JP3880185B2 - 大便採取用器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,例えば医学的検査などにおいて被験者(例えば試験や検査を受ける者など)の大便を採取するための大便採取用器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
医学的検査の中で検便は重要な検査項目として位置づけられている。検便を行うことにより,少量の試料から潜血検査,細胞学的診断,細菌学的検査,酵素の測定等多彩な分析を行うことが可能となり,生体の状態を知る上で貴重な情報を得ることができる。また,新薬開発の臨床試験等においては,服用した薬物の吸収,排泄量を知るために便の全量採取を必要とすることも多い。通常,検便用の便の採取は,入院患者や健康診断を受ける被検者自身が,病院や家庭のトイレ内で行っている。しかし,近年は日本においても洋式水洗便器の普及が高まっており,採便が行いにくい場合がある。即ち,洋式水洗便器は多量の水を溜めておき,その中に排便をする仕組みになっているため,排便後に便を採取することは極めて困難である。また,和式水洗便器の場合にも,少量であるが水を溜めておくため,排泄された便のみを採取することが難しい場合もある。被検者が下痢をしているときには更に採取は困難となる。そこで現在は,適当なシート状物の上や,カップ,ビニール袋等の中に一旦排便し,例えばスプーンのようなものを使用して検便容器に移し替えるといった方法で採便が行われている。しかし,これらの方法では不自然な姿勢で排便を行わなければならなかったり,便を容器に移し替える操作を行う際に精神衛生上の負担があるという問題がある。
【0003】
ここで従来より,大便の採取を容易にさせる手段として,特開平7−270403号,特開平8−294338号,特開平9−5318号及び特開平9−61423号などが開示されている。これらの内,特開平7−270403号と特開平9−5318号は,便器の上面に跨って掛け渡されるシートに関するものであり,特開平8−294338号には,そのようなシートの素材についての記載がなされている。また,特開平9−61423号は,便器の上面に掛け渡される容器に関するものである。そして,これらシート等の上に大便を一時的に保持させ,検便を容易に行わせるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこれら従来のシート等は,いずれも水溶性の素材で構成されている。その理由は,これら従来のシート等はいずれも大便を全量採取することを目的としたものではなく,便器内において一時的に大便を保持して検便をした後は,便と共に水で洗い流すことを前提としているからである。
【0005】
しかしながら,例えば医薬品の検査などにおいては,服用した薬の吸収排泄量などを調べるために,被検者の大便を全量採取することが必要な場合がある。かかる場合,従来の水溶性のシート等は大便を一時的にしか保持できず,しかも,時間の経過と共に便器内に存在する水などによって溶け出してしまうため,そのような大便の全量採取には使用できなかった。そのため結局は,大便を全量採取する場合は,ビニール袋などを使用するしかなく,採取が不便であり,衛生的にも好ましいものではなかった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み,特に大便の全量採取に適した大便採取用器具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために請求項1の発明は,大便をするための洋式もしくは和式の便器の上面に掛け渡すことができるホルダーと,このホルダーの略中央に形成された孔に取外し自在に取り付けられる容器とを有し,これらホルダーと容器は耐水性の材料で構成され,ホルダーには小便を通すための切り欠き部が形成されていることを特徴とする大便採取用器具である。
【0008】
この請求項1の大便採取用器具にあっては,洋式もしくは和式の便器の上面にホルダーを掛け渡し,容器を便器内に配置させる。そして,被検者が容器内に向かって大便を排泄することにより,簡単に大便を採取することができる。そして,このように採取した大便は,容器ごと運ぶことが可能である。この場合,容器は耐水性の材料で構成されているので,時間が経過しても容器が溶け出す心配はない。また,大便を採取した後,ホルダーから取り外して容器だけを搬送することが可能である。更に,ホルダーは再利用することもでき,経済的である。
【0009】
この請求項1の大便採取用器具において,請求項2に記載したように,前記容器は,大人の一回分の大便を全量採取するのに十分な容積を有することが好ましい。そうすれば,容器内に大便を全量採取しても,大便があふれ出ることがない。全量採取するのに十分な容積とは通常300mリットル〜1000mリットルであるが,被験者の年齢,食生活等により適宜最適な容積を選択することができる。
【0010】
また,請求項3に記載したように,請求項1又は2の大便採取用器具において,前記容器を密封保存するための蓋を備えていることが好ましい。そうすれば,容器内に採取した大便を運ぶ際に大便がこぼれることがなく,また,においも遮断され衛生的である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる大便採取用器具1を分解して示した斜視図である。この実施の形態にかかる大便採取用器具1は,ホルダー10と容器20と蓋30により構成されている。
【0012】
ホルダー10は,大便をするための洋式もしくは和式の便器の上面に掛け渡すことができる長さを有している。ホルダー10の略中央には円孔11が形成されており,次に説明する容器20をこの円孔11に上から挿入することにより,容器20をホルダー10の略中央に保持する構成になっている。また,ホルダー10は容器20を保持できる強度を有しており,図示の例では数ミリ程度の厚さの樹脂板等で構成されている。ホルダー10の両側には,把持用の孔12が設けられている。この孔12に指を挿入することにより,ホルダー10を簡単に把持できるようになっている。
【0013】
容器20は,図示の例では,上面に開口部21が形成され底面22が塞がれたほぼ円筒形状をなしており,開口部21の直径が底面22の直径に比べて僅かに長くなるように,少しのテーパー形状(開口部21から底面22にかけて僅かずつ狭くなるテーパー形状)に構成されている。この容器20は,大人の一回分の大便を全量採取するのに十分な容積を有している。また容器20は,耐水性の材料で構成されており,図示の例では樹脂板等のプラスチック容器で構成されている。但し,この容器20を段ボールなどで形成し,その内面に耐水塗料などを塗布した構成としても良い。そして,前述のホルダー10に形成された円孔11の直径は,開口部21の直径よりも短いが,底面22の直径よりは長くなっている。これにより,ホルダー10の円孔11に容器20の底面22を上から挿入することにより,途中で容器20の周面が円孔11に丁度嵌合した状態となって,容器20がホルダー10に保持されるようになっている。
【0014】
蓋30は,容器20の開口部21と同程度の直径を有する円盤形状をなしている。この蓋30を容器20の開口部21内に嵌入させることによって,容器20の内部を密封するようになっている。なおこの実施の形態では,この蓋30も,先に説明した容器20等と同様に,耐水性のある樹脂板等のプラスチックなどで構成されている。
【0015】
さて,この実施の形態にかかる大便採取用器具1を使用する場合は,先ず図2に示すように,ホルダー10に形成された円孔11に容器20を上から挿入することにより,容器20をホルダー10の略中央に保持させる。このとき,蓋30は外しておいて良い。
【0016】
次に図3に示すように,洋式の便器で使用する場合は,洋式の便器40の上面にホルダー10を掛け渡し,容器20を便器40内に配置させる。この場合,洋式の便器40の上面において,便座41を一旦持ち上げた状態でホルダー10を洋式の便器40の上面に載せてから便座41を再び降ろすことにより,図示のように,ホルダー10を便座41と洋式の便器40の上面との間で挟むようにすると良い。
【0017】
そして,このようにして洋式の便器40に大便採取用器具1をおいた状態で,被検者が容器20内に向かって大便を排泄することにより,簡単に大便を採取することができる。なお,容器20は,大人の一回分の大便を全量採取するのに十分な容積を有しているので,容器20内に大便を全量採取しても,大便があふれ出ることがない。
【0018】
次に,排便を終了した後,蓋30を容器20の開口部21内に嵌入させることによって,容器20の内部を密封する。そして,このように採取した大便は,図4に示すように,容器20をホルダー10から取り外して,容器20ごと運ぶことが可能である。この場合,容器20の開口部21が蓋30によって密閉されているので,容器20内に採取した大便がこぼれることがなく,においも遮断され衛生的である。また,容器20は耐水性の材料で構成されているので,時間が経過しても容器20が溶け出す心配はない。そして,このように容器20ごと運んだ大便について検査等を行うことにより,例えば服用した薬の便中排泄量などを調べることが可能となる。なお,ホルダー10は再利用することもでき,経済的である。さらに,ホルダーに抗菌加工を施すことにより,より衛生効果を高めることができる。
【0019】
以上,本発明の実施の形態にかかる大便採取用器具1を説明したが,本発明はここで説明した実施の形態に限定されるものでないことは勿論である。例えば,この実施の形態にかかる大便採取用器具1を,和式の便器の上面において使用することもできる。和式の便器に使用する場合は,洋式の便器のように便座との間にホルダーを挟むことができないので,ホルダーの表面にゴムなどを設けたり,表面を粗面に加工するなどして,滑り止めの手段を講ずると良い。また,例えば図5に示すように,ホルダー10には,小便を通すための切り欠き部13を形成しておくと,排便の際に,ホルダー10に小便がぶつからず,大便を容器20内により円滑に採取できるようになる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の大便採取用器具を用いることにより,大便の全量採取を容易かつ衛生的に行うことができるようになる。なお,容器の開口部を蓋で密閉することにより,容器内に採取した大便がこぼれることがなく,においも遮断され,運搬に便利になる。また,容器は耐水性の材料で構成されているので,時間が経過しても容器が溶け出す心配はない。また,ホルダーを再利用することもでき,経済的である。更に,容器ごと大便を凍結保存することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる大便採取用器具を分解して示した斜視図である。
【図2】容器をホルダーに保持させた状態の説明図である。
【図3】洋式の便器の上面にホルダーを掛け渡した状態の説明図である。
【図4】容器をホルダーから取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】小便を通すための切り欠き部を形成したホルダーの斜視図である。
【符号の説明】
1 大便採取用器具
10 ホルダー
20 容器
30 蓋
Claims (3)
- 大便をするための洋式もしくは和式の便器の上面に掛け渡すことができるホルダーと,このホルダーの略中央に形成された孔に取外し自在に取り付けられる容器とを有し,これらホルダーと容器は耐水性の材料で構成され,ホルダーには小便を通すための切り欠き部が形成されていることを特徴とする,大便採取用器具。
- 前記容器は,大人の一回分の大便を全量採取するのに十分な容積を有することを特徴とする,請求項1に記載の大便採取用器具。
- 前記容器を密封保存するための蓋を備えていることを特徴とする,請求項1又は2に記載の大便採取用器具。
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JPH11183470A JPH11183470A (ja) | 1999-07-09 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP36556597A Expired - Fee Related JP3880185B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 大便採取用器具 |
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JP (1) | JP3880185B2 (ja) |
-
1997
- 1997-12-22 JP JP36556597A patent/JP3880185B2/ja not_active Expired - Fee Related
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