JP3864432B2 - 親水性媒体に親和性を示す有機物の製造方法 - Google Patents

親水性媒体に親和性を示す有機物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭やバイオマス等の固体有機物を原料として、親水性媒体に親和性を示す有機物(以下、親水性有機物と称す)の製造方法に関するものであり、特に親水性媒体に水を用いた場合に水溶性有機物、例えばギ酸、酢酸、マロン酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルマロン酸、ベンゼンカルボン酸といったカルボン酸類や、メタノール、エタノールといったアルコール類等の低分子有機物、更には分子量約700以下の水溶性高分子有機物を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カルボン酸類やアルコール類は、多くの種類があり、現在の化学工業における製品として、また他の化学製品の原料として重要な位置を占める物質である。
例えば、ギ酸は、種々の有機薬品の合成原料、溶剤、試薬として、また織物の染色や皮革製品のなめし加工等に広く用いられている。酢酸は、これらの用途に加えて、酢酸繊維素や酢酸ビニル等の原料として大量に使用され、またアミノ酸調味料の原料として用いられている。また、マロン酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルマロン酸等の有機酸はそれぞれ植物体中に含まれていることが知られており、これらは食品添加物、香料、医薬品、染料等の原料として利用価値の高いものである。
【0003】
また、メタノールは多くの化成品の原料として大量に使用され、更に近年においては、ガソリンの代替え用或いは混合用に用い、内燃機関の燃料としての用途が期待されている。エタノールは、飲料用はもとより、溶剤や化成品原料また燃料に用いる等、メタノールと同様に、幅広い用途に多量に使用されている。
【0004】
カルボン酸類やアルコール類の製造法としては、従来より種々の方法が知られている。
酢酸の合成法としては、石油ナフサの部分酸化を行って得る方法、NiやCoを触媒としてメチルアルコールと一酸化炭素から合成する方法、アセトアルデヒドを空気酸化することによって得る方法等が知られている。他に、酢酸はアルコールの醗酵によっても製造され、また木材乾留によっても製造される。
【0005】
ギ酸の合成法としては、120〜150℃,6〜8気圧の条件で、水酸化ナトリウムに一酸化炭素を作用させてギ酸ナトリウムを合成し、これを硫酸で処理して製造する方法等が知られている。また、ギ酸は、酢酸を石油ナフサの部分酸化法で合成する際の副産物としても得られる。
【0006】
ベンゼンカルボン酸は、石炭にアルカリ水を添加し、加圧下で120〜200℃で酸化することによって得ることができるが、二酸化炭素の生成量が多く、目的とする生成物の収率が低くなって、経済的でない。尚、褐炭等の低炭化度炭をアルカリ水で処理することにより、フミン酸等の高分子の有機酸を得ることができるが、これらは通常分子量が1000以上のものであり、あまり用途がない。その他、マロン酸等を製造するには、それぞれ特定の原料から、更に複雑な工程を経て合成する必要がある。
【0007】
メタノールの製造方法としては、一酸化炭素と水素よりなる混合ガスを原料とし、Ni系触媒を用いて、15〜30気圧、850〜950℃で合成する方法が一般的である。この原料である合成ガスは、石炭やコークスをガス化したもの、また天然ガスや石油ナフサ,PLGをメタン源としてメタン分解法で製造されたもの等が知られており、現在では天然ガスを原料として一般的に用いられている。
【0008】
エタノールは、糖類やデンプン質を原料とし発酵法により製造する方法、またエチレンと水を原料としてリン酸系触媒を用いて直接水和法で製造する方法等が知られている。
【0009】
他方、石炭はコークス原料や燃料に用いられ、化成品の原料としてはガス化して用いることはあっても、直接原料として利用されることはほとんどない。殊に低品位炭は燃料としての用途も限られており、新しい用途の開発が強く望まれている。また食品およびその製造時の副産物等のバイオマスも用途が限られており、農林業廃棄物や活性汚泥は現在廃棄物として処理されており、環境上の問題という観点からも有効利用が強く望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
カルボン酸類やアルコール類は前述の様に製造されているが、本発明は従来とは全く異なる製法によって、ギ酸や酢酸等のカルボン酸類やメタノール類を中心とする低分子有機物、また界面活性剤として利用可能な高分子水溶性有機酸といった水溶性有機物、或いは親水性有機物を、簡単な手法で製造すると共に、従来において燃料等にしか用途がなかった石炭やバイオマスといった高分子固体有機物を、化学原料として有効に利用するという方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る親水性有機物の製造方法は、高分子固体有機物として無水無灰物の全量に対して炭素含有量が80%以下である低品位炭、或いはバイオマスを用い、この高分子固体有機物を予め低級アルコールに膨潤させ、これを親水性媒体の存在の下に酸化剤を加えて酸化し、親水性有機物を製造することを要旨とする。
【0012】
更に、前記酸化剤として、過酸化水素、オゾン、重クロム酸、過マンガン酸、硝酸よりなる群から選択される一種以上を用いることが好ましい。その他、酸化剤としてはKMnO4,MnO2,Mn(CH3CO23,CrO3,NaCr27,HNO2,N23,N24,O2,Na22,(C65CO)22,CH3CO3H、C65CO3H,K228を用いても良い。
また、前記親水性媒体が水またはアルコールであることが望ましい。
特に、高分子固体有機物を水の存在の下に酸化剤を加えて酸化して水溶性有機物を製造すると良い
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、親水性媒体として水を用い、親水性有機物として水溶性有機物を製造する場合を代表として主に説明する。
前記本発明によれば、高分子固体有機物を湿式で穏やかな条件として、二酸化炭素の発生を抑制しつつ、徐々に酸化することになる。これにより原料の高分子固体有機物が有機酸やアルコールに酸化分解されて抽出される。即ち、湿式で緩やかな条件で酸化することによって、高分子固体有機物にカルボキシル基、または水酸基、或いはこれら両者を導入すると共に、高分子固体有機物を分解し、水溶性のアルコールやカルボン酸を主成分とする低分子有機物や、分子量約700以下の高分子水溶性有機物といった水溶性有機物を生成させるのである。これら生成した水溶性有機物は水に溶出されるので、これを固液分離して回収する。尚、二酸化炭素の発生を抑制することのできる穏やかな条件としては、処理温度を低くする、また酸化剤の濃度を低くする等の方法が挙げられる。
【0014】
一方、湿式で酸化剤を用いるといった本発明の方法ではなく、空気中の酸素を用いた気相酸化による場合では、低温での酸化速度が著しく遅くなるという問題がある。そこで酸化速度を上げるために処理温度を上げると、導入された酸素が固体有機物の架橋構造を形成し、更に酸化を進めると二酸化炭素となる為、上記カルボン酸はほとんど生成しないことになる。また、湿式酸化であっても、アルカリ下あるいは加圧下で120〜200℃程度の厳しい条件で酸化した場合は、二酸化炭素の生成量が増加し、有機酸の収率が著しく低下する。
【0015】
尚、本発明で言う水溶性有機物とは、ギ酸、酢酸、マロン酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルマロン酸、ベンゼンカルボン酸等のカルボン酸類や、メタノール、エタノール等のアルコール類、またカルボキシル基及び/または水酸基を有する分子量約700以下の水溶性高分子有機物を指す。
【0016】
本発明における酸化処理の温度は特に限定されるものではないが、親水性媒体の沸点以下であれば大気圧で処理できることから、親水性媒体が水の場合は100℃以下が望ましく、より望ましくは40〜80℃である。
【0017】
用いる酸化剤としては、特に限定されるものではないが、過酸化水素水、オゾン、重クロム酸、過マンガン酸、硝酸等は水中で酸化作用を有するので好ましい。特に過酸化水素水あるいはオゾンを用いた場合は、二酸化炭素の発生を抑え、水溶性有機物を高収率で得ることができるからより望ましい。その他の酸化剤として上記の様に種々のものが使用でき、生成物への残留の問題から、重金属ではなくまた毒性のない物が推奨される。添加する酸化剤は、これらの酸化剤を二種類以上組合せて用いることも可能である。尚、酸化剤として酸素(O2 )を用いることもでき、この場合は水中に酸素を溶存させて用い、この際には溶存酸素量を大きくする為、加圧下で処理することが望ましく、また前記水溶性の酸化剤と組合せる様にしても良い。
【0018】
高分子固体有機物としては、石炭、ピート、および木材、農業廃棄物、活性汚泥、食品廃棄物、パルプ/食品製造工程で生成する副産物/廃棄物等のバイオマスが挙げられる。尚、炭素含有量の大きな石炭は、芳香族環が発達し単位構造の分子量が大きくなる為、本発明で行っている温和な酸化条件では、低分子化できず、低分子有機酸は生成しなくなる。従って、石炭としては、有機物(無水無灰物)の全量に対して炭素含有量が80%以下ものが好ましい。より好ましくは70%以下の褐炭や泥炭といった低品位炭である。
【0019】
これら高分子固体有機物は、塊状の石炭等の場合では数mm以下、好ましくは1mm以下に粉砕して処理することが望ましく、微細化することにより親水性媒体(水)および酸化剤と効率良く接触させることができる。尚、数mm以下の粒状あるいは細かい繊維状の有機物はそのまま処理でき、また水分を多量に含んだ状態でも処理可能であることは言うまでもない。
【0020】
メタノールやエタノール等の低級アルコールは、親水性媒体として水を用いる場合には、上記高分子固体有機物を膨潤させるから、後の酸化工程における高分子固体有機物と酸化剤の接触効率を上げることができ、加えて酸化剤を必要な部位に選択的に作用させることができる。
【0021】
このとき、低級アルコールの処理効率を上げる為に、該固体有機物を脱水しても良い。尚、用いたアルコールは酸化処理後、水溶性有機生成物と共に、回収することができる。
【0022】
以上の説明において親水性媒体として主に水を挙げて述べたが、他の親水性媒体を用いた場合には、当該親水性媒体に親和性を有する有機物が製造される。該親水性有機物としては、カルボン酸類やアルコール類といった低分子有機物、また分子量約700以下の高分子有機物が挙げられる。
【0023】
親水性媒体(例えば水)は高分子固体有機物に対し1〜20倍量(重量)用いることが推奨され、酸化により生成されて親水性媒体に溶出してきた親水性有機物を、固液分離を施すことにより回収することができる。
【0024】
図1は本発明に係る水溶性有機物(親水性有機物)の製造方法の一例を示すフロー図である。以下に、高分子固体有機物が塊状であった場合の本発明の製造方法について説明する。
【0025】
まず、高分子固体有機物を数mm以下に粉砕し、予備処理工程で低級アルコール(例えばメタノール)と接触させる。このとき、用いるアルコール量は高分子固体有機物がアルコールに浸り、アルコールを十分吸収できる程度であれば良い。尚、この予備処理工程は省略することが可能であり、特に高分子固体有機物が多量の水分を含む(約30wt%以上の水分を含む)場合は必要がない。
【0026】
次に、この高分子固体有機物を100℃以下の一定温度に保った酸化槽に送り、撹拌によって水中に分散させてスラリー化すると共に酸化させる。尚、酸化槽では酸化剤が連続的に供給されている。
【0027】
その後、酸化処理の終わったスラリーを、酸化槽より抜き出し、濾過もしくは遠心分離等の方法によって固液分離を行い、残渣と抽出液に分離する。尚、固液分離に際し、沈降槽を設け、酸化槽から抜き出したスラリーを沈降槽に導入し上澄みと濃縮スラリーに分離した後、濃縮スラリーを濾過や遠心分離によって固液分離しても良く、また沈降槽を設けずに、酸化槽においてスラリーを静置して上澄みと濃縮スラリーに分離し、上澄みを回収した後、上記濃縮スラリーを濾過や遠心分離によって固液分離する様にしても良い。
【0028】
図2は酸化槽と沈降槽の組合わせを2段とした場合の製造フローを示す図である。酸化槽を1段とし、そこで長時間酸化を続けると、生成した水溶性有機物の酸化が一層進み、CO2 まで分解してしまうことがあるが、図2に示す様に酸化槽を2段とし、1段目で生成した水溶性有機物を収集し、残る濃縮スラリーの高分子固体有機物を2段目の酸化槽で更に酸化剤を加えて酸化し、水溶性有機物を生成させる様にすれば、先に生成した水溶性有機物がCO2 まで酸化分解されることなく、水溶性有機物を多く得ることができる。酸化槽、或いは酸化槽と沈降濃縮槽の組合わせは、1段や2段に限るものではなく、3段以上であっても良い。尚、酸化剤が十分であれば2段目以降の酸化槽への新たな酸化剤の供給を省略する場合もあり、また分離した上澄み液を上流側の酸化槽に循環する場合もある。
【0029】
尚、処理時間については、例えば生成物として分子量の小さいものを得たい場合には酸化処理時間を長く、分子量の大きいものを得たい場合には処理時間を短くする等して、調整すると良い。
【0030】
この様にして得られた抽出液を、更に減圧蒸留等によって処理し、アルコールや水といった媒体と親水性有機物(水溶性有機生成物)を分離,回収する。尚、有機生成物がギ酸等の様に低沸点生成物の場合は、減圧蒸留による精留によって回収する方法が利用でき、高分子有機物等の様に高沸点生成物の場合は、濃縮後の晶析等の分離法が利用できる。また、晶析を利用するにあたって、アルカリ塩として分離することも有効である。回収されたアルコールや水また残存酸化剤は循環使用することができ、経済性がよい。
【0031】
尚、生成物の分離精製およびアルコールの回収、更には酸化剤の回収および処理は、用いる酸化剤によって異なるため、それに応じてそれぞれ最適な方法を採用する。
【0032】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲において適宜変更を加えて実施することも可能であって、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0033】
<実施例1>
無水無灰炭基準で64.8重量%の炭素を含有する褐炭を、200メッシュ以下に粉砕後、乾燥し、メタノールに浸す。該褐炭及びメタノールに、この10倍量の30%過酸化水素水を加え、撹拌しつつ60℃で2時間保持した後、濾過を行って固液を分離し、濾液中に水溶性有機物を得た。該濾液中の水溶性有機物の分析結果を、表1及び表2に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003864432
【0035】
【表2】
Figure 0003864432
【0036】
表1,2から分かる様に、褐炭中の炭素の30.1%が水溶性有機物に転化し、低分子有機物として酢酸,ギ酸,マロン酸を主成分とする有機酸が生成した。また多くのメタノールも得られた。上記水溶性有機物中の炭素量30.1%のうち、約13%が分子量300〜700の高分子有機物であった。これは生成した水溶性有機物中の炭素量を100%とすると、その約45%に相当する。
【0037】
<実施例2>
60℃に保持する時間を24時間とする以外は上記実施例1と同様の処理を行った。濾液中の水溶性有機物の分析結果を、上記表1及び表2に示す。
表1,2から分かる様に、有機酸生成量は褐炭中炭素の62.2%に達しており、特に低分子有機酸の生成量ではギ酸やマロン酸の収率が増加し、副生成物としてメタノール、グリコール酸、マレイン酸、メチルマロン酸、コハク酸、リンゴ酸、分子量700以下の水溶性高分子有機物も多く生成した。上記水溶性有機物中の炭素量62.2%のうち約30%が分子量300〜700の高分子有機物であり、これは生成した水溶性有機物中の炭素量を100%とすると、その約52%に相当する。
【0038】
参考例3>
水分62重量%を含む褐炭(無水無灰炭基準での炭素含有量:64.8重量%)を1mm以下に粉砕し、これに10倍量の30%過酸化水素を加えて混合し、60℃で24時間処理した。その後、濾過によって固液を分離し、濾液中に水溶性有機物を得た。該濾液中の水溶性有機物の分析結果を表3,4に示す。
【0039】
【表3】
Figure 0003864432
【0040】
【表4】
Figure 0003864432
【0041】
表3,4から分かる様に、褐炭中の有機炭素の54.8%が水溶性有機物に転化し、メタノール、ギ酸、酢酸等が得られた。これらの分子量130以下の低分子有機物に転化した炭素量は15.7%であり、残りは分子量130〜700の水溶性高分子有機物であった。これらの水溶性高分子有機物は、生成液を著しく発泡させており、界面活性剤として利用できる化合物であることが分かった。
【0042】
参考例4>
酸化剤として5%過酸化水素を用いる以外は、上記参考例3と同様の処理を行った。濾液中の水溶性有機物の分析結果を表3,4に示す。表3,4から分かる様に、褐炭中の有機炭素の18.8%が水溶性有機物に転化し、量は少ないものの、メタノールがほとんどなかった以外は参考例3と同様の水溶性有機物が得られた。分子量130以下の低分子有機物に転化した炭素量は6.9%であり、残りは分子量130〜700の水溶性有機物であった。
【0043】
参考例5>
酸化剤として15%過酸化水素を用いる以外は、上記参考例3と同様の処理を行った。濾液中の水溶性有機物の分析結果を表3,4に示す。表3,4から分かる様に、褐炭中の有機炭素の44.8%が水溶性有機物に転化し、参考例3と同様の水溶性有機物が得られた。分子量130以下の低分子有機物に転化した炭素量は12.1%であり、残りは分子量130〜700の水溶性有機物であった。
【0044】
参考例6>
酸化処理の条件を80℃、1時間とする以外は、上記参考例3と同様の処理を行った。濾液中の水溶性有機物の分析結果を表3,4に示す。表3,4から分かる様に、褐炭中の有機炭素の42.7%が水溶性有機物に転化し、参考例3と同様の水溶性有機物が得られた。分子量130以下の低分子有機物に転化した炭素量は8.5%であり、残りは分子量130〜700の水溶性有機物であった。
【0045】
参考例7>
酸化処理の条件を40℃、24時間とする以外は、上記参考例3と同様の処理を行った。濾液中の水溶性有機物の分析結果を表3,4に示す。表3,4から分かる様に、褐炭中の有機炭素の22.0%が水溶性有機物に転化し、参考例3と同様の水溶性有機物が得られた。分子量130以下の低分子有機物に転化した炭素量は11.1%であり、残りは分子量130〜700の水溶性有機物であった。
【0046】
参考例8>
無水無灰炭基準で74.5重量%の炭素を含有する石炭を粉砕乾燥後、10倍量の30%過酸化水素と混合し、60℃で24時間処理した。処理後、濾過によって固液を分離し、濾液中に水溶性有機物を得た。該濾液中の水溶性有機物の分析結果を表3,4に示す。
【0047】
表3,4から分かる様に、石炭中の有機炭素の37.2%が水溶性有機物に転化し、ギ酸、酢酸等が得られた。これらの分子量130以下の低分子有機物に転化した炭素量は17.9%であり、残りは分子量130〜700の水溶性高分子有機物であり、これらの水溶性高分子有機物は、参考例3と同様に該生成液を著しく発泡させ、界面活性剤として利用できる化合物であることが分かった。
【0048】
参考例9>
無水無灰炭基準で69.5重量%の炭素を含有する石炭を用いて、上記参考例8と同様の処理を行った。濾液中の水溶性有機物の分析結果を表3,4に示す。表3,4から分かる様に、褐炭中の有機炭素の44.1%が水溶性有機物に転化し、グリコール酸を除いて参考例3と同様の水溶性有機物が得られた。分子量130以下の低分子有機物に転化した炭素量は13.6%であり、残りは分子量130〜700の水溶性高分子有機物であった。
【0049】
【発明の効果】
以上の様に、本発明に係る親水性有機物の製造方法によれば、安価で大量に存在する褐炭やバイオマス等の高分子固体有機物を原料として、ギ酸、酢酸、マロン酸等の低分子有機酸及びメタノールなどの低級アルコール、更には界面活性剤等への広用が可能と考えられる水溶性高分子有機物といった親水性有機物を、効率良く且つ容易に製造することができる。加えて、本発明の製造方法により、石炭や低品位炭、農林業廃棄物、活性汚泥、バイオマス等を化学原料として有効利用することができ、これらを資源として有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水溶性有機物の製造フローの一例を示す図。
【図2】本発明に係る水溶性有機物の製造フローの他の例を示す図。

Claims (3)

  1. 高分子固体有機物として無水無灰物の全量に対して炭素含有量が80%以下である低品位炭、或いはバイオマスを用い、
    この高分子固体有機物を予め低級アルコールに膨潤させ、
    これを親水性媒体の存在の下に酸化剤を加えて酸化して、親水性媒体に親和性を示す有機物を製造することを特徴とする親水性媒体に親和性を示す有機物の製造方法。
  2. 前記酸化剤として、過酸化水素用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記親水性媒体が水またはアルコールである請求項1または2に記載の製造方法。
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