JP3884410B2 - ディジタル信号符号化の量子化ステップサイズ決定方法およびディジタル信号符号化装置 - Google Patents

ディジタル信号符号化の量子化ステップサイズ決定方法およびディジタル信号符号化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディジタル信号の符号化に関する。特に、符号化時の量子化ステップサイズの決定に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、映像信号などをディジタル信号に変換し、符号化してデータサイズを圧縮する符号化方式が多く利用されている。多くの符号化方式では、ディジタル信号を量子化している。この量子化の「粗さ・細かさ」を示す指標を量子化ステップサイズと呼ぶ。MPEG−2などの一般的な映像符号化方式では、圧縮後のデータサイズをコントロールするために、量子化ステップサイズを小ブロック毎に変更できるようになっている(非特許文献1、2参照)。
【0003】
図5は従来例の映像符号化伝送装置のブロック構成図を示す。この構成において、符号化側501には減算器502、DCT(Discrete Cosine Transform、離散コサイン変換)部503、量子化部504、符号化器505、逆量子化部506、IDCT(逆離散コサイン変換)部507、加算器508、フレームメモリ509、動き検出部510、動き補償部511および量子化制御部512を備え、復号側513には、復号器514、逆量子化部515、IDCT部516、加算器517、フレームメモリ518および動き補償部519を備える。
【0004】
入力映像信号は、減算器502により動き補償部511の出力が減算された後、DCT部503および量子化部504によりそれぞれ離散コサイン変換および量子化の処理が施され、符号化器505により動き検出部510の出力する動きベクトル情報とともに符号化される。
【0005】
逆量子化部506の出力はまた、IDCT部507により逆離散コサイン変換され、加算器508により動き補償部511の出力が加算され、フレームメモリ509に蓄えられる。このフレームメモリ509に蓄えれらた映像信号と新たな入力映像信号とを動き検出部510で比較して映像信号内の動きが検出され、得られた動きベクトル情報が符号化器505に出力されるとともに、動き補償部511に出力される。動き補償部511は、フレームメモリ509に蓄えられた映像信号と動き検出部510からの動きベクトル情報とに基づいて、動き補償予測情報を出力する。
【0006】
量子化部504における量子化ステップサイズは、量子化制御部512により決定される。この量子化制御部512は、符号化器505から出力される符号量(発生符号量)に基づいて量子化ステップサイズを決定し、小ブロック内を同一の量子化ステップサイズで量子化するように量子化部504を設定する。量子化後の値(これを「量子化レベル」という)は、符号化器505でエントロピー符号化されて、ビット列として出力される。このときの発生符号量から、次の小ブロックの量子化ステップサイズを量子化制御部512で決定する。量子化制御部512では、発生符号量が目標発生符号量より多い場合は、量子化ステップサイズを大きくして粗く量子化し、逆に少ない場合は、量子化ステップサイズを小さくして細かく量子化するように、量子化部504を制御する。量子化ステップサイズに関する情報はまた、符号化器505で映像信号とともに符号化される。
【0007】
符号化側501からの符号は、復号側513の復号器514により復号され、逆量子化部515により逆量子化され、IDCT部516−1により逆離散コサイン変換され、加算器517−1により動き補償部519の出力した動き補償予測情報が加算されて、出力映像信号として出力される。この出力映像信号はフレームメモリ518に蓄えられ、動き補償部519は、このフレームメモリ518に蓄えられた映像信号と復号器514により復号された動きベクトル情報とから、動き補償予測情報を出力する。逆量子化部515における逆量子化ステップサイズは、復号器514で得られた量子化ステップサイズ情報により設定される。
【0008】
ここで、入力信号、量子化ステップサイズおよび量子化レベルの関係について説明する。入力信号d(x)、量子化ステップサイズQpおよび量子化レベルq(x)の関係は、一般的に、
q(x) = d(x)/Qp ...(1)
で表現できる。また、復号する場合は、逆量子化部515にて、
d'(x) = q(x)×Qp ...(2)
として、出力信号d'(x)を算出する。この出力信号d'(x)を以下「量子化代表値」という。このときの量子化誤差e(x)は、
e(x) = d(x)−d'(x) ...(3)
となる。量子化誤差e(x)は、量子化ステップサイズQpが大きくなるに従い増加する傾向がある。
【0009】
このように、通常、量子化ステップサイズは、発生符号量に応じた値が設定される。また、視覚特性を考慮した量子化ステップサイズの決定方法も提案されている。
【0010】
【非特許文献1】
ISO/IEC IS 13818-2, ITU-T Recommendation H.262, "Generic coding of moving pictures and associated audio information", Nov. 1994
【非特許文献2】
MPEG-2, Test Model 5(TM5), Doc. ISO/IEC JTC1/SC29/WG11/N0400, Test Model Editing Committee, Apr. 1993
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
多くの符号化方式で用いられている予測符号化方法は、その予測誤差が零近傍に集中することが知られている。そこで、予測誤差の量子化レベルの符号語長は、零近傍ほど短い符号が割り当てられ、量子化レベルが高くなるに従い、長い符号長が割り当てられている。よって、量子化誤差が変わらなければ、より大きい量子化ステップサイズで量子化したほうが量子化レベルが小さくなり、結果として発生符号量を抑えることができる。
【0012】
ある量子化ステップサイズQpで量子化した際、小ブロック内のすべての量子化レベルq(x)に、1以外の公約数aが存在したと仮定する。つまり、量子化レベルq(x)=q'(x)×aとする。このとき、量子化代表値d'(x)は、
d'(x) = q(x)×Qp = (q'(x)・a)×Qp = q'(x)×(a・Qp) ...(4)
となる。つまり、入力信号d(x)をa・Qpで量子化した場合と等価になる。しかし、先に述べた量子化ステップサイズ決定方法では、量子化ステップサイズは、発生符号量や視覚特性から決定され、一度量子化した後の量子化レベルの特性は考慮されていない。このため、符号化効率が低下する可能性がある。
【0013】
本発明は、このような課題を解決し、量子化誤差を増加させることなく量子化レベルを小さくでき、符号化効率を向上させることのできるディジタル信号符号化の量子化ステップサイズ決定方法およびディジタル信号符号化装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、量子化レベルの公約数を用いて、量子化ステップサイズを決定する。
【0015】
すなわち、本発明の第一の観点によると、入力信号を小ブロックに分割して可変の量子化ステップサイズで量子化し、その量子化出力をその量子化ステップサイズに関する情報とともに符号化するディジタル信号符号化方式における量子化ステップサイズの決定方法において、前記小ブロックをあらかじめ定められた規則にしたがって求めた基準量子化ステップサイズによりあらかじめ量子化し、得られた各小ブロックの量子化レベルから公約数を算出し、この公約数と前記基準量子化ステップサイズとから実際の量子化に用いる量子化ステップサイズを決定することを特徴とするディジタル信号符号化の量子化ステップサイズ決定方法が提供される(請求項1)。
【0016】
前記実際の量子化に用いる量子化ステップサイズは前記公約数と前記基準量子化ステップサイズとの積により算出することが望ましい(請求項2)。この際、前記公約数として、前記基準量子化ステップサイズとの積が最大量子化ステップサイズを越えることのない最大のものを選択することが望ましい(請求項3)。
【0017】
本発明の第二の観点によると、入力信号を小ブロックに分割して量子化する量子化手段と、この量子化手段の量子化ステップサイズをあらかじめ定められた規則にしたがって求める量子化制御手段と、前記量子化手段の出力を前記量子化手段に設定された量子化ステップサイズに関する情報とともに符号化する符号化手段とを備えたディジタル信号符号化装置において、前記量子化制御手段により求めた量子化ステップサイズで入力信号をあらかじめ量子化する手段と、このあらかじめ量子化する手段により得られた各小ブロックの量子化レベルから公約数を算出する手段と、この公約数と前記量子化制御手段により求めた量子化ステップサイズとから、前記符号化手段に出力するための量子化に用いる実際の量子化ステップサイズを決定する手段とを備えたことを特徴とするディジタル信号符号化装置が提供される(請求項4)。
【0018】
前記あらかじめ量子化する手段と前記量子化手段とは別個に設けられてもよく(請求項5)、少なくとも一部を共通化してもよい。
【0019】
前記あらかじめ量子化する手段と前記量子化手段との少なくとも一部を共通化する構成の一例として、前記公約数を算出する手段があらかじめ定められた値が公約数であるかどうかを判定する手段を含み、前記量子化手段は、前記あらかじめ量子化する手段と共通の量子化部と、この量子化部の出力する量子化レベルを前記あらかじめ定められた値により除算する手段と、前記判定する手段により前記あらかじめ定められた値が公約数であると判定されたときには前記除算する手段の出力を選択し、それ以外のときには前記量子化部の出力を選択する手段とを含む構成とすることができる(請求項6)。この構成において、前記判定する手段により前記あらかじめ定められた値が公約数であると判定されたときには前記量子化制御手段の求めた量子化ステップサイズの値に前記あらかじめ定められた値を乗算し、それ以外のときには前記量子化ステップサイズの値をそのまま、量子化ステップサイズに関する情報として前記符号化手段に供給する手段を備えることができる(請求項7)。
【0020】
本発明は、信号処理プロセッサに前記第一の観点の方法を実行させるためのプログラムとして(請求項8)、あるいは信号処理プロセッサを前記第二の観点の装置として機能させるためのプログラムとして(請求項9)実施でき、さらに、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実施することもできる(請求項10)。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第一の実施形態を示すブロック構成図であり、図5に示した符号化側501の量子化部504と量子化制御部512との間に付加される構成例を示す。この実施形態は、量子化部504に入力される信号が分岐されて入力され、この入力信号を量子化制御部512であらかじめ決定した基準となる量子化ステップサイズで小ブロックを量子化する量子化部11と、小ブロック内の量子化レベルから公約数を算出する量子化レベル公約数算出部12と、基準量子化ステップサイズと公約数から新たな量子化ステップサイズを算出する量子化ステップサイズ算出部13とを備える。
【0022】
図2は量子化ステップサイズ決定までの処理の流れを示す。まず、従来の量子化ステップサイズ算出と同様に、基準量子化ステップサイズQpを算出する(S21)。次に、基準量子化ステップサイズQpで、一度、小ブロック(サイズN)に分割された入力信号d(x) (x=1, 2, ..., N)の量子化を行い、量子化レベルq(x)を算出する(S22)。続いて、量子化レベルq(x)について、1以外の公約数aを算出する(S23)。ここで、1以外の公約数が存在しない場合は処理を終了し、量子化ステップサイズの再計算は行わない(S24)。1以外の公約数が存在した場合は、算出した公約数aと基準量子化ステップサイズを越えない最大の公約数を選択する(S25)。
【0023】
たとえば、基準量子化ステップサイズQpと公約数aとの積から新たな量子化ステップサイズQnewを算出している場合、最大公約数amaxは、次式から求められる。
amax = max(ai) ({ai : Qmax ≧ Qp・ai}) ...(5)
ここで、Qmaxは最大量子化ステップサイズである。
【0024】
このようにして、本発明により、量子化した結果を考慮した量子化ステップサイズの決定が可能となる。
【0025】
図3は本発明の別の実施形態を示す。ここでは、符号化方式として、MPEG-2のような動き補償付きフレーム間予測符号化+離散コサイン変換方式を想定する。また、構成を簡単化するため、公約数に2が含まれているかどうかのみ判定する。
【0026】
この実施形態は、図5に示した符号化側501と同様に、減算器301、DCT部302、量子化部303、符号化器304、逆量子化部305、IDCT部306、加算器307、フレームメモリ308、動き検出部309、動き補償部310および量子化制御部311を備え、図5の各部と同様に動作する。
【0027】
図3に示す実施形態はさらに、量子化部303と符号化器304との間に量子化レベル判定部312、1/2倍部313およびスイッチ314を備え、量子化制御部311から符号化器304への量子化ステップサイズ情報の信号経路に、2倍部315およびスイッチ316を備える。
【0028】
量子化レベル判定部312は、図1に示した量子化レベル公約数算出部12に対応しているが、公約数を2に限定したことから公約数そのものを算出する必要がなく、小ブロック内の量子化レベルq(x)が全て偶数になっているかを判定する。二つのスイッチ314、316は、量子化レベル判定部312の結果により制御される。図1の実施形態では、基本量子化ステップサイズQpと新たな量子化ステップサイズQnewでの量子化のために二つの量子化部11、504が必要であったが、図3の実施形態では、新たな量子化ステップサイズQnewの量子化について、量子化レベルq(x)を1/2倍部313で1/2倍することで実現している。加えて、量子化レベル判定部312の結果に基づき、符号化対象となる量子化レベルを切り替えている。図1の実施形態における量子化ステップサイズ算出部13は、基準量子化ステップサイズQpを2倍にする2倍部315と、スイッチ316での切り替えにより実現している。
【0029】
図4は本実施形態の処理の流れを示す。まず、基準量子化ステップサイズQpでDCT係数を量子化する(S41)。続いて、小ブロック内の量子化レベルq(x)がすべて偶数になっているかを判定する(S42)。量子化レベルに奇数が1つでも含まれている場合は、処理を終了し(S43)、従来と同様の符号化処理を行なう。判定結果が全て偶数の場合、基準量子化ステップサイズを2倍し、
Qnew = Qp・2 ...(6)
とする(S44)。ここで、Qnew>Qmaxとなる場合(S45)、基準量子化ステップサイズQpと量子化レベルq(x)とをそのまま符号化器304に送る。それ以外の場合は、量子化レベルを1/2倍し、
q'(x) = q(x)/2 ...(7)
とする(S46)。
【0030】
このような方法により、小ブロック内の量子化レベルが全て偶数の場合、量子化ステップサイズを2倍にすることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明では、基準量子化ステップサイズでの量子化レベルにより、新たな量子化ステップサイズを決定する。これにより、量子化誤差を増加させることなく、量子化レベルを小さくでき、符号化効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すブロック構成図。
【図2】量子化ステップサイズ決定までの処理の流れを示す図。
【図3】本発明の別の実施形態を示すブロック構成図。
【図4】処理の流れを示す図。
【図5】従来例の映像符号化伝送装置のブロック構成図。
【符号の説明】
11 量子化部
12 量子化レベル公約数算出部
13 量子化ステップサイズ算出部
301、502 減算器
302、503 DCT部
303、504 量子化部
304、505 符号化器
305、506、515 逆量子化部
306、507、516 IDCT部
307、508、517 加算器
308、509、518 フレームメモリ
309、510 動き検出部
310、511、519 動き補償部
311、512 量子化制御部
312 量子化レベル判定部
313 1/2倍部
314、316 スイッチ
315 2倍部
501 符号化側
513 復号側
514 復号器

Claims (4)

  1. 入力信号を小ブロックに分割して可変の量子化ステップサイズで量子化し、その量子化出力をその量子化ステップサイズに関する情報とともに符号化するディジタル信号符号化方式における量子化ステップサイズの決定方法において、
    前記小ブロックをあらかじめ定められた規則にしたがって求めた基準量子化ステップサイズによりあらかじめ量子化し、
    得られた各小ブロックの量子化レベルから公約数を算出し、
    この公約数と前記基準量子化ステップサイズとの積により実際の量子化に用いる量子化ステップサイズを決定する
    ことを特徴とするディジタル信号符号化の量子化ステップサイズ決定方法。
  2. 前記公約数として、前記基準量子化ステップサイズとの積が最大量子化ステップサイズを越えることのない最大のものを選択する請求項記載のディジタル信号符号化の量子化ステップサイズ決定方法。
  3. 入力信号を小ブロックに分割して量子化する量子化手段と、
    この量子化手段の量子化ステップサイズをあらかじめ定められた規則にしたがって求める量子化制御手段と、
    前記量子化手段の出力を前記量子化手段に設定された量子化ステップサイズに関する情報とともに符号化する符号化手段と
    を備え、さらに
    前記量子化制御手段により求めた量子化ステップサイズで入力信号をあらかじめ量子化する手段と、
    このあらかじめ量子化する手段により得られた各小ブロックの量子化レベルから公約数を算出する手段と、
    この公約数と前記量子化制御手段により求めた量子化ステップサイズとから、前記符号化手段に出力するための量子化に用いる実際の量子化ステップサイズを決定する手段と
    を備えたディジタル信号符号化装置において、
    前記公約数を算出する手段はあらかじめ定められた値が公約数であるかどうかを判定する手段(312)を含み、
    前記量子化手段は、前記あらかじめ量子化する手段と共通の量子化部(303)と、この量子化部の出力する量子化レベルを前記あらかじめ定められた値により除算する手段(313)と、前記判定する手段により前記あらかじめ定められた値が公約数であると判定されたときには前記除算する手段(313)の出力を選択し、それ以外のときには前記量子化部の出力を選択する手段(314)とを含む
    ことを特徴とするディジタル信号符号化装置
  4. 前記判定する手段により前記あらかじめ定められた値が公約数であると判定されたときには前記量子化制御手段の求めた量子化ステップサイズの値に前記あらかじめ定められた値を乗算し、それ以外のときには前記量子化ステップサイズの値をそのまま、量子化ステップサイズに関する情報として前記符号化手段に供給する手段を備えた請求項記載のディジタル信号符号化装置。
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