JP3855008B2 - 酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用する濾紙およびそれを用いて形成される試験片 - Google Patents

酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用する濾紙およびそれを用いて形成される試験片 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用する濾紙に関するものであり、さらに、本発明は、それを用いた液体試料中の特定成分を測定するための試験片に関するものである。
近年、生体成分の臨床化学検査方法においては、検査試薬の保存安定性や取り扱いの点から、特に緊急時や検体数の多い場合に、試薬を乾燥した状態で安定化させた試験片を用いて、測定時に検体によって液層を生じさせ、反応が行われるドライケミストリーシステムが多く見られている。
ドライケミストリーシステムにおいて試薬層の形成は、酸、アルカリ、酵素、色素などの各種試薬をバインダ−とともに溶媒に溶解し成膜する方法、試薬を溶媒に溶解後、多孔性マトリクスに含浸・乾燥する方法等がある。多孔性マトリクスには、濾紙、布、メンブレンフィルター等が挙げられるが、中でも濾紙は、濾過速度が速い、空隙率が高い、無機物質をほとんど含まない等の理由から一般的に多く用いられている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
濾紙の基本構造はβ−グルコースが多数縮合連結して出来たセルロースの縮合体であり、その構造中に水酸基を多数持ち、酸アルコールと反応してエステルやエーテルを生成する。この濾紙中に、酸を含浸する場合、この酸と濾紙(セルロース)中の水酸基とがエステル結合することにより、セルロースを構築しているβ−グルコースの重縮合構造が壊れ、濾紙の物理的構造が崩れる、即ち濾紙としての強度を保持できなくなる現象が起きることがある。この現象は濾紙の乾燥後ただちに起こるものではなく、その保存中に徐々に起こり始めるため、特に酸を含浸させ、乾燥した濾紙を用いる試験片においては、保管中の強度低下が顕著となる。
【0003】
液体試料中の特定成分を測定する試験片において、特に尿中ビリルビンの測定や、尿中亜硝酸塩の測定のように、ジアゾニウム化合物とのジアゾ−カップリング反応による着色により被検化合物を検出する場合は、被検液を酸性にすることにより、尿中アスコルビン酸による妨害を減じ、着色した複合体を安定化させ、該複合体の分子吸光係数を上げて比色感度を高めることは、公知である。従って、尿中ビリルビンの測定や、尿中亜硝酸塩の測定に用いる試験片においては、検体によって液層を生じる際に、被検液を酸性にすることができる成分を含有する必要があり、一般的にはカルボン酸、スルフィン酸、スルホン酸などの有機酸を含浸させているが、このような酸含有状態下あるいは酸性条件下に置かれた場合には、上述のように濾紙としての強度を保持できなくなる現象が起きることがあり、問題となっていた。中でもスルホン酸は、硫酸に匹敵する強酸であるため、このスルホン酸を用いた場合、濾紙の物理的強度に関する安定性は極めて悪くなる。
【0004】
上記問題点を解決するために、従来は、濾紙繊維と強酸が接触しにくいように、強酸と共に親水性又は疎水性バインダー(天然ポリマー、合成ポリマー)を含有させる方法や、熱によって濾紙繊維の分解が促進されることを考慮し、冷蔵保存する方法などがとられてきた。
しかし、濾紙繊維と強酸が接触しにくいように、強酸と共に親水性又は疎水性バインダー(天然ポリマー、合成ポリマー)を含有させる方法は、試験片として使用した場合に、液体浸透速度が遅くなり、再現性の悪化、反応時間の遅延につながる。
また、冷蔵保存する方法は、保管設備の導入が必要になり、設備投資、維持等の費用がかさみ、使用上も不便である。
本発明者等は、鋭意研究の結果、濾紙に下記の一般式で表わされるウレイド化合物を含有させることで、酸含有状態下あるいは酸性条件下に置かれた場合でも濾紙の強度が経時的に維持されることを見出し、本研究を完成させるに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、濾紙に、尿素およびスルホサリチル酸を含有する、酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用することを特徴とする濾紙を、さらに液体試料中の特定成分を測定するための試験片において、少なくとも上記の濾紙を用いて形成される、酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用することを特徴とする試験片を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の濾紙は、尿素、即ち下記の一般
Figure 0003855008
(式中、R1、R2、R3、R4は、水素原子を示す。)で示される化合物(I)を含有する。
【0009】
また、本発明の濾紙は、化合物(I)を含有することにより、酸性条件下での使用において強度安定性が得られるが、使用時に被検液を酸性にすることができる成分を予め含有していてもよい。このような成分は、検液中の酸成分による妨害減少、着色した複合体の安定化、該複合体の比色感度増加等の効果が表れるものであれば特には限定されないが、特にpKa 4以下のものが好ましい。さらに有機酸のような固体酸は含浸工程が容易であり、好ましい。有機酸としては、スルホサリチル酸が用いられる。
【0010】
本発明の濾紙は、液体試料中の特定成分を測定するための試薬を含有させ、試験片として使用することもできる。本発明の濾紙は、特に、被検液を酸性にする必要がある測定のための試験片に対し有効である。液体試料中の特定成分を測定するための試薬は、特に限定はされないが、例えばジアゾニウム化合物とのジアゾ−カップリング反応による着色により被検化合物を検出する測定は、被検液を酸性にする成分を含有する必要があり、本発明の濾紙の使用により、被検液を酸性にする成分を含有しても強度の安定性が損なわれない試験片を得ることができる。このようなジアゾ−カップリング反応を利用する測定には、尿中ビリルビンの測定や、尿中亜硝酸塩の測定が挙げられる。
【0012】
尿中亜硝酸塩の測定に用いる試験片としては、尿素、スルホサリチル酸、 N−1−ナフチルエチレンジアミン2塩酸塩、P−アルサニル酸を含有する濾紙によって形成されるのが好ましい。
【0013】
本発明の濾紙あるいは試験片には、溶媒に、溶液の含浸性を良くするための界面活性剤や、試薬の溶解性を良くするための可溶化剤等の添加剤を加えてもよい。
【0014】
本発明の濾紙あるいは試験片に各成分を含有させる方法は、常法による。即ち、それぞれ所望の量が含有されるよう、可溶な溶媒に溶解して溶液とし、該溶液を濾紙に含浸後、乾燥すれば良い。
各成分は、2以上の成分を同一の溶媒に溶解して含浸してもよいし、それぞれ異なる溶媒に溶解し順次含浸・乾燥を繰り返してもよい。また、同種の溶媒に、別々に溶解し順次含浸・乾燥を繰り返してもよい。さらに、2以上の成分を同一の溶媒に同時に溶解してもよいし、順次添加して溶解してもよい。また、互いに溶解する異なる溶媒に別々に溶解後、混合して溶液とし、含浸しても良い。
【0015】
各成分を溶解する溶媒は、該成分を溶解するのであれば特に限定はされず、水、エタノール等が挙げられる。
【0016】
乾燥方法は、常法により、自然乾燥、温風オーブン等により行う。また、 乾燥工程の前に、ローラー等で濾紙を圧迫し、該濾紙表面上の余分な溶液を除去してもよい。
【0017】
本発明の濾紙に使用する化合物等を含有させるための濾紙とは、一般的に、濾過する目的で特に留意して作られた、基本構造がβ−グルコースが多数縮合連結して出来たセルロースから出来ている紙のことであり、精製綿、精製ボロ、サラシケミカルパルプ等から形成されるものである。
【0018】
本発明の濾紙に使用する化合物等を含有させるための濾紙は、市販されているものを使用でき、濾過用から各種クロマトグラフィー用まで適宜選択できる。また、本発明における濾紙の厚さは、使用する目的、使用方法、含有させる物質等に応じて選択し、特に限定はされないが、例えば、尿中物質の測定用の試験片として用いる場合は、好ましくは100〜800μm、より好ましくは300〜500μmの厚さが良い。
【0019】
本発明の濾紙に含有される化合物(I)と酸の割合、および本発明の試験片に含有される各成分の割合は、各成分の種類、濾紙または試験片の使用目的、使用形態および使用方法によって適宜変化させる。
化合物(I)と被検液を酸性にすることができる成分の割合は、被検液が必要とされるpHとなるように酸性にすることができる成分の量を決定し、その量に応じて化合物(I)の量を決定するのが好ましい。
好ましくは被検液中で、被検液を酸性にすることのできる成分が0.1Nの濃度においてpH3以下を与えるのが、良い。
【0020】
本発明の濾紙または試験片において存在するような、乾燥形態にある化合物(I)と被検液を酸性にすることができる成分の割合の一般的に認められる範囲および好ましい範囲を重量%で表わした表を次に示す。
Figure 0003855008
【0021】
本発明の濾紙を用いた試験片は、実際の分析において取り扱いが容易なように、支持体を有していてもよい。支持体は、液層を保持するために液体不透性であるのが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティックフィルム、不透性の紙、金属箔等が挙げられる。着色反応の測定を支持体側から行う場合は、支持体は透明でなければならない。
【0022】
本発明の濾紙を用いた試験片は、実際の分析において取り扱いが容易なように、最上層に保護層を設けてもよい。保護層は、液体透過性、もしくは液体溶解性であれば、特に限定はされないが、親水性で透明であるのが好ましい。
本発明の濾紙を用いた試験片が、支持体、保護層を含め、2層以上の構成となる場合、積層方法は常法による。即ち、バインダーを使用するもしくは樹脂材で構成される層は、グラビアロール等の任意のコーティング方法を用い、濾紙等の多孔性マトリックスに溶液を含浸する層は、含浸後湿潤状態でラミネートする、あるいは含浸・乾燥後、接着剤等を用いて積層する等の方法が挙げられる。
【0023】
本発明の濾紙を用いた試験片は、各層を積層した後、適当な大きさ、例えば5mm × 5mm程度に裁断し、さらにベースフィルムに両面テープ、接着剤等で固定してもよい。ベースフィルムの材質はポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、特に限定はされない。また、ベースフィルムの形状も特に限定はされないが、ストリップ状の形状が好ましい。
【0024】
以下、試験例および実施例に従ってこの発明をさらにこの発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
試験例1 濾紙の強度の経時変化測定
(1)使用材料
(a)化合物(I)
尿素
カフェイン
(b)溶媒

(c)被検液を酸性にする成分
スルホサリチル酸
(2)試験方法
実施例1、2、および比較例1の各濾紙について、 保管開始時、およびシリカゲルとともにガラス瓶にいれて密栓し、50℃で一定期間加熱保存した後に、強度(単位:g)をピーリングテスター(新東化学製:ヘイドン−17)を用いて測定を行った。
(3)試験結果
試験結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
濾紙の強度の経時変化測定
Figure 0003855008
表1の結果から、実施例1、2、すなわち尿素又はカフェインとスルホサリチル酸とを含有する濾紙の保管開始時の強度は、尿素又はカフェインを含有せず、スルホサリチル酸のみを含有する比較例1の濾紙と同等の強度を有することが分かる。この強度は使用上、全く問題ないものである。
また、加熱保存した場合には、、実施例1、2の濾紙の強度は保存開始時に比べ、大きな変化がないのに対し、比較例1の濾紙は大きく強度が低下していることが分かる。合わせて行った触感評価においても、比較例1は簡単に崩れ落ち、試験片としての応用は不可能であったのに対し、実施例1、2の濾紙は、充分に試験片に応用できるものであると判断出来た。
【0026】
試験例2 尿中のビリルビン測定用試験片の強度の経時変化測定
(1)使用材料
(a)化合物(I)
カフェイン
(b)溶媒

(c)被検液を酸性にする成分
スルホサリチル酸
(d)ビリルビン測定用試薬
2−メチル−5−ニトロアニリン
亜硝酸ナトリウム
(2)試験方法
実施例3、および比較例2の各試験片について、 保管開始時、およびシリカゲルとともにガラス瓶にいれて密栓し、50℃で一定期間加熱保存した後に、強度(単位:g)をピーリングテスター(新東化学製:ヘイドン−17)を用いて測定を行った。
(3)試験結果
試験結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
尿中のビリルビン測定用試験片の強度の経時変化測定
Figure 0003855008
表2の結果から、実施例3、すなわちカフェインを含有するビリルビン測定用試験片の保管開始時の強度は、カフェインを含有しない比較例2の試験片と同等の強度を有することが分かる。この強度は使用上、全く問題ないものである。
また、加熱保存した場合には、、実施例3の試験片の強度は保存開始時に比べ、大きな変化がないのに対し、比較例2の濾紙は大きく強度が低下していることが分かる。合わせて行った触感評価においても、比較例2は簡単に崩れ落ち、試験片としての応用は不可能であったのに対し、実施例3の濾紙は、充分に試験片に応用できるものであると判断出来た。
【0028】
試験例3 尿中の亜硝酸塩測定用試験片の強度の経時変化測定
(1)使用材料
(a)化合物(I)
尿素
(b)溶媒
(第1段含浸液)水
(第2段含浸液) エタノール
(c)被検液を酸性にする成分
スルホサリチル酸
(d)ビリルビン測定用試薬
N−1−ナフチルエチレンジアミン2塩酸塩
P−アルサニル酸
(2)試験方法
実施例4、および比較例3の各試験片について、 保管開始時、およびシリカゲルとともにガラス瓶にいれて密栓し、50℃で一定期間加熱保存した後に、強度(単位:g)をピーリングテスター(新東化学製:ヘイドン−17)を用いて測定を行った。
(3)試験結果
試験結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
尿中の亜硝酸塩測定用試験片の強度の経時変化測定
Figure 0003855008
表3の結果から、実施例4、すなわち尿素を含有する亜硝酸塩測定用試験片の保管開始時の強度は、尿素を含有しない比較例3の試験片と同等の強度を有することが分かる。この強度は使用上、全く問題ないものである。
また、加熱保存した場合には、、実施例4の試験片の強度は保存開始時に比べ、大きな変化がないのに対し、比較例3の濾紙は大きく強度が低下していることが分かる。合わせて行った触感評価においても、比較例3は簡単に崩れ落ち、試験片としての応用は不可能であったのに対し、実施例4の濾紙は、充分に試験片に応用できるものであると判断出来た。
【0030】
試験例4 水溶液中のビリルビン感度の経時変化測定
(1ー1)使用材料
(a)化合物(I)
カフェイン
(b)溶媒

(c)被検液を酸性にする成分
スルホサリチル酸
(d)ビリルビン測定用試薬
2−メチル−5−ニトロアニリン
亜硝酸塩ナトリウム
(1−2)測定対象
ビリルビン水溶液(ビリルビン 5mg/dl)
対照水溶液(ビリルビン 0mg/dl)
*ビリルビン(フナコシ薬品製 BILIRUBIN CONJUGATE(Ditaurate 2Na))
(2)試験方法
実施例3、および比較例2の各試験片を用いて水溶液中のビリルビン感度の経時変化の測定を行った。ビリルビン感度の測定は、水溶液を含浸して1分後の試験紙における、550nmでの反射率測定によって行った。反射率測定には、色差計(日本電色工業製:SZ−90)を用いた。
(3)試験結果
試験結果を表4に示す。
【0031】
【表4】
水溶液中のビリルビン感度の経時変化測定
Figure 0003855008
表4の結果から、実施例3、すなわちカフェインを含有するビリルビン測定用試験片の水溶液中のビリルビンに対する感度は、カフェインを含有しない比較例2の試験片と同等であることが分かる。 また、加熱保存した場合にも、実施例3の試験片の感度は保存開始時に比べて、比較例2の試験片と同様、大きな低下は見られない。従って、試験例2の結果と合わせて、本発明の濾紙を用いたビリルビン測定用試験片は、従来の試験片と比較して、同等の感度をもちながら、強度の低下が改善されていることが分かる。
【0032】
試験例5 水溶液中の亜硝酸塩感度の経時変化測定
(1−1)使用材料
(a)化合物(I)
尿素
(b)溶媒
(第1段含浸液)水
(第2段含浸液) エタノール
(c)被検液を酸性にする成分
スルホサリチル酸
(d)ビリルビン測定用試薬
N−1−ナフチルエチレンジアミン2塩酸塩
P−アルサニル酸
(1−2)測定対象
亜硝酸塩水溶液(亜硝酸塩 1mg/dl)
対照水溶液(亜硝酸塩 0mg/dl)
*亜硝酸塩(ナカライテスク製 亜硝酸ナトリウム)
(2)試験方法
実施例4、および比較3の各試験片を用いて水溶液中の亜硝酸塩感度の経時変化の測定を行った。亜硝酸塩感度の測定は、水溶液を含浸して1分後の試験紙における、550nmでの反射率測定によって行った。反射率測定には、色差計(日本電色工業製:SZ−90)を用いた。
(3)試験結果
試験結果を表5に示す。
【0033】
【表5】
水溶液中の亜硝酸塩感度の経時変化測定
Figure 0003855008
表5の結果から、実施例4、すなわち尿素を含有する亜硝酸塩測定用試験片の水溶液中の亜硝酸塩に対する感度は、尿素を含有しない比較例3の試験片と同等であることが分かる。 また、加熱保存した場合にも、、実施例4の試験片の感度は保存開始時に比べて、比較例3の試験片と同様、大きな低下は見られない。従って、試験例3の結果と合わせて、本発明の濾紙を用いたビリルビン測定用試験片は、従来の試験片と比較して、同等の感度をもちながら、強度の低下が改善されていることが分かる。
【0034】
【実施例】
実施例1
濾紙に成分を含有させるために、
スルホサリチル酸 5.0 g
尿素 2.0 g
精製水 100 ml
を混合して含浸溶液を調製し、この溶液を30cm×30cmに裁断した
濾紙(ワットマン社製クロマトグラフィー用濾紙3MMchr)
に含浸後、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で40℃の温風により30分間乾燥した。
乾燥後、濾紙を5mm×5mmに裁断し、両面接着テープを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに固定して試験例とした。
【0035】
実施例2
濾紙に成分を含有させるために、
スルホサリチル酸 5.0 g
カフェイン 8.0 g
精製水 100 ml
を混合して含浸溶液を調製し、この溶液を30cm×30cmに裁断した
濾紙(ワットマン社製クロマトグラフィー用濾紙3MMchr)
に含浸後、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で40℃の温風により30分間乾燥した。
乾燥後、濾紙を5mm×5mmに裁断し、両面接着テープを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに固定して試験例とした。
【0036】
実施例3
ビリルビン試験紙の作製
濾紙に成分を含有させるために、
2−メチル−5−ニトロアニリン(ナカライテスク製) 100 mg
スルホサリチル酸(ナカライテスク製) 5.0 g
亜硝酸ナトリウム(和光純薬製) 70 mg
カフェイン 8.0 g
精製水 100 ml
を混合して含浸溶液を調製し、この溶液を30cm×30cmに裁断した
濾紙(ワットマン社製クロマトグラフィー用濾紙3MMchr)
に含浸後、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で60℃の温風により45分間乾燥した。
乾燥後、濾紙を5mm×5mmに裁断し、両面接着テープを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに固定して試験例とした。
【0037】
実施例4
亜硝酸塩試験紙の作製
濾紙に成分を含有させるために、
(第1段含浸液)
N−1−ナフチルエチレンジアミン2塩酸塩 40 mg
(ナカライテスク製)
スルホサリチル酸(ナカライテスク製) 5.0 g
尿素 2.0 g
精製水 100 ml
(第2段含浸液)
エタノール 100 ml
p−アルサニル酸(ナカライテスク製) 500 mg
をそれぞれ混合して2種の含浸溶液を調製し、30cm×30cmに裁断した
濾紙(ワットマン社製クロマトグラフィー用濾紙3MMchr)
に第1段含浸液を含浸後、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で60℃の温風により45分間乾燥した。
次に、第2段含浸液を含浸し、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で70℃の温風により10分間乾燥した。
乾燥後、濾紙を5mm×5mmに裁断し、両面接着テープを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに固定して試験例とした。
【0038】
比較例1
濾紙に成分を含有させるために、
スルホサリチル酸 5.0 g
精製水 100 ml
を混合して含浸溶液を調製し、この溶液を30cm×30cmに裁断した
濾紙(ワットマン社製クロマトグラフィー用濾紙3MMchr)
に含浸後、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で40℃の温風により30分間乾燥した。
乾燥後、濾紙を5mm×5mmに裁断し、両面接着テープを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに固定して比較例とした。
【0039】
比較例2
ビリルビン試験紙の作製
濾紙に成分を含有させるために、
2−メチル−5−ニトロアニリン(ナカライテスク製) 100 mg
スルホサリチル酸(ナカライテスク製) 5.0 g
亜硝酸ナトリウム(和光純薬製) 70 mg
精製水 100 ml
を混合して含浸溶液を調製し、この溶液を30cm×30cmに裁断した
濾紙(ワットマン社製クロマトグラフィー用濾紙3MMchr)
に含浸後、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で60℃の温風により45分間乾燥した。
乾燥後、濾紙を5mm×5mmに裁断し、両面接着テープを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに固定して比較例とした。
【0040】
比較例3
亜硝酸塩試験紙の作製
濾紙に成分を含有させるために、
(第1段含浸液)
N−1−ナフチルエチレンジアミン2塩酸塩 40 mg
(ナカライテスク製)
スルホサリチル酸(ナカライテスク製) 5.0 g
精製水 100 ml
(第2段含浸液)
エタノール 100 ml
p−アルサニル酸(ナカライテスク製) 500 mg
をそれぞれ混合して2種の含浸溶液を調製し、30cm×30cmに裁断した
濾紙(ワットマン社製クロマトグラフィー用濾紙3MMchr)
に第1段含浸液を含浸後、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で60℃の温風により45分間乾燥した。
次に、第2段含浸液を含浸し、平板上に置きローラーをかけて濾紙表面の余分な液を除去し、乾燥装置中で70℃の温風により10分間乾燥した。
乾燥後、濾紙を5mm×5mmに裁断し、両面接着テープを用いてポリエチレンテレフタレートフィルムに固定して比較例とした。
【0041】
【発明の効果】
本発明は上述の構成であるので、酸含有状態下あるいは酸性条件下で、経時的に強度を維持し、形状変化や重量減少を生じにくい、安定性に優れた濾紙を提供することができる。特に、本発明の濾紙は、カルボン酸、スルフィン酸、スルホン酸などの有機酸を含有させる場合に有効であるため、被検液を酸性にすることができる成分および試薬成分を含有させて、酸性条件が必要とされる、例えば尿中のビリルビンあるいは亜硝酸塩の測定等の測定用で保管中も安定的に強度を維持できる試験片を得ることができる。また、強度を維持のために含有する化合物は特に尿中の尿素と同一もしくは類似したウレイド化合物であるため、特に尿中の他の成分測定の際には、妨害要因とならず、正確な測定結果を得ることができる。

Claims (3)

  1. 尿素およびスルホサリチル酸を含有することを特徴とする、酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用する濾紙。
  2. 液体試料中の特定成分を測定するための試験片において、請求項1記載の濾紙を用いて形成されることを特徴とする、酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用する試験片。
  3. 尿中の亜硝酸塩を測定するための試験片において、尿素、スルホサリチル酸、 N−1−ナフチルエチレンジアミン2塩酸塩、P−アルサニル酸を含有する濾紙を用いて形成されることを特徴とする、酸含有状態下あるいは酸性条件下で使用する試験片。
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