JP3896762B2 - 用紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてノート用原紙等の筆記用原紙や書籍用の原紙等に好適に適用される用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の地球環境保護活動の一環として、例えばノートの中紙用原紙として再生紙を使用するなどのエコ推進活動が盛んになってきている。そこで、このような再生紙の使用に伴い、再生紙の白色度をどの程度まで下げるかという課題が生じるが、現在のところ白色度70%程度が環境保護に役立つ商品に付けられるエコマーク獲得のための基準値となっているため、現行のノート用中紙やレポート用紙等に適用される再生紙の白色度にはこの70%程度の値が採用されている。一方、現在一般的に使用されているバージン原紙の白色度は約80%である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、ノートやレポート用紙への筆記や読書等の作業を続けると、時間が経過するにつれて使用者が目の疲れを感じたり作業量が低下するという問題が生じる。例えば、白色度70%程度の再生紙を使用した用紙は人によっては色が暗く感じられ文字が見づらいという問題があり、また、白色度80%のバージン原紙を使用した用紙は人によっては眩しく感じられ目がちらつくという問題がある。ところが、これらの用紙を例えばノート用中紙の原紙に適用して実際にそのノートを使用した場合に、使用者の視覚や視機能に与える影響がどの程度であるかは明らかにされていない。また、白色度以外に視覚に対して影響を及ぼす因子としては用紙の色相が挙げられるが、どのような色相が使用者の目に負担を与えにくいかについても明らかにされていないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような問題に鑑みて、使用者の目に優しい用紙の白色度や色相を明らかにし、環境問題にも配慮しつつ、長時間使用しても使用者の目にかかる負担を軽減し得る用紙を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の用紙は、少なくとも古紙を含んでおり、色相がイエローがかったグリーンを帯びた白色であるものである。このような用紙は、各種の試験結果から、使用者の目にかかる負担が小さく、目の疲労度を軽減し得るものである。
【0006】
この用紙を使用した場合の目の疲労を軽減し、古紙などの利用率を高めて環境保護に有用なものとするために、本発明の用紙は、用紙の白色度を70〜75%とすることを特徴としている
【0007】
併せて、前記の色相を最も適切なものとするために、本発明の用紙は、***色差表記において、青緑系統の色の度合を示すa*値を−1.5±1.0とし、且つ赤系統の色の度合を示すb*値を3.0〜5.0とすることを特徴としている。
【0008】
さらに、このような用紙をノート用原紙、レポート用原紙、伝票用原紙等の筆記用原紙、又は書籍用原紙等の長時間注視する必要のあるものに適用することで、使用時の目に対する負担を有効に軽減することができる極めて有用な用紙とすることができる。
【0009】
【実施例】
まず、本発明の実施に先立って、使用者が長時間使用しても目が疲れにくい色相と白色度とを明らかにするために、視覚疲労測定試験を以下のようにして行った。
【0010】
すなわち、色相についてはグリーン、イエロー、ブルー、ピンクの4種類の用紙を使用し、白色度については65%、70%、75%、80%、85%、90%の6種類の用紙を使用して、一定の作業を行った際の目に対する疲労度等を測定した。この作業について説明すると、図1に示すように、各用紙Aには2箇所に切れ目Baを有する直径6mmの円Bが多数印字してあり、その切れ目Ba同士を同図に拡大して示すように線Cで結ぶというものである。この切れ目Baには、角度位相を異ならせた3種類(60°、90°120°)のものがあり、被験者が切れ目Baのパターンを記憶することを防止するためにこれら切れ目Baの位置を上下逆さまにするなどして複数のパターンを作成している。被験者は、作業開始の合図と同時に上1行目の左から右に向かって円Bの切れ目Ba同士を線Cで結び、30秒毎になされる合図と同時にその30秒間で終えた箇所に印を付けて即座に同様の作業を続ける。このような作業を前半15分、後半15分の合計30分間行う。なお、各用紙Bに対する作業条件を統一するために、用紙Aには全てB5版のものを使用し、その用紙Bを置く机上の位置も一定とした。また、線Cの記入にはHBのシャープペンシルPを使用し、円Bの印字濃度や線幅もHBの規格に対応するものとした。さらに、照明も白評価用蛍光管D65に統一し、机上面照度を750lxとした。また、被験者には正常な視機能を有する男子大学生8名(平均年齢22歳)を採用し、各被験者が同一時間帯で数日間に亘って前記作業及び後述する測定を行うようにした。
【0011】
視覚疲労度の測定項目は、(a)調節時間、(b)フリッカー値、(c)視力、(d)瞬目回数、(e)目の自覚的疲労感、(f)作業量、(g)副次行動の合計7項目とした。(a)〜(d)は被験者の客観的測定項目として生理的指標を示し、(e)は被験者の主観的測定項目であり、(f)及び(g)は作業パフォーマンスを示すものである。しかして、安静状態で3分間閉眼した後[測定1]を行い、15分間の前半作業と後半作業との間に[測定2]を行い、後半作業後に[測定3]を行い、その後安静状態で3分間閉眼してから最終の[測定4]を行った。各試験項目と各測定との関係は下記の表1に○印を附した通りである。なお、同表に網掛けで示す(d)瞬目回数及び(g)副次行動については、被験者が行う作業をビデオ撮影し、それを後で計数することにより測定した。
【0012】
【表1】
Figure 0003896762
【0013】
ここで、各測定項目の概要について説明する。
【0014】
(a)調節時間 目の水晶体の弾力性と毛様体筋との作用で目の屈折力を強め、対象に焦点を合わせるのに要する時間が調節時間である。視対象とする用紙の地と図のコントラストが弱い場合や像にシャープさがない場合に、目を凝らして毛様体筋を過度に緊張させ屈折率を高めることで対象をよく見ようとする働きが起こるが、毛様体筋の緊張状態が続くと調節機能系に一過性の障害が生じる。本測定では、アコモドポリレコーダーを使用し、遠点に設定した指標(ランドル環)が近点に切り替わってから明瞭に見えるまでに要する時間である調節緊張時間と、近点に設定した指標が遠点に切り替わってから明瞭に見えるまでに要する時間である調節弛緩時間とを[測定1]〜[測定4]の4回に亘って測定した。各測定では、同一の測定を10回繰り返した平均値をもってその測定時の調節時間とした。しかして、[測定1]を基準として各測定時の変動率を算出し、その変動率のプラス側の値が大きくなるほど目に対する負担が大きくなると判断した。
【0015】
(b)フリッカー値 被験者に単位時間当りの点滅頻度が高い光刺激(連続光)を見つめさせ、その光刺激の点滅頻度を時間経過に伴って低下させた際に、連続光がやがてチラツキ光であると感じられる閾値をフリッカー値という。これは、視覚から入った情報を処理する能力を表現するものであって、作業から受ける大脳の活動レベルの状態を把握するものである。すなわち、緊張や努力、作業意欲が向上しているときには大脳の活動が活発化しているため、点滅頻度が高い時点でもチラツキ光として感じられるが、眠気や作業意欲の低下、飽き等が生じると大脳の活動が低下するためにチラツキに対する感度が鈍り、フリッカー値が低下を示す。しかして、本測定では[測定1]〜[測定4]の4回に亘って測定し、[測定1]を基準として各測定時の変動率を算出した。なお、フリッカー値の低下率については、上記作業のような単純作業の場合には作業前の値と比較して−5%以内であれば好ましい限界とされ、−10%以内であれば可能限界として判断されるのが通常であるため、フリッカー値の低下率が小さく、且つ標準偏差が少ないものを視覚系情報処理能力の低下が小さい用紙と判断した。
【0016】
(c)視力 作業を行うことで視力の低下が起こるかどうかを、作業の前後に対応する[測定1]及び[測定4]において両目視力について測定した。
【0017】
(d)瞬目回数 上述のようにビデオ撮影によって瞬目の回数を測定した。瞬目は随意的に起こすこともできるが、注視を強いられるような場合には不随意的に低下し、眠気が増すと増加する。また、目の乾きや疲れ等によっても瞬目回数が変動する。本測定では、瞬目回数を毎分ごとに集計し、作業遂行に伴う目の状態を把握した。
【0018】
(e)目の自覚的疲労感 「物が見えにくい」「物を見つめているとぼやける」等の視覚の調節機能に関わる症状、「目が痛い」「目が熱い感じがする」等の直接的な目の痛さや熱さに関わる症状、「後頭部痛がある」等の視覚疲労が頭痛にまで波及する症状、「目が乾く」「目をあけているのがつらい」等のドライアイの症状を含む合計25項目の質問事項からなるチェックシートを用い、作業前、作業終了後、閉眼安静後に対応する[測定1]、[測定3]及び[測定4]において、「なし」「ややあり」「あり」の3段階で症状を聴取した。集計に際しては、「なし」には0点、「ややあり」には1点、「あり」には2点の得点をつけ、[測定3]における得点から[測定1]における得点を引いた値を<作業後>の得点とし、[測定4]における得点から[測定1]における得点を引いた値を<安静後>の得点とした。
【0019】
(f)作業量 前半作業及び後半作業のそれぞれについて、1分ごとの作業量(円Bの切れ目Baを線Cで結んだ数)を求めるとともに、時間経過に伴う作業量の増減を調べた。
【0020】
(g)副次行動 作業遂行に伴い疲れや飽きが生じると、主行動である前記作業とは異なった副次的な行動が起こる。その例としては、「目をこする」「長い瞬きをする」「視線を用紙からそらす」等の目の疲れに基づく行動が挙げられる。本測定では、上述したように被験者の作業をビデオ撮影し、このような副次行動を1分ごとに計数した。
【0021】
以上のような測定項目について、用紙の[A]色相及び[B]白色度の違いに関する試験を行った。
【0022】
[A]色相
上述したように、グリーン、イエロー、ブルー、ピンクの4種類の色相を有する用紙について上記試験を行った。
【0023】
(a)調節時間について、調節緊張時間の変動率及び調節弛緩時間の変動率に関する試験結果を、下記第2表に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0003896762
【0025】
第2表によると、各色相の用紙では、調節緊張時間及び調節弛緩時間の両方において、[測定2]及び[測定3]の変動率が増加しているが、これは、被験者に課した作業が視覚に負担を与えたことによると考えられる。調節緊張時間の変動率の増加が最も小さい色相の用紙は、イエローであり、その他の3色相間に顕著な差は認められなかった。一方、調節弛緩時間の変動率の増加が最も小さかったのは、グリーンの用紙であり、次いでイエローであった。ブルーとピンクについては、作業前と比較して約60%の変動率増加が認められ、これらの色相の目に対する負担が大きいことが判明した。
【0026】
(b)フリッカー値の変動率に関する試験結果を、下記第3表に示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003896762
【0028】
第3表によると、全測定時点について変動率が最も小さかったのはグリーンの用紙であり、好ましいとされる−3%以内の値に収まった。一方、変動率が最も大きかったのはイエローであり、好ましい限界とされる−5%を超える低下が示され、顕著な大脳の活動レベルの低下が認められた。上記の結果に基づいて分散分析を行ったところ、危険率5%で有意差が認められた。
【0029】
(c)視力測定については、ブルーを除く3色相において、作業後に視力低下を示す被験者が認められた。イエローについては作業後に視力が向上した者もおり、個人差によるばらつきがあった。グリーンとピンクとでは、ピンクの方が作業後の視力低下が大きかった。
【0030】
(d)瞬目回数のビデオ撮影に基づく計数結果を、下記第4表に示す。
【0031】
【表4】
Figure 0003896762
【0032】
第4表から明らかなように、前半作業、後半作業共に、グリーンの用紙において瞬目回数が最も少なく、次いでイエローが少ない結果となり、これら両色が、視覚への負担が少ない色相であることが明らかとなった。一方、ピンクの用紙は前半作業、後半作業共に瞬目回数が最も多く、視覚への負担が大きいことが示された。
【0033】
(e)目の自覚的疲労感の得点結果を、下記第5表に示す。
【0034】
【表5】
Figure 0003896762
【0035】
第5表から明らかなように、最も得点が高い色相はピンクであり、その症状を具体的に検討すると、作業後には「目が疲れる」「瞬きが多くなる」といったものが多く、安静後においても「目が疲れる」という症状が持続して、「目が痛い」という新たな症状も見られた。一方、得点が少ない色相はブルーとグリーンであり、ブルーでは「瞬きが多くなる」症状を訴える被験者が半数であるのに対して、グリーンでは特定の質問事項に症状が集中する傾向はなかった。
【0036】
(f)作業量の計数結果を、下記第6表に示す。
【0037】
【表6】
Figure 0003896762
【0038】
第6表から明らかなように、前半作業、後半作業共にグリーンの用紙で作業量が最も多く、イエロー、ピンク、ブルーの順となった。なお、グリーン及びイエローと、ピンク及びブルーとの作業量の差は顕著であり、色相の違いによる単純作業の能率に大きな相違が認められた。
【0039】
(g)副次行動のビデオ撮影に基づく計数結果を、下記第7表に示す。
【0040】
【表7】
Figure 0003896762
【0041】
第7表からは、ピンク以外の色相の用紙で、前半よりも後半作業における副次行動の出現数が少ないことが分かる。全体を通じて副次行動が最も多く出現した色相はイエローであり、その総数はグリーンの約2倍となった。また、イエロー以外の合計出現数は同程度であったが、後半作業において色相による副次行動の出現数に顕著な差が認められ、特にグリーンでは前半作業よりも後半作業で大きく減少しており、「長い瞬き」や「目をこする」という動作は1件のみであった。
【0042】
なお、用紙の色相の違いによる測定結果の総合評価を、下記第8表に示す。
【0043】
【表8】
Figure 0003896762
【0044】
以上の色相に関する結果をまとめると、視覚に対する負担が最も少ないのはグリーンの用紙であり、次いでイエローの用紙であることが明らかとなった。一方、ピンクやブルーの用紙はグリーンやイエローと比較して視覚に対する負担が大きいといえる。
【0045】
[B]白色度
上述したように、65%〜90%の6種類の白色度を有する用紙について上記試験を行った。
【0046】
(a)調節時間について、調節緊張時間の変動率及び調節弛緩時間の変動率に関する試験結果を、下記第9表及び第10表に示す。
【0047】
【表9】
Figure 0003896762
【0048】
【表10】
Figure 0003896762
【0049】
調節緊張時間については、第9表の結果から、白色度75%と80%の用紙について、全測定時を通じて変動率が低く、調節機能系に対する負担が小さいことが判明した。一方、白色度90%や65%の用紙は、[測定3]において変動率が大きく、さらには[測定4]においてもその回復が小さいことから、調節機能系に対する負担が大きいことが分かった。また、調節弛緩時間については、第10表の結果から、白色度70%と75%の用紙において変動率の増加が小さく、調節機能系に対する負担が小さいことが判明した。一方、白色度90%や65%の用紙では変動率が大きく、調節機能系に対する負担が大きいことが分かった。以上のことから、用紙の白色度が高すぎても低すぎても調節機能系に大きな負担を与えることが明らかとなった。
【0050】
(b)フリッカー値の変動率に関する試験結果を、下記第11表に示す。
【0051】
【表11】
Figure 0003896762
【0052】
第11表によると、各白色度の用紙におけるフリッカー値の変動率は全て好ましい限界とされる−5%以内に収まった。変動率が最も小さかったのは白色度90%の用紙であり、次いで白色度65%の用紙であった。一方、変動率が最も大きかったのは白色度80%の用紙であり、特に[測定2]における低下の割合が顕著であった。また、色相の場合と比較して白色度のフリッカー値測定では、変動率の標準偏差や被験者による個人差が大きかった。被験者ごとの変動率を検討したところ、白色度70%と80%の用紙において−10%を超える変動率の低下を示した者があり、大脳の活動レベルの著しい低下が認められた。また、変動率が小さかった白色度90%と65%の用紙では、[測定2]及び[測定3]で変動率の上昇を示した被験者があり、他の白色度とは異なるパターンが示された。なお、上記の結果に基づいて分散分析を行ったところ、危険率5%で有意差が認められた。
【0053】
(c)視力測定については、白色度70%、75%及び90%の用紙において、作業後に視力向上を示す被験者が認められた。一方、白色度65%の用紙については被験者8名中3名が視力の低下を示した。
【0054】
(d)瞬目回数のビデオ撮影に基づく計数結果を、下記第12表に示す。
【0055】
【表12】
Figure 0003896762
【0056】
第12表から明らかなように、前半作業、後半作業共に、白色度80%の用紙において瞬目回数が最も少なく、次いで白色度70%が少ない結果となり、これらが視覚への負担が少ない白色度であることが明らかとなった。一方、白色度85%と65%の用紙は前半作業、後半作業共に瞬目回数が多く、視覚への負担が大きいことが示された。
【0057】
(e)目の自覚的疲労感の得点結果を、下記第13表に示す。
【0058】
【表13】
Figure 0003896762
【0059】
第13表から明らかなように、得点が最も少なかったのは白色度70%の用紙であり、特に閉眼安静後に自覚的な目の疲労感の訴えがないことが特徴である。次に得点が低いのは白色度75%の用紙であり、作業後の得点が白色度70%用紙の場合と同じであったが、閉眼安静後に疲労の訴えがあり、70%用紙とは差が認められた。これら白色度70%や75%の用紙における症状は、「目が乾く」や「瞬きが多くなる」といったものが多く直接的な目の「痛み」や「疲れ」に関する症状は少なかった。一方、白色度80%の用紙では、「目が乾く」や「瞬きが多くなる」という症状の他、「目が疲れる」「目が痛い」という症状が認められ、白色度が85%以上になると「目の前がチラチラする」という症状が認められた。また、白色度65%の用紙では、「目が疲れる」症状を訴えがあった。
【0060】
(f)作業量の計数結果を、下記第14表に示す。
【0061】
【表14】
Figure 0003896762
【0062】
第14表から明らかなように、前半作業及び後半作業の合計作業量は、白色度85%や65%の用紙で最も多く、次いで白色度75%や90%の用紙で多かった。各白色度において、作業量と前述のフリッカー値との関係を考慮すると、白色度80%の用紙において、[測定2]のフリッカー値の変動率の低下が最も大きく、アウトプットとしての作業量も最も少ないことが分かる。また、作業量の変動を経時的にみると、白色度65%や85%の用紙では1分ごとの変動が少なく、逆に白色度70%と80%の用紙では1分ごとの変動が大きかった。
【0063】
(g)副次行動のビデオ撮影に基づく計数結果を、下記第15表に示す。
【0064】
【表15】
Figure 0003896762
【0065】
第15表からは、白色度90%の用紙で副次行動の出現数が最も少ないが、「長い瞬目」や「目をこする」行動は、白色度65%や75%の用紙よりも多いことが分かる。全体を通じて副次行動が最も多く出現したのは白色度85%の用紙であり、自覚的疲労感や瞬目回数が多いことなどからも、視覚に対してネガティブな影響を及ぼしているものと考えられる。次に副次行動の出現数が多かったのは、白色度70%の用紙であるが、他の測定項目からは視機能の顕著な結果は認められなかった。特に、「長い瞬目」や「目をこする」行動に着目すると、白色度75%の用紙においてその出現数が最も少なく、他の測定項目からも視機能の著しい低下が認められなかったことから、目に対する負担が少ないものと考えられる。
【0066】
なお、用紙の白色度の違いによる測定結果の総合評価を、下記第16表に示す。
【0067】
【表16】
Figure 0003896762
【0068】
以上の白色度に関する結果をまとめると、視覚に対する負担が少ないのは白色度75%や70%の用紙であり、逆に、白色度85%や65%の用紙は視覚に対する負担が大きいことが判明した。
【0069】
以上の結果を踏まえて、本発明の一実施例である用紙は、ノートの中紙用原紙に適用した再生紙である。しかして、この用紙の色相はイエローがかったグリーンを帯びた白色であり、その白色度を73%に設定している。
【0070】
この用紙を製造するに際しては、純白(白色度90%)のバージンパルプと、新聞紙(白色度55%)又はコピー用紙等の古紙とを溶融した状態で混合するとともに、所定の染料等を混合し、常法にしたがって再生紙の製紙を行う。このようにして得た用紙について、JIS規格に基づき色相を示すL***色差を測定したところ、青緑系統を示すa*値は−1.5±1.0であり、赤系統を示すb*値は3.0〜5.0であるという結果が得られた。
【0071】
上述したような本実施例の用紙であれば、その色相がイエローがかったグリーンを帯びた白色であるために、上記試験[A]の結果から、使用者の目に負担が少なく、疲労しにくいものである。さらに、この用紙の白色度を73%としているので、白色度75%〜70%の好ましい範囲内に適合し、上記試験[B]の結果から、使用者の目に負担が少なく、疲労しにくい用紙とすることができる。なお、エコマーク取得の基準値である用紙の白色度70%には、その値にプラスマイナス3%の誤差範囲が認められているため、この用紙はエコマークを取得することが可能であり環境保全に寄与することができるとともに、目に対する負担が最も少ない白色度である75%の値に近づけることもできる。さらには、この用紙をノートの中紙用原紙に適用しているため、長時間に亘る筆記作業によっても使用者の目が疲れにくく、極めて有用なものとすることができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施例のような再生紙に限らず、新品のバージンペーパーに適用することも可能である。その場合は、古紙を混入することなくバージンパルプに所定の染料等を混入することによって製造すればよい。また、本発明の用紙は、ノートの中紙用原紙以外にも、レポート用原紙や伝票用原紙等の筆記用紙、本や雑誌等の書籍用原紙、或いはコピー用紙やOA用プリントアウト用紙、メモ用紙等、長時間注視することがある用紙に適用して極めて有用なものである。
【0073】
その他、各部の具体的構成は、上記実施例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0074】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0075】
すなわち、本発明の用紙は、イエローがかったグリーンを帯びた白色の色相を有してなるものである。したがって、上記の試験結果から、例えばこの用紙を筆記用に利用したり読書用に利用して使用者が長時間注視し続けても目にかかる負担が小さく、目の疲労を有効に軽減して、筆記や読書の作業効率を有効に向上することができる。
【0076】
また、この用紙の白色度を70〜75%の範囲内、特に約73%に設定している場合には、例えば記入又は印刷された文字などに対して用紙の地が暗すぎず明るすぎない適度な白色度であるので、その文字等が見にくかったりちらつく等の不具合が生じにくく、目の疲労をさらに軽減することができる。また、この用紙を再生紙として古紙の再利用を促進し、環境保全にも寄与することができる。
【0077】
また、用紙の色相をL***色差で表わす場合、a*値を−1.5±1.0とし且つb*値を3.0〜5.0となるように設定すれば、極めて好ましい用紙の色相であるイエローがかったグリーンを帯びたものとすることができる。
【0078】
さらに、このような用紙をノート用原紙、レポート用原紙、伝票用原紙等の筆記用原紙、又は書籍用原紙等に適用する場合には、使用者はこの用紙を長時間注視することとなるので、特に使用時の目に対する負担を有効に軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における視覚疲労測定試験に用いられる用紙を示す図。
【符号の説明】
A…用紙

Claims (2)

  1. 少なくとも古紙を含んでおり、白色度が、70〜75%である用紙であって、その色相が * * * 色差表記において、a * 値が−1.5±1.0であり且つb * 値が3.0〜5.0であることを特徴とする用紙。
  2. ノート用原紙、レポート用原紙、便箋類、伝票用原紙等の筆記用原紙、又は書籍用原紙に適用してなることを特徴とする請求項1記載の用紙。
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