JP3869099B2 - タッチパネルの座標測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタイザに係り、特に、アナログ式タッチパネルの座標測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、タッチパネルは、小型入力装置として、各種の情報処理装置で広く使用されている。
まず、従来のアナログ式タッチパネルについて、構成と動作を図によって説明する。
【0003】
図2は、従来のアナログ式タッチパネルについて、その概略構造の一例を示す斜視図である。図において、1はフィルム基材、2はY透明導電膜、3はガラス基材、4はX透明導電膜、5はスペーサ、xLはxL電極、xRはxR電極、yUはyU電極、yLはyL電極を示す。
【0004】
この図2に示すように、タッチパネルは、ある有限な抵抗値を有する2枚の透明導電膜2,4を備えている。
この透明導電膜2,4は、少なくとも一方は可撓性基材上に形成されており、例えばフィルム基材1の内側にY透明導電膜2が設けられる。
そして、このY透明導電膜2の端部には、検出用の電極として、yU電極とyL電極とが取り付けられている(Uは上側、Lは下側)。
図2の場合には、他方の透明導電膜(ITO)、すなわち、X透明導電膜4はガラス基材3の上面(Y透明導電膜2と対向する側)に形成されている。
【0005】
このX透明導電膜4の端部には、検出用の電極として、xL電極とxR電極とが取り付けられている(Lは左側、Rは右側)。
また、これらの透明導電膜2,4が対向する膜間に微小な空間を保持するために、例えば高さが3〜10μm程度のスペーサ5が設けられている。
このタッチパネルは、通常何らかの表示装置、例えば液晶表示装置LCD等と組み合わせて使用され、その表示に従って打鍵面を押下することによって、その座標位置が入力され、所定の動作が実行される。
【0006】
図3は、図2に示したタッチパネルについて、動作時の変形状態を説明する略側面図で、(1) は打鍵待ちの状態、(2) は打鍵面が押下された状態を示す。図の符号は図2と同様であり、矢印Aは押下方向を示す。
【0007】
打鍵面が人の指先やペン等によって矢印Aの方向に押下されると、図3(2)に示すように、可撓性基材であるフィルム基材1が変形し、透明導電膜2,4同志が接触する。これが、後述する打鍵であり、上述のように打鍵面の押下でその座標位置が入力される。逆に、この押下力を取り去る(指先やペン等を離す)と、可撓性基材であるフィルム基材1の形状が復帰し、図3(1) に示したように、透明導電膜2,4は非接触の状態に戻る。
【0008】
図4は、図2に示したタッチパネルの打鍵位置を検出する打鍵位置検出回路の一例を示す機能ブロック図である。図の符号は図2と同様であり、6はタッチパネル、IC1とIC3はボルテージフォロワ、IC2はコンパレータ、IC4はA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)、LPF1とLPF2はローパスフィルタ、ASW1〜ASW4はアナログスイッチ、S0とS1とS2はアナログスイッチASW2の各端子、D1とD2はダイオード、R1〜R7は抵抗器、C1とC2はコンデンサを示し、VthはコンパレータIC2のしきい値電圧を示す。
【0009】
この図4に示す打鍵位置検出回路は、先の図2に示したタッチパネルの打鍵位置を電気信号として検出する機能を有している。
タッチパネル6は、その等価回路で、互いに直交するタッチパネルの2組の電極xL,xR(以下適宜、xL電極,xR電極という)と、電極yU,yL(以下適宜、yU電極,yL電極という)とが設けられている。
そして、一方の1組のxL,xR電極には、それぞれアナログスイッチASW2,ASW4が接続されている。
同様に、他方の1組のyU,yL電極には、それぞれアナログスイッチASW1,ASW3が接続されている。
【0010】
先ず、打鍵待ちの状態では、アナログスイッチASW1およびASW3は開放状態である。アナログスイッチASW2は、端子S0側が閉じた状態、アナログスイッチASW4は閉じた状態である。すなわち、xL電極,xR電極は一定電位に保持され、yU電極,yL電極はアナログスイッチASW1,ASW3が開放状態であるから、その電位は負荷抵抗R3、ローパスフィルタLPF1を介してコンパレータIC2およびボルテージフォロワIC2へ導かれる。この状態で打鍵されると、X透明導電膜(図2の4)の電位は接触部分を通してY透明導電膜(図2の2)に伝わり、コンパレータIC2の入力へ伝わる。コンパレータIC2のしきい値電圧Vth(ほぼ3V)は、タッチパネル6のバイアス電圧の約半分程度に設定されているので、コンパレータIC2は反転し、打鍵信号を発生する。ここで、ダイオードD1,D2は、リミッタとして作用する。この打鍵信号の発生後、アナログスイッチASW2が端子S1側に切り換えられると、ボルテージフォロワIC3から出力されるx信号は、抵抗器R2の分割比であるnに比例した電位となる。このx信号を、A/D変換器IC4によってA/D変換(アナログ/デジタル変換)すると、x座標が求められる。
【0011】
次に、アナログスイッチASW1とASW3を閉じ、アナログスイッチASW2とASW4を開放すると、ボルテージフォロワIC1から出力されるy信号はmに比例した電位となる。
すなわち、y座標に比例した電位となり、このy信号をA/D変換すると、y座標が求められる。
以上のように、従来のアナログタッチパネルは、▲1▼打鍵検出→▲2▼x座標測定→▲3▼y座標測定の3段階の動作を行うことにより、x,y座標の測定を行う。
また、座標を連続して読む場合には、上記▲1▼→▲2▼→▲3▼の動作を繰り返すことによって、連続的に測定を行うことができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べたように、x,y座標を測定するためには、▲1▼打鍵検出→▲2▼x座標測定→▲3▼y座標測定の3つの状態を経由する必要がある。
一方、測定に必要な時間は、抵抗器R4とコンデンサC1で形成されたローパスフィルタLPF1の応答時間で制限される。
このローパスフィルタLPF1は、アナログタッチパネルと組み合わせて使用される表示装置(例えば、液晶表示装置LCD)から誘導されるノイズを軽減するために付加されている。
このローパスフィルタLPF1の応答時間は、時定数で表わされるが、通常信号が安定するのには時定数の3倍以上を必要とするので、高速動作の妨げになっている。
【0013】
通常この時間には、例えば5msec程度必要であるから、x,y座標を測定するのに必要な時間は、打鍵検出を含めて15msec程度となり、約67サンプル/秒のサンプリング速度となる。
この速度は、実用上は充分な高速とは言えず、高速にサンプリングする方式が望まれている。
この発明では、簡単な構成によって、測定速度の向上を可能にしたタッチパネルの座標測定装置を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、一対のx座標検出電極が設けられた第1の導電膜と、一対のy座標検出電極が設けられた第2の導電膜と、前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜が絶縁性のスペ−サを介して、前記x座標検出電極と前記y座標検出電極とが直交するように対向配置されたタッチパネル入力部とを有する座標測定装置において、前記x座標検出電極及び前記y座標検出電極の各々に対応して設けられ、該対応する電極を電圧が印加されない状態と所定の電圧が印加される状態とに選択的に設定するスイッチ部と、前記x座標検出電極及び前記y座標検出電極の一対の片方の電極から前記タッチパネル入力部の入力座標位置に応じて出力される信号が入力されるように設けられたローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号を所定の検出電圧と比較して前記タッチパネル入力部への入力操作の検出信号を発生するコンパレータと入力操作の検出信号が未検出の状態で前記コンパレータの出力側から前記ローパスフィルタの入力部が導通するように接続されたダイオードスイッチおよびダンピング抵抗を有し、前記検出電圧を、前記所定の電極と該電極と一対となる電極との間に印加される電圧の半分よりも小さい検出電圧に設定し、前記スイッチ部の設定により前記一対のx座標検出電極及び前記一対のy座標検出電極のいずれか一方の一対の座標検出電極の間に所定の電圧を印加して、他方の一対の座標検出電極の間を開放状態とする座標検出モードに設定し、前記座標検出モードにおいて前記コンパレータから入力操作の検出信号を取得して座標検出を開始するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明の座標測定装置では、状態数を従来の3状態から2状態に減らすことによって、座標測定速度を向上させた点に特徴を有している(請求項1の発明)。また、コンパレータ出力をダイオードスイッチおよびダンピング抵抗を介して電極xLまたは電極xRに接続し、打鍵検出特性を安定化させる(請求項の発明)。さらに、コンパレータ出力をダイオードスイッチおよびダンピング抵抗を介して電極xLまたは電極xRに接続し、電極xLまたは電極xRの電位を引き下げることによって、しきい値電位から離すことができるようにしている。
【0021】
図1は、この発明の座標測定装置において、タッチパネルの打鍵位置を検出する打鍵位置検出回路の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図の符号は図4と同様であり、D3はダイオード、R8はダンピング抵抗を示す。
【0022】
この図1に示したこの発明の座標測定装置は、図4を用いて説明した従来の座標測定装置と、次の点で異なっている。第1に、打鍵検出だけを行うスイッチの設定を廃止し、打鍵検出はx座標測定動作またはy座標測定動作で兼用する。第2に、コンパレータIC2のしきい値電圧Vthを、座標(0,0)打鍵時の信号電圧と0Vの間に設定する。第3に、ダイオードリミッタD1,D2の出力を、ダイオードD3とダンピング抵抗R8を通してyU電極の信号へ接続する。
【0023】
次に、図1に示した座標測定装置の動作について説明する。打鍵待ちの状態は、x座標測定の状態と同じになる。すなわち、アナログスイッチASW2は、端子S1側に接続され、アナログスイッチASW4は閉じている。また、他方のアナログスイッチASW1,ASW3は開放状態である。この状態では、yU電極は接地電位になり、コンパレータIC2の出力は負になっている。そのため、リミッタ用のダイオードD2は導通状態であり、−0.6V程度の電位となる。この電位では、ダイオードD3も導通状態となり、yU電極の負荷抵抗は、抵抗器R3とR8の並列合成抵抗となる。
【0024】
次に、打鍵状態となると、yU電極の電位は上昇するが、その上昇は抵抗器R8によってダンピングされる。しかし、yU電極の電位はさらに上昇を続け、コンパレータIC2のしきい値Vth(≒0.5V)を越えるので、コンパレータIC2が反転し、A/D変換器IC4に割り込み信号を与えると共に、ダイオードスイッチD3を遮断状態として、ダンピング抵抗R8を切り離す。この状態は、x座標測定状態となるので、バウンス・チャタリング時間待った後、A/D変換を行ってx座標を測定する。
【0025】
その後、一方のアナログスイッチASW1,ASW3を閉じ、他方のアナログスイッチASW2,ASW4を開放とする。この状態は、y座標測定状態となるので、ローパスフィルタLPF2の応答時間だけ待った後に、A/D変換を行ってy座標を測定する。その後は、再び、x座標測定状態に戻る。もし、打鍵が持続していた場合には、コンパレータIC2は、そのままの状態で打鍵検出信号を出力し続けるが、打鍵が終了すると、yU電極の電位は接地電位に戻り、コンパレータIC2も反転するので打鍵信号の発生も停止する。
【0026】
以上のように、この発明のタッチパネルの座標測定装置では、タッチパネルの2組の電極xL,xRおよび電極yU,yLの回路切り換えを行う回路切り換え手段(アナログスイッチASW1〜ASW4)と、所定のしきい値によって出力が反転するコンパレータ(コンパレータIC2)とを設け、打鍵待ち状態をx座標測定状態と兼用するようにしている。このように、状態数を従来の3状態から2状態に減らすことによって、座標測定速度を向上させることができる(請求項1の発明)。また、打鍵待ち状態をy座標測定状態と兼用することもできるので、同様に、座標測定速度を向上させることができる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1のタッチパネルの座標測定装置では、従来行われていた▲1▼打鍵検出→▲2▼x座標測定→▲3▼y座標測定という3段階に代えて、▲1▼x座標測定(打鍵検出)→▲2▼y座標測定という2段階で、x座標とy座標の測定を可能にしている。
したがって、測定速度が向上される。
【0028】
請求項のタッチパネルの座標測定装置では、さらに、コンパレータ出力をダイオードスイッチおよびダンピング抵抗を介してxL電極またはxR電極に接続し、打鍵開始直後に発生する接触不安定領域(ハイインピーダンス領域)においてダンピングを行っている。したがって、上記効果に加えて、打鍵検出時には安定領域となり、打鍵検出測定を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の座標測定装置において、タッチパネルの打鍵位置を検出する打鍵位置検出回路の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】従来のアナログ式タッチパネルについて、その概略構造の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示したタッチパネルについて、動作時の変形状態を説明する略側面図である。
【図4】図2に示したタッチパネルの打鍵位置を検出する打鍵位置検出回路の一例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
IC1とIC3……ボルテージフォロワ、IC2……コンパレータ、IC4……A/D変換器、LPF1とLPF2……ローパスフィルタ、ASW1〜ASW4……アナログスイッチ、D1〜D3……ダイオード、R1〜R8……抵抗器、C1とC2……コンデンサ

Claims (1)

  1. 一対のx座標検出電極が設けられた第1の導電膜と、
    一対のy座標検出電極が設けられた第2の導電膜と、
    前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜が絶縁性のスペ−サを介して、前記x座標検出電極と前記y座標検出電極とが直交するように対向配置されたタッチパネル入力部と
    を有する座標測定装置において、
    前記x座標検出電極及び前記y座標検出電極の各々に対応して設けられ、該対応する電極を電圧が印加されない状態と所定の電圧が印加される状態とに選択的に設定するスイッチ部と、
    前記x座標検出電極及び前記y座標検出電極の一対の片方の電極から前記タッチパネル入力部の入力座標位置に応じて出力される信号が入力されるように設けられたローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタの出力信号を所定の検出電圧と比較して前記タッチパネル入力部への入力操作の検出信号を発生するコンパレータと
    入力操作の検出信号が未検出の状態で前記コンパレータの出力側から前記ローパスフィルタの入力部が導通するように接続されたダイオードスイッチおよびダンピング抵抗を有し、
    前記検出電圧を、前記所定の電極と該電極と一対となる電極との間に印加される電圧の半分よりも小さい検出電圧に設定し、
    前記スイッチ部の設定により前記一対のx座標検出電極及び前記一対のy座標検出電極のいずれか一方の一対の座標検出電極の間に所定の電圧を印加して、他方の一対の座標検出電極の間を開放状態とする座標検出モードに設定し、
    前記座標検出モードにおいて前記コンパレータから入力操作の検出信号を取得して座標検出を開始することを特徴とする座標測定装置。
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