JP3893459B2 - 酸化マグネシウムナノベルトとその複合体ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、酸化マグネシウムナノベルトとその複合体ならびにそれらの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、電気的及び光学的装置に適用可能なほどの大きさを有する酸化マグネシウムナノベルトとその複合体、そして、それらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
線状ナノ物質の新種族である酸化物ナノベルトは、今後有望とされるナノデバイスの形状、寸法を良好に設定することのできる価値ある単位として活用が期待され、また、電気的及び光学的装置への応用が有望視されている。これまでにも、異なる構成を有するナノベルト、たとえば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化ガリウム等がいくつかの研究グループにより合成されている。
【0003】
ところで、酸化マグネシウムは、高い二次電子放出を示す広いバンドギャップを有する絶縁体である。固体からの二次電子の放射は、電子顕微鏡等の装置に重要であり、また、プラズマディスプレーパネルの電気的効率を高めるために、放電圧の減少において重要である。このことから、酸化マグネシウムフィルムは、一般に、プラズマディスプレーパネルにおいて、表面の固有抵抗力のための防御層や高い二次電子放射係数を得るために用いられている。最近、魚骨状の酸化マグネシウムナノロッドやナノベルトが共通触媒プロセス(たとえば、非特許文献1)や酸素流下環境での塩化マグネシウムの加熱(たとえば、非特許文献2)により合成されている。
【0004】
【非特許文献1】
Y. Q. Zhu,外5名,ケミカル・フィジックス・レターズ(Chem. Phys. Lett.),2001年,第347巻,p.337
【非特許文献2】
J. Zhang,外3名,アプライド・フィジックスA(Appl. Phys. A),2001年,第73巻,p.773
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一定の基板上の広い範囲に同一形状で分散した線状の酸化マグネシウムのナノ構造体を生成させる技術は確立されていない。したがって、実際上の応用という観点から是非とも実現が望まれる。
【0006】
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気的及び光学的装置に適用可能なほどの大きさを有する酸化マグネシウムナノベルトとその複合体ならびにそれらの製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、単結晶で線状の個々の酸化マグネシウムナノベルトが近隣の酸化マグネシウムナノベルトとT字状若しくは十字状に連結し、網状組織を形成していることを特徴とする酸化マグネシウムナノベルト(請求項1)を提供する。
【0008】
また、この出願の発明は、請求項1に係る発明に関し、個々の酸化マグネシウムナノベルトは、長さ5μm以内であり、幅100nm〜200nmの範囲内にあり、厚さに対する幅の比が1〜2であること(請求項2)を一態様として提供する。
【0009】
さらに、この出願の発明は、請求項1又は2記載の酸化マグネシウムナノベルトが、シリコン基板、モリブデン基板又はタンタル基板のいずれか一つの基板上に不規則に分散してフィルム状に成長していることを特徴とする酸化マグネシウムナノベルト複合体(請求項3)を提供する。
【0010】
さらにまた、この出願の発明は、マグネシウム粉末とアルミニウム粉末が重量比で1:1に混合され、プレス成形された金属円板をターゲット材とし、反応炉内において前記金属円板を、孔があけられたタンタル保持板の上方に配置し、タンタル保持板の下方には、シリコンウエハー、モリブデンウエハー又はタンタルウエハーのいずれか一つを配置し、反応炉内を0.1torr以下に減圧し、金属円板をその上部表面より900℃〜1000℃に1時間加熱した後、室温まで冷却し、請求項1、2又は3記載の酸化マグネシウムナノベルト又は酸化マグネシウムナノベルト複合体を製造することを特徴とする酸化マグネシウムナノベルト又は酸化マグネシウムナノベルト複合体の製造方法(請求項4)を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、以上に示したとおりの特徴を有するものであり、以下、実施例を示し、この出願の発明の酸化マグネシウムナノベルトとその複合体ならびにそれらの製造方法についてさらに詳しく説明する。
【0012】
【実施例】
マグネシウム粉末とアルミニウム粉末(100メッシュ、純度99.99%より大)を重量比で1:1に機械的に混合し、プレス成形して金属円板(φ10mm×2mm)を作製した。この金属円板をターゲット材とし、反応炉としての高真空赤外線照射加熱炉内に配置した。高真空赤外線照射加熱炉内において金属円板は、φ9mmの孔があけられたタンタル保持板の上方に配置した。また、タンタル保持板の下方2mmの位置に、鏡面仕上げしたシリコンウエハーを配置した。そして、チャンバーを0.1torr以下に減圧し、金属円板をその上部表面より950℃に急速に加熱した。この時、シリコンウエハーは650℃〜700℃に加熱された。加熱は1時間続け、その後、チャンバーを室温まで冷却した。シリコンウエハーの上部表面は白色のフィルムで覆われた。形成したフィルムの形態を操作型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
【0013】
図1(a)(b)は、それぞれ、得られたフィルムの走査電子顕微鏡像である。SEM観察は、すべてのシリコンウエハー表面が不規則に分散したナノベルトにより覆われていることを示している。個々のナノベルトは、長さが5μm以内であり、幅が100nm〜200nmの範囲にあり、また、厚みに対する幅の比が1〜2である。図1(b)は、個々のナノベルトは、近隣のナノベルトと連結し、複雑な網状のナノ構造体を形成していることを示している。
【0014】
図2(a)(b)(c)は、それぞれ、網状組織のナノ構造物の画像である。図2(a)は、2本の平行なナノベルトと短い架橋で形成された単純な網状組織を示している。図2(b)は、T字状と十字状に連結した網状組織を示している。図2(c)は、高圧力状態で閉じられたフレームを示している。
【0015】
図3(a)(b)は、それぞれ、ナノベルトの透過型電子顕微鏡(TEM)像、EDSスペクトルである。図3(a)には、方形断面のナノベルトがはっきりと映し出されている。EDS微量分析の結果、図3(b)に示したように、すべてのナノベルトがマグネシウムと酸素とから構成され(原子比は1:1)、純粋な酸化マグネシウム相が形成されたことが確認された。アルミニウム元素は検出されなかった。図3(b)図中のCu(銅)元素に対応するピークは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察に用いた銅格子から生じたものである。
【0016】
図4(a)(b)は、それぞれ、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)像であり、差込み図は電子回折(ED)パターンである。この図4(a)(b)から、酸化マグネシウムナノベルトがa=4.21Åの格子形の配列をともなう立方体単結晶であることが確認される。
【0017】
シリコンウエハーに替え、モリブデンウエハー及びタンタルウエハーを用いて同様に実施したところ、以上のシリコンウエハーと同様な結果が得られた。
【0018】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施例によって限定されるものではない。細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0019】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、電気的及び光学的装置に適用可能な十分な大きさを有する酸化マグネシウムナノベルトとその複合体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、それぞれ、実施例で得られたフィルムの走査電子顕微鏡像である。
【図2】(a)(b)(c)は、それぞれ、実施例で得られた網状組織のナノ構造物の画像である。
【図3】(a)(b)は、それぞれ、実施例で得られたナノベルトの透過型電子顕微鏡(TEM)像、EDSスペクトルである。
【図4】(a)(b)は、それぞれ、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)像であり、差込み図は電子回折(ED)パターンである。
Claims (4)
- 単結晶で線状の個々の酸化マグネシウムナノベルトが近隣の酸化マグネシウムナノベルトとT字状若しくは十字状に連結し、網状組織を形成していることを特徴とする酸化マグネシウムナノベルト。
- 個々の酸化マグネシウムナノベルトは、長さ5μm以内であり、幅100nm〜200nmの範囲内にあり、厚さに対する幅の比が1〜2である請求項1記載の酸化マグネシウムナノベルト。
- 請求項1又は2記載の酸化マグネシウムナノベルトが、シリコン基板、モリブデン基板又はタンタル基板のいずれか一つの基板上に不規則に分散してフィルム状に成長していることを特徴とする酸化マグネシウムナノベルト複合体。
- マグネシウム粉末とアルミニウム粉末が重量比で1:1に混合され、プレス成形された金属円板をターゲット材とし、反応炉内において前記金属円板を、孔があけられたタンタル保持板の上方に配置し、タンタル保持板の下方には、シリコンウエハー、モリブデンウエハー又はタンタルウエハーのいずれか一つを配置し、反応炉内を0.1torr以下に減圧し、金属円板をその上部表面より900℃〜1000℃に1時間加熱した後、室温まで冷却し、請求項1、2又は3記載の酸化マグネシウムナノベルト又は酸化マグネシウムナノベルト複合体を製造することを特徴とする酸化マグネシウムナノベルト又は酸化マグネシウムナノベルト複合体の製造方法。
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