JP3873399B2 - ケトン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケトン類の製造方法に関する。本発明の製造方法によって提供されるケトン類は、溶剤あるいは香料として有用であるのみならず、香料、医薬、農薬等の合成中間体として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
ケトン類あるいはアルデヒド類に対し、水素化条件下で二量化反応を行うと、炭素数が2倍の飽和のケトン類あるいはアルデヒド類が得られることが知られている。例えば、アセトンを水素化条件下で二量化させることによりメチルイソブチルケトンを合成する方法としては、i)酸性型イオン交換樹脂とパラジウムカーボンの存在下に反応を行う方法(独国特許第1238453号明細書参照)、ii)リン酸ジルコニウムにパラジウムを担持した触媒を用いて反応を行う方法(特公昭49−6994号公報)、iii)合成ゼオライトの置換可能な基の一部又は全部を水素イオンで置換したもの(H型ゼオライト)にパラジウムを担持した触媒を用いて反応を行う方法(特公昭46−2643号公報参照)、iv)アルミナとアルカリ土類金属の酸化物とからなる担体にパラジウムを担持した触媒を用いて反応を行う方法(特公平6−2702号公報参照)、v)ニオブ酸とパラジウムよりなる触媒を用いて反応を行う方法(特公平3−5374号公報参照)、vi)有機けい素化合物で処理した金属酸化物あるいは金属水酸化物とパラジウムの存在下に反応を行う方法(特開平4−217938号公報参照)等数多く報告されている。
【0003】
これに比べ、アルデヒド類とケトン類とを水素化条件下で互いに縮合させ、一段階でケトン類を得る方法については、報告例が少ないが、以下に示す方法A〜Eが報告されている。
方法A:第II属金属、鉛、マンガン又はコバルトを含有する油溶性の縮合用触媒及び水素化触媒の存在下に反応を行う方法(米国特許第3316303号明細書参照)。
【0004】
方法B:ニッケル及び/又はコバルト並びに酸化亜鉛を含有する触媒を用いて反応を行う方法(特公昭59−15021号明細書参照)。
【0005】
方法C:酸化亜鉛とニッケル又はコバルトを含有する触媒に、鉄、アンチモン、錫等の化合物を添加した触媒を用いて反応を行う方法(特公昭60−8858号公報参照)。
【0006】
方法D:希土類金属の酸化物又は塩及び第VIII属金属を不活性担体上に担持させた触媒を用いて反応を行う方法(特公昭61−41612号公報参照)。
【0007】
方法E:米国特許第4440871号明細書に記載されたシリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブ及びニッケル、コバルト、パラジウムなどの遷移金属を含有する水素化触媒の存在下に反応を行う方法(特開昭64−16733号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法A〜Eには以下に述べるような問題点がある。
【0009】
即ち、方法Aの場合、カルボニル基のα位に2個の水素原子を有するアルデヒド類は、ケトン類と反応するよりも先にアルデヒド類同士の二量化反応が優先して起こり、アルデヒド類とケトン類の縮合物を選択的に得ることはできない。また、同方法では、カルボニル基のα位に水素原子を1個有するアルデヒド類とケトン類との反応においても、所望のケトン類は極めて低い収率(25%程度)で得られるに過ぎない。
【0010】
方法B及び方法Cの場合、比較的高温(180〜200℃)かつ高圧(18〜20バール)の条件下で反応を行うため、特殊な反応装置を必要とすることに加え、原料として用いるアルデヒド類あるいはケトン類のカルボニル基が水素化されたアルコール体など多くの副生物が得られ、所望のケトン類の収率は低い(60%以下)。
【0011】
方法Dの場合、方法B又は方法Cの場合と同様に、高温(180〜220℃)かつ高圧(18〜30バール)の条件下で反応を行うため、特殊な反応装置が必要であることに加え、高価な希土類金属の酸化物と遷移金属とを組み合わせた触媒を用いるために製造コストが高くなる。
【0012】
方法Eの場合、反応が高温(175〜225℃)の条件下行われることに加え、原料の転化率が低い(10〜20%)ため、所望のケトン類の生産性が低い。
【0013】
このように、アルデヒド類とケトン類とを水素化条件下で互いに縮合させることによってケトン類を製造する方法はいくつか知られているが、工業的に実施するという観点に立てば所望のケトンの収率や生産性あるいは生産設備等の点で解決すべき問題点を有している。
【0014】
本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであって、アルデヒド類とケトン類とを水素化条件下で互いに縮合させることにより、工業的に有利にケトン類を製造できる方法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記の課題は、
式(I)
【0016】
【化4】
R1CHO (I)
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。)
で示されるアルデヒド類と、式(II)
【0017】
【化5】
R2COCH2R3 (II)
(式中、R2は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基であり、R3は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基又は水素原子を表す。)
で示されるケトン類と、水素とを、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩基性物質並びにパラジウムカーボン及びラネーニッケルから選択される水素添加触媒の存在下で反応させることを特徴とする式(III)
【0018】
【化6】
R2COCH(R3)CH2R4 (III)
(式中、R2及びR3は前記定義と同じであり、R4は、R1が不飽和脂肪族炭化水素基でない場合にはR1と同一であり、R1が不飽和脂肪族炭化水素基である場合にはR1と同一であるか又はR1の水素添加可能な不飽和結合の少なくとも一部が水素添加されたものに相当する基である。)
で示されるケトン類の製造方法を提供することによって解決される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明のケトンの製造方法は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩基性物質並びにパラジウムカーボン及びラネーニッケルから選択される水素添加触媒の存在下で、水素とアルデヒド類とケトン類とを反応させることを特徴とする。ここで、アルデヒド類としては、式(I)
【0021】
【化7】
R1CHO (I)
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。)
で示される化合物を使用する。ここで、R1が表す炭素数1〜30の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。また、R1が表す炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0022】
R1は置換基を有していてもよいが、反応が塩基性物質の存在下で行われる関係上、塩基性条件下で不活性な置換基であることが必要である。このような置換基としては、アルコキシ基、アセタール型に保護されたホルミル基、水酸基等を挙げることができる。
【0023】
式(I)のアルデヒド類の具体例を示せば、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、2−メチルプロパナール、ペンタナール、3−メチルブタナール(イソバレルアルデヒド)、2,2−ジメチルプロパナール、ヘキサナール、4−メチルペンタナール、3,3−ジメチルブタナール、シクロヘキサンカルボアルデヒド、ヘプタナール、オクタナール、3−フェニルプロパナール、3−(4−メチルフェニル)プロパナール、3−メチル−2−ブテナール(セネシオアルデヒド)、3,7−ジメチルオクタナール(テトラヒドロシトラール)、3,7−ジメチル−6−オクテナール(シトロネラール)、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール(シトラール)、3,7,11−トリメチルドデカナール(ヘキサヒドロファルネサール)、3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエナール(ファルネサール)、3−(5−メチル−1,3−ジオキサ−2−シクロヘキシル)ブタナール、4−(4−メチル−2−テトラヒドロフラニルオキシ)−3−メチルブタナール、ベシズアルデヒド、P−メチルベンズアルデヒド、P−アニスアルデヒド、ナフチルアルデヒド等を挙げることができる。
【0024】
式(I)のアルデヒド類に選択的に縮合させるケトン類としては、式(II)
【0025】
【化8】
R2COCH2R3 (II)
(式中、R2は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基であり、R3は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基又は水素原子を表す。)
で示されるケトン類を使用する。ここで、R2又はR3の置換基を有していてもよい炭素数1〜6の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などを挙げることができるが、中でも炭素数が1〜4のものが好ましい。R2及び/又はR3は置換基を有していてもよいが、反応が塩基性物質の存在下で行われる関係上、塩基性条件下で不活性な置換基であることが必要である。このような置換基としては、アルコキシ基、アセタール型に保護されたホルミル基、水酸基等を挙げることができる。
【0026】
式(II)で示されるケトン類の具体例を示せば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等を例示することができる。
【0027】
これらの中でも本発明の製造方法を実施するに際しては、式(II)のケトン類としてR2がメチル基であるか又はR3が水素原子であるケトン類を使用することが好ましく、アセトンを使用することがより好ましい。
【0028】
以上の式(I)のアルデヒド類と式(II)のケトン類とから得られる、本発明の目的化合物は、式(III)
【0029】
【化9】
R2COCH(R3)CH2R4 (III)
(式中、R2及びR3は前記定義と同じであり、R4は、R1が不飽和脂肪族炭化水素基でない場合にはR1と同一であり、R1が不飽和脂肪族炭化水素基である場合にはR1と同一であるか又はR1の水素添加可能な不飽和結合の少なくとも一部が水素添加されたものに相当する基である。)
で示されるケトン類である。ここで、R4の“R1の水素添加可能な不飽和結合の少なくとも一部が水素添加されたものに相当する基”の具体例としては、例えば、式(I)の化合物としてシトロネラールを使用した場合、R1が不飽和脂肪族炭化水素基の一種である2,6−ジメチル−5−ヘプテニル基であるので、R4はその2,6−ジメチル−5−ヘプテニル基の5位の炭素−炭素二重結合が水素添加された2,6−ジメチルヘプチル基となる。
【0030】
以上、本発明の製造方法の出発物質並びに目的化合物について説明した。次に、本発明の製造方法の反応条件と反応操作について説明する。
【0031】
本発明において使用する式(I)のアルデヒド類と式(II)のケトン類の比率は特に限定されないが、一般にケトン類より高価で且つ自己縮合性の高い式(I)のアルデヒド類基準での目的とするケトン類の選択率を高めることが工業的に実施する上で有利である。従って、式(II)のケトン類を式(I)のアルデヒド類1モルに対して通常0.9〜10モル、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1.1〜3モルの範囲内で使用する。
【0032】
本発明において使用される塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物を挙げることができる。これらは、一種もしくは二種以上を混合して使用することができる。
【0033】
また、塩基性物質はそのままの状態で使用することもできるが、水溶液としても使用できる。その使用形態は、通常0.5〜50重量%の水溶液、好ましくは1〜30重量%の水溶液である。
【0034】
塩基性物質の使用量は、式(I)のアルデヒド類1モルに対して通常0.001〜0.3モルであるが、反応速度及び製造コストの観点から、好ましくは0.01〜0.3モル、より好ましくは0.02〜0.2モル、特に好ましくは0.01〜0.1モルである。
【0035】
本発明に用いる水素添加触媒としては、パラジウムカーボン、ラネーニッケルを挙げることができる。
【0037】
水素添加触媒の使用量は、式(I)のアルデヒド類1重量部に対して通常0.0005〜0.1重量部であり、反応速度および目的とするケトン類の製造コストの観点から、式(I)のアルデヒド類1重量部に対して0.001〜0.03重量部であることが好ましい。
【0038】
本発明において溶媒の使用は必ずしも必要ではないが、反応に悪影響を及ぼさない限り溶媒を使用しても差し支えない。使用可能な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等の脂肪族アルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素等が挙げられる。
【0039】
本発明の製造方法の具体的な反応操作としては、所定の反応温度範囲内且つ水素雰囲気下で、式(I)のアルデヒド類、式(II)のケトン類、塩基性物質及び水素添加触媒を、特別な装置(例えば、高温高圧釜)を要することなく、汎用的な装置を通常の操作方法で用いることにより混合するという操作を挙げることができる。この場合、反応に供する各成分の混合順序や混合速度については特に制限はなく、反応に供する全ての成分、即ち、式(I)のアルデヒド類、式(II)のケトン類、塩基性物質及び水素添加触媒を一度に混合してもよく、あるいは式(I)のアルデヒド類、式(II)のケトン類、塩基性物質のうち1つあるいは2つを水素添加触媒とともに反応容器に仕込み、残りの成分を反応容器内に連続的に添加してもよい。ここで、「連続的に添加」とは、添加すべき成分を複数回に分けて添加することを包含する。特に、各成分の混合方法として、反応の暴走を抑止して高収率且つ高選択的に式(III)のケトン類を得るために、水素添加触媒を式(II)のケトン類に懸濁させた懸濁液中に塩基性物質と式(I)のアルデヒド類とをそれぞれ連続的に添加することが好ましい。このようにして各成分を混合することにより、反応の開始から終了までのほとんどの期間中、反応系において式(I)のアルデヒド類に対して式(II)のケトン類が大過剰存在することになり、結果的に式(I)のアルデヒド類同士の縮合などによる副反応を抑制でき、目的とする式(III)のケトン類を高収率且つ高選択率で得ることができる。
【0040】
反応温度は、通常20〜180℃の範囲内であるが、反応速度を実用的な速さとし、且つ目的の式(III)のケトン類への選択率を高める為には、40〜140℃の範囲であることが好ましい。
【0041】
反応に要する時間は、使用する塩基性物質の種類、濃度や反応温度等により異なるが、前述したように水素添加触媒を式(II)のケトン類に懸濁させた懸濁液中に塩基性物質と式(I)のアルデヒド類をそれぞれ連続的に添加する場合には、通常、塩基性物質と式(I)のアルデヒド類の添加に要する時間として0.5〜10時間、添加終了後の追込み時間として0〜20時間である。
【0042】
なお、塩基性物質と式(I)のアルデヒド類の添加中及び反応の追い込み中は、反応混合物の攪拌を十分に行うことが望ましい。
【0043】
本発明において、水素は、式(I)のアルデヒド類、式(II)のケトン類、塩基性物質及び水素添加触媒の混合物の表面に接触させればよいが、その混合物中に導入(バブリング)しても良い。
【0044】
反応系中の水素の圧力は、通常1〜100気圧の範囲であるが、1〜10気圧の範囲とすることが好ましい。
【0045】
反応終了後、目的の式(III)のケトン類は、例えば、反応混合物から水素添加触媒を濾過あるいは遠心分離等によって除いた後の反応液から水層を分離除去し、残りの有機層を蒸留する方法や、反応混合物から水素添加触媒を濾別し、濾液から目的とするケトン類を有機溶媒によって抽出し、得られた有機層から有機溶媒を常圧または減圧下に留去する方法などの一般的な手法により単離することができる。なお、上記において抽出に使用する有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などが使用できる。
【0046】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、式(I)のアルデヒド類と式(II)のケトン類と水素とを、塩基性物質および水素添加触媒の共存下で反応させることにより、一段階で式(III)のケトン類を高い収率且つ式(I)のアルデヒド類基準での高い選択率で製造することができる。
【0047】
特に、ビタミンEの製造中間体であるイソフィトールの製造原料(有機合成化学協会誌、第20巻、第824〜836頁(1962年)参照)として、あるいはテトラヒドロリナロール、ジヒドロゲラニオールなどの香料の合成原料(例えば、Bull.Soc.Chim.Fr.,1586(1955)参照)として有用であることが知られている、式(III)の飽和ケトンの一種である6−メチル−2−ヘプタノンは、本発明の製造方法に従い、工業的生産が行われており安価に入手可能な原料(式(I)のアルデヒド類としてイソバレルアルデヒド、式(II)のケトン類としてアセトン)を使用し、それらを塩基性物質及び水素添加触媒の共存下に水素と接触させることにより一段階で高い収率且つイソバレルアルデヒド基準での高い選択率で製造することができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1
撹拌機を備えた内容積5リットルのステンレス製オートクレーブにアセトン732.1g(12.6モル)を仕込み、窒素雰囲気下10%パラジウムカーボン(水素添加触媒)3.1gを加えた。オートクレーブの内温を115℃まで昇温したところ、オートクレーブ内の圧力は約4kg/cm2(ゲージ圧)となった。
【0050】
その後、オートクレーブ内に水素を導入し、オートクレーブ内の圧力を7kg/cm2(ゲージ圧)とし〔水素の圧力:3kg/cm2〕、次いで2%水酸化ナトリウム水溶液360.0g(0.18モル)およびイソバレルアルデヒド1033.2g(12.0モル)を、それぞれフィードポンプを用いて上記で得られた混合物中に3時間かけて連続的に添加した。その添加の間、反応混合物の液温を110〜120℃に保持するとともに、反応で消費された分の水素をオートクレーブに供給し、オートクレーブ内の圧力を7kg/cm2(ゲージ圧)に維持した。水酸化ナトリウム水溶液とイソバレルアルデヒドの添加終了後、反応混合物の温度を上記の範囲に保ったまま1.5時間撹拌を続けて反応を追い込んだ後、室温まで冷却した。
【0051】
反応混合物からパラジウムカーボンを濾過により除去した後、二層に分離した濾液から有機層を分離し、ガスクロマトグラフィー(カラム:シリコンDCQF1(ガスクロ工業(株)社製)、カラム温度60℃→200℃(昇温速度:5℃/分))で分析したところ、有機層1517.3g中に6−メチル−2−ヘプタノンが1339.6g(イソバレルアルデヒド基準での収率:87.1%)含まれていることが判った。なお、イソバレルアルデヒドの転化率は97.9%であり、イソバレルアルデヒドから目的化合物への選択率は89.0%であった。
【0052】
上記で得られた有機層1517.3gを減圧下で蒸留することにより、6−メチル−2−ヘプタノン(沸点=103℃/100mmHg)を1260.5g得た。
【0053】
実施例2
撹拌機を備えた内容積1リットルのガラス製オートクレーブにアセトン122.0g(2.1モル)を仕込み、10%パラジウムカーボン(水素添加触媒)0.50gを加えた。そして、反応系の雰囲気(オートクレーブ内雰囲気)を5kg/cm2(ゲージ圧)の水素で置換し、得られた混合物を65℃まで昇温した。
【0054】
その後、2%水酸化ナトリウム水溶液143.0g(71.5ミリモル)及びイソバレルアルデヒド172.2g(2.0モル)を、それぞれフィードポンプを用いて上記で得られた混合物中に3時間かけて連続的に添加した。その添加の間、反応混合物の液温を65〜66℃に保持するとともに、オートクレーブ内の圧力が5kg/cm2(ゲージ圧)に維持されるように反応で消費された分の水素をオートクレーブに供給した。水酸化ナトリウム水溶液とイソバレルアルデヒドの添加終了後、反応混合物の温度を上記の範囲に保持したまま1.5時間撹拌を続けて反応を追い込んだ後、室温まで冷却した。
【0055】
反応混合物からパラジウムカーボンを濾過により除去した後、二層に分離した濾液から有機層を分離し、実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィーで分析したところ、有機層238.7g中に6−メチル−2−ヘプタノンが180.4g(イソバレルアルデヒド基準での収率:70.4%)含まれていることが判った。なお、イソバレルアルデヒドの転化率は97.1%であり、イソバレルアルデヒドから目的化合物への選択率は72.5%であった。
【0056】
上記で得られた有機層238.68gを減圧下で蒸留することにより、6−メチル−2−ヘプタノン(沸点=103℃/100mmHg)を171.3g得た。
【0057】
実施例3
撹拌機を備えた内容積1リットルのガラス製オートクレーブにアセトン95.9g(1.65モル)を仕込み、ラネーニッケル(水素添加触媒)0.38gを加えた。そして、反応系の雰囲気(オートクレーブ内雰囲気)を5kg/cm2(ゲージ圧)の水素で置換し、得られた混合物を55℃まで昇温した。
【0058】
その後、2%水酸化ナトリウム水溶液151.8g(75.8ミリモル)及びイソバレルアルデヒド129.1g(1.5モル)を、それぞれフィードポンプを用いて上記で得られた混合物中に3時間かけて連続的に添加した。その添加の間、反応混合物の液温を59〜61℃に保持するとともに、オートクレーブ内の圧力が5kg/cm2(ゲージ圧)に維持されるように反応で消費された分の水素をオートクレーブに供給した。水酸化ナトリウム水溶液とイソバレルアルデヒドの添加終了後、反応混合液の温度を上記の範囲に保持したまま6時間撹拌を続けて反応を追い込んだ後、室温まで冷却した。
【0059】
反応混合物からラネーニッケルを濾過により除去した後、二層分離した濾液から有機層を分離し、実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィーで分析したところ、有機層166.6g中に6−メチル−2−ヘプタノンが113.8g(イソバレルアルデヒド基準での収率:59.2%)含まれていることが判った。なお、イソバレルアルデヒドの転化率は、96.9%であり、イソバレルアルデヒドから目的化合物への選択率は、61.1%であった。
【0060】
実施例4
撹拌機を備えた内容積300mlのステンレス製オートクレーブにアセトン43.6g(0.75モル)、イソバレルアルデヒド43.1g(0.5モル)及び2%水酸化ナトリウム水溶液50.0g(25ミリモル)を仕込み、窒素雰囲気下で10%パラジウムカーボン(水素添加触媒)0.126gを加えた。そして、反応系の雰囲気(オートクレーブ内雰囲気)を6kg/cm2(ゲージ圧)の水素で置換し、反応混合物の温度をを60℃に保持するとともに、オートクレーブ内の圧力が6kg/cm2(ゲージ圧)に維持されるように反応で消費された分の水素をオートクレーブに供給しながら反応させた。4時間、同温度で反応を続けた後に室温まで冷却した。
【0061】
反応混合物からパラジウムカーボンを濾過により除去し、二層分離した濾液から有機層を分離し、実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィーで分析したところ有機層66.9g中に6−メチル−2−ヘプタノンが42.1g(イソバルアルデヒド基準での収率:65.8%)含まれていることが判った。なお、イソバレルアルデヒドの転化率は99.7%であり、イソバレルアルデヒドから目的化合物への選択率は、66.0%であった。
【0062】
実施例5〜18
イソバレアルデヒドに代えて表1に示すアルデヒド化合物を使用し、また、それらアルデヒド化合物、アセトン、2%水酸化ナトリウム水溶液及びパラジウムカーボンを表1に示す量で使用し、更に、表1に示す反応温度且つ水素圧力下で、反応時間を表1に示した時間(フィード時間、追込み時間)とすること以外は、実施例1の操作に準じて反応を行った。
【0063】
その結果、表2に示す収率でケトン類が得られた。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、特定のアルデヒド類とケトン類と水素とを、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩基性物質とパラジウムカーボン及びラネーニッケルから選択される水素添加触媒との共存下で反応させることにより、一段階で対応するケトン類を高い収率且つ高い選択率(アルデヒド類基準)で製造することができる。従って、本発明の製造方法は、工業的に有利なケトン類の製造方法となる。
Claims (3)
- 式(I)
で示されるアルデヒド類と、式(II)
で示されるケトン類と、水素とを、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩基性物質並びにパラジウムカーボン及びラネーニッケルから選択される水素添加触媒の存在下で反応させることを特徴とする式(III)
で示されるケトン類の製造方法。 - 水素の存在下で、パラジウムカーボン及びラネーニッケルから選択される水素添加触媒を式(II)のケトン類に懸濁させてなる懸濁液中に、式(I)のアルデヒド類と塩基性物質とをそれぞれ連続的に添加しながら反応を行う請求項1記載のケトン類の製造方法。
- 式(II)のケトン類がアセトン(R2がメチル基であり、R3が水素原子である。)である請求項1又は2記載のケトン類の製造方法。
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-
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