JP3902504B2 - Plant control equipment - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラントの制御装置に関し、特にロバスト制御理論の一つであるスライディングモード制御理論を応用したスライディングモードコントローラによりプラントを制御するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
スライディングモード制御理論を応用した制御装置は、例えば特開平9−274504号公報に示されている。この公報には、スライディングモード制御理論における超平面を、制御状態量の収束状態に応じて設定する手法が提案されており、その手法により、スライディングモード制御の収束応答性や収束安定性の向上が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
スライディングモードコントローラにより制御対象であるプラントの制御を行う場合、プラントをモデル化し、その制御対象モデルの特性を示すモデルパラメータを決定する必要がある。モデルパラメータとしては、予め定めた一定値を使用することもできるが、通常経年変化や外乱により、モデルパラメータの値は変化する。したがって、モデルパラメータをリアルタイムで同定するモデルパラメータ同定器を使用し、モデルパラメータ同定器により同定されたモデルパラメータを用いてスライディングモード制御を実行することが望ましい。
【0004】
しかし、モデルパラメータ同定器は、同定したモデルパラメータを用いて算出されるプラントの出力と、実際のプラントの出力との偏差を同定誤差として検出し、同定誤差が0となるようにモデルパラメータを修正するものであるため、以下のような問題が発生する。
【0005】
すなわち、プラントが有する非線形特性や平均値が0でない外乱が加わることなどに起因して、実際にはほぼ最適なモデルパラメータが得られているにも関わらず、同定誤差が0とならず、本来は不要なモデルパラメータの修正を行う場合がある。その結果、モデルパラメータが最適値から徐々にずれていってしまうドリフトが発生し、スライディングモードコントローラによる制御が不安定となる場合があった。
【0006】
本発明はこの点に着目してなされたものであり、制御対象であるプラントをモデル化してモデルパラメータの同定を行い、同定したモデルパラメータを用いてスライディングモード制御を行う場合の制御をより安定化することができるプラントの制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、同定手段と、スライディングモードコントローラとを備えるプラントの制御装置を提供する。同定手段は、プラントをモデル化した制御対象モデルのモデルパラメータベクトル(θ)を、前記プラントの入力及び出力に基づいて同定する。スライディングモードコントローラは、前記同定手段により同定されたモデルパラメータベクトルを用いて前記プラントを制御する。前記同定手段は、前記モデルパラメータベクトルの同定誤差(ide)を算出する同定誤差算出手段と、該同定誤差に応じて更新ベクトル(dθ)を算出する更新ベクトル算出手段と、該更新ベクトルの少なくとも1つの要素の過去値に0より大きく1より小さい所定値(DELTAi)を乗算することにより、前記更新ベクトルを修正する更新ベクトル修正手段と、前記プラントの出力を示すパラメータ(DTH,TH,THR,DTHR)に応じて前記モデルパラメータベクトルの基準ベクトル(θbase)を設定する基準ベクトル設定手段とを有し、前記基準ベクトル設定手段により設定された基準ベクトル(θbase)に修正された更新ベクトルを加算することにより、前記モデルパラメータベクトルを算出する。
【0008】
この構成によれば、モデルパラメータベクトルの同定誤差に応じて更新ベクトルが算出され、該更新ベクトルの少なくとも1つの要素の過去値に0より大きく1より小さい所定値を乗算することにより、更新ベクトルが修正され、モデルパラメータの基準ベクトルに修正された更新ベクトルを加算することにより、モデルパラメータベクトルが算出されるので、更新ベクトルの要素のとりうる値が制限され、モデルパラメータベクトルを基準ベクトル近傍に安定させることができる。その結果、モデルパラメータのドリフトが防止され、スライディングモード制御の安定性を向上させることができる。さらに基準ベクトルはプラントの出力を示すパラメータに応じて設定されるので、プラントの出力変化に対応する動特性の変化に適応させることができる。
【0009】
前記更新ベクトル修正手段は、前記更新ベクトルの、前記プラントの入力に関わる要素(b1の演算に関わる要素)または前記プラントの入出力に関わらない要素(c1の演算に関わる要素)については、前記所定値を乗算しないことが望ましい。
【0010】
この構成によれば、更新ベクトルの要素のうち、プラントの入力に関わる要素またはプラントの入出力に関わらない要素については、0より大きく1より小さい所定値が乗算されないので、更新ベクトルの修正による定常偏差の発生を防止することができる。
【0016】
前記同定手段は、固定ゲインアルゴリズムを用いて前記モデルパラメータベクトルの同定を行うことが望ましい。
この構成によれば、固定ゲインアルゴリズムを用いてモデルパラメータベクトルが算出されるので、演算量を低減することができる。
【0017】
前記同定誤差算出手段は、前記同定誤差のローパスフィルタ処理を行い、該処理後の同定誤差を出力することが望ましい。
この構成によれば、ローパスフィルタ処理後の同定誤差を用いてモデルパラメータベクトルの同定が行われるので、制御対象モデルの周波数特性が、プラントの実際の周波数特性とより近いものとなり、制御のロバスト性を高め、制御をさらに安定化することができる。
【0018】
前記プラントの制御装置は、前記プラントの出力の予測値(PREDTH)を算出する予測手段をさらに備えることが望ましい。
この構成によれば、予測手段によりプラントの出力の予測値が算出されるので、むだ時間要素を有するプラントの制御を精度良く行うことができる。
【0019】
前記予測手段は、前記同定手段により同定されたモデルパラメータを用いて前記予測値の算出を行うことが望ましい。
この構成によれば、同定手段により同定されたモデルパラメータを用いて予測値の算出が行われるので、プラントの動特性が経時変化した場合や環境条件などによって変化した場合でも精度のよい予測値を算出することができる。
【0020】
前記スライディングモードコントローラによる前記プラントへの制御入力は、適応則入力を含むことが望ましい。
この構成によれば、プラントへの制御入力は適応則入力を含むので、外乱やモデル化誤差(実際のプラントの特性と、モデル化した制御対象モデルの特性との差)があっても、良好な制御性を実現することができる。
【0021】
前記プラントは、内燃機関のスロットル弁(3)と、該スロットル弁を駆動する駆動手段(6)とを有するスロットル弁駆動装置(10)を含み、前記スライディングモードコントローラは、前記スロットル弁の開度(TH)を目標開度(THR)に一致させるように、前記スロットル弁駆動装置への制御入力を決定するパラメータ(DUT)を算出することが望ましい。
【0022】
この構成によれば、同定手段により同定された安定なモデルパラメータを用いて、スライディングモードコントローラにより、スロットル弁開度を目標開度に一致させる制御が行われるので、スロットル弁開度の目標開度への制御性を向上させ、しかも安定した制御を実現することができる。
【0023】
前記プラントは、内燃機関(212)と、該機関に燃料を供給する燃料供給手段(211)とを有する機関システム(201)を含み、前記スライディングモードコントローラは、前記機関に供給される混合気の空燃比を目標空燃比に一致させるように、前記機関システムへの制御入力を決定するパラメータ(DKAF)を算出することが望ましい。
【0024】
この構成によれば、同定手段により同定された安定なモデルパラメータを用いて、スライディングモードコントローラにより、空燃比を目標空燃比に一致させる制御が行われるので、空燃比の目標空燃比への制御性を向上させ、しかも安定した制御を実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態にかかるスロットル弁制御装置の構成を示す図である。内燃機関(以下「エンジン」という)1の吸気通路2には、スロットル弁3が設けられている。スロットル弁3には、該スロットル弁3を閉弁方向に付勢する第1付勢手段としてのリターンスプリング4と、該スロットル弁3を開弁方向に付勢する第2付勢手段としての弾性部材5とが取り付けられている。またスロットル弁3は、駆動手段としてのモータ6によりギヤ(図示せず)を介して駆動できるように構成されている。モータ6による駆動力がスロットル弁3に加えられない状態では、スロットル弁3の開度THは、リターンスプリング4の付勢力と、弾性部材5の付勢力とが釣り合うデフォルト開度THDEF(例えば5度)に保持される。
【0026】
モータ6は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)7に接続されており、その作動がECU7により制御される。スロットル弁3には、スロットル弁開度THを検出するスロットル弁開度センサ8が設けられており、その検出信号は、ECU7に供給される。
【0027】
またECU7には、エンジン1が搭載された車両の運転者の要求出力を検出するアクセルペダルの踏み込み量ACCを検出するアクセルセンサ9が接続されており、その検出信号がECU7に供給される。
ECU7は、スロットル弁開度センサ8及びアクセルセンサ9の検出信号が供給される入力回路、入力信号をディジタル信号に変換するAD変換回路、各種演算処理を実行する中央演算ユニット(CPU)、CPUが実行するプログラムやプログラムで参照されるマップやテーブルなどを格納するROMと演算結果を格納するRAMとからなるメモリ回路、及びモータ6に駆動電流を供給する出力回路を備えている。ECU7は、アクセルペダルの踏み込み量ACCに応じてスロットル弁3の目標開度THRを決定し、検出したスロットル弁開度THが目標開度THRと一致するようにモータ6の制御量DUTを決定し、制御量DUTに応じた電気信号をモータ6に供給する。
【0028】
本実施形態では、スロットル弁3、リターンスプリング4、弾性部材5及びモータ6からなるスロットル弁駆動装置10を制御対象とし、該制御対象に対する入力をモータ6に印加する電気信号のデューティ比DUTとし、制御対象の出力をスロットル弁開度センサ8により検出されるスロットル弁開度THとする。
【0029】
スロットル弁駆動装置10の応答周波数特性を実測すると、図2に実線で示すゲイン特性及び位相特性が得られる。そこで、下記式(1)で定義されるモデルを制御対象モデルとして設定した。このモデルの応答周波数特性は、図2に破線で示すようになり、スロットル弁駆動装置10の特性に近似していることが確認されている。

Figure 0003902504
ここで、kは離散化された時間を表すパラメータであり、DTH(k)は下記式(2)により定義されるスロットル弁開度偏差量である。
DTH(k)=TH(k)−THDEF (2)
ここで、THは検出したスロットル弁開度、THDEFは前記デフォルト開度である。
また式(1)のa1,a2,b1,c1は、制御対象モデルの特性を決めるモデルパラメータであり、dはむだ時間である。
【0030】
上記式(1)で定義されるモデルは、適応制御の適用を容易にするために採用した、離散時間系のDARXモデル(delayed autoregressive model with exogeneous input:外部入力を持つ自己回帰モデル)である。
式(1)においては、出力の偏差量DTHに関わるモデルパラメータa1,a2、入力のデューティ比DUTに関わるモデルパラメータb1の他に、入出力に関わらないモデルパラメータc1が採用されている。このモデルパラメータc1は、デフォルト開度THDEFのずれやスロットル弁駆動装置に加わる外乱を示すパラメータである。すなわち、モデルパラメータ同定器により、モデルパラメータa1,a2,b1と同時にモデルパラメータc1を同定することにより、デフォルト開度ずれや外乱を同定できるようにしている。
【0031】
図3は、ECU7により実現されるスロットル弁制御装置の機能ブロック図であり、この制御装置は、適応スライディングモードコントローラ21と、モデルパラメータ同定器22と、むだ時間dが経過した後の予測スロットル弁開度偏差量(以下「予測偏差量」という)PREDTH(k)(=DTH(k+d))を算出する状態予測器23と、アクセルペダル踏み込み量ACCに応じてスロットル弁3の目標開度THRを設定する目標開度設定部24とからなる。
【0032】
適応スライディングモードコントローラ21は、検出したスロットル弁開度THが目標開度THRと一致するように、適応スライディングモード制御によりデューティ比DUTを算出し、該算出したデューティ比DUTを出力する。
適応スライディングモードコントローラ21を用いることにより、スロットル弁開度THの目標開度THRへの追従応答特性を、所定のパラメータ(VPOLE)を用いて適宜変更することが可能となり、その結果スロットル弁3を開弁位置から全閉位置に移動させる際の衝撃(スロットル全閉ストッパへの衝突)の回避、及びアクセル操作に対するエンジンレスポンスの可変化が可能となる。また、モデルパラメータの誤差に対する安定性を確保することが可能となる。
【0033】
モデルパラメータ同定器22は、修正モデルパラメータベクトルθL(θLT=[a1,a2,b1,c1])を算出し、適応スライディングモードコントローラ21に供給する。より具体的には、モデルパラメータ同定器22は、スロットル弁開度TH及びデューティ比DUTに基づいて、モデルパラメータベクトルθを算出する。さらに、そのモデルパラメータベクトルθに対してリミット処理を行うことにより修正モデルパラメータベクトルθLを算出し、該修正モデルパラメータベクトルθLを適応スライディングモードコントローラ21に供給する。このようにしてスロットル弁開度THを目標開度THRに追従させるために最適なモデルパラメータa1,a2,b1が得られ、さらに外乱及びデフォルト開度THDEFのずれを示すモデルパラメータc1が得られる。
【0034】
リアルタイムでモデルパラメータを同定するモデルパラメータ同定器22を用いることにより、エンジン運転条件の変化への適応、ハードウエアの特性ばらつきの補償、電源電圧変動の補償、及びハードウエア特性の経年変化への適応が可能となる。
【0035】
状態予測器23は、スロットル弁開度TH及びデューティ比DUTに基づいて、むだ時間d後のスロットル弁開度TH(予測値)、より具体的には予測偏差量PREDTHを算出し、適応スライディングモードコントローラ21に供給する。予測偏差量PREDTHを用いることにより、制御対象のむだ時間に対する制御系のロバスト性を確保し、特にむだ時間が大きいデフォルト開度THDEF近傍での制御性を向上させることができる。
【0036】
次に適応スライディングモードコントローラ21の動作原理を説明する。
先ず下記式(3)により、目標値DTHR(k)を目標開度THR(k)とデフォルト開度THDEFとの偏差量として定義する。
DTHR(k)=THR(k)−THDEF (3)
ここで、スロットル弁開度偏差量DTHと、目標値DTHRとの偏差e(k)を下記式(4)で定義すると、適応スライディングモードコントローラの切換関数値σ(k)は、下記式(5)にように設定される。
Figure 0003902504
ここで、VPOLEは、−1より大きく1より小さい値に設定される切換関数設定パラメータである。
【0037】
縦軸を偏差e(k)とし、横軸を前回偏差e(k-1)として定義される位相平面上では、σ(k)=0を満たす偏差e(k)と、前回偏差e(k-1)との組み合わせは、直線となるので、この直線は一般に切換直線と呼ばれる。スライディングモード制御は、この切換直線上の偏差e(k)の振る舞いに着目した制御であり、切換関数値σ(k)が0となるように、すなわち偏差e(k)と前回偏差e(k-1)の組み合わせが位相平面上の切換直線上に載るように制御を行い、外乱やモデル化誤差(実際のプラントの特性と、モデル化した制御対象モデルの特性との差)に対してロバストな制御を実現するものである。その結果、スロットル弁開度偏差量DTHは、目標値DTHRに追従するように、良好なロバスト性を持って制御される。
【0038】
また式(5)の切換関数設定パラメータVPOLEの値を変更することにより、図4に示すように、偏差e(k)の減衰特性、すなわちスロットル弁開度偏差量DTHの目標値DTHRへの追従特性を変更することができる。具体的には、VPOLE=−1とすると、全く追従しない特性となり、切換関数設定パラメータVPOLEの絶対値を小さくするほど、追従速度を速めることができる。
【0039】
スロットル弁制御装置においては、下記要求A1及びA2が満たされることが求められる。
A1)スロットル弁3を全閉位置に移動させる際にスロットル全閉ストッパへの衝突を回避すること
A2)デフォルト開度THDEF近傍における非線形特性(リターンスプリング4の付勢力と弾性部材5の付勢力とが釣り合うことに起因する弾性特性の変化、モータ6とスロットル弁3と間に介装されたギヤのバックラッシ、デューティ比DUTの変化してもスロットル弁開度が変化しない不感帯)に対する制御性を向上させること
そのため、スロットル弁の全閉位置近傍では、偏差e(k)の収束速度を低下させ、またデフォルト開度THDEFの近傍では、収束速度を高める必要がある。
【0040】
スライディングモード制御によれば、切換関数設定パラメータVPOLEを変更することにより、容易に収束速度を変更できるので、本実施形態では、スロットル弁開度TH及び目標値DTHRの変化量DDTHR(=DTHR(k)−DTHR(k-1))に応じて、切換関数設定パラメータVPOLEを設定するようにした。これにより、上記要求A1及びA2を満たすことができる。
【0041】
上述したようにスライディングモード制御では、偏差e(k)と前回偏差e(k-1)の組み合わせ(以下「偏差状態量」という)を切換直線上に拘束することにより、偏差e(k)を指定した収束速度で、かつ外乱やモデル化誤差に対してロバストに、0に収束させる。したがって、スライディングモード制御では、如何にして偏差状態量を切換直線に載せ、そこに拘束するかが重要となる。
【0042】
そのような観点から、制御対象への入力(コントローラの出力)DUT(k)(Usl(k)とも表記する)は、下記式(6)に示すように、等価制御入力Ueq(k)、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp(k)の和として構成される。
Figure 0003902504
【0043】
等価制御入力Ueq(k)は、偏差状態量を切換直線上に拘束するための入力であり、到達則入力Urch(k)は、偏差状態量を切換直線上へ載せるための入力であり、適応則入力Uadp(k)は、モデル化誤差や外乱の影響を抑制し、偏差状態量を切換直線へ載せるための入力である。以下各入力Ueq(k),Urch(k)及びUadp(k)の算出方法を説明する。
【0044】
等価制御入力Ueq(k)は、偏差状態量を切換直線上に拘束するための入力であるから、満たすべき条件は下記式(7)で与えられる。
σ(k)=σ(k+1) (7)
式(1)並びに式(4)及び(5)を用いて式(7)を満たすデューティ比DUT(k)を求めると、下記式(9)が得られ、これが等価制御入力Ueq(k)となる。さらに、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp(k)を、それぞれ下記式(10)及び(11)により定義する。
【数1】
Figure 0003902504
ここで、F及びGは、それぞれ到達則制御ゲイン及び適応則制御ゲインであり、以下に述べるように設定される。またΔTは、制御周期である。
【0045】
上記式(9)の演算には、むだ時間d経過後のスロットル弁開度偏差量DTH(k+d)及び対応する目標値DTHR(k+d+1)が必要である。そこで、むだ時間d経過後のスロットル弁開度偏差量DTH(k+d)として、状態予測器23により算出される予測偏差量PREDTH(k)を用い、目標値DTHR(k+d+1)として、最新の目標値DTHRを用いることとする。
【0046】
次に到達則入力Urch及び適応則入力Uadpにより、偏差状態量が安定に切換直線上に載せられるように、到達則制御ゲインF及び適応則制御ゲインGの決定を行う。
具体的には外乱V(k)を想定し、外乱V(k)に対して切換関数値σ(k)が安定であるための条件を求めることにより、ゲインF及びGの設定条件を求める。その結果、ゲインF及びGの組み合わせが、下記式(12)〜(14)を満たすこと、換言すれば図5にハッチングを付して示す領域内にあることが安定条件として得られた。
【0047】
F>0 (12)
G>0 (13)
F<2−(ΔT/2)G (14)
以上のように、式(9)〜(11)により、等価制御入力Ueq(k)、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp(k)を算出し、それらの入力の総和として、デューティ比DUT(k)を算出することができる。
【0048】
モデルパラメータ同定器22は、前述したように制御対象の入力(DUT(k))及び出力(TH(k))に基づいて、制御対象モデルのモデルパラメータベクトルを算出する。具体的には、モデルパラメータ同定器22は、下記式(15)による逐次型同定アルゴリズム(一般化逐次型最小2乗法アルゴリズム)により、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出する。
θ(k)=θ(k-1)+KP(k)ide(k) (15)
θ(k)T=[a1’,a2’,b1’,c1’] (16)
【0049】
ここで、a1’,a2’,b1’及びC1’は、後述するリミット処理を実施する前のモデルパラメータである。またide(k)は、下記式(17)、(18)及び(19)により定義される同定誤差である。DTHHAT(k)は、最新のモデルパラメータベクトルθ(k-1)を用いて算出される、スロットル弁開度偏差量DTH(k)の推定値(以下「推定スロットル弁開度偏差量」という)である。KP(k)は、下記式(20)により定義されるゲイン係数ベクトルである。また、式(20)のP(k)は、下記式(21)により算出される4次の正方行列である。
【数2】
Figure 0003902504
【数3】
Figure 0003902504
【0050】
式(21)の係数λ1,λ2の設定により、式(15)〜(21)による同定アルゴリズムは、以下のような4つの同定アルゴリズムのいずれかになる。
λ1=1,λ2=0 固定ゲインアルゴリズム
λ1=1,λ2=1 最小2乗法アルゴリズム
λ1=1,λ2=λ 漸減ゲインアルゴリズム(λは0,1以外の所定値)
λ1=λ,λ2=1 重み付き最小2乗法アルゴリズム(λは0,1以外の所定値)
【0051】
一方本実施形態では、下記B1)、B2)、B3)の要求を満たすことが求められる。
B1)準静的動特性変化及びハードウエアの特性ばらつきに対する適応
「準静的動特性変化」とは、例えば電源電圧の変動やハードウエアの経年劣化といった変化速度の遅い特性変化を意味する。
B2)速い動特性変化への適応
具体的には、スロットル弁開度THの変化に対応する動特性変化への適応を意味する。
B3)モデルパラメータのドリフト防止
モデルパラメータに反映すべきでない制御対象の非線形特性などに起因する同定誤差の影響によって引き起こされるドリフト、すなわちモデルパラメータの絶対値が増大することを防止する。
【0052】
先ず上記B1)及びB2)の要求を満たすために、係数λ1及びλ2をそれぞれ所定値λ及び「0」に設定することにより、重み付き最小2乗法アルゴリズムを採用する。
【0053】
次にモデルパラメータのドリフトについて説明する。図6に示すように、モデルパラメータがある程度収束した後に、スロットル弁の摩擦特性などの非線形特性によって生じる残留同定誤差が存在したり、平均値がゼロでない外乱が定常的に加わるような場合には、残留同定誤差が蓄積し、モデルパラメータのドリフトを引き起こす。
【0054】
このような残留同定誤差は、モデルパラメータの値に反映すべきものではないので、図7(a)に示すような不感帯関数Fnlを用いて不感帯処理を行う。具体的には、下記式(23)により、修正同定誤差idenl(k)を算出し、この修正同定誤差idenl(k)を用いてモデルパラメータベクトルθ(k)の算出を行う。すなわち、上記式(15)に代えて下記式(15a)を用いる。これにより、上記要求B3)を満たすことができる。
idenl(k)=Fnl(ide(k)) (23)
θ(k)=θ(k-1)+KP(k)idenl(k) (15a)
【0055】
なお、不感帯関数Fnlは、図7(a)に示すものに限るものではなく、例えば同図(b)に示すような不連続不感帯関数、または同図(c)に示すような不完全不感帯関数を用いてもよい。ただし、不完全不感帯関数を用いた場合には、ドリフトを完全に防止することはできない。
【0056】
また、残留同定誤差は、スロットル弁開度THの変動量に応じてその振幅が変化する。そこで、本実施形態では、図7に示す不感帯の幅を定義する不感帯幅パラメータEIDNRLMTを、下記式(24)により算出される、目標スロットル弁開度THRの変化量の二乗平均値DDTHRSQAに応じて設定する(具体的には、二乗平均値DDTHRSQAが増加するほど、不感帯幅パラメータEIDNRLMTが増加するように設定する)ようにしている。これにより、モデルパラメータの値に反映させるべき同定誤差を、残留同定誤差として無視してしまうことを防止することができる。式(24)のDDTHRは、目標スロットル弁開度THRの変化量であり、下記式(25)により算出される。
【数4】
Figure 0003902504
【0057】
ここで、スロットル弁開度偏差量DTHは目標値DTHRへ適応スライディングモードコントローラ21により制御されているため、同様に式(25)の目標値DTHRをスロットル弁開度偏差量DTHへ変更し、スロットル弁開度偏差量DTHの変化量DDTHを算出し、式(24)のDDTHRをDDTHに代えて得られる二乗平均値DDTHRSQAに応じて不感帯幅パラメータEIDNRLMTを設定することもできる。
【0058】
また制御系のロバスト性をさらに高めるためには、適応スライディングモードコントローラ21をより安定化させることが有効である。そこで本実施形態では、前記式(15)により算出されたモデルパラメータベクトルθ(k)の各要素a1’,a2’,b1’及びc1’についてリミット処理を施し、修正モデルパラメータベクトルθL(k)(θL(k)T=[a1,a2,b1,c1])を算出する。そして、適応スライディングモードコントローラ21は、修正モデルパラメータベクトルθL(k)を用いて、スライディングモード制御を実行する。なおリミット処理の詳細については、フローチャートを参照して後述する。
【0059】
次に状態予測器23による予測偏差量PREDTHの算出方法を説明する。
先ず下記式(26)〜(29)により、マトリクスA及びBと、ベクトルX(k)及びU(k)を定義する。
【数5】
Figure 0003902504
これらのマトリクスA,Bと、ベクトルX(k),U(k)を用いて、制御対象モデルを定義する前記式(1)を書き直すと、下記式(30)が得られる。
X(k+1)=AX(k)+BU(k-d) (30)
【0060】
式(30)からX(k+d)を求めると、下記式(31)が得られる。
【数6】
Figure 0003902504
ここで、リミット処理前のモデルパラメータa1’,a2’,b1’及びc1’を用いてマトリクスA’及びB’を下記式(32)及び(33)により定義すると、予測ベクトルXHAT(k+d)は、下記式(34)で与えられる。
【数7】
Figure 0003902504
【0061】
予測ベクトルXHAT(k+d)の第1行の要素であるDTHHAT(k+d)が、予測偏差量PREDTH(k)であり、下記式(35)で与えられる。
Figure 0003902504
ここで、α1はマトリクスA’dの1行1列要素、α2はマトリクスA’dの1行2列要素、βiはマトリクスA’d-iB’の1行1列要素、γiはマトリクスA’d-iB’の1行2列要素である。
【0062】
式(35)により算出される予測偏差量PREDTH(k)を、前記式(9)に適用し、さらに目標値DTHR(k+d+1),DTHR(k+d),及びDTHR(k+d-1)をそれぞれDTHR(k),DTHR(k-1),及びDTHR(k-2)に置き換えることにより、下記式(9a)が得られる。式(9a)により、等価制御入力Ueq(k)を算出する。
【数8】
Figure 0003902504
【0063】
また、式(35)により算出される予測偏差量PREDTH(k)を用いて、下記式(36)により予測切替関数値σpre(k)を定義し、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp(k)を、それぞれ下記式(10a)及び(11a)により算出する。
Figure 0003902504
【数9】
Figure 0003902504
【0064】
次にモデルパラメータc1’は、前述したように、デフォルト開度THDEFのずれ及び外乱を示すパラメータである。したがって、図8に示すように、外乱によって変動するが、デフォルト開度ずれは比較的短い期間内でみればほぼ一定とみなせる。そこで、本実施形態では、モデルパラメータc1’を統計処理し、その変動の中心値をデフォルト開度ずれthdefadpとして算出し、スロットル弁開度偏差量DTH及び目標値DTHRの算出に用いることとした。
【0065】
統計処理の手法には、一般に最小2乗法が知られているが、この最小2乗法による統計処理は、通常、ある一定期間内のデータ、すなわち同定されたモデルパラメータc1’をすべてメモリに格納しておき、ある時点で一括演算を行うことによって実行される。ところが、この一括演算法では、すべてのデータを格納するために膨大な容量のメモリが必要となり、さらに逆行列演算が必要となって演算量の増大を招く。
【0066】
そこで本実施形態では、前記式(15)〜(21)で示される適応制御の逐次型最小2乗法アルゴリズムを、統計処理に応用し、モデルパラメータc1の最小2乗中心値を、デフォルト開度ずれthdefadpとして算出するようにしている。
【0067】
具体的には、前記式(15)〜(21)のθ(k)及びθ(k)Tをthdefadpに置換し、ζ(k)及びζ(k)Tを「1」に置換し、ide(k)をec1(k)に置換し、KP(k)をKPTH(k)に置換し、P(k)をPTH(k)に置換し、λ1及びλ2をそれぞれλ1’及びλ2’に置換することにより、下記式(37)〜(40)を得る。
【数10】
Figure 0003902504
【0068】
係数λ1’及びλ2’の設定により、前述した4つのアルゴリズムの何れかを選択可能であるが、式(39)においては、係数λ1’を0または1以外の所定値に設定し、係数λ2’を1に設定することにより、重み付き最小2乗法を採用した。
【0069】
上記式(37)〜(40)の演算においては、記憶すべき値はthdefadp(k+1)及びPTH(k+1)のみであり、また逆行列演算は不要である。したがって、逐次型最小2乗法アルゴリズムを採用することにより、一般的な最小2乗法の欠点を克服しつつ、最小2乗法によるモデルパラメータc1の統計処理を行うことができる。
【0070】
統計処理の結果得られるデフォルト開度ずれthdefadpは、前記式(2)及び(3)に適用され、式(2)及び(3)に代えて下記式(41)及び(42)により、スロットル弁開度偏差量DTH(k)及び目標値DTHR(k)が算出される。
DTH(k)=TH(k)−THDEF+thdefadp (41)
DTHR(k)=THR(k)−THDEF+thdefadp (42)
【0071】
式(41)及び(42)を使用することにより、デフォルト開度THDEFが、ハードウエアの特性ばらつき、あるいは経時変化により、設計値からずれた場合でも、そのずれを補償して正確な制御を行うことができる。
【0072】
次に上述した適応スライディングモードコントローラ21、モデルパラメータ同定器22及び状態予測器23の機能を実現するための、ECU7のCPUにおける演算処理を説明する。
【0073】
図9は、スロットル弁開度制御の全体フローチャートであり、この処理は所定時間(例えば2msec)毎にECU7のCPUで実行される。
ステップS11では、図10に示す状態変数設定処理を実行する。すなわち、式(41)及び(42)の演算を実行し、スロットル弁開度偏差量DTH(k)及び目標値DTHR(k)を算出する(図10,ステップS21及びS22)。なお、今回値であることを示す(k)は、省略して示す場合がある。
【0074】
ステップS12では、図11に示すモデルパラメータ同定器の演算、すなわち前記式(15a)によるモデルパラメータベクトルθ(k)の算出処理を実行し、さらにリミット処理を実行して修正モデルパラメータベクトルθL(k)を算出する。
【0075】
続くステップS13では、図21に示す状態予測器の演算を実行し、予測偏差量PREDTH(k)を算出する。
次いでステップS12で算出した修正モデルパラメータベクトルθL(k)を用いて、図22に示す制御入力Usl(k)の演算処理を実行する(ステップS14)。すなわち、等価制御入力Ueq、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp(k)を算出し、それらの入力の総和として、制御入力Usl(k)(=デューティ比DUT(k))を算出する。
【0076】
続くステップS16では、図29に示すスライディングモードコントローラの安定判別処理を実行する。すなわち、リアプノフ関数の微分値に基づく安定判別を行い、安定判別フラグFSMCSTABの設定を行う。この安定判別フラグFSMCSTABは、「1」に設定されると適応スライディングモードコントローラ21が不安定となっていることを示す。安定判別フラグFSMCSTABが「1」に設定され、適応スライディングモードコントローラ21が不安定となったときは、切換関数設定パラメータVPOLEを安定化所定値XPOLESTBに設定する(図24、ステップS231,S232参照)とともに、等価制御入力Ueqを「0」とし、到達則入力Urch及び適応則入力Uadpのみによる制御に切り換えることにより、制御の安定化を図る(図22、ステップS206,S208参照)。適応スライディングモードコントローラ21が不安定となったときは、さらに到達則入力Urch及び適応則入力Uadpの算出式を変更する。すなわち、到達則制御ゲインF及び適応則制御ゲインGの値を、コントローラ21を安定化させる値に変更するとともに、モデルパラメータb1を使用しないで、到達則入力Urch及び適応則入力Uadpを算出する(図27,28参照)。以上のような安定化処理により、適応スライディングモードコントローラ21の不安定状態を早期に終息させ、安定な状態に戻すことができる。
ステップS17では、図30に示すthdefadp算出処理を実行し、デフォルト開度ずれthdefadpを算出する。
【0077】
図11は、モデルパラメータ同定器22の演算処理のフローチャートである。ステップS31では、式(20)によりゲイン係数ベクトルKP(k)を算出し、次いで式(18)により推定スロットル弁開度偏差量DTHHAT(k)を算出する(ステップS32)。ステップS33では、図12に示すidenl(k)の演算処理を実行し、ステップS32で算出した推定スロットル弁開度偏差量DTHHAT(k)を、式(17)に適用して同定誤差ide(k)を算出するとともに、図7(a)に示す関数を用いた不感帯処理を行い、修正同定誤差idenlを算出する。
【0078】
続くステップS34では、式(15a)により、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出し、次いでモデルパラメータベクトルθ(k)の安定化処理を実行する(ステップS35)。すなわち各モデルパラメータのリミット処理を行って修正モデルパラメータベクトルθL(k)を算出する。
【0079】
図12は、図11のステップS33で実行されるidenl(k)演算処理のフローチャートである。
ステップS51では、式(17)により同定誤差ide(k)を算出する。次いで、ステップS53でインクリメントされるカウンタCNTIDSTの値が、制御対象のむだ時間dに応じて設定される所定値XCNTIDST(例えば、むだ時間d=2に対応して、「3」に設定される)より大きいか否かを判別する(ステップS52)。カウンタCNTIDSTの初期値は「0」であるので、最初はステップS53に進み、カウンタCNTIDSTを「1」だけインクリメントし、同定誤差ide(k)を「0」に設定して(ステップS54)、ステップS55に進む。モデルパラメータベクトルθ(k)の同定を開始した直後は、式(17)による演算で正しい同定誤差が得られないので、ステップS52〜S54により、式(17)による演算結果を用いずに同定誤差ide(k)を「0」に設定するようにしている。
【0080】
ステップS52の答が肯定(YES)となると、直ちにステップS55に進む。
ステップS55では、同定誤差ide(k)のローパスフィルタ処理を行う。具体的には、ローパス特性を有する制御対象のモデルパラメータを同定する場合、最小2乗同定アルゴリズムの、同定誤差ide(k)に対する同定重みは、図13(a)に実線L1で示すような周波数特性を有するが、これをローパスフィルタ処理により、破線L2で示すように高周波成分を減衰させた特性とする。これは、以下の理由による。
【0081】
ローパス特性を有する実際の制御対象及びこれをモデル化した制御対象モデルの周波数特性は、それぞれ図13(b)に実線L3及びL4で示すようになる。すなわち、ローパス特性(高周波成分が減衰する特性)を有する制御対象について、モデルパラメータ同定器22によりモデルパラメータを同定すると、同定されたモデルパラメータは高周波域阻止特性に大きく影響されたものとなるため、低周波域での制御対象モデルの低域ゲインが実際の特性より低くなる。その結果、スライディングモードコントローラ21による制御入力の補正が過補正となる。
【0082】
そこで、ローパスフィルタ処理により同定アルゴリズムの重みの周波数特性を、図13(a)に破線L2で示すような特性とすることにより、制御対象モデルの周波数特性を、同図(b)に破線L5で示すような特性とし、実際の周波数特性と一致させ、あるいは制御対象モデルの低域ゲインが実際のゲインよりやや高くなるように修正することとした。これにより、コントローラ21による過補正を防止し、制御系のロバスト性を高めて制御系をより安定化させることができる。
【0083】
なお、ローパスフィルタ処理は、同定誤差の過去値ide(k-i)(例えばi=1〜10に対応する10個の過去値)をリングバッファに記憶し、それらの過去値に重み係数を乗算して加算することにより実行する。
さらに、同定誤差ide(k)は、前記式(17)、(18)及び(19)を用いて算出しているため、スロットル弁開度偏差量DTH(k)と、推定スロットル弁開度偏差量DTHHAT(k)とに同様のローパスフィルタ処理を行うこと、あるいは、スロットル弁開度偏差量DTH(k-1)及びDTH(k-2)と、デューティ比DUT(k-d-1)とに同様のローパスフィルタ処理を行うことによっても同様の効果が得られる。
【0084】
図12に戻り、続くステップS56では、図14に示す不感帯処理を実行する。図14のステップS61では、前記式(24)において例えばn=5として、目標スロットル弁開度THRの変化量の二乗平均値DDTHRSQAを算出し、次いで二乗平均値DDTHRSQAに応じて図15に示すEIDNRLMTテーブルを検索し、不感帯幅パラメータEIDNRLMTを算出する(ステップS62)。
【0085】
ステップS63では、同定誤差ide(k)が不感帯幅パラメータEIDNRLMTより大きいか否かを判別し、ide(k)>EIDNRLMTであるときは、下記式(43)により、修正同定誤差idenl(k)算出する(ステップS67)。
idenl(k)=ide(k)−EIDNRLMT (43)
【0086】
ステップS63の答が否定(NO)であるときは、さらに同定誤差ide(k)が不感帯幅パラメータEIDNRLMTに負号を付した値より小さいか否かを判別し(ステップS64)、ide(k)<−EIDNRLMTであるときは、下記式(44)により、修正同定誤差idenl(k)算出する(ステップS65)。
idenl(k)=ide(k)+EIDNRLMT (44)
また同定誤差ide(k)が±EIDNRLMTの範囲内にあるときは、修正同定誤差idenl(k)を「0」とする(ステップS66)。
【0087】
図16は、図11のステップS35で実行されるθ(k)の安定化処理のフローチャートである。
ステップS71では、この処理で使用されるフラグFA1STAB,FA2STAB,FB1LMT及びFC1LMTをそれぞれ「0」に設定することにより、初期化を行う。そして、ステップS72では、図17に示すa1’及びa2’のリミット処理を実行し、ステップS73では、図19に示すb1’のリミット処理を実行し、ステップS74では、図20に示すc1’のリミット処理を実行する。
【0088】
図17は、図16のステップS72で実行されるa1’及びa2’のリミット処理のフローチャートである。図18は、図17の処理を説明するための図であり、図17とともに参照する。
図18においては、リミット処理が必要なモデルパラメータa1’とa2’の組み合わせが「×」で示され、また安定なモデルパラメータa1’及びa2’の組み合わせの範囲がハッチングを付した領域(以下「安定領域」という)で示されている。図17の処理は、安定領域外にあるモデルパラメータa1’及びa2’の組み合わせを、安定領域内(「○」で示す位置)に移動させる処理である。
【0089】
ステップS81では、モデルパラメータa2’が、所定a2下限値XIDA2L以上か否かを判別する。所定a2下限値XIDA2Lは、「−1」より大きい負の値に設定される。所定a2下限値XIDA2Lは、「−1」に設定しても、安定な修正モデルパラメータa1,a2が得られるが、前記式(26)で定義される行列Aのn乗が不安定となる(これは、a1’及びa2’が発散はしないが振動することを意味する)場合があるので、「−1」より大きな値に設定される。
【0090】
ステップS81でa2’<XIDA2Lであるときは、修正モデルパラメータa2を、この下限値XIDA2Lに設定するとともに、a2安定化フラグFA2STABを「1」に設定する。a2安定化フラグFA2STABは「1」に設定されると、修正モデルパラメータa2を下限値XIDA2Lに設定したことを示す。図18においては、ステップS81及びS82のリミット処理P1によるモデルパラメータの修正が、「P1」を付した矢線(矢印を付した線)で示されている。
【0091】
ステップS81の答が肯定(YES)、すなわちa2’≧XIDA2Lであるときは、修正モデルパラメータa2はモデルパラメータa2’に設定される(ステップS83)。
ステップS84及びステップS85では、モデルパラメータa1’が、所定a1下限値XIDA1Lと所定a1上限値XIDA1Hできまる範囲内にあるか否かを判別する。所定a1下限値XIDA1Lは、−2以上且つ0より小さい値に設定され、所定a1上限値XIDA1Hは、例えば2に設定される。
【0092】
ステップS84及びS85の答がいずれも肯定(YES)であるとき、すなわちXIDA1L≦a1’≦XIDA1Hであるときは、修正モデルパラメータa1はモデルパラメータa1’に設定される(ステップS88)。
一方a1’<XIDA1Lであるときは、修正モデルパラメータa1を下限値XIDA1Lに設定するとともに、a1安定化フラグFA1STABを「1」に設定する(ステップS84,S86)。またa1’>XIDA1Hであるときは、修正モデルパラメータa1を上限値XIDA1Hに設定するとともに、a1安定化フラグFA1STABを「1」に設定する(ステップS85,S87)。a1安定化フラグFA1STABは、「1」に設定されると、修正モデルパラメータa1を下限値XIDA1Lまたは上限値XIDA1Hに設定したことを示す。図18においては、ステップS84〜S87のリミット処理P2によるモデルパラメータの修正が、「P2」を付した矢線で示されている。
【0093】
ステップS90では、修正モデルパラメータa1の絶対値と修正モデルパラメータa2の和が、所定安定判定値XA2STAB以下であるか否かを判別する。所定安定判定値XA2STABは、「1」に近く「1」より小さい値(例えば0.99)に設定される。
【0094】
図18に示す直線L1及びL2は、下記式(45)を満たす直線である。
a2+|a1|=XA2STAB (45)
したがって、ステップS90は、修正モデルパラメータa1及びa2の組み合わせが、図18に示す直線L1及びL2の線上またはその下側にあるか否かを判別している。ステップS90の答が肯定(YES)であるときは、修正モデルパラメータa1及びa2の組み合わせは、図18の安定領域内にあるので、直ちに本処理を終了する。
【0095】
一方ステップS90の答が否定(NO)であるときは、修正モデルパラメータa1が、所定安定判定値XA2STABから所定a2下限値XIDA2Lを減算した値(XIDA2L<0であるので、XA2STAB−XIDA2L>XA2STABが成立する)以下か否かを判別する(ステップS91)。そして修正モデルパラメータa1が(XA2STAB−XIDA2L)以下であるときは、修正モデルパラメータa2を(XA2STAB−|a1|)に設定するとともに、a2安定化フラグFA2STABを「1」に設定する(ステップS92)。
【0096】
ステップS91で修正モデルパラメータa1が(XA2STAB−XIDA2L)より大きいときは、修正モデルパラメータa1を(XA2STAB−XIDA2L)に設定し、修正モデルパラメータa2を所定a2下限値XIDA2Lに設定するとともに、a1安定化フラグFA1STAB及びa2安定化フラグFA2STABをともに「1」に設定する(ステップS93)。
【0097】
図18においては、ステップS91及びS92のリミット処理P3によるモデルパラメータの修正が、「P3」を付した矢線で示されており、またステップS91及びS93のリミット処理P4によるモデルパラメータの修正が、「P4」を付した矢線で示されている。
【0098】
以上のように図17の処理により、モデルパラメータa1’及びa2’が図18に示す安定領域内に入るようにリミット処理が実行され、修正モデルパラメータa1及びa2が算出される。
【0099】
図19は、図16のステップS73で実行されるb1’のリミット処理のフローチャートである。
ステップS101及びS102では、モデルパラメータb1’が、所定b1下限値XIDB1Lと所定b1上限値XIDB1Hできまる範囲内にあるか否かを判別する。所定b1下限値XIDB1Lは、正の所定値(例えば0.1)に設定され、所定b1上限値XIDB1Hは、例えば「1」に設定される。
【0100】
ステップS101及びS102の答がいずれも肯定(YES)であるとき、すなわちXIDB1L≦b1’≦XIDB1Hであるときは、修正モデルパラメータb1はモデルパラメータb1’に設定される(ステップS105)。
一方b1’<XIDB1Lであるときは、修正モデルパラメータb1を下限値XIDB1Lに設定するとともに、b1リミットフラグFB1LMTを「1」に設定する(ステップS101,S104)。またb1’>XIDB1Hであるときは、修正モデルパラメータb1を上限値XIDB1Hに設定するとともに、b1リミットフラグFB1LMTを「1」に設定する(ステップS102,S103)。b1リミットフラグFB1LMTは、「1」に設定されると、修正モデルパラメータb1を下限値XIDB1Lまたは上限値XIDB1Hに設定したことを示す。
【0101】
図20は、図16のステップS74で実行されるモデルパラメータc1’のリミット処理のフローチャートである。
ステップS111及びS112では、モデルパラメータc1’が、所定c1下限値XIDC1Lと所定c1上限値XIDC1Hできまる範囲内にあるか否かを判別する。所定c1下限値XIDC1Lは、例えば−60に設定され、所定c1上限値XIDC1Hは、例えば60に設定される。
【0102】
ステップS111及びS112の答がいずれも肯定(YES)であるとき、すなわちXIDC1L≦c1’≦XIDC1Hであるときは、修正モデルパラメータc1はモデルパラメータc1’に設定される(ステップS115)。
一方c1’<XIDC1Lであるときは、修正モデルパラメータc1を下限値XIDC1Lに設定するとともに、c1リミットフラグFC1LMTを「1」に設定する(ステップS111,S114)。またc1’>XIDC1Hであるときは、修正モデルパラメータc1を上限値XIDC1Hに設定するとともに、c1リミットフラグFC1LMTを「1」に設定する(ステップS112,S113)。c1リミットフラグFC1LMTは、「1」に設定されると、修正モデルパラメータc1を下限値XIDC1Lまたは上限値XIDC1Hに設定したことを示す。
【0103】
図21は、図9のステップS13で実行される状態予測器の演算処理のフローチャートである。
ステップS121では、マトリクス演算を実行して前記式(35)の行列要素α1,α2,β1〜β2、及びγ1〜γdを算出する。
ステップS122では、式(35)により、予測偏差量PREDTH(k)を算出する。
【0104】
図22は、図9のステップS14で実行される、スロットル弁駆動装置10への制御入力Usl(=DUT)を算出する処理のフローチャートである。
ステップS201では、図23に示す予測切換関数値σpreの演算処理を実行し、ステップS202では、図26に示す予測切換関数値σpreの積算値の演算処理を実行する。ステップS203では、前記式(9)により、等価制御入力Ueqを算出する。ステップS204では、図27に示す到達則入力Urchの演算処理を実行し、ステップS205では、図28に示す適応則入力Uadpの演算処理を実行する。
【0105】
ステップS206では、後述する図29の処理で設定される安定判別フラグFSMCSTABが「1」であるか否かを判別する。安定判別フラグFSMCSTABは、「1」に設定されると、適応スライディングモードコントローラ21が不安定となっていることを示す。
【0106】
ステップS206でFSMCSTAB=0であって適応スライディングモードコントローラ21が安定であるときは、ステップS203〜S205で算出された制御入力Ueq,Urch及びUadpを加算することにより、制御入力Uslを算出する(ステップS207)。
【0107】
一方FSMCSTAB=1であって適応スライディングモードコントローラ21が不安定となっているときは、到達則入力Urch及び適応則入力Uadpの和を、制御入力Uslとして算出する。すなわち、等価制御入力Ueqを、制御入力Uslの算出に使用しないようにする。これにより、制御系が不安定化することを防止することができる。
【0108】
続くステップS209及びS210では、算出した制御入力Uslが所定上下限値XUSLH及びXUSLLの範囲内にあるか否かを判別し、制御入力Uslが所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処理を終了する。一方、制御入力Uslが所定下限値XUSLL以下であるときは、制御入力Uslを所定下限値XUSLLに設定し(ステップS209,S212)、制御入力Uslが所定上限値XUSLH以上であるときは、制御入力Uslを所定上限値XUSLHに設定する(ステップS210,S211)。
【0109】
図23は、図22のステップS201で実行される予測切換関数値σpreの演算処理のフローチャートである。
ステップS221では、図24に示す切換関数設定パラメータVPOLEの演算処理を実行し、次いで前記式(36)により、予測切換関数値σpre(k)の演算を実行する(ステップS222)。
【0110】
続くステップS223及びS224では、算出した予測切換関数値σpre(k)が所定上下限値XSGMH及びXSGMLの範囲内にあるか否かを判別し、予測切換関数値σpre(k)が所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処理を終了する。一方、予測切換関数値σpre(k)が所定下限値XSGML以下であるときは、予測切換関数値σpre(k)を所定下限値XSGMLに設定し(ステップS223,S225)、予測切換関数値σpre(k)が所定上限値XSGMH以上であるときは、予測切換関数値σpre(k)を所定上限値XSGMHに設定する(ステップS224,S226)。
【0111】
図24は、図23のステップS221で実行される切換関数設定パラメータVPOLEの演算処理のフローチャートである。
ステップS231では、安定判別フラグFSMCSTABが「1」であるか否かを判別し、FSMCSTAB=1であって適応スライディングモードコントローラ21が不安定となっているときは、切換関数設定パラメータVPOLEを安定化所定値XPOLESTBに設定する(ステップS232)。安定化所定値XPOLESTBは、「−1」より大きく「−1」に非常に近い値(例えば−0.999)に設定される。
【0112】
FSMCSTAB=0であって適応スライディングモードコントローラ21が安定であるときは、下記式(46)により目標値DTHR(k)の変化量DDTHR(k)を算出する(ステップS233)。
DDTHR(k)=DTHR(k)−DTHR(k-1) (46)
ステップS234では、スロットル弁開度偏差量DTH及びステップS233で算出される目標値の変化量DDTHRに応じてVPOLEマップを検索し、切換関数設定パラメータVPOLEを算出する。VPOLEマップは、図25(a)に示すように、スロットル弁開度偏差量DTHが0近傍の値をとるとき(スロットル弁開度THがデフォルト開度THDEF近傍の値をとるとき)増加し、0近傍以外の値ではスロットル弁開度偏差量DTHの変化に対してはほぼ一定の値となるように設定されている。またVPOLEマップは、同図(b)に実線で示すように、目標値の変化量DDTHRが増加するほど、VPOLE値が増加するように設定されているが、スロットル弁開度偏差量DTHが0近傍の値をとるときには、同図に破線で示すように目標値の変化量DDTHRが0近傍の値をとるときに増加するように設定されている。
【0113】
すなわち、スロットル弁開度の目標値DTHRが減少方向の変化が大きいときには、切換関数設定パラメータVPOLEは比較的小さな値に設定される。これにより、スロットル弁3がスロットル全閉ストッパに衝突することを防止することができる。また、デフォルト開度THDEF近傍においては、切換関数設定パラメータVPOLEが比較的大きな値に設定され、デフォルト開度THDEF近傍における制御性を向上させることができる。
【0114】
なお、同図(c)に示すように、スロットル弁開度THが全閉開度近傍または全開開度近傍にあるときは、切換関数設定パラメータVPOLEを減少させるように設定してもよい。これにより、スロットル弁開度THが全閉開度近傍または全開開度近傍にあるときは、目標開度THRに対する追従速度が遅くなり、スロットル弁3の全閉ストッパ(全開開度でもストッパとして機能する)への衝突防止をより確実にすることができる。
【0115】
続くステップS235及びS236では、算出した切換関数設定パラメータVPOLEが所定上下限値XPOLEH及びXPOLELの範囲内にあるか否かを判別し、切換関数設定パラメータVPOLEが所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処理を終了する。一方、切換関数設定パラメータVPOLEが所定下限値XPOLEL以下であるときは、切換関数設定パラメータVPOLEを所定下限値XPOLELに設定し(ステップS236,S238)、切換関数設定パラメータVPOLEが所定上限値XPOLEH以上であるときは、切換関数設定パラメータVPOLEを所定上限値XPOLEHに設定する(ステップS235,S237)。
【0116】
図26は、図22のステップS202で実行される、予測切換関数値σpreの積算値SUMSIGMAを算出する処理のフローチャートである。積算値SUMSIGMAは、後述する図28の処理で適応則入力Uadpの算出に使用される(前記式(11a)参照)。
【0117】
ステップS241では、下記式(47)により、積算値SUMSIGMAを算出する。下記式のΔTは、演算の実行周期である。
SUMSIGMA(k)=SUMSIGMA(k-1)+σpre×ΔT (47)
続くステップS242及びS243では、算出した積算値SUMSIGMAが所定上下限値XSUMSH及びXSUMSLの範囲内にあるか否かを判別し、積算値SUMSIGMAが所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処理を終了する。一方、積算値SUMSIGMAが所定下限値XSUMSL以下であるときは、積算値SUMSIGMAを所定下限値XSUMSLに設定し(ステップS242,S244)、積算値SUMSIGMAが所定上限値XSUMSH以上であるときは、積算値SUMSIGMAを所定上限値XSUMSHに設定する(ステップS243,S245)。
【0118】
図27は、図22のステップS204で実行される到達則入力Urchの演算処理のフローチャートである。
ステップS261では、安定判別フラグFSMCSTABが「1」であるか否かを判別する。安定判別フラグFSMCSTABが「0」であって適応スライディングモードコントローラ21が安定であるときは、制御ゲインFを所定通常ゲインXKRCHに設定し(ステップS262)、下記式(48)(前記式(10a)と同一の式)により、到達則入力Urchを算出する(ステップS263)。
Urch=−F×σpre/b1 (48)
【0119】
一方安定判別フラグFSMCSTABが「1」であって適応スライディングモードコントローラ21が不安定となったときは、制御ゲインFを、所定安定化ゲインXKRCHSTBに設定し(ステップS264)、モデルパラメータb1を使わない下記式(49)により到達則入力Urchを算出する(ステップS265)。
Urch=−F×σpre (49)
【0120】
続くステップS266及びS267では、算出した到達則入力Urchが所定上下限値XURCHH及びXURCHLの範囲内にあるか否かを判別し、到達則入力Urchが所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処理を終了する。一方、到達則入力Urchが所定下限値XURCHL以下であるときは、到達則入力Urchを所定下限値XURCHLに設定し(ステップS266,S268)、到達則入力Urchが所定上限値XURCHH以上であるときは、到達則入力Urchを所定上限値XURCHHに設定する(ステップS267,S269)。
【0121】
このように適応スライディングモードコントローラ21が不安定となったときは、制御ゲインFを所定安定化ゲインXKRCHSTBに設定するとともに、モデルパラメータb1を使用しないで到達則入力Urchを算出することにより、適応スライディングモードコントローラ21を安定な状態に戻すことができる。モデルパラメータ同定器22による同定が不安定となった場合に、適応スライディングモードコントローラ21が不安定となるので、不安定となったモデルパラメータb1を使わないことによって、適応スライディングモードコントローラ21を安定化することができる。
【0122】
図28は、図22のステップS205で実行される適応則入力Uadpの演算処理のフローチャートである。
ステップS271では、安定判別フラグFSMCSTABが「1」であるか否かを判別する。安定判別フラグFSMCSTABが「0」であって適応スライディングモードコントローラ21が安定であるときは、制御ゲインGを所定通常ゲインXKADPに設定し(ステップS272)、下記式(50)(前記式(11a)に対応する式)により、適応則入力Uadpを算出する(ステップS273)。
Uadp=−G×SUMSIGMA/b1 (50)
【0123】
一方安定判別フラグFSMCSTABが「1」であって適応スライディングモードコントローラ21が不安定となったときは、制御ゲインGを、所定安定化ゲインXKADPSTBに設定し(ステップS274)、モデルパラメータb1を使わない下記式(51)により適応則入力Uadpを算出する(ステップS275)。
Uadp=−G×SUMSIGMA (51)
【0124】
このように適応スライディングモードコントローラ21が不安定となったときは、制御ゲインGを所定安定化ゲインXKADPSTBに設定するとともに、モデルパラメータb1を使用しないで適応則入力Uadpを算出することにより、適応スライディングモードコントローラ21を安定な状態に戻すことができる。
【0125】
図29は、図9のステップS16で実行されるスライディングモードコントローラの安定判別処理のフローチャートである。この処理では、リアプノフ関数の微分項に基づく安定判別を行い、安定判別結果に応じて安定判別フラグFSMCSTABの設定を行う。
【0126】
ステップS281では下記式(52)により、切換関数変化量Dσpreを算出し、次いで下記式(53)により、安定性判別パラメータSGMSTABを算出する(ステップS282)。
Dσpre=σpre(k)−σpre(k-1) (52)
SGMSTAB=Dσpre×σpre(k) (53)
ステップS283では、安定性判別パラメータSGMSTABが安定性判定閾値XSGMSTAB以下か否かを判別し、SGMSTAB>XSGMSTABであるときは、コントローラ21が不安定である可能性があると判定して不安定検知カウンタCNTSMCSTを「1」だけインクリメントする(ステップS285)。また、SGMSTAB≦XSGMSTABであるときは、コントローラ21が安定であると判定して不安定検知カウンタCNTSMCSTのカウント値をインクリメントすることなく保持する(ステップS284)。
【0127】
ステップS286では、不安定検知カウンタCNTSMCSTの値が所定カウント値XSSTAB以下か否かを判別する。CNTSMCST≦XSSTABであるときは、コントローラ21は安定していると判定し、第1判定フラグFSMCSTAB1を「0」に設定する(ステップS287)。一方CNTSMCST>XSSTABであるときは、コントローラ21は不安定となっていると判定し、第1判定フラグFSMCSTAB1を「1」に設定する(ステップS288)。なお、不安定検知カウンタCNTSMCSTは、イグニッションスイッチオン時にそのカウント値が「0」に初期化される。
【0128】
続くステップS289では、安定判別期間カウンタCNTJUDSTを「1」だけデクリメントし、次いでその安定判別期間カウンタCNTJUDSTの値が「0」であるか否かを判別する(ステップS290)。安定判別期間カウンタCNTJUDSTは、イグニッションスイッチオン時に所定判別カウント値XCJUDSTに初期化される。したがって、最初はステップS290の答は否定(NO)となり、直ちにステップS295に進む。
【0129】
その後安定判別期間カウンタCNTJUDSTが「0」となると、ステップS290からステップS291に進み、第1判定フラグFSMCSTAB1が「1」であるか否かを判別する。そして、第1判定フラグFSMCSTAB1が「0」であるときは、第2判定フラグFSMCSTAB2を「0」に設定し(ステップS293)、第1判定フラグFSMCSTAB1が「1」であるときは、第2判定フラグFSMCSTAB2を「1」に設定する(ステップS292)。
【0130】
続くステップS294では、安定判別期間カウンタCNTJUDSTの値を所定判別カウント値XCJUDSTに設定するとともに、不安定検知カウンタCNTSMCSTの値を「0」に設定し、ステップS295に進む。
ステップS295では、安定判別フラグFSMCSTABを、第1判定フラグFSMCSTAB1と第2判定フラグFSMCSTAB2の論理和に設定する。第2判定フラグFSMCSTAB2は、ステップS286の答が肯定(YES)となり、第1判定フラグFSMCSTAB1が「0」に設定されても、安定判別期間カウンタCNTJUDSTの値が「0」となるまでは、「1」に維持される。したがって、安定判別フラグFSMCSTABも、安定判別期間カウンタCNTJUDSTの値が「0」となるまでは、「1」に維持される。
【0131】
図30は、図9のステップS17で実行されるデフォルト開度ずれthdefadpの算出処理のフローチャートである。
ステップS251では、下記式(54)により、ゲイン係数KPTH(k)を算出する。
KPTH(k)=PTH(k-1)/(1+PTH(k-1)) (54)
ここでPTH(k-1)は、本処理の前回実行時にステップS253で算出されたゲインパラメータである。
【0132】
ステップS252では、図11に示すモデルパラメータ同定器演算処理で算出されるモデルパラメータc1’及びステップS251で算出したゲイン係数KPTH(k)を下記式(55)に適用し、デフォルト開度ずれthdefadp(k)を算出する。
Figure 0003902504
【0133】
ステップS253では、下記式(56)によりゲインパラメータPTH(k)を算出する。
Figure 0003902504
式(56)は、前記式(39)においてλ1’及びλ2’を、それぞれ所定値XDEFADPW及び「1」に設定したものである。
【0134】
図30の処理により、モデルパラメータc1’が逐次型重み付き最小2乗法により統計処理され、デフォルト開度ずれthdefadpが算出される。
本実施形態では、スロットル弁駆動装置10及びECU7の一部(モータ6に駆動電流を供給する出力回路)がプラントに相当し、図22の処理がスライディングモードコントローラに相当し、図11の処理が同定手段に相当し、図12の処理が同定誤差算出手段に相当し、図14の処理が同定誤差修正手段に相当し、図21の処理が予測手段に相当する。
【0135】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、制御対象モデルをむだ時間dを含む式(1)を用いて定義し、状態予測器23を用いて、むだ時間d経過後の予測偏差量PREDTHを算出することにより、むだ時間を含む制御対象モデルの制御を行っている。そのため、状態予測器23に対応した演算をCPUで実行する必要があり、CPUの演算量が大きくなる。そこで、本実施形態では、CPUに加わる演算負荷の軽減を図るべく、むだ時間dを「0」とした下記式(1a)により制御対象モデルを定義し、むだ時間dを「0」とすることに起因するモデル化誤差は、適応スライディングモード制御のロバスト性によって補償している。
Figure 0003902504
【0136】
CPUの演算負荷をさらに軽減するために、モデルパラメータの同定アルゴリズムとして、固定ゲインアルゴリズムを採用している。
また、より一層の制御の安定化を図るべく、モデルパラメータのドリフトを防止する手法として、不感帯処理に代わる他の手法を採用している。
以下本実施形態を、第1の実施形態と異なる点を中心として詳細に説明する。以下に述べる点以外は、第1の実施形態と同一である。
【0137】
図31は、ECU7により実現されるスロットル弁制御装置の機能ブロック図であり、この制御装置は、適応スライディングモードコントローラ21aと、モデルパラメータ同定器22aと、モデルパラメータスケジューラ25と、アクセルペダル踏み込み量ACCに応じてスロットル弁3の目標開度THRを設定する目標開度設定部24とからなる。
【0138】
適応スライディングモードコントローラ21aには、予測偏差量PREDTHではなく、検出したスロットル弁開度THが入力され、このスロットル弁開度THが目標開度THRと一致するように、適応スライディングモード制御によりデューティ比DUTが算出される。
【0139】
適応スライディングモードコントローラ21aを用いることにより、第1の実施形態で説明した効果と同様の効果が得られ、また制御対象のむだ時間に対する制御系のロバスト性を確保することができる。したがって、むだ時間dを「0」とすることに起因するモデル化誤差を補償することができる。
【0140】
モデルパラメータ同定器22aは、第1の実施形態とは異なる手法で、修正モデルパラメータベクトルθL(θLT=[a1,a2,b1,c1])を算出し、適応スライディングモードコントローラ21aに供給する。より具体的には、モデルパラメータ同定器22aは、モデルパラメータスケジューラ25から供給される基準モデルパラメータベクトルθbaseを、スロットル弁開度TH及びデューティ比DUTに基づいて補正することにより、モデルパラメータベクトルθを算出する。さらに、そのモデルパラメータベクトルθに対してリミット処理を行うことにより修正モデルパラメータベクトルθLを算出し、該修正モデルパラメータベクトルθLを適応スライディングモードコントローラ21aに供給する。このようにしてスロットル弁開度THを目標開度THRに追従させるために最適なモデルパラメータa1,a2,b1が得られ、さらに外乱及びデフォルト開度THDEFのずれを示すモデルパラメータc1が得られる。
【0141】
モデルパラメータスケジューラ25は、スロットル弁開度THに基づいて、基準モデルパラメータベクトルθbase(θbaseT=[a1base,a2base,b1base,c1base])を算出し、モデルパラメータ同定器22aに供給する。
【0142】
本実施形態では、前記式(1a)により制御対象モデルを定義しているので、適応スライディングモードコントローラ21aは、等価制御入力Ueq、到達則入力Urch及び適応則入力Uadpを、前記式(9a),(10a),(11a)に代えて、下記式(9b),(10b),(11b)により算出する。
【数11】
Figure 0003902504
【0143】
式(9b)〜(11b)は、前記式(9)〜(11)のむだ時間dを「0」とすることにより得られる。
モデルパラメータ同定器22aは、前述したように制御対象の入力(DUT(k))及び出力(TH(k))に基づいて、制御対象モデルのモデルパラメータベクトルを算出する。具体的には、モデルパラメータ同定器22aは、下記式(15)(再掲)により、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出する。
θ(k)=θ(k-1)+KP(k)ide(k) (15)
【0144】
式(15)の同定誤差ide(k)は、下記式(17)(再掲)、(18)(再掲)及び(19a)により定義される。式(19a)は、前記式(19)のむだ時間dを「0」としたものである。ゲイン係数ベクトルKP(k)は、下記式(20)(再掲)により定義され、式(20)の正方行列P(k)は、下記式(21)(再掲)により算出される
【数12】
Figure 0003902504
【数13】
Figure 0003902504
【0145】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に下記要求B1〜B3を満たすことに加えて、さらに下記要求B4及びB5を満たすことが求められる。
B1)準静的動特性変化及びハードウエアの特性ばらつきに対する適応
「準静的動特性変化」とは、例えば電源電圧の変動やハードウエアの経年劣化といった変化速度の遅い特性変化である。
B2)速い動特性変化への適応
具体的には、スロットル弁開度THの変化に対応する動特性変化への適応を意味する。
B3)モデルパラメータのドリフト防止
モデルパラメータに反映すべきでない制御対象の非線形特性などに起因する同定誤差の影響によって、モデルパラメータの絶対値が増大するような不具合を防止する。
B4)ECUの演算能力とマッチング
具体的には、演算量をより低減させることが求められる。
B5)モデルパラメータ(制御性能)の安定化
具体的は、同定されるモデルパラメータのばらつきを極力抑制することが求められる。
【0146】
先ず要求B4を満たすために、係数λ1及びλ2をそれぞれ1,0に設定することにより、固定ゲインアルゴリズムを採用する。これによって、正方行列P(k)は一定となるため、式(21)の演算を省略することができ、演算量を大幅に低減できる。
【0147】
すなわち固定ゲインアルゴリズムを採用すると、式(20)は、下記式(20a)のように簡略化される。式(20a)においてPは、定数を対角要素とする正方行列である。
【数14】
Figure 0003902504
このように簡略化されたアルゴリズムによれば、演算量を削減できる。しかし、同定能力は若干低下する。また、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出する式(15)は、下記式(15b)のように書き直すことができ、同定誤差ide(k)の積分構造を有する。したがって、同定誤差ide(k)がモデルパラメータに積分され、モデルパラメータのドリフトが起き易い。
Figure 0003902504
ここで、θ(0)は、モデルパラメータの初期値を要素とする初期値ベクトルである。
【0148】
そこで本実施形態では、このようなモデルパラメータのドリフトを防止するために、モデルパラメータベクトルθ(k)を上記式(15b)に代えて、下記式(15c)により、算出するようにした。
Figure 0003902504
ここで、DELTAは下記式で示すように、忘却係数DELTAi(i=1〜4)を要素とする忘却係数ベクトルである。
DELTA=[DELTA1,DELTA2,DELTA3,DELTA4]
【0149】
忘却係数DELTAiは、0から1の間の値に設定され(0<DELTAi<1)、過去の同定誤差の影響を徐々に減少させる機能を有する。ただし、モデルパラメータb1の演算に係る係数DELTA3またはモデルパラメータc1の演算にかかる係数DELTA4の何れか一方は、「1」として、実質的に忘却係数DELTA3及びDELTA4の一方が無効となるようにする。このように、忘却係数ベクトルDELTAの要素の一部を「1」とすることにより、目標値DTHRと、スロットル弁開度偏差量DTHとの定常偏差が発生することを防止することができる。なお、係数DELTA3及びDELTA4をともに「1」とすると、モデルパラメータのドリフト防止効果が不十分となるので、何れか一方のみを「1」とすることが望ましい。
【0150】
式(15c)を漸化式形式に書き直すと、下記式(15d)(15e)が得られる。前記式(15)に代えて下記式(15d)及び(15e)を用いてモデルパラメータベクトルθ(k)を算出する手法を、以下δ修正法といい、式(15e)で定義されるdθ(k)を「更新ベクトル」という。
θ(k)=θ(0)+dθ(k) (15d)
dθ(k)=DELTA×dθ(k-1)+KP(k)ide(k) (15e)
【0151】
δ修正法を用いたアルゴリズムによれば、上記要求B3を満たすドリフト防止効果とともに、上記要求B5を満たすモデルパラメータの安定化効果も得られる。すなわち、初期値ベクトルθ(0)が常に保存され、更新ベクトルdθ(k)も忘却係数ベクトルDELTAの働きにより、その要素のとりうる値が制限されるので、各モデルパラメータを初期値近傍に安定させることができる。
【0152】
さらに実際の制御対象の入出力データに基づいた同定により更新ベクトルdθ(k)を調整しつつモデルパラメータを算出するので、実際の制御対象に適合したモデルパラメータを算出でき、上記要求B1も満たされる。
次に要求B2を満たすべく、本実施形態では上記式(15d)の初期値ベクトルθ(0)に代えて、基準モデルパラメータベクトルθbaseを用いる下記式(15f)により、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出することとした。
θ(k)=θbase+dθ(k) (15f)
【0153】
基準モデルパラメータベクトルθbaseは、モデルパラメータスケジューラ25によりスロットル弁開度偏差量DTH(=TH−THDEF)に応じて設定されるので、スロットル弁開度THの変化に対応する動特性の変化に適応させることができ、上記要求B2を満たすことができる。基準モデルパラメータベクトルθbaseは、スロットル弁開度TH、目標開度THR、または目標値DTHR(THR−THDEF)に応じて設定してもよい。スロットル弁開度偏差量DTH(スロットル弁開度TH)は、目標値DTH(目標開度THR)に一致するように制御されるからである。
【0154】
以上のように本実施形態では、固定ゲインアルゴリズムを採用することにより、ECUの演算量の低減を図り(要求B4)、δ修正法を用いたアルゴリズムを採用することにより、準静的動特性変化及びハードウエアの特性ばらつきに対する適応(要求B1)、モデルパラメータ(制御性能)の安定化(要求B5)、及びモデルパラメータのドリフト防止(要求B3)を実現し、モデルパラメータスケジューラ25を採用することにより、スロットル弁開度THの変化に対応した動特性変化への適応(要求B2)を実現している。
【0155】
なお、式(15f)により算出されるモデルパラメータベクトルθ(k)の各要素a1’,a2’,b1’及びc1’についてリミット処理を施し、修正モデルパラメータベクトルθL(k)(θL(k)T=[a1,a2,b1,c1])を算出する点は、第1の実施形態と同様である。
【0156】
また、モデルパラメータc1’を統計処理し、その変動の中心値をデフォルト開度ずれthdefadpとして算出し、下記式(41)(42)(再掲)によりスロットル弁開度偏差量DTH及び目標値DTHRを算出する点も、第1の実施形態と同様である。
DTH(k)=TH(k)−THDEF+thdefadp (41)
DTHR(k)=THR(k)−THDEF+thdefadp (42)
【0157】
次に上述した適応スライディングモードコントローラ21a、モデルパラメータ同定器22a及びモデルパラメータスケジューラ25の機能を実現するための、ECU7のCPUにおける演算処理を説明する。
【0158】
図32は、スロットル弁開度制御の全体フローチャートである。この処理は、図9に示すスロットル弁開度制御処理のステップS13(状態予測器の演算)を削除し、ステップS12,S14及びS16を、それぞれステップS12a,14a及び16aに変更したものである。
【0159】
ステップS12aでは、図33に示すモデルパラメータ同定器の演算、すなわち前記式(15f)によるモデルパラメータベクトルθ(k)の算出処理を実行し、さらにリミット処理を実行して修正モデルパラメータベクトルθL(k)を算出する。
【0160】
ステップS14aでは、修正モデルパラメータベクトルθL(k)を用いて、図36に示す制御入力Usl(k)の演算処理を実行する。すなわち、前記式(9b)(10b)(11b)により、等価制御入力Ueq、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp(k)を算出し、それらの入力の総和として、制御入力Usl(k)(=デューティ比DUT(k))を算出する。
【0161】
ステップS16aでは、図41に示すスライディングモードコントローラの安定判別処理を実行する。すなわち、予測切換関数値σpreに代えて、切換関数値σを用いてスライディングモードコントローラの安定性判別を行い、安定判別フラグFSMCSTABの設定を行う。この安定判別フラグFSMCSTABは、「1」に設定されたときの処理は、第1の実施形態と同様である。
【0162】
図33は、モデルパラメータ同定器22aの演算処理のフローチャートである。この処理は、図11に示すモデルパラメータ同定器の演算処理のステップS31〜S34をそれぞれ、ステップS31a〜S34aに変更し、さらにステップS33b及びS33cを追加したものである。
【0163】
ステップS31aでは、式(20a)によりゲイン係数ベクトルKP(k)を算出し、次いで式(18)及び(19a)により推定スロットル弁開度偏差量DTHHAT(k)を算出する(ステップS32a)。
ステップS33aでは、図35に示すide(k)の演算処理を実行し、同定誤差ide(k)を算出する。ステップS33bでは、式(15e)により更新ベクトルdθ(k)を算出し、次いでスロットル弁開度偏差量DTHに応じて図34に示すθbaseテーブルを検索し、基準モデルパラメータベクトルθbaseを算出する(ステップS33c)。θbaseテーブルには、基準モデルパラメータa1base,a2base及びb1baseが設定されている。スロットル弁開度偏差量DTHが「0」近傍の値をとる(スロットル弁開度THが、デフォルト開度THDEF近傍である)とき、基準モデルパラメータa1base及びb1baseは減少し、基準モデルパラメータa2baseは増加するように設定されている。また、基準モデルパラメータc1baseは、「0」に設定される。
【0164】
ステップS34aでは、式(15f)によりモデルパラメータベクトルθ(k)を算出し、次いで第1の実施形態と同様に、モデルパラメータベクトルθ(k)の安定化処理を実行する(ステップS35)。すなわち各モデルパラメータのリミット処理を行って修正モデルパラメータベクトルθL(k)を算出する。
【0165】
図35は、図33のステップS33aで実行されるide(k)演算処理のフローチャートである。この処理は、図12のide(k)演算処理のステップS56(不感帯処理)を削除し、ステップS51をステップS51aに変更したものである。すなわち本実施形態では、δ修正法により、モデルパラメータのドリフトが防止されるので、不感帯処理は実行しない。
【0166】
また、ステップS51aでは、推定スロットル弁開度偏差量DTHHAT(k)を式(18)及び(19a)により算出し、この推定スロットル弁開度偏差量DTHHAT(k)を用いて同定誤差ide(k)を算出する。
本実施形態では、制御対象モデルのむだ時間dを「0」としているので、ステップS52の所定値XCNTIDSTは、例えば「2」に設定される。
【0167】
図36は、図32のステップS14aで実行される、スロットル弁駆動装置10への制御入力Usl(=DUT)を算出する処理のフローチャートである。この処理は、図22に示すUsl演算処理のステップS201〜S205を、それぞれステップS201a〜S205aに変更したものである。
【0168】
ステップS201aでは、図37に示す切換関数値σの演算処理を実行し、ステップS202aでは、図38に示す切換関数値σの積算値の演算処理を実行する。ステップS203aでは、前記式(9b)により、等価制御入力Ueqを算出する。ステップS204aでは、図39に示す到達則入力Urchの演算処理を実行し、ステップS205aでは、図40に示す適応則入力Uadpの演算処理を実行する。
【0169】
図37は、図36のステップS201aで実行される切換関数値σの演算処理のフローチャートである。この処理は、図23に示す予測切換関数値σpreの演算処理のステップS222〜S226を、それぞれステップS222a〜226aに変更したものである。
【0170】
ステップS222aでは、前記式(5)により、切換関数値σ(k)を算出する。続くステップS223a〜S226aは、図23のステップS223〜S226の「σpre」を「σ」に置き換えたものであり、切換関数値σ(k)に対して、図23の処理と同様のリミット処理を行う。
【0171】
図38は、図36のステップS202aで実行される、切換関数値σの積算値SUMSIGMAaを算出する処理のフローチャートである。この処理は、図26に示すσpreの積算値演算処理のステップS241〜S245を、それぞれステップS241a〜S245aに変更したものである。積算値SUMSIGMAaは、後述する図40の処理で適応則入力Uadpの算出に使用される(前記式(11b)参照)。
【0172】
ステップS241aでは、下記式(47a)により、積算値SUMSIGMAaを算出する。
SUMSIGMAa(k)=SUMSIGMAa(k-1)+σ×ΔT (47a)
続くステップS242a〜S245aでは、算出した積算値SUMSIGMAaに対して、図26の処理と同様のリミット処理を行う。
【0173】
図39は、図36のステップS204aで実行される到達則入力Urchの演算処理のフローチャートである。この処理は、図27に示す到達則入力Urch演算処理のステップS263及びS265をそれぞれステップS263a及びS265aに変更したものである。
【0174】
すなわち、本実施形態では、予測切換関数値σpreではなく、切換関数値σを用いて、適応スライディングモードコントローラ21aが安定してるときの到達則入力Urchの算出(ステップS263a)、及び適応スライディングモードコントローラ21aが不安定であるときの到達則入力Urchの算出(ステップS265a)を実行する。
【0175】
図40は、図36のステップS205aで実行される適応則入力Uadpの演算処理のフローチャートである。この処理は、図28に示す適応則入力Uadp演算処理のステップS273及びS275をそれぞれステップS273a及びS275aに変更したものである。
【0176】
すなわち、本実施形態では、切換関数値σの積算値SUMSIGUMAaを用いて、適応スライディングモードコントローラ21aが安定してるときの適応則入力Uadpの算出(ステップS273a)、及び適応スライディングモードコントローラ21aが不安定であるときの適応則入力Uadpの算出(ステップS275a)を実行する。
【0177】
図41は、図32のステップS16aで実行されるスライディングモードコントローラの安定判別処理のフローチャートである。この処理は、図29のステップS281及びS281をそれぞれステップS281a及びS282aに変更したものである。
【0178】
ステップS281aでは下記式(52a)により、切換関数変化量Dσを算出し、ステップS282aでは、下記式(53a)により、安定性判別パラメータSGMSTABを算出する。すなわち、予測切換関数値σpreではなく、切換関数値σに基づいて安定性判別を行う。
Dσ=σ(k)−σ(k-1) (52a)
SGMSTAB=Dσ×σ(k) (53a)
【0179】
本実施形態では、スロットル弁駆動装置10及びECU7の一部(モータ6に駆動電流を供給する出力回路)がプラントに相当し、図36の処理がスライディングモードコントローラに相当し、図33の処理が同定手段に相当し、図35の処理が同定誤差算出手段に相当し、図33のステップS33bが更新ベクトル算出手段及び更新ベクトル修正手段に相当する。
【0180】
(第3の実施形態)
図42は、本発明の第3の実施形態にかかる制御系の構成を示すブロック図である。
この制御系は、制御対象であるプラント101と、プラントの出力である混合液のpH(ペーハー)を検出するpHセンサ102と、pHセンサ出力V1OUTから第1基準値V1BASEを減算する減算器103と、制御目標値V1TARGETを生成する目標値生成部104と、第1操作量U1を決定する操作量決定部105と、第1操作量U1と第2基準値V2BASEとを加算し、第2操作量U2を出力する加算器106とからなる。
【0181】
減算器103、目標値生成部104、操作量決定部105及び加算器106は、具体的にはCPU、メモリ、入出力回路などからなる電子コントロールユニットにより構成される。
プラント101は、第2操作量U2に応じてアルカリ液の流量を制御する流量制御弁111と、流量制御弁111を介して供給されるアルカリ液と、酸性液とを攪拌する攪拌器112とからなる。プラント101は、アルカリ液と酸性液とを攪拌することにより、所望のpH値の混合液を出力するものである。
【0182】
操作量決定部105は、プラント101をモデル化した制御対象モデルのモデルパラメータベクトルを同定する同定器121と、適応スライディングモードコントローラ122と、予測器123とからなる。同定器121、適応スライディングモードコントローラ122、及び予測器123は、それぞれ第1の実施形態におけるモデルパラメータ同定器22、適応スライディングモードコントローラ21、及び状態予測器23に対応し、これらと同様の機能を有する。
【0183】
以下本実施形態における構成要素及びパラメータと、第1の実施形態における構成要素及びパラメータとの対応関係を説明する。
pHセンサ102は、スロットル弁開度センサ8に相当し、pHセンサ102の出力V1OUTは、スロットル弁開度THに相当する。第1目標値V1BASEは、デフォルト開度THDEFに相当するものであり、本実施形態では、例えば中性に対応するpH値とする。したがって、偏差量DV1がスロットル弁開度偏差量DTHに相当する。また目標値生成部104が、目標開度設定部24に相当し、制御目標値V1TARGETがスロットル弁開度偏差量の目標値DTHRに相当する。なお、第1の実施形態においては、減算器103の機能は、モデルパラメータ同定器22及び状態予測器23に含まれている。
【0184】
第2基準値V2BASEは、適応スライディングモードコントローラ122の出力である第1操作量U1の中心値をバイアスするために加算されるものである。第1の実施形態では加算器106に相当する構成要素はなく、したがって第2基準値V2BASEは実質的に「0」とされている(すなわち、U1=U2=Uslである)。本実施形態では、第2基準値V2BASEは、例えば流量制御弁111の開度が50%となるような値に設定される。
【0185】
流量制御弁111は、デューティ比DUTのパルス信号でオンオフ制御されるスイッチング素子(ECU7の出力回路に含まれ、図示及び説明を省略している)に相当し、アルカリ液は電源電圧に相当する。また流量制御弁111の出力流量V2は、モータ6の駆動電流に相当し、攪拌器112は、モータ6及びスロットル弁3の弁体に相当し、酸性液はスロットル弁3の弁体に加わる吸気管負圧や、リターンスプリング4及び弾性部材5の付勢力に相当する。攪拌器112から出力されるの混合液のpH値V1が、実際のスロットル弁開度に相当する。
【0186】
以上のような対応関係があるので、プラント101を第1の実施形態と同様にモデル化し、同様の制御手法を適用することができる。すなわち、同定器121は、第1操作量U1及び偏差量DV1に基づいて、第1の実施形態と同様の演算処理により、修正モデルパラメータパラメータベクトルθLを算出し、予測器123は、第1操作量U1、偏差量DV1及び修正モデルパラメータベクトルθLに基づいて、第1の実施形態と同様の演算処理により、予測偏差量PREDV1を算出し、適応スライディングモードコントローラ122は、予測偏差量PREDV1及び修正モデルパラメータベクトルθLに基づいて、第1の実施形態と同様の演算処理により、予測偏差量PREDV1を制御目標値V1TARGETに一致させるように、第1操作量U1を算出する。したがって、制御目標値V1TARGETとして、所望の相対pH値(第1基準値V1BASEとの偏差量)を設定することにより、プラントの出力V1を所望のpH値に一致させることができる。
【0187】
本実施形態では、同定器121が同定手段に相当し、同定誤差算出手段及び同定誤差修正手段を含む。また予測器123が予測手段に相当する。
【0188】
(第3の実施形態の変形例)
図43は、図42に示す構成の変形例を示す図である。この変形例では、図42のプラント101ではなく、プラント101aが制御対象とされる。プラント101aは、プラント101に、流量制御弁111の出力流量V2を検出する流量センサ113と、流量センサ出力V2OUTが第2操作量U2に対応する流量値と一致するように、流量制御弁111を制御するフィードバック制御器114とを追加して構成されている。
【0189】
このようにローカルフィードバックループを含むプラントに対しても、第3の実施形態と同様のモデル化及び同様の制御手法の適用が可能である。
なお第1の実施形態では、モータの駆動回路は公知のものであるため、詳細な説明を行っていないが、オンオフ制御されるスイッチング素子の出力電流を検出する電流センサを設け、検出電流値IDが、操作量Uslに対応する電流値IRと一致するようにフィードバック制御を行うようにしてもよく、本変形例は第1の実施形態においてそのような回路構成を採用した場合に相当する。
【0190】
(第4の実施形態)
図44は、本発明の第4の実施形態にかかる制御系の構成を示すブロック図である。この制御系は、図42の操作量決定部105を操作量決定部105aに代えたものであり、第2の実施形態として示した制御系に対応する。なお、以下に説明する以外は第3の実施形態と同一である。
【0191】
操作量決定部105aは、同定器121aと、適応スライディングモードコントローラ122aと、パラメータスケジューラ124とからなる。
同定器121a、適応スライディングモードコントローラ122a及びパラメータスケジューラ124は、それぞれ第2の実施形態におけるモデルパラメータ同定器22a、適応スライディングモードコントローラ21a及びモデルパラメータスケジューラ25に対応し、これらと同様の機能を有する。
【0192】
すなわち、パラメータスケジューラ124は、偏差量DV1に基づいて第2の実施形態と同様の演算処理により、基準モデルパラメータベクトルθbaseを算出し、同定器121aは、第1操作量U1、偏差量DV1及び基準モデルパラメータベクトルθbaseに基づいて第2の実施形態と同様の演算処理により、修正モデルパラメータベクトルθLを算出し、適応スライディングモードコントローラ122aは、偏差量DV1及び修正モデルパラメータベクトルθLに基づいて、第2の実施形態と同様の演算処理により偏差量DV1を制御目標値V1TARGETに一致させるように、第1操作量U1を算出する。したがって、制御目標値V1TARGETとして、所望の相対pH値(第1基準値V1BASEとの偏差量)を設定することにより、プラントの出力V1を所望のpH値に一致させることができる。
【0193】
本実施形態では、同定器121aが同定手段に相当し、同定誤差算出手段、更新ベクトル算出手段及び更新ベクトル修正手段を含む。
【0194】
(第4の実施形態の変形例)
図45は、図44に示す構成の変形例を示す図である。この変形例では、図44のプラント101ではなく、プラント101aが制御対象とされる。プラント101aは、図43のプラント101aと同一である。
このようにローカルフィードバックループを含むプラントに対しても、第4の実施形態と同様のモデル化及び同様の制御手法の適用が可能である。
【0195】
(第5の実施形態)
図46は、本発明の第5の実施形態にかかる制御系の構成を示すブロック図である。
【0196】
この制御系は、内燃エンジン212を含む制御対象であるエンジンシステム201と、エンジンシステム201の排気中の酸素濃度VO2に応じて、エンジン212に供給される混合気の空燃比を検出する空燃比センサ202と、空燃比センサ出力KACT(空燃比を当量比に換算した値を有する)から基準値KBSを減算する減算器203と、制御目標値DKCMDを生成する目標値生成部204と、操作量DKAFを決定する操作量決定部205と、操作量DKAFと基準値KBSとを加算し、補正量KAFを出力する加算器206と、補正量KAF及び他のフィードフォワード制御項とを用いて燃料量TOUTを演算する燃料量演算部207からなる。
【0197】
減算器203、目標値生成部204、操作量決定部205、加算器206、及び燃料量演算部207は、具体的にはCPU、メモリ、入出力回路などからなる電子コントロールユニットにより構成される。
エンジンシステム201は、燃料量TOUTに応じて燃料を噴射する燃料噴射弁211と、燃料噴射弁211を介して供給される燃料と吸入空気とからなる混合気を燃焼させる内燃エンジン212とからなる。エンジンシステム201は、燃料を燃焼させてエンジンの回転トルクを得るとともに、燃焼ガス(排気)を排出する。
【0198】
操作量決定部205は、エンジンシステム201をモデル化した制御対象モデルのモデルパラメータベクトルを同定する同定器221と、適応スライディングモードコントローラ222と、予測器223とからなる。同定器221、適応スライディングモードコントローラ222、及び予測器223は、それぞれ第1の実施形態におけるモデルパラメータ同定器22、適応スライディングモードコントローラ21、及び状態予測器23に対応し、これらと同様の機能を有する。
【0199】
以下本実施形態における構成要素及びパラメータと、第1の実施形態における構成要素及びパラメータとの対応関係を説明する。
空燃比センサ202は、スロットル弁開度センサ8に相当し、空燃比センサ202の出力KACTは、スロットル弁開度THに相当する。基準値KBSは、デフォルト開度THDEFに相当するものであり、本実施形態では、例えば理論空燃比に対応する値(1.0)とする。したがって、偏差量DKがスロットル弁開度偏差量DTHに相当する。また目標値生成部204が、目標開度設定部24に相当し、制御目標値DKCMDがスロットル弁開度偏差量の目標値DTHRに相当する。なお、第1の実施形態においては、減算器203の機能は、モデルパラメータ同定器22及び状態予測器23に含まれている。
【0200】
適応スライディングモードコントローラ222の出力である操作量DKAFの中心値をバイアスするために、基準値KBSが加算器206により加算される。第1の実施形態では加算器206に相当する構成要素はない。
燃料噴射弁211は、デューティ比DUTのパルス信号でオンオフ制御されるスイッチング素子(ECU7の出力回路に含まれ、図示及び説明を省略している)に相当し、燃料は電源電圧に相当する。また燃料噴射弁211から噴射される燃料量FAは、モータ6の駆動電流に相当し、エンジン212は、モータ6及びスロットル弁3の弁体に相当し、吸入空気はスロットル弁3の弁体に加わる吸気管負圧や、リターンスプリング4及び弾性部材5の付勢力に相当する。エンジン212から排出される排気中の酸素濃度VO2が、実際のスロットル弁開度に相当する。
【0201】
以上のような対応関係があるので、エンジンシステム201を第1の実施形態と同様にモデル化し、同様の制御手法を適用することができる。すなわち、同定器221は、操作量DKAF及び偏差量DKに基づいて、第1の実施形態と同様の演算処理により、修正モデルパラメータパラメータベクトルθLを算出し、予測器223は、操作量DKAF、偏差量DK及び修正モデルパラメータベクトルθLに基づいて、第1の実施形態と同様の演算処理により、予測偏差量PREDKを算出し、適応スライディングモードコントローラ222は、予測偏差量PREDK及び修正モデルパラメータベクトルθLに基づいて、第1の実施形態と同様の演算処理により、予測偏差量PREDKを制御目標値DKCMDに一致させるように、操作量DKAを算出する。したがって、制御目標値DKCMDとして、所望の空燃比修正値(基準値KBSとの偏差量)を設定することにより、エンジン212に供給される混合気の空燃比を所望の空燃比に一致させることができる。
【0202】
本実施形態では、同定器221が同定手段に相当し、同定誤差算出手段及び同定誤差修正手段を含む。また予測器223が予測手段に相当する。
【0203】
(第6の実施形態)
図47は、本発明の第6の実施形態にかかる制御系の構成を示すブロック図である。この制御系は、図46の操作量決定部205を操作量決定部205aに代えたものであり、第2の実施形態として示した制御系に対応する。なお、以下に説明する以外は第5の実施形態と同一である。
【0204】
操作量決定部205aは、同定器221aと、適応スライディングモードコントローラ222aと、パラメータスケジューラ224とからなる。
同定器221a、適応スライディングモードコントローラ222a及びパラメータスケジューラ224は、それぞれ第2の実施形態におけるモデルパラメータ同定器22a、適応スライディングモードコントローラ21a及びモデルパラメータスケジューラ25に対応し、これらと同様の機能を有する。
【0205】
すなわち、パラメータスケジューラ224は、偏差量DKに基づいて第2の実施形態と同様の演算処理により、基準モデルパラメータベクトルθbaseを算出し、同定器221aは、操作量DKAF、偏差量DK及び基準モデルパラメータベクトルθbaseに基づいて第2の実施形態と同様の演算処理により、修正モデルパラメータベクトルθLを算出し、適応スライディングモードコントローラ222aは、偏差量DK及び修正モデルパラメータベクトルθLに基づいて、第2の実施形態と同様の演算処理により偏差量DKを制御目標値DKCMDに一致させるように、操作量DKAFを算出する。したがって、制御目標値DKCMDとして、所望の空燃比修正値(基準値KBSとの偏差量)を設定することにより、エンジン212に供給される混合気の空燃比を所望の空燃比に一致させることができる。
【0206】
本実施形態では、同定器221aが同定手段に相当し、同定誤差算出手段、更新ベクトル算出手段及び更新ベクトル修正手段を含む。
【0207】
(その他の実施形態)
モデルパラメータの同定誤差ide(k)の算出手法として、δ修正法に代えて、以下に述べるε修正法を採用してもよい。すなわち、前記式(15c)に代えて、下記式(15g)により、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出するようにしてもよい。
Figure 0003902504
【0208】
ここで、EPSは下記式で示すように、忘却係数EPSi(i=1〜4)を要素とする忘却係数ベクトルである。
EPS=[EPS1,EPS2,EPS3,EPS4]
忘却係数EPS1,EPS2及びEPS4は、前記忘却係数DELTAiと同様に、0から1の間の値に設定され(0<EPSi<1)、過去の同定誤差の影響を徐々に減少させる機能を有する。
【0209】
ただしε修正法の場合、モデルパラメータb1の演算に係る係数EPS3は、必ず「1」にする必要がある。これは、以下の理由による。ε修正法の場合、同定誤差ide(k)が小さくなると、モデルパラメータはすべてゼロ近傍の値となる。ところが、モデルパラメータb1は、式(9b)、(10b)、(11b)の分母に適用されるため、モデルパラメータb1が「0」に近づくと、制御対象への入力Uslが発散するからである。
【0210】
式(15g)は、初期値ベクトルθ(0)にも忘却係数ベクトルEPSが乗算されている点で、式(15c)と異なる。
式(15g)を漸化式形式に書き直すと、下記式(15h)が得られる。前記式(15)に代えて下記式(15h)を用いてモデルパラメータベクトルθ(k)を算出する手法を、ε修正法と呼ぶ。
θ(k)=EPS×θ(k-1)+KP(k)ide(k) (15h)
【0211】
ε修正法によっても、過去の同定誤差eidの影響が低減されるので、モデルパラメータのドリフトを防止することができる。
また第2の実施形態では、δ修正法によりモデルパラメータのドリフトを防止するようにしたが、第1の実施形態と同様に、不感帯処理(図14)により修正同定誤差idenl(k)を算出し、これを用いてモデルパラメータベクトルθ(k)を算出するようにしてもよい。
【0212】
また第1の実施形態において、不感帯処理に代えてδ修正法またはε修正法を採用してもよい。さらに、第1の実施形態においてδ修正法を採用する場合には、第2の実施形態と同様にモデルパラメータスケジューラを導入し、モデルパラメータスケジューラにより算出される基準モデルパラメータベクトルθbaseに更新ベクトルを加算する形式でモデルパラメータベクトルθを算出することが望ましい。
【0213】
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの制御にも適用が可能である。
【0214】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、モデルパラメータベクトルの同定誤差に応じて更新ベクトルが算出され、該更新ベクトルの少なくとも1つの要素の過去値に0より大きく1より小さい所定値を乗算することにより、更新ベクトルが修正され、モデルパラメータの基準ベクトルに修正された更新ベクトルを加算することにより、モデルパラメータベクトルが算出されるので、更新ベクトルの要素のとりうる値が制限され、モデルパラメータベクトルを基準ベクトル近傍に安定させることができる。その結果、モデルパラメータのドリフトが防止され、スライディングモード制御の安定性を向上させることができる。さらに基準ベクトルはプラントの出力を示すパラメータに応じて設定されるので、プラントの出力変化に対応する動特性の変化に適応させることができる。
【0215】
請求項2に記載の発明によれば、更新ベクトルの要素のうち、プラントの入力に関わる要素またはプラントの入出力に関わらない要素については、0より大きく1より小さい所定値が乗算されないので、更新ベクトルの修正による定常偏差の増加を防止することができる。
【0219】
請求項に記載の発明によれば、固定ゲインアルゴリズムを用いてモデルパラメータベクトルが算出されるので、演算量を低減することができる。
請求項に記載の発明によれば、ローパスフィルタ処理後の同定誤差を用いてモデルパラメータベクトルの同定が行われるので、制御対象モデルの周波数特性が、プラントの実際の周波数特性とより近いものとなり、制御のロバスト性を高め、制御をさらに安定化することができる。
【0220】
請求項に記載の発明によれば、予測手段によりプラントの出力の予測値が算出されるので、むだ時間要素を有するプラントの制御を精度良く行うことができる。
請求項に記載の発明によれば、同定手段により同定されたモデルパラメータを用いて予測値の算出が行われるので、プラントの動特性が経時変化した場合や環境条件などによって変化した場合でも精度のよい予測値を算出することができる。
【0221】
請求項に記載の発明によれば、プラントへの制御入力は適応則入力を含むので、外乱やモデル化誤差(実際のプラントとモデル化した制御対象モデルとの差)があっても、良好な制御性を実現することができる。
請求項に記載の発明によれば、同定手段により同定された安定なモデルパラメータを用いて、スライディングモードコントローラにより、スロットル弁開度を目標開度に一致させる制御が行われるので、スロットル弁開度の目標開度への制御性を向上させ、しかも安定した制御を実現することができる。
【0222】
請求項に記載の発明によれば、同定手段により同定された安定なモデルパラメータを用いて、スライディングモードコントローラにより、空燃比を目標空燃比に一致させる制御が行われるので、空燃比の目標空燃比への制御性を向上させ、しかも安定した制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内燃機関のスロットル弁駆動装置と、その制御装置を示す図である。
【図2】図1に示すスロットル弁駆動装置の周波数特性を示す図である。
【図3】図1の電子制御ユニット(ECU)により実現される機能を示す機能ブロック図である。
【図4】スライディングモードコントローラの制御特性と、切換関数設定パラメータ(VPOLE)の値との関係を示す図である。
【図5】スライディングモードコントローラの制御ゲイン(F,G)の設定範囲を示す図である。
【図6】モデルパラメータのドリフトを説明するための図である。
【図7】同定誤差を修正する関数を示す図である。
【図8】スロットル弁のデフォルト開度ずれがモデルパラメータ(c1’)に反映されることを説明するための図である。
【図9】スロットル弁開度制御処理のフローチャートである。
【図10】図9の処理において状態変数の設定を行う処理のフローチャートである。
【図11】図9の処理においてモデルパラメータ同定器の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図12】図11の処理において同定誤差(ide)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図13】同定誤差(ide)のローパスフィルタ処理を説明するための図である。
【図14】図12の処理における不感帯処理のフローチャートである。
【図15】図14の処理で使用されるテーブルを示す図である。
【図16】図11の処理におけるモデルパラメータベクトル(θ)の安定化処理のフローチャートである。
【図17】図16の処理におけるモデルパラメータ(a1’,a2’)のリミット処理のフローチャートである。
【図18】図16の処理によるモデルパラメータの値の変化を説明するための図である。
【図19】図16の処理におけるモデルパラメータ(b1’)のリミット処理のフローチャートである。
【図20】図16の処理におけるモデルパラメータ(c1’)のリミット処理のフローチャートである。
【図21】図9の処理において状態予測器の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図22】図9の処理において制御入力(Usl)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図23】図22の処理において予測切換関数値(σpre)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図24】図23の処理において切換関数設定パラメータ(VPOLE)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図25】図24の処理で使用するマップを示す図である。
【図26】図22の処理において予測切換関数値(σpre)の積算値の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図27】図22の処理において到達則入力(Urch)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図28】図22の処理において適応則入力(Uadp)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図29】図9の処理においてスライディングモードコントローラの安定判別を実行する処理のフローチャートである。
【図30】図9の処理においてデフォルト開度ずれ(thdefadp)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図31】図1の電子制御ユニット(ECU)により実現される機能を示す機能ブロック図である(第2の実施形態)。
【図32】スロットル弁開度制御処理のフローチャートである(第2の実施形態)。
【図33】図32の処理においてモデルパラメータ同定器の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図34】図33の処理で使用するテーブルを示す図である。
【図35】図33の処理において同定誤差(ide)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図36】図32の処理において制御入力(Usl)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図37】図36の処理において切換関数値(σ)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図38】図36の処理において切換関数値(σ)の積算値の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図39】図36の処理において到達則入力(Urch)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図40】図36の処理において適応則入力(Uadp)の演算を実行する処理のフローチャートである。
【図41】図32の処理においてスライディングモードコントローラの安定判別を実行する処理のフローチャートである。
【図42】本発明の第3の実施形態に係る制御系の構成を示すブロック図である。
【図43】図42に示す構成の変形例を示すブロック図である。
【図44】本発明の第4の実施形態に係る制御系の構成を示すブロック図である。
【図45】図44に示す構成の変形例を示すブロック図である。
【図46】本発明の第5の実施形態に係る制御系の構成を示すブロック図である。
【図47】本発明の第6の実施形態に係る制御系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
3 スロットル弁
7 電子制御ユニット
10 スロットル弁駆動装置
21 適応スライディングモードコントローラ
22 モデルパラメータ同定器(同定手段、同定誤差算出手段、更新ベクトル算出手段、更新ベクトル修正手段、同定誤差修正手段)
23 状態予測器(予測手段)
24 目標開度設定部
25 モデルパラメータスケジューラ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a plant control apparatus, and more particularly, to a plant control apparatus using a sliding mode controller to which a sliding mode control theory that is one of robust control theories is applied.
[0002]
[Prior art]
A control device applying the sliding mode control theory is disclosed in, for example, Japanese Patent Laid-Open No. 9-274504. This publication proposes a method for setting the hyperplane in the sliding mode control theory according to the convergence state of the control state quantity, which improves the convergence response and stability of the sliding mode control. It is illustrated.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
When controlling a plant to be controlled by a sliding mode controller, it is necessary to model the plant and determine model parameters indicating the characteristics of the controlled model. A predetermined constant value can be used as the model parameter, but the value of the model parameter changes due to normal aging or disturbance. Therefore, it is desirable to use a model parameter identifier that identifies model parameters in real time, and to perform sliding mode control using the model parameters identified by the model parameter identifier.
[0004]
However, the model parameter identifier detects the deviation between the plant output calculated using the identified model parameter and the actual plant output as an identification error, and corrects the model parameter so that the identification error becomes zero. Therefore, the following problems occur.
[0005]
That is, due to the nonlinear characteristics of the plant and the addition of disturbances with an average value other than 0, the identification error does not become 0 in spite of the fact that almost optimal model parameters are actually obtained. May modify unnecessary model parameters. As a result, a drift occurs in which the model parameter gradually deviates from the optimum value, and the control by the sliding mode controller may become unstable.
[0006]
The present invention has been made paying attention to this point. The plant to be controlled is modeled to identify the model parameters, and the control when the sliding mode control is performed using the identified model parameters is further stabilized. An object of the present invention is to provide a control device for a plant that can be used.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
  In order to achieve the above object, the present invention provides a plant control apparatus comprising an identification means and a sliding mode controller. The identification means identifies a model parameter vector (θ) of a controlled object model that models a plant based on the input and output of the plant. The sliding mode controller controls the plant using the model parameter vector identified by the identification means. The identification unit includes an identification error calculation unit that calculates an identification error (ide) of the model parameter vector, an update vector calculation unit that calculates an update vector (dθ) according to the identification error, and at least one of the update vectors A predetermined value (DELTA) greater than 0 and less than 1 for the past value of one elementi)Update vector correction means for correcting the update vector by multiplyingA reference vector setting means for setting a reference vector (θbase) of the model parameter vector according to parameters (DTH, TH, THR, DTHR) indicating the output of the plant;And saidSet by reference vector setting meansReference vector (θbase)The model parameter vector is calculated by adding the modified update vector to.
[0008]
  According to this configuration, an update vector is calculated according to the identification error of the model parameter vector, and the update vector is obtained by multiplying the past value of at least one element of the update vector by a predetermined value greater than 0 and less than 1. By adding the modified update vector to the model parameter reference vector, the model parameter vector is calculated, so the possible values of the update vector elements are limited, and the model parameter vector is stable near the reference vector. Can be made. As a result, model parameter drift is prevented and the stability of the sliding mode control can be improved.Furthermore, since the reference vector is set according to a parameter indicating the output of the plant, it can be adapted to a change in dynamic characteristics corresponding to a change in the output of the plant.
[0009]
The update vector correcting means is configured to determine, for the element related to the input of the plant (element related to the calculation of b1) or the element not related to the input / output of the plant (element related to the calculation of c1) of the update vector, the predetermined vector. It is desirable not to multiply the values.
[0010]
According to this configuration, among the elements of the update vector, elements related to plant input or elements not related to plant input / output are not multiplied by a predetermined value larger than 0 and smaller than 1, so that the steady state by correcting the update vector The occurrence of deviation can be prevented.
[0016]
The identification means preferably identifies the model parameter vector using a fixed gain algorithm.
According to this configuration, since the model parameter vector is calculated using a fixed gain algorithm, the amount of calculation can be reduced.
[0017]
The identification error calculation means preferably performs low-pass filter processing of the identification error and outputs the identification error after the processing.
According to this configuration, the model parameter vector is identified using the identification error after low-pass filter processing, so the frequency characteristics of the model to be controlled are closer to the actual frequency characteristics of the plant, and the robustness of the control And control can be further stabilized.
[0018]
The plant control device preferably further includes a prediction unit that calculates a predicted value (PREDTH) of the output of the plant.
According to this configuration, since the predicted value of the output of the plant is calculated by the prediction means, it is possible to accurately control the plant having the dead time element.
[0019]
It is desirable that the prediction unit calculates the prediction value using the model parameter identified by the identification unit.
According to this configuration, since the predicted value is calculated using the model parameter identified by the identifying means, a highly accurate predicted value can be obtained even when the dynamic characteristics of the plant change over time or due to environmental conditions. Can be calculated.
[0020]
The control input to the plant by the sliding mode controller preferably includes an adaptive law input.
According to this configuration, the control input to the plant includes an adaptive law input, so even if there are disturbances or modeling errors (difference between the characteristics of the actual plant and the characteristics of the model to be controlled) Controllability can be realized.
[0021]
The plant includes a throttle valve driving device (10) having a throttle valve (3) of an internal combustion engine and a driving means (6) for driving the throttle valve, and the sliding mode controller is configured to control an opening of the throttle valve. It is desirable to calculate a parameter (DUT) for determining a control input to the throttle valve driving device so that (TH) matches the target opening (THR).
[0022]
According to this configuration, since the control for making the throttle valve opening coincide with the target opening is performed by the sliding mode controller using the stable model parameter identified by the identification means, the target opening of the throttle valve opening It is possible to improve controllability and to realize stable control.
[0023]
The plant includes an engine system (201) having an internal combustion engine (212) and fuel supply means (211) for supplying fuel to the engine, and the sliding mode controller is configured to supply an air-fuel mixture supplied to the engine. It is desirable to calculate a parameter (DKAF) for determining a control input to the engine system so that the air-fuel ratio matches the target air-fuel ratio.
[0024]
According to this configuration, the control of making the air-fuel ratio coincide with the target air-fuel ratio is performed by the sliding mode controller using the stable model parameter identified by the identifying means. In addition, stable control can be realized.
[0025]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings.
(First embodiment)
FIG. 1 is a diagram showing a configuration of a throttle valve control device according to a first embodiment of the present invention. A throttle valve 3 is provided in an intake passage 2 of an internal combustion engine (hereinafter referred to as “engine”) 1. The throttle valve 3 includes a return spring 4 as a first urging means for urging the throttle valve 3 in the valve closing direction, and an elastic as a second urging means for urging the throttle valve 3 in the valve opening direction. A member 5 is attached. The throttle valve 3 can be driven by a motor 6 as a driving means via a gear (not shown). In a state where the driving force by the motor 6 is not applied to the throttle valve 3, the opening TH of the throttle valve 3 is a default opening THDEF (for example, 5 degrees) in which the urging force of the return spring 4 and the urging force of the elastic member 5 are balanced. ).
[0026]
The motor 6 is connected to an electronic control unit (hereinafter referred to as “ECU”) 7, and its operation is controlled by the ECU 7. The throttle valve 3 is provided with a throttle valve opening sensor 8 for detecting the throttle valve opening TH, and the detection signal is supplied to the ECU 7.
[0027]
The ECU 7 is connected to an accelerator sensor 9 for detecting an accelerator pedal depression amount ACC for detecting a demand output of a driver of the vehicle on which the engine 1 is mounted, and the detection signal is supplied to the ECU 7.
The ECU 7 includes an input circuit to which detection signals from the throttle valve opening sensor 8 and the accelerator sensor 9 are supplied, an AD conversion circuit that converts the input signal into a digital signal, a central processing unit (CPU) that executes various arithmetic processes, and a CPU A memory circuit including a ROM for storing a program to be executed, a map and a table referred to by the program, and a RAM for storing calculation results, and an output circuit for supplying a drive current to the motor 6 are provided. The ECU 7 determines the target opening THR of the throttle valve 3 in accordance with the accelerator pedal depression amount ACC, and determines the control amount DUT of the motor 6 so that the detected throttle valve opening TH matches the target opening THR. Then, an electric signal corresponding to the control amount DUT is supplied to the motor 6.
[0028]
In the present embodiment, the throttle valve drive device 10 including the throttle valve 3, the return spring 4, the elastic member 5, and the motor 6 is set as a control target, and an input to the control target is set as a duty ratio DUT of an electric signal applied to the motor 6, The output to be controlled is the throttle valve opening TH detected by the throttle valve opening sensor 8.
[0029]
When the response frequency characteristics of the throttle valve drive device 10 are measured, gain characteristics and phase characteristics indicated by solid lines in FIG. 2 are obtained. Therefore, a model defined by the following equation (1) is set as a controlled object model. The response frequency characteristic of this model is as shown by a broken line in FIG. 2, and it has been confirmed that the model approximates the characteristic of the throttle valve driving device 10.
Figure 0003902504
Here, k is a parameter representing the discretized time, and DTH (k) is a throttle valve opening deviation amount defined by the following equation (2).
DTH (k) = TH (k) −THDEF (2)
Here, TH is the detected throttle valve opening, and THDEF is the default opening.
Also, a1, a2, b1, and c1 in equation (1) are model parameters that determine the characteristics of the controlled object model, and d is a dead time.
[0030]
The model defined by the above equation (1) is a discrete-time DARX model (delayed autoregressive model with exogeneous input: an autoregressive model having an external input) that is adopted to facilitate the application of adaptive control.
In the equation (1), in addition to the model parameters a1 and a2 related to the output deviation amount DTH and the model parameter b1 related to the input duty ratio DUT, a model parameter c1 not related to input / output is adopted. The model parameter c1 is a parameter indicating a deviation of the default opening THDEF and a disturbance applied to the throttle valve driving device. That is, the model parameter identifier identifies the model parameter c1 at the same time as the model parameters a1, a2, and b1, thereby identifying the default opening degree deviation and disturbance.
[0031]
FIG. 3 is a functional block diagram of a throttle valve control device realized by the ECU 7. The control device includes an adaptive sliding mode controller 21, a model parameter identifier 22, and a predicted throttle valve after a dead time d has elapsed. A state predictor 23 that calculates an opening deviation amount (hereinafter referred to as “predicted deviation amount”) PREDTH (k) (= DTH (k + d)), and a target opening degree of the throttle valve 3 according to the accelerator pedal depression amount ACC And a target opening setting unit 24 for setting THR.
[0032]
The adaptive sliding mode controller 21 calculates the duty ratio DUT by adaptive sliding mode control so that the detected throttle valve opening TH matches the target opening THR, and outputs the calculated duty ratio DUT.
By using the adaptive sliding mode controller 21, it is possible to appropriately change the follow-up response characteristic of the throttle valve opening TH to the target opening THR using a predetermined parameter (VPOLE). It is possible to avoid an impact (collision with the throttle fully closed stopper) when moving from the valve open position to the fully closed position, and to change the engine response to the accelerator operation. In addition, it is possible to ensure stability against model parameter errors.
[0033]
The model parameter identifier 22 is a modified model parameter vector θL (θLT= [A1, a2, b1, c1]) is calculated and supplied to the adaptive sliding mode controller 21. More specifically, the model parameter identifier 22 calculates a model parameter vector θ based on the throttle valve opening TH and the duty ratio DUT. Further, the correction model parameter vector θL is calculated by performing limit processing on the model parameter vector θ, and the corrected model parameter vector θL is supplied to the adaptive sliding mode controller 21. In this way, optimal model parameters a1, a2, and b1 are obtained for causing the throttle valve opening TH to follow the target opening THR, and further, a model parameter c1 indicating disturbance and a deviation of the default opening THDEF is obtained.
[0034]
By using a model parameter identifier 22 that identifies model parameters in real time, adaptation to changes in engine operating conditions, compensation for variations in hardware characteristics, compensation for power supply voltage fluctuations, and adaptation to changes in hardware characteristics over time Is possible.
[0035]
Based on the throttle valve opening TH and the duty ratio DUT, the state predictor 23 calculates the throttle valve opening TH (predicted value) after the dead time d, more specifically, the predicted deviation amount PREDTH, and the adaptive sliding mode. This is supplied to the controller 21. By using the predicted deviation amount PREDTH, it is possible to ensure the robustness of the control system with respect to the dead time of the controlled object, and it is possible to improve the controllability in the vicinity of the default opening THDEF that has a particularly large dead time.
[0036]
Next, the operation principle of the adaptive sliding mode controller 21 will be described.
First, the target value DTHR (k) is defined as a deviation amount between the target opening degree THR (k) and the default opening degree THDEF by the following equation (3).
DTHR (k) = THR (k) −THDEF (3)
Here, when the deviation e (k) between the throttle valve opening deviation amount DTH and the target value DTHR is defined by the following equation (4), the switching function value σ (k) of the adaptive sliding mode controller is expressed by the following equation (5) ) Is set as follows.
Figure 0003902504
Here, VPOLE is a switching function setting parameter set to a value larger than -1 and smaller than 1.
[0037]
On the phase plane defined with the vertical axis as the deviation e (k) and the horizontal axis as the previous deviation e (k-1), the deviation e (k) that satisfies σ (k) = 0 and the previous deviation e (k Since the combination with -1) is a straight line, this straight line is generally called a switching straight line. The sliding mode control is control paying attention to the behavior of the deviation e (k) on the switching line so that the switching function value σ (k) becomes 0, that is, the deviation e (k) and the previous deviation e (k -1) is controlled so that it is on the switching line on the phase plane, and robust against disturbances and modeling errors (difference between actual plant characteristics and modeled controlled model characteristics) Realization of control. As a result, the throttle valve opening deviation amount DTH is controlled with good robustness so as to follow the target value DTHR.
[0038]
Further, by changing the value of the switching function setting parameter VPOLE in the equation (5), as shown in FIG. 4, the attenuation characteristic of the deviation e (k), that is, the follow-up of the throttle valve opening deviation amount DTH to the target value DTHR. The characteristics can be changed. Specifically, when VPOLE = -1, the characteristic does not follow at all, and the follow-up speed can be increased as the absolute value of the switching function setting parameter VPOLE is reduced.
[0039]
The throttle valve control device is required to satisfy the following requirements A1 and A2.
A1) Avoiding collision with the throttle fully closed stopper when the throttle valve 3 is moved to the fully closed position
A2) Non-linear characteristics in the vicinity of the default opening THDEF (changes in elastic characteristics due to the balance between the biasing force of the return spring 4 and the biasing force of the elastic member 5, the gear interposed between the motor 6 and the throttle valve 3) To improve the controllability for the backlash and dead zone where the throttle valve opening does not change even if the duty ratio DUT changes.
Therefore, it is necessary to reduce the convergence speed of the deviation e (k) in the vicinity of the fully closed position of the throttle valve, and to increase the convergence speed in the vicinity of the default opening THDEF.
[0040]
According to the sliding mode control, the convergence speed can be easily changed by changing the switching function setting parameter VPOLE. Therefore, in this embodiment, the amount of change DTHHR (= DTHR (k) of the throttle valve opening TH and the target value DTHR is changed. ) -DTHR (k-1)), the switching function setting parameter VPOLE is set. As a result, the requests A1 and A2 can be satisfied.
[0041]
As described above, in the sliding mode control, the deviation e (k) is restricted by constraining the combination of the deviation e (k) and the previous deviation e (k-1) (hereinafter referred to as “deviation state quantity”) on the switching line. It converges to 0 at the specified convergence speed and robustly against disturbances and modeling errors. Therefore, in the sliding mode control, it is important how to put the deviation state quantity on the switching straight line and restrain it there.
[0042]
From such a viewpoint, the input to the controlled object (controller output) DUT (k) (also expressed as Usl (k)) is equivalent to the equivalent control input Ueq (k), as shown in the following equation (6). It is configured as the sum of the law input Urch (k) and the adaptive law input Uadp (k).
Figure 0003902504
[0043]
The equivalent control input Ueq (k) is an input for constraining the deviation state quantity on the switching line, and the reaching law input Urch (k) is an input for placing the deviation state quantity on the switching line. The law input Uadp (k) is an input for suppressing the influence of modeling error and disturbance and placing the deviation state quantity on the switching line. A method for calculating each input Ueq (k), Urch (k), and Uadp (k) will be described below.
[0044]
Since the equivalent control input Ueq (k) is an input for constraining the deviation state quantity on the switching straight line, the condition to be satisfied is given by the following equation (7).
σ (k) = σ (k + 1) (7)
When the duty ratio DUT (k) satisfying the equation (7) is obtained using the equations (1) and (4) and (5), the following equation (9) is obtained, which is equivalent to the equivalent control input Ueq (k) and Become. Further, the reaching law input Urch (k) and the adaptive law input Uadp (k) are defined by the following equations (10) and (11), respectively.
[Expression 1]
Figure 0003902504
Here, F and G are a reaching law control gain and an adaptive law control gain, respectively, and are set as described below. ΔT is a control cycle.
[0045]
The calculation of the above equation (9) requires the throttle valve opening deviation amount DTH (k + d) and the corresponding target value DTHR (k + d + 1) after the dead time d has elapsed. Therefore, the predicted deviation amount PREDTH (k) calculated by the state predictor 23 is used as the throttle valve opening deviation amount DTH (k + d) after the dead time d has elapsed, and the target value DTHR (k + d + 1). As a result, the latest target value DTHR is used.
[0046]
Next, the reaching law control gain F and the adaptive law control gain G are determined by the reaching law input Urch and the adaptive law input Uadp so that the deviation state quantity is stably placed on the switching straight line.
Specifically, assuming the disturbance V (k), the setting conditions for the gains F and G are obtained by obtaining conditions for the switching function value σ (k) to be stable with respect to the disturbance V (k). As a result, it was obtained as a stable condition that the combination of the gains F and G satisfies the following formulas (12) to (14), in other words, in the region indicated by hatching in FIG.
[0047]
F> 0 (12)
G> 0 (13)
F <2- (ΔT / 2) G (14)
As described above, the equivalent control input Ueq (k), the reaching law input Urch (k) and the adaptive law input Uadp (k) are calculated by the equations (9) to (11), and the duty sum is calculated as the sum of these inputs. The ratio DUT (k) can be calculated.
[0048]
As described above, the model parameter identifier 22 calculates the model parameter vector of the controlled object model based on the input (DUT (k)) and output (TH (k)) of the controlled object. Specifically, the model parameter identifier 22 calculates the model parameter vector θ (k) by a sequential identification algorithm (generalized sequential least squares algorithm) according to the following equation (15).
θ (k) = θ (k−1) + KP (k) ide (k) (15)
θ (k)T= [A1 ', a2', b1 ', c1'] (16)
[0049]
Here, a 1 ′, a 2 ′, b 1 ′, and C 1 ′ are model parameters before performing a limit process described later. Ide (k) is an identification error defined by the following equations (17), (18), and (19). DTHHAT (k) is an estimated value of the throttle valve opening deviation amount DTH (k) calculated using the latest model parameter vector θ (k-1) (hereinafter referred to as “estimated throttle valve opening deviation amount”). It is. KP (k) is a gain coefficient vector defined by the following equation (20). Further, P (k) in the equation (20) is a quartic square matrix calculated by the following equation (21).
[Expression 2]
Figure 0003902504
[Equation 3]
Figure 0003902504
[0050]
Depending on the setting of the coefficients λ1 and λ2 in equation (21), the identification algorithm according to equations (15) to (21) is one of the following four identification algorithms.
λ1 = 1, λ2 = 0 Fixed gain algorithm
λ1 = 1, λ2 = 1 Least square algorithm
λ1 = 1, λ2 = λ Decreasing gain algorithm (λ is a predetermined value other than 0, 1)
λ1 = λ, λ2 = 1 Weighted least square algorithm (λ is a predetermined value other than 0 and 1)
[0051]
On the other hand, in the present embodiment, it is required to satisfy the following requirements B1), B2), and B3).
B1) Adaptation to quasi-static dynamic characteristic changes and hardware characteristic variations
“Quasi-static dynamic characteristic change” means a characteristic change with a slow change rate such as a change in power supply voltage or aged deterioration of hardware.
B2) Adaptation to fast dynamic characteristic changes
Specifically, it means adaptation to changes in dynamic characteristics corresponding to changes in the throttle valve opening TH.
B3) Prevention of model parameter drift
The drift caused by the influence of the identification error caused by the non-linear characteristic of the controlled object that should not be reflected in the model parameter, that is, the increase in the absolute value of the model parameter is prevented.
[0052]
First, in order to satisfy the requirements of B1) and B2), the weighted least squares algorithm is adopted by setting the coefficients λ1 and λ2 to predetermined values λ and “0”, respectively.
[0053]
Next, model parameter drift will be described. As shown in FIG. 6, after the model parameters have converged to some extent, there are residual identification errors caused by nonlinear characteristics such as the friction characteristics of the throttle valve, or when disturbances whose average value is not zero are constantly added. Residual identification errors accumulate and cause model parameter drift.
[0054]
Since such a residual identification error should not be reflected in the value of the model parameter, the dead zone processing is performed using the dead zone function Fnl as shown in FIG. Specifically, the corrected identification error idenl (k) is calculated by the following equation (23), and the model parameter vector θ (k) is calculated using the corrected identification error idenl (k). That is, the following formula (15a) is used instead of the above formula (15). Thereby, the request B3) can be satisfied.
idenl (k) = Fnl (ide (k)) (23)
θ (k) = θ (k−1) + KP (k) idenl (k) (15a)
[0055]
The dead band function Fnl is not limited to that shown in FIG. 7A. For example, the dead band function shown in FIG. 7B or the incomplete dead band function shown in FIG. May be used. However, when the incomplete dead band function is used, drift cannot be completely prevented.
[0056]
Further, the amplitude of the residual identification error changes according to the fluctuation amount of the throttle valve opening TH. Therefore, in the present embodiment, the dead zone width parameter EIDNRLMT that defines the dead zone width shown in FIG. 7 is determined according to the root mean square value DDTHRSQA of the amount of change in the target throttle valve opening THR calculated by the following equation (24). (Specifically, the dead band width parameter EIDNRLMT is set so as to increase as the root mean square value DDTHRSQA increases). Thereby, it is possible to prevent the identification error to be reflected in the value of the model parameter from being ignored as the residual identification error. DDTHR in the equation (24) is a change amount of the target throttle valve opening THR, and is calculated by the following equation (25).
[Expression 4]
Figure 0003902504
[0057]
Here, since the throttle valve opening deviation amount DTH is controlled by the adaptive sliding mode controller 21 to the target value DTHR, the target value DTHR in the equation (25) is changed to the throttle valve opening deviation amount DTH in the same manner. The amount of change DDTH of the valve opening deviation amount DTH is calculated, and the dead zone width parameter EIDNRLMT can be set according to the mean square value DDTHRSQA obtained by substituting DDTHR in equation (24) for DDTH.
[0058]
In order to further enhance the robustness of the control system, it is effective to further stabilize the adaptive sliding mode controller 21. Therefore, in the present embodiment, limit processing is performed on each element a1 ′, a2 ′, b1 ′, and c1 ′ of the model parameter vector θ (k) calculated by the equation (15), and the corrected model parameter vector θL (k). (ΘL (k)T= [A1, a2, b1, c1]). Then, the adaptive sliding mode controller 21 executes the sliding mode control using the modified model parameter vector θL (k). Details of the limit process will be described later with reference to a flowchart.
[0059]
Next, a method of calculating the predicted deviation amount PREDTH by the state predictor 23 will be described.
First, matrices A and B and vectors X (k) and U (k) are defined by the following equations (26) to (29).
[Equation 5]
Figure 0003902504
Using the matrices A and B and the vectors X (k) and U (k), the equation (1) that defines the control target model is rewritten to obtain the following equation (30).
X (k + 1) = AX (k) + BU (k-d) (30)
[0060]
When X (k + d) is obtained from the equation (30), the following equation (31) is obtained.
[Formula 6]
Figure 0003902504
Here, when the matrices A ′ and B ′ are defined by the following equations (32) and (33) using the model parameters a1 ′, a2 ′, b1 ′, and c1 ′ before the limit processing, the prediction vector XHAT (k + d ) Is given by the following equation (34).
[Expression 7]
Figure 0003902504
[0061]
DTHHAT (k + d), which is an element in the first row of the prediction vector XHAT (k + d), is the prediction deviation amount PREDTH (k), and is given by the following equation (35).
Figure 0003902504
Where α1 is the matrix A ′d1 row 1 column element, α2 is a matrix A ′d1 row by 2 column elements, β i is a matrix A ′di1 '1 element of B', γ i is the matrix A 'diIt is a 1 × 2 element of B ′.
[0062]
The predicted deviation amount PREDTH (k) calculated by the equation (35) is applied to the equation (9), and the target values DTHR (k + d + 1), DTHR (k + d), and DTHR (k +) are further applied. By substituting d-1) with DTHR (k), DTHR (k-1), and DTHR (k-2), respectively, the following formula (9a) is obtained. The equivalent control input Ueq (k) is calculated by the equation (9a).
[Equation 8]
Figure 0003902504
[0063]
Further, the prediction switching function value σpre (k) is defined by the following equation (36) using the prediction deviation amount PREDTH (k) calculated by the equation (35), and the reaching law input Urch (k) and the adaptive law input are defined. Uadp (k) is calculated by the following equations (10a) and (11a), respectively.
Figure 0003902504
[Equation 9]
Figure 0003902504
[0064]
Next, the model parameter c1 'is a parameter indicating the deviation and disturbance of the default opening THDEF as described above. Therefore, as shown in FIG. 8, the default opening degree deviation can be considered to be substantially constant within a relatively short period, although it varies depending on the disturbance. Therefore, in this embodiment, the model parameter c1 'is statistically processed, the center value of the fluctuation is calculated as the default opening degree deviation thdefadp, and is used for calculation of the throttle valve opening degree deviation amount DTH and the target value DTHR.
[0065]
As a statistical processing method, the least square method is generally known. In the statistical processing by the least square method, data within a certain period, that is, all identified model parameters c1 ′ are usually stored in a memory. It is executed by performing a batch operation at a certain time. However, this collective operation method requires a huge amount of memory to store all data, and further requires an inverse matrix operation, which increases the amount of calculation.
[0066]
Therefore, in the present embodiment, the adaptive control sequential least squares algorithm expressed by the above formulas (15) to (21) is applied to statistical processing, and the least square center value of the model parameter c1 is set to the default opening deviation. It is calculated as thdefadp.
[0067]
Specifically, θ (k) and θ (k) in the above formulas (15) to (21).TIs replaced by thdefadp, and ζ (k) and ζ (k)TIs replaced with “1”, ide (k) is replaced with ec1 (k), KP (k) is replaced with KPTH (k), P (k) is replaced with PTH (k), and λ1 and λ2 Are replaced by λ1 ′ and λ2 ′, respectively, to obtain the following formulas (37) to (40).
[Expression 10]
Figure 0003902504
[0068]
One of the four algorithms described above can be selected by setting the coefficients λ1 ′ and λ2 ′. However, in the equation (39), the coefficient λ1 ′ is set to a predetermined value other than 0 or 1, and the coefficient λ2 ′ is set. By setting 1 to 1, the weighted least squares method was adopted.
[0069]
In the calculations of the above equations (37) to (40), the only values to be stored are thdefadp (k + 1) and PTH (k + 1), and no inverse matrix calculation is required. Therefore, by adopting the recursive least square method algorithm, it is possible to perform statistical processing of the model parameter c1 by the least square method while overcoming the drawbacks of a general least square method.
[0070]
The default opening degree deviation thdefadp obtained as a result of the statistical processing is applied to the expressions (2) and (3), and the throttle valve is replaced by the following expressions (41) and (42) instead of the expressions (2) and (3). An opening deviation amount DTH (k) and a target value DTHR (k) are calculated.
DTH (k) = TH (k) −THDEF + thdefadp (41)
DTHR (k) = THR (k) −THDEF + thdefadp (42)
[0071]
By using the equations (41) and (42), even when the default opening THDEF deviates from the design value due to variations in hardware characteristics or changes over time, the deviation is compensated for accurate control. be able to.
[0072]
Next, calculation processing in the CPU of the ECU 7 for realizing the functions of the adaptive sliding mode controller 21, the model parameter identifier 22, and the state predictor 23 will be described.
[0073]
FIG. 9 is an overall flowchart of throttle valve opening control, and this processing is executed by the CPU of the ECU 7 every predetermined time (for example, 2 msec).
In step S11, the state variable setting process shown in FIG. 10 is executed. That is, the calculations of equations (41) and (42) are executed to calculate the throttle valve opening deviation amount DTH (k) and the target value DTHR (k) (FIG. 10, steps S21 and S22). Note that (k) indicating the current value may be omitted.
[0074]
In step S12, the calculation of the model parameter identifier shown in FIG. 11, that is, the calculation process of the model parameter vector θ (k) according to the equation (15a) is executed, and the limit process is executed to correct the modified model parameter vector θL (k ) Is calculated.
[0075]
In subsequent step S13, the state predictor shown in FIG. 21 is operated to calculate a predicted deviation amount PREDTH (k).
Next, using the modified model parameter vector θL (k) calculated in step S12, the calculation process of the control input Usl (k) shown in FIG. 22 is executed (step S14). That is, the equivalent control input Ueq, the reaching law input Urch (k) and the adaptive law input Uadp (k) are calculated, and the control input Usl (k) (= duty ratio DUT (k)) is calculated as the sum of these inputs. To do.
[0076]
In the subsequent step S16, the stability determination process of the sliding mode controller shown in FIG. 29 is executed. That is, stability determination based on the differential value of the Lyapunov function is performed, and the stability determination flag FSMCSTAB is set. When the stability determination flag FSMCSTAB is set to “1”, it indicates that the adaptive sliding mode controller 21 is unstable. When the stability determination flag FSMCSTAB is set to “1” and the adaptive sliding mode controller 21 becomes unstable, the switching function setting parameter VPOLE is set to a predetermined stabilization value XPOLESB (see FIG. 24, steps S231 and S232). At the same time, the equivalent control input Ueq is set to “0” and the control is stabilized by switching to the control using only the reaching law input Urch and the adaptive law input Uadp (see FIG. 22, steps S206 and S208). When the adaptive sliding mode controller 21 becomes unstable, the calculation formulas for the reaching law input Urch and the adaptive law input Uadp are further changed. That is, the reaching law control gain F and the adaptive law control gain G are changed to values that stabilize the controller 21, and the reaching law input Urch and the adaptive law input Uadp are calculated without using the model parameter b1 ( (See FIGS. 27 and 28). By the stabilization process as described above, the unstable state of the adaptive sliding mode controller 21 can be terminated at an early stage and returned to a stable state.
In step S17, a thdefadp calculation process shown in FIG. 30 is executed to calculate a default opening deviation thdefadp.
[0077]
FIG. 11 is a flowchart of the calculation process of the model parameter identifier 22. In step S31, the gain coefficient vector KP (k) is calculated from equation (20), and then the estimated throttle valve opening deviation amount DTHHAT (k) is calculated from equation (18) (step S32). In step S33, idenl (k) calculation processing shown in FIG. 12 is executed, and the estimated throttle valve opening deviation amount DTHHAT (k) calculated in step S32 is applied to the equation (17) to identify the identification error ide (k ) And dead zone processing using the function shown in FIG. 7A is performed to calculate a corrected identification error idenl.
[0078]
In the subsequent step S34, the model parameter vector θ (k) is calculated by the equation (15a), and then the stabilization process of the model parameter vector θ (k) is executed (step S35). That is, each model parameter is subjected to limit processing to calculate a corrected model parameter vector θL (k).
[0079]
FIG. 12 is a flowchart of the idenl (k) calculation process executed in step S33 of FIG.
In step S51, the identification error ide (k) is calculated from equation (17). Next, the value of the counter CNTIDST incremented in step S53 is a predetermined value XCNTIDST that is set according to the dead time d to be controlled (for example, set to “3” corresponding to the dead time d = 2). It is determined whether it is larger (step S52). Since the initial value of the counter CNTIDST is “0”, the process first proceeds to step S53, the counter CNTIDST is incremented by “1”, the identification error ide (k) is set to “0” (step S54), and the step Proceed to S55. Immediately after the identification of the model parameter vector θ (k) is started, a correct identification error cannot be obtained by the calculation according to the equation (17). Therefore, the identification error can be obtained without using the calculation result according to the equation (17) in steps S52 to S54. ide (k) is set to “0”.
[0080]
If the answer to step S52 is affirmative (YES), the process immediately proceeds to step S55.
In step S55, low-pass filter processing of the identification error ide (k) is performed. Specifically, when identifying a model parameter to be controlled having low-pass characteristics, the identification weight for the identification error ide (k) of the least square identification algorithm is a frequency as indicated by a solid line L1 in FIG. Although it has a characteristic, it is made into the characteristic which attenuate | damped the high frequency component as shown by the broken line L2 by low-pass filter processing. This is due to the following reason.
[0081]
The actual control target having the low-pass characteristics and the frequency characteristics of the control target model obtained by modeling the control target are as shown by solid lines L3 and L4 in FIG. 13B, respectively. That is, when a model parameter is identified by the model parameter identifier 22 for a controlled object having a low-pass characteristic (a characteristic in which a high-frequency component is attenuated), the identified model parameter is greatly influenced by the high-frequency band rejection characteristic. The low-frequency gain of the model to be controlled in the low frequency range is lower than the actual characteristics. As a result, the control input correction by the sliding mode controller 21 is overcorrected.
[0082]
Therefore, the frequency characteristic of the weight of the identification algorithm is set to a characteristic as shown by a broken line L2 in FIG. 13A by low-pass filter processing, so that the frequency characteristic of the controlled object model is shown by a broken line L5 in FIG. The characteristics are as shown and matched with the actual frequency characteristics, or modified so that the low-frequency gain of the controlled object model is slightly higher than the actual gain. Thereby, the overcorrection by the controller 21 can be prevented, the robustness of the control system can be improved, and the control system can be further stabilized.
[0083]
In the low-pass filter processing, identification error past values ide (ki) (for example, ten past values corresponding to i = 1 to 10) are stored in a ring buffer, and these past values are multiplied by a weighting coefficient. Execute by adding.
Further, since the identification error ide (k) is calculated using the equations (17), (18) and (19), the throttle valve opening deviation amount DTH (k) and the estimated throttle valve opening deviation The same low-pass filter processing is performed on the amount DTHHAT (k), or the throttle valve opening deviation amounts DTH (k-1) and DTH (k-2) and the duty ratio DUT (kd-1) are the same. The same effect can be obtained by performing the low-pass filter processing.
[0084]
Returning to FIG. 12, in the subsequent step S56, the dead zone processing shown in FIG. 14 is executed. In step S61 of FIG. 14, the root mean square value DDTHRSQA of the amount of change in the target throttle valve opening THR is calculated by setting n = 5 in the above equation (24), and then EIDNRLMT shown in FIG. 15 according to the mean square value DDTHRSQA. The table is searched to calculate the dead band parameter EIDNRLMT (step S62).
[0085]
In step S63, it is determined whether or not the identification error ide (k) is larger than the dead band parameter EIDNRLMT. If ide (k)> EINRLMT, the corrected identification error idenl (k) is calculated by the following equation (43). (Step S67).
idenl (k) = ide (k) −EIDNRLMT (43)
[0086]
If the answer to step S63 is negative (NO), it is further determined whether or not the identification error ide (k) is smaller than a value obtained by adding a negative sign to the dead band parameter EIDNRLMT (step S64), and ide (k). If <−EIDNRLMT, the corrected identification error idenl (k) is calculated by the following equation (44) (step S65).
idenl (k) = ide (k) + EIDNRLMT (44)
If the identification error ide (k) is within the range of ± EIDNRLMT, the corrected identification error idenl (k) is set to “0” (step S66).
[0087]
FIG. 16 is a flowchart of the stabilization process of θ (k) executed in step S35 of FIG.
In step S71, initialization is performed by setting the flags FA1STAB, FA2STAB, FB1LMT, and FC1LMT used in this process to “0”. In step S72, a1 ′ and a2 ′ limit processing shown in FIG. 17 is executed. In step S73, b1 ′ limit processing shown in FIG. 19 is executed. In step S74, c1 ′ shown in FIG. Perform limit processing.
[0088]
FIG. 17 is a flowchart of a1 ′ and a2 ′ limit processing executed in step S <b> 72 of FIG. 16. FIG. 18 is a diagram for explaining the processing of FIG. 17 and will be referred to together with FIG.
In FIG. 18, the combination of model parameters a1 ′ and a2 ′ that require limit processing is indicated by “x”, and the range of the combination of stable model parameters a1 ′ and a2 ′ is hatched (hereinafter “ "Stable region"). The process of FIG. 17 is a process of moving the combination of the model parameters a1 'and a2' outside the stable region into the stable region (position indicated by "O").
[0089]
In step S81, it is determined whether or not the model parameter a2 'is greater than or equal to a predetermined a2 lower limit value XIDA2L. The predetermined a2 lower limit value XIDA2L is set to a negative value larger than “−1”. Even if the predetermined a2 lower limit value XIDA2L is set to “−1”, stable modified model parameters a1 and a2 can be obtained, but the n-th power of the matrix A defined by the equation (26) becomes unstable ( This means that a1 ′ and a2 ′ do not diverge but vibrate in some cases, and are set to a value larger than “−1”.
[0090]
If a2 '<XIDA2L in step S81, the modified model parameter a2 is set to this lower limit value XIDA2L, and the a2 stabilization flag FA2STAB is set to "1". When the a2 stabilization flag FA2STAB is set to “1”, it indicates that the modified model parameter a2 is set to the lower limit value XIDA2L. In FIG. 18, the correction of the model parameter by the limit process P1 in steps S81 and S82 is indicated by an arrow line with “P1” (line with an arrow).
[0091]
If the answer to step S81 is affirmative (YES), that is, if a2 ′ ≧ XIDA2L, the modified model parameter a2 is set to the model parameter a2 ′ (step S83).
In step S84 and step S85, it is determined whether or not the model parameter a1 'is within a range defined by the predetermined a1 lower limit value XIDA1L and the predetermined a1 upper limit value XIDA1H. The predetermined a1 lower limit value XIDA1L is set to a value equal to or larger than −2 and smaller than 0, and the predetermined a1 upper limit value XIDA1H is set to 2, for example.
[0092]
When the answer to steps S84 and S85 is affirmative (YES), that is, when XIDA1L ≦ a1 ′ ≦ XIDA1H, the modified model parameter a1 is set to the model parameter a1 ′ (step S88).
On the other hand, when a1 '<XIDA1L, the modified model parameter a1 is set to the lower limit value XIDA1L, and the a1 stabilization flag FA1STAB is set to "1" (steps S84 and S86). If a1 '> XIDA1H, the modified model parameter a1 is set to the upper limit value XIDA1H, and the a1 stabilization flag FA1STAB is set to "1" (steps S85 and S87). When the a1 stabilization flag FA1STAB is set to “1”, it indicates that the modified model parameter a1 is set to the lower limit value XIDA1L or the upper limit value XIDA1H. In FIG. 18, the correction of the model parameter by the limit process P2 in steps S84 to S87 is indicated by an arrow line with “P2”.
[0093]
In step S90, it is determined whether or not the sum of the absolute value of the corrected model parameter a1 and the corrected model parameter a2 is equal to or smaller than a predetermined stability determination value XA2STAB. The predetermined stability determination value XA2STAB is set to a value close to “1” and smaller than “1” (for example, 0.99).
[0094]
The straight lines L1 and L2 shown in FIG. 18 are straight lines that satisfy the following formula (45).
a2 + | a1 | = XA2STAB (45)
Accordingly, step S90 determines whether or not the combination of the corrected model parameters a1 and a2 is on or below the straight lines L1 and L2 shown in FIG. If the answer to step S90 is affirmative (YES), the combination of the modified model parameters a1 and a2 is within the stable region of FIG.
[0095]
On the other hand, when the answer to step S90 is negative (NO), the corrected model parameter a1 is a value obtained by subtracting the predetermined a2 lower limit value XIDA2L from the predetermined stability determination value XA2STAB (since XIDA2L <0, XA2STAB-XIDA2L> XA2STAB is It is determined whether or not the condition is satisfied (step S91). If the modified model parameter a1 is equal to or smaller than (XA2STAB-XIDA2L), the modified model parameter a2 is set to (XA2STAB- | a1 |) and the a2 stabilization flag FA2STAB is set to “1” (step S92). .
[0096]
When the modified model parameter a1 is larger than (XA2STAB-XIDA2L) in step S91, the modified model parameter a1 is set to (XA2STAB-XIDA2L), the modified model parameter a2 is set to the predetermined a2 lower limit value XIDA2L, and a1 is stabilized. Both the flag FA1STAB and the a2 stabilization flag FA2STAB are set to “1” (step S93).
[0097]
In FIG. 18, the correction of the model parameter by the limit process P3 in steps S91 and S92 is indicated by an arrow with “P3”, and the correction of the model parameter by the limit process P4 in steps S91 and S93 is It is indicated by an arrow with “P4”.
[0098]
As described above, the limit process is executed by the process of FIG. 17 so that the model parameters a1 'and a2' fall within the stable region shown in FIG. 18, and the corrected model parameters a1 and a2 are calculated.
[0099]
FIG. 19 is a flowchart of the b1 ′ limit process executed in step S73 of FIG.
In steps S101 and S102, it is determined whether or not the model parameter b1 'is within a range defined by the predetermined b1 lower limit value XIDB1L and the predetermined b1 upper limit value XIDB1H. The predetermined b1 lower limit value XIDB1L is set to a positive predetermined value (for example, 0.1), and the predetermined b1 upper limit value XIDB1H is set to “1”, for example.
[0100]
When the answer to steps S101 and S102 is affirmative (YES), that is, when XIDB1L ≦ b1 ′ ≦ XIDB1H, the modified model parameter b1 is set to the model parameter b1 ′ (step S105).
On the other hand, when b1 '<XIDB1L, the modified model parameter b1 is set to the lower limit value XIDB1L, and the b1 limit flag FB1LMT is set to "1" (steps S101 and S104). If b1 '> XIDB1H, the modified model parameter b1 is set to the upper limit value XIDB1H, and the b1 limit flag FB1LMT is set to "1" (steps S102 and S103). When the b1 limit flag FB1LMT is set to “1”, it indicates that the modified model parameter b1 is set to the lower limit value XIDB1L or the upper limit value XIDB1H.
[0101]
FIG. 20 is a flowchart of the limit process for the model parameter c1 'executed in step S74 of FIG.
In steps S111 and S112, it is determined whether or not the model parameter c1 'is within a range defined by the predetermined c1 lower limit value XIDC1L and the predetermined c1 upper limit value XIDC1H. The predetermined c1 lower limit value XIDC1L is set to -60, for example, and the predetermined c1 upper limit value XIDC1H is set to 60, for example.
[0102]
When the answer to steps S111 and S112 is affirmative (YES), that is, when XIDC1L ≦ c1 ′ ≦ XIDC1H, the modified model parameter c1 is set to the model parameter c1 ′ (step S115).
On the other hand, when c1 ′ <XIDC1L, the modified model parameter c1 is set to the lower limit value XIDC1L, and the c1 limit flag FC1LMT is set to “1” (steps S111 and S114). If c1 '> XIDC1H, the modified model parameter c1 is set to the upper limit value XIDC1H, and the c1 limit flag FC1LMT is set to "1" (steps S112 and S113). When the c1 limit flag FC1LMT is set to “1”, it indicates that the modified model parameter c1 is set to the lower limit value XIDC1L or the upper limit value XIDC1H.
[0103]
FIG. 21 is a flowchart of the calculation process of the state predictor executed in step S13 of FIG.
In step S121, matrix calculation is performed to calculate matrix elements α1, α2, β1 to β2, and γ1 to γd of the equation (35).
In step S122, the predicted deviation amount PREDTH (k) is calculated from equation (35).
[0104]
FIG. 22 is a flowchart of the process for calculating the control input Usl (= DUT) to the throttle valve drive apparatus 10 executed in step S14 of FIG.
In step S201, the calculation process of the prediction switching function value σpre shown in FIG. 23 is executed, and in step S202, the calculation process of the integrated value of the prediction switching function value σpre shown in FIG. 26 is executed. In step S203, the equivalent control input Ueq is calculated by the equation (9). In step S204, the reaching law input Urch calculation process shown in FIG. 27 is executed. In step S205, the adaptive law input Uadp calculation process shown in FIG. 28 is executed.
[0105]
In step S206, it is determined whether or not a stability determination flag FSMCSTAB set in the process of FIG. 29 described later is “1”. When the stability determination flag FSMCSTAB is set to “1”, it indicates that the adaptive sliding mode controller 21 is unstable.
[0106]
If FSMCSTAB = 0 in step S206 and the adaptive sliding mode controller 21 is stable, the control input Usl is calculated by adding the control inputs Ueq, Urch, and Uadp calculated in steps S203 to S205 (step S206). S207).
[0107]
On the other hand, when FSMCSTAB = 1 and the adaptive sliding mode controller 21 is unstable, the sum of the reaching law input Urch and the adaptive law input Uadp is calculated as the control input Usl. That is, the equivalent control input Ueq is not used for calculating the control input Usl. This can prevent the control system from becoming unstable.
[0108]
In subsequent steps S209 and S210, it is determined whether or not the calculated control input Usl is within the range of the predetermined upper and lower limit values XUSLH and XUSLL. If the control input Usl is within the range of the predetermined upper and lower limit values, The process ends. On the other hand, when the control input Usl is less than or equal to the predetermined lower limit value XUSLL, the control input Usl is set to the predetermined lower limit value XUSLL (steps S209 and S212), and when the control input Usl is greater than or equal to the predetermined upper limit value XUSLH Usl is set to a predetermined upper limit value XUSLH (steps S210 and S211).
[0109]
FIG. 23 is a flowchart of the calculation process of the prediction switching function value σpre executed in step S201 in FIG.
In step S221, the calculation process of the switching function setting parameter VPOLE shown in FIG. 24 is executed, and then the prediction switching function value σpre (k) is calculated by the equation (36) (step S222).
[0110]
In subsequent steps S223 and S224, it is determined whether or not the calculated predicted switching function value σpre (k) is within the range of the predetermined upper and lower limit values XSGMH and XSGML, and the predicted switching function value σpre (k) is determined to be the predetermined upper and lower limit value. If it is within the range, this processing is immediately terminated. On the other hand, when the predicted switching function value σpre (k) is equal to or smaller than the predetermined lower limit value XSGML, the predicted switching function value σpre (k) is set to the predetermined lower limit value XSGML (steps S223 and S225), and the predicted switching function value σpre ( When k) is equal to or greater than the predetermined upper limit value XSGMH, the prediction switching function value σpre (k) is set to the predetermined upper limit value XSGMH (steps S224 and S226).
[0111]
FIG. 24 is a flowchart of the calculation process of the switching function setting parameter VPOLE executed in step S221 of FIG.
In step S231, it is determined whether or not the stability determination flag FSMCSTAB is “1”. If FSMCSTAB = 1 and the adaptive sliding mode controller 21 is unstable, the switching function setting parameter VPOLE is stabilized. The predetermined value XPOLESTB is set (step S232). The predetermined stabilization value XPOLESTB is set to a value larger than “−1” and very close to “−1” (for example, −0.999).
[0112]
When FSMCSTAB = 0 and the adaptive sliding mode controller 21 is stable, a change amount DDTHR (k) of the target value DTHR (k) is calculated by the following equation (46) (step S233).
DDTHR (k) = DTHR (k) −DTHR (k−1) (46)
In step S234, the VPOLE map is searched according to the throttle valve opening deviation amount DTH and the target value change amount DTHHR calculated in step S233, and the switching function setting parameter VPOLE is calculated. As shown in FIG. 25A, the VPOLE map increases when the throttle valve opening deviation amount DTH takes a value near 0 (when the throttle valve opening TH takes a value near the default opening THDEF), A value other than near 0 is set to be a substantially constant value with respect to a change in the throttle valve opening deviation amount DTH. The VPOLE map is set so that the VPOLE value increases as the target value change amount DTHHR increases, as shown by the solid line in FIG. 5B, but the throttle valve opening deviation amount DTH is 0. When taking a value in the vicinity, as shown by a broken line in the figure, the change amount DTHHR of the target value is set to increase when it takes a value in the vicinity of 0.
[0113]
That is, when the target value DTHR of the throttle valve opening is greatly changed in the decreasing direction, the switching function setting parameter VPOLE is set to a relatively small value. Thereby, it is possible to prevent the throttle valve 3 from colliding with the throttle fully closed stopper. In the vicinity of the default opening THDEF, the switching function setting parameter VPOLE is set to a relatively large value, and the controllability in the vicinity of the default opening THDEF can be improved.
[0114]
As shown in FIG. 5C, when the throttle valve opening TH is in the vicinity of the fully closed opening or in the vicinity of the fully opened opening, the switching function setting parameter VPOLE may be set to decrease. As a result, when the throttle valve opening TH is in the vicinity of the fully closed opening or in the vicinity of the fully opened opening, the follow-up speed with respect to the target opening THR is reduced, and the fully closed stopper of the throttle valve 3 Can be more reliably prevented.
[0115]
In subsequent steps S235 and S236, it is determined whether or not the calculated switching function setting parameter VPOLE is within the predetermined upper and lower limit values XPOLEH and XPOLE, and when the switching function setting parameter VPOLE is within the predetermined upper and lower limit value range. Immediately ends this processing. On the other hand, when the switching function setting parameter VPOLE is less than or equal to the predetermined lower limit value XPOLE, the switching function setting parameter VPOLE is set to the predetermined lower limit value XPOLE (steps S236 and S238), and the switching function setting parameter VPOLE is greater than or equal to the predetermined upper limit value XPOLEH. If there is, the switching function setting parameter VPOLE is set to a predetermined upper limit value XPOLEH (steps S235 and S237).
[0116]
FIG. 26 is a flowchart of processing for calculating the integrated value SUMSIGMA of the predicted switching function value σpre, which is executed in step S202 of FIG. The integrated value SUMSIGMA is used to calculate the adaptive law input Uadp in the process of FIG. 28 described later (see the above formula (11a)).
[0117]
In step S241, the integrated value SUMSIGMA is calculated by the following equation (47). ΔT in the following equation is an execution period of the calculation.
SUMSIGMA (k) = SUMSIGMA (k−1) + σpre × ΔT (47)
In subsequent steps S242 and S243, it is determined whether or not the calculated integrated value SUMSIGMA is within the predetermined upper and lower limit values XSUMSH and XSUMSL. If the integrated value SUMSIGMA is within the predetermined upper and lower limit range, the present value is immediately The process ends. On the other hand, when the integrated value SUMSIGMA is less than or equal to the predetermined lower limit value XSUMSL, the integrated value SUMSIGMA is set to the predetermined lower limit value XSUMSL (steps S242 and S244), and when the integrated value SUMSIGMA is greater than or equal to the predetermined upper limit value XSUMSHH SUMSIGMA is set to a predetermined upper limit value XSUMSH (steps S243 and S245).
[0118]
FIG. 27 is a flowchart of the reaching law input Urch calculation process executed in step S204 of FIG.
In step S261, it is determined whether or not the stability determination flag FSMCSTAB is “1”. When the stability determination flag FSMCSTAB is “0” and the adaptive sliding mode controller 21 is stable, the control gain F is set to the predetermined normal gain XKRCH (step S262), and the following equation (48) (the above equation (10a)) The reaching law input Urch is calculated by the same formula (step S263).
Urch = −F × σpre / b1 (48)
[0119]
On the other hand, when the stability determination flag FSMCSTAB is “1” and the adaptive sliding mode controller 21 becomes unstable, the control gain F is set to the predetermined stabilization gain XKRCHSTB (step S264), and the model parameter b1 is not used. The reaching law input Urch is calculated by the following equation (49) (step S265).
Urch = −F × σpre (49)
[0120]
In subsequent steps S266 and S267, it is determined whether or not the calculated reaching law input Urch is within the predetermined upper and lower limit values XURCHH and XURCHL, and when the reaching law input Urch is within the predetermined upper and lower limit values, Immediately end this process. On the other hand, when the reaching law input Urch is less than or equal to the predetermined lower limit value XURCHL, the reaching law input Urch is set to the predetermined lower limit value XURCHL (steps S266 and S268), and when the reaching law input Urch is greater than or equal to the predetermined upper limit value XURCHH The reaching law input Urch is set to a predetermined upper limit value XURCHH (steps S267 and S269).
[0121]
Thus, when the adaptive sliding mode controller 21 becomes unstable, the control gain F is set to the predetermined stabilization gain XKRCHSTB, and the reaching law input Urch is calculated without using the model parameter b1, thereby performing the adaptive sliding. The mode controller 21 can be returned to a stable state. Since the adaptive sliding mode controller 21 becomes unstable when the identification by the model parameter identifier 22 becomes unstable, the adaptive sliding mode controller 21 is stabilized by not using the unstable model parameter b1. can do.
[0122]
FIG. 28 is a flowchart of the calculation process of the adaptive law input Uadp executed in step S205 of FIG.
In step S271, it is determined whether or not the stability determination flag FSMCSTAB is “1”. When the stability determination flag FSMCSTAB is “0” and the adaptive sliding mode controller 21 is stable, the control gain G is set to the predetermined normal gain XKADP (step S272), and the following equation (50) (the above equation (11a)) The adaptive law input Uadp is calculated by an equation corresponding to (step S273).
Uadp = −G × SUMMSIGMA / b1 (50)
[0123]
On the other hand, when the stability determination flag FSMCSTAB is “1” and the adaptive sliding mode controller 21 becomes unstable, the control gain G is set to the predetermined stabilization gain XKADPSTB (step S274), and the model parameter b1 is not used. The adaptive law input Uadp is calculated by the following equation (51) (step S275).
Uadp = −G × SUMSIGMA (51)
[0124]
Thus, when the adaptive sliding mode controller 21 becomes unstable, the control gain G is set to the predetermined stabilization gain XKADPSTB, and the adaptive law input Uadp is calculated without using the model parameter b1, thereby performing the adaptive sliding. The mode controller 21 can be returned to a stable state.
[0125]
FIG. 29 is a flowchart of the stability determination process of the sliding mode controller executed in step S16 of FIG. In this process, stability determination is performed based on the differential term of the Lyapunov function, and the stability determination flag FSMCSTAB is set according to the stability determination result.
[0126]
In step S281, the switching function change amount Dσpre is calculated by the following equation (52), and then the stability determination parameter SGMSTAB is calculated by the following equation (53) (step S282).
Dσpre = σpre (k) −σpre (k−1) (52)
SGMSTAB = Dσpre × σpre (k) (53)
In step S283, it is determined whether or not the stability determination parameter SGMSTAB is equal to or less than the stability determination threshold value XSGMSTAB. If SGMSTAB> XSGMSTAB, it is determined that the controller 21 may be unstable and the instability detection counter is determined. CNTSMCST is incremented by “1” (step S285). If SGMSTAB ≦ XSGMSTAB, the controller 21 determines that it is stable, and holds the count value of the instability detection counter CNTSMCST without incrementing (step S284).
[0127]
In step S286, it is determined whether or not the value of the instability detection counter CNTSMCST is equal to or smaller than a predetermined count value XSSTAB. If CNTSMCST ≦ XSSTAB, the controller 21 determines that it is stable, and sets the first determination flag FSMCSTAB1 to “0” (step S287). On the other hand, when CNTSMCST> XSSTAB, it is determined that the controller 21 is unstable, and the first determination flag FSMCSTAB1 is set to “1” (step S288). The instability detection counter CNTSMCST is initialized to “0” when the ignition switch is turned on.
[0128]
In the subsequent step S289, the stability determination period counter CNTJUDST is decremented by “1”, and then it is determined whether or not the value of the stability determination period counter CNTJUDST is “0” (step S290). The stability determination period counter CNTJUDST is initialized to a predetermined determination count value XCJUDST when the ignition switch is turned on. Therefore, initially, the answer to step S290 is negative (NO), and the process immediately proceeds to step S295.
[0129]
Thereafter, when the stability determination period counter CNTJUDST becomes “0”, the process proceeds from step S290 to step S291, and it is determined whether or not the first determination flag FSMCSTAB1 is “1”. When the first determination flag FSMCSTAB1 is “0”, the second determination flag FSMCSTAB2 is set to “0” (step S293), and when the first determination flag FSMCSTAB1 is “1”, the second determination flag FSMCSTAB1 is set to “0”. The flag FSMCSTAB2 is set to “1” (step S292).
[0130]
In the subsequent step S294, the value of the stability determination period counter CNTJUDST is set to the predetermined determination count value XCJUDST, the value of the instability detection counter CNTSMCST is set to “0”, and the process proceeds to step S295.
In step S295, the stability determination flag FSMCSTAB is set to the logical sum of the first determination flag FSMCSTAB1 and the second determination flag FSMCSTAB2. The second determination flag FSMCSTAB2 is affirmative (YES) in step S286, and even if the first determination flag FSMCSTAB1 is set to “0”, the value of the stability determination period counter CNTJUDST becomes “0”. 1 "is maintained. Therefore, the stability determination flag FSMCSTAB is also maintained at “1” until the value of the stability determination period counter CNTJUDST becomes “0”.
[0131]
FIG. 30 is a flowchart of processing for calculating the default opening degree deviation thdefadp executed in step S17 of FIG.
In step S251, the gain coefficient KPTH (k) is calculated by the following equation (54).
KPTH (k) = PTH (k-1) / (1 + PTH (k-1)) (54)
Here, PTH (k−1) is the gain parameter calculated in step S253 when the process is executed last time.
[0132]
In step S252, the model parameter c1 ′ calculated in the model parameter identifier calculation process shown in FIG. 11 and the gain coefficient KPTH (k) calculated in step S251 are applied to the following equation (55) to obtain a default opening deviation thdefadp ( k) is calculated.
Figure 0003902504
[0133]
In step S253, the gain parameter PTH (k) is calculated by the following equation (56).
Figure 0003902504
Expression (56) is obtained by setting λ1 ′ and λ2 ′ to the predetermined values XDEFADPW and “1” in Expression (39), respectively.
[0134]
By the process of FIG. 30, the model parameter c1 'is statistically processed by the sequential weighted least square method, and the default opening degree deviation thdefadp is calculated.
In this embodiment, a part of the throttle valve driving device 10 and the ECU 7 (an output circuit for supplying a driving current to the motor 6) corresponds to a plant, the process of FIG. 22 corresponds to a sliding mode controller, and the process of FIG. 12 corresponds to the identification means, the processing in FIG. 12 corresponds to the identification error calculation means, the processing in FIG. 14 corresponds to the identification error correction means, and the processing in FIG. 21 corresponds to the prediction means.
[0135]
(Second Embodiment)
In the first embodiment described above, the model to be controlled is defined using Equation (1) including the dead time d, and the predicted deviation amount PREDTH after the dead time d has elapsed is calculated using the state predictor 23. Thus, the control target model including the dead time is controlled. Therefore, it is necessary for the CPU to execute a calculation corresponding to the state predictor 23, and the calculation amount of the CPU increases. Therefore, in this embodiment, in order to reduce the calculation load applied to the CPU, the control target model is defined by the following equation (1a) where the dead time d is “0”, and the dead time d is set to “0”. The modeling error due to is compensated by the robustness of adaptive sliding mode control.
Figure 0003902504
[0136]
In order to further reduce the computation load of the CPU, a fixed gain algorithm is adopted as an identification algorithm for model parameters.
Further, in order to further stabilize the control, as a method for preventing the drift of the model parameter, another method replacing the dead zone processing is adopted.
Hereinafter, the present embodiment will be described in detail with a focus on differences from the first embodiment. Except for the points described below, the second embodiment is the same as the first embodiment.
[0137]
FIG. 31 is a functional block diagram of a throttle valve control device realized by the ECU 7. This control device includes an adaptive sliding mode controller 21a, a model parameter identifier 22a, a model parameter scheduler 25, an accelerator pedal depression amount ACC. And a target opening degree setting unit 24 for setting the target opening degree THR of the throttle valve 3 according to the above.
[0138]
The adaptive sliding mode controller 21a receives not the predicted deviation amount PREDTH but the detected throttle valve opening TH, and the duty ratio is controlled by adaptive sliding mode control so that the throttle valve opening TH matches the target opening THR. A DUT is calculated.
[0139]
By using the adaptive sliding mode controller 21a, the same effects as those described in the first embodiment can be obtained, and the robustness of the control system with respect to the dead time of the controlled object can be ensured. Therefore, it is possible to compensate for a modeling error caused by setting the dead time d to “0”.
[0140]
The model parameter identifier 22a is a modified model parameter vector θL (θL) by a method different from that of the first embodiment.T= [A1, a2, b1, c1]) is calculated and supplied to the adaptive sliding mode controller 21a. More specifically, the model parameter identifier 22a corrects the reference model parameter vector θbase supplied from the model parameter scheduler 25 based on the throttle valve opening TH and the duty ratio DUT, thereby obtaining the model parameter vector θ. calculate. Further, the corrected model parameter vector θL is calculated by performing limit processing on the model parameter vector θ, and the corrected model parameter vector θL is supplied to the adaptive sliding mode controller 21a. In this way, optimal model parameters a1, a2, and b1 are obtained for causing the throttle valve opening TH to follow the target opening THR, and further, a model parameter c1 indicating disturbance and a deviation of the default opening THDEF is obtained.
[0141]
The model parameter scheduler 25 determines the reference model parameter vector θbase (θbase) based on the throttle valve opening TH.T= [A1base, a2base, b1base, c1base]) is calculated and supplied to the model parameter identifier 22a.
[0142]
In the present embodiment, since the controlled object model is defined by the above equation (1a), the adaptive sliding mode controller 21a converts the equivalent control input Ueq, the reaching law input Urch, and the adaptive law input Uadp into the above equations (9a), Instead of (10a) and (11a), the following formulas (9b), (10b), and (11b) are used for calculation.
## EQU11 ##
Figure 0003902504
[0143]
Expressions (9b) to (11b) are obtained by setting the dead time d of the expressions (9) to (11) to “0”.
As described above, the model parameter identifier 22a calculates the model parameter vector of the controlled object model based on the input (DUT (k)) and output (TH (k)) of the controlled object. Specifically, the model parameter identifier 22a calculates a model parameter vector θ (k) by the following equation (15) (re-displayed).
θ (k) = θ (k−1) + KP (k) ide (k) (15)
[0144]
The identification error ide (k) in the equation (15) is defined by the following equations (17) (repost), (18) (repost) and (19a). Equation (19a) is obtained by setting the dead time d of the equation (19) to “0”. The gain coefficient vector KP (k) is defined by the following equation (20) (repost), and the square matrix P (k) of the equation (20) is calculated by the following equation (21) (repost).
[Expression 12]
Figure 0003902504
[Formula 13]
Figure 0003902504
[0145]
In the present embodiment, in addition to satisfying the following requests B1 to B3 as in the first embodiment, it is further required to satisfy the following requests B4 and B5.
B1) Adaptation to quasi-static dynamic characteristic changes and hardware characteristic variations
The “quasi-static dynamic characteristic change” is a characteristic change with a slow change rate, such as a fluctuation in power supply voltage or aged deterioration of hardware.
B2) Adaptation to fast dynamic characteristic changes
Specifically, it means adaptation to changes in dynamic characteristics corresponding to changes in the throttle valve opening TH.
B3) Prevention of model parameter drift
The problem that the absolute value of the model parameter increases due to the influence of the identification error caused by the nonlinear characteristic of the control target that should not be reflected in the model parameter is prevented.
B4) Computing capacity and matching of ECU
Specifically, it is required to further reduce the calculation amount.
B5) Stabilization of model parameters (control performance)
Specifically, it is required to suppress variations in the identified model parameters as much as possible.
[0146]
First, in order to satisfy the requirement B4, the fixed gain algorithm is adopted by setting the coefficients λ1 and λ2 to 1, 0, respectively. As a result, the square matrix P (k) becomes constant, so that the calculation of equation (21) can be omitted, and the amount of calculation can be greatly reduced.
[0147]
That is, when the fixed gain algorithm is employed, the equation (20) is simplified as the following equation (20a). In the equation (20a), P is a square matrix having constants as diagonal elements.
[Expression 14]
Figure 0003902504
According to such a simplified algorithm, the amount of calculation can be reduced. However, the identification ability is slightly reduced. Further, the equation (15) for calculating the model parameter vector θ (k) can be rewritten as the following equation (15b), and has an integral structure of the identification error ide (k). Therefore, the identification error ide (k) is integrated into the model parameter, and the model parameter is likely to drift.
Figure 0003902504
Here, θ (0) is an initial value vector whose elements are initial values of model parameters.
[0148]
Therefore, in this embodiment, in order to prevent such model parameter drift, the model parameter vector θ (k) is calculated by the following equation (15c) instead of the above equation (15b).
Figure 0003902504
Here, as shown in the following equation, DELTA is a forgetting coefficient vector having forgetting coefficient DELTAi (i = 1 to 4) as elements.
DELTA = [DELTA1, DELTA2, DELTA3, DELTA4]
[0149]
The forgetting factor DELTA i is set to a value between 0 and 1 (0 <DELTA i <1), and has a function of gradually reducing the influence of past identification errors. However, either one of the coefficient DELTA3 related to the calculation of the model parameter b1 or the coefficient DELTA4 related to the calculation of the model parameter c1 is set to “1” so that one of the forgetting coefficients DELTA3 and DELTA4 is substantially invalidated. In this way, by setting some of the elements of the forgetting coefficient vector DELTA to “1”, it is possible to prevent a steady deviation between the target value DTHR and the throttle valve opening deviation amount DTH. If both the coefficients DELTA 3 and DELTA 4 are set to “1”, the effect of preventing the drift of the model parameters becomes insufficient. Therefore, it is desirable to set only one of them to “1”.
[0150]
When the formula (15c) is rewritten in the recurrence formula format, the following formulas (15d) and (15e) are obtained. A method of calculating the model parameter vector θ (k) using the following equations (15d) and (15e) instead of the equation (15) is hereinafter referred to as a δ correction method, and dθ ( k) is referred to as “update vector”.
θ (k) = θ (0) + dθ (k) (15d)
dθ (k) = DELTA × dθ (k−1) + KP (k) ide (k) (15e)
[0151]
According to the algorithm using the δ correction method, the effect of stabilizing the model parameter that satisfies the requirement B5 can be obtained as well as the drift prevention effect that satisfies the requirement B3. That is, the initial value vector θ (0) is always stored, and the update vector dθ (k) is also limited to the value that can be taken by the element by the action of the forgetting coefficient vector DELTA, so that each model parameter is stable near the initial value. Can be made.
[0152]
Furthermore, since the model parameter is calculated while adjusting the update vector dθ (k) by identification based on the input / output data of the actual control object, the model parameter suitable for the actual control object can be calculated, and the above requirement B1 is also satisfied. .
Next, in order to satisfy the requirement B2, in this embodiment, instead of the initial value vector θ (0) of the above equation (15d), the model parameter vector θ (k) is obtained by the following equation (15f) using the reference model parameter vector θbase. Was decided to be calculated.
θ (k) = θbase + dθ (k) (15f)
[0153]
Since the reference model parameter vector θbase is set by the model parameter scheduler 25 according to the throttle valve opening deviation amount DTH (= TH−THDEF), the reference model parameter vector θbase is adapted to the change in the dynamic characteristics corresponding to the change in the throttle valve opening TH. And the above requirement B2 can be satisfied. The reference model parameter vector θbase may be set according to the throttle valve opening TH, the target opening THR, or the target value DTHR (THR-THDEF). This is because the throttle valve opening deviation amount DTH (throttle valve opening TH) is controlled to coincide with the target value DTH (target opening THR).
[0154]
As described above, in this embodiment, the fixed gain algorithm is used to reduce the amount of calculation of the ECU (request B4), and the algorithm using the δ correction method is used to change the quasi-static dynamic characteristic change. By adopting the model parameter scheduler 25, it realizes adaptation to the characteristic variation of hardware (request B1), stabilization of the model parameter (control performance) (request B5), and prevention of model parameter drift (request B3). In addition, adaptation to the dynamic characteristic change corresponding to the change of the throttle valve opening TH (request B2) is realized.
[0155]
It is to be noted that limit processing is performed on each element a1 ', a2', b1 'and c1' of the model parameter vector θ (k) calculated by the equation (15f), and the corrected model parameter vector θL (k) (θL (k)T= [A1, a2, b1, c1]) is the same as in the first embodiment.
[0156]
Further, the model parameter c1 ′ is statistically processed, the center value of the fluctuation is calculated as a default opening degree deviation thdefadp, and the throttle valve opening degree deviation amount DTH and the target value DTHR are calculated by the following equations (41), (42) (repost). The points to be calculated are the same as in the first embodiment.
DTH (k) = TH (k) −THDEF + thdefadp (41)
DTHR (k) = THR (k) −THDEF + thdefadp (42)
[0157]
Next, calculation processing in the CPU of the ECU 7 for realizing the functions of the adaptive sliding mode controller 21a, the model parameter identifier 22a, and the model parameter scheduler 25 described above will be described.
[0158]
FIG. 32 is an overall flowchart of throttle valve opening control. In this process, step S13 (operation of the state predictor) of the throttle valve opening control process shown in FIG. 9 is deleted, and steps S12, S14, and S16 are changed to steps S12a, 14a, and 16a, respectively.
[0159]
In step S12a, the calculation of the model parameter identifier shown in FIG. 33, that is, the calculation process of the model parameter vector θ (k) by the equation (15f) is executed, and the limit process is executed to correct the modified model parameter vector θL (k ) Is calculated.
[0160]
In step S14a, the control model Usl (k) shown in FIG. 36 is calculated using the modified model parameter vector θL (k). That is, the equivalent control input Ueq, the reaching law input Urch (k), and the adaptive law input Uadp (k) are calculated by the above equations (9b), (10b), and (11b), and the control input Usl ( k) (= duty ratio DUT (k)) is calculated.
[0161]
In step S16a, the stability determination process of the sliding mode controller shown in FIG. 41 is executed. That is, instead of the predicted switching function value σpre, the switching function value σ is used to determine the stability of the sliding mode controller, and the stability determination flag FSMCSTAB is set. The processing when the stability determination flag FSMCSTAB is set to “1” is the same as that in the first embodiment.
[0162]
FIG. 33 is a flowchart of the calculation process of the model parameter identifier 22a. In this process, steps S31 to S34 of the calculation process of the model parameter identifier shown in FIG. 11 are changed to steps S31a to S34a, respectively, and steps S33b and S33c are further added.
[0163]
In step S31a, the gain coefficient vector KP (k) is calculated from equation (20a), and then the estimated throttle valve opening deviation amount DTHHAT (k) is calculated from equations (18) and (19a) (step S32a).
In step S33a, an ide (k) calculation process shown in FIG. 35 is executed to calculate an identification error ide (k). In step S33b, the update vector dθ (k) is calculated by the equation (15e), and then the θbase table shown in FIG. 34 is searched according to the throttle valve opening deviation amount DTH to calculate the reference model parameter vector θbase (step S33b). S33c). Reference model parameters a1base, a2base, and b1base are set in the θbase table. When the throttle valve opening deviation amount DTH takes a value in the vicinity of “0” (the throttle valve opening TH is in the vicinity of the default opening THDEF), the reference model parameters a1base and b1base decrease, and the reference model parameter a2base increases. It is set to be. Further, the reference model parameter c1base is set to “0”.
[0164]
In step S34a, the model parameter vector θ (k) is calculated by the equation (15f), and then the stabilization processing of the model parameter vector θ (k) is executed as in the first embodiment (step S35). That is, each model parameter is subjected to limit processing to calculate a corrected model parameter vector θL (k).
[0165]
FIG. 35 is a flowchart of the ide (k) calculation process executed in step S33a of FIG. In this process, step S56 (dead zone process) of the ide (k) calculation process in FIG. 12 is deleted, and step S51 is changed to step S51a. That is, in the present embodiment, the drift of model parameters is prevented by the δ correction method, so the dead zone processing is not executed.
[0166]
In step S51a, the estimated throttle valve opening deviation amount DTHHAT (k) is calculated by the equations (18) and (19a), and the identification error ide (k) is calculated using the estimated throttle valve opening deviation amount DTHHAT (k). ) Is calculated.
In this embodiment, since the dead time d of the control target model is “0”, the predetermined value XCNTIDST in step S52 is set to “2”, for example.
[0167]
FIG. 36 is a flowchart of the process for calculating the control input Usl (= DUT) to the throttle valve drive apparatus 10 executed in step S14a of FIG. In this process, Steps S201 to S205 of the Usl calculation process shown in FIG. 22 are changed to Steps S201a to S205a, respectively.
[0168]
In step S201a, the calculation process of the switching function value σ shown in FIG. 37 is executed, and in step S202a, the calculation process of the integrated value of the switching function value σ shown in FIG. 38 is executed. In step S203a, the equivalent control input Ueq is calculated by the equation (9b). In step S204a, the reaching law input Urch calculation process shown in FIG. 39 is executed. In step S205a, the adaptive law input Uadp calculation process shown in FIG. 40 is executed.
[0169]
FIG. 37 is a flowchart of the calculation process of the switching function value σ executed in step S201a of FIG. In this process, steps S222 to S226 in the calculation process of the prediction switching function value σpre shown in FIG. 23 are changed to steps S222a to 226a, respectively.
[0170]
In step S222a, the switching function value σ (k) is calculated by the equation (5). In subsequent steps S223a to S226a, “σpre” in steps S223 to S226 in FIG. 23 is replaced with “σ”, and the same limit processing as the processing in FIG. 23 is performed on the switching function value σ (k). Do.
[0171]
FIG. 38 is a flowchart of processing for calculating the integrated value SUMSIGMAa of the switching function value σ, which is executed in step S202a of FIG. In this process, steps S241 to S245 of the integrated value calculation process of σpre shown in FIG. 26 are changed to steps S241a to S245a, respectively. The integrated value SUMSIGMAa is used to calculate the adaptive law input Uadp in the process of FIG. 40 described later (see the above formula (11b)).
[0172]
In step S241a, an integrated value SUMSIGMAa is calculated by the following equation (47a).
SUMSIGMAa (k) = SUMSIGMAa (k−1) + σ × ΔT (47a)
In subsequent steps S242a to S245a, limit processing similar to the processing in FIG. 26 is performed on the calculated integrated value SUMSIGMAa.
[0173]
FIG. 39 is a flowchart of the calculation process of the reaching law input Urch executed in step S204a of FIG. In this process, steps S263 and S265 of the reaching law input Urch calculation process shown in FIG. 27 are changed to steps S263a and S265a, respectively.
[0174]
That is, in this embodiment, the reaching function input Urch when the adaptive sliding mode controller 21a is stable (step S263a) and the adaptive sliding mode controller using the switching function value σ instead of the predicted switching function value σpre. Calculation of the reaching law input Urch when 21a is unstable (step S265a) is executed.
[0175]
FIG. 40 is a flowchart of the calculation process of the adaptive law input Uadp executed in step S205a of FIG. In this process, steps S273 and S275 of the adaptive law input Uadp calculation process shown in FIG. 28 are changed to steps S273a and S275a, respectively.
[0176]
That is, in the present embodiment, the calculation of the adaptive law input Uadp when the adaptive sliding mode controller 21a is stable (step S273a) using the integrated value SUMSIGUMAa of the switching function value σ, and the adaptive sliding mode controller 21a is unstable. The adaptive law input Uadp is calculated (step S275a).
[0177]
FIG. 41 is a flowchart of the stability determination process of the sliding mode controller executed in step S16a of FIG. This process is obtained by changing steps S281 and S281 in FIG. 29 to steps S281a and S282a, respectively.
[0178]
In step S281a, the switching function change amount Dσ is calculated by the following formula (52a), and in step S282a, the stability determination parameter SGMSTAB is calculated by the following formula (53a). That is, the stability determination is performed based on the switching function value σ, not the predicted switching function value σpre.
Dσ = σ (k) −σ (k−1) (52a)
SGMSTAB = Dσ × σ (k) (53a)
[0179]
In the present embodiment, a part of the throttle valve driving device 10 and the ECU 7 (an output circuit that supplies a driving current to the motor 6) corresponds to a plant, the process of FIG. 36 corresponds to a sliding mode controller, and the process of FIG. 35 corresponds to an identification unit, the process of FIG. 35 corresponds to an identification error calculation unit, and step S33b of FIG. 33 corresponds to an update vector calculation unit and an update vector correction unit.
[0180]
(Third embodiment)
FIG. 42 is a block diagram showing a configuration of a control system according to the third embodiment of the present invention.
This control system includes a plant 101 to be controlled, a pH sensor 102 that detects the pH (pH) of the mixed liquid that is the output of the plant, and a subtractor 103 that subtracts the first reference value V1BASE from the pH sensor output V1OUT. The target value generation unit 104 that generates the control target value V1TARGET, the operation amount determination unit 105 that determines the first operation amount U1, the first operation amount U1 and the second reference value V2BASE are added, and the second operation amount is added. And an adder 106 for outputting U2.
[0181]
Specifically, the subtractor 103, the target value generation unit 104, the operation amount determination unit 105, and the adder 106 are configured by an electronic control unit including a CPU, a memory, an input / output circuit, and the like.
The plant 101 includes a flow rate control valve 111 that controls the flow rate of the alkaline liquid in accordance with the second operation amount U2, a stirrer 112 that stirs the alkaline liquid supplied via the flow rate control valve 111, and the acidic liquid. Become. The plant 101 outputs a mixed liquid having a desired pH value by stirring the alkaline liquid and the acidic liquid.
[0182]
The operation amount determination unit 105 includes an identifier 121 that identifies a model parameter vector of a control target model that models the plant 101, an adaptive sliding mode controller 122, and a predictor 123. The identifier 121, the adaptive sliding mode controller 122, and the predictor 123 correspond to the model parameter identifier 22, the adaptive sliding mode controller 21, and the state predictor 23 in the first embodiment, respectively, and have the same functions as these. Have.
[0183]
Hereinafter, the correspondence between the components and parameters in the present embodiment and the components and parameters in the first embodiment will be described.
The pH sensor 102 corresponds to the throttle valve opening sensor 8, and the output V1OUT of the pH sensor 102 corresponds to the throttle valve opening TH. The first target value V1BASE corresponds to the default opening degree THDEF, and is a pH value corresponding to neutrality in the present embodiment, for example. Therefore, the deviation amount DV1 corresponds to the throttle valve opening deviation amount DTH. The target value generation unit 104 corresponds to the target opening setting unit 24, and the control target value V1TARGET corresponds to the target value DTHR of the throttle valve opening deviation amount. In the first embodiment, the function of the subtractor 103 is included in the model parameter identifier 22 and the state predictor 23.
[0184]
The second reference value V2BASE is added to bias the center value of the first manipulated variable U1, which is the output of the adaptive sliding mode controller 122. In the first embodiment, there is no component corresponding to the adder 106. Therefore, the second reference value V2BASE is substantially “0” (that is, U1 = U2 = Usl). In the present embodiment, the second reference value V2BASE is set to a value such that the opening degree of the flow control valve 111 is 50%, for example.
[0185]
The flow rate control valve 111 corresponds to a switching element that is ON / OFF controlled by a pulse signal having a duty ratio DUT (included in the output circuit of the ECU 7 and not shown and described), and the alkaline liquid corresponds to a power supply voltage. The output flow rate V2 of the flow control valve 111 corresponds to the drive current of the motor 6, the stirrer 112 corresponds to the valve body of the motor 6 and the throttle valve 3, and the acidic liquid is the intake air applied to the valve body of the throttle valve 3. This corresponds to the negative pressure of the tube and the urging force of the return spring 4 and the elastic member 5. The pH value V1 of the liquid mixture output from the stirrer 112 corresponds to the actual throttle valve opening.
[0186]
Since there is a correspondence as described above, the plant 101 can be modeled in the same manner as in the first embodiment, and the same control method can be applied. That is, the identifier 121 calculates the modified model parameter parameter vector θL based on the first operation amount U1 and the deviation amount DV1 by the same arithmetic processing as in the first embodiment, and the predictor 123 performs the first operation Based on the amount U1, the deviation amount DV1, and the modified model parameter vector θL, the predicted deviation amount PREDV1 is calculated by the same arithmetic processing as in the first embodiment, and the adaptive sliding mode controller 122 calculates the predicted deviation amount PREDV1 and the modified model. Based on the parameter vector θL, the first manipulated variable U1 is calculated so that the predicted deviation amount PREDV1 matches the control target value V1TARGET by the same arithmetic processing as in the first embodiment. Therefore, by setting a desired relative pH value (a deviation amount from the first reference value V1BASE) as the control target value V1TARGET, the plant output V1 can be matched with the desired pH value.
[0187]
In the present embodiment, the identifier 121 corresponds to an identification unit, and includes an identification error calculation unit and an identification error correction unit. The predictor 123 corresponds to a prediction unit.
[0188]
(Modification of the third embodiment)
FIG. 43 is a diagram showing a modification of the configuration shown in FIG. In this modified example, not the plant 101 of FIG. 42 but the plant 101a is a control target. The plant 101a provides the plant 101 with a flow rate sensor 113 for detecting the output flow rate V2 of the flow rate control valve 111, and the flow rate control valve 111 so that the flow rate sensor output V2OUT matches the flow rate value corresponding to the second manipulated variable U2. A feedback controller 114 to be controlled is added.
[0189]
As described above, the same modeling and the same control method as in the third embodiment can be applied to the plant including the local feedback loop.
In the first embodiment, since the motor drive circuit is known, a detailed description is not given. However, a current sensor that detects the output current of the switching element that is controlled to be turned on and off is provided, and the detected current value ID However, feedback control may be performed so as to match the current value IR corresponding to the manipulated variable Usl, and this modification corresponds to the case where such a circuit configuration is adopted in the first embodiment.
[0190]
(Fourth embodiment)
FIG. 44 is a block diagram showing a configuration of a control system according to the fourth embodiment of the present invention. This control system is obtained by replacing the operation amount determination unit 105 in FIG. 42 with an operation amount determination unit 105a, and corresponds to the control system shown as the second embodiment. The third embodiment is the same as the third embodiment except as described below.
[0191]
The operation amount determination unit 105a includes an identifier 121a, an adaptive sliding mode controller 122a, and a parameter scheduler 124.
The identifier 121a, the adaptive sliding mode controller 122a, and the parameter scheduler 124 correspond to the model parameter identifier 22a, the adaptive sliding mode controller 21a, and the model parameter scheduler 25 in the second embodiment, respectively, and have the same functions.
[0192]
That is, the parameter scheduler 124 calculates the reference model parameter vector θbase based on the deviation amount DV1 by the same calculation process as in the second embodiment, and the identifier 121a includes the first manipulated variable U1, the deviation amount DV1, and the reference amount. Based on the model parameter vector θbase, the modified model parameter vector θL is calculated by the same arithmetic processing as in the second embodiment, and the adaptive sliding mode controller 122a performs the second calculation based on the deviation amount DV1 and the modified model parameter vector θL. The first operation amount U1 is calculated so that the deviation amount DV1 coincides with the control target value V1TARGET by the same arithmetic processing as in the embodiment. Therefore, by setting a desired relative pH value (a deviation amount from the first reference value V1BASE) as the control target value V1TARGET, the plant output V1 can be matched with the desired pH value.
[0193]
In this embodiment, the identifier 121a corresponds to an identification unit, and includes an identification error calculation unit, an update vector calculation unit, and an update vector correction unit.
[0194]
(Modification of the fourth embodiment)
FIG. 45 shows a modification of the configuration shown in FIG. In this modification, not the plant 101 of FIG. 44 but the plant 101a is the control target. The plant 101a is the same as the plant 101a in FIG.
As described above, the same modeling and the same control method as those in the fourth embodiment can be applied to the plant including the local feedback loop.
[0195]
(Fifth embodiment)
FIG. 46 is a block diagram showing a configuration of a control system according to the fifth embodiment of the present invention.
[0196]
This control system includes an air-fuel ratio sensor that detects an air-fuel ratio of an air-fuel mixture supplied to the engine 212 in accordance with the engine system 201 including the internal combustion engine 212 and the oxygen concentration VO2 in the exhaust of the engine system 201. 202, a subtractor 203 that subtracts the reference value KBS from the air-fuel ratio sensor output KACT (having a value obtained by converting the air-fuel ratio into an equivalent ratio), a target value generation unit 204 that generates a control target value DKCMD, and an operation amount DKAF The fuel amount TOUT using the operation amount determination unit 205 that determines the amount of fuel, the adder 206 that adds the operation amount DKAF and the reference value KBS and outputs the correction amount KAF, and the correction amount KAF and other feedforward control terms. It comprises a fuel amount calculation unit 207 for calculating.
[0197]
The subtractor 203, the target value generation unit 204, the operation amount determination unit 205, the adder 206, and the fuel amount calculation unit 207 are specifically configured by an electronic control unit including a CPU, a memory, an input / output circuit, and the like.
The engine system 201 includes a fuel injection valve 211 that injects fuel according to a fuel amount TOUT, and an internal combustion engine 212 that burns an air-fuel mixture composed of fuel and intake air supplied via the fuel injection valve 211. The engine system 201 burns fuel to obtain engine rotational torque, and discharges combustion gas (exhaust gas).
[0198]
The operation amount determination unit 205 includes an identifier 221 that identifies a model parameter vector of a control target model that models the engine system 201, an adaptive sliding mode controller 222, and a predictor 223. The identifier 221, adaptive sliding mode controller 222, and predictor 223 correspond to the model parameter identifier 22, adaptive sliding mode controller 21, and state predictor 23 in the first embodiment, respectively, and have the same functions as these. Have.
[0199]
Hereinafter, the correspondence between the components and parameters in the present embodiment and the components and parameters in the first embodiment will be described.
The air-fuel ratio sensor 202 corresponds to the throttle valve opening sensor 8, and the output KACT of the air-fuel ratio sensor 202 corresponds to the throttle valve opening TH. The reference value KBS corresponds to the default opening degree THDEF, and is set to a value (1.0) corresponding to the theoretical air-fuel ratio in the present embodiment, for example. Therefore, the deviation amount DK corresponds to the throttle valve opening deviation amount DTH. The target value generation unit 204 corresponds to the target opening setting unit 24, and the control target value DKCMD corresponds to the target value DTHR of the throttle valve opening deviation amount. In the first embodiment, the function of the subtracter 203 is included in the model parameter identifier 22 and the state predictor 23.
[0200]
The reference value KBS is added by the adder 206 in order to bias the center value of the operation amount DKAF that is the output of the adaptive sliding mode controller 222. In the first embodiment, there is no component corresponding to the adder 206.
The fuel injection valve 211 corresponds to a switching element (included in the output circuit of the ECU 7 and not shown or described) that is ON / OFF controlled by a pulse signal having a duty ratio DUT, and the fuel corresponds to a power supply voltage. The fuel amount FA injected from the fuel injection valve 211 corresponds to the drive current of the motor 6, the engine 212 corresponds to the valve body of the motor 6 and the throttle valve 3, and the intake air flows to the valve body of the throttle valve 3. This corresponds to the negative pressure of the intake pipe applied and the urging force of the return spring 4 and the elastic member 5. The oxygen concentration VO2 in the exhaust discharged from the engine 212 corresponds to the actual throttle valve opening.
[0201]
Since there is a correspondence as described above, the engine system 201 can be modeled similarly to the first embodiment, and the same control method can be applied. That is, the identifier 221 calculates the modified model parameter parameter vector θL based on the operation amount DKAF and the deviation amount DK by the same arithmetic processing as in the first embodiment, and the predictor 223 calculates the operation amount DKAF, the deviation Based on the amount DK and the modified model parameter vector θL, the predicted deviation amount PREDK is calculated by the same arithmetic processing as in the first embodiment, and the adaptive sliding mode controller 222 calculates the predicted deviation amount PREDK and the modified model parameter vector θL. Based on the calculation processing similar to that of the first embodiment, the operation amount DKA is calculated so that the predicted deviation amount PREDK matches the control target value DKCMD. Therefore, by setting a desired air-fuel ratio correction value (deviation from the reference value KBS) as the control target value DKCMD, the air-fuel ratio of the air-fuel mixture supplied to the engine 212 can be made to coincide with the desired air-fuel ratio. it can.
[0202]
In the present embodiment, the identifier 221 corresponds to an identification unit, and includes an identification error calculation unit and an identification error correction unit. The predictor 223 corresponds to a prediction unit.
[0203]
(Sixth embodiment)
FIG. 47 is a block diagram showing a configuration of a control system according to the sixth embodiment of the present invention. This control system is obtained by replacing the operation amount determination unit 205 of FIG. 46 with the operation amount determination unit 205a, and corresponds to the control system shown as the second embodiment. In addition, it is the same as that of 5th Embodiment except having demonstrated below.
[0204]
The operation amount determination unit 205a includes an identifier 221a, an adaptive sliding mode controller 222a, and a parameter scheduler 224.
The identifier 221a, the adaptive sliding mode controller 222a, and the parameter scheduler 224 correspond to the model parameter identifier 22a, the adaptive sliding mode controller 21a, and the model parameter scheduler 25 in the second embodiment, respectively, and have the same functions.
[0205]
That is, the parameter scheduler 224 calculates the reference model parameter vector θbase based on the deviation amount DK by the same arithmetic processing as that of the second embodiment, and the identifier 221a performs the operation amount DKAF, the deviation amount DK, and the reference model parameter. Based on the vector θbase, the modified model parameter vector θL is calculated by the same arithmetic processing as in the second embodiment, and the adaptive sliding mode controller 222a performs the second implementation based on the deviation amount DK and the modified model parameter vector θL. The operation amount DKAF is calculated so that the deviation amount DK coincides with the control target value DKCMD by the same arithmetic processing as in the embodiment. Therefore, by setting a desired air-fuel ratio correction value (deviation from the reference value KBS) as the control target value DKCMD, the air-fuel ratio of the air-fuel mixture supplied to the engine 212 can be made to coincide with the desired air-fuel ratio. it can.
[0206]
In the present embodiment, the identifier 221a corresponds to the identification unit, and includes an identification error calculation unit, an update vector calculation unit, and an update vector correction unit.
[0207]
(Other embodiments)
As a method for calculating the model parameter identification error ide (k), an ε correction method described below may be adopted instead of the δ correction method. That is, instead of the equation (15c), the model parameter vector θ (k) may be calculated by the following equation (15g).
Figure 0003902504
[0208]
Here, EPS is a forgetting coefficient vector having a forgetting coefficient EPSi (i = 1 to 4) as an element, as shown by the following equation.
EPS = [EPS1, EPS2, EPS3, EPS4]
The forgetting factors EPS1, EPS2, and EPS4 are set to a value between 0 and 1 (0 <EPSi <1) similarly to the forgetting factor DELTAi, and have a function of gradually reducing the influence of past identification errors.
[0209]
However, in the case of the ε correction method, the coefficient EPS3 related to the calculation of the model parameter b1 must be always “1”. This is due to the following reason. In the case of the ε correction method, when the identification error ide (k) becomes small, all the model parameters become values near zero. However, since the model parameter b1 is applied to the denominator of the equations (9b), (10b), and (11b), when the model parameter b1 approaches “0”, the input Usl to the control object diverges. .
[0210]
Equation (15g) differs from Equation (15c) in that the initial value vector θ (0) is also multiplied by the forgetting factor vector EPS.
When the formula (15g) is rewritten in the recurrence formula format, the following formula (15h) is obtained. A method of calculating the model parameter vector θ (k) using the following equation (15h) instead of the equation (15) is referred to as an ε correction method.
θ (k) = EPS × θ (k−1) + KP (k) ide (k) (15h)
[0211]
Also by the ε correction method, the influence of the past identification error eid is reduced, so that model parameter drift can be prevented.
In the second embodiment, the model parameter drift is prevented by the δ correction method. However, as in the first embodiment, the correction identification error idenl (k) is calculated by the dead zone processing (FIG. 14). The model parameter vector θ (k) may be calculated using this.
[0212]
In the first embodiment, a δ correction method or an ε correction method may be employed instead of the dead zone processing. Further, when the δ correction method is adopted in the first embodiment, a model parameter scheduler is introduced as in the second embodiment, and an update vector is added to the reference model parameter vector θbase calculated by the model parameter scheduler. It is desirable to calculate the model parameter vector θ in such a form.
[0213]
The present invention can also be applied to control of a marine vessel propulsion engine such as an outboard motor having a crankshaft as a vertical direction.
[0214]
【The invention's effect】
  As described above in detail, according to the first aspect of the present invention, the update vector is calculated according to the identification error of the model parameter vector, and the past value of at least one element of the update vector is greater than 0 and less than 1. By multiplying a predetermined value, the update vector is modified, and the model parameter vector is calculated by adding the modified update vector to the model parameter reference vector. Therefore, the possible values of the elements of the update vector are limited. Thus, the model parameter vector can be stabilized near the reference vector. As a result, model parameter drift is prevented and the stability of the sliding mode control can be improved.Furthermore, since the reference vector is set according to a parameter indicating the output of the plant, it can be adapted to a change in dynamic characteristics corresponding to a change in the output of the plant.
[0215]
According to the second aspect of the present invention, the elements related to the plant input or the elements not related to the input / output of the plant among the elements of the update vector are not multiplied by a predetermined value greater than 0 and smaller than 1. It is possible to prevent an increase in stationary deviation due to vector correction.
[0219]
  Claim3Since the model parameter vector is calculated using the fixed gain algorithm, the amount of calculation can be reduced.
  Claim4Since the model parameter vector is identified using the identification error after the low-pass filter processing, the frequency characteristic of the control target model is closer to the actual frequency characteristic of the plant, and Robustness can be improved and control can be further stabilized.
[0220]
  Claim5According to the invention described in, since the predicted value of the output of the plant is calculated by the predicting means, the plant having the dead time element can be controlled with high accuracy.
  Claim6According to the invention described in (1), since the predicted value is calculated using the model parameter identified by the identifying means, accurate prediction is possible even when the plant dynamics change over time or changes due to environmental conditions. A value can be calculated.
[0221]
  Claim7According to the invention described in, since the control input to the plant includes an adaptive law input, good controllability can be obtained even if there are disturbances or modeling errors (difference between the actual plant and the model to be controlled). Can be realized.
  Claim8According to the invention described in the above, since the control for making the throttle valve opening coincide with the target opening is performed by the sliding mode controller using the stable model parameter identified by the identification means, the target of the throttle valve opening Controllability to the opening degree can be improved and stable control can be realized.
[0222]
  Claim9According to the invention described in (1), since the control of making the air-fuel ratio coincide with the target air-fuel ratio is performed by the sliding mode controller using the stable model parameter identified by the identifying means, the air-fuel ratio to the target air-fuel ratio is controlled. Controllability can be improved and stable control can be realized.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a throttle valve drive device for an internal combustion engine and a control device therefor according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing frequency characteristics of the throttle valve driving device shown in FIG. 1;
3 is a functional block diagram showing functions realized by an electronic control unit (ECU) of FIG. 1; FIG.
FIG. 4 is a diagram illustrating a relationship between control characteristics of a sliding mode controller and a value of a switching function setting parameter (VPOLE).
FIG. 5 is a diagram showing a setting range of a control gain (F, G) of a sliding mode controller.
FIG. 6 is a diagram for explaining model parameter drift;
FIG. 7 is a diagram illustrating a function for correcting an identification error.
FIG. 8 is a diagram for explaining that a default opening degree deviation of a throttle valve is reflected in a model parameter (c1 ′).
FIG. 9 is a flowchart of a throttle valve opening control process.
FIG. 10 is a flowchart of a process for setting a state variable in the process of FIG.
11 is a flowchart of a process for executing a calculation of a model parameter identifier in the process of FIG.
12 is a flowchart of a process for executing an identification error (ide) in the process of FIG.
FIG. 13 is a diagram for explaining low-pass filter processing of identification error (ide).
14 is a flowchart of dead zone processing in the processing of FIG.
15 is a diagram showing a table used in the process of FIG.
16 is a flowchart of a model parameter vector (θ) stabilization process in the process of FIG.
FIG. 17 is a flowchart of model parameter (a1 ′, a2 ′) limit processing in the processing of FIG. 16;
18 is a diagram for explaining a change in the value of a model parameter due to the processing of FIG.
FIG. 19 is a flowchart of model parameter (b1 ′) limit processing in the processing of FIG. 16;
FIG. 20 is a flowchart of model parameter (c1 ′) limit processing in the processing of FIG. 16;
FIG. 21 is a flowchart of processing for executing a state predictor operation in the processing of FIG. 9;
FIG. 22 is a flowchart of processing for executing control input (Usl) in the processing of FIG. 9;
23 is a flowchart of processing for executing calculation of a prediction switching function value (σpre) in the processing of FIG.
FIG. 24 is a flowchart of processing for executing a switching function setting parameter (VPOLE) in the processing of FIG.
25 is a diagram showing a map used in the process of FIG. 24. FIG.
FIG. 26 is a flowchart of processing for calculating an integrated value of predicted switching function values (σpre) in the processing of FIG.
FIG. 27 is a flowchart of processing for executing a reaching law input (Urch) in the processing of FIG. 22;
28 is a flowchart of processing for executing an adaptive law input (Uadp) operation in the processing of FIG.
29 is a flowchart of processing for executing stability determination of the sliding mode controller in the processing of FIG. 9;
30 is a flowchart of a process for calculating a default opening degree deviation (thdefadp) in the process of FIG. 9;
FIG. 31 is a functional block diagram showing functions realized by an electronic control unit (ECU) of FIG. 1 (second embodiment).
FIG. 32 is a flowchart of throttle valve opening control processing (second embodiment).
FIG. 33 is a flowchart of processing for executing a calculation of a model parameter identifier in the processing of FIG. 32;
34 is a diagram showing a table used in the processing of FIG. 33. FIG.
35 is a flowchart of processing for calculating an identification error (ide) in the processing of FIG. 33;
36 is a flowchart of processing for executing control input (Usl) in the processing of FIG. 32;
FIG. 37 is a flowchart of processing for calculating a switching function value (σ) in the processing of FIG. 36;
FIG. 38 is a flowchart of a process for calculating an integrated value of a switching function value (σ) in the process of FIG.
FIG. 39 is a flowchart of processing for executing a reaching law input (Urch) in the processing of FIG. 36;
40 is a flowchart of processing for executing an adaptive law input (Uadp) operation in the processing of FIG. 36. FIG.
41 is a flowchart of processing for executing stability determination of the sliding mode controller in the processing of FIG. 32. FIG.
FIG. 42 is a block diagram showing a configuration of a control system according to a third embodiment of the present invention.
43 is a block diagram showing a modification of the configuration shown in FIG. 42. FIG.
FIG. 44 is a block diagram showing a configuration of a control system according to a fourth embodiment of the present invention.
45 is a block diagram showing a modification of the configuration shown in FIG. 44. FIG.
FIG. 46 is a block diagram showing a configuration of a control system according to a fifth embodiment of the present invention.
FIG. 47 is a block diagram showing a configuration of a control system according to a sixth embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
1 Internal combustion engine
3 Throttle valve
7 Electronic control unit
10 Throttle valve drive device
21 Adaptive sliding mode controller
22 Model parameter identifier (identification means, identification error calculation means, update vector calculation means, update vector correction means, identification error correction means)
23 State predictor (prediction means)
24 Target opening setting part
25 Model Parameter Scheduler

Claims (9)

プラントをモデル化した制御対象モデルのモデルパラメータベクトルを、前記プラントの入力及び出力に基づいて同定する同定手段と、該同定手段により同定されたモデルパラメータベクトルを用いて前記プラントを制御するスライディングモードコントローラとを備えたプラントの制御装置において、
前記同定手段は、前記モデルパラメータベクトルの同定誤差を算出する同定誤差算出手段と、該同定誤差に応じて更新ベクトルを算出する更新ベクトル算出手段と、該更新ベクトルの少なくとも1つの要素の過去値に0より大きく1より小さい所定値を乗算することにより、前記更新ベクトルを修正する更新ベクトル修正手段と、前記プラントの出力を示すパラメータに応じて前記モデルパラメータベクトルの基準ベクトルを設定する基準ベクトル設定手段とを有し、前記基準ベクトル設定手段により設定された基準ベクトルに修正された更新ベクトルを加算することにより、前記モデルパラメータベクトルを算出することを特徴とするプラントの制御装置。
Identification means for identifying a model parameter vector of a control target model obtained by modeling a plant based on the input and output of the plant, and a sliding mode controller for controlling the plant using the model parameter vector identified by the identification means In the control device of the plant with
The identification means includes an identification error calculation means for calculating an identification error of the model parameter vector, an update vector calculation means for calculating an update vector according to the identification error, and a past value of at least one element of the update vector. Update vector correction means for correcting the update vector by multiplying by a predetermined value greater than 0 and less than 1, and reference vector setting means for setting a reference vector of the model parameter vector according to a parameter indicating the output of the plant The plant control apparatus is characterized in that the model parameter vector is calculated by adding the modified update vector to the reference vector set by the reference vector setting means .
前記更新ベクトル修正手段は、前記更新ベクトルの、前記プラントの入力に関わる要素または前記プラントの入出力に関わらない要素については、前記所定値を乗算しないことを特徴とする請求項1に記載のプラントの制御装置。  2. The plant according to claim 1, wherein the update vector correcting unit does not multiply the predetermined vector for an element related to an input of the plant or an element not related to input / output of the plant of the update vector. Control device. 前記同定手段は、固定ゲインアルゴリズムを用いて前記モデルパラメータベクトルの同定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプラントの制御装置。It said identification means, the plant control system according to claim 1 or 2, characterized in that the identification of the model parameter vector using the fixed gain algorithm. 前記同定誤差算出手段は、前記同定誤差のローパスフィルタ処理を行い、該処理後の同定誤差を出力することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のプラントの制御装置。The identification error calculating means performs low-pass filtering of the identifying error, the plant control system according to any one of claims 1 to 3, and outputs the identification error after the processing. 前記プラントの出力の予測値を算出する予測手段をさらに備えることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のプラントの制御装置。Plant control system according to any one of claims 1 to 4, characterized by further comprising a predicting means for calculating a predicted value of the output of the plant. 前記予測手段は、前記同定手段により同定されたモデルパラメータを用いて前記予測値の算出を行うことを特徴とする請求項に記載のプラントの制御装置。The plant control apparatus according to claim 5 , wherein the prediction unit calculates the prediction value using the model parameter identified by the identification unit. 前記スライディングモードコントローラによる前記プラントへの制御入力は、適応則入力を含むことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のプラントの制御装置。It said control input to said plant according to the sliding mode controller, the plant control system according to any one of claims 1 to 5, characterized in that it comprises an adaptive law input. 前記プラントは、内燃機関のスロットル弁と、該スロットル弁を駆動する駆動手段とを有するスロットル弁駆動装置を含み、前記スライディングモードコントローラは、前記スロットル弁の開度を目標開度に一致させるように、前記スロットル弁駆動装置への制御入力を決定するパラメータを算出することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のプラントの制御装置。The plant includes a throttle valve driving device having a throttle valve of an internal combustion engine and a driving means for driving the throttle valve, and the sliding mode controller is configured so that the opening degree of the throttle valve coincides with a target opening degree. the plant control system according to any one of claims 1 to 7, characterized in that to calculate the parameters for determining the control input to the throttle valve actuating device. 前記プラントは、内燃機関と、該機関に燃料を供給する燃料供給手段とを有する機関システムを含み、前記スライディングモードコントローラは、前記機関に供給される混合気の空燃比を目標空燃比に一致させるように、前記機関システムへの制御入力を決定するパラメータを算出することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のプラントの制御装置。The plant includes an engine system having an internal combustion engine and fuel supply means for supplying fuel to the engine, and the sliding mode controller matches an air-fuel ratio of an air-fuel mixture supplied to the engine to a target air-fuel ratio. as such, the plant control system according to any one of claims 1 to 7, characterized in that to calculate the parameters for determining the control input to the engine system.
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