JP3903802B2 - 処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器間でデータの交換を行う処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なデータ交換を行なう機器による処理システムの例として、図8にプログラマブルコントローラ等の産業用コントローラによるシステム構成例を示す。
【0003】
同図に例として示すシステムでは、4台のコントローラ100−1〜100−4が通信路200に接続され、この通信路200を介して、コントローラ100間でのデータのやり取りを行なう。また同図の例では、各コントローラ100は、それぞれ制御対象機器として入力スイッチSW1〜SW4及び出力ランプL1〜L4をもち、また変数データV1〜V4をもつ。尚通信路200上において、4台のコントローラのうち、コントローラ100−1が通信路マスタ局、他のコントローラ100−2〜100−4がスレーブ局となっている。
【0004】
各コントローラ100−1〜100−4は、プログラム101−1〜101−4に基いて、他のコントローラ100の状態を参照してその値に応じて自己の動作処理を決定する。
【0005】
図9は、図8の各コントローラ100による参照関係を示す図である。
同図において、コントローラ100−1は、コントローラ100−4内の変数V4を参照し、自己に接続されているスイッチSW1がオンでコントローラ100−4の変数V4が1のとき、ランプL1をONにすると共に変数V1に1をセットする。コントローラ100−2はコントローラ100−1内の変数V1を参照し、スイッチSW2がオンで変数V1が1のとき、ランプL2をONにすると共に変数V2に1をセットする。同様にコントローラ100−3はコントローラ100−2内の変数V3を参照し、コントローラ100−4はコントローラ100−2内の変数V2とコントローラ100−3内の変数V3を参照して、その値に応じてランプL3、L4を制御し、また変数V3、V4の値を設定している。
【0006】
このようなデータ交換を行なうシステムにおいては、各コントローラ100は自己が参照しているデータの値を他のコントローラ100から受け取り、自己に記憶している参照データ値を更新するが、このために用いられるデータ交換方式としては、
1)1マスタ対複数スレーブの構成を取ってポーリングセレクティングを行なうシリアル通信
2)トークンパッシング方式によるシリアル通信
が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のデータ交換方式では以下のような問題点がある。
問題点1
従来のポーリングセレクティングによるデータ交換方式では、通信路マスタ100−1が、他のスレーブ局100−2〜100−4から1局づつ全局から情報を収集したのち、それぞれのスレーブ局が必要とする情報のみを取り出して各局へ配信する。そのため、同じデータが通信路200上を2回伝達されることになり伝達時間がかかる。
【0008】
図10を用いて、ポーリングセレクティングによるデータ交換方式を説明する。
本データ交換方式では、通信路200上において、各局からデータを収集するデータ収集フェーズと、収集したデータから各局が必要とするデータを抽出して送信する配信フェーズが存在する。
【0009】
収集フェーズでは、通信路マスタ100−1は、まず最初のスレーブ局(図10ではコントローラ100−2)に対して、データの送信要求(リード)を行ない、これを受けたスレーブ局(コントローラ100−2)は応答として、自局の変数値を全て通信路マスタ100−1に返信する。次に通信路マスタ100−1は、次のスレーブ局(図10ではコントローラ100−3)にデータの送信要求を送り、これを受けたスレーブ局(コントローラ100−3)は、同様に応答を返す。以降全てのスレーブ局に対して、通信路マスタ100−1は、順次スレーブ局にデータの送信要求を送り、応答データを受け取る。
【0010】
全てのスレーブ局からのデータ収集が終了するとデータ配信フェーズに入り、通信路マスタ100−1は、収集データから各スレーブ局が参照しているデータを抽出して各局毎の送信データを生成する。そしてこの送信データを最初のスレーブ局(コントローラ100−2)に送り、これを受け取ったスレーブ局はデータを取り込むと共に受け取ったことを通知する応答を返信する。以降、通信路マスタ100−1は、同様に、順次各スレーブ局に参照データを送信し、全ての局に送信し終わると、データ収集フェーズに戻る。
【0011】
このポーリングセレクティングによるデータ交換方式の場合、例えば変数V2のデータはコントローラ100−2から一旦マスタであるコントローラ100−1へ行った後、セレクティングによって参照しているコントローラ100−3へ送られる。
【0012】
このように参照データは全て、通信路マスタであるコントローラ100−1を介して参照先のコントローラ100に伝達されるので、参照先に到達するまでに通信路200上を2回伝達されることになり、伝達に時間がかかる。
問題点2
トークンパッシング方式の場合、システム内の局数に変化があるとデータ交換サイクルタイムが変動する。例えば通信路に接続されている局の台数が増加するとサイクルタイムが延びるので、データ交換に対して定周期性の保証がない。
【0013】
図11を用いて、トークンパッシングによるデータ交換方式を説明する。
同図は、図8に示したシステム構成の場合の1サイクルタイムの通信路上のデータ伝送を示している。
【0014】
トークンパッシング方式では、通信路200上を巡回するトークンを保持する局が、他局にデータ送信要求を行なうことができる。
図11において、1)の時点でコントローラ100−1がトークンを保持しており、コントローラ100−1は変数V4を参照しているので、コントローラ100−4に対して変数V4の値の送信要求(リード)を行ない、それに対してコントローラ100−4は変数V4の値を返す。コントローラ100−1はこれを取り込むと共に、トークンを次のコントローラ100−2に渡す。コントローラ100−2は、コントローラ100−1と同様にして、自己が参照している変数V1の値をコントローラ100−1から読み出すと、トークンを次のコントローラ100−3に渡す。以降コントローラ100−3は、コントローラ100−2から変数V2の値を読み出すとコントローラ100−4にトークンを渡し、コントローラ100−4は、コントローラ100−2から変数V2の値、コントローラ100−3から変数V3の値を読み出すと共に、トークンをコントローラ100−1に渡す。
【0015】
トークンパッシング方式では、通信路上ではトークンの移動、参照データの読出しを各局が順繰りに行ない、トークンが全ての局を1順する同図中の1)から2)の範囲が1サイクルタイムとなる。そしてこのサイクルタイムは、同図に示すように、トークンを受け取りデータの参照を行なう局の数が増えると、その分時間が増大する。
【0016】
プラントや工場等の産業用設備では、建設中の初期段階等、まだ接続台数が最終的な数となるまで機器が揃っていない時期から試験運転を行なうケースがあるが、試験信頼度の面から、このような場合の試験時にも最終接続台数の時と差異のない、全局サンプリングの周期と同じサイクルタイムで稼動することが求められる。
問題点3
産業用設備は高い信頼性が求められるが、ノイズ等が多い環境に施設されることが多いので、耐環境性を重視して通信路は低い伝送レートでの運用を強いられる。従って、低い伝送レートでも用いることが出来るよう、高い伝送効率のネットワークが求められる。
【0017】
本発明は、上記問題点を解決するデータ交換を実現する処理システムを提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明による処理システムは、複数の局が送信先の局以外でもフレームを受信可能な通信路に接続され、該通信路を介して各局がデータを交換することを前提とする。
【0019】
そして上記複数の局の1つであるマスタ局は、ポーリングコマンド送出手段を備える。
ポーリングコマンド送出手段は、上記通信路を介して上記複数の局それぞれに対し、データ送信を要求するポーリングコマンドを順次送出する。
【0020】
また上記マスタ局を含む上記複数の局はそれぞれ、応答フレーム送出手段、抽出手段を備える。
応答フレーム送出手段は、上記ポーリングコマンドに対して自己の持つデータを格納した応答フレームを上記伝送路に送出する。
【0021】
抽出手段は、上記応答フレームが自局が参照しているデータを持つ局からの応答フレームであれば、該応答フレームから上記データを抽出する。
上記ポーリングコマンドに対して応答として送出された応答フレームに対して、抽出手段は、例えば送信元アドレスを元にして、自己が参照しているデータが格納されているかを判断し、該データを抽出手段する。また自己が参照しているデータを持つ局とその局が送出した応答フレーム内の格納位置を示す情報を記憶する参照定義テーブルを更に備えていれば、該参照定義テーブルに記憶されている格納位置からデータを抽出する。
【0022】
これにより、高速で高効率なデータ交換を実現できる。
また上記マスタ局が、上記複数の局の全ての局のデータ交換を完了させるポーリング周期を記憶するポーリング周期記憶手段を更に備え、上記ポーリングコマンド送出手段は、上記ポーリング周期以内に全ての局に対して上記ポーリングコマンドを送出し終えたならば、該周期が終わるまで新たなポーリングコマンドを送出しない構成とすることも出来る。
【0023】
これにより、全ての局におけるデータ交換は上記ポーリング周期内に行われるので、局数に拠らずデータ交換の定周期性が保証される。
更に上記複数の局がそれぞれ、自己が持つデータの内他局が参照しているものを示す被参照定義テーブルを更に備え、上記応答フレーム送出手段は、上記被参照定義テーブルを参照して他局に参照されているデータのみを格納した上記応答フレームを上記伝送路に送出する構成とすることも出来る。
【0024】
これにより、必要のないデータの送出がなくなるので、高い伝送効率を実現することが出来る。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明の1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態によるネットワークでのデータ交換方式を説明するためのシステム構成例及びそのデータ交換方式を示す図である。
【0026】
同図のシステムでは、従来例との比較の為、4台のコントローラ1−1〜1−4がマルチドロップ伝送方式による通信路2に接続され、この通信路2を介して、コントローラ1間でのデータのやり取りを行なう構成を例としている。また、各コントローラ1は、それぞれ制御対象機器として不図示の入力スイッチSW1〜SW4及び出力ランプL1〜L4をもち、また変数データV1〜V4を備えている。また各コントローラ1−1〜1−4は、図9に示したコントローラ100−1〜100−4と同様のプログラムが稼動しており、図9と同様の参照関係を持つものとする。また初期設定として、4台のコントローラのうち、通信路2上において、1つの局を通信路マスタ局、他の局をスレーブ局とする。同図ではコントローラ1−1が通信路マスタ局、他のコントローラ1−2〜1−4がスレーブ局に設定されている。
【0027】
本実施形態では、マスタ局であるコントローラ1−1が、他のスレーブ局1−2〜1−4に対して順次データの送出を要求するポーリングを行ない、これを受けた各スレーブ局は応答として他のコントローラ1に参照されているデータを格納したフレームを通信路2に送出する。各コントローラ1−1〜1−4は、自己が参照しているデータを保持するコントローラ1と、そのコントローラ1が送出するフレーム内でのその参照データの格納位置を記憶しており、ポーリングに対するフレーム送出に対して、そのフレームが自己が参照しているデータが格納されているものであったならば、そのデータを抽出する。
【0028】
図1の例においては、まずマスタ局1−1はコントローラ1−1に対してデータの送信を要求するポーリングコマンド3を送出する。コントローラ1−1とはすなわちマスタ局1−1自身であるので、コントローラ1−1は自身に宛てに応答フレーム4を通信路2上に送出する。その際他のコントローラ1−2によって参照されている変数V1を応答フレーム4中に含ませる。この応答フレーム4は、通信路2に接続されて互いデータを参照する構成となっている全ての局(マスタ局1−1及び全てのスレーブ局1−2〜1−4(コントローラ1−2〜1−4))が受信し、応答フレーム4内に自己が参照しているデータが格納されていれば、それを抽出する。同図の例では、コントローラ1−2が変数V1を応答フレーム4から抽出して取りこんでいる。
【0029】
次にマスタ局1−1は、コントローラ1−2宛てにポーリングコマンド3を送出し、コントローラ1−2は応答として変数V2のデータを格納したマスタ局1−1宛ての応答フレーム4を通信路2に送出する。そしてこの応答フレーム4を、マスタ局1−1及びスレーブ局1−2〜1−4が受信し、応答フレーム4内に自己が参照しているデータが格納されていれば、それを抽出する。同図の例では、コントローラ1−3及びコントローラ1−4が変数V2を応答フレーム4から抽出して取りこんでいる。
【0030】
以降同様にマスタ局1−1は、順次対象となっているコントローラ1に対してポーリングコマンド3を送出してゆき、これを受けたコントローラ1から返信される応答フレーム4をコントローラ1−1〜1−4全てが受信し、自己が参照しているデータを受信した応答フレーム4内から抽出して取り込む。そしてコントローラ1−4に対する同様のポーリング処理も完了し、ポーリング処理が全てのコントローラ1−1〜1−4に対して終了すると、1サイクルタイムに対応する1ポーリング周期が完了する。そして新たなポーリング期間に入ると、マスタ局1−1は再び自局(コントローラ1―1)宛てのポーリングコマンド3を送出する。
【0031】
これにより、従来のポーリングセレクティングによるデータ交換方式のように、参照データを必要とするコントローラ1にデータが伝達されるまでに、何度も同じデータが通信路2上を伝達されることなく、伝送効率良く、また高速にデータ交換を行なえる。
【0032】
図2は、図1の通信路2の構成例を示す図である。
同図に示す通信路2は、マルチドロップ伝送方式によるシリアル伝送路で2本の信号線21、22及び両端に設けられた信号反射防止用の終端抵抗23を備える。
【0033】
同図の通信路2では、2本の信号線のうち一方の信号線の方が他方より電圧が高い場合“1“、逆の場合を”0”として定義されている。例えば信号線21の方が信号線22より電圧が高い状態を“1”、逆に信号線22の方が信号線21より電圧が高い状態を“0”と定義されている。データを送信する際、各コントローラ1は、データ送信用のドライバ12を操作し、信号線の電圧を変化させてデータを送信する。また各コントローラ1では、信号線の電圧の変化を信号線22及び23に接続されている受信用のレシーバ13を用いて検出して、データを受信し、フレーム内のアドレスから自己宛てのデータかどうか識別する。
【0034】
このような構成の通信路2の場合、ネットワーク局となっている各コントローラ1−1〜1−4は、通信路2上に送出されたフレームが自己宛てでなくても受信することが出来、また送信局による1度のデータ送出によって複数の局が同時に受信することが出来る。
【0035】
図3は、本実施形態におけるコントローラ1の構成例を示す図である。
同図は、データの送受信に関連する構成要素のうち、本実施形態でのデータ交換の説明に必要な要素のみを記載している。
【0036】
コントローラ1は、図2で示したデータ送受信用のドライバ12、レシーバ13の他に、応答フレーム4の受信処理を担当する受信部14には、参照定義テーブル141及び抽出部142を備え、応答フレーム4の送信処理を担当する送信部15には、被参照定義テーブル151、抽出部152及びポーリング周期記憶部153を備える。
【0037】
各コントローラ1にはあらかじめ自局が必要な参照データが、どの局が送出する応答フレーム4中に格納されているか、また応答フレーム4中のどの位置にそのデータがあるかを参照定義テーブル141に記憶して保持する。
【0038】
同図の場合、参照定義テーブル141には、そのコントローラ1が参照している参照データが、局アドレス等のその参照データを持つコントローラ1を識別する識別子、及び応答フレーム4内での格納位置を示す情報等と対応付けられて登録されている。抽出部142は受信した応答フレーム4に対し、この参照定義テーブル141を参照しながら自己が参照している参照データを抽出し、コントローラ内部に取り込む。
【0039】
この参照定義テーブル141及び後述する被参照定義テーブル151は、コントローラ1上で稼動する各プログラム11をコンパイルする際、各コントローラ1による参照関係等を解析して生成され、プログラム11をダウンロードする際に共にコントローラ1にダウンロードされる。
【0040】
通信路マスタ局1−1がポーリングコマンド3を送出し、これを受けたスレーブ局が応答フレーム4を送出すると、応答フレーム4の送信先であるマスタ局1−1だけでなく、データ交換の対象となっているコントローラ1−1〜1−4全てが応答フレーム4を受信する。そして受信した応答フレーム4から、抽出ユニット142が、参照定義テーブル141に基いて必要とするデータを抽出し、取り込む。同図の場合、参照定義テーブル141には参照データとして変数V2,V3・・が登録されており、抽出部142は受信した応答フレーム4の送信元アドレス(及びコマンド)を参照し、送信元アドレスがコントローラ1−2、1−3・・のものであったなら、その応答フレーム4内の参照定義テーブル141に記録されている位置、例えば変数V2であったならコントローラ1−2からの応答フレーム4の後述するデータ領域の1番目の位置から抽出し、これをコントローラ内部に取り込む。
【0041】
これにより、各コントローラ1−1〜1−4は、自己が必要としている参照データをマスタ局1−1に配りなおしてもらう必要がないので、高速で効率がよいデータ交換を実現することが出来る。またマスタ局1−1は、受信フレームからのデータの抽出や収集したデータの各コントローラへの配信処理を行なわなくて良いので、マスタ局1−1の負荷を小さくすることが出来る。
【0042】
次に、図3の送信部15を用いて、マスタ局1−1によりポーリングコマンド3の送信処理及び各局によるポーリングコマンド3に対する返信として送信する応答フレーム4の送信処理について説明する。
【0043】
データ交換を行なうコントローラは、その用途によっては参照しているデータの更新が定周期で行われることが要求される。
このような要求に対して、本実施形態によるシステムでは、ポーリングコマンド3を送信するマスタ局1−1によって対処している。
【0044】
本実施形態でのデータ交換方式ではマスタ局1−1には、自局の管理化にあり、データ交換を行なうコントローラ1−1〜1−4(自局も含む)に対して、ポーリングコマンド3を送り、返信として応答フレーム4を受け取るが、全コントローラ1−1〜1−4とのポーリング処理(ポーリングコマンド3の送信/応答フレーム4の受信)が一巡するポーリング周期をポーリング周期記憶部153に記憶しており、このポーリング周期より早く全コントローラ1を一巡してしまった場合は、アイドル期間を設けることにより、コントローラ1の台数の変動に拠らずにポーリング周期を一定に保つ。尚この点については、後述する。
【0045】
また、本実施形態によるシステムでは、各コントローラ1は、他のコントローラが参照している自己のデータについて登録してある被参照定義テーブル151を備える。ポーリングコマンド3を受けたコントローラ1は、返送する応答フレーム4を生成する際、応答フレーム4内に自己の持つ全てのデータを格納するのではなく、抽出部152が被参照定義テーブル151を参照して、他のコントローラ1によって参照されているデータのみを格納する。これにより、必要とされているデータのみを送信することが出来る。尚本実施形態におけるコントローラ1は、この被参照定義テーブル151を備えない構成とすることも出来、この場合には、応答フレーム4には自己の持つ全てのデータ、若しくは他のコントローラ1による参照を考慮しない特定のデータを格納することとなる。
【0046】
図3では、被参照定義テーブル151には、変数“V4”が他のコントローラ1によって参照されているデータとして備考欄、“1”がそのデータを格納する応答フレーム4での位置として位置欄に対応付けられて記憶されており、抽出部152は、この被参照定義テーブル151に基いて応答フレーム4内のデータ部にデータを格納して、例えば変数V4のデータをデータ部の“1”に対応する部分に格納して、送信フレームを生成する。
【0047】
これにより、本実施形態では、データを格納した応答フレーム4に格納するデータ量を小さくすることが出来、伝送効率の良いデータ交換を実現することが出来る。また応答フレーム4の大きさが小さくなると、応答フレーム4の送信側及び受信側のコントローラ1において処理負荷が軽減することが出来る。
【0048】
図4に本実施形態で、通信路2上を伝送されるフレームを示す。
同図では、上段がマスタ局1−1が送信するポーリングコマンド3のフレーム、下段が応答として送信される応答フレーム4の構成を示している。
【0049】
コントローラ1から送出され、通信路2を伝送されるフレームは、基本的には、フレームの先頭を示すスタート部、フレームの送信先を示す宛先アドレス部、フレームの送信元を示す送信元アドレス部、宛先局への指示を格納するコマンド部、送信データを格納するデータ部及びフレームの終端を示すエンド部によって構成されている。
【0050】
このうち、ポーリングコマンド3では、宛先アドレス部にはポーリング処理を行なうコントローラ1の局アドレス、送信元アドレス部にはマスタ局1−1の局アドレス、そしてコマンド部にはデータの送信を要求する要求コマンドが格納されている。尚ポーリングコマンド3は、データ部を備える構成でも備えない構成でも良い。
【0051】
応答フレーム4では、宛先アドレス部にはマスタ局1−1の局アドレス、送信元アドレス部にはこの応答フレーム4を送信するコントローラ1の局アドレス、即ちポーリングコマンド3の宛先アドレス部に格納されていたアドレス、そしてコマンド部にはデータの応答であることを示す応答コマンドが格納されている。そして、応答フレーム4のデータ部には、コントローラ1が被参照定義テーブル151を備える場合、そのコントローラ1が参照されているデータが格納される。尚コントローラ1が、被参照定義テーブル151を備えない構成の場合、データ部には、自己の全ての変数のデータを格納する構成となる。
【0052】
図5は、応答フレーム4のデータ部の構成例を示す図である。
データ部は、システムを構成するコントローラの種類や、使用目的、交換するデータ構成等によって種々の構成を取ることが考えられる。
【0053】
同図(a)、(b)、(c)はその一例である。
同図(a)の構成は、格納するデータそれぞれの領域を固定長とした構成である。この構成では、格納されているデータの数を示す点数と、データ型(1,16,32bit)と32ビットのデータ格納領域が対となって点数の領域に記録されている数だけ設けられている。また同図(b)の構成は、データの格納領域を可変長としたもので、点数の領域に記憶されている数のデータ型とそのデータ型の大きさのデータ格納領域の対が点数の領域に記録されている数だけ設けられている。更に同図(c)の構成は、データ部に格納するデータの型を固定としたもので、点数及びデータ型の領域を1つずつと点数に記憶されている数のデータ型領域に設定されている型のデータの格納領域が点数の領域に記録されている数だけ設けられている。参照定義テーブル141及び被参照定義テーブル151に記憶されているフレーム内の格納位置の情報は、このデータ部での位置を示すもので、例えば“1”であったならデータ部の最初のデータが対応する。
【0054】
尚図4の応答フレーム4及び図5に示したフレームの構成は、一例であり本実施形態におけるフレームはこれに限定されるものではない。
次に、ポーリング周期を一定とした場合におけるデータ交換方式を説明する。
【0055】
図6はポーリング周期が一定になるように制御した場合の通信路2のフレームの送出状況を示したモデル図である。
同図の場合は、最終的にコントローラ1が5台接続される構成のシステムにおいて、まだ4台しか接続されていないテスト段階の状況を示している。
【0056】
この場合、マスタ局1−1は、コントローラ1−1、コントローラ1−2、・・と順番にポーリング処理を行ってゆくが、本来より接続台数が少ないため、最後のコントローラ1−4からの応答フレーム4を受け取った段階でかかった時間は、本来全てのコントローラ1の参照データを更新するに要する時間より短くなる。これに対処する為、マスタ局1−1は、ポーリング周期記憶部153にセットされている最終的な状態での周期時間にポーリング周期がなるように、アイドル期間を設けて調節する。
【0057】
同図では、最後のコントローラ1−4が通信路2に送出した応答フレーム4を受けとった後、マスタ局1−1はすぐに次の周期には入らず、アイドル期間として自己が最初の局にポーリングコマンド3を送出してからの時間がポーリング周期記憶部153にセットされている時間になるまでポーリングコマンド3を送出するのを停止する。そして、ポーリング周期記憶部153に記憶されている時間になると、マスタ局1−1は次の周期に入って、ポーリングコマンド3を送出する。尚同図では、アイドル期間を全ての局に対するポーリング処理が完了した最後に行っているが、各局のポーリング処理の間に入れても良い。但しこの構成の場合には、最後にアイドル期間を設ける構成より、吸収出来る各局の処理による遅延の量が小さくなる。
【0058】
図7は、システムに最終接続台数である5台のコントローラ1が接続された状態での通信路2のフレームの送出状況を示したモデル図である。
同図において、図6でアイドル期間となっていた期間に5台目のコントローラ1−5に対するポーリング処理が行われるので、コントローラ1の台数が増えてもポーリング周期は変わらず、参照データ更新の定周期性は保たれる。
【0059】
尚、必ずしも定周期性の保証を求められるわけではないので、このポーリング周期を一定にする処理は、本実施形態によるシステムにおいて必須の処理ではなく、その用途において必要な場合にのみ行われる。
【0060】
また、本実施形態では産業用のコントローラによるシステムを例として示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各機器が通信路を介してデータを交換しながら分散処理を行うシステムすべてに対して適用することが出来る。
【0061】
更に本実施形態では、通信路としてマルチドロップ方式のシリアル通信路を例として示したが、本発明の通信路はこれのみに限定されるものではなく、送信フレームを送信先以外の局も受け取ることが出来る通信路であればどのようなものでも良く、パラレル通信路でも、無線通信路でも良い。
【0062】
【発明の効果】
本発明に拠ればマスタ局が行なう高速なデータ交換を実現することが出来る。また接続台数に増減があっても、データ交換の周期を一定に保つことが出来、定周期性を保証することが出来る。
【0063】
更に無駄なデータ送出がなくなり伝送効率の高いデータ交換を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態によるネットワークでのデータ交換方式を説明するためのシステム構成例及びデータ交換方式を示す図である。
【図2】本実施形態における通信路の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態におけるコントローラの構成例を示す図である。
【図4】通信路上を伝送されるフレームを示すモデル図である。
【図5】応答フレームのデータ部の構成例を示す図である。
【図6】ポーリング周期が一定になるように制御した場合の通信路のフレームの送出状況を示したモデル図である(全台数揃っていない場合)。
【図7】ポーリング周期が一定になるように制御した場合の通信路のフレームの送出状況を示したモデル図である(全台数揃っている場合)。
【図8】一般的なデータ交換を必要とする産業用コントローラのシステム構成例を示す図である。
【図9】各コントローラによる参照関係を示す図である。
【図10】ポーリングセレクティングによるデータ交換方式を説明する図である。
【図11】トークンパッシングによるデータ交換方式を説明する図である。
【符号の説明】
1 コントローラ
2 通信路
3 ポーリングコマンド
4 応答フレーム
11プログラム
141 参照定義テーブル
142,152 抽出部
151 被参照定義テーブル
153 ポーリング周期記憶部

Claims (6)

  1. 複数の局が送信先の局以外でもフレームを受信可能な通信路に接続され、該通信路を介して各局がデータを交換する処理システムにおいて、
    前記複数の局の1つであるマスタ局は、
    前記通信路を介して前記複数の局それぞれに対し、データ送信を要求するポーリングコマンドを順次送出するポーリングコマンド送出手段と、
    を備え、
    前記マスタ局を含む前記複数の局はそれぞれ、
    前記ポーリングコマンドに対して自己の持つデータを格納した応答フレームを前記伝送路に送出する応答フレーム送出手段と、
    前記応答フレームが自局が参照しているデータを持つ局からの応答フレームであれば、該応答フレームから前記データを抽出する抽出手段と
    自己が参照しているデータを持つ局とその局が送出した応答フレーム内の格納位置を示す情報を記憶する参照定義テーブルと、
    を備え
    前記抽出手段は、前記参照定義テーブルを参照して前記応答フレームから前記データを抽出することを特徴とする処理システム。
  2. 複数の局が送信先の局以外でもフレームを受信可能な通信路に接続され、該通信路を介して各局がデータを交換する処理システムにおいて、
    前記複数の局の1つであるマスタ局は、
    前記通信路を介して前記複数の局それぞれに対し、データ送信を要求するポーリングコマンドを順次送出するポーリングコマンド送出手段と、
    を備え、
    前記マスタ局を含む前記複数の局はそれぞれ、
    前記ポーリングコマンドに対して自己の持つデータを格納した応答フレームを前記伝送路に送出する応答フレーム送出手段と、
    前記応答フレームが自局が参照しているデータを持つ局からの応答フレームであれば、該応答フレームから前記データを抽出する抽出手段と、
    自己が参照しているデータを持つ局とその局が送出した応答フレーム内の格納位置を示す情報を記憶する参照定義テーブルと、
    自己が持つデータの内他局が参照しているものを示す被参照定義テーブルと
    を備え、
    前記抽出手段は、前記参照定義テーブルを参照して前記応答フレームから前記データを抽出し、前記応答フレーム送出手段は、前記被参照定義テーブルを参照して他局に参照されているデータのみを格納した前記応答フレームを前記伝送路に送出することを特徴とする処理システム。
  3. 複数の局が送信先の局以外でもフレームを受信可能な通信路に接続され、該通信路を介して各局がデータを交換する処理システムにおいて、
    前記複数の局の1つであるマスタ局は、
    前記通信路を介して前記複数の局それぞれに対し、データ送信を要求するポーリングコマンドを順次送出するポーリングコマンド送出手段と、
    を備え、
    前記マスタ局を含む前記複数の局はそれぞれ、
    前記ポーリングコマンドに対して自己の持つデータを格納した応答フレームを前記伝送路に送出する応答フレーム送出手段と、
    前記応答フレームが自局が参照しているデータを持つ局からの応答フレームであれば、該応答フレームから前記データを抽出する抽出手段と、
    自己が持つデータの内他局が参照しているものを示す被参照定義テーブルと
    を備え、
    前記応答フレーム送出手段は、前記被参照定義テーブルを参照して他局に参照されてい るデータのみを格納した前記応答フレームを前記伝送路に送出することを特徴とする処理システム。
  4. 前記抽出手段は、前記応答フレーム内に記憶されている送信元局が、自己が参照しているデータを保持している局であった時、前記データを抽出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の処理システム。
  5. 前記マスタ局は、前記複数の局の全ての局のデータ交換を完了させるポーリング周期を記憶するポーリング周期記憶手段を更に備え、前記ポーリングコマンド送出手段は、前記ポーリング周期以内に全ての局に対して前記ポーリングコマンドを送出し終えたならば、該周期が終わるまで新たなポーリングコマンドを送出しないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の処理システム。
  6. 前記伝送路は、マルチドロップ方式によるものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の処理システム。
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