JP3844750B2 - 赤外線画像認識装置、及び赤外線画像認識装置を用いた警報装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自車両の走行に影響を与える対象物を認識する赤外線画像認識装置、及び認識された対象物が歩行者である場合には警報を発する警報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、赤外線を検知する画像センサを利用して、自車両の周囲に存在する他車両の位置を検出する車両検出装置が提案されている。この装置では、赤外画像に含まれた他車両であると推定される部分画像領域の中から、所定輝度より高輝度に撮影された排気管部分の画像位置を特定し、その排気管部分の画像位置を基準として、その画像位置に対して上下左右に所定割合のサイズを有するフレームを設定すると共に、そのフレームを用いてパターンマッチングを行う。そして、当該他車両までの距離を、赤外線カメラの画角及びその撮像デバイスを構成する画素の距離に関する対応関係と、当該赤外画像の下辺から当該排気管部分の画像位置までの画素数とに基づいて推定する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、赤外線カメラにより捉えられた車両周辺の画像から、自車両との衝突の可能性がある歩行者等の対象物を抽出し、その情報を自車両の運転者に提供する表示処理装置が提案されている。この装置は、赤外線画像を2値化処理して明部が集中している領域を探し、この領域の縦横比や充足率、更には実面積と画面上の重心位置を用いて距離を算出することで、この領域が歩行者の頭部であるか否かを判定する。そして、歩行者の頭部の領域を決定することができたら、決定した頭部領域のカメラからの距離と成人の平均身長とから、画像上の歩行者の身長を計算して歩行者の身体を包含する領域を設定し、これらの領域を他の領域と区分して表示する。これにより、赤外線画像上の歩行者の身体全体の位置を特定し、この情報を車両の運転者に対して表示することで、より効果的な視覚補助を行うことができる(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−98509号公報
【特許文献2】
特開平11−328364号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の技術では、車両に固有の特徴の1つである「排気管」の有無を判定することにより、他車両を容易に検出することができるものの、排気管の位置は車種によって異なるため、排気管の位置によっては他車両を認識できない場合があるという問題があった。
【0006】
また、赤外線画像上での歩行者は、着帽や着衣の影響を受けると共に、歩行者自身の存在環境によっては、2値化処理により、頭部のみ、頭部の一部のみ、上半身のみ、下半身のみ、更には身体全体が抽出されるなど、その2値化画像の形状は不定形である。また、一般的に車両走行時には、前方路面の形状の変化や、車両のピッチングの影響があり、歩行者も子供から大人(成人)まで本来とは異なる身長で検出される。従って、対象物の画面での重心座標が距離に対して固定化できないため、特許文献2に記載の装置のように、形状判定のみで歩行者の抽出を行った場合、車両のヘッドライト(H/L)やテールライト(T/L)等の灯火器は、その存在高さ位置や形状から、歩行者の頭部と区別して識別することが困難である場合が生じる可能性があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、赤外線画像上の物体の見え方によらず、他車両と歩行者とを高精度で区別することができる赤外線画像認識装置、及び赤外線画像認識装置を用いた警報装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る赤外線画像認識装置は、車両に搭載されると共に、赤外線を検知する撮像手段により撮像された画像に基づいて前記車両の周囲に存在する物体の認識を行う赤外線画像認識装置であって、歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される対象物を特定対象物として検出する特定対象物検出手段(例えば実施の形態のステップS34に含まれる頭部判定)と、前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定する車両判定手段(例えば実施の形態のステップS35、ステップS41からステップS49)とを備え、該車両判定手段は、前記特定対象物の上方に探索領域を設定する探索領域設定手段と、前記探索領域設定手段にて設定された探索領域に対して水平エッジを検出する水平エッジ検出手段とを備え、前記水平エッジ検出手段にて検出された水平エッジに基づいて、前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
以上の構成を備えた赤外線画像認識装置は、特定対象物検出手段が、歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される対象物を特定対象物として検出すると共に、もし前記車両の周囲に存在する物体が他車両であれば、特定対象物の上方の探索領域内に所定長さ以上の水平エッジが存在するはずであるという車両の形状に係わる特徴に基づいて、車両判定手段が、特定対象物を含む物体が他車両であるか否かを判定することで、容易に車両の周囲に存在する他車両を検出することができる。
【0010】
請求項2の発明に係る赤外線画像認識装置は、請求項1に記載の赤外線画像認識装置において、前記水平エッジ検出手段は、前記探索領域設定手段にて設定された探索領域のグレースケール画像に対して微分フィルタによるフィルタリングを行い、その結果を2値化処理することにより水平エッジを検出することを特徴とする。
請求項3の発明に係る赤外線画像認識装置は、請求項1または2に記載の赤外線画像認識装置において、前記車両判定手段が、前記特定対象物の水平位置を基準として前記探索領域を左右に分割すると共に、分割された探索領域のいずれかに存在する水平エッジに基づいて、前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
以上の構成を備えた赤外線画像認識装置は、もし前記車両の周囲に存在する物体が他車両であれば、特定対象物の上方でかつ左右に分割されたいずれかの探索領域内に所定長さ以上の水平エッジが存在するはずであるという車両の形状に係わる特徴に基づいて、車両判定手段が、特定対象物を含む物体が他車両であるか否かを判定することで、容易にかつ高精度で車両の周囲に存在する他車両を検出することができる。
【0012】
請求項4の発明に係る警報装置は、請求項3に記載の赤外線画像認識装置において、前記車両判定手段は、分割された探索領域のいずれかに存在する前記水平エッジ検出手段にて検出された水平エッジのうち、分割された探索領域の横方向の幅に対して所定割合以上となる水平エッジ、または、探索領域の横方向の幅に対して所定割合未満となるが、複数個連続していて、その合計の割合が所定値以上となる水平エッジに基づいて前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする。
請求項5の発明に係る警報装置は、車両に搭載されると共に、赤外線を検知する撮像手段により撮像された画像に基づいて前記車両の周囲に存在する物体の認識を行い、前記物体が歩行者であると判定された場合に警報を発する警報装置であって、前記歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される対象物を特定対象物として検出する特定対象物検出手段(例えば実施の形態のステップS34に含まれる頭部判定)と、前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定する車両判定手段(例えば実施の形態のステップS35、ステップS41からステップS49)と、前記物体が他車両であると判定された場合に警報の出力を禁止する警報禁止手段(例えば実施の形態のステップS37)とを備え、前記車両判定手段は、前記特定対象物の上方に探索領域を設定する探索領域設定手段と、該探索領域設定手段にて設定された探索領域に対して水平エッジを検出する水平エッジ検出手段とを備え、該水平エッジ検出手段にて検出された水平エッジに基づいて、前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
以上の構成を備えた警報装置は、特定対象物検出手段が、歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される対象物を特定対象物として検出すると共に、もし前記車両の周囲に存在する物体が他車両であれば、特定対象物の上方の探索領域内に所定長さ以上の水平エッジが存在するはずであるという車両の形状に係わる特徴に基づいて、車両判定手段が、特定対象物を含む物体が他車両であるか否かを判定し、更に警報禁止手段が、車両判定手段によって車両の周囲に存在する物体が他車両であると判定された場合に警報の出力を禁止することで、容易に車両の周囲に存在する歩行者と他車両とを区別し、不要な警報出力を抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の赤外線画像認識装置、及び赤外線画像認識装置を用いた警報装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態では、警報装置の一部が赤外線画像認識装置を構成している。
具体的に説明すると、図1において、符号1は、本実施の形態の赤外線画像認識装置、あるいは警報装置を制御するCPU(中央演算装置)を備えた画像処理ユニットであって、遠赤外線を検出可能な2つの赤外線カメラ2R、2Lと当該車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ3、更に、当該車両の走行速度(車速)を検出する車速センサ4とブレーキの操作を検出するためのブレーキセンサ5が接続される。これにより、画像処理ユニット1は、車両の周辺の赤外線画像と車両の走行状態を示す信号から、車両前方の歩行者や動物等の動く物体を検出し、衝突の可能性が高いと判断したときに警報を発する。
【0015】
また、画像処理ユニット1には、音声で警報を発するためのスピーカ6と、赤外線カメラ2R、2Lにより撮影された画像を表示し、衝突の危険性が高い対象物を車両の運転者に認識させるための、例えば自車両の走行状態を数字で表すメータと一体化されたメータ一体Displayや自車両のコンソールに設置されるNAVIDisplay、更にフロントウィンドウの運転者の前方視界を妨げない位置に情報を表示するHUD(Head Up Display )7a等を含む画像表示装置7が接続されている。
【0016】
また、画像処理ユニット1は、入力アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換回路、ディジタル化した画像信号を記憶する画像メモリ、各種演算処理を行うCPU(中央演算装置)、CPUが演算途中のデータを記憶するために使用するRAM(Random Access Memory)、CPUが実行するプログラムやテーブル、マップなどを記憶するROM(Read Only Memory)、スピーカ6の駆動信号、HUD7a等の表示信号などを出力する出力回路を備えており、赤外線カメラ2R、2L及びヨーレートセンサ3、車速センサ4、ブレーキセンサ5の各出力信号は、ディジタル信号に変換されてCPUに入力されるように構成されている。
【0017】
また、図2に示すように、赤外線カメラ2R、2Lは、自車両10の前部に、自車両10の車幅方向中心部に対してほぼ対称な位置に配置されており、2つの赤外線カメラ2R、2Lの光軸が互いに平行であって、かつ両者の路面からの高さが等しくなるように固定されている。なお、赤外線カメラ2R、2Lは、対象物の温度が高いほど、その出力信号レベルが高くなる(輝度が増加する)特性を有している。
また、HUD7aは、自車両10のフロントウインドウの運転者の前方視界を妨げない位置に表示画面が表示されるように設けられている。
【0018】
次に、本実施の形態の動作について図面を参照して説明する。
(対象物検出・警報動作)
図3は、本実施の形態の赤外線画像認識装置、あるいは警報装置の画像処理ユニット1における歩行者等の対象物検出動作と、警報装置の画像処理ユニット1における歩行者等の警報動作を示すフローチャートである。
まず、画像処理ユニット1は、赤外線カメラ2R、2Lの出力信号である赤外線画像を取得して(ステップS1)、A/D変換し(ステップS2)、グレースケール画像を画像メモリに格納する(ステップS3)。なお、ここでは赤外線カメラ2Rにより右画像が得られ、赤外線カメラ2Lにより左画像が得られる。また、右画像と左画像では、同一の対象物の表示画面上の水平位置がずれて表示されるので、このずれ(視差)によりその対象物までの距離を算出することができる。
【0019】
ステップS3においてグレースケール画像が得られたら、次に、赤外線カメラ2Rにより得られた右画像を基準画像とし、その画像信号の2値化処理、すなわち、輝度閾値ITHより明るい領域を「1」(白)とし、暗い領域を「0」(黒)とする処理を行う(ステップS4)。
図4(a)は、赤外線カメラ2Rにより得られたグレースケール画像を示し、これに2値化処理を行うことにより、図4(b)に示すような画像を得る。なお、図4(b)において、例えばP1からP4の枠で囲った物体を、表示画面上に白色として表示される対象物(以下「高輝度領域」という)とする。
赤外線画像から2値化された画像データを取得したら、2値化した画像データをランレングスデータに変換する処理を行う(ステップS5)。ランレングスデータにより表されるラインは、2値化により白となった領域を画素レベルで示したもので、いずれもy方向には1画素の幅を有しており、またx方向にはそれぞれランレングスデータを構成する画素の長さを有している。
【0020】
次に、ランレングスデータに変換された画像データから、対象物のラベリングをする(ステップS6)ことにより、対象物を抽出する処理を行う(ステップS7)。すなわち、ランレングスデータ化したラインのうち、y方向に重なる部分のあるラインを1つの対象物とみなすことにより、例えば図4(b)に示す高輝度領域P1からP4が、それぞれ対象物(2値化対象物)として把握されることになる。
対象物の抽出が完了したら、次に、抽出した対象物の重心G、面積S及び外接四角形の縦横比ASPECTを算出する(ステップS8)。
【0021】
ここで、面積Sは、ラベルAの対象物のランレングスデータを(x[i]、y[i]、run[i]、A)(i=0,1,2,・・・N−1)とすると、ランレングスデータの長さ(run[i]−1)を同一対象物(N個のランレングスデータ)について積算することにより算出する。また、対象物Aの重心Gの座標(xc、yc)は、各ランレングスデータの長さ(run[i]−1)と各ランレングスデータの座標x[i]、またはy[i]とをそれぞれ掛け合わせ、更にこれを同一対象物について積算したものを、面積Sで割ることにより算出する。更に、縦横比ASPECTは、対象物の外接四角形の縦方向の長さDyと横方向の長さDxとの比Dy/Dxとして算出する。
なお、ランレングスデータは画素数(座標数)(=run[i])で示されているので、実際の長さは「−1」する(1を減算する)必要がある(=run[i]−1)。また、重心Gの位置は、外接四角形の重心位置で代用してもよい。
【0022】
対象物の重心、面積、外接四角形の縦横比が算出できたら、次に、対象物の時刻間追跡、すなわちサンプリング周期毎の同一対象物の認識を行う(ステップS9)。時刻間追跡は、アナログ量としての時刻tをサンプリング周期で離散化した時刻をkとし、例えば時刻kで対象物A、Bを抽出したら、時刻(k+1)で抽出した対象物C、Dと対象物A、Bとの同一性判定を行う。そして、対象物A、Bと対象物C、Dとが同一であると判定されたら、対象物C、Dをそれぞれ対象物A、Bというラベルに変更することにより、時刻間追跡が行われる。
また、このようにして認識された各対象物の(重心の)位置座標は、時系列位置データとしてメモリに格納され、後の演算処理に使用される。
【0023】
なお、以上説明したステップS4〜S9の処理は、2値化した基準画像(本実施の形態では、右画像)について実行する。
次に、車速センサ4により検出される車速VCAR及びヨーレートセンサ3より検出されるヨーレートYRを読み込み、ヨーレートYRを時間積分することにより、自車両10の回頭角θrを算出する(ステップS10)。
【0024】
一方、ステップS9とステップS10の処理に平行して、ステップS11〜S13では、対象物と自車両10との距離zを算出する処理を行う。この演算はステップS9、及びステップS10より長い時間を要するため、ステップS9、S10より長い周期(例えばステップS1〜S10の実行周期の3倍程度の周期)で実行される。
まず、基準画像(右画像)の2値化画像によって追跡される対象物の中の1つを選択することにより、右画像から探索画像R1(ここでは、外接四角形で囲まれる領域全体を探索画像とする)を抽出する(ステップS11)。
【0025】
次に、左画像中から探索画像R1に対応する画像(以下「対応画像」という)を探索する探索領域を設定し、相関演算を実行して対応画像を抽出する(ステップS12)。具体的には、探索画像R1の各頂点座標に応じて、左画像中に探索領域R2を設定し、探索領域R2内で探索画像R1との相関の高さを示す輝度差分総和値C(a,b)を算出し、この総和値C(a,b)が最小となる領域を対応画像として抽出する。なお、この相関演算は、2値化画像ではなくグレースケール画像を用いて行う。
また同一対象物についての過去の位置データがあるときは、その位置データに基づいて探索領域R2より狭い領域R2aを探索領域として設定する。
【0026】
ステップS12の処理により、基準画像(右画像)中に探索画像R1と、左画像中にこの対象物に対応する対応画像R4とが抽出されるので、次に、探索画像R1の重心位置と対応画像R4の重心位置と視差Δd(画素数)を求め、これから自車両10と対象物との距離zを算出する(ステップS13)。
次に、ステップS10における回頭角θrの算出と、ステップS13における対象物との距離算出が完了したら、画像内の座標(x,y)及び距離zを実空間座標(X,Y,Z)に変換する(ステップS14)。
ここで、実空間座標(X,Y,Z)は、図2に示すように、赤外線カメラ2R、2Lの取り付け位置の中点の位置(自車両10に固定された位置)を原点Oとして、図示のように定め、画像内の座標は、画像の中心を原点として水平方向をx、垂直方向をyと定めている。
【0027】
また、実空間座標が求められたら、自車両10が回頭することによる画像上の位置ずれを補正するための回頭角補正を行う(ステップS15)。回頭角補正は、時刻kから(k+1)までの期間中に自車両10が例えば左方向に回頭角θrだけ回頭すると、カメラによって得られる画像上では、画像の範囲がΔxだけx方向にずれるので、これを補正する処理である。
なお、以下の説明では、回頭角補正後の座標を(X,Y,Z)と表示する。
【0028】
実空間座標に対する回頭角補正が完了したら、次に、同一対象物について、ΔTのモニタ期間内に得られた、回頭角補正後のN個(例えばN=10程度)の実空間位置データ、すなわち時系列データから、対象物と自車両10との相対移動ベクトルに対応する近似直線LMVを求める。
次いで、最新の位置座標P(0)=(X(0),Y(0),Z(0))と、(N−1)サンプル前(時間ΔT前)の位置座標P(Nー1)=(X(N−1),Y(N−1),Z(N−1))を近似直線LMV上の位置に補正し、補正後の位置座標Pv(0)=(Xv(0),Yv(0),Zv(0))及びPv(N−1)=(Xv(N−1),Yv(N−1),Zv(N−1))を求める。
【0029】
これにより、位置座標Pv(N−1)からPv(0)に向かうベクトルとして、相対移動ベクトルが得られる(ステップS16)。
このようにモニタ期間ΔT内の複数(N個)のデータから対象物の自車両10に対する相対移動軌跡を近似する近似直線を算出して相対移動ベクトルを求めることにより、位置検出誤差の影響を軽減して対象物との衝突の可能性をより正確に予測することが可能となる。
【0030】
また、ステップS16において、相対移動ベクトルが求められたら、次に、検出した対象物との衝突の可能性を判定する警報判定処理を行う(ステップS17)。なお、警報判定処理については、詳細を後述する。
ステップS17において、自車両10と検出した対象物との衝突の可能性がないと判定された場合(ステップS17のNO)、ステップS1へ戻り、上述の処理を繰り返す。
また、ステップS17において、自車両10と検出した対象物との衝突の可能性があると判定された場合(ステップS17のYES)、ステップS18の警報出力判定処理へ進む。
【0031】
ステップS18では、ブレーキセンサ5の出力BRから自車両10の運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判別することにより、警報出力判定処理、すなわち警報出力を行うか否かの判定を行う(ステップS18)。
もし、自車両10の運転者がブレーキ操作を行っている場合には、それによって発生する加速度Gs(減速方向を正とする)を算出し、この加速度Gsが所定閾値GTHより大きいときは、ブレーキ操作により衝突が回避されると判定して警報出力判定処理を終了し(ステップS18のNO)、ステップS1へ戻り、上述の処理を繰り返す。
これにより、適切なブレーキ操作が行われているときは、警報を発しないようにして、運転者に余計な煩わしさを与えないようにすることができる。
【0032】
また、加速度Gsが所定閾値GTH以下であるとき、または自車両10の運転者がブレーキ操作を行っていなければ、直ちにステップS19の処理へ進み(ステップS18のYES)、対象物と接触する可能性が高いので、スピーカ6を介して音声による警報を発する(ステップS19)とともに、画像表示装置7に対して、例えば赤外線カメラ2Rにより得られる画像を出力し、接近してくる対象物を自車両10の運転者に対する強調映像として表示する(ステップS20)。
【0033】
なお、所定閾値GTHは、ブレーキ操作中の加速度Gsがそのまま維持された場合に、対象物と自車両10との距離Zv(0)以下の走行距離で自車両10が停止する条件に対応する値である。
【0034】
(警報判定処理)
以上が、本実施の形態の赤外線画像認識装置、あるいは警報装置の画像処理ユニット1における歩行者等の対象物検出動作と、警報装置の画像処理ユニット1における歩行者等の警報動作であるが、次に、図5に示すフローチャートを参照して、図3に示したフローチャートのステップS17における警報判定処理について更に詳しく説明する。
図5は、本実施の形態の警報判定処理動作を示すフローチャートである。
警報判定処理は、以下に示す衝突判定処理、接近判定領域内か否かの判定処理、進入衝突判定処理、歩行者判定処理、及び人工構造物判定処理により、自車両10と検出した対象物との衝突の可能性を判定する処理である。以下、図6に示すように、自車両10の進行方向に対してほぼ90°の方向から、速度Vpで進行してくる対象物20がいる場合を例に取って説明する。
【0035】
図5において、まず、画像処理ユニット1は衝突判定処理を行う(ステップS31)。衝突判定処理は、図6において、対象物20が時間ΔTの間に距離Zv(N−1)から距離Zv(0)に接近した場合に、自車両10とのZ方向の相対速度Vsを求め、両者が高さH以内で相対速度Vsを維持して移動すると仮定して、余裕時間T以内に両者が衝突するか否かを判定する処理である。ここで、余裕時間Tは、衝突の可能性を予測衝突時刻より時間Tだけ前に判定することを意図したものである。従って、余裕時間Tは例えば2〜5秒程度に設定される。またHは、高さ方向の範囲を規定する所定高さであり、例えば自車両10の車高の2倍程度に設定される。
【0036】
次に、ステップS31において、余裕時間T以内に自車両10と対象物とが衝突する可能性がある場合(ステップS31のYES)、更に判定の信頼性を上げるために、画像処理ユニット1は対象物が接近判定領域内に存在するか否かの判定処理を行う(ステップS32)。接近判定領域内か否かの判定処理は、図7に示すように、赤外線カメラ2R、2Lで監視可能な領域を太い実線で示す外側の三角形の領域AR0とすると、領域AR0内の、Z1=Vs×Tより自車両10に近い領域であって、対象物が自車両10の車幅αの両側に余裕β(例えば50〜100cm程度とする)を加えた範囲に対応する領域AR1、すなわち対象物がそのまま存在し続ければ自車両10との衝突の可能性がきわめて高い接近判定領域AR1内に存在するか否かを判定する処理である。なお、接近判定領域AR1も所定高さHを有する。
【0037】
更に、ステップS32において、対象物が接近判定領域内に存在しない場合(ステップS32のNO)、画像処理ユニット1は対象物が接近判定領域内へ進入して自車両10と衝突する可能性があるか否かを判定する進入衝突判定処理を行う(ステップS33)。進入衝突判定処理は、上述の接近判定領域AR1よりX座標の絶対値が大きい(接近判定領域の横方向外側の)領域AR2、AR3を進入判定領域と呼び、この領域内にある対象物が、移動することにより接近判定領域AR1に進入すると共に自車両10と衝突するか否かを判定する処理である。なお、進入判定領域AR2、AR3も所定高さHを有する。
【0038】
一方、ステップS32において、対象物が接近判定領域内に存在している場合(ステップS32のYES)、画像処理ユニット1は対象物が歩行者の可能性があるか否かを判定する歩行者判定処理を行う(ステップS34)。歩行者判定処理は、グレースケール画像上で対象物画像の形状や大きさ、輝度分散等の特徴から、対象物が歩行者か否かを判定する処理である。
【0039】
歩行者判定処理について、例えば具体的に一例を挙げて説明すると、まず歩行者の頭部が存在するか否かを判定する頭部判定を行うために、グレースケール画像で抽出された対象物領域の中にプロジェクションエリアを設定し、縦方向の輝度プロジョクション(画素毎の輝度を縦方向に積算した積算輝度の横方向の分布)を算出すると共に、映像左上原点を基準にして最大ピークを示す横方向座標を検出する。
【0040】
次に、検出した横方向位置を基準に、歩行者の頭部位置に相当すると推定される領域に基準領域マスクを設定すると共に、その左右位置に肩上部空間に相当すると推定される2つの対象領域マスクを設定する。
そして、基準領域マスクの平均輝度、及び2つの対象領域マスクの平均輝度を算出すると共に、求められた各領域の平均輝度から、歩行者の頭部が存在するか否かを判定する。具体的には、頭部の左右(背景)の輝度階調に対して高輝度である歩行者頭部の輝度階調が認められる場合、頭部が存在すると判定する。
【0041】
もし、歩行者の頭部が存在すると判定された場合、次に、歩行者では捉えやすい肩から腕にかけての部分の存在有無を判定するために、「歩行者の左右の肩から腕にかけての部分は頭部位置と同距離に存在すると共に、歩行者の肩から腕にかけての輝度階調は、歩行者の肩上方空間に位置する頭部の左右(背景)の輝度階調とは異なる」という画像上の各領域(各部)の輝度の特徴を用いて、歩行者の肩から腕にかけての部分が存在するか否かを判定する。
【0042】
具体的には、頭部判定で使用した頭部左右の対象領域マスクの下方に、肩から腕にかけての部分に相当する別の対象領域マスクを設定する。そして、歩行者の肩から腕にかけての部分は形状や距離が変化しやすいので、頭部左右の対象領域マスクと、肩から腕にかけての部分に相当する別の対象領域マスクとの相関度を比較し、SAD(Sum of Absolute difference)の平均誤差を用いて算出した相関度エラー値が所定値以上である場合、肩から腕にかけての部分の存在の可能性があると判定する。
【0043】
また、歩行者の肩から腕にかけての部分が存在すると判定された場合、歩行者全体の距離と肩から腕にかけての部分の距離とは等しいはずであるから、歩行者全体の距離と肩から腕にかけての部分に相当する別の対象領域マスクの距離とが等しい場合、肩から腕にかけての部分が存在する対象物が歩行者であると判定することができる。
【0044】
また、ステップS34において、対象物は歩行者の可能性があると判定された場合(ステップS34のYES)、更に判定の信頼性を上げるために、対象物が人工構造物であるか否かを判定する人工構造物判定処理を行う(ステップS35)。人工構造物判定処理は、ステップS34において歩行者の可能性があると判定された対象物画像に、歩行者にはあり得ない特徴が検出された場合、該対象物を人工構造物と判定し、警報の対象から除外する処理である。なお、人工構造物判定処理については、詳細を後述する。
【0045】
従って、上述のステップS33において、対象物が接近判定領域内へ進入して自車両10と衝突する可能性がある場合(ステップS33のYES)、及びステップS35において、歩行者の可能性があると判定された対象物が人工構造物でなかった場合(ステップS35のNO)、画像処理ユニット1は、自車両10と検出した対象物との衝突の可能性がある(警報の対象である)と判定し(ステップS36)、図3に示すステップS17のYESとしてステップS18へ進み、警報出力判定処理(ステップS18)を行う。
【0046】
一方、上述のステップS31において、余裕時間T以内に自車両10と対象物とが衝突する可能性がない場合(ステップS31のNO)、あるいはステップS33において、対象物が接近判定領域内へ進入して自車両10と衝突する可能性がない場合(ステップS33のNO)、あるいはステップS34において、対象物は歩行者の可能性がないと判定された場合(ステップS34のNO)、更にはステップS35において、歩行者の可能性があると判定された対象物が人工構造物であった場合(ステップS35のYES)のいずれかであった場合は、画像処理ユニット1は、自車両10と検出した対象物との衝突の可能性がない(警報の対象ではない)と判定し(ステップS37)、図3に示すステップS17のNOとしてステップS1へ戻り、歩行者等の対象物検出・警報動作を繰り返す。
【0047】
(人工構造物判定処理)
次に、図8に示すフローチャートを参照して、図5に示したフローチャートのステップS35における人工構造物判定処理について更に詳しく説明する。図8は、本実施の形態の人工構造物判定処理動作を示すフローチャートである。ここでは、図5のステップS34において歩行者の可能性があると判定された対象物画像に、歩行者にはあり得ない特徴として、車両のルーフと推定される水平エッジが検出されるか否かを判定する。
【0048】
そこで、図8において、まず画像処理ユニット1は、図5のステップS34で実行された歩行者判定処理で歩行者の頭部の可能性があると判定された基準領域マスク中の2値化対象物を特定対象物とし、該特定対象物の上部(上方)に特定対象物と同一距離のエリア(MASK1)を探索する(ステップS41)。具体的には、図9に示すように、例えばグレースケール画像から車両100に関連するOBJ[1]からOBJ[5]までの2値化対象物が抽出され、この中のOBJ[2]が、歩行者判定処理で歩行者の頭部の可能性があると判定された基準領域マスク中の2値化対象物、すなわち特定対象物であったとする。
【0049】
この時、横の長さをX、縦の長さをYとすると共に、水平方向が長い長方形(例えばXは人間の幅より大きい程度)のMASK1を、特定対象物の重心を中心として左右対称に、左右画像の相関演算により距離を算出しながら、特定対象物上部から順次上方に設定していく。そして、特定対象物の距離とMASK1の距離とが一致しなくなるところまで探索する。
【0050】
次に、図10に示すように、特定対象物の距離とMASK1の距離とが一致している最後のMASK1の位置、及び特定対象物の距離とMASK1の距離とが一致しなくなったMASK1の位置を含み、高さ方向に上下に拡張された水平エッジ検出エリア(MASK2)を設定する(ステップS42)。ここでは、MASK2を高さ方向に拡張することにより、背景との差で検出される車両のルーフのみならず、車両の窓とルーフまたはボディラインとの間で検出される水平エッジも検出することができるため、容易に歩行者と区別することができる。
【0051】
また、背の高いRV車両(Recreational Vehicles )やトラックでは、特定対象物を車両の灯火器とした場合、特定対象物と車両のルーフとが離れた位置に存在するのに対し、それに対応して高い位置までMASK2が設定されるので、以下に説明する処理において対象となる車両の車種にかかわらずMASK2の位置を変更不要とすることができる。
【0052】
次に、MASK2を設定することができたら、車両のルーフに相当する水平エッジSEを検出する(ステップS43)。具体的には、MASK2内のグレースケール画像に対して、水平エッジ検出用の例えばソーベルフィルタの様な微分フィルタによるフィルタリングを行い、その結果を2値化処理することにより、図10に示すように、水平エッジ部分のみを検出する。
【0053】
更に、水平エッジ検出エリアMASK2を、左右の水平エッジ検出エリア(MASK_L、MASK_R)に分割する(ステップS44)。具体的には、図11(a)、(b)にMASK2のみ抽出して表示すると、図11(a)に示すMASK2を、その中心から、図11(b)に示すように、左右の水平エッジ検出エリア(MASK_L、MASK_R)に分割する。
【0054】
そして、図12(a)、(b)に示すように、各水平エッジ検出エリア(MASK_L、MASK_R)において、それぞれのエリアの横方向の幅に対して水平エッジSEの存在する割合を算出し、エリアの横方向の幅に対して水平エッジSEの存在する割合が所定値A以上である水平エッジ、またはエリアの横方向の幅に対して水平エッジSEの存在する割合は所定値A未満ではあるが、複数個が連続していて、その割合の合計が所定値A以上である水平エッジを検出する(ステップS45)。
【0055】
次に、左右の水平エッジ検出エリア(MASK_L、MASK_R)のどちらか一方に、ステップS45の条件を満たす水平エッジが存在するか否かを判定し、どちらか一方にステップS45の条件を満たす水平エッジが存在する場合、捉えられた2値化対象物は車両であると判定する。
【0056】
具体的には、まず右側の水平エッジ検出エリアMASK_RにステップS45の条件を満たす水平エッジが存在するか否かを判定する(ステップS46)。
もし、ステップS46において、右側の水平エッジ検出エリアMASK_Rに条件を満たす水平エッジが存在しない場合(ステップS46のNO)、次に、左側の水平エッジ検出エリアMASK_LにステップS45の条件を満たす水平エッジが存在するか否かを判定する(ステップS47)。
【0057】
そして、ステップS47において、左側の水平エッジ検出エリアMASK_Lに条件を満たす水平エッジが存在しない場合(ステップS47のNO)、捉えられた2値化対象物は車両ではないと判定して(ステップS48)人工構造物判定処理を終了し、図5に示すステップS35のNOとして図5のステップS36へ進み、対象物は警報対象であると判定する。
【0058】
一方、ステップS46において、右側の水平エッジ検出エリアMASK_Rに条件を満たす水平エッジが存在する場合(ステップS46のYES)、あるいはステップS47において、左側の水平エッジ検出エリアMASK_Lに条件を満たす水平エッジが存在する場合(ステップS47のYES)のいずれかの場合、捉えられた2値化対象物は車両であると判定して(ステップS49)人工構造物判定処理を終了し、図5に示すステップS35のYESとして図5のステップS37へ進み、対象物は警報対象ではないと判定する。
【0059】
なお、図12(a)、(b)に示す例では、図12(a)に示すMASK_Lは、何もないので水平エッジの割合はどこでも0[%]と算出され、図12(b)に示すMASK_Rは、水平エッジSEの存在する場所でその割合がB[%](B>A)と算出される。
【0060】
なお、本実施の形態では、画像処理ユニット1が、特定対象物検出手段と、車両判定手段と、警報禁止手段とを含んでいる。より具体的には、図5のステップS34に含まれる頭部判定が特定対象物検出手段に相当し、図5のステップS35及びその詳細を示す図8のステップS41からステップS49が車両判定手段に相当する。また、図5のステップS37が警報禁止手段に相当する。
また、特定対象物検出手段と、車両判定手段と、警報禁止手段とを含んで警報装置が構成され、赤外線画像認識装置はその一部であって、少なくとも警報禁止手段を含まずに構成される。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態の赤外線画像認識装置は、車両の周囲に存在する物体の認識を行う際、判定の信頼性を上げるために、歩行者判定処理により一度歩行者の頭部の可能性があると判定された2値化対象物を、特定対象物検出手段が、他車両の灯火器であると仮定して特定対象物とすると共に、車両判定手段が、該特定対象物の上方でかつ左右に分割されたいずれかの探索領域内に、歩行者にはあり得ない特徴である水平エッジが存在するか否かを判定する。
【0062】
そして、車両判定手段は、特定対象物の上方でかつ左右に分割されたいずれかの探索領域内に水平エッジを検出した場合、この物体は他車両であると判定する。また、この赤外線画像認識装置を用いて車両の周囲に存在する物体の認識を行い、物体が歩行者であると判定された場合に警報を発する警報装置は、物体が他車両であると判定された場合に、警報禁止手段が警報の出力を禁止する。
【0063】
従って、従来は車両を形状判定により識別するために、車種毎に異なる車両形状の違い、あるいは実環境において場所毎に異なる検出角度の違い等に対応して多量に用意する必要があった形状判定用の比較データを削減すると共に、多量の比較データに基づいて実行されていた複雑な形状判定処理も簡略化することができる。更に特定対象物の上方の探索領域を左右に分割し、左右に分割されたいずれかの探索領域内に存在する水平エッジについて判定することで、部分的に捉えられた他車両でも高精度で検出できるので、低コストでかつ信頼性を更に向上した赤外線画像認識装置を実現することができるという効果が得られる。
【0064】
また、この赤外線画像認識装置を用いて歩行者と他車両とを高精度で区別し、不要な警報出力を抑制することで、低コストでかつ信頼性を更に向上した警報装置を実現することができるという効果が得られる。
【0065】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の赤外線画像認識装置によれば、歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される特定対象物を検出すると共に、特定対象物を含む物体が他車両であれば、特定対象物の上方の探索領域内に所定長さ以上の水平エッジが存在するはずであるという車両の形状に係わる特徴に基づいて判定を行うことで、容易に車両の周囲に存在する他車両を検出することができる。
【0066】
また、特定対象物の上方でかつ左右に分割されたいずれかの探索領域内に所定長さ以上の水平エッジが存在するはずであるという車両の形状に係わる特徴に基づいて判定を行うことで、部分的に捉えられた他車両でも高精度で検出し、容易にかつ高精度で車両の周囲に存在する他車両を検出することができる。
【0067】
従って、従来は車両を形状判定により識別するために、車種毎に異なる車両形状の違い、あるいは実環境において場所毎に異なる検出角度の違い等に対応して多量に用意する必要があった形状判定用の比較データを削減すると共に、多量の比較データに基づいて実行されていた複雑な形状判定処理も簡略化することで、低コストでかつ信頼性を更に向上した赤外線画像認識装置を実現することができるという効果が得られる。
【0068】
また本発明の警報装置によれば、上述の赤外線画像認識装置を用いて、歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される特定対象物を検出すると共に、特定対象物を含む物体に対して車両の形状に係わる特徴に基づいた判定を行い、車両の周囲に存在する物体が他車両であると判定された場合には、警報禁止手段が警報の出力を禁止することで、容易に車両の周囲に存在する歩行者と他車両とを区別し、不要な警報出力を抑制することができる。
【0069】
従って、従来は多量に用意していた形状判定用の比較データを削減し、多量の比較データに基づいて実行されていた複雑な形状判定処理も簡略化すると共に、歩行者と他車両とを高精度で区別し、不要な警報出力を抑制することで、低コストでかつ信頼性を更に向上した警報装置を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の赤外線画像認識装置、及び赤外線画像認識装置を用いた警報装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 車両における赤外線カメラやセンサ、ディスプレイ等の取り付け位置を示す図である。
【図3】 同実施の形態の赤外線画像認識装置、あるいは警報装置の対象物検出動作と、警報装置の警報動作を示すフローチャートである。
【図4】 赤外線カメラにより得られるグレースケール画像とその2値化画像を示す図である。
【図5】 同実施の形態の警報判定処理動作を示すフローチャートである。
【図6】 衝突が発生しやすい場合を示す図である。
【図7】 車両前方の領域区分を示す図である。
【図8】 同実施の形態の人工構造物判定処理動作を示すフローチャートである。
【図9】 同実施の形態の人工構造物判定処理において設定される特定対象物の同一距離エリアについて示す図である。
【図10】 同実施の形態の人工構造物判定処理において設定される水平エッジ検出エリアについて示す図である。
【図11】 同実施の形態の人工構造物判定処理において設定される水平エッジ検出エリアの分割について示す図である。
【図12】 同実施の形態の人工構造物判定処理において検出される水平エッジの割合算出について示す図である。
【符号の説明】
1 画像処理ユニット
2R、2L 赤外線カメラ
3 ヨーレートセンサ
4 車速センサ
5 ブレーキセンサ
6 スピーカ
7 画像表示装置
10 自車両
S34 特定対象物検出手段
S35、S41〜S49 車両判定手段
S37 警報禁止手段
Claims (5)
- 車両に搭載されると共に、赤外線を検知する撮像手段により撮像された画像に基づいて前記車両の周囲に存在する物体の認識を行う赤外線画像認識装置であって、
歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される対象物を特定対象物として検出する特定対象物検出手段と、
前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定する車両判定手段とを備え、
該車両判定手段は、前記特定対象物の上方に探索領域を設定する探索領域設定手段と、前記探索領域設定手段にて設定された探索領域に対して水平エッジを検出する水平エッジ検出手段とを備え、
前記水平エッジ検出手段にて検出された水平エッジに基づいて、前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする赤外線画像認識装置。 - 前記水平エッジ検出手段は、前記探索領域設定手段にて設定された探索領域のグレースケール画像に対して微分フィルタによるフィルタリングを行い、その結果を2値化処理することにより水平エッジを検出することを特徴とする請求項1に記載の赤外線画像認識装置。
- 前記車両判定手段が、前記特定対象物の水平位置を基準として前記探索領域設定手段にて設定された探索領域を左右に分割すると共に、分割された探索領域のいずれかに存在する前記水平エッジ検出手段にて検出された水平エッジに基づいて、前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線画像認識装置。
- 前記車両判定手段は、分割された探索領域のいずれかに存在する前記水平エッジ検出手段にて検出された水平エッジのうち、分割された探索領域の横方向の幅に対して所定割合以上となる水平エッジ、または、探索領域の横方向の幅に対して所定割合未満となるが、複数個連続していて、その合計の割合が所定値以上となる水平エッジに基づいて前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の赤外線画像認識装置。
- 車両に搭載されると共に、赤外線を検知する撮像手段により撮像された画像に基づいて前記車両の周囲に存在する物体の認識を行い、前記物体が歩行者であると判定された場合に警報を発する警報装置であって、
前記歩行者の頭部または他車両の灯火器のどちらかであると推定される対象物を特定対象物として検出する特定対象物検出手段と、
前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定する車両判定手段と、
前記物体が他車両であると判定された場合に警報の出力を禁止する警報禁止手段とを備え、
前記車両判定手段は、前記特定対象物の上方に探索領域を設定する探索領域設定手段と、該探索領域設定手段にて設定された探索領域に対して水平エッジを検出する水平エッジ検出手段とを備え、
該水平エッジ検出手段にて検出された水平エッジに基づいて、前記特定対象物を含む前記物体が他車両であるか否かを判定することを特徴とする警報装置。
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