JP3857597B2 - 無線通信装置および送信電力制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体無線通信で用いられる無線通信装置に関するものであり、特に、上りDPCH(Dedicated Physical Channel:個別物理チャネル)を用いてDSCH(Downlink Shared Channel:下り時分割物理チャネル)の送信電力を制御する無線通信装置および送信電力制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来の無線通信装置について説明する。送信電力制御を行う従来の無線通信装置としては、たとえば、特開2000−115072号公報に記載された装置がある。上記公報記載の無線通信装置において、基地局から送信された拡散信号を受信し、当該拡散信号を逆拡散することによりシンボルデータを得ている移動局は、シンボルデータに含まれているパイロットシンボルを用いて同期確立処理を行うとともに、パイロットシンボルのパターンに基づいて基地局の指示による制御を行う。
【0003】
そして、上記従来の無線通信装置は、TPC(Transmission Power Control:送信電力制御)用のシンボルを廃止し、パイロットシンボルにTPCシンボルを置き換えることによって、フレーム効率を向上させ、TPCシンボル情報の自由度を増やしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記、従来の無線通信装置においては、TPCシンボルの自由度は向上しているが、DPCH単独の送信電力制御しか考慮されておらず、DSCHとDPCHの両CHに対する送信電力制御については考慮されていない、という問題があった。
【0005】
また、従来の無線通信装置においては、初期送信電力の更新アルゴリズムについては言及されておらず、TPC精度が向上した場合であっても、DSCHのようにバースト的に送信されるチャネルに対しては効果が期待できない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、DPCHおよびDSCHの双方に対する送信電力制御を行うことが可能な無線通信装置および送信電力制御方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる無線通信装置にあっては、「複数の移動局が基地局に対して個別にデータと制御情報を送信するための上り個別物理チャネル」を用いて「1つの物理チャネルをユーザ毎に時間多重して基地局から複数の移動局に対してデータを送信するための下り時分割物理チャネル」の送信電力を制御する移動局側の構成として、下り時分割物理チャネルのリンク生成時に初期送信電力を設定し、その後、下り時分割物理チャネル非受信期間がnフレーム以上ある場合に、その受信フレームより前に初期送信電力を再設定する制御手段と、下り時分割物理チャネルによる受信中に、基地局に対して送信電力の上げ下げまたは保持を指示するためのTPC(送信電力制御)ビットを生成するTPCビット生成手段と、前記初期送信電力および前記TPCビットを上り個別物理チャネルの1つである「複数の移動局が基地局に対して個別に制御情報を送信するための上り個別制御物理チャネル」にマッピングし、マッピング後の送信データを基地局へ通知する送信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
つぎの発明にかかる無線通信装置にあっては、さらに、下り時分割物理チャネルのリンク生成時に、下り時分割物理チャネル通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対してパイロットを送信するための下り共通パイロットチャネル」または「基地局が複数の移動局に対して個別に制御情報を送信するための下り個別制御物理チャネル」のパイロットを検波する検波手段と、前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、基地局との下り共通パイロットチャネルまたは下り個別制御物理チャネルを基準とした下り時分割物理チャネルの回線品質情報、または当該回線品質情報とターゲット品質値との差分(回線品質差分情報)を計算する受信品質計算手段と、を備え、前記回線品質情報または回線品質差分情報を前記送信データとして基地局に対して通知することを特徴とする。
【0009】
つぎの発明にかかる無線通信装置において、前記受信品質計算手段は、前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはMフレーム平均後の下り個別制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算し、その後、下り個別制御物理チャネルの回線品質情報に基づいて、基地局が下り個別制御物理チャネルにより送信した時と同じ送信パワーで下り時分割物理チャネルによる送信を行った場合の、下り時分割物理チャネルの回線品質情報を計算することを特徴とする。
【0010】
つぎの発明にかかる無線通信装置において、前記受信品質計算手段は、下り時分割物理チャネルで通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対して時間多重でパイロットと制御情報を送信するための下り時分割制御物理チャネル」のパイロットを検波し、当該パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはNフレーム平均後の下り時分割制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算することを特徴とする。
【0011】
つぎの発明にかかる無線通信装置において、前記TPCビット生成手段は、下り時分割物理チャネル用の送信電力制御量を予め決めておき、上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが下り時分割物理チャネル用の送信電力のup/downを指示するための第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが前記第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と前記基準品質に基づいて新たな下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが「基地局が複数の移動局に対して個別にデータと制御情報を送信するための下り個別物理チャネル」用の送信電力のup/downを指示するための第2のTPCビット通知スロットの場合に、下り個別物理チャネル用のTPCビットを生成することを特徴とする。
【0012】
つぎの発明にかかる無線通信装置において、前記TPCビット生成手段は、上り個別物理チャネルフレーム内のすべてのスロットで下り個別物理チャネル用および下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、前記下り時分割物理チャネル用のTPCビットの生成処理においては、自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と上記基準品質に基づいて新たなTPCビットを生成することを特徴とする。
【0013】
つぎの発明にかかる無線通信装置にあっては、下り時分割物理チャネルの受信バースト期間が一定期間にわたる場合は、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする。
【0014】
つぎの発明にかかる無線通信装置にあっては、周期的に、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする。
【0015】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法にあっては、「複数の移動局が基地局に対して個別にデータと制御情報を送信するための上り個別物理チャネル」を用いて「1つの物理チャネルをユーザ毎に時間多重して基地局から複数の移動局に対してデータを送信するための下り時分割物理チャネル」の送信電力を制御する移動局側が、下り時分割物理チャネルのリンク生成時に初期送信電力情報を設定し、当該初期送信電力情報を上り個別物理チャネルの制御で基地局へ通知する第1の送信ステップと、下り時分割物理チャネル非受信期間がnフレーム以上ある場合に、その受信フレームより前に初期送信電力情報を再設定する再設定ステップと、下り時分割物理チャネルによる受信中に、基地局に対して送信電力の上げ下げまたは保持を指示するためのTPCビットを生成するTPCビット生成ステップと、前記再設定後の初期送信電力情報および前記TPCビットを上り個別物理チャネルの1つである「複数の移動局が基地局に対して個別に制御情報を送信するための上り個別制御物理チャネル」にマッピングし、マッピング後の送信データを基地局へ通知する第2の送信ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法にあっては、さらに、下り時分割物理チャネルのリンク生成時に、下り時分割物理チャネル通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対してパイロットを送信するための下り共通パイロットチャネル」または「基地局が複数の移動局に対して個別に制御情報を送信するための下り個別制御物理チャネル」のパイロットを検波する検波ステップと、前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、基地局との下り共通パイロットチャネルまたは下り個別制御物理チャネルを基準とした下り時分割物理チャネルの回線品質情報、または当該回線品質情報と基準品質値との差分(回線品質差分情報)を計算する受信品質計算ステップと、を含み、前記回線品質情報または回線品質差分情報を前記送信データとして基地局に対して通知することを特徴とする。
【0017】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法において、前記受信品質計算ステップでは、前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはMフレーム平均後の下り個別制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算し、その後、下り個別制御物理チャネルの回線品質情報に基づいて、基地局が下り個別制御物理チャネルにより送信した時と同じ送信パワーで下り時分割物理チャネルによる送信を行った場合の、下り時分割物理チャネルの回線品質情報を計算することを特徴とする。
【0018】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法において、前記受信品質計算ステップでは、下り時分割物理チャネル通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対して時間多重でパイロットと制御情報を送信するための下り時分割制御物理チャネル」のパイロットを検波し、当該パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはNフレーム平均後の下り時分割制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算することを特徴とする。
【0019】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法において、前記TPCビット生成ステップでは、下り時分割物理チャネル用の送信電力制御量を予め決めておき、上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが下り時分割物理チャネル用の送信電力のup/downを指示するための第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが前記第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と前記基準品質に基づいて新たな下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが「基地局が複数の移動局に対して個別にデータと制御情報を送信するための下り個別物理チャネル」用の送信電力のup/downを指示するための第2のTPCビット通知スロットの場合に、下り個別物理チャネル用のTPCビットを生成することを特徴とする。
【0020】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法において、前記TPCビット生成ステップでは、上り個別物理チャネルフレーム内のすべてのスロットで下り個別物理チャネル用および下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、前記下り時分割物理チャネル用のTPCビットの生成処理においては、自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と上記基準品質に基づいて新たなTPCビットを生成することを特徴とする。
【0021】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法にあっては、下り時分割物理チャネルの受信バースト期間が一定期間にわたる場合は、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする。
【0022】
つぎの発明にかかる送信電力制御方法にあっては、周期的に、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる無線通信装置および送信電力制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。以降の実施の形態では、一例として、W−CDMA用の無線通信装置について説明する。
【0024】
図1は、本発明にかかる無線通信装置(移動局)の構成を示す図である。図1において、1は複数の基地局から送信される無線信号を受信する受信アンテナであり、2は受信アンテナ1で受信したアナログの無線信号に対して帯域制限を行い、適切なパワーに信号を増幅する受信アナログ部であり、3は受信したアナログ信号の量子化を行ってディジタル信号に変換するA/D変換部(A/D)であり、4は受信したディジタル信号から基地局タイミングやスクランブリングコードを特定するRAKEサーチャであり、5は複数の基地局から送信される無線信号や各基地局のマルチパス波を復調/合成する復調部であり、6は復調後の無線信号をデコードするデコード部であり、7は受信アナログ部2と復調部5から通知される受信情報に基づいて受信品質を計算し、さらに、当該受信品質や当該受信品質と基準品質との品質差を出力する受信品質計算部であり、8は復調後のデータから基準品質情報を抽出して受信品質計算部7に対して基準品質を通知し、受信品質と基準品質との品質差や受信品質、および基地局送信電力制御量を出力する制御部であり、9は受信したチャネル毎の回線品質情報に基づいてTPC(送信電力制御)ビットを生成するTPCビット生成部であり、10は制御部8から通知されるデータや音声データをコーディングするエンコード部であり、11はTPCビット等の制御情報や送信データをフレームにマッピングして変調する送信制御部であり、12は送信制御部11から通知されるディジタルデータをアナログデータに変換するD/A変換部(D/A)であり、13は適切な送信電力になるように送信データのパワーを増幅する送信アナログ部であり、14は増幅された送信データを無線信号として送信する送信アンテナである。なお、TPCbit生成部9の処理についてはデータ制御部8で行うこととしてもよい。
【0025】
ここで、上記のように構成される無線通信装置(移動局)における実施の形態1の送信電力制御方法について説明する。図2は、実施の形態1の送信電力制御方法を示す図である。
【0026】
移動局では、DSCH(1つの物理チャネルをユーザ毎に時間多重して基地局から各移動局へデータを送信するための下り時分割物理チャネル)をopenすることにより、制御部8が初期送信電力を設定する(図2、ステップS1)。なお、DSCHによるパケット伝送方式では、複数の端末で無線リソースを利用することができ、また、送信電力制御も適用できるため、効率的な伝送が可能となる。
【0027】
そして、エンコード部10が初期送信電力を送信データとしてエンコードし、送信制御部11が当該送信データをマッピング/変調し、変調後の送信データをDPCH(データと制御情報を送信するための個別物理チャネル)を用いて基地局へ通知後、移動局の制御部8では、DSCHによる受信フレームまでのバースト(DSCH非受信期間)がnフレーム以上ある場合(ステップS2,Yes)、その受信フレームより前に初期送信電力を設定し直す。また、DSCHのopen時点(DSCHのリンク生成時点)で予めDSCH受信フレームを基地局から通知されている場合は、最初のDSCH受信フレームより数スロットあるいは数フレーム前に初期送信電力を設定する。
【0028】
また、移動局では、DSCHを利用して受信中に(ステップS2,No)、TPCビット生成部9が、基地局に対して送信電力の上げ下げまたは保持を指示するためのTPCビットを生成する(ステップS3)。そして、送信制御部11が、生成されたTPCビットを、DPCHの1つであるDPCCH(制御情報を送信するための個別制御物理チャネル)のTCPビット設定エリアに設定する(ステップS4)。
【0029】
以後、移動局では、DSCHを利用して通信を行っている間(ステップS5,No)、上記動作を繰り返し実行する(ステップS1〜ステップS5)。
【0030】
このように、本実施の形態においては、DPCHに対する送信電力制御に加えて、さらに、DSCHに対する送信電力制御が可能となる。
【0031】
つぎに、移動局がDSCH通信を行う前に初期送信電力を決定する場合の動作について説明する。図3は、移動局がDSCH通信を行う前に初期送信電力を決定する場合の動作を示す図である。
【0032】
移動局では、DSCHのopenによって(図3、ステップS11)、DSCH通信を行う基地局から送信されるCPICH(Common Pilot Channel:基地局が複数の移動局に対してパイロットを送信するための下り共通パイロットチャネル)またはDPCCHのパイロットを所定の手順で検波する。そして、移動局の受信品質計算部7が、当該パイロットの検波結果とAGC(Auto Gain Control)の制御利得から、Nスロット平均後あるいはNフレーム平均後の回線品質情報(Eb/No,Ec/No,Es/No:エネルギー対雑音電力密度比,SIR:希望波受信電力対干渉信号電力比,RSSI:受信信号強度表示,RSCP:希望波受信電力)を計算する(ステップS12)。
【0033】
その後、移動局の受信品質計算部7では、上記回線品質情報から、基地局がDPCCHにより送信した時と同じ送信パワーでDSCHによる送信を行った場合の、DSCHの回線品質情報を計算する(ステップS13)。たとえば、DSCHのEs/Io(Ioは干渉波電力)は、DPCCHのEs/Ioに基づいて、DPCCHの伝送レートとDSCHの伝送レートから求めることができる。なお、上記で求めた回線品質情報とターゲット品質値とを比較し、その差分を求めることとしてもよい。
【0034】
移動局では、基地局とのDPCCHを基準としたDSCHの回線品質情報または回線品質差分情報を、所定の手順で基地局に対して通知する(ステップS14)。これにより、DSCHの初期送信電力を決定することができる。ただし、DPCCHに基づいてDSCHの回線品質差分情報を求める場合は、DPCCHの受信フレーム番号を回線品質情報または回線品質差分情報とともに通知する。
【0035】
このように、本実施の形態では、移動局が基地局に対してDSCH通信前に予めDSCHの回線品質情報または回線品質差分情報を通知する構成としたため、DSCH通信の開始時から適切な回線品質でデータを受信することができる。これにより、送信電力不足による再送要求などのトラヒックを低減することができ、伴ってデータ受信遅延量を大幅に低減することができる。また、送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減でき、伴ってデータ受信遅延量を低減することができる。
【0036】
図4は、受信品質計算部7の詳細構成を示す図である。図4において、21は回線品質計算部であり、受信アナログ部2から通知されるAGC利得と、復調部5から通知される各チャネルのパイロット受信情報と、制御部8から通知される制御情報、に基づいて各チャネルの回線品質を計算する。また、22は品質差計算部であり、回線品質計算部21出力の各チャネルの回線品質と、制御部8出力の各チャネルの基準品質と、を比較し、回線品質と基準品質との品質差を求める。この品質差はTPCビット生成部9と制御部8へ通知する。
【0037】
図5は、上記受信品質計算部7の第1の動作例を示す図である。移動局では、一旦DSCH通信が開始されると、DSCH通信を行う基地局から送信される下りDPCCHのパイロットを検波し、回線品質計算部21が、パイロットの検波結果とAGCの制御利得から、Nスロット平均後またはNフレーム平均後の回線品質情報(Eb/No,Ec/No,Es/No,SIR,RSSI,RSCP)を計算する(図5、ステップS31)。
【0038】
その後、移動局の回線品質計算部21では、DPCCHの回線品質情報から、基地局がDPCCHにより送信した時と同じ送信パワーでDSCHによる送信を行った場合の、DSCHの回線品質情報を計算する(ステップS32)。たとえば、DSCHのEs/Ioは、DPCCHのEs/Ioに基づいて、DPCCHの伝送レートとDSCHの伝送レートから求めることができる。
【0039】
そして、移動局の品質差計算部22では、求めた回線品質情報とターゲット品質値とを比較し、その品質差を計算する(ステップS33)。
【0040】
また、図6は、上記受信品質計算部7の第2の動作例を示す図である。移動局では、一旦DSCH通信が開始されると、DSCH通信を行う基地局から送信されるPSCCCH(Physical Shared Channel Control Channel:基地局が複数の移動局に対して時間多重でパイロットと制御情報を送信するための下り時分割制御物理チャネル)のパイロットを検波し、回線品質計算部21が、パイロットの検波結果とAGCの制御利得から、Nスロット平均後またはNフレーム平均後のPSCCCHの回線品質情報(Eb/No,Ec/No,Es/No,SIR,RSSI,RSCP)を計算する(図6、ステップS41)。
【0041】
そして、移動局の品質差計算部22では、求めた回線品質情報とターゲット品質値とを比較し、その品質差を計算する(ステップS42)。
【0042】
このように、本実施の形態においては、移動局が、基地局に対してDSCH通信中に所要送信電力判定要素(受信品質計算部7の計算結果)を通知する構成としたため、DSCH通信中であっても適切な回線品質でデータを受信することができる。これにより、送信電力不足による再送要求などのトラヒックを低減することができ、伴ってデータ受信遅延量を大幅に低減することができる。また、送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減でき、伴ってデータ受信遅延量を低減することができる。
【0043】
なお、受信品質計算部7については、上記図4の構成に限らず、たとえば、図7に示すように構成してもよく、この場合についても図5または図6に示す動作を行う。図7は、図4とは異なる受信品質計算部7の詳細構成を示す図である。図7において、21aは回線品質計算部であり、受信アナログ部2から通知されるAGC利得と、復調部5から通知される各チャネルのパイロット受信情報と、制御部8から通知される制御情報、に基づいて各チャネルの回線品質を計算する。この回線品質は品質差計算部22aと制御部8へ通知する。また、22aは品質差計算部であり、回線品質計算部21a出力の各チャネルの回線品質と、制御部8出力の各チャネルの基準品質と、を比較し、回線品質と基準品質との品質差を計算する。この品質差は、TPCビット生成部9へ通知する。
【0044】
図8は、TPCビット生成部9の第1の詳細構成を示す図である。図8において、31はup/down判定部であり、DPCH用の品質差の正負判定を行い、受信品質のレベルが基準品質のレベルより高ければ基地局送信電力を下げるように制御し、受信品質のレベルが基準品質のレベルより低ければ基地局送信電力を上げるように制御する。また、32はビット生成部であり、DPCH用のTPCビットの生成処理を行う。TPCビットは、up/down判定部31出力の情報と制御情報により、1ビットまたは2ビットで生成する(詳細は3GPPにて規定)。
【0045】
また、33はup/down判定部であり、DSCH用の品質差の正負判定を行い、up/down判定部31と同様に制御する。up/down判定部33では、DSCH用のTPCビットを2ビットとして用いる場合、下記のような制御を行う。たとえば、制御部8から基地局送信電力制御量を受け取り、品質差の絶対値が基地局送信電力制御量より小さい場合、下記(1)に示すように、送信電力の変更を行わない。一方、品質差の絶対値が基地局送信電力制御量より大きく、かつ受信品質のレベルが基準品質のレベルより高ければ、下記(2)に示すように、基地局送信電力を下げるように制御し、品質差の絶対値が基地局送信電力制御量より大きく、かつ受信品質のレベルが基準品質のレベルより低ければ、下記(3)に示すように、基地局送信電力を上げるように制御する。なお、上記制御は、基地局送信電力制御量に限らず、制御部8から与えられるしきい値を用いることとしてもよい。
【0046】
【0047】
または、
【0048】
34はDSCH用のTPCビットの生成処理を行うビット生成部であり、up/down判定部33出力と制御データから1ビットか2ビットのTPCビットを生成する。たとえば、TPCビットを2値判定する場合は、DPCHと同様に送信電力upか送信電力downの2値構成とする。また、TPCビットの構成は、図9および図10のように表す。なお、この例では、upを1としているが、upとdownの論理を入れ替えてもよい。また、変更なしを1としたが、変更無しと変更ありで論理を入れ替えてもよい。
【0049】
35はセレクタであり、移動局の送信スロット番号と制御データからDPCH向けのTPCビットか、DSCH向けのTPCビットか、を選択し、各スロット番号に応じたTPCビットを送信制御部11へ通知する。
【0050】
図11は、上記TPCビット生成部9の第1の動作例(2値の場合)を示す図である。移動局のTPCビット生成部9では、受け取った回線品質情報および基準品質に基づいてTPCビットを生成する。なお、上りDPCCHのTPCビットを用いた送信電力制御方法においては、予めDSCH用の送信電力制御量を決めておき、DSCH用の送信電力up/downを通知するスロット(TPCビット通知スロット)とDPCCH用の送信電力up/downを通知するスロット(TPCビット通知スロット)とを持つ。
【0051】
W−CDMAにおいてDPCCH上のTPCビットはスロット毎に存在し、上りDPCCH上のTPCビットをDPCH用とDSCH用のTPCビット通知スロットにそれぞれ振り分ける。DSCH用のTPCビット通知スロットは、DPCHのフレームのスロット数(15スロット)との最小公倍数を1周期(Tframe)として、SLOTDSCHおきに割り当てられ、移動局のTPCビット生成部9では、DSCH用のTPCビット通知スロットの場合に(図11、ステップS51,Yes)、DSCH用のTPCビットの生成処理を行う。
【0052】
移動局では、DSCHを用いてバースト的に送信された送信データを受け取り、たとえば、自局宛のDSCHが存在しない場合(ステップS52,No)、TPCビット生成部9では、前回送信したTPCビット値をホールドして送信する(ステップS53)。一方、自局宛のDSCHが存在する場合は(ステップS52,Yes)、受信品質と基準品質とを比較し(ステップS54)、受信品質が基準品質を満たしていない場合(ステップS54,No)、送信電力を上げるようにTPCビットを生成し(ステップS56)、受信品質が基準品質を満たしている場合は(ステップS54,Yes)、送信電力を下げるようにTPCビットを生成する(ステップS55)。ただし、ステップS51の処理において、DSCH用のTPCスロットでない場合(ステップS51,No)、TPCビット生成部9では、DPCHの送信電力制御を行う(ステップS57)。
【0053】
図12は、上記TPCビット生成部9の第2の動作例(3値の場合)を示す図である。TPCビットに、「送信電力を上げる」,「送信電力を下げる」,「パワー変更なし」の3通りの意味を持たせる場合は、上記(1)〜(3)に示すように、受信品質と基準品質との差の絶対値が予め規定したしきい値以上である場合に(図12、ステップS61,Yes)、上記と同様の2値判定を行い(ステップS54)、受信品質と基準品質との差の絶対値がしきい値未満の場合に(ステップS61,No)、送信電力を変更しないようにTPCビットを生成する(ステップS62)。
【0054】
なお、上記の説明では、DSCHのフレーム位置によってDSCH用のTPCビット通知スロットが変わる例を示したが、DPCHフレーム内でDSCH用のTPCビット通知スロットを固定することとしてもよい。この場合、DSCH用のTPCビットは、DSCH用のTPCビット通知スロットに最も近いDSCHの受信結果に基づいて生成される。自局宛のDSCHが存在しない場合は、前回送信したTPCビット値をホールドして送信し続ける。
【0055】
また、1回の基地局送信電力制御量は予め設定しておくこととしてもよい。この場合、基地局送信電力制御量はシステム的に唯一の値でもよいし、移動局の移動速度に応じてn段階に分けて更新してもよい。図13は、TPCビットの生成方法を示す図であり、図14は、TPCビット生成の具体例を示す図である。
【0056】
このように、本実施の形態においては、TPCビット生成部9の処理によって、移動局がDSCH用の送信電力制御をDSCHフレーム単位で行う構成とした。これにより、フェージング等の受信レベル変動に動的に追従できる。また、基地局送信電力が動的にフェージングに追従することによって、基地局送信電力不足による再送要求などのトラヒックを低減でき、伴ってデータ受信遅延量を大幅に低減することができる。また、基地局送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減でき、伴ってデータ受信遅延量を大幅に低減することができる。
【0057】
図15は、TPCビット生成部9の第2の詳細構成を示す図である。図15において、36はup/down判定部であり、DPCH用の品質差の正負判定を行い、受信品質のレベルが基準品質のレベルより高ければ基地局送信電力を下げるように制御し、受信品質のレベルが基準品質のレベルより低ければ基地局送信電力を上げるように制御する。37はビット生成部であり、DPCH用のTPCビットの生成処理を行う。TPCビットはup/down判定部36出力の情報により、1ビットで生成する。
【0058】
また、38はup/down判定部であり、DSCH用の品質差の正負判定を行い、up/down判定部36と同様に制御する。39はDSCH用のビット生成部であり、up/down判定部38出力からTPCビットを生成する。たとえば、自局宛のDSCHが存在する場合は、判定結果によって1か0をTPCビットに割り当てるが、自局宛のDSCHが存在しない場合は、最後に生成した自局宛のTPCビットを割り当てる。または、自局宛のDSCHが存在しない場合、TPCビットを1か0に設定する。
【0059】
図16は、上記TPCビット生成部9の動作例を示す図である。ここでは、上りTPCビットが2ビット構成である場合に、スロット毎にDPCH用およびDSCH用のTPCビットを送信する。
【0060】
上りDPCCHのTPCビットを用いた送信電力制御方法では、DSCH通信時に、上りDPCCHのTPCビットを2ビット構成とし、下りDPCH用のパワーコントロールビットを1ビットとし、DSCH用のパワーコントロールビットを1ビットとし、送信電力のup/downだけを通知する。そして、TPCビットのMSBをDPCH用に、TPCビットのLSBをDSCH用に、あるいは、TPCビットのMSBをDSCH用に、TPCビットのLSBをDPCH用に、それぞれ割り当てることによって、DPCHとDSCHについてスロット毎の制御が可能となる。
【0061】
具体的にいうと、DSCH用のTPCビット通知スロットはスロット毎に存在するので、TPCビット生成部9では、DPCHの回線品質評価を全スロットで行う(図16、ステップS71)。
【0062】
一方、自局宛のDSCHが存在しない場合(ステップS72,No)、TPCビット生成部9では、前回送信したTPCビット値をホールドして送信し続ける(ステップS76)。あるいは、0か1でTPCビットを形式的に埋める。ただし、1回の基地局送信電力制御量は予め設定しておく。この場合、基地局送信電力制御量は、システム的に唯一の値でもよいし、移動局の移動速度に応じてn段階に分けて更新することとしてもよい。また、自局宛のDSCHが存在する場合は(ステップS72,Yes)、図11および図12と同様に2値判定を行う(ステップS54)。
【0063】
このように、本実施の形態においては、TPCビット生成部9の処理によって、移動局がDSCH用の送信電力制御をDSCHスロット単位で行う構成とした。これにより、上記図8と比較して、フェージング等の受信レベル変動に、さらに高速に追従することができる。
【0064】
図17は、制御部8内の品質差および品質情報をエンコード部10へ設定する部分の詳細構成例を示す図である。図17において、41は比較部であり、前回のDSCH送信のフレーム番号(あるいはスロット番号)と次回のDSCH送信のフレーム番号(あるいはスロット番号)とのDSCH送信フレーム差を、バーストしきい値と比較する。また、42はデータ送信制御部であり、DSCH送信フレーム差がバーストしきい値より大きい場合に、次回のDSCH送信のフレームよりnフレーム(あるいはスロット)前に、品質差または品質情報をエンコーダに設定する。
【0065】
図18は、移動局が受信するDSCHの間隔がある一定間隔以上離れている場合の制御部8の初期送信電力設定方法を示す図である。なお、DSCHを用いた通信では、移動局に対してデータがバースト的に送信され、バースト期間は任意に決定される。また、移動局では、DSCHを物理的にopenしていながら受信していない時間が存在する。
【0066】
移動局の制御部8では、基地局が自移動局に対して送信するバースト期間(Tburst)を求め(図18、ステップS81)、このバースト期間が予め設定したしきい値(TH)より長い場合(ステップS82,Yes)、基地局に対して初期送信電力決定要素を再通知するように制御する。なお、初期送信電力決定要素の求め方については、図5に示す方法と同様である。
【0067】
具体的にいうと、移動局では、予め基地局から次回のDSCH送信タイミングを通知されているので、次回のDSCH送信タイミングよりnスロット前に、あるいは、mフレーム前に、基地局に対して初期送信電力決定要素を再通知する(ステップS83)。
【0068】
このように、本実施の形態においては、バースト期間がある一定期間になると、移動局と基地局間の電波伝搬条件が変わってくるため、前回送信したDSCHの送信電力は意味が無くなり、基地局送信電力過多,過少が発生する。そのため、制御部8の処理によって、ある一定バースト期間後に初期送信電力値を更新する構成とした。これにより、基地局が次回の送信時の初期送信電力を適切に決定することが可能になるため、基地局送信電力不足による再送要求などのトラヒックを低減でき、伴ってデータ受信遅延量を低減することができる。また、基地局送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減でき、伴ってデータ受信遅延量を低減することができる。
【0069】
図19は、図17とは異なる、制御部8内の品質差および品質情報をエンコード部10へ設定する部分の詳細構成を示す図である。図19において、51はスロットまたはフレームをカウントするカウンタであり、DSCHを物理的にopenする時に1度だけフレームの先頭または末尾においてクリアされる。また、52は比較部であり、カウンタ51がカウントしたスロット数またはフレーム数をカウントし、カウント値がバースト周期であるかどうかを判断する。また、53はデータ送信制御部であり、比較部52がバースト周期であると判断した場合に、品質差または品質情報をエンコード部10へ設定する。
【0070】
図20は、移動局が基地局に対して周期的に初期送信電力を通知する場合の制御部8の初期送信電力設定方法を示す図である。なお、DSCHを用いた通信では、移動局に対してデータがバースト的に送信され、バースト期間は任意に決定される。また、移動局では、DSCHを物理的にopenしていながら、受信していない時間が存在する。
【0071】
移動局の制御部8では、チャネルオープン後にスロット数かフレーム数をカウントし、予め設定した一定周期(Pburst)毎に(図20、ステップS91)、基地局に対して初期送信電力決定要素を再通知するように制御する(ステップS92)。なお、初期送信電力決定要素の求め方については、図5に示す方法と同様である。
【0072】
このように、本実施の形態においては、制御部8の処理によって、周期的に初期送信電力を更新する構成とした。これにより、基地局が次回の送信時の初期送信電力をさらに適切に決定できる。
【0073】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、DSCHに関する初期送信電力情報およびTPCビットをDPCHの1つであるDPCCHを用いて基地局へ通知する構成とした。これにより、DPCHに対する送信電力制御に加えて、さらに、DSCHに対する送信電力制御を実現することが可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0074】
つぎの発明によれば、移動局が基地局に対してDSCH通信前に予めDSCHの回線品質情報または回線品質差分情報を通知する構成としたため、DSCH通信の開始時から適切な回線品質でデータを受信することができる。これにより、送信電力不足による再送要求などのトラヒックの低減、およびデータ受信遅延量の低減を実現することが可能な無線通信装置を得ることができる。また、送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0075】
つぎの発明によれば、移動局が基地局に対してDSCH通信中に所要送信電力判定要素を通知する構成とした。これにより、DSCH通信中であっても適切な回線品質でデータを受信可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0076】
つぎの発明によれば、移動局が基地局に対してDSCH通信中に所要送信電力判定要素を通知する構成とした。これにより、DSCH通信中であっても適切な回線品質でデータを受信可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0077】
つぎの発明によれば、移動局がDSCH用の送信電力制御をDSCHフレーム単位で行うこととした。これにより、フェージング等の受信レベル変動に動的に追従することが可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0078】
つぎの発明によれば、移動局がDSCH用の送信電力制御をDSCHスロット単位で行う構成とした。これにより、フェージング等の受信レベル変動に、さらに高速に追従することが可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0079】
つぎの発明によれば、バースト期間がある一定期間になると、移動局と基地局間の電波伝搬条件が変わってくるため、ある一定バースト期間後に初期送信電力値を更新する構成とした。これにより、次回の送信時の初期送信電力を適切に決定することが可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0080】
つぎの発明によれば、周期的に初期送信電力を更新する構成とした。これにより、次回の送信時の初期送信電力をさらに適切に決定することが可能な無線通信装置を得ることができる、という効果を奏する。
【0081】
つぎの発明によれば、DSCHに関する初期送信電力情報およびTPCビットをDPCHの1つであるDPCCHを用いて基地局へ通知する構成とした。これにより、DPCHに対する送信電力制御に加えて、さらに、DSCHに対する送信電力制御が可能となる、という効果を奏する。
【0082】
つぎの発明によれば、移動局が基地局に対してDSCH通信前に予めDSCHの回線品質情報または回線品質差分情報を通知することとしたため、DSCH通信の開始時から適切な回線品質でデータを受信することができる。これにより、送信電力不足による再送要求などのトラヒックを低減することができ、伴ってデータ受信遅延量を大幅に低減することができる、という効果を奏する。また、送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減でき、伴ってデータ受信遅延量を低減することができる、という効果を奏する。
【0083】
つぎの発明によれば、移動局が基地局に対してDSCH通信中に所要送信電力判定要素を通知することとした。これにより、DSCH通信中であっても適切な回線品質でデータを受信することができる、という効果を奏する。
【0084】
つぎの発明によれば、移動局が基地局に対してDSCH通信中に所要送信電力判定要素を通知することとした。これにより、DSCH通信中であっても適切な回線品質でデータを受信することができる、という効果を奏する。
【0085】
つぎの発明によれば、移動局がDSCH用の送信電力制御をDSCHフレーム単位で行うこととした。これにより、フェージング等の受信レベル変動に動的に追従できる、という効果を奏する。また、基地局送信電力が動的にフェージングに追従することによって、基地局送信電力不足による再送要求などのトラヒックを低減でき、伴ってデータ受信遅延量を大幅に低減することができる、という効果を奏する。また、基地局送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減でき、伴ってデータ受信遅延量を大幅に低減することができる、という効果を奏する。
【0086】
つぎの発明によれば、移動局がDSCH用の送信電力制御をDSCHスロット単位で行うこととした。これにより、フェージング等の受信レベル変動に、さらに高速に追従することができる、という効果を奏する。
【0087】
つぎの発明によれば、バースト期間がある一定期間になると、移動局と基地局間の電波伝搬条件が変わってくるため、ある一定バースト期間後に初期送信電力値を更新することとした。これにより、基地局が次回の送信時の初期送信電力を適切に決定することが可能になるため、基地局送信電力不足による再送要求などのトラヒックを低減でき、伴ってデータ受信遅延量を低減することができる、という効果を奏する。また、基地局送信電力過多による他セルへの干渉電力を低減することが可能になるため、他セルにおける再送要求量を低減でき、伴ってデータ受信遅延量を低減することができる、という効果を奏する。
【0088】
つぎの発明によれば、周期的に初期送信電力を更新する構成とした。これにより、基地局が次回の送信時の初期送信電力をさらに適切に決定できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる無線通信装置(移動局)の構成を示す図である。
【図2】 実施の形態1の送信電力制御方法を示す図である。
【図3】 移動局がDSCH通信を行う前に初期送信電力を決定する場合の動作を示す図である。
【図4】 受信品質計算部の詳細構成例を示す図である。
【図5】 受信品質計算部の第1の動作例を示す図である。
【図6】 受信品質計算部の第2の動作例を示す図である。
【図7】 受信品質計算部の詳細構成例を示す図である。
【図8】 TPCビット生成部の第1の詳細構成を示す図である。
【図9】 TPCビットの構成を示す図である。
【図10】 TPCビットの構成を示す図である。
【図11】 TPCビット生成部の第1の動作例(2値の場合)を示す図である。
【図12】 TPCビット生成部の第2の動作例(3値の場合)を示す図である。
【図13】 TPCビットの生成方法を示す図である。
【図14】 TPCビット生成の具体例を示す図である。
【図15】 TPCビット生成部の第2の詳細構成を示す図である。
【図16】 TPCビット生成部の動作例を示す図である。
【図17】 制御部内の品質差および品質情報をエンコード部へ設定する部分の詳細構成例を示す図である。
【図18】 移動局が受信するDSCHの間隔がある一定間隔以上離れている場合の制御部の初期送信電力設定方法を示す図である。
【図19】 制御部内の品質差および品質情報をエンコード部へ設定する部分の詳細構成例を示す図である。
【図20】 移動局が基地局に対して周期的に初期送信電力を通知する場合の制御部の初期送信電力設定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 受信アンテナ、2 受信アナログ部、3 A/D変換部(A/D)、4 RAKEサーチャ、5 復調部、6 デコード部、7 受信品質計算部、8 制御部、9 TPCビット生成部、10 エンコード部、11 送信制御部、12D/A変換部(D/A)、13 送信アナログ部、14 送信アンテナ、21,21a 回線品質計算部、22,22a 品質差計算部、31,33,36,38 up/down判定部、32,34,37,39 ビット生成部、35 セレクタ、41,52 比較部、42,53 データ送信制御部、51 カウンタ。
Claims (16)
- 「複数の移動局が基地局に対して個別にデータと制御情報を送信するための上り個別物理チャネル」を用いて「1つの物理チャネルをユーザ毎に時間多重して基地局から複数の移動局に対してデータを送信するための下り時分割物理チャネル」の送信電力を制御する移動局側の無線通信装置において、
下り時分割物理チャネルのリンク生成時に初期送信電力を設定し、その後、下り時分割物理チャネル非受信期間がnフレーム以上ある場合に、その受信フレームより前に初期送信電力を再設定する制御手段と、
下り時分割物理チャネルによる受信中に、基地局に対して送信電力の上げ下げまたは保持を指示するためのTPC(送信電力制御)ビットを生成するTPCビット生成手段と、
前記初期送信電力および前記TPCビットを上り個別物理チャネルの1つである「複数の移動局が基地局に対して個別に制御情報を送信するための上り個別制御物理チャネル」にマッピングし、マッピング後の送信データを基地局へ通知する送信制御手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。 - さらに、下り時分割物理チャネルのリンク生成時に、下り時分割物理チャネル通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対してパイロットを送信するための下り共通パイロットチャネル」または「基地局が複数の移動局に対して個別に制御情報を送信するための下り個別制御物理チャネル」のパイロットを検波する検波手段と、
前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、基地局との下り共通パイロットチャネルまたは下り個別制御物理チャネルを基準とした下り時分割物理チャネルの回線品質情報、または当該回線品質情報とターゲット品質値との差分(回線品質差分情報)を計算する受信品質計算手段と、
を備え、
前記回線品質情報または回線品質差分情報を前記送信データとして基地局に対して通知することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。 - 前記受信品質計算手段は、
前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはMフレーム平均後の下り個別制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算し、
その後、下り個別制御物理チャネルの回線品質情報に基づいて、基地局が下り個別制御物理チャネルにより送信した時と同じ送信パワーで下り時分割物理チャネルによる送信を行った場合の、下り時分割物理チャネルの回線品質情報を計算することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。 - 前記受信品質計算手段は、
下り時分割物理チャネルで通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対して時間多重でパイロットと制御情報を送信するための下り時分割制御物理チャネル」のパイロットを検波し、当該パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはNフレーム平均後の下り時分割制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。 - 前記TPCビット生成手段は、
下り時分割物理チャネル用の送信電力制御量を予め決めておき、
上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが下り時分割物理チャネル用の送信電力のup/downを指示するための第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、
上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが前記第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と前記基準品質に基づいて新たな下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、
上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが「基地局が複数の移動局に対して個別にデータと制御情報を送信するための下り個別物理チャネル」用の送信電力のup/downを指示するための第2のTPCビット通知スロットの場合に、下り個別物理チャネル用のTPCビットを生成することを特徴とする請求項2,3または4に記載の無線通信装置。 - 前記TPCビット生成手段は、
上り個別物理チャネルフレーム内のすべてのスロットで下り個別物理チャネル用および下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、
前記下り時分割物理チャネル用のTPCビットの生成処理においては、
自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、
自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と上記基準品質に基づいて新たなTPCビットを生成することを特徴とする請求項2,3または4に記載の無線通信装置。 - 下り時分割物理チャネルの受信バースト期間が一定期間にわたる場合は、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の無線通信装置。
- 周期的に、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の無線通信装置。
- 「複数の移動局が基地局に対して個別にデータと制御情報を送信するための上り個別物理チャネル」を用いて「1つの物理チャネルをユーザ毎に時間多重して基地局から複数の移動局に対してデータを送信するための下り時分割物理チャネル」の送信電力を制御する移動局側の送信電力制御方法において、
下り時分割物理チャネルのリンク生成時に初期送信電力情報を設定し、当該初期送信電力情報を上り個別物理チャネルの制御で基地局へ通知する第1の送信ステップと、
下り時分割物理チャネル非受信期間がnフレーム以上ある場合に、その受信フレームより前に初期送信電力情報を再設定する再設定ステップと、
下り時分割物理チャネルによる受信中に、基地局に対して送信電力の上げ下げまたは保持を指示するためのTPCビットを生成するTPCビット生成ステップと、
前記再設定後の初期送信電力情報および前記TPCビットを上り個別物理チャネルの1つである「複数の移動局が基地局に対して個別に制御情報を送信するための上り個別制御物理チャネル」にマッピングし、マッピング後の送信データを基地局へ通知する第2の送信ステップと、
を含むことを特徴とする送信電力制御方法。 - さらに、下り時分割物理チャネルのリンク生成時に、下り時分割物理チャネル通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対してパイロットを送信するための下り共通パイロットチャネル」または「基地局が複数の移動局に対して個別に制御情報を送信するための下り個別制御物理チャネル」のパイロットを検波する検波ステップと、
前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、基地局との下り共通パイロットチャネルまたは下り個別制御物理チャネルを基準とした下り時分割物理チャネルの回線品質情報、または当該回線品質情報と基準品質値との差分(回線品質差分情報)を計算する受信品質計算ステップと、
を含み、
前記回線品質情報または回線品質差分情報を前記送信データとして基地局に対して通知することを特徴とする請求項9に記載の送信電力制御方法。 - 前記受信品質計算ステップでは、
前記パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはMフレーム平均後の下り個別制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算し、
その後、下り個別制御物理チャネルの回線品質情報に基づいて、基地局が下り個別制御物理チャネルにより送信した時と同じ送信パワーで下り時分割物理チャネルによる送信を行った場合の、下り時分割物理チャネルの回線品質情報を計算することを特徴とする請求項10に記載の送信電力制御方法。 - 前記受信品質計算ステップでは、
下り時分割物理チャネル通信を行う基地局から送信される「基地局が複数の移動局に対して時間多重でパイロットと制御情報を送信するための下り時分割制御物理チャネル」のパイロットを検波し、当該パイロットの検波結果とAGCの制御利得に基づいて、Nスロット平均後またはNフレーム平均後の下り時分割制御物理チャネルの所定の回線品質情報を計算することを特徴とする請求項10に記載の送信電力制御方法。 - 前記TPCビット生成ステップでは、
下り時分割物理チャネル用の送信電力制御量を予め決めておき、
上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが下り時分割物理チャネル用の送信電力のup/downを指示するための第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、
上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが前記第1のTPCビット通知スロットで、かつ自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と前記基準品質に基づいて新たな下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、
上り個別物理チャネルフレーム内のスロットが「基地局が複数の移動局に対して個別にデータと制御情報を送信するための下り個別物理チャネル」用の送信電力のup/downを指示するための第2のTPCビット通知スロットの場合に、下り個別物理チャネル用のTPCビットを生成することを特徴とする請求項10、11または12に記載の送信電力制御方法。 - 前記TPCビット生成ステップでは、
上り個別物理チャネルフレーム内のすべてのスロットで下り個別物理チャネル用および下り時分割物理チャネル用のTPCビットを生成し、
前記下り時分割物理チャネル用のTPCビットの生成処理においては、
自局宛の下り時分割物理チャネルが存在しない場合に、前回のTPCビット値をホールドし、
自局宛の下り時分割物理チャネルが存在する場合に、前記回線品質と上記基準品質に基づいて新たなTPCビットを生成することを特徴とする請求項10,11または12に記載の送信電力制御方法。 - 下り時分割物理チャネルの受信バースト期間が一定期間にわたる場合は、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一つに記載の送信電力制御方法。
- 周期的に、下り個別制御物理チャネル、下り共通パイロットチャネルまたは下り時分割制御物理チャネルの回線品質情報あるいは回線品質差分情報を、次回の下り時分割物理チャネル受信開始前までに基地局に対して通知することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一つに記載の送信電力制御方法。
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