JP3873525B2 - Valve timing adjustment device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、「内燃機関」をエンジンという)の吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミング(以下、「開閉タイミング」をバルブタイミングという)を運転条件に応じて変更するためのバルブタイミング調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンのクランクシャフトと同期回転するタイミングプーリやチェーンスプロケットを介してカムシャフトを駆動し、タイミングプーリやチェーンスプロケットとカムシャフトとの相対回動による位相差により吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方のバルブタイミングを油圧制御するベーン式のバルブタイミング調整装置が知られている。このような作動流体を用いたベーン式のバルブタイミング装置では、吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を駆動することにより正・負に変動する負荷トルクをカムシャフトが受けるので、例えばエンジン始動開始時のクランキング時のように作動流体が充分に供給されていない状態において、ベーン部材を収容するハウジング部材に対しベーン部材が揺動しハウジング部材とベーン部材との衝突により打音が発生するという問題がある。負荷トルクの正方向はクランクシャフトに対しカムシャフトの遅角方向を示し、負荷トルクの負方向はクランクシャフトに対しカムシャフトの進角方向を示している。
【0003】
そこで、特開平9−60508号公報に開示されるバルブタイミング調整装置のように、油圧室に作動流体が充分に供給されていない状態において、例えばベーン部材に収容したストッパピストンをハウジング部材に嵌合させることによりハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止し、打音の発生を防止するものが知られている。作動流体が充分に供給されると流体圧力によりストッパピストンがハウジング部材から抜けるので、ハウジング部材に対しベーン部材を相対回動制御できる。ハウジング部材にストッパピストンを嵌合させる位置は、ハウジング部材に対しベーン部材が最遅角か最進角にあるときである。つまり、クランクシャフトに対しカムシャフトが最遅角か最進角にあるときである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最遅角でストッパピストンがハウジング部材に嵌合した状態でエンジンを始動する場合、エンジン始動開始時において遅角油圧室に作動流体が供給される前に進角油圧室に作動流体を供給し、進角油圧室の流体圧力によりハウジング部材からストッパピストンを抜きハウジング部材に対しベーン部材を進角方向に回転させると、遅角油圧室に作動流体が供給されていなので、負荷トルクの変動によりハウジング部材に対しベーン部材が揺動しながら進角側に回転し、打音が発生する。
【0005】
この打音の発生を防止するため、エンジン始動開始時まず遅角油圧室に作動流体が供給される。遅角油圧室に充分に作動流体が充填された後、進角油圧室に作動流体を供給することにより進角油圧室の流体圧力によりハウジング部材からストッパピストンを抜き、ハウジング部材に対しベーン部材を進角方向に回転させる。遅角油圧室および進角油圧室に作動流体が充填された状態でハウジング部材に対しベーン部材を進角方向に回転させ位相制御を行うので、負荷トルクの変動によりハウジング部材に対しベーン部材が揺動することを防止している。
【0006】
しかしながら、エンジン始動開始後、遅角油圧室に作動流体が充分に供給されるまでの間ベーン部材を進角方向に回転させることを禁止する進角禁止制御が必要である。特に低温時においては作動流体の粘度が高いので、遅角油圧室に充分に作動流体が供給されるまでに要する時間が長くなり、進角禁止時間が長くなるという問題がある。
本発明の目的は、エンジン始動開始後速やかに位相制御を実行し、打音の発生を防止することができるバルブタイミング調整装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のバルブタイミング調整装置によると、流体供給手段は、遅角室と進角室とを連通可能な連通路を有し、当接部と被当接部とが拘束状態にあるとき連通路を開放し、当接部と被当接部とが拘束解除状態にあるとき連通路を閉塞する。したがって、当接部と被当接部とがハウジング部材とベーン部材とを拘束している相対回動位置に関わらず、エンジン始動開始後作動流体の圧力が充分に上昇していない状態で当接部と被当接部との拘束が解除されても、遅角室および進角室の両室に充填された作動流体がハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止する。
さらに、連通路を介し遅角室および進角室にほぼ同時に作動流体を供給するので、エンジン始動開始時における打音の発生を防止するとともに、速やかにハウジング部材に対するベーン部材の位相制御を実行することができる。
【0008】
さらに、本発明の請求項1記載のバルブタイミング調整装置によると、連通路を介し遅角室または進角室の一方から他方に作動流体が供給され、遅角室または進角室の他方に供給された作動流体の圧力により当接部と被当接部との拘束状態が解除される。遅角室および進角室の両室に作動流体が充填されてから当接部と被当接部との拘束状態が解除されるので、作動流体の圧力が充分に上昇していない状態で当接部と被当接部との拘束状態が解除されても、両室に充填された作動流体によりハウジング部材に対するベーン部材の揺動を防止する。さらに、連通路を介し遅角室および進角室にほぼ同時に作動流体を供給するので、エンジン始動開始時における打音の発生を防止するとともに、速やかにハウジング部材に対するベーン部材の位相制御を実行することができる。
【0009】
本発明の請求項2記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部の変位に伴い連通路が開放または閉塞される。他に連通路の開閉手段を設ける必要がないので、部品点数を低減し、バルブタイミング装置の構成を簡単化できる。
本発明の請求項3記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部と被当接部との拘束状態において遅角室と進角室とを連通し両室に作動流体を供給する連通路の作動流体圧力は被当接部に前記当接部を付勢する方向に働く。当接部と被当接部との拘束状態を解除する方向に働く作動流体圧力が充分に上昇する前に当接部と被当接部との拘束状態が解除されることを防止するので、作動流体圧力が充分に上昇するまでハウジング部材とベーン部材とは拘束される。当接部と被当接部との拘束状態が解除されるとき、遅角室および進角室に供給された作動流体の圧力は充分に上昇しているので、ハウジング部材に対しベーン部材が揺動することを防止し、打音の発生を確実に防止する。
【0010】
本発明の請求項4記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部および被当接部の少なくともいずれか一方の当接側端部はテーパ状に形成されている。したがって、当接部が被当接部に滑らかに当接する。
本発明の請求項5記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部の被当接部との当接側端面は広角のテーパ面を有する。したがって、ハウジング部材に対しベーン部材が相対回動中に作動流体圧力の低下により当接部が被当接部との拘束方向に移動し当接部が被当接部と接触しても、広角のテーパ面が接触衝撃を低減する。
【0011】
本発明の請求項6記載のバルブタイミング調整装置によると、遅角室または進角室の一方に作動流体を供給し、遅角室または進角室の他方からの作動流体の排出を防止する切換手段を備えている。したがって、当接部と被当接部との拘束状態が解除された状態で遅角室および進角室の作動流体圧力を保持し、ハウジング部材に対しベーン部材が揺動することを確実に防止する。
【0012】
本発明の請求項7記載のバルブタイミング調整装置によると、作動流体供給路および作動流体排出路と遅角室および進角室との連通を切り換える切換弁が請求項7記載の切換手段を有するので、部材を増加することなく切換手段を構成できる。したがって、切換手段および切換弁の制御を同一の制御系により行える。さらに、流体通路の構成を簡略化できる。
【0013】
本発明の請求項8記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部との当接方向に当接部が移動する速度を低減するダンパ手段を備えている。例えば当接部と被当接部との拘束位置が最遅角位置と最進角位置との中間に設定された場合、ハウジング部材に対しベーン部材が相対回動し、当接部が被当接部に当接可能な中間位置をベーン部材が通過するとき、被当接部と当接部との拘束を解除する方向に働く作動流体圧力が低下しても当接部が被当接部側に移動する速度を低減するので、当接部が被当接部に当接する前にベーン部材が中間位置を通過する。したがって、ハウジング部材に対しベーン部材が滑らかに相対回動する。
【0014】
本発明の請求項9記載のバルブタイミング調整装置によると、拘束解除状態から拘束状態に移行するときにダンパ室が開放される。したがって、当接部が被当接部と速やかに当接する。
本発明の請求項10記載のバルブタイミング調整装置によると、当接部の被当接部との反当接側空間は、拘束位置近傍において大気開放される。したがって、当接部と被当接部との拘束状態を解除する作動流体が供給されると当接部が被当接部との拘束解除方向に速やかに変位し、拘束状態が速やかに解除される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例によるエンジン用バルブタイミング調整装置を図2に示す。第1実施例のバルブタイミング調整装置1は油圧制御式であり、吸気弁のバルブタイミングを制御するものである。
【0016】
図2に示すハウジング部材の一方の側壁であるタイミングギア10は、図示しないギア列により図示しないエンジンの駆動軸としてのクランクシャフトと結合して駆動力を伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。従動軸としてのカムシャフト2は、タイミングギア10から駆動力を伝達され、図示しない吸気弁を開閉駆動する。カムシャフト2は、タイミングギア10に対し所定の位相差をおいて回動可能である。タイミングギア10およびカムシャフト2は図1に示す矢印X方向からみて時計方向に回転する。以下この回転方向を進角方向とする。
【0017】
タイミングギア10とシューハウジング12およびベーンロータ15との間には、薄板状に形成された中間プレート17が介在している。中間プレート17はタイミングギア10とシューハウジング12およびベーンロータ15との間からの油漏れを防止している。タイミングギア10、シューハウジング12および中間プレート17は駆動側回転体としてハウジング部材を構成し、ボルト20により同軸上に固定されている。
【0018】
シューハウジング12は周壁13とハウジング部材の他方の側壁であるフロントプレート14とからなり一体に形成されている。図4に示すように、シューハウジング12は周方向にほぼ等間隔に台形状に形成されたシュー12a、12b、12cを有している。シュー12a、12b、12cの周方向の三箇所の間隙にはそれぞれベーン部材としてのベーン15a、15b、15cを収容する扇状の収容室50が形成されており、シュー12a、12b、12cの内周面は断面円弧状に形成されている。
【0019】
ベーン部材としてのベーンロータ15は周方向にほぼ等間隔にベーン15a、15b、15cを有し、ベーン15a、15b、15cは各収容室50内に回動可能に収容されている。各ベーンは、各収容室50を遅角油圧室と進角油圧室とに二分している。図4に示す遅角方向、進角方向を表す矢印は、シューハウジング12に対するベーンロータ15の遅角方向、進角方向を表している。図2に示すように、ベーンロータ15およびブッシュ22は、ボルト21によりカムシャフト2に一体に固定されており、従動側回転体を構成している。カムシャフト2に対するベーンロータ15の回転方向の位置決めは、ピン23により行われている
【0020】
カムシャフト2およびブッシュ22はそれぞれタイミングギア10の内周壁10aおよびフロントプレート14の内周壁14aに相対回動可能に嵌合している。したがって、カムシャフト2およびベーンロータ15はタイミングギア10およびシューハウジング12に対し同軸に相対回動可能である。タイミングギア10の内周壁10aおよびフロントプレート14の内周壁14aは従動側回転体の軸受け部を構成している。
【0021】
図3に示すように、進角手段としてのスプリング24はタイミングギア10に形成された円筒状の凹部11内に収容されている。スプリング24の一端24aは凹部11の係止部11aに係止され、他端24bは中間プレート17に形成されている長穴17a内を通りベーンロータ15の凹部16に圧入されているスプリング止め25に係止されている。図4に示すように、シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動するときにスプリング24の他端24bを回動可能にするため長穴17aは周方向に延びる円弧状に形成されている。長穴17aの周方向長さは、ベーン15bの周方向長さより短い。これは、ベーンロータ15が相対回動しても、遅角油圧室52と進角油圧室55とが長穴17aが形成する空間により連通することを防止するためである。また、スプリング24を収容する凹部11が形成する空間はスプリング24の挿入側以外を密封されているので、シューハウジング12に対するベーンロータ15の回動に伴い遅角油圧室52および進角油圧室55から凹部11内に作動油が流入し凹部11内を充填すれば、それ以上作動油は凹部11内に流入しない。
【0022】
カムシャフト2が吸気弁を駆動するときに受ける負荷トルクは図5に示すように正・負に変動している。ここで、負荷トルクの正方向はシューハウジング12に対しベーンロータ15の遅角方向を表し、負荷トルクの負方向はシューハウジング12に対しベーンロータ15の進角方向を表している。負荷トルクの平均は正方向、つまり遅角方向に働く。スプリング24の付勢力はシューハウジング12に対しベーンロータ15を進角側に回転させるトルクとして働く。スプリング24がベーンロータ15に加える進角方向のトルクはベーンロータ15がシューハウジング12に対し最遅角位置にあるとき最大であり、進角方向に向かうにしたがい小さくなる。スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクは、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動位置に関わらずカムシャフト2が受ける負荷トルクの平均よりも大きく、遅角方向に働く正の負荷トルクの最大値よりも小さくなるように設定されている。
【0023】
シール部材26は、図4に示すようにベーンロータ15の外周壁に嵌合している。ベーンロータ15の外周壁と周壁13の内周壁との間には微小クリアランスが設けられており、このクリアランスを介して油圧室間に作動油が漏れることをシール部材26により防止している。シール部材26はそれぞれ図2に示す板ばね27の付勢力により周壁13に向けて押されている。
【0024】
図2に示すように、ガイドリング30は収容孔38を形成するベーン15aの内壁に圧入保持され、このガイドリング30に円筒状に形成された当接部としてのストッパピストン31がカムシャフト2の回転軸方向に摺動可能に収容されている。被当接部としての嵌合リング36はフロントプレート14に形成された凹部14bに圧入保持されている。ストッパピストン31は嵌合リング36に当接し嵌合可能である。ストッパピストン31および嵌合リング36の当接側はテーパ状に形成されているので、ストッパピストン31は嵌合リング36に滑らかに嵌合する。当接付勢手段としてのスプリング37は嵌合リング36側にストッパピストン31を付勢している。ガイドリング30およびストッパピストン31は流体供給手段を構成している。ストッパピストン31、嵌合リング36およびスプリング37は拘束手段を構成している。
【0025】
図1の(A)に示すように、ストッパピストン31は、有底の円筒状に形成されており、フロントプレート14側から、先端部32、大径摺動部33、小径摺動部34を有する。先端部32の端面の外周側に広角かつ環状のテーパ面32aが形成されている。さらに、図1の(A)に示す状態において、油路44から油圧室40に作動油が流入できるように先端部32に溝32bが形成されている。油圧室40に供給される作動油の圧力は、嵌合リング36からストッパピストン31が抜け出す方向に働く。各摺動部はガイドリング30の内周壁と摺動する。ストッパピストン31の先端部32は、図4に示すようにシューハウジング12に対し最遅角位置と最進角位置のほぼ中間にベーンロータ15が位置するとき嵌合リング36に嵌合可能である。ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合した状態においてシューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動は拘束されている。
【0026】
ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合することによりシューハウジング12とベーンロータ15との相対回動が拘束される中間位置は、エンジンを確実に始動可能にするように吸気弁のバルブタイミング、つまりクランクシャフトに対するカムシャフト2の位相差を最適に設定する位置である。
【0027】
嵌合リング36の内周面36aはテーパ状に形成されており、内周面36aのストッパピストン31との当接側はストッパピストン31に向けさらに拡径するように傾斜している。
シューハウジング12に対しベーンロータ15が中間位置から遅角側または進角側に回転するとストッパピストン31と嵌合リング36との周方向位置がずれることにより、ストッパピストン31は嵌合リング36に嵌合不能になる。
【0028】
ガイドリング30にはガイドリング30を貫通する貫通孔30aが形成されている。油路41は遅角油圧室51と貫通孔30aとを連通し、油路42は進角油圧室54と貫通孔30aとを連通している。ガイドリング30の内周壁とストッパピストン31の小径摺動部34の外周壁との間に環状の油路43が形成されている。貫通孔30a、および油路41、42、43は、遅角油圧室51と進角油圧室54とを連通する連通路を構成している。
【0029】
図2に示すように、タイミングギア10に形成された連通路10bと、中間プレート17に形成された連通路17bと、ベーン15aに形成された連通路45と収容孔38とは、シューハウジング12に対しベーンロータ15が図4に示す中間位置、つまり拘束位置の近傍にあるとき互いに連通する。連通路10bは大気開放されているので、図4に示す位置にあるとき、収容孔38は大気開放される。したがって、嵌合リング36からストッパピストン31が抜け出る動きが妨げられない。図4に示す中間位置からベーンロータ15が遅角側または進角側に回転すると、連通路45と連通路17bとの周方向位置がずれるので収容孔38と連通路10bとの連通が遮断される。
【0030】
図4に示すように、シュー12aとベーン15aとの間に遅角油圧室51が形成され、シュー12bとベーン15bとの間に遅角油圧室52が形成され、シュー12cとベーン15cとの間に遅角油圧室53が形成されている。また、シュー12cとベーン15aとの間に進角油圧室54が形成され、シュー12aとベーン15bとの間に進角油圧室55が形成され、シュー12bとベーン15cの間に進角油圧室56が形成されている。
【0031】
遅角油圧室51、52、53はそれぞれ油路63、64、65と連通し、進角油圧室54、55、56はそれぞれ油路73、74、75と連通している。ベーンロータ15のボス部15dおよびカムシャフト2には、軸方向に油路60、61、70、71が形成されている。さらに、 ベーンロータ15のボス部15dには、カムシャフト2との当接部において油路61と連通している油路62が設けられており、ブッシュ22との当接部において油路70と連通している油路72が設けられている。油路62および72はそれぞれC字状に形成されている。
【0032】
油路60、61はカムシャフト2の外周壁に形成された溝通路90(図2参照)と連通しており、油路70、71はカムシャフト2の外周壁に形成された溝通路91(図2参照)と連通している。図1に示すように、溝通路90、91はそれぞれ油路92、93を介し切換弁82と接続している。作動流体供給路としての油供給路94は油ポンプ80と接続しており、作動流体排出路としての油排出路95はドレイン81に向け開放されている。油ポンプ80はドレイン81から汲み上げた作動油を切換弁82を介し各油圧室に供給する。切換弁82は周知の4ポート案内弁である。
【0033】
切換弁82の弁部材83は、スプリング84により一方向に付勢されており、ソレノイド85への通電を制御することにより往復移動する。ソレノイド85への通電は、図示しないエンジン制御装置(ECU)により制御される。弁部材83が往復移動することにより、油路92、93と作動流体供給路としての油供給路94、作動流体排出路としての油排出路95との連通の組み合わせ、および遮断が切り換わる。
以上の油路構成により、油ポンプ80から遅角油圧室51、52、53あるいは進角油圧室54、55、56、ならびに油圧室40に作動油を供給可能になるとともに、各油圧室からドレイン81へ作動油を排出可能になる。
【0034】
次に、バルブタイミング調整装置1の作動を説明する。
エンジン始動前、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合していると、シューハウジング12に対するベーンロータ15の位相差、つまりクランクシャフトに対するカムシャフト2の位相差がエンジンを始動するために最も好適な位相に保持されているので、エンジンは確実に短時間で始動する。
【0035】
また、エンジン始動前にストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しておらず、クランクシャフトに対しカムシャフト2が中間位置よりも遅角側にある状態でエンジンの始動を開始すると、スプリング24がベーンロータ15およびカムシャフト2に加える進角トルクにより、シューハウジング12に対しベーンロータ15は進角側の中間位置に向け相対回転する。エンジン始動開始時のクランキング時において油圧室40に作動油は導入されていないので、ベーンロータ15が中間位置に達するとストッパピストン31はスプリング37の付勢力により嵌合リング36に嵌合する。
【0036】
エンジン始動前にストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しておらず、クランクシャフトに対しカムシャフト2が中間位置よりも進角側にある状態でエンジンの始動を開始する場合を考える。スプリング24がベーンロータ15およびカムシャフト2に加える進角トルクは負荷トルクの遅角方向に働く最大トルクより小さいので、負荷トルクの変動に伴いシューハウジング12に対しベーンロータ15は遅角側に揺動する。エンジン始動開始時のクランキング時において油圧室40に作動油は導入されていないので、遅角側へ揺動するときベーンロータ15が中間位置に達すると、ストッパピストン31はスプリング37の付勢力により嵌合リング36に嵌合する。
【0037】
このように、エンジン始動前にストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合していなくてもエンジンの始動を開始すると速やかにストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合し、クランクシャフトに対しカムシャフト2が中間位置に保持されるので、エンジンが確実に短時間で始動する。
【0038】
エンジン始動開始時、図4に示すように図示しないECUからの制御信号により切換弁82の弁部83aが選択されるので、油ポンプ80から油供給路94、油路92、90、油路60および61、油路63、64、65を介し遅角油圧室51、52、53に作動油が導入される。遅角油圧室51に供給された作動油は、油路41、貫通孔30a、油路43、貫通孔30a、油路42、進角油圧室54、油路44を通り油圧室40に供給される。油路43に供給された作動油の油圧はストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合する方向に働く。遅角油圧室51、進角油圧室54および油圧室40の油圧が充分に上昇する前にストッパピストン31が嵌合リング36から抜け出すことを防止し、シューハウジング12に対しベーンロータ15が揺動することを防止している。
【0039】
エンジン始動開始後、各遅角油圧室と、遅角油圧室51から連通路を介し進角油圧室54とに作動油が充填され油圧室40の油圧が所定圧に上昇してからストッパピストン31は嵌合リング36から抜け出し、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動、つまり位相制御が可能になる。遅角油圧室51および進角油圧室54の油圧が充分に上昇していなくても、ベーン15aが遅角油圧室51および進角油圧室54の作動油に押さえられているので、ベーンロータ15の揺動が防止される。さらに、遅角油圧室51および進角油圧室54にほぼ同時に作動油を供給できるので、ベーンロータ15がシューハウジング12を叩き打音を発生することを防止するとともに、速やかにシューハウジング12に対するベーンロータ15の位相制御を行うことができる。
【0040】
エンジン始動後作動油の油圧が充分に上昇すると、ECUからの指示により、弁部材83の弁部83a、83b、83cのいずれかが選択される。これにより、各油圧室への作動油の供給および各油圧室からの作動油の排出を制御し、シューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動を制御できる。
【0041】
ストッパピストン31が嵌合リング36から抜け出すと、図1の(B)に示すように、ストッパピストン31により環状の油路43が閉塞されるので、遅角油圧室51と進角油圧室54との連通は遮断される。油路43は密封され、ダンパ手段であるダンパ室として作用する。油路43は密封されているので、ストッパピストン31が嵌合リング36に向け移動しようとしても、油路43の働きにより移動速度が低下する。したがって、シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動しストッパピストン31が嵌合リング36上を通過するときに油圧が低下しストッパピストン31が嵌合リング36に向け移動しようとしても、嵌合リング36に嵌合する前にストッパピストン31は嵌合リング36上を通過し、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合することを防止する。
【0042】
また、先端部32の端面にテーパ面32aが形成されているので、シューハウジング12に対しベーンロータ15が相対回動するときに図1の(C)に示すように先端部32が嵌合リング36に接触しても、テーパ面32aが嵌合リング36に接触することにより接触の衝撃を低減する。
【0043】
イグニションキーをオフすること等によりエンジンが停止するまでの間、遅角油圧室51、52、53、または進角油圧室54、55、56に供給される作動油の圧力が低下する。カムシャフト2が受ける負荷トルクの平均は遅角方向に働き、スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクはカムシャフト2が受ける負荷トルクの平均よりも大きいので、エンジンが停止するまでの間シューハウジング12に対しカムシャフト2は進角方向に回転する。
【0044】
ベーンロータ15が中間位置より遅角側にある状態でエンジンが停止しようとすると、スプリング24の付勢力によりベーンロータ15は進角側に位置する中間位置に向け回転し、中間位置に達するとストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合しシューハウジング12とベーンロータ15とは拘束状態になる。
【0045】
また、ベーンロータ15が中間位置より進角側にある状態でエンジンが停止しようとすると、スプリング24の付勢力によりベーンロータ15は進角方向に回転する。しかし、カムシャフト2が遅角方向に受ける最大負荷トルクはスプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクよりも大きいので、エンジンが停止するまでの間、負荷トルクの変動に伴う揺動によりベーンロータ15は遅角側にも回転する。ベーンロータ15が遅角側に回転するとき、ストッパピストン31が中間位置に達すると、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合し、シューハウジング12とベーンロータ15は拘束状態になる。
【0046】
エンジンが停止するとき、シューハウジング12に対しベーンロータ15がどの位置にあろうと中間位置においてストッパピストン31は嵌合リング36に嵌合する。したがって、停止したエンジンを始動するとき、エンジンを確実に短時間で始動することができる。
【0047】
第1実施例では吸気弁を駆動するバルブタイミング調整装置について説明したが、第1実施例のバルブタイミング調整装置により排気弁だけ、あるいは吸気弁および排気弁の両方を駆動することも可能である。
第1実施例では、ストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合可能な中間位置において、スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクは、カムシャフト2が受ける負荷トルクの平均よりも大きい。これに対し、中間位置においてスプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクをカムシャフト2が受ける負荷トルクの平均とほぼ同じにしてもよい。スプリング24がベーンロータ15に加える進角トルクは遅角側から進角側に向かうにしたがい低下するので、エンジンが停止するときシューハウジング12に対しベーンロータ15がどの位置にあっても、ベーンロータ15は中間位置に向かう。したがって、ストッパピストン31は確実に嵌合リング36に嵌合する。
【0048】
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図6に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
流体供給手段としての切換弁100は、第1実施例に示した切換弁82の弁部材83に切換手段としての弁部101aを一体に形成した弁部材101を有する。
【0049】
エンジン始動開始時、図6に示すように、ECUからの制御信号により弁部材101の弁部101aが選択されるので、油ポンプ80から油路92を通り遅角油圧室51、52、53に作動油が供給される。そして第1実施例と同様に、遅角油圧室51に供給された作動油は、連通路を通り進角油圧室54から油圧室40に供給される。切換弁100の弁部101aが選択されているので、進角油圧室54に供給された作動油はドレイン81に排出されない。したがって、エンジン始動開始後、油圧室40の油圧が速やかに上昇しストッパピストン31が嵌合リング36から抜け出るので、エンジン始動後速やかにシューハウジング12に対するベーンロータ15の相対回動制御に移行できる。
【0050】
以上説明した本発明の実施の形態を示す上記複数の実施例に対し、遅角油圧室51から進角油圧室54に作動油を供給する環状の油路43をもたないバルブタイミング調整装置では、エンジン始動開始時において、遅角油圧室51に作動油が供給されていない状態で進角油圧室54に作動油を供給し油圧室40の油圧によりストッパピストン31が嵌合リング36から抜け出すと、スプリング24の付勢力によりシューハウジング12に対しベーンロータ15が進角方向に揺動しながら回転し打音が発生する。この打音の発生を防止するため、まず遅角油圧室51に作動油を供給し、遅角油圧室51に作動油が充分に充填されてから油路を切換えて進角油圧室54に作動油を供給し、進角油圧室54の油圧により嵌合リング36からストッパピストン31を抜くことにより、シューハウジング12に対するベーンロータ15の位相制御を行う必要がある。
【0051】
一方本実施例では、遅角油圧室51および進角油圧室54にほぼ同時に作動油を供給し、遅角油圧室51から油路43を介し進角油圧室54に供給された作動油の圧力により嵌合リング36からストッパピストン31を抜くので、嵌合リング36からストッパピストン31を抜くために油路を切り換える必要がない。したがって、連通路としての油路43をもたない構成に比べ、エンジン始動開始時において、打音の発生を防止するとともに、速やかにシューハウジング12に対するベーンロータ15の位相制御を行うことができる。
【0052】
また上記複数の実施例では、、シューハウジング12に対しベーンロータ15が最遅角位置と最進角位置との間の中間位置にあるときストッパピストンがガイドリングに嵌合可能な構成について説明したが、シューハウジング12に対しベーンロータ15が最遅角位置または最進角位置にあるときにストッパピストン31が嵌合リング36に嵌合する構成にしてもよい。
【0053】
上記複数の実施例では、ストッパピストンが軸方向に移動してガイドリングに嵌合したが、ストッパピストンが径方向に移動しガイドリングに嵌合する構成にすることも可能である。
また上記複数の実施例では、タイミングギアによりクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフトに伝達する構成を採用したが、タイミンプーリまたはチェーンスプロケット等を用いる構成にすることも可能である。また、駆動軸としてのクランクシャフトの駆動力をベーン部材で受け、従動軸としてのカムシャフトとハウジング部材とを一体に回転させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるバルブタイミング調整装置を示す図4のI−O−I線断面図であり、(A)は拘束状態を示し、(B)および(C)は拘束解除状態を示している。
【図2】図4のII−O−II線断面図である。
【図3】図4のII−O−III 線断面図である。
【図4】第1実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図である。
【図5】(A)はカムシャフトとタイミングギアとの回転方向を示す模式図であり、(B)はカムシャフトが受ける負荷トルクを示す特性図である。
【図6】本発明の第2実施例によるバルブタイミング調整装置を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 バルブタイミング調整装置
2 カムシャフト(従動軸)
10 タイミングギア(ハウジング部材)
12 シューハウジング(ハウジング部材)
12a、12、12c シュー
13 周壁(ハウジング部材)
14 フロントプレート(ハウジング部材)
15 ベーンロータ(ベーン部材)
15a、15b、15c ベーン(ベーン部材)
17 中間プレート(ハウジング部材)
24 スプリング
30 ガイドリング(流体供給手段)
30a 貫通孔(連通路)
31 ストッパピストン(当接部、流体供給手段)
36 嵌合リング(被当接部)
37 スプリング(当接付勢手段)
41、42 油路(連通路)
43 油路(連通路、ダンパ室、ダンパ手段)
50 収容室
51、52、53 遅角油圧室
54、55、56 遅角油圧室
82、100 切換弁
94 油供給路(作動流体供給路)
95 油排出路(作動流体排出路)
101a 弁部(切換部、切換手段)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention changes the opening / closing timing (hereinafter, “opening / closing timing”) of at least one of an intake valve and an exhaust valve of an internal combustion engine (hereinafter, “internal combustion engine” is referred to as an engine) according to operating conditions. The present invention relates to a valve timing adjusting device for the purpose.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a camshaft is driven via a timing pulley or chain sprocket that rotates synchronously with the crankshaft of the engine, and at least one of an intake valve and an exhaust valve is caused by a phase difference caused by relative rotation of the timing pulley or chain sprocket and the camshaft. A vane type valve timing adjusting device that hydraulically controls one valve timing is known. In the vane type valve timing device using such a working fluid, the camshaft receives a load torque that fluctuates positively or negatively by driving at least one of the intake valve and the exhaust valve. When the working fluid is not sufficiently supplied as in cranking, the vane member swings with respect to the housing member that houses the vane member, and a hitting sound is generated due to the collision between the housing member and the vane member. There's a problem. The positive direction of the load torque indicates the retard direction of the camshaft with respect to the crankshaft, and the negative direction of the load torque indicates the advance direction of the camshaft with respect to the crankshaft.
[0003]
Therefore, as in the valve timing adjusting device disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 9-60508, when the working fluid is not sufficiently supplied to the hydraulic chamber, for example, a stopper piston accommodated in the vane member is fitted to the housing member. As a result, it is known that the vane member is prevented from swinging with respect to the housing member to prevent the occurrence of a hitting sound. When the working fluid is sufficiently supplied, the stopper piston is removed from the housing member by the fluid pressure, so that the vane member can be controlled to rotate relative to the housing member. The position where the stopper piston is fitted to the housing member is when the vane member is at the most retarded angle or the most advanced angle with respect to the housing member. That is, the camshaft is at the most retarded angle or the most advanced angle with respect to the crankshaft.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
When starting the engine with the stopper piston fitted to the housing member at the most retarded angle, supply the working fluid to the advance hydraulic chamber before the working fluid is supplied to the retard hydraulic chamber at the start of the engine, When the stopper piston is removed from the housing member by the fluid pressure in the advance hydraulic chamber and the vane member is rotated in the advance direction relative to the housing member, the working fluid is supplied to the retard hydraulic chamber, so the housing member On the other hand, the vane member rotates to the advance side while swinging, and a hitting sound is generated.
[0005]
In order to prevent the occurrence of this hitting sound, the working fluid is first supplied to the retarded hydraulic chamber when starting the engine. After the retard hydraulic chamber is sufficiently filled with the working fluid, the stopper piston is pulled out of the housing member by the fluid pressure in the advance hydraulic chamber by supplying the working fluid to the advance hydraulic chamber, and the vane member is removed from the housing member. Rotate in the advance direction. The phase control is performed by rotating the vane member in the advance direction with respect to the housing member in a state in which the retarding hydraulic chamber and the advance hydraulic chamber are filled with the working fluid, so that the vane member swings with respect to the housing member due to load torque fluctuation. It is prevented from moving.
[0006]
However, it is necessary to perform the advance angle prohibition control that prohibits the vane member from rotating in the advance direction until the working fluid is sufficiently supplied to the retard angle hydraulic chamber after the engine start is started. In particular, since the viscosity of the working fluid is high at a low temperature, there is a problem that the time required until the working fluid is sufficiently supplied to the retarded hydraulic chamber becomes long and the advance angle prohibiting time becomes long.
An object of the present invention is to provide a valve timing adjusting device that can execute phase control promptly after the start of engine start and prevent the occurrence of sound.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
According to the valve timing adjusting apparatus of the first aspect of the present invention, the fluid supply means has a communication path capable of communicating the retard chamber and the advance chamber, and the contact portion and the contacted portion are in a restrained state. The communication passage is opened when the contact portion and the contacted portion are in a restrained release state, and the communication passage is closed. Therefore, regardless of the relative rotational position where the contact portion and the contacted portion restrain the housing member and the vane member, the contact is made in a state where the pressure of the working fluid is not sufficiently increased after the engine start is started. Even if the restraint between the portion and the contacted portion is released, the working fluid filled in both the retard chamber and the advance chamber prevents the vane member from swinging with respect to the housing member.
Further, since the working fluid is supplied almost simultaneously to the retard chamber and the advance chamber via the communication passage, the occurrence of a hitting sound at the start of engine start is prevented, and the phase control of the vane member with respect to the housing member is quickly executed. be able to.
[0008]
further, Claims of the
[0009]
Claims of the
Claims of the invention 3 According to the described valve timing adjusting device, the working fluid pressure in the communication passage that communicates the retard chamber and the advance chamber and supplies the working fluid to both chambers in the constrained state of the abutting portion and the abutted portion It works in the direction of urging the contact portion against the contact portion. Since the working fluid pressure that works in the direction of releasing the restraint state between the contact portion and the contacted portion is sufficiently increased, the restraint state between the contact portion and the contacted portion is prevented from being released. The housing member and the vane member are restrained until the working fluid pressure is sufficiently increased. When the restrained state between the contact portion and the contacted portion is released, the pressure of the working fluid supplied to the retard chamber and the advance chamber is sufficiently increased, so that the vane member swings relative to the housing member. To prevent the occurrence of hitting sound.
[0010]
Claims of the invention 4 According to the described valve timing adjusting device, at least one of the contact part and the contacted part is formed in a tapered shape. Therefore, the contact portion smoothly contacts the contacted portion.
Claims of the invention 5 According to the valve timing adjusting device described above, the contact-side end surface of the contact portion with the contacted portion has a wide-angle tapered surface. Therefore, even when the vane member rotates relative to the housing member, even if the contact portion moves in the restraining direction with the contacted portion due to a decrease in the working fluid pressure, the wide angle The taper surface reduces contact impact.
[0011]
Claims of the invention 6 According to the valve timing adjusting device described above, the switching device is provided that supplies the working fluid to one of the retard chamber or the advance chamber and prevents the discharge of the working fluid from the other of the retard chamber or the advance chamber. Therefore, the working fluid pressure in the retard chamber and the advance chamber is maintained in a state where the restrained state between the contact portion and the contacted portion is released, and the vane member is reliably prevented from swinging with respect to the housing member. To do.
[0012]
Claims of the invention 7 According to the valve timing adjusting device described above, the switching valve that switches the communication between the working fluid supply path and the working fluid discharge path and the retard chamber and the advance chamber has the switching means according to claim 7, so that the number of members is increased. Therefore, the switching means can be configured. Therefore, the switching means and the switching valve can be controlled by the same control system. Furthermore, the configuration of the fluid passage can be simplified.
[0013]
Claims of the invention 8 According to the described valve timing adjusting device, the damper means for reducing the speed at which the contact portion moves in the contact direction with the contact portion is provided. For example, when the restraining position between the abutting portion and the abutted portion is set in the middle between the most retarded angle position and the most advanced angle position, the vane member rotates relative to the housing member, and the abutting portion is in contact with the abutting portion. When the vane member passes through an intermediate position where it can come into contact with the contact portion, even if the working fluid pressure acting in the direction of releasing the restraint between the contacted portion and the contact portion decreases, the contact portion becomes the contacted portion. Since the moving speed to the side is reduced, the vane member passes through the intermediate position before the contact portion comes into contact with the contacted portion. Therefore, the vane member smoothly rotates relative to the housing member.
[0014]
Claims of the invention 9 According to the described valve timing adjusting device, the damper chamber is opened when the constraint release state is shifted to the constraint state. Therefore, the contact portion quickly contacts the contacted portion.
Claims of the
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a plurality of examples showing embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
(First embodiment)
FIG. 2 shows an engine valve timing adjusting apparatus according to a first embodiment of the present invention. The valve
[0016]
A
[0017]
An
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
The
[0021]
As shown in FIG. 3, the
[0022]
The load torque received when the
[0023]
The
[0024]
As shown in FIG. 2, the
[0025]
As shown in FIG. 1A, the
[0026]
The intermediate position where the relative rotation between the
[0027]
The inner
When the
[0028]
The
[0029]
As shown in FIG. 2, the
[0030]
As shown in FIG. 4, a retarded
[0031]
The retard
[0032]
The
[0033]
The
With the above oil path configuration, hydraulic oil can be supplied from the
[0034]
Next, the operation of the valve
If the
[0035]
Further, when the engine is started in a state where the
[0036]
Consider a case where the start of the engine is started in a state in which the
[0037]
In this way, even if the
[0038]
When starting the engine, as shown in FIG. 4, the
[0039]
After the start of the engine, each of the retarded hydraulic chambers and the advanced
[0040]
When the hydraulic pressure of the hydraulic oil is sufficiently increased after the engine is started, one of the
[0041]
When the
[0042]
Further, since the tapered
[0043]
Until the engine is stopped by turning off the ignition key or the like, the pressure of the hydraulic oil supplied to the retarded
[0044]
If the engine tries to stop in a state where the
[0045]
When the engine is about to stop while the
[0046]
When the engine is stopped, the
[0047]
In the first embodiment, the valve timing adjusting device for driving the intake valve has been described, but it is also possible to drive only the exhaust valve or both the intake valve and the exhaust valve by the valve timing adjusting device of the first embodiment.
In the first embodiment, the advance torque applied by the
[0048]
(Second embodiment)
A second embodiment of the present invention is shown in FIG. Components that are substantially the same as those of the first embodiment are denoted by the same reference numerals, and description thereof is omitted.
The switching
[0049]
When starting the engine, as shown in FIG. 6, the
[0050]
In contrast to the above-described embodiments showing the embodiment of the present invention described above, in the valve timing adjusting device having no
[0051]
On the other hand, in this embodiment, the hydraulic oil is supplied to the retard
[0052]
In the above embodiments, the configuration in which the stopper piston can be fitted to the guide ring when the
[0053]
In the above embodiments, the stopper piston moves in the axial direction and is fitted to the guide ring. However, the stopper piston may be moved in the radial direction and fitted to the guide ring.
Further, in the above embodiments, the configuration in which the rotational driving force of the crankshaft is transmitted to the camshaft by the timing gear is adopted, but a configuration using a timing pulley, a chain sprocket or the like is also possible. It is also possible to receive the driving force of the crankshaft as the drive shaft by the vane member and rotate the camshaft as the driven shaft and the housing member integrally.
[Brief description of the drawings]
1 is a cross-sectional view taken along the line I-O-I of FIG. 4 showing a valve timing adjusting apparatus according to a first embodiment of the present invention, in which (A) shows a restrained state, and (B) and (C) are restrained. Indicates the release state.
2 is a cross-sectional view taken along line II-O-II in FIG.
3 is a cross-sectional view taken along line II-O-III in FIG.
FIG. 4 is a cross-sectional view showing the valve timing adjusting apparatus according to the first embodiment.
FIG. 5A is a schematic diagram showing a rotation direction of a camshaft and a timing gear, and FIG. 5B is a characteristic diagram showing a load torque received by the camshaft.
FIG. 6 is a cross-sectional view showing a valve timing adjusting apparatus according to a second embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
1 Valve timing adjustment device
2 Camshaft (driven shaft)
10 Timing gear (housing member)
12 Shoe housing (housing member)
12a, 12, 12c shoe
13 Perimeter wall (housing member)
14 Front plate (housing member)
15 Vane rotor (Vane member)
15a, 15b, 15c Vane (Vane member)
17 Intermediate plate (housing member)
24 Spring
30 Guide ring (fluid supply means)
30a Through hole (communication path)
31 Stopper piston (contact part, fluid supply means)
36 Fitting ring (contacted part)
37 Spring (contact urging means)
41, 42 Oil passage (communication passage)
43 Oil passage (communication path, damper chamber, damper means)
50 containment room
51, 52, 53 Retarded hydraulic chamber
54, 55, 56 Retarded hydraulic chamber
82, 100 selector valve
94 Oil supply path (working fluid supply path)
95 Oil discharge path (working fluid discharge path)
101a Valve part (switching part, switching means)
Claims (10)
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転するハウジング部材と、
前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記ハウジング部材内に形成された収容室に収容され、前記収容室を遅角室と進角室とに二分し、所定角度範囲に限り前記ハウジング部材に対し作動流体圧力により相対回動駆動されるベーン部材と、
前記ハウジング部材と前記ベーン部材とにそれぞれ設けられ、前記収容室の周方向両端の間において前記ハウジング部材に対し前記ベーン部材が所定の相対回動位置にあるとき互いに当接することにより前記ハウジング部材に対する前記ベーン部材の相対回動を拘束する当接部および被当接部を有し、作動流体圧力により前記当接部を変位させ拘束状態を解除可能に構成されており、前記被当接部との当接方向へ前記当接部を付勢する当接付勢手段を有する拘束手段と、
前記遅角室と前記進角室とを連通可能な連通路を有し、前記当接部と前記被当接部とが拘束状態にあるとき前記連通路を開放し前記連通路を介して前記遅角室または前記進角室の一方から他方に作動流体を供給することにより、前記遅角室または前記進角室の他方の作動流体により前記当接部と前記被当接部との拘束状態を解除し、前記当接部と前記被当接部とが拘束解除状態にあるとき前記連通路を閉塞する流体供給手段と、
を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。Provided in a driving force transmission system for transmitting a driving force from a drive shaft of an internal combustion engine to a driven shaft that opens and closes at least one of an intake valve and an exhaust valve, and opens and closes at least one of the intake valve and the exhaust valve A valve timing adjusting device for adjusting timing,
A housing member that rotates with one of the drive shaft or the driven shaft;
The housing rotates with the other of the drive shaft and the driven shaft, and is accommodated in a storage chamber formed in the housing member, and the storage chamber is divided into a retardation chamber and an advance chamber, and the housing is limited to a predetermined angle range. A vane member that is driven to rotate relative to the member by a working fluid pressure;
The housing member and the vane member are provided respectively, and the vane member abuts against the housing member when the vane member is in a predetermined relative rotation position between the circumferential ends of the housing chamber. The abutting portion and the abutted portion that restrain the relative rotation of the vane member are configured to be displaceable by operating fluid pressure so that the restrained state can be released. Restraining means having contact urging means for urging the contact portion in the contact direction of
A communication passage capable of communicating the retard chamber and the advance chamber, and when the contact portion and the contacted portion are in a restrained state, the communication passage is opened and the communication passage is opened via the communication passage; By supplying the working fluid from one of the retarding chamber or the advance chamber to the other, the restrained state of the contact portion and the contacted portion by the other working fluid of the retard chamber or the advance chamber And a fluid supply means for closing the communication passage when the contact portion and the contacted portion are in a restrained release state,
A valve timing adjusting device comprising:
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