【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シガトキシン類、特にシガトキシンCTX3Cを検出することが可能な抗原決定基(エピトープ)を有するCTX3CのA−E5環を有する新規なハプテン部構成化合物、該ハプテン部構成化合物をキャリヤータンパク質に結合したハプテンコンジュゲート化合物、該ハプテンプコンジュゲート化合物で免疫して得られる前記シガトキシン類に対し抗体として機能するモノクローナル抗体、および該ハプテンコンジュゲート化合物を用いて得られた受託番号FERM BP−8292として受託された(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに平成14年3月5日に受託番号FERM P−18749として原寄託され、平成15年2月13日に前記原寄託よりブタペスト条約に基づく寄託への移管申請により受託番号FERM PB−8292として受託された。)ハイブリドーマ10C9に関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫的手法を用いて、海毒、特にシガトキシン類(CTX)を調査する研究は、ラジオイムノアッセイの発展に伴って1977年頃から始まった。
シガテラ毒は、天然からごく微量しか採集されず(850匹、4tの毒ウツボから毒本体のシガトキシンは僅か0.35mg)、培養による生産も困難なことが抗体調製の障害となっている。ハワイ大学ホカマらは、貴重な毒本体シガトキシン(1μg)をヒト血清アルブミンにカルボジイミド法で連結したコンジュゲートを作製、これを抗原としてマウスに免疫、モノクローナル抗体を調製した(Toxicon 第15巻、(1977 年)、第317頁)。この抗体は、シガトキシンに結合するが、オカダ酸とも強い交差活性を示し、その親和性の差は5倍程度しかない(Journal of Clinical Laboratory Analysis第6巻、(1992 年)、第54頁)。また、ブレベトキシン、マイトトキシン、パリトキシン等にも交差活性を示すことが分かっているが(Journal of AOAC International第81巻、(1998 年)、第727頁)、詳しいデータは発表されていない。このホカマらの抗体を用いて、シガトキシン類に汚染された魚類を免疫的手法によりモニターのため試薬、キット(Cigua Check TM)などが開発されている。
【0003】
本発明者らは、以前シガトキシンの左側ABC環部を化学合成し、これを合成ハプテンとしたタンパク質コンジュゲートを用いて、三種のモノクローナル抗体を調製しているが、これらはいずれもシガトキシンに非常に弱いアフィニティーしか示さなかった(Synthesis (1999年)、第1431頁) 。また、他のグループも、合成ハプテン(JKLM環部)のコンジュゲートの免疫を試みているが、モノクローナル抗体の調製には至っていない〔Toxicon第38巻(2000年) 第669頁〕。
【0004】
このような状況の中で、本発明者らは、シガトキシン類の右末端の部分構造であるIJKLM環部をハプテンとして設計、合成し、この合成ハプテンのタンパク質コンジュゲートをマウスに免疫して、シガトキシン類に特異性の高いモノクローナル抗体の調製に成功している(特願2001−247120)。得られたモノクローナル抗体3D11のCTX3Cに対しての結合解離定数(Kd)は、122nMであった。また、シガトキシンに構造の類似した海産ポリエーテル系毒素とこの抗体の交差活性を測定したところ、赤潮毒ブレベトキシン類と交差活性が確認されたが、この交差活性は、シガトキシン類との結合と比べると350分の1以下の非常に弱いものであった。
【0005】
また、シガトキシン類のモノクローナル抗体を得ることを目的とする合成ハプテンとして、シガトキシンのABC環部のC16位にカルボン酸リンカーを導入した誘導体とキャリヤープロテインであるBSAまたはKLHとからコンジュゲートを合成し、これをRIBIアジュパント中に乳化し、5匹のBalb/cマウスに3週間間隔で4回注射して免疫し、該マウスから脾臓を取り出し、該脾臓細胞をミエローマ細胞(P3X63−Ag8.653)と融合し、前記抗体を得、前記抗体の前記合成ハプテンに対する反応特異性を評価している〔Synthesis 1999,No.SI.1431-1436 ISSN 0039-7881,〕。すなわち、シガトキシン類、特にシガトキシンCTX3Cの部分構造を用いて、免疫化学的な手法でシガトキシン類(CTX)を調査するのに有用なモノクローナル抗体を製造するのに有用な合成シガトキシン類の検討がなされている。
【0006】
本発明者らは、前記検討に対し更に検出限界を改善したモノクローナル抗体を得ることができる合成ハプテンを設計してきた。また、シガトキシンは分子長約3ナノメートルの巨大分子なので、すでにモノクローナル抗体3D11が調製されているIJKLM環以外の部分構造も抗原決定基となる可能性がある。そこで、シガトキシンの左末端の部分構造であるABCDE環部をハプテンとして設計、合成するアプローチを検討した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、基本的にはシガトキシン類、特にシガトキシンCTX3Cの検出限界を改善したモノクローナル抗体を得ることができる合成ハプテンを提供することであり、更に、当該合成ハプテンを用いて、前記モノクローナル抗体を得ることができる人工抗原を得、これを用いてモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得、該ハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体を産生させ、得られたモノクローナル抗体の性能を検証することである。
前記課題を解決すべく、CTX3CのA−E5環のE環の部分にリンカーを導入し、キャリヤータンパク質と連結可能な前記式3の化合物を合成した。そして、前記式3の化合物を用いて、人工抗原を得、これを用いてモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得、モノクローナル抗体を作製し、得られたモノクローナル抗体が、前記ハプテン部およびシガトキシンCTX3C類を特異的および効率的に検出できることを見出し、前記課題を解決することができた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、式1および2のジアステレオマー混合物からなる新規化合物である。
【0009】
【化5】
【0010】
式中RはHまたはメチル基である。
本発明の第2は、式3からなる、キャリヤータンパク質と結合した一般式1の化合物で免疫してシガトキシンCTX3Cと特異的に反応するモノクローナル抗体を生成させるキャリヤーコンジュゲートを形成する残基を生成する新規化合物である。
【0011】
【化6】
【0012】
式3中−O−Lは合成ハプテン部とキャリヤータンパク質とが結合する際除去される基でありC23は光学活性中心であり、好ましくは、前記−O−Lはオキシカルボジイミド又はオキシ−N−ヒドロキシスクシンイミドである前記キャリヤーコンジュゲートを形成する残基を生成する新規化合物である。
【0013】
本発明の第3は、前記式3で表される−O−L基を取り除いた残基をキャリヤータンパク質と結合させた一般式1で表されるタンパク質コンジュゲート化合物である。
【0014】
【化7】
【0015】
式中nは正の整数であり、好ましくは、前記キャリヤータンパク質が牛血清アルブミン(BSA)、キーホールリムペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanine,KLM)またはオボアルブミン(egg albumin、OVA)であることを特徴とする前記タンパク質コンジュゲート化合物である。
本発明の第4は、前記タンパク質コンジュゲート類で免疫して得られるシガトキシンCTX3Cと特異的に反応するモノクローナル抗体である。
本発明の第5は、前記ハプテンコンジュゲート化合物を用いて得られた受託番号FERM BP−8292として受託されたシガトキシンCTX3Cと特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ10C9である。
【0016】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.本発明の前記ジアステレオマー混合物の合成。
下記の工程1により得られる。
【0017】
【化8】
【0018】
化合物1のOHをベンジル基(Bn)保護基で保護した化合物の合成方法は、M. Maruyama et al, Heterocycles, 2001, 54, 93-99. に記載されている。化合物1は前記文献2に記載の化合物のBnをDDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン)を用いて脱保護することにより得られる。化合物1のアルコール(4.0 mg,6.0 μmol)をTHF(テトラヒドロフラン)(2 mL)に溶かし、室温でテトラブチルアンモニウムフルオリド (TBAF,1M THF溶液:18μL,18μmol)を加えた。30分後、反応溶液を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物2(2.5 mg, 5.9 μmol,98%)を得た。
【0019】
20mLナス型フラスコに化合物2(2.8 mg, 6.6 μmol),CH2Cl2(300 μL), (MeO)2CHCH2COOMe(10μl,70 μmol), TsOH・H2O(0.5 mg, 3 μmol) を加えた。室温で1.5時間攪拌した後、トルエン(1 mL) を加えて、ロータリーエバポレーターで減圧(120 mbar/hPa)し、1時間後に大気圧に戻した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、アセタール位に関してのジアステレオマー混合物 (式1:式2=2:1) を(1.9 mg, 3.8 μmol, 57%) 得た。式1の化合物の物性を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
式1および2のRをHにした化合物3は、式1および2の化合物をLiOHで処理して得られる。式3においてLがスクシンイミドの化合物4は工程2で得られる。
【0022】
【化9】
【0023】
20mLナシ型フラスコに式1および2の混合物(2.5 mg, 4.9 μmol)、t−BuOH(0.5 mL)、水 (125 μL)、LiOH・H2O(2.8 mg, 68 μmol) を加えて、室温で1時間撹拌した。KHSO4(18.6 mg, 136 μmol) を加え、溶液のpH(3-4程度)を確認した後、酢酸エチル (40 mL) で希釈した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、粗化合物3を得た。これにDMF(DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、200μL)、N−ヒドロキシスクシンイミド (5.6 mg, 49 μmol)、EDC−HCl (EDC=1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、4.8 mg, 25 μmol) を加えて、室温で12時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチル(40 mL)で希釈し、有機層を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、活性化エステルである化合物4を得た。これにDMF(100 μL) を加えた溶液を作製し、コンジュゲートの調製に使用した。
【0024】
B.タンパクコンジュゲートの製造。
KLHコンジュゲートの調製;
KLH(5.0 mg)のPBSバッファー溶液 (1.0 mL)に活性化エステルである化合物4(約2.4 μmol) の DMF溶液(50 μL) を加えて10分間撹拌した。一日静置した後、4℃で透析した。この後、5.9時間後にPBSバッファー(700 mL)を交換し、12時間後に透析膜からエッペンドルフチューブに移し換えて、−78℃で保存した。
【0025】
BSAコンジュゲートの調製;
BSA(7.0 mg) のPBSバッファー溶液 (2.0 mL) に活性化エステルである化合物4(約2.4 μmol) のDMF溶液 (50 μL) を加えて10分間撹拌した。一日静置した後、4℃で透析した。この後、5.9時間後にPBSバッファー (700 mL) を交換し、12時間後に透析膜からエッペンドルフチューブに移し換えて、−78℃で保存した。
【0026】
ハプテン価の解析
透析して得た BSAコンジュゲートを、MALDI−TOF−MSで分析した。BSAコンジュゲートの平均分子量は約70200であった(BSAの分子量約66400)。ハプテン部分の分子量が(476)であるので、BSAコンジュゲートには平均8個のハプテンが連結されていることが分かった。
【0027】
モノクローナル抗体の作製;
前項で得たABCDE−KLH(100μg)にRIBIアジュバンド(RIBI Immunol. Res. Inst.社製)を加え、良く攪拌してエマルジョンとしたのち、これをBalb/cマウス(5匹)に二週間毎に3回、腹腔内投与した。初回免疫から39日目にマウスの血清を採取し、ABCDE−BSAを用い、ELISA法で血清の抗体価を滴定した。
【0028】
ELISA法;
96ウエルELISA用プレート(ファルコン社製、3910)の各ウエルに50 μLの ABCDE−BSA溶液を入れ、室温で2時間放置後、4℃で一晩放置して、プレートにコンジュゲートを吸着させた。プレートをPBS−Tween〔PBSバッファーに5%Tween 20〔和光純薬製 ポリオキシエチレン(polyoxyethylene) (20) ソルビタン モノラウレート(Sorbitan Monolaurate)ICI社 商標Tween− 20 相当品 No. 167-11515〕〕を含むもの〕で3回洗浄後、MILLI-Q水(Millipore 社製の複数段階の樹脂やフィルターを用いて、精製水を脱イオン化もの)で一度洗浄し、吸着しなかったコンジュゲートを除去した。ハイブリドーマ培養上清(もしくは抗血清、精製抗体溶液)を加え、室温で1時間放置後、PBS−Tweenと、MILLI-Q水で順次洗浄した。50μLの 酵素標識二次抗体(ヤギ抗マウスIgG-西洋わさびペルオキシダーゼ)(ZYMED社製、62-6520 1000倍希釈)を各ウエルに入れ、室温で1時間放置後、PBS−Tweenと、MILLI-Q水で順次洗浄した。100μLの基質溶液 〔基質溶液の組成: 1,2-phenylenediamine 4.0 mg、過酸化水素水 10 μL、0.1M クエン酸 バッファー(pH 5.0) 10 ml〕を加え、5分間呈色反応を進行させた後、2規定 硫酸(50 μl)で反応を停止した。マイクロプレート吸光度測定装置(BIO−RAD,Benchmark 170-6850)を用いて、450nmの吸光度を測定し、陽性のクローンを判別した。
【0029】
血清中の抗体価の測定
ハプテン(ABCDEあるいはIJKLM)−BSA溶液を吸着した96ウエルELISA用プレートの最上段に、50μLのPBSバッファーを入れた。200倍に希釈したマウスの抗血清(50 μl) を最上段のウエル(A1)に加え、この溶液を順次2倍希釈した(縦列A1−A8に400倍から51,000倍の希釈系列を作製)。プレートを室温で1時間放置後、上述の方法で450nmの吸光度を測定した(図1参照)。血清希釈率の対数と吸光度をプロットすると、血清濃度依存的に、血清中の抗体が ABCDE−BSAコンジュゲートと結合することが分かった(図1参照)。
【0030】
抗体価の高いマウスからの脾臓の摘出、培養
5匹の中で、最も高い抗体価を示したマウスに、腹腔内にABCDE−KLH(100 μg)を追加免疫し、3日後に脾臓を摘出した。脾臓に付着している組織や臓器の断片をピンセットで取り除いた後、基本培地〔RPMI Medium 1640 (GIBCO 社製、一袋、炭酸水素ナトリウム2g, ペニシリン-ストレプトマイシン(GIBCO 社製)20 mg, 200 mM-グルタミン20 mLを蒸留水に溶かして1000 mlとしてpHを7.2に調製したもの〕入りのシャーレに移し、ピンセットで脾臓内の細胞を浮遊させた。脾細胞浮遊液を濾過後、50 ml遠心管に移した。さらに、基本培地15 mlを加え、良くピペッティングして濾過し、全量を30 mlとした。800 rpmで5分間、室温で遠心分離し、上清を除去、タッピングした。HT・BC培地〔牛胎児血清(FCS)200 ml,HTコスモバイオ社製HT液(50倍濃縮)20 ml, BC(Bioresearch island社製 BriClone)50mL, 基本培地 730mLを混合したもの〕を30mL加え、細胞を浮遊させた。
【0031】
冷凍庫から(-130 ーC)からミエローマ細胞P3X63−Ag8.653(大日本製薬社製)を凍結したチューブを取り出し、37℃恒温槽中で速やかに解凍した。チューブをアルコール綿でよく消毒したのち、チューブ内の細胞浮遊液を基本培地30mLに移した。800rpm(回転/分)で5分間、室温で遠心分離し、上清を除去した。タッピング後、10%FCS(基本培地に10%のFCSを添加)を10mL加え、細胞を浮遊させ、50mL培養フラスコに移した。フラスコの栓をゆるめ、炭酸ガス培養装置にいれた。1−2日毎に継代し、250mLフラスコ2本分(90-100 ml)にした。
【0032】
マウスから取り出した脾細胞(2x108個)とミエローマ細胞(5x107個)を混合し、遠心(800 rpm、 5分間、室温)し、上清を除去、タッピングした。この後、ECFバッファー〔マンニトール 45.5 g, 10 mM 塩化カルシウム(10 ml), 10 mM 塩化マグネシウム(10 ml), 20 mM Tris buffer pH 7.2 を蒸留水で溶かして、1000 mlにしたもの〕 を30mLを加え、遠心(800 rpm、 5分間、室温)、上清除去、タッピングする操作を2回繰り返した後、ECFバッファー(4.8 ml) を加えた。これを6ウエルプレート(SUMIRON製)に、1.2mLずつ分注し、島津社製SSH−10細胞融合装置を用い、以下の条件で細胞融合した〔[電極間距離:1.0mm; 交流周波数: 1 MHz; 交流初期印加電圧: 80V; 交流初期印加時間:10秒(s); パルス幅:40(マイクロ秒(μs); パルス電圧:920V; パルス電界強度:2.30kV/cm; 交流2次印加電圧:80V; パルス印加間隔:1.0秒; 印加パルス数: 1; パルス電圧変化:+0V; 交流最終印加時間:10秒; 交流電圧減衰率:0%; 接触強化:off〕。
【0033】
調製したハイブリドーマ細胞(Mouse-Mouse hybridoma)を、各ウエルにHAT培地 〔HAT-RPMI 1640, 20% FCS, 5% Briclone (BioResearch Ireland社製)含有〕 100μLを加えた96ウエルプレート10枚に移した。2週間後、ハプテンとしたABCDE環部に結合する抗体を産生するハイブリドーマ(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに平成14年3月5日に受託番号FERM P−18749として原寄託され、平成15年2月13日に前記原寄託よりブタペスト条約に基づく寄託への移管申請により受託番号FERM PB−8292として受託された。本明細書では前記寄託ハイブリドーマを抗体と同じ名称10C9と表示する。)をABCDE−BSAを用い、ELISA法でスクリーニングした。陽性のウエルを選択し、2 回クローニング後に、再度ELISA陽性となった抗体を産生するモノクローンを順次培養し、それぞれ約200mLまで増殖させた。この結果、6種のモノクローナル抗体を調製することができた(表2)。得られたモノクローナル抗体の結合試験をELISA法で検討した。抗原として、シガトキシン類の部分構造を連結したBSAコンジュゲートを用いた。その結果、ABCDE−KLH環部を免疫して得られたIgG抗体は、ABCDE−BSA(化学式)へ強く結合し、IJKLM−BSA(化合物5)とは結合しないことがわかった。
【0034】
【化10】
【0035】
モノクローナル抗体の調製の評価
抗体の精製及びサブクラスの決定
上清を抗マウスIgG+IgMアフィニティーカラム(NGK Industries, Ltd.社製)で精製した(結合用リン酸バッファー(pH 7.0)、溶出用バッファー(0.2 M Glycine-HCl, pH 2.5)。精製した抗体をSDS−PAGEで分析し、>95%の純度であることを確認した。PIERCE社製タイピングキット(37501)を用いて、それそれの抗体のサブクラスを決定した。
【0036】
抗体の親和性解析(競争阻害実験)
次に、選別した6種のモノクローナル抗体を精製し、ハプテンとの解離定数(Kd)を求めた。ELISA用プレートに順次2倍希釈した競合阻害剤(PBS溶液 各30 ml)の溶液を調製した。これに抗体溶液(30 ml)を加え、室温で二時間放置した。抗体と阻害剤の混合溶液50μLを、ハプテン−BSA溶液(0.625 μ/mL)を吸着した96ウエルELISA用プレート(ファルコン社製、3910)に加え、室温で15分間放置した。プレートを洗浄後、吸光度を測定し、滴定曲線を得た。Friguet らの方法〔Journal of Immunological Method, 第77巻(1985年), 第305 頁〕を参考に、Klotzプロットして得られた直線の傾きから阻害剤のKd値を求めた(図2b)。
この結果、6種のモノクローナル抗体はいずれもABCDE(AEと略す場合がある。化合物6の上部)環部、及び CTX3C(化合物6の下部)に強く結合することが分かった(Kd<27nM)。また、6種の抗体の中では10C9が、ABCDE環部(Kd=0.8nM),CTX3C(Kd=2.8nM)共に最も親和性が高いことが分かった。それぞれのモノクローナル抗体のKd値を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
【化11】
【0039】
また、ABCD環部、ABC環部と分子サイズが小さくなるにつれて(化合物7)、抗体の結合親和性は、著しく低下することが分かった。(結合解離定数Kdの値は大きくなる。)結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【化12】
【0042】
さらに、構造の類似した海産ポリエーテル毒素との結合試験を検討したところ、赤潮毒〔ブレベトキシンA(BTX A)、及びブレベトキシンB(BTX B)〕、オカダ酸や、マイトトキシン(これらの化学構造については、化合物8参照〕とはほとんど結合しなかった。結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
【化13】
【0045】
以上のように、以前調製したモノクローナル抗体3D11よりも、強くCTX3Cに結合し、かつ特異性も高いモノクローナル抗体6種の調製に成功した。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明において設計した合成ハプテン(ABCDE環部)を用いることにより、前記合成ハプテンおよびシガトキシンCTX3Cを特異的に検出限界を改善して検出できるモノクローナル抗体を得ることができる。また、本発明は、危険な毒素の部分構造(無毒)を化学合成し、これを用いて、毒素本体に結合するモノクローナル抗体を調製する新しい抗体調製法を提供するものである。
【0047】
本明細書で使用の略号表
BSA: bovine serum albumin
CTX: ciguatoxin
ELISA: enzyme linked immunosorbent assayHRP: Horseradish Peroxidase (西洋わさびペルオキシダーゼ)
O.D.: Optical Density
OPD: o-Phenylene Diamine
PBS: Phosphate Buffered Saline
Bn: benzyl
DDQ: 2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinoneEDC;1-(3-dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide hydrochlorideFCS: fetal calf serum
Ig: Immunoglobulin
KLH: keyhole limpet hemocyanine
TBAF: tetra-n-butylammonium fluoride Ts: p-tolenesulfonyl
THF: tetrahydrofuran
OVA: ovalbumin
【図面の簡単な説明】
【図1】 1−5はシガトキシンのA〜E環部を含むBSAとのコンジュゲートAE−BSAに対する抗体価、(1)−(5)はシガトキシンのI〜M環部を含むBSAとのコンジュゲートIM−BSAに対する抗体価
【図2】 ハイブリドーマ10C9を用いて産生した抗体のA〜E環部との結合および結合解離定数Kdの算出
(a)10C9とABCDE−BSAの結合をCTX3Cを添加して阻害する実験
(b)Klotzプロット[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel hapten constituent compound having an A-E5 ring of CTX3C having an antigenic determinant (epitope) capable of detecting ciguatoxins, particularly ciguatoxin CTX3C, and binding the hapten constituent compound to a carrier protein A hapten conjugate compound, a monoclonal antibody that functions as an antibody against the ciguatoxins obtained by immunization with the hapten conjugate compound, and an accession number FERM BP-8292 obtained using the hapten conjugate compound ( Incorporated administrative agency, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology ( AIST), the original deposit was made on March 5, 2002 under the deposit number FERM P-18749, and on February 13, 2003, the original deposit was approved by the Budapest Treaty. Entrusted by transfer application to deposit based on And has been assigned the No. FERM PB-8292.) Relates to a hybridoma 10C9.
[0002]
[Prior art]
Research to investigate sea venoms, especially ciguatoxins (CTX), using immunological techniques began around 1977 with the development of radioimmunoassay.
Only a very small amount of ciguatera venom is collected from nature (850 animals, 4t poison moray cucumber is only 0.35 mg of cigar toxin in the body of the poison), and production by culture is difficult, which is an obstacle to antibody preparation. The University of Hawaii, Hokama et al. Prepared a conjugate in which a valuable toxin main body ciguatoxin (1 μg) was linked to human serum albumin by the carbodiimide method, and used this as an antigen to immunize mice and prepared monoclonal antibodies (Toxicon Vol. 15, (1977). Year), p. 317). This antibody binds to ciguatoxin but exhibits strong cross-activity with okadaic acid, and the difference in affinity is only about 5 times (Journal of Clinical Laboratory Analysis Vol. 6, (1992), p. 54). In addition, brevetoxin, mitotoxin, palytoxin and the like have been shown to show cross-activity (Journal of AOAC International Vol. 81, (1998), p. 727), but detailed data have not been published. Reagents, kits (Cigua Check ™), and the like have been developed for monitoring fish contaminated with ciguatoxins by immunological techniques using the antibody of Hokama et al.
[0003]
The present inventors have previously chemically synthesized the left ABC ring part of ciguatoxin and prepared three monoclonal antibodies using protein conjugates using this as a synthetic hapten, all of which are highly sensitive to ciguatoxin. Only weak affinity was shown (Synthesis (1999), page 1431). Other groups have also tried to immunize conjugates of synthetic haptens (JKLM ring), but have not yet prepared monoclonal antibodies [Toxicon 38 (2000) 669].
[0004]
Under such circumstances, the present inventors designed and synthesized the IJKLM ring portion, which is a partial structure of the right end of ciguatoxins, as a hapten, immunized mice with the protein conjugate of this synthetic hapten, Has succeeded in preparing a monoclonal antibody having high specificity (Japanese Patent Application No. 2001-247120). The binding dissociation constant (Kd) of the obtained monoclonal antibody 3D11 with respect to CTX3C was 122 nM. In addition, when the cross-activity of this antibody with a marine polyether toxin similar in structure to ciguatoxin was measured, cross-activity with red tide toxin brevetoxins was confirmed, but this cross-activity was compared with the binding with ciguatoxins. It was very weak, 1/350 or less.
[0005]
Also, as a synthetic hapten for the purpose of obtaining a monoclonal antibody of ciguatoxins synthesizes the conjugate from the BSA or KLH derivatives and carrier protein obtained by introducing a carboxylic acid linker C 16 position of the ABC ring portion of ciguatoxin This was emulsified in RIBI adjuvant, and immunized by injecting 5 Balb / c mice 4 times at intervals of 3 weeks. The spleen was removed from the mouse, and the spleen cells were myeloma cells (P3X63-Ag8.653). The antibody is obtained and the reaction specificity of the antibody against the synthetic hapten is evaluated [Synthesis 1999, No. SI.1431-1436 ISSN 0039-7881,]. That is, synthetic ciguatoxins useful for producing monoclonal antibodies useful for investigating ciguatoxins (CTX) by immunochemical techniques using the partial structure of ciguatoxins, particularly ciguatoxin CTX3C have been studied. Yes.
[0006]
The inventors of the present invention have designed a synthetic hapten capable of obtaining a monoclonal antibody with further improved detection limit with respect to the above investigation. In addition, since ciguatoxin is a macromolecule having a molecular length of about 3 nanometers, a partial structure other than the IJKLM ring for which monoclonal antibody 3D11 has already been prepared may be an antigenic determinant. Then, the approach which designed and synthesize | combined ABCDE ring part which is the partial structure of the left terminal of a ciguatoxin as a hapten was examined.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is basically to provide a synthetic hapten capable of obtaining a monoclonal antibody with improved detection limit of ciguatoxins, particularly ciguatoxin CTX3C, and further using the synthetic hapten, the monoclonal antibody To obtain a hybridoma that produces a monoclonal antibody, to produce a monoclonal antibody using the hybridoma, and to verify the performance of the obtained monoclonal antibody.
In order to solve the above problems, a linker was introduced into the E ring part of the A-E5 ring of CTX3C to synthesize the compound of Formula 3 that can be linked to a carrier protein. Then, an artificial antigen is obtained using the compound of Formula 3, a hybridoma that produces a monoclonal antibody is obtained using the artificial antigen, a monoclonal antibody is produced, and the obtained monoclonal antibody comprises the hapten part and ciguatoxin CTX3Cs. The inventors have found that the detection can be performed specifically and efficiently, and have solved the above problems.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The first of the present invention is a novel compound comprising a mixture of diastereomers of formulas 1 and 2.
[0009]
[Chemical formula 5]
[0010]
In the formula, R is H or a methyl group.
The second of the present invention produces residues that form a carrier conjugate that is immunized with a compound of general formula 1 coupled to a carrier protein consisting of formula 3 to generate a monoclonal antibody that specifically reacts with ciguatoxin CTX3C It is a new compound.
[0011]
[Chemical 6]
[0012]
C 23 is a group that is removed when the formula 3 in -O-L that bind a synthetic hapten portions and the carrier protein is an optically active center, preferably, the -O-L is oxy carbodiimide or oxy -N- It is a novel compound that produces a residue that forms the carrier conjugate which is hydroxysuccinimide .
[0013]
A third aspect of the present invention is a protein conjugate compound represented by the general formula 1 in which a residue from which the —OL group represented by the above formula 3 is removed is bound to a carrier protein.
[0014]
[Chemical 7]
[0015]
Wherein n is a positive integer, preferably the carrier protein is bovine serum albumin (BSA), keyhole limpet hemocyanine (KLM) or ovalbumin (egg albumin, OVA). Wherein said protein conjugate compound.
The fourth of the present invention is a monoclonal antibody that specifically reacts with ciguatoxin CTX3C obtained by immunization with the protein conjugates.
A fifth aspect of the present invention is a hybridoma 10C9 that produces a monoclonal antibody that specifically reacts with ciguatoxin CTX3C deposited under the accession number FERM BP-8292 obtained using the hapten conjugate compound.
[0016]
[Embodiments of the present invention]
The present invention will be described in more detail.
A. Synthesis of the diastereomeric mixture of the present invention.
It is obtained by the following step 1.
[0017]
[Chemical 8]
[0018]
A method for synthesizing a compound in which OH of compound 1 is protected with a benzyl (Bn) protecting group is described in M. Maruyama et al, Heterocycles, 2001, 54, 93-99. Compound 1 can be obtained by deprotecting Bn of the compound described in Document 2 using DDQ (2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinone). Compound 1 alcohol (4.0 mg, 6.0 μmol) was dissolved in THF (tetrahydrofuran) (2 mL), and tetrabutylammonium fluoride (TBAF, 1 M THF solution: 18 μL, 18 μmol) was added at room temperature. After 30 minutes, the reaction solution was concentrated and purified by silica gel chromatography to obtain compound 2 (2.5 mg, 5.9 μmol, 98%).
[0019]
Compound 2 (2.8 mg, 6.6 μmol), CH 2 Cl 2 (300 μL), (MeO) 2 CHCH 2 COOMe (10 μl, 70 μmol), TsOH · H 2 O (0.5 mg, 3 μmol) in a 20 mL eggplant-shaped flask Was added. After stirring at room temperature for 1.5 hours, toluene (1 mL) was added, and the pressure was reduced (120 mbar / hPa) with a rotary evaporator. After 1 hour, the pressure was returned to atmospheric pressure. Purification by silica gel column chromatography gave a diastereomeric mixture (formula 1: formula 2 = 2: 1) with respect to the acetal position (1.9 mg, 3.8 μmol, 57%). The physical properties of the compound of Formula 1 are shown in Table 1.
[0020]
[Table 1]
[0021]
Compound 3 in which R in formulas 1 and 2 is H is obtained by treating the compounds of formulas 1 and 2 with LiOH. Compound 4 wherein L is succinimide in Formula 3 is obtained in Step 2.
[0022]
[Chemical 9]
[0023]
Add a mixture of formulas 1 and 2 (2.5 mg, 4.9 μmol), t-BuOH (0.5 mL), water (125 μL), LiOH · H 2 O (2.8 mg, 68 μmol) to a 20 mL pear-shaped flask at room temperature. For 1 hour. KHSO 4 (18.6 mg, 136 μmol) was added, and the pH of the solution (about 3-4) was confirmed, followed by dilution with ethyl acetate (40 mL). Drying over anhydrous magnesium sulfate, filtration and concentration gave crude compound 3. DMF (DMF = N, N-dimethylformamide, 200 μL), N-hydroxysuccinimide (5.6 mg, 49 μmol), EDC-HCl (EDC = 1- (3-dimethylaminopropyl) -3-ethylcarbodiimide, 4.8 mg, 25 μmol) was added, and the mixture was stirred at room temperature for 12 hours. The reaction solution was diluted with ethyl acetate (40 mL), and the organic layer was washed three times with water, dried over anhydrous sodium sulfate, and concentrated to obtain Compound 4 as an activated ester. A solution with DMF (100 μL) added thereto was prepared and used for the preparation of the conjugate.
[0024]
B. Production of protein conjugates.
Preparation of KLH conjugates;
To a PBS buffer solution (1.0 mL) of KLH (5.0 mg), a DMF solution (50 μL) of the activated ester compound 4 (about 2.4 μmol) was added and stirred for 10 minutes. After leaving still for one day, it dialyzed at 4 degreeC. Thereafter, the PBS buffer (700 mL) was changed after 5.9 hours, and after 12 hours, the dialysis membrane was transferred to an Eppendorf tube and stored at -78 ° C.
[0025]
Preparation of a BSA conjugate;
To a PBS buffer solution (2.0 mL) of BSA (7.0 mg), a DMF solution (50 μL) of compound 4 (about 2.4 μmol) as an activated ester was added and stirred for 10 minutes. After leaving still for one day, it dialyzed at 4 degreeC. Thereafter, PBS buffer (700 mL) was changed after 5.9 hours, and after 12 hours, the dialysis membrane was transferred to an Eppendorf tube and stored at -78 ° C.
[0026]
Analysis of hapten number BSA conjugate obtained by dialysis was analyzed by MALDI-TOF-MS. The average molecular weight of the BSA conjugate was about 70200 (BSA molecular weight of about 66400). Since the molecular weight of the hapten moiety was (476), it was found that an average of 8 haptens were linked to the BSA conjugate.
[0027]
Production of monoclonal antibodies;
After adding RIBI adjuvant (manufactured by RIBI Immunol. Res. Inst.) To ABCDE-KLH (100 μg) obtained in the previous section and stirring well to make an emulsion, this was added to Balb / c mice (5 mice) for 2 weeks. Three intraperitoneal doses were given. On day 39 after the first immunization, mouse serum was collected, and the antibody titer of the serum was titrated by ELISA using ABCDE-BSA.
[0028]
ELISA method;
50 μL of ABCDE-BSA solution was placed in each well of a 96-well ELISA plate (Falcon, 3910), allowed to stand at room temperature for 2 hours, and then allowed to stand overnight at 4 ° C. to adsorb the conjugate to the plate. . The plate was PBS-Tween [5% Tween 20 in PBS buffer [polyoxyethylene (20) Sorbitan Monolaurate manufactured by Wako Pure Chemicals, Inc., trade name Tween-20 equivalent No. 167-11515]] The product was washed three times with MILLI-Q water (purified water was deionized using a multi-stage resin and filter manufactured by Millipore) to remove the non-adsorbed conjugate. . Hybridoma culture supernatant (or antiserum, purified antibody solution) was added, and the mixture was allowed to stand at room temperature for 1 hour, and then washed sequentially with PBS-Tween and MILLI-Q water. 50 μL of an enzyme-labeled secondary antibody (goat anti-mouse IgG-horseradish peroxidase) (manufactured by ZYMED, 62-6520 diluted 1000 times) was placed in each well, allowed to stand at room temperature for 1 hour, PBS-Tween, and MILLI-Q. Washed sequentially with water. 100 μL of substrate solution [Composition of substrate solution: 4.0 mg of 1,2-phenylenediamine, 10 μL of hydrogen peroxide, 10 ml of 0.1 M citrate buffer (pH 5.0)] was allowed to proceed for 5 minutes. Then, the reaction was stopped with 2N sulfuric acid (50 μl). Using a microplate absorbance measurement apparatus (BIO-RAD, Benchmark 170-6850), absorbance at 450 nm was measured to discriminate positive clones.
[0029]
Measurement of antibody titer in serum 50 μL of PBS buffer was placed on the top of a 96-well ELISA plate adsorbed with a hapten (ABCDE or IJKLM) -BSA solution. Mouse antiserum (50 μl) diluted 200-fold was added to the uppermost well (A1), and this solution was serially diluted 2-fold (preparing 400-fold to 51,000-fold dilution series in columns A1-A8) ). The plate was allowed to stand at room temperature for 1 hour, and the absorbance at 450 nm was measured by the method described above (see FIG. 1). When the logarithm of the serum dilution ratio and the absorbance were plotted, it was found that antibodies in the serum bound to the ABCDE-BSA conjugate in a serum concentration-dependent manner (see FIG. 1).
[0030]
Extraction of spleen from mice with high antibody titer, among the five cultured mice, the mice that showed the highest antibody titer were boosted with ABCDE-KLH (100 μg) intraperitoneally, and the spleen was removed 3 days later . After removing tissue and organ fragments adhering to the spleen with forceps, basic medium [RPMI Medium 1640 (GIBCO, 1 bag, sodium bicarbonate 2 g, penicillin-streptomycin (GIBCO) 20 mg, 200 mM -Dissolve 20 mL of glutamine in distilled water and adjust the pH to 7.2 with 1000 ml] Transfer to a petri dish and float the cells in the spleen with forceps.After filtering the spleen cell suspension, 50 ml centrifuge tube Further, 15 ml of basic medium was added, pipetted well and filtered to make a total volume of 30 ml, centrifuged at 800 rpm for 5 minutes at room temperature, and the supernatant was removed and tapped. Add 30 ml BC medium (200 ml fetal bovine serum (FCS), 20 ml HT Cosmobio HT solution (concentrated 50 times), 50 ml BC (BriClone from Bioresearch island), 730 ml basic medium) Float .
[0031]
A tube in which myeloma cells P3X63-Ag8.653 (manufactured by Dainippon Pharmaceutical Co., Ltd.) was frozen was taken out from the freezer (−130 ° C.), and thawed quickly in a 37 ° C. constant temperature bath. After the tube was thoroughly disinfected with alcohol cotton, the cell suspension in the tube was transferred to 30 mL of basic medium. Centrifugation was performed at 800 rpm (rotation / min) for 5 minutes at room temperature, and the supernatant was removed. After tapping, 10 mL of 10% FCS (10% FCS added to the basic medium) was added, the cells were suspended, and transferred to a 50 mL culture flask. The flask was loosened and placed in a carbon dioxide culture apparatus. It was subcultured every 1-2 days to make two 250 mL flasks (90-100 ml).
[0032]
Spleen cells (2 × 10 8 cells) removed from the mouse and myeloma cells (5 × 10 7 cells) were mixed, centrifuged (800 rpm, 5 minutes, room temperature), and the supernatant was removed and tapped. After this, 30 mL of ECF buffer (manitol 45.5 g, 10 mM calcium chloride (10 ml), 10 mM magnesium chloride (10 ml), 20 mM Tris buffer pH 7.2 dissolved in distilled water to 1000 ml) was added. In addition, centrifugation (800 rpm, 5 minutes, room temperature), supernatant removal, and tapping were repeated twice, and then ECF buffer (4.8 ml) was added. This was dispensed 1.2 mL each into a 6-well plate (manufactured by SUMIRON), and cell fusion was performed under the following conditions using an SSH-10 cell fusion device manufactured by Shimadzu [[Distance between electrodes: 1.0 mm; AC frequency : 1 MHz; AC initial application voltage: 80 V; AC initial application time: 10 seconds (s); Pulse width: 40 (microseconds (μs); Pulse voltage: 920 V; Pulse electric field strength: 2.30 kV / cm; AC 2 Next applied voltage: 80 V; Pulse application interval: 1.0 seconds; Number of applied pulses: 1; Pulse voltage change: +0 V; AC final application time: 10 seconds; AC voltage decay rate: 0%; Contact enhancement: off].
[0033]
The prepared hybridoma cells (Mouse-Mouse hybridoma) were transferred to 10 wells of 96 well plates to which 100 μL of HAT medium (containing HAT-RPMI 1640, 20% FCS, 5% Briclone (manufactured by BioResearch Ireland)) was added to each well. . Two weeks later, a hybridoma that produces an antibody that binds to the ABCDE ring part, which is a hapten, was originally deposited at the Patent Organism Depositary, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology as the accession number FERM P-18749 on March 5, 2002. And was deposited under the accession number FERM PB-8292 from the original deposit to the deposit under the Budapest Treaty on February 13, 2003. In the present specification, the deposited hybridoma is designated as the same name as the antibody 10C9. .) the reference to ABCDE-BSA, were screened by ELISA. Positive wells were selected, and after cloning twice, monoclonal clones producing the antibodies that became ELISA positive again were sequentially cultured and grown to about 200 mL each. As a result, 6 types of monoclonal antibodies could be prepared (Table 2). The binding test of the obtained monoclonal antibody was examined by ELISA. As an antigen, a BSA conjugate linked with a partial structure of ciguatoxins was used. As a result, it was found that the IgG antibody obtained by immunizing the ABCDE-KLH ring part strongly bound to ABCDE-BSA (chemical formula) and not IJKLM-BSA (compound 5).
[0034]
[Chemical Formula 10]
[0035]
Evaluation of monoclonal antibody preparation Antibody purification and subclass determination The supernatant was purified with an anti-mouse IgG + IgM affinity column (NGK Industries, Ltd.) (binding phosphate buffer (pH 7.0), elution buffer (0.2 M Glycine-HCl, pH 2.5) The purified antibody was analyzed by SDS-PAGE and confirmed to be> 95% pure, using the PIERCE Typing Kit (37501) to determine the subclass of that antibody. Were determined.
[0036]
Antibody affinity analysis (competitive inhibition experiment)
Next, the 6 selected monoclonal antibodies were purified, and the dissociation constant (Kd) with the hapten was determined. A solution of a competitive inhibitor (PBS solution 30 ml each) was prepared by sequentially diluting 2 times on an ELISA plate. To this was added an antibody solution (30 ml) and left at room temperature for 2 hours. 50 μL of the antibody / inhibitor mixed solution was added to a 96-well ELISA plate (Falcon, 3910) adsorbed with a hapten-BSA solution (0.625 μ / mL), and allowed to stand at room temperature for 15 minutes. After washing the plate, the absorbance was measured to obtain a titration curve. With reference to the method of Friguet et al. [Journal of Immunological Method, Vol. 77 (1985), p. 305], the Kd value of the inhibitor was determined from the slope of the straight line obtained by Klotz plotting (FIG. 2b).
As a result, it was found that all of the six monoclonal antibodies bound strongly to ABCDE (may be abbreviated as AE; upper part of compound 6) and CTX3C (lower part of compound 6) (Kd <27 nM). In addition, 10C9 was found to have the highest affinity for the ABCDE ring part (Kd = 0.8 nM) and CTX3C (Kd = 2.8 nM) among the six antibodies. Table 2 shows the Kd value of each monoclonal antibody.
[0037]
[Table 2]
[0038]
Embedded image
[0039]
It was also found that the binding affinity of the antibody was significantly reduced as the molecular size of the ABCD ring part, ABC ring part and compound (compound 7) decreased. (The value of the bond dissociation constant Kd increases.) The results are shown in Table 3.
[0040]
[Table 3]
[0041]
Embedded image
[0042]
Furthermore, when the binding test with the marine polyether toxin having similar structure was examined, red tide toxin [brevetoxin A (BTX A) and brevetoxin B (BTX B)], okadaic acid, mitotoxin (about their chemical structures) Was hardly bound to compound 8.] The results are shown in Table 4.
[0043]
[Table 4]
[0044]
Embedded image
[0045]
As described above, the inventors succeeded in preparing six monoclonal antibodies that bind to CTX3C more strongly and have higher specificity than the previously prepared monoclonal antibody 3D11.
[0046]
【Effect of the invention】
As described above, by using the synthetic hapten (ABCDE ring part) designed in the present invention, a monoclonal antibody capable of specifically detecting the synthetic hapten and ciguatoxin CTX3C with improved detection limit can be obtained. The present invention also provides a novel antibody preparation method for chemically synthesizing a dangerous toxin partial structure (non-toxic) and using this to prepare a monoclonal antibody that binds to the toxin body.
[0047]
Abbreviation table used in this specification
BSA: bovine serum albumin
CTX: ciguatoxin
ELISA: enzyme linked immunosorbent assay HRP: Horseradish Peroxidase
OD: Optical Density
OPD: o-Phenylene Diamine
PBS: Phosphate Buffered Saline
Bn: benzyl
DDQ: 2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinoneEDC; 1- (3-dimethylaminopropyl) -3-ethylcarbodiimide hydrochlorideFCS: fetal calf serum
Ig: Immunoglobulin
KLH: keyhole limpet hemocyanine
TBAF: tetra-n-butylammonium fluoride Ts: p-tolenesulfonyl
THF:
OVA: ovalbumin
[Brief description of the drawings]
BRIEF DESCRIPTION OF DRAWINGS FIG. 1 is a conjugate of BSA containing A to E ring parts of ciguatoxin against AE-BSA. (1)-(5) is a conjugate of BSA containing I to M ring parts of ciguatoxin. Antibody titer against gated IM-BSA [Figure 2] Binding of antibodies produced using hybridoma 10C9 and calculation of binding dissociation constant Kd (a) Binding of 10C9 and ABCDE-BSA was added with CTX3C (B) Klotz plot