JP3848847B2 - 結紮具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療における外科手術、特に内視鏡手術において、体内で糸を結ぶのに用いられる結紮具に関する。
【0002】
【従来の技術】
外科手術において、切開部分を小さくすることは、手術後の回復を速めたり、身体に残る手術跡を小さくしたりするために重要視されており、近年、切開部分を極めて小さくできる内視鏡手術が盛んに実施されるようになっている。
こうした内視鏡手術では、身体に設けられた小さな切開口を通じて、施術者が体内の組織や血管を糸で結紮したり、縫合後の糸を結んで固定したりする作業を行う必要があり、こうした体内での糸を結ぶ作業を体外から実施可能とするために結紮具という器具が従来から用いられている。このような従来の結紮具の一例として特公平6−40880号公報に記載されているものがあり、これを図22及び図23に示す。図22は従来の結紮具の概略構成図、図23は従来の結紮具の要部縦断面図である。
【0003】
前記各図に示す従来の結紮具100は、所定の長さの柄101と、この柄101の先端に形成される凹部102と、この凹部102と連通し、凹部102の両側で凹部102の底部より柄101先端側に位置させて配設されるガイド路103とを備える構成である。
この従来の結紮具100による結紮動作を説明する。あらかじめ、別の器具で体内の結紮対象部位(体内組織、血管など)に糸50を掛けて糸50の両端を体外に引出しておく。まず、施術者が体外で糸50に結び目51を作り、この結び目51の両端の糸を凹部102横のガイド路103に掛け、糸50の端部を施術者が保持して結紮具100を押込むと、結び目51に凹部102が接触せずスムーズに糸50がガイド路103を滑りながら、結紮具100先端と共に結び目51がずれていく。このまま結紮具100を体内に挿入し、結び目51を体内の結紮対象部位へ向けてずらしていき、最終的に結紮対象部位まで結び目51を押込んだら、結紮具100をそのまま動かさずに糸50を体外から引張って糸51を結び、結紮対象部位を結紮状態とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の内視鏡手術においては、体の表面に固定して体内に対する結紮具等の器具の挿入や抜取りを容易にするポート(図1参照)が用いられるが、このうち気腹法による内視鏡手術で密閉型のポートを用いる場合、ポートにはガス漏れ防止のためにバルブが内蔵されており、結紮対象部位に掛けられて端部を体外に引出された糸51の途中の部分はバルブに接して曲がった状態となっている。こうしたポートに結紮具100を挿入すると、バルブ付近で糸の曲がりによって両端のガイド路103に掛けた糸50のうち片方がはずれ、凹部102から結び目51がずれて糸の滑りが悪くなる状態になりやすいという課題を有した。また、結紮具100がバルブを押開いてさらにポート内に進入すると、バルブを押戻して閉じようとする力が結紮具100に抵抗として働くが、施術者は糸50の結び目51がずれたために生じた抵抗かバルブの反発力の抵抗かわかりにくく、作業を継続するかどうか正しく判断できない場合があるという課題を有していた。
【0005】
そして、糸50の結び目51のずれを判別できないまま施術者が結紮具100を挿入し続けると、糸50が途中で切れたり、糸50を掛けている結紮対象部位に力が過度に加わって損傷を与える危険性があった。しかし、ポート内で糸50が結紮具100先端から外れた場合、ポート内を目視できないこともあり、再び結紮具100に糸を掛けることは極めて困難であるという課題を有していた。
一方、密閉型のポートを用いる場合、従来の結紮具100の太さは途中で異なっていることから、最大部分を通過させる大きさのポート内には隙間が生じることとなり、気腹ガスが手術中に外部に漏れやすく、内視鏡による視野の確保が困難になって手術中断につながる危険性があるという課題を有していた。
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、糸が先端から外れにくく、且つ外れた場合でも容易に掛けた状態に戻せる先端形状とし、糸の結び目を確実に結紮対象側へずらせることに加え、施術者が容易に結紮作業を行え、作業性を著しく向上させて施術者及び被施術者双方の負担を軽減できる結紮具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る結紮具は、一端から少なくとも所定長さの範囲で太さがほぼ均一な略棒状体で形成される結紮具本体(2)と、当該結紮具本体(2)の一端面から結紮具本体長手方向に所定深さまで穿設される所定形状の先端孔(3)と、前記結紮具本体(2)一端部の前記先端孔(3)を挟む二箇所の側面位置から略直角方向にそれぞれ穿設されて先端孔(3)に連通する所定形状の側面孔(4)とを備え、前記結紮具本体(2)一端部の前記先端孔(3)を囲む略筒状部分における側面孔(4)の一方から他方に至る略半周分の領域が切欠除去されると共に、当該除去部分より結紮具本体(2)の一端面寄りに位置する部分が、少なくとも一部を切欠除去されて、各除去部分を隙間部(5)とされる一方、当該隙間部(5)より結紮具本体(2)の一端面寄りで除去されずに残った部分を二つの突起(6)とされてなり、結ぼうとする所定の糸(50)の両端が前記先端孔(3)及び側面孔(4)にそれぞれ通され、先端孔(3)及び側面孔(4)に対し前記隙間部(5)を通じて前記糸(50)を出し入れ可能とするものである。このように本発明においては、略棒状の結紮具本体先端に先端孔及び側面孔を穿設し、結び目の両端の糸を先端孔から各側面孔にそれぞれ通し、結び目を先端孔内に位置させた状態で糸の端部を保持しつつ施術者が結紮具本体を操作することにより、体内挿入時には各側面孔部分で糸の結び目より端部側の部位が押されて結び目を先端孔内に位置させたままスムーズに糸の結び目を体内側に進められ、逆の体外側に結紮具本体が動いた場合でも側面孔及び先端孔部分の結紮具本体が糸に接して糸を確実に支持でき、結び目のずれや糸の脱落なしにポートを通過させて結紮作業が行えることに加え、結紮具本体先端と共に結び目が動いて結紮対象部位や糸に過大な力がかからず、安全性が向上する。また、結紮具本体の体内挿入部分を長手方向に大きさの変化がない形状とすることにより、ポートの開口の大きさを小さくでき、気腹法による手術の際にガス漏れの割合を低減できる。さらに、先端孔及び側面孔から外部に通じる隙間部が側面孔の間から結紮具本体一端面に至る部分に略T字状に形成され、結紮具本体一端には隙間部と先端孔及び側面孔に囲まれた状態の二つの突起が形成され、施術者が結紮具本体外にある糸を二つの突起の一方又は両方で引っ掛けて隙間部に入れ、糸を先端孔及び側面孔に通す状態に導けることにより、糸が先端孔及び側面孔を通らない状態でも結紮具本体の操作で容易に側面孔及び先端孔に糸を通した状態にすることができ、結紮作業開始前の各孔への糸通し作業や結紮完了時の各孔からの糸外し作業に留まらず、体内での糸結びの際にも糸を結紮具本体先端各孔に対し自由に出し入れして細かい作業を容易且つ適切に行うことができ、体外や体内での作業能率を大幅に向上させられ、施術時間を短縮して施術者及び被施術者双方の負担を軽減できる。
【0007】
また、本発明に係る結紮具は必要に応じて、前記結紮具本体の側面孔に面する内面から結紮具本体他端方向の外側面にかけて面取りして形成され、前記内面と外側面とを滑らかに連続させる凹部を備えるものである。このように本発明においては、結紮具本体の外側面と側面孔内面とを一部連続させる凹部が形成され、側面孔を通った糸が凹部に案内されて結紮具本体外部に達することにより、糸を側面孔からずれにくくして側面孔に確実に保持でき、施術者が糸の端部を保持している状態では結紮具本体先端から糸が外れることはない。加えて、結紮具本体挿入の際には糸が側面孔から結紮具本体外部によりスムーズに進むこととなり、糸と結紮具本体との接触抵抗を低減して挿入を糸のたるみなしに速やかに行える。
【0009】
また、本発明に係る結紮具は必要に応じて、前記結紮具本体が、前記所定長さの範囲で略円筒状に形成され、内部の空間を前記先端孔とされてなるものである。このように本発明においては、結紮具本体の少なくとも所定範囲を略円筒状に形成し、先端孔を円筒内空間とし、ポートを通過して体内へ挿入される部分を横断方向に対称形状とすることにより、ポートと結紮具本体との隙間を小さくすることができ、気腹法による手術の場合にガス漏れの割合を著しく低減できる。
【0011】
また、本発明に係る結紮具は必要に応じて、前記先端孔が少なくとも結紮具本体の側面孔穿設位置より所定の深さだけ結紮具本体他端側に達するまで穿設され、前記先端孔に挿脱可能な所定横断面形状の略筒状体で形成され、前記先端孔内で前記略筒状体先端が少なくとも前記隙間部より結紮具本体他端寄りにある位置から前記隙間部の少なくとも一部を先端孔側から閉鎖して側面孔に通した前記糸の隙間部を通じた側面孔からの離脱を阻止可能となる位置まで結紮具本体長手方向摺動自在に配設される内筒を備えるものである。このように本発明においては、先端孔内に結紮具本体長手方向に所定範囲摺動可能な内筒が配設され、施術者の操作で内筒を隙間部が開放される位置として隙間部を通じた糸の出入りを許容する状態と、隙間部が一部閉鎖される位置として隙間部を通じた糸の出入りを不可能とする状態とを必要に応じて切替可能とすることにより、結紮具本体に対する糸の隙間部を通じた出入りを制御できることとなり、隙間部からの糸の脱落を完全に防いだ状態で結紮具本体の体内への挿入と結紮対象部位へ近寄せる作業がそれぞれ行え、先端孔及び側面孔に糸を通す作業の容易さを維持しながら結紮具本体の体内挿入作業の能率を著しく向上させられ、施術者の作業負担を大幅に軽減できる。
【0012】
また、本発明に係る結紮具は必要に応じて、前記結紮具本体一端側の突起先端部の一方もしくは両方について結紮具本体他端方向に前記隙間部を隔てて対向する位置となる結紮具本体の隙間部に面する端面の所定箇所から外側面にかけて面取りして形成され、前記端面と外側面とを滑らかに連続させる凹部を備えるものである。このように本発明においては、隙間部に面して突起先端位置に対向する結紮具本体端面の所定箇所と外側面とを一部連続させる凹部が形成され、結紮具本体から離れた糸を凹部に沿うように当てると、糸に先端孔側に向おうとする力が加わって糸を突起で引っかけ易い状態となることにより、体内で糸が隙間部から出て一旦結紮具本体から離れた場合でも、施術者の操作で容易に糸を突起で引っかけて隙間部に案内し、先端孔及び側面孔に通した状態に戻すことができ、結紮具本体を一度体内に挿入したらそのまま糸を結ぶまでの作業を体内で継続でき、結紮具本体を体内に対し複数回出し入れして糸を通し直す必要もなくなり、結紮作業を手間取らずにスムーズに進めることができ、施術者にかかる負担を大きく軽減させられる。
【0013】
また、本発明に係る結紮具は必要に応じて、前記結紮具本体に可動状態で取付けられ、前記隙間部の少なくとも一部を閉鎖して前記側面孔に通した前記糸の隙間部を通じた側面孔からの離脱を阻止可能となる位置まで結紮具本体の隙間部に嵌合可能とされてなる開閉体を備えるものである。このように本発明においては、結紮具本体に対し可動となる開閉体が配設され、施術者の操作で開閉体を隙間部が開放される位置として隙間部を通じた糸の出入りを許容する状態と、隙間部が閉鎖される位置として隙間部を通じた糸の出入りを不可能とする状態とを必要に応じて切替え可能とすることにより、隙間部からの糸の脱落を完全に防いだ状態で結紮具本体の体内への挿入と結紮対象部位へ近寄せる作業がそれぞれ行え、施術者の先端孔及び側面孔に対する糸の出し入れ操作の容易さを確保しながら、結紮具による作業の能率を著しく向上させられ、施術者の作業負担を大幅に軽減できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る結紮具を図1ないし図9に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る結紮具の使用状態説明図、図2は本実施の形態に係る結紮具の要部正面図、図3は本実施の形態に係る結紮具の底面図及び要部側面図、図4は本実施の形態に係る結紮具への糸通し状態説明図、図5は本実施の形態に係る結紮具の体内挿入状態説明図、図6は本実施の形態に係る結紮具を用いる糸掛け位置修正動作説明図、図7は本実施の形態に係る結紮具を用いる結紮動作説明図、図8は本実施の形態に係る結紮具を用いる片結び動作前半説明図、図9は本実施の形態に係る結紮具を用いる片結び動作後半説明図である。
【0015】
前記各図に示すように、本実施の形態に係る結紮具1は、太さが均一な略棒状体で形成される結紮具本体2と、この結紮具本体2の一端面から結紮具本体2長手方向に所定深さまで穿設される円形状の先端孔3と、前記結紮具本体2一端部の前記先端孔3を挟む二箇所の側面位置から略直角方向にそれぞれ穿設されて先端孔3に連通する略円形状の側面孔4と、前記結紮具本体2一端部の前記先端孔3及び側面孔4に面する各内面から外側面に至る略T字状の所定部分を切欠除去して配設される隙間部5とを備える構成である。
【0016】
前記結紮具本体2は、一端部で先端孔3に接し且つ側面孔4の一方から他方に至る範囲の周側部が切欠除去されると共に、この除去部分より一端側の部分が、一方の側面孔4寄りの所定範囲で切欠除去され、これら除去された部分を隙間部5とされると共に、前記隙間部5より一端側に除去されずに残った部分が二つのそれぞれ長さの異なる略円弧状の湾曲突起6となる構成である。また、結紮具本体2の側面孔4に面する内面から結紮具本体2他端方向の外側面にかけての面取りで前記内面と外側面とを滑らかに連続させる凹部7が形成される。さらに、後述する片結び作業用として、結紮具本体2一端面の一方の側面孔4近傍所定箇所に凹み状の糸掛け部2aが形成される。
【0017】
これに加えて、結紮具本体2の他端部には、施術者による結紮具1の保持を容易にして結紮操作を行いやすくする柄部10が形成される構成である。この柄部10は、結紮具本体2外周から大きく突出する部分の向きを結紮具本体2一端部の側面孔4や隙間部5の位置と対応させて形成され、柄部10の向きで結紮具本体2一端部の向きが判別可能となっており、結紮具本体2が細径で一端部の各部位置が見にくい場合や結紮具本体2一端部を体内側に挿入して見ることができない場合等においても、施術者が柄部10の向きから側面孔4や隙間部5の位置を把握して作業を行える仕組みである。
【0018】
次に、前記構成に基づく結紮具を用いた結紮作業について説明する。あらかじめ、他の器具で血管等の結紮対象部位に掛けられて引出された糸50に施術者が結び目51を作り、この結び目51より端側の二本の糸50を手に持って上下方向に保持する。この保持している二本の糸50に対し、結紮具1を一端部が下になるようにして立たせ気味にしつつ、一端部の湾曲突起6で二本の糸50をそれぞれ引っ掛けるようにして隙間部5に糸50を入れる(図4(A)参照)と、糸50が隙間部5を通じて先端孔3及び側面孔4を通る状態となる(図4(B)参照)。
【0019】
この後、糸50がたるまないよう糸50端部を引張っている状態で糸50の通った結紮具1を結び目51側に近付けると、結紮具1の一端側各位置と接触する糸50の位置が結び目51側にずれていき、結び目51が結紮具1の先端孔3内に位置し、結紮具1を体内へ挿入可能となる(図5(A)参照)。側面孔4を通った糸50の端部は凹部7に案内されて結紮具1の外部に達し、施術者に保持されることから、糸50は側面孔4からずれにくく、施術者が糸50の端部を保持している状態で側面孔4から糸が外れることはない。施術者は糸50の端部を保持しながら、体の表面に固定されて体内への入口となるポート60に結紮具1を挿入していく(図5(B)参照)。
【0020】
施術者が結紮具1を体内側へ押込んでいくと、スムーズに糸50が側面孔4及び凹部7を滑りながら、結紮具1先端と共に結び目51がずれていく。結紮具1を体内側に動かしている状態では、各側面孔4部分で糸50の結び目51より若干端部側の部位が押され、それにつれて結び目51が先端孔3内に位置したままスムーズに体内側に進む。また、ポート60内のバルブの反力等で体外側に結紮具1が動いてしまうような状態でも、側面孔4及び先端孔3に面する部分の結紮具本体2が糸50に接して糸50を確実に支持でき、ポート60内での結び目51のずれや糸50の脱落を防げると共に、結び目51が確実に結紮具1一端に追随して動くこととなり、結紮対象部位や糸に過大な力が加わることもない。
【0021】
結束具1で結び目51を体内の結紮対象部位へ向けてずらしていき、結紮対象部位に結紮具1の一端が近付いたら(図5(C)参照)、糸50が正確に目的の箇所に掛って結紮可能かどうか目視で確認する。糸50の掛っている箇所がずれていてそのままでは結紮位置もずれそうな場合には、結紮対象部位に対し結紮具1を糸50が側面孔4に通った状態を保ちながら横方向に動かして、糸50の掛る箇所をずらし、結紮対象部位へ正しく糸50が掛った状態に戻す(図6参照)。
最終的に結紮対象部位まで結び目51を押込んだら(図7(A)参照)、結紮具1をそのまま動かさずに糸50を体外から引張って糸51を結び、結紮対象部位を結紮状態とする(図7(B)参照)。結紮対象部位が結紮されたら、結紮具1を結紮対象部位から離す(図7(C)参照)。この後、隙間部5を通じて糸50を結紮具1から外し、結紮具1を体内から引出せばよい。
【0022】
一方、結紮具1を結紮対象部位に押し当てて糸50の両端を引張る両結びが終り、結紮具1を結紮対象部位から離した後(図8(A)参照)、必要に応じ、より短い方の湾曲突起6寄りの側面孔4に通していた糸50が側面孔4から離れる向きに結紮具1を回転させ(図8(B)、(C)参照)、側面孔4に通していた糸50が隙間部5を通って結紮具1から外れるようにする(図9(A)参照)。この外れた方の糸50の端を施術者が手で緩まないよう保持しながら、結紮具1一端部を動かし、結紮具1で保持している方の糸を糸掛け部2aに掛けて脱落を防止しながら結紮対象部位に対して引張った状態にすると、片結びとしてさらに結び目51を絞ることとなり、より確実な結紮状態とすることができる(図9(B)参照)。
【0023】
このように、本実施の形態に係る結紮具においては、結紮具本体2一端に先端孔3及び側面孔4が形成されると共に、先端孔3及び側面孔4から外部に通じる隙間部5が配設され、さらに一端側には長さの異なる二つの湾曲突起6が形成され、結紮対象部位に掛けた糸50の両端を隙間部5を通じて先端孔3及び各側面孔4にそれぞれ通し、結び目51を先端孔内に位置させた状態で糸50の端部を保持しつつ施術者が結紮具本体2を操作して挿入・結紮作業を行うことから、結び目51のずれや糸50の脱落なしにポート60を通過させて体内に挿入でき、速やかに結紮作業が行えることに加え、結紮具本体2先端に追随させて結び目を動かせ、結紮対象部位や糸に過大な力がかからず、安全性も向上する。また、施術者が結紮具本体2外にある糸50を湾曲突起6で引っ掛けて隙間部5に入れ、糸を先端孔3及び側面孔4に通す状態に導けることから、体の内外に関わりなく結紮具本体2の操作で容易に先端孔3及び側面孔4に糸を通した状態にすることができ、結紮作業開始前の各孔への糸通し作業や結紮完了時の各孔からの糸外し作業、並びに体内での糸結びの際にも糸50を各孔に対し自由に出し入れして細かい作業を適切に行うことができ、体内での作業能率を大幅に向上させられ、施術者の負担を軽減できる。さらに、結紮具本体2の体内挿入部分を略円筒状に形成していることから、ポート60の開口の大きさ及びポート60と結紮具本体2との隙間を小さくすることができ、気腹法による手術の場合にガス漏れの割合を著しく低減できる。
【0024】
なお、前記実施の形態に係る結紮具において、結紮具本体2一端面における隙間部5としての切欠除去位置を一方の側面孔4寄りとし、二つの湾曲突起6の長さを異ならせているが、これに限らず、図10に示すように、隙間部5を両側面孔4に対する中間に位置させて一端面を対称形とし、且つ二つの湾曲突起6を同じ長さに形成する構成とすることもでき、糸50が隙間部5からさらに外れにくくなり、施術者が保持している二本の糸50を緩ませない限り、結紮作業中に結紮具本体2先端から糸50が外れるのを防止できる。また、結紮具本体2一端部に隙間部5を設けずに先端孔3と側面孔4のみ配設する構成とすることもでき、糸50の脱落を完全に防止して結び目51を確実に結紮対象部位まで到達させて結紮作業が行えることとなる。
【0025】
また、前記実施形態に係る結紮具においては、結紮具本体2一端部の略T字状の所定部分を切欠除去して隙間部5とし、隙間部5を通じて先端孔3及び側面孔4に糸50を出し入れする構成としているが、この他、図11に示すように、結紮具本体2一端側の湾曲突起6先端部の一方について結紮具本体2他端方向に隙間部5を隔てて対向する位置となる結紮具本体2の隙間部5に面する端面を、所定範囲切り欠くと共に外側面にかけて面取りし、隙間部5を部分的に拡大する構成とすることもでき、前記両結び終了後に片結び動作へ移行する際、側面孔4に通していた糸50を結紮具1から外す動作が隙間部5の拡大でよりスムーズに行えることとなり、作業性が向上する。
【0026】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る結紮具を図12ないし図14に基づいて説明する。図12は本実施の形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図、図13は本実施の形態に係る結紮具を用いる体内での糸通し動作前半説明図、図14は本実施の形態に係る結紮具を用いる体内での糸通し動作後半説明図である。
前記各図に示すように、本実施の形態に係る結紮具1は、前記第1の実施形態同様に、結紮具本体2と、先端孔3と、側面孔4と、隙間部5とを備える一方、異なる点として、結紮具本体2一端側の湾曲突起6先端部の一方について結紮具本体2他端方向に隙間部5を隔てて対向する位置となる結紮具本体2の隙間部5に面する端面の所定箇所から外側面にかけて面取りして形成され、前記端面と外側面とを滑らかに連続させる凹部8を備える構成を有するものである。
【0027】
次に、前記構成に基づく結紮具を用いた結紮作業について説明する。前記第1の実施形態同様、あらかじめ他の器具で結紮対象部位に掛けられて引出された糸50に施術者が結び目51を作り、糸50の両端部を保持する。この保持している二本の糸50に対し、結紮具1を動かし、湾曲突起6で二本の糸50をそれぞれ引っ掛けるようにして隙間部5に糸50を入れると、糸50が隙間部5を通じて先端孔3及び側面孔4を通る状態となる。この後、糸50の結び目51を結紮具1の先端孔3内に位置させ、施術者は糸50の端部を保持しながら、ポート60から結紮具1を体内へ挿入していき、結び目を結紮具1先端と共に体内側に進入させていく。
【0028】
結紮具1を結紮対象部位に近付ける間に、体内で糸50が隙間部5から外れた場合(図13(A)参照)でも、施術者の操作で凹部8を外れた糸50に沿うように当てると(図13(B)参照)、糸50を容易に湾曲突起6で引っかけて隙間部5に入れることができ(図14(A)参照)、先端孔3及び側面孔4に通した状態に戻せる(図14(B)参照)。結紮具1を体内から一旦取出して糸50を各孔に通し直す必要はない。
結紮具1の一端部が結紮対象部位まで到達すると、施術者は結紮具1を結紮対象部位に押し当てた状態で体外の糸50を引張って両結びによる結紮を行う。この両結びの途中で、施術者の手元の糸50が緩んで、結紮具1一端側から糸50が外れてしまった場合でも、前記同様すぐに外れた糸50に凹部8を当てるようにして再度側面孔4側に誘導でき、確実に両結びによる結紮が行える。両結びの後、前記第1の実施形態同様に片結びを行った場合でも、外した方の糸50に凹部8を当てて糸50を隙間部5に入れ、再度糸50を側面孔4に戻して新たに両結びを行うこともできる。
【0029】
このように、本実施の形態に係る結紮具においては、隙間部5に面して湾曲突起6に対向する結紮具本体2端面所定箇所と外側面とを一部滑らかに連続させる凹部8が形成され、結紮具本体2から離れている糸50を凹部8に沿うように当てると、糸50に先端孔3側に向おうとする力が加わって糸50を湾曲突起6で引っかけやすい状態となることから、体内で糸50が隙間部5から外れた場合でも、施術者の操作で容易に糸50を湾曲突起6で引っかけて隙間部5に案内し、先端孔3及び側面孔4に通した状態へ戻すことができ、結紮具1を体内に挿入したらそのまま結紮完了まで作業を体内で継続でき、結紮作業をより短時間で行え、施術者の作業負担を大きく軽減させられる。
【0030】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る結紮具を図15に基づいて説明する。図15は本実施の形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
前図に示すように、本実施の形態に係る結紮具1は、前記第2の実施形態同様に、結紮具本体2と、先端孔3と、側面孔4と、隙間部5と、凹部8とを備える一方、異なる点として、先端孔3が結紮具本体2を長手方向に貫通して穿設され、この先端孔3内に摺動自在に配設される内筒9を備える構成を有するものである。
【0031】
前記内筒9は、先端孔3に挿脱可能な略円筒体で形成され、この略円筒体の先端が複数段状に形成され、略円筒体の最先端部が先端孔3内で隙間部5より結紮具本体2他端寄りにある位置から、隙間部5のうち両側面孔4に挟まれる部分を先端孔3側から閉鎖する位置まで結紮具本体2長手方向摺動自在に配設される構成である。この内筒9の結紮具本体2に対する動作は、結紮具本体2の他端側から施術者による操作でなされる仕組みである。なお、この内筒9を結紮具本体2他端方向へ付勢する所定の付勢手段を結紮具本体2内に配設することもでき、内筒9は結紮具本体2の他端側から施術者による一端方向への押圧操作で隙間部5を閉鎖状態とする一方、施術者から押圧解除されると付勢により隙間部5を開放することから、施術者が片手で容易に隙間部5の開閉操作を行えることとなる。
【0032】
次に、前記構成に基づく結紮具を用いた結紮作業について説明する。前記第2の実施形態同様、あらかじめ他の器具で結紮対象部位に掛けられて引出された糸50に施術者が結び目51を作り、糸50の両端部を保持する。そして、施術者は結紮具1内の内筒9をその先端が隙間部5を閉じずに開放する位置となるように保持しながら、二本の糸50端部に対し、結紮具1を動かして一端部の凹部8を糸50に沿うように当てると、糸50に先端孔3側に向おうとする力が加わって糸50を湾曲突起で引っかけ易い状態となり、そのまま湾曲突起6で二本の糸50をそれぞれ引っ掛けるようにして隙間部5に糸50を入れると、糸50が隙間部5を通じて先端孔3及び側面孔4を通る状態となる。
【0033】
糸50が側面孔4に通ったら、施術者は結紮具1内の内筒9を結紮具1一端方向に動かし、内筒9先端部が隙間部5の両側面孔4に挟まれる部分を先端孔3側から閉鎖する。隙間部5が一部閉じられることで、糸50を側面孔4から外側に外れない状態に維持できる。この後、前記第2の実施形態同様、糸50の結び目51を結紮具1の先端孔3内に位置させ、施術者は糸50の端部を保持しながら、ポート60から結紮具1を体内へ挿入していき、結び目51を結紮具1先端と共に体内側に進入させていく。
結紮具1の一端部が結紮対象部位まで到達したら、施術者は結紮具1を結紮対象部位に押し当てた状態で体外の糸50を引張って両結びによる結紮を行い、結んだ後、結紮具1内の内筒9を結紮具1他端方向に動かして隙間部5を開放した状態に保持し、結紮具1一端側から糸50を外せるようにする。この後、必要に応じて、前記第1の実施形態同様に片結びを行うこともできる。
【0034】
このように、本実施の形態に係る結紮具においては、先端孔3内に結紮具本体2長手方向に所定範囲摺動可能な内筒9が配設され、施術者の操作で内筒9を隙間部5が開放される位置として隙間部5を通じた糸50の出入りを許容する状態と、隙間部5が一部閉鎖される位置として隙間部5を通じた糸50の出入りを不可能とする状態とを必要に応じて切替られることから、隙間部5からの糸50の脱落を完全に防いだ状態で結紮具本体2の体内への挿入と結紮対象部位へ近寄せる作業がそれぞれ行え、施術者の先端孔3及び側面孔4に対する糸50の出し入れ操作の容易さを確保しながら、結紮具1の体内挿入作業の能率を著しく向上させられ、施術者の作業負担を大幅に軽減できる。
【0035】
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る結紮具を図16に基づいて説明する。図16は本実施の形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
前図に示すように、本実施の形態に係る結紮具1は、前記第1の実施形態同様に、結紮具本体2と、先端孔3と、側面孔4と、隙間部5とを備える一方、異なる点として、結紮具本体2に摺動自在に配設されて隙間部5を開閉する開閉体11を備える構成を有するものである。
【0036】
前記開閉体11は、結紮具本体2と組合わせると略円柱状となる略カマボコ状体で形成され、先端が複数段状に形成され、この先端部が結紮具本体2一端の湾曲突起6から離れて隙間部5が開放状態となる位置から、隙間部5に嵌り込んで隙間部5を閉鎖する位置まで結紮具本体2長手方向摺動自在に配設される構成である。この開閉体11の結紮具本体2に対する動作は、結紮具本体2の他端側から施術者による操作でなされる仕組みである。なお、この開閉体11を結紮具本体2他端方向へ付勢する所定の付勢手段を結紮具本体2と開閉体11間に配設することもでき、開閉体11は結紮具本体2の他端側から施術者による一端方向への押圧操作で隙間部5を閉鎖状態とする一方、施術者から押圧解除されると付勢により隙間部5を開放することから、施術者が片手で容易に隙間部5の開閉操作を行えることとなる。
【0037】
次に、前記構成に基づく結紮具を用いた結紮作業について説明する。前記第1の実施形態同様、あらかじめ他の器具で結紮対象部位に掛けられて引出された糸50に施術者が結び目51を作り、糸50の両端部を保持する。そして、施術者は結紮具1における開閉体11をその先端が隙間部5を閉じずに開放する位置となるように保持しながら、二本の糸50端部に対し、結紮具1を動かして湾曲突起6で二本の糸50をそれぞれ引っ掛けるようにして隙間部5に糸50を入れると、糸50が隙間部5を通じて先端孔3及び側面孔4を通る状態となる。
糸50が側面孔4に通ったら、施術者は結紮具1の開閉体11を結紮具1一端方向にスライドさせ、開閉体11先端部で隙間部5を閉鎖する。隙間部5が閉じられることで、糸50を側面孔4から外側に外れない状態に維持できる。この後、前記第1の実施形態同様、糸50の結び目51を結紮具1の先端孔3内に位置させ、施術者は糸50の端部を保持しながら、ポート60から結紮具1を体内へ挿入していき、結び目51を結紮具1先端と共に体内側に進入させていく。
【0038】
結紮具1の一端部が結紮対象部位まで到達したら、施術者は結紮具1を結紮対象部位に押し当てた状態で体外の糸50を引張って両結びによる結紮を行い、結んだ後、結紮具1内の開閉体11を結紮具1他端方向にスライドさせて隙間部5を開放した状態に保持し、結紮具1一端側から糸50を外せるようにする。この後、必要に応じて、前記第1の実施形態同様に片結びを行うこともできる。
このように、本実施の形態に係る結紮具においては、結紮具本体2長手方向に所定範囲摺動可能な開閉体11が配設され、施術者の操作で開閉体11を隙間部5が開放される位置として隙間部5を通じた糸50の出入りを許容する状態と、隙間部5が閉鎖される位置として隙間部5を通じた糸50の出入りを不可能とする状態とを必要に応じて切替られることから、隙間部5からの糸50の脱落を完全に防いだ状態で結紮具本体2の体内への挿入と結紮対象部位へ近寄せる作業がそれぞれ行え、施術者の先端孔3及び側面孔4に対する糸50の出し入れ操作の容易さを確保しながら、結紮具1による作業の能率を著しく向上させられ、施術者の作業負担を大幅に軽減できる。
【0039】
なお、前記実施の形態に係る結紮具においては、開閉体11を結紮具本体2に対しスライドさせて隙間部5を開閉する構成としているが、これに限らず、図17に示すように、開閉体11を結紮具本体2所定位置に枢着して結紮具本体2に対し揺動可能に配設し、且つ結紮具本体2の他端側からの遠隔操作で開閉体11を動かして隙間部5を開閉する構成とすることもでき、前記実施形態同様に、施術者の操作で隙間部5を通じた糸50の出入りを許容する状態と出入り不可能とする状態とを必要に応じて切替られ、結紮具1による作業の能率を高められることに加え、開閉体11と結紮具本体2で糸50等を挟むなど公知の鉗子同様に用いることもでき、使い勝手をさらに向上させられる。
【0040】
また、前記第1ないし第3の各実施の形態に係る結紮具においては、結紮具本体2先端部には先端孔3が先端部の大部分を占める形状で穿設される構成としているが、これに限らず、図18に示すように、先端孔3の割合を小さくし、結紮具本体2の先端に体内組織との接触面積を確保するために所定の大きさ以上の先端面を形成する構成とすることもでき、内視鏡手術で体表での切開をより小さくして被施術者の体への負担を少なくして施術可能とするために一層の細径化が求められている結紮具を、単に細くしただけでは体内組織との接触時に刺さり易くなるなど危険であるものの、細径化と同時に先端面を所定の大きさに形成することで、接触時の安全性を確保できる。また、図19に示すように、先端面の大きさと共に、隙間部5を通じて先端孔3及び側面孔4に糸50を通す作業の行い易さを考慮した先端形状とすることもできる。さらに、図20に示すように、前記第1の実施形態同様に糸通しから結紮までの作業における使い勝手の良さを確保しつつ、先端面の大きさを増やして安全性も両立させた先端形状とすることもできる。
【0041】
また、前記第1ないし第3の各実施の形態に係る結紮具においては、結紮具本体2を一様な太さの略棒状体とし、一端から先端孔3を穿設する構成としているが、これに限らず、結紮具本体2を円筒体とし、円筒体内側部分をそのまま先端孔3として用いる構成とすることもでき、前記各実施形態同様に糸通しから結紮までの作業における使い勝手の良さを確保しつつ、構造を簡略化でき、製造も容易で低コスト化が図れる。
さらに、前記第1及び第2の各実施の形態に係る結紮具において、結紮具本体2の一端側は常に外部に露出した構成となっているが、これに限らず、図21に示すように、結紮具本体2外側に略筒状の外筒12を配設し、この外筒12を結紮具本体2外側における少なくとも隙間部5より結紮具本体2他端寄りにある位置から隙間部5を外部から閉鎖する位置まで摺動自在とする構成とすることもできる。
【0042】
このような構成によれば、施術者の操作で外筒12を隙間部5が開放される位置として隙間部5を通じた糸50の出入りを許容する状態と、隙間部5が閉鎖される位置として隙間部5を通じた糸50の出入りを不可能とする状態とを必要に応じて切替られることから、側面孔4に通した糸50の隙間部5からの脱落を完全に防いだ状態で結紮具本体2の体内への挿入と結紮対象部位へ近寄せる作業がそれぞれ行え、施術者の先端孔3及び側面孔4に対する糸50の出し入れ操作の容易さを確保しながら、結紮具1による作業の能率を著しく向上させられ、施術者の作業負担を大幅に軽減できる。
これに加え、図21に示すように、結紮具本体2の湾曲突起6と隙間部5を隔てて対向する部分を所定範囲面取りしており、湾曲突起6で糸50を引っ掛けるようにして隙間部5経由で糸50を先端孔3及び側面孔4に通す一連の操作も容易に行えることとなる。また、外筒12を隙間部5が閉鎖される位置とすれば、湾曲突起6も外筒12で覆うことができ、結紮具1を体内から引上げる際における湾曲突起6のポート60内バルブ等への引っかかりを防止でき、湾曲突起6を確実に保護できる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、略棒状の結紮具本体先端に先端孔及び側面孔を穿設し、結び目の両端の糸を先端孔から各側面孔にそれぞれ通し、結び目を先端孔内に位置させた状態で糸の端部を保持しつつ施術者が結紮具本体を操作することにより、体内挿入時には各側面孔部分で糸の結び目より端部側の部位が押されて結び目を先端孔内に位置させたままスムーズに糸の結び目を体内側に進められ、逆の体外側に結紮具本体が動いた場合でも側面孔及び先端孔部分の結紮具本体が糸に接して糸を確実に支持でき、結び目のずれや糸の脱落なしにポートを通過させて結紮作業が行えることに加え、結紮具本体先端と共に結び目が動いて結紮対象部位や糸に過大な力がかからず、安全性が向上するという効果を奏する。また、結紮具本体の体内挿入部分を長手方向に大きさの変化がない形状とすることにより、ポートの開口の大きさを小さくでき、気腹法による手術の際にガス漏れの割合を低減できるという効果を有する。
【0044】
また、本発明によれば、結紮具本体の外側面と側面孔内面とを一部連続させる凹部が形成され、側面孔を通った糸が凹部に案内されて結紮具本体外部に達することにより、糸を側面孔からずれにくくして側面孔に確実に保持でき、施術者が糸の端部を保持している状態では結紮具本体先端から糸が外れることはないという効果を有する。さらに、結紮具本体挿入の際には糸が側面孔から結紮具本体外部によりスムーズに進むこととなり、糸と結紮具本体との接触抵抗を低減して挿入を糸のたるみなしに速やかに行えるという効果を有する。
【0045】
また、本発明によれば、結紮具本体一端部に先端孔及び側面孔から外部に通じる隙間部が形成され、隙間部を通じて糸を先端孔及び側面孔に対し出し入れ自在とすることにより、結紮作業開始前の先端孔及び側面孔への糸通し作業や結紮完了時の各孔からの糸外し作業が能率良く行え、施術時間を短縮でき、施術者及び被施術者双方の負担を軽減できるという効果を有する。
また、本発明によれば、結紮具本体の少なくとも所定範囲を略円筒状に形成し、先端孔を円筒内空間とし、ポートを通過して体内へ挿入される部分を横断方向に対称形状とすることにより、ポートと結紮具本体との隙間を小さくすることができ、気腹法による手術の場合にガス漏れの割合を著しく低減できると共に、構造を簡略化でき、製造も容易で低コスト化が図れるという効果を有する。
【0046】
また、本発明によれば、隙間部が側面孔の間から結紮具本体一端面に至る部分に略T字状に形成され、結紮具本体一端には隙間部と先端孔及び側面孔に囲まれた状態の二つの突起が形成され、施術者が結紮具本体外にある糸を二つの突起の一方又は両方で引っ掛けて隙間部に入れ、糸を先端孔及び側面孔に通す状態に導けることにより、糸が先端孔及び側面孔を通らない状態でも結紮具本体の操作で容易に側面孔及び先端孔に糸を通した状態にすることができ、結紮作業開始前の各孔への糸通し作業や結紮完了時の各孔からの糸外し作業に留まらず、体内での糸結びの際にも糸を結紮具本体先端各孔に対し自由に出し入れして細かい作業を容易且つ適切に行うことができ、体内での作業能率を大幅に向上させられるという効果を有する。
【0047】
また、本発明によれば、先端孔内に結紮具本体長手方向に所定範囲摺動可能な内筒が配設され、施術者の操作で内筒を隙間部が開放される位置として隙間部を通じた糸の出入りを許容する状態と、隙間部が一部閉鎖される位置として隙間部を通じた糸の出入りを不可能とする状態とを必要に応じて切替可能とすることにより、結紮具本体に対する糸の隙間部を通じた出入りを制御できることとなり、隙間部からの糸の脱落を完全に防いだ状態で結紮具本体の体内への挿入と結紮対象部位へ近寄せる作業がそれぞれ行え、先端孔及び側面孔に糸を通す作業の容易さを維持しながら結紮具本体の体内挿入作業の能率を著しく向上させられ、施術者の作業負担を大幅に軽減できるという効果を有する。
【0048】
また、本発明によれば、隙間部に面して突起先端位置に対向する結紮具本体端面の所定箇所と外側面とを一部連続させる凹部が形成され、結紮具本体から離れた糸を凹部に沿うように当てると、糸に先端孔側に向おうとする力が加わって糸を突起で引っかけ易い状態となることにより、体内で糸が隙間部から出て一旦結紮具本体から離れた場合でも、施術者の操作で容易に糸を突起で引っかけて隙間部に案内し、先端孔及び側面孔に通した状態に戻すことができ、結紮具本体を一度体内に挿入したらそのまま糸を結ぶまでの作業を体内で継続でき、結紮具本体を体内に対し複数回出し入れして糸を通し直す必要もなくなり、結紮作業を手間取らずにスムーズに進めることができ、施術者にかかる負担を大きく軽減させられるという効果を有する。
【0049】
また、本発明によれば、結紮具本体に対し可動となる開閉体が配設され、施術者の操作で開閉体を隙間部が開放される位置として隙間部を通じた糸の出入りを許容する状態と、隙間部が閉鎖される位置として隙間部を通じた糸の出入りを不可能とする状態とを必要に応じて切替え可能とすることにより、隙間部からの糸の脱落を完全に防いだ状態で結紮具本体の体内への挿入と結紮対象部位へ近寄せる作業がそれぞれ行え、施術者の先端孔及び側面孔に対する糸の出し入れ操作の容易さを確保しながら、結紮具による作業の能率を著しく向上させられ、施術者の作業負担を大幅に軽減できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る結紮具の使用状態説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る結紮具の要部正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る結紮具の底面図及び要部側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る結紮具への糸通し状態説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る結紮具の体内挿入状態説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る結紮具を用いる糸掛け位置修正動作説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る結紮具を用いる結紮動作説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る結紮具を用いる片結び動作前半説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る結紮具を用いる片結び動作後半説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る他の結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る別の他の結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る結紮具を用いる体内での糸通し動作前半説明図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る結紮具を用いる体内での糸通し動作後半説明図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る他の結紮具の要部側面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
【図19】本発明の別の他の実施形態に係る結紮具の要部正面図及び底面図並びに要部側面図である。
【図20】本発明のさらに他の実施形態に係る結紮具の底面図及び要部側面図である。
【図21】本発明のさらに別の他実施形態に係る結紮具の要部正面図及び要部側面図並びに隙間部閉鎖状態の要部側面図である。
【図22】従来の結紮具の概略構成図である。
【図23】従来の結紮具の要部縦断面図である。
【符号の説明】
1、100 結紮具
2 結紮具本体
2a 糸掛け部
3 先端孔
4 側面孔
5 隙間部
6 湾曲突起
7 凹部
8 凹部
9 内筒
10 柄部
11 開閉体
12 外筒
50 糸
51 結び目
60 ポート
101 柄
102 凹部
103 ガイド路
Claims (6)
- 一端から少なくとも所定長さの範囲で太さがほぼ均一な略棒状体で形成される結紮具本体(2)と、
当該結紮具本体(2)の一端面から結紮具本体長手方向に所定深さまで穿設される所定形状の先端孔(3)と、
前記結紮具本体(2)一端部の前記先端孔(3)を挟む二箇所の側面位置から略直角方向にそれぞれ穿設されて先端孔(3)に連通する所定形状の側面孔(4)とを備え、
前記結紮具本体(2)一端部の前記先端孔(3)を囲む略筒状部分における側面孔(4)の一方から他方に至る略半周分の領域が切欠除去されると共に、当該除去部分より結紮具本体(2)の一端面寄りに位置する部分が、少なくとも一部を切欠除去されて、各除去部分を隙間部(5)とされる一方、当該隙間部(5)より結紮具本体(2)の一端面寄りで除去されずに残った部分を二つの突起(6)とされてなり、
結ぼうとする所定の糸(50)の両端が前記先端孔(3)及び側面孔(4)にそれぞれ通され、
先端孔(3)及び側面孔(4)に対し前記隙間部(5)を通じて前記糸(50)を出し入れ可能とすることを特徴とする結紮具。 - 前記請求項1に記載の結紮具において、
前記結紮具本体(2)の側面孔(4)に面する内面から結紮具本体他端方向の外側面にかけて面取りして形成され、前記内面と外側面とを滑らかに連続させる凹部(7)を備えることを特徴とする結紮具。 - 前記請求項1又は2に記載の結紮具において、
前記結紮具本体(2)が、前記所定長さの範囲で略円筒状に形成され、内部の空間を前記先端孔(3)とされてなることを特徴とする結紮具。 - 前記請求項1ないし3のいずれかに記載の結紮具において、
前記先端孔(3)が少なくとも結紮具本体(2)の側面孔(4)穿設位置より所定の深さだけ結紮具本体(2)他端側に達するまで穿設され、
前記先端孔(3)に挿脱可能な所定横断面形状の略筒状体で形成され、前記先端孔内で前記略筒状体先端が少なくとも前記隙間部(5)より結紮具本体他端寄りにある位置から前記隙間部(5)の少なくとも一部を先端孔側から閉鎖して側面孔(4)に通した前記糸(50)の隙間部(5)を通じた側面孔(4)からの離脱を阻止可能となる位置まで結紮具本体長手方向摺動自在に配設される内筒(9)を備えることを特徴とする結紮具。 - 前記請求項1ないし4のいずれかに記載の結紮具において、
前記結紮具本体(2)の前記突起(6)先端部の一方もしくは両方について結紮具本体他端方向に前記隙間部(5)を隔てて対向する位置となる結紮具本体(2)の隙間部(5)周縁端面の所定箇所から結紮具本体外側面にかけて面取りして形成され、前記端面と外側面とを滑らかに連続させる凹部(8)を備えることを特徴とする結紮具。 - 前記請求項1ないし5のいずれかに記載の結紮具において、
前記結紮具本体(2)に可動状態で取付けられ、前記隙間部(5)の少なくとも一部を閉鎖して前記側面孔(4)に通した前記糸(50)の隙間部(5)を通じた側面孔(4)からの離脱を阻止可能となる位置まで結紮具本体(2)の隙間部(5)に嵌合可能とされてなる開閉体(11)を備えることを特徴とする結紮具。
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