JP3854832B2 - 高周波電力増幅装置と通信端末 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、近年の携帯端末に用いられ、高い線形性と高い効率が要求される高周波電力増幅装置および、それを用いた通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話に代表される小型通信端末が爆発的に普及しており、その有用性がますます高くなっている。新しい携帯電話のシステムではCDMA(Code Division Multiple Access,符号分割多元接続)方式が用いられるようになり、この通信システムでは、出力電力制御が行われる。
【0003】
このCDMAでは、電力制御精度がシステムの性能に大きく影響するので、高精度な出力制御が必要になる。
【0004】
一方で、送信用電力増幅器は、通信端末内で最大の信号電力を処理するので、送信時の端末電力消費量に占める割合が大きく、携帯電話の通話時間を延ばすためには、出力電力制御時の、各出力電力における送信用電力増幅器の高効率化がきわめて重要な課題となっている。
【0005】
送信用電力増幅器は、シリコン半導体やガリウム砒素等の化合物半導体を用いたバイポーラトランジスタあるいは電界効果トランジスタで構成される。
【0006】
従来、出力電力の制御方法として、特開2000−196387に開示されているように、増幅素子のドレインバイアス電圧を制御する方法がある。
【0007】
この方法では、出力電力はドレイン端の信号電圧振幅と電流振幅の積に比例するが、一方で、増幅器の効率はドレインバイアス電圧に反比例する。したがって、出力電力が小さい(ドレイン端電圧振幅が小さい)ときには、ドレインバイアス電圧を低くするように制御することによって、各出力電力での増幅器の効率は向上する。
【0008】
ただし、増幅素子として用いられる現実の電界効果トランジスタやバイポーラトランジスタでは、ドレイン電圧あるいはコレクタ電圧が低下すると、ドレインあるいはコレクタのバイアス電流が低下し、利得低下や歪みの増大を招いてしまう。また、出力電力に依存して増幅器の利得が変動すると、出力電力の制御誤差が大きくなってしまうという問題も生じる。
【0009】
一方、出力電力の制御誤差を小さくしようとすると、端末の制御回路が複雑化するという問題がある。
【0010】
前記特開2000−196387号公報では、低ドレインバイアス電圧でのドレインバイアス電流の低下を防ぐため、図8に示すように、主増幅器311のドレインバイアス電圧を比較器361で検出して、主増幅器311のゲートバイアス電圧ヘフィードバックしている。これによって、ドレインバイアス電圧が低いときにはゲートバイアス電圧を上げることによって、ドレインバイアス電流を一定とし、歪みの増大を抑制している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例では、前記特開2000−196387号公報中の図4に記載されているように、ドレインバイアス電流を一定に保っても、ドレインバイアス電圧が低下するに従い、増幅器の利得は低下している。このため、制御誤差の増大、あるいは端末制御回路の複雑化の課題が残る。
【0012】
この利得低下は、ドレイン電圧が低下すると、一定のドレインバイアス電流を保っても増幅用電界効果トランジスタ自体の利得が低下してしまうというデバイスの根源的な動作特性に起因するものであり、前記従来例では不可避である。
【0013】
前記従来例において、低ドレインバイアス電圧時にも、利得を一定に保つか、もしくは利得低下を更に抑制しようとすると、低ドレインバイアス電圧時にはバイアス電流を前記一定値よりも大きくする必要がある。
【0014】
しかしながら、増幅器の効率はA級動作よりもAB級あるいはB級の方が高いように、一般にバイアス電流を大きくすると直流消費電流が増加し、効率が低下してしまうという新たな課題が生じる。なお、前記従来例では、増幅素子として電界効果トランジスタが用いられているが、バイポーラトランジスタであっても同様の課題が生じる。
【0015】
そこで、この発明の目的は、前記従来の課題を解決し、低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の利得低下を抑制でき、かつ、効率低下のない高周波電力増幅装置と通信端末を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、この発明の高周波電力増幅装置は、第1の増幅素子とこの第1の増幅素子にコレクタ電圧あるいはドレイン電圧を供給する電圧供給手段とを含む最終段の第1の増幅段と、前記第1の増幅段よりも前段の第2の増幅素子とこの第2の増幅素子の出力を入力側に帰還する負帰還回路とこの負帰還回路の負帰還量を制御する負帰還量制御手段とを含む第2の増幅段とを備える高周波電力増幅装置であって、
前記電圧供給手段は、
前記第1の増幅素子の出力電力に応じて、前記第1の増幅素子へ供給する電圧を前記第1の増幅素子の歪が許容される電圧に制御すると共に、前記第1の増幅素子に供給する電圧の増減に応じた信号を前記負帰還量制御手段へ発信し、
前記負帰還量制御手段は、
前記電圧供給手段から前記信号を受けて、前記負帰還回路の負帰還量を制御することを特徴としている。
【0017】
この発明では、前記負帰還量制御手段は、前記電圧供給手段から入力される電圧に応じて、前記負帰還回路の負帰還量を制御する。これにより、電圧供給手段が増幅素子に供給する電圧(コレクタ電圧あるいはドレイン電圧)の増減に応じて、負帰還量制御手段が負帰還回路の負帰還量を増減させることができる。これにより、低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の利得低下を抑制でき、かつ、効率低下のない高周波電力増幅器となる。
【0018】
また、一参考例の高周波電力増幅装置は、増幅素子を有する複数の増幅段を備え、前記複数の増幅段のうちの少なくともいずれか1つが、前記増幅素子にコレクタ電圧あるいはドレイン電圧を供給する電圧供給手段と、前記増幅素子の出力を入力側に帰還する負帰還回路と、この負帰還回路の負帰還量を制御する負帰還量制御手段とを備える高周波電力増幅装置であって、
前記電圧供給手段は、
前記増幅素子の出力電力に応じて、前記増幅素子へ供給する電圧を前記増幅素子の歪が許容される電圧に制御すると共に、前記増幅素子に供給する電圧の増減に応じた信号を前記負帰還量制御手段へ発信し、
前記負帰還量制御手段は、
前記電圧供給手段から前記信号を受けて、前記負帰還回路の負帰還量を制御する。
【0019】
この参考例の高周波電力増幅装置では、少なくとも1つの増幅段が、前記電圧供給手段と負帰還回路,負帰還量制御手段とを含んでいる。したがって、低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の増幅素子の利得低下を、負帰還量を低減することによって補償でき、複数段の増幅装置全体としての利得を一定に保持できる。
【0020】
この発明では、前記第2の増幅段の負帰還量制御手段は、前記第2の増幅段以外の第1の増幅段が有する電圧供給手段から入力される電圧によって、前記第2の増幅段の負帰還量を制御する。この発明では、増幅素子に供給する電圧を増減することにより高い効率を得られる高効率増幅段である第1の増幅段を、負帰還増幅段である第2の増幅段の後段に設置する。この発明では、前記高効率増幅段を、負帰還増幅段の後段に設置したので、負帰還増幅段よりも消費電力が大きな増幅器の出力電力を制御できるから、消費電力の低減を図れる。
【0021】
また、一実施形態では、高周波電力増幅器の出力電力に応じて、電圧供給手段が増幅素子へ出力する電圧を制御して、この出力電圧を増幅素子の歪が許容される最低の電圧に設定できる。このような出力電圧の制御によって、前記出力電力が小さい場合にも、高周波電力増幅器の高い効率を得ることができる。
【0022】
また、一実施形態の高周波電力増幅装置は、前記高周波電力増幅装置において、前記負帰還量制御手段は、前記負帰還回路の負帰還量を、前記電圧供給手段から入力される電圧の減少に伴なって低減させる。
【0023】
この実施形態では、前記負帰還量制御手段は、前記負帰還回路の負帰還量を、前記電圧供給手段から入力される電圧の減少に伴なって低減させるから、低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の利得低下を抑制でき、かつ、効率低下のない高周波電力増幅装置となる。
【0024】
また、一実施形態の通信端末は、前記高周波増幅装置を備えている。
【0025】
この実施形態では、高周波電力増幅装置における低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の利得低下を制御できるため、単純な制御回路で高精度な出力電力調整が可能となる。また、電力消費量の最も大きな高周波電力増幅器が高効率となるため、長時間の通話や、端末の軽量化が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
(第1の参考例)
図1に、この発明の第1の参考例の高周波電力増幅器100を示すものである。図1に示すように、この高周波電力増幅器100は、信号増幅用の増幅素子1を備えている。この増幅素子1は電界効果トランジスタからなる。なお、電界効果トランジスタに替えて、バイポーラトランジスタとしてもよい。
【0028】
また、この高周波電力増幅器100は、ドレイン電圧供給手段2を有し、このドレイン電圧供給手段2で前記増幅素子1にドレイン電圧を供給する。このドレイン電圧供給手段2は、通信端末に内蔵された電池、あるいはDC/DCコンバータ等の電池の出力電圧変換手段を含んでいる。
【0029】
また、この高周波電力増幅器100は、負帰還回路3を有し、この負帰還回路3は、増幅素子1の負帰還を行う。また、負帰還量制御手段4は、電圧供給手段2から入力され、電圧供給手段2が増幅素子1に供給する電圧に応じて増減する電圧に応じて、前記負帰還回路3の負帰還量を制御する。
【0030】
ここで、電界効果トランジスタからなる前記増幅素子1の利得をGaとし、負帰還回路3の負帰還量をβとすると、前記高周波電力増幅器100の利得Gは、次式(1)で算出される。
【0031】
G=Ga/(1+βGa) … (1)
式(1)において、負帰還回路3の負帰還量βが―定であれば、ドレイン電圧供給手段2が増幅素子1に供給する出力電圧(ドレイン電圧)Vdの低下にともなって、増幅素子1の利得Gaが低下することによって、増幅器100の利得Gも低下する。
【0032】
しかし、この参考例では、ドレイン電圧供給手段2の出力電圧Vdが低下するのに伴なって、電圧供給手段2から負帰還量制御手段4に入力される信号が変化する。これにより、負帰還量制御手段4が負帰還回路3の負帰還量βを制御して、負帰還量βを低減する。したがって、ドレイン電圧供給手段2の出力電圧Vdが低下したときに、増幅器100の利得Gを表す式(1)の右辺の分母である、(1+βGa)の低減量が、βが一定の場合に比べて大きくなる。これによって、利得Gの低下を抑制できる。
【0033】
より望ましくは、ドレイン電圧供給手段2の出力電圧Vdの変化量に対する利得Gの変化量が、次式(2)で表されるように、負帰還量制御手段4を設定すれば、次式(3)が成立する。
【0034】
dG/dVd=Ga2(dβ/dVd) … (2)
dGa/dVd=0 … (3)
これによって、ドレイン電圧供給手段2の出力電圧Vdが低いときでも、前記従来例のようにドレインバイアス電流を増加させることなく、増幅器100の利得Gを一定にすることができる。したがって、増幅器100の効率向上と、出力電力の制御誤差抑制が可能となる。
【0035】
ここで、図2に、図1に示す増幅器100の回路におけるA,B間に接続されている負帰還回路3の具体的構成を示す。この負帰還回路3は、負帰還量制御手段4の制御によって、抵抗値が変化する可変抵抗素子5と、コンデンサ6との直列接続回路で実現できる。このコンデンサ6は、増幅素子1のゲートとドレインのバイアス回路の直流的な結合を阻止するために配置されている。前記直流的な結合が許容できる場合には、コンデンサ6は無くてもよい。
【0036】
なお、図3に示すように、図2の負帰還回路3の可変抵抗5を電界効果トランジスタ7で構成してもよい。この可変抵抗5は、負帰還量制御手段4が出力する制御電圧によって、電界効果トランジスタ7のゲート電圧を制御する。これによって、前記電界効果トランジスタ7のドレイン−ソース間のチャネル抵抗を制御することで、電界効果トランジスタ7を可変抵抗素子とすることができる。
【0037】
この場合、図1に示すドレイン電圧供給手段2から増幅素子1への出力電圧が低くなったときは、このドレイン電圧供給手段2から負帰還量制御手段4へ入力される電圧が低下する。これにより、負帰還量制御手段4から電界効果トランジスタ7へ出力される制御電圧を低くし、可変抵抗素子としての電界効果トランジスタ7のゲート電位を下げることによって、チャネル抵抗を増大させ、負帰還量を低減させる。このことによって、電界効果トランジスタからなる増幅素子1の利得低下を補償し、増幅器100の全体としての利得を一定に保つことができる。
【0038】
なお、図2に示す可変抵抗素子5としては、バイポーラトランジスタのベース−エミッタ接合等のダイオード特性素子を採用してもよい。さらには、バイポーラトランジスタのベースで制御されたコレクタ−エミッタを可変抵抗として採用してもよい。
【0039】
さらには、図2における負帰還回路3において可変抵抗5に換えて可変容量を用いて負帰還量を調整することも可能である。この可変容量としては、逆方向にバイアスしたダイオードなどの接合容量を採用できる。
【0040】
また、負帰還量制御手段4としては、電圧供給手段2から入力された電圧を、単に、抵抗で分割したものや、オペアンプなどを用いて増幅/電圧シフトなどを行ったものを採用することもできる。さらには、負帰還量制御手段4としてマイクロコンピュータを採用して、電圧供給手段2の出力電圧を検知し、その電圧値から、計算によって適切な制御信号を発生させるものなどを採用してもよい。
【0041】
また、電圧供給手段2としては、通信端末に内蔵された電池とDC/DCコンバータや可変抵抗とを用いて、制御信号によって、増幅素子1をなす電界効果トランジスタのドレイン電圧を可変できるようにしたもの採用できる。また、電圧供給手段2としては、複数の電池を直列に接続し、出力点を各電池の各接続点に切り替えて、電圧を可変するようにしたものを採用できる。
この参考例では、電圧供給手段2は、増幅素子1に供給する電圧の増減に応じて、負帰還量制御手段4に入力する電圧を増減させるものとした。
【0042】
次に、図4に、この高周波電力増幅器100でのドレイン電圧を横軸に示し、入力電力を特性43で示し、出力電力を特性42で示し、負帰還量制御電圧を曲線45で示し、増幅器100の利得を特性41で示す。図4に示すように、この高周波電力増幅器100は、ドレイン電圧の高低によらず、増幅器の利得が略一定であり、ドレイン電圧が低い時にも、利得低下を抑制できた。
【0043】
なお、この参考例では、高周波電力増幅器100の出力電力に応じて、電圧供給手段2が電界効果トランジスタからなる増幅素子1のドレイン電圧を制御している。
【0044】
仮に、ドレイン電圧を一定にした場合には、前記出力電力が小さくなるに従って、増幅器100の効率が低下していく。
【0045】
しかし、この参考例では、電圧供給手段2が、高周波電力増幅器100の出力電力に応じて、増幅素子1のドレイン電圧を制御して、このドレイン電圧を増幅器100の歪が許容される最低の電圧に設定する。このような出力電圧に応じたドレイン電圧の制御によって、前記出力電力が小さい場合にも、高い効率を得ることができる。
【0046】
この参考例では、電圧供給手段2が増幅素子1に出力するドレイン電圧が低くなると、負帰還量制御手段4が負帰還回路3に出力する負帰還量制御電圧が低下し、負帰還量が低減することによって、増幅器100の利得が一定に保持される。したがって、入力電力が変化しないなら、電池の消耗などにより、ドレイン電圧が変化しても出力電力は変化しない。このため、出力電力に対する最適なドレイン電圧を容易に設定できる。また、出力電力と入力電力とが1対1の関係を持つので、簡単な制御でもって、出力電力を正確に制御できる。
【0047】
一方、この参考例と異なり、ドレイン電圧の変化によって、増幅器の利得が変化する場合には、増幅器の出力電力に応じた最適なドレイン電圧を設定するために、ドレイン電圧を変更すると、出力電力が変化することとなるので、再度、ドレイン電圧を設定し直すという繰り返し調整が必要となる。
【0048】
したがって、この参考例の高周波電力増幅器は、増幅器に低歪みが要求され、かつ送信電力の制御が行われるCDMAやW−CDMA等の通信端末用高周波電力増幅器に用いると、端末規格を満たしつつ、端末消費電力を低減することが可能となる。
【0049】
また、制御方法として、ドレイン電圧に応じて出力電力を制御する制御方法を採用することも可能である。この制御方法は、ドレイン電圧によって、高周波電力増幅器100の入力電力と負帰還量を制御することによって実現できる。
【0050】
(第2の参考例)
次に、図5に、この発明の第2参考例としての高周波電力増幅装置を示す。この第2参考例の増幅装置は、初段増幅器8と前述の高周波増幅器100と最終段増幅器9の3段の増幅器で構成されている。
【0051】
この第2参考例は、たとえば、送信用電力増幅装置を構成する。送信用電力増幅装置は、その前段のドライバ増幅器の利得との兼ね合いによって、通常複数段で構成されることが一般的であるが、この第2実施形態では、3段増幅器の例としている。
【0052】
高周波電力増幅器100は、初段増幅器8と最終段増幅器9の間に配置されている。電圧供給手段は、増幅器8または9、あるいは増幅器8と9の両者に接続することも可能である。この第2参考例においても、低ドレイン電圧時の増幅素子1の利得低下を、負帰還量を低減することによって補償することで、3段増幅器全体としての利得を一定に保持できる。
【0053】
なお、各増幅段での信号増幅によって、後段ほど扱う信号電力が大きくなるので、増幅段の後段ほど大きなサイズの電界効果トランジスタが用いられるのが一般的であるが、寄生成分の増大によって、トランジスタの利得は低下する。一方、負帰還量の変化による利得の変化量は、トランジスタの利得が高いほど大きくなる。したがって、低ドレイン電圧時のトランジスタの利得低下を負帰還量の変化で補償する観点から見ると、電力増幅器100は、最終段よりも前段の増幅段に用いた方が、利得補償の範囲を広くできる。
【0054】
また、この参考例での増幅器100の利得のドレイン電圧依存性は、図4に示すような一定の特性ではなく、電力増幅器8および9の利得低下分を補償できるように、ドレイン電圧が下がるに従い利得が高くなる特性となる。
【0055】
さらに、図5に示す高周波電力増幅器100の利得のドレイン電圧依存性は一定である必要は無く、電力増幅器100の前段に設置される利得可変アンプやミキサなどが電源電圧の変化によって特性変動する量を補正するように設定することも可能である。
【0056】
なお、この第2参考例を構成する増幅器の段数は2段であってもよいし、3段以上であってもよい。
【0057】
(第1の実施形態)
次に、図6に、この発明の第1の実施形態としての高周波電力増幅装置を示す。この第1実施形態は、前述の第2参考例と同様、3段の電力増幅器からなる。この第1実施形態が、第2参考例と異なる点は、ドレイン電圧供給手段2が最終段増幅器9のドレインバイアス電圧を制御することであり、2段目の負帰還増幅器101の負帰還量は、負帰還量制御手段4が制御する。この負帰還量制御手段4は、前記電圧供給手段2から入力される電圧に応じて、負帰還量を制御する。
【0058】
この第1実施形態のような多段増幅器の出力電力を制御する場合には、後段の増幅器ほど消費電力が大きくなる。したがって、3段増幅器全体としての低消費電力化を達成するには、この第1実施形態のように、少なくとも最終段の増幅器9のドレイン電圧を制御することが効果的である。
【0059】
さらに、この実施形態のように、最終段ではなく、その前段を負帰還回路構成とし、その負帰還量を制御することは、低ドレイン電圧時のトランジスタの利得低下を負帰還量を制御することによって補償する観点から見ると利得補償の範囲が広い。また、この場合には、最終段以外の増幅器のドレイン電圧は一定値であってもよい。
【0060】
なお、この第1実施形態では、増幅素子1を電界効果トランジスタとしたが、バイポーラトランジスタとしてもよい。増幅素子1がバイポーラトランジスタからなる場合であっても、低コレクタ電圧時に利得低下が起こるので、これを補償するために、この発明が有効となる。
【0061】
また、この第1実施形態では、電圧供給手段2の出力電圧が可変である場合について説明したが、電圧供給手段2が通信端末に内蔵された電池のみからなり電圧可変手段を含んでいない場合であっても、この発明を適用できる。
【0062】
すなわち、電池の出力電圧は電池の消費とともに低下するから、従来の高周波増幅器では利得が変化し、出力電力が設定値からずれるという現象が発生する。この場合に、この発明を適用することによって、電池の出力電圧によって負帰還増幅器あるいは多段増幅器に含まれる負帰還増幅段の負帰還量を、この電池の出力電圧によって制御することができ、出力電力が設定値からずれることを防止できる。
【0063】
(第2の実施の形態)
次に、図7に、この発明の第2の実施形態としての通信端末1001を示す。この通信端末1001は、この発明における高周波電力増幅器1002と電圧供給手段1003を有している。また、この通信端末1001は、主電源としてのバッテリ1004を備え、このバッテリ1004が電圧供給手段1003に電力を供給する。また、このバッテリ1004は、通信装置内の各回路部を駆動するがこの点は図示してない。
【0064】
また、この通信端末1001は、アンテナ1011と、デュプレクサ1010と、低雑音増幅器やフィルタ等で構成される受信用RF部1008と、RF(高周波)信号をIF(中間周波)信号に変換する周波数変換部1007を有している。この周波数変換部1007は、交流発振器と2つのミキサを有している。
【0065】
また、この通信端末1001は、IF/ベースバンド部1009と、フィルタ1005とドライバ増幅器1006等からなる送信部RF回路を備える。
【0066】
この通信端末1001において、高周波電力増幅器1002は、所定のアンテナ出力を得るための利得に応じた段数Nの電力増幅器10021,10022,…1002Nで構成されている。
【0067】
この通信端末1001では、ドライバ増幅器1006,高周波電力増幅器1002のうちの少なくともいずれか1つを、前述の第1実施形態としている。
【0068】
また、この通信端末1001では、電圧供給手段1003が電力増幅器1002に、電力増幅器1002を動作させるためのバイアス電圧V1〜VMを供給する。この電力増幅器1002がバイポーラトランジスタで構成される場合は、これらバイアス電圧V1,V2,…VMによって、そのバイポーラトランジスタのベースあるいはコレクタがバイアスされる。
【0069】
前記ドライバ増幅器1006や、電力増幅器1002が構成する送信部は、通信端末1001内で最大の信号電力を扱うので、増幅器の消費電力が大きく、かつ、出力電力制御時の歪も生じやすい。
【0070】
ところが、この第2実施形態では、送信部の電力増幅器1002やドライバ増幅器1006を、前述の第1実施形態の高周波電力増幅器で構成しているので、低歪みで出力電力の制御精度を高くできる。
【0071】
したがって、この第2実施形態の通信装置によれば、低歪み、かつ、低消費電力でもって、所定のアンテナ出力まで送信信号を増幅でき、低消費電力化を達成できる。
【0072】
また、この第2実施形態のごとく、通信端末1001がバッテリ駆動型である場合、バッテリ切れまでの通信時間を伸ばすことが可能となる。また、従来と同一の通信時間であれば、より小型のバッテリを使用することが可能となり、通信端末の小型化あるいは軽量化が可能となる。
【0073】
また、CDMA,W−CDMA,PDC(パーソナルデジタルセルラー),PHS,IMT(インターナショナルモバイルテレコミュニケーション)−2000等の通信システムでは、送信用電力増幅器として、隣接チャネル漏洩電力規格に代表される厳しい低歪み特性が要求される。したがって、このような通信システムに、この第2実施形態の通信端末を使用することによって、送信用電力増幅器の低歪みと高効率の両立が可能となる。
【0074】
さらに、上述のごとく、この第2実施形態によれば、出力電力の制御精度が高く、低歪みで、低消費電力な通信端末1001を実現できる。したがって、通話時間の延長や、通信端末の制御回路の簡素化などが行える。したがって、この発明は、低歪みな出力電力制御が要求されるCDMAやW−CDMA等の方式を採用した通信端末に摘要すると特に効果を発揮する。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、この発明の高周波電力増幅装置では、負帰還量制御手段は、電圧供給手段の出力電圧に応じて、負帰還回路の負帰還量を制御する。これにより、電圧供給手段が増幅素子に供給する電圧(コレクタ電圧あるいはドレイン電圧)の増減に応じて、負帰還量制御手段が負帰還回路の負帰還量を増減させることができる。これにより、低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の利得低下を抑制でき、かつ、効率低下のない高周波電力増幅器となる。
【0076】
また、一実施形態の高周波電力増幅装置は、前記電圧供給手段と負帰還回路,負帰還量制御手段とを含んでいる。したがって、低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の増幅素子の利得低下を、負帰還量を低減することによって補償でき、複数段の増幅装置全体としての利得を一定に保持できる。
【0077】
また、この発明の高周波電力増幅装置では、第2の増幅段の負帰還量制御手段は、第2の増幅段以外の第1の増幅段が有する電圧供給手段が出力する出力電圧によって、第2の増幅段の負帰還量を制御する。この発明では、増幅素子に供給する電圧を増減することにより高い効率を得られる高効率増幅段である第1の増幅段を、負帰還増幅段である第2の増幅段の後段に設置した。この発明では、前記高効率増幅段を、負帰還増幅段の後段に設置したので、負帰還増幅段よりも消費電力が大きな増幅器の出力電力を制御できるから、消費電力の低減を図れる。
【0078】
また、一実施形態では、高周波電力増幅器の出力電力に応じて、電圧供給手段が増幅素子へ出力する電圧を制御して、この出力電圧を増幅素子の歪が許容される最低の電圧に設定できる。このような出力電圧の制御によって、前記出力電力が小さい場合にも、高周波電力増幅器の高い効率を得ることができる。
【0079】
また、一実施形態の高周波電力増幅装置では、負帰還量制御手段が負帰還回路の負帰還量を電圧供給手段の出力電圧の減少に伴なって低減させるから、低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の利得低下を抑制でき、かつ、効率低下のない高周波電力増幅装置となる。
【0080】
また、一実施形態の通信端末は、前記高周波増幅装置を備えていることで、高周波電力増幅器または高周波電力増幅装置における低ドレイン電圧あるいは低コレクタ電圧時の利得低下を制御できるため、単純な制御回路で高精度な出力電力調整が可能となる。また、電力消費量の最も大きな高周波電力増幅器が高効率となるため、長時間の通話や、端末の軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1参考例としての高周波増幅器の構成を示す図である。
【図2】 前記第1参考例の高周波増幅器が有する負帰還回路の構成を示す図である。
【図3】 前記負帰還回路の別の構成を示す図である。
【図4】 前記第1参考例の特性を示す特性図である。
【図5】 この発明の第2参考例としての高周波増幅装置の構成を示す図である。
【図6】 この発明の第1実施形態としての高周波増幅装置の構成を示す図である。
【図7】 この発明の第2実施形態としての通信端末の構成を示す図である。
【図8】 従来例を示す図である。
【符号の説明】
1…増幅素子、2…電圧供給手段、3…負帰還回路、
4…負帰還量制御手段、5…可変抵抗、6…コンデンサ、
7…電界効果トランジスタ、8,9…高周波増幅器、
100…高周波増幅器、200,300…高周波増幅装置。
Claims (3)
- 第1の増幅素子とこの第1の増幅素子にコレクタ電圧あるいはドレイン電圧を供給する電圧供給手段とを含む最終段の第1の増幅段と、前記第1の増幅段よりも前段の第2の増幅素子とこの第2の増幅素子の出力を入力側に帰還する負帰還回路とこの負帰還回路の負帰還量を制御する負帰還量制御手段とを含む第2の増幅段とを備える高周波電力増幅装置であって、
前記電圧供給手段は、
前記第1の増幅素子の出力電力に応じて、前記第1の増幅素子へ供給する電圧を前記第1の増幅素子の歪が許容される電圧に制御すると共に、前記第1の増幅素子に供給する電圧の増減に応じた信号を前記負帰還量制御手段へ発信し、
前記負帰還量制御手段は、
前記電圧供給手段から前記信号を受けて、前記負帰還回路の負帰還量を制御することを特徴とする高周波電力増幅装置。 - 請求項1に記載の高周波電力増幅装置において、
前記負帰還量制御手段は、前記負帰還回路の負帰還量を、前記電圧供給手段から入力される電圧の減少に伴なって低減させることを特徴とする高周波電力増幅装置。 - 請求項1または2に記載の高周波電力増幅装置を備えた通信端末。
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