JP3883440B2 - 毒餌剤容器 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蟻等の小さな害虫を防除するのに好適な毒餌剤容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、蟻やゴキブリ等の害虫を駆除するための方法として、食毒剤を害虫が好む餌に混ぜたもの、所謂、毒餌剤を用いる方法が知られている。毒餌剤には、殺虫効果や誘引効果が低下しないように密封袋内に収納され、使用時に密封袋から取り出され、所定の容器内に充填されるものがある。
他方、容器には、毒餌剤を収納した状態で容器全体が密封袋で密封されたものや、底板と周壁とから構成された収納部に毒餌剤を収納してシール部材により収納部の開口を密封したものがある（以下、これらの容器を毒餌剤容器という）。これらの毒餌剤容器は、使用に際して、密封袋やシール部材を取り除かれ、適当な場所に放置される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
密封袋に毒餌剤のみを密封した毒餌剤は、特に蟻等の小さな害虫用のものは粒が小さく、密封袋を開封する際にこぼしたり、手に触れたり、毒餌剤を上部開放型の容器に充填する際に容器の外にこぼしたりすることがあった。また、毒餌剤を収納部に充填した後、幼児が誤食したり、毒餌剤容器が傾けて設置された場合に毒餌剤がこぼれたりする可能性があった。
容器全体が密封袋で密封された毒餌剤容器においては、保管中に毒餌剤が毒餌剤容器からこぼれて密封袋内で毒餌剤が散乱することを防ぐために、毒餌剤はこぼれにくいペースト状又はゼリー状等の剤型にする必要があった。
収納部がシール部材で密封された毒餌剤容器においては、毒餌剤が顆粒状、粉状、液状のように流動性を有する場合、使用時にシール部材を取り除く際に毒餌剤が収納部がらこぼれ出ることがあった。
【０００４】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、毒餌剤が流動性を有する剤型である場合にも、毒餌剤が収納部からこぼれ出にくい、使い勝手の良い毒餌剤容器を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ前記収納部の上方付近にまで張り出して前記毒餌剤が前記収納部の外に出ないようにする押さえ部を有して前記本体に組み合わされる蓋体が設けられ、前記押さえ部は、前記シール部材を挟んで前記毒餌剤の上部近傍に位置する凸面を有して構成されることを特徴とする毒餌剤容器によって達成される。このような構成によれば、毒餌剤容器を傾けて設置しても押さえ部が毒餌剤の移動防止手段として働くので毒餌剤が収納部からこぼれ出ることを防止することができる。また、毒餌剤は、顆粒状、粉状、液状のように流動性を有する剤型とすることができる。従って、毒餌剤容器は、毒餌剤が流動性を有する剤型である場合にも、移動防止手段の働きによって収納部の外にこぼれ出てしまうことを防止することができ、使い勝手が良い。ここで、収納部は、毒餌剤容器の内部を仕切壁により分割して複数の収納部を形成し、別々の毒餌剤を収納する毒餌剤容器としてもよい。
【０００６】
また、凸面を有した押さえ部の働きによって、使用の際にシール部材を本体から取った際に毒餌剤が収納部から外へ出てしまうことを防止することができる。ここで、本体へのシール部材の密封は、例えば、ヒートシールによる溶着や接着剤を用いた溶着により行われる。前述のような収納部を複数設けて別々の毒餌剤を収納する毒餌剤容器においては、仕切壁の上部にもシール部材を接着して密封することが好ましい。
【０００７】
移動防止手段を蓋体に設けられた押さえ部としたので、毒餌剤容器の本体に移動防止手段となる他の部材を組み込む必要がない。このため、毒餌剤容器は、構造が簡単で、且つ、部品点数の増加を防止できる。
【０００８】
また本発明の上記目的は、上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ前記開口部にて前記本体から水平方向に前記収納部の内側に向かって突出した複数の凸部が形成されることを特徴とする毒餌剤容器によって達成される。なお、凸部は上下に傾斜させてもよい。こうすれば、凸部を設けたことで、毒餌剤が収納部の外部へもれ出ることが妨げられて収納部に保持された状態を維持することができる。なお、隣り合う凸部同士の間隔は、毒餌剤の粒子径より小さくすることが好ましい。こうすれば、粒が小さい毒餌剤を用いた場合であっても、毒餌剤が凸部間から収納部の外へ出ることがないので一層確実に毒餌剤を保持することができる。
【０００９】
さらに本発明の上記目的は、上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ前記シール部材は、前記本体から剥離された際に前記シール部材の一部が前記開口部の内側に所定の幅ではみ出すように前記本体に残ることを特徴とする毒餌剤容器によって達成される。ここで、シール部材の一部とは、予めシール部材に設けられたミシン目に区画された部分であることが好ましい。こうすれば、本体や蓋体に移動防止手段を設けたり、他の部材を組み込む必要がない。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図１は本発明の第１実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図を示し、図２は図１に示す毒餌剤容器の縦断面図を示している。
図１に示すように、毒餌剤容器は１は、底板３と、底板３に突設された周壁部４とを有する容器本体（以下、本体ともいう。）２を備えている。本体２は、周壁部４に囲まれた空間であって毒餌剤を収納するための収納部８を有している。収納部８は、収納部８内の底板３から鉛直上向きに突設した仕切板５によって、さらに収納部８ａと収納部８ｂとの２つに分割されている。分割されたそれぞれの収納部８ａ、８ｂには、それぞれ異なる種類の図示しない毒餌剤を収納することができる。
なお、本実施形態において、収納部８が２分割されているが、３つ以上に分割されていてもよく、仕切壁５を省略して収納部を一つだけ設けた構成としてもよい。以下の説明において、収納部８とした場合、分割されたそれぞれの収納部全てを含める意である。
【００１２】
周壁部４は、図２に示すように、底板３に直角方向に立設され周壁部４の内周面を形成する立壁４ｂと、立壁４ｂの外側に設けられ害虫が昇れるように緩やかに傾斜された傾斜壁４ｃと、立壁４ｂと傾斜壁４ｃとを上方端部で連結して周壁部４の上部を形成する上面板４ａと、底板３の周縁端部に沿って立設された外壁４ｄとで構成されている。
図１に示すように、外壁４ｄには、底板３の上側面とほぼ同じ高さから本体２の上側（図１に向って手前側）へ切り欠かれた、本体２に害虫を侵入させるための侵入口９が、外壁４ｄの周方向に間隔を隔てて複数（本実施形態においては８つ）設けられている。
【００１３】
図２に示すように、仕切壁５は、底板３に直角方向に立設された一対の立壁５ｂと、一対の立壁５ｂを上端において連結し、仕切壁５の上部を形成する上面板５ａとを備えている。仕切壁５は、周壁部４と同じ高さに形成されている。
なお、底板３、周壁部４、仕切壁５は互いに一体成形されている。
【００１４】
本体２の上方には蓋体２０が組み合される。ここでは、蓋体２０が周壁部４の外壁４ｄに装着される。
【００１５】
周壁部４の上面板４ａ及び仕切壁５の上面板５ａの上に、シール部材１０が密着される。シール部材１０としては、イージーピール材（例えば、ナイロン１５μ、シーラント３０μ）を採用することができる。シール部材１０をヒートシールとする場合、シール部材１０は、周壁部４の上面板４ａ及び仕切壁５の上面板５ａの上に置かれ、加熱されつつ上から押圧されて、周壁部４と仕切壁５とに溶着されるようにすればよい。
【００１６】
図２に示すように、シール部材１０は、毒餌材容器１内の一方の側（図２の上面板４ａの左側端部付近）において折り返されている。そして、折り返されたシール部材１０は、毒餌材容器１の他方の側（図２では右側）の蓋体２０に設けられた導出口２１から本体２の外部に導出される。シール部材１０において導出口２１から導出される側の端部には引張部１０ａが形成されている。
シール部材１０を剥がす際には、引張部１０ａを手で把持して図１に矢印Ｘで示される方向に引張ると、シール部材１０において導出口２１とは反対側の周壁部４の上面板４ａに溶着された箇所から剥離する。そして、シール部材１０は導出口２１側の上面板４ａの位置まで剥がされると、周壁部４から完全に剥離され、導出口２１から本体２の外部に抜き取られる。
【００１７】
蓋体２０には、外壁４ｄに装着された状態で、収納部８の上方付近まで張り出した押さえ部６が設けられている。押さえ部６は、毒餌剤が収納部８の外へ出ないように移動防止手段として機能する。図２に示すように、押さえ部６は、蓋体２０から底板３側に対して平行に接近した凸面６ａを有している。凸面６ａは、蓋体２０が本体２に装着された状態で、周壁部４の上面板４ａと仕切壁５の上面板５ａとの害虫が入れる隙間を残した上方近傍に位置するように構成されている。
具体的には、凸面６ａと周壁部４の上面板４ａ及び仕切壁５の上面板５ａとの隙間は、収納部８に毒餌剤を収納してシール部材１０を密着させた状態で、凸面６ａがシール部材１０を挟んで毒餌剤の上部近傍に位置するように構成されている。また、この隙間は、シール部材１０を本体から取る際において支障ない程度に調整されている。
【００１８】
上記の構成によれば、毒餌剤容器１を傾斜した面に設置した場合やシール部材１０を剥がした際に本体２が振れ動く場合も、毒餌剤が周壁部４の上面板４ａや仕切壁５の上面板５ａを越えて移動することが押さえ部６によって妨げられる。このため、本実施形態の毒餌剤容器１は、毒餌剤が収納部８の外にもれ出たり、仕切壁５を越えて隣接する他の収納部に移動することを顕著に防止することができ、使い勝手がよい。
【００１９】
なお、本実施形態において、仕切壁を省略することができる。仕切壁を省略した場合、押さえ部の凸面が、シール部材と周壁部との密着を妨げない範囲内で、より一層底板側に近づくように収納部内に入りこんだ構成とすることができる。こうすれば、毒餌剤容器は、収納部内の毒餌剤をより一層確実に収納することができる。
【００２０】
図３、４に、本発明の第２実施形態を示す。なお、以下に説明する実施形態において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
図３は、本実施形態の毒餌剤容器の平面図である。図４は、本実施形態の毒餌剤容器の縦断面図である。
図３に示すように、立壁４ｂ、５ｂの上方端部には、底板３と平行に突設する長尺状の凸部７が、収納部８を囲むように、互いに所定の間隔を隔てて複数設けられている。凸部７は、略長方体（直方体）形状を有しており、その長手方向が収納部８ａ、８ｂの内側に向って延びるように配されている。本実施形態においては、凸部７は移動防止手段として機能する。
ここで、所定の間隔とは、収納部８ａ、８ｂに収容される毒餌剤の粒子径よりも小さいことが好ましい。凸部７は、それぞれが間隔を隔てずに隣りあう凸部７が接するように、つまり、所定の間隔が実質ゼロとなるように配置されていてもよい。
【００２１】
なお、凸部の形状は長方体に限られず、円柱、角柱、円すいなど、あらゆる形状を適用することができる。
凸部は、周壁部又は仕切壁と一体成形してもよく、別体として周壁部や仕切壁に装着される構成としてよい。
本実施形態において、図４に示すように、蓋体部３０には第１実施形態に見られる押さえ部６は設けられていない。
【００２２】
このような構成によれば、立壁４ｂに凸部７を設けたため、毒餌剤が周壁部４を越えて収納部８の外へもれ出ることが妨げられる。このため、毒餌剤容器１は、収納部８内に毒餌剤を保持した状態を維持することができるので、使い勝手が良い。
【００２３】
図５、６に、本発明の第３実施形態を示す。図５は、本実施形態のシール部材４０を示す斜視図である。図６は、本実施形態の毒餌剤容器１の本体の平面図である。図６に示すように、本実施形態においては、本体２には前述の実施形態で説明したような仕切壁が設けられていない。つまり、毒餌剤容器１は本体２に収納部８が一つのみ設けられた構成を有している。なお、図示しないが、本実施形態の蓋体は第２実施形態のものと同じ構成である。
【００２４】
図５に示すように、シール部材４０には、破断部Ｃが形成されている。破断部Ｃは、シール部材４０から破断部Ｃを切り取り可能なミシン目Ｍによって略Ｕ字形に囲まれた所定の幅を有する帯状の部分である。破断部Ｃは、図中の格子状のハッチングを施した部分である。破断部Ｃは、両端部が中央部よりも、シール部材４０が折り返される位置（または、シール部材４０の引張部４０ａ）側に近くなるように配されている。
破断部Ｃは、ミシン目Ｍの外側（シール部材周縁に近い側）が、本体２の平面視において、上面板４ａの外側の周縁部（以下、外周縁部という。）の形状にほぼ相当するように形成されている。
図６に示すように、シール部材４０は、ミシン目Ｍが上面板４ａの外周縁部とが重ね合わされるように周壁部４に密着される。
【００２５】
シール部材４０を本体２から完全に剥離すると、ミシン目Ｍの、シール部材４０を折り返した側の端部（帯状の部分の両端部）から連続して分離し、本体２の上面視において、破断部Ｃが周壁部４の上面板４ａの一部（帯状の部分の両端部間に対応する箇所）を除いて覆う状態で残留する。このとき、破断部Ｃにおける、上面板４ａから収納部８側にはみ出した部分（以下、はみ出し部という。）が移動防止手段として機能する。つまり、破断部Ｃの所定の幅は、破断部Ｃを上面板４ａに残留させたとき、収納部８側にはみ出し部を有するように設定されている。
なお、底板３の上面に、上面がはみ出し部と接着する柱部を、はみ出し部の形状に沿って間隔を隔てて複数設けてもよい。柱部については後記する実施形態において説明する。
【００２６】
上記の構成によれば、はみ出し部によって、毒餌剤が周壁部４の上面板４ａを越えて、収納部８の外にこぼれ出ることが妨げられる。このため、本実施形態の毒餌剤容器１は、第１、２実施形態と同様の効果を奏することができ、移動防止手段をシール部材４０の一部としたので、毒餌剤容器１の構造を単純にすることができる。
【００２７】
なお、破断部の形状は、Ｕ字形に限られず、適宜に変形、改良することが可能である。例えば、第２実施形態に見られる凸部のように、破断部の縁部を凸凹状に形成して、収納部内側に向って上面部からはみ出すようにしてもよい。
本実施形態おいて、毒餌剤容器は前記実施形態同様に仕切壁を設けた構成としてもよい。仕切壁を設ける場合、シール部材は、破断部がシール部材から分離した際に、本体の平面視において周壁部の上面板と仕切壁の上面板とを覆い、且つ、破断部の一部が収納部の内側にはみだすように構成されていればよい。
【００３６】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。
例えば、収納部を複数に分割した場合、それぞれの収納部に前述した実施形態のうち異なる移動防止手段を採用してもよい。
例えば、第１実施形態に示した押さえ部と第２から第５実施形態に示した移動防止手段（凸部、シール部材の破断部、密封袋、中蓋）とを併用すれば、毒餌剤が収納部から外に移動することをより一層確実に防止することができる。
例えば、本発明の毒餌剤容器においてシール部材を備えていない構成とした場合、密封袋で密封された毒餌剤についても、毒餌剤容器に収納して用いることができる。こうすれば、既に説明した実施形態と同様の効果を得られる。また、幼児等が毒餌剤を誤食することを顕著に防止することができる。
【００３７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、毒餌剤が流動性を有する剤型である場合にも、確実に収納部に毒餌剤を収納することができ、毒餌剤が収納部からこぼれにくく、使い勝手の良い毒餌剤容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図である。
【図２】本発明の第１実施形態にかかる毒餌剤容器の縦断面図である。
【図３】本発明の第２実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図である。
【図４】本発明の第２実施形態にかかる毒餌剤容器の縦断面図である。
【図５】本発明の第３実施形態にかかるシール部材の斜視図である。
【図６】本発明の第３実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図である。
【符号の説明】
１ 毒餌剤容器
２ 毒餌剤容器本体
３ 底板
４ 周壁部
５ 仕切壁
６ 押さえ部
７ 凸部
８ 収納部
９ 侵入口
１０ シール部材
２０ 蓋体部
２１ 導出口
Ｃ 破断部
【発明の属する技術分野】
本発明は、蟻等の小さな害虫を防除するのに好適な毒餌剤容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、蟻やゴキブリ等の害虫を駆除するための方法として、食毒剤を害虫が好む餌に混ぜたもの、所謂、毒餌剤を用いる方法が知られている。毒餌剤には、殺虫効果や誘引効果が低下しないように密封袋内に収納され、使用時に密封袋から取り出され、所定の容器内に充填されるものがある。
他方、容器には、毒餌剤を収納した状態で容器全体が密封袋で密封されたものや、底板と周壁とから構成された収納部に毒餌剤を収納してシール部材により収納部の開口を密封したものがある（以下、これらの容器を毒餌剤容器という）。これらの毒餌剤容器は、使用に際して、密封袋やシール部材を取り除かれ、適当な場所に放置される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
密封袋に毒餌剤のみを密封した毒餌剤は、特に蟻等の小さな害虫用のものは粒が小さく、密封袋を開封する際にこぼしたり、手に触れたり、毒餌剤を上部開放型の容器に充填する際に容器の外にこぼしたりすることがあった。また、毒餌剤を収納部に充填した後、幼児が誤食したり、毒餌剤容器が傾けて設置された場合に毒餌剤がこぼれたりする可能性があった。
容器全体が密封袋で密封された毒餌剤容器においては、保管中に毒餌剤が毒餌剤容器からこぼれて密封袋内で毒餌剤が散乱することを防ぐために、毒餌剤はこぼれにくいペースト状又はゼリー状等の剤型にする必要があった。
収納部がシール部材で密封された毒餌剤容器においては、毒餌剤が顆粒状、粉状、液状のように流動性を有する場合、使用時にシール部材を取り除く際に毒餌剤が収納部がらこぼれ出ることがあった。
【０００４】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、毒餌剤が流動性を有する剤型である場合にも、毒餌剤が収納部からこぼれ出にくい、使い勝手の良い毒餌剤容器を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ前記収納部の上方付近にまで張り出して前記毒餌剤が前記収納部の外に出ないようにする押さえ部を有して前記本体に組み合わされる蓋体が設けられ、前記押さえ部は、前記シール部材を挟んで前記毒餌剤の上部近傍に位置する凸面を有して構成されることを特徴とする毒餌剤容器によって達成される。このような構成によれば、毒餌剤容器を傾けて設置しても押さえ部が毒餌剤の移動防止手段として働くので毒餌剤が収納部からこぼれ出ることを防止することができる。また、毒餌剤は、顆粒状、粉状、液状のように流動性を有する剤型とすることができる。従って、毒餌剤容器は、毒餌剤が流動性を有する剤型である場合にも、移動防止手段の働きによって収納部の外にこぼれ出てしまうことを防止することができ、使い勝手が良い。ここで、収納部は、毒餌剤容器の内部を仕切壁により分割して複数の収納部を形成し、別々の毒餌剤を収納する毒餌剤容器としてもよい。
【０００６】
また、凸面を有した押さえ部の働きによって、使用の際にシール部材を本体から取った際に毒餌剤が収納部から外へ出てしまうことを防止することができる。ここで、本体へのシール部材の密封は、例えば、ヒートシールによる溶着や接着剤を用いた溶着により行われる。前述のような収納部を複数設けて別々の毒餌剤を収納する毒餌剤容器においては、仕切壁の上部にもシール部材を接着して密封することが好ましい。
【０００７】
移動防止手段を蓋体に設けられた押さえ部としたので、毒餌剤容器の本体に移動防止手段となる他の部材を組み込む必要がない。このため、毒餌剤容器は、構造が簡単で、且つ、部品点数の増加を防止できる。
【０００８】
また本発明の上記目的は、上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ前記開口部にて前記本体から水平方向に前記収納部の内側に向かって突出した複数の凸部が形成されることを特徴とする毒餌剤容器によって達成される。なお、凸部は上下に傾斜させてもよい。こうすれば、凸部を設けたことで、毒餌剤が収納部の外部へもれ出ることが妨げられて収納部に保持された状態を維持することができる。なお、隣り合う凸部同士の間隔は、毒餌剤の粒子径より小さくすることが好ましい。こうすれば、粒が小さい毒餌剤を用いた場合であっても、毒餌剤が凸部間から収納部の外へ出ることがないので一層確実に毒餌剤を保持することができる。
【０００９】
さらに本発明の上記目的は、上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ前記シール部材は、前記本体から剥離された際に前記シール部材の一部が前記開口部の内側に所定の幅ではみ出すように前記本体に残ることを特徴とする毒餌剤容器によって達成される。ここで、シール部材の一部とは、予めシール部材に設けられたミシン目に区画された部分であることが好ましい。こうすれば、本体や蓋体に移動防止手段を設けたり、他の部材を組み込む必要がない。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図１は本発明の第１実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図を示し、図２は図１に示す毒餌剤容器の縦断面図を示している。
図１に示すように、毒餌剤容器は１は、底板３と、底板３に突設された周壁部４とを有する容器本体（以下、本体ともいう。）２を備えている。本体２は、周壁部４に囲まれた空間であって毒餌剤を収納するための収納部８を有している。収納部８は、収納部８内の底板３から鉛直上向きに突設した仕切板５によって、さらに収納部８ａと収納部８ｂとの２つに分割されている。分割されたそれぞれの収納部８ａ、８ｂには、それぞれ異なる種類の図示しない毒餌剤を収納することができる。
なお、本実施形態において、収納部８が２分割されているが、３つ以上に分割されていてもよく、仕切壁５を省略して収納部を一つだけ設けた構成としてもよい。以下の説明において、収納部８とした場合、分割されたそれぞれの収納部全てを含める意である。
【００１２】
周壁部４は、図２に示すように、底板３に直角方向に立設され周壁部４の内周面を形成する立壁４ｂと、立壁４ｂの外側に設けられ害虫が昇れるように緩やかに傾斜された傾斜壁４ｃと、立壁４ｂと傾斜壁４ｃとを上方端部で連結して周壁部４の上部を形成する上面板４ａと、底板３の周縁端部に沿って立設された外壁４ｄとで構成されている。
図１に示すように、外壁４ｄには、底板３の上側面とほぼ同じ高さから本体２の上側（図１に向って手前側）へ切り欠かれた、本体２に害虫を侵入させるための侵入口９が、外壁４ｄの周方向に間隔を隔てて複数（本実施形態においては８つ）設けられている。
【００１３】
図２に示すように、仕切壁５は、底板３に直角方向に立設された一対の立壁５ｂと、一対の立壁５ｂを上端において連結し、仕切壁５の上部を形成する上面板５ａとを備えている。仕切壁５は、周壁部４と同じ高さに形成されている。
なお、底板３、周壁部４、仕切壁５は互いに一体成形されている。
【００１４】
本体２の上方には蓋体２０が組み合される。ここでは、蓋体２０が周壁部４の外壁４ｄに装着される。
【００１５】
周壁部４の上面板４ａ及び仕切壁５の上面板５ａの上に、シール部材１０が密着される。シール部材１０としては、イージーピール材（例えば、ナイロン１５μ、シーラント３０μ）を採用することができる。シール部材１０をヒートシールとする場合、シール部材１０は、周壁部４の上面板４ａ及び仕切壁５の上面板５ａの上に置かれ、加熱されつつ上から押圧されて、周壁部４と仕切壁５とに溶着されるようにすればよい。
【００１６】
図２に示すように、シール部材１０は、毒餌材容器１内の一方の側（図２の上面板４ａの左側端部付近）において折り返されている。そして、折り返されたシール部材１０は、毒餌材容器１の他方の側（図２では右側）の蓋体２０に設けられた導出口２１から本体２の外部に導出される。シール部材１０において導出口２１から導出される側の端部には引張部１０ａが形成されている。
シール部材１０を剥がす際には、引張部１０ａを手で把持して図１に矢印Ｘで示される方向に引張ると、シール部材１０において導出口２１とは反対側の周壁部４の上面板４ａに溶着された箇所から剥離する。そして、シール部材１０は導出口２１側の上面板４ａの位置まで剥がされると、周壁部４から完全に剥離され、導出口２１から本体２の外部に抜き取られる。
【００１７】
蓋体２０には、外壁４ｄに装着された状態で、収納部８の上方付近まで張り出した押さえ部６が設けられている。押さえ部６は、毒餌剤が収納部８の外へ出ないように移動防止手段として機能する。図２に示すように、押さえ部６は、蓋体２０から底板３側に対して平行に接近した凸面６ａを有している。凸面６ａは、蓋体２０が本体２に装着された状態で、周壁部４の上面板４ａと仕切壁５の上面板５ａとの害虫が入れる隙間を残した上方近傍に位置するように構成されている。
具体的には、凸面６ａと周壁部４の上面板４ａ及び仕切壁５の上面板５ａとの隙間は、収納部８に毒餌剤を収納してシール部材１０を密着させた状態で、凸面６ａがシール部材１０を挟んで毒餌剤の上部近傍に位置するように構成されている。また、この隙間は、シール部材１０を本体から取る際において支障ない程度に調整されている。
【００１８】
上記の構成によれば、毒餌剤容器１を傾斜した面に設置した場合やシール部材１０を剥がした際に本体２が振れ動く場合も、毒餌剤が周壁部４の上面板４ａや仕切壁５の上面板５ａを越えて移動することが押さえ部６によって妨げられる。このため、本実施形態の毒餌剤容器１は、毒餌剤が収納部８の外にもれ出たり、仕切壁５を越えて隣接する他の収納部に移動することを顕著に防止することができ、使い勝手がよい。
【００１９】
なお、本実施形態において、仕切壁を省略することができる。仕切壁を省略した場合、押さえ部の凸面が、シール部材と周壁部との密着を妨げない範囲内で、より一層底板側に近づくように収納部内に入りこんだ構成とすることができる。こうすれば、毒餌剤容器は、収納部内の毒餌剤をより一層確実に収納することができる。
【００２０】
図３、４に、本発明の第２実施形態を示す。なお、以下に説明する実施形態において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
図３は、本実施形態の毒餌剤容器の平面図である。図４は、本実施形態の毒餌剤容器の縦断面図である。
図３に示すように、立壁４ｂ、５ｂの上方端部には、底板３と平行に突設する長尺状の凸部７が、収納部８を囲むように、互いに所定の間隔を隔てて複数設けられている。凸部７は、略長方体（直方体）形状を有しており、その長手方向が収納部８ａ、８ｂの内側に向って延びるように配されている。本実施形態においては、凸部７は移動防止手段として機能する。
ここで、所定の間隔とは、収納部８ａ、８ｂに収容される毒餌剤の粒子径よりも小さいことが好ましい。凸部７は、それぞれが間隔を隔てずに隣りあう凸部７が接するように、つまり、所定の間隔が実質ゼロとなるように配置されていてもよい。
【００２１】
なお、凸部の形状は長方体に限られず、円柱、角柱、円すいなど、あらゆる形状を適用することができる。
凸部は、周壁部又は仕切壁と一体成形してもよく、別体として周壁部や仕切壁に装着される構成としてよい。
本実施形態において、図４に示すように、蓋体部３０には第１実施形態に見られる押さえ部６は設けられていない。
【００２２】
このような構成によれば、立壁４ｂに凸部７を設けたため、毒餌剤が周壁部４を越えて収納部８の外へもれ出ることが妨げられる。このため、毒餌剤容器１は、収納部８内に毒餌剤を保持した状態を維持することができるので、使い勝手が良い。
【００２３】
図５、６に、本発明の第３実施形態を示す。図５は、本実施形態のシール部材４０を示す斜視図である。図６は、本実施形態の毒餌剤容器１の本体の平面図である。図６に示すように、本実施形態においては、本体２には前述の実施形態で説明したような仕切壁が設けられていない。つまり、毒餌剤容器１は本体２に収納部８が一つのみ設けられた構成を有している。なお、図示しないが、本実施形態の蓋体は第２実施形態のものと同じ構成である。
【００２４】
図５に示すように、シール部材４０には、破断部Ｃが形成されている。破断部Ｃは、シール部材４０から破断部Ｃを切り取り可能なミシン目Ｍによって略Ｕ字形に囲まれた所定の幅を有する帯状の部分である。破断部Ｃは、図中の格子状のハッチングを施した部分である。破断部Ｃは、両端部が中央部よりも、シール部材４０が折り返される位置（または、シール部材４０の引張部４０ａ）側に近くなるように配されている。
破断部Ｃは、ミシン目Ｍの外側（シール部材周縁に近い側）が、本体２の平面視において、上面板４ａの外側の周縁部（以下、外周縁部という。）の形状にほぼ相当するように形成されている。
図６に示すように、シール部材４０は、ミシン目Ｍが上面板４ａの外周縁部とが重ね合わされるように周壁部４に密着される。
【００２５】
シール部材４０を本体２から完全に剥離すると、ミシン目Ｍの、シール部材４０を折り返した側の端部（帯状の部分の両端部）から連続して分離し、本体２の上面視において、破断部Ｃが周壁部４の上面板４ａの一部（帯状の部分の両端部間に対応する箇所）を除いて覆う状態で残留する。このとき、破断部Ｃにおける、上面板４ａから収納部８側にはみ出した部分（以下、はみ出し部という。）が移動防止手段として機能する。つまり、破断部Ｃの所定の幅は、破断部Ｃを上面板４ａに残留させたとき、収納部８側にはみ出し部を有するように設定されている。
なお、底板３の上面に、上面がはみ出し部と接着する柱部を、はみ出し部の形状に沿って間隔を隔てて複数設けてもよい。柱部については後記する実施形態において説明する。
【００２６】
上記の構成によれば、はみ出し部によって、毒餌剤が周壁部４の上面板４ａを越えて、収納部８の外にこぼれ出ることが妨げられる。このため、本実施形態の毒餌剤容器１は、第１、２実施形態と同様の効果を奏することができ、移動防止手段をシール部材４０の一部としたので、毒餌剤容器１の構造を単純にすることができる。
【００２７】
なお、破断部の形状は、Ｕ字形に限られず、適宜に変形、改良することが可能である。例えば、第２実施形態に見られる凸部のように、破断部の縁部を凸凹状に形成して、収納部内側に向って上面部からはみ出すようにしてもよい。
本実施形態おいて、毒餌剤容器は前記実施形態同様に仕切壁を設けた構成としてもよい。仕切壁を設ける場合、シール部材は、破断部がシール部材から分離した際に、本体の平面視において周壁部の上面板と仕切壁の上面板とを覆い、且つ、破断部の一部が収納部の内側にはみだすように構成されていればよい。
【００３６】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。
例えば、収納部を複数に分割した場合、それぞれの収納部に前述した実施形態のうち異なる移動防止手段を採用してもよい。
例えば、第１実施形態に示した押さえ部と第２から第５実施形態に示した移動防止手段（凸部、シール部材の破断部、密封袋、中蓋）とを併用すれば、毒餌剤が収納部から外に移動することをより一層確実に防止することができる。
例えば、本発明の毒餌剤容器においてシール部材を備えていない構成とした場合、密封袋で密封された毒餌剤についても、毒餌剤容器に収納して用いることができる。こうすれば、既に説明した実施形態と同様の効果を得られる。また、幼児等が毒餌剤を誤食することを顕著に防止することができる。
【００３７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、毒餌剤が流動性を有する剤型である場合にも、確実に収納部に毒餌剤を収納することができ、毒餌剤が収納部からこぼれにくく、使い勝手の良い毒餌剤容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図である。
【図２】本発明の第１実施形態にかかる毒餌剤容器の縦断面図である。
【図３】本発明の第２実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図である。
【図４】本発明の第２実施形態にかかる毒餌剤容器の縦断面図である。
【図５】本発明の第３実施形態にかかるシール部材の斜視図である。
【図６】本発明の第３実施形態にかかる毒餌剤容器の平面図である。
【符号の説明】
１ 毒餌剤容器
２ 毒餌剤容器本体
３ 底板
４ 周壁部
５ 仕切壁
６ 押さえ部
７ 凸部
８ 収納部
９ 侵入口
１０ シール部材
２０ 蓋体部
２１ 導出口
Ｃ 破断部
Claims (3)
- 上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、
前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ
前記収納部の上方付近にまで張り出して前記毒餌剤が前記収納部の外に出ないようにする押さえ部を有して前記本体に組み合わされる蓋体が設けられ、
前記押さえ部は、前記シール部材を挟んで前記毒餌剤の上部近傍に位置する凸面を有して構成されることを特徴とする毒餌剤容器。 - 上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、
前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ
前記開口部にて前記本体から水平方向に前記収納部の内側に向かって突出した複数の凸部が形成されることを特徴とする毒餌剤容器。 - 上部に開口部が設けられて毒餌剤を収納する収納部を有する本体と、前記本体に設けられた害虫の侵入口と、前記開口部を密封するシール部材とを備えて、使用時に前記シール部材が剥離されて前記収納部と前記侵入口とが連通する毒餌剤容器において、
前記毒餌剤が流動性を有する剤型とされ、且つ
前記シール部材は、前記本体から剥離された際に前記シール部材の一部が前記開口部の内側に所定の幅ではみ出すように前記本体に残ることを特徴とする毒餌剤容器。
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