JP3869004B2 - 水性ポリオレフィン系接着促進剤 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、界面活性剤、アミン及び水の存在下、酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィンと塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンとを乳化することにより調製される、接着促進剤として有用な水性ポリオレフィン組成物に関する。
発明の背景
一般に、ポリオレフィンは、これを乳化する前に水分散性にしなければならないため、有機溶剤又は酸化若しくはマレイン化による化学変性を必要とする。しかしながら、有機溶剤の使用は環境問題を引き起こすし、またポリオレフィンの化学変性は、そのポリオレフィンを含む配合品の最終用途特性を望ましくないものにし、その製品のコストを増大させてしまう。
米国特許第4,613,679号明細書に、ラジカル供給源の存在下、3個以上の炭素原子を有する少なくとも一種のα−オレフィンモノマーを含有する低分子量ホモポリマー及びコポリマーとマレイン酸のジエステルとを反応させて得られる乳化可能なポリオレフィンワックスが記載されている。ポリ−α−オレフィンへのマレイン酸ジエステルのグラフト化は、不活性雰囲気中で行われる。米国特許第4,613,679号明細書の方法の欠点は、ポリオレフィンのマレイン化が必要なため、分子構造が変化することにより製品の最終用途特性が変性してしまう点である。
米国特許第3,644,258号明細書に、オレフィンポリマーのハイソリッドのラテックスの製造方法であって、(1)アルカリ性塩形の熱可塑性有機付加ポリマーの流体のローソリッドの水性エマルションを、該ポリマーの軟化点と該ポリマーが分解する温度との間の温度に加熱すると同時に、該エマルションのpHを6.0〜8.3の間の値にまで低下させる工程、並びに(2)該エマルションを濃縮してポリマー含有量約40〜65重量%の流体ラテックスを得る工程による方法が記載されている。この方法では、ラジカルの存在下で、アクリル系モノマーを不飽和オレフィンと共重合させる必要がある。
米国特許第3,919,176号明細書に、ホットメルト接着剤として有用である水分散性ポリオレフィン組成物が記載されている。このホットメルト接着剤は、エステル化されたカルボキシル化ポリオレフィンを使用することによって調製される。米国特許第3,919,176号明細書に記載されている接着剤組成物の欠点は、該ポリオレフィンが、ラジカルの存在下でのマレイン化過程による化学変性と、水に分散させるためのアルカリによる中和とを受ける点にある。
米国特許第5,373,048号明細書に、マレイン化ポリオレフィン、非イオン性界面活性剤、アミン及び水を乳化したものを含有する水性塗布組成物が記載されている。米国特許第5,373,048号明細書に記載されている水性塗布組成物では、ポリプロピレンのような特定のポリマー基材に対しては不十分な接着性しか得られない。
ポリプロピレン、熱可塑性オレフィン、ポリエチレン、等のポリマー基材に対する塗料、インク及びコーティングの接着性を改良するためのハロゲン化されていない水性接着促進剤が必要とされている。
発明の概要
本発明は、特にポリマー基材に対する接着性を改良するための水性ポリオレフィン組成物に関する。該水性ポリオレフィンは、粒径が0.02〜150μmであり且つ、
(A)重量平均分子量が2,000〜15,000であり且つ密度が1.0g/cc未満である少なくとも一種の酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィン0.1〜10重量%;
(B)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95である少なくとも一種の塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン10〜40重量%;
(C)HLB(hydrophilic-lipophilic balance)が6〜18である少なくとも一種の界面活性剤0.1〜10重量%;
(D)分子量が150未満である少なくとも一種のアミン化合物0.1〜5重量%;及び
(E)水50〜95重量%
を含んで成る。尚、上記重量%は水性組成物の総重量を基準とする。
この水性ポリオレフィン組成物は、
(1)(A)重量平均分子量が2,000〜15,000であり且つ密度が1.0g/cc未満である少なくとも一種の酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィン0.1〜10重量%;
(B)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95である少なくとも一種の塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン10〜40重量%;
(C)HLBが6〜18である少なくとも一種の界面活性剤0.1〜10重量%;
(D)分子量が150未満である少なくとも一種のアミン化合物0.1〜5重量%;及び
(E)水50〜95重量%
を混合する工程;
(2)工程(1)の混合物を60kPa〜1500kPaの圧力下、120℃〜200℃の温度に加熱して水性ポリオレフィンエマルションを形成させる工程;並びに
(3)工程(2)で形成された水性ポリオレフィンエマルションを20℃〜70℃の温度に冷却して水性ポリオレフィン組成物を形成させる工程
を含んで成る方法により調製される。尚、上記重量%は組成物の総重量を基準とする。
発明の説明
本発明は、界面活性剤、アミン及び水の存在下、酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィンと塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンとを乳化することにより調製される、接着促進剤として有用な水性ポリオレフィン組成物に関する。この調製方法には三段階の工程が含まれる。工程(1)では、攪拌装置を具備したParr反応器のような圧力容器の中で少なくとも一種の酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィン(成分A)と、少なくとも一種の塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(成分B)と、少なくとも一種の界面活性剤(成分C)と、少なくとも一種のアミン化合物(成分D)と、水(成分E)とを混合して混合物を形成する。工程(1)は、溶融相を生ぜしめるに十分な温度で行われる。好ましくは、工程(1)は、80℃〜250℃、より好適には120℃〜180℃の温度で且つ、68.95kPa(10psi)〜1378.96kPa(200psi)、より好適には413.69kPa(60psi)〜620.53kPaの圧力で行われる。上記温度及び圧力を10〜150分間、より好適には30〜45分間維持することが好ましい。
酸化も、ハロゲン化も、マレイン化もされていない結晶性ポリオレフィンの重量平均分子量は2,000〜15,000、好ましくは3,000〜13,000である。これらのポリオレフィン(成分A)は、Eastman Chemical社(Kingsport, TN)からEPOLENE N-型ポリオレフィンとして市販されており、各種グレード品を入手することができる。EPOLENE N-型ポリオレフィンの具体例を表1に列挙する。
Figure 0003869004
EPOLENE N-型ポリオレフィンは一般にポリエチレン又はポリプロピレンである。これらEPOLENE N-型ポリオレフィンの粘度は、EPOLENE N-20、EPOLENE N-21及びEPOLENE N-15を除き、125℃における値が報告されている。表1に示したように、EPOLENE N-15の粘度は190℃における値が報告されており、またEPOLENE N-20とEPOLENE N-21の粘度は150℃における値が報告されている。
ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(成分B)は、以下の中から選ばれる:
(1)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95、好ましくは30〜50である非晶質の塩素化されていないマレイン化されたポリプロピレン;
(2)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95、好ましくは30〜50である、プロピレン単位を60〜98モル%、好ましくは80〜95モル%の範囲で含み且つエチレン単位を40〜2モル%、好ましくは20〜5モル%の範囲で含む非晶質の塩素化されていないマレイン化されたプロピレン−エチレン系コポリマー;
(3)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が20〜65、好ましくは25〜65である、プロピレン単位を30〜98モル%、好ましくは35〜95モル%の範囲で含み且つヘキセン単位を70〜2モル%、好ましくは65〜5モル%の範囲で含む非晶質の塩素化されていないマレイン化されたプロピレン−ヘキセン系コポリマー;
(4)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜50好ましくは25〜45である、プロピレン単位を40〜98モル%、好ましくは45〜90モル%の範囲で含み且つブテン単位を60〜2モル%、好ましくは55〜10モル%の範囲で含む非晶質の塩素化されていないマレイン化されたプロピレン−ブテン系コポリマー;
(5)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜50好ましくは20〜45である、プロピレン単位を40〜80モル%、好ましくは50〜80モル%の範囲で含み、エチレン単位を1〜20モル%の範囲で含み且つブテン単位を30〜60モル%、好ましくは15〜49モル%の範囲で含む非晶質の塩素化されていないマレイン化されたプロピレン−エチレン−ブテン系ターポリマー;及び
(6)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜50である、プロピレン単位を40〜80モル%の範囲で含み、エチレン単位を1〜20モル%の範囲で含み且つヘキセン単位を20〜60モル%の範囲で含む非晶質の塩素化されていないマレイン化されたプロピレン−エチレン−ヘキセン系ターポリマー。
ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(MAPO)(成分B)は、マレイン化法により非晶質ポリオレフィン(APO)から誘導される。マレイン化により、ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンに若干の親水性が付与される。従って、ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンを乳化して水性製品を得ることが可能となる。
アミン化合物(成分D)は、分子量が150未満、好ましくは100未満であり且つ官能価が1〜3である第一、第二又は第三アミンである。該アミンは芳香族アミンであっても脂肪族アミンであってもよい。アミン官能価が1〜3である脂肪族アミンが好ましい。任意ではあるが、該アミンは別の含酸素官能基を含むことができる。該アミン化合物は、水性ポリオレフィン組成物中、該組成物の総重量を基準として0.1〜5重量%の量で存在する。該アミン化合物は、ポリオレフィンの重量を基準として2〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の量で存在する。アミン化合物の例として、下記一般式で示されるものが挙げられる。
Figure 0003869004
上式中、R1〜R7は、各々独立に、水素又は炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、ヒドロキシアルキル基若しくはアルコキシルアルキル基を表す。さらに、R1〜R7は、置換されたアルキル基、すなわち該基に含まれる炭素の一つ以上が別の官能価、例えばアミン、エーテル、ヒドロキシ又はメルカプトの部分で置換されているアルキル基を含むことも可能であり、例えば、トリス(3−アミノプロピル)アミンのような化合物が挙げられる。
アミン化合物の別のグループとして、上記一般式のうち、R1〜R7が特に一又は二以上のヒドロキシル(−OH)官能価で置換されている又は該官能価を含有しているような第一、第二又は第三脂肪族アミンが挙げられる。アミン化合物の例として、下記一般式で示されるものが挙げられる。
Figure 0003869004
上式中、nは1又は2であり、そしてR8、R9、R10及びR11は、各々独立に、炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、ヒドロキシアルキル基若しくはアルコキシルアルキル基を表す。これらの鎖が、上記した別の官能価でさらに置換されていてもよい。
また、該アミン化合物は、一又は二以上のエーテル結合又はアルコキシ結合を含有することもできる。このような物質は、ポリ(オキシアルキレン)ジアミンと呼ばれることもある。特に、エトキシル化又はプロポキシル化された物質が好適である。
本発明の水性ポリオレフィン組成物に用いるのに好適なアミン化合物として、2−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノエタンチオール、2−アミノヘプタン、2−アミノ−1−ヘキサノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、アリルアミン、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−ペンタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1−プロパノール、水酸化アンモニウム、アミルアミン、ブチルアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−2−プロパノール、1−〔N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕−2−プロパノール、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、デシルアミン、1,4−ジアミノブタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,7−ジアミノヘプタン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,9−ジアミノノナン、1,8−ジアミノオクタン、1,5−ジアミノペンタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジブチルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、5−ジエチルアミノ−2−ペンタノール、3−(ジエチルアミノ)−1,2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、ジイソブチルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、3−ジイソプロピルアミノ−1,2−プロパンジオール、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、2−ジメチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジメチルアミノプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、1,5−ジメチルヘキシルアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、ドデシルアミン、エタノールアミン、3−エトキシプロピルアミン、エチルアミン、2−(エチルアミノ)エタノール、N−エチルブチルアミン、2−エチルブチルアミン、N−エチルジエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ヘキシルアミン、イソアミルアミン、イソプロピルアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N’−イソプロピル−2−メチルー1,2−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,2,2−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、トリブチルアミン、トリデシルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、メチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、N−メチルブチルアミン、1−メチルブチルアミン、2−メチルブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、モルフォリン、ノニルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、プロピルアミン、2−(プロピルアミノ)エタノール、1−テトラデシルアミン及びトリス(3−アミノプロピル)アミンが挙げられる。
アミンの混合物を使用することもできる。好適なアミン化合物は、モルフォリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノエタノール及び水酸化アンモニウムである。
界面活性剤(成分C)は、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤である。界面活性剤の選択は、水性ポリオレフィン組成物の最終用途によって異なる。界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、界面活性剤の親水性(極性)基と親油性(非極性)基の大きさ及び強度のバランスを表すものである。界面活性剤の平均HLBは6〜18である。
HLB値は様々な方法で測定することができる。例えば、ポリグリコールのものをはじめとする多価アルコール脂肪酸エステル及び脂肪アルコールのポリオキシエチレン誘導体のようなある種の非イオン性界面活性剤のHLB値を、以下の方程式によって算出することができる。
Figure 0003869004
上式中、Sはエステルのケン化価であり、またAは酸の酸価である。従って、S=161、A=198のグリセロールモノステアレートの場合、上記方程式よりHLB値は3.8となる。
その他の界面活性剤、例えば、タル油やロジン、蜜蝋、ラノリン、等の場合、HLB値は下記方程式から算出することができる。
Figure 0003869004
上式中、Eはオキシエチレンの重量%であり、またPは多価アルコールの重量%である。
上記方程式は多くの界面活性剤について十分であるが、多くの界面活性剤のHLB値は実験法で推定しなければならない。HLB値の定量のための実験法は、HLB値が既知の界面活性剤に未知の界面活性剤を各種比率で配合し、その配合物を使用して、乳化する際に必要なHLB値が知られている油を乳化させる工程を必要とする。最良の性能を示した配合物が、その油に必要なHLBにほぼ等しいHLB値を有するものとみなされ、未知物質のHLB値を算出することができる。
一連の界面活性剤のおよそのHLB値を、下記表にまとめたように特定の界面活性剤の水への溶解度を評価することにより得ることができる。
Figure 0003869004
水性ポリオレフィン組成物に用いるのに好適な界面活性剤として、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレンアルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アルコール、ポリアルキレングリコールエーテル、リン酸化モノグリセリド、リン酸化ジグリセリド、モノグリセリドのクエン酸エステル、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、グリセロールモノオレエート、ナトリウム・ステアロイルラクチレート、カルシウム・ステアロイルラクチレート、リン脂質、ホスファチジルエタノールアミン、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレン酸、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアリールスルホネート及びエトキシル化アルキルフェノールが挙げられる。界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
水(成分E)の量は、製造業者のニーズ、搬送の効率及び特定用途のニーズのようないくつかの因子によって大きく変動し得る。水は、水性ポリオレフィン組成物中、該組成物の総重量を基準として50〜95重量%、好ましくは55〜90重量%の量で存在することが好ましい。水性ポリオレフィン組成物は、該組成物をコーティングとして適用するために典型的に必要とされる水分量よりも少ない水分量を使用して調製されることができる。これは、後に水を添加することにより組成物の希釈物を調製することができるからである。このように、製造業者は、水分が少なく運搬コストの低い「濃縮型」製品を製造することができる。「濃縮型」製品はまた、塗料が過剰に希釈されないようにするため、塗料への添加剤として接着促進剤組成物を使用する場合にも望まれることが多い。
工程(2)では、工程(1)で形成された混合物を60kPa〜1500kPaの圧力下、120℃〜200℃の温度に加熱して水性ポリオレフィンエマルションを形成させる。好ましくは、混合物を、連続的に攪拌しながら、120℃〜170℃、より好ましくは150℃〜165℃の温度に加熱することにより水性ポリオレフィンエマルションを形成させる。好ましくは、工程(2)を200kPa〜1000kPa、より好ましくは400kPa〜700kPaの圧力で行う。
必要に応じて、水(成分E)を、工程(1)に水を添加する代わりに又は工程(1)で添加した水に加えて、工程(2)における混合物に高圧で圧入することにより水性ポリオレフィンエマルションを形成してもよい。
工程(3)では、工程(2)で形成された水性ポリオレフィンエマルションを当該技術分野で周知の方法により20℃〜70℃の温度に冷却して水性ポリオレフィン組成物を形成させる。水性ポリオレフィンエマルションを25℃〜40℃の温度に冷却することが好ましい。
成分(A)〜(E)を含む水性ポリオレフィンエマルションは、成分(A)と成分(B)を80℃〜2500℃の温度で組み合わせて混合物を形成する工程、該混合物を冷却する工程並びに成分(C)、(D)及び(E)を添加する工程を含む方法によっても調製され得ることに留意することが大切である。得られた混合物を120℃〜200℃の温度に加熱することにより水性ポリオレフィン組成物を形成させる。しかしながら、本発明者らは、この方法により調製された水性ポリオレフィン組成物は接着促進剤として十分な機能を発揮しないことを見い出した。対照的に、本発明の方法により調製された水性ポリオレフィン組成物は、塗料のポリマー基材への接着性を高める優れた接着促進剤として機能する。
この水性ポリオレフィン組成物は、添加剤を含有することもできる。好適な添加剤の例として、増粘剤、湿潤剤、流動助剤、顔料、樹脂、充填剤、安定剤、酸化防止剤、緩衝剤、着色剤、染料及び有機溶剤が挙げられる。このような添加剤、その量及びその使用法については当該技術分野の周知事項である。
水性ポリオレフィン組成物の粒径は、該組成物が塗布用途において有用となるように適当に小さいものである。水性ポリオレフィンの粒径は0.02〜150μm、好ましくは0.1〜50μmである。このように、本発明の組成物には、「エマルション」と「分散体」のみならず、混合物も包含される。例えば、粒径範囲が1.0×10-4mm(0.1μm)〜1.0×10-2mm(10μm)にある含水混合物は「エマルション」として特徴付けられる。粒径が1.0×10-2mm(10μm)よりも大きな含水混合物は「分散体」として特徴付けられる。これらいずれのタイプの混合物も本発明の範囲に包含されるが、本発明は、これら又は他の何らかの種類の特定の混合物に限定されるものではなく、混合物が塗布用途において有用となるようにその粒径が十分に小さいものである限り、物理的形態とは関係なく可能なすべてのタイプの混合物を包含する。
本発明の組成物は、塗料のポリマー基材に対する接着性を高める接着促進剤として特に有用であるが、本発明の範囲には、該組成物自体を塗料として使用することにより、基材を保護するだけでなく顔料の添加により装飾性をも示す最終保護コーティングを形成することも包含される。
本明細書に示した結果に用いた材料及び試験手順は以下の通り。
ポリオレフィンの酸価はASTM試験法D1386により測定した。
インヘレント粘度(I.V.)は、フェノール60重量%とテトラクロロエタン40重量%とから成る溶剤100mL当たり0.50グラムのポリマーを使用して23℃で測定した。
以下の実施例は本発明の範囲を例証するものであり、これを限定することを意図するものではない。実施例における「部」及び「パーセント(%)」は、特に断らないかぎり重量を基準とする。
実施例1
本実施例は、ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(MAPO)、非イオン性界面活性剤、アミン及び水を使用して、結晶性の酸化も、ハロゲン化も、マレイン化もされていないほとんど化学的に不活性な(EPOLENE(商標)N-15)ポリオレフィンの乳化を実証するものである。その成分と量を以下に示す。
Figure 0003869004
乳剤を以下のように調製した。
(1)EPOLENE N-15、ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(MAPO)、界面活性剤、アミン及び水をParr圧力反応器に加えた。
(2)この反応器を密閉し338°F(170℃)に加熱したが、その間成分を攪拌し続けた。反応器圧力は約620.53kPa(90psi)〜689.48kPa(100psi)である。
(3)反応器温度を338°F(170℃)で約30〜45分間保持したが、その間混合物を攪拌し続けた。
(4)反応器を約86°F(30℃)まで冷却させたが、その間スターラーによる混合を続けた。
(5)反応室からエマルションを取り出し、それを適当な容器で保存した。
エマルションは乳白色を呈し、その粒径は0.09mm(90μm)未満であった。水性ポリオレフィンのpHは10.15であった。安定な分散体が得られた。
実施例2
実施例1を繰り返したが、但しEPOLENE N-15の量を6.0グラムではなく3.0グラムとした。水性ポリオレフィンの調製に用いた成分は以下の通り。
Figure 0003869004
エマルションのpHは10.24であり、その粒径は0.02mm(20.0μm)〜0.09mm(90.0μm)の範囲にあった。
実施例3
実施例1を繰り返したが、但し、EPOLENE N-15とハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(MAPO)とを別々に反応器に加える代わりに、EPOLENE N-15とハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンとの均質配合物を使用した。EPOLENE N-15とハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンとの均質配合物は、ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンを356°F(180℃)〜365°F(185℃)に加熱し、溶融したハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンにEPOLENE N-15を溶解させることにより調製した。完全に混合した後の材料を室温にまで冷却させた。この配合物を使用してParr圧力反応器においてエマルションを調製した。その組成を以下に示す。
Figure 0003869004
実施例に記載した方法を用いてエマルションを調製した。エマルションは半透明(ほとんど透明)であり、その粒径は2.0×10-5mm(0.02μm)〜2.0×10-2mm(20.0μm)の範囲にあった。ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンの溶融体中にEPOLENE N-15を均一配合することにより、圧力容器にEPOLENE N-15とハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンとを添加した場合と比べ、ほとんど透明な粒径の小さいエマルションが得られた。エマルションのpHは約10.12であった。
実施例4
実施例3を繰り返したが、但し、EPOLENE N-15とハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンとの均質配合物の調製における重量比(EPOLENE N-15/ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン)を15/85ではなく30/70とした。成分は以下の通り。
Figure 0003869004
実施例1に記載した方法を用いてエマルションを調製した。このエマルションは乳白色を呈した。その粒径は2.0×10-5mm(0.02μm)〜5.0×10-2mm(50.0μm)であった。水性ポリオレフィンのpHは10.21であった。
実施例5
実施例1を繰り返したが、但し、プロピレン−ヘキセン系コポリマーに基づく非晶質のハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンの代わりに非晶質のハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(MAPO)(プロピレン系ホモポリマー)を使用した。EPOLENE N-15を乳化するために用いた成分は以下の通り。
Figure 0003869004
上記成分を気密圧力反応器内で320°F(160℃)に2時間加熱した。乳白色のエマルションを濾過してから使用した。エマルションのpHは10.19であった。その粒径は2.0×10-5mm(0.02μm)〜1.0×10-1mm(100.0μm)の範囲にあった。
実施例6
実施例2を繰り返したが、但し、ポリオレフィン配合物を180℃〜185℃の温度で調製するに際して、EPOLENE N-15の代わりにEPOLENE N-34を使用した。この配合物を使用して、実施例1に記載した方法に従いEPOLENE N-34を乳化させた。EPOLENE N-34の乳化に用いた成分は以下の通り。
Figure 0003869004
エマルションの粒径は0.03mm(30μm)未満であった。エマルションは乳白色を呈した。
比較例7
実施例1を繰り返したが、但し、その組成からハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(MAPO)ポリオレフィン(プロピレン−ヘキセン系コポリマー)を除外した。実施例1に記載した反応工程を採用した。組成は以下の通り。
Figure 0003869004
EPOLENE N-15は固体状となり、乳化しなかった。反応工程終了後、区別できる二つの相が観測された。
実施例8
実施例1を繰り返したが、但し、水性ポリオレフィン(EPOLENE N-15)の調製に際して、GENAPOL UD050界面活性剤の代わりにTRITON N-101界面活性剤を使用した。
Figure 0003869004
エマルションは乳白色を呈した。エマルションの粒径は0.1mm(100μm)未満であった。エマルションのpHは約10.24であった。
実施例1〜6及び8の結果は、EPOLENE N-15を乳化するためには、EPOLENE N-15とハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン(MAPO)とを配合することが必須であることを明確に示している。比較例7では、ハロゲン化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィンが存在しなかったため、EPOLENE N-15は乳化しなかった。
Figure 0003869004
実施例9
水性ポリオレフィン(a)を実施例1に記載した手順に従い調製し、これを熱可塑性ポリオレフィン(TPO, Himont 3131)基材に対する接着性について試験した。水性ポリオレフィン(a)を水でさらに希釈して固形分含有量を約10.0重量%とした。希釈したポリオレフィン(a)をTPO基材パネル上にスプレー塗布した。スプレーされた材料を170.6°F(77℃)で10分間乾燥した。塗被パネルをASTM試験法D3359Mにより接着性について検査した。塗被パネルは、ASTM試験法D714-87により、ふくれ(blistering)の程度についても目視検査した。塗膜の団結性を目視評価した。ふくれの程度は以下のように等級付けした。
ふくれの等級付け
10=優良:ふくれ無し
8=裸眼により最小のふくれが認められる
D=密集
MD=中程度
F=若干
結果は以下の通り。
Figure 0003869004
実施例9の結果は、本発明の水性ポリオレフィンが、約24日間にわたりふくれも無く優れた接着性を示したことを例証するものである。表2の水性ポリオレフィンb、c、d、e及びfを使用した場合にも同様の結果が得られた。
実施例10
実施例9を繰り返したが、但し、塗被パネルを周囲温度ではなく0°F(−17.78℃)に置いてその接着性及びふくれの発生について検査した。その結果は、試験期間中、ふくれも発生することなく、接着性が100%保持されたことを示した。表2の水性ポリオレフィンb、c、d、e及びfを使用した場合にも同様の結果が得られた。
実施例11
実施例9を繰り返したが、但し、塗被パネルを周囲温度ではなく250°F(121.11℃)に置いてその接着性及びふくれの発生について検査した。その結果は、約24日の試験期間中、ふくれも発生することなく、接着性が100%保持されたことを示した。表2の水性ポリオレフィンb、c、d、e及びfを使用した場合にも同様の結果が得られた。
実施例12
本実施例は、本発明の水性ポリオレフィンをプライマーとして使用し存在させた場合のTPOに対するPPG BC/CC自動車用OEM塗料の接着性を実証するものである。TPOパネルを実施例9に記載したように塗被した。下塗りしたパネルを170.6°F(77℃)で10分間乾燥した後、そのパネルにPPG BC/CC自動車用OEM塗料を塗布した。実施例9に記載したように塗被パネルを塗料の接着性について検査した。塗料の接着性及びふくれの発生についての結果は以下の通り。
Figure 0003869004
上記結果は、本発明の水性ポリオレフィンが、少なくとも3ヵ月の期間にわたり、ふくれを発生することなく、優れた接着性を示したことを例証するものである。
実施例13
実施例12を繰り返したが、但し、接着性及びふくれの発生を、室温ではなく高湿度環境(例、49℃又は120°Fのクリーブランド湿潤キャビネット)において検討した。報告する結果は、三つの測定値を平均した値である。
PPG BC/CC塗料の接着性:
24時間後=100%;ふくれ無し
72時間後=100%;ふくれ無し
実施例14
実施例12を繰り返したが、但し、TPOパネルを塗被するために、PPG BC/CC塗料の代わりにRed Spot着色(白)2液型ポリウレタン弾性エナメル自動車用OEM型塗料を使用した。TPOに対する塗料の初期接着性は優良であり、ふくれの発生は室温において少なくとも3ヵ月間認められた。
実施例15
実施例14を繰り返したが、但し、接着性及びふくれの発生を、室温ではなく高湿度環境(例、49℃又は120°Fのクリーブランド湿潤キャビネット)において検討した。結果を以下に示す。
Red Spot着色(白)2液型ポリウレタン塗料の接着性:
24時間後=100%;ふくれ無し
72時間後=100%;ふくれ無し
336時間後=100%;ふくれ無し
実施例16
実施例15を繰り返し、本発明の水性EPOLENE N-15/MAPOを使用した場合と、米国特許第5,373,048号に記載されている方法により調製したMAPOエマルションを使用した場合とで、TPO自動車部品に対する接着性を比較した。実施例9に記載した方法に従いふくれの程度を決定した。得られた結果は、三つの測定値の平均値として報告した。
Figure 0003869004
上記表に示したデータは、本発明のEPOLENE N-15含有水性ポリオレフィンが、米国特許第5,373,048号に記載されている方法により調製された製品と比較した場合により優れた接着性を示すことを表している。

Claims (25)

  1. 接着性を改良するための水性ポリオレフィン組成物であって、前記水性ポリオレフィンが粒径0.02〜150μmを示し且つ、前記水性組成物の総重量を基準として、
    (A)重量平均分子量が2,000〜15,000であり且つ密度が1.0g/cc未満である少なくとも一種の酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィン0.1〜10重量%;
    (B)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95である少なくとも一種の塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン10〜40重量%;
    (C)HLB(hydrophilic-lipophilic balance)が6〜18である少なくとも一種の界面活性剤0.1〜10重量%;
    (D)分子量が150未満である少なくとも一種のアミン化合物0.1〜5重量%;及び
    (E)水50〜95重量%
    を含んで成る、水性ポリオレフィン組成物。
  2. 接着性を改良するための水性ポリオレフィン組成物であって、前記水性ポリオレフィンが粒径0.02〜150μmを示し且つ、前記水性組成物の総重量を基準として、
    (A)重量平均分子量が5,000〜12,000であり且つ密度が1.0g/cc未満である少なくとも一種の酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィン0.5〜5重量%;
    (B)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95である少なくとも一種の塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン15〜35重量%;
    (C)HLBが8〜14である少なくとも一種の界面活性剤1〜5重量%;
    (D)分子量が100未満である少なくとも一種のアミン化合物0.1〜5重量%;及び
    (E)水55〜90重量%
    を含んで成る、水性ポリオレフィン組成物。
  3. 水性ポリオレフィンの粒径が0.02〜150μmである接着促進剤として有用な水性ポリオレフィン組成物の製造方法であって、
    (1)前記組成物の総重量を基準として、
    (A)重量平均分子量が2,000〜15,000であり且つ密度が1.0g/cc未満である少なくとも一種の酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィン0.1〜10重量%;
    (B)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95である少なくとも一種の塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン10〜40重量%;
    (C)HLBが6〜18である少なくとも一種の界面活性剤0.1〜10重量%;
    (D)分子量が150未満である少なくとも一種のアミン化合物0.1〜5重量%;及び
    (E)水50〜95重量%
    を混合する工程;
    (2)工程(1)の混合物を60kPa〜1500kPaの圧力下、120℃〜200℃の温度に加熱して水性ポリオレフィンエマルションを形成させる工程;並びに
    (3)工程(2)で形成された水性ポリオレフィンエマルションを20℃〜70℃の温度に冷却して水性ポリオレフィン組成物を形成させる工程を含んで成る、水性ポリオレフィン組成物の製造方法。
  4. 水性ポリオレフィンの粒径が0.02〜150μmである接着促進剤として有用な水性ポリオレフィン組成物の製造方法であって、
    (1)前記組成物の総重量を基準として、
    (A)重量平均分子量が2,000〜15,000であり且つ密度が1.0g/cc未満である少なくとも一種の酸化も、マレイン化も、塩素化もされていない結晶性ポリオレフィン0.1〜10重量%;
    (B)重量平均分子量が500以上であり且つ酸価が15〜95である少なくとも一種の塩素化されていないマレイン化された非晶質ポリオレフィン10〜40重量%;
    (C)HLBが6〜18である少なくとも一種の界面活性剤0.1〜10重量%;及び
    (D)分子量が150未満である少なくとも一種のアミン化合物0.1〜5重量%
    を混合する工程;
    (2)工程(1)の混合物を60kPa〜1500kPaの圧力下、120℃〜200℃の温度に加熱し、そして本工程(2)の混合物に水50〜95重量%を圧入して水性ポリオレフィンエマルションを形成させる工程;並びに
    (3)工程(2)で形成された水性ポリオレフィンエマルションを20℃〜70℃の温度に冷却して水性ポリオレフィン組成物を形成させる工程を含んで成る、水性ポリオレフィン組成物の製造方法。
  5. 前記非晶質のマレイン化されたポリオレフィン(成分B)の酸価が30〜50の範囲にある、請求項1に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  6. 前記非晶質のマレイン化されたポリオレフィン(成分B)の酸価が30〜50の範囲にある、請求項3に記載の方法。
  7. 前記非晶質ポリオレフィンが、マレイン化ポリプロピレン、マレイン化プロピレン−エチレン、マレイン化プロピレン−ヘキセン、マレイン化プロピレン−ブテン、マレイン化プロピレン−エチレン−ブテン及びマレイン化プロピレン−エチレン−ヘキセンから成る群より選ばれた、請求項1に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  8. 前記非晶質ポリオレフィンが、マレイン化ポリプロピレン、マレイン化プロピレン−エチレン、マレイン化プロピレン−ヘキセン、マレイン化プロピレン−ブテン、マレイン化プロピレン−エチレン−ブテン及びマレイン化プロピレン−エチレン−ヘキセンから成る群より選ばれる、請求項3に記載の方法。
  9. 前記非晶質ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びこれらの混合物から成る群より選ばれた繰り返し単位を有する、請求項1に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  10. 前記非晶質ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びこれらの混合物から成る群より選ばれた繰り返し単位を有する、請求項3に記載の方法。
  11. 前記非晶質ポリオレフィンが、プロピレン単位を15〜95モル%の範囲で有するポリマーである、請求項9に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  12. 前記非晶質ポリオレフィンが、プロピレン単位を15〜95モル%の範囲で有するポリマーである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記非晶質ポリオレフィンが、プロピレン単位を30〜98モル%の範囲で有するコポリマーである、請求項9に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  14. 前記非晶質ポリオレフィンが、プロピレン単位を30〜98モル%の範囲で有するコポリマーである、請求項10に記載の方法。
  15. 前記非晶質ポリオレフィンが、プロピレン単位を40〜80モル%の範囲で有するターポリマーである、請求項9に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  16. 前記非晶質ポリオレフィンが、プロピレン単位を40〜80モル%の範囲で有するターポリマーである、請求項10に記載の方法。
  17. 前記非晶質ポリオレフィンが、エチレン単位を1〜20モル%の範囲で有するターポリマーである、請求項9に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  18. 前記非晶質ポリオレフィンが、エチレン単位を1〜20モル%の範囲で有するターポリマーである、請求項10に記載の方法
  19. 工程(2)を140℃〜180℃の温度で行う、請求項3に記載の方法。
  20. 前記アミン(成分D)が、モルフォリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノエタノール、水酸化アンモニウム及びこれらの混合物から成る群より選ばれた、請求項1に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  21. 前記アミン(成分D)が、モルフォリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノエタノール、水酸化アンモニウム及びこれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項3に記載の方法。
  22. 前記水性ポリオレフィンの粒径が5〜100μmである、請求項1に記載の水性ポリオレフィン組成物。
  23. 前記水性ポリオレフィンの粒径が5〜100μmである、請求項3に記載の方法。
  24. 工程(2)を200kPa〜1000kPaの圧力で行う、請求項3に記載の方法。
  25. ポリマー、木材、コンクリート及びガラスから成る群より選ばれた基材に適用するために用いられる、請求項1に記載の水性ポリオレフィン組成物。
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