JP3865682B2 - 木質系原料片の配向測定方法と木質系複合材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系原材料が結合剤で結合されてなる木質系複合材に関し、更に言えば、住宅用構造材に好適に用いられる、いわゆるエンジニアードウッドの個々の原料片の長手方向の配向測定方法と、この配向測定方法を用いて木質系複合材料の配向の分布を観察しながら行う木質系複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木質系複合材を得る方法として、例えば、配列されたリグノセルローズファイバを接着剤で固着させた定寸法用材であって、該リグノセルローズファイバは役6インチ(約15cm)ないし約4フィート(約122cm)の長さ、約0.05インチ(約0.1cm)ないし約0.25インチ(約0.6cm)の幅、及び約0.05インチ(約0.1cm)ないし約0.5インチ(約1.3cm)の厚さを有し、かつ得られた該定寸法用材の強度が、上記リグノセルローズファイバの原木種から切断採取された製材の少なくとも1種のグレイドの強度以上となるような該接着剤の樹脂固形分及び得られた該定寸法用材の密度を有することを特徴とする、上記定寸法用材(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0003】
又、板状製品であって、該板状製品は25mm以上の厚さを有し、木ウエハーによって作られた単層パネルから切り出され、該ウエハーは長さ方向を一定の方向に揃えられ、前記単層パネルの大平面内でウエハーを長さ方向に測定したときのパネルの長軸に対する平均偏差は0〜10度の範囲内にあり、前記大平面内に直交し且つ前記パネルの長手方向の小平面内でウエハーを長さ方向に測定したときの平均偏差は0〜5度の範囲内であり、ウエハーはウエハーの木目方向に測定したときの平均長さが200mm以上であり、前記板状製品は、所定間隔離れた一対の切断面によって前記板状製品の幅部を形成し、切断面は板状製品が切り出される前記単層パネルの長軸とほぼ並行であることを特徴とするウエハーボードの板状製品(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【0004】
特許文献1記載の定寸法用材や特許文献2記載の板状製品は、いずれも、木質系原料片を木質系原料片の長さ方向に配列され、必要に応じて結着剤を混合されてマット状に積層されてから加圧又は加熱することによって得られるものであり、高強度である故に木質系構造材として適用可能とされるものである。
【0005】
このようにして得られる木質系複合材は、構造材として必要な強度を得るために、一定長さ範囲の木質系原料片を、繊維方向を一定範囲の向きに揃えて配向積層する必要がある。しかしながら上記2つの文献においては、いずれも配向された木質原料片の配向度(一定の基準で選ばれた木質系原料片の、最も長い軸線と別に定めた基準線とのなす角度が、所定の角度範囲にある木質系原料片の数を、その基準で選ばれた木質系原料片の全数で除し、100倍した数値をいう)を測定せずに加圧又は加熱しているので、得られた木質形複合材の強度はバラツキが大きく、実際に出荷する前に、強度テストを行なって所定の規格値を満足しているかどうかの確認が必要となっている。
【0006】
繊維方向を定量的に測定する方法としては、「機械的配向装置で配向させたパーティクルや配向性ボードを供試材料として、フーリエ変換画像処理法を導入することで、配向性に付いての精度の高い解析を試みた。そして画像のFFTの前後の処理を改良し、またPSPの極座標解析を実施することで、配向性が的確かつ数量的に評価できるようになった」として、木質系積層マット表面画像の2次元フーリエ解析により、配向角度を測定する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特公昭50−17512号公報
【特許文献2】
特許第2527761号公報
【非特許文献1】
「材料」vol.144,No.478,PP.267〜272,Mar.,1995、「フーリエ変換画像処理によるパーティクルの配向解析」藤田稔、他
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1の方法は、木質材料片の画像の周期性を2次元フーリエ解析により評価することで配向角度を測定するため、各木質系原料片の長軸の配向角度とその長さを同時には測定できないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記従来の技術が有する課題を解決し、木質系複合材を成形する際に木質系積層マット表面又は木質系複合材表面の複数の木質系原料片の、外寸と長軸の配向角度とを同時に測定する配向測定方法、及びその測定方法を用いて、木質系原料片が所定の角度分布範囲にあることを確認して木質系複合材を製造する方法を提供する目的でなされたものであり、得られる木質系複合材は、品質のばらつきが少なく、原材料や製造にかかるエネルギーの無駄が少ない木質系複合材となることが期待できる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の請求項1記載の木質系原料片の配向測定方法(発明1)は、結合剤が付着されて、積層された木質系原料片の画像を撮像し、撮像された画像の各画素について、明度又は色相又は彩度のいずれかの値が、所定の値の範囲にある複数の画素のみを選択し、選択された複数の画素の明度又は色相又は彩度のいずれかの値を、選択されなかった画素と明らかに異なる値に変えて、選択された複数の画素から別の画像を構成し、その画像の面積を長円図形モデルの面積と比較し、面積比が最大となる時の、その長円図形モデルの長軸長さと、短軸長さと、長軸の基準線からの傾斜角度とを計測し、前記木質系原料片画像中の木質系原料片の寸法と基準線からの傾斜角度分布とを決定することを特徴とする木質系原料片の配向測定方法である。
【0011】
請求項2記載の木質系原料片の配向測定方法(発明2)は、発明1の木質系原料片が、他の木質系原料片と明らかに異なる明度又は色相又は彩度に着色された木質系原料片が混入された木質系原料片混合物からなることを特徴とする発明1の木質系原料片の配向測定方法である。
【0012】
請求項3記載の木質系複合材の製造方法(発明3)は、細長い木質系原料片に結合剤が付着され、木質系原料片同士が互いにその長さ方向に沿って配向されて積層された木質系原料片の傾斜角度分布を、発明1又は2の木質系原料片の配向測定方法により測定し、傾斜角度が所定の分布範囲にある木質径原料片の数が、別に定めた基準値を満足すれば、その木質系原料片を加圧又は加熱することを特徴とする木質系複合材の製造方法である。
【0013】
なお、発明1乃至3において、木質系複合材料とは、木質系原料片、又は結合剤を混合された木質系原料片を配向し積層した積層マット、又はその積層マットから得られる木質系複合材を言い、配向度は前述の通りである。
【0014】
発明1又は2において、測定は以下の工程で行われる。即ち、
工程1は、結合剤が付着され、互いにその長さ方向に沿って配向して積層された木質系原料片の画像を撮像する工程、
工程2は、撮像された画像の各画素について、明度又は色相又は彩度のいずれかの値が所定の値の範囲にある複数の画素のみを選択する工程、
工程3は、選択された複数の画素の明度又は色相又は彩度のいずれかの値を、選択されなかった画素と明らかに異なる値に変えて、選択された複数の画素から別の画像を構成する工程、
工程4は、その画像の面積を長円図形モデルの面積と比較し、面積比が最大となる時の、その長円図形モデルの長軸長さと、短軸長さと、長軸の基準線からの傾斜角度とを計測し、前記木質系原料片画像中の木質系原料片の寸法と基準線からの傾斜角度分布とを決定する工程の4つの工程である。
【0015】
工程1では、結合剤が付着され、互いにその長さ方向に沿って配向して積層された木質系原料片の画像を撮像し、この画像を電子情報として多数の画素集合体に変換する。
【0016】
工程1においては、木質系積層マット又は木質系複合材を撮像し、電子情報とする方法は特に限定されないが、例えば通常の光学写真を撮影しこの写真のネガフィルムあるいはポジフィルムや写真等を通常のフィルムスキャナーや写真スキャナー等で読みとって電子ファイル化する方法、あるいはデジタルスティルカメラ等により、画像を直接電子ファイル化する方法がある。この場合は、望ましくは後述の工程を簡略化するために、デジタルスティルカメラと、本発明の一連の画像処理(後述)が可能な市販の視覚処理センサー(例えばオムロン社製、F400等)等を用いて、木質系原料片の抽出と輪郭化を同時に行うことが好ましい。
【0017】
木質系積層マット又は木質系複合材の画像から、必要な測定を行う為の撮像範囲としては特に限定されないが、撮像範囲が狭いと、木質系原料片が撮像範囲からはみ出して寸法等の測定ができなくなったり、撮像範囲内の木質系原料片の数が少なくなったりして、寸法測定の平均値や傾斜角度の測定あるいはその平均とが分布の計測に誤差が生じやすくなる。また撮像範囲が広すぎると、木質系原料片の画像寸法に対する相対的な大きさが小さくなり、木質系原料片の正確な輪郭線画像が得難くなる。従って、撮像範囲としては、1辺が木質系原料片の最も長い軸長さの20倍以下とすることが望ましい。
【0018】
また、発明2のように、着色した木質系原料片を、着色していない木質系原料片に混入して木質系積層マットとすると、この木質系原料片の形状や輪郭線が確実に判定でき、その寸法や配向角度等がより正確に測定できる。この場合は、結合剤又は熱により木質系原料片の繊維の変質がなく、曲げ強度又は圧縮強度又は吸水力を低下させない染料又は顔料で、他の木質系原料片と明らかに異なる明度又は色相又は彩度に着色することが望ましい。更に、着色後の木質系原料片を他の木質系原料片と混ぜても、他の木質系原料片と同じ挙動を示す染料又は顔料であることが望ましい。このような着色剤としては、例えば一例として、アクリル系、ウレタン系又はラッカー系等の塗料が挙げられる。
【0019】
工程2では、撮像された画像の各画素について、明度又は色相又は彩度のいずれかの値が所定の値の範囲にある複数の画素のみを選択する。
【0020】
工程2の各操作は、電子情報化された画像データーをコンピューターに取り込み、適当なプログラムを用い手行われる。そのプログラムは、特別に専用のプログラムを用いても良いが、市販の画像処理プロプラムを用いて行うことができる。市販のプログラムとしては、例えば一例として、フォトショップ(商品名、アドビシステムズ社製)、ペイントショップ(商品名、ジャスクソフトウェアー社製)等がその代表的なものであるが、この種のスフトウェアーは、絶えず改良や新製品が市販されるので、これらに限ったものでないことはいうまでもない。
【0021】
画像を選択する際の、各画素のパラメーター(明度、色相又は彩度)の値の範囲は特に限定されないが、値の範囲が大きいと選択される画素数が多くなり過ぎ、小さいと少なくなりすぎて、いずれも明確な画像が得られなくなって明確な形状が得られないため、個別の画像にあわせて適宜選択される。
【0022】
工程3では、工程2で選択された複数の画素から、素の画素と連接又は近接した画素の明度又は色相又は彩度のいずれかの値を、選択されなかった画素と明らかに異なる値に変えて、選択された複数の画素から別の画像、即ち、木質原料片の輪郭を際だたせた、いわゆる輪郭線画像を構成する。
【0023】
工程3においては、輪郭線の明確化は、上記抽出で得られた画像から、木質系原料片の輪郭を単純化することを目的として行われる。工程3の輪郭明確化の手法を行う市販のプログラムソフトウェアーとしては、前述の各ソフトウェアーがそのまま適用できる。例えば、フォトショップの場合であれば、コントラストを強調する方法、画像濃度を平均化する方法、ぼかし処理など、各種フィルター(いずれもフォトショップ固有のコマンド名)による処理方法が挙げられる。
【0024】
工程2〜3の処理を同時に行うプログラムソフトウェアーは、自作しても良いが、市販のプログラムソフトウェアーとしては、例えば一例として、フォトショップ(アドビシステムズ社製)の機能の一つであるカットアウト処理(該プログラムソフトウェアー固有のコマンド用語)が有効である。同様の処理を行う他の市販のプログラムソフトウェアーとしては、例えば、ペイントショップ(ジャスクソフトウェアー社製)、フォトクリュー、フォトドロー、ディジーコラージュ、フォトインパクト、ピクチャーイット、フォトデラックス、ペインター、花子(以上いずれも市販商品名)等をはじめ、有償、無償で入手できるものは無数にあり、絶えず改良や新製品が市販されるので、全てを記載しきれない。
【0025】
また、工程2と3とは、必ずしも上記順序で行う必要はなく、例えば発明2の着色した木質系原料片を着色していない木質系原料片に混入して木質系積層マットとした場合などのように、第2工程段階で、木質系原料片画像の輪郭が明確であるならば、第3工程を省略することが可能である。これらの工程に続いて判定プログラム(後述)による木質系原料片画像の配向角度、寸法のデータ化が行われる。
【0026】
工程4では、工程3で得られた画像の面積を長円図形モデルの面積と比較し、面積比が最大となる時の、その長円図形モデルの長軸長さと、短軸長さと、長軸の基準線からの傾斜角度とを計測し、前記木質系原料片画像中の木質系原料片の寸法と基準線からの傾斜角度分布とを決定する。
【0027】
工程4においては、判定プログラムを用いて計算を行い、上記長さや長軸の角度を決定する。用いられる判定プログラムは、例えば一例として、楕円をモデル図形とし、上記工程で得られた輪郭線画像の内の1つの画像上に、楕円の扁平率を適宜変更しながら重ね合わせ、輪郭線画像の面積と楕円画像の面積との比率が最も大きくなる場合の、楕円の長軸長さと短軸長さ及びその長軸の基準線からの傾斜角度とを、輪郭線画像の長軸長さと短軸長さ及び長軸の基準線からの傾斜角度と見なす方法が挙げられる。なお、この判定を行う市販のプログラムソフトウェアーは見あたらず、自作したプログラムを用いた。
【0028】
次に、上記測定方法を用いた発明3の木質系複合材の製造方法を説明する。図6は発明3の木質系複合材の製造方法を実施するための装置の一例を図表的に示した概略図である。
【0029】
木質系原料片1に、結合剤としてイソシアネート系接着剤をスプレー塗布し、、機械的に長軸方向を揃えられて搬送装置6の上に積層され、木質系積層マット2とされている。この木質系積層マット2を、デジタルスティルカメラ4で撮影し、解析装置5(上記工程2〜4を行うプログラムソフトウェアーをインストールされたコンピューター装置)で測定し、長軸の配向角度分布が予め設定した配向角度値の範囲内にあれば、搬送装置6により次工程であるプレス機7に送られ、適当な圧力と温度で加圧プレスされて木質系複合材3が得られる。
【0030】
木質系複合材3の原材料として用いられる木質系原料片1の樹種は特に限定されない。例えば一例として、杉、檜、赤松、姫小松、唐松、蝦夷松、とど松、椹、栂、檜葉、樅、ねずこ、エンゲルマンスプルース、シトカスプルース、米栂、レッドウッド、米檜葉、ポンデローサパイン、アガチス、米松、ノーブルファー、欧州赤松、ホワイトウッド、ラジャータパイン等の針葉樹類;樫、桐、楠、栗、シナノキ、タブノ木、ぶなのき、ラミン、白樺、アピトン、センゴンラウト、アスペン、ポプラ等の広葉樹類等が挙げられるが、これら樹木だけでなく、竹、コウリャンといった植物材料等をも含めることができる。
【0031】
利用できる形態としては、上記樹種の丸太、間伐材等の生材料;工場や住宅建築現場℃発生する端材;部材輸送後に廃棄される廃パレット材;建築解体時に発生する解体廃材等が挙げられる。
【0032】
利用可能な木質系原料片1の寸法には特に制限はなく、目的とする木質系複合材3の物性に合わせて適宜選択される。但し、長軸配向角度の測定において、配向角度は、木質系原料片1の長軸方向と別に定められた基準線とがなす角度で算出されるため、長軸方向と幅又は厚さ方向の長さとが同じ場合には測定誤差が生じる可能性があり、望ましくは、長軸方向の長さと幅又は厚さの比が1.1以上のものが望ましい。
【0033】
これらの木質系原料片1に結合剤を混和した後、木質系積層マット2が積層される。用いられる結合剤としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、イソシアネート等、合板やパーティクルボードに用いられる木材工業用の接着剤が挙げられるが、目的に応じて適宜選択される。またこれらの結合剤は、単独あるいは数種類を併用しても良い。
【0034】
木質系原料片1と結合剤の混和は、通常の混和機で行われれば良く、限定されない。例えば、結合剤が液体であれば、結合剤をスプレー等の塗布手段を用いることにより、木質系原料片1に付着させても良く、木質系原料片1の樹種、形状等に応じて適宜選択される。
【0035】
木質系積層マット2の積層は、手によって行なっても良いし、機械的に行なっても良い。機械的な配向積層方法としては、例えば一例として、一定間隔に分割され並設された溝からなるフォーミング型や、OSB(オリエンテッドストランドボード)等の製造で用いられるディスクオリエンター等の配向積層装置(図示せず)が挙げられるが、木質系原料片1の樹種、寸法に応じて適宜選択される。
【0036】
上記の工程で積層された木質系積層マット2の木質系原料片1の配向角度と寸法とを、デジタルスティルカメラ4で撮像し、その画像の画素データーを、電子情報として発明1又は2の配向測定方法を搭載した解析装置5(長軸長さとその配向角度とを測定するプログラムが搭載されたコンピューター装置)で、各木質系原料片の寸法と配向角度とを測定し、この測定データーから、木質系マット中の木質系原料片の配向角度分布と寸法分布を得る。得られた配向角度分布と寸法分布が、予め別に決められた特定の範囲にあることを確認し、範囲内にあれば次工程のプレス機7に送り、範囲外であれば廃棄、調整、又は再積層を行う。この特定の範囲とは、目的とする木質系複合材3の物性等に応じて決められる範囲であり、製造の都度決められる。
【0037】
配向角度分布と寸法分布とが所定の範囲内にあるとされた木質系積層マット2は、次工程に搬送されてプレス機7で加圧又は加熱され、木質系複合材3とされる。加圧圧力や加熱温度は、製造される木質系複合材3の平面寸法や厚さ、あるいは用いられる木質系原料片1の大きさや樹種、乾燥度、若しくは結着剤の種類や量など、製造の度毎に最適な条件で行われる。また、加圧又は加熱する方法としては、既存の木質系成形用の縦型プレス機や連続プレス機が適宜選択して用いられれば良い
【0038】
製造された木質系複合材3の配向角度及び寸法を再度測定し、特定の範囲であれば製品として用い、範囲外であれば廃棄する。
【0039】
配向角度及び寸法の測定・確認は、プレス前の木質系積層マット2に対してのみ行なっても良いし、プレス後の木質系複合材3に対してのみ測定・確認を行なっても良い。更には、プレス前及びプレス後の両方行なっても良い。
【0040】
次に図面を参照して本発明の実施例を説明する。実施例1は発明1の方法により測定した場合、実施例2は発明2の着色した木質系原料片を着色していない木質系原料片と混ぜて測定した場合、実施例3は発明3の木質系複合材料の製造に用いた場合、比較例1は着色していない木質系原料片を2次元フーリエ解析により測定した場合である。
【0041】
(実施例1)
無着色の木質系原料片の複数の木質系原料片を手によりマット状に積層し、1辺200mm、厚さ50mmの木質系積層マットを成型した。この木質系積層マットの木質系原料片の画像をデジタルスティルカメラで撮像し、コンピューターに取り込んだ(図1(a))。この画像データーを、ペイントショップ(商品名、(ジャスクソフトウェアー社製、ver.6)で木質系原料片の色値と輝度値で形状を抽出した(図1(b))。
【0042】
次にこの画像をフォトショップ(商品名、アドビシステムズ社製、ver.5)でカットアウト処理し(図1(c))、判定プログラム(前記、自社開発楕円モデルソフトウェアー)で配向角度と寸法を測定した。同じ作業を数回繰り返し、統計的に配向角度分布と寸法分布を測定した。
【0043】
表1は、実施例1について、サンプル毎の長さと幅と配向角度とを測定した結果を纏めたものである。表中、長さ(単位mm)及び幅(単位mm)は測定範囲内の木質系原料片の長さ及び幅を、配向角度(rad)は測定範囲内の木質系原料片の長軸線と基準線とのなす角度を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
(実施例2)
着色した木質系原料片と着色していない木質系原料片を混ぜた後、手により木質系原料片を積層して木質系積層マットを形成した。木質系原料片の着色には、緑色の水溶性塗料を用いた。
この木質系積層マットの木質系原料片の画像をデジタルスティルカメラを用いてコンピューターに取り込み(図2(a))、この画像を、ペイントショップ(ジャスクソフトウェアー社製、ver.6)でHSL分割処理(該ソフトウェアー固有のコマンド名。イメージを明度、色相、彩度の三要素に分割し、この内の色相を抽出して画像とする機能)し、木質系原料片の形状を抽出した(図2(b))。
【0046】
次にこの画像を、フォトショップ(アドビシステムズ社製、ver.5)のカットアウト処理し(図2(c))、前述の判定プログラムで配向角度と寸法を測定した。
【0047】
表2は、実施例2について、サンプル毎の長さと幅と配向角度とを測定した結果を纏めたものである。表中、長さ(単位mm)及び幅(単位mm)は測定範囲内の木質系原料片の長さ及び幅を、配向角度(rad)は測定範囲内の木質系原料片の長軸線と基準線とのなす角度を示す。
【0048】
【表2】
【0049】
(実施例3)
実施例3は実施例2の着色した木質系原料片と着色していない木質系原料片の混合物にイソシアネート系接着剤をスプレー塗布した後、機械的に配向を揃えて積層した。木質系積層マットの寸法は幅300mm、長さ1000mm、厚さ80mmである。この木質系積層マットの画像をデジタルスティルカメラにより取り込み(図3(a))、木質系原料片の形状を抽出し(図3(b))、カットアウト処理して(図3(c))、配向角度及び寸法を測定した。同じ作業を数回繰り返し、統計的に配向角度分布と寸法分布を得た(図4)。
【0050】
図4は、実施例3の木質系原料片の配向角度分布と長軸長さ分布である。縦軸は、撮像範囲内の木質系原料片の長軸長さ(単位mm)、横軸は上記木質系原料片の長軸線と基準線とのなす配向角度(度)を示す。
【0051】
(実施例4)
図7の装置を用い、杉間伐材を破砕して得られた木質系原料片1を水分5%となるように水分調節した後、イソシアネート系接着剤をスプレー塗布し、搬送装置上6に機械的に配向を揃えて積層した。この状態でで、その木質系積層マット2の木質系原料片1の配向角度及び長軸長さを、実施例1の方法で測定し、それぞれが予め定めた基準値の範囲内にあることを確認した上で、木質系積層マット2を、プレス板表面温度180℃、プレス圧3MPaで、6分間 加圧・加熱プレスし、木質系複合材3を得た。得られた木質系複合材3の木質系原料片1の配向角度分布と寸法分布は、いずれも表には示さないが、プレス前の木質系積層マット2の場合と同じであった。又、その曲げ強度、圧縮強度はいずれも複合材として実用に耐えうるものであった。
【0052】
(比較例1)
実施例1において、デジタルスティルカメラで撮像された木質系積層マットの画像を、2次元フーリエ解析プログラムにより解析し、周波数(角度)パワースペクトルを得た(図5)。
【0053】
表3に、実施例1〜3及び比較例1で得られた木質系複合材の配向角度測定、寸法測定の可否を纏める。表中、○印は測定が可能であったことを、×印は測定が不可能であったことを表す。
【0054】
【表3】
【0055】
実施例1〜3では全て木質系原料片の寸法測定が可能であったが、比較例1では木質系原料片の寸法の測定が不可能であった。
【0056】
(作用・効果)
以上の通りであるから、本発明は、木質系複合材を成形する際に、木質系積層マット表面又は木質系複合材表面の複数の木質系原料片の、外寸と長軸の配向角度とを同時に測定する配向測定方法、及びその測定方法を用いて、木質系原料片が所定の角度分布範囲にあることを確認して木質系複合材を製造する方法となる。従って、得られる木質系複合材は、品質のばらつきが少なく、原材料や製造にかかるエネルギーの無駄が少ない木質系複合材となることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 実施例1の方法で測定を行った無着色木質系原料片マットの図である。
(b) (a)の木質系原料片の形状を抽出した図である。
(c) (b)の木質系原料片の形状を抽出した図である。
【図2】(a) 実施例2の方法で測定を行った着色木質系原料片と無着色木質系原料片の混合物を積層した木質系積層マットの図である。
(b) (a)の木質系原料片の形状を抽出した図である。
(c) (b)の木質系原料片の輪郭を抽出した図である。
【図3】(a) 実施例3の方法で測定を行った着色木質系原料片と無着色木質系原料片の混合物を機械的に配向を揃えて積層した木質系積層マットの図である。
(b) (a)の木質系原料片の形状を抽出した図である。
(c) (b)の木質系原料片の輪郭を抽出した図である。
【図4】実施例3の木質系原料片の配向角度分布と長さ分布図である。
【図5】図1(a)の図を2次元FFT解析したパワースペクトル図である。
【図6】発明3の製造方法を実施するための装置を図表的に示した概略図である。
【符号の説明】
1 木質系原料片
2 木質系積層マット
3 木質系複合材
4 デジタルスティルカメラ
5 解析装置
6 搬送装置
7 プレス機
Claims (3)
- 結合剤が付着されて積層された木質系原料片の画像を撮像し、
撮像された画像の各画素について、明度又は色相又は彩度のいずれかの値が、所定の値の範囲にある複数の画素のみを選択し、
選択された複数の画素の明度又は色相又は彩度のいずれかの値を、選択されなかった画素と明らかに異なる値に変えて、選択された複数の画素から別の画像を構成し、
その画像の面積を長円図形モデルの面積と比較し、面積比が最大となる時の、その長円図形モデルの長軸長さと、短軸長さと、長軸の基準線からの傾斜角度とを計測し、
前記木質系原料片画像中の木質系原料片の寸法と基準線からの傾斜角度分布とを決定することを特徴とする木質系原料片の配向測定方法。 - 請求項1記載の木質系原料片が、
他の木質系原料片と明らかに異なる明度又は色相又は彩度に着色された木質系原料片が混入された木質系原料片混合物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の木質系原料片の配向測定方法。 - 細長い木質系原料片に結合剤が付着され、木質系原料片同士が互いにその長さ方向に沿って配向されて積層された木質系原料片の傾斜角度分布を、請求項1又は2記載の木質系原料片の配向測定方法により測定し、
傾斜角度が所定の分布範囲にある木質原料片の数が、別に定めた基準値を満足すれば、その木質系原料片を加圧又は加熱することを特徴とする木質系複合材の製造方法。
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