JP3864658B2 - 燃料改質器の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料改質器の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池発電装置は、メタノールなどの原料を改質して水素リッチな燃料ガスを生成する燃料改質器と、この燃料改質器で生成した水素リッチな燃料ガスと、別途空気供給装置から供給される酸素を含む酸化ガスとを反応させて発電する燃料電池とを主な要素として構成されている。そして燃料改質器には、メタノールなどの原料を加熱して蒸気にする蒸発器、この蒸発器に熱を供給する燃焼器、蒸気にされた原料を改質触媒で水素リッチな燃料ガスに改質する改質部が含まれる。
【0003】
この燃料改質器では、蒸発器に原料を能力以上に大量に投入すると蒸発器温度が下がり、原料を蒸発させられなくなる。そのため、蒸発器で原料を蒸気にするためには、蒸発器の温度を目標管理温度に制御する必要がある。
【0004】
従来、このような蒸発器の温度を制御する方法として、例えば、特開平8−273685号公報に記載されたものが知られている。この従来例の方法では、投入する原料投入量に応じて蒸発器目標温度を算出して、蒸発器温度が目標温度となるように燃焼器の空気、燃料流量を調節するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の燃料電池改質器の制御装置では、燃焼器温度が目標温度を超えたときでも、蒸発器の温度が目標温度に達していない場合が起こる。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にあるように燃焼器温度を制御することができる燃料改質器の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、蒸気化された原料を改質して水素リッチな燃料ガスを生成する改質触媒と、原料を蒸発させて前記改質触媒に供給する蒸発器と、前記蒸発器に前記原料を加熱するための熱を供給する燃焼器とから成り、燃料電池に供給する水素を生成するための燃料改質器を制御する燃料改質器の制御装置であって、燃料電池で要求する出力要求値に応じて前記蒸発器に投入する原料投入量目標値を算出する原料投入量目標値算出手段と、前記原料投入量目標値算出手段により算出された原料投入量目標値に基づいて、少なくとも原料が蒸発するときの蒸発熱量を含む前記蒸発器における熱量の収支を推定する熱量収支推定手段と、前記熱量収支推定手段の推定した前記蒸発器における熱量の収支に基づいて、前記燃焼器に供給する燃料の供給量と空気の供給量との少なくとも一方を制御する燃焼器制御手段とを備えたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の燃料改質器の制御装置において、前記燃焼器制御手段は、前記熱量収支推定手段の推定した前記蒸発器の熱量の収支に基づいて前記蒸発器へ熱を伝達する伝熱部の目標温度を算出する伝熱部温度目標値演算手段を備え、前記伝熱部が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出した前記目標温度に一致するように前記燃焼器に供給する燃料の供給量と空気の供給量との少なくとも一方を制御するものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の燃料改質器の制御装置において、前記燃焼器制御手段は、前記伝熱部の温度を測定する伝熱部温度測定手段を備え、前記伝熱部温度測定手段の測定する前記伝熱部の温度が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出する前記伝熱部温度目標値と一致するように、前記燃焼器に供給する燃料の供給量と空気の供給量との少なくとも一方を制御するものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2に記載の燃料改質器の制御装置において、前記燃焼器制御手段は、前記伝熱部の温度を測定する伝熱部温度測定手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を測定する燃焼器出口温度測定手段とを備え、前記伝熱部温度測定手段の測定する前記伝熱部の温度が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出する前記伝熱部温度目標値と一致するように、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を制御するものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2の燃料改質器の制御装置において、前記燃焼器制御手段は、前記伝熱部の温度を測定する伝熱部温度測定手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を測定する燃焼器出口温度測定手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度の上限値を設定する上限値設定手段とを備え、前記伝熱部温度測定手段の測定する前記伝熱部の温度が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出する前記伝熱部温度目標値と一致するように前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を制御すると共に、前記燃焼器出口温度測定手段により測定された燃焼器出口の燃焼ガス温度が前記上限値設定手段により設定された上限値に到達したときに、当該上限値を超えないように燃焼ガス温度を維持するように前記燃焼器に対する燃料の供給量を制御するものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の燃料改質器の制御装置において、前記燃焼器が燃料と空気の混合物を燃焼させるものであり、前記燃焼器制御手段が、前記燃料の供給量を調整する燃料供給量制御手段と、前記空気の供給量を調整する空気供給量制御手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を前記上限値に維持するために、前記燃焼器に供給する前記燃料と空気との供給量の比を制御する流量比制御手段とを備えたものである。
【0013】
【発明の効果】
請求項1の発明の燃料改質器の制御装置では、原料投入量目標値算出手段が燃料電池で要求する出力要求値に応じて蒸発器に投入する原料投入量目標値を算出し、熱量収支推定手段が蒸発器における熱量の収支を推定する。そして燃焼器制御手段が、この熱量収支推定手段の推定した蒸発器における熱量の収支に基づいて燃焼器を制御する。
【0014】
蒸発器の熱量収支が負になったときには、蒸発器の出口蒸気温度が低下することを意味し、逆に正になったときには蒸発器の出口蒸気温度が上昇することを意味する。そして熱量収支がゼロであれば定常状態であり、蒸発器の出口蒸気温度が現状のまま維持されることを意味している。したがって、蒸発器の熱量の収支バランスが正か、負か、ゼロかによって熱量の過不足が判定できるのである。そこで、燃焼器制御手段は、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の下限値よりも低い場合にはその温度を上昇させるように熱量収支が正となるように燃焼器を制御し、反対に蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の上限値よりも高い場合にはその温度を低下させる目的で熱量収支が負となるように燃焼器を制御し、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にある場合にはその温度を維持する目的で熱量収支がゼロとなるように燃焼器を制御して蒸発器の出口蒸気温度を制御する。
【0015】
このようにして燃焼器を制御することにより、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にあるように制御することができる。
【0016】
請求項2の発明の燃料改質器の制御装置では、伝熱部温度目標値演算手段が熱量収支推定手段の推定した蒸発器の熱量の収支に基づいて蒸発器へ熱を伝達する伝熱部の目標温度を算出し、燃焼器制御手段が、伝熱部の温度が伝熱部温度目標値演算手段の算出した目標温度に一致するように燃焼器を制御する。
【0017】
このようにして燃焼器からの熱を蒸発器に伝達する伝熱部の温度を目標温度に制御することによって、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にあるように制御することができる。
【0018】
請求項3の発明の燃料改質器の制御装置では、燃焼器制御手段が、伝熱部温度測定手段の測定する伝熱部の温度を伝熱部温度目標値演算手段の算出する伝熱部温度目標値と一致するように燃焼器に対する燃料の供給量を制御することにより、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にあるように制御することができる。
【0019】
請求項4の発明の燃料改質器の制御装置では、燃焼器制御手段が、伝熱部温度測定手段の測定する伝熱部の温度を伝熱部温度目標値演算手段の算出する伝熱部温度目標値と一致するように燃焼器出口の燃焼ガス温度を制御することにより、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にあるように制御することができる。
【0020】
請求項5の発明の燃料改質器の制御装置では、燃焼器制御手段が、伝熱部温度測定手段の測定する伝熱部の温度を伝熱部温度目標値演算手段の算出する伝熱部温度目標値と一致するように燃焼器出口の燃焼ガス温度を制御すると共に、燃焼器出口の燃焼ガス温度が燃焼ガス温度の上限値に到達したときに、当該上限値を超えないように燃焼ガス温度を維持するように燃焼器に対する燃料の供給量を制御することにより、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にあるように制御することができる。
【0021】
請求項6の発明の燃料改質器の制御装置では、燃焼器制御手段における流量比制御手段が、燃焼器出口の燃焼ガス温度を上限値に維持するために、燃焼器に供給する燃料と空気との供給量の比を制御することにより、蒸発器の出口蒸気温度が目標管理温度の所定範囲内にあるように制御することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の燃料改質器の制御装置を含む燃料電池発電システムの構成を示している。この燃料電池発電システムの機械系は、燃焼器C1、蒸発器C2、改質触媒室C3、燃料電池C4、燃焼器C1に対する空気供給装置C5及び燃料供給装置C6、原料1タンクC7及び原料2タンクC8、これらの原料1タンクC7の原料1、原料2タンクC8の原料2を蒸発器C2に供給する原料1供給装置C9、原料2供給装置C10、そして負荷C11から構成されている。
【0023】
本実施の形態では、原料1タンクC7には原料1としてメタノールが収められている。原料2タンクC8には原料2として水が収められている。
【0024】
燃料電池発電システムの制御系は、負荷要求値演算装置A1、出力要求値演算装置A2、蒸発器原料投入量演算装置A3、パラメータ設定装置A4、制御装置A5、原料1タンクC7内の原料1に対する温度計測装置A6、原料2タンクC8内の原料2に対する温度計測装置A7、燃焼器C1の出口ガス温度を計測する燃焼器出口ガス温度計測装置A8、蒸発器C2に熱を伝える伝熱部の温度を計測する伝熱部温度計測装置A9、蒸発器出口の蒸気温度を計測する蒸発器出口蒸気温度計測装置A10、空気供給装置C5から燃焼器C1に供給する空気流量を制御する空気流量制御装置A11、そして燃料タンクC6から燃焼器C1に供給する燃料流量を制御する燃料流量制御装置A12から構成されている。
【0025】
負荷要求値演算装置A1は、負荷C11に要求する負荷要求値を演算する。この負荷要求値は、当該システムが燃料電池自動車である場合、ドライバのアクセル操作から算出する。出力要求値演算装置A2は、負荷要求値演算装置A1が算出した負荷要求値に基づき、燃料電池C4で必要とする出力要求値を演算する。蒸発器原料投入量演算装置A3は、出力要求値演算装置A2が算出した出力要求値に基づき、蒸発器原料投入量を算出する。この蒸発器原料投入量が、燃料電池出力要求値に応じた蒸発器原料投入量目標値である。パラメータ設定装置A4は、制御装置A5が演算制御に必要とする諸々のパラメータを保持している。
【0026】
制御装置A5には蒸発器原料投入量演算装置A3から原料投入量目標値が入力され、原料1温度計測装置A6から原料1の温度、原料2温度計測装置A7から原料2の温度、燃焼器出口ガス温度計測装置A8から燃焼器出口のガス温度、電熱部温度計測装置A9から蒸発器内の伝熱部の温度、蒸発器出口蒸気温度計測装置A10から蒸発器出口の蒸気温度がそれぞれ入力される。そして制御装置A5はこれらの計測値とパラメータ設定装置A4からのパラメータとを用いて、後述する制御演算処理によって燃焼器C1に対する空気供給量、燃料供給量を求め、これに基づいて空気流量制御装置A11、燃料流量制御装置A12を制御して燃焼器C1に供給する空気、燃料の供給量を調整する。
【0027】
この制御装置A5は図2に示す構成であり、蒸発器C2の熱量収支を推定する蒸発器熱量収支推定部A51、この蒸発器熱量の収支推定結果に基づき燃焼器C1から蒸発器C2に熱を伝達する伝熱部の目標温度を演算する伝熱部目標温度演算部A52、そして燃焼器C1に対する空気流量制御装置A11、燃料流量制御装置A12に対して空気供給量、燃料供給量を指示する燃焼器制御部A53を備えている。
【0028】
次に、上記の構成の燃料電池発電システムにおける燃料改質器の制御装置の動作を、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
負荷要求演算装置A1は、負荷C11に要求する負荷要求値を演算する。出力要求値演算装置A2は、負荷要求値演算装置A1が算出した負荷要求値に基づき、燃料電池C4で必要とする出力要求値を演算する。
【0030】
蒸発器原料投入量演算装置A3は、出力要求値演算装置A2が算出した出力要求値に基づいて蒸発器原料投入量を算出し(ステップS05)、これを原料1供給装置C9、原料2供給装置C10に与えて所定の投入量だけ蒸発器C2に原料1、原料2を供給する(ステップS10)。そしてこれと並行して、蒸発器原料投入量演算装置A3は算出した蒸発器原料投入量目標値を制御装置A5の蒸発器熱量収支推定部A51に与える。
【0031】
制御装置A5の蒸発器熱量収支推定部A51は、蒸発器原料投入量演算装置A3から原料投入量目標値を、原料1温度計測装置A6から原料1の温度を、原料2温度計測装置A7から原料2の温度を、燃焼器出口ガス温度計測装置A8から燃焼器出口のガス温度を、伝熱部温度計測装置A9から伝熱部温度を、蒸発器出口蒸気温度計測装置A10から蒸発器出口の蒸気温度をそれぞれ入力し、またパラメータ設定装置A4から諸々のパラメータを入力する。蒸発器熱量収支推定部A51はこれらの入力を用いて、後述する方法で蒸発器C2の熱量収支を推定演算し、伝熱部目標温度演算部A52に渡す(ステップS15)。
【0032】
伝熱部目標温度演算部A52では、この蒸発器熱量の収支推定結果に基づき燃焼器C1から蒸発器C2に熱を伝達するための伝熱部の目標温度を算出して燃焼器制御部A53に渡す(ステップS20)。
【0033】
続いて、燃焼器制御部A53では、燃焼器出口温度を計測している温度計測装置A8の出力を受け取り、これが上限値に到達していないかどうか判定する(ステップS25)。
【0034】
そして燃焼器出口ガス温度が上限値に到達していなければ、伝熱部が目標温度になるように空気供給量、燃料供給量のいずれかを制御することにより、燃焼器出口ガス流量と出口ガス温度を調整し、伝熱部が目標温度となるようにする(ステップS30)。
【0035】
他方、燃焼器出口ガス温度が上限値に到達していれば、その温度を維持しながら伝熱部を目標温度に維持すべく、燃料、空気の供給量比は一定にしたままその全体の供給量を制御する(ステップS35)。
【0036】
蒸発器C2では、投入される所定量の原料1、原料2に対して、燃焼器C1からの熱を伝えて蒸発させ、気化された原料1、原料2を改質触媒室C3に導く。改質触媒室C3では、気化した原料1、原料2を改質触媒に接触させて改質反応を起こさせ、水素リッチな燃料ガスにして燃料電池C4に送込む。
【0037】
燃料電池C4では、改質触媒室C3からの水素リッチな燃料ガスと、空気供給装置C5から供給される空気中の酸素とを反応させて発電する。この燃料電池C4から排出される排ガスは燃焼器C1に戻して燃焼させ、蒸発器C2に対する熱源とする。一方、燃料電池C4で発生した電力は負荷C11に供給する。
【0038】
燃料電池自動車の場合には、負荷C11はバッテリあるいはモータであり、燃料電池C4で発電した電気を取り出し、これを電圧昇圧器で昇圧してから利用する。
【0039】
次に、制御装置A5が採用している上述した蒸発器C2の熱量収支の推定、燃焼器C1に対する空気、燃料供給量の制御に用いる演算原理について説明する。
【0040】
蒸発器C2における熱量の収支は、次の数1式によって表すことができる。ここで原料は2種類、メタノール(原料1)と水(原料2)である。
【0041】
【数1】
ただし、
ρ1:原料1の密度[kg/m3]
ρ2:原料2の密度[kg/m3]
ρ: 蒸発器内の混合物の平均密度[kg/m3]
F1:原料1の体積流量[m3/s]
F2:原料2の体積流量[m3/s]
F: 蒸発器流出混合物の体積流量[m3/s]
H: 蒸発熱量[J/s]
K: 蒸発器への伝熱部の熱伝達率[J/(s・K・m2)]
A: 蒸発器への伝熱部の伝熱面積[m2]
Cn: 蒸発器熱容量[J/K]
Cp1:原料1の熱容量[J/K]
Cp2:原料2の熱容量[J/K]
Cp: 原料混合物の熱容量[J/K]
Tn: 蒸発器出口の蒸気温度[K]
Tj: 蒸発器内の伝熱部の温度[K]
T1: 蒸発器への原料1の流入温度[K]
T2: 蒸発器への原料2の流入温度[K]
上の数1式の左辺は、熱量の時間変動を表し、数1式の右辺第1項は蒸発器C2に対して原料1が持ち込む熱量、第2項は原料2が持ち込む熱量を表している。また右辺第3項は蒸発器C2から混合物蒸気が持ち去る熱量、第4項は蒸発器C2において原料混合物が蒸発するときの蒸発熱量、第5項は蒸発器C2へ燃焼器C1の熱を伝える伝熱部からの熱量の収支、そして第6項のΔは蒸発器C2での熱量の損失分を表している。
【0042】
この数1式は、蒸発器C2の周辺の熱量の収支すべてを表しているので、原料1、原料2の流入温度、流量、伝熱部の温度が変化した場合の蒸発器C2の周辺の熱量の収支のバランスを推定することができる。
【0043】
この熱量の収支バランスが負になった場合、蒸発器C2の出口温度が低下することを意味する。反対にそれが正になった場合には、蒸発器C2の出口温度が上昇することを意味する。そしてそれがゼロの場合には定常状態で、蒸発器C2の出口温度が現状のまま維持されることを意味する。つまり、熱量の収支バランスが正、負、ゼロによって熱量の過不足を判別することができる。
【0044】
そして蒸発器C2の出口蒸気ガス温度が目標管理温度の下限値よりも低い場合には、温度を上昇させて熱量の収支バランスが正となるように燃焼器C1を制御し、反対に蒸発器C2の出口蒸気温度が目標管理温度上限値よりも高い場合には、温度を低下させて熱量の収支バランスが負となるように燃焼器C1を制御し、蒸発器出口の蒸気温度が目標管理温度の所定の範囲内にあれば、温度を現状維持させて熱量の収支バランスがゼロとなるように燃焼器C1を制御することにより、蒸発器C2の出口蒸気温度を目標管理温度の所定の範囲内にあるように制御することができるのである。
【0045】
いま、数1式において、蒸発器C2の熱量収支が定常状態であれば、左辺がゼロとなるので、次の数2式のようになる。以下では、説明の簡単化のために損失Δはないものと仮定する。
【0046】
【数2】
数2式をTjについて解いて、Tj-tとおく。
【0047】
【数3】
蒸発器C2の出口蒸気温度を目標管理温度に保つように、蒸発器C2内の燃焼器C1からの伝熱部の目標温度を算出するには、数3式において、蒸発器C2の出口蒸気温度Tnを目標管理温度Tn-tに置き換えて、次の数4式となる。
【0048】
【数4】
この数4式から、蒸発器C2に投入する原料流量、温度が変化したときには、蒸発器温度を目標管理値に維持するために必要となる、前記伝熱部の目標温度を算出することができる。
【0049】
この燃焼器C1からの伝熱部の温度と、燃焼器C1の出口ガス温度との関係は、次の数5式で表すことができる。
【0050】
【数5】
ただし、
Cj: 伝熱部熱容量[J/K]
Tn: 蒸発器の出口蒸気温度[K]
Tj: 伝熱部の温度[K]
Cp3:燃焼器からのガスの熱容量[J/(kg・K)
T3: 燃焼器からのガスの温度[K]
ρ3: 燃焼器からのガスの密度[kg/m3]
この数5式の右辺第1項は燃焼器C1の出口ガスが伝熱部に持ち込む熱量、第2項は燃焼器C1の出口ガスが伝熱部から持ち去る熱量を表している。第3項は、蒸発器C2へ熱を伝える伝熱部からの熱量の収支を表し、第4項は伝熱部での熱量の損失分を表している。
【0051】
この数5式より、蒸発器C2の伝熱部の温度Tjを変化させるためには、第1項と、第3項のK・A・(−Tn)を変化させるしかない。ところが、Tnは蒸発器C2の出口蒸気温度であるので、これを直接操作することはできない。したがって、蒸発器C2内にある伝熱部の温度Tjを変化させるためには、第1項のρ3・F3・Cp3・T3を変化させるしか現実的な方法はない。
【0052】
このことから、燃焼器C1の出口ガス流量F3と出口ガス温度T3を制御すれば、蒸発器C2へ熱を伝達するための伝熱部へ供給する熱量を調節することができ、これによって伝熱部の温度Tjを制御することができるのである。
【0053】
燃焼器C1の出口ガス流量や出口ガス温度を制御するには、これらに目標値を設定し、それに一致するように燃焼器C1に供給する燃料、空気の供給量を制御することになる。ここで、燃焼器C1の出口ガス温度は一定に保ちながら出口ガス流量を変化させる場合には、空気供給量:燃料供給量の比は一定に保ちながらその全体の供給量を変化させる制御を行う。また出口ガス温度を変化させる場合には、空気供給量だけあるいは燃料供給量だけを変化させる制御を行う。
【0054】
図4及び図5は本実施の形態による燃料改質器の制御装置と従来の制御装置とのコンピュータシミュレーション結果を示している。図4は本実施の形態による制御を実施した場合、図5はそれを実施しなかった場合のシミュレーション結果である。両図において、(a),(b),(c),(d),(e)はそれぞれ、
(a)蒸発器C2の出口蒸気温度[K]
(b)蒸発器C2へ熱を伝達する伝熱部の目標温度[K](図6にはない)
(c)燃焼器C1の投入燃料[m3/s]
(d)蒸発器C2への投入原料[m3/s]
(e)燃焼器C1への空気供給量[m3/s]
を表している。
【0055】
このシミュレーション条件は、22秒の時点で蒸発器C2に投入する原料流量をステップ状に変化させて増加し、25秒の時点でステップ状に減少させたものである(両図(d))。
【0056】
燃焼器C1の燃料としては、水素と空気を仮定し、水素は一定量供給し続けるものとし、空気流量だけを変化させるものとした(シミュレーション上では、燃焼器出口ガス温度が上限管理値を超えない場合を想定しているので、水素と空気との一定比率制御は行わないとした)。
【0057】
図4に示した本実施の形態の制御では、蒸発器C2内の伝熱部の目標温度を算出して、燃焼器C1の空気量を調節するようにしている。このため、燃焼器出口ガス温度が変化している。またこれにより、蒸発器出口の蒸気温度は原料投入時にいったん下がるが、すぐに復帰している。
【0058】
これに対して、図5に示した従来例の制御によれば、蒸発器C2の出口蒸気温度は原料投入と共に低下したままとなっていて、原料投入量を減らさない限り温度が復帰しないことが分かる。
【0059】
このようにして本発明によれば、燃料電池C4で要求する出力要求値に応じた原料投入量を蒸発器C2に投入すると共に、その出口蒸気温度が目標管理温度の下限値よりも低下したり、逆に目標管理温度の上限値よりも上昇したりしないように燃焼器C1側を制御することにより、蒸発器出口の蒸気ガス温度をふさわしいものに維持することができる。
【0060】
そしてこの場合に、燃焼器C1の出口ガス流量F3と出口ガス温度T3を制御すれば、蒸発器C2へ熱を伝達するための伝熱部へ供給する熱量を調節することができ、これによって伝熱部の温度Tjを制御することができる。
【0061】
さらに、燃焼器C1の出口ガス流量や出口ガス温度を制御するには、これらに目標値を設定し、それに一致するように燃焼器C1に供給する燃料、空気の供給量を制御することができる。つまり、燃焼器C1の出口ガス温度は一定に保ちながら出口ガス流量を変化させる場合には、空気供給量:燃料供給量の比は一定に保ちながらその全体の供給量を変化させる制御を行う。また出口ガス温度を変化させる場合には、空気供給量だけあるいは燃料供給量だけを変化させる制御を行うのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態の燃料改質器の制御装置を含む燃料電池発電システムのブロック図。
【図2】上記の実施の形態における制御装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】上記の実施の形態における蒸発器、燃焼器の制御のフローチャート。
【図4】上記の実施の形態による制御特性を示すグラフ。
【図5】従来例の制御特性を示すグラフ。
【符号の説明】
C1 燃焼器
C2 蒸発器
C3 改質触媒室
C4 燃料電池
C9 原料1供給装置
C10 原料2供給装置
C11 負荷
A1 負荷要求値演算装置
A2 出力要求値演算装置
A3 蒸発器原料投入量演算装置
A4 パラメータ設定装置
A5 制御装置
A11 空気供給量制御装置
A12 燃料供給量制御装置
A51 蒸発器熱量収支推定部
A52 伝熱部温度目標演算部
A53 燃焼器制御部
Claims (6)
- 蒸気化された原料を改質して水素リッチな燃料ガスを生成する改質触媒と、原料を蒸発させて前記改質触媒に供給する蒸発器と、前記蒸発器に前記原料を加熱するための熱を供給する燃焼器とから成り、燃料電池に供給する水素を生成するための燃料改質器を制御する燃料改質器の制御装置であって、
燃料電池で要求する出力要求値に応じて前記蒸発器に投入する原料投入量目標値を算出する原料投入量目標値算出手段と、
前記原料投入量目標値算出手段により算出された原料投入量目標値に基づいて、少なくとも原料が蒸発するときの蒸発熱量を含む前記蒸発器における熱量の収支を推定する熱量収支推定手段と、
前記熱量収支推定手段の推定した前記蒸発器における熱量の収支に基づいて、前記燃焼器に供給する燃料の供給量と空気の供給量との少なくとも一方を制御する燃焼器制御手段とを備えて成る燃料改質器の制御装置。 - 前記燃焼器制御手段は、前記熱量収支推定手段の推定した前記蒸発器の熱量の収支に基づいて前記蒸発器へ熱を伝達する伝熱部の目標温度を算出する伝熱部温度目標値演算手段を備え、前記伝熱部が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出した前記目標温度に一致するように前記燃焼器に供給する燃料の供給量と空気の供給量との少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料改質器の制御装置。
- 前記燃焼器制御手段は、前記伝熱部の温度を測定する伝熱部温度測定手段を備え、前記伝熱部温度測定手段の測定する前記伝熱部の温度が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出する前記伝熱部温度目標値と一致するように、前記燃焼器に供給する燃料の供給量と空気の供給量との少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料改質器の制御装置。
- 前記燃焼器制御手段は、前記伝熱部の温度を測定する伝熱部温度測定手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を測定する燃焼器出口温度測定手段とを備え、前記伝熱部温度測定手段の測定する前記伝熱部の温度が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出する前記伝熱部温度目標値と一致するように、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料改質器の制御装置。
- 前記燃焼器制御手段は、前記伝熱部の温度を測定する伝熱部温度測定手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を測定する燃焼器出口温度測定手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度の上限値を設定する上限値設定手段とを備え、
前記伝熱部温度測定手段の測定する前記伝熱部の温度が前記伝熱部温度目標値演算手段の算出する前記伝熱部温度目標値と一致するように前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を制御すると共に、前記燃焼器出口温度測定手段により測定された燃焼器出口の燃焼ガス温度が前記上限値設定手段により設定された上限値に到達したときに、当該上限値を超えないように燃焼ガス温度を維持するように前記燃焼器に対する燃料の供給量を制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料改質器の制御装置。 - 前記燃焼器は燃料と空気の混合物を燃焼させるものであり、前記燃焼器制御手段は、前記燃料の供給量を調整する燃料供給量制御手段と、前記空気の供給量を調整する空気供給量制御手段と、前記燃焼器出口の燃焼ガス温度を前記上限値に維持するために、前記燃焼器に供給する前記燃料と空気との供給量の比を制御する流量比制御手段とを備えて成ることを特徴とする請求項5に記載の燃料改質器の制御装置。
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