JP3862274B2 - Raidディスクサブシステムと統合されたファイルシステムのファイル割り当て方法 - Google Patents

Raidディスクサブシステムと統合されたファイルシステムのファイル割り当て方法 Download PDF

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Description

発明の背景
1.発明の分野
本発明は、情報を記憶するディスクアレイを用いたファイルシステムの分野に関する。
2.従来技術
一般に、コンピュータシステムにおいては、種々の情報(例えばデータおよび/またはアプリケーションプログラム等)を記憶するためのディスクドライブなどの多くの2次メモリを必要とする。従来のコンピュータシステムにおいては1つの“ウインチェスター”スタイルのハードディスクドライブを用い、大量のデータを永久記憶する構成がとられている。コンピュータやそれに付属のプロセッサのパーフォーマンスが高度化されるに伴い、大容量のディスクドライブの必要性やデータ伝送レートのスピード化が望まれるようになった。この要望に歩調を合わせるため、ディスクドライブパーフォーマンスにおける改良がなされてきた。例えば、データやトラック密度の増加や、メディアの改良や、1つのディスクドライブにおけるヘッドの数やディスクの数の増加等がデータ伝送レートのスピード化に寄与してきた。
1つのディスクドライブでもって2次記憶装置を構成することの欠点は、より多くの容量やパーフォーマンスが必要となったときにドライブの取り替えが必要となることによる出費がある。他の欠点としては、冗長性の無さであり、単一のディスクドライブにおいてバックアップをとるための容量不足がある。1つのディスクドライブが故障し、機能しなくなり、または置き換えることができなくなれば、そのシステムは使うことができなくなる。
単一のディスクドライブシステムにおける上述の欠点を無くしたり軽減するために試みられた一つの従来技術として、並列につながれた複数のドライブを使用するものがある。この場合、データはいくつかの大きな塊に分けられ、複数のドライブから平行に、かつ同時にアクセスすることもできるし、複数のドライブのうち1つのドライブだけからシーケンシャルにアクセスすることもできる。このようにディスクドライブを並列に組み合わせたシステムは、“安価なディスクによる余剰アレイ(redundant array of inexpensive disks)”略してRAID(レイド)アレイと呼ばれている。このRAIDシステムは、大きな1つのディスクドライブシステムと同じ記憶容量を低価格で提供するものである。更に、アレイの並列処理により、高速のデータ伝送レートを達成することができる。
RAIDシステムにおいては、アレイに追加のディスクドライブを加えることにより、段階的に記憶容量を増やしていくことが可能となる。ディスクが故障してもRAIDシステムが備わっていれば、システム全体を止めることなくそのディスクを取り替えることが可能となる。また、故障したディスクに残っているデータは、エラー訂正技術を用いることによりリカバリーすることも可能である。
RAIDには6種類のディスクアレイ構成が存在し、それらはRAIDレベル0からRAIDレベル5として呼ばれている。各RAIDレベルには利点や欠点がある。以下の説明においては、単にRAIDレベル4および5について説明する。しかしながら、異なったRAIDレベルについての詳しい説明はパターソン(Patterson)他著の「安価なディスクを用いた余剰アレイの考察(A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Disks(RAID))」ACM SIGMOD会議,1988年6月に記載されている。この文献は本願の内容の一部を構成するものとしてここに引用する。
図1は従来技術のRAIDレベル4を有するシステムを示す。このシステムは、コンピュータシステムまたはホストコンピュータに通信チャンネル130を介して接続された1つのパリティディスク112とN個のディスク114〜118を有する。図示した例においては、データは、4キロバイトのブロックまたはセグメントごとに各ハードディスクに記憶される。ディスク112は、システムのためのパリティディスク、ディスク114〜118はデータディスク0〜N−1である。RAIDレベル4は、図1に示すようにアレーにおけるすべてのディスクに亘ってデータブロックを配るディスクストライプ方式を用いる。このシステムにおいては、第一のブロックを第一のドライブに乗せ、残りのN−1個のドライブについても順番に巡回するよう構成されている。RAIDレベル4はパリティ用に別のドライブを用い、パリティはストライプと呼ばれる複数のデータブロックからなるグループ毎にエラー訂正情報を有する。図1に示すディスクストライプ方式は、一度に大量のデータの読み書きを行うことが出来るシステムである。各ドライブの一つのセグメントは、同時に読むことができ、大きなファイルにより速くデータアクセスすることができる。
RAIDレベル4のシステムにおいては、複数のブロックからなるファイルはN個のディスク112〜118に“ストライプ”として記憶される。すなわち、ストライプとは複数のデータブロックのグループであり、各ブロックはN個のディスクの1つに記憶されることになる。図1において、第1および第2ストライプ140,142はそれぞれ点線で示されている。第1ストライプ140はパリティ0ブロックおよびデータブロック0〜N−1から構成される。図に示す例においては、第1のデータブロック0はN個のディスクアレイのうちディスク114に記憶される。第2のデータブロック1はディスク116に記憶され、以下同様にして記憶が続く。そして、最後のデータブロックN−1はディスク118に記憶される。当業者によく知られた技術を用いて、ストライプ140に対しパリティが計算され、その結果がディスク112にパリティブロックとして記憶される。同様にストライプ142にはN−1個のデータブロックが含まれ、データブロックNはディスク114に、データブロックN+1はディスク116に、そしてデータブロック2N−1はディスク118に記憶される。4ストライプ142のパリティが計算され、その結果はディスク112にパリティブロック1として記憶される。
図1に示すように、RAIDレベル4にはパリティディスクドライブが含まれ、そこにはシステムの各ストライプのエラー訂正情報が含まれている。もし、システムにおいてエラーが発生すれば、RAIDアレイの全てのドライブを用いてシステムにおけるエラーを訂正する必要がある。通常は1つのドライブにのみアクセスされるので、RAIDレベル4は少量のデータを読むのには適している。RAIDレベル4のアレイはいつでもデータを読むことができるが、エラーがあるときはそのようにはいかない。一方、RAIDレベル4のアレイは、アレイにデータを書き込む場合はいつもパリティドライブと協動する。
RAIDレベル5アレイのシステムも、RAIDレベル4のシステムと同様にパリティを利用する。しかしながら、パリティセクターを常に同じ1つのドライブに記憶するようなことはしない。RAIDレベル5においては、パリティブロックの位置を順次ずらし、N+1個からなるディスクアレイの全てのディスクに記憶されるようにする。したがって、RAIDレベル5のシステムはRAIDレベル4のシステムに比べ、パリティデータのアクセスをN+1個のディスクドライブに分散させ、1ブロック単位でアクセスできるようにした点において改良がなされている。第1の複数のブロックのセットに対しては、パリティブロックは最初のドライブに記憶されるようになっている。第2の複数のブロックのセットにおいては、パリティブロックは第2のディスクドライブに記憶されるようになっている。このような記憶形態が繰り返され、各セットにパリティブロックが設けられることになるが、パリティ情報は単一のディスクドライブに記憶されるということは起こらない。RAIDレベル4のアレイと同様RAIDレベル5のアレイも必要とされるデータのみを読み出すことができ、そこにエラーが含まれていることもあり得る。RAIDレベル5のシステムにおいては、複数のブロックを含むグループに対するパリティ情報が1つのディスクに収集されることがないので、アレイの複数の異なったドライブに一度に書き込むことも可能となる。したがって、読み書き動作はRAID4アレイよりもRAID5アレイの方がより高速に行うことが可能である。
図2はRAIDレベル5のシステムを備えた従来例のブロック図である。このシステムは伝送チャンネル130によりコンピュータシステムまたはホストコンピュータ120に接続されるN+1個のディスクで構成される。ストライプ240においては、パリティブロックは第1ディスク212に記憶される。データブロック0は第2ディスク214に記憶され、データブロック1は第3ディスク216に記憶され、以下同様に記憶が行われる。そして、最後にデータブロックN−1はディスク218に記憶される。ストライプ212においては、データブロックNは第1ディスク212に記憶される。第2のパリティブロック1は第2ディスク214に記憶される。データブロックN+1はディスク216に記憶され、以下同様な記憶が行われる。最後に、データブロック2N−1はディスク218に記憶される。M−1番目のストライプ244では、データブロックMN−Nは第1ディスク212に記憶される。データブロックMN−N+1は第2ディスク214に記憶される。データブロックMN−N+2は第3ディスク216に記憶され、以下同様の記憶が行われる。最後に、パリティブロックM−1はN番目のディスク218に記憶される。したがって、図2に示すようにRAIDレベル5のシステムはRAIDレベル4のシステムと同様なパリティ情報を記憶するが、RAIDレベル5のシステムにおいてはパリティブロックの位置が順次ずらされ、ディスク212〜218に行き亙るようになっている。
RAIDレベル5においてはパリティはディスクのアレイにわたって分配される。この結果、全体のディスクに亙る多重検索を行う必要がある。これはRAIDアレイの大きさを段階的に増やしていくことを禁止する。何故なら、パリティの構成により所定量のディスクを一度に増やす必要があるからである。
RAIDサブシステムの上に載る従来のファイルシステムは、RAIDアレイを1つの大きな複数のブロックの集合体として認識し、それらブロックはRAIDアレイを横切る方向に順次番号付けが行われる。1つのファイルに含まれる複数のデータブロックは、複数のデータディスクに亙って分配して記憶され、各ストライプをできるだけ一杯にした形で記憶され、それぞれのデータブロックはストライプにおける異なったディスク上に記憶されることになる。第1のストライプにN−1個のデータブロックがRAIDアレイのN−1個のデータディスクの全てに割り当てられれば、残りのデータブロックは次のストライプに同様なやり方で割り当てられ、1つのファイルの全体が収まるまで以下同様にして、RAIDアレイ上に記憶が続けられる。このようにして、1つのファイルはRAIDシステムの複数のデータディスクに亙って記憶され1本のストライプを構成し、同様なストライプを複数用いることにより記憶がなされる。なお、1本のストライプにはN−1個のデータブロックが含まれている。これでは、1つのファイルにアクセスするためにはN−1のディスクに亙ってアクセスする必要があり、N−1個のディスクに検索をかける必要があるという欠点を生ずる。したがって、別の従来例によるファイルシステムにあっては、1つのファイルの全てのブロックを単一のディスクに書き込むことを行うものがある。しかしこれでは、1つのファイルについて1つのデータディスクのみに対して検索が行われ、残りのN−2個のディスクが十分活用されていないという欠点が生ずる。
ファイルシステム自身には、それが記憶されるRAIDサブシステムについての情報は一切有しておらず、かかるRAIDサブシステムを単なる1つの大きなディスクとして受け止めている。このような状況の基では、単一のデータブロックのみが1つのストライプに書き込まれ、パリティを計算するためには4つのI/O(入出力)動作を必要とするので、大きなペナルティを生ずることになる。例えば、引き算によりパリティを行う場合、4回のI/O動作を必要とする。4つのディスクからなるRAIDアレイにおいて、1つのディスクがパリティディスクであれば、1つのストライプに対し3つのデータブロックを書き込み、そしてそのデータブロックに対するパリティを計算することは、75%(4本のうち3本のディスクのみを利用しているから)の効率しか得られず、1本のストライプに1つのデータブロックにのみ書き込む操作においては25%の効率しか得られない。
この割り当てアルゴリズムはストライプ全体をできる限り全て利用するものであり、ファイルの実質的な部分をディスク上に連続した位置に記憶しようとするものである。このシステムはファイルを複数のディスク上にランダムに分散させて記憶してしまい、このため複数のディスクの検索が必要となるようなことをことをできるだけ避けるようにしたものであ。もし12キロバイトのファイルが4キロバイトのブロック毎に3つの個別のディスク(1本のストライプ上)に亙って記憶されたならば、ファイルにアクセスするためには3つの個別のアクセスが必要となる。他のクライエントがファイルシステムからファイルを取り出そうと試みるためキューを発している間にこのことが行われる。
発明の要約
この発明はRAIDアレイ技術を伴うファイルシステムの改良に関する。本発明はRAIDシステムにおけるデータブロックの配列に関する情報をRAID層からファイルシステムへ情報を送る構成に関する。ファイルシステムはこの情報を検査し、更にRAIDシステムに書き込まれたブロックの位置の最適化を図るためにその情報を利用する。この発明は種々ある番号付け手順よりも優れた番号付け手順を採用するRAIDサブシステムを備えたものである。この発明は大きな一塊の情報を先読みすることにより、そしてストライプを一度に書き込むことにより、RAIDシステムへの書き込みを最適なものにするものである。
より効率の良い動作を得るためにRAIDアレイにとっては効率の良くないアクセスパターンを避けるため、ここに改良されたRAID機能を有するファイルシステムの開発が、書き込みのための割り当て方法に照らして行われた。したがって、この発明においてはRAIDディスク配置の明白な知識が用いられ、ディスクの割り当ての計画がなされる。本発明においては、ディスクアレイの各ディスクに対し個別の現在書き込みが行われている位置を示すカレント書き込み位置ポインタが用いられる。これらのカレント書き込み位置ポインタは書き込みが行われる度にポイントされているディスクが移り変わっていく。この発明において用いられたアルゴリズムは、現在の書き込み位置ポインタをできる限り同じストライプに近い位置に保持するようにし、複数のブロックをストライプに同時に書き込むことができるよう、RAIDの効率の改良を図るものである。本発明はまた、ファイルにおける隣接したブロックの配置を同じディスクになるように工夫され、データが読み出される際に効率の改善が図られるよう構成されている。
本発明においては、最下位のカレント書き込み位置ポインタを用いてディスクにデータを書き込む。本発明においてはまた、新しいファイルのためのスペースを割り当て始めるとき、または1つのファイルにつき同じディスクが十分に利用されたときにのみ新しいディスクを選ぶようになっている。ここで十分に利用されたときとは、ブロックの十分な数を言い、一塊のブロックの全てのブロックであり、一塊とはファイルにおける一連の複数のブロックのうちのある数N個に相当するものである。複数のブロックが集まった一塊は、ファイルにおいてN個ずつに区切られて並べられたものである。したがって、複数のカレント書き込み位置ポインタは異なったディスク上であってもNブロック以上離散することはない。したがって、大きいファイルは同じディスク上にN個の連続したブロックを有することとなる。
【図面の簡単な説明】
図1は従来のRAIDレベル4サブシステムのブロック図、
図2は従来のRAIDレベル5サブシステムのブロック図、
図3は本発明に基づき、WAFLファイルシステムと一体構成されるRAIDアレイを使用してファイルを割り当てるための動作を示すフローチャート、
図4は図3のステップ330の詳細を示すフローチャート、
図5は図4のステップ490の詳細を示すフローチャート、
図6はWAFLiノードにより参照されるツリー構造のバッファを示す概略図、
図7はよごれiノードのリストを示す概略図、
図8は図7に示したiノード720によって参照されるバッファのツリー構造の割り当てを示す概略図、
図9A−9Jは、図5に基づくディスクスペースの割り当てを示す概略図、および
図10は本発明に係るシステムの概略図である。
本発明の詳細な説明
RAIDアレイを用いたファイルシステムにおいて、ファイルを割り当てる方法について説明する。以下の説明において、種々の具体的データ、例えばポインタの数やその特性、ディスクブロックの大きさ等、を用いて説明がなされるが、これらは、本発明をより完全に理解するためのものである。言うまでもなく、本発明はこれらの具体的データに限定されるものではなく、これら以外の値であっても達成することができるものである。また、公知の内容等についてはその説明を簡単にし、発明の内容が不必要に不明瞭なものとならないよう配慮されている。
ネットワークシステムに用いられるコンピュータについては、各ハードディスクはそのネットワークの動作スピードより早いスピードで動作するものとする。したがって、RAIDシステムにおいては独立した複数のヘッドを用いるのが好ましい。これによりRAIDアレイの個別の複数のディスクに記憶された異なったファイルに複数のクライエントが同時にアクセスすることが可能となる。これにより、RAIDシステムにおいてデータの引き出しおよび記憶のためのアクセス時間が非常に短縮できる。
図10は、RAIDサブシステムを備えた本発明に係るシステムを示す図である。コンピュータ1010は中央演算装置(CPU)1012およびメモリ1014を備えて構成される。CPU1012はバス1016を介してメモリ1014に接続されている。バス1016によりコンピュータ1010はRAIDコントローラ1050に接続されている。バス1016はまた、コンピュータ1010をネットワークコントローラ1040に接続する。RAIDコントローラ1050は、RAIDアレイ1030を構成するパリティディスク1020とデータディスク1022〜1024にバス1026を介して接続される。コンピュータ1010はWrite Anywhere File-system Layout(“WAFL”)ファイルシステムにおけるファイルの位置割り当てを行うものであって、WAFLファイルシステムはRAIDコントローラ1050とディスク1020−1024を備えたRAIDディスクサブシステムと一体構成される。
本発明はRAIDアレイ1030において改良されたブロックの割り当て方法を提供するものである。このシステムはパリティディスク1020を含むRAIDアレイであって、N個のディスク1030を備えたRAIDレベル4型のアレイ1030を利用するものである。残りのディスク1022〜1024は複数のデータブロックを記憶するデータディスクである。このRAIDシステムのストライプは複数の4キロバイトブロックを備え、各4キロバイトブロックはアレイの異なったディスクに記憶される。ストライプのそれぞれのブロックはそれぞれのディスクの同じ対応した位置に記憶される。広い意味では、ファイルは情報を記憶する構成であって、データは一定の大きさのブロックに分割されたものであると言える。例えば、本発明においてファイルシステムは4キロバイトのブロックを用いてデータをディスクに記憶する。なお、言うまでもなく、本発明においては種々のブロックサイズ(例えば512,1024,2048バイト等)のものを用いることができ、いずれも本発明に含まれるものである。したがって、例えば、15キロバイトのファイルについては4キロバイトのデータブロックが4つ必要となり、1キロバイトのファイルについては4キロバイトのデータブロックが1つ必要となる。
本発明においては複数のデータブロックを備えたファイルは、1つのRAIDアレイにおける1つのディスク上の所定数のブロックからなる複数のグループに割り当てられる。これは1バイト毎、もしくはデータブロック(例えば4キロバイトのブロック)毎にN−1個のデータディスクに亙って書き込まれる従来のRAIDシステムとは異なるものである。本発明の好ましい実施形態においては、一つのデータディスクの上には最大8データブロック(32キロバイト)からなる複数のグループが割り当てられる。ファイルが割り当てられ、個別のディスクへと送り込まれる。
本発明の重要なポイントは、最大数の異なったファイルに対し、各ディスクにおいて最大32キロバイトの“チャンク(塊)”のデータブロックを同時に記憶することができる方法を提供することである。理想的には複数のディスクに亙って形成される各ストライプは、N−1個の異なったファイルに関してN−1個のディスクにそれぞれデータブロックを同時に書き込むことによって、完全に充てんされる
本発明におけるファイルシステムとRAIDを一体化する概念は、全てのディスクにおける全てのアーム(腕)がどこにあるかの知識をRAIDから与えるものであって、それにより書き込みの順番を制御することを提案するものである。したがって、いずれの時点においても、最大のグループの書き込みを行うことができ、パリティディスクを“ホット(活動化)”にする必要がなく、RAIDアレイ全体を通してパリティディスクを見つけ出す必要がない。システムの障害となっていた“ホット”は問題とはならない。何故なら同じ数だけの書き込みを行うことができるからである。最も好ましい状況は書き込みを行う際、ストライプにおける全てのブロックが空きの状態であり、3つのデータディスクに対して行われる3つの書き込みについてパリティが計算される場合である。しかし、通常のケースにおいてはストライプにおける1つまたは複数のデータブロックが既にデータで満たされている。これは以前から存在する他のデータがRAIDサブシステムに記憶されているからである。したがって、通常のファイルシステムにおいては、例えば2つは第1ストライプに書き込まれ、第2および第3ストライプのそれぞれに1つが書き込まれ、第4ストライプに3つが書き込まれるという場合である。したがって、この場合4本のストライプに亙って書き込まれた7つのデータブロックについて4つのパリティ計算を行う必要がある。
本発明はストライプ全体を書き込もうとするとともに、1つのディスクに各ファイルを記憶するようにするものである。したがって、パリティディスクにあるヘッドはディスク全体を検索することは必要ない。もし、ヘッドを1つのシリンダに設ければ、データをディスクより高速に書き込むことができ、ディスク毎に多数のトラックに亙って検索する必要がなくなる。これはまた、それぞれのディスクドライブに設けた1つのシリンダにより1/4メガバイトのデータまたはそれ以上のデータを記憶することができるという利点があり、1つのトラックにファイルの大きな“チャンク(塊)”を書き込むことが可能となる。例えば、90%満たされたファイルシステムであっても、まだ更に250キロバイトのシリンダに25KBのデータを記憶することが可能である。この場合、隣のシリンダにおいてもディスクが1/4回転する間検索することができ、1つのディスクに更に25KB書き込むことも可能である。したがって、90%満たされたファイルシステムであっても、50KBより以下の容量を有するファイルはRAIDアレイにおける1つのディスクの隣接トラックに速やかに記憶することが可能となる。したがって、もしファイルをディスクに記憶することがわかっておれば、ディスクは検索のために“ホット”になる必要はない。システムにおける他のディスク以上により多くの書き込みや検索を経験する必要はない。RAIDアレイの各ディスクには匹敵する程度の書き込みがある。更に、読み出しの際、割り当て要求であるファイルのキューは他のディスクのキューに順位が遅らされることはない。
ファイルシステムにはRAID層と通信することができるデータ構成があるRAID層からはファイルシステムに情報が送られ、RAID層のシステムがどのような形態になっているかを知らせる。ファイルシステムのデータ構造はRAIDシステムにおける各ディスクについての情報のアレイを含む。同じストライプに複数のファイルブロックを書き込むことの重要性の理由は他にもある。すなわちRAIDにおいてブロックが更新された場合、1つのデータブロックに書き込みを行う場合4つのディスクのI/Oが必要となるからである。効率の点からすれば、1つのブロックを書き込みに、そして2つのブロックを読み取りに用いるよりも、ストライプに対し3つのブロックを書き込んだ方が好ましい。
ネットワークに係る要求事項が個別のディスクの帯域幅よりも高くなるにつれて、十分な先の情報を読み取ることが好ましくなり、1つのファイルにアクセスする場合でも、先に別のディスクにアクセスしておくのが好ましくなる。これはFDDIおよびATM等の大きなファイルや高速のネットワークを利用する場合に特に有益である。
本発明では、各ディスクに対しディスクの現在の書き込み位置を指定するカレント書き込み位置ポインタを設けている。カレント書き込み位置ポインタはディスクの最終点に到達するまでディスク上で順次その位置がずれていくように構成され、最終点に到達した後はポインタはディスクの開始点にまで戻ってくる。RAIDアレイの全てのディスクのカレント書き込み位置ポインタはできる限り互いに接近した位置に保たれるようになっている。したがって、各ディスクにおいてブロック位置の割り当てが順次下の方に移ってくると、RAIDアレイの処理が行われるにしたがってストライプが満たされていくこととなる。同じ1つのディスクにファイルを連続して並べるためには、同じ1つのディスクに所定量のブロックを割り当てる必要がある。
各ディスクに複数のファイルブロックの連続したグループが書き込み可能となる一方で処理中には複数のストライプが同時に満たされるように複数のファイルをグループにまとめるためには、割り当てアルゴリズムはバッファを必要とする。したがって、ファイルはRAIDシステムに送られて来れば直ちに書き込みが行われるのではなく、まずバッファに一時的に溜められ、続いてディスクに割り当てられるようになる。最も簡単な形態においては、割り当てアルゴリズムはバッファから(ランダムにもしくはその他の手順で)ファイルを選出し、書き込み位置ポインタの位置が最も遅れた位置にあるディスクをRAIDアレイから選び出し、そのディスクから所定量の連続したブロック(4KBを8ブロック)であって使用可能なものを探し、そのファイルを書き込むためにそれらブロックを割り当てる。NFSシステムにおいては、ファイルサーバに送られてくるファイル要求は通常8KBのデータの単位で送られてくる。本発明においては32KBのセグメント分のデータを先んじて読み出し、そのデータ量は各ディスクに連続して書き込むことができるファイルデータ量と同等な量である。この方法の基本的概念によれば、各ディスクに連続して記憶可能なデータ量は、各ディスクにおいて先行して読むことができるデータ量に相当する。もしブロックがディスク上連続して並んでいなければ、中間にスペースが存在することとなり、書き込み位置ポインタを進めるにはそれをとばして進めなければならない。
カレント書き込み位置ポインタが現在の最下点を越えて移動したとき、ストライプにおけるファイルシステムによりブロックはRAIDサブシステムに送り込まれる。したがって、データブロックは互いに一体となってストライプとしてRAIDサブシステムに書き込まれ、より好ましいシステムの性能を得ることができる。これは、通常のファイルシステムの下にRAIDサブシステムを配置する従来のシステムとは異なるものである。従来のシステムにおいては最適な環境を得るため、ファイルシステムとRAIDサブシステムの層の間に大きなキャッシュ(cache)を用いることが試みられていた。そしてそのキャッシュはファイルサイズと同じ大きさのストライプを見つけるように設計されていた。したがって、従来のRAIDサブシステムにおいては、ファイルシステムのブロックをどこに配置するかの制御をすることができなかった。ほとんどのユニックス(UNIX)のファイルシステムにおいては、ファイルを望み通りの位置に並べることはできず、決められた位置に順番に並べるだけであった。したがって、1メガバイトのキャッシュを有する従来のシステムにおいては、1メガバイトの“チャンク”(キャッシュサイズ)のデータのグループが、例えば10ギガバイトの大きなRAIDシステムにランダムに送り込まれたとき、連続して並べられるようなことはまずあり得なかった。
本発明においては8の単位(32KB)の1つのファイルにアクセスする場合、ディスク間におけるスワッピング(データの行き来)をほとんど無くすことができる。
任意場所書き込みファイルシステムレイアウト(Write Anywhere File-system Layout)
本発明は任意場所書き込みファイルシステムレイアウト(Write Anywhere File-system Layout)(WAFL)と名付けられたファイルシステムを採用するものである。広い意味では、WAFLはファイルシステムレイアウトの情報が記憶されているメタデータを記憶するファイルを利用するものである。このファイルシステムはフラグメントを一切用いない4キロバイトのブロックを用いるブロック単位で構成されるものである。WAFLファイルシステムにおける複数のファイルは全てiノードにより表され、iノードには各ファイルのサイズ、位置、制作者、その他ファイルに関する情報が含まれている。第3に、ディレクトリはこのシステムにおいては単なるファイルであり、それらファイルは特別にフォーマットがなされている。このWAFLにおいて2つの重要なインコア(コア内)のデータ構造はWAFLiノードとWAFLバッファである。WAFLiノードはファイルシステムにおいて特別のファイルを示すものである。それにはディスク上のiノードの全ての情報の外、他の情報が含まれる。WAFLバッファは、メモリになるファイルの1つの4キロバイトデータブロックを記憶するものである。
WAFLiノード
図6はWAFLiノード610の概略図を示す。ここにおいてファイルは間接WAFLバッファ620〜624と、直接WAFLバッファ630〜634から構成される。WAFLのインコアのiノード610は、標準的なiノード情報610A(ダーティバッファ(汚れたバッファ)のカウントを含む)、WAFLバッファデータ構造610B、16個のバッファポインタ610C、および標準的なオンディスクiノード610Dを含むものである。インコアのWAFLiノード610は約300バイトの大きさを有する。オンディスクiノードは128バイトの大きさを有する。WAFLバッファデータ構造610Bは2つのポインタを有し、第1番目のポインタは16個のバッファポインタ610Cを参照し、第2番目のポインタはオンディスクブロックナンバー610Dを参照する。
各iノード610にはダーティバッファのカウントを有し、それが参照される。iノード610は、ダーティiノードのリストおよび/またはダーティバッファを有するiノードのリストに加えられることができる。iノードによって参照される全てのダーティバッファは、ディスクに書き込まれることが予定されたものか、既にディスクに書き込まれたものである場合、iノード610に対するダーティバッファのカウントは0にセットされる。iノード610はそのフラッグ(すなわちダーティバッファを含まないことを示すフラッグ)により再キューされる。このiノード610は次のiノードが処理される前にクリアされる。
WAFLバッファ構造は間接WAFLバッファ620により説明される。WAFLバッファ620は、WAFLバッファデータ構造620Aと、1024個のWAFLバッファポインタを有する4KBバッファ620Bと、1024個のオンディスクブロックナンバーを有する4KBバッファ620Cを備えて構成される。1024個のオンディスクブロックナンバーはディスクからブロックの正確な内容を参照する。バッファ620Cの1024個のポインタは子ブロックとして導入され、キャッシュにおいてバッファ620に記憶される。WAFLバッファデータ構造は56バイトの容量を有し、2つのポインタを備えている。WAFLバッファデータ構造620Aの1つのポインタは4KBバッファ620Bを参照し、第2番目のポインタはバッファ620Cを参照する。図6において、WAFLiノード610の16個のバッファポインタ610Cは、16個の単一−間接WAFLバッファ620〜624をポイントする。さらに、WAFLバッファ620は1024個の直接WAFLバッファ構造630〜634を参照する。WAFLバッファ630は直接WAFLバッファを表すものである。
WAFLバッファ630はWAFLバッファデータ構造630Aと、オンディスク4KBデータブロックに対応するキャッシュメモリを含む4KB直接バッファ630Bを備えて構成される。直接WAFLバッファ630は、間接WAFLバッファ620にあるバッファ620Cのような4KBバッファを含まない。WAFLバッファデータ構造630Aの第2バッファポインタは0にされ、第24KBバッファをポイントすることはない。これによりメモリの非効率的な使用が避けられる。何故なら、メモリスペースはそうでなければ未使用バッファに対して割り当て指定されるからである。
図6に示すWAFLファイルシステムにおいては、WAFLのインコアのiノード構造610はWAFLバッファ構造620〜624および630〜634のツリー構造を参照する。これは、間接および/または直接ブロックをポイントしているブロックナンバーを備えた標準的なiノードによって参照されるディスク上のツリー構造のブロックと同様なものである。したがって、WAFLiノード610は、16個のボリュームブロックナンバーを備えたオンディスクiノード610Dのみからなるのではなく、WAFLバッファ構造620〜624および630〜634をポイントする16個のバッファポインタ610Cをも含むものである。WAFLバッファ630〜634はボリュームブロックナンバーにより参照されるブロックであって、キャッシュされた内容のものを含む。
WAFLのインコアのiノード610は16個のバッファポインタ610Cを含む。そして、16個のバッファポインタ610CはWAFLバッファ構造610Bにより参照され、このWAFLバッファ構造610BはWAFLバッファ620〜624および630〜634のツリー構造の根幹(ルート)を成すものである。したがって、各WAFLiノード610は、1つのWAFLバッファ構造610Bを含み、このWAFLバッファ構造610Bはiノード610における16個のバッファポインタ610Cをポイントするものである。これは、再帰的に実行される(後で説明)ツリー構造のバッファを扱うアルゴリズムを簡単なものにする。もし、iノード610における16個のバッファポインタ610CがWAFLバッファコード610Bにより表されていなければ、バッファ620〜624および630〜634の全ツリーに対して動作する機能的アルゴリズムを実行することは難しくなる。
ダーティブロックを有するiノードのリスト
WAFLファイルシステムのWAFLのインコアのiノード(すなわち図6に示すWAFLiノード610)はそのステータスにより異なったリンクのリストで保全される。ダーティデータを含むiノードは図7に示すように、ダーティiノードリストに加えられる。従来から知られているように、ダーティではない有効なデータを含むiノードは別のリストに加えられ、有効なデータを全くもたないiノードはさらに別なリストに加えられる。本発明においてはダーティデータブロックを有するiノードのリストを利用するので、書き込みのために割り当てを行う必要がある全てのiノードを見つけ出す機能を容易にすることができる。
図7は本発明に係るダーティiノードのリスト710の概略図である。ダーティiノードのリスト710はWAFLのインコアのiノード720〜750を備えて構成される。図7に示すように、各WAFLのインコアのiノード720〜750は、それぞれポインタ720A〜750Aを有し、それによりリスト中にリンクされた他のiノードをポイントする。例えば、WAFLiノード720〜750はそれぞれ2048,2152,2878,3448,3712で示されるメモリ位置に記憶されている。したがってiノード720のポインタ720Aはアドレス2152を有する。これによりWAFLiノード722がポイントされる。さらに、WAFLiノード722はそこに書かれたアドレス2878を用いてWAFLiノード730をポイントする。続いてWAFLiノード730はWAFLiノード740をポイントし、WAFLiノード740はiノード750をポイントする。WAFLiノード750のポインタ750Aには何も記憶されていないので、これ以後はいずれのiノードをもポイントすることはない。すなわちこれがダーティiノードのリスト710に挙げられた最後のiノードであることがわかる。
リスト710の各iノードは図6で示したツリー構造のバッファを備えたファイルを表す。各iノード720〜750により参照される少なくとも1つのバッファはダーティバッファである。ダーティバッファは修正されたデータを含み、その修正されたデータはWAFLシステムにおける新しいディスクの位置に書き込まられなければならない。WAFLは常にダーティバッファをディスク上の新たな位置に書き込む。図7に示すダーティiノードのリスト710は単一にリンクされたリストとして示されているが、当業者には容易であるように二重にリンクされたリストや他の適切なデータ構造をとるようにしてもよい。
WAFLシステムとは異なり、従来技術のBerkeley Fast File System(“FFS”)においては、バッファは、バッファに記憶されたディスクブロックの物理的ブロック数に基づいてハッシュされたキャッシュに保持される。この方法は、新しいデータが書き込まれるや否や、ディスクスペースは常に割り当て可能な状態にあるディスクシステムについては良好に行うことができる。しかしながら、WAFLのようにメガバイト級やそれ以上のデータがディスク上に書き込まれる前にキャッシュに集められるようなシステムについては全く機能しない。
ファイル割り当てアルゴリズム
図3は本発明に係るファイル割り当て方法を示すフローチャートである。このアルゴリズムはステップ310のスタートから始まる。ステップ320においてダーティブロックを有するiノードのリストからダーティブロックを含むiノードが選択される。ステップ330において、iノードで表されたツリー構造のバッファは、書き込みのためにディスクに割り当てられる。判定ブロック340においては、ダーティリストにある全てのiノードが処理されたかどうかの判定が行われる。もし判定結果が偽(NO)であれば、ステップ320に戻る。しかし、判定ブロック340の結果が真(YES)であれば、ステップ350へ進む。ステップ350において、全ての書き込みが行われていないストライプはディスク上に書き出される。そしてステップ360でこのアルゴリズムは終了する。キャッシュにあるファイルが割り当てのために選択されれば、まずディレクトリの割り当てが行われる。次に、ファイルは、最後に使用されてから最も時間が経過したものを選択する基準(lest-recently-used(LRU)basis)に基づいて割り当てが行われる。
図4は、ツリー構造のバッファにおける複数のバッファを書き込みのためにディスクに割り当てるための、図3のステップ330のフローチャートを示す。図3のステップ330では、iノードによって参照されるツリー構造のバッファについて、(iノードのルートバッファポインタに係る)書き込みのための割り当て(Write Allocate:ライトアロケート)と名付けられたアルゴリズムによって、書き込みのための割り当てが行われるアルゴリズムには、16個のバッファポインタ610Cを参照するWAFLiノード610のバッファデータ構造610Bにあるポインタがわたされる。図4においてこのアルゴリズムはステップ410から開始される。ステップ410でバッファポインタが書き込みのための割り当てアルゴリズムにわたされる。判断ブロック420では、バッファポインタの子バッファのすべてが処理されたかどうかが判定される。判断ブロック420の結果が真(YES)であれば、ステップ430へ進む。ステップ430において再帰的アルゴリズムにより呼び出し処理に戻る。従って書き込みのための割り当てアルゴリズムは図3に示す判断ブロック340である呼び出し処理まで戻る。別の方法としては、図4に示す判断ブロック480に戻り、再帰的な呼び出し(後に説明)を行うことも可能である。
判断ブロック420の結果が偽(NO)であれば、ステップ440へ進む。ステップ440においてバッファポインタにより参照されるバッファの子バッファが取り込まれる。判断ブロック450ではこの取り込んだ子バッファが最下位のものかどうかの判定が行われる。判断ブロック450の結果が偽(NO)であれば、ステップ460へ進む。ステップ460では書き込みのための割り当てアルゴリズムが子バッファポインタを用いて再帰的に呼び出される。続いて、判断ブロック480が実行される。判断ブロック450の結果が真(YES)であれば、ステップ480へ進む。判断ブロック480では、子バッファがダーティであるか否かの判定が行われる。判断ブロック480の結果が真(YES)であれば、ステップ490へ進む。ステップ490では、(子バッファポインタに係る)スペース割り当てと呼ばれるアルゴリズムを呼び出し、子バッファのためのディスクスペースが割り当てられる。その後判断ブロック420に戻る。判断ブロック480の判断結果が偽(NO)であれば、判断ブロック420が続いて実行される。図4に示されるアルゴリズムについては、すべての子バッファに対して深さ優先−ポストビジト−トラバーサル(depth-first post-visit traversal)が実行され、ダーティであるものについては新しいディスクスペースが割り当てられる。ポストビジトトラバーサルが必要なのは、子バッファにスペースを割り当てることにより親バッファが変わるからである。
図5は、図4に示したステップ490であってディスク上にスペースを割り当てる工法を詳しく説明するフローチャートである。ステップ510において、スペースを割り当てるアルゴリズムには、すでにディスク上にスペースが割り当てられたバッファのバッファポインタがわたされる。判断ブロック520において、今回のバッファは、前回のバッファとは異なったファイルから作られたバッファか、または前回のバッファとも異なった先読みチャンクからのバッファかの判断が成される。判断ブロック520の結果が真(YES)であれば、ステップ530へ進む。ステップ530では書き込まれるべきディスクが選定される。ここで選ばれるディスクは、最下位のカレント書き込み位置ポインタ(current-write location(CWL)pointer)を参照して行われる。優先的に書き込みが行われるデフォルトディスクは、ポインタの値が1番低い値のものである。その後ステップ540が実行される。判断ブロックの結果が偽(NO)であれば、ステップ540へ進む。
ステップ540で、バッファに対して割り当て指定された古いブロックはフリーにされる。バッファに使用される古いブロックがフリーにされるためには、ブロックマップ(blkmap)ファイルを更新し、特定されたブロックのエントリーにはそのブロックがアクティブファイルシステムによりもはや使用されていない旨が表示される。これはblkmapファイルの特定ブロックにおけるエントリーの部分をビット0(0)でクリアする(一掃する)ことにより達成される。ステップ550において、選ばれたディスク上にカレントブロックが割り当てられる。これは、blkmapファイルにおいて割り当てたように、書き込みが行われるべきデフォルトディスクのCWLポインタをマークし、blkmapファイルを走査して次のCWLポインタを見け出し、選ばれたディスクのブロックに達することにより行われる。ステップ550は、図5に示すアルゴリズムに新しく割り当てられたブロックを返す
ステップ560において、ディスク上において割り当てられたブロックはバッファに割り当て指定される。ステップ570において、そのバッファは選ばれたディスクにおける書き込み可能なバッファのリストの一つに加えられる。ステップ580において、可能な場合はストライプを書き込む。ストライプ580において、完全なストライプの一部を構成しているバッファがあるか否かをディスクバッファキューに基づいてチェックする。それらのバッファはグループとしてRAIDサブシステムに送られ、出来るだけ効率よく一体となった形で書き込まれる。ステップ590でアルゴリズムは呼び出しアルゴリズムに戻る。
ブロックがフリーにされたり割り当てられたりするに従って、ステップ530〜550では、フリーブロック管理機能(free block management functions)が用いられる。これらの機能により、現在書き込まれたディスクや各ディスクにおいてどれが次のフリーブロックになるか等の経過を保持するグローバルな変数等を保全する。またこれらは、blkmapファイルのエントリーを更新する。ファイルシステムが開始されれば、CWLポインタは初期化され、ディスク上の最初のフリーブロックをポイントする。フリーブロックが順次使われるの従って、CWLポインタは進められ、これはディスクの終端に到達するまで繰り返し行われる。この時点において、選択はディスクの最初のフリーブロックに戻る。
ステップ560〜580はディスク入力/出力(I/O)機能についての動作である。これらの機能は各ディスクにおけるI/O動作を管理する。各ディスクにはディスクへの書き込み待ちのバッファに対するキューがある。ストライプ上に完成されたデータが生成されれば、バッファはキュー状態から開放され、ディスクのI/Oサブシステムに書き込まれる。すべてのディスクのCWLポインタの値がストライプにおける各ブロックを通過すれば、1本のストライプが完成される。すなわち、例えばCWLポインタの値がそれぞれ231、228、235である3つのデータディスクがあった場合、最も低い値である228未満の値を有するストライプはすべて完成されたものであると言える。
図3および図4で説明したように、図5に示すスペース割り当てアルゴリズムは処理されるダーティバッファのいずれに対しても呼び出される。図3および図4に示すアルゴリズムは1ファイルずつ処理を行い、それらファイルは順次処理が行われる。従って、ダーティバッファのためのスペース割り当てアルゴリズムはランダムに呼び出されるのではなく、各ファイルに対して複数のダーティバッファについて呼び出されることとなる。
本願発明においては、RAIDアレイのディスクに一群のブロックを割り当てる際、2つの制約条件を満たす必要がある。第1の制約条件は、先読み機能を改良するため、各個別のファイルに係る連続した一連のブロックを同じディスク上に割り当てることである。第2の制約条件は、RAIDアレイの書き込み機能を改良するため、1つのストライプにおけるすべてのフリーブロックを同時に割り当てることである。
このアルゴリズムにおいては、割り当てのため特定のファイルを選択し、RAIDアレイから、ファイルのダーティブロックの割り当て先にするためのディスクを選択し、ファイルの連続した一連のダーティブロック用にディスク上において連続した一連のフリーブロックを割り当てることにより第1の制約条件を満たしている。またこのアルゴリズムにおいては、0から始め、ブロック割り当てが起こるたびに現在の書き込みデータをインクリメントさせ、ディスクの終端までこのインクリメントを繰り返し、各ディスクにおいて現在の書き込み位置の情報を正しく保つことにより第2の制約条件が満たされる。RAIDアレイにおけるすべてのディスクの現在の書き込み位置を互いに近い値になるようにすることにより、同じストライプにおけるブロックはほぼ同じ時に割り当てが行われる。現在の書き込み位置情報を互いに接近した値に保つための一つの方法として、ディスク上で割り当てるブロックを常に現在の書き込み情報が1番低い値のものを選ぶようにする方法がある。
同時に1つのストライプでブロックをRAIDに送るためには要求を遅延させる(バックログ処理する)必要がある。なぜなら、ディスク間において必ずしも同じ現在書き込み位置情報を有しているとは限らないからである。従って、各ディスク毎に書き込むべきバッファのキューが備わっている。ディスク上のブロックナンバーがすべてのディスクにおける現在の書き込み位置情報の最低値より小さい値を有するバッファは書き込みに最も適したバッファである。本願発明においては、RAIDアレイにおけるすべてのディスクをスキャンし、同じ現在書き込み位置情報を有するブロック(すなわち同じストライプにあるバッファ)を見付け、ストライプ毎のバッファをRAIDサブシステムに送り込むことができるようにする。この点については以下にさらに詳述する。
ダーティバッファを有するiノードの処理
図7に示すダーティiノードのリスト710は、図3に示すフローチャートに基づき以下のように処理される。ステップ320において、iノード720はダーティiノードのリスト710から選びだされる。WAFLのインコアのiノード720により参照されるツリー構造のバッファについては、ステップ330において書き込みのための割り当てが行われる。判断ブロック340においてダーティiノードのリスト720にあるすべてのiノードが処理されたか否かが判断される。判断ブロック340の結果が偽(NO)であれば、ステップ320へ進む。ステップ320では、ダーティバッファを有する次のiノード722が選ばれる。iノード722はリスト710における前のiノード720によって参照される。ステップ330においてWAFLのインコアのiノード722によって参照されるツリー構造のバッファについて、書き込みのための割り当てが行われる。判断ブロック340において、ダーティiノードのリスト710にあるすべてのiノードが処理されたか否かが判断される。判断ブロック340の結果が偽(NO)であったとする。この場合はiノード730および740は同様な方法で処理される。ステップ330において、iノード740について、書き込みのための割り当てが行われた場合、判断ブロック340においてダーティリストにおけるすべてのiノードが処理されたか否かがチェックされる。判断ブロック340の結果が偽(NO)であれば、ステップ320に進む。
ステップ320においてiノード740によりポイントされるiノード750がダーティiノードのリスト710から選出される。ステップ330においてiノード750は書き込みのためにディスクに割り当てられる。判断ブロック340において、ダーティiノードのリスト710におけるすべてのiノードが処理されたか否かが判定される。ここでポインタ750Aは空である。従って、iノード750はリスト710においては次のiノードの指定を行うことはない。従って、判断ブロック340の結果は真(YES)となり、続いてステップ350が実行される。ステップ350においては、書き込まれていないストライプはすべてディスクへ書き出される。従って、ステップ350においてダーティiノードのリスト710におけるダーティiノード720〜750のすべてについて書き込みのための割り当てが行われたとすれば、キュー状態にあるバッファや未完成のストライプは以下に説明するように、すべて強制的にディスクに送り出される。ステップ360においてこのアルゴリズムは終了する。
ツリー構造のバッファに係る書き込みのための割り当て
図8は、iノード810により参照されるバッファ820〜850,860A〜860F,870A〜870Dのツリー構造の割り当てを示すものである。WAFLiノード810は16個のバッファポインタ810Aと、16個のバッファポインタ810Aを参照するWAFLバッファデータ構造810Bで構成される。図8において、間接バッファ820および830はダーティであり、間接バッファ840〜850はクリーンである。同様に直接バッファ860A〜860Bおよび860Dはダーティであり、直接870Bもダーティである。残りのすべてのバッファはクリーンである。ここでは、図6で示したWAFLバッファの簡単化されたものが示されている。この図8における簡単化されたブロック図は図5に示すアルゴリズムを説明するためのものである。
図8において、WAFLiノード810はWAFLバッファ820〜850,860A〜860F,870A〜870Dのツリー構造を参照する。WAFLiノード810の16個のバッファポインタ810AはWAFLバッファ構造810により参照される。続いて、バッファポインタ810Aは間接WAFLバッファポインタ820〜850のそれぞれを参照する。図8において、バッファポインタ810AはダーティWAFLバッファ820、ダーティWAFLバッファ830、クリーンWAFLバッファ840、クリーンWAFLバッファ850を参照する。間接WAFLバッファのそれぞれは、(図6に示すディスク上のボリュームブロックナンバー620Cと共に)1024個の直接WAFLバッファを参照する1024個のバッファポインタを備えた構成される。直接WAFLバッファ860A〜860Bおよび860Dはダーティである。間接WAFLバッファ820により参照される直接WAFLバッファ860Cおよび860E〜860Fはクリーンである。間接WAFLバッファ830により参照される直接WAFLバッファ870Bもダーティである。直接WAFLバッファ870Aおよび870C〜870Dはクリーンである。
すべての子バッファに対し深さ優先ポストビジトトラバーサルを行う一方、ダーティWAFLバッファを新しいブロックに割り当てる方法を図4を参照しながら以下に述べる。ステップ410において、書き込みのための割り当てアルゴリズムは、WAFLiノード810の16個のバッファポインタ810Aを参照するWAFLiノード810のWAFLバッファ構造810Bのバッファポインタがわたされる。判断ブロック420において、WAFLバッファ構造810Bに含まれるバッファポインタのすべての子バッファ(この場合間接WAFLバッファ820〜850)のすべてが処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果が偽(NO)であったとする。ステップ440において間接WAFLバッファ820が810BにおけるWAFLバッファポインタの子バッファであるとして取り込まれる。判断ブロック450において、間接WAFLバッファポインタ450がツリー構造における残っているものの中で最下位のものか否かが判断される。判断ブロック450の結果が偽(NO)であれば、ステップ460へ進む。ステップ460では、間接WAFLバッファ820のバッファポインタをわたすことにより、書き込みのための割り当てアルゴリズムに対する呼び出しが行われる。従って、書き込みのための割り当てアルゴリズムが再帰的に呼び出される。
ステップ410において、間接WAFLバッファ820に対するバッファポインタをわたすことにより、書き込みのための割り当てアルゴリズムが呼び出される。判断ブロック420において、間接WAFLバッファポインタ820のすべての直接WAFLバッファ860A〜860Fが処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果が偽(NO)であったとする。ステップ440において、直接WAFLバッファ860Aが取得される。判断ブロック450において直接WAFLバッファ840はツリー構造において残っているものの内の最下位のものであるか否かが判断される。判断ブロック450の結果が真(YES)であれば、判断ブロック480へ進む。判断ブロック480では、直接WAFLバッファ860Aはダーティであるか否かが判断される。ここでは判断ブロック480からは真(YES)の結果が得られる。なぜなら、直接WAFLバッファ860Aはダーティだからである。ステップ490において、WAFLバッファ860Aに対するバッファポインタを図5に示すスペース割り当てアルゴリズムへわたすことにより直接WAFLバッファ860Aのスペースが割り当てられる。直接WAFLバッファ860Aのスペースが割り当てられれば、判断ブロック420へと進む。
判断ブロック420では、直接WAFLバッファ820の子バッファのすべてが処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果が偽(NO)であったとする。ステップ440で直接WAFLバッファ860Bが取り込まれる。判断ブロック450において、直接WAFLバッファ860Bはツリー構造に残っているレベルの内の最下位のものであるか否かが判断される。判断ブロック450の結果が真(YES)であったとする。判断ブロック480において、直接WAFLバッファ860Bはダーティであるか否かが判断される。判断ブロック480の結果が真(YES)であるので、ステップ490において直接WAFLバッファ860Bにディスクスペースが割り当てられる。ステップ490においてスペースの割り当ての呼び出しが完了すれば、次に判断ブロック420へ進む。
判断ブロック420において、間接WAFLバッファ820のすべての子バッファが処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果はここでは偽(no)となる。ブロック440において、直接WAFLバッファ860Cが取り込まれる。判断ブロック450において、直接WAFLバッファ860Cがツリー構造において残っているレベルの内で最も低いレベルであるか否かが判断される。判断ブロック450の結果はここでは真(yes)である。判断ブロック480において、直接WAFLバッファ860Cがダーティであるか否かが判断される。ここでは直接WAFLバッファ860は修正されておらず、したがってクリーンであるので判断ブロック480の結果は偽(no)である。続いて判断ブロック420が実行される。図4に示すこの間接WAFLバッファ820の子バッファに対するスペースの割り当てプロセスは、直接WAFLバッファ860F(1024番目のバッファ)が処理されるまで続行される。直接WAFLバッファ860F(間接WAFLバッファ820の最後の子バッファ)はクリーンであるので、判断ブロック480の結果は偽(no)である。続いて判断ブロック420が実行される。判断ブロック420において、間接WAFLバッファ820の子バッファ(直接WAFLバッファ860A〜860F)のすべてが処理されたか否かが判断される。ここでは判断ブロック420の結果は真(yes)であるので、ステップ430において呼び出しアルゴリズムが実行される。
ステップ430において、再起的呼び出しにより判断ブロック480が実行される。判断ブロック480において、子バッファ(間接WAFL820)がダーティであるか否かが判断される。判断ブロック480の結果はここでは真(yes)であるので、続いてステップ490が実行される。ステップ490において、間接WAFLバッファ820に対するバッファポインタをわたしてスペース割り当てアルゴリズムを呼び出すことにより間接WAFLバッファ820に対しディスクスペースが割り当てられる。ステップ490の処理が終わると、判断ブロック420が実行される。
判断ブロック420において、WAFLiノード810のWAFLバッファ構造810Bに含まれるバッファポインタのすべての子バッファ(間接WAFLバッファ820〜850)について処理が終わったか否かが判断される。判断ブロック420の結果はここでは偽(no)である。ステップ440において、間接WAFLバッファ830が取り込まれる。判断ブロック450において間接WAFLバッファ830がツリー構造に残っているレベルの最も低いレベルであるか否かが判断される。判断ブロック450の結果が偽(no)であるので、続いてステップ460が実行される。ステップ460において間接WAFLバッファ830に対するバッファポインタをわたすことにより、書き込みのための割り当てアルゴリズムが再起的に呼び出される。その後図4に示すアルゴリズムを実行するステップ410が開始される。
ステップ410において間接WAFLバッファ830に対するバッファポインタは書き込みのための割り当てアルゴリズムにわたされる。判断ブロック420において、間接WAFLバッファ830のすべての子バッファ(直接WAFLバッファ870A〜870D)が処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果はここでは偽(no)であるので、続いてステップ440が実行される。ステップ440において、直接WAFLバッファ870A(間接WAFLバッファ830の子バッファ)が取り込まれる。判断ブロック450において、直接WAFLバッファ870Aがツリー構造における残りのレベルにおける最下位のレベルであるか否かが判断される。判断ブロック450の結果は真(yes)であるので、続いて判断ブロック480が実行される。判断ブロック480において、直接WAFLバッファ870Aが修正され、したがってダーティな子バッファであるか否かが判断される。判断ブロック480の結果は偽(no)である。なぜなら直接WAFLバッファ870Aはクリーンであるからである。続いて判断ブロック420が実行される。
判断ブロック420において、間接WAFLバッファ830の次の子バッファ(直接WAFLバッファ870B)が処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果が偽(no)であるので、続いてステップ440が実行される。ステップ440において、直接WAFLバッファ870Bが取り込まれる。判断ブロック450において、直接WAFLバッファ870Bがツリー構造に残っているレベルの最下位レベルであるか否かが判断される。判断ブロック450の結果は真(yes)であるので、続いて判断ブロック480が実行される。判断ブロック480において、直接WAFLバッファ870Bがダーティバッファであるか否かが判断される。判断ブロック480の結果が真(yes)であるので、続いてステップ490が実行される。ステップ490において直接WAFLバッファ870Bに対するバッファポインタを用いてスペース割り当てアルゴリズムを呼び出すことにより直接WAFLバッファ870Bに対しディスクスペースが割り当てられる。その後判断ブロック420が実行される。
親の間接WAFLバッファ830の残りのクリーンな直接WAFLバッファ870C〜870Dは、図4に示すアルゴリズムにより処理される。間接WAFLバッファ830の子である残りの直接WAFLバッファ870C〜870Dはクリーンであるので、これらのバッファに対してはディスクスペースは割り当てられない。判断ブロック480において直接WAFLバッファ870C−870Dがダーティであるか否かの判断がなされるが、その結果は偽(no)である。続いて判断ブロック420が実行される。判断ブロック420において間接WAFLバッファ830のすべての子バッファ(直接WAFLバッファ870A〜870D)が処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果が真(yes)であるので、続いてステップ430が実行される。ステップ430において、呼び出しアルゴリズムが実行される。続いて判断ブロック480が実行される。
判断ブロック480において間接WAFLバッファ830がダーティであるか否かが判断される。判断ブロック480の結果は真(yes)であるので、続いて490が実行される。ステップ490において、スペース割り当てアルゴリズムを呼び出して、それに間接WAFLバッファ830に対するバッファポインタをわたすことにより、間接WAFLバッファ830に対しディスクスペースが割り当てられる。その後判断ブロック420が実行される。
判断ブロック420において、WAFLiノード810のWAFLバッファ構造810Bに含まれるバッファポインタの子バッファ(間接WAFLバッファ820〜850)のすべてが処理されたか否かが判断される。したがって、間接WAFLバッファ840〜850は、間接WAFLバッファ850が処理されるまで、上述したように書き込みのための割り当てアルゴリズムにより再起的に処理される。
判断ブロック480において間接WAFLバッファ850がダーティであるか否かが判断されれば、この判断ブロック480の結果は偽(no)となる。なぜなら間接WAFLバッファ850はクリーンだからである。その後判断ブロック420は実行される。判断ブロック420においてWAFLiノード810のWAFLバッファ構造810Bに含まれるバッファポインタのすべての子バッファ(間接WAFLバッファ820〜850)が処理されたか否かが判断される。判断ブロック420の結果は真(yes)であるので、この場合は図3に示す主アルゴリズム、すなわち呼び出しアルゴリズムが実行される。したがって、ツリー構造におけるすべてのバッファ、すなわち間接WAFLバッファ820〜850、およびWAFLiノード810(iノード810は図7に示すダーティiノードのリスト710のWAFLiノード720に相当する)により参照される直接WAFLバッファ860A〜860Fおよび870A〜870Dが処理される。図8に示すようにWAFLiノード810により参照されるツリー構造におけるすべてのバッファの深さ優先ポストビジテッドトラバーサルが実行される。このようにしてダーティな子バッファに対し新しいディスクスペースの割り当てが行なわれる。上述したごとく、間接WAFLバッファ820が最初に訪問(visit)される。続いて間接WAFLバッファ820の子バッファが順次処理される。間接WAFLバッファ820の直接WAFLバッファ860A〜860Fはツリー構造における残りのレベルの内の最下位レベルに相当するので、それらが順次処理される。直接WAFLバッファ860Aはダーティな子バッファであるので、それに対しディスクスペースの割り当てが行なわれる。これは、直接WAFLバッファ860A内に含まれた数字1によって示されるものである。続いて、直接WAFLバッファ860B(数字2によって示される)に対しディスクスペースの割り当てが行なわれる。直接WAFLバッファ860Cはクリーンであるので、図4のステップ490においてディスクスペースの割り当ては行なわれない。このようにして、直接WAFLバッファ860A〜860Fは、もしそれらがダーティであれば、ディスクスペースの割り当てが行なわれる。
間接WAFLバッファ820の直接WAFLバッファ860A〜860Fが、一旦処理されると、間接WAFLバッファ820に対しディスクスペースの割り当てが行なわれる。これはダーティバッファであるのでディスクスペースの割り当てはステップ490において行なわれる。同様に、直接WAFLバッファ870Bについてもディスクスペースの割り当てが行なわれる。続いて、直接WAFLバッファ870Bの親バッファ(間接WAFLバッファ830)に対しディスクスペースの割り当てが行なわれる。割り当てはこれで終了したわけだが、バッファをディスクに書き込む順番は次の通りである。直接WAFLバッファ860A,860B,860D;間接WAFLバッファ820;直接WAFLバッファ870B;および間接WAFLバッファ830。
ダーティバッファに対するディスクスペースの割り当て
図9Aはメモリに記憶されたキャシュ920と、パリティディスクとデータディスク0〜3で構成されるRAIDアレイのディスクスペース910が示されている。図5に示したスペース割り当てアルゴリズムについて、図9の4つのファイル940〜946を参照しながらさらに詳述する。最初、データディスク0〜3のCWLポインタは同じブロックにセットされている。カレント書き込み位置ポインタ930A〜930Dはそれぞれデータディスク0〜3のデータブロック950B〜950Eを参照する。図9に示すように4つのファイル940〜946はキャシュ920に含まれている。最初のファイル940は2つのダーティブロックF1−0、F1−1で構成される。第2のファイル942は16個のダーティブロックF2−0からF2−15で構成される。第3のファイル944は4つのダーティブロックF3−0からF3−3で構成される。第4のファイル946は2つのダーティブロックF4−0、F4−1で構成される。ディスクスペース910のデータディスク0〜3において×印は割り当てがなされたブロックを示す。さらに、キャシュ920にはデータディスク0〜3のそれぞれに対応する4つのディスクキュー920A〜920Dが示されている。
図7に示すように、4つのファイル940〜946のそれぞれはダーティiノードのリスト710にあるiノードを参照する。たとえば、図7において、iノード720は第1のファイル940を参照する。ダーティiノードのリスト710の他のiノード722、730、740は、それぞれファイル942〜946を参照する。ダーティiノードのリスト710にあるこれらのiノードは、上述したごとく処理される。以下、ディスク上におけるブロックの割り当て、およびディスクへのストライプの書き込みについて図5を参照しながら説明する。
図9Aに示すように、データディスク0〜3のカレント書き込み位置930A〜930Dは、データブロック950B〜950Eをそれぞれ参照する。これはブロック950B〜950Eのそれぞれの左下コーナにある小さな箱により表される。同様に図9Aに示すように、データディスク0〜3のキュー920A〜920Dは空である。図9Aにおいて、ディスクブロックに付された×印は、ディスクスペース910においてすでに割り当てが行なわれたブロックであることを示す。垂直に延びるコロムのそれぞれは、データディスク0〜3のそれぞれのディスクスペース910におけるシリンダに対応する。スペース割り当てアルゴリズムにより処理される最初のファイルは940である。
ステップ510において、アルゴリズムには、ファイル940のバッファF1−0に対するバッファポインタがわたされる。判断ブロック520において、バッファF1−0は前回のバッファとは異なったファイルにあるのかどうか、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるのかどうかについて判定される。判定ブロック520は、ここではバッファF1−0は異なったファイルにあるので真(yes)を出力する。ステップ530においてデータディスク0が書き込みのために選択される。ステップ540においてバッファF1−0で前回割り当てられたブロックはフリーにされる。ステップ550において、データディスク0のデータブロック952はバッファF1−0用に選ばれたディスク上に割り当てる。また、CWL930Aは進められ、ディスク上の次のフリーな位置を参照する。ステップ560において、ディスクブロック952Bは、ファイル940のバッファF1−0に対して割り当て指定される。ステップ570においてバッファF1−0は、データディスク0のための書き込み可能なバッファのリスト920Aに対して割り当て指定される。ステップ580において、CWLに対しそれがファイルシステムの中における最下位のCWLか否かが判断される。ここではこれは真ではないので、続いて590が実行される。
ファイル940において別のバッファF1−1はダーティであるので、スペース割り当てアルゴリズムは再び呼び出される。続いてステップ510が実行され、アルゴリズムには、バッファF1−1に対するポインタがわたされる。判断ブロック520において、バッファF1−1は、前回のバッファ(この場合は、バッファF1−0)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断ざれる。判断ブロック520の結果は偽(no)であるので、続いてステップ540が実行される。したがって、バッファF1−1はバッファF1−0が書かれたディスクと同じディスクに書き込みがなされる。図9Bに示すように、データブロック954Bが割り当てられるので、データディスク0において次に割り当てられることができるフリーなブロックはブロック956Bである。ステップ540において、バッファF1−1の前回割り当てられたブロックはフリーにされる。ステップ550において、データディスク上にあるブロック956Bは、バッファF1−1用として割り当てられる。ステップ560において、ブロック956Bは、バッファF1−1用として割り当てられる。ステップ570において、バッファF1−1は、データディスク0のキュー920Aに当てられる。データディスク0のCWL930Aは、データディスク0のブロック956Bを参照する。ステップ580において、ストライプが完成され、ディスクに送られるのに準備ができたかどうかが判断されるが、この時点ではストライプがまだ完成されていない。続いてステップ590が実行される。
図9Bに示すように、第1のファイル940にディスクスペースが割り当てられたが、バッファF1−0およびF1−1は、まだディスク上に書き込まれていない。それらはデータディスク0のキュー920Aのメモリに記憶されたままである。
図9Cにおいて、次のファイル942がディスクスペース910に割り当てられる。第2のファイル942は、16個のダーティブロックF2−0からF2−15で構成される。ファイル942の最初のバッファF2−0は、ステップ510においてアルゴリズムへわたされる。判断ブロック520において、バッファF2−0は、前回のバッファ(この場合はバッファF1−1)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。ここではバッファF2−0は、異なったファイルにあるので、判断ブロック520の結果は真(yes)となる。ステップ530において、データディスク1が書き込み用として選択される。ステップ540において、前に割り当てられたブロックはフリーにされる。ステップ550において、ブロック952Cは、データディスク1の上に割り当てられる。ステップ560において、ブロック952Cは、ファイル942のバッファF2−0に対して割り当て指定される。ステップ570において、データディスク1のための書き込み可能バッファのリスト920Bに、バッファF2−0が加えられる。ステップ580において、ストライプがディスクに書き込み可能かどうかの判断がなされる。しかしながら、この時点においては書き込まれるべきブロックはRAIDアレイにおける最下位のCWLよりも低いブロックではないので、ストライプは書き込み可能な状態ではないことがわかる。したがって、続いてステップ510のアルゴリズムが実行される。
図4に示すアルゴリズムは、ダーティファイルバッファF2−1に対するポインタを、図5に示すステップ510へわたす。判断ブロック520において、バッファF2−1は、前回のバッファ(F2−0)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。判断ブロック520の結果は偽(no)であるので、続いてステップ540が実行される。ステップ540において、バッファF2−1で前回割り当てられたブロックがフリーにされる。ステップ550において、データディスク1のブロック954Cが割り当てられる。ステップ560において、ブロック954CがバッファF2−1に割り当てられる。ステップ570において、バッファF2−1は、データディスク1のための書き込み可能なバッファのリスト920Bに加えられる。ステップ580において、データディスク1のCWL930Bは、ブロック954Cに進められる。次に、ストライプがディスクに書き込み可能かどうかの判断がなされる。しかしながら、ここではデータディスク1のCWL930Bはディスクスペース910におけるCWLポインタの最下位のものではないので、ストライプの書き込みは可能でない。したがって、続いてステップ590が実行される。
図5に示すアルゴリズムに従い、バッファF2−2からF2−6は、ディスク上のスペースが割り当てられる。8番目のバッファF2−7のためにスペース割り当てアルゴリズムが呼びだされれば、判断ブロック520において、バッファF2−7は、前回のバッファ(F2−6)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。判断ブロック520の結果は偽(no)であるので、続いてステップ540が実行される。ステップ540ではバッファF2−7で前回割り当てられたブロックがフリーにされる。ステップ550で、ブロック968Cがデータディスク1に割り当てられる。ステップ560において、ブロック968CがバッファF2−7に割り当てられる。ステップ570において、バッファF2−7は、データディスク1のための書き込み可能バッファのリスト920Bに加えられる。ステップ580において、もし可能な場合はストライプの書き込みがなされる。ここでブロック970は、すでに割り当てられているので、データディスク1のCWL930Bは、ブロック970へ進められる。データディスク1のブロック970Cは、ディスクスペース910における最下位のCWLではないので、ディスクにストライプは書き込みはまだなされない。
図5のステップ510において、ファイル942のバッファF2−8に対するバッファポインタをわたすことにより、スペース割り当てアルゴリズムが呼び出される。判断ブロック520においてバッファF2−8は前回のバッファ(F2−7)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファ(F2−7)とは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。ファイル942の8個のバッファF2−0からF2−7は、前回の先読みチャンクの1部であり、すでにスペースの割り当てが行なわれていたので、判断ブロック520の結果は真(yes)となる。ステップ530において、データディスク2が書き込み用として選択される。これは図9Dに示されている。
ステップ530において、最も低いカレント書き込み位置情報を有するディスクを見つけることにより、ディスクの選択がなされる。もし複数のディスクが最も低いカレント書き込み位置情報を有していたのであれば、最初に位置するものが選択される。
ステップ540において、バッファF2−8の前に割り当てられたブロックがフリーにされる。ステップ550においてブロック952Dは、データディスク2上に割り当てられる。ステップ560において、ブロック952Dは、バッファF2−8に割り当て指定される。ステップ570において、データディスク2のキュー920CにバッファF2−8が加えられる。ステップ580において、可能な場合はストライプの書き込みがなされる。しかしながら、ここではバッファF2−8のためのディスクにストライプを一気に書き出すための準備はできていない。したがってステップ510が実行される。
ステップ510において、ファイル942のバッファF2−9に対するポインタは、スペース割り当てアルゴリズムにわたされる。判断ブロック520において、バッファF2−9は、前回のバッファ(F2−8)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。ここでは、バッファF2−9は前回のバッファF2−8と同じファイルで同じ先読みチャンクにあるので、判断ブロック520の結果は偽(no)である。ステップ540において、バッファF2−9で前回割り当てられたブロックはフリーにされる。ステップ550において、ブロック954Dは、データディスク2上に割り当てられる。ステップ560において、データディスク2のブロック954Dは、バッファF2−9に対して割り当て指定される。ステップ570において、バッファF2−9は、データディスク2のための書き込み可能なバッファのリスト920Cに加えられる。ステップ580において、ディスクにストライプの書き込みが試みられるが、この時点ではまだストライプの書き込みは可能ではない。
図9Dに示すように、ディスクブロック952Dから968Dは、ファイル942のバッファF2−8からF2−15のために割り当てられる。図5に示すアルゴリズムに基づき、ダーティバッファF2−8からF2−15のためにブロックが割り当てられるので、バッファF2−8からF2−15は、データディスク2のための書き込み可能なバッファのリスト920Cに加えられる。ステップ580において、システムは、ディスクにストライプの書き込みを試みる。しかしながら、この時点ではまだ完全なストライプを書き込みすることができない。ステップ590において呼び出しアルゴリズムが実行される。
ダーティiノードのリスト710にあるiノードを参照して得られる第3のファイルは、944である。ファイル944は、4つのダーティブロックF3−0からF3−3で構成される。ファイル944のダーティバッファF3−0からF3−3は、スペース割り当てアルゴリズムにより処理される。ファイル944のダーティバッファの割り当てを、図9Eから9Fを参照しながら説明する。ステップ510において、スペース割り当てアルゴリズムは、ファイル944のバッファF3−0に対するバッファポインタがわたされる。判断ブロック520において、ファイル944のバッファF3−0は、前回のバッファ(ファイル942のバッファF2−15)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。判断ブロック520はここではバッファF3−0が異なったファイルにあるので、真(yes)を出力する。ステップ530において、1番低いCWL(データブロック950Eについて示された図9Dを参照)を有するデータディスク3が、書き込み用のディスクとして選択される。ステップ540において、バッファF3−0のために前回割り当てられたブロックは、フリーにされる。これは、ブロック952Eのためのblkmapファイルのすべてを更新して、ブロック952Eが、もはやアクティブファイルシステムによって利用されるものではないことを示すことにより達成される。ステップ540において、データディスク3の現在の(カレント)ブロック952Eが割り当てられる。これはデータディスク3のカレント書き込み位置(CWL)930Dを、データブロック952Eに進めることにより達成される。ステップ560において、ブロック952Eは、ファイル944のバッファF3−0に対して割り当て指定される。ステップ570において、バッファF3−0は、データディスク3のための書き込み可能なバッファのリスト920Dに加えられる。
ステップ580において、可能な場合は、ストライプがディスクに書き込まれる。これはデータディスク0〜3のバッファ920A〜920Dをチェックして、完成したストライプがあるか否かを見ることにより、達成される。図9Eにおいて、完成されたストライプは、バッファF1−0、F2−0、F2−8、F3−0を備えたディスクキュー920A〜920Dに含まれる。これらのバッファは、1つのグループとしてRAIDサブシステムに送り出され、効率よく書き込みがなされる。この状態は図9Eに示されており、ストライプ980は、パリティブロック952Aと、データディスク0〜3のデータブロック952B〜952Eに書き込まれる。ここでストライプは点線で囲まれて示されている。したがって、バッファF1−0は、データディスク0のブロック952Bに書き込まれる。同様に、バッファF2−0、F2−8、F3−0は、それぞれブロック952C、952D、952Eに書き込まれる。図9Eに示すように、データディスク3の最も低いカレント書き込み位置(CWL)930Dは、ブロック952Eに位置している。ストライプ580がディスクに書き込まれることにより、バッファF1−0、F2−0、F2−8、F3−0は、キュー920A〜920Dから削除される。これは図9Eに示されている。続いて呼び出しルーチンであるステップ590が実行される。
ファイル944のバッファF3−1のバッファポインタは、ステップ510で、スペース割り当てアルゴリズムにわたされる。判断ブロック520において、バッファF3−1は、前回のバッファから異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。判断ブロック520の結果は偽(no)であるので、続いてステップ540が実行される。ステップ540において、バッファF3−1に前回割り当てられたブロックは、フリーにされる。ステップ550において、ブロック954Eがデータディスク3に割り当てられる。データディスク3のカレント書き込み位置930Dは、図9Eに示すブロック952Eから、図9Fに示すブロック956Eに進められる。カレント書き込み位置930Dは、ブロック956Eに進められ、これは現在割り当てられたブロック954Eを下に越えることになる。なぜなら、ブロック956Eはすでに割り当て(ブロックにおいて×印で示されている部分)がなされているからである。ステップ560において、ブロック954Eは、ファイル944のバッファF3−1に対して割り当て指定される。ステップ570において、バッファF3−1はデータディスク3のための書き込み可能なバッファのリスト920Dに加えられる。ステップ580において、2つのストライプ982、984は、ディスクに書き込まれる。これはデータディスク0および3にある最も低いカレント書き込み位置930A、930Dが、データブロック956B、956Eを参照することによりなされる。図9Fに示すように、バッファF2−1、F2−9、F3−1で構成されるストライプ982は、ブロック954Cから954Eに書き込まれる。同様にストライプ984もディスクに書き込まれる。ストライプ982および984がディスクに書き込まれれば、対応するバッファは、リスト920A〜920Dから削除される。ステップ590において呼び出しアルゴリズムが次に実行される。
同様に、図5に示すアルゴリズムにより、ファイル944のバッファF3−2、F3−3には、ディスクブロック958E、960Eが割り当てられる。図9Gに示すように、ファイル944のバッファF3−2、F3−3は、データディスク3のリスト920Dに割り当てられる。ファイル944に対しカレント書き込み位置930Dは、データディスク3のブロック960Eに進められる。図9Gに示すように、最も低いカレント書き込み位置は、データブロック956Bを参照するデータディスク0のカレント書き込み位置930Aである。他のカレント書き込み位置930B〜930Dは、データディスク1〜3のブロック970C、968D、960Eを参照する。さらに図9Gに示すように、データディスク0のキュー920Aは空である。データディスク1のための書き込み可能なバッファのリスト920Bには、ファイル942のバッファF2−3からF2−7がある。データディスク2のリスト920Cは、ファイル942の残りのダーティバッファF2−11からF2−15がある。データディスク3のリスト920Dにはファイル944のダーティバッファF3−2からF3−3がある。
ダーティバッファF4−0からF4−1を備えた第4のファイル946は、図5に示すアルゴリズムを用いてディスクスペースの割り当てがなされる。ステップ510において、ファイル946のダーティバッファF4−0は、スペース割り当てアルゴリズムにわたされる。判断ブロック520において、バッファF4−0は前回のバッファ(F3−3)から異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。ここではバッファF4−0は異なったファイルにあるので、判断ブロック520の結果は真(yes)となる。ステップ530において、ディスクスペース910における最も低いカレント書き込み位置がどこにあるかの判断がなされる。図9Gに示すように、最も低いカレント書き込み位置は、データディスク0のブロック956Dを参照する、カレント書き込み位置930Aであることがわかる。したがって、ステップ530において、データディスク0が書き込み用に選択される。ステップ540において、データディスク0のバッファF4−0に前回割り当てられたブロックは、フリーにされる。ステップ550において、ブロック958Bは、データディスク0に割り当てられる。これによりデータディスク0のカレント書き込み位置930Aは、ブロック956Bから958Bへ進められる。これは図9Hにおいて、ブロック958Bの左下コーナにおける実線で示されている。ステップ560において、ブロック958Bは、バッファF4−0に割り当て指定される。ステップ570において、バッファF4−0は、データディスク0のための書き込み可能なバッファのリスト920Aに加えられる。ステップ580において、バッファF4−0、F2−11、F3−2で構成されるストライプ986は、ディスクに書き込まれ、これはバッファはキュー920A、920C〜920Dから削除される。ステップ590において続いて呼び出しアルゴリズムが実行される。
図9Iを参照すると、ファイル946のダーティブロック4F−1は、ステップ510においてスペース割り当てアルゴリズムにわたされる。判断ブロック520において、今回のバッファは前回のバッファから異なったファイルにあるか否か、または前回のバッファとは異なった先読みチャンクにあるか否かが判断される。判断ブロック520の結果は偽(no)であるので、続いてステップ540が実行される。ステップ540で前回に割り当てられたブロックがフリーにされる。ステップ550においてデータディスク0のブロック960Bが割り当てられる。これにより、データディスクのカレント書き込み位置930Aは、ブロック958Bから960Bへ進められる。ステップ560において、割り当てられたブロック960Bは、バッファF4−1に当てられる。ステップ570において、ファイル946のバッファF4−1は、データディスク0のための書き込み可能なバッファのリスト920Aに加えられる。ステップ580において、ストライプ988がディスクに書き込まれる。これは、ストライプ988に、最も低いカレント書き込み位置930Aを含むブロック960A〜960Eが含まれるからである。バッファF4−1、F2−3、F2−12、F3−3は、それぞれリスト920Λ〜920Dから削除される。ステップ590において続いて呼び出しアルゴリズムが実行される。
図9Iに示すように、データディスク0〜3のカレント書き込み位置930A〜930Dは、ブロック960B、970C、968D、960Eを参照する。最も低い位置にあるカレント書き込み位置930Aより、さらに低い位置に割り当てられたブロックは、図9Iに示すようにディスクに書き出される。しかしながら、データディスク1、2のリスト920B、920Cに加えられたファイル942のダーティバッファF2−4からF2−7、およびF2−13からF2−15は、ディスクには書き出されない
図9Jは、すべてのダーティiノードにブロック割り当てがなされた後、残された未書き込みのバッファ、すなわちファイル944のバッファF2−4からF2−7、およびF2−13からF2−15のディスクへの書き出しを示す。この例においては、すべてのデータディスク0〜3のカレント書き込み位置930A〜930Dは、図9Iの最も高いカレント書き込み位置930Bにまで進められている。したがってキュー920A〜920Dは空にされる。カレント書き込み位置930Bは、データディスク1のブロック970Cを参照する。この動作は、図3のステップ350が実行されることにより、すべての未書き込みのストライプがディスクに書き出される。ステップ350において、カレント書き込み位置930A〜930Dをグループの内で最も大きな値を有するものに進めることにより、ディスクにまだ書き込まれていないバッファであってデータディスク0〜3のキュー920A〜920Dにあるすべてのバッファは、強制的にディスクに書き込まれる。
上述したごとく、本発明はRAIDアレイのディスクレイアウトの手順を用いながら、RAIDアレイへの書き込みのための割り当てを最適なものにするものである。RAIDレイアウトの手順には、ディスクに書き込まれるべきバッファのディスクブロックや、ストライプに関する情報が含まれる。これは図9A〜9Jに示されている。本発明は、RAIDアレイ技術を有するファイルシステムを、より完全なものにするものである。RAID層は、RAIDサブシステムにおけるデータブロックの配列に関する、より詳しい情報をファイルシステムに送るものである。ファイルシステムはこの情報を審査し、それらがRAIDシステムに書き込まれるのに従い、ブロックの位置を最適なものにするのに用いられる。RAIDシステムへの書き込みの最適化は先読みチャンクをより良いものにすると共に、ストライプ全体を書き込むことにより達成される。
ストライプの負荷感知式書き込み
上述したWAFLファイルシステムのためのRAIDアレイに対して書き込みのために割り当てる方法は、“循環書き込み”アルゴリズムを用いたものである。この方法は、ディスクを循環してバッファをRAIDアレイに書き込むもので、1本のストライプのすべてのディスクブロックに割り当てが行なわれるものである。ストライプへの順次書き込みは、少なくとも1つのブロックがフリーにされなければならないという点を除いて、ストライプにおいて割り当てられるフリーブロックの数に依存するものではない。このようにして、ストライプでの書き込みのための割り当ては、RAIDアレイにおけるディスクの最後まで進められる。ディスクの最後に達すれば、書き込みのための割り当ては、ディスクの始めに戻り、そこから続けられる。
本発明の別の実施の形態においては、ディスクへのデータ書き込みへの速さが、通常のしきい値を越えれば、“負荷感知式書き込み”により、ディスクへの書き込みが行なわれるものである。データ書き込みの速さが通常のしきい値を越えれば、本発明では、ディスクの書き込みをストライプの書き込みの効率に依存するように、ディスク書き込みの処理を行う。RAIDアレイにおける各ディスクのエリアに割り当てられたブロックのパターンによって、ディスクのある部分については、他の部分より、より容易に書き込みがなされることがある。たとえば、データディスク上のストライプに割り当てられたブロックがない場合は、RAIDアレイにストライプを書き込むことは非常に効率的である。
図9Eに示すように、ストライプ980に対し4つのディスクブロック952B〜952Eを書き込むことは、RAIDアレイおいて最も効率よく書き込みが行なわれる。具体例においては、4つのバッファF1−0、F2−0、F2−8、F3−0は、実質的に同じ時間TWRITEにディスクに書き込みが行なわれる。したがって、4KBバッファを用いることにより、所定の時間TWRITEに16KBのデータをディスクに書き込むことが可能である。これは、図9Fで示すRAIDアレイの3つのブロック954C〜954Eに、バッファF2−1、F2−9、F3−1を備えたストライプ982を書き込むことと対照的である。この場合の書き込み速さは、所定時間TWRITEに12KBのデータを書き込むことができる。したがってストライプ982の書き込み速さは、ストライプ980の最大書き込み速さの75%である。最悪の場合、RAIDアレイのストライプには、単一の割り当てられていないディスクブロックのみが存在するだけである。この単一ブロックへの書き込みは、4つのディスクブロックに書き込む最大速さの25%で書き込みをなすことが可能である。したがって、1つのフリーブロックのみでストライプに書き込みを行うことは非効率的である。
循環書き込みを行う負荷感知式書き込みにおいては、RAIDサブシステムがビジーであれば、非効率的なストライプはスキップされる。すなわち、多くの書き込まれるべきフリーブロックを有するストライプが、割り当てのために選択される。システムの負荷が軽い場合にのみ非効率的なストライプの書き込みが許される。これは、システムの負荷が重たい場合に、より多くの効率のよいストライプを残しておくために行なわれるものである。したがって、同じシーケンスにおいて、ブロックとダーティファイルの特定のセットを書き込む循環式書き込み方法とは異なり、負荷感知式循環書き込み方法は、負荷の重さによってその動作を変えるものである。たとえば、5メガバイト/秒の最大書き込み速さを有するRAIDシステムにおいては、本発明においては、10秒のインターバルに1秒当たり2.5メガバイトの平均速さで書き込みを行なうシステムであれば、3または4個のフリーブロックを有するストライプを書き込む。
本発明においては、RAIDディスクシステムを備えたファイルシステムを、より効率よく動作させるためには、上述の負荷感知式循環書き込み方法により大きな規模のアルゴリズムを加えることも可能である。以上詳述したごとく、RAIDアレイのレイアウトに関する情報を、ファイルシステムに与えることは、この利点を受ける規模の大きなアルゴリズムも可能とするものである。
以上のように、RAIDアレイを用いたファイルシステムにおいてファイルを割り当てる方法が説明された。

Claims (1)

  1. 複数の記憶手段を備えるRAIDアレイにデータブロックを記憶するための方法であって、
    割り当てられた記憶スペースを記録するための手段に、書き込みのために割り当てられる記憶スペースを記録することによって、前記RAIDアレイに記憶されるべきデータブロックに対して、前記RAIDアレイにおける記憶スペースを書き込みのために割り当てるステップを含み、前記記憶スペースは前記複数の記憶手段における複数の記憶ブロックを備え、
    前記RAIDアレイにおける記憶スペースを書き込みのために割り当てる前記ステップは、
    前記RAIDアレイに記憶されるべきデータブロックであって、記憶スペースがまだ割り当てられていないデータブロックを選択するステップと、
    前記データブロックをチェックして、前記データブロックが、前記RAIDアレイにおける前記複数の記憶手段のうちの第1の記憶手段内の記憶スペースが書き込みのために割り当てられている前のデータブロックとは異なったファイルあるいは異なった先読みセグメントにあるか否かを決定するステップと、
    前記データブロックが前記異なったファイルあるいは前記異なった先読みセグメントにあるとき、前記RAIDアレイにおける前記複数の記憶手段のうちの第2の記憶手段内の記憶スペースを選択し、前記データブロックが前記異なったファイルにあるのでも前記異なった先読みセグメントにあるのでもないとき、前記第1の記憶手段内の記憶スペースを選択するステップとを含み、前記記憶スペースが、前記データブロックの書き込みのために割り当てられた記憶ブロックを備え、
    前記RAIDアレイにおける記憶スペースを書き込みのために割り当てる前記ステップはさらに、
    前記書き込みのために割り当てられた記憶ブロックの標識と前記データブロックとを関連づけることによって、前記データブロックの書き込みのために割り当てられた前記記憶ブロックを、前記データブロックに割り当て指定するステップと、
    前記RAIDアレイにおける複数の記憶手段のうちの前記記憶手段に対して書き込み可能なデータブロックのリストに、前記データブロックを追加するステップと、
    前記RAIDアレイに記憶されるべきデータブロックがすべて処理されたか否かを決定するステップと、
    前記RAIDアレイに記憶されるべき前記データブロックの処理がすべて完了しているのではないとき、記憶スペースがまだ割り当てられていないデータブロックを選択する前記ステップを繰り返し、前記データブロックのための記憶スペースを選択するステップと、
    前記RAIDアレイに記憶されるべき前記データブロックのすべてが処理されたとき、前記書き込み可能なデータブロックのリストにおける書き込まれていないすべてのデータブロックを、前記データブロックに割り当てられた記憶スペースに書き込むステップとを含む方法。
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