪軸に取り付けられると共に、その軸周面と軸方向にオフセットして横刃の方向が異なる二つの耕耘爪がそれぞれ装着される1組の前記爪ホルダが前記ロータリ爪軸に取り付けられる、ことを特徴とする。
【0011】
また一つには、前述の特徴を有する耕耘爪の配列方法を採用したロータリによる耕耘作業方法であって、前記耕耘爪の耕耘ピッチが140mm以下となるように、前記ロータリの前進速度と前記ロータリ爪軸回転数とを組み合わせたことを特徴とする
【0012】
【作用】
上記の手段により本発明は、以下の作用を有する。
a.隣接する二つの軸周面間で、横刃が互いに向き合う耕耘爪が装着される二つの爪ホルダ間に設定される位相差角度が全て90°になり、且つ、ロータリ爪軸の長さ方向に対して、横刃が同一方向に向く耕耘爪が螺旋状に配列されることで、ロータリ爪軸の回転により耕耘爪は均等に圃場に打ち込まれ、耕耘土塊が均一となって、ロータリ全体の所要動力及び振動が軽減されると共に、圃場の全ての稲株に対して耕耘爪の縦刃または横刃が必ず接触して裁断し、土中に埋め込まれる。
【0013】
b.ロータリ爪軸の同じ軸周面から放射方向に突設する爪ホルダを4個とし、そのうちの1組の爪ホルダに対して他の1組の爪ホルダをオフセットして取り付けることで、圃場の稲株に対して、耕耘爪の縦刃または横刃が必ず接触し、裁断して土中に埋設する。
c.耕耘爪の耕耘ピッチが140mm以下となるように、機体の前進速度とロータリ爪軸の回転数とを組み合わせることで、ロータリの進行方向、耕耘幅に位置する全ての稲株に耕耘爪の縦刃または横刃が接触し、裁断して土中に埋め込む。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を添付の図面(図1ないし図5)を参照して具体的に説明する。図において符号1は、機体の進行方向と直交して水平方向に延びる,上記従来のロータリ爪軸Aと同様のロータリ爪軸であり、このロータリ爪軸1の長さ方向に所定間隔をおいた複数箇所に、ほぼ同じ軸周面から放射方向に4個の爪ホルダ2を突設している。該4個の爪ホルダ2は、縦刃3a及び横刃3bを有する耕耘爪3を、横刃3bの突出方向が外側と内側に向くものを1組ずつ有し、各組の横刃3bが同一方向に向く二つの耕耘爪が180°の取付け角度(位相差)で装着している。また、2組の爪ホルダ2は、そのうちの1組の爪ホルダ2に対して他の1組の爪ホルダ2を、図4及び図5に示すように、20mmの間隔で軸方向にオフセットして取り付けている。従って、一つの軸周面の近くに配置される4本の耕耘爪3は同軸上に配置するのではなく、横刃3bが異なる方向に向く1組の耕耘爪3が同軸上に配置され、それと軸方向にオフセットした状態で横刃3bが異なる方向に向くもう1組の耕耘爪3が同軸上に配置されている。これによって、横刃3bが互いに向き合っている耕耘爪3を20mmの間隔で近づけることにより、耕耘爪3と耕耘爪3との空間を狭くできて、圃場の全ての場所でφ7cmの稲株に耕耘爪3の縦刃3aまたは横刃3bを接触させることができる。
【0015】
2組の爪ホルダ2に装着された耕耘爪3に対して、軸方向に隣接する爪ホルダ2に装着された耕耘爪3(図1において仮想線で示す)は、ロータリ爪軸1の軸周方向に位相差(リード角)35°を設けて配設している。このときの、耕耘爪3の横刃3bの突出方向が異なる爪間の取付け角度は55°と125°であり、このロータリが1回転するときの各耕耘爪3の打ち込み展開図を図2に示す。図2で明らかなように、隣接する爪ホルダ2に装着される耕耘爪3の横刃3bが対向する位相差角度が全て90°になっている。また、ロータリ爪軸1の長さ方向に対して横刃3bが同一方向に向く各耕耘爪3は螺旋状に配列されている。
【0016】
上記のように構成されたロータリは、機体の前進速度0.42m/s(1.5km/hr)、ロータリ爪軸1の回転数181rpm、耕耘ピッチ138mmの条件下で、稲刈跡圃場で耕耘作業を行うが、その場合の耕耘ピッチ及び稲株4への作用を図3に示す。この図で明らかにように、耕耘爪3と耕耘爪3の打ち込み間隔は、稲株4の大きさφ7cmより小さくなっている。このため、耕耘爪3の縦刃3aか横刃3bのいずれかが稲株4に必ず接触し、稲株4を裁断して反転させて土中に埋め込む。耕耘爪3は、幅方向に常に耕耘爪3と耕耘爪3の間隔が稲株4の大きさφ7cm以下になっているが、進行方向は、機体の前進速度とロータリ爪軸1の回転数に影響される。そこで本発明においては、その条件を満たすために、耕耘爪3の耕耘ピッチが140mm以下となるように、機体の前進速度とロータリ爪軸1の回転数とを組み合わせるようにしている。
【0017】
次に、このような構成を備えたるロータリの動作について説明する。
ロータリは、トラクタの後部に3点リンク機構を介して昇降可能に装着され、トラクタのPTO軸から動力を受けて前進方向に回転するようにし、耕耘すべき稲収穫後の圃場に導入されて、機体の前進速度0.42m/s(1.5km/hr)、ロータリ爪軸1の回転数181rpm、耕耘ピッチ138mmの条件下で耕耘作業を行う。すると、図2,図3及び図5に示すように、耕耘爪3は土塊の大きさを均一にして耕耘し、稲株4は耕耘爪3の縦刃3aか横刃3bのいずれかが必ず接触して、裁断され、反転して土中に埋め込まれていく。
【0018】
このとき、ロータリは、ロータリ爪軸1の回転によって耕耘爪3が均等に圃場に打ち込まれ、耕耘土塊が均一となって、ロータリ全体の所要動力及び振動が軽減される。従って、従来の同じ耕幅のロータリより低馬力、低振動で作業を行うことができる。また、圃場の全ての稲株に対して耕耘爪の縦刃または横刃が必ず接触し、裁断して土中に埋め込むことができる。さらに、ロータリの進行方向、耕耘幅に位置する全ての稲株に対して耕耘爪の縦刃または横刃が接触し、裁断して土中に埋め込むから、耕耘爪の本数を最小限にとどめることができ、軽量化、省力化を図ることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による耕耘爪の配列方法は、以下の作用効果を奏する。
一つには、隣接する二つの軸周面間で、横刃が互いに向き合う耕耘爪が装着される二つの爪ホルダ間に設定される位相差角度が全て90°になり、且つ、ロータリ爪軸の長さ方向に対して、横刃が同一方向に向く耕耘爪が螺旋状に配列されるので、ロータリ爪軸の回転により耕耘爪は均等に圃場に打ち込まれ、耕耘土塊が均一となり、ロータリ全体の所要動力及び振動を軽減することができると共に、圃場の全ての稲株に対して、耕耘爪の縦刃または横刃が必ず接触して裁断し、土中に埋め込むことができる。さらに、耕耘爪の本数を最小限にとどめることができる。
【0020】
また、ロータリ爪軸の同じ軸周面から放射方向に突設する爪ホルダを4個とし、そのうちの1組の爪ホルダに対して他の1組の爪ホルダをオフセットして取り付けたので、圃場の全稲株に対して、耕耘爪の縦刃または横刃が必ず接触し、裁断して土中に埋設することができる。また、耕耘爪の本数を最小限にすることができる。更に、耕耘爪の耕耘ピッチが140mm以下となるように、機体の前進速度とロータリ爪軸の回転数とを組み合わせたので、ロータリの進行方向、耕耘幅に位置する全ての稲株に対して耕耘爪の縦刃または横刃が必ず接触し、裁断して土中に埋め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による爪ホルダタイプロータリの側断面図である。
【図2】本発明によるロータリの耕耘爪打込み展開図である。
【図3】本発明のロータリによる耕耘ピッチ及び稲株への作用を示す展開図である。
【図4】本発明によるロータリの一部省略した正面図である。
【図5】本発明によるロータリと圃場の稲株への作用を示す説明図である。
【図6】従来のフランジタイプ複数配列ロータリの側断面図である。
【図7】従来のフランジタイプロータリの耕耘爪打込み展開図である。
【図8】従来のフランジタイプロータリによる耕耘ピッチ及び稲株への作用を示す展開図である。
【図9】従来のフランジタイプロータリの一部省略した正面図である。
【図10】従来の爪ホルダタイプロータリによる耕耘ピッチ及び稲株への作用を示す展開図である。
【図11】従来の爪ホルダタイプロータリの一部省略した正面図である。
【符号の説明】
1 ロータリ爪軸
2 爪ホルダ
3 耕耘爪 3a 縦刃 3b 横刃
4 稲株

Claims (2)

  1. 機体の進行方向と直交して水平方向に延びるロータリ爪軸を軸支し、縦刃及び横刃を有する耕耘爪を装着するための爪ホルダを放射方向に突設する軸周面を前記ロータリ爪軸の長さ方向に所定間隔をおいて複数箇所に設定し、隣接する二つの前記軸周面間で横刃が同一方向に向く耕耘爪が装着される二つの爪ホルダ間に所定の位相差を設けて配設する耕耘爪の配列方法であって、
    隣接する二つの前記軸周面間で、横刃が互いに向き合う耕耘爪が装着される二つの爪ホルダ間に設定される位相差角度が全て90°になり、
    且つ、前記ロータリ爪軸の長さ方向に対して、横刃が同一方向に向く耕耘爪が螺旋状に配列され、
    一つの前記軸周面上では横刃の方向が異なる二つの耕耘爪がそれぞれ装着される1組の前記爪ホルダが前記ロータリ爪軸に取り付けられると共に、その軸周面と軸方向にオフセットして横刃の方向が異なる二つの耕耘爪がそれぞれ装着される1組の前記爪ホルダが前記ロータリ爪軸に取り付けられる、
    ことを特徴とする耕耘爪の配列方法。
  2. 請求項1の耕耘爪の配列方法を採用したロータリによる耕耘作業方法であって、
    前記耕耘爪の耕耘ピッチが140mm以下となるように、前記ロータリの前進速度と前記ロータリ爪軸回転数とを組み合わせたことを特徴とする耕耘作業方法
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