JP3879154B2 - 情報処理装置および情報処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法に関し、特に、3次元仮想現実空間を共有する他のユーザを、容易に認識することができるようにする情報処理装置および情報処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、NIFTY-Serve(商標)や米国のCompuServe(商標)などのように、複数の利用者が自らのパーソナルコンピュータを、モデムおよび公衆電話回線網を介してセンターのホストコンピュータに接続し、所定の通信プロトコルに基づいてホストコンピュータにアクセスする、いわゆるパソコン通信サービスの分野においては、Habitat(商標)と呼ばれるサイバースペースのサービスが知られている。Habitatは、米国LucasFilm社によって1985年から開発が始められ、米国商業ネットワークであるQuantumLink社で約3年間運用された後、1990年2月に富士通Habitat(商標)としてNIFTY-Serveでそのサービスが開始されたものである。このHabitatにおいては、2次元グラフィックスで描画された「ポピュロポリス(Populopolis)」と呼ばれる仮想の都市に、アバタ(avatar;インド神話に登場する神の化身)と呼ばれるユーザの分身を送り込み、ユーザ同士がチャット(Chat;文字の入力と表示によるテキストベースでのリアルタイムの対話)などを行うことができる。このHabitatの更に詳細な説明については、サイバースペース,マイケル・ベネディクト編,1994年3月20日初版発行,NTT出版ISBN4−87188−265−9C0010(原著;Cyberspace:First Steps ,Michael Benedikt,ed. 1991,MIT PressCambrige,MA ISBN0−262−02327−X)第282頁〜第307頁を参照されたい。
【0003】
さて、図34は、上述したHabitatに代表されるパソコン通信サービスで提供される従来のサイバースペースシステムの一構成例を示している。
【0004】
サーバ端末1は記憶装置2を備え、記憶装置2に記憶されている画像データを公衆電話回線網4を介して、各クライアント端末3−1乃至3−3に供給するようになされている。
【0005】
各クライアント端末3−1乃至3−3は、記憶装置2に予め用意されている、複数のアバタ(オブジェクト)の中から所定のものを、仮想の3次元空間において自己を表すシンボルとして指定する。そして、そのアバタを、サーバ端末1が提供する3次元仮想現実空間内において移動させ、仮想現実空間での生活を楽しむことができるようになされている。
【0006】
例えばクライアント端末3−1が、内蔵するモデムおよび公衆電話回線網4を介してサーバ端末1にアクセスし、仮想現実空間の画像の提供を受ける。クライアント端末3−1において、所定の操作を行い、自己のアバタ(例えば、アバタA)を所定の方向に移動させるように指示すると、その移動方向に対応する画像がサーバ端末1より提供されてくる。これにより、クライアント端末3−1は、自己のアバタAを、あたかも仮想現実空間が提供する町を移動させるようにして楽しむことができる。
【0007】
クライアント端末3−2においても、同様に、自己のアバタ(例えば、アバタB)を指定し、このアバタBを、仮想現実空間内において移動させることができる。
【0008】
クライアント端末3−1のアバタAと、クライアント端末3−2のアバタBが、仮想現実空間内で、互いに近傍で対面する位置に移動した場合、サーバ端末1からクライアント端末3−1に提供される仮想現実空間の画像には、背景としての町の画像の他に、その町を移動するアバタBの画像も提供される。これにより、クライアント端末3−1には、例えば図35に示すような画像が表示される。すなわち、自己のアバタAが中央に配置され、その近傍には、クライアント端末3−2のアバタBが位置している。
【0009】
同様に、クライアント端末3−2には、図36に示すような画像が提供される。この図36においては、自己のアバタBが画面の中央に配置され、その近傍には、クライアント端末3−1のアバタAが配置されている。
【0010】
さらに、同様に、クライアント端末3−3において、自己のアバタ(例えば、アバタC)を指定し、このアバタCを、仮想現実空間内において、アバタAおよびアバタBの近傍の位置に移動した場合には、端末3−1乃至3−3には、仮想現実空間に、アバタA乃至Cが配置された画像が提供される。
【0011】
以上のように、あるクライアント端末(クライアント端末3−1乃至3−3のうちのいずれか)が仮想現実空間に及ぼした変化(例えば、アバタの位置や属性の変更、新たなオブジェクトの生成)は、他のクライアント端末に提供され、これにより、クライアント端末3−1乃至3−3を利用するユーザ(クライアント)は、同一の仮想現実空間を、いわば共有することができる。
【0012】
上述したHabitatに代表される、パソコン通信サービスで運用されている従来のサイバースペースシステムにおいては、複数のユーザがクライアント端末3−1乃至3−3を介して同一の2次元グラフィックスで表示された仮想現実空間を共有し、各個人のアバタの移動などを互いに共有するマルチユーザ機能を有している。
【0013】
しかしながら、そのマルチユーザ機能は、あくまで限られたユーザのみが利用できるものであって、不特定のユーザが利用できるものではなかった。すなわち、上述したHabitatを例に挙げると、ユーザは、まず事前に専用のパソコン通信ソフトを購入し、そのソフトウェアプログラムを自分のパーソナルコンピュータ(クライアント端末3−1乃至3−3)にインストールし、そのパーソナルコンピュータを、モデムおよび公衆電話回線網4を介してホストコンピュータ(サーバ端末1)に接続し、オンラインサインアップ等の会員登録を済ませなければならない。このような会員登録を済ませた後、初めて仮想現実空間にアクセスすることが可能となる。従って、実際に利用できるのは、会員登録を済ませたユーザに制限され、不特定のユーザが自由にアクセスする事はできなかった。
【0014】
さらに、上述したHabitat等の従来のサイバースペースシステムにおいては、仮想的な街並みや部屋の内部の様子が2次元グラフィックスで描画されており、アバタを奥行きまたは手前方向へ移動させる場合、単にアバタを2次元グラフィックスの背景上で上下に移動させるだけであり、仮想空間内での歩行や移動を疑似体験させるには表示の上での表現力が乏しかった。また、自分の分身であるアバタと他人のアバタが表示された仮想空間を、第3者の視点で見ることになるため、この点においても、疑似体験の感覚が損なわれるものであった。そこで、仮想空間を3次元グラフィックスで表示し、ユーザがアバタの視点で自由に歩き回れる機能、すなわちウォークスルー機能の実現が待たれていた。
【0015】
一方、ネットワーク上での3次元仮想現実空間の共有を実現する従来例としては、図37に示すような、会社や研究所内のLAN(Local Area Network)で相互に接続されたクライアント端末3−5乃至3−7で構成されるシステムが知られている。
【0016】
最初に、全てのクライアント端末3−5乃至3−7は、同一の3次元空間を記述したグラフィックスデータを読み込み、同一の3次元空間を表示している。この時点で、全てのユーザが視認する3次元空間は一致している。
【0017】
次に、例えば、図37に示すように、クライアント端末3−5において、自己のアバタAの位置を、図中、点線で示す位置から実線で示す位置に変更したとすると、その位置の変更に関する情報(変更情報)が、クライアント端末3−5から、LAN(図示せず)を介して、クライアント端末3−6および3−7に送信される。そして、クライアント端末3−6および3−7では、クライアント端末3−5からの変更情報に基づいて、表示が変更される。
【0018】
すなわち、同図に示すように、クライアント端末3−5におけるアバタAの位置の変更に関する変更情報(図37の例では、Move Object to (10,20,30))は、クライアント端末3−6および3−7に送信され、クライアント端末3−6および3−7において、この変更情報に対応して、アバタAの表示が、図中、点線で示すものから実線で示すものに変更されることにより、クライアント端末3−5で移動されたアバタAが、クライアント端末3−6および3−7においても移動される。
【0019】
クライアント端末3−5以外のクライアント端末3−6や3−7で、仮想現実空間に変化が与えられた場合も同様に、その変化が、他のクライアント端末に反映され、これにより、クライアント端末3−5乃至3−7を利用するユーザは、同一の仮想現実空間を共有することができる。
【0020】
ここで、上述のように自己を表すアバタのオブジェクトは、仮想現実空間内を移動させたり、また、登場させたり退場させたりすることができるものであり、仮想現実空間において、その状態が変化する(更新される)。そこで、このようなオブジェクトを、以下、適宜、更新オブジェクトという。また、仮想現実空間の、例えば町などを構成する、ビルディングなどの建物のオブジェクトは、更新オブジェクトと異なり、複数のユーザが共通して利用するもので、その基本的な状態は変化しない。変化するとしても、それは自立的であり、クライアント端末の操作とは独立している。そこで、このような複数のユーザが共通して利用するオブジェクトを、以下、適宜、基本オブジェクトという。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、共有可能な仮想現実空間において出会ったユーザ(アバタ)とチャットなどを行う場合においては、その相手に話しかけるときに、名前がある方が便利であり、また、各アバタは、他のアバタとそれほど明確に区別できるようなグラフィックスではないので(アバタは、他のアバタと同一または類似の3次元画像なので)、どのアバタが、誰なのかを特定するために、通常、アバタには、ニックネームと呼ばれる、自己を他のユーザと区別するための名前が付される。
【0022】
アバタのニックネームは、例えば、カーソルなどが、そのアバタ上に移動されたときに表示させるようにすることが可能であるが、この場合は、ニックネームを知りたいアバタの位置までカーソルを移動しなければならず面倒である。
【0023】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、アバタなどに付されたニックネームなどの名前を、容易に認識することができるようにすることで、3次元仮想現実空間を共有する他のユーザを、容易に認識(特定)することができるようにするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報処理装置は、入力装置を用いて入力されたユーザからの指示に応じて3次元仮想現実空間における位置が更新される更新オブジェクトに関する3次元グラフィックスデータを取得して、3次元仮想現実空間の画像を表示装置に表示させる複数の情報処理装置と、前記各情報処理装置から各々通知される前記更新オブェクトの位置の更新に関する更新データと前記更新オブジェクトの名前とを管理する共有サーバ端末とを、ネットワークを介して接続した3次元仮想現実空間共有システムにおける情報処理装置であって、前記入力装置を用いて入力されたユーザからの移動指示に応じて前記3次元仮想現実空間における前記更新オブジェクトの位置を更新し、更新した位置に関する更新データを前記更新オブジェクトの名前と共に、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末に送信させる送信制御手段と、前記複数の情報処理装置から送信された前記更新データと前記更新オブジェクトの名前に基づいて前記共有サーバ端末において生成される、前記ユーザに対応する更新オブジェクトの位置を基準とする所定の範囲内に存在する他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前と位置とが含まれた周囲情報テーブルを、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末から受信させる受信制御手段と、前記周囲情報テーブルから他のユーザの更新オブジェクトの位置を取得し、前記他のユーザに対応する更新オブジェクトと前記ユーザに対応する更新オブジェクトがその位置に応じて配置される前記3次元仮想現実空間の画像を前記表示装置に表示させるとともに、受信された前記周辺情報テーブルから前記他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前を読み出して前記表示装置にリスト表示させる表示制御手段と、前記入力装置を用いて入力されたユーザからの選択指示によって前記リスト表示された名前の中から他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前が選択されたことに対応し、前記ユーザに対応する更新オブジェクトを、選択された前記名前に対応する更新オブジェクトの正面の位置に移動させる移動制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の情報処理方法は、入力装置を用いて入力されたユーザからの指示に応じて3次元仮想現実空間における位置が更新される更新オブジェクトに関する3次元グラフィックスデータを取得して、3次元仮想現実空間の画像を表示装置に表示させる複数の情報処理装置と、前記各情報処理装置から各々通知される前記更新オブェクトの位置の更新に関する更新データと前記更新オブジェクトの名前とを管理する共有サーバ端末とを、ネットワークを介して接続した3次元仮想現実空間共有システムにおける情報処理装置の情報処理方法であって、前記入力装置を用いて入力されたユーザからの移動指示に応じて前記3次元仮想現実空間における前記更新オブジェクトの位置を更新し、更新した位置に関する更新データを前記更新オブジェクトの名前と共に、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末に送信させ、前記複数の情報処理装置から送信された前記更新データと前記更新オブジェクトの名前に基づいて前記共有サーバ端末において生成される、前記ユーザに対応する更新オブジェクトの位置を基準とする所定の範囲内に存在する他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前と位置とが含まれた周囲情報テーブルを、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末から受信させ、前記周囲情報テーブルから他のユーザの更新オブジェクトの位置を取得し、前記他のユーザに対応する更新オブジェクトと前記ユーザに対応する更新オブジェクトがその位置に応じて配置される前記3次元仮想現実空間の画像を前記表示装置に表示させるとともに、受信された前記周辺情報テーブルから前記他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前を読み出して前記表示装置にリスト表示させ、前記入力装置を用いて入力されたユーザからの選択指示によって前記リスト表示された名前の中から他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前が選択されたことに対応し、前記ユーザに対応する更新オブジェクトを、選択された前記名前に対応する更新オブジェクトの正面の位置に移動させるステップとを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明においては、入力装置を用いて入力されたユーザからの移動指示に応じて3次元仮想現実空間における更新オブジェクトの位置が更新されて、更新された位置に関する更新データが更新オブジェクトの名前と共に、ネットワークを介して共有サーバ端末に送信される。また、複数の情報処理装置から送信された更新データと更新オブジェクトの名前に基づいて共有サーバ端末において生成される、ユーザに対応する更新オブジェクトの位置を基準とする所定の範囲内に存在する他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前と位置とが含まれた周囲情報テーブルが、ネットワークを介して共有サーバ端末から受信される。そして、周囲情報テーブルから他のユーザの更新オブジェクトの位置が取得され、他のユーザに対応する更新オブジェクトとユーザに対応する更新オブジェクトがその位置に応じて配置される3次元仮想現実空間の画像が表示装置に表示されるとともに、受信された周辺情報テーブルから他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前が読み出されて表示装置にリスト表示される。さらに、入力装置を用いて入力されたユーザからの選択指示によってリスト表示された名前の中から他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前が選択されたことに対応し、ユーザに対応する更新オブジェクトが、選択された名前に対応する更新オブジェクトの正面の位置に移動される。
【0026】
【発明の実施の形態】
まず最初に、バーチャル・ソサエティーの基本理念・構想に関して、ソニー・コンピュータ・サイエンス研究所の北野宏明氏は、そのHome Page「北野宏明、”バーチャル・ソサエティー(V1.0)”、http://www.csl.sony.co.jp/person/kitano/VS/concept.j.html,1995」の中で、以下のように説明している。
【0027】
「21世紀の初頭に、全世界的な規模で張りめぐらされたネットワークの中に、仮想的な社会---バーチャル・ソサエティー---が出現するでしょう。全世界の人々が、ネットワーク上に作られた共有空間の中に、数千万人、数億人という規模の「社会」を出現させるのです。現在のインターネットやCATV、さらには、情報スーパーハイウエーの彼方に出現するであろう社会が、私の考える「バーチャル・ソサエティー」です。この社会の中で、人々は、買いものを楽しんだり、人と会話をする、ゲームをする、仕事をする、など、通常の社会生活とほぼ同等の社会行為を行なうことができるうえ、仮想的であるゆえに可能である(つまり、一瞬にして、東京からパリに移動するなど、実社会では困難である)ことも可能となるのです。この様な、「社会」は、広帯域ネットワーク、高品位な三次元の表現能力、音声、音楽、動画像の双方向のコミュニケーションを可能とした、サイバースペースの構築技術、そして、その空間を、多人数で共有できる場にする、大規模分散システムなどの最先端の技術で初めて可能になります。」
【0028】
更に詳細な説明については、上記URL=http://www.csl.sony.co.jp/person/kitano/VS/concept.j.htmlを参考にされたい。
【0029】
以上のような、バーチャル・ソサエティーを実現する3次元仮想現実空間システムがサイバースペースシステムであり、このサイバースペースシステムを構築するのに必要なインフラストラクチャの具体例としては、現段階においては、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)と称される通信プロトコルで接続された世界的規模のコンピュータ・ネットワークであるインターネット(The Internet)や、WWW(World Wide Web)などのインターネット技術を企業内LAN(Local Area Network)での情報共有に適用したイントラネット(Intranet)等が考えられている。さらに、将来的には、幹線系から加入者系に至るまで全てを光ファイバで構成するFTTH(Fiber To The Home)による広帯域ネットワークを利用することも考えられている。
【0030】
ここで、インターネット(The Internet)で利用できる情報提供システムとして、スイスのCERN(European Center for Nuclear Research:欧州核物理学研究所)が開発したWWW(World Wide Web)が知られている。これは、テキスト、画像、音声などの情報をハイパーテキスト形式で閲覧できるようにしたもので、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)と呼ばれるプロトコルに基づいて、WWWサーバ端末に格納された情報をパーソナルコンピュータなどの端末に非同期転送するものである。
【0031】
WWWサーバは、HTTPデーモン(HTTP:HyperText Transfer Protocol、ハイパーテキスト転送プロトコル)と呼ばれるサーバ・ソフトウエアとハイパーテキスト情報が格納されるHTMLファイルによって構成される。ハイパーテキスト情報は、HTML(HyperText Makeup Language、ハイパーテキスト記述言語)と呼ばれる記述言語によって表現される。HTMLによるハイパーテキストの記述は、「<」と「>」で囲まれたタグと呼ばれる書式指定によって文章の論理的な構造が表現される。他の情報とのリンクについての記述は、アンカーと呼ばれるリンク情報によって行われる。アンカーで情報が存在する所を指定する方法がURL(Uniform Resource Locator)である。
【0032】
HTMLで記述されたファイルを、TCP/IPネットワーク上において転送するためのプロトコルがHTTP(HyperText Transfer Protocol)である。クライアントからの情報の要求をWWWサーバに伝え、HTMLファイルのハイパーテキスト情報をクライアントに転送する機能をもっている。
【0033】
WWWを利用する環境として多く利用されているのが、WWWブラウザ(ブラウザとは閲覧するという意味)と呼ばれるNetscape Navigator(商標)をはじめとするクライアント・ソフトウエアである。
【0034】
なお、デーモンとは、UNIX上で作業を行う場合、バックグラウンドで管理や処理を実行するプログラムを意味する。
【0035】
近年、このWWWをさらに拡張し、3次元空間の記述や、3次元グラフィックスで描画されたオブジェクトに対してハイパーテキストのリンクの設定を可能とし、これらのリンクをたどりながらWWWサーバ端末を次々とアクセスできるようにしたVRML(Virtual Reality Modeling Language)と呼ばれる3次元グラフィックス・データの記述言語と、このVRMLで記述された仮想空間をパーソナルコンピュータやワークステーションで描画するためのVRMLビューワが開発された。このVRMLバージョン1.0の仕様書は、1995年5月26日に公開されたが、その後、誤記や曖昧な表現が訂正された改正版が、1995年11月9日に公開され、その仕様書は、URL=http://www.oki.com./vrml/vrml10c.htmlから入手することができる。
【0036】
上述した、VRMLによって記述した3次元空間の情報をWWWサーバ端末に格納しておくことで、インターネット上に3次元グラフィックスによる仮想空間を構築することが可能となり、さらにインターネットを介して接続されたパーソナルコンピュータ等によりVRMLビューワを利用することによって、3次元グラフィックスによる仮想空間の表示やウォークスルー機能を実現することができる。
【0037】
以下の実施例においては、ネットワークとしてインターネットを用いた例について説明するが、FTTHを用いて実現しても勿論構わない。
【0038】
なお、サイバースペース(Cyberspace)とは、米国のSF作家William Gibsonの造語であり、21世紀後半を舞台にした出世作NEUROMANCER(1984年)の中で使用された。厳密には、同書が最初ではなく、Burning Chrome(1982年)でも使用されている。これらの小説では、主人公が額に特殊な電極を貼り付けてコンピュータと脳を直接的に接続し、世界中に張り巡らされたコンピュータ・ネットワークのデータを視覚的に再構成した仮想的な3次元空間を脳に直接投影させる描写がある。この仮想3次元空間をサイバースペースと称した。最近においては、ネットワークを介して仮想的な3次元空間を複数のユーザが共有するシステムを示す用語として使用されるようになった。本願の実施例においてもこの意味で使用する。
【0039】
図1は、本発明のサイバースペース(ネットワークを介して提供される3次元仮想現実空間)システムの構成例を表している。同図に示すように、この実施例においては、例えば、いわゆるインターネットなどの世界的規模のネットワーク(広域通信網)15(情報伝送媒体)を介して、ホストコンピュータ(ホスト)A乃至C、複数(本実施例では、3台)のクライアント端末13−1乃至13−3、任意の数(本実施例では、1台)のサービス提供者端末14が相互に接続されている。
【0040】
ホストAは、例えば、いわゆるWWW(World Wide Web)のシステムを構成している。すなわち、ホストAは、後述するような情報(ファイル)を有している。そして、各情報(ファイル)には、その情報を一元的に指定するための指定情報としてのURL(Uniform Resource Locator)が対応付けられており、URLを指定することで、そのURLに対応する情報にアクセスすることができるようになされている。
【0041】
具体的には、ホストAは、例えば3次元仮想現実空間における東京の町並みや、3次元仮想現実空間におけるニューヨークの町並み、その他の所定の地域の3次元仮想現実空間(以下、適宜、単に、仮想現実空間と称する)を提供するための3次元画像のデータを記憶している。なお、この3次元画像データは、その基本的な状態が変化しない(変化するとしても、例えば、観覧車、ネオンサインなどのように自立的に変化する)基本オブジェクトだけでなる、いわば更新が伴わない静的なデータである。例えば、ビルディングや道路などのように複数のユーザが共通して利用するものが基本オブジェクトである。そして、ホストAは、情報サーバ端末10(基本サーバ端末)を有しており、この情報サーバ端末10は、ネットワーク15を介してURLを受信すると、そのURLに対応する情報、すなわち、仮想現実空間(但し、これは、上述したように基本オブジェクトだけでなるもの)を、同じくネットワーク15を介して提供するようになされている。
【0042】
なお、図1においては、所定の地域の仮想現実空間(基本オブジェクトだけでなるもの)を提供するサーバ端末である情報サーバ端末を有するホストは、ホストAの1台だけしか設けられていないが、このようなホストは複数設けることが可能である。
【0043】
ホストBは、共有サーバ端末11(共有サーバ端末)を有し、この共有サーバ端末11は、仮想現実空間に配置されることにより、その仮想現実空間を構成することとなる更新オブジェクトとしての、例えば各ユーザを表すアバタなどを管理し、これにより複数のユーザに同一の仮想現実空間を共有させるようになされている。但し、ホストBは、ホストAが記憶している仮想現実空間のうちの所定の地域(例えば、東京など)の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトのみを管理するようになされている。すなわち、ホストBは、いわば所定の地域の仮想現実空間専用のものとされている。なお、図示していないが、ネットワーク15には、ホストB以外にも、ホストAが記憶している、その他の各地域(例えば、ニューヨーク、ロンドンなど)の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理するサーバ端末である共有サーバ端末を有するホストが接続されている。
【0044】
ホストCは、ホストAと同様、例えばWWWのシステムを構成するもので、ホストBのような、更新オブジェクトを管理するホスト(共有サーバ端末)をアドレスするための、例えばそのホストのIPアドレス(共有サーバ端末のアドレス)を記憶している。従って、ホストCが記憶している共有サーバ端末のアドレスは、上述したホストAにおける場合と同様に、URLと一元的に対応付けられている。そして、ホストCは、マッピングサーバ端末12(管理サーバ端末)を有しており、このマッピングサーバ端末12は、ネットワーク15を介してURLを受信すると、そのURLに対応する情報としての共有サーバ端末のIPアドレスを、同じくネットワーク15を介して提供するようになされている。なお、図1においては、共有サーバ端末のアドレスを提供するサーバ端末であるマッピングサーバ端末12を有するホストは、ホストCの1台だけしか設けられていないが、このようなホストは複数設けることが可能である。
【0045】
クライアント端末13(13−1,13−2,13−3)は、ネットワーク15を介して情報サーバ端末10から、仮想現実空間の提供を受け、共有サーバ端末11の管理の下、その仮想現実空間を、他のクライアント端末(サービス提供者端末14を含む)と共有することができるようになされている。さらに、クライアント端末13は、サービス提供者端末14から、仮想現実空間を利用した所定のサービス(情報)の提供を受けることができるようにもなされている。
【0046】
サービス提供者端末14は、クライアント端末13と同様に、仮想現実空間の提供を受け、その仮想現実空間を、クライアント端末13(サービス提供者端末が、サービス提供者端末14以外にも存在する場合には、そのサービス提供者端末を含む)と共有することができるようになされている。従って、この部分の機能に関しては、サービス提供者端末14は、クライアント端末13と同一である。
【0047】
さらに、サービス提供者端末14は、クライアント端末13に対して、所定のサービスを提供することができるようになされている。なお、図1において、このようなサービス提供者端末は、サービス提供者端末14の1台だけしか設けられていないが、サービス提供者端末は複数設けることが可能である。
【0048】
次に、ホストAおよびCが構成しているWWWのシステムについて簡単に説明する。図2に示すように、WWWは、ホストX,Y,Zから、ネットワーク(WWWの場合はインターネット)15を介して、不特定多数のユーザ(クライアント端末)に対し、情報を提供するためのシステムの1つで、提供可能な情報は、テキストだけでなく、図形、画像(静止画、動画)、音声、さらには3次元画像、その他これらをリンクさせたハイパーテキストなど多岐にわたる。
【0049】
WWWの場合、各情報について、その情報を一元的に表現する形式であるURLが決められており、ユーザは、URLを指定することで、そのURLに対応する情報を得ることができる。ここで、URLは、例えば、図3に示すように、サービスの種類を表すプロトコル種別(図3の実施例では、http(これは、後述するファイル名に対応するファイルを検索して送信するように指示するコマンドに相当する))、URLの送り先を表すホスト名(図3の実施例では、www.csl.sony.co.jp)、および送信させるべきデータのファイル名(図3の実施例では、index.html)で構成される。
【0050】
ユーザは、クライアント端末を操作して、所望する情報に対応するURLを入力する。クライアント端末では、URLが入力されると、そのURLの、例えばホスト名が参照され、そのホスト名によって特定されるホスト(図2の実施例では、インターネットに接続されているホストX,Y,Zのうちの、例えばホストX)とのリンクが確立される。そして、クライアント端末では、URLが、インターネットを介して、リンクが確立されたホスト、すなわちホストXに送信され、これにより、ホストXに対し、URLに対応する情報の提供の要求がなされる。ホストXでは、情報サーバ端末(WWWサーバ端末)上でHTTPデーモン(httpd)が稼働しており、情報サーバ端末は、URLを受信すると、そのURLに対応する情報を、インターネットを介してクライアント端末に送信する。
【0051】
クライアント端末では、送信されてきた情報が受信され、その後、例えば表示される。これにより、ユーザは、所望する情報を得ることができる。
【0052】
従って、ホストに、情報として、仮想現実空間を構成する要素(オブジェクト)の記述としての、例えば基本オブジェクトの形状(例えば、直方体や円錐形など)や、その配置位置、属性(例えば、基本オブジェクトの色やテクスチャなど)などを表すデータを記憶させるようにするだけで、不特定多数のユーザに、仮想現実空間(但し、基本オブジェクトだけでなるもの)を提供することができる。すなわち、ネットワーク15として、インターネットを採用するとともに、WWWを利用する場合、インターネットは、既に世界的規模で普及しており、また、ホストに記憶させる情報を、仮想現実空間を構成する要素の記述とすることは、WWWを構成する情報サーバ端末(WWWサーバ端末)の変更を要するものでない(仮想現実空間を構成する要素の記述を、上述したようにして提供するサービスは、WWWによって提供されている既存のサービスとの上位互換性を有する)から、不特定多数のユーザに、世界的規模で、仮想現実空間を、容易に、かつ安価に提供することが可能となる。
【0053】
また、所定のホスト(マッピングサーバ端末)に、情報として、他のホストのIPアドレスを記憶させるようにすることで、やはり、不特定多数のユーザに、世界的規模で、ホストのIPアドレスを、容易に提供することが可能となる。
【0054】
なお、WWWを構成するホストに、仮想現実空間を構成する要素の記述(所定の地域の仮想現実空間を提供するための3次元画像のデータ)を記憶させただけでは、同一の仮想現実空間を、複数のユーザが共有することは困難である。すなわち、WWWでは、URLに対応する情報が、ユーザに提供されるだけであり、ユーザ間で、情報のやりとりを行うための管理は行われない。このため、WWWを、その設計を変更せずに利用して、ユーザ間で、前述したような更新オブジェクトの変更情報のやりとりを行うのは困難である。そこで、図1のサイバースペースシステムでは、共有サーバ端末11を有するホストBおよびマッピングサーバ端末12を有するホストCを設け、同一の仮想現実空間を、複数のユーザが共有することができるようになされている(その詳細については、後述する)。
【0055】
次に、図4は、図1のホストA上で稼働する情報サーバ端末10の構成例を示している。同図に示すように、情報サーバ端末10はCPU81を備え、このCPU81は、ROM82に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するようになされている。この情報サーバ端末10では、前述したHTTPデーモンが、バックグラウンドで稼動している。RAM83には、CPU81が各種の処理を実行する上において必要なデータ、プログラム等が適宜記憶されるようになされている。通信装置84は、ネットワーク15に対して所定のデータを授受するようになされている。ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどよりなる記憶装置85は、上述したような、例えば東京や、ニューヨーク、その他の所定の地域の仮想現実空間を提供するための3次元画像のデータを、URLと対応付けて記憶している。
【0056】
図5は、図1のホストB上で稼働する共有サーバ端末11の構成例を示している。同図に示すように、共有サーバ端末11はCPU21を備え、このCPU21は、ROM22に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するようになされている。RAM23には、CPU21が各種の処理を実行する上において必要なデータ、プログラム等が適宜記憶されるようになされている。通信装置24は、ネットワーク15に対して所定のデータを授受するようになされている。
【0057】
表示装置25は、例えばCRTやLCDなどを備え、共有サーバ端末11が管理を担当している地域の仮想現実空間(基本オブジェクトだけでなく、更新オブジェクトを含んで構成される仮想現実空間)の画像をモニタすることができるように、インタフェース28に接続されている。このインタフェース28には、また、マイク26とスピーカ27が接続されており、所定の音声信号をクライアント端末13やサービス提供者端末14に供給したり、クライアント端末13やサービス提供者端末14からの音声信号をモニタすることができるようになされている。
【0058】
また、共有サーバ端末11は、入力装置29を備え、インタフェース28を介して、各種の入力を行うことができるようになされている。この入力装置29は、少なくともキーボード29aとマウス29bを有している。
【0059】
ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどよりなる記憶装置30は、共有サーバ端末11が管理を担当している地域の仮想現実空間のデータを記憶している。なお、この仮想現実空間のデータは、情報サーバ端末10(図4)の記憶装置85に記憶されているものと同一のものであり、表示装置25では、このデータが表示されることで、共有サーバ端末11が管理を担当している地域の仮想現実空間が表示される。
【0060】
図6は、図1のホストC上で稼働するマッピングサーバ端末12の構成例を示している。CPU91乃至通信装置94は、図4に示したCPU81乃至通信装置84と基本的に同様の構成であるので、その説明は省略する。記憶装置95は、更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末(図1の実施例では、共有サーバ端末11しか図示していないが、その他にも、図示せぬ共有サーバ端末がネットワーク15に接続されている)を特定するためのアドレスを、URLと対応付けて記憶している。
【0061】
図7は、クライアント端末13(13−1乃至13−3)の構成例を示している。クライアント端末13はCPU41を備え、このCPU41は、ROM42に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するようになされている。RAM43には、CPU41が各種の処理を実行する上において必要なデータやプログラム等が適宜記憶されるようになされている。通信装置44は、ネットワーク15を介して、データを授受するようになされている。
【0062】
表示装置45は、例えばCRTやLCDなどを備え、CG(コンピュータグラフィック)の3次元画像や、通常のビデオカメラなどにより撮影された3次元の画像を表示することができるようになされている。マイク46は、音声信号を共有サーバ端末11に出力するとき利用される。また、スピーカ47は、共有サーバ端末11より音声信号が伝送されてきたとき、これを出力する。入力装置49は、各種の入力を行うとき操作されるようになされている。
【0063】
この入力装置49のキーボード49aは、所定の文字や記号などでなるテキスト(URLを含む)を入力するとき操作されるようになされている。マウス49bは、所定の位置を指定するとき操作されるようになされている。視点入力装置49cおよび移動入力装置49dは、更新オブジェクトとしての、クライアント端末13に対応するアバタの状態を変化させるときに操作される。すなわち、視点入力装置49cは、クライアント端末13の対応するアバタの視点を入力するとき操作される。これにより、アバタの視点を上下左右の方向に移動させたり、仮想現実空間の奥行方向への移動ができるようになされている。また、移動入力装置49dは、アバタを、前後左右の方向に、所定の速度で移動させるための入力を行うことができるようになされている。勿論、これらの入力を、キーボード49aやマウス49bから行うようにすることもできる。
【0064】
ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどよりなる記憶装置50は、ユーザを表すアバタ(更新オブジェクト)を記憶している。さらに、記憶装置50は、情報サーバ端末10(情報サーバ端末10以外に情報サーバ端末が存在する場合には、その情報サーバ端末を含む)に記憶されている各地域の仮想現実空間に配置される更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末のIPアドレスを取得するためのURL(以下、適宜、アドレス取得URLという)を、その地域の仮想現実空間のデータに対応するURL(以下、適宜、仮想現実空間URLという)と対応付けて記憶している。これにより、ある地域の仮想現実空間のデータに対応する仮想現実空間URLが入力されたとき、その地域の仮想現実空間を管理する共有サーバ端末のIPアドレスを取得するためのアドレス取得URLを得ることができるようになされている。
【0065】
インタフェース48は、表示装置45、マイク46、スピーカ47、入力装置49、および記憶装置50に対するデータのインタフェースを構成している。
【0066】
図8は、図1のサービス提供者端末14の構成例を示している。そのCPU51乃至記憶装置60は、図7のクライアント端末13のCPU41乃至入力装置50と基本的に同様の構成であるので、その説明は省略する。
【0067】
図9は、図1の情報サーバ端末10により提供され、共有サーバ端末11の管理の下、複数のユーザの間で共有することのできる仮想現実空間を模式的に表している。同図に示すように、この仮想現実空間は、町を構成しており、アバタC(例えばクライアント端末13−1のアバタ)や、アバタD(例えばクライアント端末13−2のアバタ)が、この町(仮想現実空間)を移動することができるようになされている。
【0068】
アバタCは、仮想現実空間における位置と視点から、例えば図10に示すような画像を見ることになる。すなわち、クライアント端末13−1には、仮想現実空間を構成する基本オブジェクトに関するデータが、情報サーバ端末10から提供され、RAM43(または記憶装置50)に記憶される。そして、RAM43(または記憶装置50)からは、所定の視点と位置から仮想現実空間を見た場合に見ることのできる仮想現実空間のデータが読み出され、表示装置45に供給される。その後、そのアバタCの視点と位置を、視点入力装置49cと移動入力装置49dを操作することで変更すると、その変更に対応したデータがRAM43(または記憶装置50)から読み出されて表示装置45に供給され、これにより、表示装置45に表示されている仮想現実空間(3次元画像)が変化される。
【0069】
さらに、クライアント端末13−1には、いまの視点と位置から仮想現実空間を見た場合にみることのできる他人のアバタ(更新オブジェクト)(図10の実施例では、アバタD)に関するデータが、共有サーバ端末11から提供され、そのデータに基づいて、表示装置45の表示が変更される。すなわち、図9に示した状態において、アバタCはアバタDの方向を見ているので、図10に示したように、クライアント端末13−1の表示装置45に表示される画像(仮想現実空間)には、アバタDが表示される。
【0070】
同様にして、アバタDが対応するクライアント端末13−2の表示装置45には、図11に示すような画像が表示される。そして、この表示画像も、アバタDの視点と位置を移動させることで変化される。なお、図9において、アバタDはアバタCの方向を見ているので、クライアント端末13−2の表示装置45に表示される画像(仮想現実空間)には、図11に示したように、アバタCが表示されている。
【0071】
サービス提供者端末14は、情報サーバ端末10および共有サーバ端末11によって提供される共有可能な仮想現実空間の一部の空間を支配する。換言すれば、サービス提供者は、情報サーバ端末10および共有サーバ端末11の管理者(仮想現実空間の情報を提供する情報プロバイダ)から、その提供する仮想現実空間の一部を購入する。この購入は、現実空間において行われる。すなわち、情報サーバ端末10および共有サーバ端末11の管理者は、所定のサービス提供者より仮想現実空間の購入の申込を受けたとき、仮想現実空間の一部を、そのサービス提供者に割り当てる。
【0072】
例えば、サービス提供者端末14の所有者(サービス提供者)が、仮想現実空間内の所定のビルの1室を借り受け、そこに電器店を設けるものとする。サービス提供者は、その電器店に展示する商品、例えばテレビジョン受像機(テレビ)の資料をサーバ端末管理者に提供する。サーバ端末管理者は、この資料を基に、コンピュータグラフィックスにより、そのテレビの立体画像を生成する。そして、その立体画像を、その電器店の所定の位置に配置する。これにより、仮想現実空間内におけるその空間の画像が完成することになる。
【0073】
同様のことが多くのサービス提供者により行われ、仮想現実空間が1つの大きな町として形成される。
【0074】
図12は、サービス提供者端末14を有するサービス提供者が占有する仮想現実空間(ビルの1室)を平面的に表している。この実施例においては、ビルの1室が、このサービス提供者のために割り当てられており、その空間(ビル内)には、2台のテレビ72,73が配置されているとともに、テレビ73の右斜め前方には、カウンタ71が配置されている。そしてサービス提供者端末14のサービス提供者は、自己のアバタFをカウンタ71の後方に配置するようにする。勿論、アバタFは、サービス提供者端末14の移動入力装置59dを操作することで、所定の位置に移動させることが可能である。
【0075】
いま、この電器店に、クライアント端末13−1のアバタCが、図12に示すように入ってきたものとする。このとき、クライアント端末13−1の表示装置45には、アバタCの位置と視点に対応して、例えば図13に示すような画像が表示される。これに対して、アバタFがカウンタ71の後方に位置している場合においては、サービス提供者端末14の表示装置55には、図14に示すような画像が表示される。図13と図14に示すように、アバタCから見た画像にはアバタFが、また、アバタFから見た画像にはアバタCが、それぞれ表示される。
【0076】
また、図13に示すように、アバタCから見た画像には、クライアント端末13−1から所定の画像を指定するとき使用されるカーソル74が表示される。同様に、図14に示すように、サービス提供者端末14から所定の画像を指定するとき利用するために、カーソル75が表示される。
【0077】
クライアント端末13−1の移動入力装置49dを操作して、アバタCをテレビ72あるいはテレビ73の回りに移動させることで、その位置と視点に対応する画像が表示装置45に表示される。これにより、ユーザは、テレビ72や73を、実際に、売場に配置されている商品としてのテレビを観察する場合と同様に観察することができる。
【0078】
また、ユーザは、マウス49bを操作して、カーソル74を移動させ、アバタF上でクリックすると、アバタFに対応するサービス提供者端末14には、会話申込信号が伝送される。サービス提供者端末14は、このとき、マイク56を介して、アバタCに対応するクライアント端末13−1のスピーカ47に対して音声信号を出力することができる。同様に、クライアント端末13−1のマイク46から所定の音声信号を入力することで、サービス提供者端末14のスピーカ57にユーザの音声信号を伝達することができる。このようにして、両者は音声による通常の会話を行うことができる。
【0079】
なお、この会話は、アバタF(サービス提供者端末14)からアバタC(クライアント端末13−1)に対して、申し込むようにすることもできる。
【0080】
また、クライアント端末13−1において、カーソル74を移動させ、例えばテレビ72の画像上においてクリックすると、テレビ72のより詳細な説明情報(提供情報)の提供を受けることができる。これは、情報サーバ端末10が提供する仮想現実空間のデータを、テレビ72のデータに説明情報をリンクさせておくように構成することで実現することができる。なお、説明情報を表示するときの画像は、3次元画像であってもよいし、平面的な2次元画像とすることもできる。
【0081】
この所定の画像を指定する操作は、サービス提供者端末14側からも行うことができる。これにより、サービス提供者側からユーザに対して、所定のテレビの説明情報を積極的に提供することができる。
【0082】
また、サービス提供者がマウス59bを操作して、カーソル75でアバタCを指定すると、このアバタCの位置と視点に対応する画像、すなわち、クライアント端末13−1の表示装置45に表示されている画像と同一の画像を、サービス提供者端末14の表示装置55に表示させることができる。これにより、サービス提供者は、ユーザ(アバタC)が、いまどこを見ているのかを知ることができ、ユーザの知りたいポイントに関する情報を、的確にユーザに対して提供することが可能となる。
【0083】
ユーザは、説明を受け、あるいは提供情報(説明情報)の提供を受け、気に入った場合においては、例えばテレビ72を実際に購入することができる。この場合、ユーザは、アバタFを介して、サービス提供者端末14に対して購入の申込をする。また、ユーザは、例えばクレジットカードの番号等を、アバタCを介してサービス提供者端末14(アバタF)に伝達する。そして、商品の金額に対応する額を引き落とすように依頼する。サービス提供者端末14のサービス提供者は、そのクレジットカードの番号から、所定の金額を引き落とすための処理を行うとともに、購入の申込を受けた商品の発送の手配を行う。
【0084】
この仮想現実空間において提供される画像は、基本的に、コンピュータグラフィックスにより生成された精度の高い画像である。従って、これをあらゆる角度から見ることで、殆ど実際の商品を希望する角度から観察した場合と同様の観察を行うことが可能となり、より確実に商品を確認することができる。
【0085】
この仮想現実空間には、このようにして、多数の店や映画館、劇場などが存在する。そして、各店において、実際に商品を販売することが可能であるため、立地条件の良い空間(多くのユーザのアバタが入ってくる空間)は、実際に経済的価値が発生する。そこで、この仮想現実空間を実際に(現実に)売買したり、賃貸することができる。従って、このシステムは、所謂テレビショッピングなどとは全く異なるものとなる。
【0086】
次に、図15乃至図18のフローチャートを参照して、クライアント端末13(サービス提供者端末14)、情報サーバ端末10、マッピングサーバ端末12、または共有サーバ端末11それぞれの動作について詳述する。
【0087】
図15は、クライアント端末13(サービス提供者端末14)の処理例を示している。クライアント端末13では、まず最初に、ステップS1において、仮想現実空間URLの入力があったか否かが、CPU41によって判定される。ステップS1において、仮想現実空間URLの入力がないと判定された場合、ステップS1に戻る。また、ステップS1において、仮想現実空間URLの入力があったと判定された場合、すなわち、ユーザがキーボート49aを操作することで、所望する仮想現実空間に対応する仮想現実空間URLを入力し、これが、インターフェース48を介して、CPU41によって受信された場合、ステップS2に進み、図2で説明したように、WWWのシステムを構成し、情報サーバ端末を有する所定のホストの情報サーバ端末(ここでは、例えばホストAの情報サーバ端末10)に対して、通信装置44から、ネットワーク15を介して、仮想現実空間URLが送信され、リンクが確立される。
【0088】
さらに、ステップS2では、仮想現実空間URLと対応付けられているアドレス取得URLが、記憶装置50から読み出され、WWWのシステムを構成する、所定のホストのマッピングサーバ端末(ここでは、例えばホストCのマッピングサーバ端末12とする)に対して、通信装置44から、ネットワーク15を介して、アドレス取得URLが送信され、リンクが確立される。
【0089】
その後、ステップS3に進み、ネットワーク15を介して送られてくる、ステップS2で送信した仮想現実空間URLまたはアドレス取得URLにそれぞれ対応する仮想現実空間のデータ(3次元画像データ)または共有サーバ端末12のIPアドレスが、通信装置44によって受信される。
【0090】
すなわち、ステップS2では、情報サーバ端末10に、仮想現実空間URLが送信されるが、情報サーバ端末10において、この仮想現実空間URLが受信されると、それに対応する仮想現実空間のデータが、後述する図16のステップS22において、ネットワーク15を介してクライアント端末13に送信される。ステップS3では、このようにして情報サーバ端末10から送信されてくる仮想現実空間のデータが受信される。なお、受信された仮想現実空間のデータは、RAM43に転送されて記憶される(または記憶装置50に記憶され、そこからRAM43に転送される)。
【0091】
また、ステップS2では、マッピングサーバ端末12に対し、アドレス取得URLが送信されるが、マッピングサーバ端末12において、このアドレス取得URLが受信されると、それに対応する共有サーバ端末のIPアドレスが、後述する図17のステップS32において、ネットワーク15を介してクライアント端末13に送信される。ステップS3では、このようにしてマッピングサーバ端末12から送信されてくる共有サーバ端末12のIPアドレスが受信される。
【0092】
ここで、入力された仮想現実空間URLに対応付けられているアドレス取得URLは、上述したように、その仮想現実空間URLに対応する仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末のIPアドレスに対応するものである。従って、例えば、入力された仮想現実空間URLが、東京の仮想現実空間に対応するものであり、ホストBが有する共有サーバ端末11が、東京の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理するものであった場合、ステップS3では、共有サーバ端末11のIPアドレスが受信されることになる。よって、ユーザは、どの共有サーバ端末が、どの地域の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理するものか知らなくても、自身が提供を受けようとする地域の仮想現実空間を管理する共有サーバ端末の場所(IPアドレス)を、自動的に取得することができる。
【0093】
なお、ステップS2およびS3において、仮想現実空間URLおよびアドレス取得URLを送信し、仮想現実空間のデータおよびIPアドレスを受信する処理は、実際には、例えば、仮想現実空間URLを送信し、それに対応する仮想現実空間のデータを受信した後、アドレス取得URLを送信し、それに対応するIPアドレスを受信することで行われる。
【0094】
ステップS3で、仮想現実空間のデータおよび共有サーバ端末のIPアドレスが受信されると、ステップS4に進み、ステップS3で受信したIPアドレス(共有サーバ端末のIPアドレス)に対応する共有サーバ端末(ここでは、例えば共有サーバ端末11)に対し、ネットワーク15を介して、接続要求が、通信装置44によって送信され、これによりクライアント端末13と共有サーバ端末11との間で通信リンクが確立される。さらに、ステップS4では、通信リンクの確立後、共有サーバ端末11に対し、記憶装置50に記憶されている、自己を表すアバタ(更新オブジェクト)が、通信装置44によって送信される。
【0095】
ここで、共有サーバ端末11は、ユーザのアバタを受信すると、そのアバタを、同一の仮想現実空間(ここでは、上述したように、東京の仮想現実空間とする)に存在する他のユーザのクライアント端末に送信するようになされている。そして、他のクライアント端末においては、送信されてきたアバタが、仮想現実空間に配置され、これにより、複数のユーザの間で、同一の仮想現実空間を共有することができる。
【0096】
なお、ユーザのアバタは、クライアント端末13から共有サーバ端末11に提供するのではなく、共有サーバ端末11に、アクセスのあったユーザに対し、所定のアバタを割り当てさせるようにすることも可能である。また、クライアント端末13においては、それを利用するユーザ自身のアバタを、前述の図36および図37に示したように、仮想現実空間に配置して表示するようにすることが可能であるが、現実の世界では、ユーザは、自身を見ることはできないので、仮想現実空間を、現実の世界に近いものとする観点からは、ユーザのアバタは、そのユーザが利用するクライアント端末には表示させないようにする方が好ましい。
【0097】
ステップS4の処理後、ステップS5に進み、RAM43から、所定の視点と位置から仮想現実空間を見た場合に見ることのできる仮想現実空間のデータが、CPU41によって読み出され、表示装置45に供給される。これにより、表示装置45には、所定の仮想現実空間が表示される。
【0098】
そして、ステップS6において、共有サーバ端末11から、他のユーザのアバタの更新情報が送信されてきたか否かが、通信装置44によって判定される。
【0099】
ここで、ユーザは、上述したように、自己のアバタの位置あるいは視点を、視点入力装置49cまたは移動入力装置49dを操作することで更新することができるようになされており、これにより、アバタの位置あるいは視点の更新が指令されると、CPU41では、インタフェース48を介して、この指令が受信される。そして、CPU41は、その指令に対応して、更新されたアバタの位置または視点にそれぞれ対応する位置データまたは視点データを、更新情報として共有サーバ端末11に出力する処理を実行する。すなわち、CPU41は、通信装置44を制御し、更新情報を共有サーバ端末11に送信させる。
【0100】
共有サーバ端末11は、クライアント端末から更新情報を受信すると、後述する図18のステップS44において、その更新情報を、他のクライアント端末に出力するようになされている。なお、共有サーバ端末11は、上述したように、アクセス要求のあったクライアント端末から、アバタを受信すると、そのアバタを、他のユーザのクライアント端末に送信するようになされているが、このアバタも、更新情報として送信されるようになされている。
【0101】
以上のようにして更新情報が送信されてきた場合、ステップS6においては、共有サーバ端末11から、他のユーザのアバタの更新情報が送信されてきたと判定される。この場合、その更新情報は、通信装置44によって受信され、CPU41に出力される。CPU41は、ステップS7において、表示装置45の表示を、更新情報を反映した表示に更新させる。すなわち、更新情報として、他のクライアント端末からの位置データあるいは視点データを受信した場合、そのユーザのアバタを、受信した位置データ、視点データにしたがって、移動させ、または変化させる(例えば、アバタの向きを変更させる)。また、更新情報として、他のクライアント端末からのアバタを受信した場合、そのアバタを、表示装置45に、いま表示されている仮想現実空間の所定の位置に配置する。なお、共有サーバ端末11は、更新情報として、アバタを送信する場合、そのアバタについての位置データおよび視点データも、更新情報に含めて送信するようになされており、表示装置45では、その位置データおよび視点データに対応して、アバタが表示されるようになされている。
【0102】
以上の処理が終了すると、ステップS8に進む。
【0103】
一方、ステップS6において、共有サーバ端末11から、他のユーザのアバタの更新情報が送信されてきていないと判定された場合、ステップS7をスキップして、ステップS8に進む。ステップS8では、上述したように、視点入力装置49cまたは移動入力装置49dを操作することで、クライアント端末13を利用するユーザのアバタの位置あるいは視点が更新されたか否かが、CPU41によって判定される。
【0104】
ステップS8において、アバタの位置あるいは視点が更新されたと判定された場合、すなわち、視点入力装置49cまたは移動入力装置49dが、ユーザによって操作された場合、ステップS9に進み、CPU41では、その操作に対応する位置データ、視点データに基づいて、ユーザのアバタの位置と視点に対応する仮想現実空間のデータをRAM43から読み出し、必要に応じて補正のための演算を行い、その位置と視点に対応する画像データを生成する。そして、CPU41は、表示装置45に、その画像データを出力し、表示させる。これにより、表示装置45には、視点入力装置49cと移動入力装置49dを操作することで入力した視点と位置に対応する画像(仮想現実空間)が表示される。
【0105】
さらに、CPU41は、ステップS10において、通信装置44を制御し、これにより、視点入力装置49cまたは移動入力装置49dそれぞれの操作に対応する視点データまたは位置データを、共有サーバ端末11に送信させ、ステップS11に進む。
【0106】
ここで、上述したように、クライアント端末13からの更新情報は、共有サーバ端末11により受信され、さらに、他のクライアント端末に出力される。これにより、他のクライアント端末においては、クライアント端末13を利用するユーザのアバタが、更新情報を反映した形で表示される。
【0107】
一方、ステップS8において、アバタの位置あるいは視点が更新されていないと判定された場合、ステップS9およびS10をスキップして、ステップS11に進む。ステップS11では、キーボード49aの所定のキーを操作するなどして終了が指令されたか否かが判定され、終了が指令されない限り、ステップS6に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0108】
次に、図16のフローチャートは、情報サーバ端末10の処理例を示している。情報サーバ端末10では、まず最初に、ステップS21において、クライアント端末13から、ネットワーク15を介して、仮想現実空間URLが送信されてきたかどうかが、通信装置84によって判定される。ステップS21において、仮想現実空間URLが送信されてきていないと判定された場合、ステップS21に戻る。また、ステップS21において、仮想現実空間URLが送信されてきたと判定された場合、その仮想現実空間URLが、通信装置84によって受信され、ステップS22に進む。ステップS22では、記憶装置85から、通信装置84で受信された仮想現実空間URLと対応付けられている仮想現実空間のデータが、CPU81によって読み出され、それが、通信装置84により、ネットワーク15を介して、仮想現実空間URLを送信してきたクライアント端末13に送られる。そして、その後は、ステップS21に戻り、上述の処理が繰り返される。
【0109】
図17は、マッピングサーバ端末12の処理例を示している。マッピングサーバ端末12では、ステップS31において、クライアント端末13から、ネットワーク15を介して、アドレス取得URLが送信されてきたかどうかが、通信装置94によって判定される。ステップS31において、アドレス取得URLが送信されてきていないと判定された場合、ステップS31に戻る。また、ステップS31において、アドレス取得URLが送信されてきたと判定された場合、そのアドレス取得URLが、通信装置94によって受信され、ステップS32に進む。ステップS32では、記憶装置95から、通信装置94で受信されたアドレス取得URLと対応付けられているIPアドレス(共有サーバ端末のIPアドレス)が、CPU91によって読み出され、それが、通信装置94により、ネットワーク15を介して、アドレス取得URLを送信してきたクライアント端末13に送られる。そして、その後は、ステップS31に戻り、上述の処理が繰り返される。
【0110】
図18は、共有サーバ端末11の処理例を示している。共有サーバ端末11では、まず最初に、ステップS41において、クライアント端末13から、ネットワーク15を介して、接続要求が送信されてきたかどうかが、通信装置24によって判定される。ステップS41において、接続要求が送信されてきていないと判定された場合、ステップS42をスキップして、ステップS43に進む。また、ステップS41において、接続要求が送信されてきたと判定された場合、すなわち、クライアント端末13が、図15のステップS4において接続要求を、共有サーバ端末11に送信した場合、そのクライアント端末13との通信リンクが、通信装置24によって確立され、ステップS42に進む。
【0111】
ステップS42では、RAM23に記憶された接続管理表が、CPU21によって更新される。すなわち、共有サーバ端末11は、クライアント端末13から送信されてくる更新情報を、他のクライアント端末に送信するために、自身との通信リンクを確立しているクライアント端末13を認識している必要がある。そこで、共有サーバ端末11では、クライアント端末との通信リンクを確立すると、そのクライアント端末を識別するための情報を、接続管理表に登録するようになされている。すなわち、この接続管理表は、共有サーバ端末11と、いまリンクが確立しているクライアント端末の、いわば一覧表である。ここで、クライアント端末を識別するための情報としては、TCP/IPパケットのヘッダとして各クライアント端末から送られてくる送信元のIPアドレスと、各クライアント端末のユーザが設定したアバタのニックネームを登録する。
【0112】
その後、ステップS43に進み、クライアント端末13から更新情報が送信されてきたか否かが、通信装置24によって判定される。ステップS43において、更新情報が送信されてきていないと判定された場合、ステップS44をスキップして、ステップS45に進む。また、ステップS43において、更新情報が送信されてきたと判定された場合、すなわち、クライアント端末13が、図15のステップS10において、更新情報としての位置データ、視点データを、共有サーバ端末11に送信した場合(あるいは、図15のステップS4において、接続要求の送信後、更新情報としてのアバタを、共有サーバ端末11に送信した場合)、その更新情報が、通信装置24によって受信され、ステップS44に進む。ステップS44では、CPU21によって、RAM23に記憶された接続管理表が参照され、通信装置24で受信された更新情報が、その更新情報を送信してきたクライアント端末以外のクライアント端末に送信される。この際に、接続管理表で管理されている各クライアント端末の送信元のIPアドレスが使用される。
【0113】
なお、この更新情報は、上述したように、図15のステップS6において、クライアント端末13により受信される。
【0114】
その後、ステップS45に進み、クライアント端末13より終了の指令が入力されたか否かが、CPU21によって判定され、終了が指令されていない場合においては、ステップS46をスキップして、ステップS41に戻る。また、終了が指令された場合は、ステップS46に進み、その指令を送信してきたクライアント端末13との回線が、通信装置24によって切断され、さらに、接続管理表から、そのクライアント端末13に関する情報が、CPU21によって削除されて、ステップS41に戻る。
【0115】
以上のように、更新オブジェクトの管理は、共有サーバ端末11で行うようにするとともに、基本オブジェクトの管理(提供)は、既に世界的規模で普及しているインターネットのWWWを構成する情報サーバ端末10で行うようにしたので、世界的規模で、不特定多数のユーザに、共有可能な仮想現実空間を、容易に提供することが可能となる。さらに、この際、既に構築されているWWWのシステムの仕様は変更する必要がない。
【0116】
また、仮想現実空間のデータを提供するのに、WWWを利用する場合には、データの授受を行うのに、既存のウェブブラウザ(例えば、ネットスケープ社のネットスケープナビゲータ(Netscape Navigator)(商標)など)を使用することができるので、新規にウェブブラウザを作成する必要もない。
【0117】
さらに、マッピングサーバ端末12によって、共有サーバ端末11のIPアドレスを提供するようにしたので、ユーザは、共有サーバ端末11のアドレスを知らなくても、仮想現実空間を、他のユーザと共有することができる。
【0118】
次に、図19を参照して、クライアント端末13と、情報サーバ端末10、共有サーバ端末11、マッピングサーバ端末12それぞれとの通信手順について説明する。ユーザは、仮想現実空間の提供を希望するとき、その希望する地域の仮想現実空間に対応付けられたURL(仮想現実空間URL)を入力する。すると、そのURLが、クライアント端末13から情報サーバ端末10(httpd)に対して送信される。情報サーバ端末10は、クライアント端末13からURLを受信すると、そのURLに対応付けられた仮想現実空間のデータ(3次元シーンデータ)(基本オブジェクトのみのデータ)を、クライアント端末13に送信する。クライアント端末13は、これを受信して表示させる。
【0119】
なお、この段階では、クライアント端末13と共有サーバ端末11との間は接続されていない(リンクが確立していない)ため、クライアント端末13が更新情報を受信することはなく、従って、基本オブジェクトだけの仮想現実空間、すなわち、例えばビルディングなどの、いわば町並みだけの仮想現実空間が表示される(他のユーザのアバタなどの更新オブジェクトは表示されない)。
【0120】
さらに、クライアント端末13では、仮想現実空間URLと対応付けられているアドレス取得URLが、マッピングサーバ端末12に送信される。マッピングサーバ端末12では、アドレス取得URLが受信され、そのアドレス取得URLと対応付けられているIPアドレス(仮想現実空間URLと対応付けられている地域の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末である、例えば、共有サーバ端末11のIPアドレス)が、クライアント端末13に送信される。
【0121】
ここで、マッピングサーバ端末12に、クライアント端末13が送信したアドレス取得URLと対応付けられているIPアドレスが登録されていないことが考えられる。すなわち、例えば、仮想現実空間URLと対応付けられている地域の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末が、未設置(未稼動)である場合などがある。このような場合は、共有サーバ端末のIPアドレスが得られないため、基本オブジェクトだけの仮想現実空間、すなわち、例えば、上述したような町並みだけの仮想現実空間が表示される。従って、この場合、仮想現実空間の、他のユーザとの共有は成立しない。このような仮想現実空間は、既存のWWWにより、情報サーバ端末(WWWサーバ端末)に、仮想現実空間のデータ(基本オブジェクト)を記憶させておくだけで提供することができるものであり、このことから、本発明のサイバースペースシステムは、既存のWWWと上位互換になっているということができる。
【0122】
マッピングサーバ端末12からIPアドレス(共有サーバ端末11のIPアドレス)が送信されてくると、クライアント端末13では、そのIPアドレスが受信され、それに対応する共有サーバ端末、すなわち、ここでは、共有サーバ端末11に、接続要求が送信される。そして、クライアント端末13と共有サーバ端末11との間の通信リンクが確立すると、クライアント端末13は、自己を表すアバタ(ユーザの3次元形状)を、共有サーバ端末11に送信する。共有サーバ端末11は、クライアント端末13から、そのユーザのアバタを受信すると、そのアバタを、いま、共有サーバ端末11とリンクの確立している、その他のクライアント端末に送信するとともに、共有サーバ端末11が管理する地域の仮想現実空間に配置されている、他のユーザのアバタである更新オブジェクト(共有3次元オブジェクトの形状)を、クライアント端末13に送信する。
【0123】
これにより、他のクライアント端末では、クライアント端末13のユーザのアバタが仮想現実空間に配置され、そのアバタが画面上に登場する。また、クライアント端末13では、他のクライアント端末のユーザのアバタが仮想現実空間に配置され、やはり、そのアバタが画面上に登場する。その結果、共有サーバ端末11とのリンクが確立しているクライアント端末のすべてのユーザは、同一の仮想現実空間を共有することとなる。
【0124】
その後、共有サーバ端末11は、他のクライアント端末からの更新情報を受信すると、その更新情報を、クライアント端末13に送信する。クライアント端末13では、この更新情報が受信され、それに対応して表示が変更される(例えば、他のユーザのアバタの位置が変更される)。また、クライアント端末13のユーザによって、そのユーザのアバタの状態が変更されると、その変更に対応した更新情報が、クライアント端末13から共有サーバ端末11に送信される。共有サーバ端末11は、クライアント端末13からの更新情報を受信すると、他のクライアント端末からの更新情報を受信した場合と同様に、その更新情報を、クライアント端末13以外のクライアント端末に送信する。これにより、クライアント端末13以外のクライアント端末では、その更新情報に対応して、クライアント端末13のユーザのアバタの状態が変更される(クライアント端末13のユーザによって、そのユーザのアバタの状態が変更されたように変更される)。
【0125】
その後、クライアント端末13では、共有サーバ端末11との接続が切断されるまで、自己のアバタについての更新情報を送信するとともに、共有サーバ端末11からの更新情報を受信し、その更新情報に基づいて、表示を変更する処理が繰り返される。
【0126】
以上のように、同一の仮想現実空間の共有は、ユーザ(クライアント端末13)同志の間で、共有サーバ端末11を経由した更新情報のやりとりを行うことによって成立する。従って、共有サーバ端末11とクライアント端末13とが離れた位置に存在する場合、共有サーバ端末11とクライアント端末13との間の通信に、大きな遅延が生じ、レスポンスが悪化することとなる。すなわち、例えば、共有サーバ端末11が米国(アメリカ合衆国)に設置されている場合において、日本のユーザが、共有サーバ端末11にアクセスしているときには、日本のあるユーザAの更新情報は、日本→アメリカ→日本という経路で、日本の他のユーザBに送信されることとなり、ユーザAによる変更が、ユーザBにおいて反映されるまでに、時間を要することとなる。
【0127】
そこで、同一の地域の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末は、1つだけでなく、例えば世界各国などに複数設置し、さらに、マッピングサーバ端末12には、そのような複数の共有サーバ端末のIPアドレスを登録しておき、そのうちの、クライアント端末13が設置された地域に地理的に近い位置に設置されている共有サーバ端末のIPアドレスを提供させるようにすることが可能である。
【0128】
すなわち、例えば、図20に示すように、遊園地などの仮想現実空間(3次元空間)に配置された更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末W1またはW2を、それぞれ日本または米国に設置しておくようにする。そして、情報サーバ端末10から、その遊園地の仮想現実空間のデータの提供を、日本および米国のユーザが受けた場合には、各ユーザからは、マッピングサーバ端末12に対し、遊園地の仮想現実空間に対応する仮想現実空間URLに対応付けられたアドレス取得URLが送信されてくるが(すべてのユーザから同一のアドレス取得URLが送信されてくるが)、このとき、マッピングサーバ端末12には、日本のユーザに対しては日本に設置されている共有サーバ端末W1のIPアドレスを、米国のユーザに対しては米国に設置されている共有サーバ端末W2のIPアドレスを、それぞれ提供させるようにする。
【0129】
ここで、マッピングサーバ端末12は、以下の手順でアドレス取得URLを送信してきたクライアント端末の設置場所を特定する。
【0130】
すなわち、TCP/IPプロトコルで通信を行う場合、そのTCP/IPパケットのヘッダには、送信元のIPアドレス(Source IP Address)と発信先のIPアドレス(Destination IP Address)が記述されている。
【0131】
一方、IPアドレスは、32ビットで構成され、通常、8ビット単位でドットで区切られた10進数で表現される。例えば、IP=43.0.35.117と表現される。このIPアドレスが、インターネットに接続された送信元や発信先の端末を一意に定める住所の役割を担っている。4オクテット(32ビット)で表現されるIPアドレスは人間にとって覚えにくいため、人間にとって理解しやすい識別名称として表現したのが、ドメインネームである。そして、世界中の端末に付与されたドメインネームとIPアドレスの対応を管理し、端末からのドメインネームによる問い合わせに対してIPアドレスを答える、もしくはIPアドレスによる問い合わせに対してドメインネームを答えるシステムがドメインネームシステム(DNS:Domain Name System)である。DNSは、世界中のインターネット上に散在するドメインネームサーバの連携動作によって、機能する。ドメインネームは、例えば、hanaya@ipd.sony.co.jpのように、ユーザ名@ホスト名称.組織名称.組織属性.国識別名称(米国は省略)と表現され、第1階層の国識別名称が、jpであれば日本に設置されている端末であり、省略されていた場合は、米国に設置されている端末である事が特定できる。
【0132】
マッピングサーバ端末12は、図23に示すドメインネームサーバ130を利用して、アドレス取得URLを送信してきたクライアント端末の設置場所を特定する。
【0133】
すなわち、要求元のクライアント端末の送信元のIPアドレスとこのIPアドレスが付与されたドメインネームの対応テーブルを管理するドメインネームサーバ130に対して、対応するドメインネームの問い合わせを行い、ドメインネームサーバ130より得られたクライアント端末のドメインネームの第1階層に基いてクライアント端末が設置された国を特定する。
【0134】
この場合、各ユーザが利用するクライアント端末と共有サーバ端末とは地理的に近い位置に存在するから、上述したような遅延の問題を解消、すなわち、レスポンスの悪化を防止することができる。
【0135】
なお、この場合、日本のユーザおよび米国のユーザが提供を受ける仮想現実空間は、同一の遊園地の仮想現実空間であるが、その共有を管理する共有サーバ端末が、日本のユーザと米国のユーザとで異なるため、その共有は、日本のユーザどうしと、米国のユーザ同志とで、別個独立に行われる。すなわち、日本のユーザどうしのみ、または米国のユーザどうしのみで、それぞれ1つの遊園地の仮想現実空間が共有される。従って、この場合、情報サーバ端末10からは、同一の仮想現実空間が提供されるが、日本のユーザどうしと米国のユーザどうしとでは、別々の共有空間が構築されることとなり、自国の言語でのチャットが支障なく行えることとなる。
【0136】
但し、この場合、共有サーバ端末W1とW2とを接続し、その間で、更新情報のやりとりを行わせるようにすることで、日本のユーザおよび米国のユーザどうしの間で、同一の仮想現実空間を共有するようにすることが可能である。
【0137】
また、レスポンスの悪化は、共有サーバ端末11に対し、多くのユーザがアクセスした場合も生じるが、これは、同一の地域の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末を、例えば各国や各県などの、所定の地域ごとに、複数設置し、マッピングサーバ端末12には、その複数の共有サーバ端末のうち、そこにアクセスしているクライアント端末の数の少ないもののアドレスを提供させるようにすることで防止することができる。
【0138】
すなわち、この場合、例えば、上述の如く、複数の共有サーバ端末W3,W4,W5,・・・を設置し、マッピングサーバ端末12には、まず、所定のURLに対し、所定の共有サーバ端末W3のIPアドレスを提供させるようにする。さらに、この場合、例えばマッピングサーバ端末12と共有サーバ端末W3との間で通信を行わせるようにし、これにより、共有サーバ端末W3からマッピングサーバ端末12に対し、共有サーバ端末W3にアクセスしているクライアント端末の数を送信させるようにする。そして、マッピングサーバ端末12には、共有サーバ端末W3にアクセスしているクライアント端末の数が所定の数(共有サーバ端末W3のレスポンスが悪化しないような数(例えば、100など))を超えた状態となった場合において、所定のURLを受信したとき、他の共有サーバ端末W4(この共有サーバ端末W4は、共有サーバ端末4の近くに設置されているものであることが望ましい)のIPアドレスを提供させるようにする。
【0139】
なお、この場合、共有サーバ端末W4は、最初から稼働させておいても良いが、共有サーバ端末W3にアクセスしているクライアント端末の数が所定の数を超えたときに稼働させるようにすることも可能である。
【0140】
その後は、さらに、マッピングサーバ端末12と共有サーバ端末W4との間で通信を行わせるようにし、マッピングサーバ端末12には、上述の場合と同様に、共有サーバ端末W4にアクセスしているクライアント端末の数が所定の数を超えた状態となった場合において、所定のURLを受信したときに、さらに他の共有サーバ端末W5のIPアドレスを提供させるようにする(但し、共有サーバ端末W3へのアクセス数が所定の数以下に減少した場合には、共有サーバ端末W3のアドレスを提供させるようにする)。
【0141】
以上のようにすることで、各共有サーバ端末W3,W4,W5,・・・には、過大な負荷がかからなくなるので、レスポンスの悪化を防止することができる。
【0142】
なお、以上のことは、マッピングサーバ端末12が、所定のURLに対応して出力する共有サーバ端末のIPアドレスを制御することで実現することができ、ユーザが利用するクライアント端末13や、その上で稼働するソフトウェアについては、一切変更する必要はない。
【0143】
また、本実施例においては、共有サーバ端末11が管理する更新オブジェクトとして、ユーザのアバタを例に説明したが、共有サーバ端末11には、アバタ以外の、例えばユーザが作成した、状態の変化するオブジェクトなどの、あらゆる更新オブジェクトを管理させることができる。但し、更新オブジェクトの管理は、場合によっては、クライアント端末13に行わせるようにすることが可能である。すなわち、例えば時計などの更新オブジェクトについては、クライアント端末13に、その内蔵するクロックに基づいて、時刻の更新を行わせるようにすることが可能である。
【0144】
さらに、本実施例では、図1に示すように、ホストA乃至C、クライアント端末13−1乃至13−3、およびサービス提供者端末14のすべてを、インターネットであるネットワーク15を介して、相互に接続するようにしたが、既に構築されているWWWを利用する観点からすれば、少なくとも、情報サーバ端末10を有するホストAまたはマッピングサーバ端末12を有するホストCのそれぞれと、クライアント端末13とが、インターネットを介して接続されていれば良い。さらに、例えば、ユーザが、共有サーバ端末11のアドレスを認識している場合には、少なくとも、情報サーバ端末10を有するホストAと、クライアント端末13とが、インターネットを介して接続されていれば良い。
【0145】
また、本実施例では、情報サーバ端末10とマッピングサーバ端末12とを、別々のホスト上で稼動させるようにしたが、情報サーバ端末10およびマッピングサーバ端末12は、WWWを利用する場合には、同一のホスト内に構成することが可能である。なお、WWWを利用しない場合には、情報サーバ端末10、共有サーバ端末11、およびマッピングサーバ端末12は、すべて同一のホスト内に構成することが可能である。
【0146】
さらに、本実施例においては、ホストA(情報サーバ端末10)に、所定の地域ごとの仮想現実空間のデータを記憶させるようにしたが、このデータは、地域単位の他、例えば、デパートや遊園地などといった単位で扱うことも可能である。
【0147】
以上の実施例においては、基本オブジェクトをネットワーク15を介して、各クライアント端末13に供給するようにしたが、例えばCD−ROMなどの情報記録媒体に仮想現実空間を形成する基本的なオブジェクトである基本オブジェクトを予め格納しておき、各ユーザに、これを予め配布しておくようにすることができる。この場合、各クライアント端末13は、例えば図21に示すように構成される。すなわち、この実施例においては、CD−ROMドライブ100が、インタフェース48に接続されており、基本オブジェクトにより構成される仮想現実空間が予め格納されているCD−ROM101をドライブするようになされている。その他の構成は、図7における場合と同様である。
【0148】
このように、CD−ROM101から基本オブジェクトのデータを提供するようにすれば、ネットワーク15を介して基本オブジェクトのデータを転送する時間が不要となるため、より迅速な処理が可能となる。
【0149】
あるいはまた、CD−ROMを用いずに、情報サーバ端末10から供給された基本オブジェクトのデータを記憶装置50に最初の第1回目のみ格納し、その後は、適宜、これを読み出して、使用するようにしてもよい。
【0150】
すなわち、基本オブジェクトデータの格納元は、図22に示すように、情報サーバ端末10の記憶装置85(ケース1乃至ケース3の場合)、クライアント端末13の記憶装置50(ケース4乃至ケース6の場合)、またはクライアント端末13のCD−ROM101(ケース7乃至ケース9の場合)とすることができる。
【0151】
これに対して、更新オブジェクトデータの格納元は、情報サーバ端末10の記憶装置85(ケース1の場合)、または共有サーバ端末11の記憶装置30(ケース2乃至ケース9の場合)とすることができる。そして、共有サーバ端末11に更新オブジェクトデータを格納する場合においては、その共有サーバ端末は、例えば図23に示すように、日本の共有サーバ端末11−1(ケース2、ケース5またはケース8の場合)、または、米国の共有サーバ端末11−2(ケース3、ケース6またはケース9の場合)とすることができる。この場合、更新オブジェクトデータのURLの格納元は、マッピングサーバ端末12となる。
【0152】
なお、更新オブジェクトデータの格納元が情報サーバ端末10である場合には、更新オブジェクトデータのURLの格納元は、情報サーバ端末10で管理されているデフォルトのURLとなる(ケース1の場合)。あるいはユーザにより共有サーバ端末11がマニュアルで指定された場合には、その指定されたURLが格納元となる(ケース4またはケース7の場合)。
【0153】
図22における各ケースの場合のデータの流れを、図23を参照して説明すると、次のようになる。すなわち、ケース1の場合、情報サーバ端末10としてのWWWサーバ端末121の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)の所定のディレクトリに記憶されているVRLMファイル(その詳細は後述する)から基本オブジェクトデータが読み出され、ネットワーク15としてのインターネット(The Internet)15Aを介して、例えばクライアント端末13−1に供給される。また、WWWサーバ端末121の記憶装置には、更新オブジェクトデータも記憶されている。すなわち、WWWサーバ端末121において、基本オブジェクトデータが読み出されたとき、それに対応する更新オブジェクトデータのURLが、WWWサーバ端末121の記憶装置に予めデフォルトのURLとして記憶されており、そのデフォルトのURLから更新オブジェクトデータが読み出され、クライアント端末13−1に供給される。
【0154】
ケース2においては、日本のクライアント端末13−1に対して、WWWサーバ端末121から、基本オブジェクトのデータがインターネット15Aを介して供給される。これに対して、更新オブジェクトのデータは、マッピングサーバ端末12で指定された日本の共有サーバ端末11−1からインターネット15Aを介してクライアント端末13−1に供給される。
【0155】
ケース3においては、米国のクライアント端末13−2に対して、基本オブジェクトのデータが、WWWサーバ端末121からインターネット15Aを介して供給され、更新オブジェクトデータは、マッピングサーバ端末12で指定された米国の共有サーバ端末11−2からインターネット15Aを介して供給される。
【0156】
ケース4においては、例えば、日本のクライアント端末13−1の記憶装置50に予め基本オブジェクトのデータが格納されており、更新オブジェクトデータは、クライアント端末13−1で指定した、例えば、米国の共有サーバ端末11−2から供給される。
【0157】
ケース5においては、クライアント端末13−1の記憶装置50に基本オブジェクトのデータが予め格納されており、更新オブジェクトデータは、マッピングサーバ端末12で指定された日本の共有サーバ端末11−1からインターネット15Aを介して供給される。
【0158】
ケース6においては、米国のクライアント端末13−2の記憶装置50に基本オブジェクトデータが予め格納されている。そして、更新オブジェクトデータは、マッピングサーバ端末12で指定された米国の共有サーバ端末11−2から、インターネット15Aを介してクライアント端末13−2に供給される。
【0159】
ケース7においては、例えば、日本のクライアント端末13−1に対して、CD−ROM101の基本オブジェクトのデータが、CD−ROMドライブ100を介して提供される。更新オブジェクトのデータは、クライアント端末13−1で指定した共有サーバ端末(例えば、共有サーバ端末11−1または11−2)から供給される。
【0160】
ケース8においては、クライアント端末13−1に対して、基本オブジェクトがCD−ROM101から供給され、更新オブジェクトのデータが、日本のマッピングサーバ端末12で指定された日本の共有サーバ端末11−1から供給される。
【0161】
ケース9においては、米国のクライアント端末13−2に対して、基本オブジェクトデータがCD−ROM101から供給され、更新オブジェクトデータが、マッピングサーバ端末12により指定された米国の共有サーバ端末11−2からインターネット15Aを介して供給される。
【0162】
次に、以上のような仮想現実空間のデータを授受し、表示装置に表示させるためのソフトウエアについて説明する。WWWにおいては、文書データをHTML(Hyper Text Markup Language)によって記述されたファイルを転送する。従って、テキストデータは、HTML形式のファイルとして登録される。
【0163】
これに対して、WWWにおいて、3次元グラフィックスデータは、VRMLまたはこれを拡張したE−VRML(Enhanced Virtual Reality Modeling Language)で記述することで、転送して利用することができる。従って、例えば、図24に示すように、前述した情報サーバ端末10、共有サーバ端末11またはマッピングサーバ端末12を構成するリモートホスト111のWWWサーバ端末112は、HTMLファイルとE−VRMLファイルを、その記憶装置に格納している。
【0164】
HTMLファイルにおいては、URLにより異なるファイルとのリンクが行われる。また、VRMLファイルまたはE−VRMLファイルにおいては、オブジェクトに対して、WWW AnchorやWWW Inlineなどの属性が指定できるようになされている。WWW Anchorは、オブジェクトにハイパーテキストのリンクを付けるための属性であり、リンク先のファイルは、URLで指定される。また、WWW Inlineは、例えば建物などの外観を外壁、屋根、窓、扉などの部品に分けて記述するための属性であり、各部品のファイルにURLを対応させることができる。このようにして、VRMLファイルまたはE−VRMLファイルにおいても、WWW AnchorまたはWWW Inlineにより、他のファイルにリンクをはることができる。
【0165】
WWWにおいて、クライアント端末に入力されたURLをWWWサーバ端末へ通知し、これによりWWWサーバ端末から転送されてきたHTMLファイルを解釈して表示するためのアプリケーションソフトウエア(WWW Browser)としては、ネットスケープ社のNetscape Navigator(商標)(以降、Netscapeと略称する)が知られている。そこで、例えば、クライアント端末13においても、WWWサーバ端末とのデータの授受を行う機能を利用する目的で、Netscapeを用いている。
【0166】
但し、このWWW Browserは、HTMLファイルを解釈し、表示することができるが、VRMLファイルまたはE−VRMLファイルは、受信することができても、これを解釈して表示することができない。そこで、VRMLファイルおよびE−VRMLファイルを解釈し、3次元空間として描画し、表示することができるVRML Browserが必要となる。
【0167】
なお、VRMLの詳細は、書籍『VRMLを知る:3次元電脳空間の構築とブラウジング,マーク・ペシ著,松田晃一・蒲池輝尚・竹内彰一・本田康晃・暦本純一・石川真之・宮下健・原和弘訳,1996年3月25日初版発行,プレンティスホール出版ISBN4-931356-37-0(原著;VRML:Browsing & Building Cyberspace, Mark Pesce, 1995 New Readers Publishing ISBN 1-56205-498-8)』に開示されている。
【0168】
本出願人は、このVRML Browserを含むアプリケーションソフトウエアとして、Community Place(商標)を開発している。
【0169】
Community Placeは、次の3つのソフトウェアから構成される。
(1)Community Place Browser
これは、VRMLブラウザであり、VRML1.0に準拠し、加えて、VRML2.0の機能(動き、音)を先取りし、動画機能を持つE-VRMLをサポートする。また、Community Place Bureauに接続できるマルチユーザ機能を持つ。スクリプト言語には、TCL/TKを用いている。
(2)Community Place Conductor
これは、VRMLオーサリングシステムであり、VRML1.0をベースにしたE-VRMLに準拠し、単純に3次元の世界を構築するだけではなく、3次元の世界に動きを付けたり、音や映像を付加することを簡単に行なえるツールである。
(3)Community Place Bureau
これは、Community Place Browserから接続し、ネットワーク上に構築された仮想的な空間の中で本当に人々が出会うことを可能にするサーバ端末システムのためのものである。
【0170】
図23に示すクライアント端末13−1,13−2において、予めブラウザ(Browser)をインストール実行させる。また、共有サーバ端末11−1,11−2において、予めビューロ(Bureau)をインストールして実行させる。図25においては、クライアント端末13−1上で、Community Place BrowserをCD−ROM101からインストールして実行させ、共有サーバ端末機能とクライアント機能を単一の端末で実現するために、共有サーバ端末11−1上で、予めCommunity Place BureauとCommunity Place BrowserをCD−ROM101からインストールして実行させている場合の一例を示している。
【0171】
Community Place Browserは、図24に示すように、WWW BrowserとしてのNetscapeとの間において、NCAPI(Netscape Client Application Programing Interface)(商標)に基づいて各種データの授受を行う。
【0172】
Netscapeは、インターネットを介してWWWサーバ端末112よりHTMLファイルとVRMLファイルまたはE−VRMLファイルの供給を受けると、これを記憶装置50にそれぞれ記憶させる。Netscapeは、このうちのHTMLファイルを処理する。これに対して、VRMLファイルまたはE−VRMLファイルは、Community Place Browserが処理する。
【0173】
E-VRML(Enhanced VRML)は、VRML1.0にBehavior(動き)とマルチメディア拡張(音、動画)を行なったもので、本出願人の最初の成果として、1995年9月にVRMLコミュニティに提案された。E-VRMLで用いられている動きの記述の基本モデル(イベントモデル)は、現在のVRML2.0のプロポーザルの1つであるMoving Worldsプロポーザルに引き継がれている。
【0174】
次に、Community Place Browserの概略について説明する。このブラウザをインストール後、Windows95(商標)のスタートメニューの「プログラム」(Windows NT(商標)の場合はプログラムマネージャ)の「Community Place Folder」からManualを選択するとマニュアルを表示させることができる。
【0175】
なお、ここでは、Community Place Browser,Community Place Conductor,Community Place Bureau、並びにこれらを動作させるために必要なファイルは、CD−ROMなどの記録媒体に記録して、サンプルとして配布されるものとする。
【0176】
[ブラウザの動作環境]
ブラウザの動作環境は、例えば、図26に示すとおりである。その最低動作環境は最低限満足する必要がある。但し、Netscape Navigatorは、スタンドアローンのVRMLブラウザとして使用する場合には必要ない。特に、マルチユーザで使う場合は、推奨動作環境とすることが望ましい。
【0177】
[ブラウザのインストール方法]
ブラウザのインストール方法は、通常、Netscapeをインストールするのと同じである。上記CD−ROMの\Sony(商標)のディレクトリに置かれているvscplb3a.exeを用いてインストールする。
【0178】
(1)vscplb3a.exeをダブルクリックする。"Unzip To Directory"欄のディレクトリにインストールパッケージが展開されるので、必要に応じて適宜変更する。
(2)[Unzip]ボタンをクリックする。しばらくするとインストールパッケージが展開される。
(3)"12 files unzipped successfully"と表示されるので、[OK]ボタンをクリックする。
(4)「Welcome」ウィンドウが表示されたら、[NEXT]ボタンをクリックする。
(5)「Software License Agreement」の条項をよく読み、同意する場合は[Yes]ボタンをクリックする。同意しない場合は[No]ボタンをクリックする。
(6)インストールするディレクトリを調べる。デフォルトでは\Program Files\Sony\Community Placeとなっている。
(7)上記ディレクトリ名で不都合があれば、[Browse]ボタンを押してディレクトリを選択する。[Next]ボタンを押して次へ進む。
(8)「readme」ファイルをこの場で読む場合は[Yes]ボタンをクリックする。
(9)インストールが完了したら、[OK]ボタンをクリックする。
【0179】
[ブラウザの起動方法]
ブラウザを起動する前に、まずNetscape Navigatorの設定を行う。なお、スタンドアロンで使用する場合はこの作業は必要なく、スタートメニューの「プログラム」から「Community Place Folder...Community Place」を選んで起動すれば良い。また、以下の設定は、インストールにより自動的に設定される場合もある。
【0180】
(1)Netscape Navigatorの「Options」メニューから「General Preference」を実行し、「Preference」ウィンドウを開く。上部のタブから「Helper Applications」を選択する。
(2)File typeの一覧に「x-world/x-vrml」があるかどうか確認する。すでに存在していれば、(4)へ進む。
(3)[Create New Type]ボタンをクリックする。Mime Typeの欄に「x-world」、Mime SubTypeの欄に「x-vrml」と入力し、[OK]ボタンをクリックする。Extensions欄に「wrl」と入力する。
(4)[Launch the Application:]ボタンをクリックする。Community Placeブラウザのパス名をその下のテキスト欄に入力する(デフォルトでは\Program Files\Sony\Community Place\bin\vscp.exe)。
(5)[OK]ボタンをクリックする。
【0181】
以上で、設定は終りである。後は、以下の手順で起動する。
【0182】
(1)Netscapeの「File..Open File」メニューで、サンプルのCD−ROMのreadme.htmを読み込む。
(2)サンプルワールドへのリンクをクリックすると、Community Placeが自動的に起動され、CD−ROMに添付したサンプルワールドをロードできる。
【0183】
[ブラウザのアンインストール(削除)方法]
スタートメニューの「プログラム」(Windows NTの場合はプログラムマネージャ)の「Community Place Folder」からUninstallを実行すれは、自動的にアンインストールされる。
【0184】
[ブラウザの操作方法]
ブラウザの操作は、マウス49b、キーボード49a、画面上のボタンを用いて行なう。操作は、非常に直観的に行なえる。
【0185】
〈3次元内での移動〉
VRMLが提供する3次元空間では、前進、後退、右へ回転、左へ回転など現実世界で行なっている動作が可能である。ブラウザでは、このような動作を以下のようなユーザインタフェースで実現している。
【0186】
《ボードを使う方法》
キーボード49aでは、その矢印キー(図示せず)で次のように移動できる。
→ 右へ回転
← 左へ回転
↑ 前進
↓ 後退
【0187】
《マウスを使う方法》
マウス操作は、すべて左ボタンで行なう。
(1)Community Placeのウィンドウ内でマウス49bの左ボタンを押し、押した状態のまま押した地点よりも
右へ動かすと 右へ回転
左へ動かすと 左へ回転
上へ動かすと 前進
下へ動かすと 後退
する。マウスを動かした距離によって移動の速度が変化する。
(2)キーボード49aのCtrl(Control)キー(図示せず)を押した状態で、画面上の物体をクリックすると、その物体の正面まで移動する。
【0188】
ここで、以下の注意が必要である。
・物体にぶつかると衝突音がして、画面の枠が赤く点滅する。この場合はそれ以上先には進めないので、向きを変える。
・自分のいる場所がわからなくなったり、何も見えなくなったりした場合には、画面右の[Home]ボタンをクリックすると、初期位置に戻る。
【0189】
[ジャンピングアイ]
3次元空間をナビゲートしている間に、道に迷うことがある。そのような場合に、空に飛び上がって回りを見回すことができる。
(1)画面右の[Jump]ボタンをクリックすると、ジャンピングアイモードになり、上空からワールドを見下ろす位置にジャンプする。
(2)もう一度、[Jump]ボタンをクリックすると、元の位置に戻る。
(3)あるいは、ワールド内のどこかの地点をクリックするとその地点に降りる。
【0190】
[物体の選択]
画面上でマウスカーソルを動かすと、物体の上にさしかかったところでカーソルの形が手に変わるところがある。そこでマウス49bの左ボタンをクリックすると、物体の持つアクションを呼び出すことができる。
【0191】
[VRMLファイルの読み込み]
次の方法でVRMLファイルを読み込むことができる。
・NetscapeでVRMLファイルへのリンクをクリックする。
・Community Placeの「File..Open File」メニューでディスク上の拡張子wrlのファイルを選択する。
・Community Placeの「File..Open URL」メニューでURLを入力する。
・ワールド内の物体で、マウスカーソルに「URL」と表示されるものをクリックする。
【0192】
[ツールバーボタン操作]
ブラウザでは、良く使う機能をツールバーに並んでいるツールバーのボタンを使って以下のような操作を行うことができる。
[Back] 一つ前に読み込んだワールドに戻る。
[Forward] Backで戻った後、先のワールドへ再度進む。
[Home] 初期位置へ移動する。
[Undo] 物体を移動した後、元の場所に戻す(後述)。
[Bookmark] 現在のワールド、位置をブックマークに登録する。
[Scouter] スカウターモードにする(後述)。
[Jump] ジャンピングアイモードにする。
【0193】
[スカウタモード]
ワールドに置かれた物体は、E-VRMLの機能を用いて、文字列を情報として持つことができる。
(1)画面右の[Scouter]ボタンをクリックすると、スカウタモードに入る。
(2)画面上でマウスカーソルを動かすと、情報ラベルを持つ物体の上にさしかかったところで情報ラベルが表示される。
(3)もう一度[Scouter]ボタンをクリックすると、スカウタモードを終了する。
【0194】
[物体を動かす]
キーボード49aのAlt(Alternate)キー(図示せず)(機種によっては、graphキー)を押しながら物体の上でマウス49bの左ボタンを押し、押したままマウス49bを動かすと、物体を移動させることができる。これは、現実世界で、机の上のコーヒーカップを手で動かせるのと同じである。ただし、移動できるのは移動可能属性を持つ物体だけなので、あらゆる物体を移動できるわけではない。サンプルワールドではDigital HandyCamなどで物体を移動させることができる。なお、物体を移動させた後、1回分だけは[Undo]ボタンで元に戻すことができる。
【0195】
[マルチユーザサーバ端末への接続方法]
このブラウザは、マルチユーザ機能を持っている。マルチユーザ機能とは、同じVRMLの仮想空間を他のユーザと共有する機能である。現在、出願人は、Community Placeビューロをインターネット上で実験運用している。chatroomを読み込むことでサーバ端末に接続し、他のユーザと同じVRMLの仮想空間を共有し、一緒に歩き回ったり、部屋の電気を消したり、チャットしたりすることができる。
【0196】
これは、以下の手順で行なう。
(1)自分の使っているパーソナルコンピュータが、インターネットへ接続されていることを確認する。
(2)サンプルワールドのChatroomをブラウザに読み込む。これは、サンプルのCD−ROMの\Sony\readme.htmをNetscapeに読み込み、Chat Roomをクリックすることで行なう。
(3)メッセージウィンドウに「Connected to VS Server」と表示されれば、マルチユーザサーバ端末への接続が成功している。
【0197】
以上で、サーバ端末に接続される。他のユーザとのインタラクションには、次の2種類がある。
・他の人にアクションを伝える。
これは、actionウィンドウのHello,Smile,Wao!,Wooo!!,Umm...,Sad,Byeなどのボタンをクリックすることで実現される。また、アクションとしては、自分自身(アバタ)を左または右方向に36度、180度、または360度回転させることもできる。
・他の人と会話する。
これは、「View..Chat」メニューでChatウィンドウを開き、一番下の入力欄にキーボード49aからメッセージを入力することで実現される。
【0198】
[マルチユーザワールド]
サンプルのCD−ROMで提供されているマルチユーザのワールドは、次の3つである。なお、チャットはすべての世界で、共通に行うことができる。
(1)Chat Room
チャットをメインとする部屋であるが、いくつかのオブジェクトは、他のユーザと共有されている。左ボタンでクリックするとだんだん透明になるオブジェクトや、部屋の電気を消すスイッチや、クリックすると飛び回るオブジェクトなどがある。また、秘密の穴などもある。
(2)Play with a ball!
仮想空間に浮かぶボールをクリックすると、自分の方に飛んでくる。このボールは、その空間にいるすべてのユーザで共有され、他のユーザとキャッチボールすることができる。
(3)Share your drawing
仮想空間にホワイトボードが置かれており、それを左ボタンでクリックすると共有ホワイトボードが表示される。左ボタンでドラッグすることでボードに描画することができ、それは、その空間にいる他のユーザと共有できる。
【0199】
Community Place Bureauを使えば、Community Place Browserを使ったユーザ同志がVRML1.0で記述された世界に一緒に入り込むことができる。このため、3次元仮想現実空間を提供するには、まず、VRML1.0で記述されたファイルを用意する必要がある。その後、ビューロ(以下、適宜、Cyber Passage Bureauを、単に、ビューロ(Bureau)と称する)を適当なパーソナルコンピュータで動作させる。さらに、そのVRML1.0のファイルに、ビューロの動いているパーソナルコンピュータを知らせる行を追加する。そのVRMLファイルを、Community Place Browserに読み込ませれば、ブラウザ(以下、適宜、Cyber Passage Browserを、単に、ブラウザ(Browser)と称する)はビューロに接続される。
【0200】
接続がうまく行けば、仮想世界の中でユーザ同志がお互いに見え、会話を行うことができる。さらに、適当なスプリクトをファイルに書き込むことにより、アクションパネルを使って、喜怒哀楽を表現することができる。
【0201】
Community Place Browserは、TCLを用いた動作記述用のインタフェースを用意している。これを使うことにより、仮想世界の中のオブジェクトに動きを付けて、さらに、それをブラウザ間で同期させることができる。これにより、工夫次第で、3Dゲームなどを複数のユーザで楽しむことが可能となる。
【0202】
マルチユーザの仮想世界を楽しむには、VRMLファイルの準備、ビューロの起動、ブラウザの接続の3つのステップがある。
【0203】
[VRMLファイルの準備]
まず、自分の気に入ったVRML1.0のファイルを用意する。このファイルは、自分で作成するか、あるいはフリーのものを持ってくることができる。そのファイルが、マルチユーザの仮想世界の舞台となる。
【0204】
[ビューロの起動]
Community Place Bureauの動作環境は次の通りである。
CPU 486SX以上
OS Windows 95
メモリ 12MB以上
【0205】
このビューロは、ダウンロードしてきたファイルを実行するだけで、起動することができる。実行すると、いくつかのメニューのついたメニューバーだけが表示される。起動直後は、ビューロは停止状態であり、Viewメニューをプルダウンして、statusを選べば、statusウインドウが表示され、現在のビューロの状態が判るようになる。なお、このとき、停止中であるのか、動作中であるのかの状態の他、接続しているユーザビューロが接続を待っているポート番号も表示される。
【0206】
ビューロは、起動直後はTCPのポート5126番で接続を待つように設定されている。このポート番号を変更するには、optionsメニューをプルダウンして、portを選択する。新しいポート番号の入力を促されたら、5000以上のポート番号を入力する。どのポートを使えばよいか判らない場合には、特に設定をせず、デフォルト値(5126)を使用することができる。
【0207】
停止中のビューロを動作させるには、runメニューをプルダウンして、startを選択する。サーバ端末は、指定されたポートで接続を待つようになる。このとき、statusウインドウで表示されている状態は、runningになる。
【0208】
このように、ビューロの準備が完了した後、ブラウザがビューロに接続してきたとき、ビューロは、そのブラウザの位置を他のブラウザに教えたり、会話や動作の情報を受け渡しする。
【0209】
ビューロのstatusウインドウは、ユーザからの接続が来る度に更新されるので、このウインドウを使うことにより、その世界に入っているユーザを確認することができる。
【0210】
[ブラウザの接続]
ブラウザをビューロに接続するには、次の2つのことが必要となる。1つは、ブラウザにどのビューロに接続するのかを指示することである。これは、VRMLファイルにinfoノードを書き込むことにより行われる。そして、もう1つは、自分が他のユーザから見えるように、自分のアバタのファイルを適当なディレクトリにコピーすることである。
【0211】
[VRMLファイルへの追加]
接続するビューロを指定する行をVRMLファイルに書き込むとき、ビューロが動いているパーソナルコンピュータの名称と、ポート番号を指定する。この場合の書式は次のようになる。
DEF VsServer Info {string"サーバ名:ポート番号"}
【0212】
サーバ端末名は、ビューロの動作しているインターネットでのマシン名(例えばfred.research.sony.com)、またはそのIPアドレス(例えば123.231.12.1)になる。ポート番号は、ビューロで設定したポート番号である。
【0213】
従って、上記した書式は例えば次のようになる。
DEF VsServer Info {string"fred.research.sony.com:5126"}
【0214】
また、図25の例においては、共有サーバ端末11−1のIPアドレスは、43.0.35.117とされているので、この場合には、上記した書式は次のようになる。
DEF VsServer Info { string "43.0.35.117:5126"}
【0215】
このような書式を用意したVRMLファイルの
#VRML V1.0 ascii
の下の行に追加する。
【0216】
[アバタファイルのコピー]
Community Place Browserは、Community Place Bureauに接続されたとき、それに対し、自分のアバタを通知する。所定のアバタが他のアバタと出会ったとき、ビューロは、この情報を他のブラウザに通知することにより、所定のアバタを他のブラウザに表示させる。このため、所定のアバタのVRMLファイルを予め適当な場所にコピーする必要がある。
【0217】
次に、ビューロ(共有サーバ端末11)におけるブラウザ(クライアント端末13)の管理について説明する。
【0218】
ビューロは、自身に接続しているブラウザを、例えば、図27に示すようなユーザ管理テーブルによって管理するようになされている。
【0219】
即ち、ビューロは、ブラウザが接続しにくると、そのブラウザに、ユニークなユーザIDを付与する。さらに、ビューロは、そのブラウザのユーザ(アバタ)のニックネーム、そのユーザが使用するアバタの各種のパラメータ、および仮想現実空間における、そのアバタの座標(共有空間座標)(位置情報)をブラウザから取得し、これら(以下、適宜、共有データという)を、ユーザIDに対応付けて、ユーザ管理テーブルに登録する。なお、図27(A)の実施の形態では、ブラウザに対して、ビューロに接続しに来た順番に、1から、整数のユーザIDが付されるようになされている。また、図27(A)は、64のブラウザ(ユーザ)がビューロに接続しているときのユーザ管理テーブルを示している。
【0220】
ビューロは、接続しに来たブラウザのユーザIDと共有データを、ユーザ管理テーブルに登録すると、仮想現実空間において、そのユーザの周囲に存在するユーザを、ユーザ管理テーブルを参照することで認識し、そのユーザについてのユーザIDと共有データとを、例えば、図27(B)に示すようにテーブル(以下、適宜、周囲情報テーブルという)にし、接続しに来たブラウザに送信する。この周囲情報テーブルは、上述の更新情報に相当し、従って、各ブラウザでは、この周囲情報テーブルを用いて、他のユーザのアバタの状態が更新される。さらに、ブラウザでは、周囲情報テーブルを用いて、後述するようなレーダの機能も実現される。
【0221】
次に、図28を参照して、周囲情報テーブルの生成方法について説明する。
【0222】
ビューロは、ブラウザが接続しに来ると、図28に実線で示すように、例えば、そのブラウザのユーザを中心とする所定の半径Rvの球を、視認可能領域(Visible Area)(オーラ)として設定する。そして、この視認可能領域内に存在する、他のユーザを、ユーザ管理テーブル(図27(A))に登録されている共有空間座標から認識し、その認識したユーザについてのユーザIDと共有データをテーブル化することで、図27(B)に示した周囲情報テーブルを生成する。従って、図27(B)に示した周囲情報テーブルは、接続しに来たブラウザのユーザが存在する位置を中心とする半径Rvの球の中に、ユーザIDが02乃至11の10人が存在する場合に生成されたものを表している。
【0223】
ここで、上述したように、ブラウザでは、周囲情報テーブルを用いて、他のユーザのアバタの状態が更新されるから、あるブラウザに注目した場合、その注目ブラウザに送信される周囲情報テーブルに登録されていないユーザ、即ち、視認可能領域の外に存在するユーザについての情報は、注目ブラウザにおいて表示される仮想現実空間に、なんら反映されないが、これは、次のような理由による。
【0224】
即ち、まず、第1に、現実の空間においても、人間が見ることのできるは、自己を中心とした所定の範囲における状態の変化に限られるためである。そして、第2に、仮想現実空間に存在するすべてのユーザについての情報を、ビューアからブラウザに送信する場合、その仮想現実空間に、莫大な数のユーザが存在するときには、ネットワークのトラフィックも莫大なものとなるためである。
【0225】
なお、視認可能領域内に、多くのユーザが入り込み、これにより、ネットワークのトラフィックが増加することが考えられる。そこで、周囲情報テーブルには、例えば、所定の人数(例えば、10人など)までのユーザについての情報だけを登録するように制限することが可能である。即ち、視認可能領域に、所定の人数のユーザが入り込んだときには、誰かが、その視認可能領域の外に出るまでは、それ以後に、視聴可能領域に入り込んだユーザについての情報は、周囲情報テーブルに登録しないようにすることができる。あるいは、また、視認可能領域内に、所定の人数を越えたユーザが入り込んだときには、そのうちの、視認可能領域の中心から近い位置に居る所定の人数のユーザについての情報だけを、周囲情報テーブルに登録するようにすることなども可能である。
【0226】
次に、図28に示した実施の形態では、視認可能領域の他に、チャット可能領域も設定されるようになされている。
【0227】
即ち、ビューロは、ブラウザが接続しに来ると、図28に点線で示すように、例えば、そのブラウザのユーザを中心とする所定の半径Raの球を、チャット可能領域(Chat enable Area)(オーラ)として設定する。そして、ビューロは、このチャット可能領域内に存在するユーザどうしでのみチャットを行うことができるように制御を行う。このようにチャットすることのできる範囲を制限するのは、上述の視認可能領域における場合と同様に、現実の空間において、人間が話しをすることのできるは、自己を中心とした所定の範囲に居る人間とに限られ、また、ネットワークのトラフィックが莫大なものとなることを防止するためである。
【0228】
ここで、図28の実施の形態では、チャット可能領域が、視認可能領域より小さくなっているが、これは、現実の世界において、一般的に、聴くことのできる範囲が、見ることができる範囲よりも狭いことに対応させるためである。但し、チャット可能領域は、必ずしも、視認可能領域より狭い範囲にする必要はない。
【0229】
なお、視認可能領域およびチャット可能領域の形状は、球に限定されるものではなく、例えば、円柱その他の任意の形状とすることが可能である。
【0230】
また、視認可能領域(チャット可能領域についても同様)である球の半径は固定としても良いが、可変とすることも可能である。即ち、例えば、視認可能領域の半径は、ビューロにおいて、その領域内に、常時、所定の人数のユーザが入るような値に変化させるようにすることが可能である。あるいは、ブラウザ側において、任意の値に設定するようにすることも可能である。
【0231】
次に、図29は、ブラウザの表示例を示している。
【0232】
ブラウザが起動されると、メインウインドウ201がオープンされ、そこに、仮想現実空間(ワールド)が表示される。さらに、ブラウザがビューロに接続され、そのビューロから周囲情報テーブルが送信されてくると、メインウインドウ201には、その周囲情報テーブルに基づいて、他のユーザのアバタが表示される。図29の実施の形態では、2つのアバタAおよびBが表示されている。
【0233】
また、図29の実施の形態では、メインウインドウ201の右側に、マルチユーザウインドウ202がオープンされている。このマルチユーザウインドウ202は、ブラウザがビューロに接続されると、即ち、同一の仮想現実空間が他のユーザと共有状態となると、オープンされるようになされている。このマルチユーザウインドウ202に、文字列を入力すると、その文字列が、ビューロを介して、そのビューロと接続されている、他のブラウザ(但し、チャット可能領域内に居るユーザのブラウザ)に送信され、また、マルチユーザウインドウ202には、このようにして他のブラウザから送信されている文字列が表示され、これにより、チャット可能領域内に居るユーザとチャットをすることができるようになされている。
【0234】
ところで、ブラウザには、レーダの機能が備えられている。即ち、メインウインドウのMultiUserメニューから、Radar Mapアイテムを選択すると、ブラウザでは、そのメインウインドウ201の、例えば、右上に、仮想現実空間に重ねて(重畳して)、円に十字形を加えた座標系上に、他のユーザの位置を示したグラフィックスであるレーダ203が表示(スーパインポーズ)される。
【0235】
ここで、図30は、レーダ203の詳細を示している。
【0236】
レーダ203の十字形の中心(交点)が自己の位置に対応しており、そこには、自己の周囲に居るユーザの位置が、例えば、赤などの所定の色を付した点や四角形などで示されている。なお、図30の実施の形態では、図29に示したアバタ(ユーザ)AおよびBの位置が示されている。
【0237】
ブラウザは、Radar Mapアイテムが選択されると、例えば、次のようにしてレーダ203を生成して、メインウインドウ201に表示された仮想現実空間にオーバレイさせる。
【0238】
即ち、ブラウザは、上述したように、ビューロから送信されてくる周囲情報テーブルを取得し、その共有空間座標から、他のユーザが存在する、仮想現実空間の位置を認識する。そして、ブラウザは、そのユーザ(ブラウザのユーザ)が存在する位置と、認識した他のユーザの位置とから、他のユーザの位置を、レーダ203に反映させ、メインウインドウ201に、仮想現実空間と重ねて表示させる。
【0239】
従って、本実施の形態では、レーダ203には、視認可能領域内に存在するユーザの位置のみが反映される。
【0240】
よって、仮想現実空間に、他のユーザが居たとしても、そのユーザが、視認可能領域内に居ない場合には、そのユーザの位置は、レーダ203に表示されないことになる。この場合、ユーザに、仮想現実空間の中に、自分以外に誰もいないと勘違いさせることになる。そこで、マルチユーザウインドウの左下には、人数インジケータ204が設けられており、そこには、仮想現実空間の中に居るユーザの総数が表示されるようになされている。
【0241】
なお、仮想現実空間内のユーザの総数は、ビューロから送信されてくるようになされており、ブラウザでは、これが受信されて、人数インジケータ204に反映される。
【0242】
図29の実施の形態では、人数インジケータ204は、仮想現実空間に、4人のユーザが居ることを示している(図29の実施の形態では、メインウインドウ201に2人のユーザ(アバタ)が表示されているから、その他に、2人のユーザが居ることになる)。
【0243】
さらに、図29の実施の形態では、人数インジケータ204の右側に、要求ボタン205が設けられている。ユーザが、マウス46bなどを操作して、この要求ボタン205をクリックすると、ブラウザは、例えば、図31に示すように、ニックネームウインドウ206をオープンし、そこに、視認可能領域内に存在するユーザのニックネームのリスト(名前リスト)を表示する。
【0244】
即ち、ブラウザは、ビューロから、周囲情報テーブル(図27(B))(名前リスト)を取得し、これにより、視認可能領域内にいる、他のユーザのニックネームを認識する。さらに、ブラウザは、そのニックネームを、共有空間座標に基づいて、自己の位置から近い位置にいるユーザの順に並べ替え、ニックネームウインドウ206に、その並べ替えたニックネームをリスト形式で表示する。
【0245】
従って、ユーザは、ニックネームを、容易に認識し、これにより、3次元仮想現実空間を共有する他のユーザ(但し、ここでは、視認可能領域内に居るユーザ)を、容易に認識(特定)することができる。
【0246】
なお、ブラウザでは、カーソルを、メインウインドウ201に表示されたアバタ上に移動することによっても、そのアバタのニックネームが表示されるようになされている。
【0247】
以上のようにして、ニックネームが表示された後、その表示されたニックネームのうちのいずれかが、その位置にカーソルが移動されてクリックされることにより指定されると、ブラウザは、例えば、図32に示すように、そのニックネームが付されたアバタの正面の位置に移動する。
【0248】
従って、この場合、所望するユーザが居る位置に、容易に移動することができる。
【0249】
なお、図32の実施の形態は、図31において、ニックネーム「kamachi」がクリックされ、そのニックネーム「kamachi」が付されたアバタの正面に移動した状態を示している。
【0250】
次に、図33のフローチャートを参照して、上述のブラウザの処理について、さらに説明する。
【0251】
まず最初に、ステップS201では、ビューロから送信されてくる、仮想現実空間内に存在するユーザの総数が受信され、これにより、その総数が認識される。そして、ステップS202において、人数インジケータ204に、その総数が表示され、ステップS203に進み、要求ボタン205がクリックされたかどうかが判定される。ステップS203において、要求ボタン205がクリックされていないと判定された場合、ステップS201に戻る。
【0252】
また、ステップS203において、要求ボタン205がクリックされたと判定された場合、ステップS204に進み、ビューロから送信されてくる周囲情報テーブルに基づいて、自己の周囲にいるユーザ(アバタ)(視認可能領域内に居るユーザ)が認識される。そして、ステップS205において、ニックネームウインドウがオープンされ、ステップS204で認識されたユーザのニックネームがリスト形式で表示される。
【0253】
その後、ステップS206に進み、ニックネームウインドウに表示されたニックネームのうちのいずれかがクリックされたかどうかが判定される。ステップS206において、ニックネームがクリックされていないと判定された場合、ステップS206に戻る。また、ステップS206において、ニックネームがクリックされたと判定された場合、ステップS207に進み、そのクリックされたニックネームが付されたアバタの正面に移動し、処理を終了する。
【0254】
ところで、レーダ203に表示されるユーザと、ニックネームウインドウ206に表示されるユーザとは、いずれも視認可能範囲にいるユーザであるから、その数は一致する。即ち、ニックネームウインドウ206には、レーダ203に位置が表示されるユーザについてのニックネームが表示される。
【0255】
従って、ニックネームウインドウ206にニックネームが表示されたユーザと、レーダ203に位置が表示されたユーザとの対応関係がわかれば便利である。
【0256】
本実施の形態では、ニックネームが、自分からの距離が近い順に表示されるので、レーダ203を見ることで、どの位置にいるユーザが、どのニックネームに対応するのかを、ある程度想像することができるが、例えば、次のようにすることにより、ニックネームと、そのユーザの位置とを対応関係を、より明確に認識することが可能となる。
【0257】
即ち、例えば、レーダ203に、ユーザの位置を、各ユーザごとに異なる色の点などを用いて表示するとともに、各ユーザに用いた色を、そのユーザのニックネームを表示するのに用いるようにする。あるいは、また、例えば、レーダ203に、ユーザの位置を、各ユーザごとに異なる番号を用いて表示するとともに、各ユーザに用いた番号を、そのユーザのニックネームとともに表示するようにしても良い。
【0258】
以上、本発明を、ネットワーク15として、インターネットを採用するとともに、WWWを利用する場合について説明したが、本発明は、ネットワーク15として、インターネット以外の広域通信網を採用した場合、また、WWW以外のシステムを採用した場合においても、実現可能である。
【0259】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、3次元仮想現実空間を共有する他のユーザを、容易に認識、特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したサイバースペースシステムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】WWWを説明するための図である。
【図3】URLの例を示す図である。
【図4】図1の情報サーバ端末10の構成例を示すブロック図である。
【図5】図1の共有サーバ端末11の構成例を示すブロック図である。
【図6】図1のマッピングサーバ端末12の構成例を示すブロック図である。
【図7】図1のクライアント端末13の構成例を示すブロック図である。
【図8】図1のサービス提供者端末14の構成例を示すブロック図である。
【図9】図1のサイバースペースシステムにより形成される仮想現実空間を説明する図である。
【図10】図9のアバタCからの視野を説明する図である。
【図11】図9のアバタDからの視野を説明する図である。
【図12】図1の実施例におけるサイバースペースシステムの一部の割当空間を説明する図である。
【図13】図12のアバタCからの視野を説明する図である。
【図14】図12のアバタFからの視野を説明する図である。
【図15】クライアント端末13(サービス提供者端末14)の動作を説明するフローチャートである。
【図16】情報サーバ端末10の動作を説明するフローチャートである。
【図17】マッピングサーバ端末12の動作を説明するフローチャートである。
【図18】共有サーバ端末11の動作を説明するフローチャートである。
【図19】クライアント端末13と、情報サーバ端末10、共有サーバ端末11、またはマッピングサーバ端末12それぞれとの間の通信手順を説明するための図である。
【図20】同一の仮想現実空間に配置された更新オブジェクトを管理する共有サーバ端末が複数存在する場合を説明するための図である。
【図21】クライアント端末13の他の構成例を示すブロック図である。
【図22】基本オブジェクトと更新オブジェクトの格納先を説明する図である。
【図23】基本オブジェクトと更新オブジェクトの配置を説明するための図である。
【図24】サイバースペースシステムを実現するためのソフトウエアを説明するための図である。
【図25】クライアント端末13−1と共有サーバ端末11−1の上で動作するソフトウエアを説明する図である。
【図26】ソフトウエアが動作する環境を説明する図である。
【図27】ユーザ管理テーブルと周囲情報テーブルを示す図である。
【図28】オーラ(視認可能領域およびチャット可能領域)を示す図である。
【図29】ブラウザにおける画面の表示例を示す写真である。
【図30】レーダ203を示す図である。
【図31】ブラウザにおける画面の表示例を示す写真である。
【図32】ブラウザにおける画面の表示例を示す写真である。
【図33】ブラウザの処理を説明するためのフローチャートである。
【図34】従来のサイバースペースシステムの一例の構成を示すブロック図である。
【図35】図34のクライアント端末3−1の表示例を示す図である。
【図36】図34のクライアント端末3−2の表示例を示す図である。
【図37】従来のLANを介して構築されたサーバースペースシステムの通信手段を示す概念図である。
【符号の説明】
10 情報サーバ端末, 11 共有サーバ端末, 12 マッピングサーバ端末, 13−1乃至13−3 クライアント端末(情報処理装置), 15 ネットワーク(広域通信網), 21 CPU, 22 ROM, 23 RAM, 24 通信装置, 25 表示装置, 26 マイク, 27 スピーカ, 28 インターフェース, 29 入力装置, 30 記憶装置, 41 CPU(表示処理手段), 42 ROM, 43 RAM, 44 通信装置(取得処理手段), 45 表示装置, 46 マイク, 47 スピーカ, 48 インターフェース, 49 入力装置, 50 記憶装置, 81 CPU, 82 ROM, 83 RAM, 84 通信装置, 85 記憶装置,91 CPU, 92 ROM, 93 RAM, 94 通信装置, 95記憶装置, 130 ドメインネームサーバ, 201 メインウインドウ,202 マルチユーザウインドウ, 203 レーダ, 204 人数インジケータ, 205 要求ボタン, 206 ニックネームウインドウ
Claims (5)
- 入力装置を用いて入力されたユーザからの指示に応じて3次元仮想現実空間における位置が更新される更新オブジェクトに関する3次元グラフィックスデータを取得して、3次元仮想現実空間の画像を表示装置に表示させる複数の情報処理装置と、前記各情報処理装置から各々通知される前記更新オブェクトの位置の更新に関する更新データと前記更新オブジェクトの名前とを管理する共有サーバ端末とを、ネットワークを介して接続した3次元仮想現実空間共有システムにおける情報処理装置であって、
前記入力装置を用いて入力されたユーザからの移動指示に応じて前記3次元仮想現実空間における前記更新オブジェクトの位置を更新し、更新した位置に関する更新データを前記更新オブジェクトの名前と共に、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末に送信させる送信制御手段と、
前記複数の情報処理装置から送信された前記更新データと前記更新オブジェクトの名前に基づいて前記共有サーバ端末において生成される、前記ユーザに対応する更新オブジェクトの位置を基準とする所定の範囲内に存在する他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前と位置とが含まれた周囲情報テーブルを、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末から受信させる受信制御手段と、
前記周囲情報テーブルから他のユーザの更新オブジェクトの位置を取得し、前記他のユーザに対応する更新オブジェクトと前記ユーザに対応する更新オブジェクトがその位置に応じて配置される前記3次元仮想現実空間の画像を前記表示装置に表示させるとともに、受信された前記周辺情報テーブルから前記他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前を読み出して前記表示装置にリスト表示させる表示制御手段と、
前記入力装置を用いて入力されたユーザからの選択指示によって前記リスト表示された名前の中から他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前が選択されたことに対応し、前記ユーザに対応する更新オブジェクトを、選択された前記名前に対応する更新オブジェクトの正面の位置に移動させる移動制御手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。 - 前記表示制御手段は、ユーザによって所定の操作が行われたとき、前記名前を前記表示装置にリスト表示させる
ことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記表示制御手段は、前記周囲情報テーブルに含まれる名前の数も前記表示装置に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記周囲情報テーブルには、他のユーザに対応する更新オブジェクトの更新データが含まれ、
前記表示制御手段は、前記名前をリスト表示させる時の順序を、前記他のユーザに対応する更新オブジェクトの更新データに基づき、前記ユーザに対応する更新オブジェクトと他のユーザに対応する更新オブジェクトとの間の位置関係に応じて変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 入力装置を用いて入力されたユーザからの指示に応じて3次元仮想現実空間における位置が更新される更新オブジェクトに関する3次元グラフィックスデータを取得して、3次元仮想現実空間の画像を表示装置に表示させる複数の情報処理装置と、前記各情報処理装置から各々通知される前記更新オブェクトの位置の更新に関する更新データと前記更新オブジェクトの名前とを管理する共有サーバ端末とを、ネットワークを介して接続した3次元仮想現実空間共有システムにおける情報処理装置の情報処理方法であって、
前記入力装置を用いて入力されたユーザからの移動指示に応じて前記3次元仮想現実空間における前記更新オブジェクトの位置を更新し、更新した位置に関する更新データを前記更新オブジェクトの名前と共に、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末に送信させ、
前記複数の情報処理装置から送信された前記更新データと前記更新オブジェクトの名前に基づいて前記共有サーバ端末において生成される、前記ユーザに対応する更新オブジェクトの位置を基準とする所定の範囲内に存在する他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前と位置とが含まれた周囲情報テーブルを、前記ネットワークを介して前記共有サーバ端末から受信させ、
前記周囲情報テーブルから他のユーザの更新オブジェクトの位置を取得し、前記他のユーザに対応する更新オブジェクトと前記ユーザに対応する更新オブジェクトがその位置に応じて配置される前記3次元仮想現実空間の画像を前記表示装置に表示させるとともに、受信された前記周辺情報テーブルから前記他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前を読み出して前記表示装置にリスト表示させ、
前記入力装置を用いて入力されたユーザからの選択指示によって前記リスト表示された名前の中から他のユーザに対応する更新オブジェクトの名前が選択されたことに対応し、前記ユーザに対応する更新オブジェクトを、選択された前記名前に対応する更新オブジェクトの正面の位置に移動させる
ステップとを含むことを特徴とする情報処理方法。
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