JP3880361B2 - Fluorescence signal processing method and hybridization reaction result display method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンプル中に含まれる複数種類のDNA等の生体高分子の特徴を精密に観測することを可能とするバイオチップ、及び検出結果の精度評価の方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゲノム配列が決定された種の増加に伴い、進化に対応すると見られる遺伝子を見つけ出し、どの生物も共通に持っていると考えられる遺伝子の集合を探索する、また、逆に種に個別な特徴を推測するため、種間の遺伝子の違いから何かを見出そうとする、いわゆるゲノム比較法が盛んに行われてきた。しかし近年、DNAマイクロアレイやDNAチップ(以下、総称してバイオチップという)に代表されるインフラストラクチャの発達によって、分子生物学の興味は、種間の情報から種内の情報へ、すなわち同時発現解析へと移りつつあり、これまでの種間の比較と合わせて、情報の抽出から関連付けの場が大きく広がりを持ち始めている。
【0003】
例えば、既知の遺伝子と同一の発現パターンを示す未知の遺伝子が見つかれば、その遺伝子には既知の遺伝子と同様の機能があると類推できる。これら遺伝子や蛋白質そのものの機能的な意味付けは、機能ユニットや機能グループといった形で研究されている。またそれらの間の相互作用も、既知の酵素反応データや物質代謝データとの対応付けによって、あるいはより直接的に、ある遺伝子を破壊あるいは過剰反応させ、その遺伝子の発現をなくすか、あるいは多量に発現させ、その遺伝子の直接的及び間接的影響を、全遺伝子の発現パターンを調べることによって解析している。
【0004】
遺伝子の発現パターンを調べるとき、バイオチップを用いた実験では、まず調べたい生体組織に関するエレメントを用意しておく。ここで、エレメントとは実験対象の生体組織に関係するDNAを一本鎖の状態で断片化したものであり、このエレメントを、スライドガラスやシリコンなどの基板上に、複数の同じ種類のエレメントをまとめて、1平方センチメートル当たり数百から数千の密度でスポッティングし固定化したものがバイオチップである。このスポッティングしたエレメントの集合体をスポットとよぶ。図15に、バイオチップ1500上のエレメント1502とスポット1501の関係を示す。図15には、1つのスポット1501の拡大模式図も示す。また、ターゲットとは実験対象の生体組織から抽出したDNAを一本鎖の状態で断片化したもの又はRNAであり、バイオチップ上のエレメントと反応させるものを指す。細胞中の遺伝子が発現するときDNAはRNAに転写される。このRNAを抽出し、蛍光標識してターゲットとする。ターゲットとエレメントとを反応させると、相補的な関係にある一本鎖同士が互いに結合されハイブリダイゼーションする。バイオチップでは、ハイブリダイゼーションを用い、生体組織での遺伝子の発現状態を観測することができる。
【0005】
この分野において成功した事例として、Tsunodaらの薬の有効性に関する実験結果の報告がある(T. Tsunoda et al.: Discrimination of Drug Sensitivity of Cancer Using cDNA Microarray and Multivariate Statistical Analysis: Genome Informatics 1999 (1999, Dec.) pp.227-228, Universal Academy Press Inc.)。この実験の過程を図1に示す。実験では、正常細胞から抽出したRNAと癌細胞から抽出したRNAを各々異なる色の蛍光色素で標識し、それぞれを等量で混合し、バイオチップ上でエレメント(遺伝子)とハイブリダイズさせた後、双方の蛍光色素から発生される蛍光シグナルの強度を測定している。
【0006】
図2は、この実験によって得られる各遺伝子の発現状態の表示方法を模式的に示した図である。この表示はバイオチップ上の遺伝子にハイブリダイズした正常細胞由来ターゲットの蛍光シグナルと癌細胞由来ターゲットの蛍光シグナルのデータをプロットしたもので、片方の軸(Y軸)に正常細胞、他方の軸(X軸)に癌細胞の蛍光シグナルをとっている。図中の一つのプロットが一つの遺伝子に対応する。データの分析においては、このXY平面において、直線X=kの右側かあるいは直線Y=kの上側の領域、かつ、Y軸と直線Y=mXで挟まれる領域かあるいはX軸とY=(1/m)Xで挟まれる領域に着目する。前者はノイズによる微小な蛍光シグナルを排除するためのもので、後者は正常細胞中で働いているが癌細胞中では働かなくなる遺伝子、あるいは逆に癌細胞中で働くが正常細胞中では働かなくなる遺伝子を見つけるためのものである。mは通常、癌細胞または正常細胞に有意な度合いに応じて2〜数十を選択する。従って、図2の領域Aに入る遺伝子と領域Bに入る遺伝子が特に注目したい遺伝子である。このような表示方法をとることで、特定の疾病に特異的に働く遺伝子の候補を絞り込むことが可能となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
バイオチップの性質として、実験から得られる蛍光シグナルの強弱は、実際のサンプルに含まれるRNA量に必ずしも対応していない。例えば、バイオチップ上のスポットAの蛍光シグナルがスポットBの蛍光シグナルの倍を観測したとき、サンプル中に含まれるスポットAに対応する遺伝子とスポットBに対応する遺伝子の量が倍の関係になっているとは限らない。なぜなら、バイオチップにスポッティングする分量が一定でないこと、スポット中に存在するエレメントの量が均一でないこと、スポットの粘度が一定でないこと、エレメントとターゲットの結合力がエレメント毎に異なること、温度や湿度などの環境の変化に技術が対応しきれていないこと、バイオチップ上でハイブリダイゼーションの反応効率を一定に維持する技術や、ハイブリダイゼーション後の蛍光の読み取り精度等が実験技術的に完全に確立されていないこと、などの様々な要因があるからである。
【0008】
それ故、通常、研究者は、得られた蛍光シグナルのデータに対して正規化を施し、データの質的な部分に着目する。すなわち、正常細胞と癌細胞の各遺伝子の発現状態を観測する場合はエレメント(遺伝子)がどちらに特異的であったかとか、細胞分裂周期で各遺伝子の発現の変遷を観測する場合は細胞分裂の前期から後期にかけてどのエレメント(遺伝子)が次第に発現が強くなる傾向があるのかなどを蛍光シグナルデータから読み取っていく。したがって、バイオチップの実験では、質的な意味において再現性がなくてはならない。ところが実際の実験では、各スポットからの蛍光シグナルのレンジの幅が大きく、蛍光シグナルを画像データとして読み取りそれを数値化する際、シグナルの強さを正確に測定することができない。以下例をあげて説明する。
【0009】
まず、サンプルに含まれるターゲットの量が多かったり、スポット中に含まれるエレメントが多かったりなどの理由で、スポットから非常に強く蛍光シグナルが発せられ、読み取った画像を数値化する際に、読み取り可能な数値の上限を超えてしまって計測ができないことがある。この場合、通常、蛍光シグナルの計測値は、読み取り可能な数値の上限で置き換えられてしまう。図3は、図1に示したように2つのサンプル間で遺伝子の振る舞いを計測したが、読み取り限界を超えたスポットを計測したときを表す図である。図3で点線の丸で囲んだスポット301が、読み取り限界を超えたスポットである。このスポット301は癌細胞のサンプルで強く発現が観測されたが、それが読み取り限界を超えて観測されたため、シグナルの最大値で置き換えられてしまった。読み取り限界のレンジが更に広ければ、このスポットは領域Bに含まれていた可能性もある。このように、強く発せられた蛍光シグナルを有効に利用することができなかったため、有用な情報を逃す恐れがあった。
【0010】
また逆に、小さな蛍光シグナルであったため、有用な情報を見逃す恐れもある。図4の点線の丸401で囲んだ四角形の領域は、小さな蛍光シグナルであるため、データ解析の対象としない部分である。これは、そのスポットからの蛍光シグナルが、ノイズからくるものなのか、あるいは本当に小さく発現したのを観測したのか、判別できないためである。小さな発現でも、他の遺伝子の働きを誘導するといった重要な遺伝子もあるので、このような情報を見逃すのは避けたい。本発明は、このようなバイオチップ及び蛍光測定機器の特性と、蛍光測定機器から得られるデータの性質を鑑み、バイオチップを用いた実験からできるだけ多くの情報を取得するのに有効なバイオチップ及びデータ解析方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、1つのエレメントに対して、エレメントの濃度が異なるものを複数個チップ上にスポッティングする。ここでエレメントの濃度の違いとは、スポット中に含まれるエレメントの量の違いを意味する。これを模式的に表したのが図16である。スポット1601が、スポット1602に含まれるエレメントの倍量のエレメントを含んでいたのならば、スポット1601はスポット1602の倍の濃度であるとする。
【0012】
例えば、図5に示すように、濃度が20%、40%、60%、80%、100%のものを5種類用意しておく。ここで濃度が100%であるすべてのスポットは、エレメントの量が同じでなくてもよい。濃度は、エレメントの種類毎にあるスポットのエレメント量を100%とし、そのスポットに対して相対的に20%、40%、60%、80%と決めればよい。
【0013】
このバイオチップから蛍光シグナルを読み取って平面上にプロットした一例を図6に示す。このとき、エレメント1に対し、スポットD1、スポットE1のように濃い濃度のスポットで読み取り限界を超えたとき、スポットA1、スポットB1、スポットC1のような、読み取り限界を超えない濃度の薄いスポットでデータ解析を行えばよい。また逆に、エレメント2に対し、スポットA2、スポットB2、スポットC2のように濃度の薄いスポットで蛍光シグナルが弱くデータ解析の対象外になった場合、スポットD2、スポットE2のようなデータの対象外に入らないような濃度の濃いスポットでデータ解析を行えばよい。またエレメント3に対する、スポットA3、スポットB3、スポットC3、スポットD3、スポットE3のように、全ての濃度のスポットが読み取り限界を超える場合や、これとは逆に全ての濃度のスポットで蛍光シグナルが小さすぎてデータ解析の対象外の領域に含まれるときは、これらの蛍光シグナルのデータはデータ解析に使わないようにする。このような場合、濃度の種類を更に増やすことで、データ解析の対象領域に入るスポットをみつけるようにすればよい。このように、同じエレメントに対して複数の濃度のスポットを用意することで、従来見逃していた恐れのある有用な遺伝子を見逃さずにすむ。
【0014】
すなわち、本発明は、基板上に複数種類のエレメントのスポットを整列して配置したバイオチップにおいて、各エレメント毎にエレメント濃度の異なる複数のスポットを配置したことを特徴とする。同じエレメントを含有する複数のスポットは、必ずしも基板上で空間的に一箇所にまとまって配置されている必要はない。基板上のどの位置に、どの濃度のどのエレメントのスポットが配置されているかが既知であればよい。
【0015】
本発明による蛍光シグナル処理方法は、複数種類のエレメントを、各エレメント毎にエレメント濃度の異なる複数のスポットを配置した基板を用い、試料中に含有される蛍光標識されたターゲットと基板上に配置されたスポットのエレメントとのハイブリダイゼーション反応を行うステップと、基板上の各スポットから発せられる蛍光シグナルを検出するステップと、検出された蛍光シグナル強度をデジタル化するステップと、同じエレメントを含むエレメント濃度の異なる複数のスポットから検出された蛍光シグナルのうち、デジタル化されたシグナル強度がデジタル化の最大値を示す蛍光シグナル及びシグナル強度が予め設定した閾値レベルより小さな蛍光シグナルを除外してデータ解析を行うステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明による蛍光シグナル処理方法は、また、複数種類のエレメントを、各エレメント毎にエレメント濃度の異なる複数のスポットを配置した基板を用い、2種類の検体に由来するそれぞれ異なる蛍光色素で標識されたターゲットと基板上に配置されたスポットのエレメントとのハイブリダイゼーション反応を行うステップと、基板上の各スポットから発せられる2種類の蛍光シグナルを検出するステップと、検出された蛍光シグナル強度をデジタル化するステップと、同じエレメントを含むエレメント濃度の異なる複数のスポットから検出された蛍光シグナルのうち、デジタル化されたシグナル強度がデジタル化の最大値を示す蛍光シグナル及びシグナル強度が予め設定した閾値レベルより小さな蛍光シグナルを除外するステップと、同じエレメントを含むエレメント濃度の異なる複数のスポットについて、各スポット毎に検出された2種類の蛍光シグナルの比を算出し、比の平均と分散を演算するステップと、比の平均と分散を予め設定した値と比較して、各エレメントごとに実験がうまくいっているか否かを判定するステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明は、また、複数種類のエレメントを、各エレメント毎にエレメント濃度の異なる複数のスポットを配置した基板と、第1の検体と第2の検体に由来するそれぞれ異なる蛍光色素で標識されたターゲットを含有する試料とを用いて行った、複数種類のエレメントと第1検体に由来するターゲット及び第2の検体に由来するターゲットとのハイブリダイゼーション反応の結果を表示する方法において、一方の軸を第1の検体に由来するターゲットを標識した蛍光色素から発せられる蛍光シグナル強度とし、他方の軸を第2の検体に由来するターゲットを標識した蛍光色素から発せられる蛍光シグナル強度とした2次元座標上に前記各スポットに対応する複数のマークを表示するステップと、2次元座標上に表示されたマークの一つを指定するステップと、指定されたマークと同じエレメントに関する全てのマークを強調表示するステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施する場合の一形態を図面を参照して具体的に説明する。
図7は、バイオチップ作製、蛍光シグナルの検出、シグナルデータの解析を行うバイオチップシステムの構成例を示すブロック図である。
このバイオチップシステムは、スポット情報の入力及び実験データの解析等を行う中央処理装置700、キャラクタ及びグラフィック画面を表示する表示装置701、システムへの値の入力や選択の操作を行うためのキーボード702及びマウス703、スポットのエレメントやバイオチップ上の位置情報、シグナルの計測値などが格納されているバイオチップ情報データベース704を備える。中央処理装置700は、バイオチップ情報データベースから読み込んでエレメントを所定の位置に配置するようスポッタに指示するエレメント配置部710と、読み取った蛍光シグナルを解析するシグナル解析部711を有し、コンピュータとそのプログラムによって具体化されるものである。
【0019】
ウェル705に入れられたエレメントは、スポッタ706によって取り出されてバイオチップ707上の所定の位置にスポッティングされる。バイオチップ707上のエレメントは、ハイブリダイゼーション実験装置708によってサンプル中のターゲットとハイブリダイゼーションされ、ハイブリダイゼーション後のバイオチップのスポットからの蛍光シグナルは検出器709で読み取られる。検出器709で読み取られた蛍光シグナルは中央処理装置700に入力され、シグナル解析部711で解析される。
【0020】
図8は、本システムが管理するエレメントデータの例を示す図で、バイオチップ情報データベース704に格納されているものである。エレメントデータは、element[i](i = 1,2,…,eNum)という長さeNum個の構造体の配列に格納する。ただしeNumはこのデータベースに格納されているエレメントの種類の総数である。配列element[]は、エレメントをこのデータベース内で一意に決めるエレメントID800、配列名801、DNA配列802、DNA配列の配列長803、そしてこの配列がどのような性質をもっているかが書き込まれているアノテーション804からなる。この他にも、配列を取り出した生体組織(器官)の名前、生物名、EST、GENBANKのaccession number、プライマー配列などの情報をelement[]の属性として加えてもよい。
【0021】
図9は、本システムが管理するチップ情報データの例を示す図で、バイオチップ情報データベース704に格納されているものである。バイオチップ情報データは、chip[i](i = 1,2,…,cNum)という長さcNum個の構造体の配列に格納する。ただしcNumはこのデータベースに格納されている対象とするバイオチップの総数である。配列chip[]は、バイオチップをこのデータベース内で一意に決めるチップID900、チップ名901、実験日時902、このバイオチップの実験で用いた実験機器や温度設定などが記されている実験環境情報903、このバイオチップで用いたサンプルの情報904からなる。これ以外にもバイオチップに関する様々な情報を、chip[]の属性として加えてもよい。
【0022】
図10は、本システムが管理するスポットデータの例を示す図で、バイオチップ情報データベース704に格納されているものである。スポットデータは、spot[i](i = 1,2,…,sNum)という長さsNum個の構造体の配列に格納する。ただしsNumはこのデータベースに格納されている対象とするバイオチップに乗っているスポットの総数である。配列spot[]は、どのチップ上に配置されているスポットかを示すチップID1000、チップ上の座標位置1001、このスポットがどのようなエレメントかを示すエレメントID1002、このスポットが原希釈から何%の割合で希釈されたものなのか(原希釈に含まれるエレメントの何%のエレメントをもつスポットなのか)を示す希釈度合1003、そしてこのスポットから得られる蛍光シグナルの強さを示すシグナル1(1004)、シグナル2(1005)、シグナル1とシグナル2の比1006、同一エレメントを持つスポット間での比の平均1007と分散1008からなる。この構造体では2つのサンプル間の実験を想定しているが、単一サンプルでの実験の場合はシグナル1だけ用いればよいし、3つ以上のサンプルで比較することを想定しているならば、その分だけシグナルの強さに関するメンバを増やせばよい。
【0023】
図11は、本発明によるバイオチップ作製と、そのバイオチップから得られる蛍光シグナルデータの解析処理の概略を示したフローチャートである。
まず、エレメント配置部710がバイオチップ情報データベース704からエレメントデータ、チップ情報データ、スポットデータを読み込み、スポッタ706に指定されたエレメントを所定の位置にスポッティングすることを指示する。スポッタ706はウェル705からエレメントを吸出し、バイオチップ707に配置する(ステップ1100)。濃度(希釈度合)の異なるスポットをスポッティングするときは、予め異なる濃度のものをウェル705に用意しておいてもよいし、あるいは一旦スポッティングした後にチップを乾燥させてスポット内の水分を蒸発させてから再び同じ位置にスポッティングをすることを繰り返すことで濃度を濃くしていく方法もある。
【0024】
作ったバイオチップをハイブリ実験装置708でサンプルとハイブリダイゼーションさせる(ステップ1101)。ハイブリダイゼーション後、チップ上のプローブからの蛍光シグナルを検出器709で読み取る(ステップ1102)。最後にデータ解析の対象範囲に含まれるデータのみを洗い出し、シグナルの比などを計算し(ステップ1103)、結果を表示することで処理を終了する(ステップ1104)。
【0025】
図12は、図11においてシグナルデータを解析して、データ解析の対象範囲に含まれるデータのみを洗い出してシグナルの比などを計算するステップ1103の処理の詳細フローである。
まず、ステップ1102において検出器709が読み取ったシグナル(画像データ)から個々のスポットのシグナル強度を算出して、シグナルが強すぎて読み取り限界を超えてしまったスポット、すなわち、蛍光シグナルのデータが読み取り限界で置き換わったシグナルに対応するスポットを無効化する(ステップ1200)。
【0026】
次に、無効化されたスポット以外のスポットのシグナルデータに対して、正規化を施す。正規化には二つの考え方があって、一つは非常に近い二つのサンプルをみた場合(同じ細胞の違ったコンディションの経時変化など)、多くのスポットの蛍光シグナルは変化しないものと考え、全体のスポットからの蛍光シグナルの総和をこのバイオチップのシグナルの基準値とみなし、そこからの相対的な値を各スポットのシグナル強度とする方法である。例えば3つのスポットA,B,Cの癌細胞における蛍光シグナルから蛍光シグナルがそれぞれ100,200,500と計測されたとき、正規化後のスポットAの癌細胞における蛍光シグナルは0.125(=100/(100+200+500))、スポットBの癌細胞における蛍光シグナルは0.25、スポットCの癌細胞における蛍光シグナルは0.625となる。同様に、スポットA,B,Cの正常細胞における蛍光シグナルからも正規化した値を求める。
【0027】
もうひとつの考え方は、発現がかなり違っていると考えられるサンプルを用いる場合、ハウスキーピング遺伝子など全てのサンプルで一定量の発現をしていると考えられるもの(ポジティブコントロール)を使ってこれを正のシグナルの基準とみなし、また動物の実験に対して植物にしか発現しない遺伝子など全てのサンプルでほとんど発現しないと考えられるもの(ネガティブコントロール)を使ってこれをシグナル0の基準とみなし、これらの基準からの相対的な値で各スポットのシグナル強度とする方法である。例えば3つのスポットA,B,Cの癌細胞における蛍光シグナルから蛍光シグナルがそれぞれ100,200,500と計測され、更にポジティブコントロールの遺伝子とネガティブコントロールの遺伝子の癌細胞における蛍光シグナルからそれぞれ1000,50と計測されたとき、正規化後のスポットAの癌細胞における蛍光シグナルは0.053(≒(100−50)/(1000−50))、スポットBの癌細胞における蛍光シグナルは0.158、スポットCの癌細胞における蛍光シグナルは0.474となる。同様に、スポットA,B,Cの正常細胞における蛍光シグナルからも正規化した値を求める。
【0028】
正規化した値として小数点となり、それが計算上扱いにくいときは、定数倍して整数値にする方法もある。正規化を施した後の癌細胞における蛍光シグナルと正常細胞における蛍光シグナルを、スポットデータのシグナル1(1004)、シグナル2(1005)に登録する(ステップ1201)。
次に、正規化された全てのスポットのシグナルデータについて、シグナル1とシグナル2の比を求める。すなわち、「シグナル2の値/シグナル1の値」を求め、それをスポットデータの比1006に登録する(ステップ1202)。
【0029】
また、同じエレメントで濃度の異なるスポット(配列spot[]でチップIDとエレメントIDが同じものどうし)の間における比の平均と分散を算出する。但し、シグナルデータが小さい値を示すスポットは、ノイズによるシグナルかもしれないため、計算の対象から外す。すなわち、シグナル1(1004)・シグナル2(1005)のいずれもが共にある閾値(k)を下回るときは、計算の対象から外す。
【0030】
例えば、スポットA1、B1、C1、D1、E1は、同じエレメントで濃度が異なるスポットとする。そして、これらのスポットの癌細胞における蛍光シグナルと、正常細胞における蛍光シグナルの正規化後の値が、スポットA1では(63,51)、スポットB1では(201,110)、スポットC1では(359,195)、スポットD1では(449,219)、スポットE1では(631,302)であるとする。また、ノイズのシグナルとみなす閾値kを100と定める。
【0031】
すると、ステップ1202で計算される各スポットの比は、スポットA1が0.81(≒51/63)、スポットB1が0.55、スポットC1が0.54、スポットD1が0.49、スポットE1が0.48となる。ところがスポットA1の2つのシグナルの値(63と51)はともに閾値kを下回るので、比の平均・分散を求めるときは、スポットA1以外のスポットの比で計算する。すると平均は、0.51(≒(0.55+0.54+0.48+0.47)/4)、分散は0.001(≒{(0.55−0.51)2+(0.54−0.51)2+(0.48−0.51)2+(0.47−0.51)2}/4)となる。
【0032】
このようにして求めたエレメントにおける平均・分散を、各スポットデータの比の平均1007及び比の分散1008に登録する。分散値が大きいエレメントは、スポットに不純物が入っているとか、ハイブリダイゼーション反応がうまくいかなかったことを示している。ある閾値を定めておき、分散値がそれを超えるようなエレメントであれば、実験がうまくいっていないと判定する(ステップ1203)。
【0033】
図13は、本システムの結果表示画面の一例を示し、正規化したデータをもとにXY平面1300にスポットに対応するシグナルをプロット(1301)したものである。平面上には、ノイズによる微小な蛍光シグナルを排除するための範囲を決めるための閾値X=k、Y=kと、どちらのサンプルに有意であるかを表す閾値Y=mX、Y=(1/m)Xの直線が引かれており、有用な遺伝子の情報が見やすい形になっている。また、マウス703でプロットされた点を選択すると、平面上で同じエレメントを持つ濃度の異なるスポットの点を強調表示し、これらの比の平均と比の分散の値が吹き出し1306の中に表示される。分散が小さければ小さいほど、そのスポットは実験がうまくいっているということがいえる。別のウィンドウで、バイオチップの情報としてチップ名、実験日時、サンプル情報や、マウスで選択したエレメントの名前、アノテーションなどを参照することもできる。
【0034】
図14は、本システムの結果表示画面の他の例を示し、各スポットから得られる蛍光シグナルのデータをテーブルで表示している。テーブルは、エレメント名、原希釈からの希釈度合、サンプル1のシグナル、サンプル2のシグナル、シグナルの比の平均と分散、そのサンプルの特徴の各欄から構成される。各エレメントの比の平均と分散を予め設定した値と比較することで、それがどのサンプルに有意に傾いているか、あるいは実験がうまくいっているかどうかの判定をし、それを特徴欄に自動的に記入することで、容易にエレメントの性質を理解することができる。
以上の処理によって、サンプル中に含まれる複数種類のDNA等の生体高分子の特徴を、従来よりも精密に観測することが可能となる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によると、複数の濃度のスポットを用意することで、従来、蛍光シグナルが弱すぎたり強すぎたりして観測できなかったスポットのデータを観測することができ、従来見逃していた恐れのある有用な働きをもつ遺伝子を見逃すことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2つのサンプル間で遺伝子の発現状態を比較するためのバイオチップの利用方法の説明図。
【図2】図1の実験で得られる実験結果の表示例の説明図。
【図3】蛍光シグナルの読み取り限界を超えたスポットがある場合の説明図。
【図4】蛍光シグナルが小さすぎてデータ解析に使えない領域を示した説明図。
【図5】本発明によるバイオチップの一例の説明図。
【図6】本方式のバイオチップから得られる実験結果の表示例の説明図。
【図7】本発明によるバイオチップシステムの構成を示したブロック図。
【図8】エレメントデータのデータ構造の例を示した図。
【図9】チップ情報データのデータ構造の例を示した図。
【図10】スポットデータのデータ構造の例を示した図。
【図11】本発明によるバイオチップ作製と、そのバイオチップから得られる蛍光シグナルデータの解析処理の概略を示したフローチャート。
【図12】蛍光シグナルデータ解析の詳細を示すフローチャート。
【図13】本システムの実験結果表示の一例を示した説明図。
【図14】本システムの実験結果表示の他の例を示した説明図。
【図15】エレメントとスポットの関係を示した図。
【図16】エレメントの濃度の説明図。
【符号の説明】
301…読み取り限界を超えたスポット、401…スポットからのシグナルが小さくデータ解析の対象とみなさない領域、700…中央処理装置、701…表示装置、702…キーボード、703…マウス、704…バイオチップ情報データベース、705…ウェル、706…スポッタ、707…バイオチップ、708…ハイブリ実験装置、709…検出器、710…エレメント配置部、711…シグナル解析部、1500…バイオチップ、1501…スポット、1502…エレメント[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a biochip capable of precisely observing the characteristics of a plurality of types of biopolymers such as DNA contained in a sample, and a method for evaluating the accuracy of detection results.
[0002]
[Prior art]
As the number of species whose genome sequence has been determined increases, genes that appear to correspond to evolution are discovered, and a set of genes that all organisms are thought to have in common is searched. In order to make a guess, so-called genome comparison methods that try to find something from the genetic differences between species have been actively performed. However, in recent years, with the development of infrastructure represented by DNA microarrays and DNA chips (hereinafter collectively referred to as biochips), the interest of molecular biology has shifted from information between species to information within species, that is, simultaneous expression analysis. Along with comparisons between species so far, the field of association from the extraction of information has begun to spread greatly.
[0003]
For example, if an unknown gene showing the same expression pattern as a known gene is found, it can be inferred that the gene has the same function as the known gene. The functional meaning of these genes and proteins themselves has been studied in the form of functional units and functional groups. In addition, the interaction between them can be caused by destroying or overreacting a gene by matching with known enzyme reaction data and substance metabolism data, or more directly, or eliminating the gene expression It is expressed and the direct and indirect effects of the gene are analyzed by examining the expression pattern of all genes.
[0004]
When examining a gene expression pattern, in an experiment using a biochip, first, an element related to a biological tissue to be examined is prepared. Here, the element is a fragment of DNA related to the biological tissue to be tested in a single-stranded state. This element is placed on a substrate such as a glass slide or silicon, and a plurality of the same type of elements are arranged. In summary, biochips are spotted and fixed at a density of several hundred to several thousand per square centimeter. This collection of spotted elements is called a spot. FIG. 15 shows the relationship between the
[0005]
A successful example in this area is the report of experimental results on the efficacy of drugs by Tsunoda et al. (T. Tsunoda et al .: Discrimination of Drug Sensitivity of Cancer Using cDNA Microarray and Multivariate Statistical Analysis: Genome Informatics 1999 (1999, Dec.) pp.227-228, Universal Academy Press Inc.). The process of this experiment is shown in FIG. In the experiment, RNA extracted from normal cells and RNA extracted from cancer cells are labeled with fluorescent dyes of different colors, mixed in equal amounts, and hybridized with an element (gene) on a biochip, The intensity of the fluorescent signal generated from both fluorescent dyes is measured.
[0006]
FIG. 2 is a diagram schematically showing a method for displaying the expression state of each gene obtained by this experiment. This display is a plot of the fluorescence signal data of the normal cell-derived target and the cancer cell-derived target hybridized with the gene on the biochip, with one axis (Y axis) representing the normal cell and the other axis ( The X axis shows the fluorescence signal of cancer cells. One plot in the figure corresponds to one gene. In the data analysis, in this XY plane, the area on the right side of the straight line X = k or the upper side of the straight line Y = k, and the area between the Y axis and the straight line Y = mX, or the X axis and Y = (1 / M) Focus on the area between X. The former is to eliminate minute fluorescent signals due to noise, the latter is a gene that works in normal cells but does not work in cancer cells, or conversely a gene that works in cancer cells but does not work in normal cells Is for finding. m is usually selected from 2 to several tens depending on the degree of significance for cancer cells or normal cells. Therefore, the genes that fall into the region A and the genes that fall into the region B in FIG. By adopting such a display method, it is possible to narrow down gene candidates that specifically act on a specific disease.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
As the nature of the biochip, the intensity of the fluorescent signal obtained from the experiment does not necessarily correspond to the amount of RNA contained in the actual sample. For example, when the fluorescence signal of spot A on the biochip observes twice the fluorescence signal of spot B, the amount of the gene corresponding to spot A and the gene corresponding to spot B contained in the sample is doubled. Not necessarily. This is because the amount of spotting on the biochip is not constant, the amount of elements present in the spot is not uniform, the spot viscosity is not constant, the binding force between the element and the target varies from element to element, temperature and humidity The technology has not been able to cope with environmental changes such as, the technology for maintaining a constant hybridization reaction efficiency on the biochip, and the reading accuracy of fluorescence after hybridization have been fully established experimentally. This is because there are various factors such as not.
[0008]
Therefore, usually, a researcher normalizes the obtained fluorescence signal data and pays attention to a qualitative portion of the data. In other words, when observing the expression status of each gene in normal cells and cancer cells, which element (gene) was specific, or when observing the change in the expression of each gene during the cell division cycle, From the fluorescence signal data, we read which elements (genes) tend to become stronger in expression from late to late. Therefore, biochip experiments must be reproducible in a qualitative sense. However, in an actual experiment, the range of the fluorescence signal from each spot is large, and the intensity of the signal cannot be measured accurately when the fluorescence signal is read as image data and digitized. An example will be described below.
[0009]
First of all, a fluorescent signal is emitted very strongly from the spot because of the large amount of target contained in the sample or the number of elements contained in the spot, which can be read when digitizing the scanned image. If you exceed the upper limit of the numerical value, you may not be able to measure. In this case, the measured value of the fluorescence signal is usually replaced with the upper limit of the readable value. FIG. 3 is a diagram illustrating a case where the behavior of a gene is measured between two samples as shown in FIG. 1, but a spot exceeding the reading limit is measured. A
[0010]
Conversely, since the fluorescence signal is small, there is a risk that useful information may be missed. A rectangular region surrounded by a
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, in the present invention, a plurality of elements having different element concentrations are spotted on one chip. Here, the difference in element density means a difference in the amount of elements contained in the spot. This is schematically shown in FIG. If the
[0012]
For example, as shown in FIG. 5, five types with concentrations of 20%, 40%, 60%, 80%, and 100% are prepared. Here, all the spots having a density of 100% may not have the same amount of elements. The density may be determined to be 20%, 40%, 60%, and 80% relative to the spot, assuming that the element amount of the spot for each element type is 100%.
[0013]
FIG. 6 shows an example in which fluorescence signals are read from this biochip and plotted on a plane. At this time, when the reading limit is exceeded with a high density spot such as spot D1 or spot E1 for
[0014]
That is, the present invention is characterized in that, in a biochip in which spots of a plurality of types of elements are arranged and arranged on a substrate, a plurality of spots having different element concentrations are arranged for each element. The plurality of spots containing the same element do not necessarily have to be arranged spatially in one place on the substrate. It suffices if it is known at which position on the substrate which element spot of which density is arranged.
[0015]
The fluorescence signal processing method according to the present invention uses a substrate on which a plurality of types of elements are arranged with a plurality of spots having different element concentrations for each element, and is arranged on a fluorescently labeled target contained in a sample and the substrate. Performing a hybridization reaction with the elements of the spot, detecting the fluorescent signal emitted from each spot on the substrate, digitizing the detected fluorescent signal intensity, and determining the concentration of the element containing the same element. Of the fluorescence signals detected from different spots, data analysis is performed by excluding the fluorescence signal whose digitized signal intensity shows the maximum value of digitization and the fluorescence signal whose signal intensity is smaller than a preset threshold level. And a step.
[0016]
In the fluorescence signal processing method according to the present invention, a plurality of types of elements are labeled with different fluorescent dyes derived from two types of specimens using a substrate on which a plurality of spots having different element concentrations are arranged for each element. A step of performing a hybridization reaction between a target and an element of a spot arranged on the substrate, a step of detecting two kinds of fluorescent signals emitted from each spot on the substrate, and digitizing the detected fluorescent signal intensity Of the fluorescent signals detected from multiple spots with the same element and different element concentrations, the digitized signal intensity shows the maximum value of digitization and the signal intensity is smaller than a preset threshold level Same as excluding fluorescent signal For a plurality of spots with different element concentrations including mentament, the ratio of the two types of fluorescence signals detected for each spot was calculated, the ratio average and variance were calculated, and the ratio average and variance were preset. Comparing the value with each other to determine whether the experiment is successful for each element.
[0017]
The present invention also provides a target in which a plurality of types of elements are labeled with a substrate on which a plurality of spots having different element concentrations are arranged for each element, and with different fluorescent dyes derived from the first specimen and the second specimen. In the method of displaying the results of the hybridization reaction between a plurality of types of elements, a target derived from the first sample, and a target derived from the second sample performed using a sample containing On the two-dimensional coordinates where the target derived from one specimen is the fluorescent signal intensity emitted from the labeled fluorescent dye, and the other axis is the fluorescent signal intensity emitted from the fluorescent dye labeled from the target derived from the second specimen A step of displaying a plurality of marks corresponding to each spot and designating one of the marks displayed on the two-dimensional coordinates A method, characterized by comprising the step of highlighting all the marks relating to the same elements as the specified mark.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment for carrying out the present invention will be specifically described with reference to the drawings.
FIG. 7 is a block diagram showing a configuration example of a biochip system that performs biochip production, fluorescence signal detection, and signal data analysis.
This biochip system includes a
[0019]
The element placed in the well 705 is taken out by the
[0020]
FIG. 8 is a diagram showing an example of element data managed by this system, and is stored in the
[0021]
FIG. 9 is a diagram showing an example of chip information data managed by this system, and is stored in the
[0022]
FIG. 10 is a diagram illustrating an example of spot data managed by the present system, and is stored in the
[0023]
FIG. 11 is a flowchart showing an outline of biochip production according to the present invention and analysis processing of fluorescence signal data obtained from the biochip.
First, the
[0024]
The produced biochip is hybridized with the sample by the hybridization experiment apparatus 708 (step 1101). After hybridization, the fluorescence signal from the probe on the chip is read by the detector 709 (step 1102). Finally, only the data included in the data analysis target range is identified, the signal ratio and the like are calculated (step 1103), and the processing is terminated by displaying the result (step 1104).
[0025]
FIG. 12 is a detailed flow of the processing of
First, the signal intensity of each spot is calculated from the signal (image data) read by the
[0026]
Next, normalization is performed on signal data of spots other than the invalidated spot. There are two ways to normalize, and if one looks at two very close samples (such as changes in the same cell over time), the fluorescence signal of many spots will not change, In this method, the sum of the fluorescence signals from the spots is regarded as a reference value of the biochip signal, and the relative value therefrom is used as the signal intensity of each spot. For example, when the fluorescence signals are measured as 100, 200, and 500 from the fluorescence signals in the cancer cells of three spots A, B, and C, respectively, the fluorescence signal in the cancer cells of the spot A after normalization is 0.125 (= 100 / (100 + 200 + 500)), the fluorescence signal in spot B cancer cells is 0.25, and the fluorescence signal in spot C cancer cells is 0.625. Similarly, normalized values are obtained from fluorescent signals in normal cells of spots A, B, and C.
[0027]
Another way of thinking is that when using samples that are considered to be significantly different in expression, this should be corrected by using a positive control that is considered to have a certain amount of expression in all samples such as housekeeping genes. This is considered to be a standard for
[0028]
If the normalized value is a decimal point and it is difficult to handle in calculation, there is a method of multiplying it by a constant to make it an integer value. The fluorescence signal in the cancer cell after normalization and the fluorescence signal in the normal cell are registered in signal 1 (1004) and signal 2 (1005) of the spot data (step 1201).
Next, the ratio of
[0029]
Further, the average and variance of the ratio between spots having the same element and different concentrations (array spot [] having the same chip ID and element ID) are calculated. However, a spot where the signal data shows a small value may be a signal due to noise, and is excluded from the calculation target. That is, when both signal 1 (1004) and signal 2 (1005) are both below a certain threshold value (k), they are excluded from calculation.
[0030]
For example, the spots A1, B1, C1, D1, and E1 are spots having the same element and different densities. The normalized values of the fluorescence signal in cancer cells of these spots and the fluorescence signal in normal cells are (63, 51) for spot A1, (201, 110) for spot B1, (359, 195), it is assumed that the spot D1 is (449, 219) and the spot E1 is (631, 302). Further, a threshold value k regarded as a noise signal is set to 100.
[0031]
Then, the ratio of each spot calculated in
[0032]
The average / dispersion in the element thus obtained is registered in the average 1007 of the ratio of each spot data and the
[0033]
FIG. 13 shows an example of a result display screen of the present system, in which signals corresponding to spots are plotted (1301) on the
[0034]
FIG. 14 shows another example of the result display screen of the present system, in which fluorescent signal data obtained from each spot is displayed in a table. The table is composed of the element name, the dilution from the original dilution, the signal of
Through the above processing, it becomes possible to observe the characteristics of a plurality of types of biopolymers such as DNA contained in a sample more precisely than before.
[0035]
【The invention's effect】
According to the present invention, by preparing spots with a plurality of concentrations, it is possible to observe spot data that could not be observed due to the fluorescence signal being too weak or too strong, which may have been missed in the past. Never miss a gene that has a useful function.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory diagram of a method of using a biochip for comparing gene expression states between two samples.
2 is an explanatory diagram of a display example of an experimental result obtained in the experiment of FIG. 1. FIG.
FIG. 3 is an explanatory diagram when there is a spot that exceeds the reading limit of the fluorescence signal.
FIG. 4 is an explanatory diagram showing a region where the fluorescence signal is too small to be used for data analysis.
FIG. 5 is an explanatory diagram of an example of a biochip according to the present invention.
FIG. 6 is an explanatory diagram of a display example of an experimental result obtained from the biochip of this method.
FIG. 7 is a block diagram showing a configuration of a biochip system according to the present invention.
FIG. 8 is a diagram showing an example of the data structure of element data.
FIG. 9 is a diagram showing an example of the data structure of chip information data.
FIG. 10 is a diagram showing an example of the data structure of spot data.
FIG. 11 is a flowchart showing an outline of biochip production according to the present invention and analysis processing of fluorescence signal data obtained from the biochip.
FIG. 12 is a flowchart showing details of fluorescence signal data analysis.
FIG. 13 is an explanatory diagram showing an example of an experiment result display of this system.
FIG. 14 is an explanatory diagram showing another example of the experiment result display of this system.
FIG. 15 is a diagram showing the relationship between elements and spots.
FIG. 16 is an explanatory diagram of element density.
[Explanation of symbols]
301: Spot exceeding the reading limit 401: Area where the signal from the spot is small and is not regarded as an object of data analysis, 700: Central processing unit, 701 ... Display device, 702 ... Keyboard, 703 ... Mouse, 704 ... Biochip information Database, 705 ... Well, 706 ... Spotter, 707 ... Biochip, 708 ... Hybrid experiment apparatus, 709 ... Detector, 710 ... Element placement unit, 711 ... Signal analysis unit, 1500 ... Biochip, 1501 ... Spot, 1502 ... Element
Claims (3)
前記基板上の各スポットから発せられる蛍光シグナルを検出するステップと、
検出された蛍光シグナル強度をデジタル化するステップと、
同じエレメントを含むエレメント濃度の異なる複数のスポットから検出された蛍光シグナルのうち、デジタル化されたシグナル強度がデジタル化の最大値を示す蛍光シグナル及びシグナル強度が予め設定した閾値レベルより小さな蛍光シグナルを除外してデータ解析を行うステップとを備えることを特徴とする蛍光シグナル処理方法。Hybridization of fluorescently labeled targets contained in a sample and spot elements arranged on the substrate using a substrate on which a plurality of elements are arranged with a plurality of spots having different element concentrations for each element Performing a reaction;
Detecting a fluorescent signal emitted from each spot on the substrate;
Digitizing the detected fluorescence signal intensity;
Among the fluorescent signals detected from multiple spots with the same element and different element concentrations, the fluorescent signal whose digitized signal intensity shows the maximum value of digitization and the fluorescent signal whose signal intensity is smaller than the preset threshold level And a step of performing data analysis by excluding the fluorescence signal processing method.
前記基板上の各スポットから発せられる2種類の蛍光シグナルを検出するステップと、
検出された蛍光シグナル強度をデジタル化するステップと、
同じエレメントを含むエレメント濃度の異なる複数のスポットから検出された蛍光シグナルのうち、デジタル化されたシグナル強度がデジタル化の最大値を示す蛍光シグナル及びシグナル強度が予め設定した閾値レベルより小さな蛍光シグナルを除外するステップと、
同じエレメントを含むエレメント濃度の異なる複数のスポットについて、各スポット毎に検出された前記2種類の蛍光シグナルの比を算出し、比の平均と分散を演算するステップと、
前記分散を予め設定した値と比較するステップとを備えることを特徴とする蛍光シグナル処理方法。Using a substrate on which a plurality of types of elements are arranged with a plurality of spots having different element concentrations for each element, targets labeled with different fluorescent dyes derived from two types of specimens and spots arranged on the substrate Performing a hybridization reaction with the element;
Detecting two types of fluorescent signals emitted from each spot on the substrate;
Digitizing the detected fluorescence signal intensity;
Among the fluorescent signals detected from multiple spots with the same element and different element concentrations, the fluorescent signal whose digitized signal intensity shows the maximum value of digitization and the fluorescent signal whose signal intensity is smaller than the preset threshold level Step to exclude,
Calculating a ratio of the two kinds of fluorescence signals detected for each spot for a plurality of spots having different element concentrations containing the same element, and calculating an average and variance of the ratios;
Fluorescent signal processing method characterized by comprising the steps you value and compared to a preset the dispersion prior SL min.
一方の軸を前記第1の検体に由来するターゲットを標識した蛍光色素から発せられる蛍光シグナル強度とし、他方の軸を前記第2の検体に由来するターゲットを標識した蛍光色素から発せられる蛍光シグナル強度とした2次元座標上に前記各スポットに対応する複数のマークを表示するステップと、
前記2次元座標上に表示されたマークの一つを指定するステップと、
指定されたマークと同じエレメントに関する全てのマークを強調表示するステップとを含むことを特徴とするハイブリダイゼーション反応結果表示方法。A plurality of types of elements, a substrate on which a plurality of spots having different element concentrations are arranged for each element, and a sample containing targets labeled with different fluorescent dyes derived from the first specimen and the second specimen In the method of displaying the results of the hybridization reaction between the plurality of types of elements and the target derived from the first sample and the target derived from the second sample,
One axis is the fluorescent signal intensity emitted from the fluorescent dye labeled with the target derived from the first specimen, and the other axis is the fluorescent signal intensity emitted from the fluorescent dye labeled with the target derived from the second specimen. Displaying a plurality of marks corresponding to each spot on the two-dimensional coordinates,
Designating one of the marks displayed on the two-dimensional coordinates;
And a step of highlighting all marks relating to the same element as the designated mark.
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