JP3870350B2 - 宇宙漂流物体の計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスペースデブリ、コスミックダストの如き宇宙漂流物体が宇宙飛翔体に衝突したときの衝突位置、衝突時刻を計測したり、宇宙漂流物体を捕獲して衝突位置、衝突時刻を計測するようにする宇宙漂流物体の計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
宇宙空間には数多くの物体(ゴミ)が漂い続けている。その中には、役目を終えた人工衛星やロケットの残がい、これらが爆発したときの破片や塗料片等の人工的な飛行物体であるスペースデブリ、あるいは、星間や惑星間を飛び交っている直径1μ〜数百μ前後の微粒子であるコスミックダスト(宇宙塵)がある。
【0003】
これらの宇宙漂流物体のうち、スペースデブリは、宇宙開発が進むにつれて増加するものであり、その中には地上から観測できる大きさのものから、観測できない小さいものまであり、これらと宇宙で稼動中の人工衛星や宇宙ステーション等の宇宙飛翔体との衝突のおそれがある。
【0004】
したがって、上記宇宙空間を漂い続けている物体が宇宙飛翔体に衝突する状況を観測したり、宇宙漂流物体を捕獲して分析したり回収する必要がある。
【0005】
現在まで、かかる宇宙漂流物体の衝突状況の観測と捕獲は別々の装置で行われており、前者の宇宙漂流物体の衝突状況は、宇宙漂流物体が或る物体に衝突するときに発せられるプラズマ化された光を利用して宇宙漂流物体の衝突個数等を計測するようにしたダストカウンターなる計測装置で計測するようにし、後者の宇宙漂流物体の捕獲は、人工衛星等に取り付けるようにした捕獲器で捕獲するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のダストカウンターなる計測装置の場合は、宇宙漂流物体が衝突したときの発光現象や、プラズマ化現象、振動などをカウントして衝突個数等を知るようにしたものであるが、漂流物体のサンプルの捕獲はできない。又、捕獲器で捕獲した宇宙漂流物体は捕獲器を地上に持ち帰ることにより捕獲された宇宙漂流物体の成分の分析は行うことはできるが、衝突して捕獲された時刻を計測できないので、宇宙漂流物体がどの時点にどの軌道で捕獲されたものであるか、どの方向から飛来したものか等を知ることができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、宇宙漂流物体が衝突したときの時刻や衝突位置、更には衝突エネルギーをも計測できると共に、宇宙漂流物体を捕獲器で捕獲した時刻と衝突位置を計測できるようにしようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、人工衛星の如き宇宙飛翔体の表面に、該表面上を或る範囲で見るような角度で複数個の光検出器を配置して各々固定設置し、且つ宇宙飛翔体の表面に宇宙漂流物体が衝突したときに発せられる光を上記複数個所の光検出器で個別に検出できるようにし、更に、上記光検出器が接続してあって、上記光が各光検出器へ到達する時刻の違い及び光が光検出器で検出されるときの光の強度の値の違いを基に衝突時刻、衝突位置を計測するようにしてある演算器を備えた構成とする。
【0009】
宇宙漂流物体が宇宙飛翔体表面に衝突すると、発光現象が生じ、その光を数点の光検出器で検出することにより、各光検出器に光が到達する時刻や光の強度の違いから衝突位置を計測でき、光の強度から衝突エネルギーも計測できる。
【0010】
又、上面を開放させたボックス型のホルダー内に低密度物質を収納してなる捕獲器を、宇宙飛翔体に取り付け、該捕獲器のホルダーの1個所又は複数個所に光検出器を取り付けると共に、該光検出器を取り付けた部分のホルダーを透明な構造とし、且つ上記光検出器が接続してあって、上記捕獲器に宇宙漂流物体が衝突して捕獲されたときに発せられる光が光検出器で検出されるとその値から捕獲時刻を計測することができ、又、上記発せられる光が複数個所の光検出器で検出されるとその検出値から衝突位置を計測することができるようにしてある演算器を備えた構成としたり、捕獲器に光検出器を取り付けることに代えて、二次元フォトマルチプライヤーよりなる光検出器をホルダーの底面のみに設けた構成とすることにより、宇宙漂流物体が捕獲器に衝突して捕獲された時刻、衝突位置が計測できると共に、捕獲器を地上に持ち帰って調べることができるので、捕獲時刻と人工衛星の軌道とから宇宙漂流物体の飛来方向を知ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の一形態を示すもので、宇宙漂流物体1が宇宙飛翔体2の表面に衝突したときの衝突位置、衝突時刻を計測するようにしたものである。
【0013】
すなわち、宇宙飛翔体2の表面に、或る範囲内を見通せるように複数個(図1では3個)のフォトマルチプライヤーやフォトダイオードの如き光検出器3を所要間隔で配置して、各々支持脚4を介し固定設置し、宇宙漂流物体1が宇宙飛翔体2の表面に衝突したときに発せられる光5を上記複数個所の光検出器3で個別に検出できるようにし、且つ各検出値を入力して、光5が各光検出器3へ到達する時刻や光5が各光検出器3で検出されるときの光の強度の計測値の違いから宇宙漂流物体1が衝突した時刻、衝突位置を求めるようにする演算器6を装備する。
【0014】
宇宙飛翔体2の表面に宇宙漂流物体1が衝突すると、発光現象が生じる。このときの光5が複数個所の光検出器3で個別に検出されて演算器6へ入力される。
【0015】
演算器6では各光検出器3へ光5が到達する時刻の差や、各光検出器3が受ける光の強度の計測値の違いの差から、宇宙飛翔体2の表面に宇宙漂流物体1がいつ衝突したか、どこに衝突したかという衝突時刻、衝突位置を求めることができる。又、上記光の強度の計測値から宇宙飛翔体2表面への宇宙漂流物体1の衝突エネルギーをも計測することができる。
【0016】
次に、図2(イ)(ロ)は本発明の他の実施の形態として、宇宙飛翔体2に取り付けて用いる宇宙漂流物体捕獲用の捕獲器Iを構成するホルダー7に光検出器3を設置し、宇宙漂流物体1が捕獲器Iで捕獲されたときに発せられる光5を光検出器3で検出して時刻を計測できるようにしたものである。
【0017】
詳述すると、上面を開放して底板8と側板9とからなるボックス型のホルダー7の内部に、所要厚さとした発泡シリコン等の如き低密度物質11とアルミフォイル又は銅フォイル、金フォイルの如きフォイル12を積層してなるブロック体10を収納し、開放したホルダー7の上面側に衝突して来た宇宙漂流物体1の衝突を低密度物質11で吸収しフォイル12を突き破って進入した宇宙漂流物体1をいずれかのフォイル12で捕獲するようにした捕獲器Iを構成し、該捕獲器Iのホルダー7の任意の1個所、たとえば、側板9の任意の高さ位置に、ホルダー7の内部を見渡せるようにフォトマルチプライヤーやフォトダイオードの如き光検出器3を設置して演算器6に接続すると共に、該光検出器3を設置した側板9の一部又は全部を透明にするか又は孔をあけた構成にして、光検出器3によりホルダー7の内部が直接見られるようにする。
【0018】
この捕獲器Iは、図2(ロ)に示すように宇宙飛翔体2にマニピュレータ13を介して宇宙飛翔体2より張り出して取り付けるようにしたり、宇宙飛翔体の側面等に取り付けて搭載するようにする。
【0019】
この実施の形態によれば、宇宙漂流物体1が捕獲器Iに衝突しフォイル12を突き破って進入して捕獲されると、そのとき発せられる光5を1個所の光検出器3で検出することにより捕獲時刻を知ることができる。
【0020】
本発明の更に他の実施の形態として、図2(イ)に二点鎖線で示す如く側板9の他の個所や底板8に沿う複数個所にも光検出器3を設置して、演算器6に接続させた構成とすると、宇宙漂流物体1が捕獲器Iに捕獲されたときに発せられる光5を数個所の光検出器3で検出することにより捕獲時刻はもとより、そのときの各光検出器3への光の到達時刻や光の強度の計測値の違いから衝突位置と衝突エネルギーを計測することができる。
【0021】
図3は本発明の更に別の実施の形態を示すもので、図2に示す捕獲器Iと同様の捕獲器Iのホルダー7底面に沿い二次元フォトマルチプライヤーからなる光検出器14を設置したものである。
【0022】
この実施の形態によれば、底部の光検出器14のみで宇宙漂流物体1が衝突したときの位置が計測できると共に、衝突したときの光の強さでエネルギーを計測することができる。
【0023】
上記した捕獲器Iに光検出器3,14を取り付けて衝突した宇宙漂流物体1を捕獲し計測するようにしたものでは、捕獲器Iを地上に持ち帰って調べることができるので、宇宙空間では何時衝突したかがわからないような場合でも、地上で調べるときに衝突時刻がわかることから、宇宙飛翔体がどの軌道で捕獲したか、宇宙漂流物体1がどの方向から飛来したのか等の観測をすることができる。
【0024】
なお、捕獲器Iのホルダー7を構成する側板9は底板8とは別体として底板8にボルトで固定できるようにしたり、側板9を4面別々に分割して各々が底板8に対し個別に取り付けられるようにすると共に相対峙する側板同士間の間隔が変えられるように取付位置を可変としてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の宇宙漂流物体の計測装置によれば、人工衛星の如き宇宙飛翔体の表面に、該表面上を或る範囲で見るような角度で複数個の光検出器を配置して各々固定設置し、且つ宇宙飛翔体の表面に宇宙漂流物体が衝突したときに発せられる光を上記複数個所の光検出器で個別に検出できるようにし、更に、上記光検出器が接続してあって、上記光が各光検出器へ到達する時刻の違い及び光が光検出器で検出されるときの光の強度の値の違いを基に衝突時刻、衝突位置を計測するようにしてある演算器を備えた構成としてあるので、各光検出器への光の到達時刻や光の強度の違いから衝突位置を計測することができると共に、各光検出器で検出する光の強度の違いから衝突エネルギーを計測することができ、又、宇宙飛翔体に搭載する捕獲器に光検出器を1個組み付けることにより、捕獲器に宇宙漂流物体が衝突して捕獲された時刻を知ることができると共に、光検出器を数個所に組み付けて用いることにより数点での検出値から衝突位置、衝突エネルギーをも知ることができ、更に、捕獲器の底面に1つの二次元フォトマルチプライヤーからなる光検出器を設置することにより、宇宙漂流物体が衝突した位置を知ることができ、光の強度から衝突エネルギーも計測することができ、このような捕獲器に光検出器を組み付けたものは、捕獲器を地上に持ち帰ることができて、地上にて衝突時刻を知ることにより、該捕獲器を搭載した人工衛星がどのような軌道のときに宇宙漂流物体を捕獲したか、どの方向から宇宙漂流物体が飛んで来たか、等を観測できる、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態について示す概要図である。
【図2】本発明の他の実施の形態について示すもので、(イ)は捕獲器の概略断面図、(ロ)は宇宙飛翔体に捕獲器を取り付けた例を示す概略図である。
【図3】本発明の更に別の実施の形態について示す概要図である。
【符号の説明】
I 捕獲器
1 宇宙漂流物体
2 宇宙飛翔体
3 光検出器
5 光
6 演算器
7 ホルダー
8 底板
9 側板
10 ブロック体
11 低密度物質
12 フォイル
14 光検出器
Claims (3)
- 人工衛星の如き宇宙飛翔体の表面に、該表面上を或る範囲で見るような角度で複数個の光検出器を配置して各々固定設置し、且つ宇宙飛翔体の表面に宇宙漂流物体が衝突したときに発せられる光を上記複数個所の光検出器で個別に検出できるようにし、更に、上記光検出器が接続してあって、上記光が各光検出器へ到達する時刻の違い及び光が光検出器で検出されるときの光の強度の値の違いを基に衝突時刻、衝突位置を計測するようにしてある演算器を備えた構成を有することを特徴とする宇宙漂流物体の計測装置。
- 上面を開放させたボックス型のホルダー内に低密度物質を収納してなる捕獲器を、宇宙飛翔体に取り付け、該捕獲器のホルダーの1個所又は複数個所に光検出器を取り付けると共に、該光検出器を取り付けた部分のホルダーを透明な構造とし、且つ上記光検出器が接続してあって、上記捕獲器に宇宙漂流物体が衝突して捕獲されたときに発せられる光が光検出器で検出されるとその値から捕獲時刻を計測することができ、又、上記発せられる光が複数個所の光検出器で検出されるとその検出値から衝突位置を計測することができるようにしてある演算器を備えた構成を有することを特徴とする宇宙漂流物体の計測装置。
- 上面を開放させたボックス型のホルダー内に低密度物質を収納してなる捕獲器を、宇宙飛翔体に取り付け、該捕獲器のホルダーの底面のみに二次元フォトマルチプライヤーよりなる光検出器を取り付け、且つ上記光検出器を演算器に接続して、上記捕獲器に宇宙漂流物体が衝突して捕獲されたときに発せられる光を上記光検出器で検出することにより宇宙漂流物体が衝突した位置、検出した光の強度から衝突エネルギーを計測することができるようにした構成を有することを特徴とする宇宙漂流物体の計測装置。
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