JP3885131B2 - 接着性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性樹脂組成物に関する。より詳しくは、脆弱化した木質材料よりなる構造物、建造物、木像、雑貨、日用品、装飾品、伝統工芸品、文化財等の保存処理の際に使用でき、その硬化物が切削可能である接着性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
木質材料よりなる構造物、建造物、木像、雑貨、日用品、装飾品、伝統工芸品、文化財等は、年月を経るに従って風化、菌類、虫食い等により、内外面の木質部が脆弱化したり、空洞化して、本来の形態を維持しなくなる。そのため、その補修や保存処理に努力が払われてきたが、腐食や虫食い等の程度により複雑な処理が必要である。
【0003】
従来、この目的のためには、軟質ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂等が使用されてきたが、これらの樹脂には、細密な充填が困難なこと、耐候性や接着性に劣ること、硬化物の切削加工が困難であること、変色や収縮が生じやすいこと等の問題があり、精緻な保存処理作業には不向きであった。
【0004】
本発明の目的は、細密な処理が可能で、耐候性や接着性に優れ、硬化物の切削加工が容易であり、変色や収縮の問題もない接着性樹脂組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の接着性樹脂組成物は、
(A)炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルメタクリレート20〜40重量部、
(B)重合促進剤0.02〜2重量部、
(C)A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂50〜85重量%と、パルプ粉、木粉、砥の粉、シリカ粉、ガラス粉、結晶セルロース、エチルセルロース粉および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種50〜15重量%との混合物80〜60重量部、ならびに
(D)重合開始剤0.02〜2重量部からなる。
【0006】
本発明の他の接着性樹脂組成物は、
(A)炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルメタクリレート60重量%以上と、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルメタクリレートおよび/または炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレート40重量%以下とからなるモノマー20〜40重量部、
(B)重合促進剤0.02〜2重量部、
(C)A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂50〜85重量%と、パルプ粉、木粉、砥の粉、シリカ粉、ガラス粉、結晶セルロース、エチルセルロース粉および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種50〜15重量%との混合物80〜60重量部、ならびに
(D)重合開始剤0.02〜2重量部からなる。
【0007】
A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂のガラス転移温度は20〜90℃であるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明でA成分として用いる炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられ、単独または混合状態で使用される。好ましいものは、炭素数1〜13の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルキルメタクリレートである。
【0009】
A成分としては、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルメタクリレートおよび/または炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレートを併用することができる。
【0010】
炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルメタクリレートとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート等が挙げられる。また、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレートとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート等が挙げられる。モノマー成分(A成分)として、このようなヒドロキシアルキルメタクリレートおよび/またはヒドロキシアルキルアクリレートを併用することにより、親水性である木質材料との親和性が与えられ、木質材料へのモノマー成分の浸透が促進される。
【0011】
A成分として、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルメタクリレートおよび/または炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレートを併用する場合には、その使用割合は40重量%以下である(すなわち、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルメタクリレートの使用割合が60重量%以上である)。この割合が40重量%を超えると、硬化速度が遅く、接着強度が低下して目的とするものと乖離したものとなる。好ましい使用割合は20重量%以下である。
【0012】
B成分として用いる重合促進剤としては、メタクリレートまたはアクリレート系モノマーの重合促進に使用する一般的な重合促進剤を用いることができる。このような重合促進剤としては、例えば、ジメチルトルイジン、2−ヒドロキシエチルパラトルイジン等の三級アミンが挙げられる。
【0013】
C成分として用いる、A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂とは、A成分と完全に相溶性を有するかまたは溶媒和する合成樹脂である。このような合成樹脂の溶解度パラメーター(SP値)は、8.0〜11.5の範囲であるのが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は、硬化物の切削性の点より、20〜90℃であるのが好ましい。このような合成樹脂としては、炭素数が1〜6好ましくは2〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するポリアルキルメタクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等が挙げられる。ポリアルキルメタクリレートとしては、ポリエチルメタクリレートが好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル含有量が15〜35重量%のものが好ましい。ポリビニルブチラールとしては、OH基含有量が25〜40モル%のものが好ましい。
【0014】
さらに、C成分としては、パルプ粉、木粉、砥の粉、シリカ粉、ガラス粉、結晶セルロース、エチルセルロース粉および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粉末を併用する。これらのパルプ粉等を樹脂組成物に配合することにより、その硬化物に切削性と透湿性が付与される。本発明で用いるパルプ粉は、特に限定されないが、機械的にパルプを粉砕したものが好ましい。木粉としては、特に限定されないが、挽き粉を粉砕したものが好ましい。砥の粉としては、特に限定されないが、砥石の粉で、黄土を焼いて作られるものが好ましく、塗装の下地、柱、板等の色付け等に使用されるものが好ましい。シリカ粉としては、特に限定されないが、有機ケイ素化合物、水ガラス、ケイ酸化合物の中和、分解、脱水等により製造されるものでSiO2よりなる微粒子が好ましい。ガラス粉としては、特に限定されないが、ガラスを機械的に粉砕したり、溶融ガラスを微粒子化したものが好ましい。結晶セルロースとは、セルロースを化学的に処理して結晶化したものであり、例えば、旭化成工業(株)製のアビセル等が挙げられる。エチルセルロースは、パルプまたはコットンリンターをエチルクロライドと反応させてグルコース内のOH基をエトキシ基で置換したものであり、エチルセルロースとしては、トルエン/エタノール(重量比8/2)の混合溶媒に溶解させた場合の5重量%溶液の粘度が9〜50cpsであるものが好ましい。三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子としては、三官能以上のポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールとジイソシアネートとの反応により得られるものが好ましい。
【0015】
これらのパルプ粉、木粉、砥の粉、シリカ粉、ガラス粉、結晶セルロース、エチルセルロース粉および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子の平均粒径は、5〜100μmであるのが好ましい。
【0016】
これらの粉末の中では、パルプ粉、木粉、エチルセルロース粉等のセルロース系粉末が好ましい。また、それらのセルロース系粉末とシリカ粉との組合せ、またはセルロース系粉末と三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子との組合せも好ましい。
【0017】
A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂と、パルプ粉、木粉、砥の粉、シリカ粉、ガラス粉、結晶セルロース、エチルセルロース粉および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種とのC成分における使用割合は、該合成樹脂50〜85重量%に対して該パルプ粉等50〜15重量%である。
【0018】
本発明でD成分として用いる重合開始剤としては、メタクリレートまたはアクリレート系モノマーの重合に使用する一般的な重合開始剤を用いることができる。このような重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のラジカル発生剤が挙げられる。
【0019】
本発明の樹脂組成物におけるA成分、B成分、C成分、D成分の配合量は、A成分20〜40重量部、B成分0.02〜2重量部、C成分80〜60重量部、D成分0.02〜2重量部である。好ましい配合量は、A成分22〜35重量部、B成分0.02〜1.75重量部、C成分78〜65重量部、D成分0.02〜1.75重量部である。なお、B成分およびD成分の配合量は、A成分モノマーの配合量の0.1〜5重量%であるのが好ましい。
【0020】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、色合せのための染料、顔料、木材用の合成または天然の防腐剤、抗菌剤等を、重合を阻害しない範囲で添加できる。
【0021】
本発明の樹脂組成物においては、A成分とB成分の混合物に使用直前にC成分とD成分を同時に混合してもよいし、予めC成分とD成分を混合しておき、これに使用直前にA成分とB成分の混合物を混合してもよい。しかしながら、A成分とB成分の混合物またはA成分と、D成分とを予め混合しておくことは好ましくない。
【0022】
本発明の樹脂組成物を具体的に使用するには、A成分、B成分、C成分およびD成分を所定の比率で混合したものを接着の必要な部分に充填して硬化させるか、接着の必要な部分の両接着面に少量のA成分とB成分の混合物を塗布したものにA成分、B成分、C成分およびD成分を所定の比率で混合したものを充填して接着する。また、小さな割れ、陥没、空洞部については、A成分とB成分の混合物、C成分およびD成分を筆置き法で処理すればよい。(すなわち、A成分とB成分の混合液体を筆につけた後に、この筆にC成分とD成分をつけて小さな割れ等に塗布すればよい。)
このようにして、本発明の接着性樹脂組成物を木質材料の損傷部等に充填、注入、塗布して硬化させた後に、形態を充分に整えるために切削することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物の硬化物または木質材料との接着物は、木材の切削に使用する鉋、彫刻刀等を用いて、木材の切削と同程度の力と要領で切削でき、木材の切削時と同程度の切削音と切削屑を生じる。従って、本発明の樹脂組成物を用いて、木像、装飾品、伝統工芸品、文化財等の精緻な補修や保存処理が可能である。特に、長年が経過して脆弱化した木質材料よりなる文化財等の補修や保存処理に好適である。
【0023】
また、本発明の樹脂組成物を用いて保存処理したものにおいて、硬化した樹脂組成物は、適当な溶媒で処理することにより溶解除去できるので可逆性を有する。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0025】
実施例1
メチルメタクリレート50重量%およびラウリルメタクリレート50重量%の混合物(A成分)25重量部にジメチルトルイジン(B成分)0.13重量部を加えたものと、ポリエチルメタクリレート(Tg65℃、SP値9.1)70重量%、パルプ粉(平均粒径70μm)15重量%およびエチルセルロース(重量比がトルエン/エタノール=8/2の混合溶媒での5重量%溶液の粘度が10cps、平均粒径80μm)15重量%の混合物(C成分)75重量部に過酸化ベンゾイル(D成分)0.25重量部を加えたものとを、充分に混合し、その一部を取り出して硬化させ、50mm×10mm×5mmの固形物を得た。この固形物を固定し、木材切削用の鉋で切削した。切削屑は、木材を切削した場合と同様、厚さ0.1mmの薄片でカールしていた。
【0026】
同時に、松材の25mm×8mm×50mmの角材を10個準備し、接着面を研磨した後に、各2個の角材の接着面に上記のA成分とB成分の混合物、C成分およびD成分を筆置き法で塗布して接着したものを5個作り、接着強度を東洋精機(株)製のストログラフR−2を用いて測定した。接着強度は39kg/cm2であった。なお、キセノンランプで300時間照射した後の接着強度は38.6kg/cm2であった。また、トルエン溶媒を用いて接着片から樹脂組成物を溶解除去でき、文化財の保存処理薬剤にとって必要条件である可逆性があることが確認できた。
【0027】
実施例2
メチルメタクリレート50重量%、ドデシルメタクリレート17.5重量%、トリデシルメタクリレート17.5重量%およびヒドロキシエチルメタクリレート15重量%の混合物(A成分)28重量部に2−ヒドロキシエチルパラトルイジン(B成分)0.14重量部を加えたものと、ポリエチルメタクリレート(Tg65℃、SP値9.1)60重量%、木粉(平均粒径70μm)17重量%、シリカ粉(平均粒径20μm)2重量%、パラヒドロキシ安息香酸メチル(抗菌剤)1重量%およびポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製のエスレックBXL、Tg75℃、SP値8.8、OH基含有量37モル%)20重量%の混合物(C成分)72重量部にt−ブチルパーベンゾエート(D成分)0.5重量部を加えたものとを、準備した。
【0028】
このA成分、B成分、C成分およびD成分を混合して(重量比28:0.14:72:0.5)硬化させ、50mm×10mm×5mmの固形物を得た。この固形物を固定し、木材切削用の鉋で切削した。厚さ0.1mmの切削片は木材の切削物と同様の形状であった。
【0029】
同時に、松材の25mm×8mm×50mmの角材を10個準備し、接着面を研磨した後に、各2個の角材の接着面にA成分とB成分の混合物0.2mlを塗布したもので、A成分、B成分、C成分およびD成分のパテ状の混合物(重量比28:0.14:72:0.5)を挟んで接着した。実施例1と同様の装置を用いて接着強度を測定した結果は、40.5kg/cm2であった。この接着強度測定用のサンプルと同じものを別途作製し、固定して木材切削用の鉋で切削した結果、厚さ0.1mmの切削片において木質部と樹脂部が完全に接着していることが認められた。
【0030】
なお、木質部と樹脂部が完全に接着しているサンプルをトルエン溶媒中に入れると、接着部の樹脂が溶解し、文化財の保存処理薬剤にとって必要条件である可逆性があることが確認できた。
【0031】
実施例3
メチルメタクリレート50重量%、ラウリルメタクリレート40重量%およびヒドロキシプロピルアクリレート10重量%の混合物(A成分)30重量部にジメチルトルイジン(B成分)0.1重量部を加えたものと、ポリエチルメタクリレート(Tg65℃、SP値9.1)60重量%、木粉(平均粒径70μm)15重量%、丁字油(抗菌剤)1重量%および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量30重量%、Tg55℃、SP値9.4)24重量%の混合物(C成分)70重量部に過酸化ベンゾイル(D成分)0.4重量部を加えたものとを、充分に混合し、その一部を取り出して硬化させ、50mm×10mm×5mmの固形物を得た。この固形物を木材切削用の彫刻刀で切削した結果、厚さ0.3mmで長さ30mmの切削片を得た。この切削片は、木材の切削片とよく似た形状であった。
【0032】
同時に、松材の25mm×8mm×50mmの角材を10個準備し、接着面を研磨した後に、各2個の角材の接着面にA成分とB成分の混合物0.1mlを塗布したもので、A成分、B成分、C成分およびD成分のパテ状の混合物(重量比30:0.1:70:0.4)を挟んで接着した。実施例1と同様の装置を用いて接着強度を測定した結果は、28.4kg/cm2であった。この接着強度測定用のサンプルと同じものを別途作製し、固定して木材切削用の鉋で切削した結果、厚さ0.1mmで木材と同様の切削片を得た。
【0033】
実施例4
メチルメタクリレート55重量%、ラウリルメタクリレート40重量%およびヒドロキシプロピルメタクリレート5重量%の混合物(A成分)27重量部に2−ヒドロキシエチルパラトルイジン(B成分)0.15重量部を加えたものと、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量25重量%、Tg55℃、SP値9.5)85重量%、パルプ粉(平均粒径70μm)13.5重量%、シリカ粉(平均粒径10μm)0.5重量%およびパラヒドロキシ安息香酸メチル(抗菌剤)1重量%の混合物(C成分)73重量部に過酸化ベンゾイル(D成分)0.3重量部を加えたものとを、準備した。
【0034】
同時に、松材の25mm×8mm×50mmの角材を10個準備し、接着面を研磨した後に、各2個の角材の接着面に上記のA成分とB成分の混合物、C成分およびD成分を筆置き法で塗布して両角材を接着した。実施例1と同様の装置を用いて接着強度を測定した結果は、30kg/cm2であった。この接着強度測定用のサンプルと同じものを別途作製し、木材切削用の彫刻刀で切削した結果、木材と同様に切削できた。
【0035】
実施例5
メチルメタクリレート50重量%およびラウリルメタクリレート50重量%の混合物(A成分)25重量部にジメチルトルイジン(B成分)0.025重量部を加えたものと、ポリエチルメタクリレート(Tg65℃、SP値9.1)70重量%、パルプ粉(平均粒径70μm)15重量%および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子(積水化成品工業(株)製のテクポリマーUB、平均粒径15μm)15重量%の混合物(C成分)75重量部に過酸化ベンゾイル(D成分)0.2重量部を加えたものとを、充分に混合し、その一部を取り出して硬化させ、50mm×10mm×5mmの固形物を得た。この固形物を固定し、木材切削用の鉋で切削した。切削屑は、木材を切削した場合と同様、厚さ0.2mmの薄片でカールしていた。
【0036】
同時に、松材の25mm×8mm×50mmの角材を10個準備し、接着面を研磨した後に、各2個の角材の接着面に上記のA成分とB成分の混合物、およびC成分とD成分の混合物を筆置き法で塗布して接着したものを5個作り、実施例1と同様の装置を用いて接着強度を測定した結果は、37.6kg/cm2であった。
【0037】
比較例1
メチルメタクリレート(A成分)28重量部にジメチルトルイジン(B成分)0.14重量部を加えたものと、ポリメチルメタクリレート(Tg105℃、SP値9.3)(C成分)72重量部に過酸化ベンゾイル(D成分)0.1重量部を加えたものとを、準備した。
【0038】
このA成分、B成分、C成分およびD成分を混合して(重量比28:0.14:72:0.1)硬化させ、50mm×10mm×5mmの固形物を得た。この固形物を固定し、木材切削用の鉋で切削を試みたが、うまく切削できなかった。切削屑は砕けた粗粒であった。
【0039】
同時に、松材の25mm×8mm×50mmの角材を10個準備し、接着面を研磨した後に、各2個の角材の接着面にA成分とB成分の混合物0.1mlを塗布したもので、A成分、B成分、C成分およびD成分のパテ状の混合物(重量比28:0.14:72:0.1)を挟んで接着した。実施例1と同様の装置を用いて接着強度を測定した結果は、20kg/cm2であった。この接着強度測定用のサンプルと同じものを別途作製し、固定して木材切削用の鉋で切削を試みたが、木材と同様に切削することはできなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の接着性樹脂組成物は、細密な処理が可能で、耐候性や接着性に優れ、その硬化物は切削加工が容易であり、変色や収縮の問題もない。
【0041】
従って、本発明の接着性樹脂組成物を、脆弱化した木質材料の損傷部に充填、注入、塗布して硬化させた後に切削することにより、精緻な保存処理物を得ることができる。
Claims (2)
- (A)炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルメタクリレート20〜40重量部、(B)重合促進剤0.02〜2重量部、(C)A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂50〜85重量%と、パルプ粉、木粉、砥の粉、シリカ粉、ガラス粉、結晶セルロース、エチルセルロース粉および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種50〜15重量%との混合物80〜60重量部、ならびに(D)重合開始剤0.02〜2重量部からなる接着剤用樹脂組成物であって、A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂が、ポリアルキルメタクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体およびポリビニルブチラールからなる群より選択される少なくとも1種である接着剤用樹脂組成物。
- (A)炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルメタクリレート60重量%以上と、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルメタクリレートおよび/または炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレート40重量%以下とからなるモノマー20〜40重量部、(B)重合促進剤0.02〜2重量部、(C)A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂50〜85重量%と、パルプ粉、木粉、砥の粉、シリカ粉、ガラス粉、結晶セルロース、エチルセルロース粉および三次元結合を有するポリウレタン樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種50〜15重量%との混合物80〜60重量部、ならびに(D)重合開始剤0.02〜2重量部からなる接着剤用樹脂組成物であって、A成分に溶解するかまたは膨潤する合成樹脂が、ポリアルキルメタクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体およびポリビニルブチラールからなる群より選択される少なくとも1種である接着剤用樹脂組成物。
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1996
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